JP2021055778A - ねじ締結構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱可塑性樹脂で成る締結体あるいは被締結体に対して熱環境下でも緩みを生じることなく、かつ軽量化を実現するねじ締結構造を提供する。【解決手段】有底孔21が穿設された締結体20と、貫通孔31が穿設された被締結体30と、頭部2およびねじ軸部3を備えたタッピンねじ1とから成り、タッピンねじ10のねじ軸部12を、締結体20の有底孔21および被締結体30の貫通孔31に挿通し、有底孔21と貫通孔31との双方にねじ込むことにより締結体20に被締結体30を固定するように構成したねじ締結構造において、小径ねじ部13の全長T1は、被締結体の厚みt2より大きく、かつ大径ねじ部14の全長T2は、被締結体の厚みt2より小さいことを特徴とするねじ締結構造による。【選択図】図1
Description
本発明は、樹脂製の締結部材と被締結部材をねじ部品で締結するねじ締結構造に関する。
従来から、一般的なタッピンねじの使用方法としては、締結体に下穴を設けるとともに、被締結体に通し穴(別名、バカ穴)を設け、締結体に被締結体を積層した状態で、タッピンねじのねじ軸部を被締結体の通し穴から挿通して締結体の下穴にねじ込むことにより、締結体に被締結体を固定する方法が知られている。
しかしながら、上記タッピンねじでは、締結体あるいは被締結体が熱可塑性樹脂の場合、熱環境下において変形してしまうため、ガタツキが起こり、これがねじの緩みを生じさせる原因になっていた。
そこで、熱可塑性樹脂で成る締結体あるいは被締結体にタッピンねじを使用する場合には、ガタツキによるねじの緩みを防止するねじ締結構造として、特許文献1に示す部材締結構造が用いられる。この部材締結構造は、図2に示すように、締結体200の下穴210に金属製のインサートナット220を挿入するとともに、被締結体300の通し穴310に金属製のカラー320を挿入し、インサートナット220の内周面にタッピンねじ100のねじ軸部110でめねじを形成しながらねじ込むように構成されている。このため、金属製のインサートナット220およびカラー320は、熱環境下において熱可塑性樹脂よりも変形しにくいので、ガタツキによるねじの緩みを防止できる。
しかしながら、特許文献1に示す部材締結構造では、インサートナットおよび金属製のカラーを挿入しなければならないため、部品点数および重量の増加が問題となっている。
本発明は、上記問題に鑑みて創生されたものであり、熱可塑性樹脂で成る締結体と被締結体の締結構造において、熱環境下で緩みを発生させることなく、かつ軽量化を実現するねじ締結構造を提供することを目的とする。
上記課題は、孔が穿設された締結体と、貫通孔が穿設された被締結体と、頭部およびねじ軸部を備えたタッピンねじとから成り、タッピンねじのねじ軸部を締結体の孔および被締結体の貫通孔に挿通し、締結体の孔と被締結体の貫通孔との双方にねじ込むことにより締結体に被締結体を固定することを特徴とするねじ締結構造によって解決できる。
なお、タッピンねじのねじ軸部が、軸方向の一方に設けられる小径ねじ部と、軸方向の他方に設けられる大径ねじ部とを有し、小径ねじ部を締結体の孔にねじ込むとともに大径ねじ部を被締結体の貫通孔にねじ込むことが好ましい。
なお、締結体の孔の内径d1と、被締結体の貫通孔の内径d2と、ねじ軸部の小径ねじ部の外径D1と、ねじ軸部の大径ねじ部の外径D2との大小関係は、d1<D1<d2<D2であることが好ましい。
なお、小径ねじ部の全長は、被締結体の厚みより大きく、かつ大径ねじ部の全長は、被締結体の厚みより小さいことが好ましい。
本発明の締結構造は、熱環境下において、熱可塑性樹脂で成る締結体および被締結体に対してインサートナットおよびインサートカラーを用いずとも、緩みやガタツキの発生を防止することができる。また、インサートナットおよびインサートカラーが不要になるため、軽量化を実現することができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。図1において、1は本発明のねじ締結構造であり、タッピンねじ10と、締結体20と、締結体20にタッピンねじ10により固定される被締結体30とから構成される。
タッピンねじ10は、ドライバビットが嵌合可能な十字穴(図示せず)を有する頭部11と、この頭部11に一体成形されるねじ軸部12とから構成される。ねじ山を除いたねじ軸部12の横断面形状は、円形または略三角形を成している。
また、ねじ軸部12は、先端側に設けられる小径ねじ部13と、頭部側に設けられる大径ねじ部14とから構成されており、小径ねじ部13のおねじ外径をD1、大径ねじ部14のおねじ外径をD2としたとき、D1とD2との寸法の大小関係は、D1<D2となるように設定されている。なお、小径ねじ部13および大径ねじ部14は、右ねじまたは左ねじのどちらであってもよい。
さらに、小径ねじ部13および大径ねじ部14のピッチは、同一に設定されている。
その上、ねじ軸部12の小径ねじ部13の全長T1は、大径ねじ部14の全長T2よりも大きく設定されている。
締結体20および被締結体30は、いずれれも熱可塑性樹脂で成る。また、締結体20には、下穴として、締結体20の平面上に開口を有する有底孔21が穿設されており、この有底孔21は、締結体20の底面が貫通しない袋穴になっている。一方、被締結体30には、通し穴として、被締結体30の平面から底面側に貫通する貫通孔31が穿設されている。これら有底孔21および貫通孔31には、平面側の開口部分にそれぞれ段付き部21a、31bが形成されている。そして、締結体20の孔21と被締結体30の貫通孔31とを連通させるようにして、締結体20には被締結体30が積層されている。なお、締結体20の有底孔21は、貫通孔であってもよく、つまり孔であればよい。
また、締結体20の有底孔21の内径をd1、被締結体30の貫通孔31の内径をd2としたとき、d1とd2との寸法の大小関係は、d1<d2となっている。さらに、締結体20の有底孔21の内径d1と、被締結体30の貫通孔31の内径d2と、ねじ軸部2の小径ねじ部13の外径D1と、ねじ軸部2の大径ねじ部14の外径D2との寸法の大小関係は、d1<D1<d2<D2となっている。
さらに、小径ねじ部13の全長T1は、被締結体30の厚みt2より大きく、かつ大径ねじ部14の全長T2は、被締結体20の厚みt1より小さく設定されている。
上記ねじ締結構造1を構成するための締結方法としては、まず、締結体20の上に被締結体30を積層した状態で、被締結体30の貫通孔31にタッピンねじ10のねじ軸部12を挿入する。このとき、小径ねじ部13の外径D1は、被締結体30の貫通孔31の内径d2よりも小さいので、貫通孔31の内周面に触れることなく、締結体20の有底孔21に挿入される。
続いて、小径ねじ部13の外径D1は、締結体20の有底孔21の内径よりも大きいので、小径ねじ部13は、有底孔21の内周面に雌ねじを形成しながらねじ込まれるとともに、大径ねじ部14が被締結体30の貫通孔31に挿入される。このとき、大径ねじ部14の外径D2は、被締結体30の貫通孔31の内径d2よりも大きいので、大径ねじ部14は、貫通孔31の内周面に雌ねじを形成しながらねじ込まれる。このようにして、タッピンねじ10は、頭部11の座面が被締結体30の平面に着座するまで、締結体20および被締結体30にねじ込まれる。このようにしてねじ込みが完了した状態において、小径ねじ部13と大径ねじ部14との境界部分は、被締結体30の貫通孔31の内部に位置している。
また、上述のように、締結体20の有底孔21の内径d1と、被締結体30の貫通孔31の内径d2と、ねじ軸部2の小径ねじ部13の外径D1と、ねじ軸部2の大径ねじ部14の外径D2との寸法の大小関係が、d1<D1<d2<D2となっている理由としては、仮に、有底孔21の内径d1と貫通孔31の内径d2とを同一寸法d1にした場合、小径ねじ部13は、貫通孔31の内周面にも雌ねじを形成しながらねじ込まれることになるので、ねじ込みに必要以上に時間を要することになる。また、このような場合、締結体20と被締結体30との位置関係が左右にずれたとき、タッピンねじ10をねじ込めなくなる。このような問題を防止するために、上述した寸法の大小関係になっている。
上記ねじ締結構造1によれば、樹脂製の締結体20および被締結体30が熱の影響により収縮変形したとき、軸力は失われてしまうことになるが、ねじ軸部12が、締結体20と被締結体30との双方にねじ込まれているので、ガタツキは生じず、緩みの原因となるガタツキを生じさせないことによる緩み止め効果を得ることができる。また、このように、インサートカラーやインサートナットなどの部品を使用しなくても、樹脂製の締結体20および被締結体30に対して緩み止め効果を発揮するので、軽量化に寄与することができる。
なお、本発明の各部の具体的な構成は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
1 ねじ締結構造
10 タッピンねじ
11 頭部
12 ねじ軸部
13 小径ねじ部
14 大径ねじ部
20 締結体
21 有底孔
30 被締結体
31 貫通孔
10 タッピンねじ
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30 被締結体
31 貫通孔
Claims (4)
- 孔が穿設された締結体と、貫通孔が穿設された被締結体と、頭部およびねじ軸部を備えたタッピンねじとから成り、
タッピンねじのねじ軸部を締結体の孔および被締結体の貫通孔に挿通し、締結体の孔と被締結体の貫通孔との双方にねじ込むことにより締結体に被締結体を固定することを特徴とするねじ締結構造。 - タッピンねじのねじ軸部が、軸方向の一方に設けられる小径ねじ部と、軸方向の他方に設けられる大径ねじ部とを有し、小径ねじ部を締結体の孔にねじ込むとともに大径ねじ部を被締結体の貫通孔にねじ込むことを特徴とする請求項1に記載のねじ締結構造。
- 締結体の孔の内径d1と、被締結体の貫通孔の内径d2と、ねじ軸部の小径ねじ部の外径D1と、ねじ軸部の大径ねじ部の外径D2との大小関係は、d1<D1<d2<D2であることを特徴とする請求項1または2に記載のねじ締結構造。
- 小径ねじ部の全長T1は、被締結体の厚みt2より大きく、かつ大径ねじ部の全長T2は、被締結体の厚みt2より小さいことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のねじ締結構造。
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JP2018112292A (ja) * | 2017-01-13 | 2018-07-19 | 日東精工株式会社 | 締結構造 |
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2019
- 2019-09-30 JP JP2019180565A patent/JP2021055778A/ja active Pending
- 2019-12-27 WO PCT/JP2019/051375 patent/WO2021065024A1/ja active Application Filing
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