以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
実施形態においては、左、右、前、後、上、及び下の用語を用いて各部の位置関係について説明する。これらの用語は、ねじ締め機の中心を基準とした相対位置又は方向を示す。実施形態において、ねじ締め機は、出力軸10を有する電動工具1である。
実施形態において、出力軸10の回転軸AXと平行な方向を適宜、軸方向、と称し、回転軸AXの周囲を周回する方向を適宜、周方向又は回転方向、と称し、回転軸AXの放射方向を適宜、径方向、と称する。
回転軸AXは、前後方向に延伸する。軸方向一方側は、前方であり、軸方向他方側は、後方である。また、径方向において、回転軸AXに近い位置又は接近する方向を適宜、径方向内側、と称し、回転軸AXから遠い位置又は離隔する方向を適宜、径方向外側、と称する。
[第1実施形態]
<電動工具>
図1は、本実施形態に係る電動工具1を示す斜視図である。図2は、本実施形態に係る電動工具1の一部を示す縦断面図である。図3は、本実施形態に係る電動工具1の上部を拡大した縦断面図である。図4は、本実施形態に係る電動工具1の上部を拡大した横断面図である。本実施形態において、電動工具1は、インパクトドライバである。
図1、図2、及び図3に示すように、電動工具1は、ハウジング2と、リヤケース3と、ハンマケース4と、バッテリ装着部5と、モータ6と、減速機構7と、スピンドル8と、打撃機構9と、出力軸10と、工具保持装置11Aと、ファン12と、コントローラ13と、トリガスイッチ14と、正逆切換レバー15と、操作パネル16と、モード切換スイッチ17と、ライト18とを備える。
ハウジング2は、合成樹脂製である。本実施形態において、ハウジング2は、ナイロン製である。ハウジング2は、左ハウジング2Lと、左ハウジング2Lの右方に配置される右ハウジング2Rとを含む。左ハウジング2Lと右ハウジング2Rとは、複数のねじ2Sにより固定される。ハウジング2は、一対の半割れハウジングにより構成される。
ハウジング2は、モータ収容部21と、モータ収容部21の下方に配置されるグリップ部22と、グリップ部22の下方に配置されるコントローラ収容部23とを有する。
モータ収容部21は、筒状である。モータ収容部21は、モータ6の少なくとも一部を収容する。
グリップ部22は、モータ収容部21から下方に突出する。トリガスイッチ14は、グリップ部22に設けられる。グリップ部22は、作業者に握られる。
コントローラ収容部23は、グリップ部22の下端部に接続される。コントローラ収容部23は、コントローラ13を収容する。前後方向及び左右方向のそれぞれにおいて、コントローラ収容部23の外形の寸法は、グリップ部22の外形の寸法よりも大きい。
リヤケース3は、合成樹脂製である。リヤケース3は、モータ収容部21の後方に配置される。リヤケース3は、ファン12の少なくとも一部を収容する。リヤケース3は、モータ収容部21の後部の開口を覆うように配置される。リヤケース3は、ねじによりモータ収容部21に固定される。
モータ収容部21は、吸気口19を有する。また、モータ収容部21は、第1排気口20Aを有する。第1排気口20Aは、モータ収容部21の後部の筒状部21Aに形成される。リヤケース3は、第2排気口20Bを有する。ハウジング2の外部空間の空気は、吸気口19を介して、ハウジング2の内部空間に流入する。ハウジング2の内部空間の空気は、第1排気口20Aを通過した後、第2排気口20Bを通過する。ハウジング2の内部空間の空気は、第1排気口20A及び第2排気口20Bを介して、ハウジング2の外部空間に流出する。
ハンマケース4は、金属製である。本実施形態において、ハンマケース4は、アルミニウム製である。ハンマケース4は、モータ収容部21の前方に配置される。ハンマケース4は、筒状である。ハンマケース4の前部の内径は、ハンマケース4の後部の内径よりも小さい。ハンマケース4の後部は、モータ収容部21の前部の開口に挿入される。ハンマケース4の後部は、モータ収容部21の内側に嵌められる。モータ収容部21とハンマケース4とは、ベアリングリテーナ24を介して接続される。ベアリングリテーナ24の少なくとも一部は、ハンマケース4の内側に配置される。
ハンマケース4は、減速機構7、スピンドル8、打撃機構9、及び出力軸10の少なくとも一部を収容する。減速機構7の少なくとも一部は、ベアリングリテーナ24の内側に配置される。
バッテリ装着部5は、コントローラ収容部23の下部に形成される。バッテリ装着部5は、バッテリパック25に接続される。バッテリパック25は、バッテリ装着部5に装着される。バッテリパック25は、バッテリ装着部5に着脱可能である。バッテリパック25は、二次電池を含む。本実施形態において、バッテリパック25は、充電式のリチウムイオン電池を含む。バッテリ装着部5に装着されることにより、バッテリパック25は、電動工具1に電力を供給することができる。モータ6は、バッテリパック25から供給される電力に基づいて駆動する。コントローラ13及び操作パネル16は、バッテリパック25から供給される電力に基づいて作動する。
モータ6は、電動工具1の動力源である。モータ6は、インナロータ型のブラシレスモータである。モータ6は、ステータ26と、ステータ26の内側に配置されるロータ27とを有する。
ステータ26は、ステータコア28と、ステータコア28の前部に設けられる前インシュレータ29と、ステータコア28の後部に設けられる後インシュレータ30と、前インシュレータ29及び後インシュレータ30を介してステータコア28に装着される複数のコイル31とを有する。
ステータコア28は、積層された複数の鋼板を含む。鋼板は、鉄を主成分とする金属製の板である。ステータコア28は、筒状である。ステータコア28は、コイル31を支持する複数のティースを有する。前インシュレータ29及び後インシュレータ30のそれぞれは、合成樹脂製の電気絶縁部材である。前インシュレータ29は、ティースの表面の一部を覆うように配置される。後インシュレータ30は、ティースの表面の一部を覆うように配置される。コイル31は、前インシュレータ29及び後インシュレータ30を介して、ティースの周囲に配置される。コイル31とステータコア28とは、前インシュレータ29及び後インシュレータ30により電気的に絶縁される。
ロータ27は、ロータ27の回転軸を中心に回転する。ロータ27の回転軸と出力軸10の回転軸AXとは一致する。ロータ27は、回転軸AXを中心に回転する。ロータ27は、ロータシャフト32と、ロータシャフト32の周囲に配置されるロータコア33と、ロータコア33の周囲に配置される永久磁石34と、センサ用永久磁石35を有する。ロータシャフト32は、軸方向に延伸する。ロータコア33は、円筒状である。ロータコア33は、積層された複数の鋼板を含む。永久磁石34は、円筒状である。永久磁石34は、第1極性の第1永久磁石と、第2極性の第2永久磁石とを含む。第1永久磁石と第2永久磁石とが周方向に交互に配置されることにより、円筒状の永久磁石34が形成される。センサ用永久磁石35は、ロータコア33及び永久磁石34の前方に配置される。樹脂スリーブ36の少なくとも一部がセンサ用永久磁石35の内側に配置される。樹脂スリーブ36は、円筒状である。樹脂スリーブ36は、ロータシャフト32の前部に装着される。
前インシュレータ29に、センサ基板37及びコイル端子38が取り付けられる。センサ基板37及びコイル端子38は、ねじ29Sにより前インシュレータ29に固定される。センサ基板37は、円環状の回路基板と、回路基板に支持される回転検出素子とを有する。回転検出素子は、ロータ27のセンサ用永久磁石35の位置を検出することにより、ロータ27の回転方向の位置を検出する。コイル端子38は、複数のコイル31とコントローラ13からの3本の電源線とを接続する。
ロータシャフト32は、前軸受39及び後軸受40のそれぞれに回転可能に支持される。前軸受39は、ベアリングリテーナ24に保持される。後軸受40は、リヤケース3に保持される。前軸受39は、ロータシャフト32の前部を支持する。後軸受40は、ロータシャフト32の後部を支持する。ロータシャフト32の前端部は、ベアリングリテーナ24の開口を介して、ハンマケース4の内部空間に配置される。
ロータシャフト32の前端部にピニオンギヤ41が設けられる。ロータシャフト32は、ピニオンギヤ41を介して、減速機構7に連結される。
減速機構7は、モータ6の前方に配置される。減速機構7は、ロータシャフト32とスピンドル8とを連結する。減速機構7は、モータ6が発生した動力をスピンドル8に伝達する。減速機構7は、ロータシャフト32の回転速度よりも低い回転速度でスピンドル8を回転させる。減速機構7は、遊星歯車機構を含む。
減速機構7は、ピニオンギヤ41の周囲に配置される複数のプラネタリギヤ42と、複数のプラネタリギヤ42の周囲に配置されるインターナルギヤ43とを有する。複数のプラネタリギヤ42のそれぞれは、ピニオンギヤ41に噛み合う。プラネタリギヤ42は、ピンを介してスピンドル8に回転可能に支持される。インターナルギヤ43は、プラネタリギヤ42に噛み合う内歯を有する。インターナルギヤ43は、ハンマケース4に固定される。インターナルギヤ43は、ハンマケース4に対して常に回転不可能である。
モータ6の駆動によりロータシャフト32が回転すると、ピニオンギヤ41が回転し、プラネタリギヤ42がピニオンギヤ41の周囲を公転する。プラネタリギヤ42は、インターナルギヤ43の内歯に噛み合いながら公転する。プラネタリギヤ42の公転により、ピンを介してプラネタリギヤ42に接続されているスピンドル8は、ロータシャフト32の回転速度よりも低い回転速度で回転する。
スピンドル8は、モータ6の前方に配置される。スピンドル8の少なくとも一部は、減速機構7の前方に配置される。スピンドル8は、フランジ部44と、フランジ部44から前方に突出するロッド部45とを有する。プラネタリギヤ42は、ピンを介してフランジ部44に回転可能に支持される。
スピンドル8は、スピンドル8の回転軸を中心に回転する。スピンドル8の回転軸と出力軸10の回転軸AXとは一致する。スピンドル8は、回転軸AXを中心に回転する。スピンドル8は、後軸受46に回転可能に支持される。後軸受46は、ベアリングリテーナ24に保持される。後軸受46は、スピンドル8の後端部を支持する。
スピンドル8は、潤滑油を供給する第1供給口101と、潤滑油を供給する第2供給口102とを有する。潤滑油は、グリス(grease)を含む。第1供給口101及び第2供給口102のそれぞれは、ロッド部45に設けられる。スピンドル8は、潤滑油が収容される内部空間103を有する。第1供給口101は、第1流路101Rを介して、内部空間103に結ばれる。第2供給口102は、第2流路102Rを介して、内部空間103に結ばれる。スピンドル8の遠心力により、潤滑油は、第1供給口101及び第2供給口102のそれぞれからスピンドル8の周囲の少なくとも一部に供給される。
打撃機構9は、スピンドル8の回転に基づいて、出力軸10を回転方向に打撃する。打撃機構9は、スピンドル8の周囲に配置されるハンマ47と、スピンドル8とハンマ47との間に配置されるボール48と、スピンドル8及びハンマ47のそれぞれに支持されるコイルスプリング49とを有する。ハンマ47は、減速機構7よりも前方に配置される。
ハンマ47は、筒状である。ハンマ47は、ロッド部45の周囲に配置される。ハンマ47は、ロッド部45が配置される孔57を有する。ハンマ47は、スピンドル8と一緒に回転可能である。
ハンマ47は、ハンマ47の回転軸を中心に回転する。ハンマ47の回転軸と出力軸10の回転軸AXとは一致する。ハンマ47は、回転軸AXを中心に回転する。
ボール48は、鉄鋼のような金属製である。ボール48は、ロッド部45とハンマ47との間に配置される。スピンドル8は、ボール48の少なくとも一部が配置されるスピンドル溝50を有する。スピンドル溝50は、ロッド部45の外面の一部に設けられる。ハンマ47は、ボール48の少なくとも一部が配置されるハンマ溝51を有する。ハンマ溝51は、ハンマ47の内面の一部に設けられる。ボール48は、スピンドル溝50とハンマ溝51との間に配置される。ボール48は、スピンドル溝50の内側及びハンマ溝51の内側のそれぞれを転がることができる。ハンマ47は、ボール48に伴って移動可能である。スピンドル8とハンマ47とは、スピンドル溝50及びハンマ溝51により規定される可動範囲において、軸方向及び回転方向のそれぞれに相対移動することができる。
コイルスプリング49は、ハンマ47を前方に移動させる弾性力を発生する。コイルスプリング49は、フランジ部44とハンマ47との間に配置される。フランジ部44の前面にリング状の凸部52が設けられる。凸部52は、フランジ部44の前面の周縁部から前方に突出する。ハンマ47の後面にリング状の凹部53が設けられる。凹部53は、ハンマ47の後面から前方に窪む。凹部53の内側にワッシャ54が設けられる。コイルスプリング49の後端部は、凸部52の内側に配置され、フランジ部44に支持される。コイルスプリング49の前端部は、凹部53の内側に配置され、ワッシャ54に支持される。
出力軸10は、モータ6から伝達される動力により回転軸AXを中心に回転する。出力軸10は、ハンマ47の前方に配置される。本実施形態において、出力軸10は、インパクトドライバのアンビルを含む。以下の説明において、出力軸10を適宜、アンビル10、と称する。
アンビル10は、先端工具BTが挿入される挿入孔55を有する。挿入孔55は、アンビル10の前端部に設けられる。先端工具BTは、アンビル10に装着される。また、アンビル10は、ロッド部45の前端部が配置される孔58を有する。孔58は、アンビル10の後端部に設けられる。ロッド部45の前端部は、孔58に配置される。
アンビル10は、ハンマ47と一緒に回転可能である。アンビル10は、回転軸AXを中心に回転する。アンビルは、一対の前軸受56に回転可能に支持される。一対の前軸受56は、ハンマケース4に保持される。
ハンマ47は、筒状のハンマボディ47Aと、ハンマボディ47Aの前部に設けられるハンマ突起部47Bとを有する。ハンマ突起部47Bは、2つ設けられる。ハンマ突起部47Bは、ハンマボディ47Aの前部から前方に突出する。
アンビル10は、ロッド状のアンビルボディ10Aと、アンビルボディ10Aの後部に設けられるアンビル突起部10Bとを有する。挿入孔55は、アンビルボディ10Aの前端部に設けられる。アンビル突起部10Bは、2つ設けられる。アンビル突起部10Bは、アンビルボディ10Aの後部から径方向外側に突出する。
ハンマ突起部47Bとアンビル突起部10Bとは接触可能である。ハンマ突起部47Bとアンビル突起部10Bとが接触している状態で、モータ6が駆動することにより、アンビル10は、ハンマ47及びスピンドル8と一緒に回転する。
アンビル10は、ハンマ47により回転方向に打撃される。例えば、ねじ締め作業において、アンビル10に作用する負荷が高くなると、モータ6が発生する動力だけではアンビル10を回転させることができなくなる状況が発生する場合がある。モータ6が発生する動力だけではアンビル10を回転させることができなくなると、アンビル10及びハンマ47の回転が停止する。スピンドル8とハンマ47とは、ボール48を介して軸方向及び周方向のそれぞれに相対移動可能である。ハンマ47の回転が停止しても、スピンドル8の回転は、モータ6が発生する動力により継続される。ハンマ47の回転が停止している状態で、スピンドル8が回転すると、ボール48がスピンドル溝50及びハンマ溝51のそれぞれにガイドされながら後方に移動する。ハンマ47は、ボール48から力を受け、ボール48に伴って後方に移動する。すなわち、ハンマ47は、アンビル10の回転が停止された状態で、スピンドル8が回転することにより、後方に移動する。ハンマ47が後方に移動することにより、ハンマ突起部とアンビル突起部との接触が解除される。
コイルスプリング49は、ハンマ47を前方に移動させる弾性力を発生する。後方に移動したハンマ47は、コイルスプリング49の弾性力により、前方に移動する。ハンマ47は、前方に移動するとき、ボール48から回転方向の力を受ける。すなわち、ハンマ47は、回転しながら前方に移動する。ハンマ47が回転しながら前方に移動すると、ハンマ突起部47Bは、回転しながらアンビル突起部10Bに接触する。これにより、アンビル突起部10Bは、ハンマ突起部47Bにより回転方向に打撃される。アンビル10には、モータ6の動力とハンマ47の慣性力との両方が作用する。したがって、アンビル10は、高いトルクで回転軸AXを中心に回転することができる。
工具保持装置11Aは、アンビル10の前部の周囲に配置される。工具保持装置11Aは、アンビル10の挿入孔55に挿入された先端工具BTを保持する。
ファン12は、モータ6の後方に配置される。ファン12は、モータ6を冷却するための気流を生成する。ファン12は、ロータ27の少なくとも一部に固定される。ファン12は、ブッシュ61を介して、ロータシャフト32の後部に固定される。ファン12は、後軸受40とステータ26との間に配置される。ファン12は、ロータ27の回転により回転する。ロータシャフト32が回転することにより、ファン12は、ロータシャフト32と一緒に回転する。ファン12が回転することにより、ハウジング2の外部空間の空気が、吸気口19を介してハウジング2の内部空間に流入する。ハウジング2の内部空間に流入した空気は、ハウジング2の内部空間を流通することにより、モータ6を冷却する。ハウジング2の内部空間を流通した空気は、第1排気口20A及び第2排気口20Bを介して、ハウジング2の外部空間に流出する。
コントローラ13は、コントローラ収容部23に収容される。コントローラ13は、モータ6を制御する制御信号を出力する。コントローラ13は、複数の電子部品が実装された基板を含む。基板に実装される電子部品として、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ、ROM(Read Only Memory)又はストレージのような不揮発性メモリ、RAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリ、トランジスタ、及び抵抗が例示される。
コントローラ13の少なくとも一部は、コントローラケース62に収容される。コントローラケース62は、コントローラ収容部23の内部空間に配置される。コントローラ13の少なくとも一部は、コントローラケース62に収容される。
コントローラ13は、電動工具1の作業内容に基づいて、モータ6の制御モードを切り換える。モータ6の制御モードとは、モータ6の制御方法又は制御パターンをいう。
トリガスイッチ14は、グリップ部22に設けられる。トリガスイッチ14は、モータ6を起動するために作業者に操作される。トリガスイッチ14は、トリガ部材14Aと、スイッチ回路14Bとを含む。スイッチ回路14Bは、グリップ部22に収容される。トリガ部材14Aは、グリップ部22の前部の上部から前方に突出する。トリガ部材14Aは、作業者に操作される。トリガ部材14Aが操作されることにより、モータ6の駆動と停止とが切り換えられる。
正逆切換レバー15は、グリップ部22の上部に設けられる。正逆切換レバー15は、作業者に操作される。正逆切換レバー15が操作されることにより、モータ6の回転方向が正転方向及び逆転方向の一方から他方に切り換えられる。モータ6の回転方向が切り換えられることにより、スピンドル8の回転方向が切り換えられる。
操作パネル16は、コントローラ収容部23に設けられる。操作パネル16は、モータ6の制御モードを切り換えるために作業者に操作される。操作パネル16は、板状である。コントローラ収容部23は、操作パネル16が配置される開口63を有する。開口63は、グリップ部22よりも前方において、コントローラ収容部23の上面に設けられる。操作パネル16の少なくとも一部は、開口63に配置される。操作パネル16は、複数の操作スイッチ64を有する。操作スイッチ64が操作されることにより、モータ6の制御モードが切り換えられる。
モード切換スイッチ17は、トリガ部材14Aの上部に設けられる。モード切換スイッチ17は、作業者に操作される。モード切換スイッチ17が操作されることにより、モータ6の制御モードが切り換えられる。
ライト18は、モータ収容部21の左部及び右部のそれぞれに配置される。ライト18は、電動工具1の前方を照明する照明光を射出する。ライト18は、例えば発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を含む。
<電動工具の動作>
次に、電動工具1の動作について説明する。例えば、作業対象にねじ締め作業を実施するとき、ねじ締め作業に使用される先端工具BTが、アンビル10の挿入孔55に挿入される。挿入孔55に挿入された先端工具BTは、工具保持装置11Aにより保持される。先端工具がアンビル10に装着された後、作業者は、グリップ部22を握ってトリガスイッチ14を操作する。トリガスイッチ14が操作されると、バッテリパック25からモータ6に電力が供給され、モータ6が起動する。モータ6の起動により、ロータシャフト32が回転する。ロータシャフト32が回転すると、ロータシャフト32の回転力がピニオンギヤ41を介してプラネタリギヤ42に伝達される。プラネタリギヤ42は、インターナルギヤ43の内歯に噛み合った状態で、自転しながらピニオンギヤ41の周囲を公転する。プラネタリギヤ42は、ピンを介してスピンドル8に回転可能に支持される。プラネタリギヤ42の公転により、スピンドル8は、ロータシャフト32の回転速度よりも低い回転速度で回転する。
ハンマ突起部47Bとアンビル突起部10Bとが接触している状態で、スピンドル8が回転すると、アンビル10は、ハンマ47及びスピンドル8と一緒に回転する。アンビル10が回転することにより、ねじ締め作業が進行する。
ねじ締め作業の進行により、アンビル10に所定値以上の負荷が作用した場合、アンビル10及びハンマ47の回転が停止する。ハンマ47の回転が停止している状態で、スピンドル8が回転すると、ハンマ47は、後方に移動する。ハンマ47が後方に移動することにより、ハンマ突起部47Bとアンビル突起部10Bとの接触が解除される。後方に移動したハンマ47は、コイルスプリング49の弾性力により、ハンマ47は、回転しながら前方に移動する。ハンマ47が回転しながら前方に移動することにより、アンビル10は、ハンマ47により回転方向に打撃される。これにより、アンビル10は、高いトルクで回転軸AXを中心に回転する。そのため、ねじは作業対象に高いトルクで締め付けられる。
<工具保持装置>
図5は、本実施形態に係る工具保持装置11Aを示す横断面図である。図6は、本実施形態に係る工具保持装置11Aを示す縦断面図である。図7は、本実施形態に係る工具保持装置11Aを示す断面図である。図7は、図5のA−A線断面矢視図に相当する。図8及び図9のそれぞれは、本実施形態に係る工具保持装置11Aの一部を拡大した断面図である。図8は、先端工具BTが挿入孔55に挿入されていない状態を示す。図9は、図8の一部を拡大した図に相当する。
工具保持装置11Aは、アンビル10の挿入孔55に挿入された先端工具BTを保持する。工具保持装置11Aは、先端工具BTを着脱可能である。図5、図6、及び図7に示すように、工具保持装置11Aは、ロック部材71と、第1弾性部材72と、スリーブ73と、第2弾性部材74と、位置決め部材75とを備える。
先端工具BTは、装着部B1と、装着部B1の側面に設けられた溝部B2と、装着部B1の後端部に設けられたテーパ部B3と、装着部B1の前端部に設けられた加工部B4(図4参照)とを有する。
アンビル10は、ロッド状のアンビルボディ10Aと、アンビルボディ10Aの後部に設けられるアンビル突起部10Bとを有する。挿入孔55は、アンビルボディ10Aに設けられる。挿入孔55は、軸方向に延伸する。アンビル突起部10Bは、2つ設けられる。アンビル突起部10Bは、アンビルボディ10Aの後部から径方向外側に突出する。
挿入孔55の前端部に開口55Aが設けられる。挿入孔55の後端部に底面55Bが設けられる。先端工具BTは、開口55Aから挿入孔55に挿入される。先端工具BTの少なくとも一部が開口55Aに配置された状態で、先端工具BTが後方に移動されることにより、先端工具BTは、挿入孔55に挿入される。
回転軸AXと直交する断面において、装着部B1の外形は、実質的に六角形である。回転軸AXと直交する断面において、挿入孔55は、実質的に六角形である。
アンビル10は、ロック部材71を支持する支持凹部82を有する。支持凹部82は、アンビルボディ10Aの外面に形成される。支持凹部82は、軸方向においてアンビルボディ10Aの中間部に形成される。支持凹部82は、軸方向に長い。アンビルボディ10Aに、支持凹部82の内面と挿入孔55の内面とを結ぶ貫通孔81が形成される。上述のように、回転軸AXと直交する断面において、挿入孔55は、実質的に六角形である。支持凹部82は、貫通孔81を介して挿入孔55の角部に結ばれる。支持凹部82は、周方向に複数形成される。複数の支持凹部82は、周方向に等間隔に形成される。本実施形態において、支持凹部82は、2つ形成される。
ロック部材71は、アンビル10に移動可能に支持される。ロック部材71は、挿入孔55に挿入された先端工具BTをロックする。ロック部材71は、金属製である。ロック部材71は、ボール状の部材である。以下の説明において、ロック部材71を適宜、ボール71、と称する。
ボール71は、支持凹部82に支持される。ボール71は、複数の支持凹部82のそれぞれに1つずつ配置される。本実施形態において、工具保持装置11Aは、2つのボール71を有する。ボール71は、アンビルボディ10Aの周囲に2つ設けられる。
ボール71の直径は、貫通孔81の直径よりも大きい。ボール71が支持凹部82に支持された状態で、ボール71の少なくとも一部は、貫通孔81を介して、挿入孔55の内側に配置される。すなわち、ボール71が支持凹部82に支持された状態で、ボール71の少なくとも一部は、貫通孔81から挿入孔55の内側に突出するように配置される。
ボール71は、支持凹部82の内面に接触した状態で、軸方向及び径方向のそれぞれに移動可能である。ボール71は、先端工具BTをロックするロック位置と先端工具BTのロックを解除する解除位置とに移動可能である。
上述のように、ボール71の少なくとも一部は、貫通孔81を介して、挿入孔55の内側に配置される。先端工具BTの側面に溝部B2が設けられる。溝部B2を含む先端工具BTの少なくとも一部が挿入孔55に挿入される。ボール71の少なくとも一部が先端工具BTの溝部B2に配置されることにより、先端工具BTがロックされる。ボール71の少なくとも一部が溝部B2に配置されることにより、軸方向、径方向、及び周方向のそれぞれにおいて先端工具BTが位置決めされる。ボール71のロック位置は、ボール71の少なくとも一部が先端工具BTの溝部B2に配置される位置を含む。ボール71の解除位置は、ボール71が先端工具BTの溝部B2の外側に配置される位置を含む。
第1弾性部材72は、ボール71をロック位置に移動させる弾性力を発生する。本実施形態において、第1弾性部材72は、圧縮コイルばねである。第1弾性部材72は、アンビルボディ10Aの周囲に配置される。本実施形態において、第1弾性部材72は、ボール71を前方に移動させる弾性力を発生する。
スリーブ73は、円筒状の部材である。スリーブ73は、アンビルボディ10Aの周囲に配置される。スリーブ73は、アンビルボディ10Aの周囲において軸方向に移動可能である。スリーブ73は、ロック位置に配置されているボール71がロック位置から脱出することを阻止することができる。スリーブ73は、軸方向に移動されることにより、ボール71をロック位置から解除位置に移動可能な状態に変化させることができる。
スリーブ73は、アンビルボディ10Aの周囲において、ボール71の径方向外側への移動を阻止する阻止位置と径方向外側への移動を許容する許容位置とに移動可能である。
スリーブ73が阻止位置に配置されることにより、ロック位置に配置されているボール71が径方向外側に移動することが抑制される。すなわち、スリーブ73が阻止位置に配置されることにより、ロック位置に配置されているボール71がロック位置から脱出することが阻止される。スリーブ73が阻止位置に配置されることにより、先端工具BTがボール71によりロックされた状態が維持される。
スリーブ73が許容位置に移動されることにより、ロック位置に配置されているボール71が径方向外側に移動することが許容される。スリーブ73は、許容位置に移動されることにより、ボール71をロック位置から解除位置に移動可能な状態に変化させる。すなわち、スリーブ73が許容位置に配置されることにより、ロック位置に配置されているボール71がロック位置から脱出することが許容される。スリーブ73が許容位置に配置されることにより、先端工具BTがボール71によりロックされた状態が解除可能になる。
第2弾性部材74は、スリーブ73が阻止位置に移動するように弾性力を発生する。本実施形態において、第2弾性部材74は、圧縮コイルばねである。第2弾性部材74は、アンビルボディ10Aの周囲に配置される。阻止位置は、許容位置よりも後方に規定される。第2弾性部材74は、スリーブ73を後方に移動させる弾性力を発生する。
位置決め部材75は、アンビルボディ10Aの外面に固定されたリング状の部材である。位置決め部材75は、スリーブ73の後端部に対向可能な位置に固定される。位置決め部材75は、スリーブ73を阻止位置に位置決めする。第2弾性部材74から後方に移動する弾性力を付与されているスリーブ73は、位置決め部材75に接触することにより、阻止位置に位置決めされる。
アンビルボディ10Aの外面に第1凹部94が形成される。第1凹部94は、支持凹部82よりも後方に設けられる。第1凹部94は、回転軸AXを囲むように形成される。位置決め部材75の少なくとも一部は、第1凹部94に配置される。位置決め部材75の内端部を含む位置決め部材75の一部が第1凹部94に配置されることにより、位置決め部材75は、アンビルボディ10Aに固定される。
スリーブ73の後端部に第2凹部91が設けられる。位置決め部材75の表面の少なくとも一部は、第2凹部91の内面に接触する。位置決め部材75の表面の少なくとも一部とスリーブ73の第2凹部91の内面とが接触することにより、スリーブ73は阻止位置に位置決めされる。
スリーブ73は、円筒状のスリーブボディ73Aと、スリーブボディ73Aの内面から径方向内側に突出し、アンビルボディ10Aと接触可能な突起部88と、突起部88よりも後方に設けられアンビルボディ10Aに面する第1溝80と、突起部88よりも前方に設けられアンビルボディ10Aに面する第2溝87とを有する。突起部88は、アンビルボディ10Aのみならず、ボール71にも接触可能である。第1弾性部材72は、第1溝80の内側に配置される。第2弾性部材74は、第2溝87の内側に配置される。
突起部88は、第1弾性部材72よりも前方に配置される。突起部88は、スリーブボディ73Aの内面から径方向内側に延伸する。突起部88は、リング状である。
図8及び図9に示すように、突起部88は、前方を向く前面88Tと、後方を向く傾斜面95と、径方向内側を向く内面88Sとを有する。突起部88の内面88Sは、アンビルボディ10Aの外面10Sに接触可能である。突起部88の内面88Sは、ボール71に接触可能である。
図5及び図6に示すように、アンビルボディ10Aの外面に第3凹部96が形成される。第3凹部96は、支持凹部82よりも前方に設けられる。第3凹部96は、回転軸AXを囲むように形成される。
第3凹部96にストップリング92の少なくとも一部が配置される。ストップリング92の後方にストッパ93が配置される。ストッパ93は、リング状の部材である。ストッパ93は、ストップリング92により位置決めされる。
第2弾性部材74は、第2弾性部材74の後端部が突起部88の前面88Tに接触し、第2弾性部材74の前端部がストッパ93に接触するように配置される。第2弾性部材74の前端部がストッパ93及びストップリング92を介してアンビルボディ10Aに連結され、第2弾性部材74の後端部がスリーブ73の突起部88に接触することにより、第2弾性部材74は、スリーブ73を後方に移動させる弾性力を発生することができる。
アンビル10は、アンビルボディ10Aの外面に形成された第3溝83を有する。第3溝83は、スリーブ73に面するように設けられる。第3溝83の少なくとも一部は、支持凹部82よりも後方に設けられる。
第1弾性部材72の少なくとも一部は、支持凹部82に面するように、アンビルボディ10Aの周囲に配置される。第1弾性部材72は、第3溝83の内側に配置される。
図9に示すように、第3溝83は、底部84と、底部84の後方に設けられる壁部85と、底部84の前方に設けられるテーパ部86とを有する。
底部84の直径は、アンビルボディ10Aの直径よりも小さい。底部84の直径は、周方向及び軸方向のそれぞれで均一である。
壁部85は、底部84の後方に設けられる。壁部85は、回転軸AXを囲むように配置される。壁部85は、回転軸AXと平行な線と直交するように設けられる。
テーパ部86は、前方に向かって径方向外側に傾斜する。テーパ部86の後端部は、底部84に滑らかに接続される。テーパ部86の前端部は、アンビルボディ10Aの外面10Sに滑らかに接続される。回転軸AXを含む断面において、テーパ部86と底部84との境界は曲線状であり、テーパ部86とアンビル10の外面10Sとの境界は曲線状である。回転軸AXと平行な断面において、テーパ部86は、直線状でもよいし凹んだ曲線状でもよい。
第1弾性部材72は、第1弾性部材72の前端部がボール71に接触し、第1弾性部材72の後端部がアンビル10の少なくとも一部に接触するように配置される。本実施形態において、第1弾性部材72の後端部は、支持凹部82よりも後方に設けられた壁部85に接触する。
第1弾性部材72の後端部がアンビルボディ10Aの壁部85に接触し、第1弾性部材72の前端部がボール71に接触することにより、第1弾性部材72は、ボール71を前方に移動させる弾性力を発生することができる。
傾斜面95は、軸方向において突起部88と第1溝80との間に設けられる。傾斜面95は、径方向外側に移動するボール71に接触する。ボール71と傾斜面95との接触により、スリーブ73は、前方に移動することができる。すなわち、ボール71と傾斜面95との接触により、スリーブ73は、許容位置に移動することができる。
径方向外側に移動するボール71と傾斜面95とが接触することにより、スリーブ73は、第2弾性部材74の弾性力に抗って、前方に移動することができる。傾斜面95は、径方向外側に向かって後方に傾斜する。アンビル10の回転軸AXと平行な線と傾斜面95とがなす角度θは、45[°]よりも大きく90[°]よりも小さい。
第1溝80は、第1部分89と第2部分90とを含む。第1部分89と第2部分90とは軸方向に配置される。第1部分89と第2部分90とは結ばれる。第2部分90は、第1部分89よりも後方に配置される。第2凹部91は、第2部分90の後端部に設けられる。
本実施形態において、第1部分89の内径と第2部分90の内径とは等しい。なお、第1部分89の内径と第2部分90の内径とは異なってもよい。
径方向において、アンビルボディ10Aの外面と第1溝80の後端部とは離れている。第1溝80の後端部に開口が設けられる。
第1部分89は、ボール71の径方向外側への移動を許容する。径方向外側に移動するボール71の少なくとも一部は、第1部分89に配置される。第2部分90は、圧縮状態の第1弾性部材72を収容する。第1弾性部材72の少なくとも一部は、第2部分90に配置される。
上述のように、スリーブ73は、ボール71の径方向外側への移動を阻止する阻止位置と、径方向外側への移動を許容する許容位置とに移動可能である。阻止位置は、突起部88がボール71の径方向外側に配置される位置である。許容位置は、突起部88がボール71よりも前方に配置され、第1部分89がボール71の径方向外側に配置される位置である。
図8に示すように、第1弾性部材72の巻き径Daは、挿入孔55の内径Dcよりも大きい。また、先端工具BTが挿入孔55に挿入されていない状態において、第1弾性部材72の巻き径Daは、一方のボール71の外端部と他方のボール71の外端部との距離Dbと同一又は距離Dbよりも大きい。
図9に示すように、突起部88の内面88Sの内径Dtは、アンビル10の外面10Sの外径Dsよりも僅かに大きい。突起部88の内面88Sは、アンビル10の外面10Sと接触して、アンビル10を前後方向にガイドする。また、内面88Sは、アンビル10に対するスリーブ73の径方向の位置決め部として機能する。また、内面88Sは、アンビル10に対する軸受部として機能する。内面88Sは、第1弾性部材72よりも前方に配置され、第2弾性部材74よりも後方側に配置される。内面88Sが、前後方向においてスリーブ73の中間位置に配置されているので、位置決め機能が十分に発揮される。
<位置決め部材>
図10は、本実施形態に係る位置決め部材75を示す斜視図である。位置決め部材75は、リング状である。位置決め部材75は、リングスプリングを含む。図5から図9に示したように、位置決め部材75は、支持凹部82よりも後方に配置される。位置決め部材75の少なくとも一部が第1凹部94に配置されることにより、位置決め部材75は、アンビルボディ10Aに固定される。
スリーブ73の後端部は、位置決め部材75に接触する。回転軸AXと平行な断面において、スリーブ73に接触する位置決め部材75の接触面75Sは、曲面である。
本実施形態においては、回転軸AXと平行な断面において、位置決め部材75の外形は、円形である。
スリーブ73の後端部に第2凹部91が設けられる。位置決め部材75の接触面75Sと第2凹部91の内面とが接触する。回転軸AXと平行な断面において、第2凹部91の内面は、円弧状である。回転軸AXと平行な断面において第2凹部91の内面が円弧状なので、位置決め部材75の接触面75Sと第2凹部91の内面とは十分に接触する。
図9に示すように、回転軸AXと平行な断面において、第1凹部94の深さRaは、位置決め部材75の半径Rbと同一である。第1凹部94の深さRaが位置決め部材75の半径Rbと同一なので、位置決め部材75は、第1凹部94に十分に嵌ることができる。
なお、回転軸AXと平行な断面において、第1凹部94の深さRaは、位置決め部材75の半径Rbよりも大きくてもよい。第1凹部94の深さRaが位置決め部材75の半径Rbよりも大きい場合においても、位置決め部材75は、第1凹部94に十分に嵌ることができる。
<先端工具をアンビルに装着するときの動作>
次に、先端工具BTをアンビル10に装着するときの動作について説明する。図11から図17のそれぞれは、本実施形態に係る先端工具BTをアンビル10に装着するときの動作を示す断面図である。
図11から図16を参照しながら、スリーブ73が操作されない状態で、先端工具BTをアンビル10に装着するときの動作について説明する。
図11に示すように、先端工具BTがアンビル10に装着される前の状態において、スリーブ73は、第2弾性部材74の弾性力により後方に移動される。第2弾性部材74は、スリーブ73が阻止位置に移動するように弾性力を発生する。スリーブ73の後端部は、位置決め部材75に接触する。位置決め部材75は、スリーブ73を阻止位置に位置決めする。
スリーブ73が阻止位置に配置されている状態において、突起部88は、ボール71の径方向外側に配置される。突起部88がボール71の径方向外側に配置されるので、ボール71の径方向外側への移動が阻止される。
図12に示すように、挿入孔55に対する先端工具BTの挿入が開始されると、先端工具BTのテーパ部B3がボール71に接触する。ボール71は、テーパ部B3との接触により、支持凹部82の内側において後方に移動する。
図13に示すように、先端工具BTが更に後方に移動されると、ボール71は、テーパ部B3との接触により、径方向外側に移動する。ボール71は、径方向外側に移動することにより、第1弾性部材72に接触する。
図14に示すように、先端工具BTが更に後方に移動されると、ボール71は、装着部B1に接触する。ボール71は、装着部B1との接触により、更に径方向外側に移動する。ボール71が径方向外側にすると、第1弾性部材72は、ボール71との接触により変形する。第1弾性部材72は、圧縮される。また、第1弾性部材72は、巻き径Daが大きくなるように変形する。
また、図14に示すように、ボール71が径方向外側に移動すると、ボール71の表面の少なくとも一部と突起部88の傾斜面95とが接触する。ボール71と傾斜面95との接触により、スリーブ73は、前方に移動する。すなわち、径方向外側に移動するボール71と傾斜面95との接触により、スリーブ73は、許容位置に移動する。
図15に示すように、スリーブ73が許容位置に配置されることにより、ボール71は、径方向外側に移動することができる。ボール71の少なくとも一部は、第1溝80の第1部分89に配置される。ボール71の解除位置は、ボール71の少なくとも一部が第1部分89に配置される位置を含む。ボール71の少なくとも一部が第1部分89に配置された状態において、第1弾性部材72は、圧縮状態で、第1溝80の第2部分90に配置される。
ボール71が径方向外側に移動され、解除位置に配置されることにより、先端工具BTは、挿入孔55に円滑に挿入される。先端工具BTは、装着部B1の外面をボール71の表面に接触させながら、後方に移動することができる。
図16に示すように、先端工具BTが更に後方に移動され、ボール71の径方向内側に溝部B2が配置されると、第1弾性部材72は、ボール71をロック位置に移動させる弾性力を発生する。ボール71は、第1弾性部材72の弾性力により、支持凹部82の内側において、前方に移動される。支持凹部82の内側において前方に移動したボール71の少なくとも一部は、貫通孔81を介して、挿入孔55の内側に配置される。ボール71の少なくとも一部は、溝部B2の内側に配置される。また、ボール71の少なくとも一部は、支持凹部82に支持される。ボール71のロック位置は、ボール71の少なくとも一部が溝部B2に配置される位置を含む。ボール71がロック位置に配置されることにより、先端工具BTは、ロックされる。先端工具BTは、ボール71を介して、アンビルボディ10Aに固定される。
また、ボール71がロック位置に配置されると、スリーブ73は、第2弾性部材74の弾性力により、後方に移動する。後方に移動したスリーブ73は、位置決め部材75に接触して、阻止位置に位置決めされる。スリーブ73が阻止位置に配置された状態において、突起部88は、ボール71の径方向外側に配置される。ボール71がロック位置に配置された状態で、突起部88の内面88Sは、ボール71の表面の少なくとも一部に接触する。突起部88とボール71との接触により、ボール71の径方向外側への移動が阻止される。ボール71の移動が阻止されるので、先端工具BTがボール71にロックされた状態が維持される。
図11から図16を参照して説明したように、スリーブ73が操作されない状態で、先端工具BTが挿入孔55に挿入された場合、第1弾性部材72が弾性変形することにより、ボール71は、先端工具BTの溝部B2に自動的に嵌ることができる。また、ボール71が溝部B2に自動的に嵌った後、第1弾性部材72の巻き径Daが小さくなる。第1弾性部材72の巻き径Daが急激に小さくなることにより、ボール71は勢い良く溝部B2に移動される。ボール71が勢い良く溝部B2に移動することにより、ボール71が溝部B2の内面に衝突して音が発生する。そのため、作業者は、先端工具BTがアンビル10に固定されたことを認識することができる。
次に、図17を参照しながら、スリーブ73が前方に移動するように操作された状態で、先端工具BTをアンビル10に装着するときの動作について説明する。
図17に示すように、作業者によりスリーブ73が前方に移動するように操作され、許容位置に配置されると、突起部88がボール71よりも前方に配置され、第1溝80の第1部分89がボール71の径方向外側に配置される。
ボール71の径方向外側に第1部分89が配置されている状態で、先端工具BTが挿入孔55に挿入されると、先端工具BTのテーパ部B3がボール71に接触する。テーパ部B3との接触により、ボール71は、支持凹部82の内側において後方に移動する。
先端工具BTが更に後方に移動されると、ボール71は、テーパ部B3との接触により、径方向外側に移動する。ボール71は、径方向外側に移動することにより、第1弾性部材72に接触する。
先端工具BTが更に後方に移動されると、ボール71は、装着部B1に接触する。ボール71は、装着部B1との接触により、更に径方向外側に移動する。ボール71が径方向外側に移動すると、第1弾性部材72は、ボール71との接触により変形する。第1弾性部材72は、圧縮される。また、第1弾性部材72は、巻き径Daが大きくなるように変形する。第1弾性部材72は、圧縮状態で、第1溝80の第2部分90に配置される。
第1弾性部材72が第2部分90に配置された状態で、ボール71が径方向外側に移動すると、ボール71の少なくとも一部は、第1溝80の第1部分89に配置される。第2弾性部材74が第2部分90に配置された状態で、ボール71が径方向外側に移動することができるので、ボール71の少なくとも一部は、第1部分89に円滑に配置される。
ボール71が径方向外側に移動され、解除位置に配置されることにより、先端工具BTは、挿入孔55に円滑に挿入される。先端工具BTは、装着部B1の外面をボール71の表面の少なくとも一部に接触させながら、後方に移動することができる。
先端工具BTが更に後方に移動され、ボール71の径方向内側に溝部B2が配置されると、第1弾性部材72は、ボール71をロック位置に移動させる弾性力を発生する。ボール71は、第1弾性部材72の弾性力により、支持凹部82の内側において、前方に移動される。支持凹部82の内側において前方に移動したボール71の少なくとも一部は、貫通孔81を介して、挿入孔55の内側に配置される。ボール71の少なくとも一部は、溝部B2の内側に配置される。ボール71がロック位置に配置されることにより、先端工具BTは、ロックされる。先端工具BTは、ボール71を介して、アンビルボディ10Aに固定される。
ボール71がロック位置に配置された後、スリーブ73の操作が解除されると、スリーブ73は、第2弾性部材74の弾性力により、後方に移動する。後方に移動したスリーブ73は、位置決め部材75に接触して、阻止位置に位置決めされる。スリーブ73が阻止位置に配置された状態において、突起部88は、ボール71の径方向外側に配置される。ボール71がロック位置に配置された状態で、突起部88の内面88Sは、ボール71の表面の少なくとも一部に接触する。突起部88とボール71との接触により、ボール71の径方向外側への移動が阻止される。ボール71の移動が阻止されるので、先端工具BTがボール71にロックされた状態が維持される。
このように、スリーブ73が前方に移動するように操作された状態で、先端工具BTが挿入孔55に挿入された場合においても、第1弾性部材72の弾性変形により、ボール71は、ロック位置に自動的に配置される。
<先端工具をアンビルから外すときの動作>
次に、先端工具BTをアンビル10から外すときの動作について説明する。図18から図21のそれぞれは、本実施形態に係る先端工具BTをアンビル10から外すときの動作を示す断面図である。
図18は、先端工具BTがボール71を介してアンビル10に固定されている状態を示す。図18に示すように、ボール71の少なくとも一部が溝部B2の内側に配置され、ボール71がロック位置に配置されることにより、先端工具BTがボール71を介してアンビル10に固定される。ボール71がロック位置に配置されている状態において、スリーブ73は、阻止位置に配置される。スリーブ73が阻止位置に配置され、突起部88がボール71の径方向外側に配置されることにより、ボール71の径方向外側への移動が阻止され、ボール71がロック位置に配置される状態が維持される。また、第2弾性部材74は、スリーブ73を後方に移動させる弾性力を発生する。スリーブ73は、位置決め部材75により阻止位置に位置決めされる。
図19に示すように、先端工具BTをアンビル10から外すために、先端工具BTは、作業者により前方に移動される。先端工具BTが前方に移動することにより、ボール71は、先端工具BTとの接触により、径方向外側に移動する。
図20に示すように、スリーブ73が前方に移動するように操作される。スリーブ73が前方に移動し、許容位置に配置されると、ボール71の径方向外側に第1部分89が配置される。ボール71の径方向外側に第1部分89が配置された状態で、先端工具BTが更に前方に移動されることにより、ボール71は装着部B1の表面に接触し、径方向外側に移動する。径方向外側に移動したボール71の少なくとも一部は、第1部分89に配置される。
ボール71が径方向外側に移動され、解除位置に配置されることにより、先端工具BTは、円滑に移動することができる。先端工具BTは、装着部B1の外面をボール71の表面の少なくとも一部に接触させながら、前方に移動することができる。
図21に示すように、ボール71が解除位置に配置された状態で、先端工具BTが前方に移動されることにより、先端工具BTが挿入孔55から抜去される。先端工具BTは、アンビル10から外される。
<効果>
以上説明したように、本実施形態によれば、回転軸AXと平行な断面において、スリーブ73に接触する位置決め部材75の接触面75Sは、曲面である。そのため、位置決め部材75とスリーブ73との接触面積は大きくなる。したがって、摩耗による位置決め部材75の接触面75Sの劣化が抑制される。同様に、摩耗によるスリーブ73の劣化が抑制される。位置決め部材75及びスリーブ73の耐久性が向上するので、作業者は、工具保持装置11Aを操作性良く使用することができる。したがって、電動工具1の操作性は良好になり、作業者の作業効率の低下が抑制される。
本実施形態において、位置決め部材75は、リングスプリングを含む。回転軸AXと平行な断面において、位置決め部材75の外形は、円形である。そのため、位置決め部材75の耐久性は向上する。
位置決め部材75の少なくとも一部は、アンビルボディ10Aの外面10Sに形成された第1凹部94に配置される。第1凹部94の深さRaは、位置決め部材75の半径Rbと同一又は半径Rbよりも大きい。深さRaが半径Rbと同一又は半径Rbよりも大きいので、位置決め部材75は、第1凹部94に十分に嵌ることができる。したがって、位置決め部材75は、アンビルボディ10Aに十分に固定される。
スリーブ73の後端部に第2凹部91が設けられる。位置決め部材75の接触面75Sと第2凹部91の内面とが接触することにより、スリーブ73が阻止位置に位置決めされる。第2凹部91により、位置決め部材75とスリーブ73との接触は安定する。また、位置決め部材75が第2凹部91の内側に配置されることにより、スリーブ73が阻止位置に配置されている状態において、位置決め部材75はスリーブ73に隠れる。そのため、電動工具1の外観品質が向上する。
ボール71は、アンビルボディ10Aの外面10Sに形成された支持凹部82に支持される。支持凹部82の内面と挿入孔55の内面とを結ぶ貫通孔81が形成される。ボール71は、支持凹部82の内側を移動することにより、ロック位置と解除位置とに移動することができる。ボール71がロック位置に配置されることにより、先端工具BTは十分に位置決めされる。先端工具BTが十分に位置決めされることにより、電動工具1の操作性は良好になる。
スリーブ73は、突起部88と、第1溝80と、第2溝87とを有する。突起部88の内面88Sがアンビルボディ10Aの外面10Sに接触することにより、外面10Sにおけるアンビルボディ10Aの外径Dsを大きくすることができる。そのため、アンビル10に亀裂が入ることが抑制され、アンビル10の耐久性の低下が抑制される。また、第1弾性部材72が第1溝80の内側に配置され、第2弾性部材74が第2溝87に配置されることにより、工具保持装置11Aの大型化が抑制される。
また、スリーブ73の突起部88は、ボール71に接触可能である。スリーブ73の突起部88がボール71に接触することにより、ボール71の動作は安定する。
スリーブ73の第1溝80は、径方向外側へ移動するボール71の少なくとも一部が配置される第1部分89と、第1部分89に結ばれ圧縮状態の第1弾性部材72が配置される第2部分90とを含む。図17を参照して説明したように、スリーブ73が許容位置に配置された状態で、先端工具BTを挿入孔55に挿入する場合、テーパ部B3との接触により径方向外側に移動するボール71が第1弾性部材72を圧縮させ、圧縮された第1弾性部材72は第2部分90に配置される。第1弾性部材72は第2部分90に配置されるので、ボール71は、第1部分89に円滑に移動することができる。そのため、先端工具BTは、操作性良く挿入孔55に挿入される。
アンビルボディ10Aの外面に第3溝83が設けられる。第1弾性部材72は、第3溝83に配置される。第3溝83は、底部84と、底部84の後方に設けられ第1弾性部材72が接触する壁部85と、底部84の前方に設けられ前方に向かって径方向外側に傾斜するテーパ部86とを有する。第1弾性部材72の後端部は、壁部85に支持される。テーパ部86が設けられることにより、第3溝83における応力集中が抑制される。第3溝83における応力集中が抑制されることにより、アンビル10の耐久性の低下が抑制される。
第1弾性部材72の前端部はボール71に接触し、第1弾性部材72の後端部がアンビル10の少なくとも一部に接触する。第1弾性部材72は、ボール71をロック位置に移動させる弾性力を発生することができる。
スリーブ73は、径方向外側に移動するボール71に接触する傾斜面95を有する。先端工具BTが挿入孔55に挿入され、ボール71が径方向外側に移動したとき、ボール71の表面と傾斜面95との接触により、スリーブ73は、許容位置に自動的に移動することができる。また、回転軸AXに平行な線と傾斜面95とがなす角度θは45[°]よりも大きく90[°]よりも小さい。傾斜面95の角度θが適正な角度に設定されることにより、スリーブ73は小さい力で許容位置に円滑に移動することができる。
また、先端工具BTが挿入孔55に挿入され、ボール71と傾斜面95とが接触することにより、作業者は、クリック感を得ることができる。
先端工具BTが挿入孔55に挿入され、ボール71が径方向外側に移動することにより、第1弾性部材72がボール71との接触により弾性変形する。第1弾性部材72は、巻き径Daが大きくなるように弾性変形する。例えば、図14に示す状態の第1弾性部材72の巻き径Daは、図16に示す状態の第1弾性部材72の巻き径Daよりも大きい。これにより、ボール71の動作は安定する。
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図22は、本実施形態に係る電動工具1の上部を拡大した横断面図である。図23は、本実施形態に係る工具保持装置11Bを示す横断面図である。図24は、本実施形態に係る工具保持装置11Bを示す断面図である。
上述の実施形態と同様、工具保持装置11Bは、ロック位置と解除位置とに移動可能なボール71と、ボール71をロック位置に移動させる弾性力を発生する第1弾性部材72と、ボール71の径方向外側への移動を阻止する阻止位置と径方向外側への移動を許容する許容位置とに移動可能なスリーブ73と、スリーブ73が阻止位置に移動するように弾性力を発生する第2弾性部材74と、スリーブ73を阻止位置に位置決めする位置決め部材75とを備える。
本実施形態において、支持凹部82は、回転軸AXの周囲に3つ設けられる。ボール71は、3つの支持凹部82のそれぞれに1つずつ配置される。ボール71は、アンビルボディ10Aの周囲に3つ設けられる。3つのボール71は、回転方向に等間隔で配置される。先端工具BTは、3つのボール71によりアンビルボディ10Aに固定される。
3つのボール71のそれぞれが、ロック位置と解除位置とに移動可能である。ボール71の少なくとも一部が貫通孔81を介して先端工具BTの溝部BTに配置されることにより、先端工具BTがロックされる。上述の実施形態と同様、ボール71のロック位置は、ボール71の少なくとも一部が先端工具BTの溝部B2に配置される位置を含む。
以上説明したように、ボール71が3つ設けられることにより、先端工具BTは、アンビルボディ10Aに適正に位置決めされる。ロック位置に配置された3つのボール71のそれぞれは、アンビルボディ10Aを径方向内側に向かって押す力を発生する。3つのボール71のそれぞれがアンビルボディ10Aを押す力は、均一である。先端工具BTは、3つのボール71により、アンビル10の回転軸AXと先端工具BTの中心軸とが一致するように、アンビルボディ10Aに固定される。軸方向、径方向、及び周方向のそれぞれにおいて先端工具BTが適正に位置決めされることにより、電動工具1の操作性は良好になる。
図25は、本実施形態に係る工具保持装置11Bbを示す断面図である。図25に示すように、ボール71は1つでもよい。ボール71が1つでも、アンビル10の回転軸AXと先端工具BTの中心軸とが一致するように、先端工具BTをアンビルボディ10Aに固定することができる。
なお、ボール71の数は、アンビル10の回転軸AXと先端工具BTの中心軸とが一致すれば1つでもよいし複数でもよい。上述のように、ボール71は、1つ又は3つ設けられてもよいし、アンビルボディ10Aの周囲に5つ以上の任意の奇数設けられてもよい。なお、ボール71は、アンビルボディ10Aの周囲に4つ設けられてもよい。
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図26は、本実施形態に係る工具保持装置11Cを示す横断面図である。上述の実施形態と同様、工具保持装置11Cは、ロック位置と解除位置とに移動可能なボール71と、ボール71をロック位置に移動させる弾性力を発生する第1弾性部材72と、ボール71の径方向外側への移動を阻止する阻止位置と径方向外側への移動を許容する許容位置とに移動可能なスリーブ73と、スリーブ73が阻止位置に移動するように弾性力を発生する第2弾性部材74と、スリーブ73を阻止位置に位置決めする位置決め部材75とを備える。
図26は、スリーブ73が阻止位置に配置され、先端工具BTがボール71によりロックされている状態を示す。
本実施形態において、工具保持装置11Cは、先端工具BTを挿入孔55から出す力を発生する抜去装置200を備える。抜去装置200は、阻止位置から許容位置へのスリーブ73の移動において、先端工具BTを挿入孔55から出す力を発生する。抜去装置200の少なくとも一部は、挿入孔55の内側に配置される。
上述の実施形態と同様、挿入孔55の前端部に開口55Aが設けられる。挿入孔55の後端部に底面55Bが設けられる。本実施形態において、底面55Bは、ワッシャ78の前面を含む。ワッシャ78は、円板状である。ワッシャ78は、ストップリング79に支持される。ストップリング79として、サークリップが例示される。挿入孔55の内面に、ストップリング79の周縁部が嵌る凹部79Rが設けられる。ストップリング79の周縁部が凹部79Rに嵌ることにより、ストップリング79は、挿入孔55の内側で、アンビル10に固定される。ストップリング79が固定されることにより、ストップリング79に支持されているワッシャ78は、位置決めされる。
図27は、本実施形態に係る抜去装置200を示す斜視図である。図27は、電動工具1から抜去装置200を抽出した図に相当する。
図26及び図27に示すように、抜去装置200は、ピストン部材76と、抜去弾性部材77とを有する。
ピストン部材76は、挿入孔55の内側において軸方向に移動可能である。ピストン部材76は、先端工具BTの後端部を支持した状態で、軸方向に移動可能である。
抜去弾性部材77は、ピストン部材76を挿入孔55の開口55Aに移動させる弾性力を発生する。抜去弾性部材77は、圧縮コイルばねを含む。抜去弾性部材77は、挿入孔55の底面55Bに支持される。
ピストン部材76は、底板部76Bと、底板部76Bの周縁部から前方に突出する周壁部76Tと、周壁部76Tの前端部から径方向外側に延伸するフランジ部76Fとを有する。
回転軸AXと直交する断面において、底板部76Bの外形は、円形である。周壁部76Tは、円筒状である。底板部76Bの周縁部と周壁部76Tの後端部とが結ばれる。回転軸AXと直交する断面において、フランジ部76Fの外径は、底板部76Bの外径及び周壁部76Tの外径よりも大きい。周壁部76Tの外面と挿入孔55の内面とは間隙を介して対向する。すなわち、周壁部76Tの外面と挿入孔55の内面との間に空間76Cが形成される。フランジ部76Fの外面は、挿入孔55の内面に接触する。ピストン部材76は、フランジ部76Fの外面を挿入孔55の内面に接触させながら、軸方向に移動する。フランジ部76Fは、挿入孔55の内面にガイドされる。ピストン部材76は、挿入孔55の内面にガイドされながら、軸方向に移動する。
ピストン部材76の前端部に開口76Hが設けられる。先端工具BTの後端部は、開口76Hを介して、ピストン部材76の内部空間に挿入される。先端工具BTの後端部は、底板部76Bの前面に接触する。なお、先端工具BTの後端部は、周壁部76Tの内面に接触してもよい。なお、先端工具BTの少なくとも一部が、フランジ部76Fの前面に接触してもよい。
抜去弾性部材77の少なくとも一部は、底面55Bとフランジ部76Fの後面との間において、周壁部76Tを囲むように配置される。抜去弾性部材77の前端部は、フランジ部76Fの後面に接触する。抜去弾性部材77の後端部は、底面55Bに接触する。
図26に示すように、ボール71の少なくとも一部が溝部B2の内側に配置され、先端工具BTがボール71によりロックされた状態において、抜去弾性部材77は、底面55Bとフランジ部76Fとの間において周壁部76Tを囲むように配置される。抜去弾性部材77は、周壁部76Tの外面と挿入孔55の内面との間の空間76Cに配置される。先端工具BTがボール71によりロックされた状態において、ピストン部材76の底板部76Bは、底面55Bに接触する。
図28は、本実施形態に係る工具保持装置11Cを示す横断面図である。図28は、スリーブ73が許容位置に配置され、先端工具BTのロックが解除された状態を示す。
上述の実施形態と同様、作業者によりスリーブ73が前方に移動され、ボール71の径方向外側に第1部分89が配置されることにより、ボール71は径方向外側に移動可能な状態になる。すなわち、作業者の操作により、スリーブ73が阻止位置から許容位置に移動されることにより、ボール71は、解除位置に移動可能な状態に変化する。
抜去弾性部材77は、ピストン部材76を開口55Aに移動させる弾性力を発生する。スリーブ73が阻止位置から許容位置に移動され、ボール71が第1部分89を含む解除位置に移動可能な状態に変化すると、抜去弾性部材77の弾性力により、先端工具BTの前方への移動が開始される。先端工具BTが前方に移動すると、ボール71は、先端工具BTとの接触により、径方向外側に移動する。
ピストン部材76及びピストン部材76に支持されている先端工具BTは、抜去弾性部材77が発生する弾性力により、更に前方に移動する。ボール71は装着部B1の表面に接触し、径方向外側に移動する。これにより、ボール71は、ロック位置から解除位置に移動する。ボール71の少なくとも一部は、スリーブ73の第1部分89に配置される。
ボール71が径方向外側に移動され、解除位置に配置されると、先端工具BTは、抜去弾性部材77の弾性力により、前方に移動する。先端工具BTは、装着部B1の外面をボール71の表面に接触させながら、前方に移動する。ピストン部材76は、フランジ部76Fの外面を挿入孔55の内面に接触させながら、前方に移動する。
このように、作業者によりスリーブ73が阻止位置から許容位置へ移動されると、ピストン部材76及びピストン部材76に支持されている先端工具BTは、抜去弾性部材77の弾性力により、自動的に前方に移動される。
以上説明したように、本実施形態によれば、阻止位置から許容位置に移動するようにスリーブ73が操作されるだけで、先端工具BTは、抜去弾性部材77の弾性力により、挿入孔55から出るように自動的に移動することができる。作業者は、先端工具BTを挿入孔55から操作性良く取り外すことができる。工具保持装置11Cは操作性良く使用できるので、電動工具1の操作性が良好になり、作業者の作業効率の低下が抑制される。
図26を参照して説明したように、先端工具BTがボール71によりロックされた状態において、抜去弾性部材77は、底面55Bとフランジ部76Fの後面との間において周壁部76Tを囲むように配置され、ピストン部材76の底板部76Bは、底面55Bに接触する。すなわち、先端工具BTがロックされた状態においては、ピストン部材76の底板部76Bが底面55Bに支持される。そのため、先端工具BTを用いて作業対象を加工したとき、先端工具BTを介してピストン部材76に伝達された負荷は、底面55Bに伝達される。これにより、先端工具BTを用いて作業対象を加工したとき、アンビル10に対して先端工具BTが動いてしまうことが抑制される。
なお、先端工具BTの後端部は、ピストン部材76の内部空間に配置されなくてもよい。先端工具BTの後端部は、例えばフランジ部76Fの前面に支持されてもよい。
[その他の実施形態]
上述の実施形態においては、電動工具1がインパクトドライバであることとした。電動工具1は、インパクトドライバに限定されない。電動工具1として、ドライバドリル、アングルドリル、ハンマ、及びハンマドリルが例示される。
上述の実施形態においては、電動工具1の電源としてバッテリ装着部5に装着されるバッテリパック25が使用されることとした。電動工具1の電源として、商用電源(交流電源)が使用されてもよい。
上述の実施形態においては、ねじ締め機がモータ6(電動モータ)を動力源とする電動工具であることとした。ねじ締め機の動力源は、圧縮空気により駆動する空気モータでもよいし、油圧モータでもよいし、エンジンにより駆動するモータでもよい。