JP2020531550A - ファブリー病患者における心臓機能の強化及び/または安定化方法 - Google Patents

ファブリー病患者における心臓機能の強化及び/または安定化方法 Download PDF

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Abstract

患者におけるファブリー病の治療方法が提供されている。或る特定の方法は、ERT有経験またはERT未経験のファブリー病患者の治療に関する。或る特定の方法は、心臓機能を増強及び/または安定化することを目的として、ミガラスタットの遊離塩基等価物約100mg〜約150mgを患者に投与することを含む。【選択図】図1A

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2017年8月28日に出願された米国仮出願第62/550,984号の優先権を主張するものであり、該文献は、その全体が参照により本明細書中に援用されている。
本発明の原理及び実施形態は概して、リソソーム蓄積障害の治療を目的とする薬理学的シャペロンの使用、特にファブリー病の治療を目的とするミガラスタットの使用に関する。
ファブリー病は、進行性の、スフィンゴ糖脂質代謝のX連鎖先天異常であり、α−Gal A遺伝子(GLA)に突然変異を生じ、結果として、リソソーム酵素α−ガラクトシダーゼA(α−Gal A)が欠乏したことによって引き起こされる。X連鎖障害であるにもかかわらず、女性が発現する可能性のある臨床症状の度合いは多岐に及んでいる。ファブリー病は稀有な疾患であり、発生率は一般人口で男性4万例中1例〜117,000例中1例であると推定されている。しかも、ファブリー病の後期発症表現型には亜種があり、それらの亜種は古典的な兆候及び症状を呈さないことから、診断が不十分となる可能性がある。こうした事情、及びファブリー病の新生児スクリーニングから示唆されるように、ファブリー病の実際の発生率は、現在推定されている発生率を突破している可能性がある。
ファブリー病患者は、未治療の場合、平均余命が短縮されてしまい、40〜50歳で死に至るのが、ごく一般的である。原因は、血管疾患が腎臓、心臓、及び/または中枢神経系に影響を及ぼすためである。全身をめぐる血管内皮及び内臓組織では、酵素欠乏が原因で、基質であるグロボトリアオシルセラミド(GL−3)が細胞内蓄積される。腎機能の段階的な悪化及び高窒素血症の発呈は、スフィンゴ糖脂質の沈着に起因するものであり、20歳代〜40歳代で発生するのが通例であるが、早ければ10歳代で発生する可能性もある。腎病変は、半接合(男性)患者及びヘテロ接合(女性)患者の両方において見出される。
ファブリー病の結果としての心臓病は、男性の大部分及び女性の多くに発生する。初期の心臓所見としては、左心室の拡大、弁膜障害、及び伝導異常が挙げられる。僧帽弁閉鎖不全症は、小児期または青年期に典型的に見られる弁膜病変のなかで最も頻繁である。脳血管症状は主として、多発性小血管病変に起因するものであり、血栓症、一過性脳虚血発作、脳底動脈虚血及び動脈瘤、発作、片麻痺、半麻酔、失語症、迷路障害、または脳出血を伴う場合がある。脳血管症状の平均発症年齢は、33.8歳とされている。加齢に伴って、性格の変化及び精神病挙動が顕在化する可能性もある。
ファブリー病の治療を目的とする承認済み療法の1つが、酵素補充療法(ERT)であり、このERTは、対応する野生型タンパク質を精製形態にて静脈内注入することを伴うのが通例である。現時点でファブリー病の治療に利用可能なα−Gal A製品としては、アガルシダーゼα(Replagal(登録商標)、Shire Human Genetic Therapies)及びアガルシダーゼβ(Fabrazyme(登録商標);Sanofi Genzyme Corporation)の2通りがある。ERTは多くのセッティングにおいて効果的であるが、その治療には制限事項もまた存在する。ERTは脳卒中のリスクを低減させることが実証されておらず、心筋の反応は緩慢であり、腎臓の一部の細胞型からのGL−3除去には限度がある。また、患者によっては、ERTに対する免疫反応も発呈する人もいる。
したがって、ファブリー病の治療を目的とする療法、特に心臓機能強化を目的とする療法に対するニーズが依然として存在する。
本発明の様々な態様は、ミガラスタットを使用したERT未経験患者及びERT有経験患者におけるファブリー病の治療に関する。そのような治療に、心臓機能の強化及び/または安定化、例えば、中壁の左室内径短縮率(MWFS)の増強及び/または安定化を含めてもよい。
本発明の一態様は、患者における心臓機能強化を目的に、患者に対し隔日に有効量のミガラスタットまたはその塩を含む製剤を投与することを含み、その有効量が遊離塩基当量(FBE)約100mg〜約150mgとされる、ファブリー病患者における心臓機能を強化する方法に関する。
1つ以上の実施形態において、心臓機能強化には、左心室収縮機能を強化することが含まれる。
1つ以上の実施形態において、患者は、ミガラスタットまたはその塩の投与開始に先立って、MWFS障害を有していた。
1つ以上の実施形態において、患者は、ミガラスタットまたはその塩の投与開始に先立って、左室肥大(LVH)を有していた。
1つ以上の実施形態では、ミガラスタットまたはその塩が、α−Gal A活性を強化する。
1つ以上の実施形態では、患者に対し隔日に約123mgFBEのミガラスタットまたはその塩が投与される
1つ以上の実施形態では、患者に対し隔日にミガラスタット遊離塩基約123mgが投与される。
1つ以上の実施形態では、患者に対し隔日に塩酸ミガラスタット約150mgが投与される。
1つ以上の実施形態において、製剤には経口剤形が包含される。1つ以上の実施形態において、経口剤形には、錠剤、カプセル剤または液剤が包含される。
1つ以上の実施形態では、ミガラスタットまたはその塩が少なくとも12か月間にわたって投与される。
1つ以上の実施形態では、ミガラスタットまたはその塩が少なくとも24か月間にわたって投与される。
1つ以上の実施形態において、患者はERTの未経験患者である。
1つ以上の実施形態では、ミガラスタットまたはその塩が24か月間にわたって投与された後、ミガラスタットまたはその塩の投与により、MWFS障害を有するERT未経験患者群においてMWFS平均増加が少なくとも約1%となる。
1つ以上の実施形態において、患者はERT有経験患者である。
本発明の別の態様は、ファブリー病を有する患者におけるMWFSを増加させる方法に関し、本方法は、患者のMWFSを増加させることを目的として、患者に対し隔日に有効量のミガラスタットまたはその塩を含む製剤を投与することを含み、その有効量は約100mg〜約150mgFBEとされる。
1つ以上の実施形態において、患者は、ミガラスタットまたはその塩の投与開始に先立って、MWFS障害を有していた。
1つ以上の実施形態において、患者は、ミガラスタットまたはその塩の投与開始に先立って、LVHを有していた。
1つ以上の実施形態では、ミガラスタットまたはその塩が、α−Gal A活性を強化する。
1つ以上の実施形態では、患者に対し隔日に約123mg FBEのミガラスタットまたはその塩が投与される。
1つ以上の実施形態では、患者に対し隔日にミガラスタット遊離塩基約123mgが投与される。
1つ以上の実施形態では、患者に対し隔日に塩酸ミガラスタット約150mgが投与される。
1つ以上の実施形態において、製剤には経口剤形が包含される。1つ以上の実施形態において、経口剤形には、錠剤、カプセル剤または液剤が包含される。
1つ以上の実施形態では、ミガラスタットまたはその塩が少なくとも12か月間にわたって投与される。
1つ以上の実施形態では、ミガラスタットまたはその塩が少なくとも24か月間にわたって投与される。
1つ以上の実施形態において、患者はERTの未経験患者である。
1つ以上の実施形態では、ミガラスタットまたはその塩が24か月間にわたって投与された後、ミガラスタットまたはその塩の投与により、MWFS障害を有するERT未経験患者群においてMWFS平均増加が少なくとも約1%となる。
1つ以上の実施形態において、患者はERT有経験患者である。
本発明の別の態様は、ファブリー病及びMWFS障害を有する患者におけるMWFSを正常化させる方法に関し、本方法は、患者のMWFSを正常化させることを目的として、患者に対し隔日に有効量のミガラスタットまたはその塩を含む製剤を投与することを含み、その有効量は約100mg〜約150mgFBEとされる。
1つ以上の実施形態では、ミガラスタットまたはその塩が、α−Gal A活性を強化する。
1つ以上の実施形態では、患者に対し隔日に約123mg FBEのミガラスタットまたはその塩が投与される。
1つ以上の実施形態では、患者に対し隔日にミガラスタット遊離塩基約123mgが投与される。
1つ以上の実施形態では、患者に対し隔日に塩酸ミガラスタット約150mgが投与される。
1つ以上の実施形態において、製剤には経口剤形が包含される。1つ以上の実施形態において、経口剤形には、錠剤、カプセル剤または液剤が包含される。
1つ以上の実施形態では、ミガラスタットまたはその塩が少なくとも12か月間にわたって投与される。
1つ以上の実施形態では、ミガラスタットまたはその塩が少なくとも24か月間にわたって投与される。
1つ以上の実施形態において、患者はERTの未経験患者である。
1つ以上の実施形態では、ミガラスタットまたはその塩が24か月間にわたって投与された後、ミガラスタットまたはその塩の投与により、MWFS障害を有するERT未経験患者群においてMWFS平均増加が少なくとも約1%となる。
本発明の別の態様は、ファブリー病を有する患者におけるMWFSを安定化させる方法に関する。本方法は、患者のMWFSを安定化させることを目的として、患者に対し隔日に有効量のミガラスタットまたはその塩を含む製剤を投与することを含み、その有効量は約100mg〜約150mgFBEとされる。
1つ以上の実施形態において、患者は、ミガラスタットまたはその塩の投与開始に先立って、MWFS障害を有していた。
1つ以上の実施形態において、患者は、ミガラスタットまたはその塩の投与開始に先立って、LVHを有していた。
1つ以上の実施形態では、ミガラスタットまたはその塩が、α−Gal A活性を強化する。
1つ以上の実施形態では、患者に対し隔日に約123mgFBEのミガラスタットまたはその塩が投与される。
1つ以上の実施形態では、患者に対し隔日にミガラスタット遊離塩基約123mgが投与される。
1つ以上の実施形態では、患者に対し隔日に塩酸ミガラスタット約150mgが投与される。
1つ以上の実施形態において、製剤には経口剤形が包含される。1つ以上の実施形態において、経口剤形には、錠剤、カプセル剤または液剤が包含される。
1つ以上の実施形態では、ミガラスタットまたはその塩が少なくとも12か月間にわたって投与される。
1つ以上の実施形態では、ミガラスタットまたはその塩が少なくとも30か月間にわたって投与される。
1つ以上の実施形態において、患者はERT有経験患者である。
1つ以上の実施形態では、ミガラスタットまたはその塩が30か月間にわたって投与された後、ミガラスタットまたはその塩の投与により、MWFS障害を有するERT未経験患者群においてMWFS平均変化は約−0.5%超となる。
本発明の更なる特徴は、下記説明及び添付の図面から明らかになるであろう。
図1A〜図1Eは、ヒト野生型GLA遺伝子(配列ID番号:1)の完全なDNA配列を示す。 図1A〜図1Eは、ヒト野生型GLA遺伝子(配列ID番号:1)の完全なDNA配列を示す。 図1A〜図1Eは、ヒト野生型GLA遺伝子(配列ID番号:1)の完全なDNA配列を示す。 図1A〜図1Eは、ヒト野生型GLA遺伝子(配列ID番号:1)の完全なDNA配列を示す。 図1A〜図1Eは、ヒト野生型GLA遺伝子(配列ID番号:1)の完全なDNA配列を示す。 野生型α−Gal Aタンパク質(配列ID番号:2)を示す。 野生型α−Gal Aタンパク質(配列ID番号:3)をコードする核酸配列を示す。
本発明のいくつかの例示的な実施形態を説明する前に、本発明は、下記説明に記載されている構成または工程ステップの詳細だけに限定されないことを理解すべきである。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施または遂行することができる。
本発明の様々な態様は、ファブリー病治療用のミガラスタットなどの薬理学的シャペロンを投与することを目的とする、投薬レジメンに関する。1つ以上の実施形態では、ミガラスタットの投薬レジメンは、患者の心臓パラメータを1つ以上強化するものである。
定義
本明細書中に用いられている用語は概して、本発明の文脈内で、及び各用語が使用される特定の文脈内で、当該技術分野における通常の意味を有する。或る特定の用語について、本明細書中で下記または他の箇所にて説明することにより、本発明の組成物及び方法、ならびにそれらの作成方法及び使用方法を説明するに際して、実施者に追加的な手引きを提供する。
「ファブリー病」という用語は、リソソームのα−Gal A活性不足に起因するスフィンゴ糖脂質異化のX連鎖先天異常を指す。この欠陥が原因で、基質グロボトリアオシルセラミド(「GL−3」、Gb3またはセラミドトリヘキソシドとしても知られる)及び関連するスフィンゴ糖脂質が、心臓、腎臓、皮膚、及びその他の組織の血管内皮リソソームに蓄積する。本酵素の基質としては、それ以外にも、血漿グロボトリアオシルスフィンゴシン(「血漿リゾGb」)がある。
「非定型ファブリー病」という用語は、α−Gal A欠損症の原発性(primarily)心臓症状(すなわち、心筋細胞内での進行性GL−3蓄積)で、心臓、特に左心室の有意な肥大に至るものを呈する患者を指す。
「保因者」とは、α−Gal A遺伝子に欠陥のあるX染色体1つと正常遺伝子を含むX染色体1つとを有し、正常対立遺伝子のX染色体不活性化が1つ以上の細胞型に存在する女性である。保因者は、ファブリー病に罹患していると診断されることもしばしばである。
「患者」とは、特定の疾患に罹患していると診断されているか、またはその疑いのある被験対象を指す。患者はヒトであってもまたは動物であってもよい。
「ファブリー病患者」とは、ファブリー病に罹患していると診断されているか、またはその疑いのある個人で、以下更に定義する変異α−Gal Aを有する個人を指す。
ファブリー病の特徴的マーカーは、男性の半接合体及び女性の保因者において同じ罹患率で発生すると見込まれる。ただし、典型的には、女性の方が重篤度が低い。
ヒトα−ガラクトシダーゼA(α−Gal A)とは、ヒトGLA遺伝子によってコードされる酵素を指す。イントロン及びエクソンを含めたα−Gal Aの完全なDNA配列は、GenBank委託番号X14448.1にて入手可能であり、図1A〜図1E(配列ID番号:1)に図示されている。ヒトα−Gal A酵素は、429アミノ酸からなり、GenBank委託番号X14448.1及びU78027.1にて入手可能であり、図2(配列ID番号:2)に図示されている。配列ID番号:1のコード領域(すなわち、エクソン)のみを含む核酸配列は、図3(配列ID番号:3)に図示されている。
「突然変異タンパク質」という用語は、タンパク質をコードする遺伝子に突然変異を有し、結果として、タンパク質が小胞体(ER)に通常存在する条件下で安定なコンフォメーションを達成できないタンパク質を包含する。安定なコンフォメーションを達成できない場合、実質的な量の酵素が分解されてしまい、リソソームに輸送されない。そのような突然変異は、時には「立体構造突然変異体」と呼称されることもある。そのような変異としては、限定されないが、ミスセンス変異、インフレームの小欠失及び挿入が挙げられる。
一実施形態において、本明細書中に用いられる「突然変異体α−Gal A」という用語には、α−Gal Aが包含される。このα−Gal Aは、α−Gal Aをコードする遺伝子に突然変異を有し、結果として、酵素はERに通常存在する条件下で安定したコンフォメーションを達成できない。安定なコンフォメーションを達成できない場合、実質的な量の酵素が分解されてしまい、リソソームに輸送されない。
本明細書において、「薬理学的シャペロン」(「PC」)という用語は、小分子、タンパク質、ペプチド、核酸、炭水化物等のような任意の分子で、或るタンパク質に特異的に結合し、且つ以下:(i)タンパク質の安定した分子配座の形成を促進する効果、(ii)ERから別の細胞位置、好ましくは天然の細胞位置へのタンパク質のトラフィッキングを誘導する、すなわち、タンパク質のER関連の分解を防ぐ効果、(iii)折畳み異常タンパク質の凝集を防止する効果、ならびに/あるいは(iv)タンパク質に対する少なくとも部分的な野生型の機能及び/もしくは活性を回復または強化する効果、のうちの1つ以上の効果を含む分子を指す。α−Gal Aなどに特異的に結合する化合物とは、酵素に結合して、その酵素に対しシャペロン効果を及ぼすが、関連または非関連酵素の属性群ではないことを意味する。より具体的には、この用語は、BiPなどの内因性シャペロンを意味するものでもないし、あるいはグリセロール、DMSO(重水素化水)すなわち化学シャペロンなどの様々なタンパク質に対する非特異的シャペロン活性が実証されてきた非特異的な薬剤を意味するものでもない。本発明の1つ以上の実施形態では、PCを可逆的な競合阻害剤とする場合もある。一実施形態において、PCはミガラスタットまたはその塩とされる。別の実施形態において、PCはミガラスタット遊離塩基(例えば、ミガラスタット遊離塩基123mg)とされる。更に別の実施形態において、PCはミガラスタットの塩(例えば、ミガラスタットHCl150mg)とされる。
酵素の「競合的阻害剤」とは、酵素基質の化学構造及び分子構造に構造的に類似している化合物で、該基質とほぼ同じ位置にて酵素に結合する化合物を指す。ゆえに、阻害剤は基質分子と同じ活性部位を探して競合し、それにより、Kmを増強させる。阻害剤を置換するうえで十分な基質分子が利用可能な場合、通常なら競合的阻害剤は可逆的となる。すなわち、競合的阻害剤は可逆的結合を可能とする。したがって、酵素阻害の量は、阻害剤濃度、基質濃度、及び活性部位に対する基質と阻害剤との相対的な親和性に影響される。
本明細書において、「特異的に結合する」という用語は、薬理学的シャペロンとα−Gal Aのようなタンパク質との相互作用、具体的には、薬理学的シャペロンとの接触に直接的に関与するタンパク質のアミノ酸残基との相互作用を指す。薬理学的シャペロンは、標的タンパク質、例えばα−Gal Aに特異的に結合して、タンパク質に対しシャペロン効果を及ぼすものであり、関連または非関連タンパク質の属性群には該当しない。任意の薬理学的シャペロンと相互作用するタンパク質のアミノ酸残基は、タンパク質の「活性部位」の内部にある場合もあれば、あるいはそうでない場合もある。特異的結合は、常法的な結合アッセイにより評価してもよいし、あるいは構造研究(例えば、共結晶化、NMR、及びそれらに類するもの)により評価してもよい。α−Gal Aの活性部位は、基質結合部位である。
「欠損α−Gal A活性」とは、ファブリー病もしくは他のいかなる疾患(特に血液疾患)にも罹患していないまたはその疑いのない正常な個体における活性と比較して、(同じ方法を用いた場合に)正常範囲を下回る患者由来の細胞内でのα−Gal A活性を指す。
本明細書において、「α−Gal A活性を強化する」または「α−Gal A活性を増強させる」という用語は、α−Gal Aに特異的な薬理学的シャペロンと接触した細胞内で安定なコンフォメーションを採用するα−Gal Aの量を、α−Gal Aに特異的な薬理学的シャペロンと接触していない細胞(好ましくは、例えば、より早期における同じ細胞型または同じ細胞)の量と比べて相対的に、増加させることを指す。この用語はまた、α−Gal Aに特異的な薬理学的シャペロンと接触した細胞内のリソソームへのα−Gal Aのトラフィッキングを、タンパク質に特異的な薬理学的シャペロンと接触していないα−Gal Aのトラフィッキングと比べて相対的に、増加させることも指す。これらの用語は、野生型及び突然変異体α−Gal Aの両方を指す。一実施形態において、細胞内のα−Gal A量の増加は、PCで処理された細胞由来の溶解物中の人工基質の加水分解を計測することによって測定される。加水分解の増加は、α−Gal A活性が増強されたことを示唆する。
「α−Gal A活性」という用語は、細胞内の野生型α−Gal Aの、正常な生理学的機能を指す。例えば、α−Gal A活性にはGL−3の加水分解が含まれる。
「奏効群」とは、例えばファブリー病などのリソソーム蓄積症(LSD)に罹患していると診断されているか、またはその疑いのある個人で、PCとの接触に応じて、α−Gal A活性がそれぞれ十分に増強されたこと、及び/または症状が寛解したもしくはサロゲートマーカーが増強したことが認められる細胞を有する個人を言う。ファブリーに対するサロゲートマーカーの強化の非限定的な例は、リゾGB3及び米国特許出願公開第2010/0113517号に開示されており、該文献は、その全体が参照により本明細書中に援用されている。
米国特許出願公開第2010/0113517号に開示されているファブリー病のサロゲートマーカーの改善の非限定的な例として挙げられるのが、細胞(例えば、線維芽細胞)及び組織のα−Gal Aレベルまたは活性の増加;GL−3蓄積の減少;ホモシステイン及び血管細胞接着分子−1(VCAM−1)の血漿濃度の減少;心筋細胞及び弁膜線維細胞内のGL−3蓄積の減少;血漿リゾGbの減少;心臓(特に左心室)の肥大の減少、弁膜機能不全及び不整脈の寛解;タンパク尿の改善;CTH、ラクトシルセラミド、セラミドなどの脂質の尿中濃度の減少、及びグルコシルセラミドとスフィンゴミエリンの尿中濃度の増加;糸球体上皮細胞内での積層封入体(ゼブラ体)の不在;腎機能の改善;多汗症の緩和;血管角化腫の不在;ならびに高頻度感音難聴、進行性難聴、突発性難聴もしくは耳鳴りなどの聴覚異常の改善である。神経学的症状の改善としては、一過性脳虚血発作(TIA)または脳卒中の予防のほか、末端知覚異常(四肢の灼熱感もしくは刺痛)として顕現化される神経障害性疼痛の寛解が挙げられる。有害な心血管症状の有病率は、ファブリー病に関して評価可能な、もう1つの種類の臨床マーカーである。
「中壁の左室内径短縮率」または「MWFS」は、標的臓器の損傷、収縮性予備力の低下、及び死亡率の増大といった兆候を有する高血圧患者を同定する収縮機能の尺度である。
「心臓機能」という用語は、患者の心臓の性能を指す。例えば、左心室収縮機能(左心の排出特性を指す)は、心臓機能の評価の1つである。左心室収縮機能の評価方法としては、限定されないが左心室駆出率(LVEF)、心内膜の左室内径短縮率(EFS)及びMWFSなど、いくつか挙げることができる。
本明細書において、「心臓機能の安定化」という語句及び類似の用語は、心臓機能の低下を軽減もしくは抑止すること、及び/または心臓機能を回復することを指す。未治療のファブリー病患者は、経時的に心臓機能が有意に低下することが予期されることから、心臓機能の悪化率の向上及び/または心臓機能の強化は、本明細書に記載のミガラスタット療法に恩恵をもたらすことが実証されている。様々な実施形態において、心臓機能の安定化には、MWFSの安定化が包含される。同様に「MWFSの安定化」は、MWFSの減少を軽減または阻止することを指す。
「心臓機能の強化」という用語は、心臓機能評価の目的に使用される少なくとも1つのパラメータが、有益に変化することを指す。患者のパラメータが正常範囲の下限にあるか、または該パラメータの正常範囲未満である場合、該パラメータの有益な変化とは、該パラメータを増加させることを言う。例えば、MWFSが低い患者においてMWFSの増加とは、該パラメータを強化することを言う。同様に、患者のパラメータが正常範囲の上限にあるか、または該パラメータの正常範囲を超えている場合、該パラメータの有益な変化とは、該パラメータを減少させることを言う。一態様において、「心臓機能の増強」には、(i)左心室機能の改善、(ii)分数短縮の改善、(iii)駆出率の改善、(iv)拡張末期容積の減少、及び(v)心臓形状の正常化のうちの、1つ以上が包含される。
本明細書において、「MWFS障害」という用語は、MWFSが正常範囲未満である患者を指す。女性の場合、MWFSの正常範囲は少なくとも15%とされ、男性の場合、MWFSの正常範囲は少なくとも14%とされている。それゆえ、女性患者の場合、MWFS障害は15%未満とされ、男性患者の場合、MWFS障害は14%未満とされている。
本明細書において、「MWFSの正常化」という用語は、患者のMWFSをMWFS障害から正常範囲内に増加させることを指す。ゆえに、女性患者の場合、MWFSの正常化とはMWFSを15%未満から少なくとも15%に増加させることを言い、男性患者の場合、MWFSの正常化とはMWFSを14%未満から少なくとも14%に増加させることを言う。
本明細書において、「左心室肥大」または「LVH」という用語は、左心室質量指数(LVMi)が、正常範囲(女性では43〜95g/m、男性では49〜115g/m)を超える患者を指す。ゆえに、LVHは、女性ではLVMiが95g/m超または男性では115g/m超であることを指す。
前述の応答のうちの1つ以上を達成する用量を、「治療有効量」と言う。
「医薬的に許容される」という語句は、生理学的に許容される分子実体及び組成物で、ヒトに投与された場合に通常は好ましくない反応を生じないものを指す。いくつかの実施形態において、本明細書において、「医薬的に許容される」という用語は、連邦政府または州政府の規制当局による認可を受けていること、あるいは米国薬局方または他の遍く認可されている薬局方に、動物とりわけヒトにおける使用が記載されていることを意味する。医薬担体を指す「担体」という用語は、該化合物と併用投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルを指す。そのような医薬担体は、水及び油のような無菌液体であり得る。水または水溶液の生理食塩水、ならびにデキストロース及びグリセロールの水溶液は、特に注射液の場合、担体として使用するのが、好ましい。好適な医薬担体は、E.W.Martin著「Remington’s Pharmaceutical Sciences」第18版または他の版に記載されている。
本明細書において、「単離された」という用語は、言及された材料が通常見出される環境から取り除かれていることを意味する。ゆえに、単離された生物学的材料は、細胞成分(すなわち、該材料が発見または産生された細胞の成分)を含まない場合がある。核酸分子の場合、単離された核酸には、PCR産物、ゲル上のmRNAバンド、cDNA、または制限断片が含まれる。別の実施形態において、単離された核酸は、好ましくは、その核酸が見出され得る染色体から切除されている。より好ましくは、染色体内に見出される場合、単離された核酸分子に含まれる遺伝子の上流もしくは下流に位置する非調節、非コード領域、または他の遺伝子にもはや結合されていない。更に別の実施形態において、単離された核酸は、1つ以上のイントロンを欠いている。単離された核酸には、プラスミド、コスミド、人工染色体、及びそれらに類するものに挿入された配列が包含される。ゆえに、特定の実施形態において、組換え核酸は単離された核酸である。単離されたタンパク質は、細胞内で結合する他のタンパク質もしくは核酸またはその両方と結合することも可能であるし、あるいは膜結合タンパク質の場合は細胞膜と結合することも可能である。単離された細胞小器官、細胞、または組織は、生体内に見出される解剖学的部位から除去される。単離された材料を精製することも可能であるが、必須ではない。
「酵素補充療法」または「ERT」という用語は、非天然の精製酵素を、そのような酵素が欠乏している個体に導入することを指す。投与タンパク質は、(以下、詳細に記載されているように)天然源から採取することも、または組換え発現によって得ることも可能である。この用語はまた、例えば酵素欠損症に患う個体に対し精製酵素を導入すること、さもなければ、精製酵素の投与を必要とすること、またはその投与の恩恵を受けることも指す。導入された酵素は、in vitroで産生された精製済み組換え酵素とされる場合もあれば、あるいは、例えば胎盤もしくは獣乳のような単離組織または体液由来の、または植物由来の、精製タンパク質とされる場合もある。
「ERT未経験患者」という用語は、ERTを全く受けたことがない、またはミガラスタット療法を開始する前の少なくとも6か月間にわたってERTを受けていないファブリー患者を指す。
「ERT有経験患者」という用語は、ミガラスタット療法を開始する直前にERTを受けていたファブリー病患者を指す。いくつかの実施形態において、ERT有経験患者は、ミガラスタット療法を開始する直前の少なくとも12か月間にわたってERTを受けてきた。
本明細書において、「遊離塩基等価物」または「FBE」という用語は、ミガラスタットまたはその塩に存在するミガラスタットの量を指す。換言すると、「FBE」という用語は、ミガラスタット遊離塩基の量、またはミガラスタットの塩によって供給されるミガラスタット遊離塩基の当量のいずれかを意味する。例えば、塩酸塩の重量によれば、塩酸ミガラスタット150mで供給されるミガラスタットは、遊離塩基形態のミガラスタット123mgとちょうど同程度とされる。他の塩の場合、変換係数が、塩の分子量に応じて異なるものと予期される。
「ミガラスタット」という用語は、別途反対の指示がない限り、ミガラスタット遊離塩基またはその医薬的に許容される塩(例えば、ミガラスタットHCl)を包含する。
「突然変異」及び「変異型」という用語(例えば、「順応性突然変異または変異型」といった形のもの)は、遺伝子または染色体のヌクレオチド配列における変化を指す。この2つの用語は、本明細書中に言及され、典型的には、例えば「突然変異または変異型」といった形で一体的に使用されており、前文中に陳述されたヌクレオチド配列における変化を指す。何らかの理由でこれら2つの用語のうちの1つだけが引用された場合、欠落した該用語を含めることが意図されていたため、そう理解する必要がある。更に、「順応性突然変異」及び「順応性突然変異」という用語は、PC療法、例えばミガラスタット療法に順応性である突然変異などの、突然変異または変異型を指す。特定の種類の順応性突然変異または変異型は、「HEKアッセイ順応性突然変異または変異型」であり、これは本明細書及びその全体が参照により本明細書中に援用されている米国特許第8,592,362号中に記載のin vitro HEKアッセイの基準に従ってミガラスタット療法に順応性であると判断される突然変異または変異型である。
「約」及び「およそ」という用語は概して、測定の性質または精度を考慮して、測定された量に対し許容される程度の誤差を意味するものとする。例示的な誤差の程度は、典型的に、所与の値または値の範囲の20パーセント(%)以内であり、好ましくは10%以内であり、より好ましくは5%以内である。代替的に、特に生物系において「約」及び「およそ」という用語は、所与の値の1桁以内、好ましくは10倍以内または5倍以内、より好ましくは2倍以内の値を意味する場合がある。本明細書中に与えられている数値は、別途陳述されていない限り近似値であり、明示的に陳述されていない場合は、「約」または「およそ」という用語を推測しても差し支えないことを意味する。
ファブリー病
ファブリー病は、稀有な、進行性且つ破壊的X連鎖LSDである。GLA遺伝子における突然変異により、結果として、スフィンゴ糖脂質の代謝に必要なリソソーム酵素α−Gal Aが欠乏する。若齢期からα−Gal A活性が低下し、結果として、GL−3及び血漿リゾGb3を含むスフィンゴ糖脂質が蓄積され、それにより、疼痛、胃腸症状、腎不全、心筋症、脳血管イベント、及び早期死亡といったような、ファブリー病の症状及び生命を制限する後遺症に至る。療法及び生涯治療を早期に開始することによって、疾患の進行を遅延させ、平均余命を延長させる機会が得られる。
ファブリー病には一連の疾患重篤度及び発症年齢が包含されるが、伝統的には「古典的」及び「後期発症」という2つの主要な表現型に大別されてきた。古典的な表現型は主として、α−Gal A活性が検出不可能乃至低く、且つ腎、心臓、及び/または脳血管症状が早期発症する男性に起因してきた。遅発性の表現型は主として残留α−Gal A活性が高く、且つこれらの疾患症状が晩期発症型である男性に起因するものとされてきた。ヘテロ接合の女性保因者は通常、遅発性の表現型を発現するが、X染色体不活性化のパターンによっては、更に古典的な表現型を呈する場合もある。
ファブリー病の原因となるGLA突然変異の同定件数は、1,000件を突破している。およそ60%はミスセンス変異であり、これは、α−Gal A酵素の単一アミノ酸置換に帰結する。ミスセンスGLA突然変異は多くの場合、折畳み異常による不安定形態のα−Gal Aの産生に帰結し、その大部分は古典的な表現型に関連している。ERにおける通常の細胞品質管理機序は、これらの異常タンパク質がリソソームに移動してしまうのをブロックし、異常タンパク質を早期分解及び除去の標的とするものである。ミスセンス突然変異体型の多くは、α−Gal A特異的な薬理学的シャペロンであるミガラスタットの標的とされる。
ファブリー病の臨床症状は、重篤度が広範囲に及んでおり、患者の残留α−Gal Aレベルとほぼ相関する。現在治療を受けている患者の過半数は、古典的なファブリー病患者と呼称されており、その大部分は男性で占められる。これらの患者は、腎臓、心臓、及び脳をはじめとする様々な臓器の疾患を経験しており、疾患症状が最初に見られるは思春期とされ、典型的には、30歳代または40歳代で重篤度が進行していき、遂には死亡に至る。最近の多くの研究によって示唆されるように、心機能または腎機能の障害及び脳卒中のような一連のファブリー病の症状が通常は成人期に最初に現れるにもかかわらず、その診断が未確定の男性及び女性は多数に及んでいる。遅発性ファブリー病と呼称されるこの種のファブリー病に罹患した個人は、残留α−Gal Aレベルが、古典的なファブリー病患者よりも高くなる傾向がある。遅発性ファブリー病に罹患した個人が最初に疾患症状を経験するのは成人期であるのがごく一般的であり、多くの場合、左心室の肥大または進行性腎不全など、単一の臓器に焦点を当てた疾患症状を有する。加えて、遅発性ファブリー病もまた、原因不明の脳卒中の形態にて現れる可能性がある。
ファブリー病の患者は、進行性の腎機能障害に罹患し、未治療の患者は40歳代までに末期腎機能障害を呈する。α−Gal A活性が欠乏すると、結果として、腎臓内の細胞をはじめとする多くの細胞タイプにおけるGL−3及び関連するスフィンゴ糖脂質が蓄積する。GL−3の蓄積する箇所は、遠位尿細管ならびにヘンレ係締における、足細胞、上皮細胞、及び尿細管細胞である。腎機能の障害は、タンパク尿及び糸球体濾過率の低下として顕在化する。
ファブリー病は稀有であり、複数の臓器が関与し、発症年齢が広範囲に及んでおり、しかもヘテロジニアスであるため、適切な診断は困難となっている。医療従事者の間では認識が低く、誤診もしばしばである。ファブリー病の診断は、いったん患者が症候性になった場合、血漿または末梢白血球(WBC)のα−Gal A活性の低下に基づいて確証され、突然変異分析が併用されることも極めて頻繁にある。女性の場合、保因者女性の酵素的同定は、保因者のいくつかの細胞内での無作為X染色体不活性化が原因で信頼性が低いことから、診断は更に困難となっている。例えば、一部の義務的な保因者(古典的な影響を受けた男性の娘)は、α−Gal A酵素活性が、通常の活性から極度に低い活性までの範囲に及んでいる。保因者は、白血球中で正常なα−Gal A酵素活性を有し得るため、保因者の同定及び/または診断を正確に行える手段は、遺伝子検査によるα−Gal A突然変異の同定だけに限られる。
1つ以上の実施形態では、α−Gal Aの突然変異体型を、優良試験所基準(GLP)検証済みin vitroアッセイ(GLP HEKまたはミガラスタット順応性アッセイ)に従ってHEK−293細胞(「HEKアッセイ」と呼称される)で発現させる場合、α−Gal Aの突然変異体型は、ミガラスタット順応性であると考えられ、相対増加(+10μMミガラスタット)が1.20倍を超え、且つ絶対増加(+10μMミガラスタット)が3.0%を超える、野生型(WT)であるとされる。そのような突然変異は、本明細書中で「HEKアッセイ順応性」突然変異とも呼称されている。
治療開始に先立って酵素の強化を評価する、従来のスクリーニング方法が提供されている。例えば、HEK−293細胞を使用したアッセイは、所与の突然変異が薬理学的シャペロン(ミガラスタットなど)治療に応答するかどうかを予測することを目的とする臨床試験において利用されている。このアッセイでは、cDNAコンストラクトが作成される。対応するα−Gal A突然変異体型は、HEK−293細胞内で過渡的に発現する。次いで、細胞をミガラスタット(17nM〜1mM)と共に4〜5日間にわたってインキュベートする。その後、合成蛍光基質(4−MU−α−Gal)を使用するか、ウェスタンブロットにより、細胞溶解物のα−Gal Aレベルを測定する。これは、既知の疾患の原因となるミスセンスまたはスモールインフレーム挿入/欠失突然変異に対して実施されてきた。これらの方法を使用して以前にPC(例えば、ミガラスタット)に応答するものとして同定されてきた突然変異は、米国特許第8,592,362号に記載されている。
薬理学的シャペロン
LSDに関連する酵素の小分子阻害剤を結合することによって、変異酵素及び対応する野生型酵素の両方における安定性を増強させることが可能である(米国特許第6,274,597号、同第6,583,158号、同第6,589,964号、同第6,599,919号、同第6,916,829号及び同第7,141,582号を参照のこと。これらの文献はいずれも、本明細書において参照により援用されている)。とりわけ、いくつかの標的リソソーム酵素に対する特異的且つ選択的な競合的阻害剤であるグルコース及びガラクトースの小分子誘導体を投与することによって、in vitroでの細胞の酵素の安定性が効果的に増強し、それにより、リソソームへの酵素のトラフィッキングが増加した。ゆえに、リソソーム中の酵素の量を増加させることによって、酵素基質の加水分解が増強されることが予期される。このストラテジーの背後にある原理論は、突然変異酵素タンパク質はERにおいて不安定であることから(Ishii et al.,Biochem.Biophys.Res.Comm.1996;220:812−815)、酵素タンパク質は通常の輸送経路(ER→ゴルジ体→エンドソーム→リソソーム)中で遅延して、時期早尚に分解されるというものであった。そのため、変異酵素に結合してその安定性を増強させる化合物は、該酵素の「シャペロン」としての役目を果たし、該酵素がERから排出されてリソソームに移動できる量の増大を可能としている。加えて、一部の野生型タンパク質の折り畳み及びトラフィッキングが不完全であり、一部の野生型タンパク質の最大70%が最終的な細胞の位置に到達しないうちに分解されてしまう。この理由から、シャペロンを使用して、野生型酵素を安定化させることにより、ERを出てリソソームにトラフィッキングできる該酵素の量を増大させる場合がある。
1つ以上の実施形態において、薬理学的シャペロンは、ミガラスタットまたはその塩を含む。化合物ミガラスタット、別名1−デオキシガラクトノジリマイシン(1−DGJ)または(2R,3S,4R,5S)−2−(ヒドロキシメチル)ピペリジン−3,4,5−トリオールは、下記の化学式を有する化合物である。
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ミガラスタット遊離塩基
本明細書中で考察されているように、医薬的に許容されるミガラスタットの塩もまた、本発明において使用できる。ミガラスタットの塩を使用する場合は、患者に投与されるミガラスタットの用量が、ミガラスタット遊離塩基を使用した場合の投薬量と等量になるように、塩の用量を調整する。医薬的に許容されるミガラスタットの塩の一例が、ミガラスタットHClである。
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ミガラスタットHCl
ミガラスタットは、低分子量のイミノ糖であり、且つGL−3の末端ガラクトースの類似体でもある。in vitro及びin vivoの薬理学的試験により実証されてきたように、ミガラスタットは薬理学的シャペロンとしての役目を果たし、野生型α−Gal A及び特異的な突然変異体型のα−Gal Aの活性部位で、HEKアッセイ順応性突然変異と呼称される遺伝子型を有するα−GalAに対し、選択的且つ可逆的に高親和性にて結合する。ミガラスタット結合は、小胞体内でこれらα−Gal Aの突然変異体型を安定化させ、リソソームへの適切なトラフィッキングを促進し、ここで、ミガラスタットの解離は、α−Gal Aが、GL−3及びその他の基質のレベルを低下させることを可能にしている。ファブリー病患者の約30〜50%は、HEKアッセイ順応性突然変異を有し、その過半数は、該疾患の古典的な表現型に関連している。
HEKアッセイ順応性突然変異には、薬理学的参照表に掲載されているこれらの突然変異(例えば、GALAFOLD(登録商標)などのミガラスタット製品の、米国または国際製品ラベルに記載されているもの)が、少なくとも含まれる。本明細書において、「薬理学的参照表」とは、ミガラスタット製品のパッケージ中の製品ラベル(例えば、GALAFOLD(登録商標))内、またはヘルスケア提供業者がアクセス可能なWebサイト内のいずれかに収録されている、公的アクセス可能な文書または電子記録を指す。この薬理学的参照表は、特定の突然変異または変異型がミガラスタット(例えば、GALAFOLD(登録商標))PC療法に応答するかどうかを伝達するものであり、表形式にて提示された書面による記録に必ずしも限定されない。ゆえに、本発明の一実施形態において、「薬理学的参照表」とは、1つ以上の順応性突然変異または突然変異体が記載されている情報の任意のデポジトリを指す。HEKアッセイ順応性突然変異の例示的な薬理学的参照表が見つかる場所は、GALAFOLD(登録商標)の使用が承認されている様々な国における製品特徴の概要、及び/またはGALAFOLD(登録商標)の処方情報中である場合もあれば、あるいはwww.galafoldamenabilitytable.comまたはwww.fabrygenevariantsearch.comなどのウェブサイトである場合もある。該参照表はそれぞれ、その全体が参照により本明細書中に援用されている。
下掲の表1に、HEKアッセイ順応性突然変異の例示的な薬理学的参照表を示す。1つ以上の実施形態において、同じ染色体(男性と女性)に二重突然変異が存在するという条件では、表1の1つのエントリ(例えば、D55V/Q57L)に二重突然変異が存在する場合に、その患者はHEKアッセイ順応性であると見なされる。いくつかの実施形態において、二重染色体突然変異が異なる染色体に存在する(女性においてのみ)という条件では、表1に個々の突然変異のいずれかが存在する場合に、その患者はHEKアッセイ順応性であると見なされる。
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投薬、処方及び投与
1つ以上の実施形態では、ファブリー病患者に対し、隔日に1回の頻度(別称:「QOD」)にてミガラスタットまたはその塩が投与される。様々な実施形態において、本明細書に記載の用量は、塩酸ミガラスタット、または等用量のミガラスタットもしくはその塩(ただし、塩酸塩以外)に関する。いくつかの実施形態において、これらの用量は、ミガラスタットの遊離塩基に関する。代替の実施形態において、これらの用量は、ミガラスタットの塩に関する。更なる実施形態では、ミガラスタットの塩は、塩酸ミガラスタットである。ミガラスタットまたはミガラスタットの塩の投与は、本明細書中で「ミガラスタット療法」と呼称されている。
有効量のミガラスタットまたはその塩は、約100mgFBE〜約150mgFBEの範囲とされる場合がある。例示的な用量としては、約100mgFBE、約105mgFBE、約110mgFBE、約115mgFBE、約120mgFBE、約123mgFBE、約125mgFBE、約130mgFBE、約135mgFBE、約140mgFBE、約145mgFBEまたは約150mgFBEが挙げられる。
再三述べるように、塩酸ミガラスタット150mgは遊離塩基形態のミガラスタット123mgに相当することを留意されたい。ゆえに、1つ以上の実施形態において、用量は、塩酸ミガラスタット150mg、または等用量のミガラスタットもしくはその塩(ただし、塩酸塩以外)であり、隔日に1回の頻度で投与される。上記のように、この用量は、ミガラスタットの123mgFBEと呼称される。更なる実施形態において、用量は、隔日に1回の頻度で投与される塩酸ミガラスタット150mgである。他の実施形態において、用量は、隔日に1回の頻度で投与されるミガラスタット遊離塩基123mgである。
様々な実施形態において、有効量とされる塩酸ミガラスタットは、約122mg、約128mg、約134mg、約140mg、約146mg、約150mg、約152mg、約159mg、約165mg、約171mg、約177mgまたは約183mgである。
したがって、様々な実施形態では、ミガラスタット療法には、隔日に1回の頻度で123mgFBEを、例えば、隔日に塩酸ミガラスタット150mgを投与することが含まれる。
ミガラスタットまたはその塩の投与は、或る一定期間としてもよい。1つ以上の実施形態では、ミガラスタットまたはその塩が、少なくとも28日間にわたって、例えば、少なくとも30日、60日もしくは90日、または少なくとも3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、16か月、20か月、24か月、30か月もしくは36か月、または少なくとも1年、2年、3年、4年もしくは5年の期間にわたって投与される。様々な実施形態において、ミガラスタット療法は、少なくとも6か月、例えば、少なくとも6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、16か月、20か月、24か月、30か月もしくは36か月、または少なくとも1年、2年、3年、4年もしくは5年といった、長期ミガラスタット療法とされる。
本発明によるミガラスタットまたはその塩は、任意の投与経路に好適な製剤にて投与できるが、好ましいのは、錠剤、カプセル剤または液剤のような経口剤形で投与することである。一例として、患者に対し経口投与される各カプセル剤には、塩酸ミガラスタット150mg、または等用量のミガラスタットもしくはその塩(ただし、塩酸塩以外)が含有されている。
いくつかの実施形態において、PC(例えば、ミガラスタットまたはその塩)は経口投与される。1つ以上の実施形態において、PC(例えば、ミガラスタットまたはその塩)は注射により投与される。PCは、医薬的に許容される担体を伴う場合があり、この担体は、投与方法に応じて異なり得る。
1つ以上の実施形態において、PC(例えば、ミガラスタットまたはその塩)は、単独療法として投与され、例えば、錠剤もしくはカプセル剤、または液体の形態で、あるいは注射用の滅菌水溶液での経口投与をはじめとする任意の投与経路に好適な形態とすることができる。他の実施形態において、PCは、乾燥凍結乾燥粉末で提供され、投与に先立ってin vitroでの酵素凝集を防止する目的で、再構成の最中またはその直後に置換酵素の製剤に添加される。
PC(例えば、ミガラスタットまたはその塩)が経口投与用に処方されている場合、錠剤またはカプセル剤を、従来の手段により調製してもよい。その際に用いられる医薬的に許容される賦形剤、結合剤(例えば、α化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンもしくはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、乳糖、微結晶セルロースもしくはリン酸水素カルシウム);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクもしくはシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンもしくはデンプングリコール酸ナトリウム);または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などである。錠剤は、当該技術分野において周知の方法によりコーティングすることが可能である。経口投与用の液体製剤は、例えば、溶液、シロップまたは懸濁液の形態をとる場合もあれば、あるいは使用前に水または別の好適なビヒクルで構成するための乾燥製品として提示される場合もある。そのような液体製剤は、医薬的に許容される添加剤、例えば、懸濁剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または水素化食用脂肪);乳化剤(例えば、レシチンまたはアカシア);非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコールまたは分画植物油);及び保存料(例えば、メチルまたはプロピル−p−ヒドロキシ安息香酸またはソルビン酸)を用いた従来の手段により調製してもよい。また、製剤に、必要に応じて、緩衝塩、香味料、着色料、及び甘味料を含有させてもよい。経口投与用の製剤は、活性シャペロン化合物の制御放出を与えるよう好適に処方することが可能である。
非経口/注射用途に好適なPC(例えば、ミガラスタットまたはその塩)の医薬製剤としては概して、滅菌水溶液(水溶性の場合)、あるいは分散液、及び滅菌粉末(滅菌注射液もしくは分散液の即時調製用)が挙げられる。あらゆる場合において、形態は無菌とすべきであり、且つ簡単に注射できる程度に流動的とすべきである。該形態は、製造及び保管の条件下にて安定している必要があり、且つ細菌及び真菌のような微生物の汚染作用に対し防御されている必要がある。担体を、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及びポリエチレングリコール、ならびにそれらに類するもの)、それらの好適な混合物、ならびに植物油を含有する、溶媒または分散媒としてもよい。適切な流動性維持を可能にする手段とされるのは、例えば、レシチンのようなコーティングの使用、分散液の場合は必要な粒子サイズの維持、及び界面活性剤の使用である。微生物の作用は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ベンジルアルコール、ソルビン酸、及びそれらに類するものによって防止することが可能である。多くの場合、例えば、糖類または塩化ナトリウムのような等張剤を含めるのが、合理的であろう。注射用の組成物は、吸収を遅延させる薬剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチン)の組成物中に使用することによって、長期吸収可能とされる。
滅菌注射液を調製するには、必要に応じて、精製酵素(存在する場合)及びPC(例えば、ミガラスタットまたはその塩)を、必要に応じて、上掲の様々な他の成分と共に適切な溶媒中に取り入れ、次いで、フィルター滅菌または最終滅菌を行う。概して、分散液を調製するには、様々な滅菌済み有効成分を、基本分散媒と他の必須成分(上掲)とを含有する滅菌ビヒクル中に取り入れる。滅菌注射液調製用の滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、真空乾燥及び凍結乾燥技術である。この調製方法により、活性成分の粉末だけでなく、事前に滅菌濾過された該溶液から任意の更なる所望成分も得られる。
製剤は、賦形剤を含有する場合がある。医薬的に許容される賦形剤で、製剤中に含めることの可能な賦形剤は、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、重炭酸緩衝液、アミノ酸、尿素、アルコール、アスコルビン酸、及びリン脂質などの緩衝液;血清アルブミン、コラーゲン、及びゼラチンなどのタンパク質;EDTAもしくはEGTA、及び塩化ナトリウムなどの塩;リポソーム;ポリビニルピロリドン;デキストラン、マンニトール、ソルビトール、及びグリセロールなどの糖類;プロピレングリコール及びポリエチレングリコール(例えば、PEG−4000、PEG−6000);グリセロール;グリシンまたは他のアミノ酸;ならびに脂質である。製剤と共に使用される緩衝液系としては、クエン酸塩;酢酸塩;重炭酸塩;及びリン酸塩緩衝液が挙げられる。実施形態として好ましいのは、リン酸緩衝液である。
シャペロン化合物の投与経路は、静脈内、皮下、動脈内、腹腔内、眼内、筋肉内、頬側、直腸、膣、眼窩内、脳内、皮内、頭蓋内、脊髄内、脳室内、髄腔内、大槽内、嚢内、肺内、鼻腔内、経粘膜、経皮、または吸入経由といったように、経口としてもよいしあるいは非経口としてもよい。
シャペロン化合物の上記の非経口製剤は、製剤のボーラスを定期的に注射することにより投与してもよいし、あるいは外部(例えば、静脈内バッグ)もしくは内部(例えば、生体侵食性インプラント)にあるリザーバからの静脈内または腹腔内投与により投与してもよい。
医薬製剤及び投与に関する実施形態は、本発明の他の実施形態のいずれか、例えば、ファブリー病患者の治療方法、ERT未経験ファブリー患者の治療方法、ERT有経験のファブリー患者の治療方法、心臓機能の増強方法(例えば、左心室収縮機能)、心臓機能の安定化方法(例えば、左心室収縮機能)、MWFSの増加方法、MWFSを安定化する方法、MWFSを正常化する方法、ファブリー病に罹患していると診断されているか、またはその疑いのある患者におけるα−Gal Aを増強する方法、ファブリー病に罹患していると診断された患者の治療を目的とする薬剤製造用α−Gal Aに対する薬理学的シャペロンの使用、またはファブリー病に罹患していると診断された患者の治療を目的に用いられるα−Gal Aに対する薬理学的シャペロンへの使用に関する実施形態とだけでなく、順応性突然変異、PC、及びその好適な投薬量に関する実施形態とも組み合わせることができる。
1つ以上の実施形態において、PC(例えば、ミガラスタットまたはその塩)は、ERTと併用投与される。ERTは、注入を手段として、野生型酵素、または生物学的に機能する酵素を外因的に導入することにより、タンパク質の量を増強させる。この療法は、先に言及されたファブリー病などのLSDをはじめとする多くの遺伝性疾患に対応するように開発されてきた。注入後、外因性酵素は、非特異的または受容体特異的な機序を介して組織に取り込まれるものと予期される。全般的に、取り込み効率は高くなく、且つ外因性タンパク質の循環時間は短い。加えて、外因性タンパク質は不安定であり、迅速な細胞内分解を受け易く、後続の治療で有害な免疫学的反応を生ずる可能性がある。1つ以上の実施形態において、シャペロンは、置換酵素(例えば、置換α−Gal A)と同時に投与される。いくつかの実施形態において、シャペロンは、置換酵素(例えば、置換α−Gal A)と共製剤化されている。
1つ以上の実施形態において、患者はERTからミガラスタット療法に切り替えられる。いくつかの実施形態では、ERT有経験の患者が同定され、患者のERTが中止されてから、患者がミガラスタット療法を受け始める。ミガラスタット療法は、本明細書に記載の方法のいずれかに従ったものとしてもよい。
心臓機能
本明細書に記載の投薬レジメンは、ファブリー患者における心臓機能(例えば、左心室収縮機能)の安定化及び/または増強を可能にしている。未治療のファブリー病患者は通常、経時的な心臓機能の悪化を呈することから、心臓機能の強化及び維持は両方ともミガラスタット療法による恩恵であることが、示唆される。以下の実施例において更に詳述するように、第3相試験では、ミガラスタット療法がERT有経験者及びERT未経験患者の両方においてMWFSを増加及び/または安定化させることが見出された。また、これらの第3相試験では、ミガラスタット療法がMWFS障害を有する患者のMWFSを正常化することが見出された。したがって、ミガラスタット療法を使用することで、MWFS障害を有する患者を含めた、ERT未経験及び/またはERT有経験ファブリー患者における、MWFSの安定化、MWFSの増加及び/またはMWFSの正常化により、ファブリー患者を治療できる。
ミガラスタット療法は、ミファラスタット療法による治療を受けていない同じ患者と比較して、ファブリー病患者におけるMWFSの減少の停止もしくは低減、及び/またはMWFSの増加を可能としている。1つ以上の実施形態では、ミガラスタット療法によって、患者のMWFS変化が−2%超(すなわち、−2%を超えて陽性)、例えば、約−1.5%以上、−1.4%、−1.3%、−1.2%、−1.1%、−1%、−0.9%、−08.%、−0.7%、−0.6%、−0.5%、−0.4%、−0.3%、−0.2%、−0.1%、0%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%または2.5%となる。1つ以上の実施形態において、ファブリー患者は、ERT有経験患者である。1つ以上の実施形態において、ファブリー患者は、ERT未経験患者である。1つ以上の実施形態において、ファブリー病患者は、ミガラスタット療法の開始に先立ってMWFS障害を有していた。
1つ以上の実施形態では、ミガラスタット療法によって、12か月間にわたってミガラスタットまたはその塩が投与された後に、ERT未経験患者群におけるMWFS平均変化が少なくとも約0%となる。様々な実施形態では、ミガラスタットまたはその塩が12か月間にわたって投与された後に、ERT未経験患者群における平均増加は、少なくとも約0.05%、約0.1%、約0.15%、または約0.2%となる。1つ以上の実施形態において、ERT未経験患者は、ミガラスタット療法の開始に先立ってMWFS障害を有していた。
1つ以上の実施形態では、ミガラスタット療法によって、24か月間にわたってミガラスタットまたはその塩が投与された後に、ERT未経験患者群におけるMWFS平均変化が少なくとも約0%となる。様々な実施形態では、ミガラスタットまたはその塩の投与後12か月後のERT未経験患者群における平均増加は、少なくとも約0.05%、約0.1%、約0.15%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%または約1.5%である。1つ以上の実施形態において、ERT未経験患者は、ミガラスタット療法の開始に先立ってMWFS障害を有していた。
1つ以上の実施形態では、ミガラスタット療法によって、36か月間にわたってミガラスタットまたはその塩が投与された後に、ERT未経験患者群におけるMWFS平均変化が少なくとも約0%となる。様々な実施形態では、ミガラスタットまたはその塩の投与後12か月後のERT未経験患者群における平均増加は、少なくとも約0.05%、約0.1%、約0.15%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%または約1.5%である。1つ以上の実施形態において、ERT未経験患者は、ミガラスタット療法の開始に先立ってMWFS障害を有していた。
1つ以上の実施形態では、ミガラスタット療法によって、48か月間にわたってミガラスタットまたはその塩が投与された後に、ERT未経験患者群におけるMWFS平均変化が少なくとも約0%となる。様々な実施形態では、ミガラスタットまたはその塩の投与後12か月後のERT未経験患者群における平均増加は、少なくとも約0.05%、約0.1%、約0.15%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%、約2%、約2.1%、約2.2%、約2.3%、約2.4%または約2.5%である。1つ以上の実施形態において、ERT未経験患者は、ミガラスタット療法の開始に先立ってMWFS障害を有していた。
1つ以上の実施形態では、ミガラスタット療法によって、30か月間にわたってミガラスタットまたはその塩が投与された後に、ERT未経験患者群におけるMWFS平均変化が約−1.5%超となる。様々な実施形態では、ミガラスタットまたはその塩の投与後12か月後のERT未経験患者群における平均増加は、−1.5%超、−1.4%超、−1.3%超、−1.2%超、−1.1%超、−1%超、−0.9%超、−08.%超、−0.7%超、−0.6%超、−0.5%超、−0.4%超、−0.3%超、−0.2%超、−0.1%超または0%超である。1つ以上の実施形態において、ERT有経験患者は、ミガラスタット療法の開始に先立ってMWFS障害を有していた。
実施例1:ERT未経験ファブリー患者を治療するための投薬レジメン
塩酸ミガラスタットの使用
本実施例では、ERT未経験ファブリー患者におけるミガラスタット療法の第3相試験について説明する。
患者登録。適格な患者は16歳〜74歳であり、遺伝的に確証されたファブリー病であった。ERTを全く受けていないか、6か月を超えてERTを受けていなかった。GLA突然変異を有し、結果として、登録時に使用されたヒト胎児腎臓−293(HEK)アッセイに基づいてミガラスタットに応答する突然変異タンパク質を生じた;eGFRは30ml/分/1.73mを超過し、尿中GL−3は正常上限の4倍を上回っていた。
研究デザイン。適格性ベースライン評価(2か月)の後、患者をステージ1に無作為に割り付けてから、6か月間にわたって隔日に塩酸ミガラスタット150mgまたはプラセボの二重盲検投与を行った。ステージ1を完了した全ての患者は、ステージ2(6〜12か月)及びその後更に1年(13〜24か月)にわたる非盲検ミガラスタットの投与を適格とされた。主要目標は、治療6か月後の間質毛細血管内の封入体の数の組織学的スコアリングによって評価される腎臓GL−3に対するミガラスタット及びプラセボの効果を比較することとした。ステージ1の副次的目標は、尿中GL−3レベル、腎機能、24時間尿タンパク質、ならびに安全性と忍容性に対するミガラスタット及びプラセボの効果を比較することとした。3次的目標は、心臓機能、患者から報告された結果、探索的腎分析、及び白血球α−Gal A活性とした。試験の完了者は、最大5年間、非盲検拡張試験への登録を適格とされた。
腎臓組織の評価。各患者は、6か月目及び12か月目に、ベースライン腎生検、ならびに反復的腎生検を受けた。ベースライン時点、及び6か月目及び12か月目における患者毎に腎間質毛細血管当たりのGL−3封入体の数を、治療及び来院を知らされていない独立した病理学者3名が、300毛細血管を対象に定量的に評価した。統計分析に先立って、所与の時点における個々の生検の全ての値を平均化した。
有足細胞、内皮細胞、メサンギウム細胞のGL−3の変化、及び糸球体硬化を、治療/来院を知らされていない同じ病理学者3名が定性的に評価した。
グロボトリアオシルセラミド及びグロボトリアオシルスフィンゴシン。血漿リゾGb3及び24時間尿GL−3を、新規な安定同位体標識内部標準、13C6−リゾ−Gb3(定量下限:0.200ng/mL、0.254nmol/L)を使用した液体クロマトグラフィー質量分析で分析した。
腎機能の評価。慢性腎臓病疫学共同研究(eGFRCKD−EPI)を使用して年変化率(mL/分/1.73m/年)を計算し、iohexoiクリアランス(mGFRiohexol)を測定した。
心エコー検査。LVMi、左後壁厚さ、拡張期、心室中隔厚さ、拡張期及びその他のパラメータを、盲検化された一元的評価により評価した。
患者から報告された結果。患者から報告された結果を、胃腸症状評価尺度(GSRS)、Short Form−36v2TM及びBrief−Pain−Inventory−Pain−Severity−Componentを使用して評価した。
安全性分析及び有害事象。安全性分析には、バイタルサイン、身体検査、心電図、臨床検査、及び有害事象など、投薬回数が1回を超える無作為化患者が含まれていた。
腎間質毛細血管GL−3基質の統計分析。主要ステージ1(6か月)の評価項目(ベースライン生検を行ったITT集団、n=64)は、間質性毛細血管当たりのGL−3封入体減少率が50%超であるミガラスタット及びプラセボ群の患者の割合とした。他の2つのステージ1の評価項目(変更されたITT集団:ベースラインと生後6か月の生検とを組み合わせた無作為化患者;n=60):間質毛細血管当たりのGL−3封入体変化率、及びGL−3封入体がゼロである間質毛細血管の割合を、評価の対象とした。
ステージ2(6〜12か月目)及び非盲目拡張(12〜24か月目)における、間質毛細血管及びその他の事前指定済み評価項目毎のGL−3封入体の有効性分析は、修正済み治療意図(mITT)に基づいていた。突然変異体α−Gal A酵素を有する無作為化患者からなる集団は、検証済みアッセイによりミガラスタット治療に適していることが明らかにされた(n=50)。
結果
ベースライン特性。潜在的に応答性の突然変異体α−Gal Aを有する患者67例(16〜74歳、女性64%)を無作為化した(ITT集団)。表2に、好適な突然変異体α−Gal Aを有するITT集団の患者50例のベースライン特性を示す。ベースラインパラメータに統計的な有意差は存在しなかった。
Figure 2020531550
好適な突然変異(n=50)を有する患者の遺伝子型に関連する臨床表現型(複数可)の公開済み報告により示唆されるように、ファブリー病の古典的な表現型に関連する突然変異を有するのは30例(60%)、非古典的な表現型を有するのは1例(2%)、両方の表現型を有するのは3例(6%)、そして未分類は16例(32%)であった。残留WBC α−Gal A活性が3%未満であることが16例中14例(87%)の男性において見出された。血漿リゾGb3が上昇していた男性及び女性は31例中29例(94%)であり、多臓器系疾患に罹患していた男性及び女性は50例中47例(94%)であった。
ベースラインMWFS。ベースラインにて患者9例におけるMWFS障害(女性では15%未満、男性では14%未満)が報告された。
ミガラスタット及び心臓機能。ERT未経験患者を対象とした本研究によって、ミガラスタット療法が、ベースラインにてMWFS障害を有する患者のMWFSを増加させることが見出された。下掲の表3に、ミガラスタット療法後のベースラインを基準としたMWFSの変化を示す。
Figure 2020531550
最終観測繰越(LOCF)分析は、予定外の来院または来院の早期終了等の、最終の研究評価に基づく。MWFS異常は、女性で15%未満、男性で14%未満であった。
表3から分かるように、ベースラインにてMWFS障害を有するERT未経験患者のLOCF分析によると、48か月にわたるミガラスタット療法では、MWFSの平均変化が1.9%(95%CI:−0.8%、4.5%;n=8)であったことが明らかにされた。患者の8例中6例(75%)はミガラスタット療法後にMWFSが増加したこと、8例中3例(38%)はMWFSが正常化されたことが、実証された。
また、ベースラインにてLVHを有する患者も、MWFS分析の対象とした。ベースラインにてLVHを有する患者における、ベースラインを基準としたMWFSの変化を、下掲の表4に示す。
Figure 2020531550
LOCF分析は、予定外の来院または来院の早期終了等の、最終的な研究評価に基づく。LVH亜群では、LVMiが95g/m超(女性)または115g/m超(男性)であった。
表4から分かるように、ベースラインにてLVHを有するERT未経験患者のLOCF分析によると、48か月にわたるミガラスタット療法では、MWFSの平均変化が1.0%(95%CI:−1.5%、3.5%;n=10)であった。患者10例中7例(70%)はミガラスタット療法後にMWFSが増加したこと、10例中2例(20%)はMWFSが正常化されたことが、実証された。
安全性及び有害事象。ステージ1の間、治療中に発生した有害事象は群間で類似していた。ミガラスタットを投与された患者において、プラセボと比較して高頻度の有害事象は、頭痛(患者34例中12例(35%)に対し、患者33例中7例(21%))、及び鼻咽頭炎(患者34例中6例(18%)に対し34例中2例(6%))であった。ステージ2で最も頻繁に報告された有害事象は、頭痛(患者63例中9例(14%))及び腎生検関連の処置痛(患者63例中7例(11%))であり、非盲検拡張では、タンパク尿(患者57例中9例(16%))、頭痛(患者57例中6例(11%))、及び気管支炎(患者57例中6例(11%))であった。大部分の有害事象は、重篤度が軽度または中程度であった。ミガラスタットの投与を中止に至らしめた有害事象は、全くなかった。
ステージ1中に患者6例(ミガラスタット2例、プラセボ4例)、ステージ2中に5例、そして非盲検拡張中に11例が、重篤な有害事象を経験した。ミガラスタットに関連すると考えられる重篤な2大有害事象である、疲労及び知覚異常が、治験責任医師によって評価された。両方とも同じ患者において12か月目〜24か月目に発症し、寛解した。1例を超える患者による、個々の重篤な有害事象の報告は皆無であった。患者2例は、重篤な有害事象のためミガラスタットを中止したが、両例ともミガラスタットとは無関係であると見なされた。死亡の報告は皆無であった。
治療中に発生したタンパク尿は、12〜24か月の間に患者9例(16%)において報告され、1例においては、ミガラスタット関連であると判断された。患者5例においては、24か月の値がベースラインと同じ範囲であった。好適な突然変異を有する患者3例は、顕性ベースラインタンパク尿(1g/24h超)を有し、このタンパク尿は24か月間にわたって増加した。ミガラスタット治療中、ベースラインのタンパク尿が300mg/24h未満の患者28例中23例では、尿タンパクが24時間にわたって安定した状態のままに維持された。
Banikazemi et al.に定義されているような末期腎疾患への進行、心臓死、及び脳卒中は、全く見られなかった。一過性の虚血性発作である単一症例が存在したが、ミガラスタットとは無関係であると判断された。
バイタルサイン、身体所見、ラボ、及びECGパラメータの分析では、ミガラスタットの臨床的に関連する効果はいっさい明らかにされなかった。
実施例2:塩酸ミガラスタットを用いた、ERT有経験のファブリー病患者を治療するための投与レジメン
本実施例では、ERT有経験のファブリー患者を対象としたミガラスタット療法の第3相試験について説明する。
患者登録。適格な患者は16歳〜74歳であり、遺伝的に確証されたファブリー病であった。ERTを、12か月を超えてERTを受けていた。GLA突然変異を有し、結果として、登録時に使用されたヒト胎児腎臓−293(HEK)アッセイに基づいてミガラスタットに応答する突然変異タンパク質を生じた;eGFRが30ml/分/1.73mを超過した;ERT用量レベル及びレジメンが、少なくとも3か月間にわたって安定していた。
研究デザイン。適格性ベースラインの評価後に、患者57例を、18か月間ミガラスタット療法を行う群、またはERTに続いて12か月間ミガラスタット療法を行う群に無作為に割り付けた。ミガラスタット投薬レジメンは、隔日に塩酸ミガラスタット150mgとした。主要目標は、18か月の治療後にmGFRiohexolにより評価された腎機能に対するミガラスタットの効果を、ERTと比較することとした。副次的目標は、ミガラスタット及びERTの効果:腎機能(eGFR及び24時間尿タンパク質により評価);複合的臨床転帰(腎、心臓、脳血管イベント発生または死亡に至るまでの時間により評価);心臓機能(心エコー検査により評価)及び患者が報告した結果(疼痛及び生活の質)を比較することとした。
ベースラインMWFS。ベースラインにて患者19例(ミガラスタット14例、ERT5例)におけるMWFS障害(女性では15%未満、男性では14%未満)が報告された。
結果
ミガラスタット及び心臓機能。ERT有経験患者に関する本研究では、ミガラスタット療法が、ベースラインにてMWFS障害を有する患者のMWFSを安定化させることが見出された。ベースラインでのMWFS障害患者のLOCF分析で明らかにされたように、ミガラスタット療法の30か月間にわたるベースラインでの平均変化は−0.2%(95%CI:−1.3%、1.0%;n=14)である。MWFS障害患者のLOCF分析で明らかにされたように、ERTでの療法の18か月間にわたるベースライン基準のMWFS平均変化は、−0.6%(95%CI:−2.6%、1.4%;n=5)である。
本明細書に記載されている実施形態は、本発明の組成物及び方法を例証することを意図しており、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。様々な修正及び変更が記載されており、それらが説明全体と一貫性を有し、且つ当業者に容易に明白となることが、意図されている。添付の特許請求の範囲は、実施例に記載された特定の実施形態により限定されるべきではなく、説明全体と一貫性を有する最も広い解釈が与えられるべきである。
特許、特許出願、出版物、製品説明、GenBank委託番号、及びプロトコールは、本出願全体を通して引用されている。該出願の開示は、その全体があらゆる目的に対応するよう参照により本明細書中に援用されている。

Claims (74)

  1. ファブリー病患者における心臓機能を強化する方法であって、前記患者における心臓機能強化を目的に、前記患者に対し隔日に有効量のミガラスタットまたはその塩を含む製剤を投与することを含み、前記有効量が遊離塩基当量(FBE)約100mg〜約150mgである、前記方法。
  2. 心臓機能強化に、左心室収縮機能を強化することが含まれる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記患者が、ミガラスタットまたはその塩の投与開始に先立って中壁の左室内径短縮率(MWFS)障害を有していた、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記ミガラスタットまたはその塩がα−ガラクトシダーゼA活性を強化する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記患者に対し隔日に約123mgFBEの前記ミガラスタットまたはその塩が投与される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記患者に対し隔日にミガラスタット遊離塩基約123mgが投与される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記患者に対し隔日に塩酸ミガラスタット約150mgが投与される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記製剤に経口剤形が包含される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記経口剤形に、錠剤、カプセル剤または液剤が包含される、請求項8に記載の方法。
  10. 前記ミガラスタットまたはその塩が少なくとも12か月間にわたって投与される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記ミガラスタットまたはその塩が少なくとも24か月間にわたって投与される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記患者が酵素補充療法(ERT)未経験患者である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. ミガラスタットまたはその塩が24か月間にわたって投与された後、前記ミガラスタットまたはその塩の投与により、MWFS障害を有するERT未経験患者群においてMWFS平均増加が少なくとも約1%となる、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記患者がERT有経験患者である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記患者が、α−ガラクトシダーゼA中にHEKアッセイ順応性突然変異を有する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記突然変異が薬理学的参照表に開示されている、請求項15に記載の方法。
  17. 前記薬理学的参照表が、ファブリー病治療用に承認されたミガラスタット製品の製品ラベルにて提供される、請求項16に記載の方法。
  18. 前記薬理学的参照表が、GALAFOLD(登録商標)の製品ラベルにて提供される、請求項16に記載の方法。
  19. 前記薬理学的参照表がウェブサイトに提供される、請求項16に記載の方法。
  20. 前記ウェブサイトが、www.galafoldamenabilitytable.comまたはwww.fabrygenevariantsearch.comのうちの1つ以上である、請求項19に記載の方法。
  21. ファブリー病患者における中壁の左室内径短縮率(MWFS)を増加させる方法であって、前記患者のMWFSを増加させることを目的として、前記患者に対し隔日に有効量のミガラスタットまたはその塩を含む製剤を投与することを含み、前記有効量が遊離塩基当量(FBE)約100mg〜約150mgである、前記方法。
  22. 前記患者が、前記ミガラスタットまたはその塩の投与開始に先立ってMWFS障害を有していた、請求項21に記載の方法。
  23. 前記ミガラスタットまたはその塩がα−ガラクトシダーゼA活性を強化する、請求項21または22に記載の方法。
  24. 前記患者に対し隔日に約123mgFBEの前記ミガラスタットまたはその塩が投与される、請求項21〜23のいずれか1項に記載の方法。
  25. 前記患者に対し隔日にミガラスタット遊離塩基約123mgが投与される、請求項21〜24のいずれか1項に記載の方法。
  26. 前記患者に対し隔日に塩酸ミガラスタット約150mgが投与される、請求項21〜24のいずれか1項に記載の方法。
  27. 前記製剤に経口剤形が包含される、請求項21〜26のいずれか1項に記載の方法。
  28. 前記経口剤形に、錠剤、カプセル剤または液剤が包含される、請求項27に記載の方法。
  29. 前記ミガラスタットまたはその塩が少なくとも12か月間にわたって投与される、請求項21〜28のいずれか1項に記載の方法。
  30. 前記ミガラスタットまたはその塩が少なくとも24か月間にわたって投与される、請求項21〜29のいずれか1項に記載の方法。
  31. 前記患者が酵素補充療法(ERT)未経験患者である、請求項21〜30のいずれか1項に記載の方法。
  32. ミガラスタットまたはその塩が24か月間にわたって投与された後、前記ミガラスタットまたはその塩の投与により、MWFS障害を有するERT未経験患者群においてMWFS平均増加が少なくとも約1%となる、請求項21〜31のいずれか1項に記載の方法。
  33. 前記患者がERT有経験患者である、請求項21〜30のいずれか1項に記載の方法。
  34. 前記患者が、α−ガラクトシダーゼA中にHEKアッセイ順応性突然変異を有する、請求項21〜33のいずれか1項に記載の方法。
  35. 前記突然変異が薬理学的参照表に開示されている、請求項34に記載の方法。
  36. 前記薬理学的参照表が、ファブリー病治療用に承認されたミガラスタット製品の製品ラベルにて提供される、請求項35に記載の方法。
  37. 前記薬理学的参照表が、GALAFOLD(登録商標)の製品ラベルにて提供される、請求項35に記載の方法。
  38. 前記薬理学的参照表がウェブサイトに提供される、請求項35に記載の方法。
  39. 前記ウェブサイトが、www.galafoldamenabilitytable.comまたはwww.fabrygenevariantsearch.comのうちの1つ以上である、請求項38に記載の方法。
  40. ファブリー病及びMWFS障害を有する患者における中壁の左室内径短縮率(MWFS)を正常化させる方法であって、前記患者のMWFSを正常化させることを目的として、前記患者に対し隔日に有効量のミガラスタットまたはその塩を含む製剤を投与することを含み、前記有効量が遊離塩基当量(FBE)約100mg〜約150mgである、前記方法。
  41. 前記ミガラスタットまたはその塩がα−ガラクトシダーゼA活性を強化する、請求項40に記載の方法。
  42. 前記患者に対し隔日に約123mgFBEの前記ミガラスタットまたはその塩が投与される、請求項40または41に記載の方法。
  43. 前記患者に対し隔日にミガラスタット遊離塩基約123mgが投与される、請求項40〜42のいずれか1項に記載の方法。
  44. 前記患者に対し隔日に塩酸ミガラスタット約150mgが投与される、請求項40〜42のいずれか1項に記載の方法。
  45. 前記製剤に経口剤形が包含される、請求項40〜44のいずれか1項に記載の方法。
  46. 前記経口剤形に、錠剤、カプセル剤または液剤が包含される、請求項45に記載の方法。
  47. 前記ミガラスタットまたはその塩が少なくとも12か月間にわたって投与される、請求項40〜46のいずれか1項に記載の方法。
  48. 前記ミガラスタットまたはその塩が少なくとも24か月間にわたって投与される、請求項40〜47のいずれか1項に記載の方法。
  49. 前記患者が酵素補充療法(ERT)未経験患者である、請求項40〜48のいずれか1項に記載の方法。
  50. ミガラスタットまたはその塩が24か月間にわたって投与された後、前記ミガラスタットまたはその塩の投与により、MWFS障害を有するERT未経験患者群においてMWFS平均増加が少なくとも約1%となる、請求項40〜49のいずれか1項に記載の方法。
  51. 前記患者が、α−ガラクトシダーゼA中にHEKアッセイ順応性突然変異を有する、請求項40〜50のいずれか1項に記載の方法。
  52. 前記突然変異が薬理学的参照表に開示されている、請求項51に記載の方法。
  53. 前記薬理学的参照表が、ファブリー病治療用に承認されたミガラスタット製品の製品ラベルにて提供される、請求項52に記載の方法。
  54. 前記薬理学的参照表が、GALAFOLD(登録商標)の製品ラベルにて提供される、請求項52に記載の方法。
  55. 前記薬理学的参照表がウェブサイトに提供される、請求項52に記載の方法。
  56. 前記ウェブサイトが、www.galafoldamenabilitytable.comまたはwww.fabrygenevariantsearch.comのうちの1つ以上である、請求項55に記載の方法。
  57. 酵素補充療法(ERT)の経験を有するファブリー病患者における中壁の左室内径短縮率(MWFS)を安定化させる方法であって、前記患者のMWFSを安定化させることを目的として、前記患者に対し隔日に有効量のミガラスタットまたはその塩を含む製剤を投与することを含み、前記有効量が遊離塩基当量(FBE)約100mg〜約150mgである、前記方法。
  58. 前記患者が、前記ミガラスタットまたはその塩の投与開始に先立ってMWFS障害を有していた、請求項57に記載の方法。
  59. 前記ミガラスタットまたはその塩がα−ガラクトシダーゼA活性を強化する、請求項57または58に記載の方法。
  60. 前記患者に対し隔日に約123mgFBEの前記ミガラスタットまたはその塩が投与される、請求項57〜59のいずれか1項に記載の方法。
  61. 前記患者に対し隔日にミガラスタット遊離塩基約123mgが投与される、請求項57〜60のいずれか1項に記載の方法。
  62. 前記患者に対し隔日に塩酸ミガラスタット約150mgが投与される、請求項57〜60のいずれか1項に記載の方法。
  63. 前記製剤に経口剤形が包含される、請求項57〜62のいずれか1項に記載の方法。
  64. 前記経口剤形に、錠剤、カプセル剤または液剤が包含される、請求項63に記載の方法。
  65. 前記ミガラスタットまたはその塩が少なくとも12か月間にわたって投与される、請求項57〜64のいずれか1項に記載の方法。
  66. 前記ミガラスタットまたはその塩が少なくとも30か月間にわたって投与される、請求項57〜65のいずれか1項に記載の方法。
  67. 前記患者が酵素補充療法(ERT)有経験患者である、請求項57〜66のいずれか1項に記載の方法。
  68. ミガラスタットまたはその塩が30か月間にわたって投与された後、前記ミガラスタットまたはその塩の投与により、MWFS障害を有するERT有経験患者群においてMWFS平均変化が約−0.5%超となる、請求項57〜67のいずれか1項に記載の方法。
  69. 前記患者が、α−ガラクトシダーゼA中にHEKアッセイ順応性突然変異を有する、請求項57〜68のいずれか1項に記載の方法。
  70. 前記突然変異が薬理学的参照表に開示されている、請求項69に記載の方法。
  71. 前記薬理学的参照表が、ファブリー病治療用に承認されたミガラスタット製品の製品ラベルにて提供される、請求項70に記載の方法。
  72. 前記薬理学的参照表が、GALAFOLD(登録商標)の製品ラベルにて提供される、請求項70に記載の方法。
  73. 前記薬理学的参照表がウェブサイトに提供される、請求項70に記載の方法。
  74. 前記ウェブサイトが、www.galafoldamenabilitytable.comまたはwww.fabrygenevariantsearch.comのうちの1つ以上である、請求項73に記載の方法。
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