JP2021016535A - X線ct装置及びx線管装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】デュアルエネルギースキャンにおいて、小さな焦点サイズで従来よりも高出力のX線を得ること。【解決手段】実施形態に係るX線CT装置は、X線管と、X線検出器と、回転部と、制御部とを備える。X線管は、熱電子を照射する第1の陰極及び第2の陰極と、熱電子を受けてX線を発生し、被検体の周囲全周に亘って設けられ、回転可能に保持される円環状の陽極と、陽極を回転駆動させる駆動部と、を備える。X線検出器は、X線管から照射されたX線を検出する。回転部は、X線管と、X線検出器とを回転可能に保持する。制御部は、第1の陰極と第2の陰極とを制御することで異なる管電圧のX線を発生させる。【選択図】 図4

Description

本発明の実施形態は、X線CT(Computed Tomography)装置及びX線管装置に関する。
被検体の体内組織が画像化された医用画像データを生成する医用画像診断装置が存在する。医用画像診断装置としては、X線CT装置及びMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置等が挙げられる。X線CT装置は、被検体にX線を照射することでX線検出器が検出したX線に基づく電気信号に基づいて、被検体のアキシャル断面又は3次元のCT画像データを生成する。
X線CT装置は、X線を発生するX線管を備える。X線管は、高電圧の印加により、陰極(フィラメント)から陽極に向けて熱電子を照射することでX線を発生する真空管である。X線管において、小さい焦点で高出力を得るためには、陽極上の焦点面が高温になるという問題がある。
また、X線CT装置によるスキャンの1つとして、異なるエネルギーのX線画像を取得するマルチエネルギースキャンが挙げられる。マルチエネルギースキャンは、異なる2種類のエネルギーのX線画像を取得するデュアルエネルギースキャンを含む概念である。マルチエネルギースキャンを実現するためには、X線CT装置にX線管が2個以上必要となるか、又は、X線管の陰極の管電圧を切り替える制御が必要となり、X線CT装置の構造上又は機能上の制約がある。
特開2013−000233号公報
本発明が解決しようとする課題は、デュアルエネルギースキャンにおいて、小さな焦点サイズで従来よりも高出力のX線を得ることである。
実施形態に係るX線CT装置は、X線管と、X線検出器と、回転部と、制御部とを備える。X線管は、熱電子を照射する第1の陰極及び第2の陰極と、熱電子を受けてX線を発生し、被検体の周囲全周に亘って設けられ、回転可能に保持される円環状の陽極と、陽極を回転駆動させる駆動部と、を備える。X線検出器は、X線管から照射されたX線を検出する。回転部は、X線管と、X線検出器とを回転可能に保持する。制御部は、第1の陰極と第2の陰極とを制御することで異なる管電圧のX線を発生させる。
図1は、第1の実施形態に係るX線CT装置の構成を示す概略図。 図2は、第1の実施形態に係るX線CT装置において、X線管及びX線高電圧装置の構成例と、2種類の管電圧の関係とを示す概略図。 図3は、比較例に係るX線管を備えた回転フレームの構成を正面から見た概略図。 図4は、第1の実施形態に係るX線管を備えた回転フレームの構成例を正面から見た概略図。 図5は、第1の実施形態に係るX線CT装置において、図4に示す回転フレームの構成例を示す側面図。 図6は、第1の実施形態に係るX線CT装置において、図4に示す回転フレームの動作を正面から見た概略図。 図7は、第2の実施形態に係るX線CT装置の構成を示す概略図。 図8は、第2の実施形態に係るX線CT装置において、2種類の管電圧の関係を示す図。 図9は、第2の実施形態に係るX線管を備えた回転フレームの構成例を正面から見た概略図。 図10は、第2の実施形態に係るX線CT装置において、図9に示す回転フレームの構成例を示す側面図。
以下、図面を参照しながら、X線CT装置及びX線管装置の実施形態について詳細に説明する。
なお、X線CT装置によるデータ収集方式には、X線管とX線検出器とが1体として被検体の周囲を回転する回転/回転(R−R:Rotate/Rotate)方式や、リング状に多数の検出素子がアレイされ、X線管のみが被検体の周囲を回転する固定/回転(S−R:Stationary/Rotate)方式等の様々な方式がある。いずれの方式でも本発明を適用可能である。以下、実施形態に係るX線CT装置では、現在、主流を占めている第3世代の回転/回転方式を採用する場合を例にとって説明する。
本発明の技術思想は、デュアルエネルギー(二重エネルギー)スキャンのみならず、マルチエネルギー(多重エネルギー)スキャンを実行する場合にも適用可能である。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るX線CT装置の構成を示す概略図である。
図1は、デュアルエネルギースキャンを実行可能な第1の実施形態に係るX線CT装置1を示す。X線CT装置1は、架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とを備える。架台装置10と寝台装置30とは、検査室に設置される。架台装置10は、寝台装置30に載置された被検体(例えば、患者)Pに関するX線の検出データ(「純生データ」とも呼ばれる)を収集する。図1において、説明の便宜上、架台装置10を左側の上下に複数描画しているが、実際の構成としては、架台装置10は1つである。
コンソール装置40は、検査室に隣接する制御室に設置される。コンソール装置40は、複数ビュー分の検出データに対して前処理を施すことで生データを生成し、生データに対して再構成処理を施すことでCT画像を再構成して表示する。
架台装置10は、X線管(「X線管装置」と同義)11と、第1のX線検出器121と、第2のX線検出器122と、回転部(例えば、回転フレーム)13と、X線高電圧装置14と、制御装置15と、第1のデータ収集回路(DAS:Data Acquisition System)181と、第2のDAS182と、固定部(例えば、固定フレーム)19とを備える。なお、架台装置10は、ウェッジと、コリメータとを備えるが、便宜上、それらの図示を省略する。なお、架台装置10は、架台部の一例である。
X線管11は、回転フレーム13に備えられる。X線管11は、複数の陰極と、1個の円環状の陽極とを備えた真空管である。例えば、X線管11は、第1の陰極(カソード)111と、第2の陰極112と、円環状の陽極(アノード)113(図1のグレーの部分)とを備える。陽極113は、銅塊の表面にターゲット(Target)を貼り付けた構造を備える。以下、陽極及びターゲットには同一符号113を付して説明する。X線高電圧装置14からの高電圧の印加により、第1の陰極111からターゲット113に向けて熱電子を照射することで、ターゲット113は第1のエネルギーのX線を発生すると共に、第2の陰極112からターゲット113に向けて熱電子を照射することで、ターゲット113は第2のエネルギーのX線を発生する。なお、X線管11の詳細構成については、図4〜図6を用いて後述する。また、X線管11は、X線照射部の一例である。
X線検出器121,122は、X線管11の2個の焦点位置それぞれに対向するように回転フレーム13に備えられる。具体的には、第1のX線検出器121は、ターゲット113の第1の焦点位置(図4に示す焦点位置F1)で発生された第1のエネルギーのX線が照射される位置に設けられると共に、第2のX線検出器122は、ターゲット113の第2の焦点位置(図4に示す焦点位置F2)で発生された第2のエネルギーのX線が照射される位置に設けられる。第1のX線検出器121は、第1の焦点位置から照射されたX線を検出し、当該X線量に対応した検出データを電気信号としてDAS181に出力すると共に、第2のX線検出器122は、第2の焦点位置から照射されたX線を検出し、当該X線量に対応した検出データを電気信号としてDAS182に出力する。
例えば、第1のX線検出器121は、第1の焦点位置を中心として1つの円弧に沿ってチャネル方向に複数のX線検出素子が配列された複数のX線検出素子列を有する。同様に、第2のX線検出器122は、第2の焦点位置を中心として1つの円弧に沿ってチャネル方向に複数のX線検出素子が配列された複数のX線検出素子列を有する。X線検出器121,122はそれぞれ、例えば、チャネル方向に複数のX線検出素子が配列されたX線検出素子列がスライス方向(列方向、row方向)に複数配列された構造を有する。
また、X線検出器121,122はそれぞれ、例えば、グリッドと、シンチレータアレイと、光センサアレイとを有する間接変換型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有し、シンチレータは入射X線量に応じた光子量の光を出力するシンチレータ結晶を有する。グリッドは、シンチレータアレイのX線入射側の面に配置され、散乱X線を吸収する機能を有するX線遮蔽板を有する。なお、グリッドはコリメータ(1次元コリメータ又は2次元コリメータ)と呼ばれる場合もある。光センサアレイは、シンチレータからの光量に応じた電気信号に変換する機能を有し、例えば、光電子増倍管(フォトマルチプライヤー:PMT)等の光センサを有する。
なお、X線検出器121,122はそれぞれ、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。また、X線検出器121,122はそれぞれ、X線検出部の一例である。
回転フレーム13は、第1の焦点位置(図4に示す焦点位置F1)と第1のX線検出器121とが対向するように、また、第2の焦点位置(図4に示す焦点位置F2)と第2のX線検出器122とが対向するように、X線管11と、第1のX線検出器121と、第2のX線検出器122とを支持する。回転フレーム13は、後述する制御装置15による制御の下、X線管11と、第1のX線検出器121と、第2のX線検出器122とを一体として回転させる円環状のフレームである。なお、回転フレーム13は、X線管11と、第1のX線検出器121と、第2のX線検出器122とに加え、X線高電圧装置14と、第1のDAS181と、第2のDAS182とのうち少なくとも1つを更に備えて支持する場合もある。また、回転フレーム13は、回転部の一例である。
このように、X線CT装置1は、回転フレーム13を患者Pの周りに回転させることで、各検出器により、複数ビュー、即ち、患者Pの360°分の検出データを収集する。なお、CT画像の再構成方式は、360°分の検出データを用いるフルスキャン再構成方式には限定されない。例えば、X線CT装置1は、半周(180°)+ファン角度分の検出データに基づいてCT画像を再構成するハーフ再構成方式を採ってもよい。
X線高電圧装置14は、回転フレーム13、又は、回転フレーム13を回転可能に保持する非回転部分である固定フレーム19に備えられる。X線高電圧装置14は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有する。X線高電圧装置14は、後述する制御装置15による制御の下、X線管11に印加する、異なる2種類以上の電圧(図2に図示する「HV1」、「HV2」)を発生する機能を有する高電圧発生装置と、後述する制御装置15による制御の下、X線管11が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置(図示省略)とを有する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。なお、図1において、説明の便宜上、X線高電圧装置14が、第1の陰極111に対してx軸の正方向の位置、かつ、第2の陰極112に対してx軸の負方向の位置に配置されているが、その場合に限定されるものではない。また、X線高電圧装置14は、X線高電圧部の一例である。
図2は、X線管11及びX線高電圧装置14の構成例と、2種類の管電圧の関係とを示す概略図である。図2(A)は、X線管11及びX線高電圧装置14の構成例を示し、図2(B)は、2種類の管電圧の関係を示す。
図2(A)は、X線管11と、X線高電圧装置14とを示す。図2(A),(B)に示すように、システム制御機能441は、高電圧発生装置HV1がX線管11の第1の陰極111に140kVの電圧を印加するように制御することで熱電子をターゲット113の第1の焦点位置F1に照射させると共に、高電圧発生装置HV2がX線管11の第2の陰極112に80kVの電圧を印加するように制御することで熱電子をターゲット113の第2の焦点位置F2に照射させる。そして、システム制御機能441は、1個のX線管11の2個の焦点から2種類のエネルギーのX線を同時に発生させて2個のX線検出器121,122にてそれぞれ検出させることにより、デュアルエネルギースキャンを実行させる。このような制御により、小焦点で高線量を確保しながら、1個の焦点で管電圧をビューごとに切り替える方式(いわゆる、Fast_kV方式)よりも高速のデュアルエナジースキャンが可能となる。また、1個のターゲット113上に2個の焦点を構築し、かつ、個別にX線出力を制御することが可能である。
なお、図2(B)において、1個のX線管11の2個の焦点から2種類のエネルギーのX線を同時に発生させるデュアルエネルギースキャンが実行される場合について説明したが、その場合に限定されるものではない。例えば、システム制御機能441は、前述のX線の同時発生にFast_kV方式を組み合わせる制御を行ってもよい。具体的には、システム制御機能441は、2個の焦点に対応する2個の陰極111,112の少なくとも一方の陰極を制御して、当該陰極の焦点から異なるエネルギーのX線をビューごとに高速に切り替える。その場合、3種類以上のエネルギーのX線によるマルチエネルギースキャンが可能である。
また、1個のX線管11が備える焦点の数も2個に限定されるものではない。X線高電圧装置14を小型化することにより、焦点を3個以上に増やす構成も可能である。この場合、3種類以上のエネルギーのX線によるマルチエネルギースキャンが可能となる。
図1の説明に戻って、制御装置15は、処理回路及びメモリと、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構とを有する。処理回路及びメモリの構成については、後述するコンソール装置40の処理回路44及びメモリ41と同等であるので説明を省略する。
制御装置15は、コンソール装置40又は架台装置10に取り付けられた、後述する入力インターフェース(図示省略)からの入力信号を受けて、架台装置10及び寝台装置30の動作制御を行う機能を有する。例えば、制御装置15は、入力信号を受けて回転フレーム13を回転させる制御や、架台装置10をチルトさせる制御や、寝台装置30及び天板33を動作させる制御を行う。なお、架台装置10をチルトさせる制御は、架台装置10に取り付けられた入力インターフェースによって入力される傾斜角度(チルト角度)情報により、制御装置15がX軸方向に平行な軸を中心に回転フレーム13を回転させることによって実現される。なお、制御装置15は架台装置10に設けられてもよいし、コンソール装置40に設けられてもよい。なお、制御装置15は、制御部の一例である。
また、制御装置15は、コンソール装置40や架台装置10に取り付けられた、後述する入力インターフェースから入力された撮像条件に基づいて、X線管11の回転角度や、後述するウェッジとコリメータと(図示省略)の動作を制御する。
図示が省略されたウェッジは、第1の焦点位置(図4に示す焦点位置F1)の出射側に配置されるように回転フレーム13に備えられると共に、第2の焦点位置(図4に示す焦点位置F2)の出射側に配置されるように回転フレーム13に備えられる。ウェッジは、制御装置15による制御の下、X線管11の各焦点位置から照射されたX線量を調節するためのフィルタである。具体的には、ウェッジは、X線管11の各焦点位置から患者Pに照射されるX線が予め定められた分布になるように、X線管11から照射されたX線を透過して減衰させるフィルタである。例えば、ウェッジ(ウェッジフィルタ(Wedge Filter)、又は、ボウタイフィルタ(bow−tie filter))は、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウムを加工したフィルタである。
図示が省略されたコリメータは、第1の焦点位置(図4に示す焦点位置F1)の出射側に配置されるように回転フレーム13に備えられると共に、第2の焦点位置(図4に示す焦点位置F2)の出射側に配置されるように回転フレーム13に備えられる。コリメータは、制御装置15による制御の下、各ウェッジを透過したX線の照射範囲を絞り込むための鉛板等であり、複数の鉛板等の組合せによってX線の照射開口を形成する。コリメータは、X線絞り又はスリットとも呼ばれる。
DAS181,182はそれぞれ、回転フレーム13に備えられる。第1のDAS181は、制御装置15による制御の下、第1のX線検出器121の各X線検出素子から出力される電気信号に対して増幅処理を行う増幅器と、制御装置15による制御の下、電気信号をデジタル信号に変換するA/D(Analog to Digital)変換器とを有し、増幅及びデジタル変換後の検出データを生成する。同様に、第2のDAS182は、第2のX線検出器122の各X線検出素子から出力される電気信号に対して増幅処理を行う増幅器と、A/D変換器とを有し、増幅及びデジタル変換後の検出データを生成する。DAS181,182によって生成された、複数ビュー分の検出データは、コンソール装置40にそれぞれ転送される。なお、DAS181,182はそれぞれ、データ収集部の一例である。
ここで、第1のDAS181によって生成された検出データは、回転フレーム13に設けられた発光ダイオード(LED)を有する送信機から光通信によって架台装置10の固定フレーム19に設けられたフォトダイオードを有する受信機に送信され、コンソール装置40に転送される。同様に、第2のDAS182によって生成された検出データはコンソール装置40に転送される。なお、回転フレーム13から架台装置10の固定フレーム19への検出データの送信方法は、前述の光通信に限らず、非接触型のデータ伝送であれば如何なる方式を採用しても構わない。また、回転フレーム13は、回転部の一例である。
固定フレーム19は、径方向の内側に、患者Pを配置するためのボアWを形成する。固定フレーム19は、回転フレーム13を回転可能に支持する。なお、固定フレーム19は、固定部の一例である。
寝台装置30は、基台31と、寝台駆動装置32と、天板33と、支持フレーム34とを備える。寝台装置30は、スキャン対象の患者Pを載置し、制御装置15による制御の下、患者Pを移動させる装置である。
基台31は、支持フレーム34を鉛直方向(y軸方向)に移動可能に支持する筐体である。寝台駆動装置32は、患者Pが載置された天板33を天板33の長軸方向(z軸方向)に移動するモータ又はアクチュエータである。支持フレーム34の上面に設けられた天板33は、患者Pを載置可能な形状を有する板である。
なお、寝台駆動装置32は、天板33に加え、支持フレーム34を天板33の長軸方向(z軸方向)に移動させてもよい。また、寝台駆動装置32は、寝台装置30の基台31ごと移動させてもよい。本発明を立位CTに応用する場合、天板33に相当する患者移動機構を移動する方式であってもよい。また、ヘリカルスキャンや位置決め等のためのスキャノ撮影等、架台装置10の撮像系と天板33の位置関係の相対的な変更を伴う撮影を実行する場合は、当該位置関係の相対的な変更は天板33の駆動によって行われてもよいし、架台装置10の固定フレーム19の走行によって行われてもよく、またそれらの複合によって行われてもよい。
なお、実施形態では、非チルト状態での回転フレーム13の回転軸又は寝台装置30の天板33の長手方向をz軸方向、z軸方向に直交し、床面に対し水平である軸方向をx軸方向、z軸方向に直交し、床面に対し垂直である軸方向をy軸方向とそれぞれ定義するものとする。
コンソール装置40は、メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インターフェース43と、処理回路44とを備える。なお、コンソール装置40は架台装置10とは別体として説明するが、架台装置10にコンソール装置40又はコンソール装置40の各構成要素の一部が含まれてもよい。また、以下の説明では、コンソール装置40が単一のコンソールで全ての機能を実行するものとするが、これらの機能は、複数のコンソールが実行してもよい。なお、コンソール装置40は、医用画像処理装置の一例である。
メモリ41は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等によって構成される。メモリ41は、USB(Universal Serial Bus)メモリ及びDVD(Digital Video Disk)等の可搬型メディアによって構成されてもよい。メモリ41は、処理回路44において用いられる各種処理プログラム(アプリケーションプログラムの他、OS(Operating System)等も含まれる)や、プログラムの実行に必要なデータを記憶する。また、OSに、操作者に対するディスプレイ42への情報の表示にグラフィックを多用し、基礎的な操作を入力インターフェース43によって行うことができるGUI(Graphic User Interface)を含めることもできる。
メモリ41は、例えば、前処理前の検出データや、前処理後かつ再構成前の生データや、再構成後のCT画像を記憶する。前処理は、検出データに対する、対数変換処理、オフセット補正処理、チャンネル間の感度補正処理、ビームハードニング処理等のうち少なくとも1つを意味する。また、インターネット等の通信ネットワークを介してX線CT装置1と接続可能なクラウドサーバがX線CT装置1からの保存要求を受けて検出データや、生データや、CT画像を記憶するように構成されてもよい。なお、メモリ41は、記憶部の一例である。
ディスプレイ42は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路44によって生成されたCT画像や、ユーザからの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。例えば、ディスプレイ42は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ等である。また、ディスプレイ42は、架台装置10に設けられてもよい。また、ディスプレイ42は、デスクトップ型でもよいし、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしてもよい。なお、ディスプレイ42は、表示部の一例である。
入力インターフェース43は、技師等の操作者によって操作が可能な入力デバイスと、入力デバイスからの信号を入力する入力回路とを含む。入力デバイスは、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、操作面に触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等によって実現される。入力デバイスが操作者から入力操作を受け付けると、入力回路は当該入力操作に応じた電気信号を生成して処理回路44に出力する。また、入力インターフェース43は、架台装置10に設けられてもよい。また、入力インターフェース43は、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されてもよい。なお、入力インターフェース43は、入力部の一例である。
処理回路44は、X線CT装置1の全体の動作を制御する。処理回路44は、専用又は汎用のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processor Unit)、又はGPU(Graphics Processing Unit)の他、ASIC、及び、プログラマブル論理デバイス等を意味する。プログラマブル論理デバイスとしては、例えば、単純プログラマブル論理デバイス(SPLD:Simple Programmable Logic Device)、複合プログラマブル論理デバイス(CPLD:Complex Programmable Logic Device)、及び、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Array)等が挙げられる。なお、処理回路44は、処理部の一例である。
また、処理回路44は、単一の回路によって構成されてもよいし、複数の独立した処理回路要素の組み合わせによって構成されてもよい。後者の場合、メモリは処理回路要素ごとに個別に設けられてもよいし、単一のメモリが複数の処理回路要素の機能に対応するプログラムを記憶するものであってもよい。
処理回路44は、メモリ41に記憶されたプログラムを実行することで、システム制御機能441と、前処理機能442と、再構成処理機能443とを実現する。なお、機能441〜443の全部又は一部は、コンソール装置40のプログラムの実行により実現される場合に限定されるものではなく、コンソール装置40にASIC等の回路として備えられる場合であってもよい。また、機能441〜443の全部又は一部は、コンソール装置40のみならず、制御装置15に備えられる場合もある。
システム制御機能441は、X線管11の第1の陰極111と第2の陰極112とを制御することで異なる管電圧のX線を発生させる機能を含む。具体的には、システム制御機能441は、予め設定されたスキャン条件に従って、X線管11と、第1のX線検出器121と、第2のX線検出器122と、回転フレーム13と、X線高電圧装置14等の動作を制御することでデュアルエネルギースキャンを実行させ、各エネルギーについて複数ビュー分の検出データを取得する機能を含む。例えば、スキャン条件は、照射X線に関する、管電流mA、管電圧kV、X線強度制御条件(モジュレーション条件)、X線管11(又は、回転フレーム13)の回転速度等を含む。なお、システム制御機能441は、制御部の一例である。
第1の実施形態に係るX線CT装置1において、システム制御機能441は、X線管11の第1の陰極111と第2の陰極112とを制御することで、異なる管電圧のX線を同時に、又は、交互に発生させることができる。また、後述する第2の実施形態に係るX線CT装置1A(図7に図示)において、システム制御機能441は、X線管11Aの第1の陰極111と第2の陰極112とを制御することで、異なる管電圧のX線を交互に発生させることができる。
前処理機能442は、システム制御機能441によって収集された複数ビュー分の検出データに対して前処理を施すことで、各エネルギーについて複数ビュー分の生データを生成する機能を含む。なお、前処理機能442は、前処理部の一例である。
再構成処理機能443は、前処理機能442によって前処理後の複数ビュー分の生データに対して画像再構成処理を行うことで、各エネルギーについてCT画像データを生成する機能を含む。また、再構成処理機能443は、CT画像データをメモリ41に記憶させる機能や、CT画像データをCT画像としてディスプレイ42に表示させる機能や、CT画像データをネットワークインターフェース(図示省略)を介して外部装置に送信する機能を含む場合もある。なお、再構成処理機能443は、再構成処理部の一例である。
続いて、図3を用いて、比較例に係るX線管を備えた回転フレームの構成について説明する。また、図4〜図6を用いて、実施形態に係るX線管11を備えた回転フレーム13の構成及び動作について説明する。
図3は、比較例に係るX線管を備えた回転フレームの構成を正面から見た概略図である。
図3は、回転フレーム13と、回転フレーム13に固定される第1のX線管91と、回転フレーム13に固定される第2のX線管92とを示す。第1のX線管91は、第1の陰極911と、第1のターゲット913とを備える。また、第2のX線管92は、第2の陰極922と、第2のターゲット923とを備える。図3において、回転フレーム13の回転中心軸を「C」と定義し、第1のターゲット913の回転中心軸を「E1」と定義し、第2のターゲット923の回転中心軸を「E2」と定義する。
陰極911,922と、ターゲット913,923と、X線検出器121,122とは、回転フレーム13と共に回転中心軸C周りに回転する。第1のターゲット913は、回転フレーム13に対してさらに回転中心軸E1周りに回転する。つまり、第1のターゲット913を回転中心軸E1周りに回転させることで、第1のX線管91は、第1のターゲット913の陰極911側の面(以下、「焦点面」という)T1上で焦点位置G1をずらしながらX線を発生させる。同様に、第2のターゲット923は、回転フレーム13に対してさらに回転中心軸E2周りに回転する。つまり、第2のターゲット923を回転中心軸E2周りに回転させることで、第2のX線管92は、第2のターゲット923の陰極922側の焦点面T2上で焦点位置G2をずらしながらX線を発生させる。
第1のターゲット913で発生されたX線は、ボアWに配置された患者を透過し、回転フレーム13に保持される第1のX線検出器121で検出される。このように、回転中心軸C周りに回転される回転フレーム13上で、さらに回転中心軸E1周りに回転される第1のターゲット913が焦点面T1の各焦点位置G1でX線を発生することで、デュアルエネルギースキャンの一方のスキャンが実行される。同様に、第2のターゲット923で発生されたX線は、ボアWに配置された患者を透過し、回転フレーム13に保持される第2のX線検出器122で検出される。このように、回転中心軸C周りに回転される回転フレーム13上で、さらに回転中心軸E2周りに回転される第2のターゲット923が焦点面T2の各焦点位置G2でX線を発生することで、デュアルエネルギースキャンの他方のスキャンが実行される。
このようなデュアルエネルギースキャンにおいて、X線管91,92で小さい焦点で高出力を得ようとすると、ターゲット913,923の焦点面T1,T2の面積が小さいため、ターゲット913,923の焦点面T1,T2が高温になる。さらに、ターゲット913,923の回転中心軸E1,E2の位置を維持したままの構造で高温化を克服しようとターゲット913,923の焦点面T1,T2の面積を拡張する手法を採ることも考えられる。しかし、その手法を採ることは、ターゲット913,923の設置スペースや、回転フレーム13の回転の遠心力の影響により困難である。そこで、第1のターゲット913の回転中心軸E1の位置と、第2のターゲット923の回転中心軸E2の位置とを回転中心軸C付近までシフトさせつつ、ターゲット913,923の焦点面T1,T2の面積を拡げることを考える(条件1)。
一方で、CT画像のアキシャル断面は、x−y面と平行となる場合が好適であり、また、第3世代のX線検出器121,122を流用するためにX線検出器121,122のサイズを変更しないことが好適である(条件2)。
そこで、上記条件1,2の両方を満足させる場合について考える。すなわち、CT画像のアキシャル断面がx−y面と平行となり、かつ、X線検出器121,122のサイズを変更させないことを前提として、回転中心軸E1,E2の位置を回転中心軸C付近までシフトさせつつ焦点面T1,T2の面積を拡げることを考える。
CT画像のアキシャル断面がx−y面と平行となり、かつ、X線検出器121,122のサイズを変更させないことを前提とし、回転中心軸E1,E2の位置を回転中心軸C付近までシフトさせる場合、第1のターゲット913の回転中心軸E1と、第2のターゲット923の回転中心軸E2とが、回転中心軸Cから所定の傾斜角度をもつ構成を採ることで、焦点面T1,T2の面積を拡げることができる。
図4は、X線管11を備えた回転フレーム13の構成例を正面から見た概略図である。図5は、図4に示す回転フレーム13の構成例を示す側面図である。
X線CT装置1は、回転フレーム13に、1個のX線管11と、2個のX線検出器121,122とを備える。1個のX線管11は、熱電子を照射する複数、例えば、2個の陰極111,112と、円環状の1個のターゲット113(図4及び図5のグレー部分)とを備える。また、回転フレーム13とターゲット113とは、回転中心軸がそれぞれ異なるように配置される。なお、図5の左側において、第1の陰極111は、第2の陰極112の奥側(X軸の負方向の側)に位置し、第1の焦点位置F1は、第2の焦点位置F2の奥側に位置し、第2のX線検出器122は、第1のX線検出器121の奥側に位置するので、それぞれ図示されていない。同様に、図5の右側において、第2の陰極112は、第1の陰極111の奥側に位置し、第2の焦点位置F2は、第1の焦点位置F1の奥側に位置し、第1のX線検出器121は、第2のX線検出器122の奥側に位置するので、それぞれ図示されていない。
図5において、回転フレーム13の回転中心軸を「C」と定義し、回転フレーム13に対するターゲット113の回転中心軸を「D」と定義する。また、図4及び図5において、回転中心軸Cと回転中心軸Dとの交点を、撮像中心、つまり、回転中心Iと定義する。
図4を用いてX線管11について説明する。ターゲット113は、回転中心Iを含む回転中心軸D、つまり、患者Pの周囲全周に亘るように円環状に設けられる。
陰極111,112と、ターゲット113と、X線検出器121,122とは、回転フレーム13と共に回転中心Iを含む回転中心軸C周りに回転する。ターゲット113は、回転フレーム13に対してさらに回転中心Iを含む回転中心軸D周りに回転する。つまり、ターゲット113を、回転フレーム13に対してさらに回転させることで、X線管11は、ターゲット113の焦点面U上で熱電子の照射位置をずらしながら焦点位置F1からX線を発生させると共に、ターゲット113の焦点面U上で熱電子の照射位置をずらしながら焦点位置F2からX線を発生させる。
ターゲット113の焦点位置F1で発生され、ウェッジ及びコリメータ(図示省略)を通過したX線は、ボアWに配置された患者を透過し、回転フレーム13に保持される第1のX線検出器121で検出される。このように、回転中心軸C周りに回転される回転フレーム13上で、さらに回転中心軸D周りに回転されるターゲット113が焦点面Uの各焦点位置F1でX線を発生することで、複数ビューのデータを収集する、デュアルエネルギースキャンの一方のスキャンが実行される。同様に、ターゲット113の焦点位置F2で発生され、ウェッジ及びコリメータ(図示省略)を通過したX線は、ボアWに配置された患者を透過し、回転フレーム13に保持される第2のX線検出器122で検出される。このように、回転中心軸C周りに回転される回転フレーム13上で、さらに回転中心軸D周りに回転されるターゲット113が焦点面Uの各焦点位置F2でX線を発生することで、複数ビューのデータを収集する、デュアルエネルギースキャンの他方のスキャンが実行される。
図3に示すターゲット913,923と比較して、図4に示すX線管11では、図3に示す焦点面T1,T2の面積を焦点面Uまで拡げることができるので、デュアルエネルギースキャンにおいて、小さい焦点で高出力を得ることができるという効果がある。また、ターゲット113では、デュアルエネルギースキャンにおいて、焦点面Uの高温化を抑制することができる。さらに、ターゲット113では、デュアルエネルギースキャンにおいて、回転フレーム13の回転によるターゲット113の耐遠心力が向上するという効果がある。
図5を用いて、図4に示す回転フレーム13の構成例について説明する。図5の左側は、X線管11の陰極111,112が、上側に位置する場合のX線管11等の構成を示す。一方で、図5の右側は、X線管11の陰極111,112が、下側に位置する場合のX線管11等の構成を示す。即ち、図5の右側は、回転フレーム13の回転角度が左側とは180度異なる場合のX線管11等の構成を示す。
回転フレーム13は、真空容器Vと、第1のX線検出器121と、第2のX線検出器122とを保持する。回転フレーム13が回転中心軸C周りに回転することで、真空容器Vと、第1のX線検出器121と、第2のX線検出器122とは、回転フレーム13と一体として回転中心軸C周りに回転する。
また、真空容器Vは、その内部に、支持部Bと、ターゲット113を回転中心軸D周りに回転駆動させる駆動部(例えば、回転駆動フレーム)Rと、X線管11とを備える。支持部Bは、真空容器Vの内壁に固定され、真空容器Vと共に回転する。回転駆動フレームRは、支持部Bの周方向に配置された複数のボールベアリングLを介して、支持部Bに対して周方向に回転可能なように支持部Bに保持される。X線管11のターゲット113は、回転駆動フレームRに固定され、回転駆動フレームRと共に回転する。また、支持部Bと、回転駆動フレームRと、X線管11のターゲット113とは、回転中心軸Dを中心とする円周に沿って配置される。一方で、X線管11の陰極111は、真空容器Vの凸部V1において真空容器Vの内壁に固定される一方で、X線管11の陰極112は、真空容器Vの凸部V2において真空容器Vの内壁に固定される。つまり、X線管11の陰極111,112は、真空容器Vと共に回転する。
回転フレーム13は、回転駆動フレームRを回転駆動させるための駆動手段を支持する。駆動手段としては、例えば、ターゲット113の円環状の沿って設けられる直接駆動型のモータ(図示省略)、即ち、DDモータが用いられる。DDモータの動作により、回転駆動フレームRが複数のボールベアリングLを介して支持部Bに対して回転中心軸D周りに回転することで、回転駆動フレームRに固定されるターゲット113は、回転中心軸D周りに回転する。つまり、真空容器Vと、第1のX線検出器121と、第2のX線検出器122とは、回転フレーム13と共に回転可能であり、真空容器V内部のターゲット113は、回転駆動フレームRと共に、回転フレーム13の回転とは独立に、真空容器Vの内部でさらに回転可能である。
ここで、ターゲット113は、その回転中心軸Dが回転中心Iにおいて回転中心軸Cと重なるように配置される。また、ターゲット113は、第1の焦点位置F1と第1のX線検出器121の検出面の中心位置とを結ぶ直線が鉛直(y軸と平行)となるように、また、第2の焦点位置F2と第2のX線検出器122の検出面の中心位置とを結ぶ直線が鉛直となるように配置される。さらに、ターゲット113は、第1の焦点位置F1と第1のX線検出器121の検出面の中心位置とを結ぶ直線方向を中心としてX線が照射されるようにそのターゲットアングルが成形され、また、第2の焦点位置F2と第2のX線検出器122の検出面の中心位置とを結ぶ直線方向を中心としてX線が照射されるようにそのターゲットアングルが成形される。それにより、得られるCT画像のアキシャル断面がx−y面と平行となる。
図5に示すように、回転駆動フレームRの回転中心軸Dは、回転フレーム13の回転中心軸Cに対して傾斜している。傾斜する回転駆動フレームRのうち、z軸の負方向に最も突出する部分が最上部に位置する場合における回転フレーム13の回転角度位置をホームポジションと定義する。図4と図5の左側とは、回転フレーム13のホームポジションにおける配置を示す。回転フレーム13のホームポジションにおいて、回転駆動フレームRの回転中心軸Dは、回転フレーム13の回転中心軸Cに対して、y−z面内で所定の傾斜角度αを有する。所定の傾斜角度αは、X線検出器121,122の検出素子の列数(z軸の平行方向における数)に応じて適切に決められる。
また、第1の陰極111と第2の陰極112とは、ターゲット113上の第1の焦点位置F1と、ターゲット113上の第2の焦点位置F2とが回転フレーム13の回転中心軸Cの方向で略一致するように回転フレーム13に保持されることが好適である。それは、第1の焦点位置F1に対応する第1のX線検出器121と、第2の焦点位置F2に対応する第2のX線検出器122とで同一のアキシャル断面の断層像を得るためである。例えば、回転フレーム13のホームポジションにおいて、回転中心Iを含むy−z平面に対して面対称となる位置に焦点位置F1,F2が配置されるように凸部V1,V2、つまり、陰極111,112が配置される。特に、回転フレーム13のホームポジションにおいて、焦点位置F1,F2は、回転中心Iを含むy−z平面に対して面対称となる位置に配置され、かつ、第1の焦点位置F1と回転中心Iとを結ぶ直線と、第2の焦点位置F2と回転中心Iとを結ぶ直線とが直交するように配置されることが好適である(図4に図示)。
なお、図3に示す比較例と比較して、図5では、ターゲット113等が一定の傾斜角度αをもって配置されるため、架台装置10がz軸方向に大型化するようにも思われる。しかし、X線管11では、比較例に係る従来型のターゲット913,923(図3に図示)の回転を行うための機構(ロータ及びステータ等)をz軸方向に構成する必要がなくなり、真空管の表積が大きくなることにより大型の冷却装置の設置が不要となるため、架台装置10の大型化を最小限に抑制することができる。
続いて、図6を用いて、回転フレーム13及びターゲット113の回転速度及び回転方向について説明する。図6は、図4に示す回転フレーム13の動作を正面から見た概略図である。ターゲット113は、回転フレーム13に対して「0」を超える速さで回転するように構成される。つまり、ターゲット113は、回転フレーム13の回転方向と同一方向に、回転フレーム13に対して「0」を超える速度で回転するように構成されるか、又は、回転フレーム13の回転方向とは反対方向に、回転フレーム13に対して「0」を超える速度で回転するように構成される。
図6に示すように、回転フレーム13の回転により陰極111,112が時計周りに速度J1で回転する。一方で、ターゲット113は、回転駆動フレームRの回転により、時計周りに、回転フレーム13に対して相対速度J2で回転する。相対速度J2は、「0」ではない。相対速度J2が「0」である場合は、回転フレーム13の回転により第1の陰極111と、第2の陰極112と、ターゲット113とが同一方向に同一速度で回転することになり、ターゲット113における熱電子の照射位置が分散しないためである。
なお、回転フレーム13等の回転方向(速度J1での回転方向)と、回転フレーム13に対するターゲット113等の回転方向(相対速度J2での回転方向)とは同一方向の場合の場合に限定されるものではない。回転フレーム13等の回転方向と、回転フレーム13に対するターゲット113等の回転方向とは、反対方向であっても同等の効果が得られる。
図4〜図6を用いて、回転フレーム13に対して回転するターゲット113の場合について説明したが、固定フレーム19に対して固定された円環状のターゲットを採用する構成を採ることも考えられる。しかし、その場合、全周分、又は、ハーフ分のチャンネルを備えたX線検出器の設置が必要になる。回転フレーム13に対して回転する図4〜図6に示すターゲット113によれば、第3世代のX線CT装置に備えられるX線検出器や、データ処理手法、X線高電圧装置、高電圧ケーブルを流用することができる。
以上のように、図1、図2、図4〜図6に示すX線管11によれば、デュアルエネルギースキャンにおいて、架台装置10の大型化を抑えつつ、小さな焦点サイズで従来よりも高出力のX線を得ることができる。また、X線管11によれば、デュアルエネルギースキャンにおいて、焦点面Uの高温化を抑制することができるので冷却装置の設置を不要とすると共に、回転フレーム13の回転によるターゲット113の耐遠心力が格段に向上するという効果がある。さらに、X線管11によれば、1個のX線管11で、異なるエネルギーのX線の同時発生によるデュアルエネルギースキャンを実行することもできる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係るX線CT装置は、第1の実施形態に係るX線CT装置と異なり、1個のX線管に含まれる2個の陰極に対して、1個のX線検出器(例えば、X線検出器121)を備えるものである。
図7は、第2の実施形態に係るX線CT装置の構成を示す概略図である。
図7は、デュアルエネルギースキャンを実行可能な第2の実施形態に係るX線CT装置1Aを示す。X線CT装置1Aは、架台装置10Aと、寝台装置30と、コンソール装置40とを備える。架台装置10Aと寝台装置30とは、検査室に設置される。架台装置10Aは、寝台装置30に載置された被検体(例えば、患者)Pに関するX線の検出データ(「純生データ」とも呼ばれる)を収集する。図7において、説明の便宜上、架台装置10Aを左側の上下に複数描画しているが、実際の構成としては、架台装置10Aは1つである。
架台装置10Aは、X線管11Aと、1個のX線検出器121と、回転フレーム13と、X線高電圧装置14と、制御装置15と、DAS181と、固定フレーム19とを備える。なお、架台装置10Aは、ウェッジと、コリメータとを備えるが、便宜上、それらの図示を省略する。なお、架台装置10Aは、架台部の一例である。
X線検出器121は、X線管11Aの2個の焦点位置の組に対向するように回転フレーム13に備えられる。具体的には、X線検出器121は、ターゲット113の焦点位置(図9に示す焦点位置F1)で発生された第1のエネルギーのX線と、ターゲット113の焦点位置(図9に示す焦点位置F2)で発生された第2のエネルギーのX線とが照射される位置に設けられる。X線検出器121は、第1の陰極111から照射された熱電子に基づいて発生する第1のX線と、第2の陰極112から照射された熱電子に基づいて発生する第2のX線とを検出する。なお、図7において、図1に示すX線CT装置1と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
図8は、2種類の管電圧の関係を示す図である。
システム制御機能441は、高電圧発生装置HV1(図2(A)に図示)がX線管11Aの第1の陰極111に140kVの電圧を印加するように制御することで熱電子をターゲット113の第1の焦点位置F1に照射させると共に、高電圧発生装置HV2(図2(A)に図示)がX線管11Aの第2の陰極112に80kVの電圧を印加するように制御することで熱電子をターゲット113の第2の焦点位置F2に照射させる。そして、システム制御機能441は、1個のX線管11Aの2個の焦点から2種類のエネルギーのX線を交互に発生させて1個のX線検出器121にて検出させることにより、デュアルエネルギースキャンを実行させる。このような制御により、小焦点で高線量を確保しながら、1個の焦点で管電圧をビューごとに切り替える方式よりも高速のデュアルエナジースキャンが可能となる。また、1個のターゲット113上に2個の焦点を構築し、かつ、個別にX線出力を制御することが可能である。
なお、図8において、1個のX線管11Aの2個の焦点から2種類のエネルギーのX線を交互に発生させるデュアルエネルギースキャンが実行される場合について説明したが、その場合に限定されるものではない。例えば、システム制御機能441は、前述のX線の交互発生にFast_kV方式を組み合わせる制御を行ってもよい。具体的には、システム制御機能441は、2個の焦点に対応する2個の陰極111,112の少なくとも一方の陰極を制御して、当該陰極の焦点から異なるエネルギーのX線をビューごとに高速に切り替える。その場合、3種類以上のエネルギーのX線によるマルチエネルギースキャンが可能である。
図9は、回転フレーム13の構成例を正面から見た概略図である。図10は、図9に示す回転フレーム13の構成例を示す側面図である。
X線CT装置1Aは、回転フレーム13に、1個のX線管11Aと、1個のX線検出器121とを備える。1個のX線管11Aは、複数、例えば、2個の陰極111,112と、円環状の1個のターゲット113(図9及び図10のグレー部分)とを備える。また、回転フレーム13とターゲット113とは、回転中心軸がそれぞれ異なるように配置される。なお、図10の左側において、第1の陰極111は、第2の陰極112の奥側(X軸の負方向の側)に位置し、第1の焦点位置F1は、第2の焦点位置F2の奥側に位置するので、それぞれ図示されていない。同様に、図10の右側において、第2の陰極112は、第1の陰極111の奥側に位置し、第2の焦点位置F2は、第1の焦点位置F1の奥側に位置するので、それぞれ図示されていない。
また、第1の陰極111と第2の陰極112とは、ターゲット113上の第1の焦点位置F1と、ターゲット113上の第2の焦点位置F2とが回転フレーム13の回転中心軸Cの方向で略一致するように回転フレーム13に保持されることが好適である。それは、1個のX線検出器121とで同一のアキシャル断面の断層像を得るためである。例えば、回転フレーム13のホームポジションにおいて、回転中心Iを含むy−z平面に対して面対称となる位置に焦点位置F1,F2が配置されるように凸部V1、つまり、陰極111,112が配置される。特に、回転フレーム13のホームポジションにおいて、焦点位置F1,F2は、回転中心Iを含むy−z平面に対して面対称となる位置に配置され、かつ、相互に間欠するデータ領域を考慮し、互いに近接して配置されることが好適である(図9に図示)。
なお、図9及び図10において、図4及び図5に示す固定フレーム19と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。また、回転フレーム13及びターゲット113の回転速度及び回転方向については、図6を用いて説明したものと同様である。
以上のように、図7〜図10に示すX線管11Aによれば、前述したX線管11と同等の効果が得られる。また、X線管11Aによれば、再構成処理機能443により再構成をそれぞれ行うことで、1個のX線検出器121により、エネルギーの異なるX線に基づく異なる画像を再構成することができる。
なお、システム制御機能441は、制御部の一例である。前処理機能442は、前処理部の一例である。再構成処理機能443は、再構成処理部の一例である。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、デュアルエネルギースキャンにおいて、小さな焦点サイズで従来よりも高出力のX線を得ることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1,1A X線CT装置
11,11A X線管
111 第1の陰極
112 第2の陰極
113 ターゲット
121 第1のX線検出器
122 第2のX線検出器
13 回転フレーム
19 固定フレーム
441 システム制御機能
442 前処理機能
443 再構成処理機能
V 真空容器
B 支持部
R 回転駆動フレーム
L 複数のボールベアリング

Claims (12)

  1. 熱電子を照射する第1の陰極及び第2の陰極と、前記熱電子を受けてX線を発生し、被検体の周囲全周に亘って設けられ、回転可能に保持される円環状の陽極と、前記陽極を回転駆動させる駆動部と、を備えるX線管と、
    前記X線管から照射されたX線を検出するX線検出器と、
    前記X線管と、前記X線検出器とを回転可能に保持する回転部と、
    前記第1の陰極と前記第2の陰極とを制御することで異なる管電圧のX線を発生させる制御部と、
    を備えるX線CT装置。
  2. 前記回転部の回転中心軸は、前記駆動部の回転中心軸に対して所定の傾斜角度を有する、
    請求項1に記載のX線CT装置。
  3. 前記第1の陰極に対応する前記陽極上の焦点位置と、前記第2の陰極に対応する前記陽極上の焦点位置とが前記回転部の回転軸方向で略一致するように、前記第1の陰極と前記第2の陰極とが前記回転部に保持される、
    請求項2に記載のX線CT装置。
  4. 前記駆動部は、前記回転部の回転方向と同一方向、又は、反対方向に回転するように構成される、
    請求項1乃至3のいずれか一項に記載のX線CT装置。
  5. 前記駆動部は、前記回転部に対して「0」を超える速さで回転するように構成される、
    請求項1乃至4のいずれか一項に記載のX線CT装置。
  6. 前記陽極は、焦点位置と前記X線検出器の検出面の中心位置とを結ぶ直線方向を中心として前記X線が照射されるようにターゲットアングルが成形される、
    請求項1乃至5のいずれか一項に記載のX線CT装置。
  7. 前記回転部は、真空容器を保持し、
    前記真空容器は、その内部に、前記真空容器に固定される支持部、前記第1の陰極、及び前記第2の陰極と、前記支持部に対して回転可能に前記支持部に保持される前記駆動部と、前記駆動部に固定される前記陽極と、を備える、
    請求項1乃至6のいずれか一項に記載のX線CT装置。
  8. 前記駆動部は、前記支持部の周方向に配置された複数のボールベアリングを介して、前記支持部に対して周方向に回転可能なように前記支持部に保持される、
    請求項7に記載のX線CT装置。
  9. 前記X線検出器は、
    前記第1の陰極から照射された熱電子に基づいて発生する第1のX線を検出する第1のX線検出器と、
    前記第2の陰極から照射された熱電子に基づいて発生する第2のX線を検出する第2のX線検出器と、
    を含み、
    前記制御部は、前記第1の陰極と前記第2の陰極とを制御することで、異なる管電圧のX線を同時に発生させる、
    を含む請求項1乃至8のいずれか一項に記載のX線CT装置。
  10. 前記X線検出器は、前記第1の陰極から照射された熱電子に基づいて発生する第1のX線と、前記第2の陰極から照射された熱電子に基づいて発生する第2のX線とを検出し、
    前記制御部は、前記第1の陰極と前記第2の陰極とを制御することで、異なる管電圧のX線を交互に発生させる、
    請求項1乃至8のいずれか一項に記載のX線CT装置。
  11. 前記制御部は、前記第1の陰極と前記第2の陰極とを制御することで、異なる管電圧のX線を発生させると共に、前記第1の陰極と前記第2の陰極との少なくとも一方の陰極を制御することで、異なる管電圧のX線をビューごとに切り替えて発生させる、
    請求項9又は10に記載のX線CT装置。
  12. 熱電子を照射する第1の陰極及び第2の陰極と、
    前記熱電子を受けてX線を発生し、被検体の周囲を回転可能に保持される円環状の陽極と、
    前記陽極を回転駆動させる駆動部と、
    を備えるX線管装置。
JP2019133566A 2019-07-19 2019-07-19 X線ct装置及びx線管装置 Pending JP2021016535A (ja)

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