JP2021078493A - 食肉の漬け込み加工食品 - Google Patents

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Abstract

【課題】加熱調理後、冷めることによる硬化が効果的に抑制され、冷めても柔らかく良好な身のほぐれ感としっとり感が両立した魚介類の漬け込み加工食品を提供する。【解決手段】魚介類の生肉と、調味料と、酵母細胞と、魚介類に由来しない液状油とを含む食肉の漬け込み加工食品。前記液状油が大豆油、菜種油、綿実油又はコーン油であることが好ましい。前記食肉の漬け込み加工食品が更に増粘剤を含むことも好ましい。前記食肉の漬け込み加工食品が加圧加熱処理を除く方法で加熱されるものであることも好ましい。前記食肉の漬け込み加工食品が冷凍品であることも好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、魚介類を用いた食肉の漬け込み加工食品に関する。
従来、醤油や味噌、酒粕等、各種の調味料を含む漬け込み液や漬け込み床に魚介類の食肉を漬け込んだ漬け込み加工食品は、魚介類に良好な風味を与えた付加価値食品として知られている。このような漬け込み液や漬け込み床には塩分濃度が高いものが多く、加熱後の魚介類の肉が硬くなりやすい問題がある。
一方、食肉の柔軟化の方策として種々のものがあり、例えば、特許文献1にはイカや牛肉を加圧加熱する前に酵母細胞と塩基化合物を含む液に浸漬することで加圧加熱後の肉を柔らかくできることが記載されている。
特開2018−57358号公報
上記の通り漬け込み魚は身が硬くなりやすい。更に、水環境における魚介類資源の減少がますます深刻化している近年、その対策の一つとして、従来脂乗りが悪い又はパサパサであったり身が硬かったり等、食味・食感に問題があり使用対象外であった魚介類について、脂乗り感又はしっとり感や身の硬さを改善して商品価値を付加することが課題となっている。
しかしながら発明者の検討した結果、特許文献1に相当する方法を漬け込み魚に適用した場合、加熱後、冷めるにつれて食肉は硬くなり、身のほぐれ感は十分でないことを知見した。特に、加熱後、冷えた状態の魚介類の肉において、脂乗り感又はしっとり感と、身の柔らかさ及び身のほぐれ感との両立は十分なものでなかった。
本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る食肉の漬け込み加工食品を提供することにある。
本発明は上記課題を解決するために見出されたものであり、魚介類の生肉と、調味料と、酵母細胞と、魚介類に由来しない液状油とを含む、食肉の漬け込み加工食品を提供するものである。
前記液状油が大豆油、菜種油、綿実油又はコーン油であることが、添加対象生肉の食味が一層良好である点で好ましい。
前記生肉の表面が液状油に被覆されていることが加熱後に冷めても硬くならず脂乗り感、しっとり感を良好に感じさせる加工食品を一層得やすい点で好ましい。
上記漬け込み加工食品は、更に増粘剤を含むことが加熱後に冷めても硬くならず脂乗り感、しっとり感の良好な加工食品を一層得やすい点で好ましい。
本発明の漬け込み加工食品は、魚介類の生肉を、酵母細胞及びアルカリ剤を含む液に浸漬させた後、調味料及び液状油を含む液に浸漬させる、食肉の漬け込み加工食品の製造方法により首尾よく得ることができる。
本発明により、加熱調理後、冷めることによる硬化が効果的に抑制され、冷めても柔らかく良好な身のほぐれ感を感じさせ、脂乗り又はしっとり感が良好で、見た目の照り感がよく、断面のくすみが低減された魚介類の漬け込み加工食品を提供することができる。また、本発明の漬け込み加工食品の製造方法は、本発明の漬け込み加工食品を首尾よく製造できる。
実施例1で得られた魚の切り身の表面を撮影した写真である。 比較例1で得られた魚の切り身の表面を撮影した写真である。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の漬け込み加工食品は、魚介類の生肉と、調味料と、酵母細胞と、魚介類に由来しない液状油とを含む。本発明者は、魚肉の漬け込み加工食品について身を柔らかくし、しっとり感を高める技術について鋭意検討した。そして、特許文献1に記載されているように魚肉を酵母細胞で前処理した場合、従来よりも身を柔らかくし、しっとり感を高めることができる一方で、当該処理を施した場合、加熱後、冷めた後の魚肉が硬化しやすいことを知見した。そして、当該課題の解決策を鋭意検討したところ、液状油を用いることで、冷めた後の魚肉の硬化を抑制でき、冷めた後における魚肉の身の柔らかさや身のほぐれ感を向上させることができ、更にしっとり感、脂乗り感を高いレベルとしやすいことを見出した。本発明ではこれらの食感の向上効果に加えて、見た目の照り感、断面のくすみの低減などの視覚的な効果も得ることができる。従来、漬け込み加工食品では、液状油は調味料の魚肉への浸透を妨げるものとして通常、敢えて添加されるものではなかった。
魚介類としては、魚類、貝類、甲殻類、頭足類等が挙げられる。魚類としては、アイナメ、アカハタ、アカウオ、アジ、アナゴ、アユ、アンコウ、イサキ、イトヨリ、イワシ、イワナ、ウナギ、エイ、エソ、オコゼ、カイワリ、カサゴ、カジカ、カジキ、カツオ、カトラ、カマス、カレイ、カワハギ、カンパチ、キス、キンキ、キビナゴ、グチ、コチ、コクレン、サケ(アトランティックサーモン、トラウトサーモン、ギンザケを含む)、サバ、サメ、サンマ、サワラ、サヨリ、ソウギョ、ハクレン、パンガシウス、ヒラメ、ドジョウ、スズキ、タラ、タイ、タチウオ、トビウオ、ドジョウ、ナイルテラピア、ナマズ、ニシン、ニジマス、ハゼ、ハタ、ハモ、ヒラメ、ヒラマサ、フグ、フナ、ブリ(ハマチ、イナダ、メジロ等の成長名・季節名を含む)、ホッケ、ホキ、ムツ、マグロ、マゴイ、ミルクフィッシュ、メバル、ママカリ、ヤマトゴイ、ロフーなどが挙げられる。貝類としては、カキ、シジミ、アサリ、ホタテガイ、アカガイ等が挙げられる。甲殻類としては、エビ、カニ、シャコが挙げられる。頭足類としてはイカやタコが挙げられる。
中でも魚類を用いることが酵母細胞と液状油を組み合わせたことによる本発明の脂乗り感の向上効果を高めるために好ましく、酵母細胞と液状油を組み合わせたことによる冷めた状態での硬化抑制、脂乗り感、しっとり感、身のほぐれ感を得る点から、例えば、アジ、サバ、ブリ、サケ、ヒラメ、カレイ、タイ、スズキ、シルバー(銀ヒラス)、メダイ、キンメダイ、サワラ等が、特に好ましい。なお、本明細書において、身のほぐれ感という場合、鱗片状に身がほぐれる感覚(鱗片感)及び、食べだしにおける身のふわっと感の両方を指すものとする。
生肉とは、未加熱状態の肉であることを意味する。未加熱状態とは、例えば60℃以上の加熱処理が施されていないことを指し、50℃以上の加熱処理が施されていないことが好ましく、40℃以上の加熱処理が施されていないことが特に好ましい。生肉は内臓を含んでいても、含んでいなくてもよい。魚介類のうち魚類の肉は赤身であっても白身であってもよい。
調味料としては、砂糖、砂糖以外の甘味料、塩、胡椒、酢、醤油、味噌、だし、酒かす、みりん、酒、コンソメ、ケチャップ、カレー粉、アミノ酸、核酸、有機酸等が挙げられる。本発明において、調味料は含塩調味料を含むことが好ましい。含塩調味料としては、塩、醤油、味噌が好ましく挙げられる。本発明の漬け込み加工食品の種類としては、西京味噌からなる西京漬け、味醂、醤油、水あめ、砂糖からなる味醂漬け、醤油、味醂からなる醤油漬けや照り漬け、酒粕からなる粕漬け等が挙げられる。
本発明の漬け込み加工食品は、魚介類の生肉とそれが浸漬された漬け込み液又は漬け込み床とから主に構成されている。漬け込み液又は漬け込み床には、調味料及び魚介類に由来しない液状油が含まれている。本発明において、生肉を浸漬する漬け込み液又は漬け込み床は、例えば網状のザル等による水切りやヘラ等で生肉表面からぬぐい取る等の手段により生肉と分離して得ることができる。本発明の漬け込み加工食品は、塩分量が一定量以上であっても加熱後の肉が冷めても硬化が抑制され、身のほぐれ感及びしっとり感が両立される優れた効果が得られる。漬け込み加工食品は、その漬け込み液又は漬け込み床中における塩分量が0.3質量%以上7質量%以下であることが、本発明の食肉を柔軟にし、ほぐれ感を高める効果と漬け込み食品としての良好な風味とを容易に両立できる点で好ましく、0.5質量%以上6.5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上6.2質量%以下であることが特に好ましく、5質量%以下又は3質量%以下であってよい。塩分量は以下の方法で測定することができる。
塩分量の測定方法:漬け込み加工食品の表面をヘラ等で拭い、生肉表面に付着した漬け込み液又は漬け込み床を回収し、モール法にて測定する。
本発明において酵母細胞を液状油と併用することで、加熱後に冷めても硬化が抑制され良好な身のほぐれ感並びにしっとり感又は脂乗り感が感じられる漬け込み加工食品を得ることができる。酵母細胞としては、酵母の内容物を除去した後(酵母エキスを抽出した後)の酵母細胞(酵母細胞の細胞壁、細胞膜等の酵母の骨格部分)を用いることができる。酵母エキスの抽出方法は熱水処理法、自己消化法、酵素分解法等の抽出方法が挙げられる。酵母細胞は、酵母エキスを抽出した後の酵母細胞そのものであってもよいし、酵母エキスを抽出した後の酵母細胞にプロテアーゼ処理、セルラーゼ処理等の酵素処理を施したものであってもよい。また酵母細胞は、プロテアーゼ及び乳化剤で処理されたものであってもよい。
酵母細胞としては、トルラ酵母、パン酵母、ビール酵母、清酒酵母等の細胞が挙げられる。また、酵母細胞は、圧搾酵母、乾燥酵母、活性乾燥酵母、死滅酵母、殺菌乾燥酵母等の種々の形態であってもよい。また、酵母細胞は、酵母細胞(菌体)と実質的に同じ組成からなる酵母細胞由来物(例えば、酵母細胞の破砕物、粉末)であってもよい。酵母細胞は、乾燥酵母菌体、酵母脱水物、菌体懸濁液等の種々の形態であり得る。
酵母は、例えば、サッカロミセス(Saccharomyces)属に属する酵母やキャンディダ(Candida)属に属する酵母であってよく、例えば具体例としては、サッカロミセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)、キャンディダア・ユーティリス(Candida utilis)等が挙げられる。
酵母細胞は、加工食品中の魚介類の肉組織中に存在することが好ましい。酵母細胞が筋繊維の間に存在しつつ水分を保持していることに起因して、加熱した後も肉組織は筋繊維間隙の幅の縮小が抑制されて柔らかさが維持される。酵母細胞が魚介類の肉組織中に存在することは、過ヨウ素酸シッフ染色により食肉を染色した上で、食肉を光学顕微鏡等で観察することで確認できる。加工食品中の魚介類の肉組織中に酵母細胞を存在させるためには、後述する好適な製造方法で漬け込み加工食品を製造すればよい。
酵母細胞のみでは加熱した魚介類の肉は冷めると硬化してしまうところ、本発明者は、酵母細胞に加えて魚介類に由来しない液状油を用いることで、酵母細胞による魚介類の肉の冷却による硬化を抑制できることを知見した。この理由は明確ではないが、酵母細胞が含まれた肉組織の表面に魚介類に由来しない油分が存在することで、冷却に伴う肉組織の収縮及びそれによる肉組織の硬さの増加が効果的に抑制される可能性があるとみられる。液状油は25℃で液状を示す油脂である。本発明で用いる液状油の具体例としては、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、アマニ油、パーム油の分別低融点部、オリーブ油、ごま油が挙げられる。液状油としては、大豆油、菜種油、綿実油又はコーン油が、風味や食味の点で好ましく挙げられる。
本発明は、魚介類の生肉の表面が魚介類に由来しない液状油に被覆されていることが好ましい。生肉の表面が液状油に被覆された状態とは、例えば添付の図1に示す通り、常温(例えば25℃)にて、生肉表面に油滴が観察され、生肉表面において油特有の光沢を有している部分の広がりが観察されることを指す。油特有の光沢を有している部分の広がりを、油脂膜ともいう。本発明者は酵母細胞を含む生肉の表面を、魚介類に由来しない液状油が皮膜状に被覆することで、冷めても水分が肉中に留まり、柔らかさ、脂乗り感、しっとり感及びほぐれ感が得られるとみられる。液状油の皮膜の観察は、目視にて行うことができる。
漬け込み加工食品中、魚介類に由来しない液状油は、前記魚介類の生肉100質量部に対し、0.1質量部以上であることが、加熱した漬け込み加工食品が冷めたときに硬化しない点、及び、しっとり感、脂乗り感や見た目の照り感、断面の白さ等の点で好ましく、5質量部以下であることが食味の点で好ましい。この観点から、前記液状油は、前記魚介類の生肉100質量部に対し、0.2質量部以上3質量部以下であることがより好ましい。
本発明では、魚介類に由来しない液状油に加えて、増粘剤を含むことが、加熱調理後に魚介類の肉が冷めても硬くなることが一層抑制され、しっとり感、脂乗り感等が良好となる効果が一層高い点で好ましい。増粘剤としては、デンプン、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化酸化デンプン、アセチル化リン酸架橋デンプン、リン酸架橋デンプン、リン酸化デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、酢酸デンプン、酸化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、及びヒドロキシプロピルデンプン等の澱粉類、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、及びメチルセルロース、アウレオバシジウム培養液、アグロバクテリウムスクシノグリカン、アマシードガム、アラビアガム、アラビノガラクタン、アルギン酸、ウェランガム、カシアガム、ガティガム、カードラン、カラギーナン、加工ユーケマ藻類、精製カラギーナン、ユーケマ藻末、カラヤガム、カロブビーンガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、キチン、キトサン、グァーガム、グァーガム酵素分解物、グルコサミン、サイリウムシードガム、サバクヨモギシードガム、ジェランガム、タマリンドシードガム、タラガム、デキストラン、トラガントガム、トロロアオイ、納豆菌ガム、微小繊維状セルロース、ファーセレラン、フクロノリ抽出物、プルラン、ペクチン、マクロホモプシスガムといった澱粉類以外の増粘多糖類が挙げられる。
中でも、本発明の漬け込み加工食品においては、澱粉類を用いることが、加熱調理後に冷めても魚介類の肉が硬くならずしっとり感、脂乗り感、身のほぐれ感等が良好となる効果が高い点で好ましい。澱粉類の原料としては限定されず、例えばコーン、ワキシーコーン、小麦、米、馬鈴薯、キャッサバ、サゴ、甘藷等任意の植物が挙げられる。
本発明の漬け込み加工食品が澱粉類を含有する場合、とりわけ、加工澱粉と未加工澱粉を組み合わせることが好ましい。更に本発明としては加工澱粉として、架橋及び/又はアセチル化が施されたデンプン、特にアセチル化アジピン酸架橋デンプンを用いることが加熱調理後に肉が硬くならずしっとり感、脂乗り感が良好となる効果が一層高い点で好ましい。以上より、本発明では、アセチル化アジピン酸架橋デンプン及びデンプンを組み合わせて用いることが最も好ましい。
更に、本発明の漬け込み加工食品においては澱粉類以外の増粘多糖類を用いることも加熱調理後に冷めても魚介類の肉の硬化が抑制されしっとり感、脂乗り感が良好となる効果が一層高い点で好ましい。とりわけ本発明においては増粘剤として、澱粉類と澱粉類以外の増粘多糖類を組み合わせることが加熱調理後に肉の硬化が抑制され脂乗り感、しっとり感が良好となる効果が特に高い点で好ましく、とりわけ澱粉類とキサンタンガム、グァーガム、タマリンドシードガム、ペクチン、カラギーナン、グァーガム以外のガラクトマンナン類及びメチルセルロースから選ばれる少なくとも一種とを組み合わせることが好ましく、澱粉類とキサンタンガムを組み合わせることが更に一層好ましい。グァーガム以外のガラクトマンナン類とは、タラガム、ローカストビーンガムが挙げられる。
本発明の漬け込み食品において、澱粉類以外の増粘多糖類を含有する場合、その量は、魚介類の生肉100質量部に対し、0.01質量部以上0.8質量部以下であることが加熱調理後に魚介類の肉が冷めても硬くならず脂乗りが良好となる効果が一層高い点や風味の点で好ましく、0.015質量部以上0.5質量部以下であることが特に好ましい。
中でも本発明の漬け込み食品において、澱粉類を含有する場合、その量は、魚介類の生肉100質量部に対し、0.2質量部以上5質量部以下であることが加熱調理後に魚介類の肉が冷めても硬化が抑制されしっとり感、脂乗り感が良好となる効果が一層高い点や風味の点で好ましく、0.5質量部以上3質量部以下であることが特に好ましい。
また、本発明の漬け込み食品において、澱粉類及び澱粉類以外の増粘多糖類の量を含めた増粘剤の量は、魚介類の生肉100質量部に対し、0.2質量部以上5.8質量部以下であることが加熱調理後に魚介類の肉が冷めても硬くならずしっとり感、脂乗り感が良好となる効果が一層高い点や風味の点で好ましく、0.5質量部以上3.5質量部以下であることがより好ましい。
更に、本発明の漬け込み食品において、澱粉類として加工澱粉と未加工澱粉とを組み合わせて用いる場合、未加工澱粉100質量部に対して、加工澱粉が30質量部以上80質量部以下であることが好ましく、40質量部以上70質量部以下であることがより好ましい。例えば本発明が澱粉類としてアセチル化アジピン酸架橋デンプン及びデンプンを組み合わせて用いる場合、上記の加工澱粉と未加工澱粉の好ましい比率で組み合わせることが好ましい。
更に、本発明の漬け込み食品において増粘剤として澱粉類以外の増粘多糖類を含有する場合、加熱調理後に魚介類の肉が硬くなることが抑制され、しっとり感、脂乗り感が良好となる効果が一層高い点や風味の点で澱粉類100質量部に対して、澱粉類以外の増粘多糖類が5質量部以上20質量部以下であることが好ましく、10質量部以上15質量部以下であることがより好ましい。
本発明の漬け込み加工食品は上述した通り、漬け込み液又は漬け込み床と生肉とを含有しているところ、漬け込み加工食品における漬け込み液又は漬け込み床の質量は、生肉100質量部に対し、1質量部以上25質量部以下であることが好ましく、2質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。この範囲とすることで加熱調理後、冷却しても硬化が抑制されしっとり感、脂乗り感が良好である効果を一層効果的に得ることができる。
なお、本発明の漬け込み食品における漬け込み液又は漬け込み床中の液状油、増粘多糖類、澱粉類、増粘剤の好ましい量の範囲としては、後述する第2の漬け込み液又は漬け込み床中における液状油、増粘多糖類、澱粉類、増粘剤の好ましい範囲と同様の範囲が挙げられる。具体的には、漬け込み液又は漬け込み床中の中、液状油の量は、6質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上20質量%以下であることが特に好ましい。澱粉類以外の増粘多糖類の量は、0.2質量%以上2.0質量%以下であることがより好ましく、0.4質量%以上1.4質量%以下であることが特に好ましい。澱粉類の量は、2質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、4質量%以上10質量%以下であることが特に好ましい。澱粉類及び澱粉類以外の増粘多糖類の量を含めた増粘剤の量は、2.2質量%以上22質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上12質量%以下であることが特に好ましい。
本発明において、漬け込み加工食品の漬け込み液又は漬け込み床中の水分量は40質量%以上80質量%以下であることが好ましく、50質量%以上70質量%以下であることがより好ましい。この範囲とすることで加熱調理後、冷めた状態でも硬化が抑制されしっとり感、脂乗り感が良好である効果を一層効果的に得ることができる。漬け込み液又は漬け込み床中の水分量は以下の方法で測定できる。
水分量の測定方法:漬け込み加工食品の表面をヘラ等で拭い、表面に付着した漬け込み液または漬け込み床を回収し、常圧加熱乾燥法にて測定する。
冷えても硬化が抑制され、しっとり感、脂乗り感及び身のほぐれ感が良好である本発明の効果を高める点から、漬け込み加工食品中、調味料、酵母細胞、液状油、増粘剤、水、魚介類の生肉以外のその他の成分の量は合計で、3質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.03質量%以下であることが更に好ましい。
本発明において、漬け込み加工食品は冷凍状態である場合、保存期間の点で好ましい。また漬け込み加工食品が冷凍状態であることは食味・食感の均一化の点でも好ましい。チルド状態では、時間経過に従い切り身表面の液体が内部へ侵入し、表面が乾燥状態となる。
本発明において、漬け込み加工食品は加圧加熱処理を行わない方法にて調理されることが、冷却しても硬化が抑制され、しっとり感、脂乗り感が良好である効果を一層高めることができる点で好ましい。加圧加熱処理とは、レトルト食品等の製造時の加圧加熱殺菌を指す。本発明の漬け込み加工食品は、焼き、揚げ、煮る、茹で等の加圧しない加熱調理に供されることが好ましく、特に焼き調理に供されるものであることが冷却しても硬くならず脂乗りが良好である効果を一層高めることができる点で好ましい。焼き調理に用いる調理器具としては、例えばスチームコンベクション、フライパン、オーブン、焼き網等限定されない。焼き調理の温度は、例えば200〜250℃が挙げられる。
本発明は、漬け込み加工食品のみならず、漬け込み加工食品の加熱体も提供するものである。漬け込み加工食品の加熱体は加熱した肉の組織中に酵母細胞を含有することが好ましい。食品の技術分野は商品のライフタイムが短く、一つの商品の開発に長い時間をかけることはできない。本発明の加熱体は、従来の漬け込み加工食品の加熱体では得難い、冷めても硬化が抑制されしっとり感、脂乗り感を感じさせるものではあるが、その効果をもたらす加熱体の物性や構造を解析し終わるまで特許出願を待つことは上記の事情から困難である。このため加熱体について物性や構造を特定する代わりに、上記漬け込み加工食品の加熱体であるという特定を行うこととしたものである。加熱体は、加圧加熱処理以外の方法で殺菌されることが好ましい。そのような方法としては加熱蒸気や煮沸、焼成等による方法が挙げられる。
本発明の漬け込み加工食品は、魚介類の生肉を、酵母細胞及びアルカリ剤を含む液(以下、「第1の漬け込み液」ともいう。)に浸漬させた後、調味液及び液状油を含む混合物(以下、「第2の漬け込み液又は漬け込み床」ともいう。)に浸漬させる、食肉の漬け込み加工食品の製造方法により首尾よく得ることができる。本製造方法によれば第1の漬け込み液に魚介類の生肉を浸漬させることにより、その肉組織中に酵母細胞を蓄積させる。その後に、魚介類の生肉を第2の漬け込み液又は漬け込み床に浸漬させることで、調味料を肉組織中に浸漬させつつ、肉組織表面に液状油を付着させ、生肉表面に油脂の皮膜を形成できる。上記工程を経ることにより、本発明では、加熱調理後に冷めても硬化が抑制されしっとり感、脂乗り感が良好な魚介類の調味済みの加熱体を得ることができる。
酵母細胞及びアルカリ剤を含む第1の漬け込み液におけるアルカリ剤としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられ、とりわけ炭酸塩が、保水性能が高い点で好ましく、炭酸水素ナトリウム及び/又は炭酸ナトリウムがより好ましく、炭酸水素ナトリウム及び炭酸ナトリウムが特に好ましい。第1の漬け込み液におけるアルカリ剤として、炭酸水素ナトリウム及び炭酸ナトリウムを組み合わせる場合、炭酸水素ナトリウム100質量部に対し、炭酸ナトリウムが2質量部以上15質量部以下であることが、魚介類の肉組織中に酵母細胞を多く蓄積させやすい点で好ましく、5質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。
アルカリ剤の量としては、魚介類の肉組織中に酵母細胞を多く蓄積させやすい点等から、第1の漬け込み液中、0.5質量%以上5質量%以下であることが好ましく、1質量%以上3質量%以下であることがより好ましい。
酵母細胞としては、上述したものが挙げられる。酵母細胞は魚介類の肉組織中に酵母細胞を多く蓄積させやすい点等から、第1の漬け込み液中、0.1質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上3質量%以下であることがより好ましい。
第1の漬け込み液の媒体としては水が好適であり、水に対し、アルカリ剤を溶解させるとともに酵母細胞を分散させることで第1の漬け込み液を得ることができる。
第1の漬け込み液は更に塩化ナトリウムを含有することがアルカリ剤の効果を高める点で好ましい。この効果を高める点から、第1の漬け込み液における塩化ナトリウムの含有量は0.1質量%以上5質量%以下であることが好ましく、1質量%以上3質量%以下であることがより好ましい。
第1の漬け込み液は上白糖、三温糖、中双糖、グラニュー糖等の糖類をできるだけ含有しないことが浸漬による食感向上効果を有しない部分をなくして食感向上効果を均一化する点で好ましく、第1の漬け込み液中の糖類の割合は第1の漬け込み液100質量部当たり、0.2質量部未満であることが好ましく、0.1質量部未満であることがより好ましい。
第1の漬け込み液は酵母由来成分、塩化ナトリウム、アルカリ剤以外の成分をできるだけ含有しないことが浸漬による食感向上効果を有しない部分をなくして食感向上効果を均一化する点で好ましく、第1の漬け込み液中の酵母由来成分、塩化ナトリウム、アルカリ剤以外の成分の割合は合計で、第1の漬け込み液100質量部当たり、2質量部未満であることが好ましく、1質量部未満であることがより好ましく、0.5質量部未満であることがとりわけ好ましく、0.1質量部未満であることが特に好ましい。
第1の漬け込み液を生肉に漬け込む際には、例えば生肉100質量部に対し、第1の漬け込み液の使用量が30質量部以上150質量部以下であることがバラツキなく浸漬できる点で好ましく、より好ましくは50質量部以上100質量部以下である。
魚介類の生肉を第1の漬け込み液に浸漬させる温度としては、生肉の劣化防止の点や漬け込み効率の点から、1℃以上10℃以下が好適である。また魚介類の生肉を第1の漬け込み液に浸漬させる時間としては、冷めても硬くならず脂乗り感も低下しないという本発明の効果の点から、2時間以上18時間以下が好ましく、4時間以上16時間以下がより好ましい。
魚介類の生肉は、第1の漬け込み液に浸漬させた後、ザル等の濾過手段を用いて第1の漬け込み液の液を切る処理を施してから、第2の漬け込み液又は漬け込み床に浸漬させることが好ましい。
第2の漬け込み液又は漬け込み床が液状油以外の液体として水を含んでもよい。第2の漬け込み液は更に増粘剤を含有することが、加熱調理後に冷めても硬くならずに脂乗り感も低下しない効果を得やすい点で好ましい。調味料、液状油、増粘剤としては上記の本発明の漬け込み加工食品の説明において上述した成分を用いることができる。
前記第2の漬け込み液又は漬け込み床における液状油の量は、前記魚介類の生肉100質量部に対し、1質量部以上であることが、加熱した漬け込み加工食品が冷却時の硬化が効果的に抑制される点、及び、脂乗りの点で好ましく、20質量部以下であることが食味の点で好ましい。その観点から、前記第2の漬け込み液又は漬け込み床における液状油の量は、前記魚介類の生肉100質量部に対し、3質量部以上15質量部以下であることがより好ましく、5質量部以上10質量部以下であることが特に好ましい。
また上記と同様の観点から、前記第2の漬け込み液又は漬け込み床中、液状油の量は、6質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上20質量%以下であることが特に好ましい。
前記第2の漬け込み液又は漬け込み床が澱粉類以外の増粘多糖類を含有する場合、前記第2の漬け込み液又は漬け込み床中の澱粉類以外の増粘多糖類の量は、前記魚介類の生肉100質量部に対し、0.1質量部以上であることが、加熱した漬け込み加工食品が冷却時の硬化が効果的に抑制される点、及び、脂乗りの点で好ましく、1.0質量部以下であることが食味の点で好ましい。その観点から、前記第2の漬け込み液又は漬け込み床における澱粉類以外の増粘多糖類の量は、前記魚介類の生肉100質量部に対し、0.2質量部以上0.7質量部以下であることがより好ましい。
また上記と同様の観点から、前記第2の漬け込み液又は漬け込み床中、澱粉類以外の増粘多糖類の量は、0.2質量%以上2.0質量%以下であることがより好ましく、0.4質量%以上1.4質量%以下であることが特に好ましい。
増粘剤の中でも第2の漬け込み液又は漬け込み床が澱粉類を含有する場合、前記第2の漬け込み液又は漬け込み床中の澱粉類の量は、前記魚介類の生肉100質量部に対し、1質量部以上であることが、加熱した漬け込み加工食品が冷却時の硬化が効果的に抑制される点、及び、脂乗りの点で好ましく、10質量部以下であることが食味の点で好ましい。その観点から、前記第2の漬け込み液又は漬け込み床における澱粉類の量は、前記魚介類の生肉100質量部に対し、3質量部以上5質量部以下であることがより好ましい。
また上記と同様の観点から、前記第2の漬け込み液又は漬け込み床中、澱粉類の量は、2質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、4質量%以上10質量%以下であることが特に好ましい。
第2の漬け込み液又は漬け込みにおける澱粉類及び澱粉類以外の増粘多糖類の量を含めた増粘剤の量は、前記魚介類の生肉100質量部に対し、1.1質量部以上であることが、加熱した漬け込み加工食品が冷却時の硬化が効果的に抑制される点、及び、しっとり感、脂乗り感の点で好ましく、11質量部以下であることが食味の点で好ましい。その観点から、前記第2の漬け込み液又は漬け込み床における前記の増粘剤の量は、前記魚介類の生肉100質量部に対し、3.2質量部以上5.7質量部以下であることがより好ましい。
また上記と同様の観点から、前記第2の漬け込み液又は漬け込み床中、増粘剤の量は、2.2質量%以上22質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上12質量%以下であることが特に好ましい。
第2の漬け込み液又は漬け込み床が澱粉類として加工澱粉と未加工澱粉とを組み合わせて用いる場合、未加工澱粉と加工澱粉の好ましい量比は、本発明の漬け込み食品における上述した加工澱粉と未加工澱粉の好ましい量比と同様である。
第2の漬け込み液又は漬け込み床が澱粉類として澱粉類と澱粉類以外の増粘多糖類とを組み合わせて用いる場合の澱粉類と澱粉類以外の増粘多糖類との好ましい量比は、本発明の漬け込み食品における上述した澱粉類と澱粉類以外の増粘多糖類の好ましい量比と同様である。
第2の漬け込み液又は漬け込み床は冷めても硬化が抑制され、しっとり感、脂乗り感が低下しがたいという本発明の効果を首尾よく得る点から、生肉100質量部に対し、20質量部以上150質量部以下の量を用いることが好ましく、30質量部以上100質量部以下の量であることがより好ましい。
第2の漬け込み液又は漬け込み床中の塩分の好ましい量は、上記の漬け込み加工食品の漬け込み液又は漬け込み床中の塩分の好ましい量と同様である。また第2の漬け込み液又は漬け込み床中の好ましい水分の量は、上記の漬け込み加工食品の漬け込み液又は漬け込み床中の水分の好ましい量と同様である。
魚介類の生肉を第2の漬け込み液又は漬け込み床に浸漬させる温度としては、生肉の劣化防止の点や漬け込み効率の点から、1℃以上10℃以下が好適である。また魚介類の生肉を第2の漬け込み液に浸漬させる時間としては、冷めても硬くならず脂乗り感も低下しないという本発明の効果の点から、1時間以上60時間以下が好ましく、3時間以上48時間以下がより好ましい。
上記の方法で得られた漬け込み食品を冷凍する場合は、第1の漬け込み液に漬け込み後の生肉を第2の漬け込み液又は漬け込み床に上記の温度で上記の時間静置して漬け込み後、漬け込み液の場合はザルなどで液切した後に、漬け込み床の場合はヘラなどで床を概ね除去した後にパッケージに入れ、そのまま冷凍することが工程数の少なさやパッケージ重量が小さく済む点で好ましい。パッケージの素材としては、合成樹脂フィルムが挙げられ、例えば、VDC/MA(塩化ビニリデン/メチルアクリレート共重合体)、HIPS(耐衝撃性ポリスチレン)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PA(ポリアミド)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、EVOH(エチレン・ビニルアルコール共重合体)、PET(ポリエチレンテフタレート樹脂)及びこれらの1又は2以上の複合材が挙げられ、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリプロピレン又はこれらの複合材であることが破れにくさや保存性等の点で好ましい。密封方法としては、例えば、含気包装、脱気包装、真空包装が挙げられる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味する。
(実施例1)
ミートテンダライザーSF(富士食品工業株式会社、酵母細胞パウダー及び酵母エキスパウダー28.6%(酵母細胞17%、酵母エキス11.6%の合計)、炭酸水素ナトリウム66.4%、炭酸ナトリウム5.0%)2部、食塩1部、水97部を混合して第1の漬け込み液を得た。ブリの切り身(一切れ約80g)100部に対し、第1の漬け込み液100部を用いて、第1の漬け込み液にブリの切り身を浸漬させた。浸漬状態の切り身を一晩(12時間〜18時間)、5℃で静置した。
照り漬け調味液として、醤油35%、味醂26%、砂糖15%、水24%の混合液を用意した。得られた照り漬け調味液55部、サラダ油(原料:菜種油)15部、食塩2.5部、アセチル化アジピン酸架橋デンプン2.2部、澱粉4部、キサンタンガム0.8部、水20.5部を混合して、第2の漬け込み液を調製した。
第1の漬け込み液に浸漬後のブリの切り身を金ザルの上にあけ、水切りを行った。その後、ブリの切り身100部に対して第2の浸け込み液50部を用い、第2の浸け込み液にブリの切り身を4時間浸漬させた。浸漬時の第2の浸け込み液の温度は5℃とし、静置した。浸漬後のブリの切り身を第2の浸け込み液を液切りした後、含気包装した。包装された内容物は、第1の漬け込み液に漬け込み前の切り身100部に対し、漬け込み液の質量(2回の漬け込み後の質量増加分)が11部であり、そのほとんどが第2の漬け込み液とみられる。上記方法で測定した漬け込み液の水分量は60.2%であった。上記方法で測定した漬け込み液の塩分量は2.9%であった。包装された漬け込み魚を−30℃で冷凍した。冷凍した漬け込み魚を包装状態において室温に静置して解凍した後に包装から取り出して目視で観察し、生肉の表面にサラダ油からなる皮膜が形成されて、生肉がサラダ油の皮膜に被覆されていることを確認した(図1)。
(比較例1)
照り漬け調味液55部、食塩2.5部、水42.5部を混合して第2の漬け込み液を調製した。その点以外は実施例1と同様とした。漬け込み後の切り身の表面の写真を図2に示す。
(比較例2)
第1の漬け込み液に浸漬させなかった。その点以外は比較例1と同様とした。
(評価)
冷凍状態のブリの切り身を、解凍せずにスチームコンベクションオーブン(ホシザキ社製MIC−5TB3、コンビモード、スチーム量3目盛り(90%)にて220℃で12分焼成した。切り身の長手方向(背側から腹側に至る方向)と直交する切断線にて、前記長手方向に沿って8等分に切り、腹側の2つを除く6つの小片について、50℃の恒温庫で保管したものと、20℃で2時間冷えた状態のものをそれぞれ評価に供した。20℃で2時間冷えた状態の評価点を下記表1に示す。
評価項目は鱗片感、硬さ、パサパサ感、脂乗り感とした。鱗片感は鱗片状に身がほぐれる感覚を評価した。硬さは、2〜3噛み目に感じる身の硬さを評価した。脂乗りは、口の中に感じる脂乗りを評価した。訓練されたパネル11名で3回繰り返し実施した。パネル欠損があり計32回の平均値を評価点とした。評価基準は以下とした。表1には()内に、20℃で2時間冷えた状態の評価点から50℃の恒温庫で保管した状態の評価点を引いた値を併せて示す。
(鱗片感)
7点 鱗片感を非常に強く感じる。
6点 鱗片感を強く感じる。
5点 鱗片感をやや強く感じる。
4点 鱗片感は標準的である。
3点 鱗片感が弱い。
2点 鱗片感をほとんど感じない。
1点 鱗片感を全く感じない。
(硬さ)
7点 非常に硬い。
6点 硬い。
5点 やや硬い。
4点 標準的な硬さである。
3点 やや柔らかい。
2点 柔らかい。
1点 非常に柔らかい。
(脂乗り)
7点 脂乗りを非常に強く感じる。
6点 脂乗りを強く感じる。
5点 脂乗りをやや強く感じる。
4点 標準的な脂乗りである。
3点 脂乗りが弱い。
2点 脂乗りをほとんど感じない。
1点 脂乗りを全く感じない。
(パサパサ感)
7点 パサパサ感がとても強い。
6点 パサパサ感が強い。
5点 パサパサ感をやや強く感じる。
4点 パサパサ感は標準的である。
3点 パサパサ感が弱い。
2点 パサパサ感をとても弱い。
1点 パサパサ感を全く感じない。
上記の評価点の結果を下記表1に示す。
Figure 2021078493
実施例1で得られた漬け込み食品を焼成した切り身は、酵母細胞を有するが液状油を有しない比較例1及び酵母細胞及び液状油を有しない比較例2で得られた漬け込み食品を焼成した切り身に比して、焼成後、20℃で2時間冷えた状態において、鱗片感(身のほぐれ感の一つ)、魚の身の硬さの低減(柔らかさ)、脂乗り感、パサパサ感の弱さ(しっとり感)の全てにおいて優れていた。また、比較例1では、50℃の恒温室に入れた場合に比して20℃で2時間冷えた場合では、鱗片感(身のほぐれ感)が低下し、魚の身が明らかに硬化し、脂乗り感が低下し、パサパサ感が増加していた。一方、実施例1では、50℃の恒温室に入れた場合に比して20℃で2時間冷えた場合における、鱗片感、魚の身の柔らかさ、脂乗り感、しっとり感はそれぞれ同等又は以上であった。
(実施例2)
ミートテンダライザーSF2部、食塩1部、水97部を混合して第1の漬け込み液を得た。サケの切り身(一切れ約70g)100部に対し、第1の漬け込み液100部を用いて、第1の漬け込み液にサケの切り身を浸漬させた。浸漬状態の切り身を一晩(12時間〜18時間)、5℃で静置した。照り漬け調味液として、醤油を35%、味醂26%、砂糖15%、水24%の混合液を用意した。得られた照り漬け調味液55部、液状油としてサラダ油(菜種油)を15部、食塩2.5部、アセチル化アジピン酸架橋デンプン2.2部、澱粉4部、キサンタンガム0.8部、水20.5部を混合して、第2の漬け込み液を調製した。
第1の漬け込み液に浸漬後のサケの切り身を金ザルの上にあけ、水切りを行った。その後、サケの切り身100部に対して第2の浸け込み液50部を用い、第2の浸け込み液にサケの切り身を4時間浸漬させた。浸漬時の第2の浸け込み液の温度は5℃とし、静置した。浸漬後のサケの切り身を第2の浸け込み液を液切りした後、含気包装した。包装された内容物は、第1の漬け込み液に漬け込み前の切り身100部に対し、漬け込み液の質量(2回の漬け込み後の質量増加分)が18部であり、そのほとんどが第2の漬け込み液とみられる。上記方法で測定した漬け込み液の水分量は59.6%であった。上記方法で測定した漬け込み液の塩分量は6.1%であった。包装された漬け込み魚を−30℃で冷凍した。冷凍した漬け込み魚を包装状態において室温に静置して解凍した後に包装から取り出して目視で観察し、生肉の表面に液状油からなる皮膜が形成されて、生肉が液状油の皮膜に被覆されていることを確認した。
(比較例3)
照り漬け調味液55部、食塩2.5部、水42.5部を混合して第2の漬け込み液を調製した。その点以外は実施例2と同様とした。
(比較例4)
第1の漬け込み液に浸漬させなかった。その点以外は比較例3と同様とした。
(評価)
冷凍状態のサケの切り身を、解凍せずにスチームコンベクションオーブン(ホシザキ社製MIC−5TB3、コンビモード、スチーム量3目盛り(90%)にて220℃で8分焼成した。切り身の長手方向と直交する切断線にて、前記長手方向に沿って6等分に切り、両端の2つを除く4つの小片について、20℃で2時間放置したものを評価に供した。
評価項目は鱗片感、ふわっと感、硬さ、しっとり感、見た目の照り感、見た目の断面のくすみ具合とした。なお本実施例では、身のほぐれ感の効果を更に詳細に検討するために、「鱗片感」に加えて「ふわっと感」も併せて官能検査を実施した。硬さは、2〜3噛み目に感じる身の硬さを評価した。訓練されたパネル14名で実施し、平均値を評価点とした。評価基準は以下とした。結果を表2に示す。
(鱗片感)
5点 鱗片感がとても大きい。
4点 鱗片感が大きい。
3点 鱗片感は標準程度である。
2点 鱗片感は小さい。
1点 鱗片感はとても小さい。
(ふわっと感)
5点 一噛み目のふわっとした食感がとても大きい。
4点 一噛み目のふわっとした食感が大きい。
3点 一噛み目のふわっとした食感は標準程度である。
2点 一噛み目のふわっとした食感は小さい。
1点 一噛み目のふわっとした食感はとても小さい。
(硬さ)
5点 とても硬い。
4点 硬い。
3点 標準的な硬さである。
2点 柔らかい。
1点 とても柔らかい。
(しっとり感)
5点 とてもしっとり感が強い。
4点 しっとり感が強い。
3点 しっとり感は標準的である。
2点 しっとり感は弱い。
1点 しっとり感はとても弱い。
(見た目の照り感)
5点 とても見た目の照り感が強い。
4点 見た目の照り感が強い。
3点 見た目の照り感は標準的である。
2点 見た目の照り感は弱い。
1点 見た目の照り感はとても弱い。
(見た目の断面のくすみ具合)
5点 断面が灰色ががってとてもくすんでいる。
4点 断面が灰色ががってくすんでいる。
3点 断面のくすみ具合は標準的である。
2点 断面のくすみ具合は弱い。
1点 断面はくすんでおらず白い。
Figure 2021078493

Claims (11)

  1. 魚介類の生肉と、調味料と、酵母細胞と、魚介類に由来しない液状油とを含む、食肉の漬け込み加工食品。
  2. 前記液状油が大豆油、菜種油、綿実油又はコーン油である、請求項1に記載の漬け込み加工食品。
  3. 前記生肉の表面が液状油に被覆されている、請求項1又は2に記載の漬け込み加工食品。
  4. 更に増粘剤を含む、請求項1〜3の何れか1項に記載の漬け込み加工食品。
  5. 加圧加熱処理を除く方法で加熱されるものである、請求項1〜4の何れか1項に記載の漬け込み加工食品。
  6. 冷凍品である、請求項1〜5の何れか1項に記載の漬け込み加工食品。
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載の漬け込み加工食品の加熱体。
  8. 加圧加熱処理を除く方法で加熱されてなる、請求項7記載の加熱体。
  9. 魚介類の生肉を、酵母細胞及びアルカリ剤を含む液に浸漬させた後、調味料及び液状油を含む混合物に浸漬させる、食肉の漬け込み加工食品の製造方法。
  10. 前記調味料及び液状油を含む混合物における液状油の量が、前記魚介類の生肉100質量部に対し、1質量部以上20質量部以下である、請求項9に記載の漬け込み加工食品の製造方法。
  11. 調味料及び液状油を含む混合物が更に増粘剤を含む、請求項9又は10に記載の漬け込み加工食品の製造方法。
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