JP2021051235A - 感光性樹脂組成物、硬化物、及び画像表示装置 - Google Patents

感光性樹脂組成物、硬化物、及び画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】撥インク性が高く、インクジェット塗布時の画素部への濡れ広がり性が良好な隔壁を形成可能な感光性樹脂組成物を提供する。【解決手段】(A)エチレン性不飽和化合物、(B)光重合開始剤、(C)アルカリ可溶性樹脂、及び(D)撥液剤を含有する感光性樹脂組成物であって、(D)撥液剤が、一般式(D−1−1)で表される繰り返し単位(i)、及び一般式(D−1−2)で表される部分構造(ii)を有する樹脂(D−1)を含む感光性樹脂組成物。(式中、Lは、炭素数1〜30の含フッ素有機基を1つ以上有する置換基を有していてもよい多環脂肪族炭化水素骨格を表し、*は結合手を表す。)(式中、gは0〜6の整数を表す。*は結合手を表す。)【選択図】なし

Description

本発明は、隔壁を形成するために用いられる感光性樹脂組成物に関し、さらに感光性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物や、該硬化物を備える画像表示装置に関する。
従来から、有機電界ディスプレイや有機電界照明などに含まれる有機電界発光素子は、基板上に、隔壁(バンク)を形成した後に、隔壁に囲まれた領域内に、種々の機能層を積層して製造されている。このような隔壁を容易に形成する方法として、感光性樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィー法により形成する方法が知られている。
また、隔壁に囲まれた領域内に種々の機能層を積層する方法としては、まず機能層を構成する材料を含むインクを調製し、次いで、調製したインクを隔壁に囲まれた領域内に注入する方法が知られている。この方法の中でも、所定量のインクを所定の箇所に正確に注入しやすいことから、インクジェット法が採用されることが多い。
さらに、インクを用いて機能層を形成する場合、隔壁へのインクの付着の予防や、隣接する領域間に注入されるインク同士が混合されることを防ぐ目的等で、隔壁に撥インク性(撥液性)を付与することが求められる場合がある。
また近年、隔壁には撥インク性以外にも種々の特性が要求されており、種々の感光性樹脂組成物が開発されている。
特許文献1には、特定のアルカリ可溶性樹脂と連鎖移動剤を併用することで、アウトガス発生量が少なく、テーパ角を大きくすることができると記載されている。また特許文献2には、特定の含フッ素重合性樹脂を用いることで、硬化塗膜表面に優れた防汚性及び耐擦傷性を付与することができると記載されている。
国際公開第2018/043746号 特開2012−092308号公報
近年、隔壁の開発が精力的になされており、例えば、溶剤溶解性の低い成分を含有するインクを用いて所定の膜厚の機能層を形成するためには、隔壁で囲まれた領域に希薄なインクを多量に注入する必要があり、自ずと厚膜の隔壁が求められる。そういった厚膜の隔壁においても、隣接する領域間におけるインク同士の混合等を防ぐために、十分な撥インク性を示すことが求められる。一方で、隔壁で囲まれた領域(画素部)の機能層は画像表示装置の画素となるわけだが、撥インク性を高くした場合においても、画素部は汚染されることなく、インクジェット法にて塗布した際に画素部内にインクが均一に濡れ広がることも求められている。
本発明者らが検討したところ、特許文献1や2には厚膜の隔壁についての記載はなく、それらに記載されている撥液剤や感光性樹脂組成物では、厚膜の隔壁を形成した場合には撥インク性が十分ではなく、またインクジェット塗布時の画素部の濡れ広がり性が不十分であった。
そこで本発明は、撥インク性が高く、インクジェット塗布時の画素部への濡れ広がり性が良好な隔壁を形成可能な感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、特定の撥液剤を用いることで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明の要旨は以下の通りである。
[1] (A)エチレン性不飽和化合物、(B)光重合開始剤、(C)アルカリ可溶性樹脂、及び(D)撥液剤を含有する感光性樹脂組成物であって、
前記(D)撥液剤が、下記一般式(D−1−1)で表される繰り返し単位(i)、及び下記一般式(D−1−2)で表される部分構造(ii)を有する樹脂(D−1)を含むことを特徴とする感光性樹脂組成物。
Figure 2021051235
(式中、Lは、置換基を有していてもよい多環脂肪族炭化水素骨格を表す。
ただし、Lは該置換基として、炭素数1〜30の含フッ素有機基を1つ以上有する。
*は結合手を表す。)
Figure 2021051235
(式中、R11は、水素原子又はメチル基を表す。
gは0〜6の整数を表す。
*は結合手を表す。)
[2] 前記樹脂(D−1)における繰り返し単位(i)が、下記一般式(D−1−4)で表される繰り返し単位(i−2)である、[1]に記載の感光性樹脂組成物。
Figure 2021051235
(式中、R1〜R4は各々独立に、水素原子又は任意の置換基を表す。
ただし、R1〜R4のうち少なくとも1つは、炭素数1〜30の含フッ素有機基である。
nは0〜2の整数を表す。
*は結合手を表す。)
[3] 前記樹脂(D−1)が、さらに下記一般式(D−1−5)で表される繰り返し単位(iii)を有する、[1]又は[2]に記載の感光性樹脂組成物。
Figure 2021051235
(式中、R5は、前記部分構造(ii)を表す。
*は結合手を表す。)
[4] 前記(D)撥液剤の含有割合が全固形分中に0.3質量%以上である、[1]〜[3]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[5] 前記(D)撥液剤の含有割合が全固形分中に5質量%以下である、[1]〜[4]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[6] さらに(E)着色剤を含有する、[1]〜[5]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[7] 隔壁形成用である[1]〜[6]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[8] [1]〜[7]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物。
[9] [8]に記載の硬化物を備える画像表示装置。
本発明により、撥インク性が高く、インクジェット塗布時の画素部の濡れ広がり性が良好な隔壁を形成可能な感光性樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、以下の記載は本発明の実施形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらに特定されない。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル及び/又はメタクリル」を意味するものとし、また、「全固形分」とは、感光性樹脂組成物における溶剤以外の全成分を意味するものとする。さらに、本発明において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本発明において、「(共)重合体」とは、単一重合体(ホモポリマー)と共重合体(コポリマー)の双方を含むことを意味し、また、「(酸)無水物」、「(無水)…酸」とは、酸とその無水物の双方を含むことを意味する。
本発明において、隔壁材とはバンク材、壁材、ウォール材をさし、同様に、隔壁とはバンク、壁、ウォールをさす。
本発明において、重量平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)をさす。
[1]感光性樹脂組成物
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)エチレン性不飽和化合物、(B)光重合開始剤、(C)アルカリ可溶性樹脂、及び(D)撥液剤を含有する。さらに必要に応じてさらにその他の成分を含んでいてもよく、例えば着色剤、連鎖移動剤、溶剤などを含んでいてもよい。
本発明において隔壁とは、例えば、アクティブ駆動型有機電界発光素子における機能層(有機層、発光部)を区画するためのものであり、区画された領域(画素領域)に機能層を構成するための材料であるインクを吐出、乾燥することで、機能層及び隔壁を含む画素等を形成させていくために使用されるものである。
[1−1]感光性樹脂組成物の成分および組成
本発明の感光性樹脂組成物を構成する成分およびその組成について説明する。
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)エチレン性不飽和化合物、(B)光重合開始剤、(C)アルカリ可溶性樹脂、及び(D)撥液剤を含有し、さらに通常は溶剤も含有する。
[1−1−1](A)成分;エチレン性不飽和化合物
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)エチレン性不飽和化合物を含有する。(A)エチレン性不飽和化合物を含むことで、高感度となると考えられる。
ここで使用されるエチレン性不飽和化合物としては、エチレン性不飽和結合を分子内に1個以上有する化合物を意味するが、重合性、架橋性、およびそれに伴う露光部と非露光部の現像液に対する溶解性の差異を拡大できる等の点から、エチレン性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物であることが好ましく、また、その不飽和結合は(メタ)アクリロイルオキシ基に由来するもの、つまり、(メタ)アクリレート化合物であることがさらに好ましい。
本発明においては、特に、1分子中にエチレン性不飽和結合を2個以上有する多官能エチレン性単量体を使用することが望ましい。多官能エチレン性単量体が有するエチレン性不飽和基の数は特に限定されないが、好ましくは2個以上、より好ましくは3個以上、さらに好ましくは5個以上であり、また、好ましくは15個以下、より好ましくは10個以下、さらに好ましくは8個以下、特に好ましくは7個以下である。前記下限値以上とすることで重合性が向上して高感度となる傾向があり、前記上限値以下とすることで現像性がより良好となる傾向がある。
エチレン性不飽和化合物の具体例としては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;脂肪族ポリヒドロキシ化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物等の多価ヒドロキシ化合物と、不飽和カルボン酸及び多塩基性カルボン酸とのエステル化反応により得られるエステルなどが挙げられる。
前記脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、グリセロールアクリレート等の脂肪族ポリヒドロキシ化合物のアクリル酸エステル、これら例示化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたメタクリル酸エステル、同様にイタコネートに代えたイタコン酸エステル、クロネートに代えたクロトン酸エステルもしくはマレエートに代えたマレイン酸エステル等が挙げられる。
芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、ハイドロキノンジアクリレート、ハイドロキノンジメタクリレート、レゾルシンジアクリレート、レゾルシンジメタクリレート、ピロガロールトリアクリレート等の芳香族ポリヒドロキシ化合物のアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル等が挙げられる。
脂肪族ポリヒドロキシ化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物等の多価ヒドロキシ化合物と、不飽和カルボン酸及び多塩基性カルボン酸とのエステル化反応により得られるエステルとしては必ずしも単一物ではないが、代表的な具体例を挙げれば、アクリル酸、フタル酸、及びエチレングリコールの縮合物;アクリル酸、マレイン酸、及びジエチレングリコールの縮合物;メタクリル酸、テレフタル酸及びペンタエリスリトールの縮合物;アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオール及びグリセリンの縮合物等が挙げられる。
その他、本発明に用いられる多官能エチレン性単量体の例としては、ポリイソシアネート化合物と水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル又はポリイソシアネート化合物とポリオール及び水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルを反応させて得られるようなウレタン(メタ)アクリレート類;多価エポキシ化合物と水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル又は(メタ)アクリル酸との付加反応物のようなエポキシアクリレート類;エチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド類;フタル酸ジアリル等のアリルエステル類;ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物等が有用である。
上記ウレタン(メタ)アクリレート類としては、例えば、DPHA−40H、UX−5000、UX−5002D−P20、UX−5003D、UX−5005(日本化薬社製)、U−2PPA、U−6LPA、U−10PA、U−33H、UA−53H、UA−32P、UA−1100H(新中村化学工業社製)、UA−306H、UA−510H、UF−8001G(共栄社化学社製)、UV−1700B、UV−7600B、UV−7605B、UV−7630B、UV7640B(日本合成化学工業社製)等が挙げられる。
これらの中でも、適正なテーパ角と感度の観点から(A)エチレン性不飽和化合物として、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル類又はウレタン(メタ)アクリレート類を用いることが好ましく、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートの二塩基酸無水物付加物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートの二塩基酸無水物付加物等を用いることがより好ましい。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明において、(A)エチレン性不飽和化合物の分子量は特に限定されないが、感度、撥インク性、テーパ角の観点から、好ましくは100以上、より好ましくは150以上で、さらに好ましくは200以上、よりさらに好ましくは300以上、特に好ましくは400以上、最も好ましくは500以上であり、好ましくは1000以下、より好ましくは700以下である。
また、(A)エチレン性不飽和化合物の炭素数は特に限定されないが、感度、撥インク性、テーパ角の観点から、好ましくは7以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは15以上、よりさらに好ましくは20以上、特に好ましくは25以上であり、好ましくは50以下、より好ましくは40以下、さらに好ましくは35以下、特に好ましくは30以下である。
本発明の感光性樹脂組成物における(A)エチレン性不飽和化合物の含有割合は、特に限定されないが、全固形分中に通常1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上、特に好ましくは20質量%以上であり、また、通常80質量%以下、好ましくは60質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。前記下限値以上とすることで露光時の感度やテーパ角が良好となる傾向があり、前記上限値以下とすることで現像性が良好となる傾向がある。
また、(C)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対する(A)エチレン性不飽和化合物の含有割合は特に限定されないが、通常1質量部以上、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは20質量部以上、特に好ましくは30質量部以上であり、通常150質量部以下、好ましくは100質量部以下、より好ましくは70質量部以下、さらに好ましくは60質量部以下、特に好ましくは50質量部以下であることが好ましい。前記下限値以上とすることで露光時に感度が良好となり、テーパ角が良好となる傾向があり、前記上限値以下とすることで現像性が良好となる傾向がある。
[1−1−2](B)成分;光重合開始剤
本発明の感光性樹脂組成物は、(B)光重合開始剤を含有する。光重合開始剤は、活性光線により、前記(A)エチレン性不飽和化合物が有するエチレン性不飽和結合を重合させる化合物であれば特に限定されるものではなく、公知の光重合開始剤を用いることができる。
本発明の感光性樹脂組成物は、(B)光重合開始剤として、この分野で通常用いられている光重合開始剤を使用することができる。このような光重合開始剤としては、例えば、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号公報に記載のチタノセン化合物を含むメタロセン化合物;特開2000−56118号公報に記載のヘキサアリールビイミダゾール誘導体類;特開平10−39503号公報記載のハロメチル化オキサジアゾール誘導体類、ハロメチル−s−トリアジン誘導体類、N−フェニルグリシン等のN−アリール−α−アミノ酸類、N−アリール−α−アミノ酸塩類、N−アリール−α−アミノ酸エステル類等のラジカル活性剤、α−アミノアルキルフェノン誘導体類;特開2000−80068号公報、特開2006−36750号公報等に記載されているオキシムエステル系化合物等が挙げられる。
具体的には、例えば、メタロセン化合物としては、ジシクロペンタジエニルチタニウムジクロリド、ジシクロペンタジエニルチタニウムビスフェニル、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,4,6−トリフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムジ(2,6−ジフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムジ(2,4−ジフルオロフェニル)、ジ(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)、ジ(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムビス(2,6−ジフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニルチタニウム〔2,6−ジ−フルオロ−3−(ピロ−1−イル)−フェニル〕等が挙げられる。
また、ビイミダゾール誘導体類としては、2−(2’−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(2’−クロロフェニル)−4,5−ビス(3’−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(2’−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(2’−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、(4’−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体等が挙げられる。
また、ハロメチル化オキサジアゾール誘導体類としては、2−トリクロロメチル−5−(2’−ベンゾフリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−〔β−(2’−ベンゾフリル)ビニル〕−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−〔β−(2’−(6’’−ベンゾフリル)ビニル)〕−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−フリル−1,3,4−オキサジアゾール等が挙げられる。
また、ハロメチル−s−トリアジン誘導体類としては、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシカルボニルナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
また、α−アミノアルキルフェノン誘導体類としては、2−メチル−1〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、4−ジメチルアミノエチルベンゾエ−ト、4−ジメチルアミノイソアミルベンゾエ−ト、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−エチルヘキシル−1,4−ジメチルアミノベンゾエート、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等が挙げられる。
光重合開始剤としては、特に、感度や製版性の点でオキシムエステル系化合物が有効であり、フェノール性水酸基を含むアルカリ可溶性樹脂を用いる場合などは、感度の点で不利になるため、特にこのような感度に優れたオキシムエステル系化合物が有用である。オキシムエステル系化合物は、その構造の中に紫外線を吸収する構造と光エネルギーを伝達する構造とラジカルを発生する構造を併せ持っているために、少量で感度が高く、かつ、熱反応に対して安定であり、少量で高感度な感光性樹脂組成物を得ることが可能である。
オキシムエステル系化合物としては、例えば、下記一般式(IV)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2021051235
上記式(IV)中、R21aは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は、置換基を有していてもよい芳香族環基を示す。
21bは芳香族環を含む任意の置換基を示す。
22aは、置換基を有していてもよいアルカノイル基、又は、置換基を有していてもよいアリーロイル基を示す。
nは0または1の整数を示す。
21aにおけるアルキル基の炭素数は特に限定されないが、溶媒への溶解性や感度の観点から、通常1以上、好ましくは2以上、また、通常20以下、好ましくは15以下、より好ましくは10以下である。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロペンチルエチル基、プロピル基等が挙げられる。
アルキル基が有していてもよい置換基としては、芳香族環基、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アミノ基、アミド基、4−(2−メトキシ−1−メチル)エトキシ−2−メチルフェニル基又はN−アセチル−N−アセトキシアミノ基などが挙げられ、合成容易性の観点からは、無置換であることが好ましい。
21aにおける芳香族環基としては、芳香族炭化水素環基及び芳香族複素環基が挙げられる。芳香族環基の炭素数は特に限定されないが、感光性樹脂組成物への溶解性の観点から5以上であることが好ましい。また、現像性の観点から30以下であることが好ましく、20以下であることがより好ましく、12以下であることがさらに好ましい。
芳香族環基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基、フリル基などが挙げられ、これらの中でも現像性の観点から、フェニル基又はナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
芳香族環基が有していてもよい置換基としては、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アミノ基、アミド基、アルキル基、アルコキシ基、これらの置換基が連結した基などが挙げられ、現像性の観点からアルキル基、アルコキシ基、これらを連結した基が好ましく、連結したアルコキシ基がより好ましい。
これらの中でも、感度の観点から、R21aが置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基であることが好ましい。
また、R21bとしては、好ましくは置換されていてもよいカルバゾリル基、置換されていてもよいチオキサントニル基又は置換されていてもよいジフェニルスルフィド基が挙げられる。これらの中でも、感度の観点から、置換されていてもよいカルバゾリル基が好ましい。
また、R22aにおけるアルカノイル基の炭素数は特に限定されないが、溶媒への溶解性や感度の観点から、通常2以上、好ましくは3以上、また、通常20以下、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは5以下である。アルカノイル基の具体例としては、アセチル基、エチロイル基、プロパノイル基、ブタノイル基等が挙げられる。
アルカノイル基が有していてもよい置換基としては、芳香族環基、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アミノ基、アミド基などが挙げられ、合成容易性の観点からは、無置換であることが好ましい。
また、R22aにおけるアリーロイル基の炭素数は特に限定されないが、溶媒への溶解性や感度の観点から、通常7以上、好ましくは8以上、また、通常20以下、好ましくは15以下、より好ましくは10以下である。アリーロイル基の具体例としては、ベンゾイル基、ナフトイル基等が挙げられる。
アリーロイル基が有していてもよい置換基としては、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アミノ基、アミド基、アルキル基などが挙げられ、合成容易性の観点からは、無置換であることが好ましい。
これらの中でも、感度の観点から、R22aが置換基を有していてもよいアルカノイル基であることが好ましく、無置換のアルカノイル基であることがより好ましく、アセチル基であることがさらに好ましい。
光重合開始剤は、1種類を単独で用いても、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
光重合開始剤には、必要に応じて、感応感度を高める目的で、画像露光光源の波長に応じた増感色素、重合促進剤を配合させることができる。増感色素としては、特開平4−221958号公報、特開平4−219756号公報に記載のキサンテン色素、特開平3−239703号公報、特開平5−289335号公報に記載の複素環を有するクマリン色素、特開平3−239703号公報、特開平5−289335号公報に記載の3−ケトクマリン化合物、特開平6−19240号公報に記載のピロメテン色素、その他、特開昭47−2528号公報、特開昭54−155292号公報、特公昭45−37377号公報、特開昭48−84183号公報、特開昭52−112681号公報、特開昭58−15503号公報、特開昭60−88005号公報、特開昭59−56403号公報、特開平2−69号公報、特開昭57−168088号公報、特開平5−107761号公報、特開平5−210240号公報、特開平4−288818号公報に記載のジアルキルアミノベンゼン骨格を有する色素等を挙げることができる。
これらの増感色素のうち好ましいものは、アミノ基含有増感色素であり、更に好ましいものは、アミノ基及びフェニル基を同一分子内に有する化合物である。特に、好ましいのは、例えば、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−アミノベンゾフェノン、4−アミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4−ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾ[4,5]ベンゾオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾ[6,7]ベンゾオキサゾール、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンズイミダゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンズイミダゾール、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−チアジアゾール、(p−ジメチルアミノフェニル)ピリジン、(p−ジエチルアミノフェニル)ピリジン、(p−ジメチルアミノフェニル)キノリン、(p−ジエチルアミノフェニル)キノリン、(p−ジメチルアミノフェニル)ピリミジン、(p−ジエチルアミノフェニル)ピリミジン等のp−ジアルキルアミノフェニル基含有化合物等である。このうち最も好ましいものは、4,4’−ジアルキルアミノベンゾフェノンである。
増感色素もまた1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合促進剤としては、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル等の芳香族アミン、n−ブチルアミン、N−メチルジエタノールアミン等の脂肪族アミン等が用いられる。重合促進剤は、1種類を単独で用いても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の感光性樹脂組成物における(B)光重合開始剤の含有割合は特に限定されないが、感光性樹脂組成物の全固形分中に、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上、特に好ましくは3質量%以上であり、通常25質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、よりさらに好ましくは7質量%以下、特に好ましくは5質量%以下である。前記下限値以上とすることで現像時に膜減りを生じずに塗膜が形成され、また十分な撥インク性が生じる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで所望のパターン形状が形成しやすくなる傾向がある。
また、感光性樹脂組成物中の(A)エチレン性不飽和化合物に対する(B)光重合開始剤の配合比としては、(A)エチレン性不飽和化合物100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましく、10質量部以上がさらに好ましく、15質量部以上がよりさらに好ましく、20質量部以上が特に好ましく、また、200質量部以下が好ましく、100質量部以下がより好ましく、50質量部以下がさらに好ましく、30質量部以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで適切な感度となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで所望のパターン形状が形成しやすくなる傾向がある。
また上記光重合開始剤と併用して、連鎖移動剤を用いることが好ましい。連鎖移動剤としてはメルカプト基含有化合物や、四塩化炭素等が挙げられ、連鎖移動効果が高い傾向があることからメルカプト基を有する化合物を用いることがより好ましい。S−H結合エネルギーが小さいことによって結合開裂が起こりやすく、水素引きぬき反応や連鎖移動反応を起こしやすいためであると考えられる。感度向上や表面硬化性に有効である。
メルカプト基含有化合物としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン等の芳香族環を有するメルカプト基含有化合物;へキサンジチオール、デカンジチオール、ブタンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリスヒドロキシエチルトリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(3−メルカプトプロピオネート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールトリス(3−メルカプトブチレート)、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン等の脂肪族系のメルカプト基含有化合物、特に、メルカプト基を複数有する化合物等が挙げられる。
このうち好ましくは、芳香族環を有するメルカプト基含有化合物の中では2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾールが好ましく、脂肪族系のメルカプト基含有化合物の中では、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールトリス(3−メルカプトブチレート)、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンが好ましい。
また感度の面からは、脂肪族系のメルカプト基含有化合物が好ましく、具体的には、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールトリス(3−メルカプトブチレート)、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンが好ましく、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)がより好ましい。
これらは種々のものが1種を単独で、或いは2種以上を混合して使用できる。
これらの中でも、テーパ角を高める観点から、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、及び2−メルカプトベンゾオキサゾールよりなる群から選択された1又は2以上と、光重合開始剤とを組み合わせて、光重合開始剤系として使用することが好適である。例えば、2−メルカプトベンゾチアゾールを用いてもよく、2−メルカプトベンゾイミダゾールを用いてもよく、2−メルカプトベンゾチアゾールと2−メルカプトベンゾイミダゾールとを併用して用いてもよい。
また、感度の観点から、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)よりなる群から選択された1又は2以上を用いることが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物における連鎖移動剤の含有割合は特に限定されないが、感光性樹脂組成物の全固形分中に、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは0.8質量%以上であり、通常5質量%以下、好ましくは4質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。前記下限値以上とすることで感度が高くなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで所望のパターンを形成しやすくなる傾向がある。
また、感光性樹脂組成物中の(B)光重合開始剤に対する連鎖移動剤の含有割合としては、(B)光重合開始剤100質量部に対して、5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、15質量部以上がさらに好ましく、20質量部以上が特に好ましく、また、500質量部以下が好ましく、300質量部以下がより好ましく、100質量部以下がさらに好ましく、50質量部以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで高感度となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで所望のパターンを形成しやすくなる傾向がある。
[1−1−3](C)成分;アルカリ可溶性樹脂
本発明の感光性樹脂組成物は、(C)アルカリ可溶性樹脂を含有する。本発明において、アルカリ可溶性樹脂としては現像液で現像可能なものであれば特に限定されないが、現像液としてはアルカリ現像液が好ましいため、カルボキシル基または水酸基含有の樹脂を用いることが好ましく、現像性に優れるとの観点からはカルボキシル基含有樹脂が好ましい。
また、また適度なテーパ角の隔壁が得られ、現像や隔壁の熱溶融による撥液剤の流出が抑えられて撥インク性を保持でき、また、インクジェット塗布時に画素部のハジキを抑制できることなどの理由より、エチレン性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂が好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物において(C)アルカリ可溶性樹脂は、撥インク性の観点から、(c1)側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル共重合樹脂(以下、「(c1)アクリル共重合樹脂」と称する場合がある。)を含むことが好ましい。また一方で、パターンの直線性の観点からは、(c2)エポキシ(メタ)アクリレート樹脂を含むことが好ましい。
さらには、撥インク性と直線性の両立の観点からは、(C)アルカリ可溶性樹脂として、(c1)アクリル共重合樹脂と、(c2)エポキシ(メタ)アクリレート樹脂の両者を含むことが好ましい。
以下に、(c1)側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル共重合樹脂について詳述する。
[(c1)側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル共重合樹脂]
(c1)アクリル共重合樹脂は、側鎖にエチレン性不飽和基を有する。エチレン性不飽和基を有するものとすることで、露光による光硬化が起こってより強固な膜となり、現像時にも撥液剤が流出しにくくなると考えられる。
(一般式(I)で表される部分構造)
(c1)アクリル共重合樹脂が有する、エチレン性不飽和基を有する側鎖を含む部分構造は特に限定されないが、膜の柔軟性に伴うラジカルの発散しやすさの観点から、例えば、下記一般式(I)で表される部分構造を有することが好ましい。
Figure 2021051235
式(I)中、R1及びR2は各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。*は結合手を表す。
また、前記式(I)で表される部分構造の中でも、感度やアルカリ現像性の観点から、下記一般式(I’)で表される部分構造が好ましい。
Figure 2021051235
式(I’)中、R1及びR2は各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。RXは水素原子又は多塩基酸残基を表す。
多塩基酸残基とは、多塩基酸又はその無水物からOH基を1つ除した1価の基を意味する。多塩基酸としては、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、クロレンド酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸から選ばれた1種又は2種以上が挙げられる。
これらの中でもパターニング特性の観点から、好ましくは、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸であり、より好ましくは、テトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸である。
(c1)側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル共重合樹脂に含まれる、前記一般式(I)で表される部分構造の含有割合は特に限定されないが10モル%以上が好ましく、20モル%以上がより好ましく、30モル%以上がさらに好ましく、40モル%以上がよりさらに好ましく、50モル%以上が特に好ましく、65モル%以上が最も好ましく、また、95モル%以下が好ましく、80モル%以下がより好ましく、85モル%以下がさらに好ましく、80モル%以下がよりさらに好ましく、75モル%以下が特に好ましく、70モル%以下が最も好ましい。前記下限値以上とすることで撥インク性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで残渣が低減する傾向がある。
(c1)側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル共重合樹脂に含まれる、前記一般式(I’)で表される部分構造の含有割合は特に限定されないが、10モル%以上が好ましく、20モル%以上がより好ましく、30モル%以上がさらに好ましく、40モル%以上がよりさらに好ましく、50モル%以上が特に好ましく、65モル%以上が最も好ましく、また、95モル%以下が好ましく、90モル%以下がより好ましく、85モル%以下がさらに好ましく、80モル%以下がよりさらに好ましく、75モル%以下が特に好ましく、70モル%以下が最も好ましい。前記下限値以上とすることでアルカリ現像しやすい傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像密着性が確保できる傾向がある。
(一般式(II)で表される部分構造)
(c1)側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル共重合樹脂が前記一般式(I)で表される部分構造を含む場合、他に含まれる部分構造は特に限定されないが、現像密着性の観点から、例えば、下記一般式(II)で表される部分構造を有することも好ましい。
Figure 2021051235
上記式(II)中、R3は水素原子又はメチル基を表し、R4は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族環基、又は置換基を有していてもよいアルケニル基を表す。
(R4
前記式(II)において、R4は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族環基、又は置換基を有していてもよいアルケニル基を表す。
4におけるアルキル基としては直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基が挙げられる。その炭素数は、1以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましく、5以上であることがさらに好ましく、8以上であることが特に好ましく、また、20以下であることが好ましく、18以下であることがより好ましく、16以下であることがさらに好ましく、14以下であることがよりさらに好ましく、12以下であることが特に好ましい。前記下限値以上とすることで膜強度が高くなり、現像密着性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで残渣が低減する傾向がある。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基、ジシクロペンタニル基、ドデカニル基等が挙げられる。これらの中でも現像性の観点から、ジシクロペンタニル基又はドデカニル基が好ましく、ジシクロペンタニル基がより好ましい。
また、アルキル基が有していてもよい置換基としては、メトキシ基、エトキシ基、クロロ基、ブロモ基、フルオロ基、ヒドロキシ基、アミノ基、エポキシ基、オリゴエチレングリコール基、フェニル基、カルボキシル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられ、現像性の観点から、ヒドロキシ基、オリゴエチレングリコール基が好ましい。
4における芳香族環基としては、1価の芳香族炭化水素環基及び1価の芳香族複素環基が挙げられる。その炭素数は6以上であることが好ましく、また、24以下であることが好ましく、22以下であることがより好ましく、20以下であることがさらに好ましく、18以下であることが特に好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで残渣が低減する傾向がある。
芳香族炭化水素環基における芳香族炭化水素環としては、単環であっても縮合環であってもよく、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの基が挙げられる。
また、芳香族複素環基における芳香族複素環基としては、単環であっても縮合環であってもよく、例えば、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの基が挙げられる。これらの中でも現像性の観点から、ベンゼン環基、又はナフタレン環基が好ましく、ベンゼン環基がより好ましい。
また、芳香族環基が有していてもよい置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、メトキシ基、エトキシ基、クロロ基、ブロモ基、フルオロ基、ヒドロキシ基、アミノ基、エポキシ基、オリゴエチレングリコール基、フェニル基、カルボキシル基などが挙げられ、現像性の観点から、ヒドロキシ基、オリゴエチレングリコール基が好ましい。
4におけるアルケニル基としては、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルケニル基が挙げられる。その炭素数は、2以上であることが好ましく、また、22以下であることが好ましく、20以下であることがより好ましく、18以下であることがさらに好ましく、16以下であることがよりさらに好ましく、14以下であることが特に好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで残渣が低減する傾向がある。
アルケニル基の具体例としては、ビニル基、アリル基、2−プロペン−2−イル基、2−ブテン−1−イル基、3−ブテン−1−イル基、2−ペンテン−1−イル基、3−ペンテン−2−イル基、ヘキセニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル等が挙げられる。これらの中でも現像性の観点から、ビニル基又はアリル基が好ましく、ビニル基がより好ましい。
また、アルケニル基が有していてもよい置換基としては、メトキシ基、エトキシ基、クロロ基、ブロモ基、フルオロ基、ヒドロキシ基、アミノ基、エポキシ基、オリゴエチレングリコール基、フェニル基、カルボキシル基などが挙げられ、現像性の観点から、ヒドロキシ基、オリゴエチレングリコール基が好ましい。
このように、R4は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族環基、又は置換基を有していてもよいアルケニル基を表すが、これらの中でも現像性と膜強度の観点から、アルキル基又はアルケニル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
(c1)側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル共重合樹脂における前記一般式(II)で表される部分構造の含有割合は特に限定されないが、1モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましく、10モル%以上がさらに好ましく、20モル%以上が特に好ましく、また、70モル%以下が好ましく、60モル%以下がより好ましく、50モル%以下がさらに好ましく、40モル%以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで残渣が低減する傾向がある。
(一般式(III)で表される部分構造)
(c1)アクリル共重合樹脂が前記一般式(I)で表される部分構造を含む場合、他に含まれる部分構造として、耐熱性、膜強度の観点から下記一般式(III)で表される部分構造が含まれることが好ましい。
Figure 2021051235
上記式(III)中、R5は水素原子又はメチル基を表し、R6は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルコキシ基、チオール基、又は置換基を有していてもよいアルキルスルフィド基を表す。tは0〜5の整数を表す。
(R6
前記式(III)においてR6は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルコキシ基、チオール基、又は置換基を有していてもよいアルキルスルフィド基を表す。
6におけるアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基が挙げられる。その炭素数は、1以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましく、5以上であることがさらに好ましく、また、20以下であることが好ましく、18以下であることがより好ましく、16以下であることがさらに好ましく、14以下であることがよりさらに好ましく、12以下であることが特に好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで残渣が低減する傾向がある。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基、ジシクロペンタニル基、ドデカニル基等が挙げられる。これらの中でも現像性と膜強度の観点から、ジシクロペンタニル基又はドデカニル基が好ましく、ジシクロペンタニル基がより好ましい。
また、アルキル基が有していてもよい置換基としては、メトキシ基、エトキシ基、クロロ基、ブロモ基、フルオロ基、ヒドロキシ基、アミノ基、エポキシ基、オリゴエチレングリコール基、フェニル基、カルボキシル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられ、現像性の観点から、ヒドロキシ基、オリゴエチレングリコール基が好ましい。
6におけるアルケニル基としては、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルケニル基が挙げられる。その炭素数は、2以上であることが好ましく、また、22以下であることが好ましく、20以下であることがより好ましく、18以下であることがさらに好ましく、16以下であることがよりさらに好ましく、14以下であることが特に好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで残渣が低減する傾向がある。
アルケニル基の具体例としては、ビニル基、アリル基、2−プロペン−2−イル基、2−ブテン−1−イル基、3−ブテン−1−イル基、2−ペンテン−1−イル基、3−ペンテン−2−イル基、ヘキセニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル等が挙げられる。これらの中でも現像性の観点から、ビニル基又はアリル基が好ましく、ビニル基がより好ましい。
また、アルケニル基が有していてもよい置換基としては、メトキシ基、エトキシ基、クロロ基、ブロモ基、フルオロ基、ヒドロキシ基、アミノ基、エポキシ基、オリゴエチレングリコール基、フェニル基、カルボキシル基などが挙げられ、現像性の観点から、ヒドロキシ基、オリゴエチレングリコール基が好ましい。
6におけるアルキニル基としては、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキニル基が挙げられる。その炭素数は、2以上であることが好ましく、また、22以下であることが好ましく、20以下であることがより好ましく、18以下であることがさらに好ましく、16以下であることがよりさらに好ましく、14以下であることが特に好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで残渣が低減する傾向がある。
アルキニル基の具体例としては、1−プロピン−3−イル基、1−ブチン−4−イル基、1−ペンチン−5−イル基、2−メチル−3−ブチン−2−イル基、1,4−ペンタジイン−3−イル基、1,3−ペンタジイン−5−イル基、1−ヘキシン−6−イル基、等が挙げられる。
また、アルキニル基が有していてもよい置換基としては、メトキシ基、エトキシ基、クロロ基、ブロモ基、フルオロ基、ヒドロキシ基、アミノ基、エポキシ基、オリゴエチレングリコール基、フェニル基、カルボキシル基などが挙げられ、現像性の観点から、ヒドロキシ基、オリゴエチレングリコール基が好ましい。
6におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、これらの中でも撥インク性の観点からはフッ素原子が好ましい。
6におけるアルコキシ基としては、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルコキシ基が挙げられる。その炭素数は、1以上であることが好ましく、また、20以下であることが好ましく、18以下であることがより好ましく、16以下であることがさらに好ましく、14以下であることがよりさらに好ましく、12以下であることが特に好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで残渣が低減する傾向がある。
アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、等が挙げられる。
また、アルコキシ基が有していてもよい置換基としては、メトキシ基、エトキシ基、クロロ基、ブロモ基、フルオロ基、ヒドロキシ基、アミノ基、エポキシ基、オリゴエチレングリコール基、フェニル基、カルボキシル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられ、現像性の観点から、ヒドロキシ基、オリゴエチレングリコール基が好ましい。
6におけるアルキルスルフィド基としては、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキルスルフィド基が挙げられる。その炭素数は、1以上であることが好ましく、また、20以下であることが好ましく、18以下であることがより好ましく、16以下であることがさらに好ましく、14以下であることがよりさらに好ましく、12以下であることが特に好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで残渣が低減する傾向がある。
アルキルスルフィド基の具体例としては、メチルスルフィド基、エチルスルフィド基、プロピルスルフィド基、ブチルスルフィド基等が挙げられる。これらの中でも現像性の観点から、メチルスルフィド基又はエチルスルフィド基が好ましい。
また、アルキルスルフィド基におけるアルキル基が有していてもよい置換基としては、メトキシ基、エトキシ基、クロロ基、ブロモ基、フルオロ基、ヒドロキシ基、アミノ基、エポキシ基、オリゴエチレングリコール基、フェニル基、カルボキシル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられ、現像性の観点から、ヒドロキシ基、オリゴエチレングリコール基が好ましい。
このように、R6は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、チオール基、又は置換基を有していてもよいアルキルスルフィド基を表すが、これらの中でも現像性の観点から、ヒドロキシル基又はカルボキシル基が好ましく、カルボキシル基がより好ましい。
前記式(III)においてtは0〜5の整数を表すが、製造容易性の観点からはtが0であることが好ましい。
(c1)側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル共重合樹脂における前記一般式(III)で表される部分構造の含有割合は特に限定されないが、1モル%以上が好ましく、2モル%以上がより好ましく、5モル%以上がさらに好ましく、8モル%以上が特に好ましく、また、50モル%以下が好ましく、40モル%以下がより好ましく、30モル%以下がさらに好ましく、20モル%以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで残渣が低減する傾向がある。
(一般式(IV)で表される部分構造)
(c1)側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル共重合樹脂が前記一般式(I)で表される部分構造を有する場合、他に含まれる部分構造として、現像性の観点から下記一般式(IV)で表される部分構造を有することも好ましい。
Figure 2021051235
上記式(IV)中、R7は水素原子又はメチル基を表す。
(c1)側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル共重合樹脂における前記一般式(IV)で表される部分構造を含有する場合の含有割合は特に限定されないが、5モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましく、20モル%以上がさらに好ましく、また、80モル%以下が好ましく70モル%以下がより好ましく、60%モル以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで現像性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像密着性が向上する傾向がある。
一方で、(c1)アクリル共重合樹脂の酸価は特に限定されないが、10mgKOH/g以上が好ましく、30mgKOH/g以上がより好ましく、40mgKOH/g以上がさらに好ましく、50mgKOH/g以上がよりさらに好ましく、60mgKOH/g以上が特に好ましく、また、150mgKOH/g以下が好ましく、140mgKOH/g以下がより好ましく、130mgKOH/g以下がさらに好ましく、120mgKOH/g以下がよりさらに好ましい。前記下限値以上とすることで現像性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像密着性が向上する傾向がある。
(c1)アクリル共重合樹脂の重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、通常1000以上、好ましくは2000以上、より好ましくは4000以上、さらに好ましくは6000以上、よりさらに好ましくは7000以上、特に好ましくは8000以上であり、また、通常30000以下、好ましくは20000以下、より好ましくは15000以下、さらに好ましくは10000以下である。前記下限値以上とすることで現像密着性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで残渣は低減する傾向がある。
(C)アルカリ可溶性樹脂に含まれる(c1)アクリル共重合樹脂の含有割合は特に限定されないが、10質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、70質量%以上が特に好ましく、また、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで撥インク性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで残渣が低減する傾向がある。
また、(c1)アクリル共重合樹脂の含有割合は、(c1)アクリル共重合樹脂と(c2)エポキシ(メタ)アクリレート樹脂との合計質量に対して、10質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、70質量%以上が特に好ましく、また95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで撥インク性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで残渣が低減する傾向がある。
次に、(c2)エポキシ(メタ)アクリレート樹脂について詳述する。
[(c2)エポキシ(メタ)アクリレート樹脂]
(c2)エポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、エポキシ樹脂にエチレン性不飽和モノカルボン酸又はエステル化合物を付加し、任意でイソシアネート基含有化合物を反応させた後、更に多塩基酸又はその無水物を反応させた樹脂である。例えば、エポキシ樹脂のエポキシ基に、不飽和モノカルボン酸のカルボキシル基が開環付加されることにより、エポキシ化合物にエステル結合(−COO−)を介してエチレン性不飽和結合が付加されると共に、その際生じた水酸基に、多塩基酸無水物の一方のカルボキシ基が付加されたものが挙げられる。また多塩基酸無水物を付加するときに、多価アルコールを同時に添加して付加されたものも挙げられる。
また上記反応で得られた樹脂のカルボキシル基に、更に反応し得る官能基を有する化合物を反応させて得られる樹脂も、上記(c2)エポキシ(メタ)アクリレート樹脂に含まれる。
このように、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂は化学構造上、実質的にエポキシ基を有さず、かつ「(メタ)アクリレート」に限定されるものではないが、エポキシ化合物(エポキシ樹脂)が原料であり、かつ、「(メタ)アクリレート」が代表例であるので慣用に従いこのように命名されている。
ここで、エポキシ樹脂とは、熱硬化により樹脂を形成する以前の原料化合物をも含めて言うこととし、そのエポキシ樹脂としては、公知のエポキシ樹脂の中から適宜選択して用いることができる。また、エポキシ樹脂は、フェノール性化合物とエピハロヒドリンとを反応させて得られる化合物を用いることができる。フェノール性化合物としては、2価以上のフェノール性水酸基を有する化合物が好ましく、単量体でも重合体でもよい。
具体的には、例えば、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、ビスフェノールSエポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ビフェニルノボラックエポキシ樹脂、トリスフェノールエポキシ樹脂、フェノールとジシクロペンタジエンとの重合エポキシ樹脂、ジハイドロオキシルフルオレン型エポキシ樹脂、ジハイドロオキシルアルキレンオキシルフルオレン型エポキシ樹脂、9,9−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)フルオレンのジグリシジルエーテル化物、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)アダマンタンのジグリシジルエーテル化物、などが挙げられ、このように主鎖に芳香族環を有するものを好適に用いることができる。
中でも、高い硬化膜強度の観点から、ビスフェノールAエポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、フェノールとジシクロペンタジエンとの重合エポキシ樹脂、9,9−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)フルオレンのジグリシジルエーテル化物、などが好ましく、ビスフェノールAエポキシ樹脂が更に好ましい。
エポキシ樹脂の具体例としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(例えば、三菱ケミカル社製の「jER(登録商標、以下同じ。)828」、「jER1001」、「jER1002」、「jER1004」等)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のアルコール性水酸基とエピクロルヒドリンの反応により得られるエポキシ樹脂(例えば、日本化薬社製の「NER−1302」(エポキシ当量323,軟化点76℃))、ビスフェノールF型樹脂(例えば、三菱ケミカル社製の「jER807」、「EP−4001」、「EP−4002」、「EP−4004」等)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂のアルコール性水酸基とエピクロルヒドリンの反応により得られるエポキシ樹脂(例えば、日本化薬社製の「NER−7406」(エポキシ当量350,軟化点66℃))、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニルグリシジルエーテル(例えば、三菱ケミカル社製の「YX−4000」)、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(例えば、日本化薬社製の「EPPN−201」、三菱ケミカル社製の「EP−152」、「EP−154」、ダウケミカル社製の「DEN−438」)、(o,m,p−)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(例えば、日本化薬社製の「EOCN(登録商標、以下同じ。)−102S」、「EOCN−1020」、「EOCN−104S」)、トリグリシジルイソシアヌレート(例えば、日産化学社製の「TEPIC(登録商標)」)、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂(例えば、日本化薬社製の「EPPN(登録商標、以下同じ。)−501」、「EPPN−502」、「EPPN−503」)、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル社製の「セロキサイド(登録商標、以下同じ。)2021P」、「セロキサイドEHPE」)、ジシクロペンタジエンとフェノールの反応によるフェノール樹脂をグリシジル化したエポキシ樹脂(例えば、DIC社製の「EXA−7200」、日本化薬社製の「NC−7300」)、下記一般式(C1)〜(C4)で表されるエポキシ樹脂、等を好適に用いることができる。具体的には、下記一般式(C1)で表されるエポキシ樹脂として日本化薬社製の「XD−1000」、下記一般式(C2)で表されるエポキシ樹脂として日本化薬社製の「NC−3000」、下記一般式(C4)で表されるエポキシ樹脂として新日鉄住金化学社製の「ESF−300」等が挙げられる。
Figure 2021051235
上記一般式(C1)において、aは平均値であり、0〜10の数を表す。R111は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基、又はビフェニル基を表す。なお、1分子中に存在する複数のR111は、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
Figure 2021051235
上記一般式(C2)において、bは平均値であり、0〜10の数を表す。R121は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基、又はビフェニル基を表す。なお、1分子中に存在する複数のR121は、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
Figure 2021051235
上記一般式(C3)において、Xは下記一般式(C3−1)又は(C3−2)で表される連結基を表す。但し、分子構造中に1つ以上のアダマンタン構造を含む。cは2又は3を表す。
Figure 2021051235
上記一般式(C3−1)及び(C3−2)において、R131〜R134及びR135〜R137は、各々独立に、置換基を有していてもよいアダマンチル基、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を表す。*は結合手を表す。
Figure 2021051235
上記一般式(C4)において、p及びqは各々独立に0〜4の整数を表し、R141及びR142は各々独立に炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子を表す。R143及びR144は各々独立に炭素数1〜4のアルキレン基を表す。x及びyは各々独立に0以上の整数を表す。
これらの中で、一般式(C1)〜(C4)のいずれかで表されるエポキシ樹脂を用いることが好ましい。
エチレン性不飽和モノカルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等、および、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート無水琥珀酸付加物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートテトラヒドロ無水フタル酸付加物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート無水琥珀酸付加物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート無水フタル酸付加物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートテトラヒドロ無水フタル酸付加物、(メタ)アクリル酸とε−カプロラクトンとの反応生成物などが挙げられる。中でも、感度の観点から、(メタ)アクリル酸が好ましい。
多塩基酸(無水物)としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、3−メチルテトラヒドロフタル酸、4−メチルテトラヒドロフタル酸、3−エチルテトラヒドロフタル酸、4−エチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、3−メチルヘキサヒドロフタル酸、4−メチルヘキサヒドロフタル酸、3−エチルヘキサヒドロフタル酸、4−エチルヘキサヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、およびそれらの無水物などが挙げられる。中でも、アウトガスの観点から、コハク酸無水物、マレイン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、またはヘキサヒドロフタル酸無水物が好ましく、コハク酸無水物又はテトラヒドロフタル酸無水物がより好ましい。
多価アルコールを用いることで、(c2)エポキシ(メタ)アクリレート樹脂の分子量を増大させ、分子中に分岐を導入することが出来、分子量と粘度のバランスをとることができる傾向がある。また、分子中への酸基の導入率を増やすことができ、感度や密着性等のバランスがとれやすい傾向がある。
多価アルコールとしては、例えばトリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、1,2,3−プロパントリオールの中から選ばれる1種又は2種以上の多価アルコールであることが好ましい。
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、前述のもの以外に、韓国公開特許第10−2013−0022955号公報に記載のもの等が挙げられる。
(c2)エポキシ(メタ)アクリレート樹脂の酸価は特に限定されないが、10mgKOH/g以上が好ましく、30mgKOH/g以上がより好ましく、50mgKOH/g以上がさらに好ましく、70mgKOH/g以上がよりさらに好ましく、80mgKOH/g以上が特に好ましく、また、200mgKOH/g以下が好ましく、180mgKOH/g以下がより好ましく、150mgKOH/g以下がさらに好ましく、120mgKOH/g以下がよりさらに好ましく、110mgKOH/g以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで現像性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで膜強度が向上する傾向がある。
(c2)エポキシ(メタ)アクリレート樹脂の重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、通常1000以上、好ましくは2000以上、より好ましくは3000以上、さらに好ましくは4000以上、よりさらに好ましくは5000以上、特に好ましくは6000以上、最も好ましくは7000以上であり、また、通常30000以下、好ましくは20000以下、より好ましくは15000以下、さらに好ましくは10000以下である。前記下限値以上とすることで膜強度が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで残渣が低減する傾向がある。
(C)アルカリ可溶性樹脂に含まれる(c2)エポキシ(メタ)アクリレート樹脂の含有割合は特に限定されないが、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましく、18質量%以上が特に好ましく、また、90質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましく、30質量%以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで残渣が低減する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで撥インク性が向上する傾向がある。
また、(c2)エポキシ(メタ)アクリレート樹脂の含有割合は、(c1)アクリル共重合樹脂と(c2)エポキシ(メタ)アクリレート樹脂との合計質量に対して、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましく、20質量%以上が特に好ましく、また90質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましく、30質量%以下が特に好まし、25質量%以下がさらに特に好ましい。前記下限値以上とすることで残渣が低減する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで撥インク性が向上する傾向がある。
(c2)エポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、従来公知の方法により合成することができる。具体的には、前記エポキシ樹脂を有機溶剤に溶解させ、触媒と熱重合禁止剤の共存下、前記エチレン性不飽和結合を有する酸又はエステル化合物を加えて付加反応させ、更に多塩基酸又はその無水物を加えて反応を続ける方法を用いることができる。
ここで、反応に用いる有機溶剤としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの有機溶剤の1種または2種以上が挙げられる。また、上記触媒としては、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、トリベンジルアミン等の第3級アミン類、テトラメチルアンモニウムクロライド、メチルトリエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライドなどの第4級アンミニウム塩類、トリフェニルホスフィンなどの燐化合物、トリフェニルスチビンなどのスチビン類などの1種または2種以上が挙げられる。更に、熱重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、メチルハイドロキノンなどの1種または2種以上が挙げられる。
また、エチレン性不飽和結合を有する酸又はエステル化合物としては、エポキシ樹脂のエポキシ基の1化学当量に対して通常0.7〜1.3化学当量、好ましくは0.9〜1.1化学当量となる量とすることができる。また、付加反応時の温度としては、通常60〜150℃、好ましくは80〜120℃の温度とすることができる。更に、多塩基酸(無水物)の使用量としては、前記付加反応で生じた水酸基の1化学当量に対して、通常0.1〜1.2化学当量、好ましくは0.2〜1.1化学当量となる量とすることができる。
(c2)エポキシ(メタ)アクリレート樹脂の中でも、膜強度や直線性の観点から、下記一般式(i)で表される部分構造を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂、下記一般式(ii)で表される部分構造を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂、及び下記一般式(iii)で表される部分構造を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
Figure 2021051235
式(i)中、Raは水素原子又はメチル基を表し、Rbは置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表す。式(i)中のベンゼン環は、更に任意の置換基により置換されていてもよい。*は結合手を表す。
Figure 2021051235
式(ii)中、Rcは各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。Rdは、環状炭化水素基を側鎖として有する2価の炭化水素基を表す。*は結合手を表す。
Figure 2021051235
式(iii)中、Reは水素原子又はメチル基を表し、γは単結合、−CO−、置換基を有していてもよいアルキレン基、又は置換基を有していてもよい2価の環状炭化水素基を表す。式(iii)中のベンゼン環は、更に任意の置換基により置換されていてもよい。*は結合手を表す。
これらの中でもまず、下記一般式(i)で表される部分構造を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(以下、「エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(c2−1)」と称する場合がある。)について詳述する。
Figure 2021051235
式(i)中、Raは水素原子又はメチル基を表し、Rbは置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表す。式(i)中のベンゼン環は、更に任意の置換基により置換されていてもよい。*は結合手を表す。
(Rb
前記式(i)において、Rbは置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表す。
2価の炭化水素基としては、2価の脂肪族基、2価の芳香族環基、1以上の2価の脂肪族基と1以上の2価の芳香族環基とを連結した基が挙げられる。
2価の脂肪族基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のものが挙げられる。これらの中でも現像溶解性の観点からは直鎖状のものが好ましく、一方で露光部への現像液の浸透低減の観点からは環状のものが好ましい。その炭素数は通常1以上であり、3以上が好ましく、6以上がより好ましく、また、20以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで膜強度が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで感度が向上する傾向がある。
2価の直鎖状脂肪族基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、n−ヘキシレン基、n−ヘプチレン基等が挙げられる。これらの中でも感度や製造コストの観点から、メチレン基が好ましい。
2価の分岐鎖状脂肪族基の具体例としては、前述の2価の直鎖状脂肪族基に、側鎖としてメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等を有する構造が挙げられる。
2価の環状の脂肪族基が有する環の数は特に限定されないが、通常1以上であり、2以上が好ましく、また、通常10以下であり、5以下が好ましい。前記下限値以上とすることで膜強度が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性が向上する傾向がある。2価の環状の脂肪族基の具体例としては、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロデカン環、シクロドデカン環、ノルボルナン環、イソボルナン環、アダマンタン環等の環から水素原子を2つ除した基が挙げられる。これらの中でも膜強度と現像性の観点から、アダマンタン環から水素原子を2つ除した基が好ましい。
2価の脂肪族基が有していてもよい置換基としては、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜5のアルコキシ基;水酸基;ニトロ基;シアノ基;カルボキシル基等が挙げられる。これらの中でも合成容易性の観点から、無置換であることが好ましい。
また、2価の芳香族環基としては、2価の芳香族炭化水素環基及び2価の芳香族複素環基が挙げられる。その炭素数は通常4以上であり、5以上が好ましく、6以上がより好ましく、また、20以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで膜強度が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性が向上する傾向がある。
2価の芳香族炭化水素環基における芳香族炭化水素環としては、単環であっても縮合環であってもよい。2価の芳香族炭化水素環基としては、例えば、2個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの基が挙げられる。
また、芳香族複素環基における芳香族複素環としては、単環であっても縮合環であってもよい。2価の芳香族複素環基としては、例えば、2個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの基が挙げられる。これらの中でも製造コストの観点から、2個の遊離原子価を有するベンゼン環又はナフタレン環が好ましく、2個の遊離原子価を有するベンゼン環がより好ましい。
2価の芳香族環基が有していてもよい置換基としては、ヒドロキシル基、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、プロピル基、プロポキシ基等が挙げられる。これらの中でも硬化性の観点から、無置換が好ましい。
また、1以上の2価の脂肪族基と1以上の2価の芳香族環基とを連結した基としては、前述の2価の脂肪族基を1以上と、前述の2価の芳香族環基を1以上とを連結した基が挙げられる。
2価の脂肪族基の数は特に限定されないが、通常1以上であり、2以上が好ましく、通常10以下であり、5以下が好ましく、3以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで現像性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで膜強度が向上する傾向がある。
2価の芳香族環基の数は特に限定されないが、通常1以上であり、2以上が好ましく、通常10以下であり、5以下が好ましく、3以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで膜強度が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性が向上する傾向がある。
1以上の2価の脂肪族基と1以上の2価の芳香族環基とを連結した基の具体例としては、下記式(i−A)〜(i−F)で表される基等が挙げられる。これらの中でも骨格の剛直性と膜の疎水化の観点から、下記式(i−A)で表される基が好ましい。
Figure 2021051235
前記のとおり、式(i)中のベンゼン環は、更に任意の置換基により置換されていてもよい。該置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、プロピル基、プロポキシ基等が挙げられる。置換基の数も特に限定されず、1つでもよいし、2つ以上でもよい。
これらの中でも硬化性の観点から、無置換であることが好ましい。
また、前記式(i)で表される部分構造は、現像溶解性の観点から、下記式(i−1)で表される部分構造であることが好ましい。
Figure 2021051235
式(i−1)中、Ra及びRbは、前記式(i)のものと同義である。RYは水素原子又は多塩基酸残基を表す。*は結合手を表す。式(i−1)中のベンゼン環は、更に任意の置換基により置換されていてもよい。
多塩基酸残基とは、多塩基酸又はその無水物からOH基を1つ除した1価の基を意味する。多塩基酸としては、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、クロレンド酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸から選ばれた1種又は2種以上が挙げられる。
これらの中でもパターニング特性の観点から、好ましくは、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸であり、より好ましくは、テトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸である。
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(c2−1)1分子中に含まれる、前記式(i−1)で表される繰り返し単位構造は、1種でも2種以上でもよい。
また、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(c2−1)1分子中に含まれる、前記式(i)で表される部分構造の数は特に限定されないが、1以上が好ましく、2以上がより好ましく、3以上がさらに好ましく、また、10以下が好ましく、8以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで現像性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで膜強度が向上する傾向がある。
また、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(c2−1)1分子中に含まれる、前記式(i−1)で表される部分構造の数は特に限定されないが、1以上が好ましく、2以上がより好ましく、3以上がさらに好ましく、また、10以下が好ましく、8以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで現像性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで膜強度が向上する傾向がある。
以下にエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(c2−1)の具体例を挙げる。
Figure 2021051235
Figure 2021051235
Figure 2021051235
Figure 2021051235
Figure 2021051235
Figure 2021051235
Figure 2021051235
次に、下記一般式(ii)で表される部分構造を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(以下、「エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(c2−2)」と称する場合がある。)について詳述する。
Figure 2021051235
式(ii)中、Rcは各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。Rdは、環状炭化水素基を側鎖として有する2価の炭化水素基を表す。*は結合手を表す。
(Rd
前記式(ii)において、Rdは、環状炭化水素基を側鎖として有する2価の炭化水素基を表す。
環状炭化水素基としては、脂肪族環基又は芳香族環基が挙げられる。
脂肪族環基が有する環の数は特に限定されないが、通常1以上であり、2以上が好ましく、また、通常10以下であり、5以下が好ましく、3以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで膜強度が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性が向上する傾向がある。
また、脂肪族環基の炭素数は通常4以上であり、6以上が好ましく、8以上がより好ましく、また、40以下が好ましく、30以下がより好ましく、20以下がさらに好ましく、15以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで膜強度が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性が向上する傾向がある。
脂肪族環基における脂肪族環の具体例としてはシクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロデカン環、シクロドデカン環、ノルボルナン環、イソボルナン環、アダマンタン環、シクロドデカン環等が挙げられる。これらの中でも膜強度と現像性の観点から、アダマンタン環が好ましい。
一方で、芳香族環基が有する環の数は特に限定されないが、通常1以上であり、2以上が好ましく、3以上がより好ましく、また、通常10以下であり、5以下が好ましく、4以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで膜強度が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性が向上する傾向がある。
芳香族環基としては、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基が挙げられる。また、芳香族環基の炭素数は通常4以上であり、6以上が好ましく、8以上がより好ましく、10以上がよりさらに好ましく、12以上が特に好ましく、また、40以下が好ましく、30以下がより好ましく、20以下がさらに好ましく、15以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで膜強度が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性が向上する傾向がある。
芳香族環基における芳香族環の具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環等が挙げられる。これらの中でもパターニング特性の観点から、フルオレン環が好ましい。
また、環状炭化水素基を側鎖として有する2価の炭化水素基における、2価の炭化水素基は特に限定されないが、例えば、2価の脂肪族基、2価の芳香族環基、1以上の2価の脂肪族基と1以上の2価の芳香族環基とを連結した基が挙げられる。
2価の脂肪族基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のものが挙げられる。これらの中でも現像性の向上の観点からは直鎖状のものが好ましく、一方で膜強度の観点からは環状のものが好ましい。その炭素数は通常1以上であり、3以上が好ましく、6以上がより好ましく、また、25以下が好ましく、20以下がより好ましく、15以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで膜強度が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性が向上する傾向がある。
2価の直鎖状脂肪族基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、n−ヘキシレン基、n−ヘプチレン基等が挙げられる。これらの中でも感度の観点から、メチレン基が好ましい。
2価の分岐鎖状脂肪族基の具体例としては、前述の2価の直鎖状脂肪族基に、側鎖としてメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等を有する構造が挙げられる。
2価の環状の脂肪族基が有する環の数は特に限定されないが、通常1以上であり、2以上が好ましく、また、通常10以下であり、5以下が好ましく、3以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで膜強度が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性が向上する傾向がある。
2価の環状の脂肪族基の具体例としては、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロデカン環、シクロドデカン環、ノルボルナン環、イソボルナン環、アダマンタン環等の環から水素原子を2つ除した基が挙げられる。これらの中でも膜強度の観点から、アダマンタン環から水素原子を2つ除した基が好ましい。
2価の脂肪族基が有していてもよい置換基としては、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜5のアルコキシ基;水酸基;ニトロ基;シアノ基;カルボキシル基等が挙げられる。これらの中でも合成容易性の観点から、無置換であることが好ましい。
また、2価の芳香族環基としては、2価の芳香族炭化水素環基及び2価の芳香族複素環基が挙げられる。その炭素数は通常4以上であり、5以上が好ましく、6以上がより好ましく、また、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、15以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで膜強度が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性が向上する傾向がある。
2価の芳香族炭化水素環基における芳香族炭化水素環としては、単環であっても縮合環であってもよい。2価の芳香族炭化水素環基としては、例えば、2個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの基が挙げられる。
また、芳香族複素環基における芳香族複素環としては、単環であっても縮合環であってもよい。2価の芳香族複素環基としては、例えば、2個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの基が挙げられる。これらの中でも製造コストの観点から、2個の遊離原子価を有するベンゼン環又はナフタレン環が好ましく、2個の遊離原子価を有するベンゼン環がより好ましい。
2価の芳香族環基が有していてもよい置換基としては、ヒドロキシル基、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、プロピル基、プロポキシ基等が挙げられる。これらの中でも硬化性の観点から、無置換が好ましい。
また、1以上の2価の脂肪族基と1以上の2価の芳香族環基とを連結した基としては、前述の2価の脂肪族基を1以上と、前述の2価の芳香族環基を1以上とを連結した基が挙げられる。
2価の脂肪族基の数は特に限定されないが、通常1以上であり、2以上が好ましく、通常10以下であり、5以下が好ましく、3以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで現像性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで膜強度が向上する
傾向がある。
2価の芳香族環基の数は特に限定されないが、通常1以上であり、2以上が好ましく、通常10以下であり、5以下が好ましく、3以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで膜強度が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性が向上する傾向がある。
1以上の2価の脂肪族基と1以上の2価の芳香族環基とを連結した基の具体例としては、前記式(i−A)〜(i−F)で表される基等が挙げられる。これらの中でも膜強度と感度の両立の観点から、前記式(i−C)で表される基が好ましい。
これらの2価の炭化水素基に対して、側鎖である環状炭化水素基の結合態様は特に限定されないが、例えば、脂肪族基や芳香族環基の水素原子1つを該側鎖で置換した態様や、脂肪族基の炭素原子の1つを含めて側鎖である環状炭化水素基を構成した態様が挙げられる。
また、前記式(ii)で表される部分構造は、感度の観点から、下記式(ii−1)で表される部分構造であることが好ましい。
Figure 2021051235
式(ii−1)中、Rcは前記式(ii)と同義である。Rαは、置換基を有していてもよい1価の環状炭化水素基を表す。nは1以上の整数である。式(ii−1)中のベンゼン環は、更に任意の置換基により置換されていてもよい。*は結合手を表す。
(Rα
前記式(ii−1)において、Rαは、置換基を有していてもよい1価の環状炭化水素基を表す。
環状炭化水素基としては、脂肪族環基又は芳香族環基が挙げられる。
脂肪族環基が有する環の数は特に限定されないが、通常1以上であり、2以上が好ましく、また、通常6以下であり、4以下が好ましく、3以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで膜強度が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性が向上する傾向がある。
また、脂肪族環基の炭素数は通常4以上であり、6以上が好ましく、8以上がより好ましく、また、40以下が好ましく、30以下がより好ましく、20以下がさらに好ましく、15以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで膜強度が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性が向上する傾向がある。
脂肪族環基における脂肪族環の具体例としてはシクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロデカン環、シクロドデカン環、ノルボルナン環、イソボルナン環、アダマンタン環等が挙げられる。これらの中でも膜強度と現像性の両立の観点から、アダマンタン環が好ましい。
一方で、芳香族環基が有する環の数は特に限定されないが、通常1以上であり、2以上が好ましく、3以上がより好ましく、また、通常10以下であり、5以下が好ましい。前記下限値以上とすることで膜強度が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性が向上する傾向がある。
芳香族環基としては、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基が挙げられる。また、芳香族環基の炭素数は通常4以上であり、5以上が好ましく、6以上がより好ましく、また、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、15以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで膜強度が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性が向上する傾向がある。
芳香族環基における芳香族環の具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環等が挙げられる。これらの中でも膜強度と現像性の両立の観点から、フルオレン環が好ましい。
環状炭化水素基が有していてもよい置換基としては、ヒドロキシル基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、アミル基、iso−アミル基等の炭素数1〜5のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜5のアルコキシ基;ニトロ基;シアノ基;カルボキシル基等が挙げられる。これらの中でも合成の容易性の観点から、無置換が好ましい。
nは1以上の整数を表すが、2以上が好ましく、また、3以下が好ましい。前記下限値以上とすることで現像性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで膜強度が向上する傾向がある。
これらの中でも、膜強度と現像性の両立の観点から、Rαが1価の脂肪族環基であることが好ましく、アダマンチル基であることがより好ましい。
前記のとおり、式(ii−1)中のベンゼン環は、更に任意の置換基により置換されていてもよい。該置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、プロピル基、プロポキシ基等が挙げられる。置換基の数も特に限定されず、1つでもよいし、2つ以上でもよい。これらの中でも硬化性の観点から、無置換であることが好ましい。
以下に前記式(ii−1)で表される部分構造の具体例を挙げる。
Figure 2021051235
Figure 2021051235
Figure 2021051235
Figure 2021051235
Figure 2021051235
また、前記式(ii)で表される部分構造は、現像密着性の観点から、下記式(ii−2)で表される部分構造であることが好ましい。
Figure 2021051235
式(ii−2)中、Rcは前記式(ii)と同義である。Rβは、置換基を有していてもよい2価の環状炭化水素基を表す。式(ii−2)中のベンゼン環は、更に任意の置換基により置換されていてもよい。*は結合手を表す。
(Rβ
前記式(ii−2)において、Rβは、置換基を有していてもよい2価の環状炭化水素基を表す。
環状炭化水素基としては、脂肪族環基又は芳香族環基が挙げられる。
脂肪族環基が有する環の数は特に限定されないが、通常1以上であり、2以上が好ましく、また、通常10以下であり、5以下が好ましい。前記下限値以上とすることで膜強度が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性が向上する傾向がある。
また、脂肪族環基の炭素数は通常4以上であり、6以上が好ましく、8以上がより好ましく、また、40以下が好ましく、35以下がより好ましく、30以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで膜強度が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性が向上する傾向がある。
脂肪族環基における脂肪族環の具体例としては、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロデカン環、シクロドデカン環、ノルボルナン環、イソボルナン環、アダマンタン環等が挙げられる。これらの中でも膜強度と現像性の両立の観点から、アダマンタン環が好ましい。
一方で、芳香族環基が有する環の数は特に限定されないが、通常1以上であり、2以上が好ましく、3以上がより好ましく、また、通常10以下であり、5以下が好ましい。前記下限値以上とすることで膜強度が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性が向上する傾向がある。
芳香族環基としては、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基が挙げられる。また、芳香族環基の炭素数は通常4以上であり、6以上が好ましく、8以上がより好ましく、10以上がさらに好ましく、また、40以下が好ましく、30以下がより好ましく、20以下がさらに好ましく、15以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで膜強度が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性が向上する傾向がある。
芳香族環基における芳香族環の具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環等が挙げられる。これらの中でも膜強度と現像性の観点から、フルオレン環が好ましい。
環状炭化水素基が有していてもよい置換基としては、ヒドロキシル基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、アミル基、iso−アミル基等の炭素数1〜5のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜5のアルコキシ基;ニトロ基;シアノ基;カルボキシル基等が挙げられる。これらの中でも合成の簡易性の観点から、無置換が好ましい。
これらの中でも、膜強度と現像性の両立の観点から、Rβが2価の脂肪族環基であることが好ましく、2価のアダマンタン環基であることがより好ましい。
一方で、膜強度と現像性の両立の観点から、Rβが2価の芳香族環基であることが好ましく、2価のフルオレン環基であることがより好ましい。
前記のとおり、式(ii−2)中のベンゼン環は、更に任意の置換基により置換されていてもよい。該置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、プロピル基、プロポキシ基等が挙げられる。置換基の数も特に限定されず、1つでもよいし、2つ以上でもよい。これらの中でも硬化性の観点から、無置換であることが好ましい。
以下に前記式(ii−2)で表される部分構造の具体例を挙げる。
Figure 2021051235
Figure 2021051235
Figure 2021051235
Figure 2021051235
一方で、前記式(ii)で表される部分構造は、現像性の観点から、下記式(ii−3)で表される部分構造であることが好ましい。
Figure 2021051235
式(ii−3)中、Rc及びRdは前記式(ii)と同義である。RZは水素原子又は多塩基酸残基を表す。
多塩基酸残基とは、多塩基酸又はその無水物からOH基を1つ除した1価の基を意味する。多塩基酸としては、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、クロレンド酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸から選ばれた1種又は2種以上が挙げられる。
これらの中でもパターニング特性の観点から、好ましくは、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸であり、より好ましくは、テトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸である。
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(c2−2)1分子中に含まれる、前記式(ii−3)で表される部分構造は、1種でも2種以上でもよい。
また、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(c2−2)1分子中に含まれる、前記式(ii)で表される部分構造の数は特に限定されないが、1以上が好ましく、3以上がより好ましく、また、20以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで感度が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性が向上する傾向がある。
また、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(c2−2)1分子中に含まれる、前記式(ii−1)で表される部分構造の数は特に限定されないが、1以上が好ましく、3以上がより好ましく、また、20以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで感度が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性が向上する傾向がある。
また、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(c2−2)1分子中に含まれる、前記式(ii−2)で表される部分構造の数は特に限定されないが、1以上が好ましく、3以上がより好ましく、また、20以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで感度が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性が向上する傾向がある。
また、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(c2−2)1分子中に含まれる、前記式(ii−3)で表される部分構造の数は特に限定されないが、1以上が好ましく、3以上がより好ましく、また、20以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで感度が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性が向上する傾向がある。
次に、下記一般式(iii)で表される部分構造を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(以下、「エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(c2−3)」と称する場合がある。)について詳述する。
Figure 2021051235
式(iii)中、Reは水素原子又はメチル基を表し、γは単結合、−CO−、置換基を有していてもよいアルキレン基、又は置換基を有していてもよい2価の環状炭化水素基を表す。式(iii)中のベンゼン環は、更に任意の置換基により置換されていてもよい。*は結合手を表す。
(γ)
前記式(iii)において、γは単結合、−CO−、置換基を有していてもよいアルキレン基、又は置換基を有していてもよい2価の環状炭化水素基を表す。
アルキレン基は直鎖でも、分岐鎖でもよいが、現像溶解性の観点からは直鎖であることが好ましく、現像密着性の観点からは分岐鎖であることが好ましい。その炭素数は特に限定されないが、通常1以上であり、2以上が好ましく、また、通常6以下であり、4以下が好ましい。前記下限値以上とすることで膜強度が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性が向上する傾向がある。
アルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、へキシレン基、ヘプチレン基が挙げられ、膜強度と現像性の両立の観点から、エチレン基又はプロピレン基が好ましく、プロピレン基がより好ましい。
アルキレン基が有していてもよい置換基としては、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜5のアルコキシ基;水酸基;ニトロ基;シアノ基;カルボキシル基等が挙げられる。これらの中でも合成容易性の観点から、無置換であることが好ましい。
2価の環状炭化水素基としては、2価の脂肪族環基又は2価の芳香族環基が挙げられる。
脂肪族環基が有する環の数は特に限定されないが、通常1以上であり、2以上が好ましく、また、通常10以下であり、5以下が好ましい。前記下限値以上とすることで膜強度が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性が向上する傾向がある。
また、脂肪族環基の炭素数は通常4以上であり、6以上が好ましく、8以上がより好ましく、また、40以下が好ましく、35以下がより好ましく、30以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで膜強度が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性が向上する傾向がある。
脂肪族環基における脂肪族環の具体例としては、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロデカン環、シクロドデカン環、ノルボルナン環、イソボルナン環、アダマンタン環等が挙げられる。これらの中でも膜強度と現像性の両立の観点から、アダマンタン環が好ましい。
一方で、芳香族環基が有する環の数は特に限定されないが、通常1以上であり、2以上が好ましく、3以上がより好ましく、また、通常10以下であり、5以下が好ましい。前記下限値以上とすることで膜強度が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性が向上する傾向がある。
芳香族環基としては、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基が挙げられる。また、芳香族環基の炭素数は通常4以上であり、6以上が好ましく、8以上がより好ましく、10以上がさらに好ましく、また、40以下が好ましく、30以下がより好ましく、20以下がさらに好ましく、15以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで膜強度が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性が向上する傾向がある。
芳香族環基における芳香族環の具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環等が挙げられる。これらの中でも膜強度と現像性の両立の観点から、フルオレン環が好ましい。
環状炭化水素基が有していてもよい置換基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、アミル基、iso−アミル基等の炭素数1〜5のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜5のアルコキシ基;水酸基;ニトロ基;シアノ基;カルボキシル基等が挙げられる。これらの中でも合成の簡易性の観点から、無置換が好ましい。
また、これらの中でも、現像性の観点から、γが置換基を有していてもよいアルキレン基であることが好ましく、ジメチルメチレン基であることがより好ましい。
前記のとおり、式(iii)中のベンゼン環は、更に任意の置換基により置換されていてもよい。該置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、プロピル基、プロポキシ基等が挙げられる。置換基の数も特に限定されず、1つでもよいし、2つ以上でもよい。これらの中でも硬化性の観点から、無置換であることが好ましい。
一方で、前記式(iii)で表される部分構造は、現像溶解性の観点から、下記式(iii−1)で表される部分構造であることが好ましい。
Figure 2021051235
式(iii−1)中、Re及びγは前記式(iii)と同義である。RWは水素原子又は多塩基酸残基を表す。*は結合手を表す。式(iii−1)中のベンゼン環は、更に任意の置換基により置換されていてもよい。
多塩基酸残基とは、多塩基酸又はその無水物からOH基を1つ除した1価の基を意味する。多塩基酸としては、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、クロレンド酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸から選ばれた1種又は2種以上が挙げられる。
これらの中でもパターニング特性の観点から、好ましくは、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸であり、より好ましくは、テトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸である。
また、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(c2−3)1分子中に含まれる、前記式(iii)で表される繰り返し単位構造の数は特に限定されないが、1以上が好ましく、5以上がより好ましく、10以上がさらに好ましく、また、18以下が好ましく、15以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで感度が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性が向上する傾向がある。
また、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(c2−3)1分子中に含まれる、前記式(iii−1)で表される繰り返し単位構造の数は特に限定されないが、1以上が好ましく、3以上がより好ましく、5以上がさらに好ましく、また、18以下が好ましく、15以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで感度が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性が向上する傾向がある。
以下にエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(c2−3)の具体例を挙げる。
Figure 2021051235
Figure 2021051235
本発明における(C)アルカリ可溶性樹脂は、(c1)側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル共重合樹脂、(c2)エポキシ(メタ)アクリレート樹脂以外の樹脂としては、国際公開第2016/194619号、国際公開第2017/154439号に記載されているアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物における(C)アルカリ可溶性樹脂の含有割合は特に限定されないが、全固形分中に、通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上、よりさらに好ましくは40質量%以上、特に好ましくは50質量%以上、最も好ましくは60質量%以上、また、通常90質量%以下、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。前記下限値以上とすることで隔壁の形状が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで感度が向上する傾向がある。
また、全固形分中における(A)エチレン性不飽和化合物及び(C)アルカリ可溶性樹脂の含有割合の総和は、10質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、60質量%以上がさらに好ましく、80質量%以上が特に好ましく、また、100質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましく、90質量%以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで感度が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで隔壁の形状が良好となる傾向がある。
[1−1−4](D)成分;撥液剤
本発明の感光性樹脂組成物は、(D)撥液剤を含有する。(D)撥液剤を含有することによって、得られる隔壁の表面に撥インク性を付与できることから、得られる隔壁を有機層の発光部(画素)ごとの混色を防ぐものとすることができると考えられる。
また、本発明の感光性樹脂組成物における(D)撥液剤は、下記一般式(D−1−1)で表される繰り返し単位(i)(以下、「繰り返し単位(i)」と称する場合がある。)、及び下記一般式(D−1−2)で表される部分構造(ii)(以下、「部分構造(ii)」と称する場合がある。)を有する樹脂(D−1)(以下、「樹脂(D−1)」と称する場合がある。)を含む。樹脂(D−1)は含フッ素有機基を有する多環脂肪族炭化水素骨格が主鎖中に含まれることで、含フッ素有機基が熱分解し難くなり、パターンを形成する際の加熱硬化時にフッ素原子を含むフューム(Fume)が発生し難くなり、画素部をフッ素原子含有成分が汚染し難くなり、インクジェット塗布時の濡れ広がり性が良化すると考えられる。また、樹脂(D−1)分子内にエチレン性不飽和結合を含む部分構造(ii)を有することで、塗布膜を露光した際にその表面に樹脂(D−1)が固定されるため、樹脂(D−1)が現像処理時に現像液中に流出しにくくなり、その結果、得られる隔壁の撥インク性を高くすることができると考えられる。
<繰り返し単位(i)>
Figure 2021051235
(式中、Lは、置換基を有していてもよい多環脂肪族炭化水素骨格を表す。
ただし、Lは該置換基として、炭素数1〜30の含フッ素有機基を1つ以上有する。
*は結合手を表す。)
Lを構成する、多環脂肪族炭化水素の炭素数は特に限定されないが、通常6以上であり、このましくは7以上であり、また通常20以下であり、好ましくは12以下であり、さらに好ましくは10以下である。前記下限値以上とすることでインクジェット塗布時の濡れ広がり性が良化する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで撥インク性が良好となる傾向がある。
また、多環脂肪族炭化水素を構成する環の数は特に限定されないが、4以下が好ましく、3以下が好ましく、通常2以上である。前記上限値以下とすることでインクジェット塗布時の濡れ広がり性が良化する傾向がある。
多環脂肪族炭化水素骨格の具体例としては、ノルボルナン骨格、ジシクロペンタン骨格、アダマンタン骨格等が挙げられるが、このうち、合成の容易性の観点からノルボルナン骨格を有することが好ましい。
多環脂肪族炭化水素骨格は置換基を有していてもよいが、該置換基として、炭素数1〜30の含フッ素有機を1つ以上有する。
含フッ素有機基の構造は限定されないが、例えば、下記一般式(D−1−1−a)で表される基が挙げられる。
Figure 2021051235
(式中、R12は水素原子の少なくとも1つがフッ素原子に置換された炭素数1〜27のアルキル基を表し、該アルキル基の炭素−炭素結合は酸素原子で中断されていてもよい。
Xは単結合、−O−、−CO−O−、−O−CO−、又は−CO−NH−を表す。
kは0〜2の整数を表す。
*は結合手を表す。)
(R12
前記式(D−1−1−a)においてR12は、水素原子の少なくとも1つがフッ素原子に置換された炭素数1〜27のアルキル基を表し、該アルキル基の炭素−炭素結合は酸素原子で中断されていてもよい。
このアルキル基の炭素数は通常1以上であり、2以上が好ましく、4以上がより好ましく、また、25以下が好ましく、20以下がより好ましく、10以下がさらに好ましく、6以下が特に好ましい。前記下限値以上にすることによって撥インク性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下にすることによって、材料としての健康への安全性が向上する傾向がある。
このアルキル基は直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。
また、このアルキル基はパーフルオロアルキル基であることが好ましい。これによって、撥インク性が良好となる傾向がある。これらのなかでも、撥インク性の観点から、炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基が好ましい。
水素原子の少なくとも1つがフッ素原子に置換された炭素数1〜27のアルキル基の具体例としては、−CF3、−CF2CF3、−CF2CHF2、−(CF22CF3、−(CF23CF3、−(CF24CF3、−(CF25CF3、−(CF26CF3、−(CF27CF3が挙げられる。
また、水素原子の少なくとも1つがフッ素原子に置換された炭素数1〜27のアルキル基の、その炭素−炭素結合が酸素原子で中断された場合のその具体例としては、−CF(CF3)O(CF25CF3、−CF2O(CF2CF2O)pCF3(pは1〜8の整数)、−CF(CF3)O(CF2CF(CF3)O)q613(qは1〜4の整数)、−CF(CF3)O(CF2CF(CF3)O)r37(rは1〜5の整数)が挙げられる。
(X)
前記式(D−1−1−a)において、Xは単結合、−O−、−CO−O−、−O−CO−、又は−CO−NH−を表す。これらの中でもインクジェット塗布時の濡れ広がり性の観点から、単結合が好ましい。
前記式(D−1−1−a)で表される基の中でも、インクジェット塗布時の濡れ広がり性の観点から、−CO−O−(CH22−C49、−CO−O−(CH22−C613、−C49、−C613であることが好ましい。
前述のとおり、Lは置換基を有していてもよい多環脂肪族炭化水素骨格を表し、炭素数1〜30の含フッ素有機基以外の置換基としては特に限定されないが、例えば下記一般式(D−1−1−b)で表される基が挙げられる。
Figure 2021051235
(式中、R13は、アルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基を表す。
Zは単結合、−O−、−CO−O−、−O−CO−、又は−CO−NH−を表す。
*は結合手を表す。)
(R13
13におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。
アルキル基の炭素数は特に限定されないが、通常1以上、3以上が好ましく、6以上がより好ましく、また、15以下が好ましく、8以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで撥インク性が良化する傾向があり、また、前記上限値以下とすることでインクジェット塗布時の濡れ広がり性が良好となる傾向がある。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、アダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、およびシクロオクチル基が挙げられる。
13におけるアルケニル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。
アルケニル基の炭素数は特に限定されないが、通常2以上、3以上が好ましく、また10以下が好ましく、8以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで撥インク性が良化する傾向があり、また、前記上限値以下とすることでインクジェット塗布時の濡れ広がり性が良好となる傾向がある。
アルケニル基の具体例としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基が挙げられる。
13におけるアルキニル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。
アルキニル基の炭素数は特に限定されないが、通常2以上、3以上が好ましく、また、10以下が好ましく、8以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで撥インク性が良化する傾向があり、また、前記上限値以下とすることでインクジェット塗布時の濡れ広がり性が良好となる傾向がある。
アルキニル基の具体例としては、エチニル基が挙げられる。
(Z)
前記式(D−1−1−b)において、Zは単結合、−O−、−CO−O−、−O−CO−、又は−CO−NH−を表す。これらの中でもインクジェット塗布時の濡れ広がり性の観点から、単結合が好ましい。
前述のとおり、前記多環脂肪族炭化水素骨格は、炭素数1〜30の含フッ素有機基以外の置換基を有していてもよいが、合成容易性の観点から無置換が好ましい。
前記樹脂(D−1)における繰り返し単位(i)の中でも、撥インク性の観点から、下記一般式(D−1−3)で表される繰り返し単位(i−1)(以下、「繰り返し単位(i−1)」と称する場合がある。)であることが好ましい。
Figure 2021051235
(式中の水素原子は各々独立に置換基で置換されていてもよい。
ただし、式中の水素原子のうち1つ以上は、炭素数1〜30の含フッ素有機基で置換されている。
nは0〜2の整数を表す。
*は結合手を表す。)
式(D−1−3)における炭素数1〜30の含フッ素有機基や、それ以外の置換基としては、式(D−1−1)において挙げたものを好ましく採用することができる。
式(D−1−3)においてnは0〜2の整数を表すが、現像性の観点から0又は1が好ましく、0がより好ましい。
さらには、前記樹脂(D−1)における繰り返し単位(i)の中でも、撥インク性や合成容易性の観点から、下記一般式(D−1−4)で表される繰り返し単位(i−2)(以下、「繰り返し単位(i−2)」と称する場合がある。)であることが好ましい
Figure 2021051235
(式中、R1〜R4は各々独立に、水素原子又は任意の置換基を表す。
ただし、R1〜R4のうち少なくとも1つは、炭素数1〜30の含フッ素有機基である。
nは0〜2の整数を表す。
*は結合手を表す。)
1〜R4における炭素数1〜30の含フッ素有機基としては、式(D−1−1)において挙げたものを好ましく採用することができる。
また同様に、R1〜R4における任意の置換基としては、式(D−1−1)において多環脂肪族炭化水素骨格の置換基として挙げたものを好ましく採用することができる。
これらの中でも、撥インク性の観点から、R1〜R4は各々独立に、水素原子又は炭素数1〜30の含フッ素有機基であることが好ましい。この場合、R1〜R4における含フッ素有機基の数は特に限定されないが、3つ以下が好ましく、2つ以下がより好ましく、1つがさらに好ましい。前記上限値以下とすることでインクジェット時の濡れ広がり性が良化する傾向がある。
また、nは0〜2の整数を表すが、現像性の観点から0又は1が好ましく、0がより好ましい。
繰り返し単位(i)の具体例としては、以下のものが挙げられる。樹脂(D−1)は、これらの1種を含むものであってもよく、2種以上を含むものであってもよい。
Figure 2021051235
これらの中でも撥インク性の観点から、式(D−1−22)で表される繰り返し単位、又は式(D−1−24)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
<部分構造(ii)>
樹脂(D−1)は、下記一般式(D−1−2)で表される部分構造を有する。
Figure 2021051235
(式中、R11は、水素原子又はメチル基を表す。
gは0〜6の整数を表す。
*は結合手を表す。)
式(D−1−2)において、R11は水素原子又はメチル基を表すが、撥インク性の観点から、水素原子であることが好ましい。
また式(D−1−2)において、gは0〜6の整数を表すが、合成容易性の観点から、2〜4の整数が好ましい。
部分構造(ii)は、繰り返し単位(i)、(i−1)、(i−2)中に含有されていてもよく、あるいは別の繰り返し単位中に含有されていてもよいが、現像処理工程によるインクジェット塗布時の濡れ広がり性の観点から、下記一般式(D−1−5)で表される繰り返し単位(iii)(以下、「繰り返し単位(iii)」と称する場合がある。)、又は下記一般式(D−1−6)で表される繰り返し単位(iv)(以下、「繰り返し単位(iv)」と称する場合がある。)中に含まれることが好ましい。
<繰り返し単位(iii)>
Figure 2021051235
(式中、R5は、前記部分構造(ii)を表す。
*は結合手を表す。)
繰り返し単位(iii)の具体例としては、以下のものが挙げられる。樹脂(D−1)は、これらの1種を含むものであってもよく、2種以上を含むものであってもよい。
Figure 2021051235
<繰り返し単位(iv)>
Figure 2021051235
(式中、R6は、水素原子又はメチル基を表す。
7は、前記部分構造(ii)、又は下記一般式(D−1−7)で表される基を表す。
Figure 2021051235
(式中、R8は、水素原子又はメチル基を表す。
*は結合手を表す。)
繰り返し単位(iv)の具体例としては、以下のものが挙げられる。樹脂(D−1)は、これらの1種を含むものであってもよく、2種以上を含むものであってもよい。
Figure 2021051235
これらの繰り返し単位のうち、インクジェット塗布時の濡れ広がり性の観点から、繰り返し単位(iii)を含有することが好ましく、前記式(D−1−31)で表される繰り返し単位、又は前記式(D−1−32)で表される繰り返し単位を含有することがより好ましい。
また、樹脂(D−1)は、さらにその他の繰り返し単位を含んでいてもよい。その他の繰り返し単位としては、下記一般式(D−1−8)で表される繰り返し単位(v)(以下、「繰り返し単位(v)」と称する場合がある。)や、下記一般式(D−1−9)で表される繰り返し単位、下記一般式(D−1−10)で表される繰り返し単位が挙げられる。また、前記繰り返し単位(iii)に、国際公開第2017/154439号に記載されている方法を用いて得た、下記一般式(D−1−11)で表される繰り返し単位が挙げられる。
樹脂(D−1)は、これらの1種を含むものであってもよく、2種以上を含むものであってもよい。
Figure 2021051235
(式(D−1−11)において、R5及びR7は前記式(D−1−5)及び前記式(D−1−6)と同義である。)
樹脂(D−1)に含まれる繰り返し単位の組み合わせは特に限定されないが、撥インク性及びインクジェット塗布時の濡れ広がり性の観点から、前記式(D−1−21)で表される繰り返し単位と前記式(D−1−31)で表される繰り返し単位の組み合わせ、前記式(D−1−21)で表される繰り返し単位と前記式(D−1−32)で表される繰り返し単位の組み合わせ、前記式(D−1−22)で表される繰り返し単位と前記式(D−1−31)で表される繰り返し単位の組み合わせ、前記式(D−1−22)で表される繰り返し単位と前記式(D−1−32)で表される繰り返し単位の組み合わせ、前記式(D−1−23)で表される繰り返し単位と前記式(D−1−31)で表される繰り返し単位の組み合わせ、前記式(D−1−23)で表される繰り返し単位と前記式(D−1−32)で表される繰り返し単位の組み合わせ、前記式(D−1−24)で表される繰り返し単位と前記式(D−1−31)で表される繰り返し単位の組み合わせ、前記式(D−1−24)で表される繰り返し単位と前記式(D−1−32)で表される繰り返し単位の組み合わせが好ましい。
樹脂(D−1)における繰り返し単位(i)の含有割合は特に限定されないが、全繰り返し単位中に、通常20モル%以上であり、30モル%以上が好ましく、40モル%以上がより好ましく、また、通常80モル%以下であり、70モル%以下が好ましく、60モル%以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで撥インク性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることでインクジェット塗布時の濡れ広がり性が良好となる傾向がある。
樹脂(D−1)が繰り返し単位(i−1)を含む場合、その含有割合は特に限定されないが、全繰り返し単位中に、通常20モル%以上であり、30モル%以上が好ましく、40モル%以上がより好ましく、また、通常80モル%以下であり、70モル%以下が好ましく、60モル%以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで撥インク性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることでインクジェット塗布時の濡れ広がり性が良好となる傾向がある。
樹脂(D−1)が繰り返し単位(i−2)を含む場合、その含有割合は特に限定されないが、全繰り返し単位中に、通常20モル%以上であり、30モル%以上が好ましく、40モル%以上がより好ましく、また、通常80モル%以下であり、70モル%以下が好ましく、60モル%以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで撥インク性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることでインクジェット塗布時の濡れ広がり性が良好となる傾向がある。
また樹脂(D−1)が繰り返し単位(iii)を含む場合、その含有割合は特に限定されないが、全繰り返し単位中に、通常20モル%以上であり、30モル%以上が好ましく、また、通常80モル%以下であり、70モル%以下が好ましく、60モル%以下がより好ましい。前記下限値以上とすることでインクジェット塗布時の濡れ広がり性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで撥インク性が良好となる傾向がある。
また樹脂(D−1)が繰り返し単位(iv)を含む場合、その含有割合は特に限定されないが、全繰り返し単位中に、通常20モル%以上であり、30モル%以上が好ましく、また、通常80モル%以下であり、70モル%以下が好ましく、60モル%以下がより好ましい。前記下限値以上とすることでインクジェット塗布時の濡れ広がり性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで撥インク性が良好となる傾向がある。
また樹脂(D−1)に含まれるフッ素原子の含有割合は特に限定されないが、通常10質量%以上、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、また、通常50質量%以下であり、40質量%以下が好ましい。前記下限値以上とすることで高い撥インク性を示す傾向があり、上限値以下とすることでインクジェット塗布時の濡れ広がり性が良化する傾向がある。
また樹脂(D−1)の二重結合当量は特に限定されないが、通常400g/mol以上であり、700g/mol以上が好ましく、1000g/mol以上がより好ましく、また、通常2000g/mol以下であり、1700g/mol以下が好ましく、1400g/mol以下がより好ましい。前記下限値以上とすることでインクジェット塗布時の濡れ広がり性が良化する傾向があり、前記上限値以下とすることで高い撥インク性を示す傾向がある。
樹脂(D−1)の重量平均分子量は特に制限されないが、通常1000以上であり、2000以上が好ましく、3000以上がより好ましく、3500以上がさらに好ましい。また通常10000以下であり、7000以下が好ましく、5000以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで高い撥インク性を示す傾向があり、上限値以下とすることでインクジェット塗布時の濡れ広がり性が良化する傾向がある。
樹脂(D−1)の製造方法は特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。例えば、国際公開第2016/194619号に記載されている方法を採用することが可能であり、以下の工程((ア)〜(イ)工程)にて製造することができる。なお、(イ)工程で得られた樹脂を樹脂(D−1)として用いることもでき、あるいは国際公開第2017/154439号に記載されているように、(イ)工程で得られた樹脂にさらに(ウ)工程を実施して得た樹脂を樹脂(D−1)として用いることもできる。
(ア)工程:前記繰り返し単位(i−1)又は(i−2)、並びに前記繰り返し単位(v)を含む前駆体ポリマーを準備する工程
(イ)工程:前記前駆体ポリマーに対し、部分構造(ii)を含むアルコールを作用させ、繰り返し単位(v)中のコハク酸骨格を開環させ、前駆体ポリマー中にカルボキシル基又はそのエステルを生成させて開環前駆体ポリマーを得る工程
(ウ)工程:任意で、前記開環前駆体ポリマーに対し、エポキシ化合物を反応させる工程
本発明の感光性樹脂組成物における(D)撥液剤の含有割合は特に限定されないが、全固形分中に通常0.01質量%以上、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.2質量%以上がさらに好ましく、0.3質量%以上が特に好ましく、また、通常5質量%以下、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで高い撥インク性を示す傾向があり、また、前記上限値以下とすることで撥液剤の画素部への流出を抑制できる傾向がある。
本発明の感光性樹脂組成物における樹脂(D−1)の含有割合は特に限定されないが、全固形分中に通常0.01質量%以上、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.2質量%以上がさらに好ましく、0.3質量%以上が特に好ましく、また、通常5質量%以下、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで高い撥インク性を示す傾向があり、また、前記上限値以下とすることで撥液剤の画素部への流出を抑制できる傾向がある。
また(D)撥液剤中における樹脂(D−1)の含有割合は特に限定されないが、(D)撥液剤中に通常10質量%以上、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、また、通常100質量%以下である。前記下限値以上とすることでインクジェット塗布時の濡れ広がり性が良好になる傾向がある。
本発明の感光性樹脂組成物における(D)撥液剤は、樹脂(D−1)以外のその他の撥液剤を含有してもよい。
その他の撥液剤としては例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルアルキレンオキシド付加物、パーフルオロアルキルトリアルキルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル基と親水基を含むオリゴマー、パーフルオロアルキル基と親油基を含むオリゴマー、パーフルオロアルキルと親水基を含むウレタン、パーフルオロアルキル燐酸エステルなどのフッ素含有有機化合物を挙げることができる。
またこれらの化合物は、架橋基としてエポキシ基又はエチレン性不飽和基を有する化合物であることが好ましい。
これらの架橋基を有するフッ素含有有機化合物の市販品としては、DIC社製「メガファック(登録商標、以下同じ。)F116」、「メガファックF120」、「メガファックF142D」、「メガファックF144D」、「メガファックF150」、「メガファックF160」、「メガファックF171」、「メガファックF172」、「メガファックF173」、「メガファックF177」、「メガファックF178A」、「メガファックF178K」、「メガファックF179」、「メガファックF183」、「メガファックF184」、「メガファックF191」、「メガファックF812」、「メガファックF815」、「メガファックF824」、「メガファックF833」、「メガファックRS101」、「メガファックRS102」「メガファックRS105」、「メガファックRS201」、「メガファックRS202」、「メガファックRS301」、「メガファックRS303」「メガファックRS304」、「メガファックRS401」、「メガファックRS402」、「メガファックRS501」、「メガファックRS502」、「メガファックRS−72−K」、「DEFENSA(登録商標、以下同じ。) MCF300」、「DEFENSA MCF310」、「DEFENSA MCF312」、「DEFENSA MCF323」、スリーエムジャパン社製「フロラードFC430」、「フロラードFC431」、「FC−4430」、「FC4432」、AGC社製「アサヒガード(登録商標。)AG710」、AGCセイミケミカル社製「サーフロン(登録商標、以下同じ。)S−382」、「サーフロンSC−101」、「サーフロンSC−102」、「サーフロンSC−103」、「サーフロンSC−104」、「サーフロンSC−105」、「サーフロンSC−106」、ダイキン工業社製「オプツール(登録商標。)DAC−HP」などの商品名で市販されているフッ素含有有機化合物を使用することができる。
一方で、本発明の感光性樹脂組成物は、(D)撥液剤と共に界面活性剤を用いてもよい。界面活性剤は、感光性樹脂組成物の塗布液としての塗布性、および塗布膜の現像性の向上などを目的として用いることができ、中でもフッ素系又はシリコーン系の界面活性剤が好ましい。
特に、現像の際、未露光部から感光性樹脂組成物の残渣を除去する作用があり、また、濡れ広がり性を発現する機能を有することから、シリコーン系界面活性剤が好ましく、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤がさらに好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、末端、主鎖および側鎖の少なくとも何れかの部位にフルオロアルキルまたはフルオロアルキレン基を有する化合物が好適である。具体的には、1,1,2,2−テトラフルオロオクチル(1,1,2,2−テトラフルオロプロピル)エーテル、1,1,2,2−テトラフルオロオクチルヘキシルエーテル、オクタエチレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフルオロブチル)エーテル、ヘキサエチレングリコールジ(1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロペンチル)エーテル、オクタプロピレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフルオロブチル)エーテル、ヘキサプロピレングリコールジ(1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロペンチル)エーテル、パーフルオロドデシルスルホン酸ナトリウム、1,1,2,2,8,8,9,9,10,10−デカフルオロドデカン、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロデカンなどを挙げることができる。これらの市販品としては、例えば、BM Chemie社製「BM−1000」、「BM−1100」、DIC社製「メガファックF142D」、「メガファックF172」、「メガファックF173」、「メガファックF183」、「メガファックF470」、「メガファックF475」、「メガファックF554」、「メガファックF559」、スリーエムジャパン社製「FC430」、ネオス社製「DFX−18」などを挙げることができる。
また、シリコーン系界面活性剤としては、例えば、東レ・ダウコーニング社製「DC3PA」、「SH7PA」、「DC11PA」、「SH21PA」、「SH28PA」、「SH29PA」、「8032Additive」、「SH8400」、ビックケミー社製「BYK323」、「BYK330」などの市販品を挙げることができる。
界面活性剤として、フッ素系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤以外のものを含んでいてもよく、その他、界面活性剤としては、ノニオン性、アニオン性、カチオン性、両性界面活性剤などが挙げられる。
上記ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類、ペンタエリスリット脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンペンタエリスリット脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ソルビット脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル類などが挙げられる。これらの市販品としては、例えば、花王社製の「エマルゲン(登録商標、以下同じ。)104P」、「エマルゲンA60」などのポリオキシエチレン系界面活性剤などが挙げられる。
また、上記アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルスルホン酸塩類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類、高級アルコール硫酸エステル塩類、脂肪族アルコール硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩類、特殊高分子系界面活性剤などが挙げられる。中でも、特殊高分子系界面活性剤が好ましく、特殊ポリカルボン酸型高分子系界面活性剤がさらに好ましい。このようなアニオン性界面活性剤としては市販品を用いることができ、例えば、アルキル硫酸エステル塩類では花王社製「エマール(登録商標。)10」等、アルキルナフタレンスルホン酸塩類では花王社製「ペレックス(登録商標。)NB−L」など、特殊高分子系界面活性剤では花王社製「ホモゲノール(登録商標、以下同じ。)L−18」、「ホモゲノールL−100」などが挙げられる。
さらに、上記カチオン性界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩類、イミダゾリン誘導体類、アルキルアミン塩類などが、また、両性界面活性剤としては、ベタイン型化合物類、イミダゾリウム塩類、イミダゾリン類、アミノ酸類などが挙げられる。これらのうち、第4級アンモニウム塩類が好ましく、ステアリルトリメチルアンモニウム塩類がさらに好ましい。市販のものとしては、例えば、アルキルアミン塩類では花王社製「アセタミン(登録商標。)24」など、第4級アンモニウム塩類では花王社製「コータミン(登録商標、以下同じ。)24P」、「コータミン86W」などが挙げられる。
また、界面活性剤は2種類以上の組み合わせで用いてもよく、例えば、シリコーン系界面活性剤/フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤/特殊高分子系界面活性剤、フッ素系界面活性剤/特殊高分子系界面活性剤の組み合わせなどが挙げられる。中でも、シリコーン系界面活性剤/フッ素系界面活性剤の組み合わせが好ましい。このシリコーン系界面活性剤/フッ素系界面活性剤の組み合わせでは、例えば、ネオス社製「DFX−18」、ビックケミー社製「BYK−300」または「BYK−330」/AGCセイミケミカル社製「S−393」、信越シリコーン社製「KP340」/DIC社製「F−478」または「F−475」、東レ・ダウコーニング社製「SH7PA」/ダイキン社製「DS−401」、NUC社製「L−77」/スリーエムジャパン社製「FC4430」などが挙げられる。
[1−1−5](E)成分;着色剤
本発明の感光性樹脂組成物は、さらに(E)着色剤を含有してもよい。(E)着色剤を含有することで、適度な光吸収性、特に着色隔壁などの遮光部材を形成する用途に用いる場合には適度な遮光性を得ることができる。
本発明で用いる(E)着色剤の種類は特に限定されず、顔料を用いてもよいし、染料を用いてもよい。これらの中でも、耐久性の観点から、顔料を用いることが好ましい。
(E)着色剤に含まれる顔料は、1種単独でもよいし、2種以上であってもよい。特に、可視領域において均一に遮光するとの観点からは、2種以上であることが好ましい。
(E)着色剤として用いることができる顔料の種類は特に限定されないが、例えば、有機顔料や無機顔料が挙げられる。これらの中でも、感光性樹脂組成物の透過波長をコントロールして効率的に硬化させるとの観点からは、有機顔料を用いることが好ましい。
有機顔料としては、有機着色顔料や有機黒色顔料が挙げられる。ここで、有機着色顔料とは、黒色以外の色を呈する有機顔料のことを意味し、赤色顔料、橙色顔料、青色顔料、紫色顔料、緑色顔料、黄色顔料等が挙げられる。
有機顔料の中でも、紫外線吸収性の観点から有機着色顔料を用いることが好ましい。
有機着色顔料は、1種を単独で使用してもよいが、2種以上を併用してもよい。特に、遮光性の用途に用いる場合には、色の異なる有機着色顔料を組み合わせて用いることがより好ましく、黒に近い色を呈する有機着色顔料の組み合わせを用いることがさらに好ましい。
これらの有機顔料の化学構造は特に限定されないが、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、インダンスレン系、ペリレン系等が挙げられる。以下、使用できる顔料の具体例をピグメントナンバーで示す。以下に挙げる「C.I.ピグメントレッド2」等の用語は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
赤色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276を挙げることができる。この中でも、遮光性、分散性の観点から好ましくはC.I.ピグメントレッド48:1、122、149、168、177、179、194、202、206、207、209、224、242、254、さらに好ましくはC.I.ピグメントレッド177、209、224、254を挙げることができる。なお、分散性や遮光性の点で、C.I.ピグメントレッド177、254、272を用いることが好ましく、感光性樹脂組成物を紫外線で硬化させる場合には、赤色顔料としては紫外線吸収率の低いものを使用することが好ましく、係る観点からはC.I.ピグメントレッド254、272を用いることがより好ましい。
橙色(オレンジ)顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ1、2、5、13、16、17、19、20、21、22、23、24、34、36、38、39、43、46、48、49、61、62、64、65、67、68、69、70、71、72、73、74、75、77、78、79を挙げることができる。この中でも分散性や遮光性の観点から、C.I.ピグメントオレンジ13、43、64、72を用いることが好ましく、感光性樹脂組成物を紫外線で硬化させる場合には、オレンジ顔料としては紫外線吸収率の低いものを使用することが好ましく、係る観点からはC.I.ピグメントオレンジ64、72を用いることがより好ましい。
青色顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79を挙げることができる。この中でも、遮光性の観点から、好ましくはC.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、60、さらに好ましくはC.I.ピグメントブルー15:6を挙げることができる。
なお、分散性や遮光性の点で、C.I.ピグメントブルー15:6、16、60を用いることが好ましく、感光性樹脂組成物を紫外線で硬化させる場合には、青色顔料としては紫外線吸収率の低いものを使用することが好ましく、かかる観点からはC.I.ピグメントブルー60を用いることがより好ましい。
紫色顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50を挙げることができる。この中でも、遮光性の観点から、好ましくはC.I.ピグメントバイオレット19、23、さらに好ましくはC.I.ピグメントバイオレット23を挙げることができる。
なお、分散性や遮光性の点で、C.I.ピグメントバイオレット23、29を用いることが好ましく、感光性樹脂組成物を紫外線で硬化させる場合には、紫色顔料としては紫外線吸収率の低いものを使用することが好ましく、係る観点からはC.I.ピグメントバイオレット29を用いることがより好ましい。
赤色顔料、橙色顔料、青色顔料、紫色顔料の他に用いることができる有機着色顔料としては例えば、緑色顔料、黄色顔料などを挙げることができる。
緑色顔料としては、C.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントグリーン7、36を挙げることができる。
黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75、81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、150、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、117、129、138、139、150、154、155、180、185、さらに好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、138、139、150、180を挙げることができる。
これらの中でも、遮光性や、撥インク性の観点から、赤色顔料、橙色顔料、青色顔料及び紫色顔料からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
これらの中でも、遮光性や、撥インク性の観点からは、以下の顔料のうち少なくとも1種以上を含有するものとすることが好ましい。
赤色顔料:C.I.ピグメントレッド177、254、272
橙色顔料:C.I.ピグメントオレンジ43、64、72
青色顔料:C.I.ピグメントブルー15:6、60
紫色顔料:C.I.ピグメントバイオレット23、29
また、有機着色顔料を2種以上併用する場合の、有機着色顔料の組み合わせについては特に限定されないが、遮光性の観点から、赤色顔料及び橙色顔料からなる群から選ばれる少なくとも1種と、青色顔料及び紫色顔料からなる群から選ばれる少なくとも1種とを含有することが好ましい。
なお、色の組み合わせについては特に限定されないが、遮光性の観点からは例えば、赤色顔料と青色顔料の組み合わせ、青色顔料と橙色顔料の組み合わせ、青色顔料と橙色顔料と紫色顔料の組み合わせなどが挙げられる。
また遮光性の観点から、有機黒色顔料を用いることが好ましく、特に、紫外線の吸収を抑制して撥インク性が良好となるとの観点からは、下記一般式(1)で表される化合物(以下、「化合物(1)」ともいう。)、化合物(1)の幾何異性体、化合物(1)の塩、及び化合物(1)の幾何異性体の塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む有機黒色顔料(以下、「一般式(1)で表される有機黒色顔料」と称する場合がある。)を用いることが好ましい。
Figure 2021051235
式(1)中、R11及びR16は各々独立に、水素原子、CH3、CF3、フッ素原子又は塩素原子を表し;
12、R13、R14、R15、R17、R18、R19及びR20は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、R21、COOH、COOR21、COO-、CONH2、CONHR21、CONR2122、CN、OH、OR21、COCR21、OOCNH2、OOCNHR21、OOCNR2122、NO2、NH2、NHR21、NR2122、NHCOR22、NR21COR22、N=CH2、N=CHR21、N=CR2122、SH、SR21、SOR21、SO221、SO321、SO3H、SO3 -、SO2NH2、SO2NHR21又はSO2NR2122を表し;かつ、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R17とR18、R18とR19、及びR19とR20からなる群から選ばれる少なくとも1つの組み合わせは、互いに直接結合することもでき、又は酸素原子、硫黄原子、NH若しくはNR21ブリッジによって互いに結合することもでき;R21及びR22は各々独立に、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数3〜12のシクロアルケニル基又は炭素数2〜12のアルキニル基である。
化合物(1)及び化合物(1)の幾何異性体は、以下のコア構造を有し(ただし、構造式中の置換基は省略している)、トランス−トランス異性体が恐らく最も安定である。
Figure 2021051235
化合物(1)がアニオン性である場合、その電荷を任意の公知の適したカチオン、例えば金属、有機、無機又は金属有機カチオン、具体的にはアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、一級アンモニウム、二級アンモニウム、トリアルキルアンモニウムなどの三級アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなどの四級アンモニウム又は有機金属錯体によって補償した塩であることが好ましい。また、化合物(1)の幾何異性体がアニオン性である場合、同様の塩であることが好ましい。
一般式(1)の置換基及びそれらの定義においては、遮蔽率が高くなる傾向があることから、以下のものが好ましい。これは、以下の置換基は吸収がなく、顔料の色相に影響しないと考えられるからである。
12、R14、R15、R17、R19及びR20は各々独立に、好ましくは水素原子、フッ素原子、又は塩素原子であり、さらに好ましくは水素原子である。
13及びR18は各々独立に、好ましくは水素原子、NO2、OCH3、OC25、臭素原子、塩素原子、CH3、C25、N(CH32、N(CH3)(C25)、N(C252、α−ナフチル、β−ナフチル、SO3H又はSO3 -であり、さらに好ましくは水素原子又はSO3Hであり、特に好ましくは水素原子である。
11及びR16は各々独立に、好ましくは水素原子、CH3又はCF3であり、さらに好ましくは水素原子である。
好ましくは、R11とR16、R12とR17、R13とR18、R14とR19、及びR15とR20からなる群から選ばれる少なくとも1つの組み合わせが同一であり、より好ましくは、R11はR16と同一であり、R12はR17と同一であり、R13はR18と同一であり、R14はR19と同一であり、かつ、R15はR20と同一である。
炭素数1〜12のアルキル基は、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、2−メチルブチル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、2,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基又はドデシル基である。
炭素数3〜12のシクロアルキル基は、例えば、シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、トリメチルシクロヘキシル基、ツジル基、ノルボルニル基、ボルニル基、ノルカリル基、カリル基、メンチル基、ノルピニル基、ピニル基、アダマンタン−1−イル基又はアダマンタン−2−イル基である。
炭素数2〜12のアルケニル基は、例えば、ビニル基、アリル基、2−プロペン−2−イル基、2−ブテン−1−イル基、3−ブテン−1−イル基、1,3−ブタジエン−2−イル基、2−ペンテン−1−イル基、3−ペンテン−2−イル基、2−メンチル−1−ブテン−3−イル基、2−メチル−3−ブテン−2−イル基、3−メチル−2−ブテン−1−イル基、1,4−ペンタジエン−3−イル基、ヘキセニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基又はドデセニル基である。
炭素数3〜12のシクロアルケニル基は、例えば、2−シクロブテン−1−イル基、2−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基、3−シクロヘキセン−1−イル基、2,4−シクロヘキサジエン−1−イル基、1−p−メンテン−8−イル基、4(10)−ツジェン−10−イル基、2−ノルボルネン−1−イル基、2,5−ノルボルナジエン−1−イル基、7,7−ジメチル−2,4−ノルカラジエン−3−イル基又はカンフェニル基である。
炭素数2〜12のアルキニル基は、例えば、1−プロピン−3−イル基、1−ブチン−4−イル基、1−ペンチン−5−イル基、2−メチル−3−ブチン−2−イル基、1,4−ペンタジイン−3−イル基、1,3−ペンタジイン−5−イル基、1−ヘキシン−6−イル基、シス−3−メチル−2−ペンテン−4−イン−1−イル基、トランス−3−メチル−2−ペンテン−4−イン−1−イル基、1,3−ヘキサジイン−5−イル基、1−オクチン−8−イル基、1−ノニン−9−イル基、1−デシン−10−イル基又は1−ドデシン−12−イル基である。
ハロゲン原子は、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。
前記一般式(1)で表される有機黒色顔料は、好ましくは下記一般式(2)で表される化合物(以下、「化合物(2)」ともいう。)、及び化合物(2)の幾何異性体からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む有機黒色顔料である。
Figure 2021051235
このような有機黒色顔料の具体例としては、商品名で、Irgaphor(登録商標) Black S 0100 CF(BASF社製)が挙げられる。
この有機黒色顔料は、好ましくは後述される分散剤、溶剤、方法によって分散して使用される。また、分散の際に化合物(1)のスルホン酸誘導体、特に化合物(2)のスルホン酸誘導体が存在すると、分散性や保存性が向上する場合があるため、有機黒色顔料がこれらのスルホン酸誘導体を含むことが好ましい。
前記一般式(1)で表される有機黒色顔料以外の有機黒色顔料としては、例えば、アニリンブラックやペリレンブラック等が挙げられる。
さらに、これらの有機顔料以外の着色剤としては、無機黒色顔料が挙げられる。また有機顔料に加えて、さらに無機黒色顔料を用いてもよい。
無機黒色顔料としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、鉄黒、シアニンブラック、チタンブラック等が挙げられる。これらの中でも、遮光性の観点からカーボンブラックを好ましく用いることができる。カーボンブラックの例としては、以下のようなカーボンブラックが挙げられる。
三菱ケミカル社製:MA7、MA8、MA11、MA77、MA100、MA100R、MA100S、MA220、MA230、MA600、MCF88、#5、#10、#20、#25、#30、#32、#33、#40、#44、#45、#47、#50、#52、#55、#650、#750、#850、#900、#950、#960、#970、#980、#990、#1000、#2200、#2300、#2350、#2400、#2600、#2650、#3030、#3050、#3150、#3250、#3400、#3600、#3750、#3950、#4000、#4010、OIL7B、OIL9B、OIL11B、OIL30B、OIL31B
デグサ社製:Printex(登録商標、以下同じ。)3、Printex3OP、Printex30、Printex30OP、Printex40、Printex45、Printex55、Printex60、Printex75、Printex80、Printex85、Printex90、Printex A、Printex L、Printex G、Printex P、Printex U、Printex V、PrintexG、SpecialBlack550、SpecialBlack350、SpecialBlack250、SpecialBlack100、SpecialBlack6、SpecialBlack5、SpecialBlack4、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW18、Color Black FW200、Color Black S160、Color Black S170
キャボット社製:Monarch(登録商標、以下同じ。)120、Monarch280、Monarch460、Monarch800、Monarch880、Monarch900、Monarch1000、Monarch1100、Monarch1300、Monarch1400、Monarch4630、REGAL(登録商標、以下同じ。)99、REGAL99R、REGAL415、REGAL415R、REGAL250、REGAL250R、REGAL330、REGAL400R、REGAL55R0、REGAL660R、BLACK PEARLS480、PEARLS130、VULCAN(登録商標、以下同じ。) XC72R、ELFTEX(登録商標)−8
ビルラー社製:RAVEN(登録商標、以下同じ。)11、RAVEN14、RAVEN15、RAVEN16、RAVEN22RAVEN30、RAVEN35、RAVEN40、RAVEN410、RAVEN420、RAVEN450、RAVEN500、RAVEN780、RAVEN850、RAVEN890H、RAVEN1000、RAVEN1020、RAVEN1040、RAVEN1060U、RAVEN1080U、RAVEN1170、RAVEN1190U、RAVEN1250、RAVEN1500、RAVEN2000、RAVEN2500U、RAVEN3500、RAVEN5000、RAVEN5250、RAVEN5750、RAVEN7000
カーボンブラックは、樹脂で被覆されたものを使用してもよい。樹脂で被覆されたカーボンブラックを使用すると、ガラス基板への密着性や体積抵抗値が向上する効果がある。樹脂で被覆されたカーボンブラックとしては、例えば日本国特開平09−71733号公報に記載されているカーボンブラック等が好適に使用できる。体積抵抗や誘電率の点で、樹脂被覆カーボンブラックが好適に用いられる。
樹脂による被覆処理に供するカーボンブラックとしては、NaとCaの合計含有量が100ppm以下であることが好ましい。カーボンブラックは、通常、製造時の原料油や燃焼油(又はガス)、反応停止水や造粒水、さらには反応炉の炉材等から混入したNaやCa、K、Mg、Al、Fe等を組成とする灰分が含有されている。この内、NaやCaは、各々数百ppm以上含有されていることが一般的であるが、これらを少なくすることで、透明電極(ITO)やその他の電極への浸透を抑制して、電気的短絡を防止できる傾向がある。
これらのNaやCaを含む灰分の含有量を低減する方法としては、カーボンブラックを製造する際の原料油や燃料油(又はガス)並びに反応停止水として、これらの含有量が極力少ない物を厳選すること及びストラクチャーを調整するアルカリ物質の添加量を極力少なくすることにより可能である。他の方法としては、炉から製出したカーボンブラックを水や塩酸等で洗いNaやCaを溶解し除去する方法が挙げられる。
具体的にはカーボンブラックを水、塩酸、又は過酸化水素水に混合分散させた後、水に難溶の溶媒を添加していくとカーボンブラックは溶媒側に移行し、水と完全に分離すると共にカーボンブラック中に存在した殆どのNaやCaは、水や酸に溶解、除去される。NaとCaの合計量を100ppm以下に低減するためには、原材料を厳選したカーボンブラック製造過程単独、又は水や酸溶解方式単独でも可能な場合もあるが、この両方式を併用することによりさらに容易にNaとCaの合計量を100ppm以下とすることができる。
また樹脂被覆カーボンブラックは、pH6以下のいわゆる酸性カーボンブラックであることが好ましい。水中での分散径(アグロメレート径)が小さくなるので、微細ユニットまでの被覆が可能となり好適である。さらに平均粒子径40nm以下、ジブチルフタレート(DBP)吸収量140mL/100g以下であることが好ましい。前記範囲内とすることで、遮光性の良好な塗膜が得られる傾向がある。平均粒子径は数平均粒子径を意味し、電子顕微鏡観察により数万倍で撮影された写真を数視野撮影し、これらの写真の粒子を画像処理装置により2000〜3000個程度計測する粒子画像解析により求められる円相当径を意味する。
樹脂で被覆されたカーボンブラックを調製する方法には特に限定がないが、例えばカーボンブラック及び樹脂の配合量を適宜調整した後、1.樹脂とシクロヘキサノン、トルエン、キシレンなどの溶剤とを混合して加熱溶解させた樹脂溶液と、カーボンブラック及び水を混合した懸濁液とを混合撹拌し、カーボンブラックと水とを分離させた後、水を除去して加熱混練して得られた組成物をシート状に成形し、粉砕した後、乾燥させる方法;2.前記と同様にして調製した樹脂溶液と懸濁液とを混合撹拌してカーボンブラック及び樹脂を粒状化した後、得られた粒状物を分離、加熱して残存する溶剤及び水を除去する方法;3.前記例示した溶剤にマレイン酸、フマル酸などのカルボン酸を溶解させ、カーボンブラックを添加、混合して乾燥させ、溶剤を除去してカルボン酸添着カーボンブラックを得た後、これに樹脂を添加してドライブレンドする方法;4.被覆させる樹脂を構成する反応性基含有モノマー成分と水とを高速撹拌して懸濁液を調製し、重合後冷却して重合体懸濁液から反応性基含有樹脂を得た後、これにカーボンブラックを添加して混練し、カーボンブラックと反応性基とを反応させ(カーボンブラックをグラフトさせ)、冷却及び粉砕する方法などを採用することができる。
被覆処理する樹脂の種類も特に限定されるものではないが、合成樹脂が一般的であり、さらに構造の中にベンゼン環を有する樹脂の方が両性系界面活性剤的な働きがより強いため、分散性及び分散安定性の点から好ましい。
具体的な合成樹脂としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、グリプタル樹脂、エポキシ樹脂、アルキルベンゼン樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンオキサイド、ポリスルフォン、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアミノビスマレイミド、ポリエーテルスルフォポリフェニレンスルフォン、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、等の熱可塑性樹脂が使用できる。被覆樹脂の量は、カーボンブラックと樹脂の合計量に対し1〜30質量%が好ましい。前記下限値以上とすることで被覆を十分なものとすることができる傾向がある。一方、前記上限値以下とすることで、樹脂同士の粘着を防ぎ、分散性が良好なものとすることができる傾向がある。
このようにして樹脂で被覆処理してなるカーボンブラックは、常法に従い着色隔壁の着色剤として用いることができる。このようなカーボンブラックを用いると、高遮光率でかつ表面反射率が低い着色隔壁が低コストで形成できる傾向がある。また、カーボンブラック表面を樹脂で被覆したことにより、NaやCaを含む灰分をカーボンブラック中に封じ込める働きがあることも推測される。
これらの有機顔料、無機顔料は、平均粒子径が通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下、さらに好ましくは0.25μm以下となるよう、分散して用いることが好ましい。ここで平均粒子径の基準は顔料粒子の数である。
また、顔料の平均粒子径は、動的光散乱(DLS)により測定された顔料粒子径から求めた値である。粒子径測定は、十分に希釈された感光性樹脂組成物(通常は希釈して、顔料濃度0.005〜0.2質量%程度に調製する。但し、測定機器により推奨された濃度があれば、その濃度に従う。)に対して行い、25℃にて測定する。
また、上述の有機顔料、無機黒色顔料の他に、染料を使用してもよい。着色剤として使用できる染料としては、アゾ系染料、アントラキノン系染料、フタロシアニン系染料、キノンイミン系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、カルボニル系染料、メチン系染料等が挙げられる。
アゾ系染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー11、C.I.アシッドオレンジ7、C.I.アシッドレッド37、C.I.アシッドレッド180、C.I.アシッドブルー29、C.I.ダイレクトレッド28、C.I.ダイレクトレッド83、C.I.ダイレクトイエロー12、C.I.ダイレクトオレンジ26、C.I.ダイレクトグリーン28、C.I.ダイレクトグリーン59、C.I.リアクティブイエロー2、C.I.リアクティブレッド17、C.I.リアクティブレッド120、C.I.リアクティブブラック5、C.I.ディスパースオレンジ5、C.I.ディスパースレッド58、C.I.ディスパースブルー165、C.I.ベーシックブルー41、C.I.ベーシックレッド18、C.I.モルダントレッド7、C.I.モルダントイエロー5、C.I.モルダントブラック7等が挙げられる。
アントラキノン系染料としては、例えば、C.I.バットブルー4、C.I.アシッドブルー40、C.I.アシッドグリーン25、C.I.リアクティブブルー19、C.I.リアクティブブルー49、C.I.ディスパースレッド60、C.I.ディスパースブルー56、C.I.ディスパースブルー60等が挙げられる。
この他、フタロシアニン系染料として、例えば、C.I.パッドブルー5等が、キノンイミン系染料として、例えば、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー9等が、キノリン系染料として、例えば、C.I.ソルベントイエロー33、C.I.アシッドイエロー3、C.I.ディスパースイエロー64等が、ニトロ系染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー1、C.I.アシッドオレンジ3、C.I.ディスパースイエロー42等が挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物が(E)着色剤を含む場合、全固形分中に占める(E)着色剤の含有割合は特に限定されないが、通常1質量%以上であり、3質量%以上が好ましく、4質量%以上がより好ましい。また通常30質量%以下であり、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、12質量%以下がさらに好ましく、10質量%以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで遮光性を確保出来る傾向があり、また前記上限値以下とすることでアルカリ可溶性樹脂、エチレン性不飽和化合物を相対的に増やせるため、塗膜の硬化性、撥インク性が向上する傾向がある。
[1−1−6](F)成分;分散剤
本発明の感光性樹脂組成物が(E)着色剤を含有する場合、(E)着色剤を微細に分散させ、かつその分散状態を安定化させるため、(F)分散剤を含むことが好ましい。
(F)分散剤としては、官能基を有する高分子分散剤が好ましく、さらに、分散安定性の面からカルボキシル基;リン酸基;スルホン酸基;又はこれらの塩基;一級、二級又は三級アミノ基;四級アンモニウム塩基;ピリジン、ピリミジン、ピラジン等の含窒素ヘテロ環由来の基、等の官能基を有する高分子分散剤が好ましい。中でも特に、一級、二級又は三級アミノ基;四級アンモニウム塩基;ピリジン、ピリミジン、ピラジン等の含窒素ヘテロ環由来の基、等の塩基性官能基を有する高分子分散剤が顔料を分散する際に少量の分散剤で分散することができるとの観点から特に好ましい。
また、高分子分散剤としては、例えばウレタン系分散剤、アクリル系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリアリルアミン系分散剤、アミノ基を持つモノマーとマクロモノマーからなる分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレンジエステル系分散剤、ポリエーテルリン酸系分散剤、ポリエステルリン酸系分散剤、ソルビタン脂肪族エステル系分散剤、脂肪族変性ポリエステル系分散剤等を挙げることができる。
このような分散剤の具体例としては、商品名で、EFKA(登録商標。BASF社製。)、DISPERBYK(登録商標。ビックケミー社製。)、ディスパロン(登録商標。楠本化成社製。)、SOLSPERSE(登録商標。ルーブリゾール社製。)、KP(信越化学工業社製)、ポリフロー(共栄社化学社製)、アジスパー(登録商標。味の素社製。)等を挙げることができる。
これらの高分子分散剤は1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を併用してもよい。
高分子分散剤の重量平均分子量(Mw)は通常700以上、好ましくは1000以上であり、また通常100,000以下、好ましくは50,000以下である。
これらの内、顔料の分散性の観点から、(F)分散剤は官能基を有するウレタン系高分子分散剤及び/又はアクリル系高分子分散剤を含むことが好ましく、アクリル系高分子分散剤を含むことが特に好ましい。
また分散性、保存性の面から、塩基性官能基を有し、ポリエステル結合及び/又はポリエーテル結合を有する高分子分散剤が好ましい。
ウレタン系及びアクリル系高分子分散剤としては、例えばDISPERBYK−160〜167、182シリーズ(いずれもウレタン系)、DISPERBYK−2000、2001、BYK−LPN21116等(いずれもアクリル系)(以上すべてビックケミー社製)が挙げられる。
ウレタン系高分子分散剤として好ましい化学構造を具体的に例示するならば、例えば、ポリイソシアネート化合物と、分子内に水酸基を1個又は2個有する数平均分子量300〜10,000の化合物と、同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物とを反応させることによって得られる、重量平均分子量1,000〜200,000の分散樹脂等が挙げられる。これらをベンジルクロリド等の四級化剤で処理することで、3級アミノ基の全部又は一部を4級アンモニウム塩基にすることができる。
上記のポリイソシアネート化合物の例としては、パラフェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、ω,ω’−ジイソシネートジメチルシクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニルメタン)、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート等のトリイソシアネート、及びこれらの三量体、水付加物、及びこれらのポリオール付加物等が挙げられる。ポリイソシアネートとして好ましいのは有機ジイソシアネートの三量体で、最も好ましいのはトリレンジイソシアネートの三量体とイソホロンジイソシアネートの三量体である。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
イソシアネートの三量体の製造方法としては、前記ポリイソシアネート類を適当な三量化触媒、例えば第3級アミン類、ホスフィン類、アルコキシド類、金属酸化物、カルボン酸塩類等を用いてイソシアネート基の部分的な三量化を行い、触媒毒の添加により三量化を停止させた後、未反応のポリイソシアネートを溶剤抽出、薄膜蒸留により除去して目的のイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートを得る方法が挙げられる。
同一分子内に水酸基を1個又は2個有する数平均分子量300〜10,000の化合物としては、ポリエーテルグリコール、ポリエステルグリコール、ポリカーボネートグリコール、ポリオレフィングリコール等、及びこれらの化合物の片末端水酸基が炭素数1〜25のアルキル基でアルコキシ化されたもの及びこれら2種類以上の混合物が挙げられる。
ポリエーテルグリコールとしては、ポリエーテルジオール、ポリエーテルエステルジオール、及びこれら2種類以上の混合物が挙げられる。ポリエーテルジオールとしては、アルキレンオキシドを単独又は共重合させて得られるもの、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン−プロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシヘキサメチレングリコール、ポリオキシオクタメチレングリコール及びそれらの2種以上の混合物が挙げられる。
ポリエーテルエステルジオールとしては、エーテル基含有ジオールもしくは他のグリコールとの混合物をジカルボン酸又はそれらの無水物と反応させるか、又はポリエステルグリコールにアルキレンオキシドを反応させることによって得られるもの、例えばポリ(ポリオキシテトラメチレン)アジペート等が挙げられる。ポリエーテルグリコールとして最も好ましいのはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール又はこれらの化合物の片末端水酸基が炭素数1〜25のアルキル基でアルコキシ化された化合物である。
ポリエステルグリコールとしては、ジカルボン酸(コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸等)又はそれらの無水物とグリコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、1,8−オクタメチレングリコール、2−メチル−1,8−オクタメチレングリコール、1,9−ノナンジオール等の脂肪族グリコール、ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン等の脂環族グリコール、キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香族グリコール、N−メチルジエタノールアミン等のN−アルキルジアルカノールアミン等)とを重縮合させて得られたもの、例えばポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリエチレン/プロピレンアジペート等、又は前記ジオール類又は炭素数1〜25の1価アルコールを開始剤として用いて得られるポリラクトンジオール又はポリラクトンモノオール、例えばポリカプロラクトングリコール、ポリメチルバレロラクトン及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。ポリエステルグリコールとして最も好ましいのはポリカプロラクトングリコール又は炭素数1〜25のアルコールを開始剤としたポリカプロラクトンである。
ポリカーボネートグリコールとしては、ポリ(1,6−ヘキシレン)カーボネート、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレン)カーボネート等、ポリオレフィングリコールとしてはポリブタジエングリコール、水素添加型ポリブタジエングリコール、水素添加型ポリイソプレングリコール等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
同一分子内に水酸基を1個又は2個有する化合物の数平均分子量は、通常300〜10,000、好ましくは500〜6,000、さらに好ましくは1,000〜4,000である。
本発明に用いられる同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物を説明する。
活性水素、即ち、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子に直接結合している水素原子としては、水酸基、アミノ基、チオール基等の官能基中の水素原子が挙げられ、中でもアミノ基、特に1級のアミノ基の水素原子が好ましい。
3級アミノ基は、特に限定されないが、例えば炭素数1〜4のアルキル基を有するアミノ基、又はヘテロ環構造、より具体的にはイミダゾール環又はトリアゾール環、などが挙げられる。
このような同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物を例示するならば、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジプロピル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジブチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジプロピルエチレンジアミン、N,N−ジブチルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジエチル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジプロピル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジブチル−1,4−ブタンジアミン等が挙げられる。
また、3級アミノ基が含窒素ヘテロ環構造である場合の該含窒素ヘテロ環としては、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、インドール環、カルバゾール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチアジアゾール環等の含窒素ヘテロ5員環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、アクリジン環、イソキノリン環等の含窒素ヘテロ6員環が挙げられる。これらの含窒素ヘテロ環のうち好ましいものはイミダゾール環又はトリアゾール環である。
これらのイミダゾール環とアミノ基を有する化合物を具体的に例示するならば、1−(3−アミノプロピル)イミダゾール、ヒスチジン、2−アミノイミダゾール、1−(2−アミノエチル)イミダゾール等が挙げられる。また、トリアゾール環とアミノ基を有する化合物を具体的に例示するならば、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、5−(2−アミノ−5−クロロフェニル)−3−フェニル−1H−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−4H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジオール、3−アミノ−5−フェニル−1H−1,3,4−トリアゾール、5−アミノ−1,4−ジフェニル−1,2,3−トリアゾール、3−アミノ−1−ベンジル−1H−2,4−トリアゾール等が挙げられる。中でも、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、1−(3−アミノプロピル)イミダゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾールが好ましい。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ウレタン系高分子分散剤を製造する際の原料の好ましい配合比率はポリイソシアネート化合物100質量部に対し、同一分子内に水酸基を1個又は2個有する数平均分子量300〜10,000の化合物が10〜200質量部、好ましくは20〜190質量部、さらに好ましくは30〜180質量部、同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物が0.2〜25質量部、好ましくは0.3〜24質量部である。
ウレタン系高分子分散剤の製造はポリウレタン樹脂製造の公知の方法に従って行われる。製造する際の溶媒としては、通常、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸セロソルブ等のエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素類、ダイアセトンアルコール、イソプロパノール、第二ブタノール、第三ブタノール等一部のアルコール類、塩化メチレン、クロロホルム等の塩化物、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキサイド等の非プロトン性極性溶媒等が用いられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記製造に際して、通常、ウレタン化反応触媒が用いられる。この触媒としては、例えば、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジブチルチンジオクトエート、スタナスオクトエート等の錫系、鉄アセチルアセトナート、塩化第二鉄等の鉄系、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の3級アミン系等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物の導入量は反応後のアミン価で1〜100mgKOH/gの範囲に制御することが好ましい。より好ましくは5〜95mgKOH/gの範囲である。アミン価は、塩基性アミノ基を酸により中和滴定し、酸価に対応させてKOHのmg数で表した値である。前記下限値以上とすることで分散能力が良化する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性が良化する傾向がある。
なお、以上の反応で高分子分散剤にイソシアネート基が残存する場合にはさらに、アルコールやアミノ化合物でイソシアネート基を潰すと生成物の経時安定性が高くなるので好ましい。
ウレタン系高分子分散剤の重量平均分子量(Mw)は通常1000〜200000、好ましくは2000〜100000、より好ましくは3000〜50000の範囲である。前記下限値以上とすることで分散性及び分散安定性が良化する傾向があり、前記上限値以下とすることで溶解性が向上し分散性が良化する傾向がある。
アクリル系高分子分散剤としては、官能基(ここでいう官能基とは、高分子分散剤に含有される官能基として前述した官能基である。)を有する不飽和基含有単量体と、官能基を有さない不飽和基含有単量体とのランダム共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体を使用することが好ましい。これらの共重合体は公知の方法で製造することができる。
官能基を有する不飽和基含有単量体としては、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、アクリル酸ダイマー等のカルボキシル基を有する不飽和単量体、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びこれらの4級化物などの3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有する不飽和単量体が具体例として挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
官能基を有さない不飽和基含有単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカン(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、スチレン及びその誘導体、α−メチルスチレン、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ベンジルマレイミドなどのN−置換マレイミド、アクリロニトリル、酢酸ビニル及びポリメチル(メタ)アクリレートマクロモノマー、ポリスチレンマクロモノマー、ポリ2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートマクロモノマー、ポリエチレングリコールマクロモノマー、ポリプロピレングリコールマクロモノマー、ポリカプロラクトンマクロモノマーなどのマクロモノマー等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アクリル系高分子分散剤は、特に好ましくは、官能基を有するAブロックと官能基を有さないBブロックからなるA−B又はB−A−Bブロック共重合体であるが、この場合、Aブロック中には上記官能基を含む不飽和基含有単量体由来の部分構造の他に、上記官能基を含まない不飽和基含有単量体由来の部分構造が含まれていてもよく、これらが該Aブロック中においてランダム共重合又はブロック共重合のいずれの態様で含有されていてもよい。また、官能基を含まない部分構造の、Aブロック中の含有量は、通常80質量%以下であり、好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。
Bブロックは、上記官能基を含まない不飽和基含有単量体由来の部分構造からなるものであるが、1つのBブロック中に2種以上の単量体由来の部分構造が含有されていてもよく、これらは、該Bブロック中においてランダム共重合又はブロック共重合のいずれの態様で含有されていてもよい。
該A−B又はB−A−Bブロック共重合体は、例えば、以下に示すリビング重合法にて調製される。
リビング重合法には、アニオンリビング重合法、カチオンリビング重合法、ラジカルリビング重合法があり、このうち、アニオンリビング重合法は、重合活性種がアニオンであり、例えば下記スキームで表される。
Figure 2021051235
上記スキーム中、Ar1は1価の有機基であり、Ar2はAr1とは異なる1価の有機基であり、Mは金属原子であり、s及びtはそれぞれ1以上の整数である。
ラジカルリビング重合法は重合活性種がラジカルであり、例えば下記スキームで示される。
Figure 2021051235
上記スキーム中、Ar1は1価の有機基であり、Ar2はAr1とは異なる1価の有機基であり、j及びkはそれぞれ1以上の整数であり、Raは水素原子又は1価の有機基であり、RbはRaとは異なる水素原子又は1価の有機基である。
このアクリル系高分子分散剤を合成するに際しては、日本国特開平9−62002号公報や、P.Lutz, P.Masson et al, Polym. Bull. 12, 79 (1984), B.C.Anderson, G.D.Andrews et al, Macromolecules, 14, 1601(1981), K.Hatada, K.Ute,et al, Polym. J. 17, 977(1985), 18, 1037(1986), 右手浩一、畑田耕一、高分子加工、36, 366(1987),東村敏延、沢本光男、高分子論文集、46, 189(1989), M.Kuroki, T.Aida, J. Am. Chem. Sic, 109, 4737(1987)、相田卓三、井上祥平、有機合成化学、43, 300(1985), D.Y.Sogoh, W.R.Hertler et al, Macromolecules, 20, 1473(1987)などに記載の公知の方法を採用することができる。
本発明で用いることができるアクリル系高分子分散剤はA−Bブロック共重合体であっても、B−A−Bブロック共重合体であってもよく、その共重合体を構成するAブロック/Bブロック比は1/99〜80/20、特に5/95〜60/40(質量比)であることが好ましく、この範囲内にすることで分散性と保存安定性のバランスの確保ができる傾向がある。
また、本発明で用いることができるA−Bブロック共重合体、B−A−Bブロック共重合体1g中の4級アンモニウム塩基の量は、通常0.1〜10mmolであることが好ましく、この範囲内にすることで良好な分散性を確保できる傾向がある。
なお、このようなブロック共重合体中には、通常、製造過程で生じたアミノ基が含有される場合があるが、そのアミン価は1〜100mgKOH/g程度であり、分散性の観点から、好ましくは10mgKOH/g以上、より好ましくは30mgKOH/g以上、さらに好ましくは50mgKOH/g以上、また、好ましくは90mgKOH/g以下、より好ましくは80mgKOH/g以下、さらに好ましくは75mgKOH/g以下である。
ここで、これらのブロック共重合体等の分散剤のアミン価は、分散剤試料中の溶剤を除いた固形分1gあたりの塩基量と当量のKOHの質量で表し、次の方法により測定する。
100mLのビーカーに分散剤試料の0.5〜1.5gを精秤し、50mLの酢酸で溶解する。pH電極を備えた自動滴定装置を使って、この溶液を0.1mol/LのHClO4酢酸溶液にて中和滴定する。滴定pH曲線の変曲点を滴定終点とし次式によりアミン
価を求める。
アミン価[mgKOH/g]=(561×V)/(W×S)〔但し、W:分散剤試料秤取量[g]、V:滴定終点での滴定量[mL]、S:分散剤試料の固形分濃度[質量%]を表す。〕
また、このブロック共重合体の酸価は、該酸価の元となる酸性基の有無及び種類にもよるが、一般に低い方が好ましく、通常10mgKOH/g以下であり、その重量平均分子量(Mw)は、1000〜100,000の範囲が好ましい。前記範囲内とすることで良好な分散性を確保できる傾向がある。
4級アンモニウム塩基を官能基として有する場合、高分子分散剤の具体的な構造については特に限定されないが、分散性の観点からは、下記式(i)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(i)」ということがある。)を有することが好ましい。
Figure 2021051235
上記式(i)中、R31〜R33は各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表し;
31〜R33のうち2つ以上が互いに結合して環状構造を形成してもよく;
34は水素原子又はメチル基であり;
Xは2価の連結基であり;
-は対アニオンである。
上記式(i)のR31〜R33における、置換基を有していてもよいアルキル基の炭素数は特に限定されないが、1以上であって、また、10以下であることが好ましく、6以下であることがより好ましい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などが挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、又はヘキシル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、又はブチル基であることがより好ましい。また、直鎖状、分枝状のいずれであってもよい。また、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基などの環状構造を含んでもよい。
上記式(i)のR31〜R33における、置換基を有していてもよいアリール基の炭素数は特に限定されないが、通常6以上であり、また、16以下であることが好ましく、12以下であることがより好ましい。アリール基の具体例としては、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ジエチルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などが挙げられ、これらの中でもフェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、又はジエチルフェニル基であることが好ましく、フェニル基、メチルフェニル基、又はエチルフェニル基であることがより好ましい。
上記式(i)のR31〜R33における、置換基を有していてもよいアラルキル基の炭素数は特に限定されないが、通常7以上であり、また、16以下であることが好ましく、12以下であることがより好ましい。アラルキル基の具体例としては、フェニルメチル基(ベンジル基)、フェニルエチル基(フェネチル基)、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルイソプロピル基などが挙げられ、これらの中でも、フェニルメチル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、又はフェニルブチル基であることが好ましく、フェニルメチル基、又はフェニルエチル基であることがより好ましい。
これらの中でも、分散性の観点から、R31〜R33が各々独立に、アルキル基、又はアラルキル基であることが好ましく、具体的には、R31及びR33が各々独立に、メチル基、又はエチル基であり、かつ、R32がフェニルメチル基、又はフェニルエチル基であることが好ましく、R31及びR33がメチル基であり、かつ、R32がフェニルメチル基であることがさらに好ましい。
また、前記高分子分散剤が官能基として3級アミンを有する場合、分散性の観点からは、下記式(ii)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(ii)」ということがある。)を有することが好ましい。
Figure 2021051235
上記式(ii)中、R35及びR36は各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基であり;
35及びR36が互いに結合して環状構造を形成してもよく;
37は水素原子又はメチル基であり;
Zは2価の連結基である。
上記式(ii)のR35及びR36における、置換基を有していてもよいアルキル基としては、上記式(i)のR31〜R33として例示したものを好ましく採用することができる。
上記式(ii)のR35及びR36における、置換基を有していてもよいアリール基としては、上記式(i)のR31〜R33として例示したものを好ましく採用することができる。
上記式(ii)のR35及びR36における、置換基を有していてもよいアラルキル基としては、上記式(i)のR31〜R33として例示したものを好ましく採用することができる。
これらの中でも、R35及びR36が各々独立に、置換基を有していてもよいアルキル基であることが好ましく、メチル基、又はエチル基であることがより好ましい。
上記式(i)のR31〜R33及び上記式(ii)のR35及びR36におけるアルキル基、アラルキル基又はアリール基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、ベンゾイル基、水酸基などが挙げられる。
上記式(i)及び(ii)において、2価の連結基X及びZとしては、例えば、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基、−CONH−R43−基、−COOR44−基〔但し、R43及びR44は単結合、炭素数1〜10のアルキレン基、又は炭素数2〜10のエーテル基(アルキルオキシアルキル基)である〕等が挙げられ、好ましくは−COO−R44−基である。
また、上記式(i)において、対アニオンのY-としては、Cl-、Br-、I-、ClO4 -、BF4 -、CH3COO-、PF6 -等が挙げられる。
前記式(i)で表される繰り返し単位の含有割合は特に限定されないが、分散性の観点から、前記式(i)で表される繰り返し単位の含有割合と前記式(ii)で表される繰り返し単位の含有割合の合計に対して、好ましくは60モル%以下であり、より好ましくは50モル%以下であり、さらに好ましくは40モル%以下であり、特に好ましくは35モル%以下であり、また、好ましくは5モル%以上であり、より好ましくは10モル%以上であり、さらに好ましくは20モル%以上であり、特に好ましくは30モル%以上である。
また、高分子分散剤の全繰り返し単位に占める前記式(i)で表される繰り返し単位の含有割合は特に限定されないが、分散性の観点から、1モル%以上であることが好ましく、5モル%以上であることがより好ましく、10モル%以上であることがさらに好ましく、また、50モル%以下であることが好ましく、30モル%以下であることがより好ましく、20モル%以下であることがさらに好ましく、15モル%以下であることが特に好ましい。
また、高分子分散剤の全繰り返し単位に占める前記式(ii)で表される繰り返し単位の含有割合は特に限定されないが、分散性の観点から、5モル%以上であることが好ましく、10モル%以上であることがより好ましく、15モル%以上であることがさらに好ましく、20モル%以上であることが特に好ましく、また、60モル%以下であることが好ましく、40モル%以下であることがより好ましく、30モル%以下であることがさらに好ましく、25モル%以下であることが特に好ましい。
また、高分子分散剤は、溶媒等のバインダー成分に対する相溶性を高め、分散安定性を向上させるとの観点から、下記式(iii)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(iii)」ということがある。)を有することが好ましい。
Figure 2021051235
上記式(iii)中、R40はエチレン基又はプロピレン基であり;R41は置換基を有していてもよいアルキル基であり;R42は水素原子又はメチル基であり;nは1〜20の整数である。
上記式(iii)のR41における、置換基を有していてもよいアルキル基の炭素数は特に限定されないが、1以上であって、2以上であることが好ましく、また、10以下であることが好ましく、6以下であることがより好ましい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などが挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、又はヘキシル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、又はブチル基であることがより好ましい。また、直鎖状、分枝状のいずれであってもよい。また、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基などの環状構造を含んでもよい。
また、上記式(iii)におけるnは溶媒等バインダー成分に対する相溶性と分散性の観点から、1以上であって、2以上であることが好ましく、また、10以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましい。
また、高分子分散剤の全繰り返し単位に占める前記式(iii)で表される繰り返し単位の含有割合は特に限定されないが、1モル%以上であることが好ましく、2モル%以上であることがより好ましく、4モル%以上であることがさらに好ましく、また、30モル%以下であることが好ましく、20モル%以下であることがより好ましく、10モル%以下であることがさらに好ましい。前記範囲内の場合には溶媒等バインダー成分に対する相溶性と分散安定性の両立が可能となる傾向がある。
また、高分子分散剤は、分散剤の溶媒等バインダー成分に対する相溶性を高め、分散安定性を向上させるという観点から、下記式(iv)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(iv)」ということがある。)を有することが好ましい。
Figure 2021051235
上記式(iv)中、R38は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基であり;R39は水素原子又はメチル基である。
上記式(iv)のR38における、置換基を有していてもよいアルキル基の炭素数は特に限定されないが、1以上であって、2以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましく、また、10以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などが挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、又はヘキシル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、又はブチル基であることがより好ましい。また、直鎖状、分枝状のいずれであってもよい。また、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基などの環状構造を含んでもよい。
上記式(iv)のR38における、置換基を有していてもよいアリール基の炭素数は特に限定されないが、通常6以上であり、また、16以下であることが好ましく、12以下であることがより好ましく、8以下であることがさらに好ましい。アリール基の具体例としては、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ジエチルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などが挙げられ、これらの中でもフェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、又はジエチルフェニル基であることが好ましく、フェニル基、メチルフェニル基、又はエチルフェニル基であることがより好ましい。
上記式(iv)のR38における、置換基を有していてもよいアラルキル基の炭素数は特に限定されないが、通常7以上であり、また、16以下であることが好ましく、12以下であることがより好ましく、10以下であることがさらに好ましい。アラルキル基の具体例としては、フェニルメチル基(ベンジル基)、フェニルエチル基(フェネチル基)、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルイソプロピル基などが挙げられ、これらの中でも、フェニルメチル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、又はフェニルブチル基であることが好ましく、フェニルメチル基、又はフェニルエチル基であることがより好ましい。
これらの中でも、溶剤相溶性と分散安定性の観点から、R38がアルキル基、又はアラルキル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、又はフェニルメチル基であることがより好ましい。
38における、アルキル基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基等が挙げられる。また、アリール基又はアラルキル基が有していてもよい置換基としては、鎖状のアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基等が挙げられる。また、R38で示される鎖状のアルキル基には、直鎖状及び分岐鎖状のいずれも含まれる。
また、高分子分散剤の全繰り返し単位に占める前記式(iv)で表される繰り返し単位の含有割合は、分散性の観点から、30モル%以上であることが好ましく、40モル%以上であることがより好ましく、50モル%以上であることがさらに好ましく、また、80モル%以下であることが好ましく、70モル%以下であることがより好ましい。
高分子分散剤は、繰り返し単位(i)、繰り返し単位(ii)、繰り返し単位(iii)及び繰り返し単位(iv)以外の繰り返し単位を有していてもよい。そのような繰り返し単位の例としては、スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸クロリドなどの(メタ)アクリル酸塩系単量体;(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド系単量体;酢酸ビニル;アクリロニトリル;アリルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテル;N−メタクリロイルモルホリン等の単量体に由来する繰り返し単位が挙げられる。
高分子分散剤は、分散性をより高めるとの観点から、繰り返し単位(i)及び繰り返し単位(ii)を有するAブロックと、繰り返し単位(i)及び繰り返し単位(ii)を有さないBブロックとを有する、ブロック共重合体であることが好ましい。該ブロック共重合体は、A−Bブロック共重合体又はB−A−Bブロック共重合体であることが好ましい。Aブロックに4級アンモニウム塩基だけでなく3級アミノ基も導入することにより、意外にも、分散剤の分散能力が著しく向上する傾向がある。また、Bブロックが繰り返し単位(iii)を有することが好ましく、さらに繰り返し単位(iv)を有することがより好ましい。
Aブロック中において、繰り返し単位(i)及び繰り返し単位(ii)は、ランダム共重合、ブロック共重合のいずれの態様で含有されていてもよい。また、繰り返し単位(i)及び繰り返し単位(ii)は、1つのAブロック中に各々2種以上含有されていてもよく、その場合、各々の繰り返し単位は、該Aブロック中においてランダム共重合、ブロック共重合のいずれの態様で含有されていてもよい。
また、繰り返し単位(i)及び繰り返し単位(ii)以外の繰り返し単位が、Aブロック中に含有されていてもよく、そのような繰り返し単位の例としては、前述の(メタ)アクリル酸エステル系単量体由来の繰り返し単位等が挙げられる。繰り返し単位(i)及び繰り返し単位(ii)以外の繰り返し単位の、Aブロック中の含有量は、好ましくは0〜50モル%、より好ましくは0〜20モル%であるが、かかる繰り返し単位はAブロック中に含有されないことが最も好ましい。
繰り返し単位(iii)及び(iv)以外の繰り返し単位がBブロック中に含有されていてもよく、そのような繰り返し単位の例としては、スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸クロリドなどの(メタ)アクリル酸塩系単量体;(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド系単量体;酢酸ビニル;アクリロニトリル;アリルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテル;N−メタクリロイルモルホリン等の単量体に由来する繰り返し単位が挙げられる。繰り返し単位(iii)及び繰り返し単位(iv)以外の繰り返し単位の、Bブロック中の含有量は、好ましくは0〜50モル%、より好ましくは0〜20モル%であるが、かかる繰り返し単位はBブロック中に含有されないことが最も好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物が(F)分散剤を含有する場合、その含有割合は特に限定されないが、感光性樹脂組成物の全固形分中に、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、0.8質量%以上がさらに好ましい。また、8質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましく、1質量%以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで凝集物による残渣発生を抑制できる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで感度や現像性が向上する傾向がある。
[1−1−7]紫外線吸収剤
本発明の感光性樹脂組成物は、紫外線吸収剤を含有してもよい。紫外線吸収剤は、露光に用いられる光源の特定の波長を紫外線吸収剤によって吸収させることにより、光硬化分布を制御する目的で添加されるものである。紫外線吸収剤の添加により、テーパ角を大きくするなどの効果が得られる。紫外線吸収剤としては、(B)光重合開始剤の光吸収の阻害の観点から、例えば、波長250nmから400nmの間に吸収極大を有する化合物を用いることができる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物及びトリアジン系化合物のいずれか一方又は両方を含むことが望ましい。ベンゾトリアゾール系化合物及びトリアジン系化合物のいずれか一方又は両方を含むことで開始剤の膜底部での光吸収率が減少し、塗膜下部の硬化が弱くなることにより隔壁側面が垂直となり、テーパ角が大きくなる効果が得られると考えられる。
ベンゾトリアゾール系化合物としては、2−(5メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、3−[3−tert−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸オクチル、3−[3−tert−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エチルヘキシル、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−tブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、3−[3−tert−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸とC7−9直鎖及び分岐アルキルアルコールのエステル化合物などが挙げられる。
市販されているベンゾトリアゾール系化合物としては例えば、スミソーブ(登録商標、以下同じ。)200、スミソーブ250、スミソーブ300、スミソーブ340、スミソーブ350(住友化学製)、JF77、JF78、JF79、JF80、JF83(城北化学工業製)、TINUVIN(登録商標、以下同じ。) PS、TINUVIN99−2、TINUVIN109、TINUVIN384−2、TINUVIN 326、TINUVIN900、「TINUVIN 928」、TINUVIN928、TINUVIN1130(BASF製)、EVERSORB70、EVERSORB71、EVERSORB72、EVERSORB73、EVERSORB74、EVERSORB75、EVERSORB76、EVERSORB234、EVERSORB77、EVERSORB78、EVERSORB80、EVERSORB81(台湾永光化学工業製)、トミソーブ(登録商標、以下同じ。)100、トミソーブ600(エーピーアイコーポレーション製)、SEESORB(登録商標、以下同じ。)701、SEESORB702、SEESORB703、SEESORB704、SEESORB706、SEESORB707、SEESORB709(シプロ化成製)、RUVA−93(大塚化学株式会社)などが挙げられる。
トリアジン系化合物としては、2−[4,6−ジ(2,4−キシリル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−オクチルオキシフェノール、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−[3−(ドデシルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ]フェノール、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンと2−エチルヘキシルグリシジルエーテルの反応生成物、2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3−5−トリアジン等が挙げられる。これらの中でも、テーパ角の観点から、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物が好ましい。
市販されているトリアジン系化合物としては例えば、TINUVIN400、TINUVIN405、TINUVIN460、TINUVIN477、TINUVIN479(BASF製)などを挙げることができる。
その他の紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン化合物、ベンゾエート化合物、桂皮酸誘導体、ナフタレン誘導体、アントラセン及びその誘導体、ジナフタレン化合物、フェナントロリン化合物、染料等が挙げられる。
より具体的には、例えば、スミソーブ130(住友化学製)、EVERSORB10、EVERSORB11、EVERSORB12(台湾永光化学工業製)、トミソーブ800(エーピーアイコーポレーション製)、SEESORB100、SEESORB101、SEESORB101S、SEESORB102、SEESORB103、SEESORB105、SEESORB106、SEESORB107、SEESORB151(シプロ化成製)などのベンゾフェノン化合物;スミソーブ400(住友化学製)、サリチル酸フェニルなどのベンゾエート化合物;桂皮酸2−エチルヘキシル、パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、メトキシケイ皮酸イソプロピル、メトキシケイ皮酸イソアミル等の桂皮酸誘導体;α−ナフトール、β−ナフトール、α−ナフトールメチルエーテル、α−ナフトールエチルエーテル、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等のナフタレン誘導体;アントラセン、9,10−ジヒドロキシアントラセン等のアントラセン及びその誘導体;アゾ系染料、ベンゾフェノン系染料、アミノケトン系染料、キノリン系染料、アントラキノン系染料、ジフェニルシアノアクリレート系染料、トリアジン系染料、p−アミノ安息香酸系染料等の染料;等が挙げられる。これらの中でも、テーパ角の観点から、桂皮酸誘導体、ナフタレン誘導体を用いることが好ましく、桂皮酸誘導体を用いることが特に好ましい。これらの光吸収剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、テーパ角の観点から、ベンゾトリアゾール化合物及びヒドロキシフェニルトリアジン化合物のいずれか一方又は両方が好ましく、ベンゾトリアゾール化合物が特に好ましい。
紫外線吸収剤としては1種類の化合物を単独で用いてもよいし、2種類以上の化合物を併用してもよい。
本発明の感光性樹脂組成物が紫外線吸収剤を含有する場合、その含有割合は特に限定されないが、感光性樹脂組成物の全固形分中に、通常0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上、特に好ましくは1質量%以上であり、また、通常15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。前記下限値以上とすることでテーパ角は大きくなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで高感度となる傾向がある。
また、本発明の感光性樹脂組成物が紫外線吸収剤を含有する場合、(B)光重合開始剤に対する配合比としては、(B)光重合開始剤100質量部に対する紫外線吸収剤の配合量として、通常1質量部以上、好ましくは10質量部以上、より好ましくは30質量部以上、さらに好ましくは50質量部以上であり、特に好ましくは80質量部以上、通常500質量部以下、好ましくは300質量部以下、より好ましくは200質量部以下、さらに好ましくは100質量部以下である。前記下限値以上とすることでテーパ角が大きくなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで高感度となる傾向がある。
[1−1−8]重合禁止剤
本発明の感光性樹脂組成物は、重合禁止剤を含有していてもよい。重合禁止剤を含有することでそれがラジカル重合を阻害することから、得られる隔壁のテーパ角を大きくすることができる傾向がある。
重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、メチルハイドロキノン、メトキシフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−クレゾール(BHT)などが挙げられる。これらの中でも重合禁止能力の観点から、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン又はメトキシフェノールが好ましく、メチルハイドロキノンがより好ましい。
重合禁止剤は、1種又は2種以上を含有することが好ましい。通常、(C)アルカリ可溶性樹脂を製造する際に、該樹脂中に重合禁止剤が含まれることがあり、それを本発明の重合禁止剤として用いてもよいし、樹脂中に含まれる重合禁止剤の他に、それと同一、又は異なる重合禁止剤を感光性樹脂組成物製造時に添加してもよい。
感光性樹脂組成物が重合禁止剤を含有する場合、その含有割合は特に限定されないが、感光性樹脂組成物の全固形分中に、通常0.0005質量%以上、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上であり、また通常0.1質量%以下、好ましくは0.08質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下である。前記下限値以上とすることでテーパ角を高くすることができる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで高感度を保つことができる傾向がある。
[1−1−9]熱重合開始剤
さらに、本発明の感光性樹脂組成物には、熱重合開始剤が含有されていてもよい。熱重合開始剤を含有することで、膜の架橋度を高くできる傾向がある。このような熱重合開始剤の具体例としては、例えば、アゾ系化合物、有機過酸化物および過酸化水素などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、光重合開始剤に感度向上や膜の架橋密度の増大を期待して熱重合開始剤を併用する場合、これらの含有割合の合計が、感光性樹脂組成物の全固形分中の光重合開始剤の含有割合となるようにすることが好ましく、また、光重合開始剤と熱重合開始剤との併用割合としては、感度の観点から、光重合開始剤100質量部に対して熱重合開始剤を5〜300質量部とすることが好ましい。
[1−1−10]アミノ化合物
本発明の感光性樹脂組成物には、熱硬化を促進するためにアミノ化合物が含まれていてもよい。この場合、感光性樹脂組成物におけるアミノ化合物の含有量としては、感光性樹脂組成物の全固形分中に、通常40質量%以下、好ましくは30質量%以下である。また、通常0.5質量%以上、好ましくは1質量%以上である。前記上限値以下とすることで保存安定性を維持できる傾向があり、前記下限値以上とすることで十分な熱硬化性を確保できる傾向がある。感光性樹脂組成物がアミノ化合物を含有する場合の感光性樹脂組成物の全固形分中におけるアミノ化合物の含有割合は、例えば、0.5〜40質量%であり、1〜30質量%が好ましい。
アミノ化合物としては、例えば、官能基としてメチロール基や、メチロール基を炭素数1〜8のアルコール縮合変性したアルコキシメチル基を少なくとも2個有するアミノ化合物が挙げられる。具体的には、例えば、メラミンとホルムアルデヒドとを重縮合させたメラミン樹脂;ベンゾグアナミンとホルムアルデヒドとを重縮合させたベンゾグアナミン樹脂;グリコールウリルとホルムアルデヒドとを重縮合させたグリコールウリル樹脂;尿素とホルムアルデヒドとを重縮合させた尿素樹脂;メラミン、ベンゾグアナミン、グリコールウリル、または尿素などの2種以上とホルムアルデヒドとを共重縮合させた樹脂;上述の樹脂のメチロール基をアルコール縮合変性した変性樹脂などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。アミノ化合物としては中でも、メラミン樹脂およびその変性樹脂が好ましく、メチロール基の変性割合が、70%以上の変性樹脂が更に好ましく、80%以上の変性樹脂が特に好ましい。
上記アミノ化合物の具体例として、メラミン樹脂およびその変性樹脂としては、例えば、サイテック社製の「サイメル」(登録商標)300、301、303、350、736、738、370、771、325、327、703、701、266、267、285、232、235、238、1141、272、254、202、1156、1158、および、三和ケミカル社製の「ニカラック」(登録商標)MW−390、MW−100LM、MX−750LM、MW−30M、MX−45、MX−302などが挙げられる。また、上記ベンゾグアナミン樹脂およびその変性樹脂としては、例えば、サイテック社製の「サイメル」(登録商標)1123、1125、1128などが挙げられる。また、上記グリコールウリル樹脂およびその変性樹脂としては、例えば、サイテック社製の「サイメル」(登録商標)1170、1171、1174、1172、および、三和ケミカル社製の「ニカラック」(登録商標)MX−270などが挙げられる。また、上記尿素樹脂およびその変性樹脂としては、例えば、サイテック社製の「UFR」(登録商標)65、300、および、三和ケミカル社製の「ニカラック」(登録商標)MX−290などが挙げられる。
[1−1−11]シランカップリング剤
本発明の感光性樹脂組成物には、基板との密着性を改善するため、シランカップリング剤を添加することも好ましい。シランカップリング剤の種類としては、エポキシ系、メタクリル系、アミノ系、イミダゾール系など種々の物が使用できるが、密着性向上の観点から、特にエポキシ系、イミダゾール系のシランカップリング剤が好ましい。その含有量は、密着性の観点から、感光性樹脂組成物の全固形分に対して、通常20質量%以下、好ましくは15質量%以下である。
[1−1−12]無機充填剤
また、本発明の感光性樹脂組成物は、さらに、硬化物としての強度の向上と共に、アルカリ可溶性樹脂との適度な相互作用(マトリックス構造の形成)による塗布膜の優れた平坦性とテーパ角の向上等を目的として、無機充填剤を含有していてもよい。そのような無機充填剤としては、例えば、タルク、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、或いは、これらを各種シランカップリング剤により表面処理したものなどが挙げられる。
これら無機充填剤の平均粒子径としては、通常0.005〜2μm、好ましくは0.01〜1μmである。ここで本実施の形態にいう平均粒子径とは、ベックマン・コールター社製などのレーザ回折散乱粒度分布測定装置にて測定した値である。これらの無機充填剤のうち、特に、シリカゾルおよびシリカゾル変性物は、分散安定性と共にテーパー角の向上効果に優れる傾向があるため、好ましく配合される。本発明の感光性樹脂組成物がこれらの無機充填剤を含む場合、その含有量としては、感度の観点から、全固形分中に、通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上であり、通常80質量%以下、好ましくは70質量%以下である。
[1−1−13]リン酸系エチレン性単量体
本発明の感光性樹脂組成物には、基板との密着性を付与する目的でリン酸系エチレン性単量体を含有させてもよい。リン酸系エチレン性単量体としては、(メタ)アクリロイルオキシ基含有ホスフェート類が好ましく、下記一般式(g1)、(g2)、(g3)で表されるものが好ましい。
Figure 2021051235
上記一般式(g1)、(g2)、(g3)において、R51は水素原子又はメチル基を示し、l及びl’は1〜10の整数、mは1、2又は3である。
これらのリン酸系エチレン性単量体は、1種類を単独で用いても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらリン酸系エチレン性単量体を用いる場合の含有割合は、感光性樹脂組成物の全固形分中に通常0.02質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましく、0.2質量%以上が特に好ましい。また4質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、2質量%以下がさらに好ましく、1質量%以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで基板との密着性の改善効果が十分となる傾向があり、前記上限値以下とすることで基板との密着性の悪化を抑制しやすい傾向がある。
[1−1−14]溶剤
本発明の感光性樹脂組成物は、通常溶剤を含有し、前述の各成分を溶剤に溶解または分散させた状態で使用される。その溶剤としては、特に制限は無いが、例えば、以下に記載する有機溶剤が挙げられる。
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、メトキシメチルペンタノール、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、3−メトキシ−1−ブタノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルのようなグリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルのようなグリコールジアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メトキシ−1−ブチルアセテートのようなグリコールアルキルエーテルアセテート類;エチレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサノールジアセテートなどのグリコールジアセテート類;シクロヘキサノールアセテートなどのアルキルアセテート類;アミルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジアミルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジヘキシルエーテルのようなエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトン、メトキシメチルペンタノンのようなケトン類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、メトキシメチルペンタノール、グリセリン、ベンジルアルコールのような1価又は多価アルコール類;n−ペンタン、n−オクタン、ジイソブチレン、n−ヘキサン、ヘキセン、イソプレン、ジペンテン、ドデカンのような脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシルのような脂環式炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンのような芳香族炭化水素類;アミルホルメート、エチルホルメート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、メチルイソブチレート、エチレングリコールアセテート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、イソ酪酸メチル、エチルカプリレート、ブチルステアレート、エチルベンゾエート、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトンのような鎖状又は環状エステル類;3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸のようなアルコキシカルボン酸類;ブチルクロライド、アミルクロライドのようなハロゲン化炭化水素類;メトキシメチルペンタノンのようなエーテルケトン類;アセトニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類:テトラヒドロフラン、ジメチルテトラヒドロフラン、ジメトキシテトラヒドロフランのようなテトラヒドロフラン類などである。
上記に該当する市販の溶剤としては、ミネラルスピリット、バルソル#2、アプコ#18ソルベント、アプコシンナー、ソーカルソルベントNo.1およびNo.2、ソルベッソ#150、シェルTS28 ソルベント、カルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、ジグライム(いずれも商品名)などが挙げられる。
上記溶剤は、感光性樹脂組成物中の各成分を溶解または分散させることができるもので、本発明の感光性樹脂組成物の使用方法に応じて選択されるが、塗布性の観点から、大気圧下(1013.25hPa)における沸点が60〜280℃の範囲のものを選択することが好ましい。より好ましくは70〜260℃の沸点をもつものであり、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−1−ブチルアセテートが好ましい。
これらの溶剤は1種を単独でもしくは2種以上を混合して使用することができる。また、これらの溶剤は、感光性樹脂組成物中の全固形分の含有割合が、通常10質量%以上、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上、通常90質量%以下、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは35質量%以下となるように使用されることが好ましい。前記下限値以上とすることで塗布ムラの発生を抑制できる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで異物、ハジキ等の発生を抑制できる傾向がある。
[1−2]感光性樹脂組成物の調製方法
本発明の感光性樹脂組成物は、上記の各成分を撹拌機で混合することにより調製される。
例えば、(E)着色剤として顔料等の溶剤不要成分を含む場合には、予めペイントコンディショナー、サンドグラインダー、ボールミル、ロールミル、ストーンミル、ジェットミル、ホモジナイザー等を用いて分散処理することが好ましい。分散処理により(E)着色剤が微粒子化されるため、感光性樹脂組成物の塗布特性が向上する。
分散処理は、通常、(E)着色剤、溶剤、及び(F)分散剤を併用した系や、それらに任意で(C)アルカリ可溶性樹脂の一部又は全部を併用した系にて行うことが好ましい(以下、分散処理に供する混合物、及び該処理にて得られた組成物を「インク」又は「顔料分散液」と称することがある)。特に(F)分散剤として高分子分散剤を用いると、得られたインク及び感光性樹脂組成物の経時の増粘が抑制される(分散安定性に優れる)ので好ましい。
このように、感光性樹脂組成物を製造する工程において、(E)着色剤、溶剤、及び(F)分散剤を少なくとも含有する顔料分散液を製造することが好ましい。
顔料分散液に用いることができる(E)着色剤、有機溶剤、及び(F)分散剤としては、それぞれ感光性樹脂組成物に用いることができるものとして記載したものを好ましく採用することができる。また、顔料分散液における(E)着色剤の各着色剤の含有割合としても、感光性樹脂組成物における含有割合として記載したものを好ましく採用することができる。
サンドグラインダーで(E)着色剤を分散させる場合には、0.1〜8mm程度の粒子径のガラスビーズ又はジルコニアビーズが好ましく用いられる。分散処理条件は、温度は通常0℃から100℃であり、好ましくは室温から80℃の範囲である。分散時間は液の組成及び分散処理装置のサイズ等により適正時間が異なるため適宜調節する。感光性樹脂組成物の20度鏡面光沢度(JIS Z8741)が50〜300の範囲となるように、インキの光沢を制御することが分散の目安である。
また、インク中に分散した顔料の分散粒径は通常0.03〜0.3μmであり、動的光散乱法等により測定される。
次に、上記分散処理により得られたインクと、感光性樹脂組成物中に含まれる、上記の他の成分を混合し、均一な溶液とする。感光性樹脂組成物の製造工程においては、微細なゴミが液中に混じることがあるため、得られた感光性樹脂組成物はフィルター等により濾過処理することが望ましい。
[2]隔壁及びその形成方法
本発明の感光性樹脂組成物は隔壁、特に有機電界発光素子の有機層を区画するための隔壁を形成するために好適に用いることができる。本発明の感光性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物を、隔壁として用いることができる。
以上説明した感光性樹脂組成物を用いて隔壁を形成する方法は特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。隔壁の形成方法としては、例えば、感光性樹脂組成物を、基板上に塗布し、感光性樹脂組成物層を形成する塗布工程と、感光性樹脂組成物層を露光する露光工程と、を含む方法が挙げられる。このような隔壁の形成方法の具体例としては、インクジェット法とフォトリソグラフィー法とが挙げられる。
インクジェット法では、溶剤による希釈等により粘度調整された感光性樹脂組成物をインクとして用い、所定の隔壁のパターンに沿ってインクジェット法によりインク液滴を基板上に吐出することで感光性樹脂組成物を基板上に塗布して未硬化の隔壁のパターンを形成する。そして、未硬化の隔壁のパターンを露光して、基板上に硬化した隔壁を形成する。未硬化の隔壁のパターンの露光は、マスクを用いないことの他は、後述するフォトリソグラフィー法における露光工程と同様に行われる。
フォトリソグラフィー法では、感光性樹脂組成物を、基板の隔壁が形成される領域全面に塗布して感光性樹脂組成物層を形成する。形成された感光性樹脂組成物層を、所定の隔壁のパターンに応じて露光した後、露光された感光性樹脂組成物層を現像して、基板上に隔壁が形成される。
フォトリソグラフィー法における、感光性樹脂組成物を基板上に塗布する塗布工程では、隔壁が形成されるべき基板上に、ロールコーター、リバースコーター、バーコーター等の接触転写型塗布装置やスピンナー(回転式塗布装置)、カーテンフローコーター等の非接触型塗布装置を用いて感光性樹脂組成物を塗布し、必要に応じて、乾燥により溶媒を除去して、感光性樹脂組成物層を形成する。
次いで、露光工程では、ネガ型のマスクを利用して、感光性樹脂組成物に紫外線、エキシマレーザー光等の活性エネルギー線を照射し、感光性樹脂組成物層を隔壁のパターンに応じて部分的に露光する。露光には、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、カーボンアーク灯等の紫外線を発する光源を用いることができる。露光量は感光性樹脂組成物の組成によっても異なるが、例えば10〜400mJ/cm2程度が好ましい。
次いで、現像工程では、隔壁のパターンに応じて露光された感光性樹脂組成物層を現像液で現像することにより隔壁を形成する。現像方法は特に限定されず、浸漬法、スプレー法等を用いることができる。現像液の具体例としては、ジメチルベンジルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機系のものや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、4級アンモニウム塩等の水溶液が挙げられる。又、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。
その後、現像後の隔壁にポストベークを施して加熱硬化する。ポストベークは、150〜250℃で15〜60分間が好ましい。
隔壁の形成に用いる基板は特に限定されず、隔壁が形成された基板を用いて製造される有機電界発光素子の種類に合わせて適宜選択される。好適な基板の材料としては、ガラスや、各種の樹脂材料が挙げられる。樹脂材料の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリエチレン、及びポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリカーボネート;ポリ(メタ)メタアクリル樹脂;ポリスルホン;ポリイミドが挙げられる。これらの基板の材料の中では、耐熱性に優れることからガラス、及びポリイミドが好ましい。また、製造される有機電界発光素子の種類に応じて、隔壁が形成される基板の表面には、予めITOやZnO等の透明電極層を設けておいてもよい。
隔壁の形状等は特に限定されないが、溶剤溶解性の低い成分を含有するインクを用いて所定の膜厚の機能層を形成する際には、厚膜とすることが好ましい。この場合の隔壁の膜厚としては5μm以上が好ましく、7μm以上がより好ましく、8μm以上がさらに好ましく、10μm以上が特に好ましく、通常20μm以下である。隔壁の膜厚としては、例えば、5〜20μmであり、7〜20μmが好ましく、8〜20μmがより好ましく、10〜20μmがさらに好ましい。
[3]有機電界発光素子
本発明の有機電界発光素子は、本発明の隔壁を備える。
以上説明した方法により製造された隔壁パターンを備える基板を用いて、種々の有機電界発光素子が製造される。有機電界発光素子を形成する方法は特に限定されないが、好ましくは、上記方法により基板上に隔壁のパターンを形成した後に、基板上の隔壁により囲まれた領域内にインクを注入して画素等の有機層を形成することによって、有機電界発光素子が製造される。
有機電界発光素子のタイプとしては、ボトムエミッション型やトップエミッション型が挙げられる。
ボトムエミッション型では、例えば、透明電極を積層したガラス基板上に隔壁を形成し、隔壁で囲まれた開口部に正孔輸送層、発光層、電子輸送層、金属電極層を積層して作成される。一方でトップエミッション型では、例えば、金属電極層を積層したガラス基板上に隔壁を形成し、隔壁で囲まれた開口部に電子輸送層、発光層、正孔輸送層、透明電極層を積層して作成される。
隔壁がすそ引き形状である場合、有機層形成用のインクが隔壁のすそ部分で弾かれるため、隔壁により囲まれた領域内が有機層形成用のインクにより十分に被覆されない場合がある。それに対して、すそ引きのない良好な形状とすることで、隔壁により囲まれた領域内を有機層形成用のインクにより十分に被覆することができる。これにより、例えば、有機EL表示素子におけるハレーションの問題を解消することができる。
有機層形成用のインクを形成する際に使用される溶媒としては、水、有機溶剤、及びこれらの混合溶剤を用いることができる。有機溶剤は、インクの注入後に形成された皮膜から除去可能であれば特に限定されない。有機溶剤の具体例としては、トルエン、キシレン、アニソール、メシチレン、テトラリン、シクロヘキシルベンゼン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、3−フェノキシトルエン、等が挙げられる。また、インクには、界面活性剤、酸化防止剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤等を添加することができる。
隔壁により囲まれた領域内にインクを注入する方法としては、少量のインクを所定の個所に容易に注入可能であることから、インクジェット法が好ましい。有機層の形成に使用されるインクは、製造される有機電界発光素子の種類に応じて適宜選択される。インクをインクジェット法により注入する場合、インクの粘度はインクをインクジェットヘッドから良好に吐出できる限り特に限定されないが、4〜20mPa・sが好ましく、5〜10mPa・sがより好ましい。インクの粘度は、インク中の固形分含有量の調整、溶媒の変更、粘度調整剤の添加等により調整することができる。
なお、発光層としては、特開2009−146691号公報や特許第5734681号公報に記載されているような有機電界発光層が挙げられる。また、特許第5653387号公報や特許第5653101号公報に記載されているような量子ドットを用いてもよい。
[4]画像表示装置
本発明の画像表示装置は、本発明の硬化物を備える。
例えば、有機電界発光素子を含む画像表示装置が挙げられる。有機電界発光素子を含むものであれば、画像表示装置の型式や構造については特に制限はなく、例えばアクティブ駆動型有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。例えば、「有機ELディスプレイ」(オーム社、平成16年8月20日発行、時任静士、安達千波矢、村田英幸著)に記載されているような方法で、本発明の画像表示装置を形成することができる。例えば、白色光を発光する有機電界発光素子とカラーフィルターとを組み合わせて画像表示させてもよいし、RGB等の発光色の異なる有機電界発光素子を組み合わせて画像表示させてもよい。
以下、本発明の感光性樹脂組成物について、具体的な実施例を挙げて説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例で用いた感光性樹脂組成物の構成成分は次の通りである。
<アルカリ可溶性樹脂−I>
ジシクロペンタニルメタクリレート/スチレン/グリシジルメタクリレート(モル比:0.30/0.10/0.60)を構成モノマーとする共重合樹脂に、アクリル酸をグリシジルメタクリレートに対して等量付加反応させ、さらに無水テトラヒドロフタル酸を上記の共重合樹脂の前記構成モノマーの総モル数1モル当たりに対して0.39モルになるように付加反応させた、アルカリ可溶性のアクリル共重合樹脂。GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は9000、固形分酸価は80mgKOH/g。(c1)側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル共重合樹脂に該当する。
<アルカリ可溶性樹脂−II>
ジシクロペンタニルメタクリレート/スチレン/グリシジルメタクリレート(モル比:0.02/0.05/0.93)を構成モノマーとする共重合樹脂に、アクリル酸をグリシジルメタクリレートと等量付加反応させ、さらに無水テトラヒドロフタル酸を上記の共重合樹脂の前記構成モノマーの総モル数1モル当たりに対してモル比0.10になるように付加させた、アルカリ可溶性のアクリル共重合樹脂。GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は7700、固形分酸価は28.5mgKOH/g。(c1)側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル共重合樹脂に該当する。
<アルカリ可溶性樹脂−III>
日本化薬社製「ZCR−1642H」(重量平均分子量Mw=6500、酸価=98mgKOH/g)
<分散剤−I>
ビックケミー社製「BYK−LPN21116」(4級アンモニウム塩基及び3級アミノ基を有するAブロックと、4級アンモニウム塩基及び3級アミノ基を有さないBブロックからなる、アクリル系A−Bブロック共重合体。アミン価は70mgKOH/g。酸価は1mgKOH/g以下。)
<溶剤−I>
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
<溶剤−II>
MB:3−メトキシ−1−ブタノール
<光重合性モノマー>
DPHA:日本化薬社製 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
<光重合開始剤−I>
以下の化学構造を有する化合物を用いた。
Figure 2021051235
<光重合開始剤−II>
以下の化学構造を有する化合物を用いた。
Figure 2021051235
<撥液剤−I>
(前駆体ポリマー1の合成)
撹拌機及び冷却管を備えた適切なサイズの反応容器に、無水マレイン酸(日本触媒社製、24.3g、247.8mmol)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル(120.0g、247.8mmol)及びジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(V−601、富士フィルム和光純薬社製、7.61g、30.6mmol)を計量し、メチルエチルケトン(MEK、28.5g)に溶解させた。この溶解液に対して10分間窒素を通気して酸素を除去した後、撹拌しつつ60℃まで昇温して、2時間保持した。引き続き80℃まで昇温して3時間保持した後、V−601(3.81g、15.3mmol)を追加してさらに3時間反応させた。この反応混合物をMEKで希釈した後、大量のメタノールに滴下し、ポリマーを析出させた。ヌッチェを用いてろ過した後、さらにメタノールにて固体を洗浄し、真空乾燥した。得られた前駆体ポリマー1の重量平均分子量(Mw)は5400、分散度(Mw/Mn)は1.72であった。
(撥液剤−Iの合成)
撹拌機及び冷却管を備えた適切なサイズの反応容器に、前駆体ポリマー1(10.0g)を計量し、MEK(10g)に溶解させた。さらにアクリル酸4−ヒドロキシブチル(4HBA、三菱ケミカル社製、2.48g、17.2mmol)、トリエチルアミン(2.0g)を添加し、70℃で6時間加熱した。反応液にギ酸を加えて酸処理した後、大量の純水に滴下しポリマーを析出させた。濾取した固体にPGMEAを加えて濃縮し、撥液剤−IのPGMEA溶液を得た。撥液剤−Iの重量平均分子量(Mw)は4900、分散度(Mw/Mn)は1.81、二重結合当量は1600g/molであった。また、撥液剤−I中のフッ素原子含有割合は34質量%であった。
この撥液剤−Iは、繰り返し単位(i)として前記式(D−1−22)で表される繰り返し単位を有し、繰り返し単位(iii)として前記式(D−1−32)で表される繰り返し単位を有する。
<撥液剤−II>
トリエチルアミンの添加量を3.0gとした以外は撥液剤−Iと同様の方法で合成し、撥液剤−IIのPGMEA溶液を得た。撥液剤−IIの重量平均分子量(Mw)は4500、分散度(Mw/Mn)は2.05、二重結合当量は1300g/molであった。また、撥液剤−II中のフッ素原子含有割合は34質量%であった。
この撥液剤−IIは、繰り返し単位(i)として前記式(D−1−22)で表される繰り返し単位を有し、繰り返し単位(iii)として前記式(D−1−32)で表される繰り返し単位を有する。
<撥液剤−III>
4HBAの代わりにメタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA、日本触媒社製、1.45g、11.2mmol)を使用し、トリエチルアミンの添加量を1.0gとした以外は撥液剤−Iと同様の方法で合成し、撥液剤−IIIのPGMEA溶液を得た。撥液剤−IIIの重量平均分子量(Mw)は4900、分散度(Mw/Mn)は1.81、二重結合当量は1600g/molであった。また、撥液剤−III中のフッ素原子含有割合は36質量%であった。
この撥液剤−IIIは、繰り返し単位(i)として前記式(D−1−22)で表される繰り返し単位を有し、繰り返し単位(iii)として前記式(D−1−31)で表される繰り返し単位を有する。
<撥液剤−IV>
(前駆体ポリマー2の合成)
撹拌機及び冷却管を備えた適切なサイズの反応容器に、無水マレイン酸(4.76g、48.5mmol)、5−トリデカフルオロヘキシル−2−ノルボルネン(20.0g、48.5mmol)及びV−601(1.5g、6.0mmol)を計量し、MEK(4.7g)に溶解させた。この溶液に対して10分間窒素を通気して酸素を除去した後、撹拌しつつ60℃まで昇温して2時間保持した。引き続き80℃まで昇温して3時間保持した後、V−601(0.74g、3.0mmol)を追加してさらに3時間反応させた。この反応混合物をMEKで希釈した後、大量のメタノールに滴下し、ポリマーを析出させた。ヌッチェを用いてろ過した後、さらにメタノールにて固体を洗浄し、真空乾燥した。得られた前駆体ポリマー2の重量平均分子量(Mw)は3700、分散度(Mw/Mn)は1.64であった。
(撥液剤−IVの合成)
撹拌機及び冷却管を備えた適切なサイズの反応容器に、前駆体ポリマー2(10.0g)を計量し、MEK(10g)に溶解させた。さらに4HBA(2.83g, 17.2mmol)、トリエチルアミン(2.0g)を添加し、70℃で6時間加熱した。反応液にギ酸を加えて酸処理した後、大量の純水に滴下しポリマーを析出させた。濾取した固体にPGMEAを加えて濃縮し、撥液剤−IVのPGMEA溶液を得た。撥液剤−IVの重量平均分子量(Mw)は3900、分散度(Mw/Mn)は1.60、二重結合当量は1400g/molであった。また、撥液剤−IV中のフッ素原子含有割合は39質量%であった。
この撥液剤−IVは、繰り返し単位(i)として前記式(D−1−24)で表される繰り返し単位を有し、繰り返し単位(iii)として前記式(D−1−32)で表される繰り返し単位を有する。
<撥液剤−V>
DIC社製 メガファック RS−78(フッ素系、多環脂肪族炭化水素骨格及びエチレン性二重結合を有する撥液剤)
<撥液剤−VI>
DIC社製 メガファック RS−72−k(フッ素系、エチレン性二重結合を有する撥液剤)
<添加剤−I>
昭和電工社製 カレンズMT PE1(ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)
<添加剤−II>
日本化薬社製 KAYAMER PM−21(メタクリロイル基含有ホスフェート)
<顔料分散液の調製>
表1に記載の顔料、分散剤、アルカリ可溶性樹脂、及び溶剤を、表1に記載の質量比となるように混合した。この混合液をペイントシェーカーにより25〜45℃の範囲で3時間分散処理を行った。ビーズとしては、0.5mmφのジルコニアビーズを用い、分散液の2.5倍の質量を加えた。分散終了後、フィルターによりビーズと分散液を分離して、顔料分散液を調製した。
なお、表1中の溶剤の配合割合には、分散剤やアルカリ可溶性樹脂由来の溶剤量も含まれる。
Figure 2021051235
[実施例1〜5及び比較例1〜3]
上記調製した顔料分散液を用いて、全固形分中の各成分の固形分の比率が表2の配合割合となるように各成分を加え、さらに全固形分の含有割合が31質量%であり、かつ、全溶剤中において溶剤−I/溶剤−II=80/20(質量比)となるように各溶剤を加えて希釈し、攪拌、溶解させて、実施例1〜5及び比較例1〜3の感光性樹脂組成物を調製した。得られた感光性樹脂組成物を孔径5μmのフィルターでろ過した後、後述する方法で評価を行った。
なお、表2中の顔料分散液、アルカリ可溶性樹脂、撥液剤の配合割合は固形分換算値である。また、全固形分中のフッ素原子含有割合は、感光性樹脂組成物の全固形分中における、(D)撥液剤のフッ素原子の含有割合(質量%)を示す。
Figure 2021051235
以下に性能評価の方法を説明する。
<PGMEA接触角の測定>
ガラス基板上にスピナーを用いて、加熱硬化後に10.0μmの厚みになるように感光性樹脂組成物を塗布した。この塗布基板を1分間真空乾燥し、さらに100℃で120秒間ホットプレート上で加熱乾燥して塗膜基板を得た。次に、高圧水銀灯を用いて、330nm以下の波長をカットし50mJ/cm2で全面露光した。この時の波長365nmにおける光強度は45mW/cm2であった。次にこの基板を、0.04質量%のKOH及び0.07質量%のエマルゲンA−60(花王社製界面活性剤)を溶解した水溶液を現像液として用いて、24℃で60秒間スプレー現像した後、純水で10秒間洗浄した。最後にこの基板を、オーブン中230℃で30分間加熱硬化させ、接触角測定用基板を得た。
協和界面科学社製Drop Master 500(接触角測定装置)により、23℃、湿度50%の条件下で前記接触角測定用基板表面上にPGMEAを0.7μL滴下した1秒後の接触角を測定した。その結果を表2に示した。接触角が大きい方が、撥インク性が高いことを表す。
<インクジェット(IJ)濡れ広がり性の評価>
ガラス基板上にスピナーを用いて、加熱硬化後に10.0μmの厚みになるように感光性樹脂組成物を塗布した。この塗布基板を1分間真空乾燥し、さらに100℃で120秒間ホットプレート上で加熱乾燥して塗膜基板を得た。次に、高圧水銀灯を用いて、330nm以下の波長をカットし50mJ/cm2で露光した。露光はフォトマスクを用いて行い、露光ギャップは5μmとした。フォトマスクとしては、縦300μm、横100μm、4つ角の曲率半径30μmの角丸四角形状の被覆部が、縦方向100μm間隔、横方向10μm間隔で複数配置されたものを用いた。次いで、接触角測定用基板作成時と同様の条件で現像を行った後、オーブン中230℃で30分間加熱硬化させ、IJ用隔壁基板を得た。なお、IJ用隔壁基板のうち、フォトマスクの被覆部に対応する部分が画素部であり、開口部に対応する部分が隔壁である。
IJ用隔壁基板に対して、富士フイルム社製IJ装置DMP−2831を用いてインクジェット塗布を行った。カートリッジヘッドとしてはDMC−11610 QS−256/10AAA(1滴で約10pL吐出されるノズルを有する)を用いた。インクとしては、三菱ケミカル社製反応性希釈剤YED216Dを単独で使用し、1画素部あたり30滴吐出し、同様の操作を10画素部に対して行った。インクを吐出した画素部の様子を光学顕微鏡で観察し、以下の評価基準に従ってIJ濡れ広がり性の評価を行い、その結果を表2に示した。
[IJ濡れ広がり性評価基準]
◎:全ての画素部でインクが濡れ広がっている。
○:一部の画素部でインクのハジキ(濡れ広がらなかった部分)が見られる。
×:全ての画素部でインクのハジキ(濡れ広がらなかった部分)が見られる
(インクが濡れ広がる画素部が1つも無い)。
表2より、実施例1〜5の感光性樹脂組成物は、比較例1〜3の感光性樹脂組成物に比べてIJ濡れ広がり性に優れていることが分かる。実施例1と5、比較例1と2は、それぞれ同一の撥液剤を用いたものでその含有割合が異なるものであるが、それらの比較から、IJ濡れ広がり性は撥液剤の含有割合を変更することで改善出来るものではないことが分かる。
各実施例の感光性樹脂組成物は、撥液剤として樹脂(D−1)を含むものであるが、主鎖中の多環脂肪族炭化水素骨格に含フッ素有機基が結合したものであることにより、含フッ素有機基が熱分解し難くなり、パターンを形成する際の加熱硬化時にフッ素原子を含むフューム(Fume)が発生し難く、画素部をフッ素原子含有成分が汚染し難くなったからだと考えられる。
また実施例1〜4の比較から、実施例2と4のIJ濡れ広がり性が特に良いことがわかる。実施例2の感光性樹脂組成物に含まれる撥液剤−IIは二重結合当量が低く、架橋基が多いことによって、現像時やベーク時に画素部内に該撥液剤が染み出しにくくなっていると考えられる。また、実施例4の感光性樹脂組成物に含まれる撥液剤−IVは含フッ素有機基が分解し難い構造であることにより、加熱硬化時に切れて分解して画素部を汚染することが抑制されたからであると考えられる。

Claims (9)

  1. (A)エチレン性不飽和化合物、(B)光重合開始剤、(C)アルカリ可溶性樹脂、及び(D)撥液剤を含有する感光性樹脂組成物であって、
    前記(D)撥液剤が、下記一般式(D−1−1)で表される繰り返し単位(i)、及び下記一般式(D−1−2)で表される部分構造(ii)を有する樹脂(D−1)を含むことを特徴とする感光性樹脂組成物。
    Figure 2021051235
    (式中、Lは、置換基を有していてもよい多環脂肪族炭化水素骨格を表す。
    ただし、Lは該置換基として、炭素数1〜30の含フッ素有機基を1つ以上有する。
    *は結合手を表す。)
    Figure 2021051235
    (式中、R11は、水素原子又はメチル基を表す。
    gは0〜6の整数を表す。
    *は結合手を表す。)
  2. 前記樹脂(D−1)における繰り返し単位(i)が、下記一般式(D−1−4)で表される繰り返し単位(i−2)である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
    Figure 2021051235
    (式中、R1〜R4は各々独立に、水素原子又は任意の置換基を表す。
    ただし、R1〜R4のうち少なくとも1つは、炭素数1〜30の含フッ素有機基である。
    nは0〜2の整数を表す。
    *は結合手を表す。)
  3. 前記樹脂(D−1)が、さらに下記一般式(D−1−5)で表される繰り返し単位(iii)を有する、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
    Figure 2021051235
    (式中、R5は、前記部分構造(ii)を表す。
    *は結合手を表す。)
  4. 前記(D)撥液剤の含有割合が全固形分中に0.3質量%以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  5. 前記(D)撥液剤の含有割合が全固形分中に5質量%以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  6. さらに(E)着色剤を含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  7. 隔壁形成用である請求項1〜6のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物。
  9. 請求項8に記載の硬化物を備える画像表示装置。
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