JP2021086731A - 鉛蓄電池用正極板、鉛蓄電池 - Google Patents

鉛蓄電池用正極板、鉛蓄電池 Download PDF

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Abstract

【課題】良好な耐久性を保持しながら活物質の利用率が高い鉛蓄電池用正極板を提供する。【解決手段】セル室と、セル室に電解液と共に収納された極板群と、を備え、極板群は、交互に配置された負極板および正極板と、負極板と正極板との間に配置されたセパレータと、からなる積層体を有する鉛蓄電池の正極板であって、鉛合金からなる集電体と、集電体の格子状基板に保持された正極合剤とからなる。正極合剤のメジアン細孔径が0.75μm以上0.95μm以下であり、正極合剤の密度が3.90g/cm3以上4.30g/cm3以下であり、正極合剤を構成する正極活物質に含まれるβ−PbO2の質量に対するα−PbO2の質量の比(α/β)が0.13以上0.25以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、鉛蓄電池に関する。
鉛蓄電池には液式のものと制御弁式のものがあり、液式鉛蓄電池は、セル室を備えた電槽と、セル室に電解液とともに収納されている極板群と、を備え、その極板群は、交互に配置された正極板および負極板と、正極板および負極板との間に配置されたセパレータと、からなる積層体を有する。
近年、国内で新規に販売される自動車の多くは、従来のエンジン車からISS(Idling Stop and Start)車に代わりつつあり、今後、これら車両の制御に対応するISS用鉛蓄電池のニーズはより一層高まっていくものと予測される。
ISS車用の鉛蓄電池には、活物質の利用率が高いことと耐久性が高いことの両立が求められる。特に活物質の利用率向上は、余剰な活物質量の削減にもつながり、鉛蓄電池の軽量化及び低コスト化が実現できる。
正極活物質の利用率を向上させる方法としては、例えば特許文献1に記載されているように、活物質密度を低下させる方法が挙げられる。正極活物質の密度を下げると、極板中の気孔率が増加するため極板内部まで電解液が浸透し、活物質と電解液の接触面積が向上する事で利用率が増加する。
また、特許文献2には、正極活物質の原料として、鉛粉と鉛丹化率が20〜80重量%の鉛丹との混合物を用いることが記載されている。これにより、活物質粒子間の結合性が改善されて、化成後の正極活物質粒子が小さくなるため、比表面積が向上する事で利用率が増加する。
さらに、特許文献3には、正極板および負極板内に含浸された電解液に、平均粒子径0.01〜0.1μmのシリカを1.0質量%以下の割合で含有させることが記載されている。シリカは電解液の保持性に優れるため、活物質と電解液の接触面積を増加させる効果があることが知られている。この効果により、正極活物質の利用率向上が得られることが期待できる。
特開2004−199993号公報 特開2008−152968号公報 特開平8−153535号公報
しかしながら、特許文献1〜3に記載された方法で得られる正極は、活物質同士の結合力が低いため、軟化脱落が生じ易く、耐久性の低いものとなる。
本発明の課題は、良好な耐久性を保持しながら活物質の利用率が高い鉛蓄電池用正極板を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明の第一態様は、下記の構成(a)〜(c)を有することを特徴とする鉛蓄電池用正極板を提供する。
(a)セル室と、セル室に電解液と共に収納された極板群と、を備え、極板群は、交互に配置された負極板および正極板と、負極板と正極板との間に配置されたセパレータと、からなる積層体を有する鉛蓄電池の正極板である。
(b)鉛合金からなる集電体と、集電体の格子状基板に保持された正極合剤とからなる。
(c)正極合剤のメジアン細孔径が0.75μm以上0.95μm以下であり、正極合剤の密度が3.90g/cm3以上4.30g/cm3以下であり、正極合剤を構成する正極活物質に含まれるβ−PbO2の質量に対するα−PbO2の質量の比(α/β)が0.13以上0.25以下である。
本発明の第二態様は、下記の構成(d)(e)を有することを特徴とする鉛蓄電池を提供する。
(d)セル室と、セル室に電解液と共に収納された極板群と、を備え、極板群は、交互に配置された負極板および正極板と、負極板と正極板との間に配置されたセパレータと、からなる積層体を有する鉛蓄電池である。
(e)正極板は、鉛合金からなる集電体と、集電体の格子状基板に保持された正極合剤とからなり、上記構成(c)を満たす。
本発明の鉛蓄電池用正極板によれば、良好な耐久性を保持しながら活物質の利用率が高いものとなることが期待できる。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は以下に示す実施形態に限定されない。以下に示す実施形態では、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がなされているが、この限定は本発明の必須要件ではない。
[構成]
この実施形態の鉛蓄電池は、モノブロックタイプの電槽と、蓋と、六個の極板群とを有する。電槽は、隔壁により六個のセル室に区画されている。六個のセル室は電槽の長手方向に沿って配列されている。各セル室に一個の極板群が配置されている。各セル室に電解液が注入されている。
各極板群は、交互に配置された複数枚の正極板および負極板と、正極板と負極板との間に配置されたセパレータと、からなる積層体を有する。
正極板は、格子状基板と格子状基板から上側に突出する耳部とを有する鉛合金からなる集電体の格子状基板に、正極合剤(正極活物質を含む合剤)が保持されたものである。負極板は、格子状基板と格子状基板から上側に突出する耳部とを有する鉛合金からなる集電体の格子状基板に、負極合剤(負極活物質を含む合剤)が保持されたものである。複数枚の正極板および負極板は、セパレータを介して交互に配置されている。積層体を構成する負極板の枚数は正極板の枚数よりも一枚多くても良いし、同じでも良い。
正極合剤のメジアン細孔径が0.75μm以上0.95μm以下であり、正極合剤の密度が3.90g/cm3以上4.30g/cm3以下であり、正極合剤を構成する正極活物質に含まれるβ−PbO2の質量に対するα−PbO2の質量の比(α/β)が0.13以上0.25以下である。
負極合剤は、従来品と同様の構成である。具体的には、負極活物質である鉛と、補強繊維などを含む。
負極板は袋状セパレータ内に収納されている。そして、負極板が入った袋状セパレータと正極板とを交互に重ねることで、正極板と負極板との間にセパレータが配置された状態となっている。なお、正極板を袋状セパレータ内に収納して、負極板と交互に重ねてもよい。
また、各極板群は、積層体の正極板および負極板をそれぞれ幅方向の別の位置で連結する正極ストラップおよび負極ストラップと、正極ストラップおよび負極ストラップからそれぞれ立ち上がる正極中間極柱および負極中間極柱を有する。正極ストラップおよび負極ストラップは、正極板および負極板の耳部をそれぞれ連結している。セル配列方向の両端のセル室に配置された正極ストラップおよび負極ストラップには、それぞれ小片部を介して外部端子となる正極極柱および負極極柱が形成されている。
[製法]
実施形態の鉛蓄電池は、例えば以下の方法で製造することができる。正極板の製造方法以外は、従来公知の方法が採用できる。
先ず、化成前の正極板を作製する際に用いる混練物として、鉛粉、平均粒径5μm以下の四塩基性硫酸鉛、硫酸、酸化ビスマス、および水を含む混練物を作製する。酸化ビスマスの添加量は、鉛粉100質量部に対して0.03質量部以上0.10質量部以下の割合とする。
次に、作製された混練物を集電体の格子状基板に充填した後に温度50℃以上65℃以下、湿度90%以上98%以下で熟成した後、乾燥する。これにより、化成前の正極合剤中の四塩基性硫酸鉛の含有率を20%以上70%未満とする。なお、化成前の正極合剤中の四塩基性硫酸鉛の含有率が20%以上70%未満となるように、温度50℃以上65℃以下の範囲内で選択される熟成温度に応じて、混練物を作製する際の硫酸および四塩基性硫酸鉛の添加量を調整する。
以上が、化成前の正極板を得る工程である。
次に、得られた化成前の正極板と、通常の方法で作製された化成前の負極板と、セパレータと、を用いて、化成前の積層体を作製する。
次に、化成前の積層体をCOS(キャストオンストラップ)方式の鋳造装置を用い、正極板の耳部同士を接続した正極ストラップおよび負極板の耳部同士を接続した負極ストラップを形成するとともに、正極中間極柱、負極中間極柱、正極極柱および負極極柱を形成する。それらを形成した後、前記積層体を電槽の各セル室に配置する。
次に、隣接するセル室の正極中間極柱同士または負極中間極柱同士を抵抗溶接することで、隣接するセル間を電気的に直列に接続する。次に、電槽の上面と蓋の下面とを熱で溶かして蓋を電槽に載せ、熱溶着により電槽に蓋を固定する。なお、蓋を電槽に載せる際に、正極極柱および負極極柱を蓋にインサート成型されたブッシングの貫通穴に通す。その後、ブッシングの貫通孔からそれぞれ突出した状態の正極極柱および負極極柱をバーナー等で加熱しブッシングと一体化させることで、正極端子および負極端子を形成する。
その後、蓋を貫通する穴として設けた注液孔からセル室内に、アルミ二ウムイオンを20mmol/L以上200mmol/L以下の濃度で含有する電解液(硫酸に硫酸アルミニウムが添加された電解液)を注入した後、注液孔を塞ぐことなどの通常の工程を行うことにより、鉛蓄電池の組み立てを完成させる。その後、通常の条件で電槽化成を行うことで鉛蓄電池が得られる。
この電槽化成により、集電体に保持された状態の鉛粉が正極活物質に変化し、正極合剤のメジアン細孔径が0.75μm以上0.95μm以下、正極合剤の密度が3.90g/cm3以上4.30g/cm3以下、正極合剤を構成する正極活物質に含まれるβ−PbO2の質量に対するα−PbO2の質量の比(α/β)が0.13以上0.25以下となる。
[作用、効果]
正極合剤のメジアン細孔径が大きく、密度が高いほど、正極活物質同士あるいは正極活物質と格子状基板との密着性が向上するため、正極板の耐久性は向上するが、活物質の利用効率は低下する。正極合剤のメジアン細孔径が小さく、密度が低いほど、活物質の利用効率は向上するが、正極活物質同士あるいは正極活物質と格子状基板との密着性が低下するため、正極板の耐久性は低下する。
また、電気化学的に不活性なα−PbO2が多いほど、耐久性(寿命性能)の点で有利になるが、活物質の利用効率の点では不利になる。電気化学的に活性なβ−PbO2が多いほど、活物質の利用効率の点で有利になるが、耐久性(寿命性能)の点では不利になる。
本実施形態の正極板は、正極合剤のメジアン細孔径が0.75μm以上0.95μm以下であり、正極合剤の密度が3.90g/cm3以上4.30g/cm3以下であり、正極合剤を構成する正極活物質に含まれるβ−PbO2の質量に対するα−PbO2の質量の比(α/β)が0.13以上0.25以下であることで、良好な耐久性を保持しながら活物質の利用率が高くなる。
また、本実施形態の方法では、化成前の正極合剤を得る工程として、鉛粉、平均粒径5μm以下の四塩基性硫酸鉛、硫酸、および水を含む混練物を、格子状基板に充填した後、格子状基板に充填された混練物を温度50℃以上65℃以下で熟成した後乾燥することにより、化成前の正極合剤中の四塩基性硫酸鉛の含有率を20%以上70%未満とする工程を行った後に、化成を行う。これにより、本実施形態の正極板を得ることができる。
本実施形態の方法では、上記工程を行った後に化成を行うことにより、四塩基性硫酸鉛が柱状結晶を維持したまま二酸化鉛に変換されるため、頑強な活物質構造が得られる。これにより、正極活物質は充放電に伴う体積膨張の影響を受けにくくなる。
なお、添加する四塩基性硫酸鉛の平均粒径が5μmを超える場合、熟成過程において四塩基性硫酸鉛の粒子が必要以上に粗大化するため、電解液と活物質の反応比表面積が小さくなって活物質の利用率が低下する。また、熟成温度が50℃未満の場合、四塩基性硫酸鉛の生成が進まないため、四塩基性硫酸鉛の添加効果が得られない。
さらに、正極合剤の比表面積が大きいほど活物質と電解液間の接触面積が多くなるため活物質の利用率は高くなる傾向を示す。しかし、比表面積が大きすぎると耐久性が低いものとなる。活物質の利用率が高いことと耐久性が高いことの両立のためには、正極合剤の比表面積を5.5〜6.0m/gの範囲にすることが好ましい。
[試験電池の作製]
実施形態の鉛蓄電池と同じ構造の鉛蓄電池として、サンプルNo.1〜No.10の鉛蓄電池を、実施形態に記載された従来公知の方法で作製した。具体的には、定格容量が32AhのBサイズの鉛蓄電池であって、動作電圧が12Vの鉛蓄電池を作製した。
[正極板(化成前)の作製]
<No.1>
先ず、蓄電池用の鉛粉(粒径が数μm〜30数μmである鉛と酸化鉛との混合粉末で、質量比での混合比が鉛:酸化鉛=約25:75)2000gに、水370g、比重1.37の硫酸172g、酸化ビスマス1g、平均粒径5μm以下の四塩基性硫酸鉛(4BS)を20g加えて混練することで、正極合剤形成用ペースト(混練物)を得た。
次に、このペーストを、Pb−Sn系の鉛合金から成る鉛合金から成るBサイズ電池用集電体の格子状基板に充填したものを、温度50℃且つ湿度95%以上の環境下に48時間放置することで熟成し、その後60℃で24時間乾燥を行った。これにより、化成前の正極板を得た。
得られた化成前の正極板が有する正極合剤(以下、「正極未化成物質」と称する)に含まれる四塩基性硫酸鉛の含有率を、粉末X線回折測定により調べた。具体的には、得られた化成前の正極板から正極未化成物質を粉末状に掻き落とし、掻き落とされた正極未化成物質の粉末をX線回折装置にセットして、X線回折チャートを得、各物質の回折線の強度比から正極未化成物質中の四塩基性硫酸鉛の含有率を算出した。その結果、23.9%であった。
<No.2>
正極合剤形成用ペーストを得る際の平均粒径5μm以下の四塩基性硫酸鉛(4BS)の添加量を15g、水の添加量を350gとした以外は、No.1と同じ方法で化成前の正極板を得た。得られた化成前の正極板が有する正極合剤に含まれる四塩基性硫酸鉛の含有率を、No.1と同じ方法で調べたところ、20.0%であった。
<No.3>
正極合剤形成用ペーストを得る際の平均粒径5μm以下の四塩基性硫酸鉛(4BS)の添加量を10gとした以外は、No.1と同じ方法で化成前の正極板を得た。得られた化成前の正極板が有する正極合剤に含まれる四塩基性硫酸鉛の含有率を、No.1と同じ方法で調べたところ、16.0%であった。
<No.4>
正極合剤形成用ペーストを得る際の水の添加量を420gとした以外は、No.1と同じ方法で化成前の正極板を得た。得られた化成前の正極板が有する正極合剤に含まれる四塩基性硫酸鉛の含有率を、No.1と同じ方法で調べたところ、19.0%であった。
<No.5>
熟成の際の温度を60℃とした以外は、No.1と同じ方法で化成前の正極板を得た。得られた化成前の正極板が有する正極合剤に含まれる四塩基性硫酸鉛の含有率を、No.1と同じ方法で調べたところ、67.0%であった。
<No.6>
熟成の際の温度を65℃とした以外は、No.1と同じ方法で化成前の正極板を得た。得られた化成前の正極板が有する正極合剤に含まれる四塩基性硫酸鉛の含有率を、No.1と同じ方法で調べたところ、68.6%であった。
<No.7>
熟成の際の温度を70℃とした以外は、No.1と同じ方法で化成前の正極板を得た。得られた化成前の正極板が有する正極合剤に含まれる四塩基性硫酸鉛の含有率を、No.1と同じ方法で調べたところ、70.4%であった。
<No.8>
正極合剤形成用ペーストを得る際の水の添加量を350g、熟成の際の温度を40℃とした以外は、No.1と同じ方法で化成前の正極板を得た。得られた化成前の正極板が有する正極合剤に含まれる四塩基性硫酸鉛の含有率を、No.1と同じ方法で調べたところ、3.9%であった。
<No.9>
熟成の際の温度を45℃とした以外は、No.1と同じ方法で化成前の正極板を得た。得られた化成前の正極板が有する正極合剤に含まれる四塩基性硫酸鉛の含有率を、No.1と同じ方法で調べたところ、16.4%であった。
<No.10>
正極合剤形成用ペーストを得る際の水の添加量を350g、熟成の際の温度を40℃とするとともに、正極合剤形成用ペーストを得る際に平均粒径5μm以下の四塩基性硫酸鉛(4BS)を加えなかった以外は、No.1と同じ方法で化成前の正極板を得た。得られた化成前の正極板が有する正極合剤に含まれる四塩基性硫酸鉛の含有率を、No.1と同じ方法で調べたところ、3%未満と測定誤差の範囲内であったため、四塩基性硫酸鉛が実質的に存在しないことを確認できた。
[負極板(化成前)の作製]
正極合剤形成用ペーストの作製で使用したものと同じ蓄電池用の鉛粉2000gに、水400g、ポリエステル繊維(補強用繊維)1.8g、硫酸バリウム20g、導電性カーボン4g、リグニン4gを、それぞれ添加して混合した。このようにして得られた混合物に、20℃での比重Dが1.37である硫酸水溶液を228g加えて混練することで、負極合剤形成用ペースト(混練物)を得た。
このペーストを、Pb−Ca系の鉛合金から成るBサイズ電池用集電体の格子状基板に充填した後、通常の条件による熟成乾燥工程を行い、化成前の負極板を得た。
[鉛蓄電池の組み立て]
先ず、No.1〜No.10の各鉛蓄電池用の極板群を作製するために、上述方法で作製したNo.1〜No.10の化成前の正極板を各36枚と、上述方法で作製した化成前の負極板を420(10×42)枚と、化成前の負極板と同じ数の袋状セパレータを用意した。
次に、化成前の負極板を袋状セパレータ内に収納し、この化成前の負極板入りセパレータ7枚と化成前の正極板6枚を交互に積層することで、化成前の正極板を6枚、化成前の負極板を7枚有する積層体を、サンプルNo.1〜10で六個ずつ得た。
次に、サンプルNo.毎に、得られた六個の積層体をCOS(キャストオンストラップ)方式の鋳造装置を用い、キャビティ内に溶融金属(鉛合金)を供給するとともに、耳部を下側に向けた状態で積層体の耳部を挿入することで、先ず、各耳部同士を接続する正極ストラップおよび負極ストラップを形成した。続いて、配列方向両端のセル室に配置された負極ストラップおよび正極ストラップには小片と極柱を形成し、それ以外の各正極ストラップおよび負極ストラップには、それぞれ正極中間極柱および負極中間極柱を形成した。次に、それらを、「SBA(電池工業会規格) S 0101」の外形区分Mのポリプロピレン製のモノブロックタイプの電槽の六個のセル室に、それぞれ配置した。
次に、電槽のセル室同士を仕切る隔壁を挟んで対向する正極中間極柱および負極中間極柱を、隔壁に設けた貫通孔の部分で抵抗溶接することにより接続した。この状態では、電槽の各セル内に化成前の極板群が配置されている。
この状態の電槽と蓋を、実施形態に記載された方法で熱溶着することで、No.1〜No.10の化成前の鉛蓄電池を得た。
次に、硫酸アルミニウムが20g/L添加された希硫酸電解液(アルミイオン濃度は117mmol/L)を、No.1〜No.10の化成前の鉛蓄電池の蓋の注液孔から、電槽の各セル室内へ注入した。その後、通常の条件で電槽化成を行って、No.1〜No.10の鉛蓄電池を得た。
[メジアン細孔径、密度、及び比(α/β)の測定]
No.1〜No.10の鉛蓄電池の正極板について、以下の方法で正極合剤のメジアン細孔径、密度、及び比(α/β)を測定した。
電槽化成後の各鉛蓄電池から正極板を取り出して、水で洗って乾燥させた後、正極板から固形状の正極合剤を採取した。得られた固形状の正極合剤を水銀圧入式ポロシメーター(島津製作所、オートポアIV9520)にセットして、正極合剤のメジアン細孔径および密度を水銀圧入法により測定した。
また、得られた固形状の正極合剤を乳鉢等により粉砕し、得られた粉末をX線回折装置(Rigaku、RINT−Ultima+)にセットして、X線回折チャートを得、β−PbO2の回折線とα−PbO2の回折線との強度比から、比(α/β)を算出した。
[活物質利用率を調べる試験:放電試験]
No.1〜No.10の鉛蓄電池の正極板の活物質利用率を、以下の方法で調べた。
JIS D 5301に則り、各鉛蓄電池を25℃の水槽内に設置し、5時間率電流で、終止電圧が10.5Vに到達するまで定電流放電した。この10.5Vに到達した時の放電容量を各鉛蓄電池の理論容量で除算し、得られた値を各鉛蓄電池の正極板の活物質利用率(%)とした。
[寿命性能を調べる試験:寿命試験]
No.1〜No.10の鉛蓄電池の容量維持率を、以下の方法で調べた。
JIS D 5301 9.5 (b)に記載の重負荷寿命試験に準拠し、満充電の鉛蓄電池に対し、周囲温度40℃の環境で放電深度40%まで1時間で放電した後、10時間率電流で放電容量の125%充電するサイクルを24サイクル繰り返した。25サイクル目の放電は判定放電として、終止電圧である10.2Vに達するまで放電し、その後10時間率電流で放電容量の140%充電をした。25サイクル経過後、鉛蓄電池を取り出し、25サイクルで減水した分の電解液を補水した。この充放電サイクル試験を、25サイクル目の放電時の容量が各鉛蓄電池の5時間率容量の50%未満となるまでした。そして、No.10の鉛蓄電池(従来品)のサイクル数をNo.1〜No.9の鉛蓄電池のサイクル数で除算し、得られた値をサイクル数の相対値として比較した。
これらの測定、試験結果を、各サンプルの化成前の正極合剤の製造方法、化成前の正極合剤中の四塩基性硫酸鉛の含有率、および正極合剤の構成とともに、下記の表1に示す。サイクル数は、No.10の鉛蓄電池(従来品)を100とした相対値を示す。
Figure 2021086731
表1に示すように、本発明の実施例に相当するNo.1、No.2、No.5、No.6の鉛蓄電池は、容量維持率がNo.10の鉛蓄電池の95%以上であって、活物質利用率が53.8%以上と高かった。つまり、本発明の実施例に相当するNo.1、No.2、No.5、No.6の鉛蓄電池では、従来品と同等のサイクル数(寿命性能)を維持しつつ、活物質の利用率を高くできることが分かる。

Claims (2)

  1. セル室と、前記セル室に電解液と共に収納された極板群と、を備え、前記極板群は、交互に配置された負極板および正極板と、前記負極板と前記正極板との間に配置されたセパレータと、からなる積層体を有する鉛蓄電池の前記正極板であって、
    鉛合金からなる集電体と、前記集電体の格子状基板に保持された正極合剤とからなり、
    前記正極合剤のメジアン細孔径が0.75μm以上0.95μm以下であり、前記正極合剤の密度が3.90g/cm3以上4.30g/cm3以下であり、前記正極合剤を構成する正極活物質に含まれるβ−PbO2の質量に対するα−PbO2の質量の比(α/β)が0.13以上0.25以下である鉛蓄電池用正極板。
  2. セル室と、前記セル室に電解液と共に収納された極板群と、を備え、前記極板群は、交互に配置された負極板および正極板と、前記負極板と前記正極板との間に配置されたセパレータと、からなる積層体を有する鉛蓄電池であって、
    前記正極板は、鉛合金からなる集電体と、前記集電体の格子状基板に保持された正極合剤とからなり、
    前記正極合剤のメジアン細孔径が0.75μm以上0.95μm以下であり、前記正極合剤の密度が3.90g/cm3以上4.30g/cm3以下であり、前記正極合剤を構成する正極活物質に含まれるβ−PbO2の質量に対するα−PbO2の質量の比(α/β)が0.13以上0.25以下である鉛蓄電池。
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