以下に説明する、発明を実施するための形態(以下、実施形態)は、実際の製品として要望されている種々の課題を解決しており、例えば車両等の内燃機関に吸入される吸入空気の物理量を検出する物理量検出装置として使用するために望ましい様々な課題を解決し、種々の効果を奏している。下記実施形態が解決している様々な課題の内の一つが、上述した発明が解決しようとする課題の欄に記載した内容であり、また下記実施形態が奏する種々の効果のうちの一つが、発明の効果の欄に記載された効果である。下記実施形態が解決している種々の課題について、さらに下記実施形態により奏される種々の効果について、下記実施形態の説明の中で述べる。従って、下記実施形態の中で述べる、実施形態が解決している課題や効果は、発明が解決しようとする課題の欄や発明の効果の欄の内容以外の内容についても記載されている。
以下の実施形態で、同一の参照符号は、図番が異なっていても同一の構成を示しており、同じ作用効果を成す。既に説明済みの構成について、図に参照符号のみを付し、説明を省略する場合がある。
図1は、電子燃料噴射方式の内燃機関制御システム1に本発明に係る物理量検出装置30を使用した一実施形態を示すシステム図である。エンジンシリンダ112とエンジンピストン114を備える内燃機関110の動作に基づき、吸入空気が被計測気体IAとしてエアクリーナ122から吸入され、主通路124である例えば吸気ボディ(吸気管)71と、スロットルボディ126と吸気マニホールド128を介してエンジンシリンダ112の燃焼室に導かれる。燃焼室に導かれる吸入空気である被計測気体IAの物理量は、吸気ボディ71に設けられた物理量検出装置30によって検出され、その検出された物理量に基づいて燃料噴射弁152より燃料が供給され、被計測気体IAと共に混合気の状態で燃焼室に導かれる。なお、本実施形態では、燃料噴射弁152は内燃機関の吸気ポートに設けられ、吸気ポートに噴射された燃料が被計測気体IAと共に混合気を形成し、吸気弁116を介して燃焼室に導かれ、燃焼して機械エネルギを発生する。
燃焼室に導かれた燃料および空気は、燃料と空気の混合状態を成しており、点火プラグ154の火花着火により、爆発的に燃焼し、機械エネルギを発生する。燃焼後の気体は排気弁118から排気管に導かれ、排気ガスEAとして排気管から内燃機関制御システム1外へ排出される。前記燃焼室に導かれる吸入空気である被計測気体IAの流量は、操作手段、例えばアクセルペダルの操作に基づいてその開度が変化するスロットルバルブ132により制御される。前記燃焼室に導かれる吸入空気の流量に基づいて燃料供給量が制御され、運転者はスロットルバルブ132の開度を制御して前記燃焼室に導かれる吸入空気の流量を制御することにより、内燃機関が発生する機械エネルギを制御することができる。
主通路124を流れる吸入空気である被計測気体IAは、エアクリーナ122から取り込まれ、被計測気体IAの流量、温度、湿度、圧力などの物理量が物理量検出装置30により検出され、物理量検出装置30から吸入空気の物理量を表す電気信号が制御装置200に入力される。また、スロットルバルブ132の開度を計測するスロットル角度センサ144の出力が制御装置200に入力され、さらに内燃機関のエンジンピストン114や吸気弁116や排気弁118の位置や状態、さらに内燃機関の回転速度を計測するために、回転角度センサ146の出力が、制御装置200に入力される。また、排気ガスEAの状態から燃焼量と空気量の混合比の状態を計測するために、酸素センサ148の出力が制御装置200に入力される。
制御装置200では、物理量検出装置30の出力である吸入空気の物理量と、回転角度センサ146の出力に基づき計測された内燃機関の回転速度とに基づいて、燃料噴射量や点火時期が演算される。これらの演算結果に基づいて、燃料噴射弁152から供給される燃料量、また点火プラグ154により点火される点火時期が制御される。燃料供給量や点火時期は、実際にはさらに物理量検出装置30で検出される温度やスロットル角度の変化状態、エンジン回転速度の変化状態、酸素センサ148で計測された空燃比の状態に基づいて、きめ細かく制御される。制御装置200は、さらに内燃機関のアイドル運転状態において、スロットルバルブ132をバイパスする空気量をアイドルエアコントロールバルブ156により制御し、アイドル運転状態での内燃機関の回転速度が制御される。
内燃機関の主要な制御量である燃料供給量や点火時期はいずれも物理量検出装置30の出力を主パラメータとして演算される。したがって、物理量検出装置30の検出精度の向上や、経時変化の抑制、信頼性の向上が、車両の制御精度の向上や信頼性の確保に関して重要である。
特に近年、車両の省燃費に関する要望が非常に高く、また排気ガス浄化に関する要望が非常に高い。これらの要望に応えるには、物理量検出装置30により検出される吸入空気である被計測気体IAの物理量の検出精度の向上が極めて重要である。また、物理量検出装置30が高い信頼性を維持していることも大切である。
物理量検出装置30が搭載される、例えば車両等の内燃機関は、温度や湿度の変化が大きい環境で使用される。物理量検出装置30は、その使用環境における温度や湿度の変化への対応や、塵埃や汚染物質などへの対応も、考慮されていることが望ましい。
また、物理量検出装置30は、内燃機関からの発熱の影響を受ける吸気管に装着される。このため、内燃機関の発熱が主通路124である吸気ボディ71を介して物理量検出装置30に伝わる。物理量検出装置30は、被計測気体IAと熱伝達を行うことにより被計測気体IAの流量を検出するので、外部からの熱の影響をできるだけ抑制することが重要である。
物理量検出装置30は、以下で説明するように、単に発明が解決しようとする課題の欄に記載された課題を解決し、発明の効果の欄に記載された効果を奏するのみでなく、以下で説明するように、上述した種々の課題を十分に考慮し、製品として求められている種々の課題を解決し、種々の効果を奏している。物理量検出装置30が解決する具体的な課題や奏する具体的な効果は、以下の実施形態の記載の中で説明する。
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
図2は、第1実施形態における物理量検出装置の構造を模式的に示した正面図、図3Aは、図2のIIIA−IIIA線断面図、図3Bは、図3AのIIIB−IIIB線断面図、図4は、図2のA部拡大図、図5は、本実施形態の作用効果を説明する図である。本実施形態では、被計測気体IAが主通路124内を主通路124の軸方向一方側から他方側に向かって(図2に矢印で示す方向)に流れる順流の場合を例に説明する。
物理量検出装置30は、内部に副通路330や流量検出素子602等が設けられたハウジング302と、外部機器との電気的な接続を行うための外部端子を有する外部接続部(コネクタ部)305とを有している。ハウジング302は、物理量検出装置30を吸気ボディ71に固定するためのフランジ304と、流量等を計測するための計測部310を有している。物理量検出装置30は、ハウジング302のフランジ304が吸気ボディ71に固定されることにより、計測部310が主通路124内に配置され、片持ち状に支持される。物理量検出装置30は、主通路124内で計測部310が重力方向に沿って延在し、計測部310の基端部が重力方向上側に配置され、計測部310の先端部が重力方向下側に配置された状態で使用される。
計測部310は、平面視略矩形の薄形の筐体を有しており、主通路124内で平面状の正面及び背面が、主通路124内を流れる被計測気体IAの流れ方向と一致するように主通路124の軸方向に沿って平行に配置され、第1側端部311と第2側端部312が主通路124の軸方向一方側と他方側にそれぞれ分かれて配置される。計測部310の第1側端部311と第2側端部312には、後述する副通路330の入口となる主取込口350と、副通路330の出口となる主出口355が開口して設けられている。そして、計測部310には、主通路124から被計測気体IAが取り込まれる副通路(サブ通路)330が設けられている。
副通路330は、主取込口350と主出口355との間を直線状につなぐ直線路31と、直線路31の途中位置で分岐して直線路31の一部を迂回する迂回路32とを有する。物理量検出装置30が吸気ボディ71に固定された使用状態では、直線路31は、主通路124の軸方向に沿って延在し、迂回路32は、主通路124の軸方向に交差する方向に延在するように配置される。
迂回路32は、流量計測用通路であり、通路途中の位置には流量検出素子602が支持部材603によって支持された状態で配置されている。迂回路32は、直線路31の途中位置に開口する副取込口34において直線路31から分岐し、計測部310の先端部から基端部に向かって延在する第1の通路321と、基端部近傍で計測部310の第2側端部312に接近する方向にカーブする曲がり部322と、曲がり部322から再び計測部310の先端部に向かって延在して直線路31に合流する第2の通路323とを有している。
物理量検出装置30は、第1の通路321が、重力方向下側から上側に向かって延在し、曲がり部322の一端が第1の通路321の上端部に連続し、曲がり部322が第2側端部312側に曲がり、曲がり部322の他端に第2の通路323の上端部が連続し、第2の通路323が重力方向上側から下側に向かって延在するように配置された状態で使用される。
第1の通路321は、第1の通路321の通路幅方向一方側と他方側に分かれて互いに対向する第1側端部311側の側壁面321bと第2側端部312側の側壁面321aを有している。曲がり部322は、一定の曲率で湾曲した半円弧形状を有しており、第1側端部311側の端部が第1の通路321の重力方向上側の端部に接続され、第2側端部312側の端部が第2の通路323の重力方向上側の端部に接続されている。
曲がり部322は、径方向内側に位置する側壁面322aと、径方向外側に位置する側壁面322bを有している。曲がり部322は、第1側端部311側の端部において径方向外側の側壁面322bが第1の通路321の第1側端部311側の側壁面321bに連続して接続され、径方向内側の側壁面322aが第1の通路321の第2側端部312側の側壁面321aに連続して接続されている。そして、曲がり部322は、第2側端部312側の端部において径方向外側の側壁面322bが第2の通路323の第2側端部312側の側壁面323bに連続して接続され、径方向内側の側壁面322aが第2の通路323の第1側端部311側の側壁面323aに連続して接続されている。
曲がり部322は、第1の通路321の側壁面321aに接続される径方向内側の側壁面322aの接続部分が曲がり開始位置322cとなる。そして、曲がり部322は、第2の通路323の側壁面323aに接続される径方向内側の側壁面322aの接続部分が曲がり終了位置322dとなる。
支持部材603は、図3Aと図3Bに示すように、厚さhの平板形状を有しており、迂回路32の通路途中で副通路330の通路幅方向に亘って延在して迂回路32の一部を通路幅方向に交差する方向である表面側(一方面側)と背面側(他方面側)の2つの流路に分割している。支持部材603は、支持部材603の表面と裏面が、迂回路32を流れる被計測気体IAの流れ方向に沿うように配置されている。支持部材603の表面には、主通路124を流れる被計測気体IAの流量を計測するための流量検出素子602が露出して設けられている。支持部材の具体例としては、回路パッケージやプリント基板が挙げられる。
支持部材603は、図2及び図3Bに示すように、第1の通路321の重力方向上側の端部の近傍に配置されている。支持部材603は、第1の通路321において重力方向下側に下端部603aが配置され、重力方向上側に上端部603bが配置されている。被計測気体IAが迂回路32内を第1の通路321、曲がり部322、第2の通路323の順番で流れる順流の場合に、支持部材603の下端部603aは、上流側に配置される端部となり、支持部材の上端部603bは、下流側に配置される端部となる。
支持部材603は、図3B及び図4に示すように、上端部603bと、曲がり部322の曲がり開始位置322cとの距離L1が所定の距離X以下となる位置に配置されている。距離L1は、支持部材603の上端部603bが曲がり部322の曲がり開始位置に対して重力方向下側に位置する場合の重力方向(高さ方向)の距離である。所定の距離Xは、被計測気体IAの流れ方向が順流であり支持部材603の上端部603bが曲がり部322の曲がり開始位置322cに対して重力方向下側に位置する場合に、第1の通路321を流れる被計測気体IAの速度が偏向される影響を受ける重力方向(高さ方向)の距離である。つまり、距離L1が所定の距離X以下となる位置に支持部材603が配置されている場合、被計測気体IAは、支持部材603を通過する際に曲がり部322の影響を受けて重力方向下側から上側に向かう方向から、第2側端部312側に向かう方向に偏向される。所定の距離Xは、例えば、図3Bに示すように、支持部材603の厚さをhとした場合、その半分であるh/2程度の大きさとなっている(X≒(h/2))。
上述のように、物理量検出装置30は、計測部310の先端が重力方向下側に配置され、計測部310の基端が重力方向上側に配置された姿勢状態で使用される。これにより、迂回路32の第1の通路321は、重力方向下側から上側に向かって延在するように配置される。そして、曲がり部322は、第1の通路321の重力方向上側の端部に連続して、第1の通路321よりも重力方向上側に配置される。そして、第2の通路323は、曲がり部322の下流側の端部に第2の通路323の重力方向上側の端部が連続し、曲がり部322から重力方向下側に向かって延在するように配置される。
かかる構成により、主取込口350から副通路330に取り込まれた被計測気体IAは、副通路330内で直線路31と迂回路32に分流される。被計測気体IAにダストや水等の異物が含まれていた場合、異物は慣性力によりそのまま真っ直ぐに直線路31を通り抜けて主出口355から排出される。そして、異物の少ない綺麗な被計測気体IAを直線路31から迂回路32に流入させることができる。迂回路32に流入した被計測気体IAは、流量検出素子602を通過した後、再度、直線路31に流入し、直線路31を流れる被計測気体IAと合流して主出口355から排出される。
次に、本実施形態において、流量検出素子602の近傍の水滴の滞留を抑制し、例えばエンジンオフにより被計測気体IAの流速が低下したときに、水滴により流量検出素子602が水没することを防止する作用効果について説明する。
例えば、迂回路32内における被計測気体IAの流れ方向が順流の場合に、支持部材603の上端部603bよりも上側の箇所は、支持部材603よりも下流の箇所となる。したがって、かかる箇所には、図5に示すように、被計測気体IAが支持部材603から剥離することにより渦流が発生し、流速が低下する低速領域WDが生じる。したがって、迂回路32に流入してきた被計測気体IAに水滴が含まれていた場合に、従来は低速領域WDに水滴が滞留するおそれがあった。
支持部材603よりも上側に位置する低速領域WDに水滴が滞留している状態でエンジンオフ等により被計測気体IAの流速が低下すると、低速領域WDに滞留していた水滴が自重により重力方向上側から下側に向かって落下し、支持部材603の表面に付着して、支持部材603の表面を伝って下方に移動し、水滴が流量検出素子602を覆うおそれがある。流量検出素子602が水滴で覆われると、流量の検出が困難となり、種々の制御に影響を与える可能性がある。
これに対し、本実施形態では、支持部材603は、上端部603bが曲がり部322の曲がり開始位置322cと近い距離に設置されている。支持部材603は、上端部603bと曲がり部322の曲がり開始位置322cとの距離L1が、曲がり部322に沿って第1の通路321を流れる被計測気体IAの速度が偏向される影響を受ける所定の距離X以下になっている。したがって、被計測気体IAは、支持部材603の上端部603bを通過すると共に、その流速が偏向の影響を受けることになり、被計測気体IAに混入した水滴が支持部材603を通過した際に、水滴は、支持部材603の上端部603bの上側に滞留することなく、曲がり部322の他端に向かって誘導され、第2の通路323を通過して第2の通路323から速やかに排出される。所定の距離Xは、例えば、図3Bに示すように、支持部材603の厚さをhとした場合、その半分であるh/2程度の大きさとなる。
支持部材603の下流側に生じる低速領域WDは、水滴が滞留するような流れ条件においては、支持部材603の厚さhと同程度の大きさを持つ。そのため、水滴が低速領域WDに滞留するが、低速領域の半分以上の大きさであるh/2程度の範囲が偏向の影響を受けることで、低速領域WDに滞留する水滴の量を低減し、流量検出素子602の水没を防止できる。
また、支持部材603の上端部603bの下流側がすぐに曲がり部322となっているので、支持部材603の表面側の通路から曲がり部322に移行することによって迂回路32の断面積が急拡大し、流体が曲がり部322に進入した際の圧力損失が低減され、流速が増加する。この流速増加により、低速領域WDそのものも小さくなり、支持部材603よりも重力方向上側の箇所に滞留する水滴の量が低減される。従って、流量検出素子602の水没を効果的に防止できる。
本実施形態の物理量検出装置30によれば、支持部材603の上端部603bの上側に滞留する水滴の量が少なくすることができ、エンジンオフ等により被計測気体IAの流れが停止或いは流速が低下した場合に、重力に従い水滴が流量検出素子602側へと逆流する量も減少し、流量検出素子602が水没することを防げる。この効果により、副通路330内に水滴が流入する場合でも、流量検出素子602へ水滴が与える影響が小さくなり、計測性能の低下を防ぐことができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の物理量検出装置の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付することでその詳細な説明を省略する。
図6は、第2実施形態における物理量検出装置の構造を模式的に示した正面図、図7は、第2実施形態における曲がり部と支持部材の配置構成を説明する図であり、第1実施形態の図3Bに対応する断面図である。
本実施形態の物理量検出装置30Aは、第1実施形態に比べて、支持部材603が設けられる位置が異なっている。支持部材603は、第1実施形態よりも更に計測部310の基端側の位置に配置されており、支持部材603の一部が曲がり部322に入り込んで配置されている。
支持部材603の上方に滞留する水滴の量を低減するために、支持部材603は、支持部材603を通過した被計測気体IAの流速が偏向される影響を受けることができる位置に配置されていればよく、第1実施形態のように支持部材603の上端部603bの位置が曲がり始め位置322cよりも重力方向下側に位置する構成に限定されない。例えば曲がり部322の曲がり始め位置322cよりも支持部材603の上端部603bが重力方向上側に位置するように配置されていてもよい。
支持部材603は、図6及び図7に示すように、支持部材603の上端部603bが曲がり部322の曲がり開始位置322cよりも計測部310の基端部側に位置するように、計測部310に設置されている。そして、本実施形態では、支持部材603の上端部603bの位置と、曲がり部322の径方向内側の側壁面322aの頂部とが略同じ位置となり、これらの距離が略ゼロとなるように配置されている。なお、曲がり部322の径方向内側の側壁面322aの頂部とは、曲がり部322の径方向内側の側壁面322aのうち、最も計測部310の基端側に位置し、重力方向上側で最も高い位置となる部分である。
本実施形態によれば、被計測気体IAは、支持部材603の上端部603bを通過するときに、被計測気体IAの流速が偏向の影響を受けることになる。特に、本実施形態では、支持部材603の上端部603bの位置と、曲がり部322の径方向内側の側壁面322aの頂部とが略同じ位置となるように配置されているので、第1実施形態と比較して、支持部材603を通過した被計測気体IAが受ける曲がり部322の影響をより強く受けるようになっている。したがって、被計測気体IAに混入した水滴が支持部材603を通過した際に、曲がり部322の他端に向かって積極的に排出させることができ、支持部材603の上端部603bの上側に水滴が滞留する量を大幅に低減させることができる。
なお、本実施形態では、支持部材603は、上述したように、支持部材603の上端部603bと、曲がり部322の径方向内側の側壁面322aの頂部とが、重力方向において略同じ位置となるように設けられているが、これに限らず、本実施形態の支持部材603は、上端部603bが曲がり部322の曲がり開始位置322cよりも上側に配置されていればよい。例えば、支持部材603の上端部603bが配置される位置が、曲がり部322の曲がり開始位置322cと曲がり部322の頂部との間の範囲内に、支持部材603の上端部603bを配置することができる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。なお、上述の各実施形態と同様の構成については、同一の符号を付することでその詳細な説明を省略する。
図8は、第3実施形態における物理量検出装置の構造を模式的に示した正面図、図9Aは、図8のIXA−IXA線断面図、図9Bは、図9AのIXB−IXB線断面図である。
本実施形態において特徴的なことは、支持部材603によって、第1の通路321の側壁面321aの一部と、曲がり部322の径方向内側の側壁面322aと、第2の通路323の側壁面323aの一部とを構成したことである。支持部材603は、図9Aに示すように、流量検出素子602が設けられる板厚hの薄板部612と、薄板部612の第2側端部312側の端部に連続して段差を介して厚さ方向に拡大された拡大部613とを有している。拡大部613は、第1の通路321の第2側端部312側の側壁面321aに連続して接続される段差面613aと、薄板部612の上端部603bと面一に連続する側壁面613bと、第2の通路323の第1側端部311側の側壁面323aに連続する側壁面613cを有している。
段差面613aは、第1の通路321の側壁面321aの一部を構成し、側壁面613bは、曲がり部322の径方向内側の側壁面322aを構成し、側壁面613cは、第2の通路323の側壁面323aの一部を構成する。そして、段差面613aと側壁面322aとが接続される角部が曲がり部322の曲がり開始位置322cとなる。
支持部材603は、図8及び図9Bに示すように、上端部603bの位置と、曲がり部322の曲がり開始位置322cとが、重力方向において同じ高さ位置となり、これらの高さ方向の距離がゼロとなっている。したがって、被計測気体IAは、支持部材603の上端部603bを通過する際に、曲がり部322の影響を受けて偏向される。したがって、第1実施形態と同様に、水滴を含む被計測気体IAが支持部材603を通過した際に、曲がり部322の他端に向かって排出させて、支持部材603の上端部603bの上側に滞留する水滴の量を低減させることができる。
また、支持部材603の上端部603bと曲がり部322の曲がり開始位置322cとが同じ高さとなっているので、支持部材603の上方に第1の通路が長く延在する場合と比べて面積拡大率が大きく、曲がり部322における流動抵抗が小さくなり、流速が増加する。この流速増加により、低速領域WDそのものも小さくなり、支持部材603の上端部603bの上側に滞留する水滴の量が低減される。従って、流量検出素子602の水没を効果的に防止できる。
上述の第1実施形態の構成の場合、支持部材603の上端部603bと曲がり部322の径方向内側の側壁面322aとの間に段差が生じる。この段差は、被計測気体IAに剥離を生じさせ、また、曲がり部322による速度の偏向を受けづらく、流速の大きさや流入する水滴の量によっては水滴が滞留する可能性がある。これに対し、本実施形態によれば、支持部材603によって曲がり部322の径方向内側の側壁面322aを形成しているため、段差が存在せず、水滴が滞留するのを防ぐことができる。
また、上述の第1実施形態の構成の場合、支持部材603の第2側端部312側の端部が第1の通路321の側壁面321aまで到達していないと、これらの間に隙間が生じ、この隙間および隙間の下流側で流速が減速する可能性がある。特に、支持部材603の第2側端部312側の端部と第1の通路321の側壁面321aとの間の隙間は、流速が低くなり、水滴が滞留する可能性がある。これに対し、本実施形態によれば、支持部材603の拡大部613が第1の通路321の側壁面321aを形成することで、隙間が発生せず、支持部材603の下流側および隙間への水滴の滞留も防止することができる。
このように、本実施形態によれば、支持部材603の上端部603bと曲がり部322の曲がり開始位置322cとの間に段差が生じるのを防ぐことができ、また、支持部材603を実装する際に第1の通路321の側壁面321aとの間に隙間が生じるのを防ぐことができる。従って、これらの段差や隙間に水滴が残存して、エンジンオフ等により被計測気体IAの流れが停止或いは流速が低下した際に、水滴が垂れてきて流量検出素子602に付着し、流量検出素子602を水没させるのを防ぐことができる。
なお、本実施形態では、支持部材603によって、第1の通路321の側壁面321aの一部と、曲がり部322の径方向内側の側壁面322aと、第2の通路323の側壁面323aの一部とを構成した場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、曲がり部322の径方向内側の側壁面322aの一部を支持部材603によって構成してもよい。例えば、第1の通路321の上端部と、側壁面322aの第1側端部311側の部分を支持部材603によって構成することもできる。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について説明する。なお、上述の各実施形態と同様の構成については、同一の符号を付することでその詳細な説明を省略する。
図10は、第4実施形態における物理量検出装置の構造を模式的に示した正面図、図11は、第4実施形態における曲がり部と支持部材の配置構成を説明する図であり、第1実施形態の図3Bに対応する断面図である。本実施形態において特徴的なことは、上述の第3実施形態と比較して、支持部材603の位置を更に重力方向上側に配置したことである。
支持部材603は、薄板部612の上端部603bと拡大部613の側壁面613bとが同じ高さ位置に配置されているが、曲がり部322の曲がり終了位置322dよりも上側の位置に配置されている。つまり、薄板部612の上端部603bと拡大部613の側壁面613bが第3実施形態よりも曲がり部322の径方向外側の側壁面322bに接近した位置に配置されている。
したがって、第3実施形態と比較して、支持部材603を通過した流体に対してその流速が受ける偏向の影響をより強いものにすることができる。これにより、支持部材603を通過した水滴を、支持部材603よりも上方の位置に滞留させることなく、確実に曲がり部322の曲がり終了位置322d側に導き、第2の通路323から排水させることができる。
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態について説明する。なお、上述の各実施形態と同様の構成については、同一の符号を付することでその詳細な説明を省略する。
図12は、第5実施形態における物理量検出装置の構造を模式的に示した正面図である。
本実施形態において特徴的なことは、第1実施形態と比較して支持部材603の第2側端部312側の端部を延長して、支持部材603によって、第1の通路321の側壁面321aの一部と第2の通路323の側壁面323aの一部とを形成する構成としたことである。曲がり部322は、第1実施形態と同様に、曲がり開始位置322cから曲がり終了位置322dまで半円弧状に連続する径方向内側の側壁面322aを有している。
本実施形態では、第1実施形態と同様に、支持部材603の上端部603bと曲がり部322の側壁面322aの曲がり開始位置322cとの距離L1が、曲がり部322により被計測気体IAが偏向される影響を受ける所定の距離X、例えば、支持部材603の厚さhの1/2以下の大きさとなっている。したがって、支持部材603を通過した水滴を、支持部材603の上側に滞留させることなく、曲がり部322に誘導し、速やかに第2の通路323から排出させることができる。
そして、第1実施形態の作用効果に加えて、支持部材603によって第1の通路321の側壁部321aの一部と、第2の通路323の側壁部323aの一部とを形成する構成としているので、支持部材603を実装する際に、支持部材603と第1の通路321との間に生じるおそれがある隙間をなくすことができ、かかる隙間に水滴が滞留することを抑制することができる。
<第6実施形態>
次に、本発明の第6実施形態について説明する。なお、上述の各実施形態と同様の構成については、同一の符号を付することでその詳細な説明を省略する。
図13は、第6実施形態における物理量検出装置の構造を模式的に示した正面図、図14は、図13のXIV−XIV線断面図である。
本実施形態において特徴的なことは、第1実施形態と比較して支持部材603の第2側端部312側の端部を延長して、第1の通路321の側壁面321aの一部を形成する構成としたことである。曲がり部322は、第1実施形態と同様に、曲がり開始位置322cから曲がり終了位置322dまで半円弧状に連続する径方向内側の側壁面322aを有している。そして、曲がり部322の曲がり終了位置322dは、第2の通路323の側壁面323aの上端部に連続して形成されている。
本実施形態では、第1実施形態と同様に、支持部材603の上端部603bと曲がり部322の側壁面322aの曲がり開始位置322cとの距離L1が、曲がり部322により被計測気体IAが偏向される影響を受ける所定の距離X以下、例えば、支持部材603の薄板部612の厚さhの1/2以下の大きさとなっている。したがって、支持部材603を通過した水滴を、支持部材603の上側に滞留させることなく、曲がり部322に誘導し、速やかに第2の通路323から排出させることができる。
そして、第1実施形態の作用効果に加えて、支持部材603の一部が第1の通路321の側壁部321aの一部を構成しているので、支持部材603を実装する際に、支持部材603と第1の通路321との間に生じるおそれがある隙間をなくすことができ、かかる隙間に水滴が滞留することを抑制することができる。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、前記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。さらに、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。