JP2021081258A - 歯車の検査装置及び検査方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1の検査装置は、歯車の歯先に形成された面取り部に正対するように対向配置されたカメラ(撮像手段)と、平行光を面取り部に垂直に照射する照射部(照明手段)と、カメラによる撮像画像と欠陥のない正常な面取り部の画像との比較に基づき歯車の欠陥を判定する判定部とを有している。面取り部に正対する方向から対象領域を撮像するため、判定画像中に欠陥がないにも拘らず暗くなる領域の発生を回避している。
歯車の欠陥検査と同様に、荒残り検査についても画像処理技術を適用して自動化を図ることが考えられる。しかし、荒残り検査に上記のような画像処理技術を適用した場合、製造工程上、歯に残留する荒残りと歯先と歯端の面取り部に形成された酸化被膜との識別が懸念される。
また、通常、研磨工程では、歯先と歯端の面取り部は研磨されないため、研磨工程が終了されても、面取り部に相当する部分には酸化被膜A1が残留している。
図9(a),図9(b)に示すように、撮像画像中には、歯面に残る荒残り部A3に加えて面取り部の酸化被膜A1及び歯端部に映り込んだ影部A2の存在が認識される。
それ故、図9(c)に示すように、画像処理された判定画像中に黒色の酸化被膜A1が黒色の荒残り部A3と同時に存在することから、判定画像中から所定の評価基準値を用いて荒残り部A3のみを抽出することは難しく、歯面の良否判定の自動化は困難である。
即ち、研磨加工終了後、撮像手段と照明手段を用いた歯車の自動検査は容易ではない。
これにより、撮像画像を2値化した判定画像から面取り部の酸化被膜及び影部を除去することができ、荒残り部のみを自動で判定することができる。
この構成によれば、撮像手段が、一側撮像手段と他側撮像手段とを有するため、歯車の歯の片側面及び他側面を同時に撮像することができ、サイクルタイムを短縮化することができる。パネル状照明手段が、赤色フラット照明であり、十字状のマスク部を備えているため、歯面の正常部分と黒色の荒残り部とのコントラストを協調することができ、簡単な構成で荒残り部のハレーションを抑制しながら面取り部のハレーションを促進することができる。また、赤色フラット照明の照射光を反射可能な1対の反射板を設けたため、反射板からの反射光を隣り合う歯を避けて上下方向から歯端部の両側部分に到達させることができ、確実に歯端部の影部を消去することができる。
この構成によれば、確実に荒残り部のハレーションを抑制しながら面取り部のハレーションを促進することができる。
この構成によれば、寸法検査と荒残り検査を並行して実行でき、一層サイクルタイムを短縮化することができる。
この構成によれば、ヘリカルギヤにおいて、歯面の撮像画像を2値化した判定画像から面取り部の酸化被膜及び影部を除去することができ、荒残りのみを自動で判定することができる。
歯車の検査装置及び検査方法の説明に先立ち、図1に基づき、ヘリカルギヤG(図8(a)参照)の製造方法について説明する。尚、Si(i=1,2…)は各工程を示すステップである。
歯切工程S1では、歯車素材に完成品における歯の寸法形状を形成する。
歯車素材は、焼入用合金鋼(機械構造用炭素鋼)であり、例えば、クロム鋼(SCR420HZ)である。歯は、ホブ盤によるホブ切り、或いはピニオンカッタ等を用いた歯切りによって切削加工される。ホブの回転と共に一定比率で歯車素材を回転させ、同時にホブをギヤ軸方向に送り出すことで創成歯切りが行われる
ホブ盤により歯車素材から粗歯切りされた被削歯車は、歯端部にバリ部が存在するため、歯端部をフレージングカッタ等の面取り加工装置(図示略)を用いて面取加工を行う。また、面取加工と合せて、シェービング加工装置(図示略)を用いて歯面をシェービング加工しても良い。
面取工程S2を終えた被削歯車を、例えば、900〜950℃の温度範囲に加熱し、1.5〜4時間保持して浸炭及び拡散処理を行う。その後、850℃まで温度を下げて所定時間温度を保持した後、200〜250℃のソルトバスに所定時間浸漬させて焼入れを行う。
この熱処理工程S3の終了後、被削歯車の表面には一様に酸化被膜(黒皮)が形成されている。
歯車状に形成された研削工具と被削歯車をそれら回転軸線が交差するように配置し、研削工具を被削歯車に沿って転動させる。歯面研削加工終了後、被削歯車は洗浄され、完成品のヘリカルギヤGとして検査工程S5に送られる。
この検査工程S5では、歯車の寸法を判定するマスタギヤgとの噛み合わせ検査と、研磨工程における酸化被膜の削り残し(荒残り)を判定する荒残り検査とが行われる。評価基準値を満足するヘリカルギヤGは、良品として後工程の組立工程に搬送され、評価基準値を満足しないヘリカルギヤGは、不良品として手直し工程に搬送される。
図3,図4に示すように、検査装置1は、検査対象のヘリカルギヤGを鉛直軸回りに回転可能に保持するギヤ保持機構10と、寸法検査用マスタギヤgを鉛直軸回りに回転可能に保持するマスタギヤ保持機構20と、ヘリカルギヤGを撮像する撮像機構30と、撮像機構30が撮像した撮像画像の画像処理、各種作動機器の制御、及び検査結果を判定するコントローラ2(判定手段)と、検査結果を表示するモニタ3等を備えている。
以下、図において、矢印F方向を前方、矢印L方向を左方、矢印U方向を上方として説明する。
図2〜図4に示すように、ギヤ保持機構10は、基台4に固定された下側支持部11と、この下側支持部11と協働してヘリカルギヤGの回転軸心を挟持可能な上側支持部12とを備えている。下側支持部11は、ヘリカルギヤGの回転軸心に対して下側から嵌合可能に形成され、頂部にヘリカルギヤGを載置した状態で鉛直軸回りに回転可能に構成されている。上側支持部12は、下側支持部11の前側近傍位置に上方に延びる支柱5に昇降可能に設けられている。
検査装置1は、噛み合わせ検査を行う際、正規寸法及び歯面を備えたマスタギヤgをヘリカルギヤGと噛合駆動させる。それ故、マスタギヤgは、マスタギヤ保持機構20によって、ヘリカルギヤGから離隔した初期位置と、ヘリカルギヤGと噛合駆動する作動位置との間を移動する。マスタギヤ保持機構20は、ギヤ試験手段の主要構成要素の1つである。
左右に延びるように前後1対のガイド24が基台4上に配設されている。第1可動テーブル21は、1対のガイド24に対して摺動可能に構成されている。第1アクチュエータ22のロッドが伸長したとき、マスタギヤgは作動位置(噛合位置)に配置され、第1アクチュエータ22のロッドが収縮したとき、マスタギヤgは初期位置に配置される。
マスタギヤ支持部23は、頂部に保持されたマスタギヤgを、例えば20rpmの回転速度で回転駆動するモータ23aを有している。
撮像機構30は、第2可動テーブル31と、この第2可動テーブル31を前後方向に移動する第2アクチュエータ32と、第2可動テーブル31に固定され且つヘリカルギヤGの撮像対象領域を照射可能な照明33(照明手段)と、第2可動テーブル31に固定され且つヘリカルギヤGの撮像対象領域を撮像可能な左右1対のカメラ34(撮像手段)と、照明33を挟んで上下に配設された上下1対のレフ板35(反射板)等を備えている。
撮像対象領域は、マスタギヤgとヘリカルギヤGとの噛合領域に対してヘリカルギヤGの回転軸心回りに90°移行した部分に設定されている。
作動位置に移動された照明33は、ギヤ保持機構10に保持されたヘリカルギヤGの撮像対象領域に後方から対向(正対)するように配置されている。
撮像対象領域の歯の歯端部に影部を形成させないため、照明33の上下寸法は、ヘリカルギヤGの幅(回転軸心方向寸法)の略3〜10倍に設定することが好ましい。本実施形態では、略9倍に設定している。
第1減光部33b,33hは、遮光部33eの上部及び下部に夫々隣接形成され、第2減光部33d,33fは、遮光部33eの右部及び左部に夫々隣接形成されている。第1,第2減光部33b,33d,33f,33hは、ヘリカルギヤGの撮像対象領域に対して鉛直及び水平方向から直線距離にて比較的近接した領域に設定されている。
第1,第2減光部33b,33d,33f,33hは、全透過部33a,33c,33g,33iの2/3〜3/4の照射光を透過するように構成されている。これにより、荒残り部A3のハレーションを抑制しながら面取り部の酸化被膜A1のハレーションを積極的に誘発している(図6参照)。
画像処理部では、1対のカメラ34から入力された対象領域の撮像画像(図6(a)参照)から検査領域に対応した領域設定画像(図6(b)参照)を抽出する。
抽出された領域設定画像の画像信号を256階調の濃度(輝度)に分けて濃淡画像を作成し、この濃淡画像を所定輝度に基づき二値化して二値化画像を作成する。
コントローラ2は、荒残り部A3等の黒色部分が白色表示されると共に白色部分が黒色表示される判定画像(図6(c)参照)を作成し、作成された判定画像中の白色領域(荒残り部A3)と予め設定された評価基準値(良否判定用面積値)とを比較している。白色領域が評価基準値未満の場合、良判定され、白色領域が評価基準値以上の場合、不良判定される。
予め、十字状マスク部37が配設された赤色フラット照明33等を準備し、検査工程の開始前に、検査対象であるヘリカルギヤGを下側支持部11にセットすると共に、マスタギヤgをマスタギヤ支持部23にセットする。
S11の終了後、第2可動テーブル31がヘリカルギヤGに接近するように前進移動する(S12)。具体的には、照明33の遮光部33eがヘリカルギヤGの撮像対象領域から水平方向直線距離で80mm離隔して対向する地点まで前進する
S13の終了後、第1可動テーブル21が右方向に移動する(S14)。第1可動テーブル21は、マスタギヤgの歯がヘリカルギヤGの歯に噛合い、一定の力で押し付けられた状態でヘリカルギヤGの回転駆動を開始する(S15)。マスタギヤ支持部23のモータ23aが、20rpmの回転速度で回転する。
S16では、ヘリカルギヤGの大きさ、歯面の打痕、回転軸の偏心を検出する。これらの検査結果は、モニタ3に順次出力される。
ヘリカルギヤGの外周(歯)全域を網羅する複数の撮像対象領域が設定され、カメラ34が各々の撮像対象領域を撮像する。各撮像対象領域の撮像画像は、領域設定画像を経て判定画像に処理され、評価基準値を用いた判定が行われる。これらの判定結果は、モニタ3に順次出力される。
モニタ3は、コントローラ2から出力された検査結果をオペレータの要求に応じて表示する。例えば、所定の撮像対象領域について、撮像画像の表示が指示された場合、検査結果と合せて図6(a)の画像を表示し、判定画像の表示が指示された場合、検査結果と合せて図6(c)の画像を表示する。
この検査装置によれば、照明33が、撮像対象領域に対向する領域であって照射光の透過が禁止された遮光部33eと、遮光部33eに対してヘリカルギヤGの回転軸心方向である上側及び下側に夫々配設され且つ照射光の透過が一部制限された1対の第1減光部33b,33hと、遮光部33eに対してヘリカルギヤGの回転軸心直交方向である右側及び左側に夫々配設され且つ照射光の透過が一部制限された1対の第2減光部33d,33fとを有するため、照明33と撮像対象領域との距離に比例して照射光の透過量を制限することができ、歯の片側面に存在する荒残り部A3に生じるハレーションを抑制しつつ、歯の片側面に形成された面取り部の酸化被膜A1に生じるハレーションを積極的に促進することができる。照明33が、照明33の四隅領域であって照射光の透過が制限されない全透過部33a,33c,33g,33iを有するため、影部A2を形成することなく歯端部に照射光を到達させることができる。これにより、撮像画像を2値化した判定画像から面取り部の酸化被膜A1及び影部A2を除去することができ、荒残り部A3のみを自動で判定することができる。
1〕前記実施形態においては、ヘリカルギヤGの歯面を検査する例を説明したが、対象歯車は、平歯車、やまば歯車、かさ歯車等何れの歯車にも適用することが可能である。
2 コントローラ
20 マスタギヤ保持機構
33 照明
33a,33c,33g,33i 全透過部
33b,33h 第1減光部
33d,33f 第2減光部
33e 遮光部
34 カメラ
35 レフ板
37 マスク部
G ヘリカルギヤ
Claims (6)
- 研削加工を終了した歯車の歯の片側面を含む撮像対象領域を撮像可能な撮像手段と、前記撮像対象領域に対向して配設され且つ前記撮像対象領域に光を照射可能なパネル状照明手段と、前記撮像手段が撮像した撮像情報に基づき前記歯車の歯の片側面の状態を判定する判定手段とを備えた歯車の検査装置において、
前記パネル状照明手段が、前記撮像対象領域に対向する領域であって照射光の透過が禁止された遮光部と、前記遮光部に対して前記歯車の回転軸心方向一方側及び他方側に夫々配設され且つ照射光の透過が一部制限された1対の第1減光部と、前記遮光部に対して前記歯車の回転軸心直交方向一方側及び他方側に夫々配設され且つ照射光の透過が一部制限された1対の第2減光部と、前記パネル状照明手段の四隅領域であって照射光の透過が制限されない全透過部とを有することを特徴とする歯車の検査装置。 - 前記撮像手段は、歯車の歯の片側面を含む一側撮像対象領域を撮像可能な一側撮像手段と、歯車の歯の他側面を含む他側撮像対象領域を撮像可能な他側撮像手段とを有し、
前記パネル状照明手段は、赤色光を照射可能な赤色フラット照明と、前記遮光部と第1,第2減光部を有する十字状のマスク部とを備え、
前記赤色フラット照明における前記歯車回転軸心方向一端部分及び他端部分に夫々配設され且つ前記赤色フラット照明の照射光を反射可能な1対の反射板を設けたことを特徴とする請求項1に記載の歯車の検査装置。 - 前記第1,第2減光部は、前記全透過部の2/3〜3/4の照射光を透過させることを特徴とする請求項1又は2に記載の歯車の検査装置。
- 前記歯車を前記回転軸心回りに回転させながら歯車の大きさ、打痕、歯振れのうち少なくとも1つを検査するギヤ試験手段を有し、
前記撮像手段は、前記ギヤ試験手段の作動中に撮像することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の歯車の検査装置。 - 前記歯車がヘリカルギヤであることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の歯車の検査装置。
- 研削加工を終了した歯車の歯の片側面を含む撮像対象領域を撮像可能な撮像手段と、前記撮像対象領域に対向して配設され且つ前記撮像対象領域に光を照射可能なパネル状照明手段とを用いて前記歯車の歯の片側面の状態を判定する歯車の検査方法において、
前記撮像対象領域に対向する領域であって照射光の透過が禁止された遮光部と、前記遮光部に対して前記歯車の回転軸心方向一方側及び他方側に夫々配設され且つ照射光の透過が一部制限された1対の第1減光部と、前記遮光部に対して前記歯車の回転軸心直交方向一方側及び他方側に夫々配設され且つ照射光の透過が一部制限された1対の第2減光部とを有するマスク部が配設された赤色フラット照明を準備するステップと、
前記赤色フラット照明によって前記歯車の歯の片側面を含む撮像対象領域を撮像するステップと、
前記撮像された撮像情報に基づき前記歯車の歯の片側面の状態を判定するステップと、
を有することを特徴とする歯車の検査方法。
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