JP2021070257A - 積層フィルム及び包装体 - Google Patents

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Masato Miyawaki
誠人 宮脇
雅彦 岡崎
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雅彦 岡崎
雅也 藤原
Masaya Fujiwara
雅也 藤原
龍祐 西田
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龍祐 西田
正弘 平原
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正弘 平原
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Abstract

【課題】見栄えがよく、かつ、内容物の品質の低下を抑制できる積層フィルム及び包装体。【解決手段】2軸延伸ポリエステルフィルム又はポリカーボネートフィルムからなる基材10と、基材10の一方の面に位置するシーラント材40と、基材10とシーラント材40との間に位置するコーティング層20と、コーティング層20とシーラント材40との間に位置する接着剤層30と、を備え、コーティング層20は、特定の紫外線吸収剤を含有し、接着剤層30は、ウレタン系の接着剤の硬化物であり、接着剤層30における未反応のイソシアネート基の含有量が、生成されたウレタン基の含有量に対して、3〜30モル%であり、シーラント材40は、特定の樹脂からなる群より選択される1種以上であり、シーラント材40のヘーズ値が10%以下であり、グロス値が120%以上である、積層フィルム1。【選択図】図1

Description

本発明は、積層フィルム及び包装体に関する。
近年、プラスチック製の包装体に、食品や薬剤が収容される機会が増えている。食品や薬剤等の内容物は、紫外線や酸素によって品質の低下を引き起こすことが知られている。
例えば、油脂は紫外線の影響を強く受け、酸化劣化が進行する。天然色素は、紫外線に対して不安定なものが多く、変色するおそれがある。ある種のワクチンは、紫外線で分解しやすい。
このような問題に対して、紫外線を遮断することは有効である。例えば、特許文献1には、紫外線吸収剤をガスバリア性フィルムに塗布することで、紫外線を吸収できる積層フィルムが提案されている。
特許文献2には、平均粒径が0.4μm以上の無機金属微粒子を紫外線遮光インキ層に添加することで、紫外線を遮断できる積層フィルムが提案されている。
特開2008−254298号公報 特開2013−75453号公報
しかしながら、特許文献1の積層フィルムを用いた包装体では、内容物を外部から視認できるものの、内容物の品質の低下を充分に抑制できない。特許文献2の積層フィルムを用いた包装体では、内容物の品質の低下を抑制できるものの、内容物を外部から視認できない。
また、包装体の表面が光沢を有していると、光線を遮断しやすい。しかし、光沢を有する包装体は、内容物を外部から視認しにくい。内容物を外部から視認でき、かつ、表面が光沢を有していると、見栄えがよい。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、見栄えがよく、かつ、内容物の品質の低下を抑制できる積層フィルム及び包装体を目的とする。
鋭意検討を重ねた結果、本発明者等は、以下の構成を備える積層フィルムが、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明の包装体用フィルムは、以下の構成を有する。
[1]2軸延伸ポリエステルフィルム又はポリカーボネートフィルムからなる基材と、前記基材の一方の面に位置するシーラント材と、前記基材と前記シーラント材との間に位置するコーティング層と、前記コーティング層と前記シーラント材との間に位置する接着剤層と、を備え、前記コーティング層は、ピロリジン−アミド系の紫外線吸収剤を含有し、前記接着剤層は、炭素−炭素二重結合を有するポリエステルポリオールとイソシアネート基を有する化合物とを含有する接着剤の硬化物であり、前記接着剤層における未反応のイソシアネート基の含有量が、生成されたウレタン基の含有量に対して、3〜30モル%であり、前記シーラント材は、線状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、ヒートシーラブルポリエチレンテレフタレート、及びヒートシーラブルエチレン−ビニルアルコール共重合体からなる群より選択される1種以上であり、前記シーラント材のヘーズ値が10%以下であり、グロス値が120%以上である、積層フィルム。
[2]前記コーティング層の厚さが0.1μm以上5.0μm未満である、[1]に記載の積層フィルム。
[3]前記紫外線吸収剤の含有量が前記コーティング層の質量に対して、3〜30質量%である、[1]又は[2]に記載の積層フィルム。
[4]前記基材のグロス値が120%以上である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の積層フィルム。
[5][1]〜[4]のいずれか一項に記載の積層フィルムが製袋された包装体。
本発明の積層フィルムによれば、見栄えがよく、かつ、内容物の品質の低下を抑制できる。
本発明の一実施形態に係る積層フィルムの断面図である。
本発明の積層フィルムは、基材と、基材の一方の面に位置するシーラント材と、基材とシーラント材との間に位置するコーティング層と、コーティング層とシーラント材との間に位置する接着剤層とを備える。
以下、本発明の積層フィルムについて、実施形態を挙げて説明する。
≪積層フィルム≫
本発明の一実施形態に係る積層フィルムについて、図面を参照して説明する。
図1の積層フィルム1は、基材10と、コーティング層20と、接着剤層30と、シーラント材40とがこの順で積層されたものである。すなわち、積層フィルム1は、基材10と、基材10の一方の面に位置するシーラント材40と、基材10とシーラント材40との間に位置するコーティング層20と、基材10とシーラント材40との間に位置する接着剤層30とを備える。
積層フィルム1の厚さTは、特に限定されないが、例えば、35〜250μmが好ましく、40〜200μmがより好ましく、50〜150μmがさらに好ましい。積層フィルム1の厚さTが上記下限値以上であると、積層フィルム1の強度をより高められる。積層フィルム1の厚さTが上記上限値以下であると、積層フィルム1の透明性をより高められる。積層フィルム1の透明性が高いと、内容物を外部から視認しやすい。
積層フィルム1の厚さTは、例えば、シックネスゲージ等で測定できる。
積層フィルム1のグロス値は、120%以上であり、140%以上が好ましく、160%以上がより好ましい。積層フィルム1のグロス値が上記下限値以上であると、紫外線を遮断しやすい。加えて、積層フィルム1のグロス値が上記下限値以上であると、見栄えをよくしやすい。積層フィルム1のグロス値の上限値は、特に限定されないが、実質的には200%である。
なお、グロス値は、表面の光沢を表す指標であり、グロス値が大きいほど、表面の光沢度が高い。本明細書において、グロス値は、ASTM D2457に記載の方法に準じて、入射角20°で測定される値である。
積層フィルム1のグロス値は、基材10の材質や厚さ、表面粗さ、コーティング層20の厚さ、及びこれらの組合せにより調整できる。
<基材>
基材10は、2軸延伸ポリエステルフィルム又はポリカーボネートフィルムからなる。基材10として2軸延伸ポリエステルフィルム又はポリカーボネートフィルムを用いることで、基材10のグロス値をより高めやすい。
2軸延伸ポリエステルフィルムとしては、例えば、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(2軸延伸PET)、2軸延伸ポリブチレンテレフタレート(2軸延伸PBT)、2軸延伸ポリエチレンナフタレート(2軸延伸PEN)、2軸延伸ポリブチレンナフタレート(2軸延伸PBN)、2軸延伸ポリエチレンフラノエート(2軸延伸PEF)等が挙げられる。2軸延伸ポリエステルフィルムとしては、グロス値をより高めやすい観点から、2軸延伸PET、2軸延伸PBTが好ましく、2軸延伸PETがより好ましい。
ポリカーボネートフィルムとしては、例えば、ピュアエース(登録商標)(帝人株式会社製)等が挙げられる。
基材10が2軸延伸ポリエステルフィルムの場合、MD方向(フィルムを製造する際の流れ方向)の延伸倍率は、2.0超4.0以下が好ましく、2.5〜3.5がより好ましく、3.0〜3.5がさらに好ましい。MD方向の延伸倍率が上記下限値以上であると、基材10の表面の光沢度を高めやすい。すなわち、積層フィルム1の見栄えをよくしやすい。MD方向の延伸倍率が上記上限値以下であると、基材10の透明性をより高められる。
2軸延伸ポリエステルフィルムのTD方向(MD方向に垂直な方向)の延伸倍率は、2.0超4.0以下が好ましく、2.5〜3.5がより好ましく、3.0〜3.5がさらに好ましい。TD方向の延伸倍率が上記下限値以上であると、基材10の表面の光沢度を高めやすい。すなわち、積層フィルム1の見栄えをよくしやすい。TD方向の延伸倍率が上記上限値以下であると、基材10の透明性をより高められる。
2軸延伸ポリエステルフィルムのMD方向の延伸倍率とTD方向の延伸倍率とは、同じでもよく、異なっていてもよい。
基材10の厚さT10は、材質や構成等を勘案して決定され、例えば、5〜100μmが好ましく、10〜50μmがより好ましい。基材10の厚さT10が上記下限値以上であると、積層フィルム1の強度をより高められる。基材10の厚さT10が上記上限値以下であると、積層フィルム1の透明性をより高められる。
基材10の厚さは、例えば、シックネスゲージで測定できる。
基材10のグロス値は、例えば、120%以上が好ましく、140%以上がより好ましく、160%以上がさらに好ましい。基材10のグロス値が上記下限値以上であると、紫外線を遮断しやすい。加えて、基材10のグロス値が上記下限値以上であると、積層フィルム1の見栄えをよくしやすい。基材10のグロス値の上限値は、特に限定されないが、実質的には、200%である。
基材10のグロス値は、基材10の材質や延伸倍率、表面粗さ、及びこれらの組合せにより調整できる。
基材10のヘーズ値は、例えば、10%以下が好ましく、5%以下がより好ましい。基材10のヘーズ値が上記上限値以下であると、積層フィルム1の透明性をより高められる。基材10のヘーズ値の下限値は小さいほど好ましいが、実質的には、2%である。
なお、ヘーズ値は、材料の透明度を表す指標であり、ヘーズ値が小さいほど材料の透明度が高い。本明細書において、ヘーズ値は、JIS K7136:2000に記載の方法に準じて測定される値である。
基材10のヘーズ値は、基材10の材質や延伸倍率、厚さ、表面粗さ、及びこれらの組合せにより調整できる。
基材10の全光線透過率は、例えば、85%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。基材10の全光線透過率が上記下限値以上であると、積層フィルム1の透明性をより高められる。基材10の全光線透過率の上限値は100%以下であるが、実質的には、95%である。
なお、全光線透過率は、透明材料を透過する光の透過率を表す指標であり、全光線透過率が大きいほど透明材料の透明度が高い。本明細書において、全光線透過率は、JIS K7361−1:1997に記載の方法に準じて測定される値である。
基材10の全光線透過率は、基材10の材質や延伸倍率、厚さ、表面粗さ、及びこれらの組合せにより調整できる。
<コーティング層>
コーティング層20は、コーティング組成物の硬化物である。コーティング組成物は、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン等の揮発性の有機溶媒に、ポリウレタン、ポリメタクリル酸メチル等のポリマーを溶解させた液体である。
コーティング層20は、ピロリジン−アミド系の紫外線吸収剤を含有する。コーティング層20は、ピロリジン−アミド系の紫外線吸収剤を含有することで、紫外部領域波長(380nm未満)の光線(紫外線)に加えて、可視部領域波長(380nm以上420nm以下)の光線を吸収できる。このため、紫外線のみを吸収する場合に比べて、内容物の品質の低下をより抑制できる。
ピロリジン−アミド系の紫外線吸収剤としては、例えば、下記式(I)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2021070257
式(I)中、Rは、炭素数1〜3のアルキル基、ベンジル基又はヒドロキシ基である。Rは、炭素数2〜14のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基又はヒドロキシ基である。
としては、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、エチル基がより好ましい。
としては、炭素数2〜14のアルキル基が好ましく、炭素数10〜14のアルキル基がより好ましい。
ピロリジン−アミド系の紫外線吸収剤としては、より具体的には、2−シアノ−N−ドデシル−4−(1−エチル−2−ピロリジニリデン)−2−ブテンアミド《式(I)中、R=C、R=C1225》、2−シアノ−N−ドデシル−4−(1−メチル−2−ピロリジニリデン)−2−ブテンアミド《式(I)中、R=CH、R=C1225》、2−シアノ−N−ドデシル−4−(1−プロピル−2−ピロリジニリデン)−2−ブテンアミド《式(I)中、R=C、R=C1225》、2−シアノ−N−デシル−4−(1−エチル−2−ピロリジニリデン)−2−ブテンアミド《式(I)中、R=C、R=C1021》、2−シアノ−N−テトラデシル−4−(1−エチル−2−ピロリジニリデン)−2−ブテンアミド《式(I)中、R=C、R=C1429》、2−シアノ−N−シクロヘキシル−4−(1−エチル−2−ピロリジニリデン)−2−ブテンアミド《式(I)中、R=C、R=C11》、2−シアノ−N−ドデシル−4−(1−ベンジル−2−ピロリジニリデン)−2−ブテンアミド《式(I)中、R=C、R=C1225》、2−シアノ−N−ドデシル−4−(1−エチル−2−ピロリジニリデン)−2−ブテンアミド《式(I)中、R=C、R=C1225》、2−シアノ−N−エチル−4−(1−ヒドロキシ−2−ピロリジニリデン)−2−ブテンアミド《式(I)中、R=OH、R=C》、2−シアノ−N−ヒドロキシ−4−(1−エチル−2−ピロリジニリデン)−2−ブテンアミド《式(I)中、R=C、R=OH》等が挙げられる。
ピロリジン−アミド系の紫外線吸収剤としては、2−シアノ−N−ドデシル−4−(1−エチル−2−ピロリジニリデン)−2−ブテンアミド《式(I)中、R=C、R=C1225》、2−シアノ−N−ドデシル−4−(1−メチル−2−ピロリジニリデン)−2−ブテンアミド《式(I)中、R=CH、R=C1225》、2−シアノ−N−ドデシル−4−(1−プロピル−2−ピロリジニリデン)−2−ブテンアミド《式(I)中、R=C、R=C1225》、2−シアノ−N−デシル−4−(1−エチル−2−ピロリジニリデン)−2−ブテンアミド《式(I)中、R=C、R=C1021》、2−シアノ−N−テトラデシル−4−(1−エチル−2−ピロリジニリデン)−2−ブテンアミド《式(I)中、R=C、R=C1429》が好ましく、2−シアノ−N−ドデシル−4−(1−エチル−2−ピロリジニリデン)−2−ブテンアミド《式(I)中、R=C、R=C1225》、2−シアノ−N−ドデシル−4−(1−メチル−2−ピロリジニリデン)−2−ブテンアミド《式(I)中、R=CH、R=C1225》、2−シアノ−N−ドデシル−4−(1−プロピル−2−ピロリジニリデン)−2−ブテンアミド《式(I)中、R=C、R=C1225》がより好ましく、2−シアノ−N−ドデシル−4−(1−エチル−2−ピロリジニリデン)−2−ブテンアミド《式(I)中、R=C、R=C1225》がさらに好ましい。
ピロリジン−アミド系の紫外線吸収剤の含有量は、コーティング層20の質量に対して、例えば、3〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましく、5〜15質量%がさらに好ましい。ピロリジン−アミド系の紫外線吸収剤の含有量が上記下限値以上であると、紫外線及び可視部領域波長の光線をより吸収しやすい。すなわち、内容物の品質の低下をより抑制できる。ピロリジン−アミド系の紫外線吸収剤の含有量が上記上限値以下であると、積層フィルム1の透明性をより高められる。すなわち、積層フィルム1の見栄えをよくしやすい。
コーティング層20の厚さT20は、0.1μm以上5.0μm未満が好ましく、0.5μm以上3.0μm以下がより好ましく、0.5μm以上1.5μm以下がさらに好ましい。コーティング層20の厚さT20が上記下限値以上であると、紫外線をより遮断しやすい。すなわち、内容物の品質の低下をより抑制できる。コーティング層20の厚さT20が上記上限値未満であると、積層フィルム1の透明性をより高められる。すなわち、積層フィルム1の見栄えをよくしやすい。
コーティング層20の厚さT20は、例えば、積層フィルム1を厚さ方向に切断した切断面を顕微鏡等で観察することにより測定できる。
<接着剤層>
接着剤層30は、炭素−炭素二重結合を有するポリエステルポリオールとイソシアネート基を有する化合物とを含有する接着剤(以下、単に「接着剤」ともいう。)の硬化物である。
接着剤は、炭素−炭素二重結合を有するポリエステルポリオールが主剤であり、イソシアネート基を有する化合物が硬化剤である。すなわち、本実施形態の接着剤は、主剤と硬化剤とを含有する、ウレタン系の接着剤である。
接着剤としては、硬化速度が速く、接着強度に優れる観点から、主剤と硬化剤との2液タイプの接着剤が好ましい。
本実施形態の接着剤層30は、接着剤の成分中に炭素−炭素二重結合を有するため、酸素吸収性を有する。このため、積層フィルム1は、酸素バリア性をより高められ、内容物の品質の低下をより抑制できる。
本実施形態の接着剤の主剤は、成分中に炭素−炭素二重結合を有するポリエステルポリオール、すなわち、不飽和ポリエステルである。
不飽和ポリエステルとしては、例えば、芳香族ジカルボン酸、又はその無水物を少なくとも1種以上含む多価カルボン酸成分からなるポリエステルポリオールが挙げられる。
芳香族ジカルボン酸又はその無水物としては、無水フタル酸が好ましい。
本実施形態の接着剤の硬化剤としては、例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート)等が挙げられる。
硬化剤としては、環境負荷が小さく、接着強度に優れる観点から、IPDIが好ましい。
本実施形態の接着剤の主剤は、N−ヒドロキシイミド系化合物、共役ジエン系化合物、遷移金属化合物を含有してもよい。
N−ヒドロキシイミド系化合物としては、例えば、N−ヒドロキシコハク酸イミド等が挙げられる。
共役ジエン系化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、又はこれらの化合物を環化させたポリ(α−ピネン)、ポリ(β−ピネン)、ポリ(ジペンテン)等のポリテルペン類等が挙げられる。
遷移金属化合物としては、例えば、鉄、ニッケル、銅、マンガン、コバルト、ロジウム、チタン、クロム、バナジウム、ルテニウム等の遷移金属元素、又はこれらの塩が挙げられる。遷移金属化合物としては、鉄の塩、ニッケルの塩、銅の塩、マンガンの塩及びコバルトの塩が好ましく、マンガンの塩及びコバルトの塩がより好ましく、コバルトの塩がさらに好ましい。
遷移金属元素の塩としては、有機酸が好ましく、例えば、酢酸、ステアリン酸、ジメチルジチオカルバミン酸、パルミチン酸、2−エチルへキサン酸、ネオデカン酸、リノール酸、トール酸、オレイン酸、樹脂酸、カプリン酸及びナフテン酸等が挙げられる。
遷移金属化合物としては、ネオデカン酸コバルト、オレイン酸コバルトが好ましい。
本実施形態の接着剤における主剤と硬化剤との質量比は、100:103〜100:150が好ましく、100:103〜100:130がより好ましく、100:105〜100:125がさらに好ましい。主剤と硬化剤との質量比が上記下限値以上であると、未反応のイソシアネート基を含有でき、未反応のイソシアネート基が水蒸気を吸収するため、内容物の品質の低下をより抑制しやすい。加えて、未反応のイソシアネート基が存在すると、コーティング層20との接着性を高めやすく、可視部領域波長の光線を遮断しやすい。主剤と硬化剤との質量比が上記上限値以下であると、積層フィルム1の透明性をより高められ、コスト面でも有利である。
接着剤層30における未反応のイソシアネート基の含有量は、生成されたウレタン基の含有量に対して、3〜30モル%であり、3〜20モル%が好ましく、5〜10モル%がより好ましい。未反応のイソシアネート基の含有量(NCO残存率ともいう。)が上記下限値以上であると、未反応のイソシアネート基が水蒸気を吸収するため、内容物の品質の低下をより抑制しやすい。加えて、未反応のイソシアネート基が存在すると、コーティング層20との接着性を高めやすく、可視部領域波長の光線を遮断しやすい。未反応のイソシアネート基の含有量が上記上限値以下であると、積層フィルム1の透明性をより高められ、コスト面でも有利である。
未反応のイソシアネート基の含有量は、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)により測定できる。
具体的には、積層フィルム1に赤外光を照射し、赤外顕微鏡を用いて透過マッピング測定を行う。透過マッピング測定によって得られたスペクトルを赤外光の波長2,500〜25,000nm(2.5〜25μm)の範囲で解析する。解析されたスペクトルの接着剤層30におけるウレタン基のピークの高さとイソシアネート基のピークの高さとの比率を求める。この比率から、ウレタン基の含有量に対する未反応のイソシアネート基の含有量を求めることができる。
接着剤層30の厚さT30は、1.5〜5.0μmが好ましく、2.0〜4.0μmがより好ましい。接着剤層30の厚さT30が上記下限値以上であると、コーティング層20とシーラント材40との接着性をより高められる。加えて、接着剤層30の厚さT30が上記下限値以上であると、積層フィルム1の水蒸気バリア性及び酸素バリア性をより高められる。このため、内容物の品質の低下をより抑制しやすい。接着剤層30の厚さT30が上記上限値以下であると、積層フィルム1の透明性をより高められる。
接着剤層30の厚さT30は、例えば、積層フィルム1を厚さ方向に切断した切断面を顕微鏡等で観察することにより測定できる。
<シーラント材>
シーラント材40は、基材10の一方の面に位置する。シーラント材40は、積層フィルム1のシール性を高める。
シーラント材40は、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、ヒートシーラブルポリエチレンテレフタレート(ヒートシーラブルPET)、及びヒートシーラブルエチレン−ビニルアルコール共重合体(ヒートシーラブルEVOH)からなる群より選択される1種以上である。PPとしては、例えば、2軸延伸ポリプロピレン(OPP)、無延伸ポリプロピレン(CPP)が挙げられる。シーラント材40としては、積層フィルム1の透明性をより高めやすい観点から、LLDPE、CPPが好ましく、CPPがより好ましい。シーラント材40は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ここで、ヒートシーラブルPETは、ヒートシールに適したPETを意味する。ヒートシーラブルPETは、通常のPETに比べて融点が低い。ヒートシーラブルEVOHは、ヒートシールに適したEVOHを意味する。ヒートシーラブルEVOHは、通常のEVOHに比べて融点が低い。
シーラント材40の厚さT40は、例えば、5〜50μmが好ましく、10〜40μmがより好ましく、20〜30μmがさらに好ましい。シーラント材40の厚さT40が上記下限値以上であると、積層フィルム1のシール性をより高められる。シーラント材40の厚さT40が上記上限値以下であると、積層フィルム1の透明性をより高められる。
シーラント材40の厚さT40は、例えば、シックネスゲージで測定できる。
シーラント材40のヘーズ値は、10%以下であり、8%以下が好ましく、5%以下がより好ましい。シーラント材40のヘーズ値が上記上限値以下であると、積層フィルム1の透明性をより高められる。シーラント材40のヘーズ値の下限値は小さいほど好ましいが、実質的には、1%である。
シーラント材40のヘーズ値は、シーラント材40の材質や厚さ、及びこれらの組合せにより調整できる。
≪積層フィルムの製造方法≫
積層フィルム1の製造方法は、基材10にコーティング組成物を塗布する工程(塗布工程)と、コーティング組成物を乾燥させ、コーティング層20を形成する工程(コーティング層形成工程)と、コーティング層20とシーラント材40との間に接着剤を塗布して積層体を得る工程(積層体形成工程)と、上記積層体に加熱処理を施す工程(加熱処理工程)とを備える。
<塗布工程>
塗布工程では、基材10の一方の面にコーティング組成物を塗布する。コーティング組成物は、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン等の揮発性の有機溶媒に、ポリウレタン、ポリメタクリル酸メチル等のポリマーを溶解させ、ピロリジン−アミド系の紫外線吸収剤を含有する液体である。
有機溶媒とポリマーとの混合比率は、質量比で、60:40〜80:20が好ましく、70:30〜80:20がより好ましい。有機溶媒とポリマーとの混合比率が上記下限値以上であると、コーティング組成物を均一にしやすい。有機溶媒とポリマーとの混合比率が上記上限値以下であると、基材10の一方の面にコーティング組成物を塗布しやすい。
ピロリジン−アミド系の紫外線吸収剤の含有量は、コーティング組成物の質量に対して、例えば、3〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましく、5〜15質量%がさらに好ましい。ピロリジン−アミド系の紫外線吸収剤の含有量が上記下限値以上であると、紫外線及び可視部領域波長の光線をより吸収しやすい。ピロリジン−アミド系の紫外線吸収剤の含有量が上記上限値以下であると、積層フィルム1の透明性をより高められる。
コーティング組成物を基材10の一方の面に塗布する方法は特に限定されず、常法により塗布できる。コーティング組成物を基材10の一方の面に塗布する方法としては、コーティング組成物を浸した刷毛等を用いて塗布する方法、コーティング組成物を基材10の一方の面に吹き付ける方法等が挙げられる。
塗布工程では、ポリマー及びピロリジン−アミド系の紫外線吸収剤を有機溶媒に均一に溶解したコーティング組成物を、基材10の一方の面に均一の厚さで塗布することが好ましい。ポリマー及びピロリジン−アミド系の紫外線吸収剤を有機溶媒に均一に溶解することで、コーティング層20とシーラント材40との接着性をより高められる。コーティング組成物を基材10の一方の面に均一の厚さで塗布することによって、積層フィルム1の見栄えをよくしやすい。
<コーティング層形成工程>
コーティング層形成工程では、基材10の一方の面に塗布したコーティング組成物を乾燥させ、コーティング層20を形成して、コーティング基材を得る。
コーティング組成物を乾燥させる方法は特に限定されず、加熱して乾燥させる方法、送風して乾燥させる方法、静置して乾燥させる方法等が挙げられる。
コーティング層20の厚さT20を均一にしやすい観点から、コーティング組成物を乾燥させる方法としては、加熱して乾燥させる方法が好ましい。
加熱して乾燥させる際の加熱温度は、例えば、40〜80℃が好ましく、50〜70℃がより好ましい。加熱温度が上記下限値以上であると、コーティング組成物の硬化が充分に促進され、均一な厚さのコーティング層20が形成されやすい。加熱温度が上記上限値以下であると、基材10の劣化を抑制しやすい。
<積層体形成工程>
積層体形成工程では、コーティング層20とシーラント材40との間に接着剤を塗布して積層体を得る。接着剤を塗布する方法は特に限定されず、コーティング基材のコーティング層20の表面に接着剤を塗布してもよく、シーラント材40のコーティング基材と対向する面に接着剤を塗布してもよい。また、コーティング基材とシーラント材40とを重ね、その間に接着剤を注入することにより接着剤を塗布してもよい。
コーティング基材とシーラント材40とを接着剤を介して積層することにより、積層体が得られる。
<加熱処理工程>
加熱処理工程では、上記の積層体に加熱処理を施す。積層体を加熱処理することにより、接着剤の硬化が促進され、接着剤層30となり、積層フィルム1が得られる。
積層体に加熱処理を施す方法は特に限定されず、例えば、ドライラミネート法等の従来公知の方法が挙げられる。ドライラミネート法では、積層体を圧着して加熱処理を施す。
加熱処理の温度は、例えば、30〜60℃が好ましく、35〜50℃がより好ましい。
加熱処理の温度が上記下限値以上であると、接着剤の硬化が充分に促進され、コーティング層20とシーラント材40との接着性をより高められる。加熱処理の温度が上記上限値以下であると、積層体を構成する各層が熱により損傷を受けることを抑制しやすく、コーティング層20の紫外線吸収能の低下を抑制しやすい。このため、内容物の品質の低下をより抑制しやすい。
加熱処理の時間は、5時間以上が好ましく、5〜96時間がより好ましく、12〜48時間がさらに好ましい。加熱処理の時間が上記下限値以上であると、接着剤の硬化が充分に促進され、コーティング層20とシーラント材40との接着性をより高められる。加熱処理の時間が上記上限値以下であると、積層フィルム1の生産性を向上しやすい。
積層体の加熱処理は、従来公知の恒温室等で行うことができる。
なお、この加熱処理が施された積層体と、そうでない積層体とは、例えば、両者の接着剤の硬化状態をFTIRや核磁気共鳴法(NMR)により分析すること等で判別できる。
以上の工程により、積層フィルム1が得られる。得られた積層フィルム1は、例えば、ロール状に巻き取られ、保管される。
以上説明したとおり、本実施形態の積層フィルム1によれば、基材10に2軸延伸ポリエステルフィルム又はポリカーボネートフィルムを用いているため、グロス値が大きく、表面に光沢を有する。このため、紫外線を遮断でき、見栄えをよくしやすい。
積層フィルム1によれば、ピロリジン−アミド系の紫外線吸収剤を含有するコーティング層20を備えるため、紫外線に加えて、波長420nm以下の可視光を吸収できる。このため、内容物の品質の低下をより抑制しやすい。
積層フィルム1によれば、接着剤層30における未反応のイソシアネート基の含有量が、生成されたウレタン基の含有量に対して、3〜30モル%であるため、水蒸気を吸収できる。このため、積層フィルム1は、水蒸気バリア性に優れ、内容物の品質の低下をより抑制しやすい。加えて、積層フィルム1は、接着剤層30における未反応のイソシアネート基の含有量が、生成されたウレタン基の含有量に対して、3〜30モル%であるため、コーティング層20との接着性を高めやすく、可視部領域波長の光線を遮断しやすい。このため、積層フィルム1は、内容物の品質の低下をより抑制しやすい。
加えて、積層フィルム1によれば、シーラント材40に透明度が高い材料を用いているため、積層フィルム1の透明性をより高められる。このため、内容物を外部から視認しやすく、積層フィルム1の見栄えをよくしやすい。
本発明の積層フィルムは、上述した実施形態に限定されない。積層フィルム1は、印刷が施されていないが、本発明はこれに限定されず、基材の表面又は基材とコーティング層との間等に印刷や印字が施されていてもよい。
積層フィルム1は、4層構造とされているが、本発明はこれに限定されず、基材とコーティング層との間に他の層(例えば、酸素バリア層や水蒸気バリア層等)が設けられてもよい。ただし、内容物を外部から視認しやすくする観点から、積層フィルムは、上述した4層構造とすることが好ましい。
≪包装体≫
本実施形態の包装体は、積層フィルム1が製袋されたものである。包装体としては、例えば、平面視において、四角形となるように、積層フィルム1をカットし、積層フィルム1のシーラント材40同士をヒートシールして製袋された袋が挙げられる。
包装体の大きさは、例えば、縦100〜1,000mm、横10〜500mmとすることができる。
包装体の形態としては、例えば、合掌貼り袋、三方シール袋、四方シール袋、ガゼット袋、スタンド袋、これらのチャック付き袋等が挙げられる。
本実施形態の包装体は、積層フィルム1を用いているため、内容物を外部から視認でき、かつ、表面が光沢を有している。このため、本実施形態の包装体は、見栄えがよい。
本実施形態の包装体は、積層フィルム1を用いているため、紫外線に加えて、波長420nm以下の可視光を吸収できる。このため、本実施形態の包装体は、内容物の品質の低下を抑制できる。
本実施形態の包装体は、積層フィルム1を用いているため、酸素及び水蒸気を吸収できる。このため、本実施形態の包装体は、酸素バリア性及び水蒸気バリア性に優れ、内容物の品質の低下をより抑制しやすい。
以下、実施例を示して本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例において使用した材料は下記のとおりである。
[使用材料]
≪基材≫
・2軸延伸PET:ルミラー(登録商標)、東レフィルム加工株式会社製、厚さ12μm。
・2軸延伸PBT:ボブレット(登録商標)、興人フィルム&ケミカルズ株式会社製、厚さ12μm。
・2軸延伸PEN:テオネックス(登録商標)、帝人フィルムソリューション株式会社製、厚さ12μm。
・2軸延伸Ny:2軸延伸ナイロン、ハーデン(登録商標)、東洋紡株式会社製、厚さ15μm。
・2軸延伸OPP:太閤(登録商標)FO、フタムラ化学株式会社製、厚さ20μm。
≪コーティング層≫
・有機溶媒:メチルエチルケトン(MEK)・イソプロピルアルコール(IPA)・酢酸エチル混合溶媒、NF102(商品名)、東洋インキ株式会社製。
・ポリマー:ポリメタクリル酸メチル(PMMA)。
・UV吸収剤(ピロリジン−アミド系):ピロリジン−アミド系の紫外線吸収剤、2−シアノ−N−ドデシル−4−(1−エチル−2−ピロリジニリデン)−2−ブテンアミド《式(I)中、R=C、R=C1225》、東洋インキ株式会社製。
・UV吸収剤(ベンゾフェノン系):ベンゾフェノン系の紫外線吸収剤、2,4−ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、東洋インキ株式会社製。
≪接着剤層≫
<主剤>
・飽和ポリエステル:日本合成化学株式会社製。
・無水フタル酸:純正化学株式会社製。
<硬化剤>
・IPDI:イソホロンジイソシアネート、タケネート(登録商標)、三井化学株式会社製。
・TDI:トルエンジイソシアネート、タケネート(登録商標)、三井化学株式会社製。
≪シーラント材≫
・CPP:無延伸ポリプロピレン、太閤(登録商標)FC、フタムラ化学株式会社製、厚さ30μm、ヘーズ値4.0%。
・CPP:無延伸ポリプロピレン、太閤(登録商標)FC、フタムラ化学株式会社製、厚さ50μm、ヘーズ値6.0%。
・CPP:無延伸ポリプロピレン、太閤(登録商標)FC、フタムラ化学株式会社製、厚さ100μm、ヘーズ値14.0%。
・LLDPE:線状低密度ポリエチレン、太閤(登録商標)FL、フタムラ化学株式会社製、厚さ30μm、ヘーズ値5.0%。
・HDPE:高密度ポリエチレン、スズロン(登録商標)L、株式会社アイセロ製、厚さ30μm、ヘーズ値12.0%。
[実施例1〜9、比較例1〜7]
<コーティング組成物の調製>
有機溶媒としてMEK・IPA・酢酸エチル混合溶媒、ポリマーとしてPMMAを用い、有機溶媒とポリマーとを質量比75:25で混合し、PMMA溶液を得た。このPMMA溶液にUV吸収剤を総質量の10質量%添加し、コーティング組成物を得た。
<接着剤の調製>
主剤として飽和ポリエステルと無水フタル酸との混合物(飽和ポリエステルと無水フタル酸との混合比(質量比)95:5)、硬化剤として表1に記載の硬化剤を用い、主剤と硬化剤とを質量比100:110で混合し、よく混練して接着剤を得た。なお、実施例6では、主剤と硬化剤との質量比を100:105とした。比較例5では、主剤と硬化剤との質量比を100:100とした。
<積層フィルムの製造>
表1に記載の基材の一方の面に、グラビアコート装置を用いて、上記のコーティング組成物を、表1に記載の厚さとなるように塗布した(塗布工程)。コーティング組成物を塗布した基材を80℃で加熱し、乾燥して、コーティング層を形成し、コーティング基材とした(コーティング層形成工程)。コーティング基材のコーティング層の表面に上記の接着剤を表1に記載の厚さとなるように塗布し、表1に記載のシーラント材を積層して、積層体とした(積層体形成工程)。
この積層体に40℃で48時間の加熱処理を施し、接着剤を硬化させて各例の積層フィルムを得た(加熱処理工程)。
なお、表1〜2中、積層体構成の「Co」はコーティング層を表し、「AD」は接着剤層を表す。
[物性値の測定]
<グロス値の測定>
各例で用いた基材について、ASTM D2457に記載の方法に準じて、入射角20°でグロス値を測定した。結果を表1に示す。
<ヘーズ値の測定>
各例で用いた基材及びシーラント材について、JIS K7136:2000に記載の方法に準じてヘーズ値を測定した。結果を表1に示す。
<全光線透過率の測定>
各例で用いた基材について、JIS K7361−1:1997に記載の方法に準じて全光線透過率を測定した。結果を表1に示す。
<コーティング層の厚さの測定>
各例で得られた積層フィルムを厚さ方向に切断し、その切断面を光学顕微鏡(株式会社キーエンス製)で観察し、コーティング層の無作為に選んだ5箇所について厚さを測定し、その平均値をコーティング層の厚さとした。結果を表1に示す。
<接着剤層の厚さの測定>
上記「コーティング層の厚さの測定」で観察した切断面の接着剤層について、無作為に選んだ5箇所の厚さを測定し、その平均値を接着剤層の厚さとした。結果を表1に示す。
<NCO残存率の測定>
各例で得られた積層フィルムから1gの試料を採取し、FTIR(IRAffinity、株式会社島津製作所製、照射波長1,282〜28,570nm)で測定して、スペクトルデータを得た。得られたスペクトルデータを解析して、接着剤層におけるウレタン基のピークの高さとイソシアネート基のピークの高さとの比率を求めた。この比率に基づいて、未反応のイソシアネート基の含有量(NCO残存率)を算出した。結果を表1に示す。
[評価]
<グロス値の測定>
各例で得られた積層フィルムについて、ASTM D2457に記載の方法に準じて、入射角20°でグロス値を測定した。結果を表2に示す。グロス値が大きいほど、表面の光沢度が高く、見栄えがよい。
<透明性の評価>
各例で得られた積層フィルムを黒いマットの上に置き、積層フィルムの下のマットの見え方を目視で確認した。下記評価基準に基づいて透明性を評価した。結果を表2に示す。
《評価基準》
◎:マットがはっきりと黒く見える。
○:マットが黒く見えるが、白く濁って見えるところが若干ある。
△:マットが黒く見えるが、白く濁って見えるところがある。
×:マットが白く濁って見える。
<品質劣化抑制の評価>
各例で得られた積層フィルムを黒いマットの上に置き、積層フィルムの見え方を目視で確認した。下記評価基準に基づいて品質劣化抑制の度合いを評価した。結果を表2に示す。
《評価基準》
◎:薄い黄色に見える。
○:薄い褐色に見える。
×:濃い褐色に見える。
<見栄えの評価>
各例で得られた積層フィルムを10.5ポイントの文字を印刷した紙の上に置き、積層フィルムの下の文字の見え方を目視で確認した。下記評価基準に基づいて見栄えを評価した。結果を表2に示す。
《評価基準》
◎:文字がはっきり見える。
○:文字が見える。
×:文字がぼやける。
<総合評価>
上記品質劣化抑制の評価、見栄えの評価の評価結果に基づき、各例の積層フィルムを下記評価基準に従って総合評価した。総合評価が「◎」又は「○」のものを合格とした。
《評価基準》
◎:品質劣化抑制の評価及び見栄えの評価の評価結果が「◎」。
○:品質劣化抑制の評価及び見栄えの評価の一方又は双方の評価結果が「◎」ではなく、かつ、「×」がない。
×:品質劣化抑制の評価及び見栄えの評価の一方又は双方の評価結果に「×」がある。
Figure 2021070257
Figure 2021070257
表1〜2に示すように、本発明を適用した実施例1〜9は、総合評価が「◎」又は「○」で、品質劣化抑制に優れ、見栄えがよいことが確認できた。
一方、基材が2軸延伸ポリエステルフィルムではない比較例1〜2は、品質劣化抑制の評価が「×」だった。
ピロリジン−アミド系の紫外線吸収剤を含有しない比較例3は、品質劣化抑制の評価が「×」だった。
グロス値が本発明の範囲外である比較例4は、見栄えの評価が「×」だった。
未反応のイソシアネート基の含有量が、本発明の範囲外である比較例5は、品質劣化抑制の評価、及び見栄えの評価が「×」だった。
シーラント材がHDPEである比較例6は、見栄えの評価が「×」だった。
シーラント材のヘーズ値が本発明の範囲外である比較例7は、見栄えの評価が「×」だった。
以上の結果から、本発明を適用することで、見栄えがよく、かつ、内容物の品質の低下を抑制できる積層フィルムが得られることが確認できた。
1 積層フィルム
10 基材
20 コーティング層
30 接着剤層
40 シーラント材

Claims (5)

  1. 2軸延伸ポリエステルフィルム又はポリカーボネートフィルムからなる基材と、
    前記基材の一方の面に位置するシーラント材と、
    前記基材と前記シーラント材との間に位置するコーティング層と、
    前記コーティング層と前記シーラント材との間に位置する接着剤層と、を備え、
    前記コーティング層は、ピロリジン−アミド系の紫外線吸収剤を含有し、
    前記接着剤層は、炭素−炭素二重結合を有するポリエステルポリオールとイソシアネート基を有する化合物とを含有する接着剤の硬化物であり、
    前記接着剤層における未反応のイソシアネート基の含有量が、生成されたウレタン基の含有量に対して、3〜30モル%であり、
    前記シーラント材は、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、ヒートシーラブルポリエチレンテレフタレート、及びヒートシーラブルエチレン−ビニルアルコール共重合体からなる群より選択される1種以上であり、
    前記シーラント材のヘーズ値が10%以下であり、
    グロス値が120%以上である、積層フィルム。
  2. 前記コーティング層の厚さが0.1μm以上5.0μm未満である、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記紫外線吸収剤の含有量が前記コーティング層の質量に対して、3〜30質量%である、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
  4. 前記基材のグロス値が120%以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層フィルムが製袋された包装体。
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