JP2021014907A - 転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】グリースの漏洩を抑制することができる転がり軸受を提供する。【解決手段】内輪22と、外輪21と、内輪22と外輪21との間に配設された複数の転動体23と、転動体23を保持する保持器24と、外輪21の軸方向の端部に取り付けられかつ外輪21から内輪22へ向けて径方向内方へ突出するシール25とを備え、シール25が、保持器24側へ向けて軸方向に突出して保持器24に対して径方向にオーバーラップして配置され、保持器24が径方向に接触することで保持器24の回転を案内する案内部34を有している。【選択図】図2
Description
本発明は、転がり軸受に関する。
工作機械として、モータを内蔵したハウジングに転がり軸受を介して主軸(スピンドル)を回転自在に支持したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の工作機械は、加工能率の向上等のために高速化の傾向にあり、モータ及び転がり軸受の発熱も大きくなっている。転がり軸受の内部がグリースによって潤滑される場合、潤滑油やその潤滑油をハウジング内へ送り込むエアによってモータ及び転がり軸受を冷却することができないため、ハウジング内に導入した高圧空気によりモータ及び転がり軸受が空気冷却される。
しかしながら、高圧空気により転がり軸受等を冷却すると、転がり軸受の内部を通過する高圧空気により、転がり軸受内のグリースが押し出されて漏洩する可能性がある。
そのため、特許文献1記載の技術では、転がり軸受の外輪の軸方向両端部にシールが設けられており、転がり軸受の内輪の高速回転で外輪側へ集められたグリースの漏洩がシールによって防止されている。また、シールの径方向内端部と内輪との間には隙間が形成されており、この隙間によって内輪側における高圧空気の通過が許容されている。
そのため、特許文献1記載の技術では、転がり軸受の外輪の軸方向両端部にシールが設けられており、転がり軸受の内輪の高速回転で外輪側へ集められたグリースの漏洩がシールによって防止されている。また、シールの径方向内端部と内輪との間には隙間が形成されており、この隙間によって内輪側における高圧空気の通過が許容されている。
ところが、外輪側へ集められたグリースには、内輪側へ押し下げるような二次的な渦流が生じることがあるため、特許文献1に開示されるシールを設けるだけでは、十分にグリースの漏洩を抑制することができない。
本発明は、グリースの漏洩を好適に抑制することができる転がり軸受を提供することを目的とする。
(1)本発明の転がり軸受は、内輪と、外輪と、前記内輪と前記外輪との間に配設された複数の転動体と、前記転動体を保持する保持器と、前記外輪の軸方向の端部に取り付けられかつ前記外輪から前記内輪へ向けて径方向内方へ突出するシールとを備え、前記シールが、前記保持器側へ向けて軸方向に突出しかつ前記保持器に対して径方向にオーバーラップして配置され、前記保持器が径方向に接触することで当該保持器の回転を案内する案内部を有している。
以上の構成を有する転がり軸受は、外輪の軸方向の端部に取り付けられたシールが、保持器側へ向けて軸方向に突出しかつ保持器に対して径方向にオーバーラップして配置され、保持器が径方向に接触することで当該保持器の回転を案内する案内部を有しているので、当該案内部によって径方向内方へ流れようとするグリースを堰き止め、当該グリースが高圧空気によって転がり軸受の外部へ漏洩するのを抑制することができる。
(2)好ましくは、前記案内部が周方向に連続して形成されている。
このような構成により、転がり軸受の全周に渡って径方向内方へのグリースの流れを抑制することができる。
このような構成により、転がり軸受の全周に渡って径方向内方へのグリースの流れを抑制することができる。
(3)好ましくは、前記外輪の内周面における軸方向一方側にカウンタボアが形成され、前記シールが、前記外輪における前記軸方向一方側の端部に設けられ、前記案内部が、前記保持器における前記軸方向一方側の端部に接触するように設けられている。
外輪の内周面における軸方向一方側にカウンタボアが形成されている転がり軸受では、保持器の径方向外側に比較的広いスペースが形成され、当該スペースにグリースが集められやすくなるので、保持器における軸方向一方側に端部に接触するように案内部が設けられることによって、グリースの漏洩を効果的に抑制することができる。
外輪の内周面における軸方向一方側にカウンタボアが形成されている転がり軸受では、保持器の径方向外側に比較的広いスペースが形成され、当該スペースにグリースが集められやすくなるので、保持器における軸方向一方側に端部に接触するように案内部が設けられることによって、グリースの漏洩を効果的に抑制することができる。
本発明の転がり軸受によれば、グリースの漏洩を好適に抑制することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態における転がり軸受を適用した主軸装置を示す断面図である。
図1に示す主軸装置10は、例えば工作機械に用いられ、ハウジング11と、主軸(スピンドル)12と、転がり軸受13とを有している。主軸12は、ハウジング11内に配置されている。主軸12は、ハウジング11内に配置されたモータ(図示省略)に接続されている。ハウジング11と主軸12との間には複数の転がり軸受13が配置されている。
図1は、本発明の第1の実施形態における転がり軸受を適用した主軸装置を示す断面図である。
図1に示す主軸装置10は、例えば工作機械に用いられ、ハウジング11と、主軸(スピンドル)12と、転がり軸受13とを有している。主軸12は、ハウジング11内に配置されている。主軸12は、ハウジング11内に配置されたモータ(図示省略)に接続されている。ハウジング11と主軸12との間には複数の転がり軸受13が配置されている。
ハウジング11の内部には、モータ及び転がり軸受13を冷却するための高圧空気が導入される。本実施形態では、ハウジング11の一端側(図1の左端側)から導入された高圧空気(矢印Xで示す)が、ハウジング11と主軸12との間の隙間を通過して、ハウジング11の他端側(図1の右端側)から排出されるようになっている。
図2は、転がり軸受13の断面図である。
転がり軸受13は、外輪21、内輪22と、転動体23と、保持器24と、シール25とを有する。本実施形態の転がり軸受13は、アンギュラ玉軸受である。
転がり軸受13は、外輪21、内輪22と、転動体23と、保持器24と、シール25とを有する。本実施形態の転がり軸受13は、アンギュラ玉軸受である。
外輪21は、円環状に形成されている。外輪21の内周面には、軌道21aが形成されている。軌道21aの軸方向一方側には、カウンタボア21bが形成されている。軌道21aの軸方向他方側には、肩21cが形成されている。カウンタボア21bは、肩21cよりも内径が大きく形成されている。肩21c及びカウンタボア21bよりも軸方向外側(転がり軸受13の中心Cから離れた側)には、シール25を装着するためのシール溝21dが形成されている。
内輪22は、円環状に形成され、外輪21の径方向内方に配置されている。内輪22の外周面には、軌道22aが形成されている。軌道22aの軸方向一方側には、肩22cが形成されている。軌道22aの軸方向他方側には、カウンタボア22bが形成されている。カウンタボア22bは、肩22cよりも外径が小さく形成されている。内輪22の軌道22aと外輪21の軌道21aとは、径方向に対向して配置されている。
転動体23は、周方向に並べて複数設けられている。複数の転動体23は、外輪21の軌道21aと内輪22の軌道22aとの間に配置され、各軌道21a,22a上を転動する。本実施形態の転動体23は、玉である。
保持器24は、円環状に形成されている。保持器24は、一対の環状体24aと、一対の環状体24aを接続する複数の柱24bとを有している。一対の環状体24aと複数の柱24bとによって囲まれた空間が、転動体23を収容するためのポケット24cとされている。したがって、保持器24には、径方向に貫通するポケット24cが周方向に並べて複数形成されている。複数の転動体23は、保持器24によって周方向の間隔が保持されている。
シール25は、外輪21の軸方向両端に形成されたシール溝21dに装着されている。シール25は、円環状に形成されている。シール25は、芯材31と、弾性部材36とを有している。芯材31は、スチールやステンレス等の金属、合成樹脂等の硬質な板材により形成されている。芯材31は、円板部32と、屈曲部33とを有する。
円板部32は、径方向に沿って配置されている。
屈曲部33は、円板部32の径方向内端部に形成されている。屈曲部33は、円板部32から軸方向内側(転がり軸受13の中心Cに向かう側)に向けて屈曲している。屈曲部33は、シール溝21d内に配置されている。
屈曲部33は、円板部32の径方向内端部に形成されている。屈曲部33は、円板部32から軸方向内側(転がり軸受13の中心Cに向かう側)に向けて屈曲している。屈曲部33は、シール溝21d内に配置されている。
軸方向一方側に配置されたシール25の芯材31には、さらに案内部34が設けられている。この案内部34は、円筒形状に形成され、円板部32から軸方向内側(保持器24側)に向けて突出している。案内部34の先端部は、保持器24における軸方向一方側の環状体24aの径方向外側に配置されている。したがって、案内部34と保持器24とは、径方向にオーバーラップした関係にある。案内部34は、保持器24の外周面に接触することによって保持器24の回転を案内する機能を有している。
弾性部材36は、ゴムや合成樹脂材等の弾性材料により形成されている。弾性部材36は、芯材31の表面を部分的に覆うとともに、径方向内端部が、内輪22の外周面と隙間tをあけて配置されている。この隙間tは、前述の高圧空気の通過を許容する通路を形成している。シール25は、弾性部材36がシール溝21dに嵌合されることで外輪21に取り付けられる。
転がり軸受13における外輪21と内輪22との間の空間には、潤滑剤としてグリースGが供給される。このグリースGは、内輪22が回転することによる遠心力で径方向外方へ流れ、外輪21側(外輪21の内周面と保持器24との径方向の間)に集まりやすくなっている。
上述したようなシール25を備えていない転がり軸受であると、例えば図6に示すように、転がり軸受113の内部における保持器124の径方向内側と径方向外側との双方を高圧空気が通過する(矢印X参照)。そのため、外輪121の内周側の集められたグリースGは、高圧空気によって押し出され、転がり軸受113の外部へ漏洩しやすくなっている。
また、図7に示すように、上述したような案内部34を備えていないシール225が転がり軸受213に設けられている場合、高圧空気は、矢印Xで示すように、シール225の径方向内端部と内輪222の外周面との隙間tを通過するため、外輪221側に集められたグリースGが高圧空気により押し出されることは少なくなる。しかしながら、外輪221側に集められたグリースGには、内輪222の回転に伴って矢印aのような二次的な渦流が発生し、径方向内方へ押し下げられることがある。そのため、高圧空気によるグリースGの漏洩を十分に抑制することは困難である。
本実施形態では、シール25に案内部34が設けられており、この案内部34は、保持器24と径方向にオーバーラップして配置されるとともに、保持器24に径方向に接触可能となっている。そのため、外輪21側に集まったグリースGは、径方向内方へ流れないように案内部34によって堰き止められ、高圧空気によって転がり軸受13の外部へ漏洩してしまうのを抑制することができる。
また、カウンタボア21bが形成された外輪21の軸方向一方側では、外輪21の内周面の外径が大きくなり、広いスペースが形成されるので、グリースGが集められやすくなっている。本実施形態の案内部34は、カウンタボア21b側である軸方向一方側のシール25に形成されているので、グリースGの漏洩を効果的に抑制することができる。
また、案内部34は、周方向に連続した円筒形状に形成されているので、外輪21側に集められたグリースGが径方向内方へ移動するのを確実に抑制することができる。
図4は、本発明の第2の実施形態に係る転がり軸受13を示す断面図である。
本実施形態では、外輪21の軸方向両側に取り付けられたシール25の双方に案内部34が形成されている。双方の案内部34は、いずれも保持器24に径方向にオーバーラップして配置され、保持器24の外周面に接触することによって保持器24の回転を案内する機能を有している。
本実施形態では、外輪21の軸方向両側に取り付けられたシール25の双方に案内部34が形成されている。双方の案内部34は、いずれも保持器24に径方向にオーバーラップして配置され、保持器24の外周面に接触することによって保持器24の回転を案内する機能を有している。
したがって、本実施形態においても、外輪21側に集まったグリースGが径方向内方へ流れるのを、軸方向両側の案内部34によって抑制することができる。
図5は、本発明の第3の実施形態に係る転がり軸受13を示す断面図である。
本実施形態では、第2の実施形態と同様に、外輪21の軸方向両側に取り付けられたシール25の双方に案内部34が形成されている。しかし、各案内部34は、保持器24よりも径方向内側に配置され、保持器24の内周面に接触することによって保持器24の回転を案内する機能を有している。
本実施形態では、第2の実施形態と同様に、外輪21の軸方向両側に取り付けられたシール25の双方に案内部34が形成されている。しかし、各案内部34は、保持器24よりも径方向内側に配置され、保持器24の内周面に接触することによって保持器24の回転を案内する機能を有している。
本実施形態では、外輪21側に集まったグリースGが二次的な渦流によって径方向内方へ向けて流れたとしても、案内部34によって堰き止められ、高圧空気が通過する内輪22の外周面近傍には到らない。したがって、グリースGの漏洩を抑制することができる。
本発明は、上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において適宜設計変更することができる。
例えば、シール25は、芯材31と、弾性部材36とを備えていたが、弾性部材36を省略し、芯材31のみで構成されていてもよい。この場合は、芯材31の径方向外端部を外輪21の内周面に嵌合させることで、シール25を外輪21に固定することができる。
例えば、シール25は、芯材31と、弾性部材36とを備えていたが、弾性部材36を省略し、芯材31のみで構成されていてもよい。この場合は、芯材31の径方向外端部を外輪21の内周面に嵌合させることで、シール25を外輪21に固定することができる。
第2の実施形態において、案内部34は、軸方向他方側(右側)のシール25のみに設けられていてもよい。また、第3の実施形態において、案内部34は、軸方向一方側又は他方側のシール25のみに設けられていてもよい。また、各シール25には、保持器24の外周側と内周側との双方においてオーバーラップするように2つの案内部34が設けられていてもよい。
図1に示すように、2つの転がり軸受13が並べて設けられる場合、軸方向一方側に配置された転がり軸受13には、外輪21の軸方向一方側の端部にのみシール25が取り付けられ、軸方向他方側に配置された転がり軸受13には、外輪21の軸方向一方側の端部にのみシール25が取り付けられていてもよい。
本発明の転がり軸受は、図示する形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであってもよい。前記実施形態では、転がり軸受13がアンギュラ玉軸受である場合について説明したが、転がり軸受13は、深溝玉軸受、又は円筒ころ軸受等であってもよい。
13:転がり軸受、21:外輪、21b:カウンタボア、22:内輪、23:転動体、24:保持器、25:シール、34:案内部
Claims (3)
- 内輪と、外輪と、前記内輪と前記外輪との間に配設された複数の転動体と、前記転動体を保持する保持器と、前記外輪の軸方向の端部に取り付けられかつ前記外輪から前記内輪へ向けて径方向内方へ突出するシールと、を備え、
前記シールが、前記保持器側へ向けて軸方向に突出しかつ前記保持器に対して径方向にオーバーラップして配置され、前記保持器が径方向に接触することで前記保持器の回転を案内する案内部を有している、転がり軸受。 - 前記案内部が周方向に連続して形成されている、請求項1に記載の転がり軸受。
- 前記外輪の内周面における軸方向一方側にカウンタボアが形成され、
前記シールが、前記外輪の軸方向一方側の端部に設けられ、
前記案内部が、前記保持器における前記軸方向一方側の端部に接触するように設けられている、請求項1又は2に記載の転がり軸受。
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JP2014111954A (ja) * | 2012-12-05 | 2014-06-19 | Jtekt Corp | 転がり軸受装置 |
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