JP2021049661A - 射出成形装置 - Google Patents

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宗一 飛山
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Abstract

【課題】ヒータを用いてバレル内の樹脂材料を溶融させる射出成形装置において、バレルの温度制御応答性およびエネルギー効率を向上させる。【解決手段】金型3のキャビティ9と連通する、軸方向に延びる中空部11が形成されたバレル10と、中空部11に投入された樹脂材料60を加熱するカートリッジヒータ50と、を備える射出成形装置1である。カートリッジヒータ50は、棒状であり、中空部11の周りで中空部11に沿って軸方向に延びるようにバレル10に内蔵されている。【選択図】図1

Description

本発明は、ヒータを用いてバレル内の樹脂材料を溶融させる射出成形装置に関するものである。
金型のキャビティと連通する、バレルに形成された軸方向に延びる中空部に樹脂材料を投入し、投入された樹脂材料をヒータで溶融しながら、中空部内に回転可能かつ進退可能に設けられたスクリューにてキャビティへ押し出すことで、所望の形状の樹脂製品を成形する射出成形装置が従来から知られている。
このような射出成形装置において樹脂材料を溶融させるヒータとしては、バレルの外周面に巻き付けられた、軸方向に並ぶ複数のバンドヒータを用いるのが一般的である(例えば特許文献1)。
特開2018−001713号公報
しかしながら、バレルの外周面に巻き付けられたバンドヒータを用いて、バレルの中空部に投入された樹脂材料を溶融させる、上記特許文献1を初めとする従来の射出成形装置には、以下のような問題がある。
すなわち、従来の射出成形装置では、バレルの外周面に巻き付けられたバンドヒータから、中空部に投入された樹脂材料に熱が伝わるまでに、バレルの肉厚の分だけ時間がかかるため、温度制御応答性が悪く、温度調整に時間がかかってしまうという問題がある。
また、バンドヒータの場合、加熱面である内周面および外周面のうち、バレルと接しているのは内周面だけであり、外周面の熱は外気や保温ジャケットに放熱されてしまうため、昇温時のエネルギー効率が悪い(熱損失が大きい)という問題もある。
さらに、これら伝熱性およびエネルギー効率が悪いという欠点を補いつつ、昇温完了までの時間を短縮するために、バンドヒータのワット数を上げると、加熱面が高温になり過ぎてしまうため、バンドヒータ内部の絶縁層が熱劣化し、バンドヒータの寿命が短くなるという問題もある。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ヒータを用いてバレル内の樹脂材料を溶融させる射出成形装置において、バレルの温度制御応答性およびエネルギー効率を向上させる技術を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明に係る射出成形装置では、樹脂材料を溶融するためのヒータを、バレルの外周面に巻き付けるのではなく、バレルの内部に配置するようにしている。
具体的には、本発明は、金型のキャビティと連通する、軸方向に延びる中空部が形成されたバレルと、当該中空部に投入された樹脂材料を加熱するヒータと、を備える射出成形装置を対象としている。
そして、この射出成形装置は、上記ヒータは、棒状であり、上記中空部の周りで当該中空部に沿って軸方向に延びるように上記バレルに内蔵されていることを特徴とするものである。
この構成によれば、中空部の周りで中空部に沿って軸方向に延びるように、棒状のヒータがバレルに内蔵されていることから、中空部に投入された樹脂材料を確実に溶融させることができる。
しかも、ヒータをバレルに内蔵することによって、ヒータと中空部との距離が短縮されることから、バレルの肉厚の分だけ中空部と離れるバンドヒータに比して、温度制御応答性を向上させることができる。また、ヒータをバレルに内蔵することによって、バレル外への放熱が抑制されるので、昇温時のエネルギー効率を向上させることができる。このように、温度制御応答性およびエネルギー効率が向上することで、ヒータのワット数を上げなくても昇温完了までの時間を短縮することが可能となることから、ヒータが高温になり過ぎるのを抑えて、ヒータの寿命を延ばすことができる。
以上説明したように、本発明に係る射出成形装置によれば、バレルの温度制御応答性およびエネルギー効率を向上させることができる。
本発明の実施形態に係る射出成形装置を模式的に示す縦断面図である。 計量時における射出成形装置を模式的に示す縦断面図である。 射出時における射出成形装置を模式的に示す縦断面図である。 バレルを模式的に示す図であり、同図(a)は斜視図であり、同図(b)は横断面図である。 CAE解析に用いたバレルモデルを模式的に示す図である。 バレルの肉厚と局所応力との関係を示すグラフ図である。 バレルにおける温度制御位置を示す模式図である。 カートリッジヒータにおける発熱部の組合せを模式的に示す図である。 昇温完了時におけるバレル軸方向の温度分布を模式的に示すグラフ図である。 バレルにおける温度検出位置を示す模式図である。 成形時における、時間経過に伴うバレルの温度変化を模式的に示すグラフ図である。 始動時における昇温時間を模式的に示すグラフ図である。 成形中の消費電力量の推移を模式的に示すグラフ図である。 バレルにおける温度制御位置を示す模式図である。 カートリッジヒータを模式的に示す図である。 昇温完了時におけるバレル軸方向の温度分布を模式的に示すグラフ図である。 従来のバレルを模式的に示す斜視図である。 従来のバレルにおけるヒータ通電時間とバレル内部温度との関係を示すグラフ図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
−射出成形装置−
図1は、本発明の実施形態に係る射出成形装置1を模式的に示す縦断面図である。射出成形装置1は、金型3と、バレル10と、ホッパユニット20と、スクリュー30と、押出し装置40と、カートリッジヒータ50と、を備えている。この射出成形装置1は、ホッパユニット20からバレル10内に投入された樹脂材料60を、カートリッジヒータ50による加熱およびスクリュー30による剪断発熱によって溶融しながら、溶融した樹脂材料(以下、「溶融樹脂材料60’」ともいう。図2および図3参照。)を、押出し装置40により進退するスクリュー30によって金型3のキャビティ9へ押し出すことで、所望の形状の樹脂製品を成形するものである。
金型3は、シリンダ(図示せず)の駆動力によりバレル10の軸方向(図1の左右方向)に移動可能に構成された可動プラテン(図示せず)に支持される可動金型5と、移動不能に設けられた固定プラテン(図示せず)に支持された固定金型7と、を備えている。固定金型7には、スクリュー30によって押し出される溶融樹脂材料60’が流れ込むゲート7aが形成されている。
この金型3では、シリンダの駆動によって可動金型5が図1の右側に移動して型締めされることにより、可動金型5と固定金型7との間に所定形状(成形する樹脂製品と同じ形状)のキャビティ9が形成されるようになっている。また、この金型3には、キャビティ9内に射出された溶融樹脂材料60’を冷却するための水冷式の冷却装置(図示せず)が設けられている。
ホッパユニット20は、ユニット本体21と、ホッパ25と、を有している。ユニット本体21には、バレル10の軸方向と同じ方向に延びる貫通孔23が形成されている。ホッパ25は、ユニット本体21の上部に接続されていて、その下端の材料落下口が貫通孔23と連通している。これにより、ホッパ25に供給された樹脂材料60等が、ホッパ25の材料落下口から貫通孔23へ投入されるようになっている。
樹脂材料60は、特に限定されないが、例えばペレット状のPP(ポリプロピレン)を挙げることができる。また、樹脂材料60と共に、発泡剤を投入してもよく、発泡剤としては、化学発泡剤(例えば炭酸水素ナトリウム系発泡剤等)や物理発泡剤(例えば発泡性マイクロカプセル等)を挙げることができる。
バレル10は、先端部(図1の左側の端部)が金型3(固定金型7)に接続されている一方、基端部(図1の右側の端部)がホッパユニット20(ユニット本体21)に接続されている。
より詳しくは、バレル10には、軸方向に延びるとともに、その先端部11aがバレル10の先端に向かって窄む中空部11が形成されている。中空部11の先端部11aは、バレル10の先端部に形成されたノズル孔13と繋がっている。バレル10は、固定金型7に形成されたゲート7aとノズル孔13とが連通するように、先端部が固定金型7に接続されている。これにより、中空部11は、ノズル孔13およびゲート7aを介して、金型3のキャビティ9と連通している。
一方、バレル10の基端部にはフランジ(図示せず)が形成されており、かかるフランジをユニット本体21にボルト締結することで、バレル10の基端部がホッパユニット20に接続されている。なお、ユニット本体21の貫通孔23の径と、中空部11の径とは、同じ径に設定されており、バレル10の基端部がホッパユニット20に接続された状態では、図1に示すように、貫通孔23の孔壁面と中空部11の壁面とが面一になっている。
スクリュー30は、バレル10の中空部11およびホッパユニット20の貫通孔23に回転可能かつ進退可能に収容されている。スクリュー30は、ホッパ25を経て貫通孔23に投入された樹脂材料60(および発泡剤)を、その回転によってバレル10の中空部11に送りながら混練するとともに、カートリッジヒータ50による加熱に加え、その剪断発熱によって樹脂材料60を溶融する。また、スクリュー30は、回転しながら適宜な長さ後退することにより、溶融樹脂材料60’を計量し、中空部11の先端部11aに所望量の溶融樹脂材料60’を貯溜する役割を担うとともに、回転することなく前進することで射出圧を発生させて、貯溜された溶融樹脂材料60’をノズル孔13およびゲート7aを経由して金型3のキャビティ9に射出する役割を担っている。なお、中空部11に投入された樹脂材料60を加熱するカートリッジヒータ50については後述する。
押出し装置40は、コントローラ(図示せず)と電気的に接続されていて、コントローラからの指令信号に従って、レール43上をバレル10の軸方向に進退するように構成されている。また、押出し装置40は、コントローラからの指令信号に従って回転するロッド41を有していて、かかるロッド41の先端がスクリュー30の後端に接続されている。これにより、押出し装置40のロッド41を制御することでスクリュー30の回転/停止が制御されるとともに、押出し装置40をレール43上で進退させることでスクリュー30がバレル10内で軸方向に進退するようになっている。
つまり、本実施形態の射出成形装置1では、樹脂材料60の溶融、溶融樹脂材料60’の計量、および、金型3のキャビティ9への溶融樹脂材料60’の押出しが、コントローラからの指令に従って行われるようになっている。
−射出成形−
次に、以上のように構成された射出成形装置1を用いた射出成形の概略について、図1〜図3を用いて説明する。図2は、計量時における射出成形装置1を模式的に示す縦断面図であり、図3は、射出時における射出成形装置1を模式的に示す縦断面図である。
先ず、可動プラテンが固定プラテンから遠ざかっている状態から、シリンダの駆動によって可動プラテンを固定プラテンに近付けて、図1に示すように、可動金型5と固定金型7とを型締めすることで、これらの間に所定形状のキャビティ9が形成される。このとき、押出し装置40はレール43の前端部に位置している。
この状態で、ホッパ25から貫通孔23に樹脂材料60を投入する。貫通孔23に投入された樹脂材料60は、スクリュー30の回転によってバレル10の中空部11に送られながら、カートリッジヒータ50により加熱されて次第に溶融し始める。溶融し始めた樹脂材料60は、中空部11の先端側に送られながら、スクリュー30の回転によって強い圧縮・剪断力を受けるとともに、カートリッジヒータ50で加熱されることで積極的に溶融される。このようにして概ね溶融された樹脂材料60は、スクリュー30の回転によって更に先端側に送られながら攪拌混練されることで、完全且つ均一に溶融された溶融樹脂材料60’となる。そうして、押出し装置40によってスクリュー30を回転させながら適宜な長さ後退させることにより、溶融樹脂材料60’が計量され、図3に示すように、中空部11の先端部11aに所望量の溶融樹脂材料60’が貯溜される。このとき、押出し装置40はレール43の中央部に位置している。
次いで、スクリュー30の回転を停止させ、押出し装置40をレール43上で前進させてスクリュー30を軸方向に前進させることにより、図4に示すように、貯溜されている溶融樹脂材料60’が押し出されてキャビティ9内に射出され、射出工程が終了する。
射出工程が終了した後、金型3に備えられた冷却装置によって溶融樹脂材料60’が冷却される。その後、溶融樹脂材料60’の硬化に伴ってキャビティ9の形状に応じた樹脂製品が成形されることになる。このようにして成形された射出成形品は、シリンダの駆動によって可動プラテンが後退して、型開きされることで金型3から取り出される。
−カートリッジヒータ−
次に、本実施形態の射出成形装置1に用いられるカートリッジヒータ50について説明するが、本実施形態を理解し易くするために、これに先立ち、従来の射出成形装置について説明する。
図17は、従来のバレル110を模式的に示す斜視図であり、図18は、従来のバレル110におけるヒータ通電時間とバレル内部温度との関係を示すグラフ図である。なお、図18の破線は、バレル内部温度の理論上の昇温曲線を示す一方、図18の実線は、バレル110におけるバレル内部温度の実測値を示している。
従来の射出成形装置においては、樹脂材料を溶融させるヒータとして、図17に示すように、バレル110の外周面に巻き付けられた、軸方向に並ぶ複数のバンドヒータ150を用いるのが一般的である。しかしながら、バレル110の外周面に巻き付けられたバンドヒータ150を用いて、バレル110の中空部111に投入された樹脂材料を溶融させる従来の射出成形装置には、以下のような問題がある。
先ず、従来の射出成形装置では、バレル110の外周面に巻き付けられたバンドヒータ150から、中空部111に投入された樹脂材料に熱が伝わるまでに、バレル110の肉厚Tの分だけ時間がかかるため、温度制御応答性が悪いという問題がある。具体的には、図18に示す例では、理論上は目標温度Ttに約10(分)で到達する筈のところが、実際には目標温度Ttに到達するまでに30(分)近くかかってしまい、温度調整に時間がかかるという問題がある。
また、バンドヒータ150の場合、加熱面である内周面150aおよび外周面150bのうち、バレル110と接しているのは内周面150aだけであり、図17の白抜き矢印で示すように、内周面150aで発生する熱は中空部111側に伝わる一方、図17の黒塗り矢印で示すように、外周面150bで発生する熱は外気や保温ジャケットに放熱されてしまうため、昇温時のエネルギー効率が悪い(熱損失が大きい)という問題もある。
さらに、これら伝熱性およびエネルギー効率が悪いという欠点を補いつつ、昇温完了までの時間を短縮するために、バンドヒータ150のワット数を上げると、加熱面が高温になり過ぎてしまうため、バンドヒータ150内部の絶縁層が熱劣化し、バンドヒータ150の寿命が短くなるという問題もある。
そこで、本実施形態に係る射出成形装置1では、樹脂材料60を溶融するためのヒータを、バレル10の外周面に巻き付けるのではなく、バレル10の内部に配置するようにしている。具体的には、中空部11に投入された樹脂材料60を加熱する棒状のカートリッジヒータ50を、中空部11の周りで、中空部11に沿って軸方向に延びるようにバレル10に内蔵するようにしている。
図4は、バレル10を模式的に示す図であり、同図(a)は斜視図であり、同図(b)は横断面図である。カートリッジヒータ50は、セラミックのコア(図示せず)を軸として螺旋状に巻回されたニクロム線(図示せず)を金属製のシースで覆ったものであり、円環状のバンドヒータ150とは異なり、図4(a)に示すように、棒状をなしている。このカートリッジヒータ50は、抵抗加熱によって発熱するものであり、ニクロム線に電圧を加えて電流を流すことで、ニクロム線が熱を発生して、シースの全周から熱を発するように構成されている。
なお、図4(a)のカートリッジヒータ50における、ハッチングを施した部位は、電圧を加えることで熱を発する発熱部51であり、また、白抜きで表す部位は、電圧を加えても発熱しない非発熱部53である。このように、カートリッジヒータ50をその全長に亘って発熱部51だけで構成するのではなく、発熱部51の間に非発熱部53を介在させることで、後述するように、きめ細かい温度制御が可能となる。
図4(a)および(b)に示すように、バレル10には、中空部11に沿って軸方向に延びる断面円形の挿入孔15が、中空部11の周りに等間隔で6つ形成されており、これら6つの挿入孔15にカートリッジヒータ50をそれぞれ挿入することで、中空部11の周りで、中空部11に沿って軸方向に延びるように、カートリッジヒータ50がバレル10に内蔵されるようになっている。また、ニクロム線に電流を流す電源コード55は、図1に示すように、ホッパユニット20のユニット本体21を通って、印加する電圧を調整可能な外部電源(図示せず)に接続されている。なお、6つの挿入孔15(カートリッジヒータ50)は、飽くまでも例示であり、バレル10に内蔵されるカートリッジヒータ50の数には特に制限はない。
このように、中空部11の周りで中空部11に沿って軸方向に延びるようにカートリッジヒータ50がバレル10に内蔵されていることから、本実施形態の射出成形装置1では、中空部11に投入された樹脂材料60を確実に溶融させることができる。
しかも、カートリッジヒータ50をバレル10に内蔵することによって、カートリッジヒータ50と中空部11との距離が短縮されることから、バレル110の肉厚Tの分だけ中空部111と離れるバンドヒータ150に比して、温度制御応答性を向上させることができる。また、カートリッジヒータ50をバレル10に内蔵することによって、バレル10外への放熱が抑制されるので、昇温時のエネルギー効率を向上させることができる。このように、温度制御応答性およびエネルギー効率が向上することで、カートリッジヒータ50のワット数を上げなくても昇温完了までの時間を短縮することが可能となることから、カートリッジヒータ50が高温になり過ぎるのを抑えて、カートリッジヒータ50の寿命を延ばすことができる。
−実験例−
次に、本発明の有用性を確認するために行った各種実験例について説明する。
〈実験例1〉バレル強度
高温・高圧が繰り返し作用するバレル10には、一定以上の強度が要求されるが、バレル10にカートリッジヒータ50を挿入するための挿入孔15を形成した場合には、そのような挿入孔15を形成していない場合に比して、バレルの強度(バレル強度)は当然低下する。そこで、本実験例では、目標とするバレル強度を得るのに必要なバレル10の肉厚T(以下、「バレル肉厚T」ともいう。)について検証した。
図5は、CAE解析に用いたバレルモデルを模式的に示す図である。本実験例では、図5に示すように、中空部11の径がφ105(mm)のバレル10をモデルとしてCAE(Computer Aided Engineering)解析を行った。その際、下記の表1に示す4つのタイプのバレルについて、バレル肉厚Tを60(mm)、90(mm)、120(mm)の3水準で変化させた。なお、タイプDは、挿入孔15を形成していない従来のバレル110であり、特に、タイプDのうちバレル肉厚Tが60(mm)のものは従来の市販品に当たる。
Figure 2021049661
図6は、CAE解析によって得られた、バレル肉厚Tと局所応力との関係を示すグラフ図である。図6に示すように、バレル肉厚Tが60(mm)のものについては、局所最大応力が目標値である320(MPa)を下回ったのは、挿入孔15を形成していないタイプDだけであった。つまり、カートリッジヒータ50を挿入するための挿入孔15を形成したバレル10は、疲労限界こそ下回ったものの、タイプA、B、Cのいずれにおいても、目標値である320(MPa)を上回る結果となった。
これに対し、バレル肉厚Tが90(mm)および120(mm)のものについては、挿入孔15を形成したタイプA、B、Cのいずれにおいても、目標値である320(MPa)を下回る結果となった。
以上より、中空部11の径がφ105(mm)のバレル10に、本発明を適用する場合には、バレル肉厚Tを90(mm)以上とすることで、目標とするバレル強度を確保することが可能であることが確認された。
〈実験例2〉バレル軸方向の温度分布
本実験例では、カートリッジヒータ50を用いた場合における、バレル軸方向の温度分布、換言すると、バレル軸方向の温度のバラツキについて検証した。
図7は、バレル10における温度制御位置CPを示す模式図であり、図8は、カートリッジヒータ50における発熱部51の組合せを模式的に示す図である。具体的な実験方法としては、昇温完了時における、図7の温度制御位置CPの温度が目標温度Ttとなるように、カートリッジヒータ50に電圧を加えた(電流を流した)場合に、バレル軸方向における、温度制御位置CP以外の位置の温度がどのように分布するかを温度センサで検出した。
その際、カートリッジヒータ50として、Aタイプ(均一ワット密度タイプ)とBタイプ(ワット密度変化タイプ)を用意した。Aタイプ(均一ワット密度タイプ)とは、図8(a)に示すように、非発熱部53を介在させて800(W)の発熱部51a,51b,51cを軸方向に3つ並べたものである。一方、Bタイプ(ワット密度変化タイプ)とは、図8(a)に示すように、800(W)の発熱部51a、400(W)の発熱部51b’、および、800(W)の発熱部51cを、非発熱部53を介在させてこの順で軸方向に並べたものである。
図9は、昇温完了時におけるバレル軸方向の温度分布を模式的に示すグラフ図である。図9において、破線はAタイプの温度分布を、また、実線はBタイプの温度分布をそれぞれ示している。なお、グラフの横軸はバレル軸方向の位置を表し、カートリッジヒータ50の先端(金型3側の端)が0(mm)に対応し、また、温度制御位置CPは400(mm)に対応している。
図9の破線で示すように、800(W)の発熱部51a,51b,51cを3つ並べたAタイプでは、約200(mm)よりも先端側および約600(mm)よりも基端側(押出し装置40側)におけるバレル10の温度が、目標温度Ttを中心とする所定の目標温度帯TRtから外れていることが確認された。これは、温度制御位置CPは、中央の発熱部51bによる加熱の他に、両隣の発熱部51a,51cが発する熱の影響も受けるところ、温度制御位置CPの温度が目標温度Ttとなるように外部電源の電圧を制御すると(相対的に下げると)、相対的に電圧が下げられた両隣の発熱部51a,51cでしか加熱されない、約200(mm)よりも先端側および約600(mm)よりも基端側で、バレル10の温度が下がってしまったことに因る。
これに対し、800(W)の発熱部51a,51cの間に400(W)の発熱部51b’を挟んだBタイプでは、図9の実線で示すように、バレル軸方向の全域において、バレル10の温度が目標温度帯TRtに収まることが確認された。これは、温度制御位置CPは、両隣の発熱部51a,51cが発する熱の影響も受けるが、中央の発熱部51b’がそもそも400(W)なので、外部電源の電圧を相対的に下げなくても、温度制御位置CPの温度を目標温度Ttとすることができ、これにより、発熱部51a,51cでしか加熱されない、約200(mm)よりも先端側および約600(mm)よりも基端側でも、バレル10の温度が下がらなかったことに因る。
以上より、バレル10に内蔵されるカートリッジヒータ50としては、同じワット密度の発熱部51を軸方向に並べたもの(均一ワット密度タイプ)よりも、異なるワット密度の発熱部51を軸方向に並べたもの(ワット密度変化タイプ)の方が、温度制御という観点からはより好ましいことが確認された。
〈実験例3〉バレル周方向の温度分布
本実験例では、カートリッジヒータ50を用いた場合における、バレル周方向の温度分布、換言すると、バレル周方向の温度のバラツキについて検証した。
図10は、バレル10における温度検出位置を示す模式図である。具体的な実験方法としては、図10に示すように、ヒータ本数12本のバレル10を用意し、カートリッジヒータ50の先端から290(mm)の位置で、周方向における隣り合うカートリッジヒータ50の間の部位である12カ所の部位から、ランダムに3カ所の測定位置(第1測定位置ch1、第2測定位置ch2および第3測定位置ch3)を選び、成形時における、第1〜第3測定位置ch1,ch2,ch3でのバレル10の温度を温度センサで検出した。なお、カートリッジヒータ50は、異なるワット密度の発熱部51を軸方向に並べたもの(ワット密度変化タイプ)を用いた。
図11は、成形時における、時間経過に伴うバレル10の温度変化を模式的に示すグラフ図である。図11に示すように、第1〜第3測定位置ch1,ch2,ch3のいずれにおいても、目標温度Ttからのバラツキがほとんど生じないことが確認された。なお、第1〜第3測定位置ch1,ch2,ch3のいずれにおいてもバラツキ幅は±5(℃)以内に収まっていた。
以上より、カートリッジヒータ50を内蔵したバレル10では、カートリッジヒータ50の配置等に特に工夫を凝らすことなく、その全周に亘って、ほぼ均一に樹脂材料60を加熱可能であることが確認された。
〈実験例4〉始動時の昇温時間
本実験例では、始動時の昇温時間について検証した。具体的には、カートリッジヒータ50が内蔵されたバレル10と、バンドヒータ150が外周面に巻き付けられたバレル110とを用意し、両者10,110について、外部電源をONにしてから、バレル10,110の温度が目標温度Ttに達する(昇温完了)までの時間を計測した。なお、カートリッジヒータ50は、異なるワット密度の発熱部51を軸方向に並べたもの(ワット密度変化タイプ)を用いた。
図12は、始動時における昇温時間を模式的に示すグラフ図である。図12において、破線は比較例を、また、実線は本実施例をそれぞれ示している。
バンドヒータ150が外周面に巻き付けられたバレル110を用いた比較例では、バレル110の肉厚Tの分だけ時間がかかるため、図12の破線で示すように、外部電源をONにしてから昇温完了までに、30(分)近くかかった(効率=0.4)。
これに対し、カートリッジヒータ50が内蔵されたバレル10を用いた本実施例では、カートリッジヒータ50と中空部11との距離が短縮されることから、図12の実線で示すように、外部電源をONにしてから約10(分)で昇温完了に至り、理論上の昇温曲線(効率=1.0)とほぼ同様の結果が得られた。
なお、カートリッジヒータ50が内蔵されたバレル10を用いた場合には、バンドヒータ150が外周面に巻き付けられたバレル110を用いた場合に比して、昇温時の消費電力量を約74(%)も低減することができた。
以上より、カートリッジヒータ50を内蔵したバレル10を用いる本実施形態の射出成形装置1では、バンドヒータ150が外周面に巻き付けられたバレル110を用いる従来の射出成形装置に比して、温度制御応答性を向上させることが可能であることが確認された。
〈実験例5〉成形中のヒータ消費電力量
本実験例では、成形中のヒータ消費電力量について検証した。具体的には、カートリッジヒータ50が内蔵されたバレル10と、バンドヒータ150が外周面に巻き付けられたバレル110とを用意し、両者10,110について、成形中のヒータ消費電力量の推移を検証した。
図13は、成形中の消費電力量の推移を模式的に示すグラフ図である。図13において、破線は比較例を、また、実線は本実施例をそれぞれ示している。
図13に示すように、カートリッジヒータ50が内蔵されたバレル10を用いた本実施例では、成形の全期間において、バンドヒータ150が外周面に巻き付けられたバレル110を用いた比較例に比して、消費電力量を抑えられることが確認された。具体的な数値を示すと、樹脂製品を1つ成形するに当たり、本実施例では、比較例に比して消費電力量を約40(%)も低減することができた。
以上より、カートリッジヒータ50を内蔵したバレル10を用いる本実施形態の射出成形装置1では、バンドヒータ150が外周面に巻き付けられたバレル110を用いる従来の射出成形装置に比して、バレル10外への放熱が抑制されるので、昇温時のエネルギー効率を向上させることが可能であることが確認された。
〈実験例6〉ゾーン別制御
本実験例では、均一ワット密度タイプのカートリッジヒータ50において、軸方向に並ぶ発熱部51をそれぞれ個別に制御した場合における、バレル10の温度制御性について検証した。
図14は、バレル10における温度制御位置CP1,CP2を示す模式図であり、図15は、カートリッジヒータ50を模式的に示す図である。具体的な実験方法としては、カートリッジヒータ50として、図15に示すように、非発熱部53を介在させて800(W)の発熱部51a,51bが軸方向に2つ並べた均一ワット密度タイプのヒータで、且つ、発熱部51aの電源コード55aが第1外部電源(図示せず)に接続されている一方、発熱部51bの電源コード55bが第2外部電源(図示せず)に接続されているものを用意した。そうして、昇温完了時における、図14の温度制御位置CP1および温度制御位置CP2の温度が共に目標温度Ttとなるように、第1および第2外部電源の電圧をそれぞれ制御した場合に、バレル10における温度制御位置CP1および温度制御位置CP2以外の位置の温度がどのように分布するかを温度センサで検出した。
図16は、昇温完了時におけるバレル軸方向の温度分布を模式的に示すグラフ図である。発熱部51a,51bをそれぞれ個別に制御する本実施例では、図16に示すように、均一ワット密度タイプのカートリッジヒータ50を用いた場合でも、上記実施例2の場合と異なり、バレル軸方向の全域において、バレル10の温度が目標温度帯TRtに収まることが確認された。
以上より、バレル10に内蔵されるカートリッジヒータ50としては、軸方向に並ぶ発熱部51a,51bを一律に制御するよりも、それぞれ個別に制御する方が、温度制御という観点からはより好ましいことが確認された。
(その他の実施形態)
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
上記実施形態では、バレル10に形成された挿入孔15にカートリッジヒータ50を挿入したが、これに限らず、例えば分割構造のバレルでカートリッジヒータ50を挟むようにしてもよい。具体的には、軸方向に延びる複数の溝が外周面に形成された内筒(図示せず)と、外筒(図示せず)とを用意し、内筒の溝に嵌められたカートリッジヒータ50を外筒で覆うことで、内筒と外筒との間にカートリッジヒータ50を挟むようにしてもよい。
また、上記実験例6では、均一ワット密度タイプのカートリッジヒータ50において、軸方向に並ぶ発熱部51をそれぞれ個別に制御したが、これに限らず、ワット密度変化タイプのカートリッジヒータ50において、軸方向に並ぶ発熱部51をそれぞれ個別に制御してもよい。
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
本発明によると、バレルの温度制御応答性およびエネルギー効率を向上させることができるので、ヒータを用いてバレル内の樹脂材料を溶融させる射出成形装置に適用して極めて有益である。
1 射出成形装置
3 金型
9 キャビティ
10 バレル
11 中空部
50 カートリッジヒータ
60 樹脂材料

Claims (1)

  1. 金型のキャビティと連通する、軸方向に延びる中空部が形成されたバレルと、当該中空部に投入された樹脂材料を加熱するヒータと、を備える射出成形装置であって、
    上記ヒータは、棒状であり、上記中空部の周りで当該中空部に沿って軸方向に延びるように上記バレルに内蔵されていることを特徴とする射出成形装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022202192A1 (ja) 2021-03-24 2022-09-29 株式会社Jvcケンウッド 犯罪防止装置及び犯罪防止方法

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