JP2021013290A - モータ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】被駆動装置が停止する期間の減少を図ることのできるモータ制御装置を提供する。【解決手段】EOPECU6は、モータ制御信号Smを出力するマイコン21と、モータ制御信号Smに基づいて駆動電力をモータ5に供給する駆動回路22とを備える。マイコン21は、モータ制御信号Smとロータ23の回転位置とが同期している場合におけるモータ5の回転数に応じた電力の範囲を示す同期電力範囲を設定し、駆動電力が同期電力範囲外の値である場合には、モータ5の目標回転数N*が大きくなるように補正し、補正後の目標回転数に基づいてモータ制御信号Smを生成する。【選択図】図2

Description

本発明は、モータ制御装置に関する。
従来、ホール素子等の回転角センサを備えないセンサレスタイプのブラシレスモータを制御するモータ制御装置として、例えば特許文献1,2に開示されるものがある。こうしたモータ制御装置では、モータ駆動時にコイルに生じる誘起電圧に基づいてロータの回転位置を検出し、この回転位置に基づいてモータに供給する駆動電力を規定するモータ制御信号を生成する。
特開2010−51151号公報 特開2012−157141号公報
ところで、上記のように所謂センサレス制御を行うモータ制御装置では、モータ制御信号に応じてコイルに発生する回転磁界とロータの回転位置との同期が取れなくなる脱調が生じることがある。こうした脱調が生じた場合において、ロータを回転させることができなくなってからもコイルに駆動電力が供給され続けると、モータが過熱するおそれがある。そこで、例えば上記特許文献1の構成では、脱調が生じたと判定した場合に、コイルへの駆動電力の供給を停止し、モータを停止させる。しかし、モータを停止させると、該モータにより駆動されるポンプ等の被駆動装置も併せて停止することになり、モータを再び起動するまでの間、被駆動装置を作動させることができない。
本発明の目的は、被駆動装置が停止する期間の減少を図ることのできるモータ制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するモータ制御装置は、被駆動装置を駆動するモータを制御対象とし、
前記モータのコイルで発生する誘起電圧に基づいてロータの回転位置を推定し、前記回転位置に基づいて前記モータの作動を制御するものにおいて、モータ制御信号を出力する制御回路と、前記モータ制御信号に基づいて駆動電力を前記モータに供給する駆動回路とを備え、前記制御回路は、前記モータ制御信号と前記ロータの回転位置とが同期している場合における前記モータの回転数に応じた電力の範囲を示す同期電力範囲を設定し、前記駆動電力が前記同期電力範囲外の値である場合には、前記モータの目標回転数が大きくなるように補正し、補正後の前記目標回転数に基づいて前記モータ制御信号を生成する。
モータ制御信号とロータの回転位置との同期がとれなくなり、ロータを回転させることができない完全に脱調した状態となるまでに、モータは、同期が取れている場合と比べて大きな駆動電力が必要となるもののロータを回転させることができる脱調しかけの予兆状態となる。こうした予兆状態では、一時的にモータの回転数を大きくすることで、モータ制御信号とロータの回転位置との同期が再び取れるようになることがある。また、モータ制御信号とロータの回転位置との同期が取れている場合には、モータの回転数の増加に対して駆動電力は線形的に増加するため、駆動電力はモータの回転数に応じた同期電力範囲内の値となる。したがって、上記構成のように、駆動電力が同期電力範囲外の値である場合に、目標回転数が大きくなるように補正した補正後の目標回転数に基づいてモータ制御信号を生成することで、完全に脱調することを抑制し、脱調しかけているモータの同期を図ることができる。これにより、モータが停止することを抑制して、被駆動装置が停止する期間を減少させることができる。
上記課題を解決するモータ制御装置は、被駆動装置を駆動するモータを制御対象とし、前記モータのコイルで発生する誘起電圧に基づいてロータの回転位置を推定し、前記回転位置に基づいて前記モータの作動を制御するものにおいて、モータ制御信号を出力する制御回路と、前記モータ制御信号に基づいて駆動電力を前記モータに供給する駆動回路とを備え、前記制御回路は、前記モータ制御信号と前記ロータの回転位置とが同期している場合における前記モータの回転数に応じた電力の範囲を示す同期電力範囲、及び前記被駆動装置が正常に作動している場合における前記回転数に応じた電力の範囲を示す適正電力範囲を設定し、前記駆動電力が前記同期電力範囲外の値であるとともに、前記回転数が該モータの定格回転数に基づいて定められる回転数閾値以下の低回転数域内の値である場合には、前記モータの目標回転数が大きくなるように補正し、前記駆動電力が前記適正電力範囲外の値であるとともに、前記回転数が前記低回転数域よりも大きな高回転数域内の値である場合には、前記目標回転数が小さくなるように補正し、補正後の前記目標回転数に基づいて前記モータ制御信号を生成する。
被駆動装置及びその周辺部品に異常が生じておらず、被駆動装置が正常に作動している場合には、モータの回転数の増加に対して駆動電力は線形的に増加する。そのため、被駆動装置が正常に作動している場合には、駆動電力はモータの回転数に応じた適正電力範囲内の値となる。つまり、駆動電力が適正電力範囲外の値となる場合には、被駆動装置やその周辺部品に異常が生じている可能性がある。また、上記のように、駆動電力が同期電力範囲外の値となる場合には、モータが予兆状態である可能性がある。同期電力範囲及び適正電力範囲は、それぞれ問題なくモータが回転している場合における回転数と駆動電力との関係を示すものであり、これらの範囲は互いに重複することがある。そのため、駆動電力が同期電力範囲外の値となる場合に、当該駆動電力が適正電力範囲外の値となっていることがあり、こうした場合に一律に目標回転数を大きくすると、被駆動装置を無理に駆動させて被駆動装置やその周辺部品に過大な負荷が作用するおそれがある。
ここで、誘起電圧は回転数の増大に比例して大きくなるため、回転数が低回転数域である場合には、誘起電圧に基づいて推定されるロータの回転位置の精度が低く、上記のような予兆状態となりやすい。一方、回転数が高回転数域である場合には、被駆動装置やその周辺部品に異常が生じていると、駆動電力が大きくなりやすい。したがって、駆動電力が同期電力範囲外の値であるとともに目標回転数が低回転数域内にある場合、すなわち脱調しかけている可能性が高い場合に、目標回転数が大きくなるように補正した補正後の目標回転数に基づいてモータ制御信号を生成することで、完全に脱調することを抑制し、脱調しかけているモータの同期を図ることができる。これにより、モータが停止することを抑制して、被駆動装置が停止する期間を減少させることができる。また、駆動電力が適正電力範囲外の値であるとともに目標回転数が高回転数域内にある場合、すなわち被駆動装置やその周辺部品に異常が生じている可能性が高い場合に、目標回転数が小さくなるように補正した補正後の目標回転数に基づいてモータ制御信号を生成することで、被駆動装置やその周辺部品に過大な負荷が作用することを抑制できる。
上記モータ制御装置において、前記被駆動装置は、油圧を発生させるオイルポンプであって、前記制御回路は、前記オイルポンプを流通するオイルの温度に応じて前記適正電力範囲を変更することが好ましい。
上記構成のように被駆動装置がオイルポンプである場合、オイルの温度が低下すると、その粘性が高くなることで、モータの負荷が大きくなる。そのため、被駆動装置やその周辺部品に異常が生じておらず、被駆動装置が正常に作動している場合であっても、オイルの温度が低い場合には、ロータを回転させるのに大きな駆動電力が必要となる。したがって、オイルの温度に応じて適正電力範囲を変更することで、モータの負荷状態に応じて、被駆動装置やその周辺部品に異常が生じているか否かを好適に判定できる。
上記モータ制御装置において、前記制御回路は、前記駆動電力が前記適正電力範囲外の値であるとともに、前記回転数が前記高回転数域内の値であり、前記目標回転数が小さくなるように補正した後に、前記駆動電力が前記同期電力範囲外の値になるとともに、前記回転数が前記低回転数域内の値になっても、前記目標回転数が大きくなるように補正しないことが好ましい。
被駆動装置やその周辺部品に異常が生じている場合、目標回転数が小さくなるように補正することで、これらに過大な負荷が作用することを抑制できるものの、異常自体は継続して残ることがある。そのため、目標回転数が小さくなるように補正した後に、駆動電力が同期電力範囲外の値となることがある。こうした場合に、駆動電力が同期電力範囲外の値であるとともに、モータの回転数が低回転数域内の値であるとして、目標回転数が大きくなるように補正すると、再び駆動電力が適正電力範囲外の値になるとともに、モータの回転数が高回転数域内の値となり、目標回転数が小さくなるように補正することになる。つまり、目標回転数を大きくする補正と小さくする補正とを繰り返し行うおそれがある。この点、上記構成によれば、目標回転数が小さくなるように補正した後に駆動電力が同期電力範囲外の値となっても、目標回転数が大きくなるように補正しないため、補正後の目標回転数が大きくなったり、小さくなったり繰り返すことを抑制できる。
上記モータ制御装置において、前記制御回路は、前記駆動電力が前記適正電力範囲外の値であるとともに、前記回転数が前記高回転数域内の値であり、前記目標回転数が小さくなるように補正した後に、前記駆動電力が前記適正電力範囲内の値になった場合には、補正前の前記目標回転数に基づいて前記モータ制御信号を生成することが好ましい。
目標回転数が小さくなるように補正した後、何らかの要因で被駆動装置やその周辺部品の異常が解消されると、駆動電力が適正電力範囲内の値になる。このように被駆動装置やその周辺部品の異常が解消された場合には、モータの回転数が補正前の目標回転数となるようにその作動を制御しても、駆動電力が適正電力範囲内の値となると考えられる。この点、上記構成では、目標回転数が小さくなるように補正した後、駆動電力が適正電力範囲内の値になった場合に、補正前の目標回転数に基づいてモータ制御信号を生成するため、被駆動装置の作動状態を要求されるものとすることができる。
上記モータ制御装置において、前記被駆動装置は、油圧を発生させるオイルポンプであって、前記制御回路は、前記オイルポンプを流通するオイルの温度に応じて前記同期電力範囲を変更することが好ましい。
上記構成のように被駆動装置がオイルポンプである場合、オイルの温度が低下すると、その粘性が高くなることで、モータの負荷が大きくなる。そのため、モータ制御信号とロータの回転位置との同期が取れている場合であっても、オイルの温度が低い場合には、ロータを回転させるのに大きな駆動電力が必要となる。したがって、オイルの温度に応じて同期電力範囲を変更することで、モータの負荷状態に応じて、該モータが脱調しかけているか否かを好適に判定できる。
上記モータ制御装置において、前記制御回路は、前記駆動電力が前記同期電力範囲外の値となってから予め設定された第1所定時間経過する毎に、段階的に前記目標回転数が大きくなるように補正することが好ましい。
上記構成によれば、目標回転数の補正量が第1所定時間継続して一定となるため、例えば補正量が連続的に変化する場合に比べ、モータを安定して回転させることができ、脱調しかけているモータの同期を好適に図ることができる。
上記モータ制御装置において、前記制御回路は、前記駆動電力が前記同期電力範囲外の値となってから前記第1所定時間経過する毎に、予め設定された所定回転数ずつ前記目標回転数が大きくなるように補正することが好ましい。
上記構成によれば、例えば目標回転数の所定割合ずつ大きくなるように目標回転数を補正する場合のように、モータが予兆状態であると判断された時点での目標回転数によって補正量がばらつかないため、脱調しかけているモータの同期を好適に図ることができる。
上記モータ制御装置において、前記制御回路は、前記駆動電力が前記同期電力範囲外の値となってから予め設定された第1所定時間よりも長い第2所定時間以内に、前記駆動電力が前記同期電力範囲内の値にならない場合には、前記モータへの駆動電力の供給を停止することが好ましい。
上記構成によれば、第2所定時間以内に駆動電力が同期電力範囲内にならない場合には完全に脱調したと判定して駆動電力の供給を停止するため、第2所定時間経過後も継続して駆動電力を供給する場合に比べ、モータが過熱することを抑制できる。
本発明によれば、被駆動装置が停止する期間の減少を図ることができる。
第1実施形態の駆動モータを冷却するための油圧回路を示す概略構成図。 第1実施形態のEOPECUのブロック図。 第1実施形態のマイコンのブロック図。 第1実施形態の補正後の目標回転数と駆動電力との関係を示すグラフ。 第1実施形態の補正後の目標回転数の変更態様を示すグラフ。 第2実施形態の駆動モータを冷却するための油圧回路を示す概略構成図。 第2実施形態のマイコンのブロック図。 第2実施形態の補正後の目標回転数と駆動電力との関係を示すグラフ。 変形例の補正後の目標回転数の変更態様を示すグラフ。
(第1実施形態)
以下、電動ポンプ装置の駆動源となるモータの作動を制御するモータ制御装置に具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、電動ポンプ装置1は、車両走行用の駆動モータ2を冷却するためのオイルが循環する油圧回路3に設けられている。電動ポンプ装置1は、油圧を発生させる被駆動装置としてのオイルポンプ4と、オイルポンプ4を駆動するモータ5と、モータ5の作動を制御するモータ制御装置としてのEOPECU6とを備えている。
オイルポンプ4は、吸入油路11を介してオイル貯留部12に接続されるとともに、送出油路13を介して駆動モータ2に接続されている。駆動モータ2は、排出油路14を介してオイル貯留部12に接続されている。したがって、油圧回路3では、オイルポンプ4の作動により、オイルがオイル貯留部12から駆動モータ2に送出され、駆動モータ2を冷却した後にオイル貯留部12に排出される。
駆動モータ2は、その回転を車両の駆動輪15に伝達し、該駆動輪15を駆動する。駆動モータ2には、上位ECU16が電気的に接続されている。上位ECU16には、アクセル開度や駆動モータ2の温度等を示す各種信号が入力される。上位ECU16は、これらの各種信号に基づいて駆動モータ2の作動を制御する。また、上位ECU16は、駆動モータ2の作動状態に応じて該駆動モータ2の冷却に必要な流量のオイルがオイルポンプ4の作動によって油圧回路3を循環するようなモータ5の回転数である目標回転数N*をEOPECU6に出力する。つまり、目標回転数N*は、オイルポンプ4が必要な流量のオイルを循環させる作動状態となる、換言するとオイルポンプ4を所望の作動状態とするようなモータ5の回転数である。
具体的には、上位ECU16は、例えば車両が停止しており、駆動モータ2が停止しているような場合には、目標回転数N*を、オイルが油圧回路3を最低限循環するような低い値、例えば数百rpm程度に設定する。一方、上位ECU16は、車両が走行しており、駆動モータ2が高速回転しているような場合には、目標回転数N*を、十分な流量のオイルが油圧回路3を循環するような高い値、例えば数千rpm程度に設定する。
EOPECU6には、上位ECU16から出力される目標回転数N*に加え、温度センサ17により検出されるオイルポンプ4を流通するオイルの温度Toが入力される。EOPECU6は、これらの状態量に基づいてモータ5の回転数が目標回転数N*となるように、その作動を制御することで、駆動モータ2の作動状態に応じた流量のオイルがオイルポンプ4から吐出されて油圧回路3を循環するように、モータ5の作動を制御する。
次に、電動ポンプ装置1の電気的構成について詳細に説明する。
図2に示すように、EOPECU6は、モータ制御信号Smを出力する制御回路としてのマイコン21と、モータ制御信号Smに基づいてモータ5に三相の駆動電力を供給する駆動回路22とを備えている。本実施形態のEOPECU6は、電気角で120度又は150度毎に通電相及び通電方向を規定する通電パターンを切り替える矩形波通電により、モータ5に駆動電力Pを供給する。モータ5には、そのロータ23の回転位置を検出する回転角センサのないセンサレスタイプのブラシレスモータが採用されている。
駆動回路22には、直列に接続された一対のスイッチング素子からなるスイッチングアームを基本単位として、各相のコイル24u,24v,24wに対応する3つのスイッチングアームを並列に接続してなるPWMインバータが採用されている。モータ制御信号Smは、駆動回路22を構成する各スイッチング素子のオン/オフ状態、すなわち各スイッチング素子のオン時間の割合であるデューティ比を規定する。そして、駆動回路22は、モータ制御信号Smに応じた通電パターン及びデューティ比の駆動電力をモータ5に出力する。
マイコン21には、コイル24u,24v,24wの端子電圧Vu,Vv,Vwを検出する電圧センサ25u,25v,25w、車両に搭載されたバッテリ26の電源電圧Vbを検出する電圧センサ27、及びモータ5に供給される実電流値Iを検出する電流センサ28が接続されている。また、マイコン21には、上位ECU16から出力される目標回転数N*及びオイルの温度Toが入力される。そして、マイコン21は、これらの各状態量に基づいて、通電パターン及びデューティ比を示すモータ制御信号Smを生成し、駆動回路22に出力する。これにより、駆動回路22からバッテリ26の電源電圧Vbに応じた三相の駆動電力がモータ5に供給され、モータ5が回転することによりオイルポンプ4が作動する。
詳しくは、図3に示すように、マイコン21は、モータ5が脱調しかけている予兆状態であるか否かを判定する予兆状態判定部31と、モータ5が予兆状態である場合に目標回転数N*を補正する目標回転数補正部32と、ロータ23の回転位置を推定する回転位置推定部33とを備えている。また、マイコン21は、デューティ比の目標となるデューティ指令値D*を演算するフィードバック制御部(以下、F/B制御部という。)34と、モータ制御信号Smを生成するモータ制御信号生成部35とを備えている。予兆状態判定部31及び目標回転数補正部32については、後述する。
回転位置推定部33には、電圧センサ25u,25v,25wにより検出される端子電圧Vu,Vv,Vwが入力される。回転位置推定部33は、端子電圧Vu,Vv,Vwに示される各コイル24u,24v,24wの誘起電圧に基づいてロータ23の回転位置を推定する。
具体的には、回転位置推定部33は、各端子電圧Vu,Vv,Vwと予め設定された基準電位との大小比較を行い、コイル24u,24v,24wの誘起電圧が基準電位を跨ぐゼロクロス点を検出する周知の方法により、ロータ23の回転位置を推定する。そして、回転位置推定部33は、推定したロータ23の回転位置を示す回転位置信号Spをモータ制御信号生成部35に出力する。また、回転位置推定部33は、例えばゼロクロス点の時間間隔に基づいてモータ5の実回転数Nを演算し、減算器36に出力する。
減算器36には、実回転数Nに加え、目標回転数補正部32から出力される補正後の目標回転数N**が入力される。F/B制御部34には、減算器36において補正後の目標回転数N**から実回転数Nを減算した偏差ΔNが入力される。F/B制御部34は、偏差ΔNに基づいて、実回転数Nを補正後の目標回転数N**に追従させるべく、フィードバック制御の実行によりデューティ指令値D*を演算する。本実施形態のF/B制御部34は、偏差ΔNに比例ゲインを乗ずることにより得られる比例成分、及び偏差ΔNの積分値に積分ゲインを乗ずることにより得られる積分成分を足し合わせることで、デューティ指令値D*を演算する。つまり、F/B制御部34は、PI制御演算の実行により、デューティ指令値D*を演算する。
モータ制御信号生成部35には、回転位置信号Sp及びデューティ指令値D*が入力される。モータ制御信号生成部35は、回転位置信号Spに示されるロータ23の回転位置に対応する通電パターン、及びデューティ指令値D*に示されるデューティ比を有するモータ制御信号Smを生成し、駆動回路22に出力する。これにより、三相の駆動電力がモータ5に供給される。
ここで、本実施形態のように推定したロータ23の回転位置に基づいてモータ5の作動を制御する所謂センサレス制御を行うEOPECU6では、モータ制御信号Smに応じてコイル24u,24v,24wに発生する回転磁界とロータ23の回転位置との同期が取れなくなる脱調が生じることがある。このように同期がとれなくなり、ロータ23を回転させることができない完全に脱調した状態となるまでに、モータ5は、同期が取れている場合と比べて大きな駆動電力が必要となるもののロータ23を回転させることができる脱調しかけの予兆状態となる。そして、予兆状態では、一時的にモータ5の回転数を大きくすることで、モータ制御信号Smとロータ23の回転位置との同期が再び取れるようになることがある。特に、目標回転数N*がオイルを最低限循環するような低い値に設定される場合には、コイル24u,24v,24wの誘起電圧が小さく、相対的にノイズの影響が大きくなることで推定されるロータ23の回転位置の精度が低くなるため、一時的にモータ5の回転数を大きくすることで、同期を再び取りやすい。
この点を踏まえ、本実施形態のマイコン21は、予兆状態判定部31によりモータ5が脱調しかけている予兆状態であるか否かを判定し、予兆状態である場合には、目標回転数補正部32により目標回転数N*が大きくなるように補正する。そして、モータ5の回転数が補正後の目標回転数N**となるようにモータ制御信号Smを生成し、駆動回路22に出力する。
詳しくは、予兆状態判定部31には、補正後の目標回転数N**、電源電圧Vb、実電流値I及びオイルの温度Toが入力される。また、予兆状態判定部31は、モータ制御信号Smとロータ23の回転位置とが同期している場合におけるモータ5の回転数に応じた駆動電力Pの範囲を示す同期電力範囲を設定するマップを備えている。
図4に示すように、モータ制御信号Smとロータ23の回転位置との同期が取れている場合、モータ5の回転数の増加に対して駆動電力Pは線形的に増加する。なお、本実施形態のマップでは、モータ5の回転数を示す値として補正後の目標回転数N**を用いている。そして、同期電力範囲の上限値Pup1及び下限値Plo1は、例えば製造されるモータ5やEOPECU6の個体差等を考慮して、図4において破線で示す理想的な値よりも所定値だけそれぞれ大きな値及び小さな値とされている。したがって、モータ制御信号Smとロータ23の回転位置との同期が取れている場合、駆動電力Pはモータ5の回転数に応じた同期電力範囲内の値となる。
また、オイルの温度Toが低下すると、その粘性が高くなることで、モータ5の負荷が大きくなる。そのため、モータ制御信号Smとロータ23の回転位置との同期が取れている場合であっても、オイルの温度Toが低い場合には、ロータ23を回転させるのに大きな駆動電力Pが必要となる。この点を踏まえ、本実施形態のマップでは、オイルの温度Toが低いほど、同期電力範囲の示す駆動電力Pの値が大きくなるように設定されている。
予兆状態判定部31は、入力される電源電圧Vbと実電流値Iとを乗算することにより駆動電力Pを演算し、この駆動電力Pが補正後の目標回転数N**及びオイルの温度Toに応じた同期電力範囲内の値であるか否かに基づいてモータ5が脱調しかけの予兆状態であるか否かを判定する。そして、予兆状態判定部31は、駆動電力Pが同期電力範囲外にある場合には、予兆状態である旨の判定信号Sdを目標回転数補正部32に出力し、駆動電力Pが同期電力範囲内にある場合には、予兆状態でない旨の判定信号Sdを目標回転数補正部32に出力する。
目標回転数補正部32には、目標回転数N*及び判定信号Sdが入力される。目標回転数補正部32は、予兆状態でない旨の判定信号Sdが入力された場合、すなわち駆動電力Pが同期電力範囲内の値である場合には、目標回転数N*の値を補正せず、目標回転数N*をそのまま補正後の目標回転数N**とする。このように演算された補正後の目標回転数N**は、予兆状態判定部31及び上記減算器36に出力され、この補正後の目標回転数N**に基づくモータ制御信号Smが生成される。
一方、図5に示すように、目標回転数補正部32は、予兆状態である旨の判定信号Sdが入力された場合、すなわち駆動電力Pが同期電力範囲外の値である場合には、当該判定信号Sdが入力されてから予め設定された第1所定時間Δt1だけ経過する毎に、予め設定された所定回転数ずつ段階的に補正後の目標回転数N**が大きくなるように補正する。このように演算された補正後の目標回転数N**は、予兆状態判定部31及び上記減算器36に出力され、この補正後の目標回転数N**に基づくモータ制御信号Smが生成される。
また、目標回転数補正部32は、予兆状態である旨の判定信号Sdが入力されてから第1所定時間Δt1よりも長い第2所定時間Δt2以内に、駆動電力Pが同期電力範囲内の値にならない場合には、補正後の目標回転数N**をゼロとする。これにより、モータ5の回転数がゼロとなるようなモータ制御信号Smが生成され、モータ5への駆動電力Pの供給が停止される。なお、本実施形態の第2所定時間Δt2は、第1所定時間Δt1の4倍の長さとなっているが、適宜変更可能である。
次に、予兆状態となった後のモータ5の作動状態の変化について説明する。
例えば図4に示すように、目標回転数N*が「N1」であるときに、モータ5が脱調しかけることで、駆動電力Pが補正後の目標回転数N**に応じた同期電力範囲外の「P1」となった場合を想定する。なお、この時点では、予兆状態である旨の判定信号Sdが目標回転数補正部32に入力されていないため、補正後の目標回転数N**は目標回転数N*と等しい。このような場合、予兆状態判定部31において予兆状態であると判定されることで、補正後の目標回転数N**が目標回転数N*よりも大きくなるように補正される。
その結果、一時的にモータ5の回転数が高くなることで、モータ制御信号Smとロータ23の回転位置との同期が再び取れる場合には、例えば同図において一点鎖線で示すように駆動電力Pが大きくなるものの、駆動電力Pが補正後の目標回転数N**に応じた同期電力範囲内の値になる。これにより、モータ5が停止せず、オイルポンプ4が継続して駆動される。なお、駆動電力Pが補正後の目標回転数N**に応じた同期電力範囲内の値になった後は、モータ5の回転数が上位ECU16から出力される目標回転数N*となるように、モータ5の作動が制御される。
一方、モータ5の回転数が一時的に高くなっても、モータ制御信号Smとロータ23の回転位置との同期が再び取れない場合には、例えば同図において二点鎖線で示すように、駆動電力Pが補正後の目標回転数N**に応じた同期電力範囲内の値とならない。そして、予兆状態である旨の判定信号Sdが目標回転数補正部32に入力されてから第2所定時間Δt2が経過すると、モータ5への駆動電力Pの供給が停止される。
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)上記のように予兆状態では、一時的にモータ5の回転数を大きくすることで、モータ制御信号Smとロータ23の回転位置との同期が再び取れるようになることがある。したがって、本実施形態のように、予兆状態である旨の判定信号Sdが入力される場合、すなわち駆動電力Pが同期電力範囲外である場合に、目標回転数N*が大きくなるように補正し、補正後の目標回転数N**に基づいてモータ制御信号を生成することで、完全に脱調することを抑制し、脱調しかけているモータ5の同期を図ることができる。これにより、モータ5が停止することを抑制して、オイルポンプ4が停止する期間を減少させることができる。
(2)マイコン21は、オイルの温度Toが低下すると、その粘性が高くなることで、モータ5の負荷が大きくなることを踏まえ、オイルポンプ4を流通するオイルの温度Toに応じて同期電力範囲を変更するため、モータ5の負荷状態に応じて、該モータ5が脱調しかけているか否かを好適に判定できる。
(3)マイコン21は、予兆状態である旨の判定信号Sdが入力されてから第1所定時間Δt1経過する毎に、段階的に目標回転数N*が大きくなるように補正するため、目標回転数N*の補正量が第1所定時間Δt1だけ継続して一定となる。これにより、例えば補正量が連続的に変化する場合に比べ、モータ5を安定して回転させることができ、脱調しかけているモータ5の同期を好適に図ることができる。
(4)マイコン21は、予兆状態である旨の判定信号Sdが入力されてから第1所定時間Δt1だけ経過する毎に、所定回転数ずつ目標回転数N*が大きくなるように補正する。そのため、例えば目標回転数N*の所定割合ずつ大きくなるように補正後の目標回転数N**を補正する場合のように、モータ5が予兆状態であると判断された時点での目標回転数N*によって補正量がばらつかないため、脱調しかけているモータ5の同期を好適に図ることができる。
(5)マイコン21は、予兆状態である旨の判定信号Sdが入力されてから第2所定時間Δt2以内に、予兆状態でない旨の判定信号Sdが入力されない場合には、モータ5への駆動電力Pの供給を停止する。そのため、第2所定時間Δt2の経過後も継続して駆動電力Pを供給する場合に比べ、モータ5が過熱することを抑制できる。
(第2実施形態)
次に、電動ポンプ装置の駆動源となるモータの作動を制御するモータ制御装置に具体化した第2実施形態を図面に従って説明する。なお、説明の便宜上、同一の構成については上記第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
図6に示すように、本実施形態のオイルポンプ4は、リリーフバルブ41を備えている。リリーフバルブ41は、オイルポンプ4の吸入側と吐出側とを短絡している。リリーフバルブ41は、送出油路13内の油圧が予め設定されたリリーフ圧を超えると開弁し、オイルポンプ4の吐出側から吸入側にオイルを戻すことで、送出油路13内の油圧が過大になることを抑制する。なお、本実施形態のリリーフバルブ41には、そのバルブ径が小さな小型のものが採用されている。
駆動モータ2を冷却するための油圧回路3は、オイルポンプ4がリリーフバルブ41を備えている以外、上記第1実施形態と同様に構成されている。また、EOPECU6の電気的構成は、上記第1実施形態と同様に構成されている。
ここで、例えば送出油路13に異物が詰まり、オイルポンプ4がオイルを送出するための負荷が過大になる場合を想定する。こうした場合にモータ5の回転数を高くして、油圧回路3内で十分な量のオイルを循環させようとすると、送出油路13内の油圧が過大になり、オイルポンプ4を駆動するのに必要なトルクが大きくなるため、モータ5に大きな負荷が加わることになる。
なお、本実施形態のオイルポンプ4はリリーフバルブ41を備えているが、バルブ径の小さな小型のものであるため、送出油路13に異物が詰まり、かつモータ5の回転数が高い状態では、十分な量のオイルを還流させることができず、送出油路13内の油圧が過大になりやすい。
したがって、本実施形態のモータ5は、オイルポンプ4及び油圧回路3に異常が生じ、オイルポンプ4の作動状態が異常になることで、大きな負荷が加わる過負荷状態となることがある。こうした過負荷状態では、油圧回路3に過大な負荷が作用することを抑制するために、モータ5の回転数を小さくすることが好ましい。一方、上記のようにEOPECU6がセンサレス制御を実行するため、モータ5は、脱調しかけの予兆状態となることがある。こうした予兆状態では、モータ5が完全に脱調することを抑制するために、モータ5の回転数を大きくすることが好ましい。
ところで、油圧回路3に異物が詰まっておらず、オイルポンプ4が正常に作動している場合には、モータ5の回転数の増加に対して駆動電力Pは線形的に増加する。そのため、オイルポンプ4が正常に作動している場合には、駆動電力Pはモータ5の回転数に応じた適正電力範囲内の値となる。つまり、駆動電力Pが適正電力範囲外の値となる場合には、オイルポンプ4や油圧回路3に異常が生じている可能性がある。また、上記のように駆動電力Pが同期電力範囲外の値となる場合には、モータ5が予兆状態である可能性がある。
適正電力範囲及び上記同期電力範囲は、それぞれ問題なくモータ5が回転している場合における回転数と駆動電力との関係を示すものであり、これらの範囲は互いに重複することがある。そのため、駆動電力Pが同期電力範囲外の値となる場合に、当該駆動電力Pが適正電力範囲外の値となっていることがあり、こうした場合に一律に目標回転数N*を大きくすると、オイルポンプ4を無理に駆動させてオイルポンプ4や油圧回路3に過大な負荷が作用するおそれがある。
ここで、誘起電圧はモータ5の回転数の増大に比例して大きくなるため、回転数が低回転数域である場合には、誘起電圧に基づいて推定されるロータ23の回転位置の精度が低く、上記のような予兆状態となりやすい。一方、モータ5の回転数が高回転数域である場合には、オイルポンプ4や油圧回路3に異常が生じていると、駆動電力Pが大きくなりやすい。
この点を踏まえ、図7に示すように、本実施形態のマイコン21は、上記第1実施形態の予兆状態判定部31に代えて、モータ5の状態を判定するモータ状態判定部51を備えている。マイコン21は、モータ状態判定部51により予兆状態であるか、または過負荷状態であるかを判定する。そして、マイコン21は、モータ5が予兆状態であり、モータ5の回転数が低回数域内の値である場合には、目標回転数補正部32により目標回転数N*が大きくなるように補正する。一方、マイコン21は、モータ5が過負荷状態であり、モータ5の回転数が高回数域内の値である場合には、目標回転数補正部32により目標回転数N*が大きくなるように補正する。そして、モータ5の回転数が補正後の目標回転数N**となるようにモータ制御信号Smを生成し、駆動回路22に出力する。
詳しくは、モータ状態判定部51には、同期電力範囲に加え、オイルポンプ4及び油圧回路3に異常が生じていない場合におけるモータ5の回転数に応じた駆動電力Pの範囲を示す適正電力範囲を設定するマップを備えている。なお、同期電力範囲は、上記第1実施形態と同様に設定されている。
図8に示すように、オイルポンプ4や油圧回路3に異常が生じていない場合、モータ5の回転数の増加に対して駆動電力Pは線形的に増加する。なお、本実施形態のマップでは、モータ5の回転数を示す値として補正後の目標回転数N**を用いている。補正後の目標回転数N**と駆動電力Pとの理想的な関係は、同図において破線で示すように、モータ制御信号Smとロータ23の回転位置との同期が取れている場合の補正後の目標回転数N**と駆動電力Pとの理想的な関係と一致している。そして、適正電力範囲の上限値Pup2及び下限値Plo2は、例えば製造されるモータ5やEOPECU6の個体差等を考慮して、理想的な値よりも所定値だけそれぞれ大きな値及び小さな値とされている。したがって、オイルポンプ4や油圧回路3に異常が生じていない場合、駆動電力Pはモータ5の回転数に応じた適正電力範囲内の値となる。なお、適正電力範囲の上限値Pup2及び下限値Plo2は、それぞれ同期電力範囲の上限値Pup1及び下限値Plo1と一致している。
また、オイルの温度Toが低下すると、その粘性が高くなることで、モータ5の負荷が大きくなる。そのため、オイルポンプ4や油圧回路3に異常が生じておらず、オイルポンプ4が正常に作動している場合であっても、オイルの温度Toが低い場合には、ロータ23を回転させるのに大きな駆動電力Pが必要となる。この点を踏まえ、本実施形態のマップでは、オイルの温度Toが低いほど、適正電力範囲の示す駆動電力Pの値が、同期電力範囲を示す駆動電力Pと同様に、大きくなるように設定されている。つまり、本実施形態の適正電力範囲は、オイルの温度Toに応じた変更を含め、同期電力範囲と一致するように設定されている。
モータ状態判定部51は、入力される電源電圧Vbと実電流値Iとを乗算することにより駆動電力Pを演算し、この駆動電力Pが補正後の目標回転数N**及びオイルの温度Toに応じた同期電力範囲及び適正電力範囲内の値であるか否かに基づいて、モータ5が過負荷状態又は予兆状態であるか否かを判定する。そして、モータ状態判定部51は、駆動電力Pが同期電力範囲及び適正電力範囲外の値であり、補正後の目標回転数N**が低回転数域内の値である場合には、予兆状態である旨の判定信号Sdを目標回転数補正部32に出力する。また、モータ状態判定部51は、駆動電力Pが同期電力範囲及び適正電力範囲外の値であり、補正後の目標回転数N**が高回転数域内の値である場合には、過負荷状態である旨の判定信号Sdを目標回転数補正部32に出力する。なお、モータ状態判定部51は、駆動電力Pが同期電力範囲及び適正電力範囲内の値である場合には、予兆状態及び過負荷状態でない旨の判定信号Sdを目標回転数補正部32に出力する。
低回転数域は、モータ5の回転数が予め定められた回転数閾値Nth以下の回転数域であり、高回転数域は、モータ5の回転数が回転数閾値Nthよりも大きな回転数域である。回転数閾値Nthは、モータ5が回転可能な最大の回転数として予め定められた定格回転数Nrに基づいて設定されており、例えば定格回転数Nrの20%程度に設定されている。
目標回転数補正部32には、目標回転数N*及び判定信号Sdが入力される。目標回転数補正部32は、予兆状態及び過負荷状態でない旨の判定信号Sdが入力された場合、すなわち駆動電力Pが同期電力範囲及び適正電力範囲内の値である場合には、目標回転数N*の値を補正せず、目標回転数N*をそのまま補正後の目標回転数N**とする。
一方、目標回転数補正部32は、予兆状態である旨の判定信号Sdが入力された場合、すなわち駆動電力Pが同期電力範囲及び適正電力範囲外の値であり、補正後の目標回転数N**が低回転数域内の値である場合には、補正後の目標回転数N**が大きくなるように補正する。具体的には、目標回転数補正部32は、上記第1実施形態と同様に、予兆状態である旨の判定信号Sdが入力されてからの時間経過に応じて所定回転数ずつ段階的に補正後の目標回転数N**が大きくなるように補正する。また、目標回転数補正部32は、上記第1実施形態と同様に、予兆状態である旨の判定信号Sdが入力されてから第2所定時間Δt2以内に、駆動電力Pが同期電力範囲内の値にならない場合には、補正後の目標回転数N**をゼロとする。
また、目標回転数補正部32は、過負荷状態である旨の判定信号Sdが入力された場合、すなわち駆動電力Pが同期電力範囲及び適正電力範囲外の値であり、補正後の目標回転数N**が高回転数域内の値である場合には、補正後の目標回転数N**が小さくなるように補正する。具体的には、目標回転数補正部32は、補正後の目標回転数N**が即座に予め設定された所定低回転数Nloとなるように目標回転数N*を補正する。なお、本実施形態の所定低回転数Nloは、回転数閾値Nthよりも小さな値に設定されている。
目標回転数補正部32は、過負荷状態である旨の判定信号Sdが入力され、補正後の目標回転数N**が小さくなるように補正した後に、駆動電力Pが同期電力範囲外の値となるとともに、補正後の目標回転数N**が低回転数域内の値となっても、目標回転数N*が大きくなるように補正しない。一方、目標回転数補正部32は、補正後の目標回転数N**が小さくなるように補正した後に、駆動電力Pが適正電力範囲内の値になった場合には、目標回転数N*の補正を停止し、目標回転数N*をそのまま補正後の目標回転数N**とする。
次に、過負荷状態となった後のモータ5の作動状態の変化について説明する。なお、予兆状態となった後のモータ5の作動状態の変化は、上記第1実施形態と同様である。
例えば図8に示すように、目標回転数N*が「N2」であるときに、送出油路13に異物が詰まることで、駆動電力Pが補正後の目標回転数N**に応じた同期電力範囲外の「P2」となった場合を想定する。なお、この時点では、過負荷状態である旨の判定信号Sdが目標回転数補正部32に入力されていないため、補正後の目標回転数N**は目標回転数N*と等しい。このような場合、モータ状態判定部51において過負荷状態であると判定されることで、補正後の目標回転数N**が所定低回転数Nloまで小さくなるように補正される。
その結果、モータ5の回転数が低くなることで、例えば同図において一点鎖線で示すように、駆動電力Pが小さくなる。このとき、送出油路13に異物が詰まった状態では、駆動電力Pは、適正電力範囲外の値となる。その後、例えばオイルの温度Toが上昇し、その粘性が低くなることで、異物の詰りが解消されると、モータ5の負荷が小さくなり、駆動電力Pが適正電力範囲内の値となる。すると、目標回転数N*がそのまま補正後の目標回転数N**とされるため、モータ5の回転数が高くなり、オイルポンプ4の作動状態が要求されるものとなる。
以上、本実施形態では、上記第1実施形態の(2)〜(5)の作用及び効果と同様の作用及び効果に加え、以下の作用及び効果を奏する。
(6)マイコン21は、駆動電力Pが同期電力範囲外の値であるとともに、補正後の目標回転数N**が低回転数域内にある場合に、目標回転数N*を大きくなるように補正した補正後の目標回転数N**に基づいてモータ制御信号Smを生成するため、完全に脱調することを抑制し、脱調しかけているモータ5の同期を図ることができる。これにより、モータ5が停止することを抑制して、オイルポンプ4が停止する期間を減少させることができる。また、マイコン21は、駆動電力Pが適正電力範囲外の値であるとともに、補正後の目標回転数N**が高回転数域内にある場合に、目標回転数N*を小さくなるように補正した補正後の目標回転数N**に基づいてモータ制御信号Smを生成する。そのため、例えばオイルポンプ4から吐出されるオイルが流通する送出油路13に詰まりが発生した場合に、リリーフバルブ41が小型のものであっても、オイルポンプ4や油圧回路3に過大な負荷が作用することを抑制できる。換言すると、オイルポンプ4の大型化を抑制しつつ、オイルポンプ4や油圧回路3に異常が生じた際に、これらに過大な負荷が作用することを抑制できる。
(7)マイコン21は、オイルの温度Toが低下すると、その粘性が高くなることで、モータ5の負荷が大きくなることを踏まえ、オイルポンプ4を流通するオイルの温度Toに応じて適正電力範囲を変更するため、モータ5の負荷状態に応じて、オイルポンプ4や油圧回路3に異常が生じているか否かを好適に判定できる。
(8)オイルポンプ4や油圧回路3に異常が生じている場合、目標回転数N*が小さくなるように補正することで、これらに過大な負荷が作用することを抑制できるものの、異常自体は継続して残ることがある。そのため、目標回転数N*が小さくなるように補正した後に、駆動電力Pが同期電力範囲外の値となることがある。こうした場合に、駆動電力Pが同期電力範囲外の値であるとともに、補正後の目標回転数N**が低回転数域内の値であるとして、目標回転数N*が大きくなるように補正すると、再び駆動電力Pが適正電力範囲外の値になるとともに、補正後の目標回転数N**が高回転数域内の値となり、目標回転数N*が小さくなるように補正することになる。つまり、目標回転数N*を大きくする補正と小さくする補正とを繰り返し行うおそれがある。この点、マイコン21は、過負荷状態である旨の判定信号Sdが入力され、目標回転数N*が小さくなるように補正した後に、駆動電力Pが同期電力範囲外の値となっても、目標回転数N*が大きくなるように補正しない。そのため、補正後の目標回転数N**が大きくなったり、小さくなったり繰り返すことを抑制できる。
(9)目標回転数N*が小さくなるように補正した後、何らかの要因でオイルポンプ4や油圧回路3の異常が解消されると、駆動電力Pが適正電力範囲内の値になる。このようにオイルポンプ4や油圧回路3の異常が解消された場合には、モータ5の回転数が補正前の目標回転数N*となるようにその作動を制御しても、駆動電力Pが適正電力範囲内の値となると考えられる。この点、本実施形態のマイコン21は、目標回転数N*が小さくなるように補正した後、駆動電力Pが適正電力範囲内の値になった場合に、補正前の目標回転数N*に基づいてモータ制御信号Smを生成する。そのため、オイルポンプ4の作動状態を要求されるものとすることができる。
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記各実施形態では、予兆状態となってから駆動電力Pが同期電力範囲内の値になった後は、モータ5の回転数が目標回転数N*となるように、モータ5の作動を制御した。しかし、これに限らず、駆動電力Pが同期電力範囲内の値になった後も継続して、例えば同期電力範囲内の値になった時点での補正後の目標回転数N**となるように、モータ5の作動を制御してもよい。
・上記各実施形態において、EOPECU6がオイルの温度Toを温度センサ17から直接取得せず、上位ECU16から取得してもよい。
・上記各実施形態において、予兆状態である旨の判定信号Sdが入力されてから第2所定時間Δt2だけ経過した後も、モータ5への駆動電力Pの供給を継続してもよい。
・上記各実施形態では、判定信号Sdが入力されてから第1所定時間Δt1経過する毎に、所定回転数ずつ段階的に補正後の目標回転数N**が大きくなるように補正したが、これに限らず、例えば目標回転数N*の所定割合ずつ段階的に目標回転数N*が大きくなるように補正してもよい。また、例えば図9に示すように、連続的に目標回転数N*が大きくなるように補正してもよい。
・上記各実施形態において、オイルの温度Toに応じて同期電力範囲を変更せず、一定としてもよい。同様に、上記第2実施形態において、オイルの温度Toに応じて適正電力範囲を変更せず、一定としてもよい。
・上記各実施形態では、同期電力範囲を設定するためのマップにおいて、モータ5の回転数を示す値として補正後の目標回転数N**を用いたが、これに限らず、例えば実回転数Nを用いてもよい。同様に、適正電力範囲を設定するためのマップにおいて、モータ5の回転数を示す値として、例えば実回転数Nを用いてもよい。
・上記第2実施形態では、モータ5の回転数が低回転数域内の値であるか高回転数域内の値であるかを判定するための値として補正後の目標回転数N**を用いたが、これに限らず、例えば実回転数Nや目標回転数N*を用いてもよい。
・上記第2実施形態において、所定低回転数Nloを回転数閾値Nth以上の値に設定してもよい。
・上記第2実施形態において、目標回転数N*が小さくなるように補正した後、駆動電力Pが適正電力範囲内の値になった場合にも継続して、目標回転数N*が小さくなるように補正した目標回転数N**に基づいてモータ制御信号Smを生成してもよい。
・上記第2実施形態において、目標回転数N*が小さくなるように補正した後に、駆動電力Pが同期電力範囲外の値となった場合、再び目標回転数N*が大きくなるように補正してもよい。
・上記第2実施形態では、同期電力範囲と適正電力範囲とが互いに一致するようにこれら各範囲を設定したが、これに限らず、同期電力範囲が適正電力範囲と一部異なる範囲を含むようにこれら各範囲を設定してもよい。
・上記第2実施形態において、オイルポンプ4がリリーフバルブ41を備えない構成としてもよい。また、上記第1実施形態において、オイルポンプ4がリリーフバルブを備える構成としてもよい。
・上記各実施形態では、車両走行用の駆動モータ2を冷却するためのオイルを循環させるオイルポンプ4を駆動するモータ5を制御対象としたが、これに限らず、例えば変速機に作動油を供給するためのオイルポンプを駆動するモータを制御対象としてもよい。また、ポンプ以外の他の被駆動装置を駆動するモータを制御対象としてもよい。
次に、上記各実施形態及び変形例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記制御回路は、前記モータが予兆状態であると判定されてから予め設定された第1所定時間経過する毎に、段階的に前記目標回転数が大きくなるように補正するモータ制御装置。
(ロ)前記制御回路は、前記モータが予兆状態であると判定されてから前記第1所定時間経過する毎に、予め設定された所定回転数ずつ前記目標回転数が大きくなるように補正するモータ制御装置。
(ハ)前記制御回路は、前記モータが予兆状態であると判定されてから予め設定された第1所定時間よりも長い第2所定時間以内に、前記駆動電力が前記同期電力範囲内の値にならない場合には、前記モータへの駆動電力の供給を停止するモータ制御装置。
1…電動ポンプ装置、4…オイルポンプ、5…モータ、6…EOPECU、21…マイコン、22…駆動回路、23…ロータ、23u,23v,23w…コイル、31…予兆状態判定部、32…目標回転数補正部、33…回転位置推定部、34…F/B制御部、35…モータ制御信号生成部、41…リリーフバルブ、51…モータ状態判定部、N…実回転数、N*…目標回転数、N**…補正後の目標回転数、Nr…定格回転数、Nth…回転数閾値、P…駆動電力、Sd…判定信号、Sm…モータ制御信号、Sp…回転位置信号、To…温度、Δt1…第1所定時間、Δt2…第2所定時間。

Claims (9)

  1. 被駆動装置を駆動するモータを制御対象とし、
    前記モータのコイルで発生する誘起電圧に基づいてロータの回転位置を推定し、前記回転位置に基づいて前記モータの作動を制御するモータ制御装置において、
    モータ制御信号を出力する制御回路と、
    前記モータ制御信号に基づいて駆動電力を前記モータに供給する駆動回路とを備え、
    前記制御回路は、
    前記モータ制御信号と前記ロータの回転位置とが同期している場合における前記モータの回転数に応じた電力の範囲を示す同期電力範囲を設定し、
    前記駆動電力が前記同期電力範囲外の値である場合には、前記モータの目標回転数が大きくなるように補正し、
    補正後の前記目標回転数に基づいて前記モータ制御信号を生成するモータ制御装置。
  2. 被駆動装置を駆動するモータを制御対象とし、
    前記モータのコイルで発生する誘起電圧に基づいてロータの回転位置を推定し、前記回転位置に基づいて前記モータの作動を制御するモータ制御装置において、
    モータ制御信号を出力する制御回路と、
    前記モータ制御信号に基づいて駆動電力を前記モータに供給する駆動回路とを備え、
    前記制御回路は、
    前記モータ制御信号と前記ロータの回転位置とが同期している場合における前記モータの回転数に応じた電力の範囲を示す同期電力範囲、及び前記被駆動装置が正常に作動している場合における前記回転数に応じた電力の範囲を示す適正電力範囲を設定し、
    前記駆動電力が前記同期電力範囲外の値であるとともに、前記回転数が該モータの定格回転数に基づいて定められる回転数閾値以下の低回転数域内の値である場合には、前記モータの目標回転数が大きくなるように補正し、
    前記駆動電力が前記適正電力範囲外の値であるとともに、前記回転数が前記低回転数域よりも大きな高回転数域内の値である場合には、前記目標回転数が小さくなるように補正し、
    補正後の前記目標回転数に基づいて前記モータ制御信号を生成するモータ制御装置。
  3. 請求項2に記載のモータ制御装置において、
    前記被駆動装置は、油圧を発生させるオイルポンプであって、
    前記制御回路は、前記オイルポンプを流通するオイルの温度に応じて前記適正電力範囲を変更するモータ制御装置。
  4. 請求項2又は3に記載のモータ制御装置において、
    前記制御回路は、前記駆動電力が前記適正電力範囲外の値であるとともに、前記回転数が前記高回転数域内の値であり、前記目標回転数が小さくなるように補正した後に、前記駆動電力が前記同期電力範囲外の値になるとともに、前記回転数が前記低回転数域内の値になっても、前記目標回転数が大きくなるように補正しないモータ制御装置。
  5. 請求項2〜4のいずれか一項に記載のモータ制御装置において、
    前記制御回路は、前記駆動電力が前記適正電力範囲外の値であるとともに、前記回転数が前記高回転数域内の値であり、前記目標回転数が小さくなるように補正した後に、前記駆動電力が前記適正電力範囲内の値になった場合には、補正前の前記目標回転数に基づいて前記モータ制御信号を生成するモータ制御装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のモータ制御装置において、
    前記被駆動装置は、油圧を発生させるオイルポンプであって、
    前記制御回路は、前記オイルポンプを流通するオイルの温度に応じて前記同期電力範囲を変更するモータ制御装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のモータ制御装置において、
    前記制御回路は、前記駆動電力が前記同期電力範囲外の値となってから予め設定された第1所定時間経過する毎に、段階的に前記目標回転数が大きくなるように補正するモータ制御装置。
  8. 請求項7に記載のモータ制御装置において、
    前記制御回路は、前記駆動電力が前記同期電力範囲外の値となってから前記第1所定時間経過する毎に、予め設定された所定回転数ずつ前記目標回転数が大きくなるように補正するモータ制御装置。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のモータ制御装置において、
    前記制御回路は、前記駆動電力が前記同期電力範囲外の値となってから予め設定された第1所定時間よりも長い第2所定時間以内に、前記駆動電力が前記同期電力範囲内の値にならない場合には、前記モータへの駆動電力の供給を停止するモータ制御装置。
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