JP2021000802A - Frp前駆体の製造方法、frp前駆体、積層シート、積層板、プリント配線板及び半導体パッケージ - Google Patents

Frp前駆体の製造方法、frp前駆体、積層シート、積層板、プリント配線板及び半導体パッケージ Download PDF

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Abstract

【課題】積み重ねたときに互いに密着し難いFRP前駆体の製造方法を提供する。【解決手段】シート状の骨材に樹脂フィルムを溶融貼付する工程を含むFRP前駆体の製造方法であって、前記樹脂フィルムを溶融貼付する工程が、基材と、該基材の一方の表面(α)上に形成された樹脂フィルムと、を有する積層シートが有する前記樹脂フィルムを、前記シート状の骨材の両方の表面に溶融貼付する工程であり、前記樹脂フィルムが、熱硬化性樹脂組成物から形成されてなり、前記基材の一方の表面(α)の算術平均粗さRaが、0.2μm以上である、FRP前駆体の製造方法である。【選択図】図1

Description

本発明は、FRP前駆体の製造方法、FRP前駆体、積層シート、積層板、プリント配線板及び半導体パッケージに関する。
FRP(Fiber Reinforced Plastics;繊維強化プラスチック)は、ファイバー等の弾性率の高い材料を骨材とし、その骨材を、プラスチックのような母材(マトリックス)の中に入れて強度を向上させた複合材料であり、耐候性、耐熱性、耐薬品性及び軽量性を生かした、安価かつ軽量で耐久性に優れる複合材料である。
これらの性能を生かして、FRPは幅広い分野で使用されている。例えば、FRPは、造型性及び高い強度を有することから、住宅機器、船舶、車両、航空機等の構造材として使用されている。また、絶縁性を生かして、電気装置、プリント配線板等の電子部品分野でも使用されている。
FRPの製造方法としては、骨材を敷き詰めた合わせ型に樹脂を注入するRTM(Resin Transfer Molding、樹脂トランスファー成形)法、骨材を敷き、樹脂を脱泡しながら多重積層するハンドレイアップ法及びスプレーアップ法、予め骨材と樹脂とを混合したシート状のものを金型で圧縮成型するSMC(Sheet Molding Compound)プレス法等が挙げられる。これらの中でも、FRPをプリント配線板に用いる場合、プリント配線板用のFRPの厚さは、他の用途のFRPの厚さと比較して薄くすることが要求される。また、プリント配線板用のFRPには、FRPを成型した後の厚さのばらつきの許容範囲が狭いこと、ボイドが無いことなど、高いスペックが要求される。
そのため、プリント配線板用のFRPの多くが、ハンドレイアップ(Hand Lay-up;HLU)法で製造されている。ハンドレイアップ法は、塗工機を用いて、骨材に樹脂ワニスを塗布し、乾燥させて溶剤除去及び熱硬化を行う製造方法である(例えば、特許文献1参照)。ハンドレイアップ法は、予め、骨材に熱硬化性樹脂を塗布しておくと、作業性が向上し、また、周辺の環境にかかる負荷を低減させることができる。
特許文献1の方法によって得られるFRP前駆体は、基材に含浸された熱硬化性樹脂がBステージ化(半硬化)されたものであり、該FRP前駆体を複数枚積層して加圧成形することによって、積層板を得ることができる。
ところで、プリント配線板の製造現場でFRP前駆体を取り扱う際、自動搬送装置を備える自動搬送ラインでFRP前駆体を搬送することがある。
自動搬送装置は、例えば、真空によって搬送対象物を吸引吸着できる吸盤を複数備えたロボットアームを有し、該ロボットアームをFRP前駆体の面上に降ろして、上記複数の吸盤によってFRP前駆体を吸引吸着及びピックアップした後、別の場所に運ぶという機能を有するものである(例えば、特許文献2参照)。
特開平01−272416号公報 特開2018−51758号公報
しかしながら、本発明者等の検討によると、特許文献1に開示されるFRP前駆体は、複数枚を積み重ねて保管又は使用する際に互いに密着し易く、そのことが原因で、自動搬送ラインで搬送する際、及び製品を保管する際に不具合が生じることが判明した。
具体的には、例えば、上記自動搬送装置によって、積み重ねられた複数のFRP前駆体のうちの1枚をピックアップする際に、該搬送対象物のFRP前駆体に密着している別のFRP前駆体も、意図せず同時にピックアップされてしまうことがある。
また、製品を保管する際にも、積み重ねて梱包された複数のFRP前駆体が互い密着し、使用する際に取り出し難く、1枚ずつ分離させる作業が必要となり、その作業によってFRP前駆体が折れたり、傷付けられてしまうことがあった。
これらの不具合の発生は、FRP前駆体、及びこれを用いる積層板、プリント配線板等の生産性の悪化を招くため、抑制されることが望ましい。
本発明は、このような状況に鑑みなされたものであり、積み重ねたときに互いに密着し難いFRP前駆体及びその製造方法、前記製造方法に用いられる積層シート、並びに前記FRP前駆体を用いた積層板、プリント配線板及び半導体パッケージを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究した結果、下記の本発明によって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[11]に関する。
[1]シート状の骨材に樹脂フィルムを溶融貼付する工程を含むFRP前駆体の製造方法であって、
前記樹脂フィルムを溶融貼付する工程が、
基材と、該基材の一方の表面(α)上に形成された樹脂フィルムと、を有する積層シートが有する前記樹脂フィルムを、前記シート状の骨材の両方の表面に溶融貼付する工程であり、
前記樹脂フィルムが、熱硬化性樹脂組成物から形成されてなり、
前記基材の一方の表面(α)の算術平均粗さRaが、0.2μm以上である、FRP前駆体の製造方法。
[2]前記表面(α)の算術平均粗さRaが、0.2μm以上0.8μm以下である、上記[1]に記載のFRP前駆体の製造方法。
[3]前記基材が、プラスチックフィルムである、上記[1]又は[2]に記載のFRP前駆体の製造方法。
[4]シート状の骨材に熱硬化性樹脂組成物が含浸されてなるFRP前駆体であって、その両面の算術平均粗さRaが、0.2μm以上であるFRP前駆体。
[5]前記両面の算術平均粗さRaが、0.2μm以上0.8μm以下である、上記[4]に記載のFRP前駆体。
[6]上記[4]又は[5]に記載のFRP前駆体を積層成形して得られる積層板。
[7]上記[6]に記載の積層板を用いて製造されたプリント配線板。
[8]上記[7]に記載のプリント配線板に半導体を搭載してなる半導体パッケージ。
[9]基材と、該基材の一方の表面(α)上に設けられた樹脂フィルムと、を有する積層シートであって、
前記樹脂フィルムが、熱硬化性樹脂組成物から形成されてなり、
前記基材の一方の表面(α)の算術平均粗さRaが、0.2μm以上である、積層シート。
[10]前記表面(α)の算術平均粗さRaが、0.2μm以上0.8μm以下である、上記[9]に記載の積層シート。
[11]前記基材が、プラスチックフィルムである、上記[9]又は[10]に記載の積層シート。
本発明によれば、積み重ねたときに互いに密着し難いFRP前駆体及びその製造方法、前記製造方法に用いられる積層シート、並びに前記FRP前駆体を用いた積層板、プリント配線板及び半導体パッケージを提供することができる。
本発明のFRP前駆体の製造に利用し得る製造装置の一態様を示す概念図である。
本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。数値範囲の下限値及び上限値は、それぞれ他の数値範囲の下限値又は上限値と任意に組み合わせられる。
また、本明細書に例示する各成分及び材料等は、特に断らない限り、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本明細書における記載事項を任意に組み合わせた態様も本発明に含まれる。
[FRP前駆体の製造方法及びFRP前駆体]
本実施形態のFRP前駆体の製造方法は、
シート状の骨材に樹脂フィルムを溶融貼付する工程を含むFRP前駆体の製造方法であって、
前記樹脂フィルムを溶融貼付する工程が、
基材と、該基材の一方の表面(α)上に形成された樹脂フィルムと、を有する積層シートが有する前記樹脂フィルムを、前記シート状の骨材の両方の表面に溶融貼付する工程であり、
前記樹脂フィルムが、熱硬化性樹脂組成物から形成されてなり、
前記基材の一方の表面(α)の算術平均粗さRaが、0.2μm以上である、FRP前駆体の製造方法である。
本実施形態の製造方法によって得られるFRP前駆体は、樹脂フィルムを骨材に溶融貼付してなるものである。該溶融貼付によって、樹脂フィルムを構成する熱硬化性樹脂組成物は、骨材の内部に含浸されると共に、内部に含浸されなかった熱硬化性樹脂組成物が、骨材の両面に樹脂層を形成する。
本実施形態の製造方法によると、まず、上記両面の樹脂層に基材が貼付された両面基材付きFRP前駆体が得られる。この基材は、算術平均粗さRaが0.2μm以上である表面(α)が樹脂層に接するように貼付されている。そのため、樹脂層の表面には上記表面(α)の表面形状が転写されており、基材を剥離して得られるFRP前駆体の両面の算術平均粗さRaも通常は0.2μm以上となる。該FRP前駆体は、適度な表面粗さを有しているため、複数枚を積み重ねても互いに密着し難いものとなる。
以下、はじめに、本実施形態のFRP前駆体の製造方法に用いる各材料について説明した後、本実施形態のFRP前駆体の製造方法に含まれる工程について説明する。
<シート状の骨材>
シート状の骨材は、繊維基材であることが好ましい。
繊維基材としては、各種の電気絶縁材料用積層板に用いられている周知のものが使用できる。繊維基材の材質としては、例えば、紙、コットンリンター等の天然繊維;ガラス繊維、アスベスト等の無機物繊維;アラミド、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリエステル、テトラフルオロエチレン、アクリル等の有機繊維;これらの混合物などが挙げられる。これらの中でも、難燃性の観点から、ガラスクロスが好ましい。ガラスクロスとしては、Eガラス、Cガラス、Dガラス、Sガラス等を用いたガラスクロス;短繊維を有機バインダーで接着したガラスクロス;ガラス繊維とセルロース繊維とを混沙したものなどが挙げられる。これらの中でも、Eガラスを使用したガラスクロスが好ましい。
繊維基材は、例えば、織布、不織布、ロービンク、チョップドストランドマット、サーフェシングマット等の形状を有する。なお、材質及び形状は、目的とする成形物の用途及び性能により選択され、1種を単独で使用してもよいし、必要に応じて、2種以上の材質及び形状を組み合わせてもよい。
繊維基材は、1層からなる繊維基材であってもよいし、多層からなる繊維基材であってもよい。なお、1層からなる繊維基材とは、絡み合っている繊維のみからなる繊維基材を意味し、絡み合いの無い繊維基材が存在する場合には、多層からなる繊維基材に分類される。2層以上の繊維基材の材質及び形状は、同一であっても異なっていてもよい。
シート状の骨材の厚さは、FRP前駆体の機械的強度と薄型化とを両立する観点から、5〜120μmが好ましく、6〜100μmがより好ましく、7〜60μmがさらに好ましく、8〜40μmがよりさらに好ましく、10〜20μmが特に好ましい。
<積層シート>
本実施形態に用いる積層シートは、基材と、該基材の一方の表面(α)に設けられた樹脂フィルムと、を有する積層シートである。
(樹脂フィルム)
樹脂フィルムは、熱硬化性樹脂組成物から形成されてなるものである。
熱硬硬化性樹脂組成物としては、熱硬化性樹脂を含有するものであれば特に限定されず、公知の材料の中から、目的に応じて適宜選択して使用することができる。
〔熱硬化性樹脂〕
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、フラン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、作業性、取り扱い性及び価格の観点から、エポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂としては、2官能以上のエポキシ樹脂が好ましい。2官能以上のエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、アラルキルノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;多官能フェノールのジグリシジルエーテル化物;これらの水素添加物などが挙げられる。
〔硬化剤〕
熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を使用する場合、エポキシ樹脂硬化剤を含有していてもよい。
エポキシ樹脂硬化剤としては、例えば、フェノール樹脂、アミン化合物、酸無水物、3フッ化ホウ素モノエチルアミン、イソシアネート、ジシアンジアミド、ユリア樹脂等が挙げられる。
フェノール樹脂としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;ナフタレン型フェノール樹脂、ハイオルソ型ノボラックフェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、テルペンフェノール変性フェノール樹脂、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、サリチルアルデヒド型フェノール樹脂、ベンズアルデヒド型フェノール樹脂などが挙げられる。これらの中でも、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、一部修飾されたアミノトリアジンノボラック樹脂が好ましい。
アミン化合物としては、例えば、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン等の脂肪族アミン;メタフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等の芳香族アミンなどが挙げられる。
酸無水物としては、例えば、無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
これらのエポキシ樹脂硬化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂硬化剤の配合量は、特に制限されるものではないが、エポキシ樹脂のエポキシ当量1に対する、硬化剤の反応基当量比が0.3〜1.5となる量が好ましい。エポキシ樹脂硬化剤の配合量が前記範囲内であると、硬化度の制御が容易であり、生産性が良好になる。
〔硬化促進剤〕
熱硬化性樹脂組成物は、さらに、硬化促進剤を含有していてもよい。
硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール化合物、有機リン化合物、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等が挙げられる。イミダゾール化合物としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−エチル−2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、4,5−ジフェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾリン、2−エチル−4−メチルイミダゾリン、2−ウンデシルイミダゾリン、2−フェニル−4−メチルイミダゾリン等が挙げられる。イミダゾール化合物は、イミダゾールの2級アミノ基をアクリロニトリル、イソシアネート、メラミン、アクリレート等でマスク化して潜在性を付与したイミダゾール化合物であってもよい。
硬化促進剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
硬化促進剤の配合量は、特に制限されるものではないが、熱硬化性樹脂100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましい。0.01質量部以上であると、十分な硬化促進効果が得られ、20質量部以下であると、熱硬化性樹脂組成物の保存性及び硬化物の物性に優れ、経済性にも優れる。
〔充填材〕
熱硬化性樹脂組成物は、さらに、不透過性及び耐摩耗性の向上並びに増量のために、充填材を含有していてもよい。
充填材としては、例えば、シリカ、酸化アルミニウム、ジルコニア、ムライト、マグネシア等の酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト等の水酸化物;窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化ホウ素等の窒化系セラミックス;タルク、モンモリロナイト、サポナイト等の天然鉱物;金属粒子、カーボン粒子などが挙げられる。
充填材は樹脂と比較して比重が小さい物から大きい物まで幅広いため、充填材の添加量は質量部ではなく体積率で考えることが好ましい。
充填材の配合量は添加目的により大きく異なるが、熱硬化性樹脂組成物の不揮発分体積中、0.1〜65体積%が好ましい。0.1体積%以上であると、着色及び不透化目的で添加する場合に十分効果を発揮する。また、65体積%以下であると、粘度の増加を抑制し、作業性及び接着性を悪化させることなく増量することができる。
ここで、本明細書における不揮発分とは、水分、後述する有機溶媒等の揮発する物質以外の組成物中の成分のことをいう。該不揮発分は、25℃付近の室温で液状、水飴状及びワックス状のものも含み、必ずしも固体である必要性はない。
〔カップリング剤〕
熱硬化性樹脂組成物は、充填材の分散性の向上、及び、骨材又は対象物への密着性向上を図るためにカップリング剤を含有していてもよい。
カップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基を有するシランカップリング剤;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基を有するシランカップリング剤;3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基を有するシランカップリング剤;チタネート系カップリング剤などが挙げられる。これらのカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カップリング剤の配合量は、熱硬化性樹脂組成物の不揮発分に対して、0.01〜5質量部が好ましい。0.01質量部以上であると、骨材の表面及び充填材の表面を十分に被覆することができ、5質量部以下であると、余剰のカップリング剤の発生を抑制できる。
〔有機溶媒〕
熱硬化性樹脂組成物は、不揮発分の均一化を図るため、有機溶媒を含有した、いわゆるワニスの形態とすることが好ましい。
有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、シクロヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン、酢酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。有機溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
〔樹脂フィルムの製造方法〕
樹脂フィルムは、例えば、熱硬化性樹脂組成物のワニスを、基材の一方の表面(α)に塗布し、乾燥して不要な有機溶媒を除去した後、熱硬化性樹脂組成物をBステージ化(半硬化)させることで製造することができる。ここでの半硬化は、樹脂フィルムの粘度が、ラミネート時の作業性に適した粘度になるように調整することが好ましい。
熱硬化性樹脂組成物のワニスを塗布する方法としては、例えば、コンマコーター、バーコーター、キスコーター、ロールコーター、グラビアコーター、ダイコーター等の公知の塗工装置を用いることができる。これらの塗工装置は、膜厚によって、適宜選択することが好ましい。
乾燥温度及び乾燥時間は、有機溶媒の使用量、有機溶媒の沸点等によって異なるが、例えば、30〜70質量%の有機溶媒を含むワニスの場合、50〜150℃で3〜10分間乾燥させることにより、樹脂フィルムを好適に形成することができる。
樹脂フィルムの厚さは、特に制限されるものではないが、例えば、1〜50μmであり、3〜30μmが好ましく、5〜20μmがより好ましく、7〜15μmがさらに好ましい。なお、骨材の厚さより薄い樹脂フィルムを用いる場合は、樹脂フィルムを骨材にラミネートしたものに対して、再度、樹脂フィルムのラミネートを行ってもよい。
なお、本実施形態のFRP前駆体の製造方法において、樹脂フィルムを複数枚使用する場合、樹脂フィルムの熱硬化度、配合組成等が異なるものを組み合わせて使用してもよい。
(基材)
本実施形態の製造方法に用いる基材は、その一方の表面(α)の算術平均粗さRaが、0.2μm以上のものである。
基材が有する表面(α)の算術平均粗さRaが0.2μm以上であることによって、得られるFRP前駆体は、一定の算術平均粗さを有するものとなり、複数枚を積み重ねても互いに密着し難いものとなる。
表面(α)の算術平均粗さRaは0.2μm以上であり、FRP前駆体同士の密着をより一層抑制する観点からは、0.3μm以上が好ましく、0.4μm以上がより好ましい。
また、表面(α)の算術平均粗さRaは、粗さの凹凸が積載時に食い込んでしまい、逆に密着を助長する現象を抑制するという観点から、0.8μm以下が好ましく、0.7μm以下がより好ましく、0.6μm以下がさらに好ましい。
基材の算術平均粗さRaは、従来公知の方法により調整することができ、例えば、練り込みマット式(離型フィルム中に滑材を練り込む方法)、サンドブラスト式、金属エンボス加工式等によって調整することができる。
なお、本明細書において、基材の算術平均粗さRaは、実施例に記載の方法により測定することができる。
基材は、プラスチックフィルムであっても、金属フィルムであってもよいが、経済性及び取り扱い性の観点から、プラスチックフィルムであることが好ましい。
プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリエチレン、ポリビニルフルオレート、ポリイミド等の有機フィルムなどが挙げられる。金属フィルムとしては、銅、アルミニウム、これら金属の合金のフィルム等が挙げられる。
基材の厚さに制限はないが、熱硬化性樹脂組成物を塗布する際の取り扱い性及び経済性の観点から、10〜200μmが好ましく、20〜100μmがより好ましく、30〜70μmがさらに好ましい。
次に、本実施形態のFRP前駆体の製造方法の工程について説明する。
<FRP前駆体の製造工程>
本実施形態のFRP前駆体の製造方法は、シート状の骨材の両方の表面に、積層シートが有する樹脂フィルムを溶融貼付(以下、「溶融貼付工程」ともいう)する工程を含むものである。
前記溶融貼付工程は、特に制限されるものではないが、例えば、図1に示すFRP前駆体の製造装置等を利用することによって工業的に実施できる。
以下、図1を参照して、FRP前駆体の製造装置1について説明する。なお、FRP前駆体の製造装置1は、一対の積層シート54が有する樹脂フィルムを、それぞれ、シート状の骨材40の両面に貼付する装置として説明する。なお、図1に関する下記説明はあくまで一実施態様であって、下記説明に制限されるものではない。
FRP前駆体の製造装置1は、大気圧下におかれる。ここで、本明細書中、「大気圧下」は「常圧下」と同義である。大気圧下でFRP前駆体を製造する場合、例えば真空ラミネータ等を採用した場合に生じ易い作業性の問題を避けられる点で有利である。
FRP前駆体の製造装置1は、骨材送出装置2と、一対の積層シート送出装置3及び3と、シート加熱圧接装置6と、FRP前駆体巻取装置8と、を備える。FRP前駆体の製造装置1は、さらに、シート加圧冷却装置7と、一対の保護フィルム剥がし機構4及び4と、一対の保護フィルム巻取装置5及び5と、を備えることが好ましい。
骨材送出装置2は、シート状の骨材40が巻かれたロールを巻き方向とは反対方向に回転させて、ロールに巻かれた骨材40を送り出す装置である。図1において、骨材送出装置2は、骨材40をロールの下側からシート加熱圧接装置6に向けて送り出している。
一対の積層シート送出装置3及び3は、保護フィルム付き積層シート50が巻かれたロールと、送り出される保護フィルム付き積層シート50に所定の張力を付与させながらロールを回転可能に支持する支持機構とを有し、保護フィルム付き積層シート50が巻かれたロールを巻き方向とは反対方向に回転させて、ロールに巻かれた保護フィルム付き積層シート50を送り出す装置である。
保護フィルム付き積層シート50は、基材と該基材の骨材40側の表面に積層された樹脂フィルムとを有する積層シート54と、該積層シート54が有する樹脂フィルムの骨材40側の表面54aに積層された保護フィルム52とを含むシートである。
一対の積層シート送出装置3及び3は、それぞれ、送り出された骨材40の表面40a側及び裏面40b側に位置する。
一方の積層シート送出装置3は、送り出された骨材40の表面40a側に位置し、保護フィルム52が、送り出された骨材40側になるように、一方の保護フィルム付き積層シート50をロールの下側から一方の保護フィルム剥がし機構4に向けて送り出す装置である。
同様に、他方の積層シート送出装置3は、送り出された骨材40の裏面40b側に位置し、保護フィルム52が、送り出された骨材40側になるように、他方の保護フィルム付き積層シート50をロールの上側から他方の保護フィルム剥がし機構4に向けて送り出す装置である。
一対の保護フィルム剥がし機構4及び4は、それぞれ、送り出された骨材40の表面40a側及び裏面40b側に位置する転向ロールである。
一方の保護フィルム剥がし機構4は、一方の積層シート送出装置3から送り出され、一方の保護フィルム剥がし機構4に向けて進む保護フィルム付き積層シート50を、回転する転向ロールの表面で受け、一方の保護フィルム付き積層シート50のうち積層シート54をシート加熱圧接装置6に向けて進ませると共に、一方の保護フィルム52を一方の保護フィルム巻取装置5に向けて進ませることにより、一方の保護フィルム付き積層シート50から一方の保護フィルム52を剥がす機構である。これにより、一方の積層シート54が有する樹脂フィルムの表面54aが露出する。
同様に他方の保護フィルム剥がし機構4は、他方の積層シート送出装置3から送り出され、他方の保護フィルム剥がし機構4に向けて進む他方の保護フィルム付き積層シート50を、回転する転向ロールの表面で受け、他方の保護フィルム付き積層シート50のうち他方の積層シート54をシート加熱圧接装置6に向けて進ませると共に、他方の保護フィルム52を他方の保護フィルム巻取装置5に向けて進ませることにより、他方の保護フィルム付き積層シート50から他方の保護フィルム52を剥がす機構である。これにより、他方の積層シート54が有する樹脂フィルムの54aが露出する。
一対の保護フィルム巻取装置5及び5は、それぞれ、送り出された骨材40の表面40a側及び裏面40b側に位置し、一対の保護フィルム剥がし機構4及び4で剥がされた、保護フィルム52及び52を巻き取る巻取装置である。
シート加熱圧接装置6は、一対の加圧ロールと、一対の加圧ロールに圧縮力を付与する機構(図示せず)とを有する。該一対の加圧ロールは、所定の設定された温度で加熱ができるよう、内部に加熱体を有する。
シート加熱圧接装置6は、入り込んだ骨材40に積層シート54及び54を回転する一対の加圧ロールで圧接させてシート状の基材付きFRP前駆体60を形成する(フィルム圧接工程)と共に、基材付きFRP前駆体60をシート加圧冷却装置7に向けて送り出す。具体的には、骨材送出装置2から送り出された骨材40の表面40a及び裏面40bに、それぞれ、一対の保護フィルム剥がし機構4及び4から送り出された積層シート54及び54が積層するように、骨材送出装置2から送り出された骨材40と、一対の保護フィルム剥がし機構4及び4からそれぞれ送り出された積層シート54及び54とが、一対の加圧ロールの間に入り込む。
このとき、積層シート54及び54は、樹脂フィルムが骨材に貼付される向きで加圧ロールの間に入り込む。すなわち、一方の積層シート54が有する樹脂フィルムの骨材側の表面54a側が骨材40の表面40a側に接着するように、一方の積層シート54が骨材40に積層し、また、他方の積層シート54が有する樹脂フィルムの骨材側の表面54a側が骨材40の裏面40b側に接着するように、他方の積層シート54が骨材40に積層して基材付きFRP前駆体60が形成される。シート加熱圧接装置6から送り出された基材付きFRP前駆体60は高温状態である。
シート加圧冷却装置7は、一対の冷却加圧ロールと、一対の冷却加圧ロールに圧縮力を付与する機構(図示せず)とを有する。一対の冷却加圧ロールは、シート加熱圧接装置6から送り出された、高温の基材付きFRP前駆体60を回転する一対の冷却加圧ロールで圧縮すると共に冷却し、FRP前駆体巻取装置8に送り出す。
FRP前駆体巻取装置8は、シート加圧冷却装置7から送り出されたシート状の基材付きFRP前駆体60を巻き取るロールと、ロールを回転させる駆動機構(図示せず)とを有する。
以上のFRP前駆体の製造装置1は、以下のように動作する。
まず、骨材送出装置2からシート状の骨材40を、シート加熱圧接装置6に向けて送り出す。このとき、骨材40の表面40a及び裏面40bは、露出している。
他方、保護フィルム52が、送り出された骨材40側になるように、一方の保護フィルム付き積層シート50を一方の積層シート送出装置3のロールの下側から一方の保護フィルム剥がし機構4に向けて送り出している。また、保護フィルム52が、送り出された骨材40側になるように、他方の保護フィルム付き積層シート50を他方の積層シート送出装置3のロールの上側から他方の保護フィルム剥がし機構4に向けて送り出している。
次に、送り出された一方の保護フィルム付き積層シート50は、一方の保護フィルム剥がし機構4である転向ロールに架けられ転向する際に、積層シート50が有する樹脂フィルムの骨材側の表面54aが露出するように、一方の保護フィルム付き積層シート50から一方の保護フィルム52を剥がして一方の積層シート54をシート加熱圧接装置6に向けて進ませる。これにより、一方の積層シート54が有する樹脂フィルムの骨材側の表面54aが露出する。同様に、送り出された他方の保護フィルム付き積層シート50は、他方の保護フィルム剥がし機構4である転向ロールに架けられ転向する際に、積層シート50が有する樹脂フィルムの骨材側の表面54aが露出するように、他方の保護フィルム付き積層シート50から他方の保護フィルム52を剥がして他方の積層シート54をシート加熱圧接装置6に向けて進ませる。これにより、他方の積層シート54が有する樹脂フィルムの骨材側の表面54aが露出する。
剥がされた一対の保護フィルム52及び52は、それぞれ、一対の保護フィルム巻取装置5及び5で巻き取られる。
骨材送出装置2から送り出された骨材40に、積層シート54及び54がそれぞれ積層するように、骨材送出装置2から送り出された骨材40と、一対の保護フィルム剥がし機構4及び4からそれぞれ送り出された積層シート54及び54とが一対のロールの間に入り込む。さらに、常圧下において、一対の積層シート54及び54を、各々が有する樹脂フィルムが骨材40と接するように、骨材40にシート加熱圧接装置6で圧接させて基材付きFRP前駆体60を得る(フィルム圧接工程)。このとき、シート加熱圧接装置6が有する一対の加圧ロールの内部にある加熱体の温度制御をすることにより、一対の加圧ロールを所定の温度に維持し、フィルム圧接工程をする際に加熱しながら加圧をする。
ここで、本発明の一態様においては、骨材に樹脂フィルムを加熱圧着する際、加圧ロールの温度は、樹脂充填性の観点から、樹脂フィルムの最低溶融粘度を示す温度の+5℃〜+35℃の範囲の温度が好ましく、樹脂フィルムの最低溶融粘度を示す温度の+8℃〜+32℃がより好ましく、樹脂フィルムの最低溶融粘度を示す温度の+10℃〜+30℃がさらに好ましい。具体的には、加圧ロールの温度は、例えば、80〜170℃が好ましく、100〜150℃がより好ましく、115〜145℃がさらに好ましい。
加圧ロールの温度が上記条件のとき、加圧ロールのロール線圧は、樹脂充填性の観点から、0.2〜1.0MPaが好ましく、0.3〜0.8MPaがより好ましく、0.3〜0.6MPaがさらに好ましい。
加圧ロールの温度及び線圧が上記条件のとき、FRP前駆体を送り出す速度は、樹脂充填性の観点から、0.5〜2.0m/分が好ましく、0.7〜1.5m/分がより好ましく、0.7〜1.2m/分がさらに好ましい。
シート加熱圧接装置6から送り出された基材付きFRP前駆体60を、シート加圧冷却装置7により、さらに加圧し、また、冷却する。
シート加圧冷却装置7から送り出された基材付きFRP前駆体60を、FRP前駆体巻取装置8により、巻き取る。
得られた基材付きFRP前駆体60から、基材を剥離することで、両方の表面の算術平均粗さRaが、0.2μm以上であるFRP前駆体を得ることができる。
本実施形態の製造方法によって得られるFRP前駆体は、シート状の骨材に熱硬化性樹脂組成物が含浸されてなるFRP前駆体であって、その両面の算術平均粗さRaが、0.2μm以上であるFRP前駆体であることが好ましい。
該FRP前駆体の両面の算術平均粗さRaは、FRP前駆体同士の密着をより一層抑制する観点からは、0.3μm以上が好ましく、0.4μm以上がより好ましい。また、粗さの凹凸が積載時に食い込んでしまい、逆に密着を助長する現象を抑制するという観点から、表面(α)の算術平均粗さRaは、0.8μm以下が好ましく、0.7μm以下がより好ましく、0.6μm以下がさらに好ましい。
本実施形態のFRP前駆体の表面の算術平均粗さRaの測定方法は、基材の算術平均粗さRaと同じ方法によって測定することができる。
[積層板]
本実施形態の積層板は、本実施形態のFRP前駆体を積層成形して得られる積層板である。
本実施形態の積層板としては、前記FRP前駆体又は該FRP前駆体を硬化してなるFRPを含有してなる積層板と共に、該積層板上に金属箔を有する金属張積層板も挙げられる。FRP前駆体を硬化してなるFRPとは、B−ステージ化(半硬化)された状態であるFRP前駆体をC−ステージ化(硬化)させて得られるFRPであり、本発明は当該FRPも提供する。
具体的には、前記FRP前駆体1枚を又は2枚以上(好ましくは2〜20枚)重ねた状態で、所定条件下で積層成形することにより、本実施形態の積層板を製造することができる。FRP前駆体の間に内層回路加工を行ってある基板を挟んでもよい。当該積層成形により、FRP前駆体は硬化(Cステージ化)されてFRPとなる。
また、前記FRP前駆体1枚を又は2枚以上(好ましくは2〜20枚)重ね、その片面又は両面、好ましくは両面に、金属箔を配置した構成で積層成形することにより、金属張積層板を製造することができる。
前記積層条件としては、プリント配線板に使われる積層板の製造に利用される公知の条件を採用することができる。例えば、多段プレス、多段真空プレス、連続成形、オートクレーブ成形機等を使用し、温度100〜250℃、圧力0.2〜10MPa、加熱時間0.1〜5時間で積層する条件を採用できる。
金属箔の厚さは、40μm以下が好ましく、1〜40μmがより好ましく、5〜40μmがさらに好ましく、5〜35μmがよりさらに好ましく、5〜25μmが特に好ましく、5〜17μmが最も好ましい。
金属箔の金属としては、導電性の観点から、銅、金、銀、ニッケル、白金、モリブデン、ルテニウム、アルミニウム、タングステン、鉄、チタン、クロム、又はこれらの金属元素のうちの少なくとも1種を含む合金であることが好ましい。合金としては、銅系合金、アルミニウム系合金、鉄系合金が好ましい。銅系合金としては、銅−ニッケル合金等が挙げられる。鉄系合金としては、鉄−ニッケル合金(42アロイ)等が挙げられる。これらの中でも、金属としては、銅、ニッケル、42アロイがより好ましく、入手容易性及びコストの観点からは、銅がさらに好ましい。
[プリント配線板]
本実施形態のプリント配線板は、本実施形態の積層板を用いて製造されたプリント配線板である。
本実施形態のプリント配線板は、例えば、本実施形態の積層板に配線パターンを形成することによって製造することができる。配線パターンの形成方法としては、例えば、サブトラクティブ法、フルアディティブ法、セミアディティブ法(SAP:Semi Additive Process)又はモディファイドセミアディティブ法(m−SAP:modified Semi Additive Process)等の公知の方法が挙げられる。
[半導体パッケージ]
本実施形態の半導体パッケージは、本実施形態のプリント配線板に半導体を搭載してなる半導体パッケージである。
本実施形態の半導体パッケージは、本実施形態のプリント配線板の所定の位置に半導体チップ、メモリ等の半導体素子を搭載し、封止樹脂等によって半導体素子を封止することによって製造できる。
次に、下記の実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は本発明を制限するものではない。なお、基材及び各例で製造したFRP前駆体は下記方法に従って評価した。
[算術平均粗さRa]
基材の算術平均粗さRaは、非接触式表面粗さ計(BRUKER社製、商品名:Contour GT−K)を用いて、JISB0601:1994に準拠して測定した。
[搬送時の不具合発生回数]
搬送する対象として、FRP前駆体を100枚積み重ねたものを準備した。
次に、4隅をエアー吸着パッドで吸着して持ち上げて移動させるタイプの自動搬送装置を用いて、上記100枚のFRP前駆体を1枚ずつ吸着し搬送する工程を行い、100枚すべて搬送した。上記100枚の搬送中において、複数枚の吸着が発生した回数と、密着によってFRP前駆体に傷、折れ等が発生した回数の合計を「不具合発生回数」として計測し、搬送性評価の指標とした。
[製品梱包後の密着枚数]
FRP前駆体を200枚積み重ねたものをアルミシート袋の中に投入し、真空引きをした後に入口をシールで塞いで梱包を行った。24時間静置した後に開封し、積み重ねられたFRP前駆体を上から1枚ずつ移動させる際に、密着して複数枚が一体となっているFRP前駆体の最大枚数を確認した。
[FRP前駆体の製造]
(実施例1)
フェノールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、商品名:N−660)100質量部、クレゾールノボラック樹脂(DIC株式会社製、商品名:KA−1165)60質量部に、シクロヘキサン15質量部及びメチルエチルケトン130質量部を加え、撹拌して溶解した。そこに、充填材として水酸化アルミニウム(住友化学株式会社製、商品名:CL−303)180質量部、カップリング剤(モメンティブパフォーマンス マテリアルズ社製、商品名:A−187)1質量部、及び硬化促進剤としてイソシアネートマスクイミダゾール(第一工業製薬株式会社製、商品名:G8009L)2.5質量部を加え、撹拌して溶解及び分散を行い、不揮発分70質量%の樹脂ワニスを得た。
次に、基材として、算術平均粗さRaが0.23μmであるマットPETフィルム(50X44、東レ・デュポン株式会社製、厚さ50μm、580mm幅)を準備した。
上記で得た樹脂ワニスを、上記基材上に、塗布幅540mm、乾燥後の厚さが10μmになるように塗布した後、130℃で3分間乾燥させることにより、基材と該基材の一方の面に樹脂フィルムが設けられた積層シートを作製した。
なお、作製した樹脂フィルムの最低溶融粘度温度を、レオメータ(ティーエイ インスツルメント ジャパン株式会社製、商品名:AR−200ex、φ20mm冶具)を用いて昇温速度3℃/分の条件で測定したところ、最低溶融粘度温度は130℃であった。
上記の方法によって2枚の積層シートを作製し、シート状の骨材であるガラス織布(ユニチカ株式会社製、坪量:10.2g/m、IPC#1010、550mm幅、厚さ:11μm)の両面に、樹脂フィルムが骨材と接するように積層シートを1枚ずつ当て(すなわち、2枚の樹脂フィルムで骨材を挟持する構成として)、1対の加熱加圧ロールで挟み込むことにより、骨材に樹脂フィルムを溶融貼付すると共に、骨材に樹脂フィルムを構成する熱硬化性樹脂組成物を加圧含浸させた。なお、前記加熱加圧ロールの条件は、ロール温度100℃、線圧0.2MPa、速度2.0m/分とした。
その後、冷却ロールで冷却し、両面の基材を剥離してFRP前駆体を作製した。
(実施例2)
実施例1において、基材を、算術平均粗さRaが0.38μmであるマットPETフィルム(50X42、東レ・デュポン株式会社製、厚さ50μm)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、FRP前駆体を作製した。
(実施例3)
実施例1において、基材を、算術平均粗さRaが0.51μmであるマットPETフィルム(50QV16、東レ・デュポン株式会社製、厚さ50μm)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、FRP前駆体を作製した。
(比較例1)
実施例1において、基材を、算術平均粗さRaが0.05μmであるPETフィルム(ルミラーS10、東レ・デュポン株式会社製、厚さ50μm)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、FRP前駆体を作製した。
上記で得られたFRP前駆体を用いて上記の評価を行った結果を表1に示す。
表1から明らかなように、本実施形態の製造方法によって製造したFRP前駆体は、搬送時の不具合発生件数が少なく、製品梱包後の密着枚数も少ない。
以上より、本実施形態の製造方法によって製造したFRP前駆体は、積み重ねたときに互いに密着し難いFRP前駆体であることが分かる。
1 FRP前駆体の製造装置
2 骨材送出装置
3 積層シート送出装置
4 保護フィルム剥がし機構
5 保護フィルム巻取装置
6 シート加熱圧接装置(フィルム圧接手段)
7 シート加圧冷却装置
8 FRP前駆体巻取装置
40 骨材
40a 骨材の表面(骨材の一方の表面、骨材両表面の一方)
40b 骨材の裏面(骨材の他方の表面、骨材両表面の他方)
50 保護フィルム付き積層シート
52 保護フィルム
54 積層シート
54a 樹脂フィルムの骨材側の表面(骨材側フィルム表面)
60 基材付きFRP前駆体

Claims (11)

  1. シート状の骨材に樹脂フィルムを溶融貼付する工程を含むFRP前駆体の製造方法であって、
    前記樹脂フィルムを溶融貼付する工程が、
    基材と、該基材の一方の表面(α)上に形成された樹脂フィルムと、を有する積層シートが有する前記樹脂フィルムを、前記シート状の骨材の両方の表面に溶融貼付する工程であり、
    前記樹脂フィルムが、熱硬化性樹脂組成物から形成されてなり、
    前記基材の一方の表面(α)の算術平均粗さRaが、0.2μm以上である、FRP前駆体の製造方法。
  2. 前記表面(α)の算術平均粗さRaが、0.2μm以上0.8μm以下である、請求項1に記載のFRP前駆体の製造方法。
  3. 前記基材が、プラスチックフィルムである、請求項1又は2に記載のFRP前駆体の製造方法。
  4. シート状の骨材に熱硬化性樹脂組成物が含浸されてなるFRP前駆体であって、その両面の算術平均粗さRaが、0.2μm以上であるFRP前駆体。
  5. 前記両面の算術平均粗さRaが、0.2μm以上0.8μm以下である、請求項4に記載のFRP前駆体。
  6. 請求項4又は5に記載のFRP前駆体を積層成形して得られる積層板。
  7. 請求項6に記載の積層板を用いて製造されたプリント配線板。
  8. 請求項7に記載のプリント配線板に半導体を搭載してなる半導体パッケージ。
  9. 基材と、該基材の一方の表面(α)上に設けられた樹脂フィルムと、を有する積層シートであって、
    前記樹脂フィルムが、熱硬化性樹脂組成物から形成されてなり、
    前記基材の一方の表面(α)の算術平均粗さRaが、0.2μm以上である、積層シート。
  10. 前記表面(α)の算術平均粗さRaが、0.2μm以上0.8μm以下である、請求項9に記載の積層シート。
  11. 前記基材が、プラスチックフィルムである、請求項9又は10に記載の積層シート。
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