JP2021031566A - エポキシ樹脂組成物、硬化物及び電気・電子部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】電気信頼性に優れ、得られる硬化物が耐熱分解性、接着性に優れるエポキシ樹脂組成物と、その硬化物及び電気・電子部品を提供する。【解決手段】全塩素量が1,500ppm以下であるo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドと、エポキシ樹脂及び硬化剤とを含むエポキシ樹脂組成物。エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤及びo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドの合計100重量%に対する、o,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドの濃度が0.34〜0.70重量%であり、o,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィド/エポキシ樹脂の重量比率が0.54〜1.10重量%であることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明はエポキシ樹脂組成物、硬化物及び電気・電子部品に関する。詳細には、電気信頼性に優れるエポキシ樹脂組成物と、このエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる耐熱分解性、接着性に優れた硬化物及び電気・電子部品に関する。
エポキシ樹脂は種々の硬化剤で硬化させることにより、一般的に機械的性質、耐熱性、電気的性質等に優れた硬化物となることから、接着剤、塗料、電気・電子材料等の幅広い分野で利用されている。特に、半導体装置等に代表される封止材分野では、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が幅広く採用されている。
近年の電子産業の目ざましい発達に伴い、半導体封止材料に要求される耐熱分解性、接着性のより一層の向上が求められている。
このような要求に対して、例えば、特許文献1や特許文献2には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、o,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドおよび無機質充填剤を必須成分とし、o,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドを特定量配合した封止用樹脂組成物が開示されている。なお、特許文献1,2では、用いるo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドの全塩素量については何ら検討されておらず、例えば、特許文献2では試薬のo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドをそのまま用いているが、一般的には、市販のo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドには全塩素量として2000ppm以上もの塩素成分が含まれている。
特開2002−3704号公報 特開2005−272739号公報
特許文献1や特許文献2に記載のo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドを含むエポキシ樹脂組成物及びその硬化物により、ある程度の接着性や耐吸湿リフロー性の向上を図ることは可能であるが、近年、種々多様な半導体が開発され、より高い耐熱分解性や接着性の向上が希求されている状況において、これら従来のエポキシ樹脂組成物では、耐熱分解性や接着性において要求特性を十分に満たすことはできなかった。
本発明は、o,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドを含むエポキシ樹脂組成物であって、電気信頼性に優れ、これを硬化させてなる硬化物が耐熱分解性、接着性に優れるエポキシ樹脂組成物と、その硬化物及び電気・電子部品を提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、o,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドに含まれる全塩素量とこれを含むエポキシ樹脂組成物及びその硬化物の耐熱分解性、接着性とに相関があることを見出した。そして、全塩素量を制御したo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドを用いることで、従来よりも高い耐熱分解性と接着性を発現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明の要旨は以下の[1]〜[7]に存する。
[1] 全塩素量が1,500ppm以下であるo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドと、エポキシ樹脂及び硬化剤とを含むエポキシ樹脂組成物。
[2] 更に硬化促進剤を含む[1]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[3] 前記エポキシ樹脂、前記硬化剤、前記硬化促進剤及び前記o,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドの合計100重量%に対する、該o,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドの濃度が0.34〜0.70重量%である、[2]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[4] 前記o,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィド/前記エポキシ樹脂の重量比率が0.54〜1.10重量%である、[1]〜[3]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
[5] [1]〜[4]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。
[6] [1]〜[4]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる電気・電子部品。
[7] 全塩素量が1,500ppm以下であるo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィド。
本発明によれば、電気信頼性に優れ、得られる硬化物が耐熱分解性、接着性に優れるエポキシ樹脂組成物と、その硬化物及び電気・電子部品を提供することができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下の説明は本発明の実施の形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載内容に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いるものとする。
〔o,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィド〕
まず、本発明のエポキシ樹脂組成物に用いる全塩素量1,500ppm以下の本発明のo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドについて説明する。
本発明のo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドは、市販のo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィド、或いは常法に従って製造したo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドに対して全塩素量を低減する処理を施すことにより得ることができる。
本発明のo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドの原料としてのo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドは市販のものを用いることができる。例えば、東京化成工業社製のo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドや大内新興化学工業社のノクタイザーSSが挙げられる。
一般に、o,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドの工業的な製法において、出発原料として塩化ベンゾイルを用いてo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドを製造するが、その原料塩化ベンゾイルや副生物である塩酸などが、生成物であるo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィド中に微量に残留するため、通常のo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドは塩素分を含むものとなる。例えば、市販のo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドである東京化成工業社製のo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドの全塩素量は、後述の通り2300ppmである。
o,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィド中の塩素分は、生成物を水洗することである程度低減することは可能であるが、本発明の電気信頼性に優れたエポキシ樹脂組成物、且つ耐熱分解性、接着性に優れた硬化物を得るには、より低い全塩素量のo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドが必要であり、その全塩素量としては、優れた電気信頼性を得る観点から、1500ppm以下であることが必要とされる。より電気信頼性を高める観点から、本発明で用いるo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドの全塩素量は1000ppm以下であることが好ましく、より好ましくは50ppm以下である。o,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドの全塩素量の下限については特に制限はなく、電気信頼性等の観点からは低い程好ましい。
なお、本発明において「全塩素量」はJIS K7243−3に準じて測定することができる。
全塩素量が1500ppm以下であるo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドを得る方法としては、特に制限はないが、o,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドを水洗する際に、有機溶剤を使用して油水分離により水層に塩素分を抽出して除去する方法が好ましい。この際、使用する有機溶剤は特に限定されないが、トルエンなどの芳香族系有機溶剤やメチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒が溶解性の観点から好ましい。これらの有機溶剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
有機溶剤の使用量は特に限定されないが、好ましくは、o,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィド100重量部に対して10〜10000重量部、より好ましくは100〜2000重量部である。
有機溶剤を用いる水洗方法としては、具体的には、o,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドに所定量の有機溶剤を加え、40〜100℃程度に加温した後、同程度の温度の水を加えて混合し、その後静置して油水分離し、水層を除去した後、油層から有機溶剤を留去する方法が挙げられる。この場合、水の使用量はo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィド100重量部に対して100〜50000重量部、特に600〜12000重量部とすることが好ましい。
また、このような有機溶剤と水を用いた洗浄を複数回繰り返し行ってもよいし、有機溶剤と水を用いた洗浄後、複数回水洗を行ってもよい。例えば、o,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドに有機溶剤と水を加えて混合した後油水分離し、水層を除去した後、更に油層に水を加えて混合し、油水分離、水層の除去という水による洗浄を複数回繰り返し行った後、油層から有機溶剤を留去するようにしてもよい。
このような洗浄操作において、用いる有機溶剤及び水の量が多い程、また、洗浄回数が多い程、得られるo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドの全塩素量を低減することができ、全塩素分析の検出限界の全塩素量10ppm以下程度にまで低減することも可能である。
有機溶剤を用いない水洗法として、粉状のo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドに、水をかけ流して塩素分を取り除くこともできる。
〔エポキシ樹脂組成物〕
[o,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィド]
本発明のエポキシ樹脂組成物は、全塩素量が1,500ppm以下のo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィド、エポキシ樹脂及び硬化剤を含み、好ましくは更に硬化促進剤を含むものであり、エポキシ樹脂組成物、硬化剤、硬化促進剤及びo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドの合計100重量%に対するo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドの含有量は好ましくは0.34〜0.70重量%である。このo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドの含有量は、耐熱分解性を維持したまま接着性を上げる観点から、より好ましくは0.38〜0.66重量%であり、更に好ましくは0.45〜0.59重量%である。o,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドの含有量が上記範囲の下限未満の場合は接着性が劣り、上記範囲の上限を超えると耐熱分解性、接着性が劣るものとなる。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、組成物中のo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィド/エポキシ樹脂の重量比率(エポキシ樹脂に対するo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドの重量百分率)が0.54〜1.10重量%であることが好ましい。耐熱分解性を維持したまま接着性を上げる観点から、この重量比率はより好ましくは0.60〜1.03重量%であり、更に好ましくは0.71〜0.93重量%である。この重量比率が上記範囲の下限未満の場合は接着性が劣り、上記範囲の上限を超えると耐熱分解性、接着性が劣るものとなる。
[エポキシ樹脂]
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂を含む。エポキシ樹脂としては、特に制限はなく一般的にエポキシ樹脂として知られているものはすべて使用できる。
使用可能なエポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン骨格を有するエポキシ樹脂をはじめとするフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したもの、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、アルキル置換又は非置換のビフェノール等のジグリシジルエーテル、スチルベン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、フタル酸、ダイマー酸等の多塩基酸とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等のポリアミンとエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンとフェノール類の共縮合樹脂のエポキシ化物、ナフタレン環を有するエポキシ樹脂、キシリレン骨格、ビフェニレン骨格を含有するフェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、テルペン変性エポキシ樹脂、オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂又は脂環族エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポキシ樹脂などが挙げられる。これらのエポキシ樹脂は単独で用いても2種以上を組み合わせて併用して用いてもよい。
なかでも、流動性及び耐リフロー性の観点からはビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂及び硫黄原子含有エポキシ樹脂が好ましく、硬化性の観点からはノボラック型エポキシ樹脂が好ましく、低吸湿性の観点からはジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂が好ましく、耐熱性及び低反り性の観点からはナフタレン型エポキシ樹脂及びトリフェニルメタン型エポキシ樹脂が好ましく、難燃性の観点からはビフェニレン型エポキシ樹脂及びナフトールアラルキル型エポキシ樹脂が好ましい。
従って、本発明のエポキシ樹脂組成物は、これらのエポキシ樹脂の少なくとも1種を含有していることが好ましい。
[硬化剤]
本発明において硬化剤とは、エポキシ樹脂のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質を示す。なお、本発明においては通常、「硬化促進剤」と呼ばれるものであってもエポキシ樹脂のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質であれば、硬化剤とみなすこととする。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、硬化剤の含有量は、固形分としての全エポキシ樹脂成分100質量部に対して好ましくは0.1〜1000質量部である。また、より好ましくは500質量部以下であり、更に好ましくは300質量部以下である。本発明において、「固形分」とは溶媒を除いた成分を意味し、固体のエポキシ樹脂のみならず、半固形や粘稠な液状物のものをも含むものとする。また、「全エポキシ樹脂成分」とは、本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂の合計に相当する。
硬化剤としては、特に制限はなく一般的にエポキシ樹脂硬化剤として知られているものはすべて使用できる。例えば、フェノール系硬化剤、脂肪族アミン、ポリエーテルアミン、脂環式アミン、芳香族アミンなどのアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミド系硬化剤、第3級アミン、イミダゾール類等が挙げられる。
このうち、フェノール系硬化剤を含むことにより、本発明のエポキシ樹脂組成物は、優れた耐熱分解性、接着性等を得ることができるため、硬化剤としてはフェノール系硬化剤を含むことが好ましい。また、耐熱性等の観点からは、酸無水物系硬化剤、アミド系硬化剤を含むことが好ましい。また、イミダゾール類を用いることも、硬化反応を十分に進行させ、耐熱性を向上させる観点から好ましい。
硬化剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。硬化剤を2種以上併用する場合、これらをあらかじめ混合して混合硬化剤を調製してから使用してもよいし、エポキシ樹脂組成物の各成分を混合する際に硬化剤の各成分をそれぞれ別々に添加して同時に混合してもよい。
<フェノール系硬化剤>
フェノール系硬化剤の具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールAD、ハイドロキノン、レゾルシン、メチルレゾルシン、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、チオジフェノール類、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、テルペンフェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、トリスフェノールメタン型樹脂、ナフトールノボラック樹脂、臭素化ビスフェノールA、臭素化フェノールノボラック樹脂等の種々の多価フェノール類や、種々のフェノール類とベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザール等の種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂類、キシレン樹脂とフェノール類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂類、重質油又はピッチ類とフェノール類とホルムアルデヒド類との共縮合樹脂、フェノール・ベンズアルデヒド・キシリレンジメトキサイド重縮合物、フェノール・ベンズアルデヒド・キシリレンジハライド重縮合物、フェノール・ベンズアルデヒド・4,4’−ジメトキサイドビフェニル重縮合物、フェノール・ベンズアルデヒド・4,4’−ジハライドビフェニル重縮合物等の各種のフェノール樹脂類等が挙げられる。
これらのフェノール系硬化剤は、1種のみで用いても2種以上を任意の組み合わせ及び配合比率で組み合わせて用いてもよい。
フェノール系硬化剤の配合量は、エポキシ樹脂組成物中の全エポキシ樹脂成分100重量部に対して好ましくは0.1〜1000重量部であり、より好ましくは500重量部以下、更に好ましくは300重量部以下、特に好ましくは100重量部以下である。
<アミン系硬化剤>
アミン系硬化剤(ただし、第3級アミンを除く。)の例としては、脂肪族アミン類、ポリエーテルアミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン類等が挙げられる。
脂肪族アミン類としては、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、テトラ(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等が例示される。
ポリエーテルアミン類としては、トリエチレングリコールジアミン、テトラエチレングリコールジアミン、ジエチレングリコールビス(プロピルアミン)、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン類等が例示される。
脂環式アミン類としては、イソホロンジアミン、メタセンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、ノルボルネンジアミン等が例示される。
芳香族アミン類としては、テトラクロロ−p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、p−キシレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノアニソール、2,4−トルエンジアミン、2,4−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、2,4−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、m−アミノフェノール、m−アミノベンジルアミン、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエタノールアミン、メチルベンジルアミン、α−(m−アミノフェニル)エチルアミン、α−(p−アミノフェニル)エチルアミン、ジアミノジエチルジメチルジフェニルメタン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン等が例示される。
以上で挙げたアミン系硬化剤は1種のみで用いても2種以上を任意の組み合わせ及び配合比率で組み合わせて用いてもよい。
上記のアミン系硬化剤は、エポキシ樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂成分中のエポキシ基に対する硬化剤中の官能基の当量比で0.8〜1.5の範囲となるように用いることが好ましい。この範囲内であると未反応のエポキシ基や硬化剤の官能基が残留しにくくなるために好ましい。
第3級アミンとしては、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等が例示される。
以上で挙げた第3級アミンは1種のみで用いても2種以上を任意の組み合わせ及び配合比率で組み合わせて用いてもよい。
上記の第3級アミンは、エポキシ樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂成分中のエポキシ基に対する硬化剤中の官能基の当量比で0.8〜1.5の範囲となるように用いることが好ましい。この範囲内であると未反応のエポキシ基や硬化剤の官能基が残留しにくくなるために好ましい。
<酸無水物系硬化剤>
酸無水物系硬化剤としては、酸無水物、酸無水物の変性物等が挙げられる。
酸無水物としては、例えば、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ポリ(エチルオクタデカン二酸)無水物、ポリ(フェニルヘキサデカン二酸)無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルハイミック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、ヘット酸無水物、ナジック酸無水物、メチルナジック酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、1−メチル−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物等が挙げられる。
酸無水物の変性物としては、例えば、上述した酸無水物をグリコールで変性したもの等が挙げられる。ここで、変性に用いることのできるグリコールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等のアルキレングリコール類や、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のポリエーテルグリコール類等が挙げられる。更には、これらのうちの2種類以上のグリコール及び/又はポリエーテルグリコールの共重合ポリエーテルグリコールを用いることもできる。
酸無水物の変性物においては、酸無水物1モルに対してグリコール0.4モル以下で変性させることが好ましい。変性量が上記上限値以下であると、エポキシ樹脂組成物の粘度が高くなり過ぎず、作業性が良好となる傾向にあり、また、エポキシ樹脂との硬化反応の速度も良好となる傾向にある。
以上で挙げた酸無水物系硬化剤は1種のみでも2種以上を任意の組み合わせ及び配合量で組み合わせて用いてもよい。
酸無水物系硬化剤を用いる場合、エポキシ樹脂組成物中の全エポキシ樹脂成分中のエポキシ基に対する硬化剤中の官能基の当量比で0.8〜1.5の範囲となるように用いることが好ましい。この範囲内であると未反応のエポキシ基や硬化剤の官能基が残留しにくくなるために好ましい。
<アミド系硬化剤>
アミド系硬化剤としてはジシアンジアミド及びその誘導体、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
アミド系硬化剤は1種のみで用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
アミド系硬化剤を用いる場合、エポキシ樹脂組成物中の全エポキシ樹脂成分とアミド系硬化剤との合計に対してアミド系硬化剤が0.1〜20重量%となるように用いることが好ましい。
<イミダゾール類>
イミダゾール類としては、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4(5)−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノ−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾールトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加体、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加体、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、及びエポキシ樹脂と上記イミダゾール類との付加体等が例示される。なお、イミダゾール類は触媒能を有するため、一般的には硬化促進剤にも分類されうるが、本発明においては硬化剤として分類するものとする。
以上に挙げたイミダゾール類は1種のみでも、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
イミダゾール類を用いる場合、エポキシ樹脂組成物中の全エポキシ樹脂成分とイミダゾール類との合計に対してイミダゾール類が0.1〜20重量%となるように用いることが好ましい。
<他の硬化剤>
本発明のエポキシ樹脂組成物においては前記硬化剤以外にその他の硬化剤を用いることができる。本発明のエポキシ樹脂組成物に使用することのできるその他の硬化剤は特に制限はなく、一般的にエポキシ樹脂の硬化剤として知られているものはすべて使用できる。
これらの他の硬化剤は1種のみで用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[硬化促進剤]
本発明のエポキシ樹脂組成物は、硬化促進剤を含むことが好ましい。硬化促進剤を含むことにより、硬化時間の短縮、硬化温度の低温化が可能となり、所望の硬化物を得やすくすることができる。
硬化促進剤は特に制限されないが、具体例としては、有機ホスフィン類、ホスホニウム塩等のリン系化合物、テトラフェニルボロン塩、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素アミン錯体等が挙げられる。
硬化促進剤として使用可能なリン系化合物としては、トリフェニルホスフィン、ジフェニル(p−トリル)ホスフィン、トリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(アルキル・アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルコキシフェニル)ホスフィン、トリアルキルホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン等の有機ホスフィン類又はこれら有機ホスフィン類と有機ボロン類との錯体やこれら有機ホスフィン類と無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタン等の化合物を付加してなる化合物等が例示される。
以上に挙げた硬化促進剤の中でも有機ホスフィン類、ホスホニウム塩が好ましく、有機ホスフィン類が最も好ましい。
また、硬化促進剤は、上記に挙げたもののうち、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
硬化促進剤は、エポキシ樹脂組成物中の全エポキシ樹脂成分100重量部に対して0.1重量以上20重量部以下の範囲で用いることが好ましい。より好ましくは0.5重量部以上、更に好ましくは1重量部以上であり、一方、より好ましくは15重量部以下、更に好ましくは10重量部以下である。硬化促進剤の含有量が上記下限値以上であると、良好な硬化促進効果を得ることができ、一方、上記上限値以下であると、所望の硬化物性が得られやすいために好ましい。
[無機充填材]
本発明のエポキシ樹脂組成物には無機充填材を配合することができる。無機充填材としては例えば、溶融シリカ、結晶性シリカ、ガラス粉、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、タルク、チッ化ホウ素等が挙げられる。これらは、1種のみで用いても2種以上を任意の組み合わせ及び配合比率で組み合わせて用いてもよい。これらの中でも半導体封止の用途に用いる場合には、破砕型及び/又は球状の、溶融及び/又は結晶性シリカ粉末充填材が好ましい。
無機充填材を使用することにより、エポキシ樹脂組成物を半導体封止材として用いたときに、半導体封止材の熱膨張係数を内部のシリコンチップやリードフレームに近づけることができ、また、半導体封止材全体の吸湿量を減らすことができるため、耐ハンダクラック性を向上させることができる。
無機充填材の平均粒子径は、通常1〜50μm、好ましくは1.5〜40μm、より好ましくは2〜30μmである。平均粒子径が上記下限値以上であると溶融粘度が高くなり過ぎず、流動性が低下しにくいために好ましく、また、平均粒子径が上記上限値以下であると成形時に金型の狭い隙間に充填材が目詰まりしにくく、材料の充填性が向上しやすくなるために好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物に無機充填材を用いる場合、無機充填材はエポキシ樹脂組成物全体の60〜95重量%の範囲で配合することが好ましい。
[その他の配合成分]
本発明のエポキシ樹脂組成物には、前記した以外の成分(本発明において、「その他の配合成分」と称することがある。)を配合することができる。その他の配合成分としては例えば、難燃剤、可塑剤、反応性希釈剤、顔料等が挙げられ、必要に応じて適宜に配合することができる。ただし、本発明のエポキシ樹脂組成物は上記で挙げた成分以外のものを配合することを何ら妨げるものではない。
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いる難燃剤としては、臭素化エポキシ樹脂、臭素化フェノール樹脂等のハロゲン系難燃剤、三酸化アンチモン等のアンチモン化合物、赤燐、リン酸エステル類、ホスフィン類等のリン系難燃剤、メラミン誘導体等の窒素系難燃剤及び水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機系難燃剤等が挙げられる。
〔硬化物〕
本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させることにより、本発明の硬化物を得ることができる。本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる本発明の硬化物は、耐熱分解性、接着性において優れた特性を有するものである。
本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させる方法については特に限定されないが、通常、加熱による熱硬化反応により硬化物を得ることができる。熱硬化反応時には、用いた硬化剤の種類によって硬化温度を適宜選択することが好ましい。例えば、フェノール系硬化剤を用いた場合、硬化温度は通常130〜300℃である。またこれらの硬化剤に硬化促進剤を添加することで、その硬化温度を下げることも可能である。反応時間は、1〜20時間が好ましく、より好ましくは2〜18時間、さらに好ましくは3〜15時間である。反応時間が上記下限値以上であると硬化反応が十分に進行しやすくなる傾向にあるために好ましい。一方、反応時間が上記上限値以下であると加熱による劣化、加熱時のエネルギーロスを低減しやすいために好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いた硬化物は耐熱分解性に優れるものであり、本発明のエポキシ樹脂組成物によれば、好ましくは後掲の実施例の項に記載の方法で測定される5%重量減少温度が370℃以上の硬化物を与えることができる。硬化物の5%重量減少温度が高い程、半導体封止材等で利用した際に揮発成分による界面での応力がかかりにくく、剥離等の不良が起こりにくいため好ましい。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物を用いた硬化物は接着性に優れるものであり、本発明のエポキシ樹脂組成物によれば、好ましくは後掲の実施例の項に記載の方法で測定されるニッケル接着強度が12MPa以上の硬化物を与えることができる。硬化物のニッケル接着強度が高い程、半導体封止材等で利用した際に剥離等の不良が起こりにくいため好ましい。
〔用途〕
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いた硬化物は耐熱分解性、接着性に優れる。
従って、本発明のエポキシ樹脂組成物及びその硬化物は、これらの物性が求められる用途であれば、いかなる用途にも有効に用いることができる。例えば、自動車用電着塗料、船舶・橋梁用重防食塗料、飲料用缶の内面塗装用塗料等の塗料分野;積層板、半導体封止材、絶縁粉体塗料、コイル含浸用等の電気・電子分野;橋梁の耐震補強、コンクリート補強、建築物の床材、水道施設のライニング、排水・透水舗装、車両・航空機用接着剤の土木・建築・接着剤分野等の用途のいずれにも好適に用いることができる。これらの中でも特に半導体封止材、積層板のような電気・電子部品用途に有用である。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、前記用途に対し硬化後に使用してもよく、前記用途の製造工程にて硬化させても用いてもよい。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り実施例に限定されるものではない。
〔低塩素o,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドの製造と全塩素量の測定〕
[実施例1]
1Lセパラブルフラスコにo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィド(東京化成工業社製)50gとトルエン500gを仕込み、撹拌しながら70℃まで加温した。その後70℃の水300gを加えて10分撹拌し、静置して油層と水層に分離した。水層を廃棄した後、油層を150℃まで加温して、真空ポンプで減圧状態にすることでトルエンを留去し、低塩素o,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドを得た。
[実施例2]
1Lセパラブルフラスコにo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィド(東京化成工業社製)50gとトルエン500gを仕込み、撹拌しながら70℃まで加温した。その後70℃の水300gを加えて10分撹拌し、静置して油層と水層に分離した。水層を廃棄した後、70℃の水300gを加えて10分撹拌し、静置して油層と水層に分離し、水層を廃棄した。その後、油層を150℃まで加温して、真空ポンプで減圧状態にすることでトルエンを留去し、低塩素o,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドを得た。
[実施例3]
5Lセパラブルフラスコにo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィド(東京化成工業社製)50gとトルエン500gを仕込み、撹拌しながら70℃まで加温した。その後70℃の水2000gを加えて10分撹拌し、静置して油層と水層に分離した。水層を廃棄した後、70℃の水2000gを加えて10分撹拌し、静置して油層と水層に分離し、水層を廃棄した。その後、再度70℃の水2000gを加えて10分撹拌し、静置して油層と水層に分離した。水層を廃棄した後、油層を150℃まで加温して、真空ポンプで減圧状態にすることでトルエンを留去し、低塩素o,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドを得た。
[比較例1]
o,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィド(東京化成工業社製)を比較例1のo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドとした。
実施例1〜3で得られた低塩素o,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドと比較例1のo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドの全塩素量をJIS K7243−3に準じて測定し、結果を表1に示した。
Figure 2021031566
〔エポキシ樹脂組成物の製造及び硬化物の評価〕
[実施例4〜10、比較例2]
実施例1で製造した全塩素量1500ppmの低塩素o,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドを用い、表2に示す配合で均一にブレンドしてエポキシ樹脂組成物を製造した。エポキシ樹脂組成物、硬化剤、硬化促進剤としては以下のものを用いた。
エポキシ樹脂:三菱ケミカル社製「YX4000」(ビフェニル型エポキシ樹脂)
硬化剤:群栄化学工業社製「PSM4261」(フェノールノボラック系硬化剤)
硬化促進剤:東京化成工業社製「トリフェニルホスフィン」
得られたエポキシ樹脂組成物について、以下の評価を行い、結果を表2に示した。
(1)5%重量減少温度
離型ペットフィルムを貼りつけたガラス板を2枚用意し、離型ペットフィルム側を内側にして2枚のガラス板間隔を4mmに調整して配置して金型を作成した。この金型にエポキシ樹脂組成物を注型し、120℃で2時間、その後175℃で6時間加熱して硬化物を得た。
得られた硬化物を切り出して重さ10mgの試料を得た。
この試料を熱分析装置(TG/DTA:セイコーインスツルメント社製「EXSTAR7200」)を用いて、熱分析を行った(昇温速度:10℃/分、測定温度範囲:30℃から400℃、空気:流量200mL/分)。硬化物の重量が5%減少した時点の温度を測定し、5%重量減少温度とした。
(2)ニッケル接着強度
ユタカパネルサービス社製のニッケルメッキ板(厚さ1.6mm、縦25mm、横100mm)の横端から縦25mm、横12.5mmの面積に対してエポキシ樹脂組成物を70℃で加温しながら塗布した。この塗布面に何も塗布されていないニッケルメッキ板を貼り合わせて試験片を作成し、JIS K6850に従って、せん断接着強度を測定した。
Figure 2021031566
〔抽出水塩素量の測定例〕
エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX4000」)と実施例1〜3、比較例1で得たo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドを表3に示す割合で120℃まで加温して均一にブレンドし、その後冷却して固形物を得た。固形物をワンダーブレンダー(大阪ケミカル(株)製)で粉砕し、20メッシュの金網を通して、粉砕された固形物を作成した。
この固形物をポリエチレン製の瓶に40g秤取し、超純水を80mL加えた後、密閉して、70℃の乾燥機中で加熱した。20時間加熱した後、室温まで冷却し、内容物をろ紙5Aでろ過して抽出水を得た。
得られた抽出水1gをビーカーに入れ、アセトン100mL、酢酸25mLを追加し、0.002モル/L濃度の硝酸銀溶液を用いて、電位差滴定法により塩素量を測定した。
結果を表3に示した。
Figure 2021031566
〔結果の評価〕
表1の結果より、実施例1〜3のo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドは比較例1のo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドに比べて、全塩素量が大幅に低減されており、電気信頼性に優れることが分かる。
また、表2の結果より、エポキシ樹脂組成物の組成が本発明の好適範囲内である実施例5〜9の硬化物は、比較例2の硬化物に対し、優れた耐熱分解性と接着強度を兼備することが分かる。実施例4はo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドの含有量が好適範囲より少ない例であるが、耐熱分解性は比較例2と同等であるものの、接着強度は改善されている。実施例10は、o,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドの含有量が好適範囲より多いものであり、耐熱分解性は若干低いが、接着性は比較例2より高い。
また、表3の結果より、実施例1〜3のo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドを使用したエポキシ樹脂組成物は比較例1のo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドを使用したエポキシ樹脂組成物に比べて、塩素量が少なく電気信頼性に優れることが分かる。
なお、表3のNo.1〜4の抽出水塩素量の値は、表1の実施例1〜3、比較例1のo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドの全塩素量と相関があることから、抽出水中の塩素量の値は、用いたo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィド、ひいてはo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドの原料である塩化ベンゾイル由来の塩素分であると推定される。
これらの結果より、全塩素量が1500重量ppm以下であるo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドを用いることにより、従来のエポキシ樹脂組成物及びその硬化物に対して優れた耐熱分解性や接着性を有するものとすることができることが分かる。

Claims (7)

  1. 全塩素量が1,500ppm以下であるo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドと、エポキシ樹脂及び硬化剤とを含むエポキシ樹脂組成物。
  2. 更に硬化促進剤を含む請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 前記エポキシ樹脂、前記硬化剤、前記硬化促進剤及び前記o,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドの合計100重量%に対する、該o,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドの濃度が0.34〜0.70重量%である、請求項2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 前記o,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィド/前記エポキシ樹脂の重量比率が0.54〜1.10重量%である、請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる電気・電子部品。
  7. 全塩素量が1,500ppm以下であるo,o′−ジベンズアミドジフェニルジスルフィド。
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