以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。以下の実施の形態では、技術の説明のために詳細な特徴なども示されるが、それらは例示であり、実施の形態が実施可能となるためにそれらすべてが必ずしも必須の特徴ではない。
なお、図面は概略的に示されるものであり、説明の便宜のため、適宜、構成の省略、または、構成の簡略化が図面においてなされるものである。また、異なる図面にそれぞれ示される構成などの大きさおよび位置の相互関係は、必ずしも正確に記載されるものではなく、適宜変更され得るものである。また、断面図ではない平面図などの図面においても、実施の形態の内容を理解することを容易にするために、ハッチングが付される場合がある。
また、以下に示される説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称と機能とについても同様のものとする。したがって、それらについての詳細な説明を、重複を避けるために省略する場合がある。
また、以下に記載される説明において、ある構成要素を「備える」、「含む」または「有する」などと記載される場合、特に断らない限りは、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
また、以下に記載される説明において、「第1の」または「第2の」などの序数が用いられる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上用いられるものであり、これらの序数によって生じ得る順序などに限定されるものではない。
また、以下に記載される説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「側」、「底」、「表」または「裏」などの特定の位置と方向とを意味する用語が用いられる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上用いられるものであり、実際に実施される際の方向とは関係しないものである。
また、以下に記載される説明において、形状を示す表現、たとえば、「四角形状」または「円筒形状」などは、特に断らない限りは、厳密にその形状であることを示す場合、および、公差または同程度の機能が得られる範囲において凹凸または面取りなどが形成されている場合を含むものとする。
<実施の形態>
以下、本実施の形態に関する検査装置、および、錠剤印刷装置について説明する。
<錠剤印刷装置の構成について>
図1は、本実施の形態に関する錠剤印刷装置の構成の例を概略的に示す図である。なお、構成を理解しやすくする観点から、当該図面においては、一部の構成要素が省略、または、簡略化されて示される場合がある。
図1に例が示される錠剤印刷装置1は、粒状物である複数の錠剤9を搬送しながら、それぞれの錠剤9の表裏両面に、製品名、製品コード、会社名またはロゴマークなどの画像を印刷する装置である。
錠剤9は、素錠(裸錠)であってもよいし、糖衣錠またはフィルムコーティング錠(FC錠)などのコーティング錠であってもよい。また、錠剤9は、硬カプセル剤および軟カプセル剤を含むカプセル剤であってもよい。また、「粒状物」は、医薬品としての錠剤に限られず、健康食品としての錠剤、または、ラムネなどの錠菓であってもよい。
図1に例が示されるように、本実施の形態に関する錠剤印刷装置1は、搬入機構10と、環状搬送機構20と、印刷部30と、撮像機構40と、撮像機構50と、乾燥機構60と、反転機構70と、搬出機構80と、制御部90とを備える。
搬入機構10は、錠剤印刷装置1に投入された複数の錠剤9を、環状搬送機構20へ搬入するための機構である。搬入機構10は、フィーダ11と、搬入コンベア12と、搬入ドラム13とを備える。
錠剤印刷装置1に投入された複数の錠剤9は、フィーダ11を介して、搬入コンベア12へ供給される。このとき、複数の錠剤9は、幅方向に並ぶ3つの列に整列される。
また、搬入コンベア12によって搬送された錠剤9は、搬入ドラム13に設けられた複数の吸着孔に、1つずつ吸着されて保持される。これによって、それぞれの列の複数の錠剤9が、搬送方向に等間隔に整列される。
搬入ドラム13に保持されたそれぞれの錠剤9は、搬入ドラム13の回転にしたがって円弧状に搬送され、環状搬送機構20へ受け渡される。
環状搬送機構20は、複数の錠剤9を保持しつつ、環状の搬送経路に沿って搬送する機構である。環状搬送機構20は、一対のプーリ21と、一対のプーリ21の間に掛け渡された環状の搬送ベルト22とを備える。
一対のプーリ21の一方は、搬送用モータ23から得られる動力によって回転する。これによって、搬送ベルト22が、図1中の矢印の方向に回動する。このとき、一対のプーリ21の他方は、搬送ベルト22の回動に伴い従動回転する。
図2は、環状搬送機構の部分斜視図である。図2に例が示されるように、搬送ベルト22の外周面である保持面201には、複数の吸着孔202が設けられている。複数の吸着孔202は、搬送方向および幅方向に、等間隔に配列されている。また、保持面201は、後述の反転機構70による反転前の錠剤9を保持する領域A1と、反転後の錠剤9を保持する領域A2とを有する。また、領域A1と領域A2とは、幅方向に隣接する。
また、図1に例が示されるように、環状搬送機構20は、搬送ベルト22の内側の空間から気体を吸い出す吸引機構24を備える。吸引機構24を動作させると、搬送ベルト22の内側の空間が、大気圧よりも低い負圧となる。そして、複数の錠剤9は、当該負圧によって、吸着孔202に吸着されて保持される。
このように、複数の錠剤9は、搬送ベルト22の表面に、搬送方向よび幅方向に整列した状態で保持される。そして、環状搬送機構20は、搬送ベルト22を回動させることによって、複数の錠剤9を、環状の搬送経路に沿って搬送する。
また、図1に例が示されるように、環状搬送機構20は、3つのブロー機構78と、1つのブロー機構82とを備える。
ブロー機構78は、搬送ベルト22の内側に設けられる。また、ブロー機構78は、後述される傾斜ドラム71、傾斜ドラム73および傾斜ドラム75と、搬送ベルト22を介してそれぞれ対向する位置に設けられる。
3つのブロー機構78は、搬送ベルト22の複数の吸着孔202のうち、傾斜ドラム71、傾斜ドラム73および傾斜ドラム75と対向する吸着孔202のみに気体を吹き付ける。そうすると、当該吸着孔202が、大気圧よりも高い陽圧となる。これによって、当該吸着孔202における錠剤9の吸着が解除され、搬送ベルト22から傾斜ドラム71、傾斜ドラム73、および傾斜ドラム75へ、錠剤9が受け渡される。
ブロー機構82は、搬送ベルト22の内側に設けられる。また、ブロー機構82は、後述される搬出シュート81と、搬送ベルト22を介して対向する位置に設けられる。
ブロー機構82は、搬送ベルト22の複数の吸着孔202のうち、搬出シュート81と対向する吸着孔202のみに気体を吹き付ける。そうすると、当該吸着孔202が、大気圧よりも高い陽圧となる。これによって、当該吸着孔202における錠剤9の吸着が解除され、搬送ベルト22から搬出シュート81へ、錠剤9が落下する。
図3は、環状搬送機構20および反転機構70を、図1中の白抜き矢印Vの方向から見た図である。
本実施の形態では、領域A1および領域A2に、複数の吸着孔202が、幅方向に3列ずつ設けられる。上述の搬入機構10によって搬入される錠剤9は、領域A1の吸着孔202に吸着保持される。また、両面に印刷がなされた複数の錠剤9は、領域A2の吸着孔202から搬出機構80へ受け渡される。
印刷部30は、搬送ベルト22によって搬送される錠剤9の上面に、たとえばインクジェット方式で印刷を行う処理部である。
図1に例が示されるように、印刷部30は、4つのヘッド31を備える。4つのヘッド31は、搬送ベルト22の上方に位置し、かつ、錠剤9の搬送方向に沿って、一列に配置されている。
それぞれのヘッド31は、搬送ベルト22の領域A1と領域A2との双方に跨がって、幅方向に延びる。4つのヘッド31は、錠剤9の表面に向けて、互いに異なる色(たとえば、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックのそれぞれの色)のインク滴を吐出する。すると、これらの色によって形成される単色画像の重ね合わせによって、錠剤9の表面に、多色画像が記録される。なお、それぞれのヘッド31から吐出されるインクには、たとえば、日本薬局方または食品衛生法などで認可された原料によって製造された可食性インクが使用される。
図4は、1つのヘッド31に対応する領域の平面図である。図4においては、搬送ベルト22と、搬送ベルト22に保持された複数の錠剤9とが、二点鎖線で示されている。
図4に例が示されるように、ヘッド31の下面である吐出面301には、インク滴を吐出可能な複数のノズル302が設けられている(拡大図を参照)。本実施の形態では、ヘッド31の下面に、複数のノズル302が、搬送方向および幅方向に二次元的に配列されている。
それぞれのノズル302は、幅方向に位置をずらして配列されている。このように、複数のノズル302を二次元的に配置すれば、それぞれのノズル302の幅方向の位置を、互いに接近させることができる。ただし、複数のノズル302は、幅方向に沿って一列に配列されていてもよい。
ノズル302からのインク滴の吐出方式には、たとえば、ピエゾ素子(圧電素子)に電圧を加えて変形させることによってノズル302内のインクを加圧して吐出する、いわゆるピエゾ方式が用いられる。ただし、インク滴の吐出方式は、ヒーターに通電してノズル302内のインクを加熱膨張させることによって吐出する、いわゆるサーマル方式であってもよい。
撮像機構40は、印刷部30によって印刷される前の錠剤9の上面を撮影するための処理部である。撮像機構40は、搬入ドラム13よりも搬送経路の下流側、かつ、4つのヘッド31よりも搬送経路の上流側に位置する。また、撮像機構40は、領域A1と領域A2との双方に跨がって、幅方向に延びる。撮像機構40には、たとえば、CCDまたはCMOSなどの撮像素子が幅方向に配列されたラインセンサーが用いられる。撮像機構40の詳細な構成については、後述する。
撮像機構40は、搬送ベルト22によって搬送される複数の錠剤9を撮影する。撮影によって取得された画像データは、撮像機構40から後述する制御部90へ送信される。
制御部90は、撮像機構40から得られた画像データに基づいて、それぞれの吸着孔202における錠剤9の有無、錠剤9の位置、および、錠剤9の姿勢を検出する。また、制御部90は、撮像機構40から得られた画像データに基づいて、それぞれの錠剤9に欠けなどの欠陥がないかどうかの検査を行う。
撮像機構50は、印刷部30によって印刷された後の錠剤9の上面を撮影するための処理部である。撮像機構50は、4つのヘッド31よりも搬送経路の下流側、かつ、乾燥機構60よりも搬送経路の上流側に位置する。また、撮像機構50は、領域A1と領域A2との双方に跨がって、幅方向に延びる。撮像機構50には、たとえば、CCDまたはCMOSなどの撮像素子が幅方向に配列されたラインセンサーが用いられる。本実施の形態においては、撮像機構50の構造は撮像機構40と同様であるものとするが、撮像機構40とは異なる構造であってもよい。
撮像機構50は、搬送ベルト22によって搬送される複数の錠剤9を撮影する。撮影によって取得された画像データは、撮像機構50から後述する制御部90へ送信される。
制御部90は、撮像機構50から得られた画像データに基づいて、錠剤9の上面に印刷された画像の良否を検査する。
乾燥機構60は、錠剤9の上面に付着しているインクを乾燥させる機構である。乾燥機構60は、撮像機構50よりも搬送経路の下流側、かつ、後述する反転機構70および搬出シュート81よりも搬送経路の上流側に位置する。
また、乾燥機構60は、領域A1と領域A2との双方に跨がって、幅方向に延びる。乾燥機構60には、たとえば、搬送ベルト22によって搬送される錠剤9へ向けて、加熱された気体(熱風)を吹き付ける、熱風供給機構が用いられる。錠剤9の表面に付着しているインクは、当該熱風によって乾燥して、錠剤9の表面に定着する。
反転機構70は、搬送ベルト22によって搬送される錠剤9の表裏を反転させるとともに、領域A1から領域A2へ錠剤9を移動させる機構である。反転機構70は、乾燥機構60および後述する搬出シュート81よりも搬送経路の下流側、かつ、搬入ドラム13よりも搬送経路の上流側に位置する。
図3に例が示されるように、本実施の形態の反転機構70は、傾斜ドラム71、傾斜ドラム72、傾斜ドラム73、傾斜ドラム74、傾斜ドラム75および傾斜ドラム76を備える。
傾斜ドラム71および傾斜ドラム72は、幅方向に隣接して配置される。また、傾斜ドラム73および傾斜ドラム74は、傾斜ドラム71および傾斜ドラム72よりも搬送経路の下流側において、幅方向に隣接して配置される。また、傾斜ドラム75および傾斜ドラム76は、傾斜ドラム73および傾斜ドラム74よりも搬送経路の下流側において、幅方向に隣接して配置される。
傾斜ドラム71は、幅方向に対して傾斜した軸C1を中心とする円錐状の側面710を有する。軸C1の周りにおける側面710の一部は、搬送ベルト22の領域A1と、僅かな隙間を介して対向する。
また、傾斜ドラム71は、モータ71Mの出力軸に固定されている。モータ71Mを駆動させると、傾斜ドラム71は、軸C1を中心として回転する。
傾斜ドラム72は、幅方向に対して傾斜した軸C2を中心とする円錐状の側面720を有する。傾斜ドラム71と傾斜ドラム72とは、互いの頂部が対向するように、幅方向に隣接配置される。軸C2の周りにおける側面720の一部は、搬送ベルト22の領域A2と、僅かな隙間を介して対向する。また、軸C2の周りにおける側面720の他の一部は、側面710と、僅かな隙間を介して対向する。
また、傾斜ドラム72は、モータ72Mの出力軸に固定されている。モータ72Mを駆動させると、傾斜ドラム72は、軸C2を中心として回転する。
本実施の形態では、搬送方向から見た場合の、傾斜ドラム71の頂角と、傾斜ドラム72の頂角とは、いずれも90°である。また、軸C1の保持面201に対する傾斜角度は、45°である。また、軸C2の保持面201に対する傾斜角度は、45°である。
したがって、側面710と側面720とは、保持面201に対して90°の位置において、互いに対向する。このように、傾斜ドラム71と傾斜ドラム72とを、同一の形状および同一の大きさとすれば、傾斜ドラム71と傾斜ドラム72とを、部品として共通化することができる。これによって、錠剤印刷装置1の製造コストを低減することができる。
側面710には、複数の吸着孔711が設けられている。本実施の形態では、複数の吸着孔711が、軸C1を中心として円環状に、等角度間隔で設けられている。
同様に、側面720には、複数の吸着孔721が設けられている。本実施の形態では、複数の吸着孔721が、軸C2を中心として円環状に、等角度間隔で設けられている。
傾斜ドラム71の内部空間の圧力は、吸引機構(ここでは、図示せず)によって、大気圧よりも低い負圧に保たれている。傾斜ドラム71は、この負圧によって、複数の吸着孔711に、錠剤9を1つずつ保持する。
同様に、傾斜ドラム72の内部空間の圧力も、吸引機構(ここでは、図示せず)によって、大気圧よりも低い負圧に保たれている。傾斜ドラム72は、この負圧によって、複数の吸着孔721に、錠剤9を1つずつ保持する。
また、図3において破線で示されるように、傾斜ドラム71の内部には、ブロー機構79が設けられている。ブロー機構79は、傾斜ドラム71の複数の吸着孔711のうち、傾斜ドラム72と対向する吸着孔711のみに、気体を吹き付ける。そうすると、当該吸着孔711が、大気圧よりも高い陽圧となる。これによって、当該吸着孔711における錠剤9の吸着が解除され、傾斜ドラム71の吸着孔711から、傾斜ドラム72の吸着孔721へ、錠剤9が受け渡される。
また、図3において破線で示されるように、傾斜ドラム72の内部には、ブロー機構77が設けられている。ブロー機構77は、傾斜ドラム72の複数の吸着孔721のうち、搬送ベルト22の領域A2と対向する吸着孔721のみに、気体を吹き付ける。そうすると、当該吸着孔721が、大気圧よりも高い陽圧となる。これによって、当該吸着孔721における錠剤9の吸着が解除され、傾斜ドラム72の吸着孔721から、搬送ベルト22の領域A2の吸着孔721へ、錠剤9が受け渡される。
傾斜ドラム72の複数の吸着孔721の吸着力は、傾斜ドラム71の複数の吸着孔711の吸着力よりも、やや大きくするとよい。そうすれば、傾斜ドラム71の吸着孔711から傾斜ドラム72の吸着孔721への錠剤9の受け渡しの際に、錠剤9の脱落が生じにくくなる。ただし、傾斜ドラム71の複数の吸着孔711の吸着力と、傾斜ドラム72の複数の吸着孔721の吸着力とは、同一であってもよい。
傾斜ドラム73および傾斜ドラム74は、傾斜ドラム71および傾斜ドラム72と同等の構造を有し、傾斜ドラム71および傾斜ドラム72と同様に、隣接配置されている。ただし、傾斜ドラム73および傾斜ドラム74は、傾斜ドラム71および傾斜ドラム72が配置される第1の受渡位置よりも搬送経路の下流側の第2の受渡位置に配置される。また、傾斜ドラム73および傾斜ドラム74は、傾斜ドラム71および傾斜ドラム72よりも、錠剤9の幅方向の配列間隔の1つ分だけ、幅方向にずれた位置に配置されている。
なお、傾斜ドラム73は、モータ73Mの出力軸に固定されている。また、傾斜ドラム74は、モータ74Mの出力軸に固定されている。
傾斜ドラム75および傾斜ドラム76も、傾斜ドラム71および傾斜ドラム72と同等の構造を有し、傾斜ドラム71および傾斜ドラム72と同様に、隣接配置されている。ただし、傾斜ドラム75および傾斜ドラム76は、傾斜ドラム73および傾斜ドラム74が配置される第2の受渡位置よりも搬送経路の下流側の第3の受渡位置に配置される。また、傾斜ドラム75および傾斜ドラム76は、傾斜ドラム73および傾斜ドラム74よりも、錠剤9の幅方向の配列間隔の1つ分だけ、幅方向にずれた位置に配置されている。
なお、傾斜ドラム75は、モータ75Mの出力軸に固定されている。また、傾斜ドラム76は、モータ76Mの出力軸に固定されている。
搬出機構80は、環状搬送機構20から錠剤印刷装置1の外部へ、複数の錠剤9を搬出するための機構である。図1に例が示されるように、搬出機構80は、搬出シュート81と、搬出コンベア(ここでは、図示しない)とを備える。
搬出シュート81は、乾燥機構60よりも搬送経路の下流側、かつ、反転機構70よりも搬送経路の上流側に位置する。また、搬出シュート81は、搬送ベルト22の領域A2に対向している。
領域A2の吸着孔202に吸着された錠剤9が、搬出シュート81の位置に到達すると、ブロー機構82によって錠剤9の吸着が解除される。これによって、搬送ベルト22の領域A2から、搬出シュート81を通って搬出コンベアの上面へ、錠剤9が落下する。そして、落下した錠剤9が、搬出コンベアによって、錠剤印刷装置1の外部へ搬出される。
制御部90は、錠剤印刷装置1内のそれぞれの動作部の動作を制御するための機能部である。図5は、制御部90と、錠剤印刷装置1内のそれぞれの動作部との接続を示すブロック図である。
図5において概念的に示されたように、制御部90は、CPUなどのプロセッサ91、RAMなどのメモリ92、および、ハードディスクドライブなどの記憶部93を有するコンピュータによって構成される。なお、記憶部93内には、印刷処理を実行するためのコンピュータプログラムCPが、インストールされている。
また、図5に例が示されるように、制御部90は、上述の搬入機構10(フィーダ11、搬入コンベア12、および、搬入ドラム13を含む)、環状搬送機構20(搬送用モータ23、吸引機構24、ブロー機構78、および、ブロー機構82を含む)、印刷部30(4つのヘッド31を含む)、撮像機構40、撮像機構50、乾燥機構60、反転機構70(モータ71M、モータ72M、モータ73M、モータ74M、モータ75M、モータ76M、ブロー機構79、ブロー機構77、および、吸引機構を含む)、および、搬出機構80と、それぞれ通信可能に接続されている。
制御部90は、記憶部93に記憶されたコンピュータプログラムCPまたはデータをメモリ92に一時的に読み出し、当該コンピュータプログラムCPに基づいて、プロセッサ91が演算処理を行うことによって、上記のそれぞれの動作部の動作を制御する。これによって、複数の錠剤9の搬送処理、検査処理および印刷処理が進行する。
<検査装置の構成について>
図6は、本実施の形態に関する検査装置の構成の例を概略的に示す図である。本実施の形態に関する検査装置は、図1に示された錠剤印刷装置の一部の構成によって構成することができる。
図6に例が示されるように、検査装置2は、少なくとも、撮像機構40(または撮像機構50)と、制御部90とを備える。また、検査装置2は、さらに、搬入機構10と、環状搬送機構20と、撮像機構50(または撮像機構40)と、反転機構70と、搬出機構80とを備えることができる。なお、搬入機構10と、環状搬送機構20と、撮像機構50(または撮像機構40)と、反転機構70と、搬出機構80とは、必ずしも備えられなくてもよい。
なお、検査の対象物としては、上述の錠剤印刷装置と同様に錠剤を想定することができるが、検査の対象物は、錠剤以外のものであってもよい。
図7は、制御部90と、検査装置2内のそれぞれの動作部との接続を示すブロック図である。
図7において概念的に示されたように、制御部90は、CPUなどのプロセッサ91、RAMなどのメモリ92、および、ハードディスクドライブなどの記憶部93を有するコンピュータによって構成される。なお、記憶部93内には、印刷処理を実行するためのコンピュータプログラムCPが、インストールされている。
また、図7に例が示されるように、制御部90は、上述の搬入機構10(フィーダ11、搬入コンベア12、および、搬入ドラム13を含む)、環状搬送機構20(搬送用モータ23、吸引機構24、ブロー機構78、および、ブロー機構82を含む)、撮像機構40、撮像機構50、反転機構70(モータ71M、モータ72M、モータ73M、モータ74M、モータ75M、モータ76M、ブロー機構79、ブロー機構77、および、吸引機構を含む)、および、搬出機構80と、それぞれ通信可能に接続されている。
<撮像機構の構成について>
図8は、撮像機構40(または撮像機構50)の概略的な構成を例示する斜視図である。
図8に例が示されるように、撮像機構40(または撮像機構50)は、少なくとも1つの撮像ユニット100と、複数の撮像ユニット100を支持する支持板200と、複数の撮像ユニット100および支持板200を収容する筐体300とを備える。
筐体300の下面、すなわち、撮像ユニット100における撮像カメラ(後述)が向く面は、透明板300Aである。すなわち、透明板300Aは、撮像ユニット100と検査対象物である錠剤9との間に配置される。
透明板300Aは、たとえば、ガラス、または、アクリル樹脂などのプラスチックで形成される。また、筐体300の透明板300Aを除く部分は、たとえば、金属などで形成される。
なお、図8に示された例では、複数の撮像ユニット100がまとめて筐体300内に収容されているが、それぞれの撮像ユニット100が個別に筐体に収容されていてもよい。
また、透明板300Aは、筐体300の下面全体ではなく、それぞれの撮像ユニット100が配置される位置に対応する位置のみに設けられていてもよい。
図9は、撮像ユニット100の概略的な構成を例示する断面図である。図9に例示されるように、撮像ユニット100は、撮像素子である撮像カメラ102と、ミラーユニット104と、上方照明106と、リング状に配置された複数の側方照明108と、フィルター110とを備える。
撮像カメラ102は、例えば、CMOSカメラである。撮像カメラ102は、ミラーユニット104に導かれた光を受光するレンズ102Aを備える。撮像カメラ102のレンズ102Aは、撮像ユニット100の筐体101の上面に取り付けられる。撮像カメラ102は、検査対象物である錠剤9を撮像し、さらに、錠剤9の画像データを生成する。
ミラーユニット104は、反射ミラー104Aと、四角錐ミラー104Bとを備える。ミラーユニット104は、対象物である錠剤9で反射または散乱する光を、上方照明106を迂回しつつ、撮像カメラ102のレンズ102Aに集光させる。
四角錐ミラー104Bは、筐体101内の下部に位置し、かつ、撮像カメラ102の光軸X上に配置される。反射ミラー104Aは、筐体101内の下部に位置し、かつ、平面視において(すなわち、撮像カメラ102の光軸Xに沿う方向から見て)四角錐ミラー104Bの周囲を囲んで配置される。本実施の形態においては、四角錐ミラー104Bが例示されたが、当該ミラーの形状は四角錐に限定されるものではなく、他の錐形状、例えば、三角錐形状またはそれ以上の多角錐形状のミラーであってもよい。
錠剤9で反射または散乱する光は反射ミラー104Aに入射し、反射ミラー104Aにさらに反射されて、四角錐ミラー104Bに入射する。そして、四角錐ミラー104Bにさらに反射されて、撮像カメラ102のレンズ102Aに導かれる。
上方照明106は、筐体101の下面に取り付けられ、かつ、撮像カメラ102の光軸X上、または、光軸X近傍に配置される。すなわち、上方照明106は、四角錐ミラー104Bの筐体101を挟んで略裏側に位置する。上方照明106は主に、錠剤9の上方照明106と対向する主面に対して光を照射する。なお、「上方照明106と対向する主面」とは、すなわち、搬送されている錠剤9の外側を向いている主面であり、当該面が錠剤9の表面であるか裏面であるかは関係しない。搬送されている錠剤9が鉛直下側を向いている状態(吸着孔が下側に向けて開放されている状態)であれば、鉛直下側を向いている面が対向する主面となる。
リング状に配置された複数の側方照明108は、筐体101の下方に位置し、かつ、平面視において上方照明106の周囲を少なくとも一部囲んで配置される。それぞれの側方照明108は主に、錠剤9の、対応する側方照明108と対向する側面に対して光を照射する。側方照明108の光軸と、鉛直方向の軸とのなす角αは、例えば、50°である。なお、リング状の側方照明108は、筐体101と一体に形成されるものであってもよい。
フィルター110は、上方照明106と透明板300Aとの間に配置される。また、フィルター110は、透過する光の角度を制限する。ここで、フィルター110と透過する光の、最大の入射角を遮断入射角θaとする。なお、遮断入射角θaは、上方照明106と錠剤9とを結ぶ方向(図9においては、撮像カメラ102の光軸Xに一致)に対する角度であるものとする。
フィルター110は、たとえば、ルーバーフィルム、または、金属または樹脂材料に撮像カメラ102の光軸X方向に延びる孔が形成された構造(たとえば、ハニカム構造)などである。
ここで、ルーバーフィルムとは、光透過性のフィルムの内部に複数の、光を吸収または反射する材料からなる、または、そのような材料が被覆された薄い板または棒(ルーバー)が配置されている光学フィルムであり、たとえば、信越ポリマー株式会社製の視野角制御フィルム(VCF;View Control Film)などである。
なお、板状のルーバーの向きは、たとえば、図9の紙面奥行き方向に板面が沿う向きの1方向とすることができるが、本実施の形態では、さらに、板面がそれと交差する向き(たとえば、図9の紙面に平行な向き)のルーバーを加えたクロスルーバー(2方向)とする。また、クロスルーバーのルーバーフィルムを形成する場合、ルーバーの方向が交差する2枚のルーバーフィルムを重ねてクロスルーバーとすることもできる。
一方で、図10は、フィルター110の一例としてのハニカム構造を示す図である。図10に例が示されるハニカム構造のそれぞれの孔(六角柱の空洞であり、断面が六角形)が、図9における上方照明106と錠剤9とを結ぶ方向(撮像カメラ102の光軸Xに沿う方向)に延びて形成されている。
なお、図10においては、フィルター110に設けられている孔は六角柱の空洞であるが、当該形状は、その他の角柱の空洞であってもよいし、円柱の空洞であってもよい。
このハニカム構造において、それぞれの孔の断面の最長辺をWとし、フィルター110の厚みをHとすると、tanθb=W/Hで表されるθbは、遮断入射角θaに対応する。なお、前述の関係式は、ハニカム構造に限られず、たとえば、孔が円柱の空洞であった場合には、孔の断面として直径が最長辺Wに相当することとなる。
すなわち、孔の断面の最長辺Wと、フィルター110の厚みHとを調整することによって、遮断入射角θa(=θb)を実現するフィルター110を構成することができる。
なお、フィルター110に用いられる材料は、光の反射を生じさせにくい材料であることが望ましい。または、黒塗装、コーティングまたは表面加工などによって、光の反射を生じさせにくい構造とされていることが望ましい。
図9に例が示されるように、撮像ユニット100は、下部における上方照明106、側方照明108、さらには、フィルター110を含めて、筐体300内に収容されており、側方照明108およびフィルター110は、筐体300の下面における透明板300Aに対向して配置される。
なお、図9においては、透明板300Aが撮像カメラ102の光軸Xに対して垂直に配置されているが、透明板300Aは光軸Xに対して垂直に配置される場合に限られるものではない。また、上方照明106の照射面およびフィルター110の下面も、撮像カメラ102の光軸Xに対して垂直に配置される場合に限られるものではない。
また、フィルター110は、上方照明106と透明板300Aとの間に配置されているが、側方照明108から照射される光の透明板300Aにおける反射を抑制するために、フィルター110が、側方照明108と透明板300Aとの間に設けられていてもよい。
<遮断入射角について>
図11は、図9に例が示された撮像ユニットにおいて、フィルター110が備えられていない場合を示す図である。
図11に例が示されるように、撮像ユニット100Aは、フィルター110を備えていない。そのため、上方照明106から照射された光のうち、遮断入射角θaよりも大きな入射角を有する光であっても、透明板300Aに到達する。
そうすると、透明板300Aに到達する光のうち、透明板300Aで反射し、かつ、ミラーユニット104に導かれて撮像カメラ102に達するY0のような光が多くなる。
図12は、図11に示された撮像ユニット100Aによって撮像された画像データの例を示す図である。
図12に例示されるように、撮像ユニットにおいて得られる錠剤9の画像は、錠剤9の上方照明106と対向する主面を斜め上方から捉えた画像となる。これは、図9、図11に例示されたように、ミラーユニット104によって撮像カメラ102のレンズ102Aに導かれる光は、錠剤9の斜め上方に位置する反射ミラー104Aに到達した光であるためである。本実施の形態では、反射ミラー104Aから四角錐ミラー104Bを経由してレンズ102Aに導かれた光によって、1つの錠剤9の斜め上方の4方向から捉えた画像が作成されている。
撮像ユニットが図12に例示されるような錠剤9の画像を撮像することによって、錠剤9の上方照明106と対向する主面および側面の外観検査を同時に行うことができる。
しかしながら、図12に示される場合では、上方照明106から照射され、かつ、透明板300Aで反射(主に、正反射)した光が撮像カメラ102に達することによって、上方照明106の写り込み1000が生じている。上方照明106の写り込み1000が生じることによって、画像データにおける検査対象物(錠剤9)の形状が正しく認識されない場合が生じ、結果として、外観検査の精度を低下させてしまう。なお、外観検査としては、たとえば、検査対象物の表面に印字された文字などの印字検査も含まれる。
そこで、本実施の形態に関する撮像ユニット100では、透明板300Aに入射される光の入射角を制限することによって、透明板300Aで反射し、かつ、撮像カメラ102に達する光を抑制することができるフィルター110を備えている。
図13は、フィルター110の遮断入射角θaを説明するための図である。図13においては、簡単のため、ミラーユニット104の光路を折り返し展開し、直線的な光路を想定して説明する。
図13において、上方照明106と錠剤9とを結ぶ方向(上方照明106の光軸Yに一致)は、錠剤9に照射された光がレンズ102Aの入射瞳に向かう方向(図9における、撮像カメラ102に入射するために反射ミラー104Aに向かう方向)に対して傾斜している。
また、図13において、X0がレンズ102Aの入射瞳の中心に相当し、撮像カメラ102の撮像範囲は、X1とX2との間の範囲であるとする。この場合、撮像カメラ102の撮像範囲における光軸Yに対する最小の入射角(最小撮像角)は、X2に対応するθ3となる。
そして、上方照明106から照射される光のうち、透明板300Aで反射(主に、正反射)し、かつ、X0に達する光は、上方照明106の端部から照射される光を示すY2に対応する光軸Yに対する入射角(最小反射角)であるθ2以上であり、かつ、上方照明106の反対側の端部から照射される光を示すY1に対応する光軸Yに対する入射角であるθ1以下である。
この場合に、透明板300Aで反射(主に、正反射)し、かつ、撮像カメラ102に達する光を抑制するためには、上記のうち、入射角がθ2以上であり、かつ、θ1以下である光を遮断するフィルター110を、上方照明106と透明板300Aとの間に配置すればよい。ただし、θ1よりも大きい入射角を有する光は、検査対象物である錠剤9に照射されない場合も多いことから、入射角がθ2以上である光を遮断するフィルター110を備えればよい。
一方で、撮像カメラ102の撮像範囲における最小の入射角はθ3であるため、θ3よりも小さい入射角を有する光は、遮断する必要がない。
上記を合わせると、θ2以上であり、かつ、θ3以上である入射角を有する光を遮断するフィルター110を備えればよい。具体的には、θ2>θ3であれば、θ2を遮断入射角θaとし、θ2<θ3であれば、θ3を遮断入射角θaとするフィルター110を備えればよい。
図14は、図9に示された撮像ユニット100によって撮像された画像データの例を示す図である。
図14に例が示されるように、撮像ユニット100がフィルター110を備えることによって、上方照明106から照射された光のうち、遮断入射角θaよりも大きい入射角を有する光は透明板300Aに入射しない。そのため、図14に示される例では、画像データにおける上方照明106の写り込み1000がなくなっている。
その結果、画像データにおける検査対象物(錠剤9)の形状が正しく認識されるため、外観検査の精度を向上させることができる。
<錠剤印刷装置の動作について>
以下では、ある1つの錠剤9に対して行われる処理について順に説明される。しかしながら、錠剤印刷装置1は、複数の錠剤9を順次に搬送しつつ処理するものである。したがって、錠剤印刷装置1の内部には、複数の錠剤9が同時に存在する。
図15は、本実施の形態に関する錠剤印刷装置の動作の例を示すフローチャートである。なお、本実施の形態に関する検査装置の動作の例としては、検査装置2が少なくとも備える構成である撮像機構40(または撮像機構50)と、制御部90とに対応する処理として示される。
錠剤印刷装置1に錠剤9が投入されると、まず、搬入機構10が、錠剤9を環状搬送機構20へ搬入する(ステップST1)。
搬入された錠剤9は、搬送ベルト22の領域A1の吸着孔221に吸着されて保持される。そして、搬送ベルト22の回動に伴い、環状の搬送経路に沿って、錠剤9が搬送される。
以下では、領域A1の吸着孔202に保持された状態において、錠剤9の外側を向く面を「第1の面」と称する。また、当該状態において、吸着孔202に吸着される面を「第2の面」と称する。ただし、この「第1の面」および「第2の面」は、錠剤9の本来の表裏面とは無関係である。たとえば、錠剤9が片面のみに割線を有する割線錠である場合に、領域A1に保持される複数の錠剤9の中に、割線を有する面が第1の面となる錠剤9と、割線がない面が第1の面となる錠剤9とが、混在していてもよい。
錠剤9が撮像機構40の下方に到達すると、撮像機構40は、錠剤9の第1の面を撮影する。これによって、錠剤9の第1の面の画像データを取得する。取得された画像データは、撮像機構40から制御部90へ送信される。また、制御部90は、撮像機構40から受信した画像データに基づいて、第1の面の印刷前検査を行う(ステップST2)。
具体的には、吸着孔202における錠剤9の有無、錠剤9の表裏、錠剤9の鉛直軸周りの回転姿勢、錠剤9の吸着孔202に対する位置ずれ、または、錠剤9の形状欠陥の有無などが検査される。
次に、錠剤9が印刷部30の下方に到達すると、4つのヘッド31が、錠剤9の第1の面に向けてインク滴を吐出する。これによって、錠剤9の第1の面に印刷が行われる。その結果、錠剤9の第1の面に画像が印刷される(ステップST3)。
このとき、制御部90は、ステップST2の検査結果に基づいて、それぞれの錠剤9に印刷すべき画像を調整する。たとえば、表面用の画像と裏面用の画像とのうち、それぞれの錠剤9の表裏に応じて適切な画像を選択し、選択された画像をそれぞれの錠剤9の回転姿勢に応じて回転させる。そして、調整後の画像に基づいて、ヘッド31に印刷信号を入力する。その結果、それぞれの錠剤9の第1の面に、適切な画像が適切な姿勢で印刷される。
続いて、錠剤9が撮像機構50の下方に到達すると、撮像機構50は、錠剤9の第1の面を撮影する。これによって、錠剤9の第1の面の画像データを取得することができる。取得された画像データは、撮像機構50から制御部90へ送信される。また、制御部90は、撮像機構50から受信した画像データに基づいて、第1の面の印刷後検査を行う(ステップST4)。
具体的には、制御部90は、たとえば、撮像機構50から受信した画像データと、あらかじめ用意された正常画像のデータとを比較することによって、それぞれの錠剤9の第1の面に印刷された画像が正常であるか否かを判定する。
続いて、錠剤9が乾燥機構60の位置に到達すると、乾燥機構60は、錠剤9の第1の面に向けて、熱風を吹き付ける。これによって、錠剤9の第1の面に付着したインクが乾燥して、第1の面にインクが定着する(ステップST5)。
その後、領域A1において搬送されてきた錠剤9が、反転機構70が対向する箇所に到達すると、反転機構70が、錠剤9の幅方向の位置を移動させるとともに、錠剤9の表裏を反転させる(ステップST6)。
これによって、環状搬送機構20の領域A1の吸着孔202から領域A2の吸着孔221へ、複数の錠剤9が移動する。このとき、錠剤9は、第2の面を外側に向けた姿勢で、領域A2の吸着孔202に吸着保持される。
続いて、錠剤9が撮像機構40の下方に到達すると、撮像機構40は、錠剤9の第2の面を撮影する。これによって、錠剤9の第2の面の画像データを取得することができる。取得された画像データは、撮像機構40から制御部90へ送信される。また、制御部90は、撮像機構40から受信した画像データに基づいて、第2の面の印刷前検査を行う(ステップST7)。
具体的には、吸着孔202における錠剤9の有無、錠剤9の表裏、錠剤9の鉛直軸周りの回転姿勢、錠剤9の吸着孔202に対する位置ずれ、または、錠剤9の形状欠陥の有無などが検査される。
次に、錠剤9が印刷部30の下方に到達すると、4つのヘッド31が、錠剤9の第2の面に向けてインク滴を吐出する。これによって、錠剤9の第2の面に印刷が行われる。その結果、錠剤9の第2の面に画像が印刷される(ステップST8)。
このとき、制御部90は、上述のステップST7の検査結果に基づいて、それぞれの錠剤9に印刷すべき画像を調整する。たとえば、表面用の画像と裏面用の画像とのうち、それぞれの錠剤9の表裏に応じて適切な画像を選択し、選択された画像を、それぞれの錠剤9の回転姿勢に応じて回転させる。そして、調整後の画像に基づいて、ヘッド31に印刷信号を入力する。その結果、それぞれの錠剤9の第2の面に、適切な画像が適切な姿勢で印刷される。
続いて、錠剤9が撮像機構50の下方に到達すると、撮像機構50は、錠剤9の第2の面を撮影する。これによって、錠剤9の第2の面の画像データを取得することができる。取得された画像データは、撮像機構50から制御部90へ送信される。また、制御部90は、撮像機構50から受信した画像データに基づいて、第2の面の印刷後検査を行う(ステップST9)。
具体的には、制御部90は、たとえば、撮像機構50から受信した画像データと、あらかじめ用意された正常画像のデータとを比較することによって、それぞれの錠剤9の第2の面に印刷された画像が正常であるか否かを判定する。
続いて、錠剤9が乾燥機構60の位置に到達すると、乾燥機構60は、錠剤9の第2の面に向けて、熱風を吹き付ける。これによって、錠剤9の第2の面に付着したインクが乾燥して、第2の面にインクが定着する(ステップST10)。
その後、錠剤9が搬出シュート81の位置に到達すると、搬送ベルト22から搬出シュート81を通って、搬出コンベアへ錠剤9が落下する。そして、搬出コンベアによって、錠剤9が錠剤印刷装置1の外部へ搬出される(ステップST11)。
以上のように、本実施の形態に関する錠剤印刷装置1は、環状の搬送経路に沿って錠剤9を搬送する。そして、搬送経路の一部において、錠剤9の表裏を反転させるとともに、錠剤9の幅方向の位置を移動させる。
このため、錠剤9の両面に対して、搬送方向の同じ位置において、撮像機構40による撮影、印刷部30による印刷、撮像機構50による撮影、および、乾燥機構60による乾燥のそれぞれの処理を実行することができる。
したがって、第1の面に対するこれらの処理と、第2の面に対するこれらの処理とを、別々の位置において行う場合と比べて、錠剤印刷装置1の部品点数を低減することができる。また、錠剤印刷装置1を小型化することができる。
特に、本実施の形態では、一対の傾斜ドラムを用いて、錠剤9の表裏の反転と、幅方向の移動とを実現している。この機構によれば、搬送方向の位置を変化させることなく、錠剤9の表裏の反転と、幅方向の移動とを、行うことができる。したがって、反転機構70に必要な搬送方向の長さを抑制することができる。これによって、錠剤印刷装置1をより小型化することができる。
<以上に記載された実施の形態によって生じる効果について>
次に、以上に記載された実施の形態によって生じる効果の例を示す。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態に例が示された具体的な構成に基づいて当該効果が記載されるが、同様の効果が生じる範囲で、本願明細書に例が示される他の具体的な構成と置き換えられてもよい。
以上に記載された実施の形態によれば、検査装置は、照明と、撮像部と、検査部と、透明板300Aと、フィルター110とを備える。ここで、照明は、たとえば、上方照明106または側方照明108に対応するものである。また、撮像部は、たとえば、撮像カメラ102に対応するものである。また、検査部は、たとえば、制御部90に対応するものである。上方照明106は、対象物に光を照射する。ここで、対象物は、たとえば、錠剤9に対応するものである。撮像カメラ102は、上方照明106によって光が照射された錠剤9を撮像する。そして、錠剤9の画像データを生成する。制御部90は、錠剤9の画像データに基づいて、錠剤9の外観検査を行う。透明板300Aは、上方照明106と錠剤9との間に配置される。フィルター110は、上方照明106と透明板300Aとの間に配置される。そして、上方照明106と錠剤9とを結ぶ方向である第1の方向は、錠剤9に照射された光が撮像カメラ102に入射する方向である第2の方向(錠剤9に照射された光が反射ミラー104Aに向かう方向)に対して傾斜する。また、フィルター110は、上方照明106によって照射された光のうち、第1の方向に対して遮断入射角よりも大きい入射角を有する光を遮断する。
このような構成によれば、フィルター110によって透過可能な光の角度を制限することができるため、透明板300Aに反射して撮像カメラ102に達する光を抑制することができる。その結果、取得された検査対象物である錠剤9の画像データに光の写り込みが生じることを抑制することができるため、良好な画像データを用いて外観検査の精度を高めることができる。
なお、本願明細書に例が示される他の構成のうちの少なくとも1つを、以上に記載された構成に適宜追加した場合、すなわち、以上に記載された構成としては言及されなかった本願明細書に例が示される他の構成が適宜追加された場合であっても、同様の効果を生じさせることができる。
また、以上に記載された実施の形態によれば、上方照明106によって照射された光が透明板300Aに反射し、さらに撮像カメラ102に入射する場合の光の照射方向の、第1の方向に対する角のうちの最も小さい角を最小反射角とする。また、撮像カメラ102に入射される光の方向の、第1の方向に対する角のうちの最も小さい角を最小撮像角とする。その場合、最小反射角および最小撮像角のうちの大きい方の角を遮断入射角とする。このような構成によれば、透明板300Aで反射して撮像カメラ102に達する光であり、かつ、撮像カメラ102の撮像範囲である光のみを、フィルター110によって遮断することによって、遮断する必要がない光まで余分に遮断してしまうことが防がれる。よって、上方照明106から照射された光を一部遮断しているにも関わらず、光量を一定以上に維持することができる。
また、以上に記載された実施の形態によれば、フィルター110は、ルーバーフィルムである。このような構成によれば、フィルター110におけるルーバー間を通過可能な光の入射角に、フィルター110を透過可能な光の角度を制限することができる。
また、以上に記載された実施の形態によれば、フィルター110は、互いに交差する方向に延びるルーバーを有するルーバーフィルムである。このような構成によれば、複数方向における光の入射角を制限することによって、四角錐ミラー104Bの周囲を囲んで配置される反射ミラー104A、さらには撮像カメラ102に達する光を、効果的に抑制することができる。
また、以上に記載された実施の形態によれば、フィルター110は、第1の方向に延びる孔を有する。このような構成によれば、フィルター110における孔を通過可能な光の入射角に、フィルター110を透過可能な光の角度を制限することができる。
また、以上に記載された実施の形態によれば、フィルター110は、フィルター110における孔の断面が六角形のハニカム構造である。このような構成によれば、ハニカム構造における空洞によって、フィルター110を透過する光の角度を制限することができる。
また、以上に記載された実施の形態によれば、フィルター110は、孔の断面の最長辺をWとし、フィルター110の厚みをHとし、遮断入射角をθbとする場合、tanθb=W/Hを満たす。このような構成によれば、最長辺Wと、フィルター110の厚みHとを調整することによって、遮断入射角よりも大きい入射角を有する光を遮断するフィルター110を実現することができる。
また、以上に記載された実施の形態によれば、錠剤印刷装置1は、検査装置2と、検査装置2によって検査された錠剤に印刷を行う印刷部30とを備える。このような構成によれば、良好な画像データを用いて印刷前検査および印刷後検査の精度を高めることができるため、結果として、錠剤印刷の精度を高めることができる。
<以上に記載された実施の形態における変形例について>
以上に記載された実施の形態では、それぞれの構成要素の材質、材料、寸法、形状、相対的配置関係または実施の条件などについても記載する場合があるが、これらはすべての局面においてひとつの例であって、本願明細書に記載されたものに限られることはないものとする。
したがって、例が示されていない無数の変形例、および、均等物が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。たとえば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合が含まれるものとする。