図1は本発明の実施形態に係る掘削機(ショベル100)の側面図である。ショベル100の下部走行体1には旋回機構2を介して上部旋回体3が旋回可能に搭載されている。上部旋回体3にはブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられている。アーム5の先端にはエンドアタッチメントとしてのバケット6が取り付けられている。
ブーム4、アーム5、及びバケット6は、アタッチメントの一例としての掘削アタッチメントを構成している。ブーム4は、ブームシリンダ7により駆動され、アーム5は、アームシリンダ8により駆動され、バケット6は、バケットシリンダ9により駆動される。
ブームシリンダ7にはブームロッド圧センサS7R及びブームボトム圧センサS7Bが取り付けられている。アームシリンダ8にはアームロッド圧センサS8R及びアームボトム圧センサS8Bが取り付けられている。バケットシリンダ9にはバケットロッド圧センサS9R及びバケットボトム圧センサS9Bが取り付けられている。
ブームロッド圧センサS7Rは、ブームシリンダ7のロッド側油室における作動油の圧力(以下、「ブームロッド圧」とする。)を検出し、ブームボトム圧センサS7Bは、ブームシリンダ7のボトム側油室における作動油の圧力(以下、「ブームボトム圧」とする。)を検出する。アームロッド圧センサS8Rは、アームシリンダ8のロッド側油室における作動油の圧力(以下、「アームロッド圧」とする。)を検出し、アームボトム圧センサS8Bは、アームシリンダ8のボトム側油室における作動油の圧力(以下、「アームボトム圧」とする。)を検出する。バケットロッド圧センサS9Rは、バケットシリンダ9のロッド側油室における作動油の圧力(以下、「バケットロッド圧」とする。)を検出し、バケットボトム圧センサS9Bは、バケットシリンダ9のボトム側油室における作動油の圧力(以下、「バケットボトム圧」とする。)を検出する。
上部旋回体3には運転室であるキャビン10が設けられ且つエンジン11等の動力源が搭載されている。また、上部旋回体3には機体傾斜センサS4、旋回角速度センサS5、及びカメラS6が取り付けられている。
機体傾斜センサS4は、上部旋回体3の傾斜を検出するように構成されている。本実施形態では、機体傾斜センサS4は、水平面に対する上部旋回体3の前後軸及び左右軸回りの傾斜角を検出する加速度センサである。上部旋回体3の前後軸及び左右軸は、互いに直交してショベル100の旋回軸上の一点であるショベル中心点を通る。
旋回角速度センサS5は、上部旋回体3の旋回角速度を検出するように構成されている。本実施形態では、旋回角速度センサS5は、ジャイロセンサである。旋回角速度センサS5は、レゾルバ又はロータリエンコーダ等であってもよい。
カメラS6は、ショベル100の周辺の画像を取得するように構成されている。本実施形態では、カメラS6は上部旋回体3に取り付けられる前方カメラを含む。前方カメラは、ショベル100の前方を撮像するステレオカメラであり、キャビン10の屋根、すなわちキャビン10の外部に取り付けられている。前方カメラは、キャビン10の天井、すなわちキャビン10の内部に取り付けられていてもよい。前方カメラは、掘削アタッチメントを撮像可能である。前方カメラは、単眼カメラであってもよい。
キャビン10内にはコントローラ30が設置されている。コントローラ30は、ショベル100の駆動制御を行う主制御部として機能するように構成されている。本実施形態では、コントローラ30は、CPU、RAM、及びROM等を含むコンピュータで構成されている。コントローラ30の各種機能は、ROMに格納されたプログラムをCPUが実行することで実現される。
図2は、図1に示すショベル100に搭載される駆動システムの構成例を示すブロック図であり、機械的動力伝達ライン、作動油ライン、パイロットライン、及び電気制御ラインをそれぞれ二重線、実線、点線、及び一点鎖線で示している。
ショベル100の駆動システムは、主に、エンジン11、レギュレータ13、メインポンプ14、パイロットポンプ15、コントロールバルブ17、操作装置26、吐出圧センサ28、操作圧センサ29、コントローラ30、及び電磁弁31等を含む。
エンジン11は、ショベル100の駆動源である。本実施形態では、エンジン11は、例えば、所定の回転数を維持するように動作するディーゼルエンジンである。また、エンジン11の出力軸は、メインポンプ14及びパイロットポンプ15のそれぞれの入力軸に連結されている。
メインポンプ14は、作動油ラインを介して作動油をコントロールバルブ17に供給するように構成されている。本実施形態では、メインポンプ14は、斜板式可変容量型油圧ポンプである。
レギュレータ13は、メインポンプ14の吐出量を制御するように構成されている。本実施形態では、レギュレータ13は、コントローラ30からの制御指令に応じてメインポンプ14の斜板傾転角を調節することによってメインポンプ14の吐出量を制御する。
パイロットポンプ15は、パイロットラインを介して操作装置26及び電磁弁31を含む各種油圧制御機器に作動油を供給するように構成されている。本実施形態では、パイロットポンプ15は、固定容量型油圧ポンプである。但し、パイロットポンプ15は、省略されてもよい。この場合、パイロットポンプ15が担っていた機能は、メインポンプ14によって実現されてもよい。すなわち、メインポンプ14は、制御弁171〜177に作動油を供給する機能とは別に、絞り等により作動油の圧力を低下させた後で操作装置等に作動油を供給する機能を備えていてもよい。
コントロールバルブ17は、ショベル100における油圧システムを制御する油圧制御装置である。コントロールバルブ17は、制御弁171〜177を含む。コントロールバルブ17は、制御弁171〜176を通じ、メインポンプ14が吐出する作動油を1又は複数の油圧アクチュエータに選択的に供給できる。制御弁171〜176は、メインポンプ14から油圧アクチュエータに流れる作動油の流量、及び、油圧アクチュエータから作動油タンクに流れる作動油の流量を制御するように構成されている。油圧アクチュエータは、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、左走行用油圧モータ1A、右走行用油圧モータ1B、及び旋回用油圧モータ2Aを含む。制御弁177は、メインポンプ14が吐出する作動油のうち、油圧アクチュエータを経由せずに作動油タンクに流れる作動油の流量(以下、「ブリード流量」とする。)を制御するブリード弁として機能するように構成されている。制御弁177は、コントロールバルブ17の外部に設置されていてもよい。
操作装置26は、操作者が油圧アクチュエータの操作のために用いる装置である。本実施形態では、操作装置26は、パイロットラインを介して、パイロットポンプ15が吐出する作動油を油圧アクチュエータのそれぞれに対応する制御弁のパイロットポートに供給する。パイロットポートのそれぞれに供給される作動油の圧力(パイロット圧)は、油圧アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26の操作方向及び操作量に応じた圧力である。
吐出圧センサ28は、メインポンプ14の吐出圧を検出するように構成されている。本実施形態では、吐出圧センサ28は、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
操作圧センサ29は、操作装置26の操作内容を検出するように構成されている。本実施形態では、操作圧センサ29は、油圧アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26の操作方向及び操作量を圧力(操作圧)の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作装置26の操作内容は、操作圧センサ以外の他のセンサを用いて検出されてもよい。
電磁弁31は、コントローラ30が出力する制御指令に応じて動作するように構成されている。本実施形態では、電磁弁31は、コントローラ30が出力する電流指令に応じてパイロットポンプ15からコントロールバルブ17内の制御弁177のパイロットポートに導入される作動油によってもたらされる、制御弁177のパイロットポートに作用する圧力(パイロット圧)を調整する電磁比例弁である。電磁弁31は、例えば、電流指令値が大きいほど、制御弁177のパイロットポートに作用するパイロット圧が大きくなるように動作する。
次に図3を参照し、ショベル100に搭載される油圧システムの構成例について説明する。図3は、図1に示すショベル100に搭載される油圧システムの構成例を示す概略図である。図3は、図2と同様に、機械的動力伝達ライン、作動油ライン、パイロットライン、及び電気制御ラインを、それぞれ二重線、実線、点線、及び一点鎖線で示している。
図3に示す油圧システムは、エンジン11によって駆動されるメインポンプ14から、油路42を経て作動油タンクまで作動油を循環させている。メインポンプ14は、左メインポンプ14L及び右メインポンプ14Rを含む。
油路42は、左油路42L及び右油路42Rを含む。左油路42Lは、コントロールバルブ17内に配置された制御弁171、173、175L、及び176Lのそれぞれを左メインポンプ14Lと作動油タンクとの間で並列に接続する作動油ラインである。右油路42Rは、コントロールバルブ17内に配置された制御弁172、174、175R、及び176Rのそれぞれを右メインポンプ14Rと作動油タンクとの間で並列に接続する作動油ラインである。
制御弁171は、左メインポンプ14Lが吐出する作動油を左走行用油圧モータ1Aへ供給し、且つ、左走行用油圧モータ1Aが吐出する作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
制御弁172は、右メインポンプ14Rが吐出する作動油を右走行用油圧モータ1Bへ供給し、且つ、右走行用油圧モータ1Bが吐出する作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
制御弁173は、左メインポンプ14Lが吐出する作動油を旋回用油圧モータ2Aへ供給し、且つ、旋回用油圧モータ2Aが吐出する作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
旋回用油圧モータ2Aには左旋回圧センサS2L及び右旋回圧センサS2Rが取り付けられている。左旋回圧センサS2Lは、旋回用油圧モータ2Aの左側ポートにおける作動油の圧力を検出し、右旋回圧センサS2Rは、旋回用油圧モータ2Aの右側ポートにおける作動油の圧力を検出する。
制御弁174は、右メインポンプ14Rが吐出する作動油をバケットシリンダ9へ供給し、且つ、バケットシリンダ9内の作動油を作動油タンクへ排出するためのスプール弁である。
制御弁175は、メインポンプ14が吐出する作動油をブームシリンダ7へ供給し、且つ、ブームシリンダ7内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。具体的には、制御弁175は、制御弁175L及び制御弁175Rを含む。制御弁175Lは、左メインポンプ14Lが吐出する作動油をブームシリンダ7のボトム側油室へ供給するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。制御弁175Rは、右メインポンプ14Rが吐出する作動油をブームシリンダ7へ供給し、且つ、ブームシリンダ7内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
制御弁176は、メインポンプ14が吐出する作動油をアームシリンダ8へ供給し、且つ、アームシリンダ8内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。具体的には、制御弁176は、制御弁176L及び制御弁176Rを含む。制御弁176Lは、左メインポンプ14Lが吐出する作動油をアームシリンダ8へ供給し、且つ、アームシリンダ8内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。制御弁176Rは、右メインポンプ14Rが吐出する作動油をアームシリンダ8へ供給し、且つ、アームシリンダ8内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
制御弁177は、メインポンプ14が吐出する作動油に関するブリード流量を統一的に制御する統一ブリード弁として機能するように構成されている。以下では、このようなブリード流量の統一的な制御を「統一ブリード制御」と称する。本実施形態では、制御弁177は、スプール弁で構成され、制御弁177L及び制御弁177Rを含む。制御弁177Lは、左メインポンプ14Lが吐出する作動油に関するブリード流量を統一的に制御する。制御弁177Rは、右メインポンプ14Rが吐出する作動油に関するブリード流量を統一的に制御する。具体的には、制御弁177Lは、スプール弁としての制御弁171、173、175L、及び176Lのそれぞれの移動量に適した統一的なブリード流量を実現するように構成されている。制御弁171の移動量に適したブリード流量は、例えば、同じ条件の下で、PTポート、PCポート、及びCTポートのそれぞれの開口面積を同時に調整できるように構成された制御弁のPTポートを通過する作動油の流量に相当する。制御弁173、175L、及び176Lのそれぞれに関するブリード流量についても同様である。すなわち、制御弁177Lは、実質的に、制御弁171、173、175L、及び176LのそれぞれのPCポート及びCTポートの開口面積と、制御弁171、173、175L、及び176Lのそれぞれの仮想的なPTポートの開口面積とを別々に制御できるように構成されている。
同様に、制御弁177Rは、スプール弁としての制御弁172、174、175R、及び176Rのそれぞれの移動量に適した統一的なブリード流量を実現するように構成されている。すなわち、制御弁177Rは、実質的に、制御弁172、174、175R、及び176RのそれぞれのPCポート及びCTポートの開口面積と、制御弁172、174、175R、及び176Rのそれぞれの仮想的なPTポートの開口面積とを別々に制御できるように構成されている。
制御弁177は、例えば、最小開口面積(開度0%)の第1弁位置と最大開口面積(開度100%)の第2弁位置とを有する。制御弁177は、第1弁位置と第2弁位置との間で無段階に位置決めされ得る。
レギュレータ13は、メインポンプ14の斜板傾転角を調節することによって、メインポンプ14の吐出量を制御する。図3に示す例では、レギュレータ13は、左レギュレータ13L及び右レギュレータ13Rを含む。コントローラ30は、例えば、左メインポンプ14Lの吐出圧の増大に応じて左メインポンプ14Lの斜板傾転角を左レギュレータ13Lで調節して吐出量を減少させる。吐出圧と吐出量との積で表される左メインポンプ14Lの吸収パワー(吸収馬力)がエンジン11の出力パワー(出力馬力)を超えないようにするためである。右メインポンプの吐出量についても同様である。
アーム操作レバー26Aは、操作装置26の一例であり、アーム5を操作するために用いられる。アーム操作レバー26Aは、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じたパイロット圧を制御弁176のパイロットポートに作用させる。具体的には、アーム操作レバー26Aは、アーム閉じ方向に操作された場合に、制御弁176Lの右側パイロットポートに作動油を導入させ、且つ、制御弁176Rの左側パイロットポートに作動油を導入させる。また、アーム操作レバー26Aは、アーム開き方向に操作された場合には、制御弁176Lの左側パイロットポートに作動油を導入させ、且つ、制御弁176Rの右側パイロットポートに作動油を導入させる。
ブーム操作レバー26Bは、操作装置26の一例であり、ブーム4を操作するために用いられる。ブーム操作レバー26Bは、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じたパイロット圧を制御弁175のパイロットポートに作用させる。具体的には、ブーム操作レバー26Bは、ブーム上げ方向に操作された場合に、制御弁175Lの右側パイロットポートに作動油を導入させ、且つ、制御弁175Rの左側パイロットポートに作動油を導入させる。また、ブーム操作レバー26Bは、ブーム下げ方向に操作された場合には、制御弁175Lの左側パイロットポートに作動油を導入させ、且つ、制御弁175Rの右側パイロットポートに作動油を導入させる。
吐出圧センサ28は、メインポンプ14の吐出圧を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。図3に示す例では、吐出圧センサ28は、左吐出圧センサ28L及び右吐出圧センサ28Rを含む。左吐出圧センサ28Lは、左メインポンプ14Lの吐出圧を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。右吐出圧センサ28Rは、右メインポンプ14Rの吐出圧を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
操作圧センサ29は、操作装置26に対する操作者の操作内容を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。図3に示す例では、操作圧センサ29は、アーム操作圧センサ29A及びブーム操作圧センサ29Bを含む。アーム操作圧センサ29Aは、アーム操作レバー26Aに対する操作者の操作内容を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。ブーム操作圧センサ29Bは、ブーム操作レバー26Bに対する操作者の操作内容を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作内容は、例えば、レバー操作方向及びレバー操作量(レバー操作角度)等である。
走行操作装置(左走行レバー、右走行レバー、左走行ペダル、及び右走行ペダル)、バケット操作レバー、並びに旋回操作レバー(何れも図示せず。)はそれぞれ、下部走行体1の走行、バケット6の開閉、及び、上部旋回体3の旋回を操作するための操作装置である。これらの操作装置は、アーム操作レバー26A及びブーム操作レバー26Bと同様に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量又はペダル操作量に応じたパイロット圧を油圧アクチュエータのそれぞれに対応する制御弁の左右何れかのパイロットポートに作用させる。これらの操作装置のそれぞれに対する操作者の操作内容は、アーム操作圧センサ29A及びブーム操作圧センサ29Bと同様に、対応する操作圧センサによって圧力の形で検出され、検出値がコントローラ30に対して出力される。
コントローラ30は、操作圧センサ29等の出力を受信し、必要に応じてレギュレータ13に対して制御指令を出力し、メインポンプ14の吐出量を変化させるように構成されている。また、コントローラ30は、必要に応じて電磁弁31に対して制御指令を出力し、制御弁177の開口面積を変化させるように構成されている。
図3に示す例では、電磁弁31は、左電磁弁31L及び右電磁弁31Rを含む。左電磁弁31Lは、制御弁177Lを第1弁位置と第2弁位置との間の任意の位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。右電磁弁31Rは、制御弁177Rを第1弁位置と第2弁位置との間の任意の位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。
次に、図3に示す油圧システムで採用されるネガティブコントロール制御について説明する。油路42には、最も下流にある制御弁177と作動油タンクとの間に絞り18が配置されている。制御弁177を通過して作動油タンクに至る作動油の流れは、絞り18で制限される。そして、絞り18は、レギュレータ13を制御するための制御圧、すなわち、メインポンプ14の吐出量を制御するための制御圧を発生させる。制御圧センサ19は、制御圧を検出するためのセンサであり、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
本実施形態では、絞り18は、開口面積が変化しない固定絞りであり、左油路42Lにおいて、制御弁177Lと作動油タンクとの間に配置される左絞り18Lと、右油路42Rにおいて、制御弁177Rと作動油タンクとの間に配置される右絞り18Rと、を含む。制御圧センサ19は、左レギュレータ13Lを制御するために左絞り18Lが発生させた制御圧を検出する左制御圧センサ19Lと、右レギュレータ13Rを制御するために右絞り18Rが発生させた制御圧を検出する右制御圧センサ19Rと、を含む。
コントローラ30は、制御圧に応じてメインポンプ14の斜板傾転角を調節することによって、メインポンプ14の吐出量を制御する。以下では、制御圧とメインポンプ14の吐出量との関係を「ネガティブコントロール特性」と称する。ネガティブコントロール特性は、例えば、参照テーブルとしてROM等に記憶されていてもよく、所定の計算式で表現されていてもよい。コントローラ30は、例えば、所定のネガティブコントロール特性を表す参照テーブルを参照し、制御圧が大きいほどメインポンプ14の吐出量を減少させ、制御圧が小さいほどメインポンプ14の吐出量を増大させる。
具体的には、図3で示されるように油圧アクチュエータが何れも操作されていない待機状態の場合、左メインポンプ14Lが吐出する作動油は、制御弁177Lを通って左絞り18Lに至る。そして、制御弁177Lを通過する作動油の流れの増大は、左絞り18Lの上流で発生する制御圧を増大させる。その結果、コントローラ30は、左メインポンプ14Lの吐出量を所定の許容最小吐出量まで減少させ、吐出された作動油が左油路42Lを通過する際の圧力損失(ポンピングロス)を抑制する。待機状態におけるこの所定の許容最小吐出量は、ブリード流量の一例であり、以下では、「スタンバイ流量」と称する。コントローラ30は、右メインポンプ14Rの吐出量も同様に制御する。
一方、何れかの油圧アクチュエータが操作された場合、左メインポンプ14Lが吐出する作動油は、操作対象の油圧アクチュエータに対応する制御弁を通って操作対象の油圧アクチュエータに流れ込む。そのため、制御弁177Lを通って左絞り18Lに至るブリード流量は減少し、左絞り18Lの上流で発生する制御圧は低下する。その結果、コントローラ30は、左メインポンプ14Lの吐出量を増大させ、操作対象の油圧アクチュエータに十分な作動油を供給し、操作対象の油圧アクチュエータの駆動を確かなものとする。コントローラ30は、右メインポンプ14Rの吐出量も同様に制御する。なお、以下では、油圧アクチュエータに流れ込む作動油の流量を「アクチュエータ流量」と称する。この場合、左メインポンプ14Lが吐出する作動油の流量は、左油路42Lに関するアクチュエータ流量と左油路42Lに関するブリード流量の合計に相当する。右メインポンプ14Rが吐出する作動油の流量についても同様である。
上述のような構成により、図3に示す油圧システムは、油圧アクチュエータを作動させる場合には、メインポンプ14から必要十分な作動油を作動対象の油圧アクチュエータに確実に供給できる。また、待機状態においては、図3に示す油圧システムは、油圧エネルギの無駄な消費を抑制できる。ブリード流量をスタンバイ流量まで低減させることができるためである。
リリーフ弁50は、油路42における作動油の圧力が所定のリリーフ圧を超えたときに作動油を作動油タンクに放出するように構成されている。油路42における作動油の圧力の過度の上昇は、油圧システムを構成する油圧機器又は構造物の破損をもたらすおそれがあるためである。図3に示す例では、リリーフ弁50は、油路42と作動油タンクとを繋ぐ油路43に配置されている。また、油路43にはチェック弁51が配置されている。
チェック弁51は、作動油タンクから油路42への作動油の流れを止めるように構成されている。図3に示す例では、チェック弁51は、作動油タンクから左油路42Lへの作動油の流れを止める左チェック弁51Lと、作動油タンクから右油路42Rへの作動油の流れを止める右チェック弁51Rとを含む。
油路43は、中央油路43C、左油路43L、及び右油路43Rを含む。左油路43Lは、左油路42Lと中央油路43Cとを繋ぐ油路であり、右油路43Rは、右油路42Rと中央油路43Cとを繋ぐ油路である。
図3に示す例では、リリーフ弁50は、中央油路43Cに配置され、左チェック弁51Lは、左油路43Lに配置され、右チェック弁51Rは、右油路43Rに配置されている。
このように、図3に示す油圧システムは、1つのリリーフ弁50で左油路42Lと右油路42Rのそれぞれにおける作動油を作動油タンクに放出できるように構成されている。但し、図3に示す油圧システムは、左油路42Lにおける作動油を作動油タンクに放出するための左リリーフ弁と、右油路42Rにおける作動油を作動油タンクに放出するための右リリーフ弁とを別々に備えていてもよい。この場合、左リリーフ弁は、左油路42Lと作動油タンクとを繋ぐ油路に配置され、右リリーフ弁は、右油路42Rと作動油タンクとを繋ぐ油路に配置される。
図3に示す油圧システムは、基本的に、油圧アクチュエータに掛かる負荷にかかわらず、操作装置26の操作量に応じて制御弁177の開口面積を変化させるように構成されている。例えば、図3に示す油圧システムは、左油路42Lに関する左走行用油圧モータ1A、旋回用油圧モータ2A、ブームシリンダ7、及びアームシリンダ8のうちの2つ以上の油圧アクチュエータに関する2つ以上の操作装置26が同時に操作されている場合には、操作されている全ての操作装置26の合計操作量に応じて制御弁177Lの開口面積を変化させるように構成されている。典型的には、図3に示す油圧システムは、合計操作量が大きいほど、制御弁177Lの開口面積が小さくなるように構成されている。同様に、図3に示す油圧システムは、右油路42Rに関する右走行用油圧モータ1B、バケットシリンダ9、ブームシリンダ7、及びアームシリンダ8のうちの2つ以上の油圧アクチュエータに関する2つ以上の操作装置26が同時に操作されている場合には、操作されている全ての操作装置26の合計操作量に応じて制御弁177Rの開口面積を変化させるように構成されている。典型的には、図3に示す油圧システムは、合計操作量が大きいほど、制御弁177Lの開口面積が小さくなるように構成されている。
しかしながら、例えば、アーム5を閉じる際にアーム操作レバー26Aのレバー操作量のみに基づいて制御弁177Lの開口面積を決定する構成では、アーム操作レバー26Aのレバー操作量が同じであれば、アームシリンダ8のボトム側油室に流入する作動油の流量であるアクチュエータ流量は、アームボトム圧が高いほど、少なくなってしまう。左メインポンプ14Lが吐出する作動油は、圧力損失が比較的小さい油路、すなわち、制御弁177Lが配置された油路を通って流れるためである。これは、アーム操作レバー26Aのレバー操作量が同じであれば、アームボトム圧が高いほど、ブリード流量が大きくなり、作動油タンクに無駄に排出される作動油の流量が大きくなることを意味する。
そこで、図3に示す油圧システムでは、制御弁177は、油圧アクチュエータに掛かる負荷が所定値を上回る場合には、その油圧アクチュエータに関する操作装置26の操作量とは無関係に、開口面積が変化するように構成されている。例えば、コントローラ30は、油圧アクチュエータに掛かる負荷が所定値を上回る場合、その油圧アクチュエータに関する操作装置26の操作量とは無関係に、その油圧アクチュエータに掛かる負荷に応じて制御弁177の開口面積を調整するように構成されている。
また、図3では、左メインポンプ14Lから油圧アクチュエータに向かう作動油の流れを制御する制御弁171、173、175L、及び176Lのそれぞれは、左メインポンプ14Lと作動油タンクとの間で互いに並列に接続されている。しかしながら、制御弁171、173、175L、及び176Lのそれぞれは、左メインポンプ14Lと作動油タンクとの間で直列に接続されていてもよい。この場合、各制御弁を構成するスプールが何れの弁位置に切り換えられていたとしても、左油路42Lは、スプールで遮断されることなく、下流側に配置された隣接する制御弁に作動油を供給できる。
同様に、右メインポンプ14Rから油圧アクチュエータに向かう作動油の流れを制御する制御弁172、174、175R、及び176Rのそれぞれは、右メインポンプ14Rと作動油タンクとの間で互いに並列に接続されている。しかしながら、制御弁172、174、175R、及び176Rのそれぞれは、右メインポンプ14Rと作動油タンクとの間で直列に接続されていてもよい。この場合、各制御弁を構成するスプールが何れの弁位置に切り換えられていたとしても、右油路42Rは、スプールで遮断されることなく、下流側に配置された隣接する制御弁に作動油を供給できる。
ここで、図4を参照し、コントローラ30が制御弁177の開口面積を調整する処理(以下、「調整処理」とする。)について説明する。図4は、調整処理の一例のフローチャートを示す。コントローラ30は、統一ブリード制御とは別に、所定の制御周期で繰り返しこの調整処理を実行する。
最初に、コントローラ30は、油圧アクチュエータの負荷を検出する(ステップST1)。例えば、コントローラ30は、アーム閉じ操作が行われているときに、アームボトム圧センサS8Bの出力に基づいてアームシリンダ8に掛かる負荷の大きさを検出する。
その後、コントローラ30は、負荷が所定値を上回ったか否かを判定する(ステップST2)。例えば、コントローラ30は、アームボトム圧センサS8Bが検出するアームボトム圧が所定圧を上回ったか否かを判定する。
負荷が所定値を上回っていないと判定した場合(ステップST2のNO)、コントローラ30は、ブリード弁としての制御弁177の開口面積を調整することなく、今回の調整処理を終了させる。
一方、負荷が所定値を上回っていると判定した場合(ステップST2のYES)、コントローラ30は、ブリード弁としての制御弁177の開口面積を低下させる(ステップST3)。例えば、コントローラ30は、アームボトム圧が所定圧を上回っていると判定した場合、制御弁177の開口面積を低下させる。具体的には、コントローラ30は、制御弁177L及び制御弁177Rのそれぞれの開口面積を低下させる。
アーム操作レバー26Aのレバー操作量が変化しない場合には、アームボトム圧が大きくなると、メインポンプ14が吐出する作動油は、アームシリンダ8のボトム側油室に流入し難くなり、制御弁177のほうに流れ易くなる。このとき、制御弁177の開口面積を低下させなかった場合、制御弁177を通過する作動油の流量であるブリード流量は増加し、作動油タンクに無駄に排出される作動油の流量は大きくなってしまう。また、ブリード流量が増加した分、アームシリンダ8のボトム側油室に流入する作動油の流量であるアクチュエータ流量は減少或いは消失し、アーム5の動きは鈍化し或いは停止してしまう。
このとき、コントローラ30は、アーム操作レバー26Aのレバー操作量が変化しない場合であっても、制御弁177の開口面積を低下させることで、ブリード流量の増加を抑制或いは防止でき、作動油タンクに無駄に排出される作動油の流量の増加を抑制或いは防止できる。また、コントローラ30は、ブリード流量の増加を抑制或いは防止することで、アクチュエータ流量の減少を抑制或いは防止でき、アーム5の動きが鈍化し或いは停止してしまうのを防止できる。
本実施形態では、コントローラ30は、制御弁177の開口面積を低下させるときに、ネガティブコントロール制御を無効にする。すなわち、コントローラ30は、そのときのメインポンプ14の吐出量を維持するように構成されている。ネガティブコントロール制御を有効としたまま、制御弁177の開口面積を低下させると、メインポンプ14の吐出量は、ブリード流量の減少に応じて増加し、その結果、アクチュエータ流量は、油圧アクチュエータに掛かる負荷が所定値を上回る前のアクチュエータ流量よりも顕著に大きくなってしまうためである。
また、本実施形態では、コントローラ30は、油圧アクチュエータに掛かる負荷の大きさに応じて制御弁177の開口面積の低下度合いを変化させる。具体的には、コントローラ30は、負荷が大きいほど低下度合いを大きくするように、すなわち、負荷が大きいほど開口面積を小さくするように構成されている。但し、制御弁177の開口面積の低下度合いは、負荷の大きさにかかわらず、一定であってもよい。
また、本実施形態では、コントローラ30は、負荷が所定値を上回ったと判定した場合、例えば、アームボトム圧が所定圧を上回ったと判定した場合に、制御弁177の開口面積を低下させる。しかしながら、コントローラ30は、アーム操作レバー26Aのレバー操作量が変化しない状態でのアームボトム圧の変動幅が所定幅を上回ったと判定した場合に、制御弁177の開口面積を低下させてもよい。
なお、図4に示す例では、コントローラ30は、油圧アクチュエータに掛かる負荷が所定値を上回っていると判定した場合に制御弁177の開口面積を低下させるように構成されている。しかしながら、コントローラ30は、油圧アクチュエータに掛かる負荷が所定値を上回っていると判定した後で、その負荷が更に高まる方向に操作装置26が更に操作されたと判定した場合に、制御弁177の開口面積を低下させるように構成されていてもよい。例えば、コントローラ30は、掘削のためのアーム閉じ動作が行われているときにアームシリンダ8に掛かる負荷が所定値を上回っていると判定した後で、アーム操作レバー26Aのアーム閉じ方向におけるレバー操作量が所定量以上に増加したと判定した場合に、制御弁177の開口面積を低下させるように構成されていてもよい。負荷の増加をもたらす土砂等の被掘削物を押し退けてアーム閉じ動作を継続させたいという操作者の意思を確認した上で、そのような操作者の意思を反映させてアームシリンダ8による掘削力を増加させるためである。逆に言えば、そのような意思を操作者が有していないにもかかわらず、アームシリンダ8による掘削力を増加させてしまうのを防止するためである。但し、遠隔操作によってショベル100が操作される場合、或いは、ショベル100が自律制御される場合には、操作装置26が更に操作されたか否かの判定は省略されてもよい。
次に、図5を参照し、調整処理による効果について説明する。図5は、法面形成作業を実行する掘削アタッチメントの左側面図である。ショベル100は、ブーム上げ動作及びアーム閉じ動作を含む複合動作を行っている。図5は、図5(A)〜図5(C)を含む。図5(A)は、アームシリンダ8に掛かる負荷が所定値を上回る前のショベル100の状態を示す。図5(B)は、調整処理が実行されないショベル100においてアームシリンダ8に掛かる負荷が所定値を上回ったときにコントローラ30が制御弁177の開口面積を低下させずに複合動作を継続させた場合のその後のショベル100の状態を示す。図5(C)は、調整処理が実行されるショベル100においてアームシリンダ8に掛かる負荷が所定値を上回ったときにコントローラ30が制御弁177の開口面積を低下させて複合動作を継続させた場合のその後のショベル100の状態を示す。図5(A)〜図5(C)のそれぞれにおける点線は、作業完了時の法面である目標面TSの位置を表している。図5(B)及び図5(C)のそれぞれにおける破線で示されたバケット6Aは、図5(A)に示すバケット6の位置を表している。
具体的には、図5(A)は、法面形成作業中に、斜面にある固い***部BPにバケット6の爪先が接触し、アーム操作レバー26Aが閉じ方向に操作されているにもかかわらず、アーム5の閉じ動作が鈍化した状態を示している。このとき、調整処理が実行されないショベル100では、アーム操作レバー26Aのレバー操作量を維持したままでは、アクチュエータ流量が減少し、ブリード流量が増加するだけであるため、操作者は、アーム5を閉じることができない。そのため、操作者は、典型的には、レバー操作量を増加させる。
しかしながら、操作者は、アーム操作レバー26Aのレバー操作量をどの程度増加させれば***部BPを掘削できるか、すなわち、所望の閉じ速度でのアーム閉じ動作を再開させることができるかを知ることはできない。そのため、操作者は、アーム操作レバー26Aを閉じ方向に過度に操作してしまう場合がある。
アーム操作レバー26Aが閉じ方向に過度に操作されると、制御弁176のPCポート及びCTポートのそれぞれの開口面積が急増する一方で、統一ブリード制御により制御弁177の開口面積は急減する。そのため、メインポンプ14の吐出量は、ネガティブコントロール制御により急増する。そして、メインポンプ14の吐出圧がアームボトム圧を超えると、アームシリンダ8のボトム側油室に流入する作動油の流量であるアクチュエータ流量は急増し、アームシリンダ8は急激に伸張し、アーム5は急激に閉じられる。その結果、バケット6の爪先は、図5(B)に示すように、目標面TSを超えて斜面に入り込んでしまう。
そこで、コントローラ30は、調整処理を実行することで、すなわち、アームボトム圧が所定圧を上回ったときに制御弁177の開口面積を低下させることで、アームシリンダ8のボトム側油室に流入すべき作動油が、制御弁177を通って作動油タンクに排出されてしまうのを抑制する。
調整処理が実行される場合には、アーム操作レバー26Aのレバー操作量を維持したままであっても、操作者は、***部BPを掘削してアーム5を閉じることができる。アクチュエータ流量が一時的に減少した場合であっても、その後に制御弁177の開口面積が低下することで、一時的に増加したブリード流量が減少し、一時的に減少したアクチュエータ流量が増加するためである。また、制御弁177の開口面積が低下することで、調整処理が実行される前に比べ、アームシリンダ8のボトム側油室に流入する作動油の圧力が高くなるためである。
このように、調整処理が実行される場合には、アーム操作レバー26Aのレバー操作量を維持したままであっても、操作者は、***部BPを掘削してアーム5を閉じることができるため、アーム操作レバー26Aのレバー操作量を増加させる必要はない。そのため、操作者は、バケット6の爪先を急激に動かしてしまうこともない。その結果、バケット6の爪先は、図5(C)に示すように、目標面TSを超えて斜面に入り込んでしまうことなく、ブーム上げ動作及びアーム閉じ動作を含む複合動作により、目標面TSに沿って移動する。
次に、図6を参照し、図5に示すような法面形成作業が行われるときのアームボトム圧、ブリード弁としての制御弁177Lの開口面積、制御弁177Lを通過する作動油の流量としてのブリード流量、及び、制御弁176LのPCポートを通過する作動油の流量としてのアクチュエータ流量の時間的推移について説明する。図6は、図5に示すような法面形成作業が行われるときのアームボトム圧、制御弁177Lの開口面積、ブリード流量、及びアクチュエータ流量の時間的推移の一例を示す。図6に示す実線で表される推移は、調整処理が実行されたときの推移を示し、図6に示す点線で表される推移は、調整処理が実行されないときの推移を示す。なお、以下の説明は、制御弁177Rの開口面積、右メインポンプ14Rが吐出する作動油のうちの制御弁177Rを通過する作動油の流量としてのブリード流量、及び、右メインポンプ14Rが吐出する作動油のうちの制御弁176Rを通過する作動油の流量としてのアクチュエータ流量にも同様に適用される。
バケット6の爪先が***部BP(図5参照。)に当たると、アームボトム圧は、図6(A)に示すように、アーム閉じ動作が進行するにつれて徐々に増大し、時刻t1において、所定圧Pthに達する。
アームボトム圧が所定圧Pthを上回ったと判定すると、コントローラ30は、制御弁177Lに制御指令を出力し、制御弁177Lの開口面積を低下させる。その結果、制御弁177Lの開口面積は、図6(B)に示すように、時刻t1において低下し始め、その後は、アームボトム圧が増加するにつれて低下するように制御される。制御弁177Lを通過する作動油の流量であるブリード流量が所望の流量となるように、ひいては、制御弁176LのPCポートを経由してアームシリンダ8のボトム側油室に流入する作動油の流量であるアクチュエータ流量が所望の流量となるようにするためである。
具体的には、制御弁177Lの開口面積は、ブリード流量が図6(C)に示すように所望の流量Qbtとなるように、且つ、アクチュエータ流量が図6(D)に示すように所望の流量Qatとなるように、制御される。
本実施形態では、アクチュエータ流量は、制御弁176LのPCポートを通過する作動油の流量として、左メインポンプ14Lの吐出圧とアームボトム圧との間の差圧に基づいて算出される。左メインポンプ14Lの吐出圧は、左吐出圧センサ28Lの出力に基づいて検出され、アームボトム圧は、アームボトム圧センサS8Bの出力に基づいて検出される。ブリード流量は、制御弁177Lを通過する作動油の流量として、左メインポンプ14Lの吐出圧と左制御圧センサ19Lが検出した制御圧との間の差圧に基づいて算出される。左メインポンプ14Lの吐出量は、アクチュエータ流量とブリード流量の合計として算出される。左メインポンプ14Lの吐出量は、左レギュレータ13Lに対する制御指令に対応する斜板傾転角に基づいて算出される。左メインポンプ14Lの吐出量は、斜板傾転角センサによって検出されてもよい。ブリード流量は、左メインポンプ14Lの吐出量からアクチュエータ流量を差し引いた値として算出されてもよい。アクチュエータ流量は、左メインポンプ14Lの吐出量からブリード流量を差し引いた値として算出されてもよい。
制御弁177Lの開口面積と、左メインポンプ14Lの吐出圧と、アームボトム圧との間の関係は、参照テーブルとして予めROM等に記憶されていてもよい。この場合、コントローラ30は、この参照テーブルを参照することで、左メインポンプ14Lの吐出圧とアームボトム圧とに基づいて制御弁177Lの開口面積を決定できる。なお、参照テーブルは、典型的には、ショベルの機種別に設定される。
上述のように調整処理が実行される場合、制御弁177Lの開口面積は、図6(B)の実線で示すように、調整処理が実行されない場合(図6(B)の点線参照。)に比べて小さくなるように制御される。調整処理が実行されない場合、制御弁177Lの開口面積は、図6(B)の点線で示すように、アーム操作レバー26Aのレバー操作量が一定であれば、そのレバー操作量に対応する開口面積で維持されるためである。
ブリード流量は、図6(C)の実線で示すように、調整処理が実行されない場合(図6(C)の点線参照。)に比べて小さくなるように制御される。調整処理が実行されない場合、ブリード流量は、図6(C)の点線で示すように、アクチュエータ流量が減少した分だけ増加するためである。
アクチュエータ流量は、図6(D)の実線で示すように、調整処理が実行されない場合(図6(D)の点線参照。)に比べて大きくなるように制御される。調整処理が実行されない場合、アクチュエータ流量は、図6(D)の点線で示すように、アーム操作レバー26Aのレバー操作量が一定であれば、図6(A)の点線で示すようにアームボトム圧が増加するにつれてアームシリンダ8のボトム側油室に流入し難くなるため、すなわち、アームボトム圧が増加するにつれて減少するためである。
なお、アームボトム圧の増加速度は、時刻t1以降においては、図6(A)の実線で示すように、調整処理が実行されない場合(図6(A)の点線参照。)に比べて大きくなる。図6に示す例では、コントローラ30は、ブリード流量が所望の流量Qbtで維持されるように、ブリード流量の増加を抑え、且つ、アームシリンダ8のボトム側油室に流入する作動油の流量であるアクチュエータ流量の低下を抑えているためである。
上述のように、ショベル100は、油圧アクチュエータに掛かる負荷に応じて制御弁177の開口面積を調整するように構成されている。この構成により、ショベル100は、油圧アクチュエータの動作中に油圧アクチュエータに掛かる負荷が変化するときの油圧アクチュエータの動きを滑らかにすることができる。操作者がレバー操作量を変化させなくとも、その油圧アクチュエータに流入する作動油の流量の変化を抑制できるためである。
なお、上述の実施形態では、コントローラ30は、負荷が所定値を上回ったと判定した場合にネガティブコントロール制御を無効にすることで、その判定の前後でメインポンプ14の吐出量を変化させないように構成されている。油圧アクチュエータの動作速度がその判定の前後で変化しないようにするためである。
例えば、コントローラ30は、法面形成作業が行われているときに、アームボトム圧が所定圧を上回ったと判定した場合に、その判定の前後でメインポンプ14の吐出量を変化させないように構成されている。アームシリンダ8の伸張速度がその判定の前後で変化しないようにするためである。
しかしながら、コントローラ30は、負荷が所定値を上回ったと判定した後で、メインポンプ14の吐出量を増加させ或いは低下させるように構成されていてもよい。アームシリンダ8の伸張速度がその判定の前後で変化しないようにするためである。具体的には、その判定の前後でメインポンプ14の吐出量を変化させないようにするだけでは、外的要因が大きい場合等、その判定の前後でのアームシリンダ8の伸張速度の変化を防止できない状況が生じ得るためである。例えば、制御弁177の開口面積を低下させただけでは、アクチュエータ流量の減少分を補填できない場合、コントローラ30は、メインポンプ14の吐出量を増加させてもよい。
或いは、コントローラ30は、負荷が所定値を上回ったと判定した後で、メインポンプ14の吐出量を所定量だけ減らすように構成されていてもよい。この構成により、コントローラ30は、負荷が所定値を上回ったと判定した後で、油圧アクチュエータの円滑な動作を維持しながらも、油圧アクチュエータの動作速度が所定の大きさだけ遅くなるようにすることで、負荷が増加したことを操作者に認識させることができる。
また、上述の例では、コントローラ30は、油圧アクチュエータに掛かる負荷が所定値を上回ったと判定した場合に、ブリード弁としての制御弁177の開口面積を低下させるように構成されている。油圧アクチュエータに掛かる負荷が増加した場合であっても、油圧アクチュエータの動きが過度に遅くなってしまうのを防止しながら、油圧アクチュエータを継続的に且つ滑らかに動作させるためである。しかしながら、コントローラ30は、油圧アクチュエータに掛かる負荷が所定値を下回ったと判定した場合に、ブリード弁としての制御弁177の開口面積を増加させるように構成されていてもよい。油圧アクチュエータに掛かる負荷が低下した場合であっても、油圧アクチュエータの動きが過度に速くなってしまうのを防止しながら、油圧アクチュエータを継続的に且つ滑らかに動作させるためである。
また、コントローラ30は、望ましくは、油圧アクチュエータに掛かる負荷が所定値を上回ったと判定し、制御弁177の開口面積を低下させた後で、その負荷が所定値を下回ったと判定した場合には、調整処理による制御弁177の開口面積の調整を中止するように構成されている。すなわち、本実施形態では、コントローラ30は、統一ブリード制御による制御弁177の開口面積の調整を再開させるように構成されている。但し、統一ブリード制御を有効にしたときのブリード流量の急変を避けるため、コントローラ30は、調整処理によって調整(決定)されていた制御弁177の開口面積から、統一ブリード制御によって決定される制御弁177の開口面積へ変化する際の開口面積の変化率を制限してもよい。また、コントローラ30は、調整処理による制御弁177の開口面積の調整を中止したときには、無効にしていたネガティブコントロール制御を有効にするように構成されている。但し、ネガティブコントロール制御を有効にしたときのメインポンプ14の吐出量の急変を避けるため、コントローラ30は、調整処理の際のメインポンプ14の吐出量から、ネガティブコントロール制御によって決定されるメインポンプ14の吐出量へ変化する際の斜板傾転角の変化率を制限してもよい。
次に、図7を参照し、ショベル100の別の構成例について説明する。図7はショベル100の側面図であり、図1に対応している。図7に示すショベル100は、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及びバケット角度センサS3を備える点で、図1に示すショベル100と異なる。そのため、以下では、共通部分の説明を省略し、相違部分を詳説する。
ブーム角度センサS1は、ブーム4の回動角度を検出するように構成されている。本実施形態では、ブーム角度センサS1は加速度センサであり、上部旋回体3に対するブーム4の回動角度(以下、「ブーム角度」とする。)を検出できる。ブーム角度は、例えば、ブーム4を最も下げたときにゼロ度となり、ブーム4を上げるにつれて大きくなる。
アーム角度センサS2は、アーム5の回動角度を検出するように構成されている。本実施形態では、アーム角度センサS2は加速度センサであり、ブーム4に対するアーム5の回動角度(以下、「アーム角度」とする。)を検出できる。アーム角度は、例えば、アーム5を最も閉じたときにゼロ度となり、アーム5を開くにつれて大きくなる。
バケット角度センサS3は、バケット6の回動角度を検出するように構成されている。本実施形態では、バケット角度センサS3は加速度センサであり、アーム5に対するバケット6の回動角度(以下、「バケット角度」とする。)を検出できる。バケット角度は、例えば、バケット6を最も閉じたときにゼロ度となり、バケット6を開くにつれて大きくなる。
ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及びバケット角度センサS3はそれぞれ、可変抵抗器を利用したポテンショメータ、対応する油圧シリンダのストローク量を検出するストロークセンサ、連結ピン回りの回動角度を検出するロータリエンコーダ、ジャイロセンサ、又は、加速度センサとジャイロセンサの組み合わせ等であってもよい。
次に、図8を参照し、図7に示すショベル100に搭載される油圧システムの構成例について説明する。図8は、図7に示すショベル100に搭載される油圧システムの構成例を示す概略図であり、図3に対応している。図8は、図3と同様に、機械的動力伝達ライン、作動油ライン、パイロットライン、及び電気制御ラインを、それぞれ二重線、実線、点線、及び一点鎖線で示している。
図8に示す油圧システムは、エンジン11によって駆動されるメインポンプ14から、油路42(センタバイパス油路40及びブリード油路41を含む。)を経て作動油タンクまで作動油を循環させる点、及び、走行直進弁としての制御弁170を備える点で、図3に示す油圧システムと異なる。そのため、以下では、共通部分の説明を省略し、相違部分を詳説する。
センタバイパス油路40は、左センタバイパス油路40L及び右センタバイパス油路40Rを含む。左メインポンプ14Lは、制御弁171、173、175L、及び176Lを通る左センタバイパス油路40Lを経て作動油タンクまで作動油を循環させる。右メインポンプ14Rは、制御弁170、172、174、175R、及び176Rを通る右センタバイパス油路40Rを経て作動油タンクまで作動油を循環させる。
ブリード油路41は、左ブリード油路41L及び右ブリード油路41Rを含む。左ブリード油路41Lは、左センタバイパス油路40Lと作動油タンクとを繋ぐ油路であり、左センタバイパス油路40Lにおける制御弁171と制御弁173との間の部分BF1に接続されている。右ブリード油路41Rは、右センタバイパス油路40Rと作動油タンクとを繋ぐ油路であり、右センタバイパス油路40Rにおける制御弁172と制御弁174との間の部分BF2に接続されている。
制御弁170は、右センタバイパス油路40Rにおける制御弁172の上流側に設けられ、走行直進弁として機能するスプール弁である。そして、制御弁170は、左メインポンプ14Lが吐出する作動油を左走行用油圧モータ1Aに供給し且つ右メインポンプ14Rが吐出する作動油を右走行用油圧モータ1Bに供給する第1状態と、左メインポンプ14Lが吐出する作動油を左走行用油圧モータ1A及び右走行用油圧モータ1Bの双方に供給する第2状態とを切り換えることができるように構成されている。図8は、制御弁170によって第1状態が実現されている様子を示す。
具体的には、制御弁170は、走行操作と他の油圧アクチュエータの操作とが同時に行われている場合、第2状態を実現するため、右メインポンプ14Rが吐出する作動油をバイパス油路BP2経由で制御弁171の下流側に供給して左センタバイパス油路40Lに流入させる。また、制御弁170は、左メインポンプ14Lが吐出する作動油をバイパス油路BP1経由で制御弁172の上流側に供給して右センタバイパス油路40Rに流入させる。これにより、左メインポンプ14Lが吐出する作動油のみが左走行用油圧モータ1A及び右走行用油圧モータ1Bの双方に供給されるため、下部走行体1の直進性が向上する。
一方、制御弁170は、走行操作のみが行われている場合、第1状態を実現するため、右メインポンプ14Rが吐出する作動油をそのまま下流側に通過させると共に、左メインポンプ14Lが吐出する作動油をバイパス油路BP1経由で制御弁171の下流側に供給して左センタバイパス油路40Lに流入させる。これにより、左メインポンプ14Lが吐出する作動油が左走行用油圧モータ1Aに供給され、且つ、右メインポンプ14Rが吐出する作動油が右走行用油圧モータ1Bに供給されるため、下部走行体1の走破性が向上する。
制御弁171は、左センタバイパス油路40Lにおける部分BF1の上流に配置されている。制御弁171は、左走行レバーから左右何れかのパイロットポートに入力されるパイロット圧に応じて、左走行用油圧モータ1Aに流出入する作動油の向き及び流量を制御する。
図8に示す例では、制御弁171は、左メインポンプ14Lから左走行用油圧モータ1Aに作動油が流れるようにするPCポートと、左走行用油圧モータ1Aから作動油タンクに作動油が流れるようにするPTポートと、左メインポンプ14Lから作動油タンクに作動油が流れるようにするPTポートとを含むスプール弁である。
制御弁171は、スプール位置に応じて、PTポートの開口面積を制限し或いは遮断するように構成されている。具体的には、制御弁171は、スプールが中立位置にない場合、すなわち、左走行用油圧モータ1Aに作動油が流入している場合、PTポートの開口面積を制限或いは遮断する。この場合、制御弁171の下流側には、バイパス油路BP2を経由して作動油が供給される。
制御弁172は、右センタバイパス油路40Rにおける部分BF2の上流に配置されている。制御弁172は、右走行レバーから左右何れかのパイロットポートに入力されるパイロット圧に応じて、右走行用油圧モータ1Bに流出入する作動油の向き及び流量を制御する。
図8に示す例では、制御弁172は、メインポンプ14から右走行用油圧モータ1Bに作動油が流れるようにするPCポートと、右走行用油圧モータ1Bから作動油タンクに作動油が流れるようにするPTポートと、メインポンプ14から作動油タンクに作動油が流れるようにするPTポートとを含むスプール弁である。
制御弁172は、スプール位置に応じて、PTポートの開口面積を制限し或いは遮断するように構成されている。具体的には、制御弁172は、スプールが中立位置にない場合、すなわち、右走行用油圧モータ1Bに作動油が流入している場合、PTポートの開口面積を制限或いは遮断する。この場合、制御弁172の下流側には、バイパス油路BP3を経由して作動油が供給される。
制御弁173、175L、及び176Lは、左センタバイパス油路40Lにおける部分BF1の下流に配置されている。制御弁173は、旋回操作レバーから左右何れかのパイロットポートに入力されるパイロット圧に応じて、旋回用油圧モータ2Aに流出入する作動油の向き及び流量を制御する。制御弁175Lは、ブーム操作レバーから左右何れかのパイロットポートに入力されるパイロット圧に応じて、ブームシリンダ7に流出入する作動油の向き及び流量を制御する。制御弁176Lは、アーム操作レバーから左右何れかのパイロットポートに入力されるパイロット圧に応じて、アームシリンダ8に流出入する作動油の向き及び流量を制御する。
図8に示す例では、制御弁173は、メインポンプ14から旋回用油圧モータ2Aに作動油が流れるようにするPCポートと、旋回用油圧モータ2Aから作動油タンクに作動油が流れるようにするPTポートと、制御弁173の上流側から下流側に作動油が流れるようにするPTポートとを含むスプール弁である。
制御弁175Lは、メインポンプ14からブームシリンダ7に作動油が流れるようにする、或いは、ブームシリンダ7から左センタバイパス油路40Lに作動油が流れるようにするPCポートと、制御弁173の上流側から下流側に作動油が流れるようにするPTポートとを含むスプール弁である。
制御弁176Lは、メインポンプ14からアームシリンダ8に作動油が流れるようにするPCポートと、アームシリンダ8から作動油タンクに作動油が流れるようにするCTポートとを含むスプール弁である。
制御弁174、175R、及び176Rは、右センタバイパス油路40Rにおける部分BF2の下流に配置されている。制御弁174は、バケット操作レバーから左右何れかのパイロットポートに入力されるパイロット圧に応じて、バケットシリンダ9に流出入する作動油の向き及び流量を制御する。制御弁175Rは、ブーム操作レバーから左右何れかのパイロットポートに入力されるパイロット圧に応じて、ブームシリンダ7に流出入する作動油の向き及び流量を制御する。制御弁176Rは、アーム操作レバーから左右何れかのパイロットポートに入力されるパイロット圧に応じて、アームシリンダ8に流出入する作動油の向き及び流量を制御する。
図8に示す例では、制御弁174は、右メインポンプ14Rからバケットシリンダ9に作動油が流れるようにするPCポートと、バケットシリンダ9から作動油タンクに作動油が流れるようにするPTポートと、制御弁174の上流側から下流側に作動油が流れるようにするPTポートとを含むスプール弁である。
制御弁175Rは、右メインポンプ14Rからブームシリンダ7に作動油が流れるようにするPCポートと、ブームシリンダ7から作動油タンクに作動油が流れるようにするPTポートと、制御弁175Rの上流側から下流側に作動油が流れるようにするPTポートとを含むスプール弁である。
制御弁176Rは、右メインポンプ14Rからアームシリンダ8に作動油が流れるようにするPCポートと、アームシリンダ8から作動油タンクに作動油が流れるようにするCTポートとを含むスプール弁である。
制御弁173、174、175L、及び175RのそれぞれにおけるPTポートは、スプール位置にかかわらず、開口面積が変化しないように構成されている。具体的には、制御弁173は、スプールが中立位置にない場合、すなわち、旋回用油圧モータ2Aに作動油が流入している場合であっても、PTポートの開口面積を制限しないように構成されている。そのため、制御弁173の下流側には、このPTポートを経由して作動油が供給される。制御弁174、175L、及び175Rについても同様である。
可変ロードチェック弁52〜57は、制御弁173、174、175L、175R、176L、及び176Rのそれぞれとメインポンプ14との間の連通・遮断を切り換え可能な弁である。
切換弁60は、ブームシリンダ7のロッド側油室から排出される作動油を作動油タンクに排出するか否かを切り換え可能な可変リリーフ弁である。具体的には、切換弁60は、第1位置にある場合にブームシリンダ7のロッド側油室と作動油タンクとの間を連通し、第2位置にある場合にその連通を遮断する。また、切換弁60は、第1位置において、作動油タンクからの作動油の流れを遮断するチェック弁を有する。
切換弁61は、ブームシリンダ7のボトム側油室から排出される作動油を作動油タンクに排出するか否かを切り換え可能な可変リリーフ弁である。具体的には、切換弁61は、第1位置にある場合にブームシリンダ7のボトム側油室と作動油タンクとの間を連通し、第2位置にある場合にその連通を遮断する。また、切換弁61は、第1位置において、作動油タンクからの作動油の流れを遮断するチェック弁を有する。
このように、図8に示す例では、制御弁177は、センタバイパス油路40の中間にある部分BFから分岐するように構成されたブリード油路41に配置されている。部分BFは、左走行用油圧モータ1Aに対応する制御弁171よりも下流に位置する部分BF1と、右走行用油圧モータ1Bに対応する制御弁172よりも下流に位置する部分BF2と、を含む。そのため、制御弁177は、部分BFの下流に配置される制御弁による走行動作に対する影響を抑制し、下部走行体1を駆動する左走行用油圧モータ1A及び右走行用油圧モータ1Bの操作性及び応答性を向上させることができる。
次に、図9を参照し、図8に示す油圧システムを利用して実行される調整処理について説明する。図9は、その調整処理のフローチャートを示す。コントローラ30は、統一ブリード制御とは別に、所定の制御周期で繰り返しこの調整処理を実行する。
最初に、コントローラ30は、油圧アクチュエータの動作速度を検出する(ステップST11)。例えば、コントローラ30は、アーム閉じ操作が行われている際に、アーム角度センサS2の出力に基づいてアームシリンダ8の伸張速度を検出する。コントローラ30は、カメラS6としての前方カメラが撮像した画像に基づいてアームシリンダ8の伸張速度を導き出してもよい。
その後、コントローラ30は、動作速度が所定速度を下回ったか否かを判定する(ステップST12)。例えば、コントローラ30は、アーム角度センサS2が検出するアーム角度に基づいて算出されるアームシリンダ8の伸張速度が所定速度を下回ったか否かを判定する。所定速度は、典型的には、アーム操作レバー26Aのレバー操作量に応じて決まる値である。
動作速度が所定速度を下回っていないと判定した場合(ステップST12のNO)、コントローラ30は、ブリード弁としての制御弁177の開口面積を調整することなく、今回の調整処理を終了させる。
一方、動作速度が所定速度を下回っていると判定した場合(ステップST12のYES)、コントローラ30は、ブリード弁としての制御弁177の開口面積を低下させる(ステップST13)。例えば、コントローラ30は、アームシリンダ8の伸張速度が所定速度を下回っていると判定した場合、制御弁177の開口面積を低下させる。
アーム操作レバー26Aのレバー操作量が変化しない場合にアームシリンダ8の伸張速度が小さくなると、メインポンプ14が吐出する作動油は、アームシリンダ8のボトム側油室に流入し難くなり、制御弁177のほうに流れ易くなる。このとき、制御弁177の開口面積を低下させなかった場合、制御弁177を通過する作動油の流量であるブリード流量は増加し、作動油タンクに無駄に排出される作動油の流量は大きくなってしまう。また、ブリード流量が増加した分、アームシリンダ8のボトム側油室に流入する作動油の流量であるアクチュエータ流量は減少或いは消失し、アーム5の動きは鈍化し或いは停止してしまう。
このとき、コントローラ30は、アーム操作レバー26Aのレバー操作量が変化しない場合であっても、制御弁177の開口面積を低下させることで、ブリード流量の増加を抑制或いは防止でき、作動油タンクに無駄に排出される作動油の流量の増加を抑制或いは防止できる。また、コントローラ30は、ブリード流量の増加を抑制或いは防止することで、アクチュエータ流量の減少を抑制或いは防止でき、アーム5の動きが鈍化し或いは停止してしまうのを防止できる。
図9に示す例では、コントローラ30は、図4に示す例の場合と同様に、制御弁177の開口面積を低下させるときに、ネガティブコントロール制御を無効にする。すなわち、コントローラ30は、そのときのメインポンプ14の吐出量を維持するように構成されている。ネガティブコントロール制御を有効としたまま、制御弁177の開口面積を低下させると、メインポンプ14の吐出量は、ブリード流量の減少に応じて増加し、その結果、アクチュエータ流量は、油圧アクチュエータの動作速度が所定速度を下回る前のアクチュエータ流量よりも顕著に大きくなってしまうためである。
また、図9に示す例では、コントローラ30は、油圧アクチュエータの動作速度の大きさに応じて制御弁177の開口面積の低下度合いを変化させる。具体的には、コントローラ30は、動作速度が小さいほど低下度合いを大きくするように、すなわち、動作速度が小さいほど開口面積を小さくするように構成されている。但し、制御弁177の開口面積の低下度合いは、動作速度の大きさにかかわらず、一定であってもよい。
また、図9に示す例では、コントローラ30は、油圧アクチュエータの動作速度が所定速度を下回ったと判定した場合、例えば、アームシリンダ8の伸張速度が所定速度を下回ったと判定した場合に、制御弁177の開口面積を低下させる。しかしながら、コントローラ30は、アーム操作レバー26Aのレバー操作量が変化していないにもかかわらずアームシリンダ8の伸張速度の変動幅が所定幅を上回ったと判定した場合に、制御弁177の開口面積を低下させてもよい。
また、コントローラ30は、アーム5の回動速度が所定速度を下回った場合、例えば、アーム閉じ速度が所定速度を下回った場合、或いは、アーム開き速度が所定速度を下回った場合に、制御弁177の開口面積を低下させるように構成されていてもよい。これらの場合も、所定速度は、典型的には、アーム操作レバー26Aのレバー操作量に応じて決まる値である。
なお、図9に示す例では、コントローラ30は、油圧アクチュエータの動作速度が所定速度を下回っていると判定した場合に制御弁177の開口面積を低下させるように構成されている。しかしながら、コントローラ30は、油圧アクチュエータの動作速度が所定速度を下回っていると判定した後で、その動作速度が増加する方向に操作装置26が更に操作されたと判定した場合に、制御弁177の開口面積を低下させるように構成されていてもよい。例えば、コントローラ30は、掘削のためのアーム閉じ動作が行われているときにアームシリンダ8の伸張速度が所定速度を下回っていると判定した後で、アーム操作レバー26Aのアーム閉じ方向におけるレバー操作量が増加したと判定した場合に、制御弁177の開口面積を低下させるように構成されていてもよい。アームシリンダ8の伸張速度の低下をもたらす土砂等の被掘削物を押し退けてアーム閉じ動作を継続させたいという操作者の意思を確認した上で、そのような操作者の意思を反映させてアームシリンダ8による掘削力を増加させるためである。逆に言えば、そのような意思を操作者が有していないにもかかわらず、アームシリンダ8による掘削力を増加させてしまうのを防止するためである。但し、遠隔操作によってショベル100が操作される場合、或いは、ショベル100が自律制御される場合には、操作装置26が更に操作されたか否かの判定は省略されてもよい。
次に、図10を参照し、図5に示すような法面形成作業が行われるときのアーム閉じ速度、ブリード弁としての制御弁177Lの開口面積、制御弁177Lを通過する作動油の流量としてのブリード流量、及び、制御弁176LのPCポートを通過する作動油の流量としてのアクチュエータ流量の時間的推移について説明する。図10は、図5に示すような法面形成作業が行われるときのアーム閉じ速度、制御弁177Lの開口面積、ブリード流量、及びアクチュエータ流量の時間的推移の一例を示す。図10に示す実線で表される推移は、図9に示す調整処理が実行されたときの推移を示し、図10に示す点線で表される推移は、図9に示す調整処理が実行されないときの推移を示す。なお、以下の説明は、制御弁177Rの開口面積、右メインポンプ14Rが吐出する作動油のうちの制御弁177Rを通過する作動油の流量としてのブリード流量、及び、右メインポンプ14Rが吐出する作動油のうちの制御弁176Rを通過する作動油の流量としてのアクチュエータ流量にも同様に適用される。
バケット6の爪先が***部BP(図5参照。)に当たると、アーム閉じ速度は、通常、図10(A)に示すように、アーム閉じ動作が進行するにつれて徐々に低下し、時刻t1において、所定速度Vthに達する。
アーム閉じ速度が所定速度Vthを下回ったと判定すると、コントローラ30は、制御弁177Lに制御指令を出力し、制御弁177Lの開口面積を低下させる。その結果、制御弁177Lの開口面積は、図10(B)に示すように、時刻t1において低下し始め、その後は、アーム閉じ速度が所定速度Vthで維持されるように制御される。制御弁177Lを通過する作動油の流量であるブリード流量が所望の流量となるように、ひいては、アームシリンダ8のボトム側油室に流入する作動油の流量であるアクチュエータ流量が所望の流量となるようにするためである。図10(B)の例では、コントローラ30は、アーム閉じ速度が所定速度Vthで維持されるように、制御弁177Lの開口面積を継続的に低下させている。
具体的には、制御弁177Lの開口面積は、ブリード流量が図10(C)に示すように所望の流量Qbtとなるように、そして、アクチュエータ流量が図10(D)に示すように所望の流量Qatとなるように、制御される。
図10に示す例では、アクチュエータ流量は、制御弁176LのPCポートを通過する作動油の流量として、左メインポンプ14Lの吐出圧とアームボトム圧との差圧に基づいて算出される。左メインポンプ14Lの吐出圧は、左吐出圧センサ28Lの出力に基づいて検出され、アームボトム圧は、アームボトム圧センサS8Bの出力に基づいて検出される。ブリード流量は、制御弁177Lを通過する作動油の流量として、左メインポンプ14Lの吐出圧と左制御圧センサ19Lが検出した制御圧との差圧に基づいて算出される。左メインポンプ14Lの吐出量は、アクチュエータ流量とブリード流量の合計として算出される。左メインポンプ14Lの吐出量は、左レギュレータ13Lに対する制御指令に対応する斜板傾転角に基づいて算出される。左メインポンプ14Lの吐出量は、斜板傾転角センサによって検出されてもよい。ブリード流量は、左メインポンプ14Lの吐出量からアクチュエータ流量を差し引いた値として算出されてもよい。アクチュエータ流量は、左メインポンプ14Lの吐出量からブリード流量を差し引いた値として算出されてもよい。
上述のように調整処理が実行される場合、制御弁177Lの開口面積は、図10(B)の実線で示すように、調整処理が実行されない場合(図10(B)の点線参照。)に比べて小さくなるように制御される。調整処理が実行されない場合、制御弁177Lの開口面積は、図10(B)の点線で示すように、アーム操作レバー26Aのレバー操作量が一定であれば、そのレバー操作量に対応する開口面積で維持されるためである。
ブリード流量は、図10(C)の実線で示すように、調整処理が実行されない場合(図10(C)の点線参照。)に比べて小さくなるように制御される。調整処理が実行されない場合、ブリード流量は、図10(C)の点線で示すように、アクチュエータ流量が減少した分だけ増加するためである。
アクチュエータ流量は、図10(D)の実線で示すように、調整処理が実行されない場合(図10(D)の点線参照。)に比べて大きくなるように制御される。調整処理が実行されない場合、アクチュエータ流量は、図10(D)の点線で示すように、アーム操作レバー26Aのレバー操作量が一定であれば、図10(A)の点線で示すようにアーム閉じ速度が低下するにつれてアームシリンダ8のボトム側油室に流入し難くなるため、すなわち、アームボトム圧が増加するにつれて減少するためである。
上述のように、ショベル100は、油圧アクチュエータの動作速度に応じて制御弁177の開口面積を調整するように構成されている。この構成により、ショベル100は、油圧アクチュエータの動作中に油圧アクチュエータの動作速度が変化するときの油圧アクチュエータの動きを滑らかにすることができる。操作者がレバー操作量を変化させなくとも、その油圧アクチュエータに流入する作動油の流量の変化を抑制できるためである。
なお、上述の実施形態では、コントローラ30は、油圧アクチュエータの動作速度が所定速度を下回ったと判定した場合にネガティブコントロール制御を無効にすることで、その判定の前後でメインポンプ14の吐出量を変化させないように構成されている。油圧アクチュエータの動作速度がその判定の前後で変化しないようにするためである。
例えば、コントローラ30は、法面形成作業が行われているときに、アームシリンダ8の伸張速度が所定速度を下回ったと判定した場合に、その判定の前後でメインポンプ14の吐出量を変化させないように構成されている。アームシリンダ8の伸張速度がその判定の前後で変化しないようにするためである。
しかしながら、コントローラ30は、油圧アクチュエータの動作速度が所定速度を下回ったと判定した後で、メインポンプ14の吐出量を増加させ或いは低下させるように構成されていてもよい。油圧アクチュエータの動作速度がその判定の前後で変化しないようにするためである。例えば、アームシリンダ8の伸張速度がその判定の前後で変化しないようにするためである。具体的には、その判定の前後でメインポンプ14の吐出量を変化させないようにするだけでは、外的要因が大きい場合等、その判定の前後でのアームシリンダ8の伸張速度の変化を防止できない状況が生じ得るためである。そのため、制御弁177の開口面積を低下させただけでは、アクチュエータ流量の減少分を補填できない場合、コントローラ30は、例えば、メインポンプ14の吐出量を増加させてもよい。
或いは、コントローラ30は、油圧アクチュエータの動作速度が所定速度を下回ったと判定した後で、メインポンプ14の吐出量を所定量だけ減らすように構成されていてもよい。この構成により、コントローラ30は、負荷の増加により油圧アクチュエータの動作速度が所定速度を下回ったと判定した後で、油圧アクチュエータの円滑な動作を維持しながらも、油圧アクチュエータの動作速度が判定前の動作速度に比べて所定の大きさだけ小さくなるようにすることで、負荷が増加したことを操作者に認識させることができる。
また、上述の例では、コントローラ30は、油圧アクチュエータに掛かる負荷の増加により油圧アクチュエータの動作速度が所定速度を下回ったと判定した場合に、ブリード弁としての制御弁177の開口面積を低下させるように構成されている。油圧アクチュエータに掛かる負荷が増加した場合であっても、油圧アクチュエータの動きが過度に遅くなってしまうのを防止しながら、油圧アクチュエータを継続的に且つ滑らかに動作させるためである。しかしながら、コントローラ30は、油圧アクチュエータに掛かる負荷の低下により油圧アクチュエータの動作速度が所定速度を上回ったと判定した場合に、ブリード弁としての制御弁177の開口面積を増加させるように構成されていてもよい。油圧アクチュエータに掛かる負荷が低下した場合であっても、油圧アクチュエータの動きが過度に速くなってしまうのを防止しながら、油圧アクチュエータを継続的に且つ滑らかに動作させるためである。
上述のように、本発明の実施形態に係るショベル100は、アタッチメントと、油圧アクチュエータと、油圧ポンプとしてのメインポンプ14と、メインポンプ14が吐出する作動油を複数の油圧アクチュエータに供給可能な油路42と、油路42に配置された複数の制御弁171〜176と、油路42に配置されたブリード弁としての制御弁177と、を有している。そして、ショベル100は、油圧アクチュエータに掛かる負荷に応じて制御弁177の開口を調整するように構成されている。
この構成により、ショベル100は、油圧アクチュエータの動作中に油圧アクチュエータに掛かる負荷が変化するときの油圧アクチュエータの動きを滑らかにすることができる。油圧アクチュエータに流入する作動油の流量であるアクチュエータ流量が低下し且つ制御弁177を通過する流量であるブリード流量が増加するときに、ブリード流量を低下させることで、アクチュエータ流量の低下を抑制できるためである。すなわち、油圧アクチュエータに掛かる負荷が増加した場合であっても、負荷が増加する前のアクチュエータ流量を確保できるためである。或いは、アクチュエータ流量が増加し且つブリード流量が低下するときに、ブリード流量を増加させることで、アクチュエータ流量の増加を抑制できるためである。
その結果、ショベル100は、操作性を向上させることができる。例えば、油圧アクチュエータに掛かる負荷の急減に伴う油圧アクチュエータの急激な動きに起因するショックを軽減できるためである。また、ショベル100は、油圧エネルギの有効利用及び省エネルギ化を実現できる。例えば、油圧アクチュエータに掛かる負荷の急減に伴うブリード流量の急増を抑制できるためである。
ショベル100は、例えば、油圧アクチュエータに掛かる負荷が所定値より高いと判定した場合、制御弁177の開口を小さくするように構成されている。具体的には、ショベル100は、油圧アクチュエータに掛かる負荷が所定値より高いと判定した場合、油圧アクチュエータに掛かる負荷が所定値より高いと判定していない場合よりも、制御弁177の開口を小さくするように構成されている。この構成により、ショベル100は、油圧アクチュエータの動作中に油圧アクチュエータに掛かる負荷が増加するときの油圧アクチュエータの動きを滑らかにすることができる。
ショベル100は、例えば、油圧アクチュエータに流入する作動油の圧力、又は、油圧アクチュエータの動作速度に基づき、油圧アクチュエータに掛かる負荷を導出するように構成されていてもよい。例えば、ショベル100は、アームボトム圧センサS8Bが検出するアームボトム圧に基づいてアームシリンダ8に掛かる負荷を導出するように構成されていてもよい。或いは、ショベル100は、アーム角度センサS2が検出するアーム角度に基づいてアームシリンダ8に掛かる負荷を導出するように構成されていてもよい。この構成により、ショベル100は、油圧アクチュエータに掛かる負荷を簡易に且つ正確に導出できる。
ショベル100は、例えば、油圧アクチュエータに流入する作動油の圧力とメインポンプ14の吐出圧との間の差圧から制御弁177を通過する作動油の流量を算出するように構成されていてもよい。そして、ショベル100は、制御弁177を通過する作動油の流量であるブリード流量に応じて制御弁177の開口を小さくするように構成されていてもよい。この構成により、ショベル100は、ブリード流量を簡易に且つ正確に算出することで、制御弁177の開口を適切に制御できる。
ショベル100は、制御弁177の開口の調整の前後で、油圧アクチュエータに流入する作動油の流量であるアクチュエータ流量、油圧アクチュエータの動作速度、又は、制御弁177を通過する作動油の流量であるブリード流量が一定となるように、制御弁177の開口を調整するように構成されていてもよい。この構成により、ショベル100は、油圧アクチュエータに掛かる負荷が変化した場合にも油圧アクチュエータをほぼ同じ動作速度で継続的に動作させることができる。
ショベル100は、センサの出力に基づいて油圧アクチュエータの動作速度を算出するように構成されていてもよい。センサは、例えば、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、バケット角度センサS3、又は旋回角速度センサS5である。例えば、ショベル100は、アーム角度センサS2の出力に基づいてアームシリンダ8の伸縮速度を算出するように構成されていてもよい。或いは、ショベル100は、旋回角速度センサS5の出力に基づいて旋回用油圧モータ2Aの回転速度を算出するように構成されていてもよい。或いは、ショベル100は、カメラS6等の画像センサの出力に基づいて油圧アクチュエータの動作速度を算出するように構成されていてもよい。この構成により、ショベル100は、油圧アクチュエータの動作速度を簡易に且つ正確に算出することができる。
ショベル100は、油圧アクチュエータに掛かる負荷の大きさを判定した後に、メインポンプ14の吐出量を変化させるように構成されていてもよい。この構成により、ショベル100は、例えば、油圧アクチュエータの動作中に油圧アクチュエータに掛かる負荷が変化するときの油圧アクチュエータの動きを滑らかにする制御を実行する場合であっても、油圧アクチュエータの動きを僅かに鈍化させることで、油圧アクチュエータに掛かる負荷が変化したことを操作者に認識させることができる。或いは、ショベル100は、制御弁177の開口面積を調整するだけでは油圧アクチュエータの動きを滑らかにすることができない場合であっても、追加的にメインポンプ14の吐出量を変化させることで、油圧アクチュエータの動きを滑らかにすることができる。
制御弁177は、例えば、複数の制御弁のそれぞれの移動量の組み合わせに適した統一的なブリード流量を実現するように構成されていてもよい。例えば、図3に示す制御弁177Lは、スプール弁としての制御弁171、173、175L、及び176Lのそれぞれの移動量の組み合わせに適した統一的なブリード流量を実現するように構成されている。また、図3に示す制御弁177Rは、スプール弁としての制御弁172、174、175R、及び176Rのそれぞれの移動量の組み合わせに適した統一的なブリード流量を実現するように構成されている。また、図8に示す制御弁177Lは、スプール弁としての制御弁173、175L、及び176Lのそれぞれの移動量の組み合わせに適した統一的なブリード流量を実現するように構成されている。また、図8に示す制御弁177Rは、スプール弁としての制御弁174、175R、及び176Rのそれぞれの移動量の組み合わせに適した統一的なブリード流量を実現するように構成されている。この構成により、コントロールバルブ17は、複数の制御弁のそれぞれでブリード流量を調整する構成に比べ、圧力損失を低減させることができる。
但し、ブリード弁としての制御弁177は、制御弁171〜176のうちの少なくとも2つの制御弁のそれぞれの移動量の組み合わせに適した統一的なブリード流量を実現するように構成される2つ以上のブリード弁の組み合わせであってもよい。
或いは、ブリード弁としての制御弁177は、8つの制御弁171〜176のそれぞれのブリード流量を個別に調整できる8つのブリード弁の組み合わせであってもよい。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に制限されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形又は置換等が適用され得る。また、別々に説明された特徴は、技術的な矛盾が生じない限り、組み合わせが可能である。
例えば、上述の実施形態では、油圧式パイロット回路を備えた油圧式操作システムが開示されている。例えば、図3に示すようなアーム操作レバー26Aに関する油圧式パイロット回路では、パイロットポンプ15からアーム操作レバー26Aへ供給される作動油が、アーム操作レバー26Aの開き方向への傾倒によって開閉される遠隔制御弁の開度に応じた流量で、制御弁176のパイロットポートへ供給される。或いは、ブーム操作レバー26Bに関する油圧式パイロット回路では、パイロットポンプ15からブーム操作レバー26Bへ供給される作動油が、ブーム操作レバー26Bの上げ方向への傾倒によって開閉される遠隔制御弁の開度に応じた流量で、制御弁175のパイロットポートへ供給される。
但し、このような油圧式パイロット回路を備えた油圧式操作システムではなく、電気式パイロット回路を備えた電気式操作システムが採用されてもよい。この場合、電気式操作システムにおける電気式操作レバーのレバー操作量は、例えば、電気信号としてコントローラ30へ入力される。また、パイロットポンプ15と各制御弁のパイロットポートとの間には電磁弁が配置される。電磁弁は、コントローラ30からの電気信号に応じて動作するように構成される。この構成により、電気式操作レバーを用いた手動操作が行われると、コントローラ30は、レバー操作量に対応する電気信号によって電磁弁を制御してパイロット圧を増減させることで各制御弁を移動させることができる。なお、各制御弁は電磁スプール弁で構成されていてもよい。この場合、電磁スプール弁は、電気式操作レバーのレバー操作量に対応するコントローラ30からの電気信号に応じて動作する。
図11は、電気式操作システムの構成例を示す。具体的には、図11に示す電気式操作システムは、アームシリンダ8を伸縮させるためのアーム操作システムの一例であり、主に、パイロット圧作動型のコントロールバルブ17と、電気式操作レバーとしてのアーム操作レバー26Aと、コントローラ30と、アーム閉じ操作用の電磁弁62と、アーム開き操作用の電磁弁63とで構成されている。図11に示す電気式操作システムは、上部旋回体3を旋回させるための旋回操作システム、ブーム4を上下させるためのブーム操作システム、バケット6を開閉させるためのバケット操作システム、及び、下部走行体1を前進・後進させるための走行操作システム等にも同様に適用され得る。
パイロット圧作動型のコントロールバルブ17は、左走行用油圧モータ1Aに関する制御弁171(図3参照。)、右走行用油圧モータ1Bに関する制御弁172(図3参照。)、旋回用油圧モータ2Aに関する制御弁173(図3参照。)、ブームシリンダ7に関する制御弁175(図3参照。)、アームシリンダ8に関する制御弁176(図3参照。)、及び、バケットシリンダ9に関する制御弁174(図3参照。)等を含む。電磁弁62は、パイロットポンプ15と制御弁176の閉じ側パイロットポートとを繋ぐ油路内の作動油の圧力を調節できるように構成されている。電磁弁63は、パイロットポンプ15と制御弁176の開き側パイロットポートとを繋ぐ油路内の作動油の圧力を調節できるように構成されている。
手動操作が行われる場合、コントローラ30は、アーム操作レバー26Aの操作信号生成部が出力する操作信号(電気信号)に応じてアーム閉じ操作信号(電気信号)又はアーム開き操作信号(電気信号)を生成する。アーム操作レバー26Aの操作信号生成部が出力する操作信号は、アーム操作レバー26Aの操作量及び操作方向に応じて変化する電気信号である。
具体的には、コントローラ30は、アーム操作レバー26Aが閉じ方向に操作された場合、レバー操作量に応じたアーム閉じ操作信号(電気信号)を電磁弁62に対して出力する。電磁弁62は、アーム閉じ操作信号(電気信号)に応じて動作し、制御弁176の閉じ側パイロットポートに作用する、アーム閉じ操作信号(圧力信号)としてのパイロット圧を制御する。同様に、コントローラ30は、アーム操作レバー26Aが開き方向に操作された場合、レバー操作量に応じたアーム開き操作信号(電気信号)を電磁弁63に対して出力する。電磁弁63は、アーム開き操作信号(電気信号)に応じて動作し、制御弁176の開き側パイロットポートに作用する、アーム開き操作信号(圧力信号)としてのパイロット圧を制御する。
自律制御を実行する場合、コントローラ30は、例えば、アーム操作レバー26Aの操作信号生成部が出力する操作信号(電気信号)に応じる代わりに、自律操作信号(電気信号)に応じてアーム閉じ操作信号(電気信号)又はアーム開き操作信号(電気信号)を生成する。自律操作信号は、アーム操作レバー26Aの操作量及び操作方向とは無関係に生成される信号である。自律操作信号は、コントローラ30が生成する電気信号であってもよく、コントローラ30以外の制御装置等が生成する電気信号であってもよい。
また、上述の実施形態では、調整処理は、法面形成作業中のアーム閉じ動作を円滑にするために利用されているが、クレーンモードで動作するショベル100による吊り作業中のブーム上げ動作を円滑にするために利用されてもよい。この場合、コントローラ30は、調整処理を実行してブーム上げ動作を円滑にすることで、例えば、吊り荷を持ち上げる際の操作者によるブーム操作レバー26Bのブーム上げ方向へのレバー操作量の過度の増加を抑制できる。その結果、コントローラ30は、例えば、吊り荷が持ち上がったときにブーム4が急上昇してしまうのを防止できる。また、調整処理は、例えば、均し作業中の旋回動作を円滑にするために利用されてもよい。この場合、コントローラ30は、調整処理を実行して旋回動作を円滑にすることで、例えば、上部旋回体3(掘削アタッチメント)を旋回させながらバケット6の側面で土砂等を押し退ける際の操作者による旋回操作レバーの旋回方向へのレバー操作量の過度の増加を抑制できる。その結果、コントローラ30は、例えば、土砂等が押し退けられたときに上部旋回体3(掘削アタッチメント)が急旋回してしまうのを防止できる。なお、均し作業中の旋回動作によって土砂等が押し退けられた直後には、旋回用油圧モータ2Aに掛かる負荷が急減するため、コントローラ30は、典型的には、制御弁177の開口面積を増加させる。しかしながら、吊り作業中のブーム上げ動作によって吊り荷が持ち上げられた直後では、ブームシリンダ7に掛かる負荷が急減しないため、コントローラ30は、典型的には、そのときの制御弁177の開口面積が維持されるようにする。
また、上述の実施形態では、メインポンプ14の吐出量は、ネガティブコントロール制御によって制御されるように構成されている。しかしながら、メインポンプ14の吐出量は、ポジティブコントロール制御又はロードセンシング制御等の他の制御方式によって制御されるように構成されていてもよい。