JP2021030275A - 溶接システム、および、溶接方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶接工程で用いられる、目標値を満たす施工条件を短期間で求めること。【解決手段】レーザ溶接システムは、溶接対象ごとに固有の情報と、溶接対象の溶接後に要求される溶接品質を示す目標値の情報との入力を受け付ける入力部1と、入力部1に入力された情報ごとに適した溶接条件が登録されている条件データベース2dを参照して、初期の溶接条件を算出する初期条件算出部2と、溶接対象のサンプルに対して算出された溶接条件で溶接を行い、その溶接中における溶接品質を示す計測値を計測する品質計測部3と、計測値が目標値の情報を満たすか否かを判定する品質判定部5と、計測値が目標値の情報を満たしていないと判定されたときには、目標値の情報と計測値との差分に基づき溶接条件を調整する条件調整部6とを有する。【選択図】 図1

Description

本発明は、溶接システム、および、溶接方法に関わる。
レーザ光を用いて溶接するレーザ溶接システムとして、溶接用レーザビームと波長の異なるレーザ光を用いて、溶接箇所の溶込み深さを計測し、計測した溶込み深さに基づいて溶接箇所の良否を評価するシステムがある(特許文献1参照)。
特開2012−236196号公報
良好な溶接結果を得るためには、特許文献1の技術などで計測された溶込み深さなどの溶接品質の計測値が、事前に入力された目標値の範囲を満たす必要がある。溶接品質は、溶接工程において溶接システムの制御に使用される溶接条件に影響される。
なお、製品の溶接中に溶接条件を変化させることで、事後的に目標値の範囲を満たすように溶接条件を更新する方式も考えられる。しかし、製品の施工前にサンプルを用いて事前に適切な溶接条件を求めておき、その適切な溶接条件を用いて製品の施工開始時点から溶接を行う方式のほうが、出来がよい製品を大量に生産するのに適している。
ここで、溶接対象の材質や継手形状などによって適切な溶接条件がそれぞれ異なるため、適切な溶接条件を求めるには、レーザ溶接知識やノウハウを持つ熟練作業者でない限り、多くの実験回数を要する。その結果、製品の生産立上げ期間が長くなり、製品コストも上昇してしまう。
そこで、本発明は、溶接工程で用いられる、目標値を満たす施工条件を短期間で求めることを、主な課題とする。
前記課題を解決するために、本発明の溶接システムは、以下の特徴を有する。
本発明は、溶接対象ごとに固有の情報と、溶接対象の溶接後に要求される溶接品質を示す目標値の情報との入力を受け付ける入力部と、
前記入力部に入力された情報ごとに適した溶接条件が登録されている条件データベースを参照して、初期の前記溶接条件を算出する初期条件算出部と、
溶接対象のサンプルに対して算出された前記溶接条件で溶接を行い、その溶接中における溶接品質を示す計測値を計測する品質計測部と、
計測値が目標値の情報を満たすか否かを判定する品質判定部と、
計測値が目標値の情報を満たしていないと判定されたときには、目標値の情報と計測値との差分に基づき前記溶接条件を調整する条件調整部と、
計測値が目標値の情報を満たしたと判定されたときには、前記溶接条件を出力する出力部とを備えることを特徴とする。
その他の手段は、後記する。
本発明によれば、溶接工程で用いられる、目標値を満たす施工条件を短期間で求めることができる。
本発明の第1実施形態に関するレーザ溶接システムの構成図である。 本発明の第1実施形態に関する図1の溶接部の詳細を示す構成図である。 本発明の第1実施形態に関する溶接箇所の立体図である。 本発明の第1実施形態に関する図3の溶接箇所のYZ軸の平面図である。 本発明の第1実施形態に関するレーザ溶接システムの処理を示すフローチャートである。 本発明の第1実施形態に関するキーホール深さの計測値およびレーザ出力それぞれの時系列グラフである。 本発明の第2実施形態に関するレーザ溶接システムの構成図である。 本発明の第2実施形態に関する図7の溶接部の詳細を示す構成図である。 本発明の第2実施形態に関する溶接箇所の立体図である。 本発明の第2実施形態に関する図9の溶接箇所のXY軸の平面図である。 本発明の第2実施形態に関する図8の母材とは別の溶接対象を示す平面図である。 本発明の第2実施形態に関する図8の変形例を示す図である。
以下、第1実施形態のレーザ溶接システムを説明する。このレーザ溶接システムは、例えば、自動車や電子部品などのレーザ溶接生産ラインに適用できる。
図1は、レーザ溶接システムの構成図である。
レーザ溶接システムの主要な構成は、母材8をレーザ光7aで溶接する溶接部7である。この溶接対象の母材8は、目標値を満たす溶接条件を探索するためのサンプルである。一方、探索された溶接条件をもとに、サンプルとは別の母材8を溶接することで、製品は施工される。
本明細書では、以下のように溶接条件の状態を区別して説明する。
(1)初期条件とは、母材8の情報や、溶接品質の目標値をもとに最初に計算された溶接条件である。
(2)探索中条件とは、初期条件から開始して目標値を満たすまで、調整されている途中の溶接条件である。
(3)施工条件とは、探索中条件が目標値を満たすように調整されたことで、製品の施工に用いる状態として確定した溶接条件である。
つまり、レーザ溶接システムは、母材8のサンプルを実際に溶接することで、初期条件(=1回目の探索中条件)→2回目の探索中条件→3回目の探索中条件→…→施工条件の順に、溶接条件を調整する。このように、レーザ溶接システムは、溶接部7を動作させて溶接条件を計算するための溶接条件計算機構として、入力部1と、初期条件算出部2と、条件データベース2dと、品質計測部3(深さ計測部31)と、計測制御部4と、品質判定部5と、条件調整部6と、出力部9とを有する。
これらの溶接条件計算機構は、CPU(Central Processing Unit)と、メモリと、ハードディスクなどの記憶手段(演算装置記憶部61)とを有するコンピュータとして構成される。このコンピュータは、CPUが、メモリ上に読み込んだプログラム(アプリケーションや、スマートフォンのアプリ)を実行することにより、各処理部60により構成される制御部(制御手段)を動作させる。また、条件データベース2dは、溶接条件計算機構のコンピュータとは別装置として存在し、ネットワークを介して接続される形態としてもよい。
溶接条件計算機構の詳細は、後記する図5のフローチャートの説明で明らかにする。
図2は、図1の溶接部7の詳細を示す構成図である。
レーザ光7aは、レーザ発振器70から図示しない光ファイバを経由して溶接ヘッド72に到達する。溶接ヘッド72内のレーザ光7aは、ビームスプリッタ71を透過し、集合レンズ73で集光され、保護ガラス74を透過して、母材8に照射されることで溶接が行われる。そのため、ビームスプリッタ71は、レーザ光7aの波長に対して透過率が高くなるように構成される。
また、品質計測部3の深さ計測部31は、母材8からの反射光75を受け、母材8の溶接箇所8aへの溶接品質を計測する。そのため、深さ計測部31は、レーザ光7aの波長とは異なる波長のレーザ光を使用した光干渉計(図示省略)を備える。
図3は、溶接箇所8aの立体図である。この立体図では図2に示したXZ軸を含むXYZ軸で構成される。
溶接箇所8aは、母材8の状態によって、固体の母材部81か、液体の溶融池82か、気体のキーホール83かに分類される。
母材部81は、図2のレーザ光7aが溶接箇所8aに照射されていない箇所である。
溶融池82は、レーザ光7aが溶接箇所8aに照射されることで、金属が溶融されて形成される箇所である。
キーホール83は、溶融池82から溶融金属が蒸発し、蒸発時に生じた金属蒸気の圧力によって形成される箇所である。溶融金属の蒸発は、例えば、レーザ光7aのパワー密度(単位時間内に単位面積に照射されたエネルギー、W/mm)は10W/cmを超えた場合に発生する。
図4は、図3の溶接箇所8aのYZ軸の平面図である。
深さ計測部31は、溶接品質として、以下のパラメータを計測する。
・上板表面からキーホール83の底までのZ軸深さであるキーホール深さ。
・上板表面から溶融池82の底までのZ軸深さである溶込み深さ。
これらの深さは、レーザ溶接の品質に大きく影響する。
図5は、レーザ溶接システムの処理を示すフローチャートである。
S101として、入力部1は、溶接対象となる母材8ごとに固有の情報(材質、寸法、継手形状など)の入力を受け付ける。
溶接対象の材質は、オーステナイト系ステンレス鋼であるが、ほかのステンレス鋼、または、炭素鋼、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属合金でも構わない。溶接対象の寸法および継手形状は、板厚さが2mm(上板)と1.6mm(下板)の板材で重ねで溶接される。
S102として、入力部1は、溶接品質を確保するために必要な目標値の入力も受け付ける。
溶接部の強度と気密性要求とを考慮した結果、例えば、溶込み深さの目標値は、「2.5〜3.0mm」である。同様に、入力部1は、キーホール深さの目標値の入力も受け付ける。
また、図4に示したように、レーザ溶接ではキーホール深さと溶込み深さとの差が非常に小さい(大体0.1mm程度)。よって、入力部1は、入力された溶込み深さの目標値から上限値と下限値とでそれぞれ0.1mmを減算することで、キーホール深さの目標値「2.4mm〜2.9mm」を計算することで、その数値入力を省略してもよい。
S103として、初期条件算出部2は、条件データベース2dを参照して、S101の溶接対象の情報と、S102の目標値との組み合わせに適した初期条件を、1回目の探索中条件として算出する。例えば、2枚のステンレス鋼板の重ね溶接時に、溶込み深さの目標値に対し、以下の初期条件が算出される。
・レーザ出力=2kW
・溶接速度=2.4m/min
・シールドガス=N2
・シールドガスの流量=10L/min
そのために、条件データベース2dには、入力部1の入力情報(S101の母材8の情報、S102の目標値)と、その入力情報に適した初期条件とを事前に対応づけて登録しておく。
さらに、初期条件算出部2は、使用しているレーザ発振器70のファイバ径や、溶接ヘッドに装備した集合レンズ73の焦点距離などの情報から、条件データベース2dを参照して、溶接対象の表面に照射されるビームスポット径も初期条件として算出してもよい。
S104として、溶接部7は、S103の初期条件(探索中条件)を用いて、溶接プログラムを起動することでレーザ溶接を開始する。
S105として、深さ計測部31は、溶接部7の溶接中に、リアルタイムで(例えばサンプリング間隔1ms以下で)図4に示した溶接品質を計測する。なお、深さ計測部31は、実測したキーホール深さの計測値に対して所定値(0.1mm)を加算した値を、溶込み深さの計測値としてもよい。
そして、計測制御部4は、品質計測部3の計測値と、S102の目標値とを比較することで、適切なデータ処理手法により、時間間隔1ms以下の時列変化の溶込み深さの変化を数値化する。
S106として、品質判定部5は、計測制御部4の比較結果から、溶接品質(品質計測部3の計測値)がS102の目標値を満たすか否かを判定する。例えば、キーホール深さの計測値がその目標値の範囲内になった場合、出力部9は、溶接品質に合格の判定結果を提示する。逆に、キーホール深さの計測値が目標値の範囲外になった場合、出力部9は、溶接品質に不合格の判定結果を提示する。
なお、S106の判定期間は、合格判定が一定期間連続するまで続けてもよい。ある瞬間で合格となった場合には、条件調整部6はその時点での探索中条件を調整させず、同じ探索中条件で溶接を続ける。一方、途中で溶接対象の熱変形や、レーザ発振器70の出力変動、シールドガス流量の変動などの原因で、キーホール深さの計測値は目標値の範囲から外れる可能性がある。この時、品質判定部5は溶接品質の判定結果を合格から不合格に変更する。
S106でOK(合格)なら、品質判定部5は、この時点の探索中条件を最終的な施工条件に確定して、その施工条件を出力部9に出力させる(S108)。一方、S106でNG(不合格)なら、条件調整部6は、計測値と目標値との差から探索中条件を調整する(S107)。
S107では、条件調整部6は、キーホール深さの計測値と、目標値「2.4mm〜2.9mm」の中心値「2.65mm」の差から溶接条件を調整する。条件調整部6は、下記の数式1を基にレーザ出力を調整する。この数式1は、計測値と目標値との差を所定の範囲内に最小化するため調整式である。
Pi=P0+f(Km−Kt) …(数式1)
ここで、Piは調整された次回のレーザ出力、P0は初期条件のレーザ出力(例えば、2kW)、f()は関数、Kmはキーホール深さの計測値、Ktは溶込み深さの目標値を表す。
条件調整部6は、数式1のレーザ出力調整式で計算された探索中条件(次回のレーザ出力)になるように調整する指令を、溶接中にレーザ発振器70にフィードバック制御する。レーザ発振器70は指令にしたがってレーザ出力を連続的に調整する。そして、調整後の探索中条件を用いて溶接部7に溶接を続けさせ、次回の計測値を求めるために、深さ計測部31は、処理をS105に戻す。
このように、S105〜S107を繰り返しながら溶接することで、探索中条件が徐々に目標値に近づく。溶接部7は、求めた施工条件を用いて、次から同じ母材8を溶接して製品を生産できる。
図6は、キーホール深さの計測値およびレーザ出力それぞれの時系列グラフである。この時系列グラフの下側には、母材8(上板および下板)に対する溶込み深さの断面形状の変化状況を示す図も対応させた。なお、キーホール深さのグラフは図面の上にいくほど深くなり、溶込み深さは図面の下にいくほど深くなる。
時刻「T0」では、S103で初期条件算出部2が算出した初期条件を1回目の探索中条件として溶接を開始する。しかし、初期条件は目標値の範囲外であるため、探索中条件を調整する必要がある。今回の例では、溶込み深さは上板の板厚より小さいため、計測したキーホール深さが目標値(下限値)を下回る(S106,NG)。
条件調整部6は、数式1の計算結果を基づき、レーザ出力を連続的に増加させるように探索中条件を調整する(S107)。その結果、レーザ出力の増加に伴い、キーホール深さも徐々に増加する。
時刻「T1」では、キーホール深さの計測値は目標値の下限に到達した。この時は、品質判定部5から現時点での溶接品質が合格の判定結果を提示する(S106,OK)。この時点のレーザ出力Ptを施工条件として確定してもよい。一方、条件調整部6は、さらにレーザ出力を増加させることにより、キーホール深さの計測値は目標値の上限に近づく。
時刻「T2」では、キーホール深さの計測値は目標値の上限を超えた。これにより、品質判定部5から現時点での溶接品質が不合格の判定結果を提示する。よって、条件調整部6はレーザ出力Puを下げる方向に調整する。
時刻「T3」では、キーホール深さの目標値の上限値より低い数値まで、計測値が下がった。条件調整部6は、計測値がキーホール深さの目標値の範囲内になるように、探索中条件を調整する。
時刻「T4」では、計測値がキーホール深さの目標値の範囲内で安定したことで、条件調整部6は、レーザ出力の下限値Ptから上限値Puまでの範囲を施工条件として確定する。
このように時刻「T4」まで溶接実験を続けることによって、出力部9は、レーザ出力を1つの値としてではなく、下限値Ptから上限値Puまでの範囲を施工条件として確定することができる。
また、S102において溶込み深さの目標値が範囲「2.5〜3.0mm」ではなく、固定の数値(例えば、2.7mm)として指定されることもある。そのとき、施工条件は、PuとPtとの間の値(Pw)となる。
さらに、品質判定部5は、計測値、目標値、および、計測値と目標値との差分値のうちの少なくとも1つの値を履歴データとして記憶手段に記憶してもよい。
以上説明した第1実施形態では、図5のS105〜S107の繰り返し処理により探索中条件の調整がサンプリング間隔に応じて高頻度で行われるため、溶接開始から短期間で目標値を満たす施工条件を求めることができる。
また、S103で初期条件算出部2が計算する初期条件も条件データベース2dを参照して求めた目標値に近い値であるので、短期間で目標値を満たす施工条件を求めることができる。
以下、第2実施形態を説明する。
図7は、レーザ溶接システムの構成図である。この構成図では、図1の品質計測部3において、深さ計測部31だけでなく池形状計測部32も追加されている。つまり、第1実施形態では計測する溶接品質が深さ計測部31による深さ情報(キーホール深さ、溶込み深さ)であったが、第2実施形態では深さ情報に加えて、池形状計測部32が計測する溶融池の形状も用いる。
池形状計測部32は、CMOS(Complementary metal-oxide-semiconductor)カメラの画像センサを用い、レーザ溶接中の溶融池の画像をリアルタイムで取得する。そして、池形状計測部32は、画像認識処理により、溶融池の画像から抽出した各特徴量(溶融池の幅、長さ、面積など)を溶接品質として計測する。
図8は、図7の溶接部7の詳細を示す構成図である。
母材8からの反射光75を受け、品質計測部3の深さ計測部31が深さ情報を計測する点は第1実施形態と同じである。さらに、品質計測部3の池形状計測部32は、反射光75を受けて撮影された溶融池の画像から、溶融池の形状情報を計測する。
図9は、溶接箇所8aの立体図である。図3と同様に、溶接箇所8aには、固体の母材部81と、液体の溶融池82とが形成される。一方、図9では気体のキーホール83は存在しない。
図10は、図9の溶接箇所8aのXY軸の平面図である。
池形状計測部32は、溶接品質として、以下の溶融池の形状を計測する。
・溶融池82のY軸方向の大きさであるビード幅。
・溶融池82のX軸方向の大きさであるビード長さ。
これらの溶融池の形状も、キーホール深さや溶込み深さと同様に、レーザ溶接の品質に大きく影響する。
図11は、図8の母材8とは別の溶接対象を示す平面図である。図8の母材8は上板と下板とを平行に重ねることとしたが、図11の溶接対象は、曲面の角を有するL型の2つの母材(左母材部111と右母材部112)を継ぎ合わせの継手で接合することで、T型の製品を施工するものである。この溶接対象の材質は亜鉛メッキ鋼板であり、板厚は1.6mmである。
溶接対象に形成される溶融池11は、溶接対象の亜鉛メッキ鋼板の溶融結果ではなく、図示されていない送給装置のワイヤ(溶接材料)がレーザ光のエネルギで溶融されたものである。ワイヤを使用したアーク溶接で溶融池11を形成することで、溶融・凝固の熱の影響や、冶金的に時間経過した影響があっても耐食性が低下しないで済む。
一方、もし亜鉛メッキ鋼板に直接レーザ照射して溶融された場合、めっき層の亜鉛は激しく蒸発し、溶融池から気泡とスパッタが発生し、溶接部にブローホールなどの欠陥が生じてしまう。また、溶融池を凝固させて形成した溶接ビードとその近傍は、亜鉛メッキの蒸発による耐食性が低下してしまう。
以下、図11の溶接対象に対するレーザ溶接システムの動作について、図5のフローチャートに沿って説明する。
S101として、入力部1は、溶接対象の情報として、以下の入力を受け付ける。
・材質は板厚「1.6mm」の亜鉛メッキ鋼板
・溶接継手は突合せ
・使用しているワイヤの種類「市販のSi−Cu合金系ワイヤ」
・使用しているワイヤの直径「1.2mm」
S102として、入力部1は、以下の目標値の入力も受け付ける。
・溶込み深さ(図4で示したもの)
・溶融池の形状(図10で示したもの)
S103として、初期条件算出部2は、初期条件として、レーザ出力、溶接速度に加えて、ワイヤ送給速度も算出する。
S105として、品質計測部3は、S104の溶接部7の溶接中に、S102で入力された目標値と比較するための計測値(溶込み深さの計測値、溶融池の形状の計測値)を取得する。
S106として、品質判定部5は、S105の計測値がS102の目標値を満たすか否かを、溶込み深さおよび溶融池の形状それぞれで判定する。
S106でNG(不合格)なら、条件調整部6は、数式2を基に溶接速度を調整する(S107)。
Vi=V0+f(g(Wm、Dm)−g(Wt、Dt)) …(数式2)
数式2で、Viは探索中条件として調整する溶接速度、V0は初期条件で算出された溶接速度、f()、g()は関数、Wmは溶接ビード幅の計測値、Dmは溶込み深さの計測値、Wtは溶接ビード幅の目標値、Dtは溶込み深さの目標値を示す。
S106でOK(溶込み深さが合格、かつ、溶融池の形状も合格)なら、品質判定部5は、この時点の探索中条件を最終的な施工条件に確定して、その施工条件を出力部9に出力させる(S108)。これにより、溶接部7は、施工条件を用いて製品を溶接することで、良好な溶接品質の製品を生産できる。
図12は、図8の変形例を示す図である。品質計測部3は、前記した画像センサの代わりに、光走査型の表面形状測定器76を用いてもよい。表面形状測定器76は、レーザ光7aの波長と異なる波長を有するレーザ光を、溶接箇所8aの一部に照射する計測用レーザ発振器である。照射されたレーザ光は、溶接箇所8aのうちの溶融池表面と、溶融池の近傍の溶融されていない箇所とを走査する。
そして、品質計測部3(池形状計測部32)は、固定表面の亜鉛メッキ層から反射される反射光についての溶融池箇所と非溶融池箇所との差異から、溶融池の形状を計測する。なお、溶融池は主にSi−Cu合金の成分を有し、表面も金属液体の湯流れがあるため、溶融池表面から反射された反射光の特徴量である強度変化は、溶融池以外の固体表面に反射された反射光の強度変化と異なる。
以上説明した第2実施形態では、計測する溶接品質として、深さ計測部31による深さ情報(キーホール深さ、溶込み深さ)に加えて、池形状計測部32が計測する溶融池の形状も用いる。
これにより、溶融池の形状を加味した複雑な溶接品質の目標値であっても、それを満たす施工条件を短期間で求めることができる。
なお、本発明は前記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。
また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。
また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段などは、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計するなどによりハードウェアで実現してもよい。
また、前記の各構成、機能などは、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイルなどの情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)などの記録装置、または、IC(Integrated Circuit)カード、SDカード、DVD(Digital Versatile Disc)などの記録媒体に置くことができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんどすべての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
さらに、各装置を繋ぐ通信手段は、無線LANに限定せず、有線LANやその他の通信手段に変更してもよい。
1 入力部
2 初期条件算出部
2d 条件データベース
3 品質計測部
4 計測制御部
5 品質判定部
6 条件調整部
7 溶接部
7a レーザ光
8 母材
8a 溶接箇所
9 出力部
11 溶融池
31 深さ計測部
32 池形状計測部
70 レーザ発振器(第1レーザ発振器)
71 ビームスプリッタ
72 溶接ヘッド
73 集合レンズ
74 保護ガラス
75 反射光
76 表面形状測定器(第2レーザ発振器)
81 母材部
82 溶融池
83 キーホール

Claims (6)

  1. 溶接対象ごとに固有の情報と、溶接対象の溶接後に要求される溶接品質を示す目標値の情報との入力を受け付ける入力部と、
    前記入力部に入力された情報ごとに適した溶接条件が登録されている条件データベースを参照して、初期の前記溶接条件を算出する初期条件算出部と、
    溶接対象のサンプルに対して算出された前記溶接条件で溶接を行い、その溶接中における溶接品質を示す計測値を計測する品質計測部と、
    計測値が目標値の情報を満たすか否かを判定する品質判定部と、
    計測値が目標値の情報を満たしていないと判定されたときには、目標値の情報と計測値との差分に基づき前記溶接条件を調整する条件調整部と、
    計測値が目標値の情報を満たしたと判定されたときには、前記溶接条件を出力する出力部とを備えることを特徴とする
    溶接システム。
  2. 前記品質計測部は、溶接対象に形成されたキーホールの底までの深さであるキーホール深さ、および、溶接対象に形成された溶融池の底までの深さである溶込み深さのうちの少なくとも1つの深さ情報を、溶接品質を示す計測値として計測することを特徴とする
    請求項1に記載の溶接システム。
  3. 前記品質計測部は、溶接対象に形成された溶融池の形状を示すパラメータ情報を、溶接品質を示す計測値として計測することを特徴とする
    請求項1に記載の溶接システム。
  4. 前記品質計測部は、溶接対象のサンプルに対して溶接を行うための第1レーザ発振器と、溶融池の形状を計測するための第2レーザ発振器とで、それぞれ異なる波長のレーザを照射させることを特徴とする
    請求項3に記載の溶接システム。
  5. 前記品質計測部は、計測値が目標値の情報に示される下限値および上限値それぞれに到達するまで計測期間を継続し、
    前記出力部は、前記計測期間において調整された前記溶接条件の下限値から上限値までの範囲情報を、計測値が目標値の情報を満たしたときの前記溶接条件として出力することを特徴とする
    請求項1に記載の溶接システム。
  6. レーザ溶接システムは、入力部と、初期条件算出部と、条件データベースと、品質計測部と、品質判定部と、条件調整部と、出力部とを有しており、
    前記入力部は、溶接対象ごとに固有の情報と、溶接対象の溶接後に要求される溶接品質を示す目標値の情報との入力を受け付け、
    前記初期条件算出部は、前記入力部に入力された情報ごとに適した溶接条件が登録されている前記条件データベースを参照して、初期の前記溶接条件を算出し、
    前記品質計測部は、溶接対象のサンプルに対して算出された前記溶接条件で溶接を行い、その溶接中における溶接品質を示す計測値を計測し、
    前記品質判定部は、計測値が目標値の情報を満たすか否かを判定し、
    前記条件調整部は、計測値が目標値の情報を満たしていないと判定されたときには、目標値の情報と計測値との差分に基づき前記溶接条件を調整し、
    前記出力部は、計測値が目標値の情報を満たしたと判定されたときには、前記溶接条件を出力することを特徴とする
    溶接方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114871577A (zh) * 2022-05-13 2022-08-09 武汉锐科光纤激光技术股份有限公司 齿轮刀盘的焊接方法和装置、存储介质及电子装置
CN115922061A (zh) * 2022-12-07 2023-04-07 长沙大科激光科技有限公司 基于超声实时测量的铜铝异种金属搭接焊方法
WO2023068055A1 (ja) * 2021-10-20 2023-04-27 株式会社神戸製鋼所 溶接監視方法及び溶接監視装置、並びに積層造形方法及び積層造形装置

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