JP2021061291A - セラミック電子部品の製造方法、およびシート部材 - Google Patents

セラミック電子部品の製造方法、およびシート部材 Download PDF

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Abstract

【課題】 内部電極層の連続率低下を抑制することができる、セラミック電子部品の製造方法、およびシート部材を提供する。【解決手段】 セラミック電子部品の製造方法は、セラミック粉末を含む誘電体グリーンシート上に金属材料および共材を含む金属導電ペーストのパターンが配置された積層単位を、前記金属導電ペーストの配置が交互にずれるように複数積層することで積層体を形成する工程と、前記積層体を焼成する工程と、を含み、粉末X線回折で評価した場合の(111)面のFWHMについて、(前記共材のFWHM)/(前記セラミック粉末のFWHM)が4以上であり、前記金属材料の平均粒径が150nm以下であることを特徴とする。【選択図】 図6

Description

本発明は、セラミック電子部品の製造方法、およびシート部材に関する。
積層セラミックコンデンサなどのセラミック電子部品では、小型大容量化が求められている。そこで、誘電体層および内部電極層の薄層化や、交差面積の拡大による実効容量値の向上が求められている。しかしながら、内部電極層を薄層化すると、誘電体層と内部電極層との間の焼結温度差に起因して、内部電極層の焼結後の連続率が著しく低下することがある。そこで、収縮遅延効果をもたらすために、内部電極層に、誘電体層と同じ材料の共材を添加することが知られている(例えば、特許文献1〜6参照)。
特開2014−093516号公報 特開2014−170911号公報 特開2013−055314号公報 特開2002−343669号公報 国際公開第2014/024592号 特開2014−067775号公報
しかしながら、内部電極層の薄層化に伴い、共材を用いても、焼結過程において、内部電極層の焼結開始温度での球状化が顕著となる。それにより、結果的に焼結後も連続率が低下し、所望の容量が取得できないおそれがある。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、内部電極層の連続率低下を抑制することができる、セラミック電子部品の製造方法、およびシート部材を提供することを目的とする。
本発明に係るセラミック電子部品の製造方法は、セラミック粉末を含む誘電体グリーンシート上に金属材料および共材を含む金属導電ペーストのパターンが配置された積層単位を、前記金属導電ペーストの配置が交互にずれるように複数積層することで積層体を形成する工程と、前記積層体を焼成する工程と、を含み、粉末X線回折で評価した場合の(111)面のFWHMについて、(前記共材のFWHM)/(前記セラミック粉末のFWHM)が4以上であり、前記金属材料の平均粒径が150nm以下であることを特徴とする。
上記セラミック電子部品の製造方法において、前記セラミック粉末のFWHMは、0.1以上としてもよい。
上記セラミック電子部品の製造方法において、前記金属導電ペーストの焼成によって得られる内部電極層の平均厚みは、0.5μm以下としてもよい。
上記セラミック電子部品の製造方法において、前記セラミック粉末および前記共材は、主成分をチタン酸バリウムとしてもよい。
上記セラミック電子部品の製造方法において、前記金属材料は、ニッケルを主成分としてもよい。
本発明に係るシート部材は、セラミック粉末を含む誘電体グリーンシートと、前記誘電体グリーンシート上に配置され、金属材料および共材を含む金属導電ペーストと、を備え、粉末X線回折で評価した場合の(111)面のFWHMについて、(前記共材のFWHM)/(前記セラミック粉末のFWHM)が4以上であり、前記金属材料の平均粒径が150nm以下であることを特徴とする。
上記シート部材において、前記セラミック粉末のFWHMは0.1以上としてもよい。
上記シート部材において、前記セラミック粉末および前記共材は、主成分をチタン酸バリウムとしてもよい。
上記シート部材において、前記金属材料は、ニッケルを主成分としてもよい。
本発明によれば、内部電極層の連続率低下を抑制することができる、セラミック電子部品の製造方法、およびシート部材を提供することができる。
実施形態に係る積層セラミックコンデンサの部分断面斜視図である。 内部電極層の球状化を例示する図である。 連続率を表す図である。 積層セラミックコンデンサの製造方法のフローを例示する図である。 FWHMを例示する図である。 (a)〜(c)は積層工程を例示する図である。 拘束層を例示する図である。 実施例および比較例の測定結果を示す図である。 (a)〜(d)はSEM画像を模式的に描いた図である。
以下、図面を参照しつつ、実施形態について説明する。
(実施形態)
図1は、実施形態に係る積層セラミックコンデンサ100の部分断面斜視図である。図1で例示するように、積層セラミックコンデンサ100は、直方体形状を有する積層チップ10と、積層チップ10のいずれかの対向する2端面に設けられた外部電極20a,20bとを備える。なお、積層チップ10の当該2端面以外の4面のうち、積層方向の上面および下面以外の2面を側面と称する。外部電極20a,20bは、積層チップ10の積層方向の上面、下面および2側面に延在している。ただし、外部電極20a,20bは、互いに離間している。
積層チップ10は、誘電体として機能するセラミック材料を主成分とする誘電体層11と、卑金属材料等の金属材料を主成分とする内部電極層12とが、交互に積層された構成を有する。各内部電極層12の端縁は、積層チップ10の外部電極20aが設けられた端面と、外部電極20bが設けられた端面とに、交互に露出している。それにより、各内部電極層12は、外部電極20aと外部電極20bとに、交互に導通している。その結果、積層セラミックコンデンサ100は、複数の誘電体層11が内部電極層12を介して積層された構成を有する。また、誘電体層11と内部電極層12との積層構造において、積層方向の最外層には内部電極層12が配置され、当該積層構造の上面および下面は、カバー層13によって覆われている。カバー層13は、セラミック材料を主成分とする。例えば、カバー層13の材料は、誘電体層11とセラミック材料の主成分が同じである。
積層セラミックコンデンサ100のサイズは、例えば、長さ0.25mm、幅0.125mm、高さ0.125mmであり、または長さ0.4mm、幅0.2mm、高さ0.2mm、または長さ0.6mm、幅0.3mm、高さ0.3mmであり、または長さ1.0mm、幅0.5mm、高さ0.5mmであり、または長さ3.2mm、幅1.6mm、高さ1.6mmであり、または長さ4.5mm、幅3.2mm、高さ2.5mmであるが、これらのサイズに限定されるものではない。
内部電極層12は、Ni(ニッケル),Cu(銅),Sn(スズ)等の卑金属を主成分とする。内部電極層12として、Pt(白金),Pd(パラジウム),Ag(銀),Au(金)などの貴金属やこれらを含む合金を主成分として用いてもよい。内部電極層12の平均厚さは、例えば、0.5μm以下であり、0.3μm以下とすることが好ましい。誘電体層11は、例えば、一般式ABOで表されるペロブスカイト構造を有するセラミック材料を主成分とする。なお、当該ペロブスカイト構造は、化学量論組成から外れたABO3−αを含む。例えば、当該セラミック材料として、BaTiO(チタン酸バリウム),CaZrO(ジルコン酸カルシウム),CaTiO(チタン酸カルシウム),SrTiO(チタン酸ストロンチウム),ペロブスカイト構造を形成するBa1-x−yCaSrTi1−zZr(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦1)等を用いることができる。
内部電極層12を金属粉末の焼成によって得る場合、焼結が進むと表面エネルギーを最小にしようとするために球状化する。誘電体層11の主成分セラミックよりも内部電極層12の金属成分の焼結が進みやすいため、誘電体層11の主成分セラミックが焼結するまで温度を上げると、内部電極層12の金属成分は過焼結となり、球状化しようとする。この場合、切れるキッカケ(欠陥)があれば、図2で例示するように、誘電体層11は連続性を有するものの、当該欠陥を基点に内部電極層12が切れ、内部電極層12の連続率が低下する。内部電極層12の連続率が低下すると、積層セラミックコンデンサ100の容量が低下する。
内部電極層12が薄くなると、誘電体層11の焼結収縮に伴う再伸展が生じにくくなる。したがって、連続率の低下は、内部電極層12の平均厚さが0.5μm以下などの薄層化された積層セラミックコンデンサ100で特に生じやすくなる。
図3は、連続率を表す図である。図3で例示するように、ある内部電極層12における長さL0の観察領域において、その金属部分の長さL1,L2,・・・,Lnを測定して合計し、金属部分の割合であるΣLn/L0をその層の連続率と定義することができる。
本実施形態においては、内部電極層12の連続率の低下を抑制することができる、積層セラミックコンデンサ100の製造方法、およびシート部材について説明する。図4は、積層セラミックコンデンサ100の製造方法のフローを例示する図である。
(原料粉末作製工程)
誘電体層11に含まれるAサイト元素およびBサイト元素は、通常はABOの粒子の焼結体の形で誘電体層11に含まれる。例えば、BaTiOは、ペロブスカイト構造を有する正方晶化合物であって、高い誘電率を示す。このBaTiOは、一般的に、二酸化チタンなどのチタン原料と炭酸バリウムなどのバリウム原料とを反応させてチタン酸バリウムを合成することで得ることができる。誘電体層11を構成するセラミックの合成方法としては、従来種々の方法が知られており、例えば固相法、ゾル−ゲル法、水熱法等が知られている。本実施形態においては、これらのいずれも採用することができる。
得られるセラミック粉末は、薄層化に適していることが好ましい。そこで、粉末X線回折で評価した場合に(111)面の半値幅(FWHM:Full Width at Half Maximum)が0.1以上となるセラミック粉末を用いることが好ましい。薄層化に伴い、より小径のセラミック粒子を用いることでセラミック層の平滑性および充填性を高めることができるからである。図5で例示するように、FWHMは、ピーク値(fmax)の半値であるfmax/2におけるピーク幅のことである。(111)面のFWHMは、0.1以上であることがより好ましく、0.2以上であることがさらに好ましい。
得られたセラミック粉末に、目的に応じて所定の添加化合物を添加する。添加化合物としては、Mo(モリブデン)、Nb(ニオブ)、Ta(タンタル)、W(タングステン)、Mg(マグネシウム)、Mn(マンガン)、V(バナジウム)、Cr(クロム)、希土類元素(Y(イットリウム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユウロピウム)、Gd(ガドリニウム)、Tb(テルビウム)、Dy(ジスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Er(エルビウム)、Tm(ツリウム)およびYb(イッテルビウム))の酸化物、並びに、Co(コバルト)、Ni、Li(リチウム)、B(ホウ素)、Na(ナトリウム)、K(カリウム)およびSi(ケイ素)の酸化物もしくはガラスが挙げられる。
例えば、セラミック粉末の平均粒径は、誘電体層11の薄層化の観点から、好ましくは50〜300nmである。例えば、上記のようにして得られたセラミック粉末について、必要に応じて粉砕処理して粒径を調節し、あるいは分級処理と組み合わせることで粒径を整えてもよい。以上により、誘電体材料が得られる。
(積層工程)
次に、得られた誘電体材料に、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂等のバインダと、エタノール、トルエン等の有機溶剤と、可塑剤とを加えて湿式混合する。図6(a)で例示するように、得られたスラリーを使用して、例えばダイコータ法やドクターブレード法により、基材上に例えば厚み0.8μm以下の帯状の誘電体グリーンシート41を塗工して乾燥させる。図6(a)では基材を省略してある。
次に、図6(b)で例示するように、誘電体グリーンシート41の表面に、有機バインダを含む内部電極形成用の金属導電ペースト42をスクリーン印刷、グラビア印刷等により印刷する。それにより、シート部材43を得る。金属導電ペーストに含まれる金属材料には、例えば、平均粒径が150nm以下のものを用いる。また、粒径の標準偏差は、15以下とする。これにより、シャープな粒度分布が得られる。平均粒径は、100nm以下であることが好ましく、70nm以下であることがより好ましい。粒径の標準偏差は、15以下であることが好ましく、12以下であることがより好ましい。また、累積粒度分布の傾きは、8以上であることが好ましい。なお、累積粒度分布の傾きは、累積粒度分布を対数プロットしD20とD80間の傾き(=1/(logD80−logD20)と定義することができる。
また、金属導電ペースト42には、共材としてセラミック粒子を添加しておく。セラミック粒子の主成分セラミックは、特に限定するものではないが、誘電体層11の主成分セラミックと同じであることが好ましい。共材は、誘電体材料に含まれるセラミック粉末に対して、十分に結晶性の低いものを用いることが好ましい。そこで、誘電体材料に含まれるセラミック粉末を粉末X線回折で評価した場合の(111)面のFWHMおよび共材を粉末X線回折で評価した場合の(111)面のFWHMに着目する。本実施形態においては、(共材のFWHM)/(セラミック粉末のFWHM)を4以上とする。この場合、共材の結晶性が誘電体材料に含まれるセラミック粉末の結晶性に対して、十分に低くなる。共材の結晶性を低くする観点から、(共材のFWHM)/(セラミック粉末のFWHM)は、2以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましい。
例えば、共材として、チタン酸バリウムを均一に分散させてもよい。共材には、例えば平均粒径が10nm以下のものを用いる。また、粒径の標準偏差は、5以下とする。これにより、シャープな粒度分布が得られる。平均粒径は、15nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましい。粒径の標準偏差は、5以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましい。また、累積粒度分布の傾きは、7以上であることが好ましい。なお、累積粒度分布の傾きは、累積粒度分布を対数プロットしD20とD80間の傾き(=1/(logD80−logD20)と定義することができる。
なお、誘電体材料に含まれるセラミック粉末のFWHMや共材のFWHMは、セラミック粒子の粒子径調整や、適切なセラミック粉末の合成方法(固相法や水熱法、蓚酸法、ゾル-ゲル法など)の選択によって、任意の値にすることができる。
その後、図6(c)で例示するように、基材を剥離した状態で、金属導電ペースト42が互い違いになるように、かつ金属導電ペースト42が誘電体グリーンシート41の長さ方向両端面に端縁が交互に露出ように、所定層数(例えば100〜500層)だけシート部材43を積層する。積層したシート部材43の上下にカバー層13となるカバーシートを圧着し、積層体を得る。その後に外部電極20a,20bの下地層となる金属導電ペーストを、積層体の両端面にディップ法等で塗布して乾燥させる。これにより、積層セラミックコンデンサ100を形成するための成型体が得られる。
一枚の誘電体グリーンシート41上の複数箇所に、内部電極層12に対応する金属導電ペースト42を印刷してもよい。この場合、得られるシート部材43を積層し、カバーシートを圧着した後に所定チップ寸法(例えば1.0mm×0.5mm)ずつにカットし、カットされた積層体のそれぞれの両端面に、外部電極20a,20bの下地層となる金属導電ペーストをディップ法等で塗布して乾燥させてもよい。
(焼成工程)
このようにして得られた成型体を、250〜500℃のN雰囲気中で脱バインダ処理した後に、酸素分圧10−5〜10−8atmの還元雰囲気中で1100〜1300℃で10分〜2時間焼成する。このようにして、積層セラミックコンデンサ100が得られる。なお、焼成工程において昇温速度を大きくすることで、共材が金属導電ペースト42から吐き出される前に主成分金属が焼結するため、共材が内部電極層12に残存しやすくなる。そこで、焼成工程において室温から最高温度までの平均昇温速度は、30℃/分以上とすることが好ましく、45℃/分以上とすることがより好ましい。なお、平均昇温速度が大きすぎると、成型体に残留する有機成分(脱バインダ処理だけで取り切れなかったもの)の排出が十分に行われず、焼成工程中にクラックが発生するなどの不具合が生じるおそれがある。そこで、平均昇温速度を、80℃/分以下とすることが好ましく、65℃/分以下とすることがより好ましい。
(再酸化処理工程)
その後、Nガス雰囲気中で600℃〜1000℃で再酸化処理を行ってもよい。
(めっき処理工程)
その後、めっき処理により、外部電極20a,20bの下地層に、Cu,Ni,Sn等の金属コーティングを行う。
本実施形態に係る積層セラミックコンデンサの製造方法によれば、(共材のFWHM)/(セラミック粉末のFWHM)≧4の関係を有する共材が内部電極層12の形成用の金属導電ペースト42に添加される。この場合、誘電体材料に含まれるセラミック粉末の結晶性に対して、共材の結晶性が十分に低いことから、内部電極層12の焼結開始温度で、誘電体層11の界面近傍の焼結が、吐き出された共材に起因して早まる。それにより、図7で例示するように、誘電体層11全体の焼結が完了する前に、誘電体層11と内部電極層12との界面に、内部電極層12の球状化を抑制する拘束層14が形成される。拘束層14は、吐き出された共材が焼結することによって形成された層である。
金属導電ペースト42に含まれる金属材料の平均粒径が150nm以下の小径を有しているため、金属導電ペースト42の平滑性が高く金属材料と誘電体層11との接点が増加し、拘束層14の効果が十分に発揮される。この場合、内部電極層12の焼結完了温度から誘電体層11の焼結完了温度までの間に生じる内部電極層12の球状化が抑制され、内部電極層12の連続率低下が抑制される。その結果、積層セラミックコンデンサ100の大容量化が可能となる。
なお、拘束層14は、誘電体層11全体の焼結が完了するにあたって、誘電体層11の一部となる。
上記各実施形態においては、セラミック電子部品の一例として積層セラミックコンデンサについて説明したが、それに限られない。例えば、バリスタやサーミスタなどの、他の電子部品を用いてもよい。
以下、実施形態に係る積層セラミックコンデンサを作製し、特性について調べた。
(実施例1〜5)
平均粒径が100nm(比表面積10m/g)のチタン酸バリウム粉末を、誘電体材料のセラミック粉末として用意した。チタン酸バリウム粉末に必要な添加物を添加し、ボールミルで十分に湿式混合粉砕して誘電体材料を得た。チタン酸バリウム粉末の(111)面のFWHMは、実施例1では0.10であり、実施例2では0.20であり、実施例3では0.30であり、実施例4では0.32であり、実施例5では0.40であった。誘電体材料に有機バインダおよび溶剤を加えてドクターブレード法にて誘電体グリーンシート41を作製した。誘電体グリーンシート41の塗工厚みを0.8μmとし、有機バインダとしてポリビニルブチラール(PVB)等を用い、溶剤としてエタノール、トルエン等を加えた。その他、可塑剤などを加えた。
次に、内部電極層12の主成分金属(Ni)の粉末をNi固形分で50wt%と、共材(チタン酸バリウム)を10部と、バインダ(エチルセルロース)を5部と、溶剤と、必要に応じてその他助剤を含んでいる内部電極形成用の金属導電ペースト42を遊星ボールミルで作製した。主成分金属の粉末には、平均粒径が80nm、粒径の標準偏差が12、累積粒度分布の傾きが8のものを用いた。共材には、平均粒径が8nm(比表面積110m/g)、粒径の標準偏差が2.7、累積粒度分布の傾きが7のものを用いた。共材の(111)面のFWHMは、実施例1〜4では1.3であり、実施例5では1.6であった。したがって、(共材のFWHM)/(セラミック粉末のFWHM)は、実施例1では13.0であり、実施例2では6.5であり、実施例3では4.3であり、実施例4では4.1であり、実施例5では4.0であった。
誘電体グリーンシート41に内部電極形成用の金属導電ペースト42をスクリーン印刷した。誘電体グリーンシート41上に金属導電ペースト42が印刷されたシート部材43を250枚重ね、その上下にカバーシートをそれぞれ積層した。その後、熱圧着により積層体を得て、所定の形状に切断した。
得られた積層体をN雰囲気中で脱バインダした後に、積層体の両端面から各側面にかけて、Niを主成分とする金属フィラー、共材、バインダ、溶剤などを含む金属導電ペーストを下地層用に塗布し、乾燥させた。その後、還元雰囲気中で1100℃〜1300℃で10分〜2時間、下地層用の金属導電ペーストを積層体と同時に焼成して焼結体を得た。室温から最高温度までの平均昇温速度は、30℃/分以上80℃/分とした。
得られた焼結体の形状寸法は、長さ0.6mm、幅0.3mm、高さ0.3mmであった。焼結体をN雰囲気下800℃の条件で再酸化処理を行った後、メッキ処理して下地層の表面にCuめっき層、Niめっき層およびSnめっき層を形成し、積層セラミックコンデンサ100を得た。実施例1〜実施例5のいずれにおいても、内部電極層12の平均厚みは0.5μmであった。
(比較例1)
比較例1では、平均粒径が20nm(40m/g)で(111)面のFWHMが0.4のチタン酸バリウム粉末を共材として用い、(共材のFWHM)/(セラミック粉末のFWHM)=2.0としたこと以外は、実施例2と同様の条件とした。
(比較例2)
比較例2では、平均粒径が160nmであり、粒径の標準偏差が60、累積粒度分布の傾きが4.3のNi粉末を内部電極層12の主成分金属粉末として用いたこと以外は、実施例2と同様の条件とした。
(比較例3)
比較例3では、平均粒径が20nm(40m/g)で(111)面のFWHMが0.4のチタン酸バリウム粉末を共材として用い、平均粒径が160nmであり、粒径の標準偏差が63、累積粒度分布の傾きが4.3のNi粉末を内部電極層12の主成分金属粉末として用い、(共材のFWHM)/(セラミック粉末のFWHM)=2.0としたこと以外は、実施例2と同様の条件とした。
(分析)
実施例1〜5および比較例1〜3において、SEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡)を用いて、焼成の途中(例えば700℃〜1000℃の温度領域)で抜き取った積層体の断面を1万倍程度の倍率で観察し、拘束層14の有無を確認した。図7に例示されるように、誘電体層11全体の焼結が完了する前に、誘電体層11と内部電極層12との界面に、内部電極層12から吐き出された共材が焼結してできたとみられる層が形成され、内部電極層12の球状化が抑制された状態となっていれば拘束層14が「有」と判定し、そのような状態が確認されなければ拘束層14が「無」と判定した。判定結果を図8に示す。図8に示すように、実施例1〜5のいずれにおいても、拘束層14が有り「○」と判定された。これは、(共材のFWHM)/(セラミック粉末のFWHM)≧4.0としたことで、共材の結晶性が十分に低くなったからであると考えられる。これに対して、比較例1,3では、拘束層14が無し「×」と判定された。これは、(共材のFWHM)/(セラミック粉末のFWHM)<4.0としたことで共材の結晶性が十分に低くならなかったからであると考えられる。
次に、実施例1〜5および比較例1〜3における内部電極層12の連続率を測定した。測定には、幅方向中央部での、誘電体層11と内部電極層12との積層方向における断面のSEM(走査型電子顕微鏡)写真を用いた。具体的には、数枚のSEM写真に写っている全内部電極層の連続率を測定し、その平均値を連続率として求めた。図8に示すように、実施例1〜5のいずれにおいても連続率が高くなった。これは、拘束層14が形成されたことに加えて、150nm以下の平均粒径を有する小径の金属材料を内部電極形成用の金属導電ペーストに用いたからであると考えられる。これに対して、比較例1〜3においては連続率が実施例1〜5と比較して低くなった。比較例1,3では、拘束層14が形成されなかったからであると考えられる。比較例2では、拘束層14が形成されたものの、150nmより大きい平均粒径を有する金属材料を内部電極形成用の金属導電ペーストに用いたことにより、拘束層14の効果が十分に発揮されなかったからであると考えられる。なお、図9(a)は実施例2のSEM画像を模式的に描いた図であり、図9(b)は比較例1のSEM画像を模式的に描いた図であり、図9(c)は比較例2のSEM画像を模式的に描いた図であり、図9(d)は比較例3のSEM画像を模式的に描いた図である。図9(a)に示すように、実施例2では、内部電極層12の途切れが抑制されていることがわかる。これに対して、比較例1〜3では、内部電極層12に途切れが多く生じていることがわかる。
次に、実施例1〜5および比較例1〜3における内部電極層12の平滑性を、表面粗さ計により調べた。算術平均粗さ(基準長さにおける絶対値平均)が60nm未満となっていれば平滑性有り「〇」と判定し、算術平均粗さが60nm以上となっていれば平滑性無し「×」と判定した。実施例1〜5では、平滑性有りと判定された。これは、拘束層14が形成されたことに加えて、150nm以下の平均粒径を有する小径の金属材料を内部電極形成用の金属導電ペーストに用いたからであると考えられる。一方、比較例1〜3では、平滑性無しと判定された。比較例1,3では、拘束層14が形成されなかったからであると考えられる。比較例2では、拘束層14が形成されたものの、150nmより大きい平均粒径を有する金属材料を内部電極形成用の金属導電ペーストに用いたからであると考えられる。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 積層チップ
11 誘電体層
12 内部電極層
13 カバー層
14 拘束層
20a,20b 外部電極
100 積層セラミックコンデンサ

Claims (9)

  1. セラミック粉末を含む誘電体グリーンシート上に金属材料および共材を含む金属導電ペーストのパターンが配置された積層単位を、前記金属導電ペーストの配置が交互にずれるように複数積層することで積層体を形成する工程と、
    前記積層体を焼成する工程と、を含み、
    粉末X線回折で評価した場合の(111)面のFWHMについて、(前記共材のFWHM)/(前記セラミック粉末のFWHM)が4以上であり、
    前記金属材料の平均粒径が150nm以下であることを特徴とするセラミック電子部品の製造方法。
  2. 前記セラミック粉末のFWHMは、0.1以上であることを特徴とする請求項1記載のセラミック電子部品の製造方法。
  3. 前記金属導電ペーストの焼成によって得られる内部電極層の平均厚みは、0.5μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のセラミック電子部品の製造方法。
  4. 前記セラミック粉末および前記共材は、主成分がチタン酸バリウムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のセラミック電子部品の製造方法。
  5. 前記金属材料は、ニッケルを主成分とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のセラミック電子部品の製造方法。
  6. セラミック粉末を含む誘電体グリーンシートと、
    前記誘電体グリーンシート上に配置され、金属材料および共材を含む金属導電ペーストと、を備え、
    粉末X線回折で評価した場合の(111)面のFWHMについて、(前記共材のFWHM)/(前記セラミック粉末のFWHM)が4以上であり、
    前記金属材料の平均粒径が150nm以下であることを特徴とするシート部材。
  7. 前記セラミック粉末のFWHMは0.1以上であることを特徴とする請求項6記載のシート部材。
  8. 前記セラミック粉末および前記共材は、主成分がチタン酸バリウムであることを特徴とする請求項6または7に記載のシート部材。
  9. 前記金属材料は、ニッケルを主成分とすることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載のシート部材。
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