JP2021012755A - 蓄電装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】エージング工程を行う前に蓄電装置の良否を判定できる蓄電装置の製造方法を提供する。【解決手段】スタックSを準備する。スタックSは、導電板5を介して積層された複数の蓄電モジュール4と、複数の蓄電モジュール4を積層方向Dにおいて両側から拘束する一対の拘束板8と、積層方向Dにおいて両端に位置する蓄電モジュール4のそれぞれに電気的に接続された正極端子6a及び負極端子7aとを含む。正極端子6a及び負極端子7aを用いて、スタックSを充電する。正極端子6a及び負極端子7aを用いて、スタックSの容量を推定すると共にスタックSの抵抗値を測定する。特性検査工程にて得られた容量及び抵抗値を用いて熱処理後の熱処理後容量及び熱処理後抵抗値を算出する。熱処理後容量が第1閾値以上であり、かつ、熱処理後抵抗値が第2閾値以下である場合にスタックSが良品であると判定する。良品と判定されたスタックSを熱処理する。【選択図】図3
Description
本発明の一側面は、蓄電装置の製造方法に関する。
検査対象セルであるリチウムイオン二次電池のエージング工程を行う前に、電池容量の確認検査及び良品判定を行う検査方法が知られている(特許文献1参照)。この検査は、個々の検査対象セルに対して行われる。
一方、導電板を介して積層されて電気的に直列に接続された複数の蓄電モジュール(例えばバイポーラ電池)を備える蓄電装置を製造する場合がある。蓄電装置は、複数の蓄電モジュールを積層方向において両側から拘束して一体化する拘束部材と、複数の蓄電モジュールの積層方向において両端に位置する蓄電モジュールのそれぞれに電気的に接続された一対の端子とを含む。この場合、個々の蓄電モジュールが良品であったとしても、良品である蓄電モジュールが積層されてなる蓄電装置において不良が発生するおそれがある。例えば、蓄電モジュールから蓄電装置を製造する時の損傷、導電板と蓄電モジュールとの間の接続不良、導電板自体の抵抗値に起因する不良等が考えられる。したがって、上記特許文献1の方法では、蓄電装置の良否を判定することはできない。
本発明の一側面は、エージング工程を行う前に蓄電装置の良否を判定できる蓄電装置の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る蓄電装置の製造方法は、導電板を介して積層されて電気的に直列に接続された複数の蓄電モジュールと、前記複数の蓄電モジュールを積層方向において両側から拘束して一体化する拘束部材と、前記複数の蓄電モジュールの前記積層方向において両端に位置する蓄電モジュールのそれぞれに電気的に接続された一対の端子と、を備える蓄電装置の製造方法であって、前記蓄電装置を準備する準備工程と、前記準備工程の後、前記一対の端子を用いて、前記蓄電装置を充電する充電工程と、前記充電工程の後、前記一対の端子を用いて、前記蓄電装置の容量を推定すると共に前記蓄電装置の抵抗値を測定する特性検査工程と、前記特性検査工程にて得られた前記容量及び前記抵抗値を用いて、熱処理による特性変化を加味した前記蓄電装置の熱処理後容量及び前記蓄電装置の熱処理後抵抗値を算出する算出工程と、前記熱処理後容量が第1閾値以上であり、かつ、前記熱処理後抵抗値が第2閾値以下である場合に前記蓄電装置が良品であると判定する判定工程と、良品と判定された前記蓄電装置を熱処理するエージング工程と、を含む。
上記蓄電装置の製造方法では、エージング工程を行う前に特性検査工程を行う。その後、特性検査工程にて得られた容量から算出された熱処理後容量が第1閾値以上であり、かつ、特性検査工程にて得られた抵抗値から算出された熱処理後抵抗値が第2閾値以下である場合に蓄電装置が良品であると判定する。そのため、蓄電モジュール自体の良否ではなく、蓄電装置の良否を判定できる。さらに、良品と判定された蓄電装置を熱処理するので、エージング工程を行う前に蓄電装置の良否を判定できる。
前記蓄電装置が、前記複数の蓄電モジュールと前記拘束部材と前記一対の端子とを含むスタックと、前記蓄電装置を被搭載装置に搭載する際に前記スタックに取り付けられる付属部品と、を備え、前記特性検査工程では、前記付属部品を前記スタックに取り付けた状態で、前記一対の端子を用いて、前記蓄電装置の容量を推定すると共に前記蓄電装置の抵抗値を測定してもよい。この場合、エージング工程を行う前に、付属部品がスタックに取り付けられた状態で蓄電装置の良否を判定できる。
前記特性検査工程では、前記一対の端子を用いて電気的に直列に接続された複数の蓄電モジュール全体の電圧を測定すると共に、前記複数の蓄電モジュールのそれぞれの電圧を測定してもよい。この場合、異常のある蓄電モジュールを特定することができる。
前記特性検査工程では、前記一対の端子を用いて測定された前記蓄電装置の電圧と、予め設定された前記蓄電装置の開回路電圧と前記蓄電装置の充電率との間の相関関係と、を用いて前記蓄電装置の前記容量を推定し、前記算出工程では、前記蓄電装置の熱処理条件と前記蓄電装置の容量との間の相関関係に基づき予め設定された容量算出用換算係数を用いて前記熱処理後容量を算出するとともに、前記蓄電装置の熱処理条件と前記蓄電装置の抵抗値との間の相関関係に基づき予め設定された抵抗値算出用換算係数を用いて前記熱処理後抵抗値を算出してもよい。
本発明の一側面によれば、エージング工程を行う前に蓄電装置の良否を判定できる蓄電装置の製造方法が提供され得る。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。
図1は、蓄電装置の一実施形態を示す概略断面図である。図1に示される蓄電装置1は、例えばフォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いられる。蓄電装置1は、スタックSと、スタックSに取り付けられるブロワBと、スタックSに取り付けられる制御装置Eとを備える。ブロワB及び制御装置Eは、蓄電装置1を被搭載装置(例えば車両等)に搭載する際にスタックSに取り付けられる付属部品の一例である。
スタックSは、導電板5を介して積層されて電気的に直列に接続された複数の蓄電モジュール4と、複数の蓄電モジュール4を積層方向Dにおいて両側から拘束して一体化する一対の拘束板8(拘束部材)と、複数の蓄電モジュール4の積層方向Dにおいて両端に位置する蓄電モジュール4のそれぞれに電気的に接続された一対の正極端子6a及び負極端子7aとを含む。スタックSは、積層方向Dにおいて各拘束板8と複数の蓄電モジュール4との間に配置された絶縁板Fを更に含む。
蓄電モジュール4は、例えば複数の電池セルを備えるバイポーラ電池であり、蓄電モジュール4の積層方向Dから見て矩形状をなしている。各電池セルは、後述する隣り合う電極板15によって囲まれた領域に相当する。蓄電モジュール4は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池等の二次電池、又は電気二重層キャパシタである。以下の説明では、ニッケル水素二次電池を例示する。
積層方向Dに隣り合う蓄電モジュール4,4同士は、導電板5を介して電気的に接続されている。積層方向Dの一端に位置する蓄電モジュール4と拘束板8との間には集電板6が配置される。積層方向Dの他端に位置する蓄電モジュール4と拘束板8との間には集電板7が配置される。集電板6は、導電板5と、導電板5に接続された正極端子6aとを備える。集電板7は、導電板5と、導電板5に接続された負極端子7aとを備える。集電板6,7を構成する導電板5は、積層方向Dにおいて絶縁板Fと蓄電モジュール4との間に位置する。正極端子6a及び負極端子7aは、例えば導電板5の縁部から積層方向Dに交差する方向に延在する板状部材である。正極端子6a及び負極端子7aは、制御装置Eに接続される。正極端子6a及び負極端子7aを用いて、蓄電装置1の充放電が実施される。
スタックSは、集電板6,7を備えず、絶縁板Fが積層方向Dの両端に位置する各蓄電モジュール4に当接してもよい。この場合、積層方向Dの一端に位置する蓄電モジュール4に正極端子6aが接続され、積層方向Dの他端に位置する蓄電モジュール4に負極端子7aが接続される。
導電板5は、例えばアルミニウム板等の金属板である。各導電板5の内部には、空気等の冷却用ガスを流通させる複数の流路5aが設けられている。各流路5aは、例えば積層方向Dと、正極端子6a及び負極端子7aの延在方向とにそれぞれ直交する方向に互いに平行に延在している。これらの流路5aに冷却用ガスを流通させることで、導電板5は、蓄電モジュール4,4同士を電気的に接続する接続部材としての機能のほか、蓄電モジュール4で発生した熱を放熱する放熱板としての機能を併せ持つ。なお、図1の例では、積層方向Dから見た導電板5の面積は、蓄電モジュール4の面積よりも小さいが、放熱性の向上の観点から、導電板5の面積は、蓄電モジュール4の面積と同じであってもよく、蓄電モジュール4の面積よりも大きくてもよい。
一対の拘束板8同士は、締結ボルト9及びナット10によって締結される。各拘束板8は、例えば、積層方向Dから見た蓄電モジュール4及び導電板5の面積よりも一回り大きい面積を有する矩形の金属板(例えばアルミニウム板)である。拘束板8の縁部には、挿通孔8aが設けられている。締結ボルト9は、一方の拘束板8の挿通孔8aから他方の拘束板8の挿通孔8aに向かって通され、他方の拘束板8の挿通孔8aから突出した締結ボルト9の先端部分には、ナット10が螺合されている。これにより、絶縁板F、集電板6,7、蓄電モジュール4及び導電板5が一対の拘束板8によって挟持されて蓄電モジュール積層体としてユニット化されると共に、蓄電モジュール積層体に対して積層方向Dに拘束荷重が付加される。
ブロワBは、スタックSに接続される付属部品の一例である。スタックSは、正極端子6a及び負極端子7aの延在方向において、ブロワBと制御装置Eとの間に配置される。ブロワBは、スタックSから発生した熱を蓄電装置1の外部に放出する。熱は、蓄電モジュール4から発生し、導電板5の流路5aを通る冷却用ガスによってブロワBを通って蓄電装置1の外部に排出される。
制御装置Eは、スタックSに取り付けられる付属部品の一例である。制御装置Eは、例えばジャンクションボックス(J/B)、電子制御ユニット(ECU)、及びハーネス等を含む。制御装置Eは、例えばハーネスを介して正極端子6a及び負極端子7aに接続される。制御装置Eは、各蓄電モジュール4の電圧を測定するためのハーネスL1によって各蓄電モジュール4に接続されてもよい。ハーネスL1は、積層方向Dにおいて両端に位置する各蓄電モジュール4に接続されなくてもよい。積層方向Dにおいて両端に位置する各蓄電モジュール4には、正極端子6a又は負極端子7aが電気的に接続されている。制御装置Eは、各蓄電モジュール4の温度を測定するためのハーネスL2によって各蓄電モジュール4に接続されてもよい。ハーネスL2は、蓄電モジュール4に取り付けられた温度センサ(例えばサーミスタ)に接続される。
次に、蓄電モジュール4の構成について更に詳細に説明する。図2は、蓄電モジュール4の内部構成を示す概略断面図である。同図に示すように、蓄電モジュール4は、電極積層体11と、電極積層体11を封止(シール)する樹脂製のシール部材12とを備えている。
電極積層体11は、セパレータ13を介して積層された複数のバイポーラ電極14を備える。この例では、電極積層体11の積層方向D1は蓄電モジュール4の積層方向Dと一致している。各バイポーラ電極14は、電極板15、電極板15の一方面15a(第1面)に設けられた正極16、電極板15の他方面15b(第1面とは反対側の第2面)に設けられた負極17を含んでいる。正極16は、正極活物質が塗工されてなる正極活物質層である。負極17は、負極活物質が塗工されてなる負極活物質層である。電極積層体11において、一のバイポーラ電極14の正極16は、セパレータ13を挟んで積層方向D1に隣り合う一方のバイポーラ電極14の負極17と対向している。電極積層体11において、一のバイポーラ電極14の負極17は、セパレータ13を挟んで積層方向D1に隣り合う他方のバイポーラ電極14の正極16と対向している。
電極積層体11において、積層方向D1の一端には負極終端電極18が配置され、積層方向D1の他端には正極終端電極19が配置されている。負極終端電極18及び正極終端電極19は、上述の導電板5に接続される。負極終端電極18は、電極板15、及び電極板15の他方面15bに設けられた負極17を含んでいる。負極終端電極18の負極17は、セパレータ13を介して積層方向D1の一端のバイポーラ電極14の正極16と対向している。負極終端電極18の電極板15の一方面15aには、蓄電モジュール4に隣接する一方の導電板5が接触している。正極終端電極19は、電極板15、及び電極板15の一方面15aに設けられた正極16を含んでいる。正極終端電極19の電極板15の他方面15bには、蓄電モジュール4に隣接する他方の導電板5が接触している。正極終端電極19の正極16は、セパレータ13を介して積層方向D1の他端のバイポーラ電極14の負極17と対向している。
電極板15は、金属製であり、例えばニッケル又はニッケルメッキ鋼板からなる。電極板15は、例えばニッケルからなる矩形の金属箔である。電極板15の外縁部15cは、矩形枠状をなし、正極活物質及び負極活物質が塗工されない未塗工領域となっている。正極16を構成する正極活物質としては、例えば水酸化ニッケルが挙げられる。負極17を構成する負極活物質としては、例えば水素吸蔵合金が挙げられる。本実施形態では、電極板15の他方面15bにおける負極17の形成領域は、電極板15の一方面15aにおける正極16の形成領域に対して一回り大きくなっている。
セパレータ13は、例えばシート状に形成されている。セパレータ13としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等が例示される。セパレータ13は、フッ化ビニリデン樹脂化合物で補強されたものであってもよい。なお、セパレータ13は、シート状に限られず、袋状のものを用いてもよい。
シール部材12は、例えば絶縁性の樹脂によって矩形の筒状に形成されている。シール部材12を構成する樹脂材料としては、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、又は変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)などが挙げられる。シール部材12は、電極積層体11を取り囲み、複数の電極板15の外縁部15cを保持するように構成されている。
シール部材12は、外縁部15cに設けられた1次シール21と、1次シール21の周囲に設けられた2次シール22とを有している。1次シール21は所定の厚さ(積層方向D1の長さ)を有するフィルムである。1次シール21は、積層方向D1から見て、矩形枠状をなし、例えば超音波又は熱により、外縁部15cの全周にわたって連続的に溶着されている。1次シール21は、電極板15の一方面15a側の外縁部15cに設けられている。1次シール21は、外縁部15cを埋設した状態で、外縁部15cに設けられ、電極板15の端面を覆っている。1次シール21は、積層方向D1から見て、正極16及び負極17から離間して設けられている。積層方向D1で隣り合う1次シール21,21同士は、互いに当接している。
1次シール21は、第1部分21aと第2部分21bとを有している。第1部分21aは、一方面15a上に設けられ、積層方向D1から見て電極板15と重なっている。第2部分21bは、第1部分21aと一体的に形成され、積層方向D1から見て電極板15の外側に設けられている。第1部分21aの厚さは、第2部分21bの厚さよりも薄く、正極16の厚さと同等であるが、同等以上であってもよい。第1部分21aと第2部分21bとの間には、積層方向D1に延在する段差面21cが形成されている。
第1部分21aの上面には、セパレータ13の外縁部が配置されている。積層方向D1から見て、第1部分21aとセパレータ13の外縁部とは互いに重なっている。セパレータ13の外縁部は、セパレータ13の外縁に沿って並ぶ複数箇所において、例えば溶着により第1部分21aの上面に固定されている。セパレータ13の外縁は、段差面21cに当接していてもよいし、段差面21cから離間していてもよい。本実施形態では、段差面21cの高さ(積層方向D1の長さ)は、セパレータ13の厚さと負極17の厚さとの和と同等であるが、同等以上であってもよい。本実施形態では、正極終端電極19の電極板15の外縁部15cにおける他方面15b上にも1次シール21が設けられている。この1次シール21は、段差面21cを有していない。
2次シール22は、電極積層体11及び1次シール21の外側に設けられ、蓄電モジュール4の外壁(筐体)を構成している。2次シール22は、例えば樹脂の射出成形によって形成され、積層方向D1において電極積層体11の全長にわたって延在している。2次シール22は、積層方向D1を軸方向として延在する筒状部である。2次シール22は、積層方向D1に延在する1次シール21の外側面を覆っている。2次シール22は、1次シール21の外側面に接合され、1次シール21の外側面をシールしている。2次シール22は、例えば、射出成形時の熱によって1次シール21の外側面に溶着されている。2次シール22は、熱板溶着によって1次シール21の外側面に溶着されていてもよい。
積層方向D1で隣り合う電極板15,15の間には、当該電極板15とシール部材12とにより気密及び水密に仕切られた内部空間Vが形成されている。この内部空間Vには、例えば水酸化カリウム水溶液等のアルカリ水溶液からなる電解液(不図示)が収容されている。電解液は、セパレータ13、正極16及び負極17内に含浸されている。電解液は強アルカリ性なので、シール部材12は、耐強アルカリ性を有する樹脂材料により構成されている。
シール部材12には、積層方向D1に交差(ここでは、直交)する方向に延び、各内部空間Vに連通する複数の連通孔(不図示)が設けられている。この連通孔は、各内部空間Vに電解液を注入するための注液口として機能すると共に、電解液が注入された後は、圧力調整弁(不図示)の接続口として機能する。
次に、上述した蓄電装置1の製造方法について説明する。図3は、一実施形態に係る蓄電装置の製造方法を示すフローチャートである。蓄電装置1の製造方法は、図3に示される工程S1〜S6を含み得る。
(蓄電装置の準備工程)
まず、未充電のスタックSを準備する(工程S1)。スタックSは例えば次のように準備される。まず、拘束板8上に絶縁板Fを介して集電板6を配置する。続いて、集電板6上に、複数の蓄電モジュール4を積層する。この時、隣り合う複数の蓄電モジュール4間に導電板5を配置する。続いて、最も上方に位置する蓄電モジュール4上に集電板7、絶縁板F及び拘束板8をこの順で配置する。続いて、締結ボルト9を一方の拘束板8の挿通孔8aから他方の拘束板8の挿通孔8aに向かって通し、他方の拘束板8の挿通孔8aから突出した締結ボルト9の先端部分にナット10を螺合する。このようにしてスタックSが得られる。さらに、スタックSにブロワB及び制御装置Eを取り付けてもよい。ブロワBは、例えばスタックSを冷却する冷媒が通るダクトに取り付けられる。制御装置Eは、正極端子6a及び負極端子7aに接続される。このようにして未充電のスタックSを備える蓄電装置1が得られる。工程S1において、未充電のスタックSの電圧及び抵抗値を測定してもよい。以下の工程S2〜S6は、例えばブロワB及び制御装置E等の付属部品がスタックSに取り付けられた状態(すなわち蓄電装置1の状態)で実施される。
まず、未充電のスタックSを準備する(工程S1)。スタックSは例えば次のように準備される。まず、拘束板8上に絶縁板Fを介して集電板6を配置する。続いて、集電板6上に、複数の蓄電モジュール4を積層する。この時、隣り合う複数の蓄電モジュール4間に導電板5を配置する。続いて、最も上方に位置する蓄電モジュール4上に集電板7、絶縁板F及び拘束板8をこの順で配置する。続いて、締結ボルト9を一方の拘束板8の挿通孔8aから他方の拘束板8の挿通孔8aに向かって通し、他方の拘束板8の挿通孔8aから突出した締結ボルト9の先端部分にナット10を螺合する。このようにしてスタックSが得られる。さらに、スタックSにブロワB及び制御装置Eを取り付けてもよい。ブロワBは、例えばスタックSを冷却する冷媒が通るダクトに取り付けられる。制御装置Eは、正極端子6a及び負極端子7aに接続される。このようにして未充電のスタックSを備える蓄電装置1が得られる。工程S1において、未充電のスタックSの電圧及び抵抗値を測定してもよい。以下の工程S2〜S6は、例えばブロワB及び制御装置E等の付属部品がスタックSに取り付けられた状態(すなわち蓄電装置1の状態)で実施される。
(コンディショニング工程)
次に、正極端子6a及び負極端子7aを用いて蓄電装置1を充電する(工程S2)。その結果、スタックS中の複数の蓄電モジュール4が充電される。工程S2は、充放電を繰り返すコンディショニング工程である。充放電は、例えば、20〜40時間にわたって繰り返される。工程S2の終了時点において蓄電装置1は充電されている。
次に、正極端子6a及び負極端子7aを用いて蓄電装置1を充電する(工程S2)。その結果、スタックS中の複数の蓄電モジュール4が充電される。工程S2は、充放電を繰り返すコンディショニング工程である。充放電は、例えば、20〜40時間にわたって繰り返される。工程S2の終了時点において蓄電装置1は充電されている。
(特性検査工程)
次に、正極端子6a及び負極端子7aを用いて、蓄電装置1の容量を推定すると共に蓄電装置1の抵抗値を測定する(工程S3)。本実施形態において、ブロワB及び制御装置EをスタックSに取り付けた状態で、正極端子6a及び負極端子7aを用いて、蓄電装置1の容量を推定すると共に蓄電装置1の抵抗値を測定する。蓄電装置1の抵抗値は、一定の温度下で測定される。正極端子6a及び負極端子7aを用いて、電気的に直列に接続された複数の蓄電モジュール4全体の電圧を測定してもよい。さらに、各蓄電モジュール4に接続されたハーネスL1及びL2を用いて、複数の蓄電モジュール4のそれぞれの電圧及び温度を測定してもよい。
次に、正極端子6a及び負極端子7aを用いて、蓄電装置1の容量を推定すると共に蓄電装置1の抵抗値を測定する(工程S3)。本実施形態において、ブロワB及び制御装置EをスタックSに取り付けた状態で、正極端子6a及び負極端子7aを用いて、蓄電装置1の容量を推定すると共に蓄電装置1の抵抗値を測定する。蓄電装置1の抵抗値は、一定の温度下で測定される。正極端子6a及び負極端子7aを用いて、電気的に直列に接続された複数の蓄電モジュール4全体の電圧を測定してもよい。さらに、各蓄電モジュール4に接続されたハーネスL1及びL2を用いて、複数の蓄電モジュール4のそれぞれの電圧及び温度を測定してもよい。
蓄電装置1の容量は、正極端子6aと負極端子7aとの間に配置された複数の蓄電モジュール4の容量(電池容量)の合計値である。蓄電装置1の容量は、蓄電装置1が充電された状態において、正極端子6aと負極端子7aとの間に流れる電流値と時間から推定される。蓄電装置1の容量は、正極端子6aと負極端子7aを用いて測定された蓄電装置1の電圧(すなわち複数の蓄電モジュール4全体の電圧)と、予め設定された蓄電装置1の開回路電圧と蓄電装置1の充電率との間の相関関係と、を用いて推定されてもよい。蓄電装置1の抵抗値は、正極端子6aと負極端子7aとの間における蓄電装置1の直流抵抗値(DCIR)である。蓄電装置1の抵抗値は、正極端子6aと負極端子7aとの間に配置された複数の蓄電モジュール4、導電板5及び集電板6,7の抵抗値の合計である。蓄電装置1の抵抗値は、例えば予め定められた期間に一定値の電流を流した場合に測定される正極端子6aと負極端子7aとの間の電圧から算出される。
(算出工程)
次に、工程S3にて得られた容量及び抵抗値を用いて、熱処理による特性変化を加味した蓄電装置1の熱処理後容量及び蓄電装置1の熱処理後抵抗値を算出する(工程S4)。蓄電装置1の熱処理後容量は、蓄電装置1の熱処理条件(温度及び時間)と蓄電装置1の容量との間の相関関係に基づき予め設定された容量算出用換算係数を用いて算出される。蓄電装置1の容量はエージングにより増加するので、蓄電装置1の熱処理後容量は、蓄電装置1の熱処理前容量よりも大きい。
次に、工程S3にて得られた容量及び抵抗値を用いて、熱処理による特性変化を加味した蓄電装置1の熱処理後容量及び蓄電装置1の熱処理後抵抗値を算出する(工程S4)。蓄電装置1の熱処理後容量は、蓄電装置1の熱処理条件(温度及び時間)と蓄電装置1の容量との間の相関関係に基づき予め設定された容量算出用換算係数を用いて算出される。蓄電装置1の容量はエージングにより増加するので、蓄電装置1の熱処理後容量は、蓄電装置1の熱処理前容量よりも大きい。
蓄電装置1の熱処理後抵抗値は、蓄電装置1の熱処理条件と蓄電装置1の抵抗値との間の相関関係に基づき予め設定された抵抗値算出用換算係数を用いて算出される。蓄電装置1の抵抗値はエージングにより減少するので、蓄電装置1の熱処理後抵抗値は、蓄電装置1の熱処理前抵抗値よりも小さい。
(良否判定工程)
次に、熱処理後容量が第1閾値以上であり、かつ、熱処理後抵抗値が第2閾値以下である場合に、蓄電装置1が良品であると判定する(工程S5)。推定された蓄電装置1の容量が第1閾値未満である、又は、測定された蓄電装置1の抵抗値が第2閾値超である場合には蓄電装置1が不良品であると判定される。
次に、熱処理後容量が第1閾値以上であり、かつ、熱処理後抵抗値が第2閾値以下である場合に、蓄電装置1が良品であると判定する(工程S5)。推定された蓄電装置1の容量が第1閾値未満である、又は、測定された蓄電装置1の抵抗値が第2閾値超である場合には蓄電装置1が不良品であると判定される。
(エージング工程)
次に、良品と判定された蓄電装置1を熱処理する(工程S6)。工程S6は、予め定められた温度及び時間で熱処理を行う工程である。温度は例えば40〜80℃である。時間は例えば3日〜6日である。
次に、良品と判定された蓄電装置1を熱処理する(工程S6)。工程S6は、予め定められた温度及び時間で熱処理を行う工程である。温度は例えば40〜80℃である。時間は例えば3日〜6日である。
工程S6では、蓄電装置1のエージング工程を行う前に、蓄電装置1の放電及び電圧測定をこの順で行う。蓄電装置1のエージングの後、蓄電装置1の自己放電及び冷却を行う。その後、蓄電装置1の電圧測定を行った後、蓄電装置1の充電を行う。このようにして、完成品である充電された蓄電装置1が製造される。
以上説明したように、本実施形態に係る蓄電装置1の製造方法では、エージング工程S6を行う前に特性検査工程S3を行う。その後、特性検査工程S3にて得られた容量から算出された熱処理後容量が第1閾値以上であり、かつ、特性検査工程S3にて得られた抵抗値から算出された熱処理後抵抗値が第2閾値以下である場合に蓄電装置1が良品であると判定する。そのため、蓄電モジュール4自体の良否ではなく、蓄電装置1の良否を判定できる。さらに、良品と判定された蓄電装置1を熱処理するので、エージング工程を行う前に蓄電装置1の良否を判定できる。したがって、不良品の蓄電装置1を熱処理する必要がないので、エージング装置の稼働率を向上させることができる。また、1つの電源を用いて蓄電装置1の容量を推定すると共に蓄電装置1の抵抗値を測定できるので、複数の電源を用いる必要がない。
工程S3においてスタックSに付属部品が取り付けられた状態で蓄電装置1の容量を推定すると共に蓄電装置1の抵抗値を測定すると、エージング工程を行う前に、付属部品がスタックSに取り付けられた状態で蓄電装置1の良否を判定できる。
工程S3において複数の蓄電モジュール4のそれぞれの電圧を測定する場合、異常のある蓄電モジュール4の電圧が異常値を示すので、異常のある蓄電モジュール4を特定することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明されたが、本発明は上記実施形態に限定されない。
例えば、工程S2〜S6は、付属部品がスタックSに取り付けられていない状態(すなわちスタックSのみの状態)で実施されてもよい。この場合、工程S6の後に、付属部品がスタックSに取り付けられる。
1…蓄電装置、4…蓄電モジュール、5…導電板、6a…正極端子、7a…負極端子、8…拘束板(拘束部材)、B…ブロワ(付属部品)、D…積層方向、E…制御装置(付属部品)、F…絶縁板、S…スタック。
Claims (4)
- 導電板を介して積層されて電気的に直列に接続された複数の蓄電モジュールと、前記複数の蓄電モジュールを積層方向において両側から拘束して一体化する拘束部材と、前記複数の蓄電モジュールの前記積層方向において両端に位置する蓄電モジュールのそれぞれに電気的に接続された一対の端子と、
を備える蓄電装置の製造方法であって、
前記蓄電装置を準備する準備工程と、
前記準備工程の後、前記一対の端子を用いて、前記蓄電装置を充電する充電工程と、
前記充電工程の後、前記一対の端子を用いて、前記蓄電装置の容量を推定すると共に前記蓄電装置の抵抗値を測定する特性検査工程と、
前記特性検査工程にて得られた前記容量及び前記抵抗値を用いて、熱処理による特性変化を加味した前記蓄電装置の熱処理後容量及び前記蓄電装置の熱処理後抵抗値を算出する算出工程と、
前記熱処理後容量が第1閾値以上であり、かつ、前記熱処理後抵抗値が第2閾値以下である場合に前記蓄電装置が良品であると判定する判定工程と、
良品と判定された前記蓄電装置を熱処理するエージング工程と、
を含む、蓄電装置の製造方法。 - 前記蓄電装置が、前記複数の蓄電モジュールと前記拘束部材と前記一対の端子とを含むスタックと、前記蓄電装置を被搭載装置に搭載する際に前記スタックに取り付けられる付属部品と、を備え、
前記特性検査工程では、前記付属部品を前記スタックに取り付けた状態で、前記一対の端子を用いて、前記蓄電装置の容量を推定すると共に前記蓄電装置の抵抗値を測定する、請求項1に記載の蓄電装置の製造方法。 - 前記特性検査工程では、前記一対の端子を用いて電気的に直列に接続された複数の蓄電モジュール全体の電圧を測定すると共に、前記複数の蓄電モジュールのそれぞれの電圧を測定する、請求項1又は2に記載の蓄電装置の製造方法。
- 前記特性検査工程では、前記一対の端子を用いて測定された前記蓄電装置の電圧と、予め設定された前記蓄電装置の開回路電圧と前記蓄電装置の充電率との間の相関関係と、を用いて前記蓄電装置の前記容量を推定し、
前記算出工程では、前記蓄電装置の熱処理条件と前記蓄電装置の容量との間の相関関係に基づき予め設定された容量算出用換算係数を用いて前記熱処理後容量を算出するとともに、前記蓄電装置の熱処理条件と前記蓄電装置の抵抗値との間の相関関係に基づき予め設定された抵抗値算出用換算係数を用いて前記熱処理後抵抗値を算出する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の蓄電装置の製造方法。
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JP2019124442A JP2021012755A (ja) | 2019-07-03 | 2019-07-03 | 蓄電装置の製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022163454A1 (ja) | 2021-01-29 | 2022-08-04 | ヨネックス株式会社 | グロメット及びラケット |
WO2022264674A1 (ja) * | 2021-06-14 | 2022-12-22 | 株式会社豊田自動織機 | 蓄電装置 |
-
2019
- 2019-07-03 JP JP2019124442A patent/JP2021012755A/ja active Pending
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