JP2021081205A - 鮮度評価方法、処理装置および鮮度評価システム - Google Patents

鮮度評価方法、処理装置および鮮度評価システム Download PDF

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Abstract

【課題】励起光の照射によって食肉から発生した蛍光の蛍光寿命に基づいて、食肉の鮮度をより正確に評価する鮮度評価方法を提供する。【解決手段】鮮度評価方法は、励起光の照射によって食肉から発生した特定波長での蛍光の強度の減衰を示す減衰データを取得することと、前記減衰データから前記蛍光の蛍光寿命を算出することと、前記蛍光の蛍光寿命に基づいて前記食肉の鮮度を決定することと、前記食肉の前記鮮度を示す鮮度データを出力することと、を含む。【選択図】図3

Description

本開示は、食肉の鮮度評価方法、処理装置および鮮度評価システムに関する。
生鮮食品を紫外線で照射すると、生鮮食品に含まれる蛍光物質に起因して、生鮮食品から自家蛍光が発生することが知られている。本明細書では、自家蛍光を単に「蛍光」と称する。特許文献1は、紫外線の照射によって食品から発生した蛍光の強度に基づいた食品状態評価方法を開示している。
特開2001−208745号公報
本開示は、励起光の照射によって食肉から発生した蛍光の蛍光寿命に基づいて、食肉の鮮度をより正確に評価することが可能な鮮度評価方法を提供する。
本開示の一態様に係る鮮度評価方法は、励起光の照射によって食肉から発生した特定波長の蛍光の強度の減衰を示す減衰データを取得することと、前記減衰データから前記蛍光の蛍光寿命を算出することと、前記蛍光の蛍光寿命に基づいて前記食肉の鮮度を決定することと、前記食肉の前記鮮度を示す鮮度データを出力することと、を含む。
本開示の技術によれば、励起光の照射によって食肉から発生した蛍光の蛍光寿命に基づいて、食肉の鮮度をより正確に評価することができる。
図1は、波長280nmの励起光の照射によって牛肉から発生した蛍光のスペクトルを示す図である。 図2は、本開示の例示的な実施形態における鮮度評価システムと、サンプルと、スタンドと、スライドガラスとを模式的に示す図である。 図3は、本実施形態における鮮度評価方法のフローチャートである。 図4は、波長280nmの励起光の照射によって牛肉から発生した蛍光のスペクトルを示す図である。 図5Aは、波長280nmの励起光の照射によって牛肉から発生した、波長350nmでの蛍光の強度の減衰を示す図である。 図5Bは、波長280nmの励起光の照射によって牛肉から発生した、波長460nmでの蛍光の強度の減衰を示す図である。 図5Cは、波長280nmの励起光の照射によって牛肉から発生した、波長660nmでの蛍光の強度の減衰を示す図である。 図6は、波長340nmの励起光の照射によって牛肉から発生した蛍光のスペクトルを示す図である。 図7Aは、波長340nmの励起光の照射によって牛肉から発生した、波長390nmでの蛍光の強度の減衰を示す図である。 図7Bは、波長340nmの励起光の照射によって牛肉から発生した、波長460nmでの蛍光の強度の減衰を示す図である。 図8Aは、第1実施例における経過日数と時間単位の蛍光寿命との関係を示す図である。 図8Bは、第1実施例における経過日数と正規化された蛍光寿命との関係を示す図である。 図9Aは、第2実施例における経過日数と時間単位の蛍光寿命との関係を示す図である。 図9Bは、第2実施例における経過日数と正規化された蛍光寿命との関係を示す図である。 図10Aは、第3実施例における経過日数と時間単位の蛍光寿命との関係を示す図である。 図10Bは、第3実施例における経過日数と正規化された蛍光寿命との関係を示す図である。 図11は、第4実施例における経過日数と時間単位の蛍光寿命との関係を示す図である。
鮮度などの食品の状態を評価する方法として、例えば、目視による外観検査、過酸化物などの特定物質の計測、および近赤外分光法による多成分解析が知られている。目視による外観検査には、簡便かつ低コストというメリットがある。一方、経験および熟練度が求められたり、定量化が容易でなかったり、判別不可能な食品があったりというデメリットがある。特定物質の計測には、破壊分析であるために時間とコストを要するというデメリットがある。生産、流通、および販売のいずれの工程においても、破壊分析によって特定物質を計測することは容易ではない。近赤外分光法による多成分分析には、解析結果が必ずしも鮮度に一致しないという課題がある。
上記の評価方法の他に、例えば、特許文献1は、紫外線の照射によって食品から発生した蛍光の強度に基づいた食品状態評価方法を開示している。特許文献1によれば、紫外線の照射によって食品から発生した蛍光の強度と食品の鮮度とには相関関係がある。特許文献1によれば、当該蛍光の強度を異なる時刻で比較することにより、食品の鮮度を評価することができる。
以下に、図1を参照して、小売店で購入した牛肉を食品の例として、特許文献1に開示されている方法の有効性を説明する。図1は、波長280nmの励起光の照射によって牛肉から発生した蛍光の強度のスペクトルの経時変化の例を示す図である。蛍光の強度は、光子のカウント数によって表されている。以下、蛍光の強度のスペクトル、すなわち蛍光の強度を蛍光波長の順に並べたものを「蛍光スペクトル」と称する。図1に示す例において、小売店で牛肉を購入した日を0日として、実線、破線、2点鎖線、および1点鎖線は、それぞれ、0日、購入日から5日後、8日後、および12日後の蛍光スペクトルを表す。Ex280は、励起光の波長が280nmであることを表す。以下、同様に、Exと励起光の波長を示す数値とを組み合わせた表記を使用する。白抜きの矢印は、蛍光の強度がピークになる波長を表す。以下の説明において、蛍光の強度のピークを「蛍光ピーク」と称することがある。蛍光の計測方法および計測条件については後述する。
図1に示すように、蛍光スペクトルは、牛肉に含まれる蛍光物質に起因して、波長350nm、460nm、および660nmで蛍光ピークを示す。蛍光スペクトルは、0日の蛍光スペクトルと比較して、5日後ではあまり変化しなかったが、8日後に大きく増加し、12日後には、0日および5日後の蛍光スペクトルと同程度に減少した。8日後に蛍光スペクトルが増加した原因は、蛍光物質の数が増加したからであるとは考えにくい。なぜなら、8日後の蛍光スペクトル全体が波長に関係なく増加しているからである。むしろ、この原因は、計測対象と計測装置との距離などの蛍光の計測条件が他の日の条件から変化したからであると考えられる。計測装置およびセットアップは同じであるにもかかわらず、0日と8日後では蛍光スペクトルは最大で約35%変動した。以上のことから、蛍光の強度を異なる時刻で比較する方法では、精度および再現性が高くないことがわかった。
蛍光の強度を異なる時刻で比較する方法では、時間の経過とともに生じる食品の状態のわずかな変化を評価することは容易ではない。厳密に規定された計測条件の下であれば蛍光の強度を正確に計測できると考えられるが、生産、流通、および販売のいずれの工程でも、蛍光の強度を正確に計測することは容易ではない。
本開示における鮮度評価方法では、励起光の照射によって食肉から発生した蛍光の蛍光寿命に基づいて、食肉の鮮度が評価される。この鮮度評価方法では、蛍光の計測条件に大きく影響を受けることなく、食肉の鮮度をより正確に評価することができる。その結果、食肉の鮮度の評価の再現性を向上させることができる。
第1の項目に係る鮮度評価方法は、励起光の照射によって食肉から発生した特定波長の蛍光の強度の減衰を示す減衰データを取得することと、前記減衰データから前記蛍光の蛍光寿命を算出することと、前記蛍光の蛍光寿命に基づいて前記食肉の鮮度を決定することと、前記食肉の前記鮮度を示す鮮度データを出力することと、を含む。
この鮮度評価方法では、励起光の照射によって食肉から発生した蛍光の蛍光寿命に基づいて、食肉の鮮度をより正確に評価することができる。
第2の項目に係る鮮度評価方法は、第1の項目に係る鮮度評価方法において、前記食肉を前記励起光で照射することと、前記食肉から発生した前記蛍光を検出することによって前記減衰データを生成することと、をさらに含む。
この鮮度評価方法では、励起光の照射によって食肉から発生した特定波長の蛍光の強度の減衰を示す減衰データを生成することができる。
第3の項目に係る鮮度評価方法は、第1の項目に係る鮮度評価方法において、前記減衰データを取得することが、第1時刻での前記励起光の照射によって前記食肉から発生した前記特定波長での第1蛍光の強度の減衰を示す第1減衰データを取得することと、前記第1時刻よりも遅い第2時刻での前記励起光の照射によって前記食肉から発生した前記特定波長での第2蛍光の強度の減衰を示す第2減衰データを取得することと、を含む。前記蛍光の蛍光寿命を算出することは、前記第1減衰データから前記第1蛍光の蛍光寿命を算出することと、前記第2減衰データから前記第2蛍光の蛍光寿命を算出することと、を含む。前記食肉の鮮度を決定することは、前記第1蛍光の蛍光寿命および前記第2蛍光の蛍光寿命に基づいて前記食肉の鮮度を決定することを含む。
この鮮度評価方法では、第1時刻および第2時刻での、励起光の照射によって食肉から発生した蛍光の蛍光寿命に基づいて、食肉の鮮度をより正確に評価することができる。
第4の項目に係る鮮度評価方法は、第3の項目に係る鮮度評価方法において、前記第1時刻で、前記食肉を前記励起光で照射することと、前記食肉から発生した前記第1蛍光を検出することによって前記第1減衰データを生成することと、前記第2時刻で、前記食肉を前記励起光で照射することと、前記食肉から発生した前記第2蛍光を検出することによって前記第2減衰データを生成することと、をさらに含む。
この鮮度評価方法では、第1時刻および第2時刻での、励起光の照射によって食肉から発生した特定波長の蛍光の強度の減衰を示す減衰データを生成することができる。
第5の項目に係る鮮度評価方法は、第3または第4の項目に係る鮮度評価方法において、前記第1時刻から第2時刻までの間隔が、1日以上14日以下である。
この鮮度評価方法では、1日以上14日以下経過した食肉の鮮度を決定することができる。
第6の項目に係る鮮度評価方法は、第1または第5の項目のいずれかに係る鮮度評価方法において、前記食肉が牛肉である。前記励起光の波長は、240nm以上300nm以下である。前記特定波長は、440nm以上490nm以下である。
この鮮度評価方法では、牛肉の鮮度をより正確に決定することができる。
第7の項目に係る鮮度評価方法は、第1または第5の項目のいずれかに係る鮮度評価方法において、前記食肉が牛肉である。前記励起光の波長は、240nm以上300nm以下である。前記減衰データは、波長440nm以上490nm以下に強度のピークを有する物質の、蛍光の強度の減衰を示す。
この鮮度評価方法では、牛肉の鮮度をより正確に決定することができる。
第8の項目に係る鮮度評価方法は、第1または第5の項目のいずれかに係る鮮度評価方法において、前記食肉が牛肉である。前記励起光の波長は、300nm以上400nm以下である。前記特定波長は、370nm以上430nm以下または440nm以上490nm以下である。
この鮮度評価方法では、牛肉の鮮度をより正確に決定することができる。
第9の項目に係る鮮度評価方法は、第1または第5の項目のいずれかに係る鮮度評価方法において、前記食肉が牛肉である。前記励起光の波長は、300nm以上400nm以下である。前記減衰データは、波長370nm以上430nm以下または波長440nm以上490nm以下に強度のピークを有する物質の、蛍光の強度の減衰を示す。
この鮮度評価方法では、牛肉の鮮度をより正確に決定することができる。
第10の項目に係る鮮度評価方法は、第1または第5の項目のいずれかに係る鮮度評価方法において、前記食肉が豚肉である。前記励起光の波長は、300nm以上400nm以下である。前記特定波長は、370nm以上430nm以下または440nm以上490nm以下である。
この鮮度評価方法では、豚肉の鮮度をより正確に決定することができる。
第11の項目に係る鮮度評価方法は、第1または第5の項目のいずれかに係る鮮度評価方法において、前記食肉が豚肉である。前記励起光の波長は、300nm以上400nm以下である。前記減衰データは、波長370nm以上430nm以下または波長440nm以上490nm以下に強度のピークを有する物質の、蛍光の強度の減衰を示す。
この鮮度評価方法では、豚肉の鮮度をより正確に決定することができる。
第12の項目に係る鮮度評価方法は、第1または第5の項目のいずれかに係る鮮度評価方法において、前記食肉が豚肉である。前記励起光の波長は、300nm以上400nm以下である。前記特定波長は、370nm以上430nm以下または440nm以上490nm以下である。
この鮮度評価方法では、豚肉の鮮度をより正確に決定することができる。
第13の項目に係る鮮度評価方法は、第1または第5の項目のいずれかに係る鮮度評価方法において、前記食肉が豚肉である。前記励起光の波長は、300nm以上400nm以下である。前記減衰データは、波長370nm以上430nm以下または波長440nm以上490nm以下に強度のピークを有する物質の、蛍光の強度の減衰を示す。
この鮮度評価方法では、豚肉の鮮度をより正確に決定することができる。
第14の項目に係る処理装置は、処理回路を備える。前記処理回路は、励起光の照射によって食肉から発生した特定波長での蛍光の強度の減衰を示す減衰データを取得し、前記減衰データから前記蛍光の蛍光寿命を算出し、前記蛍光の蛍光寿命に基づいて前記食肉の鮮度を決定し、前記食肉の前記鮮度を示すデータを出力する。
この処理装置では、励起光の照射によって食肉から発生した蛍光の蛍光寿命に基づいて、食肉の鮮度をより正確に評価することができる。
第15の項目に係る処理装置は、第14の項目に係る処理装置において、前記処理回路が、第1時刻での前記励起光の照射によって前記食肉から発生した前記特定波長での第1蛍光の強度の減衰を示す第1減衰データを取得し、前記第1時刻よりも遅い第2時刻での前記励起光の照射によって前記食肉から発生した前記特定波長での第2蛍光の強度の減衰を示す第2減衰データを取得し、前記第1減衰データから前記第1蛍光の蛍光寿命を算出し、前記第2減衰データから前記第2蛍光の蛍光寿命を算出し、前記第1蛍光の蛍光寿命および前記第2蛍光の蛍光寿命に基づいて前記食肉の前記鮮度を決定し、前記食肉の前記鮮度を示すデータを出力する。
この処理装置では、第1時刻および第2時刻での、励起光の照射によって食肉から発生した蛍光の蛍光寿命に基づいて、食肉の鮮度をより正確に評価することができる。
第16の項目に係る鮮度評価システムは、第14の項目に係る処理装置と、前記食肉を照射するための前記励起光を出射する光源と、前記蛍光を検出し、前記減衰データを生成する光検出器と、を備える。
この鮮度評価システムでは、励起光の照射によって食肉から発生した蛍光の蛍光寿命に基づいて、食肉の鮮度をより正確に評価することができる。
本開示において、回路、ユニット、装置、部材または部の全部または一部、またはブロック図における機能ブロックの全部または一部は、例えば、半導体装置、半導体集積回路(IC)、またはLSI(large scale integration)を含む1つまたは複数の電子回路によって実行され得る。LSIまたはICは、1つのチップに集積されてもよいし、複数のチップを組み合わせて構成されてもよい。例えば、記憶素子以外の機能ブロックは、1つのチップに集積されてもよい。ここでは、LSIまたはICと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(very large scale integration)、もしくはULSI(ultra large scale integration)と呼ばれるものであってもよい。LSIの製造後にプログラムされる、Field Programmable Gate Array(FPGA)、またはLSI内部の接合関係の再構成またはLSI内部の回路区画のセットアップができるreconfigurable logic deviceも同じ目的で使うことができる。
さらに、回路、ユニット、装置、部材または部の全部または一部の機能または操作は、ソフトウェア処理によって実行することが可能である。この場合、ソフトウェアは1つまたは複数のROM、光学ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録され、ソフトウェアが処理装置(processor)によって実行されたときに、そのソフトウェアで特定された機能が処理装置(processor)および周辺装置によって実行される。システムまたは装置は、ソフトウェアが記録されている1つまたは複数の非一時的記録媒体、処理装置(processor)、および必要とされるハードウェアデバイス、例えばインターフェースを備えていてもよい。
本開示において、「光」とは、可視光(波長が約400nm〜約700nm)だけでなく、紫外線(波長が約10nm〜約400nm)および赤外線(波長が約700nm〜約1mm)を含む電磁波を意味する。
以下、図面を参照しながら、本開示のより具体的な実施形態を説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明および実質的に同一の構成に対する重複する説明を省略することがある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、発明者らは、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。以下の説明において、同一または類似する構成要素については、同じ参照符号を付している。
(実施形態)
<鮮度評価システム>
まず、図2を参照して、本開示の実施形態における鮮度評価システムの基本的な構成例を説明する。図2は、本開示の例示的な実施形態における鮮度評価システム100と、サンプル60と、スタンド62と、スライドガラス64とを模式的に示す図である。図2に示す例では、貫通孔62оが空けられたスタンド62に、スライドガラス64が貫通孔62оを塞ぐように設けられ、スライドガラス64上に、食品のサンプル60が配置されている。スライドガラス64は、例えば石英から形成され得る。サンプル60は、例えば、包丁によって適当なサイズにカットされた食肉であってもよいし、魚または果物であってもよい。本実施形態における鮮度評価システム100は、スタンド62の下方に設けられている。本実施形態では、鮮度評価システム100は、サンプル60の下方に位置するが、鮮度評価システム100とサンプル60との配置関係に制限はない。用途によっては、鮮度評価システム100は、サンプル60の上方に位置していてもよい。
本実施形態における鮮度評価システム100は、光源10と、光検出器20と、処理回路30と、表示装置40と、制御回路50とを備える。
光源10は、サンプル60を照射するための励起光12を出射する。励起光12は、典型的には紫外線であり、その波長は、例えば、240nm以上300nm以下、または300nm以上400nm以下であり得る。光源10は、例えばコヒーレントな紫外線を出射する半導体レーザ素子を含み得る。あるいは、光源10は、インコヒーレントな紫外線を出射する発光ダイオードを含み得る。あるいは、光源10は、紫外線ランプ、水銀ランプ、またはキセノンランプを含み得る。光源10とサンプル60との間に、光源10から出射された光のうち、特定の波長の励起光12だけを透過させる光学フィルタを配置してもよい。
光検出器20は、サンプル60から発生した特定波長の蛍光22を検出する。より具体的には、光検出器20は、制御回路50からの指示に従い、特定波長の蛍光22の強度を示すデータを生成して出力する動作を繰り返す。光検出器20は、比較的短い時間間隔、例えば10ピコ秒から1ナノ秒程度の時間間隔で、特定波長の蛍光22の強度を示すデータを繰り返し出力する。これらのデータは、特定波長の蛍光22の減衰を示す。このため、本明細書において、光検出器20から繰り返し出力されるデータの集合を「減衰データ」と称する。特定波長は、例えば図1に示すように、蛍光スペクトルがピークを示すピーク波長であり得る。特定波長の蛍光22を検出するために、光検出器20とサンプル60との間に、サンプル60から発生した蛍光のうち、特定波長の蛍光だけを透過させる光学フィルタを配置してもよい。この光学フィルタにより、特定波長以外の波長の蛍光を除去することができる。光検出器20は、少なくとも1つの受光素子を備える。光検出器20は、単一の受光素子を備えていてもよいし、複数の受光素子を備えていてもよい。光検出器20は、例えばフォトンカウンタによって実現され得る。光検出器20は、1次元的または2次元的に配列された複数の受光素子を備えるイメージセンサであってもよい。
処理回路30は、光検出器20から繰り返し出力された蛍光の強度を示すデータを取得し、当該データの時間変化に基づいてサンプル60の鮮度を評価する。処理回路30は、サンプル60の鮮度を示す鮮度データを生成し、当該鮮度データを表示装置40に出力する。処理回路30の動作の詳細については後述する。処理回路30は、例えばデジタルシグナルプロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などのプログラマブルロジックデバイス(PLD)、または中央演算処理装置(CPU)もしくは画像処理用演算プロセッサ(GPU)によって実現され得る。処理回路30は、不図示のメモリに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより、後述する動作を実行する。
表示装置40は、鮮度データに基づいて、サンプル60の鮮度を示す画像を表示するディスプレイである。サンプル60の鮮度を示す画像は、例えば、サンプル60の鮮度を、文字、数値、またはグラフなどの任意の形式で表現した画像である。このような画像が表示されることにより、ユーザは、サンプル60の鮮度を知ることができる。なお、本実施形態では鮮度評価システム100が表示装置40を含むが、表示装置40は鮮度評価システム100の外部の要素であってもよい。
制御回路50は、光源10、光検出器20、処理回路30、および表示装置40を制御する。制御動作の詳細については後述する。なお、処理回路30および制御回路50は、統合された1つの回路または装置によって実現されていてもよい。
処理回路30および上記のメモリを備えた処理装置を、例えば光源10、光検出器20、表示装置40、および制御回路50から離れた場所に設けられたサーバなどの外部の装置としてもよい。この場合、処理装置は、無線通信または有線通信により、光検出器20、表示装置40、および制御回路50と相互にデータの送受信を行う。
<生鮮食品に含まれる蛍光物質、およびその特性>
次に、生鮮食品に含まれる蛍光物質、およびその特性を説明する。生鮮食品に含まれる蛍光物質には、例えば、トリプトファン、チロシン、ピリドキシン群(ビタミンB6群)、コラーゲン、エラスチン、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)、ビタミンC、ビタミンK、ビタミンD、フラビン類、脂質類、ポルフィリン類、およびクロロフィルがある(G. A. Wagnieres et al., Photochem. Photobiol. 68(5), 603-632 (1998))。これらの物質のうち、電子伝達体であるNADHが生物の酸化還元反応の必須成分である補酵素と結合すると、NADHの蛍光寿命が変化する。また、代謝が停止するとNADHの蛍光寿命は短くなることが報告されている(M. A. Yaseen et al., Biomed. Opt. Express 8, 2368-2385, (2017))。このように、食品の鮮度の低下および微生物の発生に起因する代謝の変化により、蛍光寿命が変化する可能性がある。牛、豚、鶏、および魚などの脊椎動物の細胞外マトリクスの主成分であるコラーゲンに関しては、蛍光寿命と代謝との関係は報告されていない。しかし、食品鮮度の低下および微生物の発生によって蛍光寿命が変化する可能性がある。
食品の鮮度の低下と蛍光寿命とが正の相関関係または負の相関関係を有する場合、蛍光寿命の大きさ、または蛍光寿命の初期値からの変化により、鮮度を数値によって評価することができる。このような相関関係は、事前に、鮮度が異なる複数の食品の蛍光の強度の減衰を計測することによって決定することができる。
上記のことを踏まえて、本実施形態における鮮度評価方法では、食品から発生する蛍光の蛍光寿命を指標として、食品の鮮度が、非破壊で高速かつより正確に評価される。本実施形態における鮮度評価方法は、食品の状態と蛍光寿命とに何らかの相関関係が認められる限り有効である。
<鮮度評価方法>
次に、図3を参照して、本実施形態における鮮度評価方法を説明する。図3は、本実施形態における鮮度評価方法を示すフローチャートである。鮮度評価方法は、図3に示すステップS101からS111を含む。
ステップS101において、制御回路50は、光源10に、第1時刻で、サンプル60を励起光で照射させる。第1時刻は、例えば、サンプル60の鮮度の評価を開始した日の時刻である。ステップS102において、制御回路50は、光検出器20に、サンプル60から発生した特定波長での第1蛍光を検出させ、これによって特定波長での第1蛍光の強度の減衰を示す第1減衰データを生成させる。ステップS103において、制御回路50は、処理回路30に、第1減衰データを取得させる。ステップS104において、制御回路50は、処理回路30に、第1減衰データから第1蛍光の蛍光寿命を算出させる。蛍光寿命は、例えば、第1蛍光の強度の時間変化を指数関数Iexp(‐t/τ)によってフィッティングすることによって算出され得る。Iは蛍光の強度の初期振幅を表し、tは時間を表し、τは蛍光寿命を表す。本実施形態において、第1蛍光の蛍光寿命は、鮮度評価の開始日での蛍光寿命である。なお、特定波長で複数の蛍光物質から蛍光が発生する場合もあり得る。この場合、第1蛍光の強度の時間変化を複数の指数関数の和Σexp(‐t/τ)によってフィッティングしてもよい。Iおよびτは、それぞれ、複数の蛍光物質のうちの1つの蛍光の強度の初期振幅、および蛍光寿命を表す。
ステップS105において、制御回路50は、光源10に、第1時刻よりも遅い第2時刻で、サンプル60を励起光で照射させる。第1時刻から第2時刻までの間隔は、例えば1日以上14日以下であり得るが、用途によっては1日未満であってもよいし14日を超えていてもよい。ステップS106において、制御回路50は、光検出器20に、サンプル60から発生した特定波長での第2蛍光を検出させ、これによって特定波長での第2蛍光の強度の減衰を示す第2減衰データを生成させる。ステップS107において、制御回路50は、処理回路30に、第2減衰データを取得させる。ステップS108において、制御回路50は、処理回路30に、第2減衰データから第2蛍光の蛍光寿命を算出させる。第2蛍光の蛍光寿命を算出する方法は、第1蛍光の蛍光寿命を算出する方法と同じである。第2蛍光の蛍光寿命は、例えば、開始日から1日以上14日以下経過した後での蛍光寿命であり得る。
ステップS109において、制御回路50は、処理回路30に、第1蛍光の蛍光寿命τおよび第2蛍光の蛍光寿命τに基づいて、サンプル60の鮮度を決定させ、サンプル60の鮮度を示す鮮度データを生成させる。例えば、第1蛍光の蛍光寿命τに対する第2蛍光の蛍光寿命τの比τ/τが、0.9以上1.1以下などの所定の範囲内にあるとき、処理回路30はサンプル60の鮮度が新鮮であると判定することができる。一方、当該比が所定の範囲外にあるとき、処理回路30はサンプル60の鮮度が劣化したと判定することができる。当該所定の範囲は、評価するサンプル60の種類ごとに異なっていてもよいし、励起光の波長および蛍光の波長によって異なっていてもよい。当該所定の範囲は、記録媒体に記録されたデータを参照してもよいし、サーバなどの外部の装置に記録されたデータを参照してもよい。サンプル60の鮮度の評価の際に、蛍光寿命を示す蛍光寿命データに、統計処理、解析処理、および画像化処理などの加工処理を施してもよい。さらに、蛍光寿命データに基づいて鮮度の推定を行うことと、他のデータに基づいて鮮度の推定を行うこととを組み合わせて鮮度を決定してもよい。当該他のデータは、例えば、蛍光スペクトルまたは蛍光の強度であり得る。
ステップS110において、制御回路50は、処理回路30に、鮮度データを表示装置40に出力させる。ステップS111において、制御回路50は、表示装置40に、例えば「新鮮」または「鮮度劣化」などの、サンプル60の鮮度に関する情報を表示させる。
前述した例では、日の異なる2回の計測で得られた蛍光寿命に基づいて食品の鮮度が評価される。これに対し、1回の計測で得られた蛍光寿命に基づいて食品の鮮度を評価することも可能である。その場合、図3に示すフローチャートにおける各ステップは、以下のように変更される。ステップS101において、制御回路50は、光源10に、サンプル60を励起光で照射させる。ステップS102において、制御回路50は、光検出器20に、サンプル60から発生した特定波長での蛍光を検出させ、これによって特定波長での蛍光の強度の減衰を示す減衰データを生成させる。ステップS103において、制御回路50は、処理回路30に、減衰データを取得させる。ステップS104において、制御回路50は、処理回路30に、減衰データから蛍光の蛍光寿命τを算出させる。ステップS105からステップS108は省略される。ステップS109において、制御回路50は、処理回路30に、蛍光の蛍光寿命τに基づいて、サンプル60の鮮度を決定させ、サンプル60の鮮度を示す鮮度データを生成させる。例えば、蛍光寿命τが所定の範囲内にあるとき、処理回路30はサンプル60の鮮度が新鮮であると判定することができる。所定の範囲については、前述した通りである。ステップS110およびステップS111については、前述した通りである。
(実施例)
次に、本実施形態における鮮度評価方法によって食品の鮮度を評価した実施例を説明する。サンプル60として、牛肉、豚肉、および鶏肉が用いられた。計測をしないときは、サンプル60はプラスチック容器内に密閉され、4℃で冷蔵庫内に保管された。
<牛肉>
まず、図4から図8Bを参照して、牛肉の鮮度を評価した第1実施例を説明する。図4は、波長280nmの励起光の照射によって牛肉から発生した蛍光のスペクトルを示す図である。図4は、図1と同じである。図5Aから図5Cは、それぞれ、波長280nmの励起光の照射によって牛肉から発生した、波長350nm、460nm、および660nmでの蛍光の強度の減衰を示す図である。Em350、Em460、およびEm660は、それぞれ蛍光の波長が350nm、460nm、および660nmであることを表す。以下、同様に、Emと蛍光の波長を示す数値とを組み合わせた表記を使用する。図5Aおよび図5Cに示す例において、蛍光の強度の減衰カーブは、日数が経過してもあまり変化しなかった。これに対して、図5Bに示す例では、蛍光の強度の減衰カーブは、日数が経過するにつれて緩やかになった。なお、減衰カーブは、50ピコ秒の時間間隔で繰り返し計測された。以下の減衰カーブについても同様である。
図6は、波長340nmの励起光の照射によって牛肉から発生した蛍光のスペクトルを示す図である。図6に示すように、蛍光スペクトルは、牛肉に含まれる蛍光物質に起因して、波長390nmおよび460nmで蛍光ピークを示す。図4および図6に示すように、蛍光スペクトルは、励起光の波長によって大きく異なる。図7Aおよび図7Bは、それぞれ、波長340nmの励起光の照射によって牛肉から発生した、波長390nmおよび460nmでの蛍光の強度の減衰を示す図である。図7Aに示す例において、蛍光の強度の減衰カーブは、0日および5日後ではあまり変化しなかったが、8日後および12日後ではより緩やかになった。これに対して、図7Bに示す例では、蛍光の強度の減衰カーブは、0日、5日後、および8日後ではあまり変化しなかったが、12日後により急峻になった。
図8Aは、第1実施例における経過日数と時間単位の蛍光寿命との関係を示す図である。図8Bは、第1実施例における経過日数と正規化された蛍光寿命との関係を示す図である。図8Bに示す例において、蛍光寿命は、0日での蛍光寿命を初期値として、当該初期値によって正規化された。図8Bに示す例において、2つの水平の点線によって挟まれた範囲は、蛍光寿命の初期値からの変化が10%以内である範囲に相当する。●印はEx280Em350を表し、◎印はEx280Em460を表し、○印はEx280Em660を表し、×印はEx340Em390を表し、+印はEx340Em460を表す。以下の図についても同様である。
図8Aよりも図8Bの方が、日数の経過による蛍光寿命の変化がわかりやすい。Ex280Em350(●)およびEx280Em660(○)において、蛍光寿命は、すべての日であまり変化しなかった。このことから、この蛍光の蛍光寿命は蛍光物質に固有であり、計測条件によらず安定であることがわかる。これに対して、Ex280Em460(◎)、Ex340Em390(×)、およびEx340Em460(+)において、蛍光寿命は日数の経過に伴って変化した。Ex280Em460(◎)において、蛍光寿命は日数が経過するにつれて増加した。Ex340Em390(×)において、蛍光寿命は、8日後に増加し、それ以降ではあまり大きく変化しなかった。Ex340Em460(+)において、蛍光寿命は、日数が経過するにつれて減少した。
本実施例では、蛍光寿命が初期値から10%を超えて変化した場合、食品の鮮度が劣化したと判定される。図8Bに示すように、Ex280Em460(◎)において蛍光寿命が8日後に初期値から10%を超えて変化したので、8日後に牛肉の鮮度が劣化したと判定した。本実施例において、8日後に、牛肉は少し悪臭を放ち始め、12日後に、牛肉の色はどす黒く変化した。蛍光寿命の変化率により、牛肉の臭いが変化し始めた時期と同程度の時期に、牛肉の鮮度の変化を検出することができた。
<豚肉>
次に、図9Aおよび図9Bを参照して、豚肉の鮮度を評価した第2実施例を説明する。図9Aは、第2実施例における経過日数と時間単位の蛍光寿命との関係を示す図である。図9Bは、第2実施例における経過日数と正規化された蛍光寿命との関係を示す図である。豚肉の蛍光スペクトルは、図示しないが、波長280nmの励起光に対して波長350nmおよび660nmで蛍光ピークを示し、波長340nmの励起光に対して波長390nmおよび460nmで蛍光ピークを示す。
Ex280Em350n(●)およびEx280Em660(○)において、蛍光寿命は、すべての日であまり変化しなかった。このことから、この蛍光の蛍光寿命は蛍光物質に固有であり、計測条件によらず安定であることがわかる。これに対して、Ex340Em390(×)およびEx340Em460(+)において、蛍光寿命は日数の経過に伴って変化した。Ex340Em390(×)において、蛍光寿命は、8日後まで大きく変化しなかったが、12日後に減少した。Ex340Em460(+)において、蛍光寿命は、5日後に大きく増加し、8日後に減少し、その後大きく変化しなかった。
図9Bに示すように、Ex340Em460(+)において蛍光寿命が5日後に初期値から10%を超えて変化したので、5日後に豚肉の鮮度が劣化したと判定した。本実施例において、12日後に、豚肉は少し悪臭を放ち始めたが、すべての日で、豚肉の外観は大きく変化しなかった。蛍光寿命の変化率により、臭いおよび外観が変化する時期よりも早期に、豚肉の鮮度の変化を検出することができた。
<鶏肉>
次に、図10Aおよび図10Bを参照して、鶏肉の鮮度を評価した第3実施例を説明する。図10Aは、第3実施例における経過日数と時間単位の蛍光寿命との関係を示す図である。図10Bは、第3実施例における経過日数と正規化された蛍光寿命との関係を示す図である。鶏肉の蛍光スペクトルは、図示しないが、波長280nmの励起光に対して波長350nmおよび660nmで蛍光ピークを示し、波長340nmの励起光に対して波長390nmおよび460nmで蛍光ピークを示す。
Ex280Em350(●)およびEx280Em660(○)において、蛍光寿命は、すべての日であまり変化しなかった。このことから、この蛍光の蛍光寿命は蛍光物質に固有であり、計測条件によらず安定であることがわかる。これに対して、Ex340Em390(×)およびEx340Em460(+)において、蛍光寿命は日数の経過に伴って変化した。Ex340Em390(×)において、蛍光寿命は、8日後に大きく増加し、その後大きく変化しなかった。Ex340Em460(+)において、蛍光寿命は、5日後に大きく増加し、8日後に減少し、その後大きく変化しなかった。Ex340Em460(+)における鶏肉の蛍光寿命のこの挙動は、Ex340Em460(+)における豚肉の蛍光寿命の挙動に似ていた。
図10Bに示すように、Ex340Em460(+)において蛍光寿命が5日後に初期値から10%を超えて変化したので、5日後に鶏肉の鮮度が劣化したと判定した。本実施例において、12日後に、鶏肉は少し悪臭を放ち始め、鶏肉の色は黄色に変化し、鶏肉の表面にヌメリが出てきた。蛍光寿命の変化率により、臭いおよび外観が変化する時期よりも早期に、鶏肉の鮮度の変化を検出することができた。
第1実施例における牛肉の蛍光寿命は、蛍光波長460nmで、日数の経過に伴って、初期値から10%を超えて変化した。第2実施例および第3実施例における豚肉および鶏肉の蛍光寿命は、蛍光波長390nmおよび460nmで、日数の経過に伴って、初期値から10%を超えて変化した。食品の蛍光物質の励起波長および蛍光波長は、既に詳細に調べられている(G. A. Wagnieres et al., Photochem. Photobiol. 68(5), 603-632 (1998))。牛肉、豚肉、および鶏肉の励起スペクトルおよび蛍光スペクトルから、波長390nmの蛍光はコラーゲンから発生し、波長460nmの蛍光はNADHから発生したと考えられる。
第1実施例から第3実施例において、コラーゲンの蛍光を検出する場合における特定波長は390nmに設定され、NADHの蛍光を検出する場合における特定波長は460nmに設定された。蛍光ピークの幅を考慮すると、コラーゲンの蛍光を検出する場合における特定波長は、例えば370nm以上430nm以下に設定され、NADHの蛍光を検出する場合における特定波長は、例えば440nm以上490nm以下に設定され得る。
<再現性>
次に、図11を参照して、鶏肉の鮮度の再現性を調べた第4実施例を説明する。図11は、第4実施例における経過日数と時間単位の蛍光寿命との関係を示す図である。黒丸および実線は、第3実施例でのEx340Em460(+)における蛍光寿命を表す。白丸および破線は、第3実施例から2か月後に購入された別の鶏肉から計測された蛍光寿命を表す。サンプル60として、同じ小売店で購入された同じブランドの鶏肉のうちの同じ部位が使用された。異なる期間に計測された2つの蛍光寿命の挙動は類似している。このように、本実施形態における鮮度評価方法では、異なる期間に別のサンプルを用いても鮮度の評価を再現できる。
(応用例)
本開示の実施形態における鮮度評価方法によれば、計測条件に依存せずに食品の鮮度をより正確に評価することができ、かつ、食品の鮮度の評価を再現することができる。したがって、本開示の実施形態における鮮度評価方法は、従来の実験室のように厳密に規定された計測条件の下だけでなく、加工業者、大手外食チェーン、および小売チェーンの食品加工工場でも実施することができる。
本開示における鮮度評価方法により、食品加工工場での食品の出荷前の検査において、ベルトコンベア上を流れる食品の鮮度をインライン上で評価することができる。当該検査では、食品の一部の箇所での鮮度を評価してもよい。
本開示における鮮度評価方法により、スーパーなどの小売店における精肉売場などの店舗のバックヤードにおいて、食品の陳列前の検査をすることもできる。バーコードなどのタグを利用して同一の肉を識別することにより、加工工場からの出荷時の蛍光寿命と、店舗バックヤードでの陳列前の蛍光寿命との変化率を算出することができる。蛍光寿命の変化率により、食品の鮮度の変化を評価することができる。
本開示における鮮度評価方法、処理装置および鮮度評価システムは、例えば、食品加工工場での出荷前の食品の鮮度、または店舗バックヤードでの陳列前の食品の鮮度を評価する用途に適用することができる。
10 光源
12 励起光
20 光検出器
22 蛍光
30 処理回路
40 制御回路
50 表示装置
60 サンプル
62 スタンド
62о 貫通孔
64 スライドガラス
100 鮮度評価システム

Claims (16)

  1. 励起光の照射によって食肉から発生した特定波長の蛍光の強度の減衰を示す減衰データを取得することと、
    前記減衰データから前記蛍光の蛍光寿命を算出することと、
    前記蛍光の蛍光寿命に基づいて前記食肉の鮮度を決定することと、
    前記食肉の前記鮮度を示す鮮度データを出力することと、
    を含む、
    鮮度評価方法。
  2. 前記食肉を前記励起光で照射することと、
    前記食肉から発生した前記蛍光を検出することによって前記減衰データを生成することと、
    をさらに含む、
    請求項1に記載の鮮度評価方法。
  3. 前記減衰データを取得することは、
    第1時刻での前記励起光の照射によって前記食肉から発生した前記特定波長での第1蛍光の強度の減衰を示す第1減衰データを取得することと、
    前記第1時刻よりも遅い第2時刻での前記励起光の照射によって前記食肉から発生した前記特定波長での第2蛍光の強度の減衰を示す第2減衰データを取得することと、を含み、
    前記蛍光の蛍光寿命を算出することは、
    前記第1減衰データから前記第1蛍光の蛍光寿命を算出することと、
    前記第2減衰データから前記第2蛍光の蛍光寿命を算出することと、を含み、
    前記食肉の鮮度を決定することは、前記第1蛍光の蛍光寿命および前記第2蛍光の蛍光寿命に基づいて前記食肉の鮮度を決定することを含む、
    請求項1に記載の鮮度評価方法。
  4. 前記第1時刻で、前記食肉を前記励起光で照射することと、
    前記食肉から発生した前記第1蛍光を検出することによって前記第1減衰データを生成することと、
    前記第2時刻で、前記食肉を前記励起光で照射することと、
    前記食肉から発生した前記第2蛍光を検出することによって前記第2減衰データを生成することと、
    をさらに含む、
    請求項3に記載の鮮度評価方法。
  5. 前記第1時刻から第2時刻までの間隔は、1日以上14日以下である、
    請求項3または4に記載の鮮度評価方法。
  6. 前記食肉は牛肉であり、
    前記励起光の波長は、240nm以上300nm以下であり、
    前記特定波長は、440nm以上490nm以下である、
    請求項1から5のいずれかに記載の鮮度評価方法。
  7. 前記食肉は牛肉であり、
    前記励起光の波長は、240nm以上300nm以下であり、
    前記減衰データは、波長440nm以上490nm以下に強度のピークを有する物質の、蛍光の強度の減衰を示す、
    請求項1から5のいずれかに記載の鮮度評価方法。
  8. 前記食肉は牛肉であり、
    前記励起光の波長は、300nm以上400nm以下であり、
    前記特定波長は、370nm以上430nm以下または440nm以上490nm以下である、
    請求項1から5のいずれかに記載の鮮度評価方法。
  9. 前記食肉は牛肉であり、
    前記励起光の波長は、300nm以上400nm以下であり、
    前記減衰データは、波長370nm以上430nm以下または波長440nm以上490nm以下に強度のピークを有する物質の、蛍光の強度の減衰を示す、
    請求項1から5のいずれかに記載の鮮度評価方法。
  10. 前記食肉は豚肉であり、
    前記励起光の波長は、300nm以上400nm以下であり、
    前記特定波長は、370nm以上430nm以下または440nm以上490nm以下である、
    請求項1から5のいずれかに記載の鮮度評価方法。
  11. 前記食肉は豚肉であり、
    前記励起光の波長は、300nm以上400nm以下であり、
    前記減衰データは、波長370nm以上430nm以下または波長440nm以上490nm以下に強度のピークを有する物質の、蛍光の強度の減衰を示す、
    請求項1から5のいずれかに記載の鮮度評価方法。
  12. 前記食肉は豚肉であり、
    前記励起光の波長は、300nm以上400nm以下であり、
    前記特定波長は、370nm以上430nm以下または440nm以上490nm以下である、
    請求項1から5のいずれかに記載の鮮度評価方法。
  13. 前記食肉は豚肉であり、
    前記励起光の波長は、300nm以上400nm以下であり、
    前記減衰データは、波長370nm以上430nm以下または波長440nm以上490nm以下に強度のピークを有する物質の、蛍光の強度の減衰を示す、
    請求項1から5のいずれかに記載の鮮度評価方法。
  14. 処理回路を備え、
    前記処理回路は、
    励起光の照射によって食肉から発生した特定波長での蛍光の強度の減衰を示す減衰データを取得し、
    前記減衰データから前記蛍光の蛍光寿命を算出し、
    前記蛍光の蛍光寿命に基づいて前記食肉の鮮度を決定し、
    前記食肉の前記鮮度を示すデータを出力する、
    処理装置。
  15. 前記処理回路は、
    第1時刻での前記励起光の照射によって前記食肉から発生した前記特定波長での第1蛍光の強度の減衰を示す第1減衰データを取得し、
    前記第1時刻よりも遅い第2時刻での前記励起光の照射によって前記食肉から発生した前記特定波長での第2蛍光の強度の減衰を示す第2減衰データを取得し、
    前記第1減衰データから前記第1蛍光の蛍光寿命を算出し、
    前記第2減衰データから前記第2蛍光の蛍光寿命を算出し、
    前記第1蛍光の蛍光寿命および前記第2蛍光の蛍光寿命に基づいて前記食肉の前記鮮度を決定し、
    前記食肉の前記鮮度を示すデータを出力する、
    請求項14に記載の処理装置。
  16. 請求項14に記載の処理装置と、
    前記食肉を照射するための前記励起光を出射する光源と、
    前記蛍光を検出し、前記減衰データを生成する光検出器と、
    を備える、
    鮮度評価システム。
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