JP2021017691A - 筒状構造体の接合構造及び接合方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】筒状体同士を接合する際に、美観を損なうことなく強固な構造を容易に実現する。【解決手段】一の筒状体1の一端1aと別の筒状体20の他端20aとを接合する筒状構造体の接合構造において、一の筒状体1の内側と別の筒状体20の内側とに跨って配置された中間部材10と、一の筒状体1の内面及び別の筒状体20の内面と中間部材10の外面との間に介在する第一の隙間Aに充填された充填材Mとを備える筒状構造体の接合構造とした。【選択図】図1
Description
この発明は、支柱等の各種の筒状構造体の接合構造、及び、その接合方法に関するものである。
一般に、街路や公園その他各種の施設には、上部に照明を備えた照明柱や、上部に標識を備えた標識柱、ガードレール等、各種ポールからなる筒状構造体(柱構造物)が設置される。これらの筒状構造体は金属製であり、その金属製の筒状の部材が、地盤に埋設されたコンクリート製等の基礎から立ち上がるように固定されている。
筒状構造体を長年使用していると、周辺環境の変化や新しい技術の実用化等によって、その設備の仕様や用途が変更される場合がある。例えば、筒状構造体が照明柱である場合に、その照明設備を水銀灯からLED方式に変更する場合等があげられる。このような仕様や用途の変更の場合、筒状構造体を建て替えなければならない事態も生じ得る。
また、筒状構造体の根元部の部材は、雨水の滞留や動物の***物等によって腐食しやすいので、部材が腐食すると筒状構造体を建て替えなければならない場合も生じ得る。さらに、標識柱や照明柱等のように、車両等の衝突による折れ曲がり等によって、筒状構造体を建て替えせざるを得ない場合も生じ得る。
また、筒状構造体の根元部の部材は、雨水の滞留や動物の***物等によって腐食しやすいので、部材が腐食すると筒状構造体を建て替えなければならない場合も生じ得る。さらに、標識柱や照明柱等のように、車両等の衝突による折れ曲がり等によって、筒状構造体を建て替えせざるを得ない場合も生じ得る。
このような建て替えの場合、既設の基礎のコンクリートを破砕して、基礎に埋め込まれた既設の筒状構造体をすべて除去し、その後、新規にコンクリート基礎を打設して、新規の筒状構造体を立ち上げる工法が一般的である。しかし、このような基礎の破砕や、既設の筒状構造体の除去は、手間と時間のかかる作業であり、さらに、大量の廃棄物も発生する。また、このような建て替えの場合、基礎や基礎に埋め込まれた部材は健全である場合も多い。
そこで、例えば、特許文献1〜3には、既設の基礎や、既設の筒状構造体の一部を利用して、新規の筒状構造体を立ち上げる各種の工法が開示されている。また、建築物における支柱を筒状構造体で構成した例として、例えば、特許文献4に記載されたものがある。
しかし、特許文献1に記載された発明では、既設の筒状構造体の内側に新規の筒状構造体を挿し入れる手法であるため、新規の筒状構造体は、柱の径が従前よりも小さいものに限定されてしまうという問題がある。逆に、特許文献2に記載された発明では、新規の筒状構造体が、柱の径が従前よりも大きいものに限定されてしまうという問題がある。
また、特許文献3に記載された発明においても、特許文献2と同様に、新規の筒状構造体の柱の径は、従前よりも大きいものとなっている。さらに、特許文献3の記載における新規の筒状構造体は、地盤上に立ち上がる鋼管分割体と、その上部にボルトで連結される新規の鋼管柱とからなる。鋼管分割体と鋼管柱とはフランジ接続されていることから、フランジの突出により美観を損なうという問題がある。さらに、鋼管分割体と鋼管柱との接続強度を高めるためには、フランジやボルトが大型化するという問題もある。また、特許文献4に記載された発明では、柱の全長を二重筒構造とするため、部材が大型化するとともに、部材同士の調心作業が煩雑であるという問題もある。
そこで、この発明の課題は、筒状体同士を接合する際に、美観を損なうことなく強固な構造を容易に実現することである。
上記の課題を解決するために、この発明は、一の筒状体の一端と別の筒状体の他端とを接合する筒状構造体の接合構造において、前記一の筒状体の内側と前記別の筒状体の内側とに跨って配置された中間部材と、前記一の筒状体の内面及び前記別の筒状体の内面と前記中間部材の外面との間に介在する第一の隙間に充填された充填材とを備える筒状構造体の接合構造を採用した。
ここで、前記中間部材の外面に固定され前記一の筒状体の軸心と前記別の筒状体の軸心とを調心するガイド部材を備えている構成を採用することができる。
また、前記一の筒状体の内面及び前記別の筒状体の内面のうち少なくとも一方と前記中間部材の外面との間に、前記充填材の遺漏を抑止するパッキンが配置されている構成を採用することができる。
これらの各態様において、前記一の筒状体の外側と前記別の筒状体の外側に跨って配置された筒状の根巻き部材を備え、前記一の筒状体の外面及び前記別の筒状体の外面と前記根巻き部材の内面との間に介在する第二の隙間に前記充填材が充填されている構成を採用することができる。
また、これらの各態様において、前記一の筒状体と前記別の筒状体とはその外径が同一である構成を採用することができる。
さらに、上記の課題を解決するために、この発明は、一の筒状体の一端と別の筒状体の他端とを接合する筒状構造体の接合方法において、前記一の筒状体の内部に中間部材を差し入れる工程と、前記一の筒状体の外側に前記一の筒状体の一端よりも突出する筒状の型枠部材を固定する工程と、前記型枠部材の内側に充填材を充填する工程と、前記型枠部材の内側に前記別の筒状体を差し入れて前記一の筒状体の一端に前記別の筒状体の他端が突き合わされる工程と、前記充填材を硬化させる工程とを備える筒状構造体の接合方法を採用した。
ここで、前記一の筒状体は、既設の筒状構造体の一部を除去して残存した部分である構成を採用することができる。
また、前記別の筒状体はガイド部材を介して前記一の筒状体の一端に突き合わされ、前記ガイド部材は、前記一の筒状体の軸心と前記別の筒状体の軸心とを調心する機能を有する構成を採用することができる。
これらの各態様において、前記一の筒状体の外側と前記別の筒状体の外側に跨って筒状の根巻き部材を配置し、前記一の筒状体の外面及び前記別の筒状体の外面と前記根巻き部材の内面との間に介在する第二の隙間に前記充填材が充填される構成を採用することができる。
この発明は、筒状体同士を接合する際に、美観を損なうことなく強固な構造を容易に実現することができる。
この発明の一実施形態を、図1〜図4に基づいて説明する。以下の各実施形態は、街路や公園その他各種の施設に設けられる既設の筒状構造体(照明柱や標識柱等)を、別の新規の筒状構造体(照明柱や標識柱等)に建て替える際の筒状構造体の施工方法、及び、その施工方法によって構築される筒状構造体の構造である。
図1は、この発明の一実施形態の筒状構造体を施工する際の様子を示したものであり、図2(a)(b)は、その要部を示している。図3A〜図3G、図4A〜図4Gは、それぞれ同実施形態の施工方法の手順を示している。既設の筒状構造体は、図3Aに示すように、金属製の筒状部材を主体に構成されている。その金属製の筒状部材が、地盤に打設されたコンクリート製の基礎Gに埋め込まれて、その基礎Gから上方へ向かって立ち上がるように固定されている。
まず、図3Aに示すように、既設の筒状構造体の一部2(以下、この実施形態では上部2と称する)を切断機等の工具3で切断して、その上部2を除去する工程を実施する。切断は、既設の筒状構造体1のうち、基礎Gに埋め込まれた部分を残存させ、それよりも上方にあたる上部2を除去するように行う。切断位置は、基礎Gの上面と面一としてもよいが、新規の筒状構造体への雨水の接触抑制を意図して、基礎Gの上面よりも少し上方を切断箇所としてもよい。図3Aに鎖線で示す部分が、除去される上部2である。図4Aは、図3Aの平面図である。なお、切断箇所の切り口が水平でない場合、あるいは、変形している場合は、必要に応じて修正を行う。
続いて、基礎G側に残存した既設の筒状構造体(以下、一の筒状体1又は既設筒状体1と称する。)の内部に、中間部材10を差し入れる工程を実施する。中間部材10も、金属製の筒状部材で構成されているが、これを中実の鋼棒等で構成してもよい。
中間部材10には、ガイド部材30が予め固定されている。ガイド部材30は、図1及び図2(a)(b)に示すように、リング状の板状部材で構成されている。ガイド部材30の固定方法としては、例えば、中間部材10の外面への部材の圧入、溶接、その他の手法を採用することができるが、この実施形態では、溶接による固定方法を採用している。
ガイド部材30が、予め中間部材10の軸方向中ほどに固定されているので、中間部材10を既設筒状体1内に差し入れる際に、ガイド部材30が既設筒状体1の上端1aに当接することで、ストッパ機能を発揮することができる。なお、このガイド部材30を中間部材10と別体にして、これらを、既設筒状体1内にガイド部材30、中間部材10の順に別々に差し入れてもよい。また、仕様によっては、ガイド部材30を適宜省略することも可能である。
中間部材10及びガイド部材30の差し入れは、図3Bに示すように、相対的に径の小さい中間部材10の下端10bを、相対的に径の大きい既設筒状体1の内側に挿入することで行う。図4Bは、図3Bの平面図である。
ここで、図1に示すように、既設筒状体1の内面と中間部材10の外面との間には、所定の寸法からなる第一の隙間Aが介在している状態である。また、中間部材10の下端10b付近において、既設筒状体1の内面と中間部材10の外面との間に、パッキン11が配置されている。パッキン11は、全周に亘って設けられ、後述の工程で、既設筒状体1の内面と中間部材10の外面との間に充填される充填材Mの下方への遺漏を抑止する機能と、中間部材10の調心機能を有する。パッキン11は、中間部材10の下端近くに配置されることが望ましい。また、パッキン11は、あらかじめ中間部材10の外面に接着等により固定されていると施工が容易である。なお、パッキン11が、既設筒状体1の内面と中間部材10の外面との間で突っ張れば、中間部材10が地中深くに脱落しないように保持することも可能である。
つぎに、図3Cに示すように、既設筒状体1の外側に筒状の根巻き部材40を配置する工程を実施する。根巻き部材40は、その下端40bが基礎G上に載置され、その上端40aは、既設筒状体1の切断側である一端1a(以下、上端1aと称する。)よりもさらに上方にまで立ち上がっている。図4Cは、図3Cの平面図である。この根巻き部材40は、仕様によっては適宜省略することも可能である。
そして、図3Dに示すように、既設筒状体1及び根巻き部材40のさらに外側に、筒状の型枠部材50を配置する工程を実施する。型枠部材50は、既設筒状体1の上端1a及び中間部材10の上端10aよりも上方へ突出している。型枠部材50は、周方向に沿って複数の部材に分割される構造となっている。この実施形態の型枠部材50は、図4Dに示すように、2つ割りの構成となっている。図4Dは、図3Dの平面図である。型枠部材50の内面は、シリコン・テフロン等で滑りやすくコーティングされている。
型枠部材50は、図1に示すように、その下端50dが基礎G上に載置され、その上端50cは中間部材10の上端10aよりもさらに上方にまで立ち上がっている。また、型枠部材50は、根巻き部材40の外面に接触する下部内面50bと、その下部内面50bよりも内側に突出する上部内面50aとを備えている。下部内面50bと上部内面50aとの間は、段部50eとなっている。この実施形態では、下部内面50bは中間部材10の外面全域に面接触しているが、下部内面50bは中間部材10を保持することができる限りにおいて、中間部材10の外面の一部のみに接触している形態でもよい。また、上部内面50aも、後述の新規筒状体20の外面全域に面接触する構成であることが望ましいが、新規筒状体20の外面の一部のみに接触している形態でもよい。
なお、型枠部材50は、基礎Gに対して支持部材60によって固定されている。支持部材60は、図3D及び図4Dに示すように、基礎Gの上面に平行な板面を有する基板部61と、その基板部61から立ち上がる複数のリブ部62、基板部61を貫通するようにねじ込まれてその先端が基礎Gの表面に当接するボルト63、型枠部材50の外面に沿う筒状部66等を備えている。筒状部66の下端は基礎Gの上面に接している。また、ボルト63のねじ込み量を調整することで、基板部61の高さ調整、筒状部66の鉛直状態への調整が可能である。基板部61及び筒状部66は、型枠部材50と同様の2つ割り構造であるので、その着脱が容易である。なお、筒状部66と型枠部材50とは、予め一体に固定されているものを用いてもよい。
そして、型枠部材50の内側に充填材Mを充填する工程を実施する。型枠部材50の内側へ流し込まれた充填材Mは、図3Eに示すように、ガイド部材30の周辺の隙間を通り抜けて、既設筒状体1の内面と中間部材10の外面との間に介在する第一の隙間A(図1参照)に入り込み、また、既設筒状体1の外面と根巻き部材40の内面との間に介在する第二の隙間B(図1参照)にも入り込む。充填材Mとしては、硬化時に収縮しない素材、特に、超速硬型無収縮モルタルが好ましいが、一般的な無収縮モルタルでもよい。あるいは、硬化時の収縮や膨張を許容する場合は、それ以外の各種のモルタル等の素材でもよい。図4Eは、図3Eの平面図である。
この型枠部材50の内側に、既設の筒状構造体とは別の新規の筒状構造体(以下、別の筒状体20又は新規筒状体20と称する。)を差し入れる工程を実施する(図3Eの矢印参照)。新規筒状体20は、ガイド部材30を介して既設筒状体1の上端1aに突き合わされる。これにより、既設筒状体1の上端1aに新規筒状体20の荷重が伝達される状態となる。既設筒状体1と新規筒状体20との間にガイド部材30が介在していれば、既設筒状体1の上端1aと新規筒状体20の下端20aの位置が、軸心oを中心とする半径方向に多少ずれていても、相互の荷重伝達が可能である。このため、多少の芯ずれがある場合や、内径や外径が異なる筒状体同士であっても、充分な強度を発揮できる。
また、この実施形態のガイド部材30は、既設筒状体1の軸心oと新規筒状体20の軸心oとを調心する機能を有している。図2に示すように、ガイド部材30は、リング状の本体部31と、その本体部31から外方へ突出する外側調心部33と、本体部31から内方へ突出する内側調心部32を備えている。外側調心部33の外縁は根巻き部材40の内面に当接し、内側調心部32の内縁は中間部材10の外面に当接する(あるいは溶接されている)ことで、ガイド部材30、根巻き部材40及び中間部材10は調心されている。また、ガイド部材30は、既設筒状体1側(下方)へ立ち上がる第一調心片34と、新規筒状体20側(上方)へ立ち上がる第二調心片35を備えている。第一調心片34の内面が既設筒状体1の外面に当接し、第二調心片35の内面が新規筒状体20の外面に当接することで、ガイド部材30に対して、既設筒状体1及び新規筒状体20を調心することができる。これにより、仮に、既設筒状体1の上端1aが変形を伴っていても、新規筒状体20との軸心oのずれを抑制できる。なお、第一調心片34と第二調心片35は、例えば、ガイド部材30を構成する板状部材の曲げ加工等により、所定の向きに立ち上がるように形成することができる。
新規筒状体20の差し入れは、充填材Mを充填した後すぐに行うことが望ましい。このとき、新規筒状体20の下端20aは、図2(b)に示すように、先細りの形状(鋭角状の先端)に加工されているので、充填材Mが新規筒状体20とガイド部材30との間に噛み込むことを防止できる。また、溢れた充填材Mは、中空の中間部材10の内部に落下する。なお、新規筒状体20の下端20aが先鋭な形状であっても、新規筒状体20の荷重による圧縮力は、充填材Mを経由して既設筒状体1に伝搬される。ここで、先鋭な下端20aは、新規筒状体20の外面と、軸心o側に向かって上端側へ傾斜するテーパ面20bとの成す稜線部となっている。
この実施形態では、既設筒状体1と新規筒状体20とはその内径が同一である。このため、図1に示すように、新規筒状体20の内面と中間部材10の外面との間にも、上記と同じ所定の寸法からなる第一の隙間Aが介在している状態である。なお、この実施形態では、既設筒状体1と新規筒状体20とはその外径も同一である。ただし、既設筒状体1の内径と新規筒状体20の内径、又は、既設筒状体1の外径と新規筒状体20の外径は、それぞれ互いに異なっていても、上記構成を採用することができる。このように、筒状体同士の内外径が異なる場合、前述のように、両者の間にガイド部材30を介在させることが望ましい。
つぎに、図3Fの状態で、充填材Mを硬化させる工程を実施する。充填材Mの硬化は、超速硬型無収縮モルタルであれば、概ね1時間程度で可能である。モルタル硬化後、図3Gに示すように、型枠部材50を取外し、周囲に付着している余分な充填材Mを除去して、全ての工程を完了する。型枠部材50の内面は、シリコン・テフロン等で滑りやすくコーティングされているので、充填材Mやその他部材との分離は容易である。図4F、図4Gは、それぞれ、図3F、図3Gの平面図である。
ここで、根巻き部材40は、既設筒状体1と新規筒状体20とに跨る状態であるので、充填材Mを介して既設筒状体1と新規筒状体20とをより強固に固定できる。また、既設筒状体1の上端1aの切断面は防錆処理がされていないので、根巻き部材40の内側に充填された充填材Mによって切断面を保護し、錆の発生を防ぐことができる。なお、根巻き部材40はメッキ等の防錆処理が成されていることが望ましい。
上記の接合方法によって構築された筒状構造体は、図1及び図3Gに示すように、既設筒状体1の内側と新規筒状体20の内側とに跨って配置された中間部材10と、中間部材10の外面に固定され既設筒状体1の軸心と新規筒状体20の軸心とを調心するガイド部材30と、既設筒状体1の内面及び新規筒状体20の内面と中間部材10の外面との間に充填された充填材Mとを備える接合構造を構成している。
この筒状構造体の接合構造では、中間部材10の外面は、既設筒状体1の内面及び新規筒状体20の内面との間に第一の隙間Aを介在し、その第一の隙間Aに充填材Mが充填されている。また、既設筒状体1の内面と中間部材10の外面との間に、充填材Mの遺漏を抑止するパッキン11が配置されている。
この実施形態では、既設筒状体1の内面と中間部材10の外面との間にのみパッキン11が配置されているが、新規筒状体20の内面と中間部材10の外面との間にもパッキン11を配置してもよい。特に、構築される筒状構造体が上下方向以外の向きである場合、例えば、横向きや斜め方向に構築される場合は、このようにパッキン11を中間部材10の軸方向両端に設けることが有効である。また、パッキン11を中間部材10の軸方向一方の端部にのみ設ける構成の場合は、中間部材10の軸方向他方の端部の外面に軸心調整用の間隔部材を配置することもできる。間隔部材は、必ずしも軸心回り全周にわたって連続的でなくてもよく、軸心回りに沿って複数個所に断続的に設けられていれば充分である。
さらに、この筒状構造体の接合構造では、既設筒状体1の外側と新規筒状体20の外側に跨って配置された筒状の根巻き部材40を備え、既設筒状体1の外面及び新規筒状体20の外面と根巻き部材40の内面との間に介在する第二の隙間Bにも、充填材Mが充填されている構成となっている。
他の実施形態を図5(a)〜(e)に示す。この実施形態は、前述の実施形態におけるガイド部材30、及び、根巻き部材40の設置を省略したものである。なお、型枠部材50を支える支持部材60は、図示省略している。その他の手順及び構造は共通であるので、その説明を省略する。なお、この図5の実施形態に、ガイド部材30を付加すること、あるいは、根巻き部材40を付加することは可能である。
さらに他の実施形態を図6に示す。上記の各実施形態では、型枠部材50の内側に充填材Mを充填した後、新規筒状体20を差し入れる手順としたが、この手順に代えて、図5に示すように、型枠部材50の内側に充填材Mを充填する前に、型枠部材50の内側に新規筒状体20を差し入れ、その後、新規筒状体20の内部に充填材Mを充填してもよい。このとき、充填材Mは、例えば、新規筒状体20の側面、あるいは、既設筒状体1の側面に形成した貫通孔を注入口E(図6には図示せず)として、その注入口Eを通じて内部に流し込むことができるが、この実施形態のように、新規筒状体20の高さが低い場合は、新規筒状体20の筒軸方向上端が開口しているので、その上端の開口から流し込んでもよい。径が大きい新規筒状体20を用いる場合、あるいは、ガードレールの支柱等のように背丈の低い新規筒状体20を用いる場合は、充填材Mの投入が比較的容易であるので、このような工法を採用することもできる。
また、注入口Eの形態は、例えば、図7に示すものでもよい。特に、照明柱のように背丈が高い長尺の新規筒状体20を用いる場合、新規筒状体20を内外に貫通する注入口Eを設けて、その注入口Eを通じて充填材Mを投入するのが便利である。図7では、新規筒状体20の軸方向中程に、内外を貫通する注入口Eが設けられている。この注入口Eは、照明設備用の電源設備の保守用開口を利用している。このような注入口Eが確保できる場合には、既設筒状体1と新規筒状体20とを突き合わせてから、ホース等を中間部材10と新規筒状体20との間に差し入れて、そのホースを通じて充填材Mを内部に充填することが可能である。なお、図7において、型枠部材50は、既設筒状体1の外面、及び、新規筒状体20の外面に密着するバンド等で構成されている。この実施形態における既設筒状体1及び新規筒状体20に密着する型枠部材50は、充填材Mの硬化後、撤去せずに残存させることが望ましい。
さらに他の実施形態を図8に示す。この実施形態は、下水管等のように筒状構造体が横向きの場合を想定し、既設筒状体1及び新規筒状体20を横向きの状態(水平状態あるいは傾斜状態)で接合するものである。このように、既設筒状体1及び新規筒状体20が横向きの場合は、中間部材10の軸方向一方の端部付近に充填材Mの注入口Eを下向きに、他方の端部付近に排気口Fを上向きに設け、既設筒状体1及び新規筒状体20を突き合わせた後に充填材Mを注入することにより、隙間を充填することが有効である。この場合、充填材Mの遺漏を防止するパッキン11,12は、中間部材10の軸方向両端にそれぞれ配置することが望ましい。
図9(a)(b)は、基礎Gから立ち上がるように新規筒状体20を設置する際に、支持装置70を用いる施工方法を示す説明図である。支持装置70は、複数の脚部71(図の例では3つの脚部71)と、その複数の脚部71の上端をヒンジ支持する支持部72、支持部72に設けられた立上がり部73、立上がり部73に設けられたクランプ部74等を備えている。脚部71は、支持部72に対してヒンジ軸回りに回動でき、その回動によって脚部71の下端が開閉自在である。クランプ部74は環状の部材で構成され、調整ボルト75を緩解することによってその内径が拡縮する。調整ボルト75を締め付けて、クランプ部74によって新規筒状体20の外周を保持し、その新規筒状体20を型枠部材50の直上に位置させる。このとき、中間部材10やその他の部材は既に施工済みとする。調整ボルト75をやや緩めながら新規筒状体20を手で支え、その新規筒状体20の下端20aを型枠部材50内に侵入させる。その後、充填材Mを充填し、充填材Mが硬化した後に支持装置70を撤去する。
図9の支持装置70は一例であり、これ以外の支持装置70を用いることも可能である。また、例えば、ガードレールの支柱のように、比較的長さの短い新規筒状体20の場合は、このような支持装置70を用いずに、作業者が手で持ち上げて新規筒状体20を設置することが可能である。
以上のように、この発明では、既設筒状体1及び新規筒状体20を、中間部材10及び充填材Mを介して一体化している。これにより、特許文献1,2のような従来構造では、内側の筒状体だけで作用力に抵抗したのに対し、この発明では、中間部材10(内側の筒状体)に加えて、既設筒状体1及び新規筒状体20(外側の筒状体)と充填材Mの圧縮部分も作用力に抵抗できるので、その接合部は、中間部材10(内側の筒状体)の耐力以上の耐力を確保できるという利点がある。
また、この発明では、溶接等の火気を使用しないので、作業が容易で且つ安全である。また、筒状体の外面にフランジ等の突起物がないので、美観上も優れている。さらに、中間部材10として筒状部材を採用すれば、接続後の筒状体の内部に空間を確保できるので、電線の配線や液体・気体の輸送に利用可能である。なお、中間部材10として、筒状部材(鋼管)を利用すれば、特殊な加工が不要であり、低コストでの施工が可能である。
この実施形態では、一の筒状構造体1(既設筒状体1)、中間部材10、別の筒状構造体20(新規筒状体20)、ガイド部材30、根巻き部材40、型枠部材50等をそれぞれ金属製としたが、強度と耐久性が確保され得る限りにおいて、これらの一部または全部を金属以外の素材、例えば、炭素繊維、樹脂等からなる素材を用いてもよい。また、根巻き部材40の設置位置は、上記実施形態のように基礎Gの上面に接する位置に限定されず、根巻き部材40の下端40bと基礎Gの上面との間に間隔を有するような位置としてもよい。
上記の実施形態では、一の筒状構造体1(既設筒状体1)、中間部材10、別の筒状構造体20(新規筒状体20)をそれぞれ断面円形としたが、これを断面四角形とするなど、他の断面形状とすることも可能である。また、この発明は、この照明柱、標識柱等の各種支柱の他、例えば、建築構造物の柱や梁、あるいは、電線等のケーブルの配線管や、液体・気体等の各種流体輸送管等にも利用可能である。
1 一の筒状体(既設筒状体)
10 中間部材
11 パッキン
20 別の筒状体(新規筒状体)
30 ガイド部材
40 根巻き部材
50 型枠部材
60 支持部材
70 支持装置
A 第一の隙間
B 第二の隙間
E 注入口
G 基礎
M 充填材
10 中間部材
11 パッキン
20 別の筒状体(新規筒状体)
30 ガイド部材
40 根巻き部材
50 型枠部材
60 支持部材
70 支持装置
A 第一の隙間
B 第二の隙間
E 注入口
G 基礎
M 充填材
Claims (9)
- 一の筒状体(1)の一端(1a)と別の筒状体(20)の他端(20a)とを接合する筒状構造体の接合構造において、
前記一の筒状体(1)の内側と前記別の筒状体(20)の内側とに跨って配置された中間部材(10)と、
前記一の筒状体(1)の内面及び前記別の筒状体(20)の内面と前記中間部材(10)の外面との間に介在する第一の隙間(A)に充填された充填材(M)と、
を備える筒状構造体の接合構造。 - 前記中間部材(10)の外面に固定され前記一の筒状体(1)の軸心と前記別の筒状体(20)の軸心とを調心するガイド部材(30)を備える請求項1に記載の筒状構造体の接合構造。
- 前記一の筒状体(1)の内面及び前記別の筒状体(20)の内面のうち少なくとも一方と前記中間部材(10)の外面との間に、前記充填材(M)の遺漏を抑止するパッキン(11)が配置されている請求項1又は2に記載の筒状構造体の接合構造。
- 前記一の筒状体(1)の外側と前記別の筒状体(20)の外側に跨って配置された筒状の根巻き部材(40)を備え、
前記一の筒状体(1)の外面及び前記別の筒状体(20)の外面と前記根巻き部材(40)の内面との間に介在する第二の隙間(B)に前記充填材(M)が充填されている請求項1から3のいずれか一つに記載の筒状構造体の接合構造。 - 前記一の筒状体(1)と前記別の筒状体(20)とはその外径が同一である請求項1から4のいずれか一つに記載の筒状構造体の接合構造。
- の筒状体(1)の一端(1a)と別の筒状体(20)の他端(20a)とを接合する筒状構造体の接合方法において、
前記一の筒状体(1)の内部に中間部材(10)を差し入れる工程と、
前記一の筒状体(1)の外側に前記一の筒状体(1)の一端(1a)よりも突出する筒状の型枠部材(50)を固定する工程と、
前記型枠部材(50)の内側に充填材(M)を充填する工程と
前記型枠部材(50)の内側に前記別の筒状体(20)を差し入れて前記一の筒状体(1)の一端(1a)に前記別の筒状体(20)の他端(20a)が突き合わされる工程と、
前記充填材(M)を硬化させる工程と、
を備える筒状構造体の接合方法。 - 前記一の筒状体(1)は、既設の筒状構造体の一部(2)を除去して残存した部分である請求項6に記載の筒状構造体の接合方法。
- 前記別の筒状体(20)はガイド部材(30)を介して前記一の筒状体(1)の一端(1a)に突き合わされ、
前記ガイド部材(30)は、前記一の筒状体(1)の軸心と前記別の筒状体(20)の軸心とを調心する機能を有する請求項6又は7に記載の筒状構造体の接合方法。 - 前記一の筒状体(1)の外側と前記別の筒状体(20)の外側に跨って筒状の根巻き部材(40)を配置し、
前記一の筒状体(1)の外面及び前記別の筒状体(20)の外面と前記根巻き部材(40)の内面との間に介在する第二の隙間(B)に前記充填材(M)が充填される請求項6から8のいずれか一つに記載の筒状構造体の接合方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019131966A JP2021017691A (ja) | 2019-07-17 | 2019-07-17 | 筒状構造体の接合構造及び接合方法 |
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- 2019-07-17 JP JP2019131966A patent/JP2021017691A/ja active Pending
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