JP2021031620A - 高耐久防曇塗膜およびコーティング組成物 - Google Patents

高耐久防曇塗膜およびコーティング組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】防曇性と密着性に優れ、急激な環境変化に晒された場合においても良好な防曇性と密着性、塗膜外観を保持した塗膜を提供することを課題とする。【解決手段】本発明に係る塗膜は、金属酸化物(A)と親水性化合物(B)を含み、25℃の脱イオン水に塗膜を240時間浸漬後、23℃50%RHの環境下に1時間静置させることにより行われる耐水性試験前後の屈折率変化が−5%以上+5%以下であることを特徴とする。塗膜は、重合体粒子(C)をさらに含んでよい。塗膜は、架橋剤(D)をさらに含んでよい。【選択図】なし

Description

本発明は、塗膜およびこれを形成するためのコーティング組成物に関する。本発明は、特に高耐久防曇塗膜およびこれを形成するためのコーティング組成物に関する。
ガラス板の代替として軽量化や成形性の観点から樹脂成形体が広く用いられている。その用途は、自動車部品、家電部品、ハウジング、容器、フィルム、シート等の広い分野にわたる。特に透明プラスチックは、各種窓、光学用レンズ、ミラー、眼鏡、ゴーグル、遮音壁、信号機灯のレンズ、前照灯レンズ、カーブミラー、風防、銘板等に使用されている。しかし、プラスチック等の樹脂基材は、外気との温湿度差により、基材の一方の面が露点温度以下になった場合や、急激な温湿度変化が生じた場合に基材表面が結露し、表面に微細な水滴が付着し透過光を散乱することがある。そのような場合、樹脂成形体は、透明性が損なわれ、いわゆる曇りが発生する。
この曇りを防ぐ方法として下記のような提案がなされてきた。
(1)基材表面に吸水性化合物の塗膜を作製する方法。
(2)基材表面に界面活性剤等の親水化合物の塗膜を作製することで基材表面を親水性にする方法。
具体的には、(1)の方法として、特許文献1では、硬化エポキシド樹脂、あるいはウレタン樹脂からなる吸水性の架橋樹脂層を有し、前記吸水層が金属酸化物微粒子を含有する防曇性物品等が提案されている。また、特許文献2では、硬化エポキシ樹脂とポリオキシエチレンアルキルエーテル系の界面活性剤を含有する吸水層を具備した防曇性物品が提案されている。
しかしながら、これらの方法においては、一定のレベルまでは防曇性を維持できるが、吸水能以上の水分が該物品に凝集、付着すると曇りが生じる。そのため、高い防曇持続性を発現させるためには膜厚を厚くする必要があるといった不都合があった。
(2)の方法として、特許文献3、特許文献4では、塗膜表面がコロイダルシリカであることを特徴とする親水性、防汚性塗膜が開示されている。具体的には、特許文献3では、コロイダルシリカとノニオン系界面活性剤とを含有する防汚塗膜、特許文献4では重合体粒子とコロイダルシリカとを含有する防汚塗膜が開示されている。しかしながら、これらの文献の塗膜は、いずれもコロイダルシリカが塗膜最表面に偏在していることを特徴としている。そのため、初期の親水性、防曇性には優れるものの基材との密着性が悪く、さらに高温多湿などの過酷な環境下においた場合に防曇性の低下や外観不良が起こりうる。
さらに特許文献5では、シロキサンバインダーとシリカ粒子、吸水性有機高分子を含有し、特定範囲内の吸水量と水接触角を有する防曇コート用組成物および積層体が開示されている。しかしながら、基材との凝集性を発現する構造が少ないため密着性が悪く、過酷な環境下においた場合の防曇性の低下や、親水性化合物の塗膜表面での溶出及び更には塗膜全体からの溶出に起因する白化(水滴痕の発生)による外観不良が十分に解決できない可能性がある。
国際公開第2012/161330号 国際公開第2015/008672号 特許第4812902号 国際公開第2010/104146号 国際公開第2018/092543号
本発明者らは、従来技術の問題点に鑑み、防曇性と密着性に優れ、急激な環境変化に晒された場合においても良好な防曇性と密着性、塗膜外観が保持される塗膜を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に完成させた。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1].
金属酸化物(A)と親水性化合物(B)を含み、25℃の脱イオン水に塗膜を240時間浸漬後、23℃50%RHの環境下に1時間静置させることにより行われる耐水性試験前後の屈折率変化が−5%以上+5%以下であることを特徴とする塗膜。
[2].
重合体粒子(C)をさらに含む、上記[1]項に記載の塗膜。
[3].
架橋剤(D)をさらに含む、上記[1]または[2]項に記載の塗膜。
[4].
水接触角の値が40°未満である、上記[1]〜[3]項のいずれか1項に記載の塗膜。
[5].
前記金属酸化物(A)がシリカを含む、上記[1]〜[4]項のいずれか1項に記載の塗膜。
[6].
前記親水性化合物(B)が、非共有結合及び/又は共有結合を介して上記金属酸化物(A)表面に結合している、上記[1]〜[5]項のいずれか1項に記載の塗膜。
[7].
前記親水性化合物(B)の分子内にアルキレングリコール部位を有する、上記[1]〜[6]項のいずれか1項に記載の塗膜。
[8].
前記重合体粒子(C)が、互いに接触している部分を含む、上記[1]〜[7]項のいずれか1項に記載の塗膜。
[9].
金属酸化物(A)が、アルコキシシラン、およびアルコキシシランの加水分解縮合物のうち少なくとも1種を含む、上記[1]〜[8]項のいずれか1項に記載の塗膜を製造するためのコーティング組成物。
[10].
金属酸化物(A)が、シリコーン粒子およびアクリルシリコーン粒子のうち少なくとも1種を含む、上記[1]〜[8]項のいずれか1項に記載の塗膜を製造するためのコーティング組成物。
[11].
親水性化合物(B)が、分子内にアルコキシシリル基およびシラノール基のうち少なくとも1種を含む、上記[9]または[10]項に記載のコーティング組成物。
[12].
重合体粒子(C)をさらに含み、前記重合体粒子(C)が反応性官能基を含む、上記[9]〜[11]項のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
[13].
金属酸化物(A)および親水性化合物(B)を含み、さらに重合体粒子(C)および架橋剤(D)のうち少なくとも1種を含む、上記[9]〜[11]項のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
[14].
樹脂基材およびガラス基材のうちいずれか1種と、上記[1]〜[8]項のいずれか1項に記載の塗膜との積層体。
[15].
防曇塗膜として使用される、上記[1]〜[8]項のいずれか1項に記載の塗膜。
[16].
自動車外装部品用塗膜として使用される、上記[1]〜[8]項のいずれか1項に記載の塗膜。
[17].
ランプカバー用塗膜として使用される、上記[1]〜[8]項のいずれか1項に記載の塗膜。
本発明によれば、急激な環境変化に晒された場合においても良好な防曇性と密着性、塗膜外観が保持される塗膜を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」と略記する。)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本発明の各構成成分について説明する。
本発明における塗膜は、例えば、水等の溶媒等に分散させたコーティング組成物(「水分散体」と略記することがある)を基材上に塗工し、乾燥して形成される。従って、基本的に、塗膜とコーティング組成物とは、溶媒を除いて成分構成及びその割合が同一である。すなわち、本発明に係る塗膜は、特に断りがない限り、以下で説明するコーティング組成物の成分群が有する特性及び量比を備える。従って、以下では、コーティング組成物の構成を中心に説明する。
本発明におけるコーティング組成物は、(A)成分として金属酸化物、および(B)成分として親水性化合物を含む。
(A)成分:金属酸化物
(A)成分に用いられる金属酸化物としては、(B)成分との相互作用の観点から、例えば、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化鉛、酸化鉄、珪酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ニオブ、及び酸化セリウム等が使用可能である。なかでも、相互作用の強さの観点から、表面水酸基の多い二酸化珪素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化アンチモン、及びそれらの複合酸化物等が好ましい。なお、(A)成分として、上述した金属酸化物の2種以上を併用してもよい。
さらに、(A)成分に用いられる金属酸化物として、耐汚染性を付与する観点から、光照射により光触媒活性及び/又は親水性を発現する化合物(以下、単に「光触媒」と略記することがある)を用いてもよい。(A)成分として、光照射により光触媒活性を発現する化合物を用いることにより、コーティング組成物から形成される塗膜の表面に、汚染有機物質の優れた分解活性や耐汚染性を発現し得る。なお、本明細書において塗膜の「親水性」とは、測定対象物表面に対する水(23℃)の接触角(水接触角)が、好ましくは40゜以下、より好ましくは30゜以下、更に好ましくは20゜以下になることを意味する。水接触角の測定方法については実施例にて後述する。なお、ここで言う「光照射により親水性を発現する化合物」は、元来親水性を有する(B)成分の親水性化合物とは区別される。
光触媒として、より具体的には、TiO、ZnO、SrTiO、BaTiO、BaTiO、BaTi、KNbO、Nb、Fe、Ta、KTaSi、WO、SnO、Bi、BiVO、NiO、CuO、RuO、及びCeO等が使用可能である。さらに、光触媒として、Ti、Nb、Ta、Vから選ばれた少なくとも1種の元素を有する層状酸化物(例えば、特開昭62−74452号公報、特開平2−172535号公報、特開平7−24329号公報、特開平8−89799号公報、特開平8−89800号公報、特開平8−89804号公報、特開平8−198061号公報、特開平9−248465号公報、特開平10−99694号公報、特開平10−244165号公報等参照)が使用可能である。これらの光触媒のなかでも、TiO(酸化チタン)は、無害であり、化学的安定性にも優れるため好ましい。酸化チタンとしては、アナターゼ型、ルチル型、及びブルッカイト型のいずれも使用できる。
また、(A)成分に用いられる金属酸化物として、コーティング組成物から形成される塗膜の帯電防止性能等を発現する観点から、導電性を有する金属酸化物を用いることができる。導電性を有する金属酸化物としては、例えば、錫をドープした酸化インジウム(ITO)、アンチモンをドープした酸化錫(ATO)、酸化スズ、及び酸化亜鉛等が使用可能である。
(A)成分は、コーティング組成物の原料として、例えば、粉体、分散液、及びゾル等の形態で使用される。ここで、分散液又はゾルとは、(A)成分が、水及び/又は親水性有機溶媒中に0.01〜80質量%、好ましくは0.1〜50質量%の濃度で、一次粒子及び/又は二次粒子として分散されたものを意味する。親水性有機溶媒としては、例えば、エチレングリコール、ブチルセロソルブ、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エタノール、メタノール、2−エチルヘキサノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、ダイアセトンアルコール、シクロペンタノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン、N−メチルピロリドン等、さらにはこれらの2種以上の混合物が使用可能である。
(A)成分に用いられる金属酸化物は、シリコーン粒子、及び/又はアクリルシリコーン粒子であってもよい。
例として、シリコーン粒子は、後述する重合体粒子(C)の(c4)成分、アクリルシリコーン粒子は(c1)及び(c4)成分から構成されてもよい。また、シリコーン粒子は、後述する分子内にアルコキシシラン及び/又はシラノール基を含むポリアルキレングリコールを含んでもよい。その際、アルコキシシラン及び/又はシラノール部位を金属酸化物(A)としてもよく、ポリアルキレングリコール部位を親水性化合物(B)としてもよいし、あるいは別途、金属酸化物(A)及び/又は親水性化合物(B)を添加してもよい。
粉体、分散液又はゾル中で観察される(A)成分の数平均粒子径(1次粒子と2次粒子との混合物であってもよいし、1次粒子、2次粒子何れかのみであってもよい)は、1nm以上400nm以下であることが好ましい。数平均粒子径の下限は、コーティング組成物の貯蔵安定性の点で3nmがより好ましく、4nmが更に好ましい。また、数平均粒子径の上限は、塗膜の透明性の点で、100nmがより好ましく、80nmが更に好ましく、50nmが特に好ましい。ここでの特定範囲の数平均粒子径は、形成された塗膜中でも通常維持される。なお、(A)成分についての本明細書における数平均粒子径(単に、「粒子径」と略記することがある)とは、後述する実施例の方法に準じて測定された値である。
本発明において、金属酸化物(A)は、取り扱い性の観点からシリカが好ましい。シリカは、二酸化ケイ素を基本単位とし、ゾル−ゲル法で調製してもよいし、市販品を利用してもよい。ゾル−ゲル法で調製する場合には、Werner Stober et al;J.Colloid and Interface Sci., 26, 62−69 (1968)、Rickey D.Badley et al;Lang muir 6, 792−801 (1990)、色材協会誌,61 [9] 488−493 (1988)等を参照できる。その中でもコロイダルシリカは、シリカの水又は水溶性溶剤の分散体であり、取り扱い性の観点から好ましい。シリカの数平均粒子径は、(A)成分について上述した数平均粒子径と同様の範囲であることが好ましい。
上記範囲の数平均粒子径のシリカは、水性分散液の状態で、酸性、塩基性、及びカチオン性のいずれであっても用いることができる。混合する親水性化合物(B)の安定領域に応じて、適宜液性を選択することができる。シリカの形状は特に限定されず、例えば球状、鎖状、数珠状、板状、針状等が挙げられる。シリカと親水性化合物が非共有結合を介して固定化される場合、非共有結合が強固になることからpH10以下であることが好ましい。水を分散媒体とする酸性のシリカとしては、例えば市販品として日産化学工業株式会社製スノーテックス(登録商標)−OXS、スノーテックス−OS、スノーテックス−O、スノーテックス−O−40、スノーテックス−OL、スノーテックス−OYL、スノーテックス−OUP、スノーテックス−PS−SO、スノーテックス−PS−MO、株式会社ADEKA製アデライト(登録商標)AT−20Q、クラリアントジャパン株式会社製クレボゾール(登録商標)20H12、及びクレボゾール30CAL25などが利用できる。
塩基性のシリカとしては、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、及びアミンの添加で安定化したシリカがある。例えば、日産化学工業株式会社製スノーテックス−20、スノーテックス−30、スノーテックス−C、スノーテックス−C30、スノーテックス−CM40、スノーテックス−N、スノーテックス−N30、スノーテックス−K、スノーテックス−XL、スノーテックス−YL、スノーテックス−ZL、スノーテックスPS−M、及びスノーテックスPS−L等が使用可能である。あるいは、株式会社ADEKA製アデライトAT−20、アデライトAT−30、アデライトAT−20N、アデライトAT−30N、アデライトAT−20A、アデライトAT−30A、アデライトAT−40、及びアデライトAT−50等も使用可能である。さらに、クラリアントジャパン株式会社製クレボゾール30R9、クレボゾール30R50、及びクレボゾール50R50等や、W.R.グレース社製ルドックス(登録商標)HS−40、ルドックスHS−30、ルドックスLS、及びルドックスSM−30等も使用可能である。
カチオン性のシリカとしては、例えば日産化学工業株式会社製スノーテックス−AK、スノーテックス−AK−L、スノーテックス−AK−YLなどが利用できる。
また、水溶性溶剤を分散媒体とするシリカとしては、例えば、日産化学工業株式会社製MA−ST−M(数平均粒子径が20〜25nmのメタノール分散タイプ)、IPA−ST(数平均粒子径が10〜15nmのイソプロピルアルコール分散タイプ)、EG−ST(数平均粒子径が10〜15nmのエチレングリコール分散タイプ)、EG−ST−ZL(数平均粒子径が70〜100nmのエチレングリコール分散タイプ)、及びNPC−ST(数平均粒子径が10〜15nmのエチレングリコールモノプロピルエーテール分散タイプ)等が使用可能である。
なお、これらのシリカは、一種又は二種類以上組み合わせて使用されてもよい。また、少量成分として、アルミナ、及びアルミン酸ナトリウム等を含んでいてもよい。さらに、シリカは、安定剤として無機塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニアなど)や有機塩基(テトラメチルアンモニウムなど)等を含んでいてもよい。
(B)成分:親水性化合物
(B)成分として用いられる親水性化合物は、(A)成分の分散性向上、非共有結合及び/又は共有結合を介した(A)成分表面への固定化による塗膜の防曇持続性、耐湿性の向上、外観持続性の向上、耐溶出性の向上(塗膜表面での溶出および更には塗膜全体からの溶出の抑制)、水滴痕発生の抑制効果の向上、ならびに、塗膜の成膜性向上等の目的のために、コーティング組成物に含有される。
上記塗膜性能を向上させるためには、この(B)成分が(A)成分に非共有結合と共有結合のいずれかを介して固定化されていればよいが、耐湿性および耐熱性、水滴痕の抑制の点で、2種の結合を介して固定化されていることが好ましい。
前記親水性化合物(B)は、ノニオン系化合物、アニオン系化合物及び両性イオン系化合物からなる群から選択される少なくとも1種であってよい。ノニオン系化合物、アニオン系化合物及び両性イオン系化合物としては、これらのイオン特性を有する公知の化合物のいずれかを用いることができる。
ノニオン系化合物の例としては、親水性部位として水酸基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、アルキレンオキシド部位などを有する化合物などが挙げられる。
アニオン系化合物の例としては、カルボン酸部位、スルホン酸部位、リン酸部位、ボロン酸部位を有する化合物などが挙げられる。
両性イオン系化合物の例としては、カルボン酸部位、スルホン酸部位、リン酸部位、ボロン酸などのアニオン性部位と、四級アンモニウム部位、イミダゾリウム部位、ピリジニウム部位、スルホニウム部位、ホスホニウム部位などのカチオン性部位を同一分子内に有する化合物などが挙げられる。
(B)成分に用いられる親水性化合物としては、コーティング組成物の分散安定性の観点から水に溶解及び/又は分散可能な化合物が使用可能である。水に溶解及び/又は分散可能であれば親水性基の他、疎水性基を有しても良い。また、(B)成分が非共有結合を介して(A)に固定化される場合、(B)成分は金属酸化物(A)との相互作用部位を含有していることが塗膜の耐久性の観点から好ましい。そのような相互作用部位の例としては、水酸基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、シラノール基、スルホ基、ポリオキシアルキレン部位、アンモニウム塩部位、ピリジニウム塩部位、イミダゾリウム塩部位、アルコキシシラン部位などが挙げられる。
親水性化合物(B)は、後述する架橋剤(D)と反応しうる官能基を、分子内に少なくとも1つ有していてもよい。分子内に2つ以上の該架橋剤(D)と反応しうる官能基を有する親水性化合物がより好ましい。この場合、架橋剤(D)との反応によって二次元、および又は三次元架橋体が形成され、得られる塗膜の耐久性(例えば、急激な環境変化に晒された場合の塗膜の防曇持続性、密着持続性、外観持続性)の観点でより一層好ましい。該架橋剤(D)と反応しうる官能基として、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、ケト基、アルデヒド基、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシシリル基、カルボジイミド基、アミド基、アミノ基が挙げられるが、より好ましくはヒドロキシル基である。
金属酸化物(A)との相互作用部位を有する親水性化合物を用いることにより、金属酸化物(A)(例えばシリカ)表面へ非共有結合及び/又は共有結合を介して固定化され、急激な環境変化に晒された場合の塗膜の防曇持続性、密着持続性、外観持続性が向上する。
また、分子内にイソシアネート基と反応し得る官能基を1つまたは2つ以上有する親水性化合物を用いることにより、当該親水性化合物が塗膜中に固定化され、水との接触による溶出を防止することができる。
具体的には、上記相互作用部位であると共に該架橋剤(D)と反応し得る官能基を分子内に2つ以上有する親水性化合物(B)の例として、特に限定されないが、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンオキシプロピレンオキシエチレントリブロックコポリマー、ポリオキシプロピレンオキシエチレンオキシプロピレントリブロックコポリマー、脂肪酸ポリオキシアルキレンソルビタン等のアルキレングリコール部位含有ポリマー群、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとアルキル(メタ)アクリレートの共重合体などが挙げられる。これらを一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。ここでの「アルキレン」および「アルキル」の炭素数は、特に限定されないが、例えば1〜10であり、より好ましくは2〜6であり、最も好ましくは2または3である。
これらの親水性化合物(B)は、前記架橋剤(D)を含むコーティング組成物(およびこれから形成される塗膜)にて好適に用いられるが、該架橋剤(D)を含まないコーティング組成物(およびこれから形成される塗膜)にも用いられてよい。
これらの親水性化合物(B)の中でもイソシアネート架橋剤と反応し得る官能基を3つ以上有するポリアルキレンオキシドを含有すると、塗膜のシリカ表面への固定化、初期防曇性、初期密着性、急激な環境変化に晒された場合の防曇持続性、密着持続性、外観持続性の観点から好ましい。上記イソシアネート架橋剤と反応し得る官能基を3つ以上有するポリアルキレンオキシドの例としては、グリセロールエトキシレート、トリメチルプロパンエトキシレート、脂肪酸ポリオキシアルキレンソルビタンが挙げられる。脂肪酸ポリオキシアルキレンソルビタンの例としては、モノ脂肪酸ポリオキシアルキレンソルビタンが挙げられる。モノ脂肪酸ポリオキシアルキレンソルビタンの具体例としては、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタンが挙げられる。ここでの脂肪酸の例としては、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸等が挙げられるが、特に限定されない。
コーティング組成物が、上記イソシアネート架橋剤と反応し得る官能基を3つ以上有すると、塗膜の耐久性の点でより好ましい。コーティング組成物が、イソシアネート架橋剤と反応し得る官能基を4つ以上有する親水性化合物(B)を含有すると、イソシアネート架橋剤との反応率が100%未満であっても三次元架橋体を形成できるため塗膜の耐久性の点でより好ましい。そのような化合物の例としては4分岐型ポリアルキレングリコール、8分岐型ポリアルキレングリコール、ハイパーブランチポリマーなどが挙げられる。
モノ脂肪酸ポリオキシアルキレンソルビタン、または、4分岐型ポリアルキレングリコール、8分岐型ポリアルキレングリコール、ハイパーブランチポリマーなどのイソシアネート架橋剤と反応し得る官能基を4つ以上有する親水性化合物(B)は、イソシアネート架橋剤を含むコーティング組成物(およびこれから形成される塗膜)だけではなく、イソシアネート架橋剤を含まない、または後述する架橋剤(D)を含むコーティング組成物(およびこれから形成される塗膜)にも用いることができる。
親水性化合物(B)は、分子内に金属酸化物(A)と共有結合を形成し得る官能基を1つまたは2つ以上有しているものであってよい。金属酸化物(A)と共有結合を形成し得る官能基の例としては、水酸基、シラノール基、アルコキシシラン基、イソシアネート基等が挙げられる。金属酸化物(A)と共有結合を形成し得る官能基を1つまたは2つ以上有している親水性化合物を用いることにより、当該親水性化合物が塗膜中に共有結合を介して固定され、水との接触や高温多湿下などの過酷な環境下に晒された場合においても当該親水性化合物が塗膜から離脱することなく塗膜内に残存できる。
前記親水性化合物(B)として、分子内にアルコキシシラン及び/又はシラノール基を含むポリアルキレンオキシドが挙げられる。
このような分子内にアルコキシシラン及び/又はシラノール基を含むポリアルキレンオキシドとして、例えば、分子内に水酸基を1つ有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル、分子内に水酸基を2つ有するポリオキシアルキレングリコール、分子内に水酸基を3つ有する脂肪酸ポリオキシアルキレンソルビタン、グリセロールエトキシレート、トリメチルプロパンエトキシレート、分子内に水酸基を4つ有する4分岐型ポリアルキレングリコール、分子内に水酸基を8つ有する8分岐型ポリアルキレングリコール等と、水酸基と反応しうる官能基を有するシランカップリング剤との反応物を挙げることができる。
水酸基と反応しうる官能基を有するシランカップリング剤としては、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物等が挙げられる。この中でも反応性の点から、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート系シランカップリング剤が好ましい。
上記の分子内に水酸基を1つ有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル等とイソシアネート系シランカップリング剤の反応は、任意に触媒を添加しても良い。触媒としては、特に限定されないが、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート、ジメチルスズジネオデカノエート、ビス(2−エチルヘキサン酸)スズ等のスズ系化合物;2−エチルヘキサン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛等の亜鉛化合物;2−エチルヘキサン酸チタン、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトナート)等のチタン化合物;2−エチルヘキサン酸コバルト、ナフテン酸コバルト等のコバルト化合物;2−エチルヘキサン酸ビスマス、ナフテン酸ビスマス等のビスマス化合物;ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、2−エチルヘキサン酸ジルコニル、ナフテン酸ジルコニル等のジルコニウム化合物;アミン化合物が挙げられる。
これらの親水性化合物(B)の中でも、分子内に分岐したポリアルキレンオキシド鎖を有し、ポリアルキレンオキシド鎖の末端に一級脂肪族水酸基、並びにアルコキシシラン及び/又はシラノール基を含む、ポリアルキレンオキシドが初期防曇性、密着性、耐久性、耐溶出性、及び水滴痕発生の抑制効果の観点から好ましい。このような親水性化合物(B)は、例えば分子内に水酸基を2つ以上、より好ましくは3つ以上有するポリアルキレンオキシドと、水酸基と反応しうる官能基を有するシランカップリング剤との反応により合成できる。上記親水性化合物(B)の水酸基に対するシランカップリング剤の導入率はNMR等で測定できる。この導入率は、水滴痕抑制効果の観点で、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは30%以上である。またこの導入率は、密着性の観点で、上限値は好ましくは100%以下、より好ましくは95%以下、さらに好ましくは90%以下である。
親水性化合物(B)の分子量は、耐湿性と水滴痕の抑制の観点から好ましくは400以上、より好ましくは1000以上、さらに好ましくは2000以上である。
金属酸化物(A)に対する親水性化合物(B)の質量比((B質量)/(A質量))は、耐湿性の観点から好ましくは0.005以上、より好ましくは0.01以上、さらに好ましくは0.03以上である。また、この質量比は、耐溶出性、水滴痕発生抑制の観点から好ましくは1以下、より好ましくは0.7以下、さらに好ましくは0.5以下である。
金属酸化物(A)として粒子を用いる場合、金属酸化物(A)表面積に対する親水性化合物(B)の分子数の割合((B分子数)/(A表面積nm))は、耐湿性の観点から0.01/nm以上、より好ましくは0.05/nm以上、さらに好ましくは0.1/nm以上である。また、この割合は、耐溶出性、水滴痕発生抑制の観点から好ましくは4.0/nm以下、より好ましくは3.0/nm以下、さらに好ましくは2.0/nm以下である。
一般に、金属酸化物および水を含むコーティング組成物を塗工して得られる塗膜は、金属酸化物成分が最表面に存在することになる。よって、例えば上述のシリカを含むコーティング組成物を用いる場合は、塗膜の最表面はシリカの成分が存在することになる。このような塗膜の場合高温多湿環境下に晒された場合に異物の吸着等による汚染が生じ、防曇性が消失する。
一方、親水性化合物を多く含む塗膜の場合、高温多湿環境下において金属酸化物(A)に固定化されていない余剰な親水性化合物の塗膜内での局在化などが起こり得る。このような局在化は、塗膜の白化(塗膜表面での溶出および更には塗膜全体からの溶出、それによる水滴痕の発生)といった外観不良を生じさせる。
一態様において、本発明の塗膜は、表面のXPSによる元素分析においてC1sスペクトルと金属酸化物由来の金属(M)スペクトルとから得られるC元素と金属元素との元素濃度比(C1s/M)が0.1〜5の範囲であってよいが、特に限定されない。C1s/Mが0.1以上であることにより、塗膜表面の金属酸化物の露出度がより小さくなり、高温多湿環境下に晒された場合に異物による汚染が抑制され、防曇性が所望のレベルに維持され得る。C1s/Mが5以下であることにより、金属酸化物表面に固定化されていない有機成分の量がより小さくなり、外観持続性、耐溶出性、水滴痕発生の抑制効果が所望のレベルに維持され得る。
さらに、表面のXPSによる元素分析において炭素−酸素結合、及び/又は炭素−窒素結合に由来するC1sスペクトルから得られるC元素の相対元素濃度を5〜50atomic%の範囲とすることで塗膜の防曇性、親水性が一層向上し得る。5atomic%以上であることにより塗膜表面の親水性基の密度がより大きくなり、塗膜の親水性、防曇性が良好になり得る。50atomic%以下であることにより水への溶解性が所望の範囲に維持され塗膜の耐溶出性、水滴痕発生の抑制効果が良好になり得る。
塗膜表面のXPSによる元素分析においてC1s/Mの下限は、より好ましくは0.3以上、更に好ましくは0.4以上である。その上限は、より好ましくは8以下である。換言すれば、C1s/Mは、0.2〜8の範囲、0.3〜10の範囲、0.3〜8の範囲、0.4〜10の範囲、または0.4〜8の範囲であってよい。
また、塗膜表面のXPSによる元素分析において、炭素−酸素結合、及び/又は炭素−窒素結合に由来するC1sスペクトルの相対元素濃度の下限は、より好ましくは10atomic%以上である。その上限は、より好ましくは40atomic%以下である。換言すれば、炭素−酸素結合、及び/又は炭素−窒素結合に由来するC1sスペクトルの相対元素濃度は、5〜40atomic%の範囲、10〜50atomic%の範囲、または10〜40atomic%の範囲であってよい。
塗膜表面のXPSによる元素分析は、例えば下記の装置及び測定条件で行うことができる。
使用機器としては、例えば、アルバックファイ株式会社製のVerasa probe IIを用い、励起源としてmonoAlK・(15kV×3.3mA)を用いることができる。測定試料の塗膜の表面に1mm×2mmのマスクを被せて測定範囲とする。
光電子取出し角は45°で行い、取込領域はSurvey scanが0〜1,100 eV、Narrow scanがC1s、N1s、Si2p、O1sの領域を行う。また、Pass EnergyはSurvey scanが117.5 eV、Narrow scanが46.95eVで行う。
金属酸化物(A)表面を親水性化合物(B)等の有機成分で非共有結合を介して被覆する方法としては、例えば金属酸化物(A)の数平均粒子径(D)、密度(ρ)、(A)に対する(B)重量比(W)、親水性化合物(B)の平均粒径(D)、(B)成分の密度(ρ)から算出される、(B)の(A)に対する被覆率(P)が1%以上100%未満の範囲に制御されることになる有機成分の含有量であることが、塗膜の防曇持続性、外観持続性、耐溶出性、水滴痕発生の抑制効果の観点から好ましい。この被覆率(P)は、3%以上70%未満であることがより好ましく、5%以上50%未満であることがさらに好ましい。
なお、親水性化合物(B)の平均粒径(D)は親水性化合物(B)の分子量、密度から算出できる。被覆率(P)が1%以上であることにより、塗膜表面の金属酸化物の露出量がより小さくなり、高温多湿環境下に晒された場合でも防曇性が維持され得る。

被覆率(P)が100%未満であることにより、金属酸化物表面に固定化されていない親水性化合物(B)の塗膜表面での偏在、及び水への溶出が抑制され、塗膜の外観持続性及び耐溶出性、水滴痕発生の抑制効果を所望レベルに調整し得る。
ここで、(A)に対する(B)の重量比(W)は、(A)および(B)の粒子径に依存する。(A)の粒子径が1〜400nmであるとき、被覆率が1%以上100%未満となるためには、0.00008<W<3である。
金属酸化物(A)表面を親水性化合物(B)等の有機成分で共有結合を介して被覆する方法としては、例えば金属酸化物表面の官能基に対して反応性を有する有機化合物を予め反応させることが挙げられる。例えば金属酸化物としてコロイダルシリカを用いる場合においては、コロイダルシリカ表面のシラノール基と反応する官能基を有する親水性化合物を用いることが出来る。そのような官能基の例としてはアルコキシ基、シラノール基、水酸基、アミノ基、オキシム基、アセトキシ基などが挙げられる。
耐水性試験による屈折率変化
前記(A)成分および(B)成分を含む塗膜は、25℃の脱イオン水に塗膜を240時間浸漬後、23℃50%RHの環境下に1時間静置させる試験(以降、左記試験を耐水性試験と呼ぶ)後の屈折率変化が、試験前に対し、−5%以上+5%以下であることが、密着持続性と外観持続性の点で好ましい。屈折率変化の下限は−4%が好ましく、−3%がより好ましく、−2%がさらに好ましい。また、屈折率変化の上限は+4%が好ましく、+3%がより好ましく、+2%がさらに好ましい。ここで、脱イオン水とは、イオン交換樹脂によって塩類や残留塩素を除去した水である。また、蒸留機を用いて塩類や残留塩素を除去した水である蒸留水や、日本薬局方が定める精製水を替わりに用いてもよい。また、この屈折率の測定方法としては、例えば臨界角法、Vブロック法、分光エリプソメトリー法、分散法、光干渉法等が挙げられるが、薄膜の屈折率測定が可能であることから、分光エリプソメトリー法と光干渉法が好ましい。
(C)成分:重合体粒子
本発明に係る塗膜を形成するためのコーティング組成物は、(A)成分及び(B)成分に加え、(C)成分として重合体粒子を含んでよい。
さらに、この重合体粒子(C)には、後述する架橋剤(D)との反応性官能基を含むことが好ましい。(C)成分に含まれる反応性官能基としては、例えばイソシアネート基、ブロックイソシアネート基、ケト基、アルデヒド基、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシシリル基、カルボジイミド基、アミド基、アミノ基等が挙げられる。
前記(C)成分は、(c1)成分:イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、ケト基、アルデヒド基、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシシリル基、カルボジイミド基、アミド基、アミノ基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の反応性官能基を含有するビニル単量体と(c2)成分:水とを含む重合原液を重合して得られる重合体粒子である。
前記(A)成分は、(C)成分と相互作用し、(C)成分の硬化剤として作用しうる。当該相互作用としては、例えば、(A)成分が一般に有するヒドロキシル基と、(C)成分が有するイソシアネート基、ブロックイソシアネート基、ケト基、アルデヒド基、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシシリル基、カルボジイミド基、アミド基、アミノ基からなる群より選ばれる反応性官能基との水素結合の形成、あるいは、(A)成分が一般に有するヒドロキシル基と、(C)成分を構成する(c1)成分の重合生成物との縮合(化学結合)などがある。また、(A)成分が、(C)成分と相互作用しながら(C)成分の粒子間に連続層を形成することが好ましい。これにより、得られる塗膜の初期密着性、急激な環境変化に晒された場合の防曇性、密着性、塗膜外観が、より向上し得る。
(c1)成分としてのイソシアネート基含有ビニル単量体としては、イソシアナートエチル(メタ)アクリレート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等が挙げられる。また、ジイソシアネートもしくはトリイソシアネート、または左記ジイソシアネートもしくはトリイソシアネートを含むポリイソシアネートに、ヒドロキシル基を有するビニル単量体を一部反応させてイソシアネート基を1つ以上残したビニル化合物を用いてもよい。
前記ジイソシアネートやトリイソシアネートとしては、例えば1,4−テトラメチレンジイソシアネート、エチル(2,6−ジイソシアナート)ヘキサノエート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネ−ト;1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8−ジイソシアナート−4−イソシアナートメチルオクタン、2−イソシアナートエチル(2,6−ジイソシアナート)ヘキサノエートなどの脂肪族トリイソシアネート;1,3−または1,4−ビス(イソシアナートメチルシクロヘキサン)、1,3−または1,4−ジイソシアナートシクロヘキサン、3,5,5−トリメチル(3−イソシアナートメチル)シクロヘキシルイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,5−または2,6−ジイソシアナートメチルノルボルナンなどの脂環族ジイソシアネ−ト;2,5−または2,6−ジイソシアナートメチル−2−イソシネートプロピルノルボルナンなどの脂環族トリイソシアネート;m−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’α’−テトラメチル−m−キシリレンジイソシアネートなどのアラルキレンジイソシアネート;m−またはp−フェニレンジイソシアネート、トリレン−2,4−または2,6−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、ジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナート−3,3’−ジメチルジフェニル、3−メチル−ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアナートフェニル)チオホスフェートなどの芳香族トリイソシアネートが挙げられる。
また、前記ポリイソシアネートとしては、前記ジイソシアネートやトリイソシアネートのイソシアネート基どうしを環化二量化して得られるウレトジオン構造を有するジイソシアネートあるいはポリイソシアネート;上記ジイソシアネートあるいはトリイソシアネートのイソシアネート基どうしを環化三量化して得られるイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート;上記ジイソシアネートあるいはトリイソシアネートを水と反応させることにより得られるビュレット構造を有するポリイソシアネート;上記ジイソシアネートあるいはトリイソシアネートを二酸化炭素と反応せしめて得られるオキサダイアジントリオン構造を有するポリイソシアネート;上記ジイソシアネートあるいはトリイソシアネートを種々のアルコールと反応せしめて得られるアロファネート構造を有するポリイソシアネート;上記ジイソシアネートあるいはトリイソシアネートを、ポリヒドロキシ化合物、ポリカルボキシ化合物、ポリアミン化合物の如き活性水素を含有する化合物と反応させて得られるポリイソシアネート等が挙げられる。
また、上記ポリイソシアネート化合物の中では、脂肪族系あるいは脂環族系のジイソシアネートまたはトリイソシアネート、アラルキレンジイソシアネートあるいは、それらから誘導されるポリイソシアネートが、耐候性やポットライフの面で特に好ましい。さらに該ポリイソシアネートとしては、分子内にビュレット、イソシアヌレート、ウレタン、ウレトジオン、アロファネート等の構造を有するものが好ましい。ビュレット構造を有するものは接着性に優れている場合が多い。イソシアヌレート構造を有するものは耐候性に優れている場合が多い。長い側鎖を有するアルコール化合物を用いたウレタン構造を有するものは弾性及び伸展性に優れている場合が多い。ウレトジオン構造あるいはアロファネート構造を有するものは低粘度である場合が多い。
(c1)成分としてのブロックイソシアネート基含有ビニル単量体は、前記イソシアネート基含有ビニル単量体にブロック化剤を反応させることによって得ることができる。前記ブロック化剤としては、特に限定されないが、例えば、オキシム系化合物、アルコール系化合物、酸アミド系化合物、酸イミド系化合物、フェノール系化合物、アミン系化合物、活性メチレン系化合物、イミダゾール系化合物、及びピラゾール系化合物が挙げられる。オキシム系化合物としては、特に限定されないが、例えば、ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、及びシクロヘキサノンオキシムが挙げられる。アルコール系化合物としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、及び2−ブトキシエタノールが挙げられる。酸アミド系化合物としては、特に限定されないが、例えば、アセトアニリド、酢酸アミド、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、及びγ−ブチロラクタムが挙げられる。酸イミド系化合物としては、特に限定されないが、例えば、コハク酸イミド、及びマレイン酸イミドが挙げられる。フェノール系化合物としては、特に限定されないが、例えば、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、ブチルフェノール、ノニルフェノール、ジノニルフェノール、スチレン化フェノール、及びヒドロキシ安息香酸エステルが挙げられる。アミン系化合物としては、特に限定されないが、例えば、ジフェニルアミン、アニリン、カルバゾール、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、及びイソプロピルエチルアミンが挙げられる。活性メチレン系化合物としては、特に限定されないが、例えば、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、及びアセチルアセトンが挙げられる。イミダゾール系化合物としては、特に限定されないが、例えば、イミダゾール、及び2−メチルイミダゾールが挙げられる。ピラゾール系化合物としては、特に限定されないが、例えば、ピラゾール、3−メチルピラゾール、及び3,5−ジメチルピラゾール等が挙げられる。
(c1)成分としてのケト基又はアルデヒド基含有ビニル単量体としては、例えば、アクロレイン、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、ホルミルスチロール、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソブチルケトン、アクリルオキシアルキルプロパナール類、メタクリルオキシアルキルプロパナール類、ジアセトンアクリレート、ジアセトンメタクリレート、アセトニルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートアセチルアセテート、ブタンジオール−1,4−アクリレートアセチルアセトナートが挙げられる。
(c1)成分としてのエポキシ基含有ビニル単量体としては、例えば、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、2−メチル−2,3−エポキシプロピルメタクリレート、2,3−エポキシブチルメタクリレート、2,3−エポキシ−1−メチル−プロピルメタクリレート、2,3−エポキシ−1,2−ジメチル−プロピルメタクリレート、2,3−エポキシ−1−メチルブチルメタクリレート、2,3−エポキシ−2−メチルブチルメタクリレート等が挙げられる。
(c1)成分としてのヒドロキシル基含有ビニル単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、及び4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートのような各種のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチルビニルエーテル及び4−ヒドロキシブチルビニルエーテルのような各種の水酸基含有ビニルエーテル類;2−ヒドロキシエチルアリルエーテルのような各種の水酸基含有アリルエーテル類;ポリエチレングリコール等に代表されるような種々のポリエーテルポリオールと、(メタ)アクリル酸等に代表されるような種々の不飽和カルボン酸とから得られるポリオキシアルキレングリコールのモノエステル類;上述したような各種の水酸基含有単量体類と、ε−カプロラクトン等に代表されるような種々のラクトン類との付加物;グリシジル(メタ)アクリレート等に代表されるような種々のエポキシ基含有不飽和単量体と、酢酸等に代表されるような種々の酸類との付加物;さらには、(メタ)アクリル酸等に代表されるような種々の不飽和カルボン酸類と、「カーデュラ E」(オランダ国シェル社製の商品名)等に代表されるようなα−オレフィンのエポキサイド以外の、種々のモノエポキシ化合物との付加物等が挙げられる。
(c1)成分としてのカルボキシル基含有ビニル単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸及びフマル酸のような各種の不飽和カルボン酸類;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノ−n−ブチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノ−n−ブチル、フマル酸モノメチル、及びフマル酸モノ−n−ブチルのような不飽和ジカルボン酸類と、飽和1価アルコール類とのモノエステル類(ハーフエステル類);アジピン酸モノビニル及びコハク酸モノビニルのような各種の飽和ジカルボン酸のモノビニルエステル類;無水コハク酸、無水グルタル酸、無水フタル酸、及び無水トリメリット酸のような各種の飽和ポリカルボン酸の無水物類と、前述した各種の水酸基含有ビニル系単量体類との付加反応生成物;さらには、前述した各種のカルボキシル基含有単量体類とラクトン類とを付加反応させて得られる単量体類等が挙げられる。
(c1)成分としてのアルコキシシリル基含有ビニル単量体としては、例えば、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリn−プロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、及び2−トリメトキシシリルエチルビニルエーテル等のビニル重合性基を有するシランカップリング剤等が挙げられる。
(c1)成分としてのカルボジイミド基含有ビニル単量体は、例えば前記イソシアネート基含有ビニル単量体の2量化、または前記イソシアネート基含有ビニル単量体および他のイソシアネートとの反応等の、脱二酸化炭素を伴う縮合反応により得ることができる。
また、(C)成分を乳化重合にて重合し、かつ重合した(C)成分の水分散安定性を高めるため、重合原液中に(c3)成分として乳化剤を用いることができる。例えば、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、アルキルスルホコハク酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルスルホン酸等の酸性乳化剤、酸性乳化剤のアルカリ金属(Li、Na、K等)塩、酸性乳化剤のアンモニウム塩、及び脂肪酸石鹸等のアニオン性界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウムブロミド、アルキルピリジニウムブロミド、イミダゾリニウムラウレート等の四級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、及びイミダゾリニウム塩型のカチオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、及びポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル等のノニオン型界面活性剤等が使用可能である。これらは1種を単独で使用してもよいし、あるいは2種以上を併用してもよい。
(c3)成分としては、得られる(C)成分の水分散安定性を向上させる観点、及び、得られる塗膜の長期的な耐汚染性を向上させる観点から、ラジカル重合性の二重結合を有する反応性乳化剤を用いることが好ましい。反応性乳化剤としては、より具体的には、スルホン酸基又はスルホネート基を有するビニル単量体、硫酸エステル基を有するビニル単量体やそれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、ポリオキシエチレン等のノニオン基を有するビニル単量体、4級アンモニウム塩を有するビニル単量体等が使用可能である。
スルホン酸基又はスルホネート基を有するビニル単量体としては、例えば、ラジカル重合性の二重結合を有し、且つスルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩のような置換基により一部が置換された、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜4のアルキルエーテル基、炭素数2〜4のポリアルキルエーテル基、フェニル基、ナフチル基、及びコハク酸基よりなる群から選ばれる置換基を有する化合物;スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩のような置換基が結合しているビニル基を有するビニルスルホネート化合物等が使用可能である。
硫酸エステル基を有するビニル単量体としては、例えば、ラジカル重合性の二重結合を有し、かつ硫酸エステル基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩のような置換基により一部が置換された、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜4のアルキルエーテル基、炭素数2〜4のポリアルキルエーテル基、フェニル基、及びナフチル基よりなる群から選ばれる置換基を有する化合物が使用可能である。
スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩のような置換基により一部が置換されたコハク酸基を有する化合物としては、具体的には、アリルスルホコハク酸塩が使用可能である。より具体的には、エレミノールJS−2(商品名)(三洋化成株式会社製)、ラテムルS−120、S−180A、及びS−180(商品名)(花王株式会社製)等が使用可能である。
また、スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩である基により一部が置換された、炭素数2〜4のアルキルエーテル基又は炭素数2〜4のポリアルキルエーテル基を有する化合物としては、具体的には、アクアロンHS−10又はKH−1025(商品名)(第一工業製薬株式会社製)、アデカリアソープSE−1025N又はSR−1025(商品名)(株式会社ADEKA製)等が使用可能である。
また、ノニオン基を有するビニル単量体としては、具体的には、α−〔1−〔(アリルオキシ)メチル〕−2−(ノニルフェノキシ)エチル〕−ω−ヒドロキシポリオキシエチレン(商品名:アデカリアソープNE−20、NE−30、NE−40等、株式会社ADEKA製)、及びポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル(商品名:アクアロンRN−10、RN−20、RN−30、RN−50等、第一工業製薬株式会社製)等が使用可能である。
なお、重合原液の(c3)成分の使用量は、重合安定性の観点から、(C)成分の重合体粒子100質量部に対して、好ましくは10質量部以下であり、より好ましくは0.001〜5質量部である。
さらに、重合原液中に(c4)成分として、加水分解性珪素化合物を用いてもよい。下記式(1)で表される化合物やその縮合生成物、及びシランカップリング剤等が使用可能である。
SiW (1)
(式(1)において、Wは炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基、炭素数1〜20のアセトキシ基、ハロゲン原子、水素原子、炭素数1〜20のオキシム基、エノキシ基、アミノキシ基、アミド基から選ばれた少なくとも1種の基を表す。Rは、直鎖状又は分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、及び、置換されていないか又は炭素数1〜20のアルキル基若しくは炭素数1〜20のアルコキシ基若しくはハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基から選ばれる少なくとも1種の炭化水素基を表す。xは1以上4以下の整数であり、yは0以上3以下の整数である。また、x+y=4である。)
なお、シランカップリング剤とは、ビニル重合性基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基、又はイソシアネート基等の有機物と反応性を有する官能基が分子内に存在する化合物を意味する。
式(1)で表される化合物としては、具体的にはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリ−n−プロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリイソプロポキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−n−ペンチルジエトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジエトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジメトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジエトキシシラン、ジ−n−オクチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチルジエトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等のジアルコキシシラン類;トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等のモノアルコキシシラン類等が使用可能である。また、これらは、単独で使用されてもよいし、2種以上を混合して使用されてもよい。
また、(c4)成分としては、フェニル基を有する珪素アルコキシド(例えばフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、及びジフェニルジメトキシシラン等)が使用可能である。フェニル基を有する珪素アルコキシドを用いた場合、水及び乳化剤の存在下における重合安定性が良好となり、好適である。
更に、(c4)成分は、チオール基を有するシランカップリング剤や、(c4−1)成分として、ビニル重合性基を有する加水分解性珪素化合物と組み合わせて用いてもよい。これらを用いた場合、得られる塗膜の長期耐汚染性が良好となり好適である。チオール基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、及び3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等が使用可能である。
また、(c4−1)成分としては、例えば、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリn−プロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、及び2−トリメトキシシリルエチルビニルエーテル等のビニル重合性基を有するシランカップリング剤等が使用可能である。
これらシランカップリング剤は、前記(c1)成分との共重合又は連鎖移動反応により化学結合を生成し得る。このため、ビニル重合性基やチオール基を有するシランカップリング剤を上述した(c1)成分と混合若しくは複合化させて用いた場合、(c1)の重合生成物と(c4)成分の重合生成物とを化学結合により複合化し得る。なお、(c4−1)成分の「ビニル重合性基」とは、例えば、ビニル基、アリル基等であり、なかでも3−(メタ)アクリルオキシプロピル基が好ましい。
また、(c4)成分は、(c4−2)成分として、環状シロキサンオリゴマーを含んでいてもよい。(c4−2)成分を用いることにより、得られる塗膜と基材との複合体の柔軟性が増加するので、好ましい。
環状シロキサンオリゴマーとして、下記式(2)で表される化合物が使用可能である。
(R’SiO) (2)
(式(2)において、R’は、水素原子、直鎖状又は分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、及び、置換されていないか又は炭素数1〜20のアルキル基若しくは炭素数1〜20のアルコキシ基若しくはハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基から選ばれる少なくとも1種を表す。mは整数であり、2≦m≦20である。)
環状シロキサンオリゴマーのなかでも、反応性等の点から、オクタメチルシクロテトラシロキサン等の環状ジメチルシロキサンオリゴマーが好ましい。
なお、重合原液の(c1)成分の質量と、(C)成分の重合体粒子の質量との比(c1)/(C)は、重合安定性の観点から、好ましくは0.01/100〜80/100であり、より好ましくは0.1/100〜70/100である。
さらに、重合原液中に(c5)成分として、その他のビニル単量体を用いることができる。例えば、アルキル基、アミド基、アミノ基、またはエーテル基を含有するビニル単量体等が使用可能である。(c5)成分を用いることで、生成する重合生成物の特性(ガラス転移温度、分子量、水素結合力、極性、分散安定性、耐候性等)の制御が可能である。
(c5)成分としてのアルキル基含有ビニル単量体としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(c5)成分としてのアミド基含有ビニル単量体としては、例えば、N−アルキル又はN−アルキレン置換(メタ)アクリルアミド等が使用可能である。より具体的には、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−エチルメタアクリルアミド、N−メチル−N−エチルアクリルアミド、N−メチル−N−エチルメタアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタアクリルアミド、N−n−プロピルメタアクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N−アクリロイルピロリジン、N−メタクリロイルピロリジン、N−アクリロイルピペリジン、N−メタクリロイルピペリジン、N−アクリロイルヘキサヒドロアゼピン、N−アクリロイルモルホリン、N−メタクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビスメタクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、及びN−メチロールメタアクリルアミド等が使用可能である。
(c5)成分としてのアミノ基含有ビニル単量体としては、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジ−n−プロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、4−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、及びN−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エチルモルホリンのような各種の3級アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル類;ビニルピリジン、N−ビニルカルバゾール及びN−ビニルキノリンのような各種の3級アミノ基含有芳香族ビニル系単量体類;N−(2−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジ−n−プロピルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N−(3−ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、N−(4−ジメチルアミノ)ブチル(メタ)アクリルアミド、及びN−[2−(メタ)アクリルアミド]エチルモルホリンのような各種の3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド類;N−(2−ジメチルアミノ)エチルクロトン酸アミド、N−(2−ジエチルアミノ)エチルクロトン酸アミド、N−(2−ジ−n−プロピルアミノ)エチルクロトン酸アミド、N−(3−ジメチルアミノ)プロピルクロトン酸アミド、及びN−(4−ジメチルアミノ)ブチルクロトン酸アミドのような各種の3級アミノ基含有クロトン酸アミド類;2−ジメチルアミノエチルビニルエーテル、2−ジエチルアミノエチルビニルエーテル、3−ジメチルアミノプロピルビニルエーテル、及び4−ジメチルアミノブチルビニルエーテルのような各種の3級アミノ基含有ビニルエーテル類等が使用可能である。
(c5)成分としてのエーテル基含有ビニル単量体としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体のような各種のポリエーテル鎖を側鎖に有するビニルエーテル類、アリルエーテル類又は(メタ)アクリル酸エステル類のビニル単量体類等が使用可能である。具体的には、ブレンマーPE−90、PE−200、PE−350、PME−100、PME−200、PME−400、AE−350〔以上、日油株式会社製〕、MA−30、MA−50、MA−100、MA−150、RA−1120、RA−2614、RMA−564、RMA−568、RMA−1114、及びMPG130−MA〔以上、日本乳化剤株式会社製〕等が使用可能である。ここで、ポリオキシエチレン鎖のオキシエチレン単位は2〜30が好ましい。オキシエチレン単位が2以上で、塗膜の適度な柔軟性が得られ、また30以下で、塗膜の過度な軟化が抑制され、耐ブロッキング性が保持される。
(c5)成分としてのビニル単量体は、他成分との水素結合性をより向上させる観点から、2級及び/又は3級アミド基を有することが好ましい。
重合原液の(c5)成分の質量と、(C)成分の重合体粒子の質量との比(c5)/(C)は、重合安定性の観点から、好ましくは10/100〜95/100であり、より好ましくは30/100〜80/100である。
本発明における塗膜の(C)成分は、上述した(c1)および(c2)ならびに任意選択で(c3)〜(c5)を含む重合原液を重合して得られる重合体粒子である。なお、(c2)成分の使用量は、重合安定性の観点から、重合原液中の含有率として好ましくは30.0〜99.9質量%であってよい。また、重合原液には、(c1)〜(c5)成分に加え、更に種々の成分を混合することができる。
また、重合原液には、連鎖移動剤を混合してもよい。連鎖移動剤としては、例えば、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、及びt−ドデシルメルカプタンのようなアルキルメルカプタン類;ベンジルメルカプタン、及びドデシルベンジルメルカプタンのような芳香族メルカプタン類;チオリンゴ酸のようなチオカルボン酸又はそれらの塩若しくはそれらのアルキルエステル類、又はポリチオール類、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド、ジ(メチレントリメチロールプロパン)キサントゲンジスルフィド及びチオグリコール、さらにはα−メチルスチレンのダイマー等のアリル化合物等が使用可能である。連鎖移動剤の使用量は、重合安定性の観点から、全ビニル単量体合計量100質量部に対して、好ましくは0.001〜30質量部であり、より好ましくは0.05〜10質量部である。
更に、重合原液には、分散安定剤を混合してもよい。分散安定剤としては、例えば、ポリカルボン酸及びスルホン酸塩からなる群から選ばれる各種の水溶性オリゴマー類や、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、澱粉、マレイン化ポリブタジエン、マレイン化アルキッド樹脂、ポリアクリル酸(塩)、ポリアクリルアミド、水溶性又は水分散性アクリル樹脂などの合成又は天然の水溶性又は水分散性の各種の水溶性高分子物質が使用可能である。また、これらの1種又は2種以上の混合物を使用可能である。重合原液の分散安定剤の使用量は、重合体粒子(C)100質量部に対して、好ましくは10質量部以下であり、より好ましくは0.001〜5質量部である。
重合原液の重合は、重合触媒の存在下で実施するのが好ましい。(c4)成分の重合触媒としては、例えば、塩酸、フッ酸等のハロゲン化水素類、酢酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸等のカルボン酸類、硫酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸類、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、アルキルスルホコハク酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルスルホン酸等の酸性乳化剤類、酸性又は弱酸性の無機塩、フタル酸、リン酸、及び硝酸のような酸性化合物類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、酢酸ナトリウム、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルアミン、ジアザビシクロウンデセン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、エタノールアミン類、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、及びγ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリメトキシシランのような塩基性化合物類;ジブチル錫オクチレート、及びジブチル錫ジラウレートのような錫化合物等が使用可能である。なかでも、加水分解性珪素化合物(c4)の重合触媒としては、重合触媒のみならず乳化剤としても作用する酸性乳化剤類、特に炭素数が5〜30のアルキルベンゼンスルホン酸(ドデシルベンゼンスルホン酸等)が好ましい。
また、(c1)および(c4−1)、(c5)の各成分の重合触媒としては、熱又は還元性物質などによってラジカル分解してビニル単量体の付加重合を起こさせるラジカル重合触媒が好適である。水溶性又は油溶性の過硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物等が好ましく使用される。より具体的には、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ヒドロクロリド、及び2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等が使用可能である。
重合原液における重合触媒の使用量は、全ビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.001〜5質量部である。なお、重合速度の促進、及び70℃以下等の低温での重合を望まれる場合は、例えば重亜硫酸ナトリウム、塩化第一鉄、アスコルビン酸塩、及びロンガリット等の還元剤をラジカル重合触媒と組み合わせて用いると有利である。
前記(c1)、(c5)の各成分の重合と、(c4)成分との重合とは、別々に実施することも可能であるが、同時に実施すると、水素結合等によるミクロな有機・無機複合化が達成できるので好ましい。
本発明に係る塗膜の(C)成分を得る方法としては、乳化剤がミセルを形成するのに十分な量の水の存在下で、(c1)、(c4)、(c5)の各成分を重合する、いわゆる乳化重合が適している。乳化重合の方法としては、例えば、(c1)、(c4)、(c5)の各成分を、そのまま、又は乳化した状態で、一括若しくは分割で、又は連続的に反応容器中に滴下し、重合触媒の存在下、好ましくは大気圧から必要により10MPaまでの圧力下で、約30〜150℃の反応温度で重合させる方法がとられうる。場合によっては、これ以上の圧力、又はこれ以下の温度条件で重合を行ってもよい。なお、重合原液の配合としては、重合安定性の観点から、最終固形分量が0.1〜70質量%、好ましくは1〜55質量%の範囲になるよう(c1)〜(c5)の各成分を配合することが好ましい。
更に、乳化重合を行う際には、粒子径を適度に成長又は制御する観点から、シード重合法を用いることが好ましい。シード重合法とは、予め水相中にエマルジョン粒子(シード粒子)を存在させて重合させる方法である。シード重合法を行なう際の重合系中のpHは、好ましくは1.0〜10.0であり、より好ましくは1.0〜6.0である。重合中のpHは、燐酸二ナトリウムやボラックス、又は、炭酸水素ナトリウム、アンモニア等のpH緩衝剤を用いて調節することが可能である。
また、(C)成分を得る方法としては、(c1)、(c4)、(c5)の各成分を重合させるのに必要な(c2)成分及び(c3)成分の存在下、(c1)、(c4)、(c5)の各成分を、必要により溶剤存在下で重合した後、重合生成物がエマルジョンとなるまで水を添加する手法も使用可能である。
さらに、(C)成分は、得られるコーティング組成物を用いて形成される塗膜の基材密着性を向上させる観点から、コア層と、コア層を被覆する1層又は2層以上のシェル層と、を備えたコア/シェル構造を有することが好ましい。コア/シェル構造を形成する方法としては、乳化重合を多段で行なう、多段乳化重合が有用である。
多段乳化重合においては、例えば(c2)成分及び(c3)成分の存在下、(c1)、(c4)、及び(c5)成分よりなる群から選択される少なくとも1種以上を重合してシード粒子を形成する第一段階が実施され、次に、シード粒子の存在下、残りの成分を含む重合原液を添加して重合する第二段階が実施される(2段重合法)。さらに3段以上の多段乳化重合を実施する場合、(c1)成分及び(c4)成分、(c5)の少なくともいずれか1成分を含む重合原液を添加して重合する第三段階が実施されてもよい。このような方法は、重合安定性の観点からも好適である。
2段重合法において、第一段階において用いられる重合原液中の固形分質量(M1)と、第二段階において添加される重合原液中の固形分質量(M2)との質量比は、重合安定性の観点から、好ましくは(M1)/(M2)=90/10〜10/90であり、より好ましくは80/20〜20/80である。
また、コア/シェル構造は、重合安定性の観点から、シード粒子の粒径分布(体積平均粒子径/数平均粒子径)が大きく変化することなく、第二段階の重合によって粒子径が増大した構造を有することが好ましい。なお、体積平均粒子径は、数平均粒子径と同様に測定し得る。また、コア/シェル構造は、例えば、透過型電子顕微鏡等による形態観察や粘弾性測定による解析等により観察することができる。
コア/シェル構造のコア層のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは0℃以下である。コア層のガラス転移温度(Tg)がこの範囲内であることにより、得られる塗膜の物性として、室温における柔軟性に優れ、割れ等が生じにくい。なお、ここでのTgは示差走査熱量測定装置(DSC)で測定することができる。
本発明において、コーティング組成物(及びこれから形成される塗膜)の(C)成分の数平均粒子径は、例えば10nm〜800nmである。数平均粒子径が10nm〜800nmの(C)成分と、数平均粒子径が1nm〜400nmの(A)成分と組み合わせて組成物を形成することにより、得られる塗膜の耐候性、耐汚染性が良好となる。また、得られる塗膜の光学特性、ハードコート性能の観点から、(C)成分の数平均粒子径は、好ましくは20nm〜250nmである。(C)成分の数平均粒子径の測定法については、(A)成分と同じものが採用され得る。
コーティング組成物(及びこれから形成される塗膜)における(A)成分と(C)成分との質量比(A)/(C)は、好ましくは10/100〜1000/100であり、より好ましくは50/100〜300/100である。この範囲で配合することにより、親水性、防曇性、光学特性、及び耐汚染性に優れた塗膜を形成し得る。また、(A)成分の全粒子の表面積(SA)と(B)成分の全粒子の表面積(SB)との比(SA)/(SB)は、好ましくは0.001〜1000の範囲である。なお、ここでの表面積は、(A)成分及び(B)成分の各々の粒子径、及び各々の配合質量数(つまり粒子径分布)から算出可能である。
また、本発明においては、密着性および水滴痕発生の抑制の観点から、塗膜中に重合体粒子(C)同士が互いに接触した部分を含むことが好ましい。ここで、粒子同士の接触とは、例えば粒子同士の融着や、共有または非共有結合を介して粒子間の距離が限りなく0に近づいた状態を指す。この状態を確認する方法として、例えば、塗膜の断面をSEMもしくはTEMを用いて観察する方法が挙げられる。
(D)成分:架橋剤
前記(A)成分、(B)成分、(C)成分以外に、(D)成分として架橋剤を用いることが、急激な環境下に晒された場合の外観持続性、水滴痕発生の抑制の点でさらに好ましい。(D)成分は、(A)成分、(B)成分、(C)成分とを架橋することが可能であるが、特に(C)成分とその他の成分の粒子間架橋を可能にすることで、上記効果を発揮することができる。架橋剤としては、露出している官能基によって、種々の官能基に合わせて選択が可能であるが、例えばカルボジイミド系、多価活性水素化合物(ポリオール、ポリアミン、アルカノールアミン等)、ポリイソシアネート系、ヒドラジン系、セミカルバジド系、ポリカルボン酸が挙げられる。
本発明における塗膜およびコーティング組成物に含まれる(A)成分と(B)成分の質量の和に対する(D)成分の質量比は、(D質量)/((A質量)+(B質量))=0.5/100以上200/100以下が好ましい。上記効果の点から、この範囲の下限は1/100がより好ましく、2/100がさらに好ましい。また、塗膜外観および水滴痕発生の抑制の点から、この範囲の上限は100/100がより好ましく、50/100がさらに好ましい。
また、(C)成分に対する(D)成分の質量比は、(D質量)/(C質量)=1/100以上300/100以下が好ましい。上記効果の点から、この範囲の下限は2/100がより好ましく、3/100がさらに好ましい。また、塗膜外観および水滴痕発生の抑制の点から、この範囲の上限は200/100がより好ましく、100/100がさらに好ましい。
(C)成分の反応性官能基に対する(D)成分の反応性官能基のモル比は、(Dモル)/(Cモル)=20/100以上500/100以下が好ましい。この範囲の下限は30/100がより好ましく、50/100がさらに好ましい。また、この範囲の上限は400/100がより好ましく、300/100がさらに好ましい。
(D)成分としてのカルボジイミド系架橋剤としては、例えば、カルボジイミド基(−N=C=N−) 及び/ 又はシアナミド基(NC−NH−)を、合計で分子内に1個又は2個以上(例えば、2〜10個程度)有するカルボジイミド化合物が挙げられる。カルボジイミド化合物としては、特に限定されず、例えば、ポリカルボジイミド化合物が挙げられる。また、カルボジイミド(HN=C=NH)は、シアナミド(NC−NH)と互変異性の関係にあることから、ここでいうカルボジイミド系架橋剤には、分子内に1個又は2個以上のシアナミド基(NC−NH−)を有する化合物、及び分子内にシアナミド基(NC−NH−)とカルボジイミド基(−N=C=N−)とを合計で2個以上有する化合物も包含され得る。したがって、(C)成分としては、カルボジイミド基(−N=C=N−)及びシアナミド基(NC−NH−)から選択される架橋性官能基を分子内に1個又は2個以上有する化合物も包含される。
(D)成分としての多価活性水素化合物としては、特に限定されないが、例えば、ポリオール、ポリアミン、アルカノールアミン等が挙げられる。これらの多価活性水素化合物を、1種単独で含んでいてもよく、2種以上組み合わせて含んでいてもよい。中でも、多価活性水素化合物としては、ポリオールであることが好ましい。
[ポリオール]
ポリオールとしては、例えば、多価アルコール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリオレフィンポリオール、フッ素ポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール等が挙げられる。これらポリオールを、1種を単独で含んでいてもよく、2種以上組み合わせて含んでいてもよい。
(多価アルコール)
多価アルコールとしては、単一分子量で、ヒドロキシル基を2個以上有する化合物またはそれらの混合物が挙げられる。例えば、エチレングリコール、プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,6−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、メチルペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、水添ビスフェノールA、グリセリン、2−メチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチルペンタン、1,2,6−ヘキサントリオール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等のアルコール系化合物、エリトリトール、D−トレイトール、L−アラビニトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ガラクチトール、ラムニトール等の糖アルコール系化合物、アラビノース、リボース、キシロース、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラムノース、フコース、リボデソース等の単糖類、トレハロース、ショ糖、マルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、メリビオース等の二糖類、ラフィノース、ゲンチアノース、メレチトース等の三糖類、スタキオース等の四糖類等が挙げられる。
(ポリエステルポリオール)
ポリエステルポリオールは、例えば、二塩基酸の単独又は2種類以上の混合物と、多価アルコールの単独又は2種類以上の混合物とを、縮合反応させることによって得ることができる。
前記二塩基酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等のカルボン酸等が挙げられる。
前記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチルペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、2−メチロールプロパンジオール、エトキシ化トリメチロールプロパン等が挙げられる。
又は、例えば、ε−カプロラクトン等のラクトン類を、多価アルコールを用いて開環重合して得られるようなポリカプロラクトン類等もポリエステルポリオールとして用いることができる。
(ポリエーテルポリオール)
ポリエーテルポリオール類としては、特に限定されないが、例えば、以下(1)〜(3)に示すもの等が挙げられる。
(1)触媒を使用して、アルキレンオキシドの単独又は混合物を、多価ヒドロキシ化合物の単独又は混合物に、ランダム又はブロック付加して、得られるポリエーテルポリオール類。
前記触媒としては、例えば、水酸化物(リチウム、ナトリウム、カリウム等)、強塩基性触媒(アルコラート、アルキルアミン等)、複合金属シアン化合物錯体(金属ポルフィリン、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛錯体等)等が挙げられる。
前記アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド等が挙げられる。
(2)ポリアミン化合物にアルキレンオキシドを反応させて、得られるポリエーテルポリオール類。
前記ポリアミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン類等が挙げられる。
前記アルキレンオキシドとしては、(1)で例示されたものと同様のものが挙げられる。
(3)(1)又は(2)で得られたポリエーテルポリオール類を媒体として、アクリルアミド等を重合して得られる、いわゆるポリマーポリオール類。
(アクリルポリオール)
アクリルポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、ヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和結合含有単量体の単独又は混合物と、これと共重合可能な他のエチレン性不飽和結合含有単量体の単独又は混合物と、を共重合させることにより得られるものが挙げられる。
前記ヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和結合含有単量体としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシブチル等が挙げられる。これらを単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、アクリル酸ヒドロキシエチル又はメタクリル酸ヒドロキシエチルであることが好ましい。
上記単量体と共重合可能な他のエチレン性不飽和結合含有単量体としては、例えば、以下の(1)〜(6)に示すもの等が挙げられる。これらを単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(1)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル。
(2)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル等のメタクリル酸エステル。
(3)アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸。
(4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−メチレンビスアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド等の不飽和アミド。
(5)メタクリル酸グリシジル、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、フマル酸ジブチル等のビニル系単量体。
(6)ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の加水分解性シリル基を有するビニル系単量体。
(ポリオレフィンポリオール)
ポリオレフィンポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、水酸基を2個以上有するポリブタジエン、水素添加ポリブタジエン、ポリイソプレン、水素添加ポリイソプレン等が挙げられる。
ポリオールの統計的1分子が持つ水酸基数(以下、「水酸基平均数」と称する場合がある)は2以上であることが好ましい。ポリオールの水酸基平均数が2以上であることによって、一液型コーティング組成物を硬化させて得られる塗膜の架橋密度の低下をより抑制することができる傾向にある。
(フッ素ポリオール)
本明細書において、「フッ素ポリオール」とは、分子内にフッ素を含むポリオールを意味する。フッ素ポリオールとして具体的には、例えば、特開昭57−34107号公報(参考文献1)、特開昭61−275311号公報(参考文献2)等で開示されているフルオロオレフィン、シクロビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、モノカルボン酸ビニルエステル等の共重合体等が挙げられる。
(ポリカーボネートポリオール)
ポリカーボネートポリオール類としては、特に限定されないが、例えば、以下の(1)〜(4)に示すもの等が挙げられる:
(1)ジメチルカーボネート等のジアルキルカーボネート;
(2)エチレンカーボネート等のアルキレンカーボネート;
(3)ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネート等の低分子カーボネート化合物;
(4)上記(1)〜(3)のポリエステルポリオールに用いられる低分子ポリオールを縮重合して得られるもの。
(ポリウレタンポリオール)
ポリウレタンポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、常法によりカルボキシル基を含有しないポリオールとイソシアネート成分とを反応させることにより得ることができる。
前記カルボキシル基を含有しないポリオールとしては、例えば低分子量のものとして、エチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。また、例えば高分子量のものとして、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。
[ポリオールの水酸基価]
ポリオールの樹脂あたりの水酸基価は、特に限定されないが、10mgKOH/樹脂g以上300mgKOH/樹脂g以下であることが好ましい。
樹脂あたりの水酸基価が上記下限値以上であることによって、架橋密度が減少することを抑制し、目的とする物性をより十分に達成することができる傾向にある。樹脂あたりの水酸基価が上記上限値以下であることによって、架橋密度が過度に増大することを抑制し、一液型コーティング組成物を硬化させて得られる塗膜の機械的物性をより向上させることができる傾向にある。なお、ポリオールの水酸基価は、JIS K1557に準拠して測定することができる。
[ポリアミン]
ポリアミンとしては、特に限定されないが、一級アミン基又は二級アミン基を1分子中に2個以上有するものが好ましく、一級アミン基又は二級アミン基を1分子中に3個以上有するものがより好ましい。
ポリアミンとして具体的には、例えば、以下の(1)〜(3)に示すもの等が挙げられる:
(1)エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、イソホロンジアミン等のジアミン類;
(2)ビスヘキサメチレントリアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタメチレンヘキサミン、テトラプロピレンペンタミン等の3個以上のアミノ基を有する鎖状ポリアミン類;
(3)1,4,7,10,13,16−ヘキサアザシクロオクタデカン、1,4,7,10−テトラアザシクロデカン、1,4,8,12−テトラアザシクロペンタデカン、1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン等の環状ポリアミン類。
[アルカノールアミン]
また、(D)成分として、1分子中にアミノ基と水酸基とを有する化合物である、アルカノールアミンを用いてもよい。
アルカノールアミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、N−(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、モノ−又はジ−(n−又はイソ−)プロパノールアミン、エチレングリコール−ビス−プロピルアミン、ネオペンタノールアミン、メチルエタノールアミン等が挙げられる。
(D)成分としてのポリイソシアネート系架橋剤は、ジイソシアネートやトリイソシアネートや、左記ジイソシアネートやトリイソシアネートからなるポリイソシアネートが挙げられる。
前記ジイソシアネートやトリイソシアネートとしては、例えば1,4−テトラメチレンジイソシアネート、エチル(2,6−ジイソシアナート)ヘキサノエート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネ−ト;1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8−ジイソシアナート−4−イソシアナートメチルオクタン、2−イソシアナートエチル(2,6−ジイソシアナート)ヘキサノエートなどの脂肪族トリイソシアネート;1,3−または1,4−ビス(イソシアナートメチルシクロヘキサン)、1,3−または1,4−ジイソシアナートシクロヘキサン、3,5,5−トリメチル(3−イソシアナートメチル)シクロヘキシルイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,5−または2,6−ジイソシアナートメチルノルボルナンなどの脂環族ジイソシアネ−ト;2,5−または2,6−ジイソシアナートメチル−2−イソシネートプロピルノルボルナンなどの脂環族トリイソシアネート;m−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’α’−テトラメチル−m−キシリレンジイソシアネートなどのアラルキレンジイソシアネート;m−またはp−フェニレンジイソシアネート、トリレン−2,4−または2,6−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、ジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナート−3,3’−ジメチルジフェニル、3−メチル−ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアナートフェニル)チオホスフェートなどの芳香族トリイソシアネートが挙げられる。
前記ポリイソシアネートとしては、前記ジイソシアネートやトリイソシアネートのイソシアネート基どうしを環化二量化して得られるウレトジオン構造を有するジイソシアネートあるいはポリイソシアネート;上記ジイソシアネートあるいはトリイソシアネートのイソシアネート基どうしを環化三量化して得られるイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート;上記ジイソシアネートあるいはトリイソシアネートを水と反応させることにより得られるビュレット構造を有するポリイソシアネート;上記ジイソシアネートあるいはトリイソシアネートを二酸化炭素と反応せしめて得られるオキサダイアジントリオン構造を有するポリイソシアネート;上記ジイソシアネートあるいはトリイソシアネートを種々のアルコールと反応せしめて得られるアロファネート構造を有するポリイソシアネート;上記ジイソシアネートあるいはトリイソシアネートを、ポリヒドロキシ化合物、ポリカルボキシ化合物、ポリアミン化合物の如き活性水素を含有する化合物と反応させて得られるポリイソシアネート等が挙げられる。
また、上記ポリイソシアネート系架橋剤の中では、脂肪族系あるいは脂環族系のジイソシアネートまたはトリイソシアネート、アラルキレンジイソシアネートあるいは、それらから誘導されるポリイソシアネートが、耐候性やポットライフの面で特に好ましい。さらに該ポリイソシアネートとしては、分子内にビュレット、イソシアヌレート、ウレタン、ウレトジオン、アロファネート等の構造を有するものが好ましい。ビュレット構造を有するものは接着性に優れている場合が多い。イソシアヌレート構造を有するものは耐候性に優れている場合が多い。長い側鎖を有するアルコール化合物を用いたウレタン構造を有するものは弾性及び伸展性に優れている場合が多い。ウレトジオン構造あるいはアロファネート構造を有するものは低粘度である場合が多い。
また、水分散性の点からは、上記1分子中にイソシアネート基を2つ以上有するポリイソシアネート化合物と、ノニオン性及び/又はイオン性の親水基を有する水酸基含有親水性化合物とをイソシアネート基/水酸基の当量比が1.05〜1000の範囲で反応させてなる親水性ポリイソシアネート系架橋剤が好適である。より好ましくは、この当量比は2〜200、さらに好ましくは4〜100の範囲である。当量比が1.05以上であることで、親水性ポリイソシアネート系架橋剤中のイソシアネート基含有率が所定のレベル以上になるため、架橋性水系コーティング組成物中の架橋点が多くなり、硬化速度の増大あるいは塗膜等の被覆物の強度の向上につながり好ましい。当量比が1000以下であることで、親水性が発現し、好ましい。
かかる親水性ポリイソシアネート系架橋剤としては、従来公知の手法により親水基を導入してなるものであれば特に制限なく使用できる。例えば、一般式RO(RO)−H(ここでRは炭素数1から30のアルキル基または芳香環を2つ以上含有する基を表し、Rは炭素数1〜5のアルキレン基を表す。nは2〜250の整数である)で示されるものとポリイソシアネート化合物との反応生成物や、親水性基及び水酸基を有するビニル系重合体とポリイソシアネート化合物との反応生成物、アルコキシポリアルキレングリコールとジアルカノ−ルアミンとを反応させることにより得られる乳化剤とポリイソシアネ−ト化合物との反応生成物などを挙げることができる。これらの中で、一般式RO−(RO)−H(ここでRは炭素数1から30のアルキル基または芳香環を2つ以上含有する基を表し、Rは炭素数1〜5のアルキレン基を表す。nは2〜250の整数である)で示されるものとポリイソシアネート化合物との反応生成物、親水性基及び水酸基を有するビニル系重合体とポリイソシアネート化合物との反応生成物は、水分散性に優れるため、特に好ましい。
一般式RO−(RO)−H(ここでRは炭素数1から30のアルキル基または芳香環を2つ以上含有する基を表し、Rは炭素数1〜5のアルキレン基を表す。nは2〜250の整数である)で示されるものとしては、例えばポリメチレングリコ−ルモノメチルエーテル、ポリエチレングリコ−ルモノメチルエーテル、ポリエチレングリコ−ルモノエチルエーテル、ポリエチレングリコ−ルモノプロピルエーテル、ポリエチレングリコ−ルモノラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−オキシプロピレン(ランダムおよび/またはブロック)グリコールモノメチルエーテル、ポリオキシエチレン−オキシテトラメチレン(ランダムおよび/またはブロック)グリコールポリブチレングリコ−ルモノメチルエーテルなどのアルコキシポリアルキレングリコ−ル類、(モノ〜ペンタ)スチレン化フェニル基、モノ(又はジ,トリ)スチリル−メチル−フェニル基、トリベンジルフェニル基、β−ナフチル基などの芳香環を2つ以上含有する基を有するノニオン型界面活性剤を挙げることができる。中でもポリエチレングリコールモノメチルエーテル、(モノ〜ペンタ)スチレン化フェニル基を有するノニオン型界面活性剤が、自己乳化能、およびポットライフの点で好ましい。
これら一般式RO−(RO)−H(ここでRは炭素数1から30のアルキル基または芳香環を2つ以上含有する基を表し、Rは炭素数1〜5のアルキレン基を表す。nは2〜250の整数である)で示されるものとしては、好ましくは分子量が100〜10000より好ましくは300〜5000の範囲を有するものが好適に使用できる。
(D)成分としてのヒドラジン系架橋剤は、通常ヒドラジノ基(−NHNH)を分子内に2個以上有するヒドラジド化合物が挙げられる。ヒドラジド化合物としては特に限定されないが、例えば−CONHNHで表される構造を有する酸ヒドラジド化合物等が挙げられる。例えば、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等の飽和ジカルボン酸ジヒドラジド;マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド等の不飽和ジカルボン酸ジヒドラジド等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジドが好ましく、アジピン酸ジヒドラジドがより好ましい。
(D)成分としてのセミカルバジド系架橋剤は、1分子中に−NCO基を2個以上有するポリイソシアネート化合物とヒドラジン誘導体とを反応させることによって得られ、−NHCONHNHで表される構造を含む。原料となるポリイソシアネート化合物の例として、(D)成分としてのポリイソシアネート系架橋剤が挙げられる。
(D)成分としてのポリカルボン酸系架橋剤は、1分子中にカルボキシル基を2個以上有する化合物で、例えば、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ポリカルボン酸、o−フタル酸等の芳香族ポリカルボン酸等が挙げられる。
(E)成分:加水分解性珪素化合物
本発明に係る塗膜を形成するためのコーティング組成物は、(A)成分及び(B)成分に加え、(E)成分として加水分解性珪素化合物を含んでよい。また、コーティング組成物は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分に加え、(E)成分として加水分解性珪素化合物を含んでよい。また、コーティング組成物は、(A)成分、(B)成分及び(D)成分に加え、(E)成分として加水分解性珪素化合物を含んでよい。また、コーティング組成物は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分に加え、(E)成分として加水分解性珪素化合物を含んでよい。
本発明において、コーティング組成物(及びこれから形成される塗膜)は、(E)成分:下記式(6)、下記式(7)、又は下記式(8)で表される加水分解性珪素化合物をさらに含んでいてもよい。この場合、コーティング組成物における(A)成分と(C)成分との質量比は、例えばA/C=50/100〜1000/100であり、(A)成分と(E)成分との質量比は、例えばE/A=5/100〜90/100である。以下、下記式(6)で表される加水分解性珪素含有化合物を(e1)成分とし、下記式(7)で表される加水分解性珪素含有化合物を(e2)成分とする。
SiX4−n (6)
(式(6)において、Rは水素又は炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基を表す。またこれらの置換基上にさらにハロゲン基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、イソシアネート基等の官能基を有していてもよい。Xは加水分解基を表し、nは0〜3の整数である。加水分解基とは加水分解により水酸基が生じる基であればよく、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、フェノキシ基、オキシム基等が挙げられる。)
Si−R −SiX (7)
(式(7)において、Xは加水分解基を表し、Rは炭素数1〜6のアルキレン基又はフェニレン基を表す。また、nは0又は1である。)
(e1)成分及び(e2)成分としては、具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ(n−プロポキシ)シラン、テトラ(i−プロポキシ)シラン、テトラ(n−ブトキシ)シラン、テトラ(i−ブトキシ)シラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメトキシシラン、ジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリフェノキシシリル)メタン、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリフェノキシシリル)エタン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)プロパン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)プロパン、1,3−ビス(トリフェノキシシリル)プロパン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラキス(トリクロロアセトキシ)シラン、テトラキス(トリフルオロアセトキシ)シラン、トリアセトキシシラン、トリス(トリクロロアセトキシ)シラン、トリス(トリフルオロアセトキシ)シラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリス(トリクロロアセトキシ)シラン、テトラクロロシラン、テトラブロモシラン、テトラフルオロシラン、トリクロロシラン、トリブロモシラン、トリフルオロシラン、メチルトリクロロシラン、メチルトリブロモシラン、メチルトリフルオロシラン、テトラキス(メチルエチルケトキシム)シラン、トリス(メチルエチルケトキシム)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン、フェニルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン、ビス(メチルエチルケトキシム)シラン、メチルビス(メチルエチルケトキシム)シラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジエチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルシラン、ビス(ジエチルアミノ)メチルシラン等が使用可能である。
また、下記式(8)で表される加水分解性珪素含有化合物を(e3)成分とする。(e3)成分としては、具体的には、テトラメトキシシランの部分加水分解縮合物(商品名「Mシリケート51」多摩化学工業株式会社製、商品名「MSI51」コルコート株式会社製)、商品名「MS51」、「MS56」三菱化学株式会社製)、テトラエトキシシランの部分加水分解縮合物(商品名「シリケート35」、「シリケート45」多摩化学工業株式会社製、商品名「ESI40」、「ESI48」コルコート株式会社製)、及びテトラメトキシシランとテトラエトキシシランとの共部分加水分解縮合物(商品名「FR−3」多摩化学工業株式会社製、商品名「EMSi48」コルコート株式会社製)等が使用可能である。
−(O−Si(OR−OR (8)
(式(8)において、Rは、炭素数1〜6のアルキル基を表す。nは、2〜8の整数である。)
加水分解性珪素化合物(E)は、単独又は2種以上の混合物として用いてよい。また、コーティング組成物における(A)成分と(E)成分との質量比は、E/A=5/100〜90/100であり、好ましくはE/A=5/100〜70/100である。E/Aが5/100以上であることで、形成される塗膜の耐擦過性を十分なものとすることができ、E/Aが90/100以下であることで、塗膜の強度が適当に保持され、良好なハードコート性能が得られる。
他の任意成分
本発明に係る塗膜を形成するためのコーティング組成物は、(A)成分及び(B)成分に加え、以下に例示されるような任意成分((C)、(D)または(E)成分以外のもの)を含んでよい。また、コーティング組成物は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分に加え、以下に例示されるような任意成分((D)または(E)成分以外のもの)を含んでよい。また、コーティング組成物は、(A)成分、(B)成分及び(D)成分に加え、以下に例示されるような任意成分((C)または(E)成分以外のもの)を含んでよい。また、コーティング組成物は、(A)成分、(B)成分及び(E)成分に加え、以下に例示されるような任意成分((C)または(D)成分以外のもの)を含んでよい。また、コーティング組成物は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分に加え、以下に例示されるような任意成分((E)成分以外のもの)を含んでよい。また、コーティング組成物は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(E)成分に加え、以下に例示されるような任意成分((D)成分以外のもの)を含んでよい。また、コーティング組成物は、(A)成分、(B)成分、(D)成分及び(E)成分に加え、以下に例示されるような任意成分((C)成分以外のもの)を含んでよい。また、コーティング組成物は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び(E)成分に加え、以下に例示されるような任意成分を含んでよい。
本発明において、塗膜を得るためのコーティング組成物には、その用途及び使用方法などに応じて、通常、塗料や成型用樹脂に添加配合される添加剤成分、例えば、溶剤、光安定剤、紫外線吸収剤、増粘剤、レベリング剤、チクソ化剤、消泡剤、凍結安定剤、艶消し剤、架橋反応触媒、顔料、硬化触媒、架橋剤、充填剤、皮張り防止剤、分散剤、湿潤剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レオロジーコントロール剤、成膜助剤、防錆剤、染料、可塑剤、潤滑剤、還元剤、防腐剤、防黴剤、消臭剤、黄変防止剤、静電防止剤又は帯電調整剤等を、それぞれの目的に応じて選択したり、組み合わせたりして配合することができる。なお、以下では、架橋反応触媒および硬化触媒を「硬化促進触媒」と総称することがある。
溶剤としては、特に限定されないが、取り扱い性の観点で水系溶剤が好ましい。水系溶剤としては、例えば水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸、脂肪酸ナトリウム、アルキル硫酸塩、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩、アルキルリン酸塩のようなアニオン性界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、塩化アルキルピリジニウム、塩化ベンザルコニウムのようなカチオン性界面活性剤、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルポリグルコシド、アルキルモノグリセリルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルのようなノニオン性界面活性剤、ラウリルジアルキルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジアルキルアミノ酢酸ベタイン、ドデシルアミノメチルジアルキルスルホプロピルベタイン、ヘキサデシルアミノメチルジアルキルスルホプロピルベタイン、オクタデシルアミノメチルジアルキルスルホプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸カリウム、ラウロイルメチル−β−アラニン、ラウリルジメチルアミンN−オキシド、オレイルジメチルアミンN−オキシドのような両性イオン性界面活性剤などが挙げられる。これらを親水性化合物(B)と併用することによって、得られる塗膜の親水性、防曇性、耐水性がより向上する。これらの界面活性剤は、これらの中でも、特に炭素数が10以上の長鎖アルキル基を有する界面活性剤、及び/又はフッ素原子を分子内に有する界面活性剤を用いた場合、塗膜内から水への溶出が抑制される傾向にあることから、耐水性の観点でより好ましい。
硬化促進触媒としては、特に限定されないが、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート、ジメチルスズジネオデカノエート、ビス(2−エチルヘキサン酸)スズ等のスズ系化合物;2−エチルヘキサン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛等の亜鉛化合物;2−エチルヘキサン酸チタン、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトナート)等のチタン化合物;2−エチルヘキサン酸コバルト、ナフテン酸コバルト等のコバルト化合物;2−エチルヘキサン酸ビスマス、ナフテン酸ビスマス等のビスマス化合物;ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、2−エチルヘキサン酸ジルコニル、ナフテン酸ジルコニル等のジルコニウム化合物;アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビスオレイルアセトアセテート、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレートなどのアルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム化合物;アミン化合物が挙げられる。
光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤が好ましく用いられる。なかでも、分子内にラジカル重合性の二重結合を有するラジカル重合性光安定剤が好ましい。また、紫外線吸収剤としては、例えば有機系紫外線吸収剤が使用可能である。有機系紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、及びトリアジン系紫外線吸収剤等が使用可能である。なかでも、分子内にラジカル重合性の二重結合を有するラジカル重合性紫外線吸収剤を用いることが好ましい。また、紫外線吸収能の高いベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、及びトリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。なお、光安定剤を、有機系紫外線吸収剤と併用することが好ましい。両者を併用することにより、コーティング組成物から形成される塗膜の耐候性を向上させ得る。なお、これらの有機系紫外線吸収剤及び光安定剤等の各種添加剤成分は、(A)成分及び(C)成分に単に配合してもよいし、(C)成分を合成する際に共存させてもよい。
これらの任意成分は、通常、(A)成分及び(B)成分ならびに任意選択の(C)成分及び/又は(D)成分及び/又は(E)成分に対して、10質量部以下、5質量部以下、または3質量部以下の配合量で用いることができる。
基材
基材は、コーティング層により特に優れた防曇性、防曇持続性を付与される対象として位置付けられる。樹脂やガラス、金属等種々の材料を基材として採用することができる。なお、本発明においては、基材は、樹脂製であることが好ましい。上記樹脂製の基材としては、特に限定されないが、例えば、合成樹脂や天然樹脂等の有機基材を挙げることができる。
上記合成樹脂としては、熱可塑性樹脂と硬化性樹脂(熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、湿気硬化性樹脂等)を使用することができる。より詳細には、例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フッ素樹脂、アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリフェニレンスルホン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン−アクリル樹脂等を挙げることができる。しかしながら、上記に限定されるものではない。
また、上記天然樹脂としては、特に限定されないが、例えば、セルロース系樹脂、天然ゴム等のイソプレン系樹脂、カゼイン等のタンパク質系樹脂等を挙げることができる。
本発明において、樹脂板の表面は、コロナ放電処理やフレーム処理、プラズマ処理等の表面処理がされてあっても構わないが、これらの表面処理は必須ではない。
使用される基材の種類、厚みや、表面処理により形成される膜の厚みは特に限定されず、用途に応じて適宜設定することができる。
コーティング組成物の製造
典型的な一実施態様において、本発明に係る塗膜を形成するためのコーティング組成物は、(A)成分と(B)成分を予め混合後、水と混合する工程、および40℃未満で10分以上撹拌する工程を含む方法によって製造することができる。一般に水を含むコーティング組成物を製造する際は、コーティング組成物中に含まれる各成分をそれぞれ水で希釈後に混合する方法、水の中に各成分を混合する方法、および予め各成分を混合後、水で希釈する方法などが挙げられる。本発明においては(A)成分と(B)成分を予め混合することが好ましい。予め混合することによって(A)成分と(B)成分が強固に相互作用を形成し得る。そのようにして作成したコーティング組成物から得られる塗膜は耐水性が優れるため好ましい。さらに40℃未満で10分以上撹拌することにより、(A)成分と(B)成分が均一に分散したコーティング組成物を形成し得る。そのようにして作成したコーティング組成物から得られる塗膜は、透明性が高く外観が優れるため好ましい。
(A)成分と、(A)成分と共有結合を形成しうる(B)成分との反応により、さらに強固に結合させたコーティング組成物は、(A)成分と(B)成分、水、任意に溶剤、任意に反応触媒を混合後、40℃以上で10分以上攪拌し、任意に(C)成分、及び/又は(D)成分、及び/又は(E)成分、及び/又は硬化促進触媒を添加する工程を含む方法によって製造することができる。また、(A)成分と(C)成分及び/又は(E)成分、水、任意に溶剤、任意に反応触媒を混合後、40℃以上で10分以上攪拌し、その後(B)成分を添加し、40℃以上で10分以上攪拌し、任意に(C)成分、及び/又は(D)成分、及び/又は(E)成分、及び/又は硬化促進触媒を添加する工程を含む方法によって製造することができる。そのようにして作成したコーティング組成物から得られる塗膜は、耐久性(例えば、高温多湿環境下に晒された場合の塗膜の防曇持続性、外観持続性、耐溶出性、水滴痕発生の抑制効果)の観点でより一層好ましい。
塗膜の製造
本発明に係る塗膜は、例えば、水等の溶媒等に分散させたコーティング組成物(「水分散体」と略記することがある)を基材上に塗工し、乾燥して形成されうる。ここでの乾燥は、室温(例えば約0℃〜45℃)にて、外部からの加熱なしに行うことができる。水分散体の粘度としては、好ましくは20℃において0.1〜100000mPa・sであり、好ましくは1〜10000mPa・sである(振動式粘度計により測定)。塗工方法としては、例えばスプレー吹き付け法、フローコーティング法、ロールコート法、刷毛塗り法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、スクリーン印刷法、キャスティング法、グラビア印刷法、及びフレキソ印刷法等が使用可能である。なお、基材と塗膜との複合体は、例えば、塗膜を基材上で乾燥した後、所望により好ましくは20℃〜500℃、より好ましくは40℃〜250℃での熱処理や紫外線照射等を行って形成してもよい。
本発明において、塗膜の乾燥後、50℃以上150℃未満の温度で10分乃至60分熱処理を行うことが、基材との密着性、耐水性、擦過性の観点で好ましい。この熱処理の温度は、塗膜の硬化速度、密着性の観点からは60℃以上がより好ましい。この熱処理の温度は、生産性、適用可能な基材種の観点からは130℃以下が好ましく、120℃以下がさらに好ましい。
塗膜の厚みは、好ましくは0.05〜100μmであり、より好ましくは0.1〜10μmである。塗膜は、実質的に均一な厚みを有する(実質的に平坦な表面を有する)ことが好ましい。透明性の面から、塗膜は100μm以下であることが好ましく、耐候性及び耐汚染性等の機能を発現するためには、0.05μm以上であることが好ましい。なお、本発明において、「塗膜」は必ずしも連続膜である必要はなく、不連続膜、島状分散膜等の態様であっても構わない。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。本発明の主題は、あくまで添付の特許請求の範囲によって決定され得るものであり、その文言上の範囲に加え、当業者によって自明な変更、均等物などを含む。
なお、各種物性は下記の方法で評価した。
<数平均粒子径>
試料中の固形分含有量が1〜20質量%となるよう適宜溶媒を加えて希釈し、ゼータ電位・粒径測定システム(大塚電子製、商品名「ELSZ1000」)を用いて測定した。
<塗膜外観>
得られた塗膜の外観を、目視で観察した。その結果を以下のように評価した。
〇(良好):透明である。
△(概ね良好):一部白濁している。
×(不良):全体的に白濁している。
<水接触角>
塗膜に脱イオン水の水滴を乗せ、23℃で10秒間放置した後、接触角測定装置(日本国協和界面科学製、CA−X150型接触角計)を用いて測定した。
<HAZE>
濁度計(日本電色工業製、NDH2000)を用い、JIS K7105に準じて、試料のHAZE値を測定した。
<屈折率>
反射分光膜厚計(大塚電子製、商品名「FE−3000」)を用い、塗膜の屈折率を測定した。
<密着性試験(テープ剥離試験)>
得られた塗膜について、JIS−K5600−5−6に準拠した方法で1mm角100マスの碁盤目試験で下記のように評価した。
○(良好) :剥離していないマス数の割合が80%以上である。
△(中程度) :剥離していないマス数の割合が80%未満(0%超)である。
×(不良) :剥離していないマス数の割合が0%である。
<防曇性試験>
80℃に保った温水浴の水面から5cmの高さのところに、得られた塗膜の試験片を塗膜面が下になるように設置し、温水浴からの蒸気を塗膜に連続照射し、照射から30秒後の曇りの有無を目視によって下記のように評価した。なお、評価が△以上であれば実用上問題なく、○であればより好ましい。
○(良好) :全く曇らない。
△(中程度) :わずかに曇る。
×(不良) :曇る。
<水滴痕試験>
基材上に作製した塗膜表面に、23℃50%RHの環境下で、80℃温水の蒸気を水面から5cmの距離で50cmの範囲に90秒間当てた。その後塗膜を垂直に立て、室温で乾燥させた後、目視により外観を観察し、水滴痕を評価した。
〇(良好) :外観変化が全くない。
△(中程度) :水滴痕(白色の垂れ跡)がわずかに見える。
×(不良) :水滴痕(白色の垂れ跡)が多く見える。
<耐湿性試験>
作製した塗膜を50℃95%RHの環境下に240時間曝露後、23℃50%RHの環境下に1時間静置させた。得られた塗膜に関して、密着性、水接触角、防曇性、ヘイズ変化を評価した。これらの評価は、高温多湿環境下での塗膜の密着性、水接触角、防曇性の持続性を示す。
<耐熱性試験>
作製した塗膜を120℃の環境下に240時間曝露後、23℃50%RHの環境下に1時間静置させた。得られた塗膜に関して、密着性、水接触角、防曇性を評価した。これらの評価は、高温環境下での塗膜の密着性、水接触角、防曇性の持続性を示す。
<耐水性試験>
作製した塗膜を25℃の脱イオン水に240時間浸漬後、23℃50%RHの環境下に1時間静置させた。得られた塗膜に関して、密着性、水接触角、防曇性、ヘイズ変化、屈折率変化を評価した。
<温湿度サイクル試験>
作製した塗膜を85℃85%RH環境下に20時間暴露後、100℃/hの降温速度で−40℃まで降温し、さらに30分暴露後、100℃/hの昇温速度で再び85℃85%RHまで昇温するサイクルを10回繰り返した後、23℃50%RHの環境下に1時間静置させた。得られた塗膜に関して、密着性、水接触角、防曇性、ヘイズ、屈折率を評価した。これらの評価は、高温多湿環境下で急激な温度変化が起こった際の、塗膜の密着性、水接触角、防曇性、外観の持続性を示す。
<屈折率変化>
上記耐水性試験および温湿度サイクル試験前後の屈折率変化を下記の式から算出した。
・屈折率変化(%)=
{(耐水性試験後の屈折率−耐水性試験前の屈折率)/耐水性試験前の屈折率}×100
<外観持続性(HAZE値の変化)>
塗膜の外観持続性の指標として、上記耐湿性試験、耐水性試験および温湿度サイクル試験の各々の試験前後のHAZE値の変化(ΔHAZE)より下記のように評価した。なお、評価が△以上であれば実用上問題なく、○であればより好ましい。
○(良好):ΔHAZE 0.5未満
△(中程度):ΔHAZE 0.5以上1.0未満
×(不良):ΔHAZE 1.0以上
<合成例1(親水性化合物(B)−1の合成)>
還流冷却器、滴下槽、窒素導入管、温度計、及び撹拌装置を有する反応器に、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル4,000(東京化成工業株式会社製、固形分100質量%)100g、KBE−9007(信越化学工業株式会社製)6.2gをそれぞれ投入した後、窒素ガスを吹き込みながら80℃に加熱した。その後ジブチル錫ジラウレート(東京化成工業株式会社製)0.11gを添加し、反応容器中の温度が80℃の状態で約6時間撹拌を続行した後、室温まで冷却し、親水性化合物(B)−1を得た。
<合成例2(親水性化合物(B)−2の合成)>
還流冷却器、滴下槽、窒素導入管、温度計、及び撹拌装置を有する反応器に、ポリソルベート(モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、商品名「Tween−20」、東京化成工業株式会社製、固形分100質量%)100g、KBE−9007(信越化学工業株式会社製)60.5gをそれぞれ投入した後、窒素ガスを吹き込みながら80℃に加熱した。反応容器中の温度が80℃の状態で約6時間撹拌を続行した後、室温まで冷却し、親水性化合物(B)−2を得た。水酸基に対するシランカップリング剤の導入率は90%であった。
<合成例3(親水性化合物(B)−3の合成)>
還流冷却器、滴下槽、窒素導入管、温度計、及び撹拌装置を有する反応器に、ヒドロキシエチルセルロース(東京化成工業(株)製、4,500mPa・s〜6,500mPa・s(25℃2%水溶液時))10g、脱水ジメチルスルホキシド(関東化学(株)製)490gを投入し、窒素ガスを吹き込みながら80℃に加熱し1時間攪拌した。その後KBE−9007(信越化学工業(株)製)9.8g、ジブチル錫ジラウレート(東京化成工業(株)製)0.02gを添加し、窒素ガスを吹き込みながら反応容器中の温度が80℃の状態で約3時間撹拌を続行した後、室温まで冷却し、親水性化合物(B)−3を得た。水酸基に対するシランカップリング剤の導入率は30%であった。
<合成例4(親水性化合物(B)−4の合成)>
還流冷却器、滴下槽、窒素導入管、温度計、及び撹拌装置を有する反応器に、ポリビニルアルコール(商品名「クラレポバールPVA217」、株式会社クラレ製、固形分94質量%)100g、KBE−9007(信越化学工業株式会社製)92.91gをそれぞれ投入した後、窒素ガスを吹き込みながら95℃に加熱した。その後ジブチル錫ジラウレート(東京化成工業株式会社製)0.02gを添加し、窒素ガスを吹き込みながら反応容器中の温度が95℃の状態で約3時間撹拌を続行した後、室温まで冷却し、親水性化合物(B)−4を得た。水酸基に対するシランカップリング剤の導入率は20%であった。
<合成例5(重合体粒子(C)−1水分散体の合成)>
還流冷却器、滴下槽、温度計及び撹拌装置を有する反応器に、脱イオン水275g、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液2.50gの混合液を、撹拌下で温度を80℃に加温した。これに、メタクリル酸メチル1.65g、N,N−ジエチルアクリルアミド3.15gの混合液と、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル1.20g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.50g、反応性乳化剤(「アクアロンKH−1025」、第一工業製薬(株)製、固形分25%水溶液)0.40g、脱イオン水25gの混合液とを、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約1時間かけて同時に滴下した。さらに反応容器中の温度が80℃の状態で約2時間撹拌を続行した後、室温まで冷却し、100メッシュの金網で濾過した後、脱イオン水で固形分を2.0質量%に調整し、数平均粒子径160nmの重合体粒子(C)−1水分散体を得た。
<合成例6(重合体粒子(C)−2水分散体の合成)>
還流冷却器、滴下槽、温度計及び撹拌装置を有する反応器に、脱イオン水275g、2、2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミダイン)ジヒドロクロライドの2質量%水溶液2.50gの混合液を、撹拌下で温度を80℃に加温した。これに、メタクリル酸メチル1.65g、N,N−ジエチルアクリルアミド3.15gの混合液と、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル1.20g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.50g、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩化メチル4級塩0.50g、脱イオン水25gの混合液とを、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約1時間かけて同時に滴下した。さらに反応容器中の温度が80℃の状態で約2時間撹拌を続行した後、室温まで冷却し、100メッシュの金網で濾過した後、脱イオン水で固形分を2.0質量%に調整し、数平均粒子径124nmの重合体粒子(C)−2水分散体を得た。
<合成例7(重合体粒子(C)−3水分散体の合成)>
還流冷却器、滴下槽、温度計及び撹拌装置を有する反応器に、脱イオン水275g、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液2.25gの混合液を、撹拌下で温度を80℃に加温した。これに、メタクリル酸ブチル2.70g、N,N−ジエチルアクリルアミド2.70gの混合液と、ダイアセトンアクリルアミド0.60g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.50g、反応性乳化剤(「アクアロンKH−1025」、第一工業製薬(株)製、固形分25%水溶液)0.40g、脱イオン水25gの混合液とを、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約1時間かけて同時に滴下した。さらに反応容器中の温度が80℃の状態で約2時間撹拌を続行した後、室温まで冷却し、100メッシュの金網で濾過した後、脱イオン水で固形分を2.0質量%に調整し、数平均粒子径91nmの重合体粒子(C)−3水分散体を得た。
<合成例8(重合体粒子(C)−4水分散体の合成)>
還流冷却器、滴下槽、温度計及び撹拌装置を有する反応器に、脱イオン水275g、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液2.25gの混合液を、撹拌下で温度を80℃に加温した。これに、メタクリル酸メチル1.65g、N,N−ジエチルアクリルアミド3.15gの混合液と、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル1.20g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.50g、反応性乳化剤(「アクアロンKH−1025」、第一工業製薬(株)製、固形分25%水溶液)0.40g、脱イオン水25gの混合液とを、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約1時間かけて同時に滴下した。さらに反応容器中の温度が80℃の状態で約2時間撹拌を続行した後、室温まで冷却し、ピラゾールでブロックされた3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(固形分60%EtOH希釈液)2.63gを加えた後、室温でさらに2時間攪拌し、100メッシュの金網で濾過した後、脱イオン水で固形分を2.0質量%に調整し、数平均粒子径116nmの重合体粒子(C)−4水分散体を得た。
<合成例9(重合体粒子(C)−5水分散体の合成)>
還流冷却器、滴下槽、温度計及び撹拌装置を有する反応器に、脱イオン水275g、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液2.25gの混合液を、撹拌下で温度を80℃に加温した。これに、メタクリル酸メチル1.65g、N,N−ジエチルアクリルアミド3.15g、メタクリル酸−2−カルボキシエチル1.20gの混合液と、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.50g、反応性乳化剤(「アクアロンKH−1025」、第一工業製薬(株)製、固形分25%水溶液)0.40g、脱イオン水25gの混合液とを、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約1時間かけて同時に滴下した。さらに反応容器中の温度が80℃の状態で約2時間撹拌を続行した後、室温まで冷却し、100メッシュの金網で濾過した後、脱イオン水で固形分を2.0質量%に調整し、数平均粒子径126nmの重合体粒子(C)−5水分散体を得た。
<合成例10(重合体粒子(C)−6水分散体の合成)>
還流冷却器、滴下槽、温度計及び撹拌装置を有する反応器に、脱イオン水275g、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液2.25gの混合液を、撹拌下で温度を80℃に加温した。これに、メタクリル酸メチル1.50g、N,N−ジエチルアクリルアミド4.50gの混合液と、N,N−メチレンビスアクリルアミド0.50g、反応性乳化剤(「アクアロンKH−1025」、第一工業製薬(株)製、固形分25%水溶液)0.40g、脱イオン水25gの混合液とを、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約1時間かけて同時に滴下した。さらに反応容器中の温度が80℃の状態で約2時間撹拌を続行した後、室温まで冷却し、100メッシュの金網で濾過した後、脱イオン水で固形分を2.0質量%に調整し、数平均粒子径174nmの重合体粒子(C)−6水分散体を得た。
<合成例11(重合体粒子(C)−7水分散体の合成)>
還流冷却器、滴下槽、温度計及び撹拌装置を有する反応器に、脱イオン水275g、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液2.50gの混合液を、撹拌下で温度を80℃に加温した。これに、メタクリル酸メチル1.65g、N,N−ジエチルアクリルアミド1.95gの混合液と、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル2.40g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.50g、反応性乳化剤(「アクアロンKH−1025」、第一工業製薬(株)製、固形分25%水溶液)0.40g、脱イオン水25gの混合液とを、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約1時間かけて同時に滴下した。さらに反応容器中の温度が80℃の状態で約4時間撹拌を続行した後、室温まで冷却し、ピラゾールでブロックされた3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(固形分60%EtOH希釈液)5.27gを加えた後、室温でさらに2時間攪拌し、100メッシュの金網で濾過した後、脱イオン水で固形分を2.0質量%に調整し、数平均粒子径180nmの重合体粒子(C)−7水分散体を得た。
<合成例12(重合体粒子(C)−8水分散体の合成)>
還流冷却器、滴下槽、温度計及び撹拌装置を有する反応器に、脱イオン水275g、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液2.50gの混合液を、撹拌下で温度を65℃に加温した。これに、メタクリル酸メチル1.50g、N,N−ジエチルアクリルアミド3.50g、2−[(3,5−ジメチルピラゾール)カルボキシアミノ]エチルメタクリレート(「カレンズMOI−BP」、昭和電工(株)製)0.60gの混合液と、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.50g、反応性乳化剤(「アクアロンKH−1025」、第一工業製薬(株)製、固形分25%水溶液)0.40g、脱イオン水25gの混合液とを、反応容器中の温度を65℃に保った状態で約0.5時間かけて同時に滴下した。さらに反応容器中の温度が65℃の状態で約5時間撹拌を続行した後、室温まで冷却し、100メッシュの金網で濾過した後、脱イオン水で固形分を2.0質量%に調整し、数平均粒子径164nmの重合体粒子(C)−8水分散体を得た。
<合成例13(金属酸化物(A)−1の合成)>
還流冷却器、滴下槽、温度計及び撹拌装置を有する反応器に、脱イオン水10g、エタノール90g、テトラエトキシシラン20g、28%アンモニア水0.9gを投入した後、温度を40℃に加熱した。その後反応容器中の温度が40℃の状態で約70時間撹拌を続行した後、室温まで冷却し、金属酸化物(A)−1を得た。
<合成例14(ポリイソシアネート架橋剤(D)−1の合成)>
攪拌器、温度計、冷却管を取り付けた4つ口フラスコの内部を窒素置換し、HDI1000質量部を仕込んだ。これを60℃で攪拌下、触媒としてテトラメチルアンモニウム・カプリエートを加え、転化率20%になった時点でリン酸0.2gを添加して反応を停止した。その後、反応液を濾過した後、未反応のHDIを薄膜蒸留装置により除去し、ポリイソシアネート架橋剤(D)−1を得た。得られたポリイソシアネートの粘度(25℃)は2,700mPa・s、イソシアネート基濃度は21.7wt%であった。
<合成例15(ポリイソシアネート架橋剤(D)−2の合成)>
攪拌器、温度計、冷却管を取り付けた4つ口フラスコに、合成例14で得られたポリイソシアネート((D)−1)100質量部、ポリエチレンオキサイド(日本乳化剤株式会社製、商品名「MPG−081」)18.2質量部、ウレタン化触媒(日東化成工業株式会社製、商品名「ネオスタンU−810」)0.01質量部を仕込み、窒素雰囲気下、80℃、2時間保持した。その後、3,5−ジメチルピラゾール43.8質量部を添加し、赤外スペクトル(日本分光社製:製品名FT/IR−4000)でイソシアネート基の特性吸収がなくなったことを確認した。ジプロピレングリコールモノメチルエーテル68.9質量部を添加して、30分攪拌混合し、ポリイソシアネート架橋剤(D)−2を得た。
<合成例16(セミカルバジド架橋剤(D)−3の合成)>
攪拌機、温度計、環流冷却管、窒素吹き込み管を取り付けた4つ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、イソプロパノール225質量部、ヒドラジン1水和物57質量部を添加し25℃にて30分攪拌した。この溶液に、イソホロンジイソシアネート50質量部をテトラヒドロフラン450質量部に溶解した溶液を25℃にて攪拌しながら2時間かけて添加し、さらに25℃にて1時間攪拌した。得られた反応液中のイソプロパノール、テトラヒドロフラン、過剰のヒドラジン1水和物、水等を加熱減圧下に留去することによりセミカルバジド架橋剤(D)−3を得た。
〔実施例1〕
金属酸化物(A)として数平均粒子径4nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックス−OXS」、日産化学工業株式会社製、固形分10質量%)4.8g、親水性化合物(B)として、合成例1(親水性化合物(B)−1)0.02gを混合後、25℃で1時間攪拌した。次いで、脱イオン水5.2gを混合後、25℃でさらに1時間攪拌し、固形分5%のコーティング組成物を得た。得られたコーティング組成物を縦60mm×横60mm×厚さ2mmのポリカーボネート板(タキロンシーアイ株式会社製)の全体に、スピンコーターにより800rpm×5secの条件でコーティングし、20℃の環境で30分間乾燥させた。その後、120℃で30分間乾燥することにより、試験板を得た。得られた塗膜の外観は良好(透明)であった。また、水接触角は3°であり、高い親水性を示した。得られた試験片を、耐湿性試験として、温度50℃95%RHの環境試験器に240時間入れ、次いで温度23℃、50%RHの環境下に1時間静置させた後、HAZE、密着性、水接触角、防曇性の評価を行った。その結果、ΔHAZEは0.5未満と良好で、密着性、親水性(水接触角)、防曇性も維持されており、耐湿性は慨して良好であった。また、各原料の配合量(質量部)を表1−1に示す。初期特性を含めた各評価結果を表2−1に示す。
〔実施例2〜65及び比較例1〜10〕
実施例2〜65及び比較例1〜10において、表1−1〜表1−7に示すとおり、原料の種類や配合量(質量部)を変えること以外は実施例1に準じた方法で塗膜を製造し、試験片を作製して塗膜性能の評価を行った。初期特性を含めた塗膜性能の評価結果を表2−1〜表2−7に示す。
なお、各表中に示された略語は、以下を意味する。
・STOXS:日産化学工業(株)製、スノーテックス−OXS(コロイダルシリカ)、固形分10質量%、酸性タイプ、数平均粒子径4nm
・STOUP:日産化学工業(株)製、スノーテックス−OUP(コロイダルシリカ)、固形分15%、酸性タイプ、数平均粒子径40〜70nm
・STOL:日産化学工業(株)製、スノーテックス−OL(コロイダルシリカ)、固形分20%、酸性タイプ、数平均粒子径45nm
・E−02:日清紡(株)製、カルボジライトE−02、固形分40質量%
・HEC:ヒドロキシエチルセルロース
・MS51:三菱化学(株)製、MS−51(シロキサンオリゴマー)
・DX9740:信越化学(株)製、DX−9740、固形分100質量%
親水性化合物を用いない比較例1については、基材への成膜が困難であったため、各種塗膜物性評価は実施不可であった。
また、金属酸化物を用いない比較例2については、耐水性試験後に塗膜がほとんど溶出してしまっていたため、耐水性試験後の各種塗膜物性評価は実施不可であった。
本発明の塗膜は、高い防曇性と耐久性、意匠性が必要とされる防曇塗膜として、特に好適に使用できる。さらに、本発明の塗膜は、例えば自動車のヘッドランプ、リアランプ(特にLED、レーザー等の低発熱性ランプ)等の車両灯具、車載カメラレンズ、窓ガラスなどの自動車部品用の塗膜として、防曇性と密着性、急激な環境変化に晒された場合の防曇性と密着性、塗膜外観の保持が求められる用途で好適に用いることができる。また、本発明の塗膜は、各種機器の内部部品や高所に設置される部品のように、曇りや液滴除去のために容易に取り出すことができないような部品にも好適に用いることができる。さらに、本発明の塗膜は、鏡、建材(窓ガラス、外壁等)、看板、信号機、ディスプレイ、カメラレンズ、ゴーグル、メガネレンズなどの防曇塗膜としても好適に用いることができる。本発明に係る塗膜について上述した特徴及び利点の全ては、これらの防曇塗膜、自動車部品用塗膜、内部部品用塗膜についても適用される。

Claims (17)

  1. 金属酸化物(A)と親水性化合物(B)を含み、25℃の脱イオン水に塗膜を240時間浸漬後、23℃50%RHの環境下に1時間静置させることにより行われる耐水性試験前後の屈折率変化が−5%以上+5%以下であることを特徴とする塗膜。
  2. 重合体粒子(C)をさらに含む、請求項1に記載の塗膜。
  3. 架橋剤(D)をさらに含む、請求項1または2に記載の塗膜。
  4. 水接触角の値が40°未満である請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗膜。
  5. 前記金属酸化物(A)がシリカを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗膜。
  6. 前記親水性化合物(B)が、非共有結合及び/又は共有結合を介して上記金属酸化物(A)表面に結合している、請求項1〜5項のいずれか1項に記載の塗膜。
  7. 前記親水性化合物(B)の分子内にアルキレングリコール部位を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の塗膜。
  8. 前記重合体粒子(C)が、互いに接触している部分を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の塗膜。
  9. 金属酸化物(A)が、アルコキシシラン、およびアルコキシシランの加水分解縮合物のうち少なくとも1種を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の塗膜を製造するためのコーティング組成物。
  10. 金属酸化物(A)が、シリコーン粒子およびアクリルシリコーン粒子のうち少なくとも1種を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の塗膜を製造するためのコーティング組成物。
  11. 親水性化合物(B)が、分子内にアルコキシシリル基およびシラノール基のうち少なくとも1種を含む、請求項9または10に記載のコーティング組成物。
  12. 重合体粒子(C)をさらに含み、前記重合体粒子(C)が反応性官能基を含む、請求項9〜11のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
  13. 金属酸化物(A)および親水性化合物(B)を含み、さらに重合体粒子(C)および架橋剤(D)のうち少なくとも1種を含む、請求項9〜11のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
  14. 樹脂基材およびガラス基材のうちいずれか1種と、請求項1〜8のいずれか1項に記載の塗膜との積層体。
  15. 防曇塗膜として使用される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の塗膜。
  16. 自動車外装部品用塗膜として使用される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の塗膜。
  17. ランプカバー用塗膜として使用される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の塗膜。
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