本発明の第1の態様は、可動の家具部分のための、特に引出のための駆動装置であって、支持体と、可動の家具部分を閉鎖位置から開放位置へと放出するための、支持体に対して相対的に可動なイジェクト装置と、イジェクト装置をロック位置にロックするためのロック装置と、ロック位置からロック解除位置へとロック装置を移動させるためのトリガ機構であって、このトリガ機構は、可動の家具部分を、閉鎖位置の後方にある押込み位置へと押し込むことにより作動可能であり、ロック解除位置に到達すると、可動の家具部分は、イジェクト装置によって開放方向に移動可能である、トリガ機構と、可動の家具部分の位置をトリガ機構に伝達するための、可動の家具部分とは分離された伝達装置であって、可動の家具部分の移動をトリガ機構に伝達可能である伝達装置と、を有する駆動装置に関する。さらに本発明は、1つのこのような駆動装置と、フロントダンパとを有するアッセンブリ、および2つのこのような駆動装置と、同期装置とを有するアッセンブリに関する。さらに本発明は、このような駆動装置を備えた家具に関する。
家具用金具工業では、以前は、使用者が単に手動で行わなければならなかった可動の家具部分の移動を、機械的な装置により支援するための様々な駆動装置が、既に数年来存在している。このような駆動装置の近年広く普及している形式は、閉鎖位置にある可動の家具部分を押すことにより、イジェクト機構が作動されて、これにより可動の家具部分が放出されるいわゆるタッチラッチ機構である。これはとりわけ、重たい引出では極めて有効的であるが、多くの軽量の可動の家具扉または家具フラップでも使用される。
家具扉で使用されるこのような駆動装置の一例は、本発明の上位概念の形式のものではないが、オーストリア国特許発明第502940号明細書により公知である。このロック可能な駆動装置では、イジェクトエレメント、ならびに駆動装置をロック解除するためのトリガエレメントが設けられており、この場合、トリガエレメントは、可動の家具部分によって直接操作可能である。トリガエレメントは、トリガ機構の部分である。駆動装置がロックされている状態では、トリガエレメントは、閉鎖位置にある家具部分の方向に移動可能である。これにより、トリガエレメントと可動の家具部分との間にある距離が克服され、これにより閉鎖位置にある可動の家具部分へのトリガエレメントの遊びのない当接が行われる。これにより常に、駆動装置に対して相対的な家具扉の正確な位置に関わらず閉鎖位置で常に、押込み力を加えることにより直接的なトリガが可能であることが保証されている。しかしながらこの文献は、可動の家具部分の位置をトリガ機構のトリガエレメントに伝達するための、家具部分とは分離された伝達装置が設けられていないので、本発明の上位概念とは異なる従来技術を成すものである。この場合の欠点はとりわけ、このような駆動装置は、家具扉を備えたこのような家具では、駆動装置が主として、ヒンジの領域に、ひいては可動の家具部分に直接隣接して配置されているので、専ら家具扉でしか使用できないということにある。したがって、このような駆動装置はとりわけ、引出で使用するには適していないという欠点がある。とりわけ、引出の狭い組み込み特性のもとではこのような機構のために十分なスペースがない。この場合、家具本体に対して相対的な家具扉の同じ閉鎖位置を常には保証できないことも欠点である。すなわち、互いに上下にまたは互いに隣り合って配置された複数の家具においては様々な閉鎖位置が生じ、これにより不揃いな外観が生じる可能性がある。
これに対し、本発明の上位概念を成す従来技術は、欧州特許第2983554号明細書により明らかである。この従来技術では、一方ではイジェクト装置が、他方では引き込み装置が設けられている。さらに、駆動装置を可動の家具部分に、または家具本体に連結するための連結装置が設けられている。この連結装置は、本出願における伝達装置に相当する。
同様の駆動装置は、国際公開第2015/051386号からも明らかである。この文献では、押込み運動が、第1の駆動装置と同期装置との間の運動伝達とは無関係に始まることが扱われている。さらに、この文献における掛止凹部の構造は、掛止凹部が2つの部分から成っていて、そのうちの一方は、特にロックエレメントは、離れることができるので、上記文献のものとは異なっている。したがって、この場合、掛止エレメントは常に押込み力付与により掛止凹部から外す必要はなく、掛止凹部の一部(ロックエレメント)もこの場合、向かい合って位置する駆動装置と同期装置への運動伝達とにより解除もしくはロック解除され得る。これにより、掛止エレメントは掛止凹部から直接、イジェクト区分へと動く。
上記両文献のものではそれぞれ1つの奥行き調節ホイールが設けられている。この奥行き調節ホイールにより、掛止凹部の位置を変更することができる。このような調節は、ロック位置にある駆動装置において、可動の家具部分を家具本体に対して相対的に、使用者によって所望される位置に置くために機能する。これにより、統一性のあるパネル外観を得ることができる。これによりさらに、可動の家具部分のフロントパネルと家具本体との間に常に十分な押込み行程が生じるように調節することができる。家具用金具工業では、約2.5mmの押込み行程もしくはパネルギャップ幅が定着している。
今のところ、駆動装置の全ての構成要素間の誤差に基づき、また、駆動装置が家具に完全には正確に取り付けられていないことに基づき、家具に組み付けられる、引出の形態の個々の可動の家具部分間には比較的大きな差が生じ得るということになっている。極端な場合、その差は5mmにまでなることがある。すなわち、閉鎖位置において、様々な引出の位置が互いに5mmまでずれていたならば、一方では、外観的な理由から望ましくなく、他方では、僅か過ぎる押込み行程により、ロック解除がもはや全く保証できなくなることもある。それ故、上記両文献のものでは、可動の家具部分と共に駆動装置を組み込む際にもしくは組み込んだ後に、相応に統一性のあるフロントパネルの外観を提供し、各引出において十分大きな押込み行程を調節するために、このような奥行き調節ホイールが設けられている。
しかしながらこのような奥行き調節ホイールには複数の欠点がある。第1に、付加的な構成要素を駆動装置に設けなければならない点である。第2に、可動の家具部分の組み込みの都度に、調節を行わなければならない点である。第3に、誤差および頻繁な移動により、奥行き調節ホイールまたはその他の部品の位置が時間の経過とともに変化する可能性があり、これによりパネルの外観が不正確なものとなる恐れがあり、またはこれにより極端な場合、パネルのギャップは、確実な作動がもはや保証され得ないほど小さくなるという点である。
したがって本発明の第1の態様の課題は、従来技術に対して改善された駆動装置を提供することにある。特に、奥行き調節ホイールを省くことができるのが望ましい。それにも関わらず、常に十分なトリガ行程が存在することが保証されるべきである。さらに、統一性のあるパネル外観を比較的簡単に達成することができるのが望ましい。
この課題は、請求項1の特徴を備えた駆動装置によって解決される。したがって本発明によれば、伝達装置とトリガ機構との間で作用するまたは配置されている連結装置が設けられており、イジェクト装置がロック位置にあるときに、連結装置は連結解除位置から連結位置へと移動可能であって、連結位置では、伝達装置が、連結装置によって、トリガ機構に運動伝達式に連結されている。すなわち換言すると、ロック位置に到達した状態では、まだ連結解除位置にある。その後初めて、連結装置は、この連結解除位置から連結位置へと動かされる。可動の家具部分に接続されている伝達装置とトリガ機構との間の力伝達距離は、遅くとも可動の家具部分の閉鎖位置でトリガされる駆動装置における動きによって閉じられる。これにより、連結位置で、伝達装置とトリガ機構との間の運動の伝達が行われる、もしくは保証される。再び換言すると、すなわち、連結解除位置から連結位置への連結装置の移動により、伝達装置とトリガ機構との間の間隔が克服される。この場合、この間隔は、0mm〜5mmであってよく、これは、誤差全体および家具業界の希望にほぼ相当する。ロック位置が取られ、家具部分がその閉鎖位置に位置した後に初めて、この間隔は、それが大きいか小さいかに関わらず、連結装置によって閉じられる。これにより、システム(駆動装置)はロックの都度、新たに調節される。すなわち、上記間隔は、可動の家具部分と、駆動装置の相応のストッパとの間で直接閉じられるのではなく、駆動装置自体において、閉鎖位置に達しているときに、もしくは閉鎖位置に達した直後に閉じられる。
本発明のさらなる好適な実施態様は、従属請求項に記載されている。
好適な実施例によれば、連結装置は第1の連結エレメントと第2の連結エレメントとを有しており、両連結エレメントは互いに相対的に可動である。原則的には、連結エレメントの互いの運動は重力によりトリガされる、即ち引き起こされる。しかしながら好適には、連結装置は連結蓄力器を有している。この連結蓄力器により、両連結エレメントの一方に力が加えられる。特に、連結蓄力器により、第2の連結エレメントは、第1の連結エレメントの方向に移動可能である。好適には、両連結エレメントは連結解除位置において互いに離間されており、連結位置において互いに直接接触している。両連結エレメントの互いの間隔は、連結解除位置で0mm〜5mmであってよい。これら両連結エレメントが直接接触した状態では、伝達装置とトリガ機構との間の運動の連結が保証されている。
連結装置は、ロック装置がロック位置に達するとすぐに、連結解除位置から連結位置へと移動することができる。これにより、トリガ機構の間接的なトリガ、したがって可動の家具部分の放出が可能である。しかしながらこのことは、使用者が、閉鎖の際に家具部分を直接押し込むとき、これによりすぐに開放が行われるので、欠点となる。したがって、これを回避するために、連結運動を遅延させるまたは制動するための遅延装置が設けられている。この遅延装置は、減衰装置として構成することができ、この減衰装置により、連結エレメントは連結解除位置から連結位置へと制動されて互いに移動可能である。すなわち、減衰装置の力は、連結蓄力器の力に対抗する。減衰装置はタイミング部材と言うこともできる。この場合、遅延時間は、例えば0.3秒〜5秒であってよい。すなわち、使用者が、家具部分の閉鎖の際に、可動の家具部分を直接、閉鎖位置を超えて完全に押し込んだとき、連結解除位置に基づき、まだ運動の連結は行われない。したがって、ロック装置は(まだ)ロック解除され得ない。このような「押込み保護」の機能の詳細に関しては、国際公開第2014/165877号を参照することができる。
支持体は、家具部分または家具本体に組み付けるべきプレートの形態で形成されてよい。好適には、支持体は、好適には可動の家具部分に取り付け可能な、または取り付けられたケーシングの形態で形成されている。このケーシングは、好適には2つの部分から形成されていて、この場合、例えばスナップ接続部等によって互いに接続可能であるケーシングベースプレートとケーシングカバーとが設けられている。好適には、ケーシングは、射出成形されたプラスチックから成る。
好適な実施例によれば、イジェクト装置は、支持体に対して相対的に可動なイジェクトスライダと、好適には引張ばねとして形成されたイジェクト蓄力器とを有しており、イジェクト蓄力器は第1の蓄力器ベースで支持体に、第2の蓄力器ベースでイジェクトスライダに取り付けられている。原則的には、イジェクトスライダは、旋回可能なレバーの形式で形成されていてもよい。しかしながら好適には、イジェクトスライダは、支持体もしくはケーシングに相応に形成されたイジェクト軌道で直線運動可能であるように設けられている。イジェクト蓄力器は、磁気的に形成されていてもよい。好適には、イジェクト蓄力器は、ばねとして、特に引張ばねとして形成されている。
このイジェクト蓄力器は、ばねパッケージとして設けられてもよい。さらに好適には、イジェクトスライダは、スライダベースと、スライダベースに旋回可能に支持された制御レバーとを有している。
伝達装置においては、好適には伝達装置は、支持体に対して相対的に可動な伝達エレメントと、好適には家具本体に配置された連行体のための、好適には伝達エレメントに形成されたストッパとを有している。伝達エレメントは、支持体に形成された伝達エレメント軌道内で移動可能に支持されている。さらに好適には、伝達装置は、好適には家具本体に配置された連行体のための、伝達エレメントに可動に、好適には旋回可能に支持されたキャッチレバーを有している。これにより、開放方向の運動も、閉鎖方向の運動も、可動の家具部分から伝達エレメントに伝えることができ、もしくは逆に伝達エレメントから可動の家具部分に伝えることもできる。好適には、このキャッチレバーも、伝達エレメント軌道内で移動可能に支持されており、この軌道は、キャッチレバーをその他の伝達エレメントに対して旋回させ、これにより、伝達装置からの連行体の解除を可能にするために、屈曲された端部区分を有している。
原則的に、イジェクト装置は放出の際に直接、可動の家具部分にもしくは家具本体に接触することができる。しかしながら好適には、伝達装置、好適には伝達装置の伝達エレメントが、イジェクト装置、好適にはイジェクト装置の制御レバーによるイジェクトの際に、接触可能であり、支持体に対して相対的に移動可能である。
イジェクト装置のロックおよびロック解除を簡単に可能にするために、好適には、ロック装置は、イジェクト装置に、好適にはイジェクト装置の制御レバーに配置されたロックピンと、好適には少なくとも部分的に支持体に形成された、ロックピンのためのガイド軌道とを有しており、ロックピンは、ロック位置でガイド軌道の掛止凹部内でロックされている。この掛止凹部は、全体としてハート型曲線状のロック軌道の部分であってよく、この軌道では、押込みによりロックピンが掛止凹部から外へ動き、変位傾斜部を介してイジェクト区分へと到る。しかしながら好適には、掛止凹部は、少なくとも部分的に、支持体に対して相対的に可動なロックエレメントによって形成されており、ロックピンはロック位置でロックエレメントに保持されている。すなわちこの場合、ロック解除は、掛止凹部に対するロックピンの相対運動により直接トリガされるのではなく、共に掛止凹部を形成するロックエレメントが離れ、これによりロックピンがそれ以上掛止凹部で保持されずに、イジェクト蓄力器の力により支持体に対して相対的に動かされることにより行われる。
さらに好適には、トリガ機構は、支持体に可動に支持された少なくとも1つのトリガエレメントと、支持体に可動に、好適には旋回可能に支持された、好適にトリガエレメントとは分離されて形成されたトリガレバーとを有している。詳細をさらに後述する、本発明の3つの異なる実施態様では、第1および第3の態様では、トリガレバーはトリガエレメントとは分離されて形成されていて、これに対して第2の態様ではトリガエレメントとトリガレバーとは1つの構成要素として形成されている。
トリガエレメントは、最終的にロック解除を行わせるトリガ機構の部分である。すなわち、このトリガエレメントは、ロック装置に最も隣接して配置されていて、もしくは部分的に共にロック装置を形成する。好適には、ロックエレメントはトリガエレメントに接続されていて、好適にはトリガエレメントに一体に形成されている。
連結装置に関しては、両連結エレメントが完全に独立した構成要素であってよい。好適には、簡単な製造のために、および過剰に多数の部品から成ることを回避するために、連結エレメントは、部分的に別の装置と共に形成されている。したがって好適には、第1の連結エレメントは、伝達装置の伝達エレメントに接続されている、またはこれと一体に形成されている。さらに好適には、第2の連結エレメントは、トリガ機構のトリガレバーに接続されている、またはこれと一体に形成されている。トリガレバーは、すなわち伝達装置において最も近くに位置するトリガ機構の部分である。
好適には、駆動装置は、可動の家具部分を開放位置から閉鎖位置へと引き込むための、好適には減衰される引き込み装置も有することができる。
既に述べたように、特にトリガ機構に関して、および連結装置に関して3つの具体的な実施例がある。
したがって第1の態様では、第1の連結エレメントは、伝達エレメントにおけるストッパ面として形成されていて、第2の連結エレメントは補償楔として形成されている。この補償楔は、連結解除位置から連結位置への移動の際に、伝達装置とトリガ機構との間の間隔内へと移動し、運動の連結が、およびこれにより連結位置が得られるまで入り込むように形成されている。補償楔の正確な構成は、先細り部が形成されていて、相応の可動性があるならば、任意である。好適には、補償楔は湾曲された表面を有しており、この湾曲された表面は、連結位置で、伝達エレメントにおけるストッパ面に接触する。このような形式の補償楔における利点は、伝達装置とトリガ機構との間の間隔の無段階的な適合もしくは無段階的な補償が得られることにある。
第2および第3の態様では、別の形式の連結が提供される。この場合それぞれ、第1の連結エレメントは、伝達エレメントに形成された掛止凹部の形態で形成されており、第2の連結エレメントは、掛止凹部の1つに係止可能な少なくとも1つの掛止歯を有している。したがって、掛止歯は、支持体に対して相対的な伝達装置の位置に応じて、異なる掛止凹部内に掛止することができる。製造技術的な理由から、好適には、これらの掛止凹部は、約0.7mmの間隔を互いに有している。
第3の態様では、1つだけの掛止歯が設けられているが、これに対して第2の態様では、第1の連結エレメントは、回転軸を中心として回転可能なクラウンギアとして形成されていて、このクラウンギアには回転軸を中心として取り囲むように、それぞれ半径方向に向けられた複数の掛止凹部が形成されており、第2の連結エレメントは、回転軸を中心として、好適には同じ回転軸を中心として回転可能なクラウンギアとして形成されていて、このクラウンギアには回転軸線を中心として取り囲むように、それぞれ半径方向に向けられた、掛止凹部に対応する複数の掛止歯が形成されており、連結位置では、クラウンギアが互いに回転運動するとき、少なくとも一方の回転方向で、掛止歯が掛止凹部に当接する。連結解除位置と連結位置との間のクラウンギアの互いの相対運動のためには、好適には、両クラウンギアは、互いに相対的に回転軸に沿って移動可能であるようになっている。すなわち、クラウンギアが、回転軸に沿って互いに離間されている場合は、連結は不可能である。しかしながらクラウンギアが、もはや互いに離間されていなくなると、少なくとも一方の回転方向での連結が行われる。
本発明による駆動装置と、可動の家具部分の家具本体に対する閉鎖位置を規定するためのフロントダンパとを備えたアッセンブリに関しても特許請求がなされる。このフロントダンパは、家具本体に取り付け可能である。
とりわけ、比較的小さい引出では、1つだけの駆動装置を設ければ十分である。比較的大きな引出では、または積載量の大きな引出でも、互いに向かい合う面に配置される2つの駆動装置と同期装置とが設けられていると有利である。したがって、本発明による2つの駆動装置と同期装置とを備えたアッセンブリであって、これらの駆動装置が、特にトリガエレメントの動きが、同期装置を介して運動伝達的に連結されるアッセンブリにも特許請求がなされる。好適には、両駆動装置は互いに鏡像対称的に形成されている。
家具本体と、家具本体に対して相対的に可動の家具部分と、少なくとも1つの本発明による駆動装置とを備えた家具にも特許請求がなされる。この可動の家具部分は、引出、家具扉、または家具フラップの形態で形成されていてよい。
駆動装置を家具本体に組み付け、可動の家具部分に配置された連行体に、または直接可動の家具部分に作用させることもできる。しかしながら好適には、駆動装置は、可動の家具部分に取り付けられており、家具本体には、駆動装置に対応する少なくとも1つの連行体が取り付けられている。したがって、すなわち駆動装置は可動の家具部分と共に、直接家具本体に、または家具本体に固定の連行体に当接する。
統一性のあるフロントパネルの外観を保証するために、好適には、家具本体の前面には、好適には弾性的なフロントダンパが配置されており、可動の家具部分は、好適には可動の家具部分のフロントパネルは、閉鎖位置でフロントダンパに当接しており、可動の家具部分に閉鎖方向で押し込む際に、フロントダンパは可動の家具部分によって押し込み可能である。1つの家具本体において、各可動の家具部分に、同じフロントダンパが配属されているならば、各可動の家具部分(引出)は、家具本体に対して正確に同じ相対位置を取る。これにより、必然的に一定のパネルの外観が生じる。さらに、フロントダンパは、可動の家具部分に対する手動による圧力によって押し込まれ、これにより押込み運動とロック解除とが行われるので、フロントダンパにより常に十分なトリガ行程もしくは押込み行程が得られることが保証される。好適には、フロントダンパは、負荷がかけられていない状態で、家具本体から可動の家具部分の方向に、1.5mm〜3.5mm、好適には2.3mm〜2.7mm突出している。特に、フロントダンパ、好適にはそのプランジャは、家具本体から2.5mm突出している。可動の家具部分の押し込みおよび放出の後、フロントダンパはその弾性に基づきもしくはばね力に基づき、再び2.5mm突出する。
本発明の第2の態様は、可動の家具部分のための、特に引出のための駆動装置であって、支持体と、可動の家具部分を閉鎖位置から開放位置へと放出するための、支持体に対して相対的に可動なイジェクト装置であって、このイジェクト装置は、閉鎖位置の後方に位置する押込み位置への、可動の家具部分の押込み運動により、ロック位置からロック解除可能である、イジェクト装置と、イジェクト装置をロック位置でロックするためのロック装置であって、このロック装置は、イジェクト装置に配置されたロックピンと、特に少なくとも部分的に支持体内にまたは支持体表面に形成された、ロックピンのためのガイド軌道と、を有しており、ロックピンはロック位置で、ガイド軌道の掛止凹部内でロックされていて、掛止凹部は少なくとも部分的に、支持体に対して相対的に移動可能なロックエレメントによって形成されており、ロックピンはロック位置でロックエレメントに保持されているロック装置とを有する、駆動装置に関する。
このような形式の駆動装置は、国際公開第2015/051386号からも公知である。特に、この公知の駆動装置では、ロックエレメントはケーシングに回転可能に支持されている。この場合の欠点は、回転運動をする場合には、ロックエレメントに接続される連結エレメントが比較的大きく側方に突出しているので比較的大きなスペースを要することである。
特開2007−009507号明細書でも、掛止凹部を共に形成するロックエレメントは、回転可能もしくは旋回可能にしか支持されていない。
これに対し、独国実用新案第202009005256号明細書では、図11および図12に示された実施態様によれば、掛止凹部を共に形成する構成要素は直線運動可能である。しかしながらガイドエレメントと呼ばれる構成要素のこのような直線運動は、可動の家具部分における引張りによる開放の際にしか行われない。特に、ガイドエレメントのこのような運動は、押込み運動の際に、端部区分(ロックピン)も移動する方向で行われる。押込み運動およびそれに続く放出運動の際には、端部区分(ロックピン)は単に、環状の区分(ハート型曲線状のガイド軌道)に沿って移動するので、掛止凹部を共に形成する両構成要素間では相対運動は行われない。したがって、この文献では、確かにガイドエレメントの直線運動は示されているが、この運動は、押込み運動によるロック解除および開放の際に行われない。
したがって本発明の第2の態様の課題は、従来技術のものに対して代替的な駆動装置を提供することにある。特に上述した欠点は解消されるべきである。
この課題は、請求項26の特徴を備えた駆動装置によって解決される。これによると、ロックエレメントは支持体に直線運動可能に支持されており、ロックエレメントは、ロック位置が取られている状態のロックエレメントの位置を起点として、押込み運動の際にロックピンが動く方向とは逆に直線運動可能である。これにより、押込みによる開放の際に、ロックエレメントの省スペースの運動が行われる駆動装置が提供される。
本発明の第2の態様の好適な実施態様は、従属請求項に記載されている。
好適な実施例によれば、ガイド軌道はハート型曲線状に形成されている。
家具部分の、互いに向かい合って位置する側に配置された第2の駆動装置にロック解除運動を伝達することができるように、好適には、ロックエレメントは、ロックエレメントの運動を、第2のロック装置のロックエレメントと同期させるための同期エレメントに接続されている。特に好適にはこのために、ロックエレメントは同期エレメントに一体に形成されている。
この同期エレメントは、例えば伝達レバーの形態で形成されていてよい。しかしながら好適には、同期エレメントはラックとして形成されている。
好適な実施例によれば、ロックエレメントは支持体表面で、または支持体内で、好適には支持体のケーシングベースプレートに設けられた凹部内で、限定的に移動可能に支持され、かつ直線摺動可能にガイドされている。特に好適には、ロックエレメントに、および支持体内に、さらに互いに対応するガイドエレメントを形成することができる。
さらに、ロックエレメントは、ロック位置が取られている状態のロックエレメントの位置を起点として、ガイド軌道のイジェクト区分の方向で直線運動可能であってよい。
好適な構成では、ロックエレメントは、蓄力器によって、好適にはばねによって力を加えられている。
好適な実施例によれば、ロックピンは、ロック解除後(およびイジェクト方向でのロックピンの相対運動時)にロックエレメントに当接し、ロックエレメントは、ロックピンによって、蓄力器の力に抗して、ガイド軌道のイジェクト区分の方向に移動可能である。
好適には、ロックピンがロックエレメントとの当接を解除すると、ロックエレメントは蓄力器によって、ロックピンが押込み運動の際に動く方向で移動可能である。すなわちロックエレメントは、放出の際に既に戻されているので、ロックエレメントは、ガイド軌道と共に再び掛止凹部を形成する。
さらに好適には、ロックピンによるロックエレメントの運動により、ロックエレメントとガイド軌道の制限ストッパとの間の隙間が解放される。さらに好適には、ロックピンはこの隙間を通って、さらにガイド軌道のイジェクト区分内へと移動可能であり、ロックピンは、ロックエレメントとの当接を解除する。
具体的な実施例では、ロックエレメントの直線運動方向に対して斜めに向けられている、ロックエレメントに形成された面によって、ロックピンは隙間内に変位され、ロックピンはこの面から離れる。
本発明の第2の態様による2つの駆動装置と、両駆動装置のロックエレメントを同期させるための同期装置とを備えたアッセンブリについても特許請求がなされる。
このアッセンブリの好適な実施例によれば、押込み運動は、第1の駆動装置と同期装置との間の運動伝達とは関係なく開始され、同期装置は、可動の家具部分の開放方向での運動の際に、第1の駆動装置によって移動可能である。特に、1の駆動装置から同期装置への運動伝達は、ロック解除後に初めて行われるようになっていてもよい。
さらに好適には、同期装置は、それぞれ駆動装置に配置された、好適にはラックとして形成されている同期エレメントを有している。
特に好適には、同期装置は、好適には回転可能な同期ロッドを有しており、同期ロッドの両端部に、同期エレメントが、好適には歯車が配置されている。
本発明による第2の態様の従属請求項および有利な実施例は、技術的に可能であり、有利であるならば、本発明による第1の態様にも当てはまる。逆のことも同様である。
本発明のさらなる詳細および利点を、図面の説明につき、図面示した実施例に関して以下に詳しく説明する。
2つの引出を備えた家具を示す斜視図である。
閉鎖位置を定義するための、押し込まれていない状態のフロントダンパを示す側面図である。
押し込みの際の、押し込まれたフロントダンパを示す側面図である。
同期装置および引き出しガイドと共に、互いに向かい合って位置する2つの駆動装置を備えた家具を示す平面図である。
駆動装置の第1の実施態様を示す分解図である。
駆動装置の第1の実施態様を示す分解図である。
第1の実施態様による駆動装置を、可動の家具部分の運動中の1つの位置で示す平面図である。
第1の実施態様による駆動装置を、可動の家具部分の運動中の1つの位置で示す平面図である。
第1の実施態様による駆動装置を、可動の家具部分の運動中の1つの位置で示す平面図である。
第1の実施態様による駆動装置を、可動の家具部分の運動中の1つの位置で示す平面図である。
第1の実施態様による駆動装置を、可動の家具部分の運動中の1つの位置で示す平面図である。
第1の実施態様による駆動装置を、可動の家具部分の運動中の1つの位置で示す平面図である。
第1の実施態様による駆動装置を、可動の家具部分の運動中の1つの位置で示す平面図である。
第1の実施態様による駆動装置を、可動の家具部分の運動中の1つの位置で示す平面図である。
第1の実施態様による駆動装置を、可動の家具部分の運動中の1つの位置で示す平面図である。
第1の実施態様による駆動装置を、可動の家具部分の運動中の1つの位置で示す平面図である。
第1の実施態様による駆動装置を、可動の家具部分の運動中の1つの位置で示す平面図である。
第1の実施態様による連結装置の1つの(極端)位置を示す平面図である。
第1の実施態様による連結装置の1つの(極端)位置を示す平面図である。
第1の実施態様による連結装置の1つの(極端)位置を示す平面図である。
ガイド軌道の詳細を示す図である。
ロックおよび同期に関する詳細を示す図である。
駆動装置の第2の態様を示す分解図である。
駆動装置の第2の態様を示す分解図である。
2つのクラウンギアの詳細を示す斜視図である。
第2の実施態様による駆動装置を、可動の家具部分の運動中の1つの位置で示す平面図である。
第2の実施態様による駆動装置を、可動の家具部分の運動中の1つの位置で示す平面図である。
第2の実施態様による駆動装置を、可動の家具部分の運動中の1つの位置で示す平面図である。
第2の実施態様による駆動装置を、可動の家具部分の運動中の1つの位置で示す平面図である。
第2の実施態様による駆動装置を、可動の家具部分の運動中の1つの位置で示す平面図である。
第2の実施態様による駆動装置を、可動の家具部分の運動中の1つの位置で示す平面図である。
第2の実施態様による駆動装置を、可動の家具部分の運動中の1つの位置で示す平面図である。
第2の実施態様による駆動装置を、可動の家具部分の運動中の1つの位置で示す平面図である。
第2の実施態様による連結装置の1つの(極端)位置を示す平面図である。
第2の実施態様による連結装置の1つの(極端)位置を示す平面図である。
第2の実施態様による連結装置の1つの(極端)位置を示す平面図である。
駆動装置の第3の実施態様を示す分解図である。
駆動装置の第3の実施態様を示す分解図である。
第3の実施態様による駆動装置を、可動の家具部分の運動中の1つの位置で示す平面図である。
第3の実施態様による駆動装置を、可動の家具部分の運動中の1つの位置で示す平面図である。
第3の実施態様による駆動装置を、可動の家具部分の運動中の1つの位置で示す平面図である。
第3の実施態様による駆動装置を、可動の家具部分の運動中の1つの位置で示す平面図である。
第3の実施態様による駆動装置を、可動の家具部分の運動中の1つの位置で示す平面図である。
第3の実施態様による駆動装置を、可動の家具部分の運動中の1つの位置で示す平面図である。
第3の実施態様による駆動装置を、可動の家具部分の運動中の1つの位置で示す平面図である。
第3の実施態様による駆動装置を、可動の家具部分の運動中の1つの位置で示す平面図である。
第3の実施態様による駆動装置を、可動の家具部分の運動中の1つの位置で示す平面図である。
第3の実施態様による駆動装置を、可動の家具部分の運動中の1つの位置で示す平面図である。
第3の実施態様による連結装置の1つの(極端)位置を示す平面図である。
第3の実施態様による連結装置の1つの(極端)位置を示す平面図である。
第3の実施態様による連結装置の1つの(極端)位置を示す平面図である。
駆動装置の第4の実施例を1つの位置で示す平面図である。
駆動装置の第4の実施例を1つの位置で示す平面図である。
駆動装置の第4の実施例を1つの位置で示す平面図である。
駆動装置の第4の実施例を1つの位置で示す平面図である。
駆動装置の第4の実施例を1つの位置で示す平面図である。
第4の実施例による2つの駆動装置と、同期装置とから成るアッセンブリを1つの位置で示す平面図である。
第4の実施例による2つの駆動装置と、同期装置とから成るアッセンブリを1つの位置で示す平面図である。
第4の実施例による2つの駆動装置と、同期装置とから成るアッセンブリを1つの位置で示す平面図である。
第4の実施例による2つの駆動装置と、同期装置とから成るアッセンブリを1つの位置で示す平面図である。
第4の実施例による2つの駆動装置と、同期装置とから成るアッセンブリを1つの位置で示す平面図である。
第4の実施例による2つの駆動装置と、同期装置とから成るアッセンブリを1つの位置で示す平面図である。
第4の実施例による2つの駆動装置と、同期装置とから成るアッセンブリを1つの位置で示す平面図である。
図1には、家具100が斜視図で示されている。この家具100は、家具本体10と、この場合、互いに上下に配置されている複数の可動の家具部分2とから構成されている。これら両可動の家具部分2は、引出として形成されている。引出は、少なくとも、引出容器15とフロントパネル14とから構成されている。この図では、上方の引出は開放位置OSにあり、下方の引出は閉鎖位置SSにある。可動の家具部分2はそれぞれ、この図では部分的にしか示されていない、家具本体10の対向する面に配置された引き出しガイド16を介して可動に支持されている。可動の家具部分2のための駆動装置1も部分的に示されている。家具本体10の前面には少なくとも一方の側に、フロントダンパ13が取り付けられている。このフロントダンパ13は、約2.5mmの厚さを有していて、閉鎖位置SSで、フロントパネル14と家具本体10との間のフロントパネルギャップを画定している。
図2には、これに対応して、家具本体10に取り付けられたフロントダンパ13が詳細に示されている。フロントダンパ13は、家具本体10に取り付けられたダンパスリーブ130と、(好適には、圧縮ばねとしての)ダンパ蓄力器131と、ダンパ蓄力器131によって付勢されるプランジャ132とを有している。このフロントダンパ13には、フロントパネル14が当接する。したがって、この図2には、可動の家具部分2の閉鎖位置SSが示されている。家具本体10とフロントパネル14との間の間隔は、この場合、2.5mmである。
これに対して図3には、押込み位置USが示されている。すなわち、使用者は、閉鎖位置SSを起点として、可動の家具部分2を(特にそのフロントパネル14を)閉鎖方向SRで押している。これにより、可撓性のフロントダンパ13は、特にそのダンパ蓄力器131は、圧縮される。これにより、フロントパネルギャップは2.5mmよりも小さくなる。例えば、より詳しく後述するロック装置5を解除するためには、約0.3mm〜0.5mmの押込み運動で既に十分であり、これによりイジェクト装置4が作動され、したがって駆動装置1は、可動の家具部分2を再び開放方向ORで放出する。この場合、フロントダンパ13のダンパ蓄力器131も再び弛緩することができ、もしくは再びもとの形状へと動くことができ、これにより再び、図2に示したような閉鎖位置SSに到達することができる。フロントダンパ13は選択的には、(圧縮ばねを備えない)可撓性のプラスチックから形成されてもよい。
図4の平面図には、引き出しガイド16の構成部分、ならびに両駆動装置1の部分、および同期装置12がより良好に示されている。この図によると、家具本体10には本体レール17が取り付けられており、この本体レールに沿って引出レール18が可動に支持されている。場合によっては、付加的な中間レールおよび/または容器レールが設けられていてもよい。本体レール17は引出レール18と共に、引き出しガイド16を形成している。引出レール18には、もしくは引出容器15の底面には、駆動装置1が組み付けられている。特許請求される装置は、同期装置12と、対向する面に設けられた駆動装置1と共に形成される。本体レール17に(または家具本体10に直接)、連行体11が、好適には相応の組付けプレート19を介して組み付けられている。図4には、可動の家具部分2は示されていない。
次に図5〜図22には、駆動装置1の第1の実施態様が示されている。
図5および図6にはそれぞれ、第1の実施例による駆動装置1の分解図が、一方は前方から、一方は後方から見た図で示されている。支持体3はこの場合、ケーシングベースプレート30とケーシングカバー31とから構成されている。この支持体3の両部分にはそれぞれ、制御レバー45に形成されたまたは取り付けられたロックピン50のためのガイド軌道51が形成されている。ロックピン50はこのガイド軌道51内でガイドされている。支持体3の両部分には、伝達装置7の伝達エレメント70のための、ならびにキャッチレバー72のためのガイド軌道76(伝達エレメント軌道)も形成されている。このガイド軌道76は、屈曲された端部区分77を有しており、キャッチレバー72の移動の際には、この屈曲された端部区分77において、キャッチレバー72が、伝達エレメント70に対して相対的に旋回する。このキャッチレバー72と、キャッチレバー72に面したストッパ71との間で、この図面には示されていない家具本体固定の連行体11を保持することができる。したがって伝達装置7は、可動の家具部分2に対する家具本体10の相対位置に相当する連行体11の位置を駆動装置1に伝達する。支持体3の両部分にはさらに、イジェクト装置4のイジェクトスライダ40のためのガイド軌道46も形成されている。
イジェクト装置4のイジェクトスライダ40は、制御レバー45とスライダベース44とから形成されている。制御レバー45は、スライダベース44に旋回可能に支持されている。さらに、イジェクトスライダ40と共にイジェクト装置4を形成するイジェクト蓄力器41も設けられている。このイジェクト蓄力器41はこの場合、2つの引張りばねの形態で形成されている。イジェクト蓄力器41は一方の端部を介して、スライダベース44に形成された第2の蓄力器ベース43に保持されている。イジェクト蓄力器41は他方の端部では、支持体3内にまたは支持体3の側面に形成された第1の蓄力器ベース42に保持されている。
ケーシングベースプレート30にはさらに、凹部54が形成されている。この凹部54にはさらに、縦長のガイド溝55が形成されている。このガイド溝55には、トリガ機構6のトリガエレメント60がガイド突起66を介して直線移動可能にガイドされている。トリガエレメント60には、ガイド軌道51の一部が形成されている。さらに、ロックエレメント53がこのトリガエレメント60に形成されている。トリガエレメント60は、圧縮ばねの形態のばね67によって力を加えられる。このばね67は、ガイド心棒68を取り囲んでおり、このガイド心棒68は、一方では支持体3に形成された心棒保持部68aに、他方ではトリガエレメント60に形成された心棒保持部68bに保持されている。ばね67の弛緩状態で、トリガエレメント60は、凹部54の(図5で見て)左の縁部に当接している。この位置では、ロックエレメント53は(ガイド軌道51の領域と共に)、掛止凹部52(図21に詳細を示す)を形成している。したがってロック装置5は、主としてロックエレメント53とロックピン50とから形成されている。
一方ではトリガレバー61が、他方では既に記載したトリガエレメント60が、トリガ機構6の最も重要な構成要素を形成している。この実施態様では、さらにトリガロッド69も、トリガ機構6の実質的な部分を成す。第1のロッド部分69aは2つの突起691を有している。第1のロッド部分69aはこの突起691によって、ケーシングカバー31に形成された細長いガイド軌道692内で直線運動可能にガイドされている。第1のロッド部分69aは一方の端部でトリガレバー61に当接している。このトリガレバー61は、このレバーに形成された軸受エレメント611を介して、補償ヨーク90に設けられた軸受凹部903に回転可能に支持されている。第2のロッド部分69bは、軸受エレメント693を介して、ケーシングカバー31に形成された、対応する凹部694内に回転可能に支持されている。ケーシングベースプレート30にも、相応の対応する凹部694が形成されている。第2のロッド部分69bの上端部には長孔695が形成されている。この長孔695には、第1のロッド部分69aの突起691のうちの1つが係合する。第3のロッド部分69cは、一方の端部に軸受突起687を有している。第3のロッド部分69cはこの軸受突起687を介して、第2のロッド部分69bの下方の長孔697内に保持もしくはガイドされている。第3のロッド部分69cの、軸受突起687とは反対の端部に、保持ピン696が配置されている。この保持ピンは、トリガエレメント60に設けられた対応する保持ピン切欠688内に係合する。したがって、とりわけ、トリガレバー61、トリガロッド69、およびトリガレバー61が、トリガ機構6を形成する。
駆動装置1の別の重要な構成要素は、連結装置8である。この第1の実施態様では、第1の連結エレメント81は、伝達エレメント70に形成された当接面73の形態で形成されている。対応する第2の連結エレメント82は、補償楔62もしくはその湾曲された表面63によって形成されている。補償楔62は、この場合、トリガレバー61と同一である。湾曲された表面63は、第2の連結エレメント82に相当する。連結解除位置EKでは、この第2の連結エレメント82は、第1の連結エレメント81から間隔を置いて位置しており、これに対して、連結位置KSでは、互いに接触している。連結装置8の連結運動は、連結蓄力器83によって発動される。特に、第2の連結エレメント82は、連結蓄力器83によって間接的に負荷される。
最後に、駆動装置1は、さらに1つの遅延装置9を有しており、この遅延装置によって、連結エレメント81と82とは互いに時間的に遅らせられて、連結解除位置EKから連結位置KSへと移動することができる。この第1の実施態様では、遅延装置9は、補償ヨーク90、歯車91、テンションディスク92、第1のテンションレバー93、第2のテンションレバー94、ならびに連結蓄力器83を形成する戻しばね95を含む。補償ヨーク90には、軸受エレメント901が配置されている。この軸受エレメント901を介して、補償ヨーク90は、ケーシングベースプレート30に形成された凹部902内で回転可能に支持されている。この補償ヨーク90にはさらに軸受凹部903が形成されている。この軸受凹部903には、トリガレバー61(補償楔62)が、トリガレバーの軸受エレメント611を介して回転可能に支持されている。この補償ヨーク90にはさらに別の軸受凹部904も形成されている。この軸受凹部には、第2のテンションレバー94が、上方の突起941を介して回転可能に支持されている。さらに、この第2のテンションレバー94は下方の突起942を有している。第2のテンションレバー94は、この下方の突起942によって、テンションディスク92に設けられた対応する凹部921内で回転可能に支持されている。テンションディスク92はさらに、ケーシングベースプレート30内に形成された円形の凹部96と共に回転減衰装置を形成している。回動減衰はこの場合、対応する溝の形態で、その機能を展開することができる。コイルばねとして形成された戻しばね95は、一方では、テンションディスク92のばね突起922に保持されていて、他方では、ケーシングカバー31に形成されたばね突起923に保持されている。戻しばね95は、一般的に、ケーシングカバー31に形成された凹部97に取り付けられている。戻しばね95は、図5によれば、支持体3に対して相対的に時計回りで回転するように、テンションディスク92を負荷している。テンションディスク92と凹部96との間の減衰作用は、連結装置8の連結運動に相当する、戻しばね95によって発動されるこのような回転運動を減衰するように作用する。歯車91は、その中央の軸受エレメント911を介して、支持体3に設けられた対応する凹部912内で回転可能に支持されている。歯車91は、周囲に配置された歯列を介して、テンションディスク92の周囲に配置された対応する歯列(詳細には図示せず)に噛み合う。歯車91にはさらに、偏心的に保持切欠913が形成されている。この保持切欠913には、第1のテンションレバー93の突起931が係合する。テンションレバー93の他方の端部に形成された突起932も、ケーシングカバー31に形成されたガイド溝98内でガイドされている。このガイド溝98にはさらに、可撓エレメント99が隣接している。突起932は、伝達エレメント70を通過する際に、この伝達エレメント70によって、可撓エレメント99に向かって押し付けられ、この可撓エレメントを下方に向かって曲げる。
以下の図では、第1の実施態様による駆動装置1の閉鎖および開放の行程が、連続動作として説明されている。
図7には、第1の実施態様による駆動装置1が組み付けられている状態で、平面図で示されている。図示した状態では、可動の家具部分2は開放位置OSにある。可動の家具部分2は、この図面および次の図面には示されていないが、駆動装置1の支持体3は可動の家具部分2に取り付けられている。次の図面からは、家具本体に固定された連行体11により、家具部分2と家具本体10との間の相対位置がわかる。いずれにせよ図7では、可動の家具部分2は比較的大きく開放された開放位置OSにある。したがって、制御レバー45に形成されたロックピン50は、テンション区分Sの開始部で、ガイド軌道51の軸受領域Lに置かれている。制御レバー45は、スライダベース44に制御レバー軸47を中心として旋回可能に支持されており、図7では制御レバー45は、時計回りで最も上方に向かって旋回された位置に位置している。第2の蓄力器ベース43を介してイジェクトスライダ40のスライダベース44に保持されているイジェクト蓄力器41は、弛緩された状態で位置している。
図8では、可動の家具部分2は、図7に対して閉鎖方向SRに移動されている。このことは、連行体11が、伝達エレメント70のストッパ71に当接していることにより明らかである。家具本体10と、閉鎖方向SRに向かう可動の家具部分2との間の相対運動に基づき、連行体11は、伝達エレメント70を、駆動装置1のその他の構成要素に対して相対的に動かす。特にこの位置では、連行体11は、キャッチレバー72と、伝達エレメント70のストッパ71との間に保持されている。制御レバー45のコンタクトエレメント451に当接する、伝達エレメント70に形成されたテンションストッパ(ストッパ面73)により、制御レバー45は、ロックピン50によってガイドされて、ガイド軌道51に沿って動かされる。この制御レバー45と共に、スライダベース44も動き、これにより、スライダベースに取り付けられたイジェクト蓄力器41は緊張される。
図9によると、テンション区分Sを通るロックピン50の移動が終了している。ロックピン50は、ガイド軌道51の前ロック位置VVに達している。ガイド軌道51によって、制御レバー45は、幾分下方にも旋回されており、これにより制御レバー45のコンタクトエレメント451は、もはや、伝達エレメント70のストッパ面73に接触していない。すなわち、イジェクト蓄力器41をさらに緊張させる必要なく、伝達装置7全体は、閉鎖の際にさらに、支持体3に対して相対的に動くことができる。すなわち、図9に示すこの位置では、イジェクト蓄力器41は完全に緊張されている。イジェクトスライダ40は、ロックピン50を介して、ガイド軌道51の前ロック位置VVに(予備)ロックされているので、イジェクトは不可能である。伝達装置7は、図9のこの位置では、支持体3に対して相対的にガイド軌道76に沿ってさらに移動可能である。閉鎖方向でのさらなる移動のために、この場合、図示されていない引き込み装置を使用することができる。このような引き込み装置の詳しい機能形式については、本明細書冒頭で既に言及した欧州特許第2983554号明細書を参照することができる。
図10では、可動の家具部分2は、好適には引き込み装置により、さらに閉鎖方向SRに移動されている。この場合、伝達エレメント70に形成された減衰器ストッパ79は、遅延装置9の第1のテンションレバー93に形成された突起932に接触している。これにより、第1のテンションレバー93は左の方に摺動される。第1のテンションレバー93の突起931は、歯車91の偏心的な保持切欠913に係合しているので、突起931を介して、小さい方の歯車91は反時計回りで回転される。したがって、この歯車91は、軸受エレメント911を介して、ケーシングベースプレート30に形成された凹部912に対して相対的に回転する。歯車91はテンションディスク92に噛み合っているので、テンションディスクは時計回りで回転する。このテンションディスク92の偏心的な凹部921内には、第2のテンションレバー94が下方の突起942を介して回転可能に支持されていて、テンションディスク92と共に動く。第2のテンションレバー94のこの動きにより、補償ヨーク90の運動も引き起こされる。特に、第2のテンションレバー94の上方の突起941は、補償ヨーク90の軸受凹部904内に係合している。補償ヨーク90はさらに軸受エレメント901を介して直接、支持体3に設けられた軸受凹部902内に回転可能に支持されているので、補償ヨーク90は、軸受エレメント901を中心として時計回りで回転される。補償ヨーク90の真ん中の領域では、軸受凹部903に、トリガレバー61の軸受エレメント611が回転可能に支持されている。補償ヨーク90の旋回運動により、補償楔62の形態のトリガレバー61は下方に移動される。これにより、このような補償楔62の比較的細い先端のみが、第1のロッド部分69aと伝達エレメント70との間になお位置している。
図11では、可動の家具部分2の閉鎖運動がさらに継続されている。伝達エレメント70と遅延装置9とを介して、トリガ機構6のトリガレバー61はさらに下降されている。第1のテンションレバー93の突起932は、この突起932と減衰器ストッパ79との係合が解除されるまで、ガイド軌道98に沿って動く。すなわち、減衰器ストッパ79と突起932との接触は解消される。したがって、伝達装置7から遅延装置9への運動の伝達は行われない。この位置では、連結蓄力器83を形成する戻しばね95の一方の端部はばね突起923に保持されていて、戻しばね95の他方の端部はテンションディスク92のばね突起922と共に回転されているので、戻しばね95は緊張されている。すなわち、テンションディスク92は、戻しばね95によって、今や反時計回りの力を加えられている。しかしながら、突起932は伝達エレメント70に当接していて、ガイド軌道98に沿って動くことはできないので、回転は不可能である。さらに図11では、制御レバー45のコンタクトエレメント451が、伝達エレメント70に形成された制御レバー軌道452に位置していることも明らかである。コンタクトエレメント451は、この制御レバー軌道452の幾分曲げられた端部領域に既に達している。しかしながら、図11に示したこの位置では、制御レバー45と、この制御レバーのロックピン50とを、ガイド軌道51の前ロック位置VVから解除するためには、制御レバー軌道452のこの曲げられた区分により引き起こされるコンタクトエレメント451の変位ではまだ不十分である。
図12では、可動の家具部分2が、さらに閉鎖方向SRへと移動されている。この移動では、コンタクトエレメント451は、伝達エレメント70における制御レバー軌道452に対して相対的にさらに動かされている。制御レバー軌道452の曲げられた区分により制御レバー45は、その制御レバー軸47を中心として反時計回りでさらに旋回されるので、ロックピン50は、前ロック位置VVから解除され、ロックピン50は今やガイド軌道51の掛止運動領域Eに位置する。ロックピン50がこの掛止運動領域Eに位置するとすぐに、イジェクト蓄力器41の力が再びロックピン50へと作用し、ロックピン50は掛止凹部52の方向に動かされる。図12により、第1のテンションレバー93の突起932はもはや伝達エレメント70の下面に接触しておらず、ガイド溝98への経路は解放されていることもわかる。これにより、連結蓄力器83(戻しばね95)のロックもしくは移動抑制も解消されている。すなわち、戻しばね95は弛緩することができ、テンションディスク92を反時計回りに動かす。しかしながら、このような回転運動は、テンションディスク92と凹部96との間で作用する減衰機構(遅延装置9)によって制動もしくは減衰される。
図13では、ロック装置5はロック位置VSに位置している。さらに、可動の家具部分2は閉鎖位置SSにある。連結装置8は既に連結位置KSにある。可動の家具部分2の閉鎖位置SSは、特に、可動の家具部分2(もしくはそのフロントパネル14)が、家具本体10のフロントダンパ13に当接することにより達成される。これに応じて、伝達装置7は、支持体3に対して所定の相対位置を有している。この相対位置は、約5mm変動する可能性がある。この変動は、とりわけ、誤差に、移動する個々の構成要素間の遊びに、家具本体10への連行体11の取り付けもしくは可動の家具部分2への支持体3の取り付けの精度に、依存している。いずれにせよ、この閉鎖位置SSへの到達と実質的に同時に、掛止凹部52内へのロックピン50の移動は終了する。これにより、図13では、ロックピン50がロックエレメント53に当接する。したがって、ロック装置5は、ロック位置VSにある。イジェクト装置4がロック位置VSにある場合には、連結装置8は、連結解除位置EKから連結位置KSへと移動可能である。この場合、第2の連結エレメント82は、補償楔62もしくはその湾曲された表面63によって形成されている。連結装置8の第1の連結エレメント81は、伝達エレメント70に形成されたストッパ面73によって形成される。したがってこのストッパ面73は、可動の家具部分の閉鎖位置SSを画定している。遅延装置9によって減衰された補償楔62の運動により、この補償楔62(トリガレバー61)はストッパ面73に向けられている。図13には既に、湾曲された表面63がストッパ面73に接触している連結位置KSが示されている。この連結位置KSでは、伝達装置7が連結装置8によってトリガ機構6に運動伝達式に連結されている。支持体3に対する伝達エレメント70の相対位置の深さに応じて、楔状のトリガレバー61は相応の距離を補償することができる。遅延装置9による時間の遅延により、この補償の動きは約1〜10秒かかる。このような時間の遅延は、押圧保護を提供するのにも十分である。すなわち、使用者による閉鎖の際に可動の家具部分2が直接押し込まれるまたは押し続けられる場合に、直ちに発動は行われず、連結装置8が、トリガ機構6を伝達装置7に連結して動きを伝えるまでは、待機することになる。
図14には、可動の家具部分2の押込み位置USが示されている。さらに、図14には、ロック装置5のロック解除位置ESが示されている。連結装置8は連結位置KSにある。可動の家具部分2が(連行体11に対して相対的に右側に向かって)閉鎖方向SRで動かされることにより、伝達装置7の伝達エレメント70はほぼ完全に、ガイド軌道76の終端まで動かされる。支持体3に対して相対的な伝達エレメント70の移動により、伝達エレメント70のストッパ面73は、連結装置8を介して、トリガ機構6のトリガレバー61を動かす。補償ヨーク90は、所与の連結位置KSに基づき不動であるので、トリガレバー61は、軸受エレメント611を中心として反時計回りで旋回される。第1のロッド部分69aは、このトリガレバー61に当接し、したがって、この第1のロッド部分69aは直線状のガイド軌道692に沿って摺動される。第1のロッド部分69aの突起691のうちの1つは、第2のロッド部分69bの長孔695内に係合している。第1のロッド部分69aのこのような動きにより、第2のロッド部分69bは、軸受エレメント693を中心として反時計回りで旋回される。第3のロッド部分69cは、軸受突起687を介して、第2のロッド部分69bの長孔697内に係合している。したがって、第2のロッド部分69bの旋回により、第3のロッド部分69cは摺動される。第3のロッド部分69cはさらに、保持ピン696を介して、トリガエレメント60に設けられた保持ピン切欠688に接続されている。すなわち伝達エレメント70の動きは、トリガ機構6を介して、凹部54内でトリガエレメント60を動かす。この動きは、ガイド溝55内に係合しているガイド突起66によってガイドされる。トリガエレメント60の移動は、ガイド心棒68でガイドされているばね67の力に抗して行われる。トリガエレメント60には、ロックエレメント53が配置もしくは形成されている。トリガエレメント60の移動により、このロックエレメント53も移動させられる。図14では、このようなロックエレメント53は、ロックピン50がロックエレメント53にもはや保持され得なくなるまで動かされている。すなわち、ロックエレメント53に形成されたロック面531(図21も参照)が引き離されるとも言える。したがって、イジェクト蓄力器41の力により、ロックピン50はガイド軌道51のイジェクト区分A内へと移動される。図14に示したこの位置では、ロックピン50は、ロックエレメント53のロック面531に対して横方向に向けられている、ロックエレメント53の面532に当接する。これにより、この面532を介してロックエレメント53と、このロックエレメントと共にトリガエレメント60とが、ばね67の力に抗して凹部54内で右に向かって動くことにより、イジェクト蓄力器41はさらにイジェクト力を発揮することができる。イジェクト蓄力器41の力により、トリガエレメント60は、トリガエレメント60が凹部54の端部に当接するまで動かされる。ロックエレメント53は、この場合、ロックエレメント53と制限ストッパ56との間に小さな間隔が形成される、もしくは存在するまでトリガエレメント60と共に動かされる。面532の傾斜により、ロックピン50は、この面532から外れることができ、ガイド軌道51の制限ストッパ56とロックエレメント53との間の隙間を通って、さらにガイド軌道51のイジェクト区分A内へと動かされる。これに関する詳細は、図21を参照されたい。
そして図15では、可動の家具部分2は開放位置OSに達している。ロックピン50は、ガイド軌道51のイジェクト区分Aのほぼ半分まで既に動いている。制御レバー45のコンタクトエレメント451は、伝達エレメント70のイジェクトストッパ701に当接する。これにより、イジェクトスライダ40の制御レバー45は、伝達装置7の伝達エレメント70を連行し、したがって、支持体3に対して相対的に伝達装置7を動かす。伝達エレメント70は、ストッパ71を介して連行体11に接触しているので、家具本体10に対する可動の家具部分2の相対運動が発動される。具体的には、駆動装置1もしくはそのイジェクト装置4が連行体11を離れて、これにより、可動の家具部分2を開放方向ORで連行する。図15に示したこの位置では、ロックピン50とロックエレメント53との間にもはや接触はない。したがって、ばね67も弛緩することができ、トリガエレメント60を、凹部54の左側の縁部に当接するまで動かす。これにより、トリガロッド69全体も再び相応に動かされるので、最終的には、トリガレバー61は再び、伝達エレメント70の方向に動かされる。トリガレバー61は、伝達エレメント70の離れる動きにより、再びストッパ面73から離間され、したがって連結装置8の連結解除位置EKとなる。第1のテンションレバー93の突起932が、ガイド軌道76に沿った伝達エレメント70の移動を妨げることを阻止するために、ガイド溝98の領域には、弾性的な可撓エレメント99が形成されている。すなわち、伝達エレメント70が突起932の側方を通過するとき、相応の変位傾斜部702によって、伝達エレメントに接触する突起932、およびこれと共に第1のテンションレバー93が旋回される。この旋回の際に、弾性的な可撓エレメント99は下方に押され、これにより伝達エレメント70は突起932の側方を通過することができる。図15では、突起932がガイド溝98の端部に当接するまで戻しばね52が弛緩されたことにより、遅延装置9も再び、出発位置へと動かされる。
図16では、可動の家具部分2はさらに開放方向ORに移動されており、この移動はイジェクト装置4により発動されている。この位置では、イジェクト蓄力器41は再び弛緩されている。突起932は、弾性的な可撓エレメント99によって再び上方に向かって動かされている。この位置を起点として可動の家具部分が手動でさらに開放方向に引かれると、制御レバー45のコンタクトエレメント451は再び制御レバー軌道452内へと到る。この制御レバー軌道452の左側の端部には、屈曲された区分453が位置している。さらなる開放で、コンタクトエレメント451がこの屈曲された区分453に到るとすぐに、制御レバー45はさらに時計回りに旋回し、これによりロックピン50はガイド軌道51の軸受領域L内へと移動する。これにより、再び図7に示した出発位置に到達する。
図17には再度、駆動装置1がロック位置VSで示されている。この図では、支持体3が全体的に示されており、これにより第1の蓄力器ベース42ならびにガイド軌道76の屈曲された端部区分77も明らかである。キャッチレバー72に形成された突起721が屈曲された端部区分77内へ移動することにより、キャッチレバー72は回転軸受722を中心として旋回される。これにより、キャッチレバー72とストッパ面73との間に保持された連行体11は解放される。
図18〜図20にはそれぞれ、可動の家具部分2の閉鎖位置SSが示されているが、この閉鎖位置SSにおいて、伝達装置7と支持体3との間の相対位置は異なっている。
図18には、発動行程の最小位置が示されている。この場合、補償楔62の最も前方の先端は、トリガロッド69と伝達エレメント70のストッパ面73との間の間隔を橋絡している。
図19には、閉鎖位置SSのほぼ中間の位置が示されている。この場合、補償楔62の幾分幅広の領域が既に、トリガロッド69と伝達装置7との間の距離を橋絡している。
図20には、最も極端な位置が示されており、この場合、フロントパネルギャップは、したがって発動行程は、最大値を有している。この場合、補償楔62の最も幅広の領域が、トリガ機構6のトリガロッド69と伝達装置7のストッパ面73との間に配置されている。
図21には、駆動装置1のガイド軌道51に該当する区分が示されている。最も重要な構成要素、すなわちテンション区分S、前ロック位置VV、これに 続く掛止運動領域Eとイジェクト区分A、ならびに軸受領域Lが設けられている。さらに、ロックエレメント53とそのロック面531、ならびに面532も明らかである。制限ストッパ56も示されている。ロックエレメント53がその最も右側の位置へと動かされると、この図には示されていないロックピン50が、ロックエレメント53の面532と、制限ストッパ56との間に入り込むことができる。
図22には、駆動装置1が、該駆動装置1と向かい合って位置する他方の駆動装置1と、同期装置12を介して同期される際に重要である細部が示されている。このためにトリガエレメント60には、この場合、概略的にのみ示されたラック121が配置されている。このラック121は歯車122に噛み合っており、この歯車は同期ロッド123に接続されている。したがって、この同期ロッド123は、各駆動装置1に設けられたラック121と歯車122と共に、同期装置12を形成している。
図23〜図35には、本発明による駆動装置1の第2の実施態様が示されている。この場合、図23および図24は再びそれぞれ、異なる側から見た駆動装置1の分解図が示されている。この駆動装置1の基本的な構造は、第1の実施態様と同様である。このことは特に、ケーシングベースプレート30およびケーシングカバー31の形態の支持体3の大きな部分、イジェクト蓄力器41、スライダベース44、および制御レバー45といった実質的な構成要素を含むイジェクト装置4、および可動の家具部分2に配置された連行体に駆動装置1を連結するための構成要素に該当する。所属のガイド軌道51および46も、構造的に実質的に同様に形成されている。したがって、とりわけ、イジェクト装置4、およびロック装置5を含む所属のガイド軌道51の機能形式に関しても、第1の実施態様についての説明を参照することができる。
図23および図24には再び、第2の実施態様による駆動装置1の全ての構成要素が分解図で示されている。基本的には、第1の実施態様との主要な相違点は、第2の実施態様では、2つの異なる連行体が設けられている点にある(これについてはその後の図面でさらに示す)。これはつまり、第1の実施態様では伝達装置7を構成していた構成部分が、この第2の実施態様では、構造的には全く同様に形成されてはいるが、押込みの際の引出位置の伝達のために働くのではないという意味である。しかしながら、別の機能のためにこれらの構成部分はなお重要である。したがってこの場合、スライダは連結スライダ21、レバーは連結レバー22、そして軌道は屈曲された端部区分24を有する連結軌道23と呼ばれる。全てがまとまって連結機構20を形成している。
この第2の実施態様でも、トリガ機構6が設けられている。このトリガ機構6はこの場合、1つの構成部分のみから成っている。それは、第2の実施態様では、トリガレバー61の機能も担うトリガエレメント60である。トリガエレメント60には、ロックエレメント53が一体的に取り付けられている。トリガエレメント60は、この第2の実施態様では、軸受エレメント651を介して回転可能に対応する凹部652内で支持されている。トリガエレメント60は、部分的にクラウンギア65として形成されている。すなわち、トリガエレメント60は上面に、半径方向に整列された掛止歯64を有している。クラウンギア65のこれらの掛止歯64は、連結装置8の第2の連結エレメント82を形成する。
伝達装置7も、この第2の実施態様では、1つのみの構成部分として形成されている。この伝達装置7は、回転可能なクラウンギア75として形成されている。このクラウンギア75には、伝達レバー751が一体に形成されている。クラウンギア75は、中央の凹部752を介してトリガエレメント60の軸受エレメント651に回転可能に支持されている。クラウンギア75にはトリガエレメント60に面した側で、半径方向に整列された掛止凹部74が形成されている。これらの掛止凹部74は、トリガ機構6の掛止歯64に対応していて、第1の連結エレメント81を形成している。
この第2の実施態様では、伝達装置7を出発位置へと動かすための戻し装置25も設けられている。この戻し装置25は、ベース252を介して、支持体3に設けられた凹部253内に保持されている保持心棒251を有している。さらに、保持心棒251を取り囲み、この保持心棒によってガイドされている圧縮ばね254が設けられている。圧縮ばね254には、片側で閉じられた戻しスリーブ255が被せられている。この戻しスリーブ255は、支持体3のガイド軌道256内で直線移動可能にガイドされていて、凹部253からストッパ257に到るまでの範囲を超えて離れることはない。さらに、ケーシングベースプレート30には、戻し***部258も形成されている。この戻し***部258は、伝達レバー751と接触することにより、回転可能なクラウンギア75を軸方向で軸受エレメント651に沿って、トリガエレメント60とそのクラウンギア65とに対して相対的に動かすために働く。
この第2の実施態様でも、向かい合って位置する側に配置された駆動装置1との同期のための手段が設けられている。このために、同期装置12のラック121はガイド軌道124内で摺動可能にガイドされている。このラック121は、トリガエレメント60に面した側に、この図面には示されていない歯列を有しており、この歯列は、トリガエレメント60の周面に形成され、同様に図示されていない歯列に噛み合う。これにより、トリガエレメント60の回転運動は、ラック121の直線運動に変換される。ラック121は引張ばね125によって力を加えられている。引張ばね125は、一方ではラック121に、他方では支持体3に保持されている。
この第2の実施態様では、遅延装置9は、ばね戻し装置を有した直線減衰器として、両クラウンギア65と75との間の回転領域に形成されている。
図24aには、トリガ機構6と伝達装置7とが示されている。トリガ機構6はクラウンギア65を有していて、伝達装置7はクラウンギア75を有している。トリガ機構6のクラウンギア65には、掛止歯64が形成されている。各掛止歯64は、実質的に軸方向に向けられた歯側面と、傾斜された歯側面とを有する。伝達装置7と、伝達装置のクラウンギア75は、対応する掛止凹部74を有している。図24aに示した図では、掛止凹部74は、掛止歯64に十分当接している。この位置で、伝達装置7が時計回りに回転されると、それぞれ軸方向に向けられた歯側面が互いに当接しているので、トリガ機構6も共に回転される。伝達装置7が反時計回りで回転されると、トリガ機構6は一緒には動かない。むしろ、伝達装置7は、掛止歯64の、対応して形成された斜めの歯側面と、掛止凹部74とによって幾分持ち上げられ、ラチェット原理にしたがって、クラウンギア65の表面に沿って動き、このクラウンギア65およびトリガ機構6に回転運動を伝達しない。
図25には、第1の実施態様の図7と同じ駆動装置1の出発位置が再び示されている。可動の家具部分2は開放位置OSに位置している。家具本体10に接続された連結連行体26は、連結機構20の連結スライダ21に当接している。連結レバー22は、連結軌道23の屈曲された端部区分24に基づきまだ旋回された位置に位置している。この第2の実施態様では、別の連行体が家具本体10に接続されている。別の連行体は、この場合、(後にさらに伝達装置7と接触する)連行体11を形成する。この連行体11も円としてしか示されていない。イジェクト蓄力器41はまだ弛緩されている。ロックピン50は、ガイド軌道51の軸受領域L内に位置している。伝達装置7のレバー751は、実際に最大限右側に旋回された位置に位置している。この位置では、伝達レバー751は戻し***部258上に載置している。これにより、クラウンギア75はクラウンギア65から軸方向で間隔を置いて位置している。クラウンギア75は第1の連結エレメント81を形成し、クラウンギア65は第2の連結エレメント82を形成するので、連結装置8は連結解除位置EKに位置している。圧縮ばね254は、比較的弛緩された位置に位置していて、戻しスリーブ255を伝達レバー751に向かって押している。
図26では、可動の家具部分2が押されて、さらに閉鎖方向SRへと移動されている。連結スライダ21は、制御レバー45のコンタクトエレメント451に当接しているので、制御レバー45とスライダベース44とを介して、イジェクト蓄力器41は緊張されている。連結レバー22は、屈曲された端部区分24から出て動かされている。これにより、連結連行体26は、連結レバー22と連結スライダ21との間に位置している。
図27では、可動の家具部分2が、さらに閉鎖方向SRへと移動されている。制御レバー45のコンタクトエレメント451は、今や、連結スライダ21に形成された軌道に基づき変位されており、これによりロックピン50はガイド軌道51の前ロック区分VV内に位置している。イジェクト蓄力器41は今や完全に緊張されている。連行体11は、既に、伝達装置7の伝達レバー751に接触しており、伝達装置7は既に時計回りで旋回されている。伝達装置7は戻し***部258によってまだ上昇されているので、伝達装置7のこの回転運動は(まだ)トリガ機構6に伝達されていない。しかしながら伝達、すなわち、戻しスリーブ255に対する伝達装置7の旋回運動の伝達は行われる。これにより圧縮ばね254は既に部分的に緊張されている。
図28では、可動の家具部分2は、コンタクトエレメント451が連結スライダ21の軌道から外れ、これにより今やロックピン50もガイド軌道51の掛止凹部52内に位置するまで、閉鎖方向SRで移動されている。すなわち、ロック装置5のロック位置VSが達成されている。この場合、ロックピン50は、掛止凹部52を共に形成するロックエレメント53に当接しており、ロックエレメント53はトリガ機構6のトリガエレメント60に一体に形成されている。可動の家具部分2も、この図には示されていないフロントダンパ13に十分に当接しているので、可動の家具部分2は閉鎖位置SSに達している。連行体11は、伝達レバー751を、伝達レバー751がもはや戻し***部258上に位置しなくなるまでさらに旋回させる。これにより、伝達装置7は第1の連結エレメント81と共に、第2の連結エレメント82を有するトリガ機構6の方向へ移動することができる。軸受エレメント651によって形成される軸に沿ったこの移動は、この図面では単に略示されている遅延装置9によって制動もしくは減衰される。この減衰された移動は数秒かかることもある。したがって、遅延装置9により、押込み保護が提供される。すなわち、使用者が可動の家具部分2を、閉鎖位置SSに止めておくことなく、更に直接押し込む場合でも、ロック解除は直ちに行われるのではなく、遅延装置9によって規定された所定の時間経過後に初めて行われる。しかしながら、この時間が経過するとすぐに、もしくは相応の距離を進むとすぐに、連結位置KSに到達することになる。
図29には、可動の家具部分2の押込み位置USが示されている。可動の家具部分2が、既に到達した連結位置KSにある状態で閉鎖方向SRに押されると、連行体11を介して伝達装置7は、伝達レバー751によってさらに時計回りに回転させられる。連結装置8の連結位置KSが取られると、トリガ機構6も時計回りに一緒に回転させられる。これにより、ロックレバー53も旋回し、ロックピン50から離れる。したがって、ロックピン50は、もはやロックエレメント53によって保持されていない。イジェクト蓄力器41は、その力を発揮することができ、ロックピン50をイジェクト区分Aへと移動させる。トリガ機構6の回転に基づき、図示されていない歯列を介してラック121も直線運動する。この直線運動は、図示されていない同期装置12を介して、向かい合って位置する、好適には鏡像対称的に形成された駆動装置1に伝達され得る。この場合、引張ばね125は緊張される。
図30では、開放位置OSに達している。すなわち、利用者が、図29の押込み位置USで、可動の家具部分2を離すと、イジェクト蓄力器41はその力を発揮することができ、制御レバー45と、そのコンタクトエレメント451とを介して連結スライダ21を動かす。この連結スライダ21は、家具本体固定の連結連行体26に当接しているので、駆動装置1はいわば、この連結連行体26から開放方向ORで放される。イジェクト区分Aを通って動くロックピン50を介して、トリガエレメント60は、さらに時計回りに回転させられ、これによりラック121と戻しスリーブも完全に左側の位置に到達する。ロックピン50とロックエレメント53との間の接触が解消されるとすぐに、引張ばね125と圧縮ばね254とは弛緩され得る。
これにより、図31に示したように、伝達レバー751は戻し装置25の圧縮ばね254と戻しスリーブ255とを介して再び反時計回りで動かされる。しかしながらこの場合、トリガエレメント60は連行されない。このトリガエレメント60は、引張ばね125の弛緩に基づき再び出発位置へと動かされる。戻し装置25の戻し運動は、遅延装置9の蓄力のためにも利用することができる。
図32では、戻し装置25が伝達レバー751を再び完全に右側に旋回させている。これにより伝達装置7は、戻し***部258によって再び上昇させられている。両連結エレメント81および82は、これにより再び互いに離間される。図32では、イジェクト蓄力器41も再び弛緩されている。
可動の家具部分2を開放方向ORにさらに手動で引っ張ることにより、コンタクトエレメント451は、連結スライダ21に形成された軌道により再びさらに時計回りで旋回され、これにより最後にロックピン50は再び、図25の軸受区分Lにおける出発位置に到達する。
図33、図34、および図35にはそれぞれ、閉鎖位置SSが示されており、この場合、連行体11と支持体3との間の相対位置はそれぞれ異なっている。
したがって図33では、最小位置が取られている。すなわち、伝達レバー751は、戻し***部258によってもはや以上持ち上げられ得ないところまで動いている。
図34には、ほぼ中間の位置が示されている。
図35には、別の終端位置が示されている。これにより、閉鎖位置SSの両終端位置間では約5mmの誤差範囲がカバーされている。
第2の実施態様について概して言及すべきことは、クラウンギア65と75との間の歯列が、両クラウンギアの互いの動きを、閉鎖位置SSの正確な位置に関係なく阻止するということである。すなわち、要するに、どの位置でも作動できる機構となっている。フロントダンパ13は常に確実に約2mmの作動距離を有しているので、そしてこれにより、誤差が最大である場合でも、駆動装置1を作動させるために十分効果的な作動距離が提供されるので、この場合(歯列のサイズにより)最大であり得る「誤差」は無視できる。
図36以下には、本発明による駆動装置1の第3の実施態様が示されている。特に、図36および図37には、再び、駆動装置1の分解図が一方では前方から、他方では後方から示されている。この第3の実施態様も、トリガ機構6および遅延装置9が、第1の実施態様と同様の領域に配置されており、全体としての運動行程も同様に作用するので、基本構造は第1の実施態様と同様のものである。この態様もやはり、1つの連行体11のみを必要とする。したがって、この第3の実施態様では、第2の実施態様では連結機構と呼んでいた構成ユニットが再び、伝達装置7の機能を果たし、とりわけ、伝達エレメント70と、ガイド軌道76内でガイドされているキャッチレバー72とから成っている。基本的な機能形式は、この第3の実施態様でも第1の実施態様と同様であるので、それについての詳しい説明は省く。制御レバー45と、スライダベース44と、イジェクト蓄力器41とから形成されているイジェクト装置4についても同じである。イジェクトスライダ40のスライダベース44と制御レバー45とは、回転ジョイント48を介して旋回可能に互いに接続されている。
トリガ機構6は、この第3の実施態様でもトリガロッド69を有している。トリガロッド69は、第1のロッド部分69aと、第2のロッド部分69bと、第3のロッド部分69cとを含む。ロッド部分69aは、この実施態様では、同時にトリガレバー61を形成している。伝達エレメント70に面した端部で、この第1のロッド部分69aは、連結装置8の第2の連結エレメント82を形成する先細りする掛止歯64を有している。この掛止歯64は、連結装置8の第1の連結エレメント81を形成する、伝達エレメント70に形成された掛止凹部74に対応する。第1のロッド部分69aには、ばね保持突起698が取り付けられている。このばね保持突起698には、ねじりコイルばね699の一方の腕が当接する。第1のロッド部分69aの、第2の連結エレメント82とは反対の端部に、軸受凹部681が形成されている。この軸受凹部681には、第2のロッド部分69bの上端部に形成された軸受突起682が係合する。ねじりコイルばね699の真ん中のコイル領域が、軸受突起682を取り囲む。ねじりコイルばね699の一方の腕は、第2のロッド部分69bの回転軸受683に当接する。この回転軸受683は、ケーシングベースプレート30に形成された凹部694で回転可能に支持されている。第2のロッド部分69bの回転運動は、ケーシングベースプレート30に形成された回転制限ストッパ面684によって制限される。第2のロッド部分69bの下端部には、軸受凹部685が形成されている。この軸受凹部685には、第3のロッド部分69cの軸受突起686が係合する。第3のロッド部分69cは他方の端部で保持ピン696を有している。この保持ピン696を介して、第3のロッド部分69cが、ひいては全てのトリガロッド69が、トリガエレメント60に形成された保持穴601に接続される。
遅延装置9によって、第1のロッド部分69aに形成された第2の連結エレメント82の、第1の連結エレメント81の方向での運動の制動が始められる。すなわち、この遅延装置9は、連結蓄力器83によって発動される連結解除位置EKから連結位置KSへの連結装置8の動きを、時間的に遅らせて実施させるタイミング部材を成す。この第3の実施態様では、遅延装置9は減衰されるスライダ951を有している。この減衰スライダ951は、ガイド突起952を介して、ケーシングカバー31に形成された減衰ガイド軌道953に、限定的に直線運動可能に支持されている。減衰されたスライダ951の頭部領域にはばねガイド心棒954が係合する。連結蓄力器83である圧縮ばね955は、このばねガイド心棒954を取り囲む。ばねガイド心棒954は、支持体3の保持クランプ956内で保持されている。減衰されるスライダ951には、ラック区分957が形成されている。歯車961は、このラック区分957に対応する。歯車961は、両軸受エレメント962および963と、終端カバー964および965と共に、遅延装置9の回転減衰装置966を形成している。この回転減衰装置966は、支持体3の円形の切欠967内で保持されている。回転減衰装置966は、ラック・歯車対を介して、制動するように減衰されるスライダ951に作用し、幾何学的条件に基づき、下降運動よりも、圧縮ばね955(連結蓄力器83)によって発動される上昇運動を大きく減衰する。
トリガエレメント60には、心棒保持部68bが形成されていて、ここにガイド心棒68が保持されている。ガイド心棒68の他端部は、支持体3の心棒保持部68aに保持されている。ガイド心棒68は、圧縮ばねとして形成されたばね67によって取り囲まれる。このばね67は、トリガエレメント60を、イジェクト蓄力器41とは反対の方向へ付勢する。トリガエレメント60にはさらに、ラック121も形成されている。このラック121は歯車122に対応しており、この歯車は、この図には示されていない同期ロッド123に配置されている。したがって、このラック121と歯車122とは、同期装置12の一部を形成する。
図38には、第3の実施態様の駆動装置1の運動行程を説明するために、出発位置が平面図で示されている。この図38では、ロックピン50は、ガイド軌道51の軸受領域L内に位置している。可動の家具部分2は開放位置OSに位置している。伝達エレメント70のストッパ面73は、コンタクトエレメント451の領域で制御レバー45に当接している。
図39では、可動の家具部分2はまだ、開放位置OSにあり、この場合、可動の家具部分2は、使用者によって閉鎖方向SRに動かされている。これにより、伝達エレメント70は、家具本体に固定された連行体11との接触により、ガイド軌道76に沿って支持体3に対して相対的に動かされる。ストッパ面73はまだ、制御レバー45に接触している。ロックピン50は、ガイド軌道51のテンション区分Sを通って動く。この運動の際に、イジェクト蓄力器41は緊張させられる。
図40では、可動の家具部分2は開放位置OSにある。伝達エレメント70に形成された制御レバー軌道452に基づき、制御レバー45は、コンタクトエレメント451を介して反時計回りに旋回される。ロックピン50は、ガイド軌道51の前ロック位置VVに位置している。減衰されるスライダ951のガイド面958は、伝達エレメント70のコンタクト面703に当接している。これら両面は、ガイド軌道76に沿った伝達エレメント70の運動方向に対して斜めに向けられているので、減衰スライダ951は、伝達エレメント70から離れるように押される。この場合、減衰スライダ951は、連結蓄力器83の力に抗して、ガイド突起952を介して減衰ガイド軌道953に沿って動く。ラック区分957は、回転減衰装置966の歯車961に噛み合うので、回転減衰装置966は時計回りで回転される。第2の連結エレメント82を形成する掛止歯64も、伝達エレメント70のコンタクト面703に接触する。これにより、ロッド部分69aは、第2のロッド部分69bの軸受突起682を中心として時計回りに旋回させられる。第2の連結エレメント82を形成する掛止歯64の後方部分は、減衰されるスライダ951の頭部領域に当接する。
図41では、可動の家具部分2はまだ開放位置OSにある。伝達スライダ70は、この図面には示されていない引き込み装置によりさらに閉鎖方向SRに動かされている。図41に示された位置で、第1のロッド部分69aの掛止歯64は、伝達スライダ70のコンタクト面703の***した個所をまさに通過している。減衰されるスライダ951も、この掛止歯64を介して間接的に、さらに下方に押される。この場合、ばねガイド心棒954を取り囲む圧縮ばね955はさらに圧縮される。回転減衰装置966もさらに時計回りに回転される。
図42では、可動の家具部分2はまた開放位置OSにある。コンタクトエレメント451は、伝達エレメント70に設けられた制御レバー軌道452の斜めに面取りされた領域に既に達している。しかしながらロックピン50は、まだ前ロック位置VVに位置している。第2の連結エレメント82を形成する掛止歯64は、コンタクト面703の***した点を乗り越えている。これにより、この掛止歯64はもはやコンタクト面703に接触しない。第1のロッド部分69aは、すなわち、それ以上伝達エレメント70から離れるように押されることはなく、ねじりコイルばね699によって、減衰されるスライダ951に押しつけられる。(比較的強い)ばね955は弛緩することができ、減衰されるスライダ951を減衰ガイド軌道953に沿って上方に向かって押す。この運動は、遅延装置9の回転減衰装置966によって減衰されて、ゆっくりと行われる。これにより、第2の連結エレメント82がさらに伝達エレメント70から離間される理由が説明できる。
可動の家具部分2が閉鎖方向にさらに移動することにより、図43では、ロックピン50が前ロック位置VVから外れて、掛止運動領域Eを通って掛止凹部52の方向に動く。圧縮ばね955(連結蓄力器83)は、さらに弛緩することができる。しかしながら、第2の連結エレメント82を形成する掛止歯64はなお、伝達エレメント70から、特に伝達エレメント70に形成された、第1の連結エレメント81を形成する掛止凹部74から、離間されている。
次に、ロックピン50が掛止凹部52内でロックされている図示されていない位置が続く。これによりロック装置5はロック位置VSに位置している。しかしながら、両連結エレメント81および82は、まだ僅かに互いに離間されているので、連結解除位置EKに位置している。
イジェクト装置4がロック位置VSにある場合には、連結装置8は、連結解除位置EKから連結位置KSへと移動可能である。これにより、図44の位置に達すると、第2の連結エレメント82の掛止歯64は、第1の連結エレメント81の掛止凹部74の対応する凹部に接触する。すなわち、減衰されたスライダ51が、圧縮ばね955(連結蓄力器83)によって、回転減衰装置966により制動されているものの、最終的に連結装置8の連結位置KSが得られるまで、さらに上方に動かされる。可動の家具部分2は閉鎖位置SSに位置している。
図45では、閉鎖位置SSにある可動の家具部分2を閉鎖方向で押すことにより、可動の家具部分2の押込み位置USに到達している。連結位置KSが得られている状態では、伝達装置7は連結装置8によってトリガ機構6に運動伝達式に連結されているので、押込み運動により、ロック装置5のロック解除がトリガ、即ち開始され、イジェクト装置4は、可動の家具部分2を開放方向ORに放出することができる。詳しくは、これは、第1の連結エレメント81を介して、この第1の連結エレメントに当接する第2の連結エレメント82が一緒に動かされることにより行われる。これにより、トリガロッド69も相応に動かされる。トリガレバー61を形成する第1のロッド部分69aが、伝達エレメント70によって連行され、この場合、第1のロッド部分69aの軸受凹部681と軸受突起682とを介して、第2のロッド部分69bは、回転軸受683を中心として反時計回りで旋回させられる。軸受凹部685と軸受突起686とを介して、同時に第3のロッド部分69cが摺動させられる。第3のロッド部分69cは、保持ピン696を介して、トリガエレメント60の保持穴601に係合しているので、トリガエレメント60は、ばね67の力に抗して凹部54内で摺動させられる。トリガエレメント60には、ロックエレメント53が形成されている。トリガエレメント60の摺動により、ロック装置5は、ロック解除され、イジェクト装置4と共に図45のロック解除位置ESに到る。これにより、既に上述したように、ロックピン50はもはや、掛止凹部52を共に形成するロックエレメント53によりロックされることはなくなる。これにより、イジェクト蓄力器41はその力を発揮することができ、駆動装置1は、図46に示された位置に到達する。このような運動の際に、ラック121も歯車122に噛み合い、これにより同期ロッド123を介して、向かい合って位置する駆動装置1との相応の同期が達成される。
その後、図46では再び、可動の家具部分2の開放位置OSが示されており、ロックピン50はガイド軌道51のイジェクト区分Aに位置している。したがって、このロックピン50は、もはやロックエレメント53に接触していないので、ばね67も再び弛緩することができ、トリガエレメント60を、凹部54の、向かい合って位置する側方のストッパまで動かす。トリガエレメント60のこのような移動により、トリガロッド69も再び逆方向に動かされる。特に、第2のロッド部分69bは時計回りで旋回する。イジェクト運動の際に、制御レバー45のコンタクトエレメント451を介して伝達エレメント70は支持体3に対して相対的にガイド軌道76に沿って動かされる。すなわち、両連結エレメント81および82の間でも相対運動が行われる。伝達エレメント70における掛止凹部74は斜めに面取りされた歯側面を有しているので、掛止歯64はラチェット形式で掛止凹部74から外へ滑り出て、これにより連結位置KSは再び解消される。図46では、掛止歯64は再び、伝達エレメント70のコンタクト面703に接触しており、これにより第1のロッド部分69aは再び下方に押される。減衰されるスライダ451もこれにより再び動かされる。しかしながらこの動きは、コンタクト面703の最も高い個所の側方を掛止歯64が通過するためにのみ利用される。それ以外では、このような動きは効果がない。
図47では、可動の家具部分2が、さらに開放方向ORへと移動されている。イジェクト蓄力器41は完全に弛緩されている。減衰されるスライダ451は、遅延装置9の回転減衰装置966に基づきまだ完全には上方に向かって動かされていない。
さらなる開放運動およびその後の閉鎖運動が続けられると、最終的に再び、ロックピン50がガイド軌道51の軸受領域Lに配置されている、図38の出発位置へと到達する。
図48〜図50には、再び、可動の家具部分2のそれぞれの閉鎖位置SSが示されているが、掛止歯64は、掛止凹部74のそれぞれ異なる掛止ノッチに掛止されている。しかしながら、なおそれぞれ連結位置KSが得られており、したがって、閉鎖方向SRへの押込みにより相応に、ロック位置VSからのロック解除がトリガ、即ち開始若しくは引き起こされる。図48〜図50によりさらに、ねじりコイルばね699がばね保持突起698と回転軸受683とを介して常に、第1のロッド部分69aを第2のロッド部分69bに対して相対的に時計回りに回転させようとしていることがわかる。これにより、掛止歯64の、先細りする端部とは反対の端部が常に減衰されるスライダ951に当接していることが保証される。
一般的に、全ての実施例および全ての機械的な関連においては、運動の伝達もしくは運動の連結のために他の手段が常に存在することを補足しておく。特に、様々な突起および凹部に関して、このことは当てはまる。すなわちこれらの部材は常に、まさに逆の関係で構成されてもよい。例えばロッド部分間の相応の運動の伝達が保証されていることだけがそれぞれ保証されていればよい。3つの実施例による具体的な構成は、すなわち主として、当業者に実際に再現可能な例を示すために役立つものである。しかしながら、本発明にとって実際に重要であるのは、基本的な機能だけである。したがって、イジェクト装置4においては、閉鎖位置SSから開放位置OSへの可動の家具部分2の放出がトリガ(開始)され得ることが重要である。ロック装置5においては、イジェクト装置4のロックが(そしてもちろん相応にロック解除も)可能でなければならない。トリガ機構6によっては、押込みにより、ロック位置VSからロック解除位置ESへのロック装置5の移動が可能でなければならない。伝達装置7は、可動の家具部分2の位置を上記トリガ機構6へ伝達するために働く。最後に、連結装置8は、伝達装置7をトリガ機構6に運動伝達式に連結するために働く。しかしながら連結装置は、イジェクト装置4がロック位置VSにある状態で初めて、連結装置8が連結解除位置EKから連結位置KSへと移動するように構成されているべきである。
したがって、本発明の第1の態様によれば、可動の家具部分2の前面に対するロックピン50の正確な相対位置に関係なく、押込みの際に、奥行き調節ホイールによる相対位置の調節を必要とせずに、トリガ(放出開始)を保証することができる。本発明により、約5mmの誤差範囲を与えることができる。特に、本発明によれば、連結装置8が連結位置KSに移動することにより、運動伝達連鎖におけるギャップが閉鎖される。しかしながらこれは、ロックピン50が家具100に対して相対的に正確にどこに位置しているのかに関係なく、可動の家具部分2が実際に閉鎖位置SSに達して初めて(好適には時間的に遅延されてもしくは制動されて)行われる。
本発明の第2の態様は、一方では第1の実施例(図5〜図22)および第3の実施例(図36〜図50)において、これらの実施例では各ロックエレメント53が直線運動可能に支持体3に支持されているので、既に含まれている。他方では、本発明の第2の態様は、以下の(第4の)実施例につき詳しく説明されている。第2の態様は、トリガ機構6、伝達装置7、および連結装置8の構成要素が本発明の第2の態様にとっては重要ではないので、これらの構成要素が省かれている点でとりわけ、第1の実施例および第3の実施例と異なっている。しかしながら勿論、混合形式はなお可能である。
図51〜図62については、符号を付与した全ての構成要素は、その機能形式に関して、第1および第3の実施例において同じ符号を有する構成要素と同じ特性を有することを述べておく。すなわち、以下の個々の構成要素の説明を簡単にしかしない場合、または図面に示すのみの場合は、各構成要素に関して、上記実施例において説明した機能形式が当てはまる。
図51には、駆動装置1の平面図が示されており、この場合、後方にある構成要素は点線で示されている。図51の駆動装置1の位置は、図44の位置に相当する。したがって、可動の家具部分2は閉鎖位置SSにある。ロックピン50とロックエレメント53とから成るロック装置5は、ロック位置VSにある。ロックエレメント53は、支持体3に形成されたガイド軌道51と共に、ロックピン50のための掛止凹部52を形成する。
閉鎖方向SRで可動の家具部分2を押し込むことにより、駆動装置1は、図52に示した押込み位置USに到達する。さらに、図52には、ロック装置5のロック解除位置ESが示されている。可動の家具部分2が閉鎖方向SRで(連行体11に対して相対的に右側に向かって)動かされることにより、制御レバー45は、この制御レバーに配置されたロックピン50と共に掛止凹部52から外れる。ロックピン50は、これにより、(幾分斜めにされた面532に相当する)ロックエレメント53の端面に当接する。この位置へのロックピン50の移動のために、場合によっては、ロック解除斜面511および/または制御レバー45の旋回運動を利用することができる。
図52を起点として、使用者がそれ以上可動の家具部分2を押さない、すなわちそれ以上押込み力を付与しないと、直ちに、イジェクト蓄力器41は弛緩することができる。これにより、イジェクト装置の制御レバー45は、そこに配置されたロックピン50と共に、支持体3に対して相対的に、ガイド軌道51のイジェクト区分Aの方向で、すなわち押込み運動の際にロックピン50が動く方向とは逆方向に動く。ロックピン50は、ロックエレメント53の端面に当接するので、ロックエレメント53の直線運動がトリガ、即ち引き起こされる。ロックエレメント53はベースエレメント58に配置されていて、好適にはこのベースエレメントと一体に形成されている(第1および第3の実施例では、トリガエレメント60がこのベースエレメント58を形成する)。このベースエレメント58は、支持体3内でまたは支持体3に沿って限定的に移動可能に支持されている。特に好適には、このベースエレメント58は、支持体3の凹部54または相応のガイドエレメントに直線運動可能にガイドされている。ロックエレメント53は(ベースエレメント58を介して間接的に)、好適にはばね67としての蓄力器によって力を加えられる。したがってロックエレメント53は、ロックピン50によって蓄力器67の力に抗してガイド軌道51のイジェクト区分Aの方向で移動可能である。図53により、相応に、ベースエレメント58が、凹部54の左側の縁部から既に離れたことがわかる。同時に、(好適にはガイド心棒68にガイドされた)蓄力器67が圧縮される。ベースエレメント58には、同期エレメントである同期ロッド123に運動伝達式に接続されている、同期装置12の同期エレメントも形成されている。好適には、この同期エレメントは、歯車122として形成された同期エレメントに噛み合うラック121として形成されている。
図54では、可動の家具部分2の開放位置OSが既に僅かに到達されている。ロックピン50によるロックエレメント53の(今なおイジェクト蓄力器41によってトリガ、つまり引き起こされている)さらなる運動により、ロックエレメント53とガイド軌道51の制限ストッパ56との間の隙間57は開かれるもしくは解放される。図54では、ロックピン50は、既に大部分、隙間57を通ってガイド軌道51のイジェクト区分Aの方向に移動している。この動きは、ロックエレメント53の直線運動方向に対して斜めに向けられているロックエレメント53の端面に形成された面532によってトリガされる、つまり引き起こされる。これと同時に、ロックピン50は、面532によって隙間57内へと逸らされる。しかしながら図54では、ロックピン50はまだロックエレメント53に当接している。ベースエレメント58は、凹部54の右側の縁部に当接している。蓄力器(ばね67)は、さらに圧縮されている。同期ロッド123は、ベースエレメント58の運動に応じてさらに回転している。
ロックピン50が隙間57を完全に通過するとすぐに、ロックピン50は、ロックエレメント53との当接を解消する(したがって、面532から離れる)。これにより、ベースエレメント58と所属の蓄力器67とはそれ以上、イジェクト蓄力器41によって間接的に負荷されない。蓄力器67は、弛緩することができ、ベースエレメント58を、ロックエレメント53と共に図55の位置へと動かす。具体的には、ロックエレメント53は蓄力器67によって、押込み運動の際にロックピン50が動く方向へと動かされる。ロックエレメント53は、ガイド軌道51と共に再び掛止凹部52を形成する。ロックピン50は、ガイド軌道51のイジェクト区分Aの既にほぼ半分を通って動いている。
図56〜図62には、第1の駆動装置1’、第2の駆動装置1’’、および両駆動装置1’と1’’とを同期させる同期装置12から成る装置の平面図がそれぞれ示されている。両駆動装置1’および1’’は互いに鏡像対称的に形成されている。
図56では、両駆動装置1’および1’’はそれぞれ図51の位置にある。すなわち、両ロックピン50は、それぞれ掛止凹部52内に位置していて、側方でロックエレメント53に当接している。
図57では、使用者が、第1の駆動装置1’の領域において片側で可動の家具部分2を押し付けている。これにより、第1の駆動装置1’のロックピン50のみがロック解除され、ロックエレメント53の端面に当接する。これは、図52の位置に相当する。これに対し、第2の駆動装置1’’のロックピン50は、片側での操作によってまだロック位置VSにある。
図58では、使用者は可動の家具部分2を離している。これにより、第1の駆動装置1’のイジェクト蓄力器41は弛緩することができる。ロックピン50は、ロックエレメント53をその端面を介して動かし、これによりベースエレメント58も蓄力器(ばね67)の力に抗して動かされる。第1の駆動装置1’の位置は、図53に示された位置に相当する。ベースエレメント58、およびベースエレメントに配置された同期エレメント(ラック121)の運動により、同期装置12による運動伝達が行われる。具体的には、第1の駆動装置1’の同期エレメント(ラック121)の直線運動が、同期ロッド123の同期エレメント(歯車122)の回転運動に変換される。同期ロッド123のこのような回転運動は、第2の駆動装置1’’の領域で、そこにあるロッド側の同期対応エレメントと、そこにある同期エレメントとを介して、第2の駆動装置1’’のベースエレメント58の直線運動に変換される。第2の駆動装置1’’のロックエレメント53の端面が、掛止凹部52の領域にあるガイド軌道51と直線上に整列すると、図58に示されたように、第2の駆動装置1’’のロックピン50も、第2の駆動装置1’’のロックエレメント53の端面の方向に動く。ロックピン50は、いわば、ガイド軌道51の斜めに向けられた表面に沿って、ロックエレメント53の端面に向かって滑動する。したがって、図57のように、押込み運動は、第1の駆動装置1’と同期装置12との間の運動伝達とは無関係に始まる。同期装置12は、第1の駆動装置1’によって、開放方向ORへの可動の家具部分2の移動の際に運動可能である。換言すると、同期装置12への第1の駆動装置1’からの運動伝達は、ロック解除後に初めて行われる。
そして、両駆動装置1’および1’’のイジェクト蓄力器41は(実際に同期的に)弛緩することができ、図59では、両ロックピン50は、各隙間57の領域に位置している。これは図54に相当する。
図60の位置は、図55に相当する。
図61には、これに対し、両側で同時にロック解除が行われた場合が、すなわち可動の家具部分の真ん中が押された場合が示されている。これにより、両ロックピン50が、ロックエレメント53の端面に当接する。
最後に、図62ではさらに、図60の位置を起点として閉鎖方向SRに可動の家具部分2を押したときの状態が示されている。両ロックピン50は、ガイド軌道51の過負荷通路512内にそれぞれ到る。
図51〜図62全てに関して、詳細には説明されていない構成要素、機能、および動きは、技術的に可能である限り、第1の3つの実施例と同様に行われる。これについての例は、連行体11、可動の家具部分2、屈曲された端部区分24、ガイド軌道51全体の構成、イジェクト装置4の機能と構成、支持体3の構成、連結機構20の機能と構成、等である。