JP2020526585A - 火傷及び褥瘡の緩和及び治療用組成物 - Google Patents

火傷及び褥瘡の緩和及び治療用組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、動物の肺組織抽出物を有効成分として含む火傷及び褥瘡の緩和及び治療用組成物に関する。本発明の組成物は、皮膚損傷に対する動物の肺組織抽出物及び/又はプロピオン酸の保護効果が、炎症の抑制のみならず、繊維組織の再生及び血管新生の促進にも関連があることを示唆し、皮膚創傷の治癒に関連する素材として有効性を示し、火傷及び褥瘡の治療に関連して産業的に利用可能な効果を示すので、これらの疾患の治療剤として使用することができる。

Description

本発明は、火傷及び褥瘡の緩和及び治療用組成物に関する。
褥瘡とは、体の接触面から受ける圧迫により組織の末梢血管が閉塞し、組織の壊死を引き起こす病態であって、その治癒には長期間を要する場合が多い。
したがって、長期間、寝具の上に寝ている状態にある老人や長期療養患者は、褥瘡(bedsore、いわゆる圧迫潰瘍)が生じやすく、看護上の大きな問題となっている。また、褥瘡は、ヒト以外の動物にも発症する病気であって、例えば、馬の鞍ずれ(saddlesore)も褥瘡の一つである。
褥瘡の治療剤としては、ブロメライン(bromelain)(診療と新薬、1971年、第8巻、p.967)を含有する軟膏、ブクラデシンナトリウム(bucladesine Na)[Biological & Pharmaceutical Bulletin(バイオロジカル アンド ファーマシュティカル ブレティン)、1995年、第18巻、p.1539−1543]を含有する軟膏などがあるが、前記の治療剤はいずれも、出血、疼痛などの副作用が知られている。
また、褥瘡用ベッド、マットレスなどを使用して褥瘡部位に風通しが円滑に行われるようにする製品を使用しているが、これは、予防のための用品に過ぎず、治療剤としては使用できないものである。
したがって、現在の褥瘡の治療は、ほとんど、患者の自然治癒力に依存して治療しており、より安全な方法の褥瘡の治療が求められている。
一方、火傷は、主に事故によって発生し、原因に応じて、熱による火傷、電流による火傷、化学物質による火傷、放射線による火傷などに分類することができる。火傷の重症度は、火傷を負った面積、深さ、火傷を誘発した物体の温度と接触時間、皮膚状態などによって、1度、2度、3度及び4度の火傷に分類され、2度の火傷からは傷跡が残り得るので、病院での治療を要する。
1度の火傷は、肌が赤くなり、ひりひりするなどの痛症を伴う。皮膚層における最も外層である表皮の損傷をもたらし、痛症と紅斑を伴いながら腫れ上がることもある。数日内に症状がなくなるが、その部位に軽い落屑と色素沈着が残る場合もある。回復後には瘢痕(傷跡)が残らない。日焼けによる火傷(sun burn)は、最も一般的な1度の火傷の例である。
2度の火傷は、表皮と真皮の両方に影響を及ぼし、紅班、痛み、むくみ、そして、事故後24時間内に水疱を生じさせる。この火傷はまた、汗腺や毛穴に影響を及ぼすこともある。自覚的には灼熱感と痛みがひどい。水泡が破れてびらん面を呈し、多量の分泌液が出る。火傷を負った面積が体表面積の約15%以上に至る場合には、特に注意を要する。数週間以内に治癒するが、その部位に色素沈着や色素脱失が残ることが多い。2次感染を起こせば、局所症状はさらにひどくなり、経過も長くなる。
3度の火傷は、表皮、真皮、そして、下皮にまで影響を及ぼし、皮膚が黒くなったり半透明の白色になり、皮膚表面の真下の血管を凝固させる。1度の火傷は、肌が赤くなり、ひりひりするなどの痛症を伴う。皮膚層における最も外層である表皮の損傷をもたらし、痛症と紅斑を伴いながら腫れ上がったりする。この火傷部位は無感覚になることもあるが、患者は激しい痛みを感じ、皮膚組織と構造が壊死してしまい、治療に多くの時間がかかり、後に傷跡が残るようになる。事故後2週間が経過すると、かさぶたが剥がれて潰瘍面が現れる。分泌液が多く、出血しやすいが、次第に新しい組織が生じて表皮が再生し、傷跡が残って治癒される。皮膚壊死が深い場合、又は2次感染を起こした場合、治癒が遅れ、傷跡の表面が不規則になってケロイドができたり、変形や運動障害が残ったりすることもある。火傷を負った面積が体表面積の10%以上に至る場合には、特に注意を要する。
4度の火傷は、火傷を負った部位の組織が炭化して黒く変化した場合であり、皮膚層の下に位置する脂肪層、靭帯、筋膜、筋肉、骨組織などに火傷を負った場合をいう。高圧電気火傷で主に発生し、場合によっては、深在性2〜3度の火傷で菌の感染が発生する場合に生じることがある。火傷の範囲が20%以上である場合、全身的な身体反応が起こり得るが、過度の体液の損失による低血圧、ショック、急性腎臓機能不全などが発生することがあり、後で傷の感染や肺炎、敗血症、多臓器機能不全症候群などが発生することもある。
火傷の治療は、できるだけ早く、初期火傷の創傷を治癒したり、火傷部位を減らすことが重要である。初期火傷の患部ドレッシングにおいて感染及び炎症の調節、湿潤環境の維持、皮膚再生を助ける成長因子やサイトカインの投与、局所的なヘパリンの使用などによる、深部火傷への移行を防止する初期治療が強調されている。
このような火傷及び/又は褥瘡損傷の深刻性を考慮すると、火傷及び/又は褥瘡損傷の治療または予防に有用な治療剤が開発されれば、患者の治療、状態の改善及び傷跡の減少に大いに役に立つ。
大韓民国公開特許第10−2008−0058126号
本発明は、上記の問題点を解決し、上記の必要性によって案出されたものであって、本発明の目的は、新規な褥瘡治療剤を提供することである。
本発明の他の目的は、新規な火傷治療剤を提供することである。
上記の目的を達成するために、本発明は、動物の肺組織抽出物を有効成分として含む褥瘡治療用組成物を提供する。
本発明の一具現例において、前記動物は豚であることが好ましいが、これに限定されない。
本発明の他の具現例において、前記肺組織抽出物はリン脂質画分であることが好ましいが、これに限定されない。
本発明の一実施例において、前記リン脂質画分は、図1に記載されたように、ホスファチジルイノシトール(phosphatidylinositol);1−パルミトイル−2−アラキドニホスファチジルコリン(1−Palmitoyl−2−arachidony phosphatidylcholine);1−パルミトイル−2−リノレオイルホスファチジルコリン(1−palmitoyl−2−linoleoyl phosphatidylcholine);1−パルミトイル−2−パルミトレオニルホスファチジルコリン(1−palmitoyl−2−palmitoleonyl phosphatidylcholine);1−パルミトイル−2−オレオイルホスファチジルコリン(1−palmitoyl−2−oleoyl phosphatidylcholine);ジパルミトイルホスファチジルコリン(dipalmityl phosphatidylcholine);ホスファチジルエタノールアミン(phsphatylethaolamine);スフィンゴミエリン(sphingomyelin)からなる群から選択されたものであるか、又はこれらのリン脂質を全て含むことが好ましいが、これに限定されない。
本発明の更に他の具現例において、前記組成物は、さらに有機酸又はその塩を含むことが好ましく、前記有機酸はプロピオン酸であることがさらに好ましいが、これに限定されない。
また、本発明は、動物の肺組織抽出物を有効成分として含む火傷治療用組成物を提供する。
本発明の一具現例において、前記動物は豚であることが好ましいが、これに限定されない。
本発明の他の具現例において、前記肺組織抽出物はリン脂質画分であることが好ましいが、これに限定されない。
本発明の更に他の具現例において、前記組成物は、さらに有機酸又はその塩を含むことが好ましく、前記有機酸はプロピオン酸であることがさらに好ましいが、これに限定されない。
本発明に係る褥瘡の治療剤又は予防剤、火傷の治療剤における有効成分の濃度は適宜選択することができる。
本発明に係る褥瘡の治療剤又は予防剤、火傷の治療剤は、経口剤として投与することもできるが、外用剤として創傷、褥瘡又は火傷の患部に局所投与することが好ましい。
また、褥瘡の予防薬として、褥瘡になる可能性のある箇所に局所投与することにより、褥瘡にならない又はなりにくくすることも可能である。
外用剤としては、通常、外用剤として用いるものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、塗布薬(liniment)、パップ(pap)剤、プラスター(plaster)剤、パッチ(patch)剤、硬膏剤、ゲル(gel)剤、液剤、テープ剤などが挙げられる。
前記剤形が軟膏剤又はクリーム剤である場合には、基剤として、油脂性基剤又は乳剤性基剤を用いることができる。
前記油脂性基剤としては、例えば、炭化水素、高級アルコール、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、グリコール類、植物油、動物油などが挙げられる。前記油脂性基剤は、通常、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記炭化水素としては、例えば、炭素数12〜32の炭化水素、様々な炭化水素の混合物である流動パラフィン、分岐状パラフィン、固形パラフィン、白色ワセリン、黄色ワセリン、スクアレン(squalene)、スクアラン、プラスチベースなどが挙げられる。これらの中でも、特に白色ワセリンが好適なものとして挙げられる。前記炭化水素は、通常、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記高級アルコールとしては、例えば、炭素数12〜30の脂肪族1価アルコールなどが挙げられる。このような脂肪族1価アルコールの具体例としては、例えば、ラウリルアルコール(lauryl alcohol)、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール(myristyl alcohol)、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール(セタノール(cetanol))、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール(oleyl alcohol)、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール(melissyl alcohol)、セトステアリルアルコール(cetostearyl alcohol)などが挙げられる。これらの中で、ラウリルアルコール、セチルアルコール及びステアリルアルコールが好ましく、特にセチルアルコール及びステアリルアルコールが好ましい。前記高級アルコールは、通常、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記高級脂肪酸としては、例えば、炭素数6〜32の飽和又は不飽和脂肪酸が挙げられる。具体的には、例えば、カプロン酸(caproic acid)、エナント酸(enanthic acid)、カプリル酸(caprylic acid)、ペラルゴン酸(pelargonic acid)、カプリン酸(capric acid)、ウンデシル酸、ラウリン酸(lauric acid)、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸(palmitic acid)、ヘプタデシル酸、ステアリン酸(stearic acid)、オレイン酸(oleic acid)、ノナデカン酸、アラキン酸、アラキドン酸(arachidonic acid)、リノール酸、リノレン酸(linolenic acid)、ベヘン酸(behenic aicd)、リグノセリン酸(lignoceric acid)、セロチン酸(cerotic acid)、ヘプタコサン酸、モンタン酸(montanic acid)、メリシン酸(melissic acid)、ラクセル酸、エライジン酸(elaidic acid)、ブラシジン酸などが挙げられる。これらの中でも、特に、パルミチン酸及びステアリン酸が好ましい。前記高級脂肪酸は、通常、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記高級脂肪酸エステルとしては、例えば、パルミチン酸ミリスチル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、リグノセリン酸セリル、セロチン酸ラクセリル、ラクセル酸ラクセリルなどの脂肪酸エステル;ラノリン(lanolin)、ミツロウ(beeswax)、クジラロウ、シェラック(shellac)ロウなどの動物からの天然ロウ、カルナウバロウ(carnauba wax)、カンデリラロウ(candelila wax)などの植物からの天然ロウ等の炭素数10〜32の脂肪酸と炭素数14〜32の脂肪族1価アルコールとのエステル;グリセリルモノラウリレート、グリセリルモノミリスチレート、グリセリルモノオレート、グリセリルモノステアレート、グリセリルジラウリレート、グリセリルジミリスチレート、グリセリルジステアレート、グリセリルトリラウリレート、グリセリルトリミリスチレート、グリセリルトリステアレートなどの炭素数10〜22の飽和又は不飽和脂肪酸とグリセリンとのエステル、又はそれらの水素添加物などが挙げられる。前記高級脂肪酸エステルは、通常、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記グリコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を混合して用いられる。また、本発明では、これらの中で、例えば、低重合度のポリエチレングリコールと高重合度のポリエチレングリコールとを混合して用いることが好ましい。前記グリコール類は、通常、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記植物油としては、例えば、ツバキ油、ヒマシ油、オリーブ油、カカオ油、ヤシ油、パーム油、マカデミアナッツ油(macadamia nut oil)、大豆油、茶油(tea seed oil)、ゴマ油、アーモンド油、サフラワー油(safflower oil)、綿実油(cotton seed oil)、テレピン油、これらの植物油に水素を添加した植物油脂類などが挙げられる。前記植物油は、通常、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記動物油としては、例えば、ミンク油、卵黄油、スクアラン、スクアレン(squalene)、ラノリン(lanoline)、前記動物油の誘導体などが挙げられる。前記動物油は、通常、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記高級アルコールの一部は吸収促進剤としても使用できるものであって、このような高級アルコールを基剤として使用する場合には、吸収促進剤を特に添加する必要がない。
前記乳剤性基剤としては、例えば、水中油型(oil in water、O/W)基剤、油中水型(water in oil、W/O)基剤、懸濁型基剤などが挙げられる。
前記水中油型基剤としては、界面活性剤の存在下又は非存在下で、前記ラノリン、プロピレングリコール、ステアリルアルコール、ワセリン、シリコーン油、流動パラフィン、グリセリルモノステアレート、ポリエチレングリコールなどの成分を水相中に乳化(emulsification)、分散させた基剤などが挙げられる。前記基剤は、クリームなどを調製する際に好適に使用できるものである。
前記油中水型基剤としては、ワセリン、高級脂肪族アルコール、流動パラフィンなどの成分に、非イオン性界面活性剤の存在下で水を加え、乳化、分散させた基剤などが挙げられる。
前記水中油型基剤及び油中水型基剤は、水を含有した剤形、例えば、水を含有する液剤、ローション剤、パップ(pap)剤、軟膏剤などに使用することが好ましい。
前記懸濁性基剤としては、水に澱粉、グリセリン、高粘度カルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose)、カルボキシビニルポリマー(carboxy vinyl polymer)などの懸濁化剤を加えてゲル状(gel phase)にした水性基剤などが挙げられる。
本発明に係る褥瘡の治療剤又は予防剤、火傷の治療剤の外用剤は、一般に採用されている外用剤の調製方法により製造することができる。例えば、前記軟膏剤又はクリーム剤は、それぞれの剤形に応じて基剤原料を混練(roll mixing milling)、乳化又は懸濁させて基剤を調製した後、有効成分及び各種添加剤を加えて混合させることによって製造することができる。混合時にはスクリューミキサー(screw mixer)、ホモミキサー、混練機(kneader)、ロールミル(roll mill)などのように一般に用いられている混合機を用いることができる。
前記剤形がローション剤である場合には、懸濁型、乳剤型及び溶液型のいずれのタイプであってもよい。
前記懸濁型ローションの基剤としては、アラビアゴム(gum arabic)、トラガカントゴム(gum tragacanth)などのゴム類、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチル澱粉などのセルロース類、ベントナイト(bentonite)、ビーガム(veegum)HVなどの粘土類の懸濁剤と水の混合物などが挙げられる。前記懸濁型ローションの基剤は、通常、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記乳剤型ローションの基剤としては、水とステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸などの脂肪酸、ステアリルアルコール、セタノール、ベヘニルアルコール(behenyl alcohol)などの高級アルコール等の油性物質を乳化させた基剤などが挙げられる。前記乳剤型ローションの基剤は、通常、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記溶液型ローションの基剤としては、水、エタノール、グリセリン、プロピレングリコールなどのアルコール等が挙げられる。前記溶液型ローションの基剤は、通常、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記ローション剤は、例えば、精製水に様々な基剤成分を添加して混合、撹拌(agitation)した後、有効成分及び添加剤を加えて混合し、所望に応じて濾過を行うことによって製造することができる。
剤形が前記塗布薬(liniment)である場合、その基剤としては、例えば、オリーブ油、ゴマ油、アーモンド油、綿実油(cotton seed oil)、テレピン油などの植物油類、エタノール、プロパノール(propanol)、イソプロパノール(isopropanol)などのアルコール類、それらと水の混合物などが挙げられる。前記塗布薬の基剤は、通常、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記塗布薬は、基剤に有効成分を溶解させた後、所望の成分を加えて混合させることによって製造できる。
剤形が前記パップ剤である場合、その基剤として、例えば、ポリアクリル酸及びその塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性高分子化合物、前記水溶性高分子化合物をミョウバン(alum)などの多価金属塩で架橋させた基剤、前記水溶性高分子化合物に放射線照射のような物理的処理を施して架橋させた基剤などの架橋体などが挙げられる。前記パップ剤の基剤は、通常、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記パップ剤は、有効成分、基剤及び所望の添加物を混合し、加熱後に冷却させることによって製造できる。
前記プラスター(plaster)剤、パッチ(patch)剤及び硬膏剤の場合、不織布などの支持体、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム、ポリイソブチレン、ポリビニルアルキルエーテル、ポリウレタン、ジメチルポリシロキサン、スチレン−イソプレン−スチレンゴム、イソプレンゴムなどの弾性体、亜鉛華、酸化チタン、シリカなどの充填剤、弾性体との相溶性が良いテルペン(terpene)樹脂、ロジン(rosin)又はそのエステル、フェノール樹脂などの粘着付与剤、酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリ塩化ビニルなどの剥離(exfoliation)処理剤、流動パラフィン、プロセスオイル(process oil)などの軟化剤、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)などの老化防止剤などが挙げられる。これらの成分は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
前記プラスター剤、パッチ剤、硬膏剤などは、溶液法や熱圧法などの常法により製造することができる。
具体的には、例えば、熱圧式によるときは、有効成分及び各成分をロール機械などで均一に混練(roll mixing milling)させ、熱及び圧力を加えたカレンダーを使用して離型紙(release paper)上に均一な厚さになるように塗布して薬物含有層を形成した後、これを支持体の表面に積層、密着させて製造することができる。
前記ゲル剤、液剤、テープ剤などの場合にも、その基剤は、通常の外用剤に使用されているものであればよく、特に限定されない。
以下、本発明を説明する。
本願発明の褥瘡及び火傷の治療のための組成物は、動物の肺組織を破砕して抽出した全リン脂質画分(total phospholipid fraction)であって、DPPCの含量が25%以上(HPLC−ELSDを用いて濃度を測定した場合)であるものを主成分とし(図1)、microM濃度の有機酸を選択的に含有することを特徴とする。
本発明では、全リン脂質画分(Total phospholipid fraction、TPF)は、豚の肺から抽出して精製したリン脂質画分であって、ジパルミトイルホスファチジルコリン(dipalmitoyl phosphatidylcholine)(DPPC)をはじめとする肺胞に存在するリン脂質界面活性体は、強い極性を帯びた頭部位(head group)を有しているので、水と容易に混合することができ、分子内に短い飽和脂肪酸2個を有していることにより、洗剤(detergent)のような役割を果たすことができる。
すなわち、タンパク質を凝集させる疎水性結合及び極性結合などを同時に妨げることで、褥瘡患部に累積して互いに凝集している血漿タンパク質を解離させ、より小さな単量体にし、これらのタンパク質の血管への再吸収、細胞による分解及び外部への排出を容易にすることができ、同時に、表面に極性の脂肪膜を形成するようにして水分の蒸発を減少させる役割を期待することができる。
さらに、カルボキシル基(carboxyl group)を有する短い炭素鎖の有機酸であるプロピオン酸(propionic acid,propionate、Pi)は、血漿に含有されて滲出したカルシウムのような様々な2価カチオンの双方向イオン結合を介してタンパク質の凝集現象をより効果的に妨げることができる。
本発明の実験例では、褥瘡治療の候補物質であるTPFとPiを用いて、マウス動物モデルの非臨床評価を用いて褥瘡治療の改善及びそのメカニズムを記載した。
本発明では、TPFと共にPiが添加されたTPFの処理が、I/R後に潰瘍の形成を有意に抑制していることを示した。TPFのドレッシングによって傷部位の回復速度が増加し、皮膚水分損失量は一部のTPFによって改善され、炎症の抑制、アポトーシスの抑制、繊維組織、血管の回復及び皮膚障壁の改善において、既存の褥瘡の治療に広く使用されるスルファジアジン銀(silver sulfadiazine)とさらに類似あるいはさらに効果的であることを示した。特に、低濃度(2%)TPF+Piが高濃度(4%)TPFの効果とほぼ同一であり、炎症の抑制とアポトーシスを減少させるのにさらに良い効果を奏することを示した。
本発明の組成物は、火傷及び褥瘡の治療に対して、下記のような効果を示す。
本発明は、皮膚I/R損傷のTPF及びPiパラメータの保護メカニズムを確認した。本発明の結果は、TPFの処理が、M1マクロファージの浸潤を抑制し、M1マクロファージの前炎症性メディエータ(proinflammatory mediators)によって誘導された皮膚炎症を抑制することを示す。また、低濃度TPFの処理も、Piの追加により高濃度TPFと類似の効果を示すことができることを確認した。
本発明は、TPF及びPiの処理が、I/Rで誘導されたアポトーシス細胞の数が減少することを示した。このような結果は、皮膚I/R後、アポトーシス細胞のphagocytosis及びclearanceを増加させて、これらが蓄積することを防いでいるが、これは、I/R褥瘡部位での細胞の死滅及び壊死の抑制、及び圧迫潰瘍からTPF及びPiの保護効果を示す。
本発明では、高濃度TPF及び低濃度TPF+Piの処理によって、褥瘡部位の傷の回復が促進されると共に、コラーゲンの含量が増加することを確認した。また、真皮内のコラーゲンtypeI/IIIの生成比率を確認して、TPF及びPiの処理が、I/R後の皮膚の褥瘡部位の正常組織の回復に重要な役割をしていることを確認した。また、I/R褥瘡部位の血管分布を評価し、I/R領域の血管周囲細胞の数が対照群のマウスよりも有意に多いということを見出した。本発明は、皮膚I/R損傷に対するTPF及びPiの保護効果が、炎症の抑制のみならず、繊維組織の再生及び血管新生の促進にも関連があることを示唆している。
前記の結果を総合的に見ると、本発明は、TPFが褥瘡治癒の速度を加速化すると同時に、抗炎症、コラーゲン生成誘導、血管の生成及び皮膚障壁の回復を通じた組織再生活性に寄与して、皮膚I/R損傷により誘発された圧迫潰瘍の形成を抑制すると結論付けている。また、Piの追加時に、低濃度のTPFでも高濃度のTPFと類似の効果を示すことができることを証明した。TPFの持続的な治療は、褥瘡(decubitus)潰瘍及び他の虚血性潰瘍を含め、皮膚創傷の治癒に関連する素材として有効性を示し、産業上の利用が可能であることを示している。
豚の肺組織から抽出したリン脂質画分を示す図であって、精製されたリン脂質分画は、HPLC−ELSDシステム(Waters e2695 Waters 2424(ELSD))を用いて分析した。カラムは、waters Xbridge column C18 5.0μm(4.6mm×150mm)を用いた。#1,phosphatidylinositol;#2,1−Palmitoyl−2−arachidony phosphatidylcholine;#3,1−palmitoyl−2−linoleoyl phosphatidylcholine;#4,1−palmitoyl−2−palmitoleonyl phosphatidylcholine;#5,1−palmitoyl−2−oleoyl phosphatidylcholine;#6,dipalmityl phosphatidylcholine;#7&#8,phsphatylethaolamine;#9,sphingomyelin. 皮膚I/R後、圧迫潰瘍の形成に対するTPFとプロピオン酸(propionate)の効果を示した図、(A)傷治癒モデルの概略図。マウスの背中側の皮膚を剃り、I/Rサイクルを2回実施した後、対照群(PBS)と試験物質(SS、4%TPF、2%TPF+Pi)を1日2回ドレッシングして、褥瘡の治癒に対して20日間評価した。(B)C57BL/6マウスにおけるI/R損傷後の褥瘡部位の写真。(C)C57BL/6マウスにおけるI/R損傷後の褥瘡面積のサイズの変化。I/R誘導後のマウスの潰瘍のサイズを100%値として指定した。(D)C57BL/6マウスにおけるI/R損傷後の傷部位のTEWL。(E)試験物質の処理後のマウスの重量の変化。 皮膚I/Rによる傷部位の炎症反応に対するTPFとプロピオン酸(propionate)の効果を示した図、(A及びB)C57BL/6マウスにおけるI/R損傷4日後の傷部位の組織写真。(Red arrow:mast cell)、Scale bar、100μm。 I/R皮膚損傷後、浸潤するマクロファージの抑制に対するTPFとプロピオン酸(propionate)の効果を示した図、(A)I/R皮膚損傷後4日目に浸潤する好中球とマクロファージをMPO及びCD68抗体で染色した皮膚褥瘡部位の組織写真。(B)iNOS(M1マクロファージ)、Arg−1(M2マクロファージ)抗体で染色した皮膚褥瘡部位の組織写真。(C)I/R後4日目にiNOS及びarginase−1の発現レベルをRT−PCRと免疫ブロット(immunoblot)で定量。(D)I/R後4日目にMCP−1、IL−1β、IL−6及びTNFαのmRNAの発現レベルを定量。Scale bar、100μm。*p<0.05、**p<0.01 I/R皮膚損傷後、アポトーシスの抑制に対するTPFとプロピオン酸(propionate)の効果を示した図、(A)C57BL/6マウスにおけるI/R損傷4日後、H&E、TUNEL染色を用いた皮膚の褥瘡部位の組織写真。(B)I/R損傷4日後、皮膚の褥瘡部位のアポトーシス細胞の数。(C)I/R後4日目にBax及びcleaved caspase−3の発現レベルをimmunoblotで定量。Scale bar、100μm。*p<0.05、**p<0.01 I/R皮膚損傷後、繊維組織の回復に対するTPFとプロピオン酸(propionate)の効果を示した図、(A)C57BL/6マウスにおけるI/R損傷12日後、H&E、masson’s trichome、picro−sirius red、αSMA抗体の染色を用いた皮膚の褥瘡部位の組織写真。(B)C57BL/6マウスにおけるI/R損傷16日後、H&E、picro−sirius red染色を用いた皮膚の褥瘡部位の組織写真。Scale bar、100μm。 I/R皮膚損傷後、皮膚障壁の改善に対するTPFとプロピオン酸(propionate)の効果を示した図、C57BL/6マウスにおけるI/R損傷16日後、H&E、filaggrin、involucrin抗体の染色を用いた皮膚の褥瘡部位の組織写真。Scale bar、100μm。
以下、非限定的な実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。ただし、下記の実施例は、本発明を例示するための目的で記載されたものであって、本発明の範囲は、下記の実施例によって制限されるものと解釈されない。
実施例1:豚の肺からリン脂質画分の精製
抽出方法は、Moon et.al(Mol Biol Rep.2012 39:4237−4247)が記述した方法を用いた。
簡単に述べると、新鮮な豚の肺組織に食塩水を添加してミキサーで破砕した後、CaClを5mMの濃度になるように添加して、水溶性破砕液中でリン脂質の沈殿を促進した。破砕した試料を遠心分離して沈殿物を得た後、沈殿物をクロロホルム:メタノール(1:2)有機溶媒に溶解して、全脂質画分(total lipid fraction)を得た。得られた全脂質画分をシリカオープンカラムに適用して、脂肪酸及び中性脂肪などを溶出させて除去し、リン脂質画分(total phospholipid fraction、TPF)を別々に集めて得た。精製されたリン脂質画分は、真空回転蒸発器を用いて濃縮した後、摂氏−70℃で凍結乾燥した。試料は、使用前まで−20℃で保管した。
抽出工程において、リン脂質を容易に沈殿させるためにCaCl溶液を適用したので、最終リン脂質画分中の残存カルシウムの含量の有無を調べた。Ca2+の検出は、QuantichromTM Calcium Assay Kit(DICA−500、BioAssy System、USA)を用い、有機溶媒の抽出過程でCa2+イオンが全て除去されたことを確認した。
実施例2:組成物の製造
前記精製された豚肺抽出リン脂質画分(TPF)を10microM propionate/propionic acid(pH5.8)溶液に混濁させて使用した。TPFの最終濃度は20mg/mlになるように製造した。
実験例:
1)試験材料
−全リン脂質画分(Total phospholipid fraction、TPF)、Propionate(propionic acid、Pi)
2)実験方法
試験動物
種及び系統:C57BL/6(Female)
供給源及び生産者:マウスは、(株)中央実験動物(ソウル、韓国)によって生産された品種の供給を受けた。
入手及び試験物質の処理:6週齢に入手して7日間適応させた後、マグネット(magnet)を用いた褥瘡を誘導する。その後、試験物質(silver sulfadiazine、4%TPF、2%TPF+Pi)をドレッシング(dressing)で1日に2回、3週間処理する。
群の構成及び試験デザイン
表1は、群の構成及び処理容量の設定を示す。
試験評価項目
褥瘡誘導部位の回復レベルの評価:目視評価、TEWL、体重の変化、wound size
炎症反応改善の評価:マスト細胞(mast cell)、好中球(neutrophil)、マクロファージ(macrophage)の浸潤
繊維組織回復の評価:コラーゲンの形成及びI/IIIの構成比率
血管生成の程度の評価:αSMA発現の確認
皮膚障壁改善の評価:フィラグリン(filaggrin)、インボルクリン(involucrin)発現の確認
アポトーシス予防の評価:アポトーシス細胞(apoptotic cell)の確認
褥瘡類似損傷の誘発
Magnetic plate Ischemia/Reperfusion model(I/R)。
I/Rサイクルモデルは、以前に報告されている。マウスに麻酔をした後、背中を剃り、皮膚をやさしく引っ張って、平均重量が2.4g及び1,000G magnetic force(直径、12mm;厚さ、5mm)であるセラミック磁石の間に位置させる。筋肉を除いた経皮、真皮組織は、磁石プレートの間に位置して、平均圧力2,000mmHgを受けることができるようにする。12時間の間隔で虚血と灌流を繰り返して2回繰り返すことができるようにし、各実験の日程に合わせて評価を行う。
ドレッシング
褥瘡の誘発後、褥瘡の発生を目視で確認した後、実験群と対照群の両方とも、褥瘡部位をまず生理食塩水で洗浄した。試験物質で湿らせたガーゼドレッシングで褥瘡部位を覆った後、TegadermTM(3M Health Care,St.Paul,MN,USA)を用いて縫合した。固定のために、VetWrapTM(3M)でさらにラップした。ドレッシングの交換は、1日に2回(午前/夕方)、3週間実施した。
皮膚病変の目視観察評価
虚血で損傷した皮膚組織の様子を評価し、数値化した。観察期間による病変部位の回復を面積で評価した。褥瘡の面積は、近距離目視写真撮影(DSLR、Dermascope)を行って測定した。実験群と対照群の両方とも、褥瘡誘発2日目に目視で褥瘡の発生を確認した後、3週間、計10回にわたって写真撮影を行った。写真が一部消失したもの及び目視で確認しにくいマウスは除いて、8匹の資料を分析に使用した。撮影された褥瘡発生部位は、imageJ software v1.44(NIH,Bethesda,USA)を用いてその面積を計算した。
組織病理学的評価(H&E,Toluidine blue,Masson’s trichrome,Sirius Red)
組織損傷の発生による様々な皮膚組織の回復を観察するために、褥瘡の誘導後4日、8日、12日、16日目にマウスから皮膚組織を分離した後、10%パラホルムアルデヒド(PFA)で固定させた後、パラフィンワックスに挿入した。組織切片を、ミクロトームによって5μmの直列横断面で切断した。切削された組織は、ガラススライド(Probe On PlusTM,Fisher Scientific,PA,USA)に移されて脱脂、脱水を経てH&E(皮膚組織の変化)、Toluidine blue(mast cell infiltration)、Masson’s trichrome&Sirius Red(繊維組織の回復)染色を用いて、組織学的分析を実施した。各染色法によって、試験物質が炎症反応及び細胞浸潤の減少と繊維組織の回復に関与するかを評価した。
免疫組織化学染色法
皮膚組織に浸潤した炎症細胞を分別し、皮膚障壁の改善を確認するための特定の抗体を用いて、浸潤した細胞の性質を区別し、皮膚の変化を確認した。炎症反応の改善(MPO、CD68、iNOS、Arg−1)、皮膚障壁の改善(Filaggrin、Involucrin)、血管の生成(αSMA)、アポトーシス(TUNEL)など、虚血損傷の誘発に関与するタンパク質を、特定のマーカーを用いて免疫組織化学染色を実施した後、観察して比較分析した。蛍光イメージは、共焦点レーザー顕微鏡(Confocal microscopy)(LSM700,ZEISS,Jena,Germany)を使用して取得した。
免疫ブロットアッセイ(Immunoblot assay)
分離された皮膚組織をPRO−PREP(iNtRON,Seongnam,Korea)に溶解させた後、14,000gで20分間遠心分離して、上層液を実験に使用した。タンパク質の濃度は、BCA kit(Fisher Scientific,hampton,NH,USA)を使用して定量した。分離された上層液(総タンパク質量30μg)を8〜12%ゲルSDS−PAGEを用いて電気泳動で分離されたタンパク質はPVDF membrane(Millipore,Danvers,MA,USA)にトランスファ(transfer)した。トランスファされたPVDF membraneを5%脱脂粉乳に1時間blockingした後、1次抗体(Bax,Cleaved caspase−3,GAPDH)をmembraneと4℃で12時間反応させ、TBSTで洗浄(washing)した後、1次抗体に対する特異的2次抗体を室温で1時間反応させた。Membraneの洗浄後、ECL溶液(Millipore)で発色後、ChemiDocTM XRS+System(Bio−RAD,Hercules,CA,USA)を用いて測定した。
褥瘡の治癒時に発現する炎症性サイトカインの変化の観察
傷治癒過程に関与する炎症サイトカイン(MCP−1、IL−1β、IL−6、TNFα)の遺伝子発現変化を、リアルタイムPCR(real−time PCR)を用いて比較分析した。総RNAは、TRIzol(Invitrogen,Carlsbad,CA,USA)を使用して分離された皮膚組織から抽出した。全RNA鋳型から一本鎖cDNAの合成は、Prime ScriptTM RTマスターミックス(Takara,Tokyo,Japan)で行った。生成されたcDNAを、CFX−96(Bio−Rad,Hercules,CA,USA)と共にqPCR 2x PreMIX SYBR(Enzynomics,Seoul,Korea)を使用してリアルタイムPCRを実施した。全ての遺伝子を増幅するのに使用されたPCRは、95℃で10分間変性(denaturation)過程を経た後、40サイクル(95℃10秒、60℃15秒、72℃30秒)の条件で行われた。発現データは、ΔCt定量化方法を用いてサイクル閾値(Ct)値で計算した。GAPDHを用いて定量化した。
統計学的有意性の検証
本発明のデータは“(平均±標準偏差)”で表し、各データの統計分析は、正規性分析に従ってt−検定を実施した。グループ間で比較してp<0.05のレベルで有意性を判断した。(*p<0.05、**p<0.01)
前記実験例の結果は、下記の通りである。
マウスにおける虚血性皮膚損傷(cutaneous ischemia/reperfusion−I/R)後、褥瘡の形成に対するTPFとプロピオン酸(propionate)の保護効果の評価
全リン脂質画分(TPF)の褥瘡及び皮膚圧迫潰瘍(cutaneous pressure ulcer)に及ぼす影響を確認した。C57BL/6マウスにI/R損傷後に形成された褥瘡部位に、生理食塩水、スルファジアジン銀(silver sulfadiazine)(SS)、4%TPF、2%TPF+プロピオン酸(Pi)をドレッシングした後、傷の面積を比較した。本発明では、簡単で、再現性があり、非侵襲性である実験用マウスモデルを用いて、in vivoで、I/Rによる皮膚圧迫潰瘍の発病メカニズムを評価した(図2A)。4%TPFを追加した試験物質のドレッシング処理は、I/R後に皮膚圧迫潰瘍の形成を有意に抑制していることを確認した。また、さらに低い濃度である2%TPFにPiを添加した試験物質の処理もまた、4%TPFと類似のレベルで皮膚圧迫潰瘍の形成を抑制した。I/Rによって誘発された褥瘡部位の初期の褥瘡面積の差があるかを比較した結果、実験群(SS、4%TPF、2%TPF+Pi)と対照群(Control)がいずれも、面積がほぼ同一に形成されて、実験前の褥瘡のサイズは同質であることを確認した(図2B)。ドレッシング処置4日後、4%TPF、2%TPF+Pi処理マウスの褥瘡面積は、対照群マウスの褥瘡面積の約70〜85%のレベルで、回復がさらに早く進行していることを示した(図2B及び図2C;SS:93%、4%TPF:75%、2%TPF+Pi:85%)。ただし、初期の褥瘡面積の減少は、2%TPF+Piを処理した群で多少低い割合を示したが、6日(各25%、26%)以降は減少の割合がほぼ同一になる傾向を示した。4%TPFでドレッシングしたマウスの褥瘡面積のサイズは、ドレッシング後、4日以降に著しく減少し、2%TPF+Piでドレッシングしたマウスは、6日以降に褥瘡面積が大幅に減少した反面、対照群マウスの傷縫合(wound closure)時間は、TPF処理後の傷縫合時間よりも長く、褥瘡の回復速度に有意差があるものと示された。次に、傷部位の皮膚の水分蒸発に対する皮膚水分損失量(Transepidermal water loss、TEWL)を測定した(図2D)。褥瘡や火傷の場合、角質の機能が損傷しているか、又は角質が全てなくなった状態で、水分蒸発が増加するようになる。TEWLを測定した結果、ドレッシングの初期には、その差は発見できなかったが、傷のサイズが約50%以上回復した6日以降には、皮膚水分損失量が、対照群に比べて、TPFをドレッシングしたグループで全般的に減少する傾向を示した。特に、4%TPFと2%TPF+Piとの間の効果差は観察されなかった。また、各試験物質に対する有害性を確認するために、マウスの重量を測定した結果、異常点は見られなかった(図2E)。本実験の結果は、TPFが、I/R後に部分的に皮膚圧迫潰瘍の形成を保護することを示す。中でも、褥瘡の初期回復速度において高濃度(4%)TPFがさらに良い効果を示したが、その後、低濃度(2%)TPFにPiが添加された試験物質も類似の回復速度を示し、2つの試験物質がいずれも、SSよりもさらに良い効果があることを示した。
マウスにおけるI/R損傷後、傷部位の炎症反応に対するTPFとプロピオン酸(propionate)の効果
I/R損傷4日後、炎症細胞の浸潤を観察するために組織学的変化を観察した。治癒しにくい圧迫潰瘍のような条件では、ROSと様々な酵素を有している好中球(neutrophil)の浸潤が固着化しながら慢性炎症状態に至るようになるが、このような潰瘍の治癒は、炎症が制御された後に進行する。また、異常な治癒過程は、繊維症(fibrosis)を誘発することもあるが、時々、このような繊維性病変は、肥満細胞(mast cell)の増加が関与することもある。一般に肥満細胞は、傷治癒過程中に増加し、酵素、ヒスタミン及び様々な活性アミン(amine)で充填された顆粒を放出して炎症を引き起こす。肥満細胞から放出される活性アミンは、周辺血管が漏れる原因となり、したがって、単核細胞が損傷部位に迅速に移動できるようにする。本実験では、トルイジン青(toluidine blue)染色を用いて褥瘡形成部位の肥満細胞の浸潤の程度を測定して、炎症反応の程度を観察した(図3)。対照群の場合、I/Rによる皮膚損傷時、肥満細胞の浸潤が非常に増加した。しかし、SS、4%TPF及び2%TPF+Piを処理したグループでは、肥満細胞の浸潤の程度が非常に減少したことを確認できる(図3A及び図3B)。そして、統計的に、2%TPF+Piを処理したグループが、肥満細胞の浸潤の抑制に最も良い効果を示している。これらの結果は、TPFが、炎症反応を媒介する脂肪細胞の浸潤の減少を誘導することによって炎症反応を減少させていることを示し、Piの添加により、その効果が増加していることを示唆している。
マウスにおけるI/R損傷後、傷部位のマクロファージの浸潤に対するTPFとプロピオン酸(propionate)の効果
好中球(neutrophil)及びマクロファージ(macrophage)は、炎症及び血管新生を調節してI/R損傷に関与する。本実験では、皮膚I/R損傷後、好中球及びマクロファージの浸潤及び活性に対するTPF及びPiの影響を分析した。I/R損傷後、ドレッシング4日後、真皮のむくみと皮下腺での炎症細胞の浸潤が組織学的に観察された(図4)。そして、MPOとCD68抗体を用いて、I/R後の好中球とマクロファージの浸潤を確認した結果、試験群(SS、4%TPF及び2%TPF+Pi)を処理したグループでは、好中球とマクロファージの数が、対照群と比較して有意に減少した。これは、TPFが、好中球及びマクロファージの蓄積又は機能を調節できることを示唆し、低濃度(2%)のTPFと共にPiの処理は、高濃度(4%)のTPFとほぼ同一又はそれ以上の効果があることを示している(図4A及び図4C)。皮膚内の局所微環境は、古典的活性化マクロファージ(classically activated macrophage)(M1マクロファージ)と選択的活性化マクロファージ(alternatively activated macrophage)(M2マクロファージ)の発達を促進させる。M1マクロファージは、初期の組織損傷反応で観察され、MCP−1、NO、IL−1、IL−6、IL−12及びTNFαを含む前炎症性媒介体の分泌による炎症を誘導する。その一方で、M2マクロファージは、初期及び中間段階において必須の役割をするが、炎症の解消を誘導し、組織の復旧を促進する。したがって、本実験は、I/R部位でM1及びM2マクロファージの変化を調べた。我々は、まず、各グループ別にiNOS(M1 marker)とArg−1(M2 marker) mRNAの発現を確認した(図4C)。I/R誘導後に増加したiNOS mRNAのレベルは、SS、4%TPF及び2%TPF+Piを処理したグループで有意に減少した。しかし、Arg−1のmRNAのレベルは若干減少する傾向を示したが、統計的に有意ではなかった。免疫ブロットアッセイ(Immunoblot assay)で確認したiNOS及びArg−1の発現の変化もほぼ同一の傾向を示した(図4C)。次いで、組織蛍光染色で組織内の浸潤を確認した。I/R損傷の初期に、M1及びM2マクロファージは非常に増加している。その一方で、SS、4%TPF、及び2%TPF+Piを処理したとき、総iNOS M1マクロファージの数は有意に減少し、Arg−1 M2マクロファージは若干減少した(図4B)。ただし、iNOS及びArg−1の発現量の変化を比較したとき、褥瘡の初期のTPFによるマクロファージの減少量が、M1マクロファージにさらに集中している。次に、リアルタイムPCRを用いて、I/R損傷部位でM1マクロファージによって分泌され得る前炎症性サイトカイン及びケモカインMCP−1、IL−1β、IL−6、TNFαのmRNAのレベルに対するTPF及びPiの効果を調べた。SS、4%TPF、及び2%TPF+Piのドレッシングは、I/R損傷により増加した炎症誘発性サイトカイン及びケモカインのmRNAのレベルを有意に抑制した(図4D)。ただし、4%TPFと2%TPF+Piとの間に有意差は示されなかった。本実験によって、4%TPF及び2%TPF+Piが、I/R後に誘導される好中球及びマクロファージの組織内の浸潤を減少させ、皮膚炎症を緩和させることができることを示唆し、低濃度(2%)のTPFにPiの添加は、高濃度(4%)のTPFとほぼ同一の効果を示すことができることを示唆している。
マウスにおけるI/R損傷後、アポトーシスの抑制に対するTPFとプロピオン酸(propionate)の効果
I/Rによって発生した活性酸素種(reactive oxygen species、ROS)は、皮膚細胞のアポトーシス(apoptosis)を誘導することができ、2次壊死(necrosis)によって誘発された炎症反応を引き起こすことができる。I/R誘導で損傷した皮膚のアポトーシスに対するTPF及びPiの効果を確認するために、皮膚組織にTUNEL染色を行った。4日目の皮膚組織のI/R誘導部位において、4%TPF及び2%TPF+Piをドレッシングしたグループの死滅した細胞数が、対照群マウスと比較して減少したことが確認された(図5A及び図5B)。さらに、アポトーシスに関与するタンパク質の変化を確認した。Bax及びcleaved caspase−3は、アポトーシスが発生したときに活性化されるタンパク質であって、アポトーシスマーカーとして使用される。4%TPF及び2%TPF+Piの処理は、I/R損傷時に誘導されたBax及びcleaved caspase−3の活性を減少させた(図5C)。ただし、2つのグループ間の有意差は発見されなかったが、低濃度(2%)にPiの添加で高濃度(4%)TPFの効果を奏することができることを示した。このような結果は、4%TPF、2%TPF+Piが、皮膚I/R損傷によって誘導されたアポトーシス細胞の形成及び蓄積を抑制できることを示唆している。
マウスにおけるI/R損傷後、傷部位の繊維組織の回復及び血管の生成に対するTPFとプロピオン酸(propionate)の効果
皮膚I/R損傷後、12日、16日目に繊維組織の回復に対するTPF及びPiの効果を調べた。12日目に表皮の再生は、TPFを処理した全てのグループで完了したが、対照群及びSSを処理したグループでは一部進行中であり、むくみ及び出血はほとんど回復した(図6A)。Masson’s trichromeとpicro−sirius redによって、真皮内のコラーゲンの含有の程度を比較し、これにより、繊維組織の回復の程度を把握した。対照群に比べて、SS、4%TPF及び2%TPF+Piを処理した全てのグループで真皮の繊維化された組織が増加したことを確認した。正常真皮は、約80%のtypeIコラーゲンと20%のtypeIIIコラーゲンを含む。一般に創傷後24時間が経過すると、浸透した線維芽細胞(fibroblast)がtypeIとtypeIIIコラーゲンを合成、分泌して新しい基質(matrix)を形成し始める。肉芽組織(granuloma tissue)は、正常な組織よりはtypeIIIコラーゲンが著しく増加するが、それでも、typeIコラーゲンが主な成分をなし、正常組織に近づくほど、typeIコラーゲンの比率が増加するようになる。我々は、I/R誘導後、真皮内のコラーゲンの生成比率を見るために、16日目にpicro−sirius redで染色した(図6B)。I/R誘導後、PBSのみを処理した対照群では、真皮上層部に薄く、緑色及び黄色を帯びたtypeIIIコラーゲンの比率が相対的に高いことを確認できる。しかし、SS、4%TPF及び2%TPF+Piをドレッシングした試験群では、深部で見られるように、交差構成を示す、より一層厚く、成熟した赤色、赤黄色のtypeIコラーゲン繊維が形成されている。これは、I/Rによる皮膚圧迫潰瘍の治癒過程の後半に、組織再構築(tissue remodeling)を促進しながら、正常な皮膚への早い回復を誘導していることを示唆している。ただし、4%TPFと2%TPF+Piとの間の有意差は確認されなかったが、低濃度(2%)のTPFにPiの添加で高濃度(4%)TPFの処理とほぼ同一の効能を示すことができることを示唆している。
追加的に、皮膚再生過程で微細血管の密度を共に観察するために、αSMA免疫染色をした結果、微細血管は、主に褥瘡部位の近くに位置した真皮乳頭層と深部に出現した(図6A)。αSMA−陽性の微細血管の密度は、対照群に比べて試験群で有意に増加し、4%TPFと2%TPF+Piとの間の有意差は見られない。
マウスにおけるI/R損傷後、皮膚障壁の改善に対するTPFとプロピオン酸(propionate)の効果
表皮層の再生は、I/R損傷後16日目に全ての群において、完全ではなかったが、ほとんど、上皮の再形成がなされた。I/R誘導後に回復した上皮の構成及び状態の確認のために、免疫組織化学染色を実施した。図7から確認できるように、S.S.、4%TPF及び2%TPF+Piの処理は、上皮細胞の分化の指標であるフィラグリン(filaggrin)とインボルクリン(involucrin)の発現が対照群に比べて増加した。角質形成細胞(keratinocyte)は、有棘層(spinous layer)の細胞が顆粒層(granular layer)から角質層に最終分化することによって、その形態と生化学的特性を根本的に変化させるもので、表皮の保護膜の機能を獲得する。不溶性角化型ケラチン(K1、K10)がフィラグリンの活動によって凝集し、ケラチンパターンと呼ばれる層状で膜状の構造を形成して、角質層の水分の維持を有効にする機能することもある。細胞膜では、インボルクリン(involucrin)、ロリクリン(loricrin)などの後期角質化過程に有効なタンパク質が、カルシウム依存性トランスグルタミナーゼ(transglutaminase)などの多数の酵素活性によって細胞膜の内側に架橋されて不溶性の辺縁帯を形成した後、角質形成細胞を剥がれにくい強靭な層状の構造物に再構成し、保護膜としての機能を完成させるので、表皮層の再生後の分化を通じたこれらの発現は、正常な表皮の構成に重要である。本研究では、I/R損傷後、高濃度(4%)TPF、低濃度(2%)TPF+Piのドレッシングが、表皮層の早い再生と共に角質形成細胞の分化を誘導して皮膚障壁を改善することによって、正常な皮膚に回復させるのに効果があることを確認した。

Claims (10)

  1. 動物の肺組織抽出物を有効成分として含む、褥瘡治療用組成物。
  2. 前記動物は豚であることを特徴とする、請求項1に記載の褥瘡治療用組成物。
  3. 前記肺組織抽出物はリン脂質画分であることを特徴とする、請求項1に記載の褥瘡治療用組成物。
  4. 前記組成物は、さらに有機酸又はその塩を含むことを特徴とする、請求項1に記載の褥瘡治療用組成物。
  5. 前記有機酸はプロピオン酸であることを特徴とする、請求項4に記載の褥瘡治療用組成物。
  6. 動物の肺組織抽出物を有効成分として含む、火傷治療用組成物。
  7. 前記動物は豚であることを特徴とする、請求項6に記載の火傷治療用組成物。
  8. 前記肺組織抽出物はリン脂質画分であることを特徴とする、請求項6に記載の火傷治療用組成物。
  9. 前記組成物は、さらに有機酸又はその塩を含むことを特徴とする、請求項6に記載の火傷治療用組成物。
  10. 前記有機酸はプロピオン酸であることを特徴とする、請求項9に記載の火傷治療用組成物。
JP2020522655A 2017-07-07 2018-07-04 火傷及び褥瘡の緩和及び治療用組成物 Pending JP2020526585A (ja)

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