JP2021066027A - 印刷装置 - Google Patents

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浩司 ▲柳▼沢
浩司 ▲柳▼沢
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Abstract

【課題】印刷媒体の後端近傍の領域への印刷の品質低下を防ぐ。【解決手段】印刷装置は、制御部と、記憶部と、を備え、制御部は、印刷媒体の第1領域に対してパス間の搬送量を一定としない搬送を実行して印刷する第1印刷と、第1領域に続く印刷媒体の第2領域に対して第1印刷のパス間の搬送量よりも少ないパス間の搬送量で搬送を実行して印刷する第2印刷と、を制御し、記憶部は、第2印刷の直前の搬送量の候補となる候補搬送量に応じた分、第2印刷のパス毎に使用するノズルとパス間の搬送量とを規定した制御データを記憶し、制御部は、印刷データに基づいて第2印刷の直前の搬送量を決定し、記憶部から、決定した第2印刷の直前の搬送量に対応する制御データを選択し、選択した制御データに基づいて、印刷データを構成するラスターラインに対して、2以上であるn個のノズルによる第2印刷を行う。【選択図】図3

Description

本発明は、印刷装置に関する。
インクを吐出するノズルが並ぶノズル列を有するヘッドを備え、副走査方向への用紙の搬送と、副走査方向に交差する主走査方向へのヘッドの移動であるパスとを繰り返して用紙に画像を形成する液体吐出装置が開示されている(特許文献1参照)。文献1によれば、ラスターラインが複数回のパスで複数個のノズルを使用して形成される。画像を構成するラスターラインを複数回のパスに分けて複数個のノズルを使用して形成する処理を、オーバーラップ(OL)印刷と呼ぶ。
特開2016‐175378号公報
ここで、用紙の搬送の上流を向く端である後端近傍の後端領域への印刷は、用紙の姿勢が安定しにくい等の理由により、用紙の他の領域と比べて画質が低下し易い。このような画質低下を抑制するために、後端領域への印刷においては、パス間の用紙の搬送量を後端領域よりも搬送の下流の通常領域への印刷と比べて少なくする、といった工夫が行われている。しかしながら、パス間の搬送量を一定としない印刷方法を採用する場合に、通常領域の印刷から後端領域の印刷にかけてパス間の搬送量が複雑に変化することに起因して、後端領域に対するOL印刷が予め設定した通り実行されないことが有り、これにより画質劣化が生じ易かった。
第1方向への印刷媒体の搬送と、液体を吐出する複数のノズルを有する印刷ヘッドの前記第1方向に交差する第2方向への移動であるパスと、を交互に繰り返すことにより前記印刷媒体への印刷を行う印刷装置は、制御部と、記憶部と、を備え、前記制御部は、前記印刷媒体の第1領域に対してパス間の搬送量を一定としない前記搬送を実行して印刷する第1印刷と、前記第1領域に続く前記印刷媒体の第2領域に対して前記第1印刷のパス間の搬送量よりも少ないパス間の搬送量で前記搬送を実行して印刷する第2印刷と、を制御し、前記記憶部は、前記第2印刷の直前の搬送量の候補となる候補搬送量に応じた分、前記第2印刷のパス毎に使用する前記ノズルとパス間の搬送量とを規定した制御データを記憶し、前記制御部は、印刷データに基づいて前記第2印刷の直前の搬送量を決定し、前記記憶部から、決定した前記第2印刷の直前の搬送量に対応する前記制御データを選択し、選択した前記制御データに基づいて、前記印刷データを構成するラスターラインに対して、2以上であるn個の前記ノズルによる前記第2印刷を行う。
印刷装置の構成を示すブロック図。 印刷装置の一部を搬送方向に交差する向きの視点により示す図。 印刷制御処理を示すフローチャート。 ステップS140による位置合わせ搬送量の決定方法を説明するための図。 第1制御データの例を示す図。 第2制御データの例を示す図。 第1制御データに基づく第2印刷の具体例を示す図。 第2制御データに基づく第2印刷の具体例を示す図。 図5とは異なる第1制御データの例を示す図。 図5,9とは異なる第1制御データの例を示す図。 パス数決定処理を示すフローチャート。 パス数決定処理を説明するための図。
以下、各図を参照しながら本発明の実施形態を説明する。各図は、本実施形態を説明するための例示に過ぎない。各図は例示であるため、比率や形状が正確でなかったり、互いに整合していなかったり、一部が省略されていたりする場合がある。
1.装置の概略説明:
図1は、本実施形態にかかる印刷装置10の構成をブロック図により簡易的に示している。印刷装置10を、記録装置、液体吐出装置、プリンター、等と記載してもよい。印刷装置10は、制御部11、表示部13、操作受付部14、印刷ヘッド15、キャリッジ16、搬送部17、通信インターフェイス18を含む。インターフェイスを、IFと略す。制御部11は、プロセッサーとしてのCPU11a、ROM11b、RAM11c等を有するICや、その他の不揮発性メモリー等を含んで構成される。
制御部11では、プロセッサーつまりCPU11aが、ROM11bや、その他のメモリー等に保存されたプログラム12に従った演算処理を、RAM11c等をワークエリアとして用いて実行することにより、印刷装置10の各部を制御する。プロセッサーは、一つのCPUに限られることなく、複数のCPUや、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア回路により処理を行う構成であってもよいし、CPUとハードウェア回路とが協働して処理を行う構成であってもよい。
表示部13は、視覚情報を表示するための手段であり、例えば、液晶ディスプレイや、有機ELディスプレイ等により構成される。表示部13を、表示ディスプレイ、ディスプレイ、と記載してもよい。表示部13は、ディスプレイと、ディスプレイを駆動するための駆動回路とを含む構成であってもよい。操作受付部14は、ユーザーによる操作を受け付けるための手段であり、例えば、物理的なボタンや、タッチパネルや、キーボード等によって実現される。むろん、タッチパネルは、表示部13の一機能として実現されるとしてもよい。表示部13および操作受付部14を含めて、印刷装置10の操作パネルと呼ぶことができる。また、表示部13や操作受付部14は、印刷装置10の一部であってもよいし、印刷装置10に外付けされた周辺機器であってもよい。
搬送部17は、制御部11による制御下で印刷媒体を搬送する機構である。搬送部17は、印刷媒体を搬送するためのローラーや、ローラーを回転させるためのモーター等を含む。印刷媒体を搬送するためのローラーを、搬送ローラーと記載してもよい。印刷媒体は、代表的には用紙であるが、印刷可能な媒体であれば、用紙以外の素材の媒体であってもよい。搬送部17による搬送の上流、下流を、単に、上流、下流とも記載する。
印刷ヘッド15は、制御部11による制御下でインクジェット方式により液体を吐出して印刷を行う。印刷ヘッド15は、液体を吐出可能なノズルを複数備え、印刷媒体に対して、印刷データに基づいて各ノズルから液体を吐出する。印刷ヘッド15を、印字ヘッド、記録ヘッド、液体吐出ヘッド、等と記載してもよい。以下では、印刷ヘッド15がノズルから吐出する液体をインクと呼ぶ。また、ノズルから吐出されるインク滴をドットと呼ぶ。
印刷ヘッド15は、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)といった複数の色のインクを吐出する。ただし、印刷ヘッド15は、インク以外の液体を吐出することも可能である。印刷ヘッド15は、ノズル毎に駆動素子を有し、印刷データが画素毎に規定するインク吐出(ドットオン)またはインク不吐出(ドットオフ)の情報に応じて駆動素子への駆動電圧の印加を制御することにより、ノズルからドットを吐出したりしなかったりする。
キャリッジ16は、制御部11による制御下で、搬送部17による搬送方向に交差する方向に沿って往復移動する。ここで言う交差とは、基本的に直交を意味するが、厳密な直交だけでなく実際の部品取り付け精度等に起因して生じる程度の誤差を含む意味であってもよい。搬送部17による搬送方向は「第1方向」に該当し、キャリッジ16の移動方向は「第2方向」に該当する。第1方向を副走査方向と呼び、第2方向を主走査方向と呼んでもよい。印刷ヘッド15は、キャリッジ16に搭載されており、キャリッジ16とともに移動する。印刷ヘッド15がキャリッジ16により主走査方向へ移動しながらインクを吐出することを「主走査」と呼んだり「パス」と呼んだりする。
通信IF18は、印刷装置10が公知の通信規格を含む所定の通信プロトコルに準拠して有線又は無線で外部と接続するための一つまたは複数のIFの総称である。図1の例では、印刷装置10は、通信IF18を介して外部機器30と接続している。外部機器30は、例えば、パーソナルコンピューター(PC)、サーバー、スマートフォン、タブレット型端末、或いはそれらと同程度の処理能力を有する機器である。
図2は、印刷装置10の一部構成を、印刷媒体Pの搬送方向D1と交差する向きの視点により示している。図2の例では、搬送方向D1の向きから解るように、右が上流であり左が下流である。印刷装置10には、印刷媒体Pの搬送経路の一部として、プラテン22が配設されている。プラテン22は、搬送される印刷媒体Pを下方から支持する。
プラテン22の上流には、ローラー17aおよびローラー17bからなる第1ローラー対17a,17bが配設されている。また、プラテン22の下流には、ローラー17cおよびローラー17dからなる第2ローラー対17c,17dが配設されている。ローラー17a,17b,17c,17dは、搬送部17の一部としての各ローラーである。むろん、搬送部17が有するローラーは、図示したものに限定されない。ローラー対は、対を構成するローラー間に印刷媒体Pを挟持した状態で回転することにより、印刷媒体Pを下流へ搬送する。
プラテン22と相対する上方の位置には、印刷ヘッド15が配設されている。上述したように、印刷ヘッド15はキャリッジ16に搭載されている。図2においては、キャリッジ16および印刷ヘッド15の移動方向は、図面に垂直な方向である。印刷ヘッド15のプラテン22に相対する面は、ノズル面19である。ノズル面19は、ノズルが開口する面である。印刷ヘッド15は、搬送方向D1に所定間隔(ノズルピッチ)で並ぶ複数のノズルからなるノズル列を有する。ノズル列は、同じ色のインクを吐出する複数のノズルにより構成される。なお、ノズル面19においてノズル列を構成する複数のノズルが並ぶ方向、つまりノズル列の長手方向は、搬送方向D1と平行であってもよいし、搬送方向D1に対して傾いていてもよい。ノズル列は、搬送方向D1におけるノズル同士の間隔が一定のノズルピッチであれば、その長手方向が搬送方向D1に対して傾いていてもよい。
本実施形態では、ノズル列を構成するノズル数をNとする。以下では、ノズル列を構成するN個のノズルについて、下流から上流に向けて#1〜#Nまでのノズル番号を順に付与して説明を行う。図2では参考までに、ノズル番号#1のノズルの位置とノズル番号#Nのノズルの位置とをノズル面19近傍に記している。ノズル数Nは、限定されるものではないが、以下では一例として、N=180であるとする。印刷ヘッド15がCMYKの各インクを吐出する仕様であれば、印刷ヘッド15は、Cインクを吐出するノズル列、Mインクを吐出するノズル列、Yインクを吐出するノズル列、および、Kインクを吐出するノズル列を有する。搬送方向D1における各ノズル列の位置はいずれも同じである。
このような構成において、制御部11は、搬送方向D1への印刷媒体Pの搬送と、印刷ヘッド15のパスと、を交互に繰り返すことにより印刷媒体Pへの印刷を行う。
印刷媒体Pの端部であって下流を向く端部を「先端」と呼び、印刷媒体Pの端部であって上流を向く端部を「後端」と呼ぶ。また、印刷データが表現する画像の端部についても、下流、上流との関係で、印刷媒体Pと同様に、先端、後端という言い方をする。なお、先端を、上端や前端と言い換えてもよい。後端を、下端や末端と言い換えてもよい。
2.印刷制御処理:
図3は、制御部11がプログラム12に従って実行する印刷制御処理をフローチャートにより示している。
ステップS100では、制御部11は、印刷対象の画像を表現した画像データを取得する。このような画像データは、印刷装置10や外部機器30を操作するユーザーによって任意に選択されたデータである。制御部11は、例えば、外部機器30から送信された画像データを、通信IF18を介して取得する。あるいは、制御部11は、印刷装置10内のメモリーや印刷装置10に接続された外部のメモリー装置等から、ユーザーの操作に従って画像データを取得する。
ステップS100で取得する画像データは、例えば、画素毎にRGB(レッド、グリーン、ブルー)の各階調値を有するビットマップ形式のRGBデータであるとする。ここで言う階調値は、例えば、0〜255の256階調で表現される。むろん、制御部11は、ステップS100で取得した画像データのフォーマットを必要に応じて変換することにより、RGBデータを取得するとしてもよい。
ステップS110では、制御部11は、画像データについて、必要に応じて解像度変換を施す。つまり、制御部11は、予め設定されている縦横の印刷サイズおよび印刷解像度に基づいて、画像データの縦横の印刷に必要な画素数を算出し、画像データの縦横の画素数が前記必要な画素数となるように画像データを拡大したり縮小したりする。ここで言う縦とは、副走査方向を意味し、横とは、主走査方向を意味する。
ステップS120では、制御部11は、画像データについて、色変換処理を施す。色変換処理とは、画像データの色空間を、印刷ヘッド15が印刷に用いるインクの色空間へ変換する処理である。ここでは、RGBデータである画像データを、画素毎にCMYKの各階調値を有するビットマップ形式のCMYKデータへ変換する。色変換処理は、予め用意された色変換ルックアップテーブルを参照して行うことができる。
ステップS130では、制御部11は、画像データについて、ハーフトーン処理を施す。つまり、制御部11は、画像データの画素毎かつCMYKの階調値毎にドットオンまたはドットオフを規定したドットデータを生成する。このようなドットデータを、印刷データと呼ぶ。なお、ステップS130以前の各画素がRGBやCMYKで多階調表現された画像データも、印刷データと同様に印刷対象の画像を表現しているデータであるため、印刷データと呼んでもよい。ハーフトーン処理は、ディザ法や誤差拡散法等により実行可能である。
ステップS140では、制御部11は、印刷データに基づいて第2印刷の直前の搬送の搬送量を決定する。ステップS140で決定する搬送量を「位置合わせ搬送量」と呼ぶ。
本実施形態では、制御部11は、印刷媒体Pの第1領域に対してパス間の搬送量を一定としない搬送を実行して印刷する「第1印刷」と、第1領域に続く印刷媒体Pの第2領域に対して第1印刷のパス間の搬送量よりも少ないパス間の搬送量の搬送を実行して印刷する「第2印刷」とが行われるように制御する。第2印刷を「後端処理」とも呼ぶ。
印刷媒体Pの後端近傍の領域に対して印刷ヘッド15で印刷を実行する場面においては、印刷媒体Pの後端が既に第1ローラー対17a,17bよりも下流に在る場合が多い。後端が第1ローラー対17a,17bにより挟持されていない印刷媒体Pはプラテン22上での姿勢が安定せず、印刷の画質が低下し易い。後端処理は、このような画質低下を抑制するための処理である。
図4は、ステップS140による位置合わせ搬送量の決定方法を説明するための図である。また、図4を参照し、位置合わせ搬送量の決定方法と併せて、第1印刷および第2印刷についても簡単に説明する。なお、実際に第1印刷や第2印刷が実行されるのは、ステップS150よりも後のタイミングである。図4において、実線で示す大きな矩形は、一枚の印刷媒体Pへ印刷される画像を表現した印刷データPDである。図4において、実線で示す小さな矩形は、一色のインクの吐出に対応したノズル列21である。ノズル列21はN個のノズルが並ぶことにより形成されているが、図4ではノズル列21を長尺な矩形で簡易的に表現している。また、印刷ヘッド15がCMYKの各インクを吐出する仕様であれば、CMYKの夫々に対応してノズル列21が存在するが、図4に基づく説明は各ノズル列21に関して共通であるため、図4には一色のインクに対応したノズル列21を示している。印刷データPDは、例えば、各色のインクのドットオン・オフを画素毎に規定したドットデータと解することができる。
図4では、印刷データPDやノズル列21と、搬送方向D1や方向D2a,D2bとの対応関係も併せて示している。方向D2aおよび、方向D2aの逆向きである方向D2bは、キャリッジ16が往復移動する方向、つまり主走査方向を示している。図4に示すノズル列21は全て同じノズル列21である。つまり図4では、印刷ヘッド15のパス毎に搬送方向D1におけるノズル列21と印刷データPDとの相対的な位置関係が異なることを示している。
図4では、パスの回数が増える度にノズル列21が搬送方向D1の上流へ移動しているように見える。実際には、パスとパスとの間に搬送部17が印刷媒体Pを搬送方向D1の下流へ搬送することにより、図4に示すようなノズル列21と印刷データPDとの位置関係の変化が印刷媒体P上で印刷結果として再現される。このようなパス間の搬送を、紙送りとも呼ぶ。図4では、パス毎のノズル列21を主走査方向D2a,D2bにずらして記載しているが、これは単に図を見易くするためであり、パス毎のノズル列21の主走査方向D2a,D2bにおける位置の違いに意味は無い。
符号fa,fbは、制御部11が第1印刷に採用するパス間の搬送の搬送量を示している。図4の例では、搬送量fa<搬送量fbである。搬送量を搬送距離と言い換えてもよい。制御部11は、印刷データPDを印刷媒体Pへ印刷するために、パス、搬送量faの搬送、パス、搬送量fbの搬送…というサイクルを繰り返す第1印刷を行う。このような第1印刷の対象となる印刷媒体P上の領域が第1領域である。図4では、白色の矩形であるノズル列21は、第1印刷に該当するパスを行うときのノズル列21を示し、斜線模様を施したノズル列21は、第2印刷に該当するパスを行うときのノズル21を示している。ただし、図4における、ノズル列21の模様の有無による第2印刷と第1印刷との区分けは、後述するように「第1例」を前提とした区分けである。
ステップS140では、制御部11は、先ず、第1印刷から第2印刷へ切り替えるための基準線を決定する。制御部11は、印刷データPDの後端DE2から数えて所定ラスターライン数分下流の位置を、基準線Xとする。図4では、基準線Xを破線で示している。ラスターラインとは、画素が主走査方向D2a,D2bに沿って並ぶ線状の画像である。また、このようなラスターラインが印刷媒体Pに印刷された結果についても、ラスターラインと呼ぶ。後端DE2は、印刷データPDを構成する最も上流のラスターラインと解することができる。また、基準線Xは、後端DE2から数えて所定ラスターライン数分下流の位置のラスターラインと解することができる。符号DE1は、印刷データPDの先端である。
制御部11は、印刷データPDの印刷のためにパス間の搬送量として搬送量faと搬送量fbとを交互に採用する第1印刷を継続すると仮定して、ノズル列21が基準線Xよりも上流に位置しない最後のパスを特定する。図4において、ノズル列21の符号“21”の隣に括弧書きで示す“j−1”等の符号は「通しパス番号」を意味する。通しパス番号とは、印刷データPDを印刷するための最初のパスを1番目のパスとしたときの各パスの番号である。通しパス番号=jのノズル列21は、通しパス番号=j−1のパスの後の搬送量faの搬送後にパスを行う。従って、第1印刷を継続する場合には、通しパス番号=jのパスの後の搬送量は搬送量fbとなるが、図4の例では、通しパス番号=jのパスの後の搬送量を搬送量fbとすると、ノズル列21の一部が基準線Xよりも上流へ位置することになる。従って、制御部11は、通しパス番号=jのパスを、第1印刷を継続する場合にノズル列21が基準線Xよりも上流に位置しない最後のパスとして特定する。第1印刷を継続する場合にノズル列21が基準線Xよりも上流に位置しない最後のパスが、第1印刷の最後のパスである。
そして、制御部11は、第1印刷の最後のパスの後に行う搬送の搬送量を、位置合わせ搬送量として決定する。位置合わせ搬送量は、第1印刷の最後のパスの次のパス、つまり第2印刷の最初のパスを、基準線の位置あるいは基準線に接近した所定位置で行うために必要な搬送量である。制御部11は、例えば、第1印刷の最後のパスを実行したノズル列21におけるノズル番号#Nのノズルの位置を基準線Xに対して下流に隣接するラスターラインの位置に合わせるために必要な搬送量を、位置合わせ搬送量fcとして算出する。図4では、通しパス番号=jのパスが第1印刷の最後のパスであり、通しパス番号=jのパスの後に位置合わせ搬送量fcの搬送が実行され、その後、第2印刷の最初のパスである通しパス番号=j+1のパスが実行される例を示している。
第2印刷におけるパス間の搬送量も、第1印刷におけるパス間の搬送量fa,fbのように予め設定されている。図4の例から解るように、第2印刷におけるパス間の搬送量、つまり斜線模様を施したノズル列21間の搬送方向D1におけるずれ量は、第1印刷におけるパス間の搬送量fa,fbよりも少ない。第2印刷の対象となる印刷媒体P上の領域が、第1領域に続く第2領域である。
このように、印刷データPDの後端が後端DE2であり、基準線が基準線Xであり、通しパス番号=j+1のパスが第2印刷の最初のパスである例を、第1例と呼ぶ。
図4を参照して、第1例とは異なる「第2例」について説明する。
第2例では、印刷データPDの後端が、図4に2点鎖線で示す後端DE2´であるとする。この場合、制御部11は、後端DE2´から数えて前記所定ラスターライン数分下流の位置を、基準線X´とする。図4では、基準線X´を1点鎖線で示している。次に、制御部11は、第1印刷の最後のパスを特定する。印刷データPDの印刷のために第1印刷を継続すると仮定し、通しパス番号=jのパスの後に搬送量fbによる搬送を行ったとしても、通しパス番号=j+1のパスをするためのノズル列21は基準線X´よりも上流へ位置しない。図4では参考までに、通しパス番号=jのパスの後に搬送量fbの搬送が行われた後の、通しパス番号=j+1のパスをするためのノズル列21の上流の端部を、符号21E_(j+1)により示している。第2例では、さらに第1印刷を継続するとして、通しパス番号=j+1のパスの後に搬送量faによる搬送を行うと、ノズル列21の一部が基準線X´よりも上流へ位置することになる。従って、第2例では、制御部11は、通しパス番号=j+1のパスを第1印刷の最後のパスに特定する。
そして、制御部11は、第1印刷の最後のパスの後に行う搬送の搬送量を、位置合わせ搬送量として決定する。つまり、第2例では、制御部11は、符号21E_(j+1)で示すノズル列21の上流の端部を更に基準線X´へ接近させるために必要な搬送量を、位置合わせ搬送量として算出する。第2例では、第1印刷の最後のパスである通しパス番号=j+1のパスの後に、位置合わせ搬送量の搬送が実行され、その後、第2印刷の最初のパスである通しパス番号=j+2のパスが実行されることになる。むろん、第2例では、通しパス番号=j+2に対応するノズル列21は、第1例を前提として図4に示した通しパス番号=j+2に対応するノズル列21の位置よりも、基準線X´に接近した位置である。
このように、印刷データPDの縦サイズに応じて、つまり印刷データPDを構成するラスターライン数に応じて、ステップS140で決定する位置合わせ搬送量が異なる。また、印刷データPDを構成するラスターライン数に応じて、通しパス番号が何番のパスが第2印刷の最初のパスとなるかも変わる。
ステップS150では、制御部11は、ステップS140で決定した位置合わせ搬送量に対応する制御データを選択する。制御データとは、第2印刷の実行に必要な制御用のパラメーターを規定したデータである。制御データは、例えば、第2印刷のパス毎の使用するノズルと、パス間の搬送量とを規定している。本実施形態では、印刷装置10が有するROM11b等のメモリーや外部機器30内の記憶装置等の、所定の記憶部に、位置合わせ搬送量の候補となる候補搬送量に応じた分の複数の制御データが予め記憶されている。そのため、制御部11は、記憶部に記憶されている複数の制御データの中から、ステップS140で決定した位置合わせ搬送量に対応する制御データを選択する。
図5は、制御データの一つである第1制御データ40を示している。第1制御データ40は「第2印刷パス番号PNb」毎に、水平位置HP、パス間の搬送量F、下流ノズル番号、上流ノズル番号、下流POLノズル数、上流POLノズル数、下流POL種別、上流POL種別、を規定している。第2印刷パス番号PNbは、第2印刷内のパス番号であり、第2印刷の最初のパスを1番とする。
水平位置HPは、ラスターラインを構成する画素の位置であって、対応するパスにおいて印刷すべき画素の位置を意味する。ラスターラインの一端から他端に向けて並ぶ各画素を奇数番目の画素と偶数番目の画素とにグループ分けし、例えば、奇数番目の画素の位置を水平位置HP=1、偶数番目の画素の位置を水平位置HP=2と定義する。第1制御データ40によれば、例えば、第2印刷パス番号PNb=1のパスでは、水平位置HP=1の画素を印刷するためのインク吐出を行う。同様に、第1制御データ40によれば、第2印刷パス番号PNb=2のパスでは、水平位置HP=2の画素を印刷するためのインク吐出を行う。
搬送量Fは、対応するパスの直前の搬送の搬送量である。従って、第2印刷パス番号PNb=1に対応して規定されている搬送量Fは、位置合わせ搬送量である。図5に示す搬送量fc1は、候補搬送量の一つである。言い換えると、ステップS140で制御部11が決定した位置合わせ搬送量が、搬送量fc1である場合に、制御部11は、ステップS150において第1制御データ40を選択する。第1制御データ40では、第2印刷パス番号PNb=2以降の各パスに対しては、搬送量Fとして「22」と「21」とを、この順序で交互に規定している。搬送量Fの単位は、1ラスターラインの太さである。1ラスターラインの太さは1画素のサイズである。搬送量Fとしての「22」や「21」は、第1印刷におけるパス間の所定の搬送量fa,fbよりも少ない搬送量Fの例である。
下流ノズル番号とは、対応するパスにおいて、第2印刷に使用するノズルのうち最も下流のノズルのノズル番号である。上流ノズル番号とは、対応するパスにおいて、第2印刷に使用するノズルのうち最も上流のノズルのノズル番号である。あるパスにおいて印刷に使用するノズルを「使用ノズル」、印刷に使用しないノズルを「不使用ノズル」、と呼ぶ。制御部11は、画素毎のドットオン、オフを規定した印刷データを使用ノズルへ割り当てて印刷ヘッド15へ出力することにより、使用ノズルを駆動させる。なお、使用ノズルであっても、割り当てられたある画素のデータがドットオフを規定していれば、当該画素に対応してインクを不吐出とする。制御部11は、不使用ノズルに対しては印刷データを割り当てないため、不使用ノズルは駆動しない。
第1制御データ40によれば、いずれのパスにおいても上流ノズル番号=#180である。また、第2印刷パス番号PNb=9以降の各パスでは下流ノズル番号=#132である。従って、第1制御データ40によれば、例えば、第2印刷パス番号PNb=9のパスでは、ノズル番号#132〜#180の範囲のノズルを使用ノズルとし、水平位置HP=1の画素を印刷するためのインク吐出を行う。言い換えると、第1制御データ40によれば、第2印刷パス番号PNb=9のパスでは、ノズル番号#1〜#131の範囲のノズルを不使用ノズルとする。
なお図5では、第2印刷パス番号PNb=1〜8のパスに対応させて、便宜上、下流ノズル番号=#1と規定しているが、これは、第2印刷パス番号PNb=1〜8のパスでは必ずノズル番号#1〜#180の各ノズルを使用ノズルとする、という意味ではない。第2印刷パス番号PNb=1〜8のパスでは、比較的下流に位置する各ノズルは、印刷ヘッド15の移動とともに、第1印刷の各パスで幾つかの画素が既に印刷された第1領域を通過する。そのため、制御部11は、第2印刷パス番号PNb=1〜8の各パスにおける下流ノズル番号については、第1印刷の各パスにおける印刷との関係や、ステップS140で決定した位置合わせ搬送量などに応じて適正値を決定する。
下流POLノズル数とは、対応するパスにおいて、第2印刷内のPOL印刷に使用する下流のノズル数である。上流POLノズル数とは、対応するパスにおいて、第2印刷内のPOL印刷に使用する上流のノズル数である。「POL印刷」は、部分オーバーラップ印刷を略した表現である。POL印刷とは、ラスターラインの一部分をOL印刷することを意味する。ここで言うラスターラインの一部分とは、例えば、ラスターラインにおける水平位置HP=1の画素または水平位置HP=2の画素である。
POL印刷に使用するノズルを「POLノズル」と呼ぶ。ラスターラインの一部分を2つのPOLノズルで印刷する場合に、この2つのPOLノズルを「ペアノズル」と呼ぶ。ペアノズルのうち、POL印刷すべきラスターラインを先のパスで印刷するノズル、つまり相対的に上流に位置するノズルが「上流POLノズル」であり、POL印刷すべきラスターラインを後のパスで印刷するノズル、つまり相対的に下流に位置するノズルが「下流POLノズル」である。
第1制御データ40によれば、いずれのパスにおいても上流POLノズル数=6である。上流POLノズル数=6は、そのときの使用ノズルのうち上流のノズル番号#175〜#180の6個のノズルが上流POLノズルであることを意味する。また、第1制御データ40によれば、第2印刷パス番号PNb=9以降の各パスでは下流POLノズル数=6である。下流ノズル番号=#132であり、下流POLノズル数=6ということは、使用ノズルのうち下流のノズル番号#132〜#137の6個のノズルが下流POLノズルであることを意味する。
使用ノズルのうちPOLノズルではないノズルを「通常使用ノズル」と呼ぶ。第1制御データ40によれば、第2印刷パス番号PNb=9のパスでは、ノズル番号#138〜#174のノズルが通常使用ノズルとなる。
例えば、あるラスターラインの水平位置HP=1の画素を上流POLノズルおよび下流POLノズルを用いてPOL印刷することを想定すると、このラスターラインの水平位置HP=2の画素は通常使用ノズルによって印刷される。従って、このラスターラインは、計3個のノズルを用いてOL印刷されることになる。
第1制御データ40によれば、第2印刷におけるPOL印刷は、ある回のパスと、当該パスの第2印刷パス番号PNbに8を足した回のパスとがペアとなっている。例えば、第2印刷パス番号PNb=1のパスと第2印刷パス番号PNb=9のパスとのペアで、あるラスターラインのPOL印刷が完了する。同様に、第2印刷パス番号PNb=2のパスと第2印刷パス番号PNb=10のパスとのペアで、別のラスターラインのPOL印刷が完了する。第2印刷におけるPOL印刷に関してペアの関係にあるパス同士は、当然、同じ水平位置を印刷するように制御される。
第1制御データ40によれば、第2印刷パス番号PNb=1〜8では、下流POLノズル数=0となっている。これは、第2印刷パス番号PNb=1〜8の各パスでは、上流POLノズルでPOL印刷する各ラスターラインについて、ペアとなる下流POLノズルでPOL印刷するタイミングが到来していないからである。
下流POL種別および上流POL種別は、POL印刷する下流POLノズルと上流POLノズルとの使用率の比を特定するための情報である。ノズルの使用率とは、1つのラスターラインを構成する全画素数を100%としたときの、当該ラスターラインを印刷する1つのノズルに割り当てる画素数の比率である。例えば、ラスターラインを構成する全画素のうち水平位置HP=1の画素を全て1つのノズルに割り当てると、このノズルの使用率は50%になる。本実施形態では、通常使用ノズルの使用率は50%と解してよい。また、例えば、ラスターラインを構成する全画素のうち水平位置HP=2の画素を上流POLノズルと下流POLノズルとに均等に割り当てる場合には、上流POLノズルの使用率と下流POLノズルの使用率とは夫々25%になる。
第2印刷されるラスターラインに注目したとき、水平位置HP=1の画素と水平位置HP=2の画素とのいずれか一方がPOL印刷されるのであれば、上流POLノズルの使用率と下流POLノズルの使用率との和は50%となる。第1制御データ40によれば、いずれのパスにおいても下流POL種別および上流POL種別は「1」である。例えば、上流POL種別=1は上流POLノズルの使用率=20%を意味し、下流POL種別=1は下流POLノズルの使用率=30%を意味する。図5では、第1制御データ40について第2印刷パス番号PNb=16のパスまでしか記載していないが、当然、第1制御データ40は、第2印刷パス番号PNb=16より後の各パスについても第2印刷の制御に必要な各種パラメーターを規定するものであってもよい。基本的には、第2印刷パス番号PNb=9〜16に対応するパラメーターが、第2印刷パス番号PNb=16よりも後のパスにおいて8パスを1サイクルとして繰り返し適用される。
図6は、制御データの一つである第2制御データ41を示している。図6の見方は、図5の見方と同じである。第2制御データ41については、第1制御データ40との違いを説明する。第2制御データ41によれば、例えば、第2印刷パス番号PNb=1のパスでは、水平位置HP=2の画素を印刷するためのインク吐出を行う。図6に示す搬送量fc2は、候補搬送量の一つである。つまり、ステップS140で制御部11が決定した位置合わせ搬送量が、搬送量fc2である場合に、制御部11は、ステップS150において第2制御データ41を選択する。第2制御データ41では、第2印刷パス番号PNb=2以降の各パスに対しては、搬送量Fとして「21」と「22」とを、この順序で交互に規定している。
第2印刷パス番号PNbと、下流ノズル番号、上流ノズル番号、下流POLノズル数、上流POLノズル数、下流POL種別および上流POL種別と、の対応関係は、第1制御データ40と第2制御データ41とで共通である。
本実施形態では、制御部11は、通しパス番号=1のパスから順に各パスへ水平位置HPを所定の「水平位置サイクル」で対応付けて印刷を制御する。具体的には、“1,2,2,1”というサイクルで、通しパス番号=1のパスから順に各パスへ水平位置HPを繰り返し対応付ける。例えば、通しパス番号=j+1が、水平位置サイクルの先頭の“1”に対応する番号であれば、次の通しパス番号=j+2には、水平位置サイクルの先頭の“1”の次の“2”を対応付けることになる。
従って、印刷データPDの縦サイズに応じて、第2印刷の最初のパスの通しパス番号が変われば、第2印刷パス番号PNb=1に対応付けるべき水平位置HPも変わる。このような観点によれば、第1制御データ40は、第2印刷の最初のパスの通しパス番号が水平位置サイクルの先頭の“1”に対応する番号であるときに、選択すべき制御データと言える。第1制御データ40では、第2印刷パス番号PNb=1を先頭にして、“1,2,2,1”というサイクルで各パスに水平位置HPを対応付けている。一方、第2制御データ41は、第2印刷の最初のパスの通しパス番号が水平位置サイクルの先頭の“1”の次の“2”に対応する番号であるときに、選択すべき制御データと言える。第2制御データ41では、第2印刷パス番号PNb=1を先頭にして、“2,2,1,1”というサイクルで各パスに水平位置HPを対応付けている。なお、ステップS150で制御部11が位置合わせ搬送量に応じて選択可能な制御データは、第1制御データ40や第2制御データ41に限られない。
ステップS160では、制御部11は、印刷データの出力処理を実行する。つまり、制御部11は、ステップS130により得た印刷データをパス単位のデータの纏まりで印刷ヘッド15へ順次出力しつつ、搬送部17による搬送、キャリッジ16の移動および印刷ヘッド15の駆動を制御して、印刷媒体Pに対する第1印刷および第2印刷を含む印刷を実現させる。
このとき、制御部11は、上述したように通しパス番号=1のパスを先頭にして、各パスで水平位置サイクルに従った水平位置HPの画素を印刷させる。また、制御部11は、第1印刷においては、パス間の搬送量として搬送量fa,fbを交互に採用する。また、制御部11は、第2印刷の最初のパスの直前の搬送として、ステップS140で決定した位置合わせ搬送量の搬送を搬送部17に実行させる。また、制御部11は、第2印刷の各パスやパス間の搬送は、ステップS150で選択した制御データに従った制御を行う。
以上で、印刷データに基づく一枚の印刷媒体Pへの印刷が終了する。制御部11は、複数枚の印刷媒体Pへ印刷を行う場合は、図3のフローチャートを繰り返し実行すればよい。
3.具体例:
図7は、制御部11がステップS150で選択した第1制御データ40に基づいてステップS160で実行する第2印刷の具体例を説明する図である。図7内の上段に示す表は、第2印刷パス番号PNbと、水平位置HPと、搬送量Fとの対応関係を示しており、図5に示した第1制御データ40にほぼ該当する。ただし、図7内の上段の表では、通しパス番号PNaを併せて示している。つまり、図7内の上段の表では、通しパス番号PNa=132のパスが第1印刷の最後のパスであり、通しパス番号PNa=133のパスが第2印刷の最初のパスである例を示している。図7内の上段の表において、通しパス番号PNa=132に対応する搬送量F=62は、第1印刷の最後のパスの直前の搬送量Fであり、搬送量fa,fbのいずれかである。また、図7内の上段の表において、通しパス番号PNa=133に対応する搬送量F=21は、位置合わせ搬送量、つまり第2印刷の最初のパスの直前の搬送量の例である。
図7では、前記表の下に、パス毎のラスターライン番号RLNとノズル番号との対応関係の一部を示している。ラスターライン番号RLNは、印刷データの先端から後端に向かって各ラスターラインに対して順に付した数字であり、その値が小さいほど、印刷データの先端に近いラスターラインを示す。図7の例では、ラスターライン番号RLN=7850〜7893の各ラスターラインとノズル番号との対応関係を示している。むろん、ラスターライン番号RLN=7850〜7893は、印刷データを構成するラスターラインのごく一部の番号である。ラスターライン番号RLN=7850〜7893の右に各パスに対応して記載した太枠の矩形内の数字は、ノズル列21が有する180個のノズルのうちの一部のノズルのノズル番号である。つまり、図7においても、図4と同様に、パス毎にノズル列21と印刷データとの相対的な位置関係が変化することを示している。図7では、ノズル番号を表す場合に、スペースの都合上“#”の記号を省略している。
図7では、縦方向におけるノズル番号同士の距離が、ノズル列21におけるノズルピッチを表す。図7では、ノズルピッチは、縦方向におけるラスターライン番号RLN同士の距離の4倍である。従って図7は、制御部11が、搬送方向D1における印刷解像度をノズルピッチで再現される解像度の4倍の解像度として印刷を実行する例を示している。
図7では、ノズル番号を記載した矩形が白色である場合、そのノズル番号のノズルは通常使用ノズルであることを意味する。また、図7では、ノズル番号を記載した矩形がグレー色である場合、そのノズル番号のノズルはPOLノズルであることを意味する。また、図7では、ノズル番号を記載した矩形に斜線が引かれている場合、そのノズル番号のノズルは不使用ノズルであることを意味する。
図7によれば、例えば、第1印刷の最後のパスである通しパス番号PNa=132のパスでは、ノズル番号#178〜#180の各ノズルはいずれも通常使用ノズルである。制御部11は、通しパス番号PNa=132のパスにおいて、通常使用ノズルであるノズル番号#178〜#180の各ノズルには、ラスターライン番号RLN=7853,7857,7861の各ラスターラインの水平位置HP=1の画素を割り当てて印刷ヘッド15に印刷を実行させる。
図7によれば、第2印刷パス番号PNb=1、つまり第2印刷の最初のパスである通しパス番号PNa=133のパスでは、ノズル番号#175〜#180の各ノズルはいずれも上流POLノズルである。これは、第1制御データ40から明らかである。制御部11は、通しパス番号PNa=133のパスにおいて、上流POLノズルであるノズル番号#175〜#180の各ノズルには、ラスターライン番号RLN=7862,7866,7870,7874,7878,7882の各ラスターラインの水平位置HP=1の画素を割り当てて印刷ヘッド15に印刷を実行させる。この場合、第1制御データ40によれば上流POL種別は「1」であるから、制御部11はノズル番号#175〜#180の各ノズルの使用率が夫々20%となるように、ライン番号RLN=7862,7866,7870,7874,7878,7882の各ラスターラインの水平位置HP=1の画素の一部を、これら上流POLノズルに割り当てる。
図7によれば、第2印刷パス番号PNb=9である通しパス番号PNa=141のパスでは、ノズル番号#132〜#137の各ノズルはいずれも下流POLノズルである。これは、第1制御データ40から明らかである。制御部11は、通しパス番号PNa=141のパスにおいて、下流POLノズルであるノズル番号#132〜#137の各ノズルには、ラスターライン番号RLN=7862,7866,7870,7874,7878,7882の各ラスターラインの水平位置HP=1の画素を割り当てて印刷ヘッド15に印刷を実行させる。この場合、第1制御データ40によれば、下流POL種別は「1」であるから、制御部11はノズル番号#132〜#137の各ノズルの使用率が夫々30%となるように、ラスターライン番号RLN=7862,7866,7870,7874,7878,7882の各ラスターラインの水平位置HP=1の画素の残りを、これら下流POLノズルに割り当てる。ここで言う“残り”とは、当然、ラスターライン番号RLN=7862,7866,7870,7874,7878,7882の各ラスターラインの水平位置HP=1の画素のうち、通しパス番号PNa=133のパスで既にノズル番号#175〜#180の各ノズルに割り当てた画素を除く画素である。
図7によれば、POLノズルに一部の画素が割り当てられるラスターラインは、計3個のノズルでOL印刷される。例えば、ラスターライン番号RLN=7862のラスターラインは、水平位置HP=1の画素がノズル番号#175の上流POLノズルとノズル番号#132の下流POLノズルとによってPOL印刷され、かつ、水平位置HP=2の画素がノズル番号#148の通常使用ノズルによって印刷される。また、例えばラスターライン番号RLN=7888のラスターラインは、水平位置HP=2の画素がノズル番号#176の上流POLノズルとノズル番号#133の下流POLノズルとによってPOL印刷され、かつ、水平位置HP=1の画素がノズル番号#160の通常使用ノズルによって印刷される。
図7によれば、POLノズルに画素が割り当てられないラスターラインは、計2個のノズルでOL印刷される。例えば、ラスターライン番号RLN=7863のラスターラインは、水平位置HP=1の画素がノズル番号#159の通常使用ノズルによって印刷され、かつ、水平位置HP=2の画素がノズル番号#143の通常使用ノズルによって印刷される。また、図7の例から解るように、第1印刷である通しパス番号PNa=132のパスで印刷されるラスターラインは、その一部が第2印刷に該当するパスにより印刷される。従って、本実施形態では、第1領域と第2領域とは、一部が重なることが有り、それらの境界は必ずしも明確でなくてもよい。
図8は、制御部11がステップS150で選択した第2制御データ41に基づいてステップS160で実行する第2印刷の具体例を説明する図である。図8の見方は図7の見方と同じであるため、図8に関しては、図7に関する説明を適宜準用すればよい。図8内の上段に示す表は図6に示した第2制御データ41にほぼ該当する。図8内の上段の表では、通しパス番号PNa=133のパスが第1印刷の最後のパスであり、通しパス番号PNa=134のパスが第2印刷の最初のパスである例を示している。図8内の上段の表において、通しパス番号PNa=133に対応する搬送量F=57は、第1印刷の最後のパスの直前の搬送量Fであり、搬送量fa,fbのいずれかである。また、図8内の上段の表において、通しパス番号PNa=134に対応する搬送量F=22は、位置合わせ搬送量の一例である。
図8では、前記表の下に、ラスターライン番号RLN=7907〜7950の各ラスターラインとノズル番号との対応関係を示している。図8によれば、例えば、第2印刷パス番号PNb=1、つまり第2印刷の最初のパスである通しパス番号PNa=134のパスでは、ノズル番号#175〜#180の各ノズルはいずれも上流POLノズルである。これは、第2制御データ41から明らかである。制御部11は、通しパス番号PNa=134のパスにおいて、上流POLノズルであるノズル番号#175〜#180の各ノズルには、ラスターライン番号RLN=7920,7924,7928,7932,7936,7940の各ラスターラインの水平位置HP=2の画素を割り当てて印刷ヘッド15に印刷を実行させる。この場合、第2制御データ41によれば上流POL種別は「1」であるから、制御部11はノズル番号#175〜#180の各ノズルの使用率が夫々20%となるように、ラスターライン番号RLN=7920,7924,7928,7932,7936,7940の各ラスターラインの水平位置HP=2の画素の一部を、これら上流POLノズルに割り当てる。
図8によれば、第2印刷パス番号PNb=9である通しパス番号PNa=142のパスでは、ノズル番号#132〜#137の各ノズルはいずれも下流POLノズルである。これは、第2制御データ41から明らかである。制御部11は、通しパス番号PNa=142のパスにおいて、下流POLノズルであるノズル番号#132〜#137の各ノズルには、ラスターライン番号RLN=7920,7924,7928,7932,7936,7940の各ラスターラインの水平位置HP=2の画素を割り当てて印刷ヘッド15に印刷を実行させる。この場合、第2制御データ41によれば、下流POL種別は「1」であるから、制御部11はノズル番号#132〜#137の各ノズルの使用率が夫々30%となるように、ラスターライン番号RLN=7920,7924,7928,7932,7936,7940の各ラスターラインの水平位置HP=2の画素の残りを、これら下流POLノズルに割り当てる。ここで言う“残り”とは、当然、ラスターライン番号RLN=7920,7924,7928,7932,7936,7940の各ラスターラインの水平位置HP=2の画素のうち、通しパス番号PNa=134のパスで既にノズル番号#175〜#180の各ノズルに割り当てた画素を除く画素である。
図8によれば、POLノズルに一部の画素が割り当てられるラスターラインは、計3個のノズルでOL印刷される。例えば、ラスターライン番号RLN=7920のラスターラインは、水平位置HP=2の画素がノズル番号#175の上流POLノズルとノズル番号#132の下流POLノズルとによってPOL印刷され、かつ、水平位置HP=1の画素がノズル番号#159の通常使用ノズルによって印刷される。また、例えばラスターライン番号RLN=7945のラスターラインは、水平位置HP=2の画素がノズル番号#176の上流POLノズルとノズル番号#133の下流POLノズルとによってPOL印刷され、かつ、水平位置HP=1の画素がノズル番号#149の通常使用ノズルによって印刷される。
図8によれば、POLノズルに画素が割り当てられないラスターラインは、計2個のノズルでOL印刷される。例えば、ラスターライン番号RLN=7919のラスターラインは、水平位置HP=1の画素がノズル番号#164の通常使用ノズルによって印刷され、かつ、水平位置HP=2の画素がノズル番号#148の通常使用ノズルによって印刷される。また、図8の例から解るように、第1印刷である通しパス番号PNa=133のパスで印刷されるラスターラインは、その一部が第2印刷に該当するパスにより印刷される。
図9は、第1制御データ40であって図5とは異なる例を示している。図9の第1制御データ40においては、下流POL種別および上流POL種別が「1」ではなく「2」である。例えば、上流POL種別=2は上流POLノズルの使用率=10%を意味し、下流POL種別=2は下流POLノズルの使用率=40%を意味する。つまり、POL種別は1種類に限定されない。第1制御データ40が図9に示す内容であり、第2制御データ41が図6に示す内容であれば、第1制御データ40と第2制御データ41とは、同じ第2印刷パス番号PNbに対応して規定するPOLノズルの使用率が互いに異なる。
図10は、第1制御データ40であって図5および図9とは異なる例を示している。図10の第1制御データ40においては、第2印刷パス番号PNb=1から始まる各パスに対し、POL種別として「1」と「2」とを交互に対応付けている。図10の例では、POL印刷のペアの関係を有する8パス差のパス同士、例えば、第2印刷パス番号PNb=1のパスと第2印刷パス番号PNb=9のパスとは、POL種別が同じである。むろん、第2制御データ41も、POL種別がパスに応じて異なる設定であってもよい。また、POL種別は、上述の「1」や「2」以外の種別であってもよい。
4.まとめ及び効果:
このように本実施形態によれば、第1方向への印刷媒体Pの搬送と、液体を吐出する複数のノズルを有する印刷ヘッド15の第1方向に交差する第2方向への移動であるパスと、を交互に繰り返すことにより印刷媒体Pへの印刷を行う印刷装置10は、制御部11と、記憶部と、を備える。制御部11は、印刷媒体Pの搬送と前記パスとを制御する。また、制御部11は、印刷媒体Pの第1領域に対してパス間の搬送量を一定としない搬送を実行して印刷する第1印刷と、第1領域に続く印刷媒体Pの第2領域に対して第1印刷のパス間の搬送量よりも少ないパス間の搬送量で搬送を実行して印刷する第2印刷と、を制御する。このとき、制御部11は、印刷データに基づいて第2印刷の直前の搬送量(位置合わせ搬送量)を決定し、第2印刷の直前の搬送量の候補となる候補搬送量に応じて設定された制御データであって、第2印刷のパス毎に使用するノズルとパス間の搬送量とを規定した制御データを記憶する前記記憶部から、決定した搬送量に対応する制御データを選択し、選択した制御データに基づいて、印刷データを構成するラスターラインに対して、2以上であるn個のノズルによる第2印刷を行う。
前記構成によれば、制御部11は、位置合わせ搬送量に応じて、予め記憶された複数の制御データの中から対応する制御データを選択して第2印刷の制御に用いる。これにより、位置合わせ搬送量の違いによらず、制御部11は第2印刷を適切に実行することができる。
本実施形態による効果を更に詳しく説明する。
ここで、第2印刷を制御するための制御データが一つである場合、例えば、図5に示した第1制御データ40しか用意されていない場合を想定する。このような想定下で、例えば図7内の上段の表のように、通しパス番号PNa=133のパスが第2印刷の最初のパスであったとする。この場合、プロセッサーは、通しパス番号PNa=133は、順番として水平位置サイクル“1,2,2,1”の先頭の“1”に対応することから、第1制御データ40の先頭、つまり第2印刷パス番号PNb=1の各パラメーターから順に読み出して、第2印刷の各パスを制御する。この場合、図7で説明したような印刷が実行され、特に問題はない。
一方、図5に示した第1制御データ40しか用意されていない前記想定下で、例えば、通しパス番号PNa=134のパスが第2印刷の最初のパスであったとする。この場合、プロセッサーは、通しパス番号PNa=134は、順番として水平位置サイクル“1,2,2,1”の先頭の“1”の次の“2”に対応することから、第1制御データ40の第2印刷パス番号PNb=2の各パラメーターから順に読み出して、第2印刷の各パスを制御する。すると、第2印刷の最初のパスは第1制御データ40の第2印刷パス番号PNb=2に対応する各パラメーターで制御され、第2印刷の9番目のパスは第1制御データ40の第2印刷パス番号PNb=10に対応する各パラメーターで制御される。また、第2印刷の8番目のパスは第1制御データ40の第2印刷パス番号PNb=9に対応する各パラメーターで制御される。第1制御データ40の第2印刷パス番号PNb=2と第2印刷パス番号PNb=10とは、POL印刷のためのペアの関係にあるため、第2印刷の最初のパスおよび9番目のパスによって、あるラスターラインについて適切にPOL印刷が実行される。しかし、第2印刷の8番目のパスは第1制御データ40の第2印刷パス番号PNb=9に対応する各パラメーターによる制御下で実行されるものの、この第2印刷パス番号PNb=9とペアの第2印刷パス番号PNb=1に対応する各パラメーターによる制御下で実行されるべき第2印刷のパスが実行されない。つまり、第2印刷の8番目のパスにおける下流POLノズルとペアとなる上流POLノズルを使用して実行すべきパスが実行されない。これにより、印刷媒体Pに不完全なOL印刷によるラスターライン、つまり一部の画素がドットで表現されないラスターラインが印刷され、画質が低下する。
本実施形態では、印刷データに応じて位置合わせ搬送量が異なるために、第2印刷の最初のパスの通しパス番号が一定でないことに対応して、候補搬送量に応じて複数の制御データを予め用意しておく。これにより、位置合わせ搬送量が異なるにもかかわらず共通の制御データを参照することに起因して第2印刷で不完全なOL印刷が生じる、という事態を防ぎ、良好な印刷品質を得ることができる。
また、本実施形態によれば、第1制御データ40に基づく第2印刷における開始からi番目のパスで使用するノズルと、第2制御データ41に基づく第2印刷における開始からi番目のパスで使用するノズルとは、同じである。iは1以上の整数である。iは、第2印刷パス番号PNbに該当する。つまり、第1制御データ40と第2制御データ41とを比較すると、同じ第2印刷パス番号PNbに対応する使用ノズルは共通している。これにより、第2印刷の最初のパスの通しパス番号PNaが異なる夫々の場合において、第2印刷の最初のパスをi=1とした場合のi番目のパスにおける使用ノズルが共通することになる。よって、制御部11は、第1制御データ40を選択する場合と、第2制御データ41を選択する場合とのいずれであっても、同様に高い画質の第2印刷の結果を提供することができる。
また、本実施形態によれば、印刷ヘッド15は、第1方向に所定間隔で並ぶ複数のノズルからなるノズル列21を有する。
そして、第1制御データ40に基づく第2印刷における開始からi番目のパスによる、ノズル列21の一端からの順番がk番目であるノズルの使用率と、第2制御データ41に基づく第2印刷における開始からi番目のパスによる、ノズル列21の一端からの順番がk番目であるノズルの使用率とは、同じである。kは1以上の整数である。kはノズル番号を意味する。
つまり、図5の第1制御データ40と図6の第2制御データ41とによれば、POL種別はいずれのパスに対しても「1」が規定されている。従って、図5の第1制御データ40に従ったときのi番目のパスにおけるノズル番号#kのノズルの使用率と、図6の第2制御データ41に従ったときのi番目のパスにおけるノズル番号#kのノズルの使用率とは、同じである。当該構成によれば、第1制御データ40と第2制御データ41とのいずれを選択した場合であっても、第2印刷の結果として一定の画質を提供することができる。
一方で、第1制御データ40に基づく第2印刷における開始からi番目のパスによる、ノズル列21の一端からの順番がk番目であるノズルの使用率と、第2制御データ41に基づく第2印刷における開始からi番目のパスによる、ノズル列21の一端からの順番がk番目であるノズルの使用率とは、異なるとしてもよい。ただし、ノズル番号#kのノズルは、POLノズルである。
つまり、図9の第1制御データ40によれば、POL種別はいずれのパスに対しても「2」が規定されており、図6の第2制御データ41によれば、POL種別はいずれのパスに対しても「1」が規定されている。従って、図9の第1制御データ40に従ったときのi番目のパスにおけるノズル番号#kのノズルの使用率と、図6の第2制御データ41に従ったときのi番目のパスにおけるノズル番号#kのノズルの使用率とは、異なる。当該構成によれば、第1制御データ40と第2制御データ41との夫々で第2印刷について所望の画質を提供することができる。
5.その他の実施形態:
本実施形態に含まれる内容をさらに説明する。
図11は、パス数決定処理をフローチャートにより示している。パス数決定処理は、第2印刷のパス数を決定する処理である。制御部11は、例えば、ステップS150で制御データを選択したタイミングで、ステップS160を開始する前にパス数決定処理を実行する。
ステップS201では、制御部11は、第2印刷のパス数を表すパラメーターqを初期化する。つまり、q=0と設定する。
ステップS202では、制御部11は、qに“1”を加算することによりqの設定を更新する。qは、印刷データに基づく印刷に必要な第2印刷パス番号PNbの最大値と解することができる。
ステップS203では、制御部11は、第2印刷においてqに対応するパスを実行するノズル列21と印刷データとの位置関係を特定する。
図12は、パス数決定処理を説明するための図である。図12では、図4と同様に、印刷ヘッド15のパス毎に搬送方向D1におけるノズル列21と印刷データとの相対的な位置関係が変化することを示している。ただし、図12では、基準線Xと後端DE2との間の領域を含む印刷データPDの一部領域とノズル列21との関係性を拡大して示している。また、図4では搬送方向D1に長尺な矩形によりノズル列21の全体を表現しているが、図12では、説明に必要なノズル列21の一部分のみを示している。
図12において、ノズル列21内のグレー色を付した二つの範囲のうち上流の範囲は、上流POLノズルが搬送方向D1に沿って並ぶ上流POLノズル範囲21aである。また、当該二つの範囲のうち下流の範囲は、下流POLノズルが搬送方向D1に沿って並ぶ下流POLノズル範囲21bである。ここでは、ステップS150において、第1制御データ40が選択されたと仮定する。第1制御データ40によれば、ノズル番号#175〜#180の各ノズルが上流POLノズル範囲21aに該当し、ノズル番号#132〜#137の各ノズルが下流POLノズル範囲21bに該当する。上流POLノズル範囲21aと下流POLノズル範囲21bとの間の範囲に、通常使用ノズルが搬送方向D1に沿って並んでいる。
図12において、ノズル列21の符号“21”の隣に括弧書きで記した数字は、第2印刷パス番号PNbである。制御部11は、ステップS140で決定した位置合わせ搬送量や、ステップS150で選択した制御データなどに基づいて、qに対応するノズル列21と印刷データとの位置関係を特定することができる。例えば、q=9であれば、制御部11は、ステップS150で選択した第1制御データ40における第2印刷パス番号PNb=9に対応して規定されている各パラメーターに従って第2印刷内の9回目のパスを実行するときのノズル列21の、印刷データとの相対的な位置を特定する。
ステップS204では、制御部11は、ステップS203で特定したノズル列21と印刷データとの位置関係を前提としたときに、第2印刷において“範囲を限定した使用ノズル”により印刷不能な画素が印刷データに残存しているか否かを判定する。上述したように使用ノズルとは、上流POLノズルと通常使用ノズルと下流POLノズルとを指す。これに対して、範囲を限定した使用ノズルとは、下流POLノズルおよび通常使用ノズルを指す。範囲を限定した使用ノズルを「限定使用ノズル」と称する。
限定使用ノズルによる第2印刷は、実際に行う訳ではなく、第2印刷のパス数を決定するための考えである。限定使用ノズルによる第2印刷は、上流POLノズルを使用できないため、POL印刷において上流POLノズルが担うべき印刷を全て下流POLノズルが担う。つまり、上流POLノズルの使用率を0%とし、下流POLノズルの使用率を50%とする。例えば、あるラスターラインの水平位置HP=1の画素を通常使用ノズルで印刷し、水平位置HP=2の画素を下流POLノズルと上流POLノズルとでPOL印刷するケースに対し、限定使用ノズルによる第2印刷では、このラスターラインの水平位置HP=1の画素を通常使用ノズルで印刷し、水平位置HP=2の画素を下流POLノズルで印刷する。
あるラスターラインの水平位置HP=1の画素を通常使用ノズルで印刷し、水平位置HP=2の画素を下流POLノズルと上流POLノズルとでPOL印刷するケースでは、このラスターラインを3個のノズルで印刷する。これに対し、ラスターラインを限定使用ノズルにより第2印刷する場合は、このラスターラインを2個のノズルで印刷することになる。つまり、図11のパス数決定処理では、制御部11は、n(例えば3)個よりも少ないm(例えば2)個のノズルでラスターラインを印刷する仮定で印刷データに基づいて第2印刷に必要なパス数を算出する。
ステップS204について、具体的に説明する。
図12において、第2印刷パス番号PNb=24のノズル列21に注目すると、下流POLノズル範囲21bは、後端DE2よりも下流に位置する。限定使用ノズルで第2印刷を行う場合、下流POLノズル範囲21bに含まれているラスターラインの束は、そのときの位置のノズル列21が実行するパスと、直近7回のパスとによる計8回のパスで印刷される。つまり、第2印刷パス番号PNb=24であるときのノズル列21における下流POLノズル範囲21bに含まれるラスターラインの束は、第2印刷パス番号PNb=17〜24の計8回のパスの中で、全ての画素がいずれかのパスのいずれかの限定使用ノズルに割り当てられる。これは、図7の例において、限定使用ノズルで第2印刷を行うと仮定したとき、第2印刷パス番号PNb=9の下流POLノズル(ノズル番号#132〜#137)の範囲に含まれるラスターライン番号RLN=7862〜7882のラスターラインの束が、第2印刷パス番号PNb=2〜9の計8回のパスで印刷されることからも理解できる。
従って、第2印刷パス番号PNb=24であるときのノズル列21における下流POLノズル範囲21bよりも上流に位置するラスターラインは、第2印刷パス番号PNb=24のパスを実行した時点では、少なくとも一部のラスターラインの一部の画素が限定使用ノズルにより印刷されていないことになる。よって、図12の例では、q=24であるときのステップS204では、限定使用ノズルで印刷不能な画素が印刷データに残存すると言えるため、制御部11は“Yes”の判定からステップS202へ進む。
一方、図12において第2印刷パス番号PNb=25のノズル列21に注目すると、下流POLノズル範囲21bは、後端DE2の位置を含んでいる。従って、第2印刷パス番号PNb=25のパスを実行した時点で、後端DE2や後端DE2近傍の各ラスターラインの全ての画素が、第2印刷のいずれかのパスのいずれかの限定使用ノズルに割り当てられている。よって、図12の例では、q=25であるときのステップS204では、限定使用ノズルで印刷不能な画素が印刷データに残存しないと言えるため、制御部11は“No”の判定からステップS205へ進む。
ステップS205では、制御部11は、その時点のqを第2印刷のパス数に決定する。以上で、パス数決定処理が終了する。このように第2印刷のパス数を決定した制御部は、ステップS160を実行する。制御部11は、ステップS150で選択した制御データに基づく第2印刷を、パス数決定処理で決定したパス数だけ実行する。制御データに基づく第2印刷は、限定使用ノズルによる印刷ではなく、上流POLノズルを含む使用ノズルによる印刷である。つまり、制御部11は、パス数決定処理で算出したパス数による、ラスターラインを前記n個のノズルを使用して印刷する第2印刷を行う。
上流POLノズルで一部の画素を印刷したラスターライン内の別の一部の画素を一定パス数後のパスにおいて下流POLノズルで印刷する場合、あるパス回数で第2印刷を終えたとき、画像の後端や後端近傍のいくつかのラスターラインに関して下流POLノズルによる印刷が未実行のまま第2印刷が終了する、という課題があった。このような課題に対し、本実施形態では、制御部11は上述したように、上流POLノズルを除いた限定使用ノズルでラスターラインを印刷するという仮定で、印刷データに基づいて第2印刷に必要なパス数を算出する。そして、算出したパス数による、上流POLノズルを含む使用ノズルを用いた第2印刷を行う。従って、一部のラスターラインについてOL印刷が不完全なまま第2印刷が終わることを、回避することができる。
本実施形態の印刷装置は、単体の装置によって実現される以外に、複数の装置を含むシステムによって実現される構成であってもよい。例えば、これまでに説明した制御部11は、外部機器30が搭載するプロセッサー等のリソースやプログラムにより実現してもよい。つまり、外部機器30が印刷装置10を制御することにより、印刷制御処理を実現してもよい。また、印刷装置が実行する各工程を含む処理を、方法の発明として捉えることが可能である。当該方法をプロセッサーに実行させるプログラム12も発明として捉えることができる。
10…印刷装置、11…制御部、11a…CPU、12…プログラム、13…表示部、14…操作受付部、15…印刷ヘッド、16…キャリッジ、17…搬送部、18…通信IF、19…ノズル面、21…ノズル列、21a…上流POLノズル範囲、21b…下流POLノズル範囲、22…プラテン、30…外部機器、40…第1制御データ、41…第2制御データ、P…印刷媒体。

Claims (5)

  1. 第1方向への印刷媒体の搬送と、液体を吐出する複数のノズルを有する印刷ヘッドの前記第1方向に交差する第2方向への移動であるパスと、を交互に繰り返すことにより前記印刷媒体への印刷を行う印刷装置であって、
    制御部と、記憶部と、を備え、
    前記制御部は、
    前記印刷媒体の第1領域に対してパス間の搬送量を一定としない前記搬送を実行して印刷する第1印刷と、
    前記第1領域に続く前記印刷媒体の第2領域に対して前記第1印刷のパス間の搬送量よりも少ないパス間の搬送量で前記搬送を実行して印刷する第2印刷と、を制御し、
    前記記憶部は、前記第2印刷の直前の搬送量の候補となる候補搬送量に応じた分、前記第2印刷のパス毎に使用する前記ノズルとパス間の搬送量とを規定した制御データを記憶し、
    前記制御部は、
    印刷データに基づいて前記第2印刷の直前の搬送量を決定し、
    前記記憶部から、決定した前記第2印刷の直前の搬送量に対応する前記制御データを選択し、
    選択した前記制御データに基づいて、前記印刷データを構成するラスターラインに対して、2以上であるn個の前記ノズルによる前記第2印刷を行う、ことを特徴とする印刷装置。
  2. 前記制御データの一つである第1制御データに基づく前記第2印刷における開始からi番目のパスで使用する前記ノズルと、前記制御データの一つである第2制御データに基づく前記第2印刷における開始からi番目のパスで使用する前記ノズルとは、同じであることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。ただし、iは1以上の整数である。
  3. 前記印刷ヘッドは、前記第1方向に所定間隔で並ぶ複数の前記ノズルからなるノズル列を有し、
    前記第1制御データに基づく前記第2印刷における開始からi番目のパスによる、前記ノズル列の一端からの順番がk番目であるノズルの使用率と、前記第2制御データに基づく前記第2印刷における開始からi番目のパスによる、前記ノズル列の一端からの順番がk番目であるノズルの使用率とは、同じであることを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。ただし、kは1以上の整数である。
  4. 前記印刷ヘッドは、前記第1方向に所定間隔で並ぶ複数の前記ノズルからなるノズル列を有し、
    前記第1制御データに基づく前記第2印刷における開始からi番目のパスによる、前記ノズル列の一端からの順番がk番目であるノズルの使用率と、前記第2制御データに基づく前記第2印刷における開始からi番目のパスによる、前記ノズル列の一端からの順番がk番目であるノズルの使用率とは、異なることを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。ただし、kは1以上の整数である。
  5. 前記制御部は、前記nよりも少ないm個の前記ノズルで前記ラスターラインを印刷する仮定で前記印刷データに基づいて前記第2印刷に必要なパス数を算出し、前記算出したパス数による、前記ラスターラインを前記n個の前記ノズルを使用して印刷する前記第2印刷を行う、ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の印刷装置。
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