JP2021022480A - 電線・ケーブルおよびその製造方法 - Google Patents

電線・ケーブルおよびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2021022480A
JP2021022480A JP2019138024A JP2019138024A JP2021022480A JP 2021022480 A JP2021022480 A JP 2021022480A JP 2019138024 A JP2019138024 A JP 2019138024A JP 2019138024 A JP2019138024 A JP 2019138024A JP 2021022480 A JP2021022480 A JP 2021022480A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
outermost layer
jis
hardness
electric wire
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019138024A
Other languages
English (en)
Inventor
修一 永田
Shuichi Nagata
修一 永田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yazaki Energy System Corp
Original Assignee
Yazaki Energy System Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yazaki Energy System Corp filed Critical Yazaki Energy System Corp
Priority to JP2019138024A priority Critical patent/JP2021022480A/ja
Publication of JP2021022480A publication Critical patent/JP2021022480A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Insulated Conductors (AREA)
  • Organic Insulating Materials (AREA)
  • Processes Specially Adapted For Manufacturing Cables (AREA)

Abstract

【課題】十分な引張強さおよび加熱変形率を維持しつつ、優れた柔軟性を有する電線・ケーブルを提供する。【解決手段】導体(2)の外周を被覆層(4)で被覆してなる電線・ケーブル(1、10)において、前記被覆層(4)は、難燃剤を含有する最外層(42)と、前記最外層(42)の内側の1層以上の内層(41)と、を有する2層以上からなり、前記最外層(42)の厚さは、0.05mm〜0.30mmであり、前記最外層(42)のJIS A硬度は、前記内層(41)のJIS A硬度よりも7以上高く、前記内層(41)のJIS A硬度は、70〜90であり、かつ前記被覆層(4)の全体の厚さは、1.30mm〜2.50mmであることを特徴とする電線・ケーブル(1、10)。【選択図】図1

Description

本発明は、電線・ケーブルおよびその製造方法に関する。
近年、環境問題への関心が世界的に高まっており、電線・ケーブルにおいても焼却時に有害なハロゲンガスなどを発生させないノンハロゲンの組成物を用いたものが普及しつつある。また、ノンハロゲン組成物を用いた電線・ケーブルについて様々な提案がなされている。
電線・ケーブルに用いるノンハロゲン組成物としては、ポリオレフィン系樹脂がある。
そこで、近年では、ポリオレフィン系樹脂に難燃剤として金属水酸化物を配合したノンハロゲン難燃性樹脂組成物が多用されるようになっている。
例えば、特許文献1には、金属導体上に直接又は間接に内層が設けられ、前記内層を覆うように直接最外層が設けられた少なくとも2層の樹脂層からなるノンハロゲン系難燃性多層絶縁電線であって、前記内層と前記最外層の一方が、下記組成:(a11)エチレン‐酢酸ビニル共重合体及びエチレン‐(メタ)アクリル酸エステル共重合体からなる群から選ばれたエチレン系共重合体50〜80質量%、(a12)ポリエチレン樹脂5〜35質量部、(a13)ポリプロピレン樹脂5〜20質量%を含有する樹脂成分(A1)の合計100質量部に対し、(B1)金属水和物120〜300質量部を有する難燃性樹脂組成物(X1)を用いて押出被覆され、前記内層と前記最外層の他方が、下記組成:(a21)ポリエチレン樹脂40〜95質量%、(a22)エチレン‐酢酸ビニル共重合体及びエチレン‐(メタ)アクリル酸エステル共重合体からなる群から選ばれたエチレン系共重合体0〜40質量%、(a23)ポリプロピレン樹脂5〜30質量%を含有する樹脂成分(A2)の合計100質量部に対し、(B2)金属水和物120〜300質量部を有する難燃性樹脂組成物(X2)を用いて押出被覆され、前記内層と前記最外層を構成する難燃性樹脂組成物の少なくともいずれか一方が(C)シリコーンガムを1〜6質量部含有することを特徴とするノンハロゲン系難燃性多層絶縁電線が開示されている。
しかし、難燃剤を多量配合した従来の電線・ケーブルは、硬くなりやすく、施工性が低下するという課題がある。そのため、柔軟性を付与する配合設計とすべく、酢酸ビニル含有量の高いエチレン−酢酸ビニル共重合体やゴム材料等を配合することが試みられるが、背反事項として引張強さおよび加熱変形率が悪化するという問題点が生じてしまう。
特開2012−109229号公報
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、十分な引張強さおよび加熱変形率を維持しつつ、優れた柔軟性を有する電線・ケーブルおよびその製造方法を提供することにある。
前述した目的を達成するために、本発明に係る「電線・ケーブル」は、下記(1)〜(6)を特徴としている。
(1)
導体の外周を被覆層で被覆してなる電線・ケーブルにおいて、
前記被覆層は、難燃剤を含有する最外層と、前記最外層の内側の1層以上の内層と、を有する2層以上からなり、
前記最外層の厚さは、0.05mm〜0.30mmであり、
前記最外層のJIS A硬度は、前記内層のJIS A硬度よりも7以上高く、
記内層のJIS A硬度は、70〜90であり、かつ
記被覆層の全体の厚さは、1.30mm〜2.50mmであること。
(2)
上記(1)に記載の電線・ケーブルにおいて、
前記導体と前記被覆層との間に、絶縁層が設けられてなること。
(3)
上記(1)または(2)に記載の電線・ケーブルにおいて、
前記最外層は、樹脂組成物から構成され、前記樹脂組成物に含まれるベース樹脂が、ポリオレフィン系樹脂であること。
(4)
上記(3)に記載の電線・ケーブルにおいて、
前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン(PE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)およびエチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)から選択された少なくとも1種であること。
(5)
上記(1)〜(4)のいずれかに記載の電線・ケーブルにおいて、
前記内層は、発泡体であること。
(6)
上記(1)〜(5)のいずれかに記載の電線・ケーブルにおいて、
前記最外層は、滑剤および/または酸化防止剤を含むこと。
上記(1)の構成の電線・ケーブルによれば、最外層の厚さ、最外層と内層との硬度の関係、内層の硬度並びに被覆層の厚さを適切に設定している。すなわち、最外層の厚さは、0.05mm〜0.30mmであり、最外層のJIS A硬度は、内層のJIS A硬度よりも7以上高く、内層のJIS A硬度は、70〜90であり、かつ被覆層の全体の厚さは、1.30mm〜2.50mmである。
このような要件のすべてを満たすことにより、十分な引張強さおよび加熱変形率を維持しつつ、優れた柔軟性を有する電線・ケーブルを提供できる。
上記(2)の構成の電線・ケーブルによれば、前記導体と前記被覆層との間に、絶縁層が設けられているので、機械的特性にさらに優れた電線・ケーブルを提供できる。
上記(3)の構成の電線・ケーブルによれば、最外層が樹脂組成物から構成され、前記樹脂組成物に含まれるベース樹脂が、ポリオレフィン系樹脂であるので、環境上優れた電線・ケーブルを提供できる。
上記(4)の構成の電線・ケーブルによれば、前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン(PE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)およびエチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)から選択された少なくとも1種であるので、柔軟性、施工性にさらに優れた電線・ケーブルを提供できる。
上記(5)の構成の電線・ケーブルによれば、前記内層が発泡体であるため、柔軟性、施工性にさらに優れた電線・ケーブルを提供できる。
上記(6)の構成の電線・ケーブルによれば、前記最外層が滑剤および/または酸化防止剤を含むものであるので、施工性、耐酸化性にさらに優れた電線・ケーブルを提供できる。
更に、上述した目的を達成するために、本発明に係る「電線・ケーブルの製造方法」は、下記(7)を特徴としている。
(7)
導体の外周を、難燃剤を含有する最外層と、前記最外層の内側の1層以上の内層と、を有する2層以上の被覆層で被覆してなる電線・ケーブルの製造方法において、
前記導体の外周に前記内層を形成するための樹脂組成物を押出し、前記内層を形成する工程と、
前記内層上に最外層を形成するための樹脂組成物を押出し、前記最外層を形成する工程と
を有し、
前記最外層の厚さは、0.05mm〜0.30mmであり、
前記最外層のJIS A硬度は、前記内層のJIS A硬度よりも7以上高く、
前記内層のJIS A硬度は、70〜90であり、かつ
前記被覆層の全体の厚さは、1.30mm〜2.50mmであること。
上記(7)の構成の電線・ケーブルの製造方法によれば、前記導体の外周に前記内層を形成するための樹脂組成物を押出し、前記内層を形成する工程と、前記内層上に最外層を形成するための樹脂組成物を押出し、前記最外層を形成する工程とを有し、前記最外層の厚さ、前記最外層と前記内層との硬度の関係、前記内層の硬度並びに前記被覆層の厚さを適切に設定しているので、十分な引張強さおよび加熱変形率を維持しつつ、優れた柔軟性を有する電線・ケーブルを提供できる。
本発明によれば、十分な引張強さおよび加熱変形率を維持しつつ、優れた柔軟性を有する電線・ケーブルおよびその製造方法を提供できる。
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
図1は、本発明の電線の一実施形態における断面図である。 図2は、本発明の電線の別の実施形態における断面図である。 図3は、本発明のケーブルの一実施形態における断面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る電線・ケーブルの一実施形態について説明する。
図1〜3は、本実施形態に係る電線・ケーブルの断面図を示し、図1は電線の断面図、図2は別の実施形態の電線の断面図、図3はケーブルの断面図である。
図1に示すように、本実施形態における電線1は、銅線等の導体2と、導体2の外周を被覆する被覆層4とを備える。被覆層4は、電線1の最も外側に設けられるとともに難燃剤を含む最外層42を備え、図1に示す形態では、最外層42の内側に内層41が設けられている。
また図2に示すように、別の実施形態における電線1は、銅線等の導体2と、導体2の外周を被覆する被覆層4とを備える。被覆層4は、電線1の最も外側に設けられるとともに難燃剤を含む最外層42を備え、図2に示す形態では、最外層42の内側に内層41が設けられ、かつ導体2と内層41との間に、絶縁層3が設けられている。
また図3に示すように、本実施形態に係るケーブル10は、束ねられた複数の電線1(1a,1b)と、束ねられた複数の電線1の周縁を覆う、被覆層としての被覆層4とを備える。被覆層4は、ケーブル10の最も外側に設けられた最外層42を備え、図3に示す形態では、最外層42の内側に内層41が設けられ、また導体2と内層41との間に、絶縁層3が設けられている。
導体2は、1本の素線のみであってもよく、複数本の素線を束ねて形成したものであってもよい。導体2の材料としては、例えば、銅、メッキされた銅、銅合金、アルミニウム、及びアルミニウム合金等の導電性金属を用いることができる。
被覆層4は、前記電線・ケーブル1、10の最も外側に設けられた最外層42を有する。また図1〜3に示す実施形態では、最外層42の内側に内層41が設けられている。なお本発明では、図1〜3に示す実施形態に制限されず、例えば前記内層41は複数層設けることもできる。
最外層42は、少なくともベース樹脂および難燃剤を含有する樹脂組成物により形成することができる。
ベース樹脂は、例えばポリオレフィン系樹脂やゴム成分であることができ、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。
ポリオレフィン系樹脂としては、とくに制限されないが、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE),中密度ポリエチレン(MDPE),低密度ポリエチレン(LDPE),線状低密度ポリエチレン(L−LDPE),超低密度ポリエチレン(V−LDPE)等のポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)等が挙げられる。これらのポリオレフィン系樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
中でも、本発明の効果が向上するという観点から、ポリエチレン(PE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)およびエチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)から選択された少なくとも1種であることが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂は、密度が0.900〜0.970g/cmであることが好ましく、0.930〜0.960g/cmがより好ましい。前記範囲の密度のポリオレフィン系樹脂を用いることで、本発明の効果が向上するとともに、機械的特性をさらに向上させることができる。また、ポリオレフィン系樹脂は、溶融粘度(MFR)が0.3〜5.0g/10分であることが好ましく、1.0〜3.0g/10分がより好ましい。ポリオレフィン系樹脂の溶融温度が前記範囲であると、本発明の効果が向上するとともに、押出加工性が向上する。
なお、本発明でいう密度は、JIS K7112(1999年)に準拠して測定される値であり、MFRは、JIS K7210(2014年)に準拠し、190℃、2.16kgf荷重にて測定される値である。
ゴム成分は、例えばエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体(SEBS)等が挙げられる。なお必要に応じてポリオレフィン系樹脂とゴム成分とは併用することができる。
難燃剤としては、電線・ケーブルに使用可能な難燃剤を適宜選択して使用することができ、例えば、臭素化エチレンビスフタルイミド誘導体、ビス臭素化フェニルテレフタルアミド誘導体、臭素化ビスフェノール誘導体、及び1,2−ビス(ブロモフェニル)エタン等の有機系臭素含有難燃剤;水酸化マグネシウム、及び水酸化アルミニウム等の金属水酸化物のような無機系難燃剤;芳香族縮合リン酸エステル、ポリリン酸アンモニウム、及びメラミンリン酸塩等のリン酸系難燃剤;ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸ピペラジン、ピロリン酸アンモニウム、ピロリン酸メラミン、及びピロリン酸ピペラジン等のイントメッセント系難燃剤等が挙げられる。
中でも、金属水酸化物は、電線・ケーブルに対して柔軟性に悪影響を及ぼすことから、これら難燃剤を使用した場合に、本発明の効果が発現しやすい。
最外層42は、必要に応じて架橋されていてもよい。
架橋剤としては、有機過酸化物が挙げられるが、これに限定されるものではない。具体的には、架橋剤としては、ジクミルパーオキサイド(DCP)、ジ‐tert‐ブチルパーオキサイド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ‐(tert‐ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ‐(tert‐ブチルパーオキシ)ヘキシン‐3、1,3‐ビス(tert‐ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1‐ビス(tert‐ブチルパーオキシ)‐3,3,5‐トリメチルシクロヘキサン、n‐ブチル‐4,4‐ビス(tert‐ブチルパーオキシ)バレレート、ベンゾイルパーオキサイド、2,4‐ジクロロベンゾイルパーオキサイド、tert‐ブチルパーオキシベンゾエート、tert‐ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、及びtert‐ブチルクミルパーオキサイド等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
架橋助剤としては、とくに制限されないが、例えば分子内に二重結合を二個以上有する化合物が挙げられ、具体的には、1,4‐ブタンジオールジアクリレート、1,6‐ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、及びポリプロピレングリコールジアクリレートなどのジアクリレート;1,3‐ブタンジオールジメタクリレート、1,6‐ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、及びポリエチレングリコールジメタクリレートなどのジメタクリレート;トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、及びペンタエリスリトールトリアクリレートなどのトリアクリレート;トリメチロールプロパントリメタクリレート、及びトリメチロールエタントリメタクリレートなどのトリメタクリレート;ペンタエリスリトールテトラアクリレート、及びテトラメチロールメタンテトラアクリレートなどのテトラアクリレート;ジビニルベンゼンなどのジビニル芳香族化合物;トリアリルシアヌレート、及びトリアリルイソシアヌレートなどのシアヌレート;ジアリルフタレートなどのジアリル化合物;トリアリル化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
架橋剤および架橋助剤の使用量は、例えば架橋剤はベース樹脂に対して0.03〜0.10質量%、架橋助剤は0.03〜0.10質量%であることができる。
本発明の電線・ケーブル1、10において、最外層42は、下記条件(A)および(B)を満たすことが必要である。
(A)前記最外層42の厚さは、0.05mm〜0.30mmである。
(B)前記最外層42のJIS A硬度は、前記内層41のJIS A硬度よりも7以上高い。
前記条件(A)において、前記最外層42の厚さは、本発明の効果がさらに向上するという観点から、0.05〜0.25mmが好ましく、0.05〜0.15mmがさらに好ましい。
また前記条件(B)において、最外層42のJIS A硬度は、本発明の効果がさらに向上するという観点から、前記内層41のJIS A硬度よりも7〜16高い形態が好ましく、7〜12高い形態がより好ましく、7〜10高い形態がさらに好ましい。なお、内層を複数備える場合は、そのいずれの内層よりもJIS A硬度が上記範囲の分高い形態であることが好ましい。
なお本発明で言うJIS A硬度は、JIS K6253(2012年)に基づき、デュロメータタイプAで測定したショアA硬度を意味する。
前記内層41は、前記最外層42と同様の材料から形成することができる。なお、内層41は、未架橋であることができ、また、難燃剤を含んでも含まなくてもよい。
本発明の電線・ケーブル1、10において、内層41は、下記条件(C)を満たすことが必要である。
(C)前記内層41のJIS A硬度は、70〜90である。上記条件(C)を満たさない場合、本発明の効果を奏することができない。
前記条件(C)において、前記内層41のJIS A硬度は、本発明の効果がさらに向上するという観点から、70〜85が好ましく、70〜80がさらに好ましい。なお、内層を複数備える場合は、そのいずれの内層もJIS A硬度が上記範囲であることが好ましい。
なお、前記最外層42および前記内層41のJIS A硬度は、ベース樹脂の選定、難燃剤等の配合剤の配合部数を変更、または発泡させる等により調整することができる。
また前記内層41は、公知の手段によって発泡させ、発泡体とすることもでき、この形態では柔軟性、施工性にさらに優れた電線・ケーブルを提供できる。
発泡剤としては、化学的分解によって炭酸ガスや窒素ガスなどを発生させる公知の化学分解型発泡剤等を用いることができ、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)等のアゾ化合物、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)やヒドラゾジカルボンアミド(HDCA)等のヒドラジン誘導体、及び炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
本発明の電線・ケーブル1、10において、被覆層4の全体の厚さは、下記条件(D)を満たすことが必要である。
(D)前記被覆層4の全体の厚さは、1.30mm〜2.50mmである。
上記条件(D)を満たさない場合、本発明の効果を奏することができない。
前記条件(D)において、前記被覆層4の全体の厚さは、本発明の効果がさらに向上するという観点から、1.30mm〜2.25mmが好ましく、1.30mm〜2.00mmがさらに好ましい。
なお、図3に示すような平型のケーブルにおいては、内層の厚みが均一ではない。このように、被覆層の全体の厚みが均一でない場合は、被覆層が最も薄くなる部分の厚さを、前記被覆層4の全体の厚さとする。
被覆層4には、必要に応じて、充填剤、滑剤、酸化防止剤、加工助剤、紫外線吸収剤、顔料、帯電防止剤、分散剤等の公知の各種添加剤を配合することもできる。
充填剤としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、マイカ、ペントナイト、ゼオライト、消石灰、カオリン、及びけいそう土等が挙げられる。
滑剤としては、炭化水素系滑剤、脂肪酸系滑剤、及びエステル系滑剤等が挙げられる。本発明では、前記最外層42に滑剤を含む形態が好ましい。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、及びリン系酸化防止剤等が挙げられる。本発明では、前記最外層42に酸化防止剤を含む形態が好ましい。
加工助剤としては、例えば、パラフィン系油、アロマチック系油、及びナフテン系油等の石油系油等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチレート系化合物、置換トリル系化合物、及び金属キレート系化合物等が挙げられる。
顔料としては、「顔料便覧(日本顔料技術協会編)」に記載されている一般的な無機顔料や有機顔料を用いることができる。例えば、無機顔料としては、チタンイエロー等のチタンを含む(複合)金属酸化物、酸化亜鉛、酸化鉄、硫化亜鉛、及び三酸化アンチモン等が挙げられる。有機顔料はフタロシアニン系、アンスラキノン系、キナクリドン系、アゾ系、イソインドリノン系、キノフタロン系、ペリノン系、及びペリレン系等の顔料が挙げられる。
帯電防止剤としては、例えば、アルキルリン酸エステル、及びケイ酸化合物等が挙げられる。
分散剤としては、例えば、アクリル系分散剤、脂肪酸エステル系分散剤、ポリエチレングリコール系分散剤、非イオン性界面活性剤、両親媒性トリフェニレン誘導体、及びピレン誘導体等が挙げられる。
絶縁層3は、所望により設けることができ、その材料はとくに制限されず、公知の絶縁体の中から適宜選択することができ、例えばポリエチレン、架橋ポリエチレン、及びビニル混合物等からなるものが好ましく用いられる。また前記難燃剤および各種添加剤を必要に応じて配合することもできる。
本発明の電線・ケーブル1、10は、公知の手段によって製造することができ、例えば以下の工程を有する。
(1)必要に応じて、前記導体2の外周に前記絶縁層3を形成するための樹脂組成物を押出し、前記絶縁層3を形成する工程
(2)前記導体2または前記絶縁層3の外周に前記内層を形成するための樹脂組成物を押出し、前記内層41を形成する工程
(3)前記内層41上に最外層を形成するための樹脂組成物を押出し、前記最外層42を形成する工程
なお、前記押出しの際には、公知の単軸押出機や二軸押出機等の押出機を用いることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されない。
下記表1〜3に記載の材料および配合量に基づき、各成分を温度200℃のニーダーにて混練し、最外層42用の樹脂組成物および内層41用の樹脂組成物を作製した。
直径2.0mmの銅線上に、押出成形機を用いて内層41用の樹脂組成物および最外層42用の樹脂組成物を、表2〜3の厚さとなるように順次押出し、各種試験電線を作製した。
得られた試験電線に対し、次の項目を測定した。
JIS A硬度:JIS K6253(2012年)に基づき、デュロメータタイプAでショアA硬度を測定した。
引張強さ:JIS C3005(2014年)に基づき、測定した。10MPa以上を合格(○)とする。
引張伸び:JIS C3005(2014年)に基づき、測定した。350mm以上を合格(○)とする。
被覆層加熱変形:JIS C3005(2014年)に基づき、加熱温度120℃で測定した。10%以下を合格(○)とする。
被覆層切裂荷重:長さ150cmに切り取った試験電線の被覆層に、端部から中心部方向(導体方向)に向かって50mmの切れ込みを入れ、その切れ込み部にカッターナイフの刃を150mm/分の速度で切裂いた際の最大荷重を測定した。10.0N/mm以下を合格(○)とする。
ケーブル難燃性:JIS C3005(2014年)4.26にしたがい測定した。60秒以内に消火されたものを合格(良)とした。
発泡率:発泡前と発泡後の比重割合によって算出した。具体的には、発泡後の比重測定値を発泡前の比重測定値で除算し、算出した。
結果を表2〜3に示す。
Figure 2021022480
Figure 2021022480
Figure 2021022480
表1〜3の各実施例の結果から、最外層42の厚さが0.05mm〜0.30mmであり、最外層42のJIS A硬度が内層41のJIS A硬度よりも7以上高く、内層41)のJIS A硬度が70〜90であり、かつ被覆層4の全体の厚さは、1.30mm〜2.50mmである試験電線は、十分な引張強さおよび加熱変形率を維持しつつ、優れた柔軟性を有することが判明した。
比較例1は、内層41のJIS A硬度が本発明で規定する下限未満であるので、引張強さ、加熱変形率が悪化した。
比較例2は、最外層42と内層41のJIS A硬度の差が7未満であるので、被覆層切裂荷重が悪化した。
比較例3は、最外層42と内層41のJIS A硬度の差が7未満であるので、引張強さが悪化した。
比較例4は、最外層42の厚さが本発明で規定する下限未満であるので、加熱変形率が悪化した。
比較例5は、最外層42の厚さが本発明で規定する上限を超えているので、被覆層切裂荷重が悪化した。
比較例6〜7は、被覆層4の全体の厚さが本発明で規定する下限未満であるので、加熱変形率または被覆層切裂荷重が悪化した。
比較例8〜9は、被覆層4の全体の厚さが本発明で規定する上限を超えているので、加熱変形率または被覆層切裂荷重が悪化した。
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
ここで、上述した本発明に係る電線・ケーブルおよびその製造方法の実施形態の特徴をそれぞれ以下(1)〜(7)に簡潔に纏めて列記する。
(1)
導体(2)の外周を被覆層(4)で被覆してなる電線・ケーブル(1、10)において、
前記被覆層(4)は、難燃剤を含有する最外層(42)と、前記最外層(42)の内側の1層以上の内層(41)と、を有する2層以上からなり、
前記最外層(42)の厚さは、0.05mm〜0.30mmであり、
前記最外層(42)のJIS A硬度は、前記内層(41)のJIS A硬度よりも7以上高く、
前記内層(41)のJIS A硬度は、70〜90であり、かつ
前記被覆層(4)の全体の厚さは、1.30mm〜2.50mmである
ことを特徴とする電線・ケーブル(1、10)。
(2)
上記(1)の電線・ケーブルにおいて、
前記導体(2)と前記被覆層(4)との間に、絶縁層(3)が設けられてなる、電線・ケーブル(1、10)。
(3)
上記(1)または(2)の電線・ケーブルにおいて、
前記最外層(42)は、樹脂組成物から構成され、前記樹脂組成物に含まれるベース樹脂が、ポリオレフィン系樹脂である、電線・ケーブル(1、10)。
(4)
上記(3)の電線・ケーブルにおいて、
前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン(PE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)およびエチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)から選択された少なくとも1種である、電線・ケーブル(1、10)。
(5)
上記(1)〜(4)のいずれかの電線・ケーブルにおいて、
前記内層(41)は、発泡体である、電線・ケーブル(1、10)。
(6)
上記(1)〜(5)のいずれかの電線・ケーブルにおいて、
前記最外層(42)は、滑剤および/または酸化防止剤を含む、電線・ケーブル(1、10)。
(7)
導体(2)の外周を、難燃剤を含有する最外層(42)と、前記最外層(42)の内側の1層以上の内層(41)と、を有する2層以上の被覆層(4)で被覆してなる電線・ケーブル(1、10)の製造方法において、
前記導体(2)の外周に前記内層を形成するための樹脂組成物を押出し、前記内層(41)を形成する工程と、
前記内層(41)上に最外層を形成するための樹脂組成物を押出し、前記最外層(42)を形成する工程と
を有し、
前記最外層(42)の厚さは、0.05mm〜0.30mmであり、
前記最外層(42)のJIS A硬度は、前記内層(41)のJIS A硬度よりも7以上高く、
前記内層(41)のJIS A硬度は、70〜90であり、かつ
前記被覆層(4)の全体の厚さは、1.30mm〜2.50mmである
ことを特徴とする電線・ケーブル(1、10)の製造方法。
1 電線
2 導体
3 絶縁層
4 被覆層
41 内層
42 最外層
10 ケーブル

Claims (7)

  1. 導体の外周を被覆層で被覆してなる電線・ケーブルにおいて、
    前記被覆層は、難燃剤を含有する最外層と、前記最外層の内側の1層以上の内層と、を有する2層以上からなり、
    前記最外層の厚さは、0.05mm〜0.30mmであり、
    前記最外層のJIS A硬度は、前記内層のJIS A硬度よりも7以上高く、
    前記内層のJIS A硬度は、70〜90であり、かつ
    前記被覆層の全体の厚さは、1.30mm〜2.50mmである
    ことを特徴とする電線・ケーブル。
  2. 前記導体と前記被覆層との間に、絶縁層が設けられてなることを特徴とする請求項1に記載の電線・ケーブル。
  3. 前記最外層は、樹脂組成物から構成され、前記樹脂組成物に含まれるベース樹脂が、ポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の電線・ケーブル。
  4. 前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン(PE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)およびエチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)から選択された少なくとも1種であることを特徴とする請求項3に記載の電線・ケーブル。
  5. 前記内層は、発泡体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電線・ケーブル。
  6. 前記最外層は、滑剤および/または酸化防止剤を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電線・ケーブル。
  7. 導体の外周を、難燃剤を含有する最外層と、前記最外層の内側の1層以上の内層と、を有する2層以上の被覆層で被覆してなる電線・ケーブルの製造方法において、
    前記導体の外周に前記内層を形成するための樹脂組成物を押出し、前記内層を形成する工程と、
    前記内層上に最外層を形成するための樹脂組成物を押出し、前記最外層を形成する工程と
    を有し、
    前記最外層の厚さは、0.05mm〜0.30mmであり、
    前記最外層のJIS A硬度は、前記内層のJIS A硬度よりも7以上高く、
    前記内層のJIS A硬度は、70〜90であり、かつ
    前記被覆層の全体の厚さは、1.30mm〜2.50mmである
    ことを特徴とする電線・ケーブルの製造方法。
JP2019138024A 2019-07-26 2019-07-26 電線・ケーブルおよびその製造方法 Pending JP2021022480A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019138024A JP2021022480A (ja) 2019-07-26 2019-07-26 電線・ケーブルおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019138024A JP2021022480A (ja) 2019-07-26 2019-07-26 電線・ケーブルおよびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021022480A true JP2021022480A (ja) 2021-02-18

Family

ID=74574297

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019138024A Pending JP2021022480A (ja) 2019-07-26 2019-07-26 電線・ケーブルおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021022480A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7092567B2 (ja) 平型電線・平型ケーブル
JP6902205B2 (ja) ケーブル
JP2006310093A (ja) ノンハロゲン系絶縁電線およびワイヤーハーネス
JP6940367B2 (ja) 発泡ポリオレフィン被覆電線・ケーブルの製造方法および発泡ポリオレフィン被覆電線・ケーブル
JP2008021585A (ja) 発泡同軸ケーブル
JP7159912B2 (ja) 絶縁電線およびケーブル
JP7103111B2 (ja) ノンハロゲン難燃性樹脂組成物、絶縁電線、及びケーブル
JP6835612B2 (ja) 平型電線・平型ケーブル
JP2017066345A (ja) ノンハロゲン難燃性樹脂組成物及びこれを用いた絶縁電線・ケーブル
JP2021022480A (ja) 電線・ケーブルおよびその製造方法
JP6962682B2 (ja) 発泡ポリオレフィン被覆電線・ケーブルの製造方法および発泡ポリオレフィン被覆電線・ケーブル
US10755834B2 (en) Insulated wire
JP7267859B2 (ja) 電線またはケーブル
WO2012005357A1 (ja) 太陽光集電ケーブル
JP2019094363A (ja) ポリオレフィン系樹脂組成物、電線・ケーブル並びにその製造方法
JP2017171700A (ja) ケーブル
JP7156822B2 (ja) 発泡ポリオレフィン被覆電線・ケーブルの製造方法および発泡ポリオレフィン被覆電線・ケーブル
JP2020092065A (ja) 電線・ケーブル
JP7156823B2 (ja) 発泡ポリオレフィン被覆電線・ケーブルの製造方法および発泡ポリオレフィン被覆電線・ケーブル
JP2018029008A (ja) 絶縁電線・ケーブルおよび絶縁電線・ケーブルの製造方法
US10784018B2 (en) Insulated wire
US10872712B2 (en) Insulated wire
JP2022015171A (ja) 電線・ケーブルおよびその製造方法
JP5848871B2 (ja) 耐熱ノンハロゲンアルミニウム電線
JP2020035660A (ja) ケーブルおよびその製造方法