JP2021078397A - 脂質減少促進剤 - Google Patents

脂質減少促進剤 Download PDF

Info

Publication number
JP2021078397A
JP2021078397A JP2019208089A JP2019208089A JP2021078397A JP 2021078397 A JP2021078397 A JP 2021078397A JP 2019208089 A JP2019208089 A JP 2019208089A JP 2019208089 A JP2019208089 A JP 2019208089A JP 2021078397 A JP2021078397 A JP 2021078397A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pqq
daphnia magna
agent
salt
fat
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019208089A
Other languages
English (en)
Inventor
ヌルシャフィカ モハマドイシャク
Syafiqah Mohamad Ishak Nur
ヌルシャフィカ モハマドイシャク
池本 一人
Kazuto Ikemoto
一人 池本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Gas Chemical Co Inc filed Critical Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Priority to JP2019208089A priority Critical patent/JP2021078397A/ja
Publication of JP2021078397A publication Critical patent/JP2021078397A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】PQQを用いて、新規な脂質減少促進剤及びその製造方法、並びに脂質の減少促進方法を提供することを目的とする。【解決手段】ピロロキノリンキノン及び/又はその塩を有効成分として含む、脂質減少促進剤。【選択図】なし

Description

本発明は、新規な脂質減少促進剤及びその製造方法、当該脂質減少促進剤を含む組成物、及び脂質の減少促進方法に関する。
肥満は現代社会における最も重大な疾患の一つであるが、その主たる要因は脂肪の過剰摂取である。脂肪の過剰摂取は、肥満のみならず、肥満に起因してメタボリックシンドローム、糖尿病、高脂血症、高血圧、動脈硬化などの生活習慣病を発症させることが知られている。
肥満に対する治療薬としては、食欲抑制剤であるマジンドールや、リパーゼ阻害剤であるオルリスタットなどが使用されている。しかしながら、これらの医薬では、口渇、便秘、吐き気、不眠、頭痛及び動悸など、並びにオイルスポット、鼓腸、急な便意、排便の増加、便失禁、直腸からの漏れ、上部呼吸器感染及び脂肪便などの副作用がそれぞれ報告されており、必ずしも安全性は十分であるとは言えない。
肥満を予防するためには、食事制限により摂取カロリーを減らすことが有効な手段である。しかしながら、そのためには十分な栄養指導を受けなければならず、実質的に日常生活での実施は困難である場合が多い。そのため、十分な安全性を有し、且つ効率的に肥満を解消することのできる物質が強く求められている。
ところで、ピロロキノリンキノン(以下、「PQQ」ともいう。)は、多くの食品に含まれるビタミン様の物質である。(非特許文献1)。乳酸脱水素酵素に結合してその機能を向上させることが報告されている(非特許文献2)。
PQQはこれまでに脳機能の改善(特許文献1,2,3)に注目され、その応用がなされてきた。また、血糖値の改善効果も報告されている。
特開2019−088206号公報 特開2014−037384号公報 特開2012−019739号公報
EFSA Journal, Volume15, Issue11, November 2017, e05058 Scientific Reports volume 6, Article number: 26723 (2016) Environ Health Perspect. 2015;123(8):813−819.
しかしながら、このようなPQQを肥満の解消のために使用することは知られておらず、また脂質減少促進剤として利用することはこれまでに報告されていない。また、PQQを生殖機能の改善のために使用することも知られておらず、生殖機能改善剤として利用することはこれまでに報告されていない。
本発明の目的は、肥満の解消に有用な物質として上記PQQを用い、安全で、且つ効率的に脂質の減少を促進することのできる新規な脂質減少促進剤及びその製造方法、当該脂質減少促進剤を含む組成物、及び脂質の減少促進方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、生殖機能の改善に有用な物質として上記PQQを用い、新規な生殖機能改善剤を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、驚くべきことにPQQ及び/又はその塩に脂質の減少を促進する作用があることを見出した。かかる知見に基づき、本発明者らは、さらに研究を重ねることによって本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下に示すとおりである。
〔1〕
ピロロキノリンキノン及び/又はその塩を有効成分として含む、脂質減少促進剤。
〔2〕
前記ピロロキノリンキノンの塩が、ピロロキノリンキノン二ナトリウム塩である、〔1〕に記載の剤。
〔3〕
運動強度3メッツ以上の運動をしているとき、または、前記運動の開始前1時間以内もしくは終了後1時間以内に摂取する、〔1〕又は〔2〕に記載の剤。
〔4〕
前記脂質減少促進が、体脂肪代謝促進である、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の剤。
〔5〕
〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の剤を含む、組成物。
〔6〕
〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の剤を使用する、脂質の減少促進方法。
〔7〕
ピロロキノリンキノン及び/又はその塩を有効成分として含む、生殖機能改善剤。
本発明によれば、安全で、かつ効率的に脂質の減少を促進することのできる新規な脂質減少促進剤及びその製造方法、当該脂質減少促進剤を含む組成物、並びに、脂質の減少促進方法を提供することができる。
また、本発明によれば、新規な生殖機能改善剤を提供することもできる。
さらに、本発明で用いられるPQQ及び/又はその塩は、国内では食品に指定されており、飲食品としても使用可能であることから、本発明の剤及び組成物は、ヒト等の動物に対して十分な安全性を有しているといえる。
実施例1〜3と比較例1〜3における、染色された脂肪の蛍光強度を示すグラフである。 実施例1〜3と比較例1〜3における、オオミジンコの蛍光顕微鏡写真(a)と実体顕微鏡写真(b)である。 実施例1〜3と比較例1〜3における、オオミジンコの体長測定結果を示すグラフである。 実施例4と比較例4における、オオミジンコの生存率を示すグラフである。 実施例4と比較例4における、オオミジンコの卵の量を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。なお、脂質減少促進剤を第1実施形態とし、生殖機能改善剤を第2実施形態とする。また、第1実施形態と第2実施形態を区別する必要ない箇所については、本実施形態という。
〔第1実施形態:脂質減少促進剤〕
本発明者らは、PQQの生理機能を研究する過程において、PQQを添加した条件下で微小甲殻類を生育して、PQQが脂質の減少を促進する作用を有することを見出した。すなわち、第1実施形態の脂質減少促進剤(以下、「第1実施形態の剤」ともいう。)はこの知見に基づくものであり、ピロロキノリンキノン及び/又はその塩を有効成分として含むものである。
本実施形態において用いられるPQQとは、化学式1に記載される化学構造を有している化合物である。また、PQQは水溶液中では化学式2に示される構造を有することもある。
Figure 2021078397
また、PQQの塩は上記カルボキシル基がアルカリ金属イオン等と塩を形成したものである。PQQの塩としては、特に制限されないが、たとえば、ナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属塩(具体的には、PQQナトリウム、PQQカリウムなど)、カルシウムやマグネシウムなどのアルカリ土類金属塩(具体的には、PQQカルシウム、PQQマグネシウムなど)、PQQアルミニウム、PQQ亜鉛、PQQマンガン及びPQQ鉄などを挙げることができる。このなかでもPQQの塩は、好ましくはPQQナトリウム、PQQカルシウムである。特にナトリウム塩はモノナトリウム、ジナトリウム、トリナトリウムを使用でき、特にピロロキノリンキノン二ナトリウムが入手しやすく使用しやすい。尚、本実施形態においてPQQの塩は水和物であってもよい。
PQQ及びその塩は、それらの入手方法については特に限定されず、動物や植物に由来する天然のもの、或いは化学合成法や発酵法などにより得られるもののいずれであってもよい。得られるPQQ及びその塩の純度及び製造コスト等に基づき、好適なPQQ及びその塩の製造方法を適宜選択することができる。また、PQQ及びその塩としては、市販されているPQQ及びその塩を使用することができる。そのような市販品としては、例えば、三菱瓦斯化学株式会社で製造又は販売されている商品が挙げられる。また、本実施形態では、発酵法を利用して細菌(PQQ菌等)を培養しながら得られたPQQ又はPQQを含む組成物(飲食品等)をそのまま、或いは加工して使用することもできる。
本明細書において、「脂質減少促進剤」とは、生体内における脂質の減少を促進する作用を有する剤を意味する。
本明細書において「脂質」とは、生体内に存在する水不溶性の物質の総称である。また、代謝対象である脂質は、常温で固体であってもよく、或いは液体であってもよいが、固体であることが好ましい。尚、常温とは、第十六改正日本薬局方の通則に従い、通常15〜25℃であることを示す。脂質には、例えば、単純脂質(中性脂肪など)、複合脂質(リン脂質、糖脂質など)、誘導脂質(脂肪酸、コレステロールなど)などが含まれる。これらのうち第1実施形態で対象とされる脂質としては、単純脂質が好ましく、その中でも中性脂肪がより好ましく、最も好ましくはトリアシルグリセロール(トリグリセリド)である。
本明細書において脂質の「減少代謝」とは、主に脂質を分解することを示すが、脂質の量を減少することができる限り、特にこれに限定されるわけではない。
本発明において、「脂質代謝促進」には、生体内の脂質を減少する(「脂質代謝促進」又は「脂質の燃焼」と称する場合もある)概念と、体外より摂取される脂質を低減するなどして生体内への脂質の蓄積を抑制する概念と、が包含される。
第1実施形態における脂肪減少は、脂質を分解して生体内の脂質を減少する脂質代謝促進であることが好ましい。また、脂質は、生体内の場所に応じて、体脂肪(皮下脂肪、内臓脂肪など)及び血中脂質などが例示されるが、好ましくは体脂肪を分解して生体内の体脂肪を減少する体脂肪代謝促進であることが好ましい。さらに、脂質の化合物種の観点からは、第1実施形態における脂肪減少は、中性脂肪代謝促進であることが好ましい。
第1実施形態の剤は、脂質減少促進作用を通じて、肥満(「肥満症」とも称する)の予防及び治療、肝臓脂肪減少促進、体脂肪減少促進等のための食品又は医薬品として有用である。さらに、第1実施形態の剤は、肥満に起因して発症する疾患の予防及び治療のための食品又は医薬品としても有用である。そのような疾患としては、特に限定されないが、例えば、メタボリックシンドローム、脂肪肝、糖尿病(2型糖尿病を含む)、高脂血症、高血圧症、動脈硬化症などが挙げられる。
第1実施形態の剤は、運動と併用することが好ましい。より具体的には、運動強度3メッツ以上の運動をしているとき、または、その運動の開始前1時間以内もしくは終了後1時間以内に摂取することが好ましい。このようなタイミングで、第1実施形態の剤を投与又は摂取することにより、運動による脂質代謝をより効率的に促進することができる。
「メッツ」は運動強度を示す単位であり、ある身体活動時のエネルギー消費量が、安静時エネルギー消費量の何倍にあたるかを指数化したものである。メッツは、安静状態を維持するために必要な酸素量(酸素必要量)を性別や体重に関わらず3.5ml/kg/分を1単位とする。特に制限されないが、例えば、座って安静にしている状態が1メッツ、普通の歩行が3メッツに相当し、3メッツの強度が中強度とされる。なお、第1実施形態において、剤と併用される運動の種類は、運動強度3メッツ以上の身体活動であれば、特に制限されない。
〔第2実施形態:生殖機能改善剤〕
本発明者らは、PQQの生理機能を研究する過程において、PQQを添加した条件下で微小甲殻類を生育して、PQQが生殖機能を改善する作用を有することを見出した。すなわち、第2実施形態の生殖機能改善剤(以下、「第2実施形態の剤」ともいう。)はこの知見に基づくものであり、ピロロキノリンキノン及び/又はその塩を有効成分として含むものである。
なお、第2実施形態の剤で用いるピロロキノリンキノン及び/又はその塩は、第1実施形態で説明したものと同様とする。
本明細書において、「生殖機能改善剤」とは、生体の生殖機能を改善する作用を有する剤を意味する。
本明細書において、「生殖機能」とは、種を維持するために新しい個体をつくる機能であり、卵巣に関する機能など雌に備わる生殖機能と、精巣に関する機能など雄に備わる生殖機能とが含まれる。このなかで、第2実施形態の剤の対象となる生殖機能としては、雌に備わる生殖機能が好ましく、卵巣における卵子の生産や卵子の成熟に関する生殖機能が好ましい。
本明細書において生殖機能の「改善」とは、機能の向上に当たるものであれば特に制限されないが、例えば、卵巣において生産される卵子のうち、成熟卵子数の増加などが挙げられる。
〔使用態様〕
本実施形態の剤は、脂質の減少促進あるいは生殖機能の改善に用いる方法であれば特に制限されず、例えば、ヒト用又は動物用の、食品、機能性食品、医薬品又は医薬部外品として使用することができる。ここでいう機能性食品とは、健康食品、栄養補助食品、栄養機能食品、栄養保険食品等、健康の維持あるいは食事にかわり栄養補給の目的で摂取する食品を意味する。具体的な形態としてはカプセル剤、タブレット、チュアブル、錠剤、ドリンク剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
医薬品用途としては、本実施形態の剤は、経口投与、注射、点滴、皮膚吸収等の方法で使用することができる。経口投与の場合、本実施形態の剤はハードカプセル、ソフトカプセル、錠剤の形で他の物質と混合して用いることができる。また、本実施形態の剤は、飲料、点滴液、注射液として使用することもできる。
このなかで、本実施形態の剤は、飲料、ソフトカプセル、または錠剤として、経口で摂取する態様が好ましい。
本実施形態の剤は、医薬及び食品などとして有用であり、その適用対象は哺乳動物であり得る。このような哺乳動物としては、例えば、霊長類(例えば、ヒト、サル、チンパンジー)、げっ歯類(例えば、マウス、ラット、モルモット)、ペット(例、イヌ、ネコ、ウサギ)、使役動物又は家畜(例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ)が挙げられるが、本実施形態ではヒトが好ましい。尚、ヒト以外の哺乳動物に適用する場合、本実施形態の剤の投与量(摂取量)は、動物の体重又は大きさに応じて適宜加減すればよい。
〔組成物〕
本実施形態の剤は、製剤上の必要に応じて、薬学的に許容される担体を適宜用いて常法により製剤化し、組成物とすることができる(以下、「本実施形態の組成物」と称する)。これにより、本実施形態の組成物は、本実施形態の剤を含有しているということができる。本実施形態の組成物は、本実施形態の剤を含むことから、本実施形態の剤により発揮される効果をすべて有することができる。すなわち、本実施形態の組成物は、脂質減少促進作用や生殖機能改善作用を有する。ここで、「脂質減少促進」及び「生殖機能改善」とは、上記したとおりである。
上記担体は、製剤(組成物)の剤形により適宜選択することができ、特に限定されないが、例えば、賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、溶剤、安定化剤、溶解補助剤、酸化防止剤、着色剤、着香剤、甘味剤等の添加剤が挙げられる。
賦形剤としては、特に制限されないが、例えば、糖類(白糖、乳糖、ブドウ糖、マンニトール等)、デンプン(コーンスターチ等)、結晶セルロース、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウムなどが挙げられる。
結合剤としては、特に制限されないが、例えば、α化デンプン、ゼラチン、トラガントガム、アラビアゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
滑沢剤としては、特に制限されないが、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ、硬化植物油などが挙げられる。
崩壊剤としては、特に制限されないが、例えば、デンプン、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、寒天、クエン酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、デキストリンなどが挙げられる。
溶剤としては、特に制限されないが、例えば、水、エタノール、グリセロール、生理食塩水、大豆油などが挙げられる。
安定化剤としては、特に制限されないが、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エチル、プロピレングルコールなどが挙げられる。
溶解補助剤としては、特に制限されないが、例えば、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸などが挙げられる。
酸化防止剤としては、特に制限されないが、例えば、アスコルビン酸、トコフェロール、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、クエン酸などが挙げられる。
着色剤、着香剤、及び甘味剤としては、医薬及び食品分野において通常添加することが許容されているものがそれぞれ挙げられる。
本実施形態の組成物におけるPQQ及び/又はその塩の含有量は、本実施形態の組成物の全重量に対し、好ましくは0.10〜99.99質量%であり、より好ましくは0.60〜99.90質量%であり、さらに好ましくは1.00〜99.90質量%である。本実施形態の剤におけるPQQ及び/又はその塩の含有量はその物質の重量として取り扱う。したがって、PQQの塩をPQQの遊離体(フリー体)に換算する必要はなく、また、PQQの塩が水和物を形成している場合は、水分子を含んだ形で重量を算出するものとする。
本実施形態の組成物は、医薬(即ち、医薬組成物)として使用することができる。この場合、本実施形態の医薬組成物は、肥満症に関連する疾患の予防又は治療薬として取り扱うことが可能であり、かかる疾患は上述したとおりである。また、本実施形態の組成物は、生殖機能改善に関する治療薬として取り扱うことも可能である。
本実施形態の医薬組成物の投与方法としては、特に限定されるものではなく、一般に経口投与による投与方法が挙げられるが、対象患者の状態、重症度等に応じて、非経口投与(血管内(静脈内、動脈内)投与、皮下投与、経皮投与、直腸内投与等)を適宜選択してもよい。有効成分であるPQQ及び/又はその塩はいずれも飲食可能であることから、本実施形態では経口投与を採用することが好ましい。
本実施形態の医薬組成物の剤形は、特に限定されず、投与方法に適した形態にすることができる。経口投与に適した形態としては、例えば、錠剤、ロゼンジ、硬質又は軟質カプセル、水性又は油性懸濁液、乳液、分散性粉末又は顆粒、シロップ又はエリキシルなどが挙げられる。非経口投与に適した形態としては、例えば、非経口注射に適した形態として、静脈内、皮下、筋肉内、血管内又は注入投与のための滅菌溶液、懸濁液、乳液などが、経皮投与に適した形態として、クリーム、軟膏、ゲル、水性又は油性の液剤(懸濁液を含む)などが挙げられる。
本実施形態の組成物はまた、飲食品(即ち、飲食品組成物)として使用することもできる。この場合、本実施形態の飲食品組成物は、上述した薬学的に許容される担体に加えて、飲食品の分野において通常使用される担体を用いて常法により製剤化することができる。
本実施形態における飲食品は、飲食品全般を意味するが、いわゆる健康食品を含む一般食品の他、消費者庁に規定されている特別用途食品(特定保健用食品、病者用食品、えん下困難者用食品など)や栄養機能食品をも含むものであり、さらにサプリメント、飼料等も本実施形態の飲食品に包含される。
本実施形態の飲食品組成物は、その剤形は特に限定されず、細粒剤、顆粒剤、丸剤、錠剤(コーティング錠、糖衣錠を含む)、カプセル剤(ハードカプセル、ソフトカプセル、マイクロカプセルを含む)、飲料、ドリンク剤、液剤(シロップ剤、乳剤、懸濁剤を含む)、粉末食品、ゼリー、飴等の剤形とすることができる。
本実施形態の剤及び組成物の投与量(摂取量)は、特に限定されず、体内において脂質減少促進作用や生殖機能改善作用が発現することができる有効量の範囲内であればよく、対象の個人差、症状、投与方法等に応じて適宜設定することができる。また、1日あたりの投与量(摂取量)は、一度にもしくは数回(例えば、2、3回)に分けて投与(摂取)することができる。本実施形態の剤及び組成物の投与(摂取)は、食前、食後及び食間を問わず、またその期間は、本実施形態の効果が奏される限りにおいて特に限定されない。以下、本明細書において用語「投与」が使用される場合は、該用語は「摂取」の概念も包含することを意味する。
上述したとおり、PQQ及び/又はその塩は別個の製剤に製剤化することができ、その場合、本実施形態において両製剤は併用されることができる。PQQ及び/又はその塩及びカフェインは同時に投与されてもよく、或いはいずれかの順序で逐次的に投与されることもできる。
本実施形態の剤及び組成物を使用する場合はまた、脂質減少促進作用や生殖機能改善作用を有する既存の成分と併用することも可能である。そのような場合、本実施形態の剤及び組成物と上記既存の成分とを投与する順序は、同時又は別々であってもよい。別々の場合、本実施形態の剤及び組成物の投与は、上記既存の成分の前又は後のいずれでもよい。
脂質減少促進作用に関する既存の成分としては、特に制限されないが、例えば、茶抽出物、カカオ抽出物、コーヒー豆マンノオリゴ糖、りんご由来プロシアニジン、糖転移ヘスペリジン、レスベラトロール、グリーンシトラスエキス、シトラスナリジニン、グルコサミン、キノコキトサン、キトサン、ジアシルグリセロール、中鎖脂肪酸、EPA、DHA、大豆蛋白、植物ステロール(β−シトステロール等)、サイリウム種皮由来食物繊維、低分子化アルギン酸ナトリウム、ガラナ、ショウキョウ、ガルシニア、グロビン蛋白分解物、カルニチン、α−リポ酸、植物スタノールエステル、リン脂質結合大豆ペプチド又はこれらの組み合わせ等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、これらは単なる例示であって、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
本実施例で用いるピロロキノリンキノン二ナトリウム塩は、三菱瓦斯化学製BioPQQ(以下、「PQQ」ともいう。)を使用した。また、その他の化合物については、特に断りのない限り和光純薬工業株式会社製の試薬を使用した。
本実施例では、脂質減少促進試験にオオミジンコ(学名:Daphnia magna)を使用した。オオミジンコの餌となるクロレラ(学名:Chlorella vulgaris)は有限会社日海センターの製品を使用した。具体的には、親のオオミジンコを、ライト条件8時間、暗条件16時間を一日のサイクルとして、水温22度の水槽中で育成した。餌となるクロレラは、月、水、金曜日に8×107個を与えた。水槽の飼育水は一週間に一回の頻度で交換した。そして、このような飼育条件下において、親のオオミジンコから生まれた子のオオミジンコを以下の実施例において用いた。
〔実施例1〕高い餌濃度−PQQ存在下での飼育
子のオオミジンコ20匹を、ライト条件8時間、暗条件16時間を一日のサイクルとして、500mLのミネラル水(水温22度)で飼育した。餌となるクロレラは、オオミジンコ一匹当たり、8×105〜9×105個/日となるように、毎日与えた。飼育開始から48時間後(2日後)に、濃度15mg/Lとなるように、飼育水にピロロキノリンキノン二ナトリウムを添加し、引き続き餌となるクロレラもオオミジンコ一匹当たり8×105〜9×105個/日与え続けた。飼育水にピロロキノリンキノン二ナトリウムを添加し始めてから4日後、ナイルレッドを使用してオオミジンコの脂肪を染色した。
〔比較例1〕高い餌濃度−PQQなし条件下での飼育
子のオオミジンコ20匹を、ライト条件8時間、暗条件16時間を一日のサイクルとして、500mLのミネラル水(水温22度)で飼育した。餌となるクロレラは、オオミジンコ一匹当たり、8×105〜9×105個/日となるように、毎日与えた。飼育開始から6日後、ナイルレッドを使用して脂肪を染色した。
〔実施例2〕
餌となるクロレラを、オオミジンコ一匹当たり、2×105個/日となるように、毎日与えたこと以外は、実施例1と同様にしてオオミジンコを飼育し、ナイルレッドを使用してオオミジンコの脂肪を染色した。
〔比較例2〕
餌となるクロレラを、オオミジンコ一匹当たり、2×105個/日となるように、毎日与えたこと以外は、比較例1と同様にしてオオミジンコを飼育し、ナイルレッドを使用してオオミジンコの脂肪を染色した。
〔実施例3〕
餌となるクロレラを、オオミジンコ一匹当たり、4×104個/日となるように、毎日与えたこと以外は、実施例1と同様にしてオオミジンコを飼育し、ナイルレッドを使用してオオミジンコの脂肪を染色した。
〔比較例3〕
餌となるクロレラを、オオミジンコ一匹当たり、4×104個/日となるように、毎日与えたこと以外は、比較例1と同様にしてオオミジンコを飼育し、ナイルレッドを使用してオオミジンコの脂肪を染色した。
〔脂肪量の測定〕
非特許文献3に準じて脂肪量の測定をした。実施例1〜3及び比較例1〜3で飼育したオオミジンコを、ナイルレッド0.5mg/Lを含む水溶液2mLに加え、2時間処理した。その後、水洗いをして各オオミジンコを取り出した。そして、オオミジンコ一匹当たり300μLの水を加え、15分超音波を当てることにより粉砕した。粉砕液を遠心分離して上澄みを取り出した。これをプレートリーダーにより485nm励起/535nm検出により蛍光強度を測定した。この測定作業をオオミジンコ20匹に対して行った。その結果を図1に示す。
図1に示すように、餌の量にかかわらず、飼育途中からPQQを添加した飼育水を用いて飼育したオオミジンコの脂肪量は低い値であることが分かった。特に、高程度の餌の量(実施例1、比較例1)と中程度の餌の量(実施例2、比較例2)では、PQQの添加により脂肪量が優位に減少していた。
また、PQQの添加が脂肪減少に関与していることを確かめるために、Student−T検定を行った。具体的には、PQQを添加して育てたオオミジンコの脂肪量と、同量の餌量でPQQを添加せずに育てたオオミジンコの脂肪量とに差がないという帰無仮説を設定し、Student−T検定を行った。その結果、実施例1と比較例1、実施例2と比較例2、実施例3と比較例3のいずれの場合においても、p<0.05となり、PQQを添加せずに育てたオオミジンコに対して、PQQを添加して育てたオオミジンコの脂肪量減少には、統計的に有意な差がみられることが確認された。なお、図1中の「N.S.」は、not significantの略であり、「*」は0.01≦p<0.05であることを示し、「**」はp<0.01であることを示す。以上の結果より、PQQは体内の脂肪を分解する、即ち、体脂肪の減少作用を有することが示唆された。
なお、上記試験においてオオミジンコは常に運動をしている状態であり、ヒトの運動強度に例えると3メッツ以上の運動をしている状態と考えられる。
〔蛍光顕微鏡写真〕
実施例1〜3と比較例1〜3で飼育したオオミジンコの蛍光顕微鏡写真を図2に示す。なお、図2(a)と(b)は同じ視野の顕微鏡写真であって、図2(a)は、ナイルレッドによる蛍光を撮影した蛍光顕微鏡写真であり、図2(b)は、通常の顕微鏡写真である。図2に示されるように、餌の量が多くなるにつれ、オオミジンコの個体の大きさが大きく、蓄えられる脂肪量も多くなることが分かる。また、図2(a)と(b)の対比から、餌の量が同一である場合には、PQQを添加して育てたオオミジンコの方が染色される脂肪量は少なくなることが分かる。この顕微鏡写真から得られた結果は、上記プレートリーダーの結果と同様であった。
〔体長測定〕
実施例1〜3比較例1〜3で飼育したオオミジンコの体長測定を行った。その結果を図3に示す。また、オオミジンコの体長においてもPQQの添加が関与しているか否かを確かめるために、Student−T検定を行った。その結果、体長に関してはPQQ添加の有無にかかわらず、有意差は存在しないことが分かった(p>0.05)。図3中の「N.S.」は、not significantの略である。また、PQQによってオオミジンコの体長に有害な影響は確認されなかった。
〔PQQ添加有無による生存率と卵の量〕
オオミジンコの産卵する卵の量は個体の健康状態と比例する。そこで、オオミジンコの生存率と卵の量を測定した。
〔実施例4〕
子のオオミジンコを一匹ずつ、ライト条件8時間、暗条件16時間を一日のサイクルとして、50mLのミネラル水(水温22度)で飼育した。飼育開始から7日間は、餌となるクロレラを、オオミジンコ一匹当たり、1×105個/日となるように、毎日与えた。そして、飼育開始から8〜14日間は、クロレラの量を、オオミジンコ一匹当たり、5×105個/日に増やして、毎日与えた。また、飼育開始から8〜14日間は、濃度1.5mg/Lとなるように、飼育水にピロロキノリンキノン二ナトリウムも添加した。なお、飼育水の交換は、週3回行った。
〔比較例4〕
飼育開始から8〜14日間において、飼育水にピロロキノリンキノン二ナトリウムを添加しなかったこと以外は、実施例4と同様の条件でオオミジンコを育てた。
実施例4及び比較例4の条件でオオミジンコを14日間飼育し、オオミジンコの生存と卵の数を確認した。オオミジンコの生存を図4に示し、卵の数を図5に示す。図4に示すように、PQQ添加の有無にかかわらずオオミジンコの生存率は100%であった。また、図5に示すように、PQQを添加した飼育水で飼育されたオオミジンコの方が、卵の数が多くなることが分かった。このことから、PQQを添加した飼育水で飼育されたオオミジンコの固体はより健康な状態であることが分かる。また、オオミジンコの健康状態においてもPQQの添加が関与しているか否かを確かめるために、Student−T検定を行った。その結果、PQQを添加せずに育てたオオミジンコに対して、PQQを添加して育てたオオミジンコの健康状態の向上には、統計的に有意な差がみられることが確認された。図5中の「**」はp<0.01であることを示す。また、図5中の1st brood 及び2nd broodは、それぞれ一回目と二回目の産卵を意味する。
また、上記試験において、PQQを添加した飼育水で飼育されたオオミジンコの卵の数が有意に増えていることから、PQQには生殖機能の改善効果があることも分かった。
(実施例5)肥満関連遺伝子解析
脂質減少促進の予想されているメカニズムとしてはミトコンドリアを豊富に新生し、ミトコンドリア脱共役タンパク質(UCP1)の高発現により熱産生を行い、脂肪を分解するというものである。UCP1は主に褐色脂肪細胞に存在し、ミトコンドリア内での脂肪燃焼(熱産生)に必要なタンパク質である。本検討では、オオミジンコを用いてPQQの影響によるUcp1の発現変化を調べた。
遺伝子発現を測定するリアルタイムPCR実験のため、ターゲット遺伝子(Ucp1)のプライマー配列を設計した。ホモサピエンスのUCP1タンパク配列はNational Center for Biotechnology Information (NCBI)のウェブサイトから収得した。その配列を利用してオオミジンコのゲノムデータベース(wFleaBase: Daphnia Water Flea Genome Database)でミジンコにあるUcp1遺伝子を検索した。表1に記載した配列はPCR primer design tool (https://www.eurofinsgenomics.eu/en/ecom/tools/pcr-primer-design/)を使ってオオミジンコのUcp1遺伝子に対応したプライマーの配列である。B−actin遺伝子はリアルタイムPCR分析の内部参照遺伝子として利用した。
Figure 2021078397
RNA抽出サンプル:
PQQ存在下での飼育とPQQなし条件下での飼育(コントロール)を行った。PQQ存在下での飼育では子のオオミジンコ10匹を、ライト条件8時間、暗条件16時間を一日のサイクルとして、300mLのミネラル水(水温22度)で飼育した。餌となるクロレラは、オオミジンコ一匹当たり、1×106個/日となるように、毎日与えた。7日後に、濃度20mg/Lとなるように、飼育水にPQQを添加し、引き続き餌となるクロレラもオオミジンコ一匹当たり1×106個/日与え続けた。飼育水にPQQを添加し始めてから3日後、1匹ずつ2mLチューブ移し、水を抜いた。Total RNA抽出実験まで−80℃に保存した。
PQQなし条件下では子のオオミジンコ10匹を、ライト条件8時間、暗条件16時間を一日のサイクルとして300mLのミネラル水(水温22度)で飼育した。餌となるクロレラは、オオミジンコ一匹当たり、1×106個/日となるように、毎日与えた。飼育開始から10日後、ナイルレッドを使用して脂肪を染色した。1匹ずつ2mLチューブ移し、水を抜いた。Total RNA抽出実験まで−80℃に保存した。
PQQなし条件下で飼育したオオミジンコ(コントロール)とPQQ存在下で飼育したオオミジンコの3つのサンプルからRNAをそれぞれ抽出した。サンプルを入れた2mLチューブに1mL Sepasol-RNA I Super G(ナカライ)を加え、プラスチックのホモジナイザーペッスルでオオミジンコをつぶした。室温で5分間を放置した後、200uLフェノールクロロホルムイソアミルアルコール(ナカライ)を加え、30秒間激しく振盪して混和した。室温で3分間放置した後、遠心(12,000×g,15分間,4°C)して上清を新しいチューブに移した。上清に対して、上清と同じ容量のイソプロパノールを加えてゆっくりで混和した。室温で10分間放置した後、さらに遠心(12,000×g,5分間,4°C)して上清を除去し、沈殿したRNAを得た。RNAの沈殿物は70%エタノール1mLで洗い、もう一度遠心(12,000×g,5分間,4°C)して上清を除去した。数分RNAを風乾して25μL純水(RNAse-free water)で懸濁した。各サンプルにはオオミジンコ1匹から得られたTotal RNA2〜6ugが含まれていた。各サンプルよりRNA10〜50ngを用い、1ステップリアルタイムPCRを行った。
遺伝子発現を測定するため、One Step TB Green PrimeScript RT-PCR Kit II (タカラバイオ(株))のリアルタイム RT−PCR 専用キットを利用した。プライマーセットを使ってUcp1の発現量を測定した。PCR反応(n=2)はキットマニュアル通りに実施し、反応チューブを軽く遠心後、Thermal Cycler Dice Real Time System (タカラバイオ(株))にセットし、下記の反応条件を行った。
・Pattern 1:逆転写反応(Hold;42℃ 5分→95℃ 10秒)
・Pattern 2:PCR反応(40Cycles;95℃ 5秒→60℃ 30秒)
・Pattern 3:Dissociation
遺伝子発現解析においてCt値はRT−PCRから求めて2-ΔΔCT法により遺伝子発現相対比を計算した。結果、B−actinを参照遺伝子として設定すると、PQQを与えたサンプルにはコントロールと比較して目的遺伝子Ucp1の発現量が1.25倍増加した(p−value=0.3)。PQQがオオミジンコのUcp1発現増加を行うことと考えられる。
Figure 2021078397
〔実施例6〕脂質取り込みへの影響評価
体脂肪の蓄積は脂肪の取り込みを阻害することによっても防ぐことができる。脂質は体に取り込まれるとき、体内の酵素(リパーゼ)によって分解される。そのため、PQQがリパーゼの阻害作用を有しているのであれば、PQQは体内への脂肪の取り込みを抑制していると推察される。そこでPQQを使用してリパーゼ阻害試験を行った。
試験には、リパーゼ(豚膵臓由来:東京化成 RN=9002−62−1)を使用した。SBバイオサイエンス製のリパーゼキットSを使用して実験した。以下、溶液名、プロトコールはキットのスケール1/2でリパーゼと試験サンプルの混合を評価する方法にモディファイした。
リン酸バッファー(PBS:GIBCO製pH7.2)を使用し、PQQを所定量溶かし、試験液を調製した。リパーゼ10mg/L水溶液40μLと試験液25μLを混合し、さらに、発色液500μLエラスターゼ阻害剤10μLを混合した。30℃5分処理したのち、基質液50μL加えた。これを30分間インキュベートした。阻害液1mLをさらに加え、吸光度412nmで測定した。盲検としてリパーゼと試験液を阻害液投入後に加えるものを準備した。試験液をPQQなし(PBS)のみの吸光度を100%として酵素活性を評価した。
Figure 2021078397
以上の結果から、PQQにより酵素反応の阻害は見られなかった。また、高濃度のPQQを使用した場合においても盲検では3%の影響で測定への影響はほとんどないことが分かった。この試験により、PQQのリパーゼ阻害活性は確認されず、PQQが直接的に脂肪吸収を阻害しているとは考えられないことが分かった。
(実施例7) 運動能力評価
実施例5で記載したPQQなし条件下で飼育したオオミジンコ(コントロール)とPQQ存在下で飼育したオオミジンコを利用した。二つの100mmプラスチックシャーレに15mLのミネラルウォーターをそれぞれを入れ、そこにそれぞれのPQQなし条件下で飼育したオオミジンコ(コントロール)とPQQ存在下で飼育したオオミジンコを1匹ずつ移した。シャーレは隣同士に置き、1分間のミジンコの動きを録画した。これを違う個体を用いて3回繰り返した。そしてKinovea動画分析ソフトを用いてミジンコの30秒間移動距離を分析した。
Figure 2021078397
上記のとおり、PQQ摂取によりオオミジンコの運動量の減少は見られず、寧ろPQQ摂取により約1.2倍の運動量の向上が認められた。これによれば、PQQ摂取によってオオミジンコの運動機能が向上した可能性がある。また、脂肪減少は運動量が増えた影響と代謝活性の複合的な効果とも考えられる。なお、オオミジンコの動き自体は通常の運動であり、ヒトでいうところの通常の歩行と見做せるものと考えられる。
本発明の剤は、脂質の減少促進剤あるいは生殖機能の改善剤として、産業上の利用可能性を有する。

Claims (7)

  1. ピロロキノリンキノン及び/又はその塩を有効成分として含む、脂質減少促進剤。
  2. 前記ピロロキノリンキノンの塩が、ピロロキノリンキノン二ナトリウム塩である、請求項1に記載の剤。
  3. 運動強度3メッツ以上の運動をしているとき、または、前記運動の開始前1時間以内もしくは終了後1時間以内に摂取する、請求項1又は2に記載の剤。
  4. 前記脂質減少促進が、体脂肪代謝促進である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の剤。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の剤を含む、組成物。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の剤を使用する、脂質の減少促進方法。
  7. ピロロキノリンキノン及び/又はその塩を有効成分として含む、生殖機能改善剤。
JP2019208089A 2019-11-18 2019-11-18 脂質減少促進剤 Pending JP2021078397A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019208089A JP2021078397A (ja) 2019-11-18 2019-11-18 脂質減少促進剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019208089A JP2021078397A (ja) 2019-11-18 2019-11-18 脂質減少促進剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021078397A true JP2021078397A (ja) 2021-05-27

Family

ID=75961580

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019208089A Pending JP2021078397A (ja) 2019-11-18 2019-11-18 脂質減少促進剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021078397A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113813261A (zh) * 2021-09-15 2021-12-21 常州市妇幼保健院 吡咯喹啉醌在预防和/或治疗女性生殖功能障碍的用途

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113813261A (zh) * 2021-09-15 2021-12-21 常州市妇幼保健院 吡咯喹啉醌在预防和/或治疗女性生殖功能障碍的用途

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5145035B2 (ja) β−クリプトキサンチンの使用
EP1785132A1 (en) Constitutional function-improving agents
EP2050444B1 (en) Fatigue-reducing agent
CN102781438A (zh) 用于阿尔茨海默病和脑衰老的补给疗法
ES2314485T3 (es) Composiciones que comprenden acido pantotenico o derivados del mismo y su uso para estimular el apetito.
WO2001087291A1 (fr) Compositions permettant de regulariser le rythme circadien
EA025256B1 (ru) Композиция, подходящая для лечения нарушений липидного обмена
EP2532351B1 (en) Agent for improving motility function
KR101695848B1 (ko) 진세노사이드 f2를 포함하는 비알코올성 간 질환 또는 인슐린 저항성의 예방 또는 치료용 조성물
WO2007119588A1 (ja) 脳機能改善剤及び該改善剤を含有する機能性食品
EP1378236B1 (en) Agents against stress-induced diseases
JP2021078397A (ja) 脂質減少促進剤
JP5922862B2 (ja) ミトコンドリア機能向上剤
JP2010222284A (ja) 血中gip上昇抑制剤
EP1327443A1 (en) Therapeutic or preventing agent for the diseases caused by a decrease in the expression level of the klotho protein
JP2007070253A (ja) 肥満、糖尿病の予防・治療剤
JP2008056628A (ja) 睡眠誘導剤、ストレス性不眠症改善剤
WO2020218148A1 (ja) 過酸化脂質生成抑制剤
JP2005082495A (ja) 脳細胞保護のための組成物
WO2007001006A1 (ja) 重金属障害改善剤およびそれを含有する医薬組成物、食品、化粧料
JP7344661B2 (ja) 食品組成物の製造方法
JP6391959B2 (ja) 非アルコール性脂肪性肝炎の改善剤および改善用栄養組成物
WO2022224776A1 (ja) 脂質減少促進剤
JP2007230954A (ja) 睡眠誘導剤及びストレス性不眠症改善剤
CN110831587A (zh) 用于预防肥胖症的甜菜碱

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200701

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20221014

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230922

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230926

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20231116

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20240117

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240411

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20240418