JP2020511992A - 遺伝子組換えt細胞調節分子およびその使用方法 - Google Patents

遺伝子組換えt細胞調節分子およびその使用方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2020511992A
JP2020511992A JP2019553368A JP2019553368A JP2020511992A JP 2020511992 A JP2020511992 A JP 2020511992A JP 2019553368 A JP2019553368 A JP 2019553368A JP 2019553368 A JP2019553368 A JP 2019553368A JP 2020511992 A JP2020511992 A JP 2020511992A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polypeptide
comp
seq
vista
nucleic acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019553368A
Other languages
English (en)
Inventor
プロデウス,アーロン
ガリーピー,ジーン
アブダルカリー アルウォッシュ,メイズ
アブダルカリー アルウォッシュ,メイズ
Original Assignee
サニーブルック リサーチ インスティテュート
サニーブルック リサーチ インスティテュート
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by サニーブルック リサーチ インスティテュート, サニーブルック リサーチ インスティテュート filed Critical サニーブルック リサーチ インスティテュート
Publication of JP2020511992A publication Critical patent/JP2020511992A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/78Connective tissue peptides, e.g. collagen, elastin, laminin, fibronectin, vitronectin, cold insoluble globulin [CIG]
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P37/00Drugs for immunological or allergic disorders
    • A61P37/02Immunomodulators
    • A61P37/06Immunosuppressants, e.g. drugs for graft rejection
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/46Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates
    • C07K14/47Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates from mammals
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/705Receptors; Cell surface antigens; Cell surface determinants
    • C07K14/70503Immunoglobulin superfamily
    • C07K14/70532B7 molecules, e.g. CD80, CD86
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K19/00Hybrid peptides, i.e. peptides covalently bound to nucleic acids, or non-covalently bound protein-protein complexes
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/705Receptors; Cell surface antigens; Cell surface determinants
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2319/00Fusion polypeptide
    • C07K2319/01Fusion polypeptide containing a localisation/targetting motif
    • C07K2319/03Fusion polypeptide containing a localisation/targetting motif containing a transmembrane segment
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2501/00Active agents used in cell culture processes, e.g. differentation
    • C12N2501/998Proteins not provided for elsewhere
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N5/00Undifferentiated human, animal or plant cells, e.g. cell lines; Tissues; Cultivation or maintenance thereof; Culture media therefor
    • C12N5/06Animal cells or tissues; Human cells or tissues
    • C12N5/0602Vertebrate cells
    • C12N5/0634Cells from the blood or the immune system
    • C12N5/0636T lymphocytes

Abstract

ヒトおよびマウスの遺伝子組換え核酸、遺伝子組換えmRNA、遺伝子組換えポリペプチドおよび遺伝子組換え五量体化ポリペプチドを提供する。これらの遺伝子組換え核酸、遺伝子組換えmRNA、遺伝子組換えポリペプチドおよび遺伝子組換え五量体化ポリペプチドは、いずれもVISTA、ICOS-L、PD-L1またはB7-H4の細胞外ドメインの配列を含み、これらの各細胞外ドメイン配列が、COMPの五量体形成ドメインに作動可能に連結されていることを特徴とする。VISTA、PD-L1またはB7H4の五量体化ポリペプチドの可溶性形態はT細胞抑制活性を有し、ICOS-Lの五量体化ポリペプチドの可溶性形態はT細胞刺激活性を有する。T細胞調節活性を必要とする対象の治療にこれらを使用する方法も提供する。

Description

先行出願の相互参照
本出願は、パリ条約の下、2017年3月29日に出願された米国仮特許出願第62/478,198号および2017年11月27日に出願された米国仮特許出願第62/590,848号に基づく優先権を主張するものであり、これらの出願は本明細書の一部を構成するものとしてその全体が援用される。
本開示は、概して、遺伝子組換えT細胞調節分子に関する。より具体的には、本開示は、いずれもT細胞を抑制する遺伝子組換えV-domain Immunoglobulin suppressor of T-cell activation(VISTA)分子、遺伝子組換えprogrammed death-ligand 1(PD-L1)分子および遺伝子組換えB7ホモログ4(B7-H4)分子、ならびにT細胞を刺激する遺伝子組換えinducible costimulatory ligand(ICOS-L)分子に関する。
T細胞の活性は、T細胞上に存在する免疫チェックポイント(IC)細胞表面分子と抗原提示細胞(APC)/がん細胞の結合により発生する共刺激シグナルおよび共抑制シグナルにより調節される。これらのシグナルは、自己免疫寛容を維持しながらも、侵入病原体および/または悪性細胞に対する防御を促進する。T細胞応答は、CD28:CD80/CD86、ICOS:ICOS-L、OX-40:OX-40L、4-1BB:4-1BBLなどの共刺激チェックポイント分子のペアによりアップレギュレートされるか、かつ/またはCTLA-4:CD80/CD86、PD-1:PD-L1などの共抑制チェックポイント分子によりダウンレギュレートされる(引用文献1〜4)。T細胞の共抑制免疫チェックポイント分子のペアのいくつかは、いまだその特性が完全には理解されておらず、たとえばVISTAやB7-H4により認識される受容体の特性はよく分かっていない。現在までに、T細胞活性に対して抑制機能を有する負のチェックポイント受容体がいくつか同定されており、たとえばPD-1やCTLA-4が同定されている。これらの経路を抗体で阻害することによって、抗腫瘍免疫応答を促進できることが示されており(引用文献1〜3)、その一方、これらの免疫抑制経路を活性化するリガンドは、自己免疫疾患および/または炎症性疾患を引き起こす免疫応答制御不全を抑制しうることが示されている(引用文献4〜6)。これに対して、ICOS:ICOS-LやOX40:OX40LなどのT細胞共刺激経路を活性化することによって、T細胞の活性化、増殖およびサイトカイン産生を誘導することができ、その結果、抗腫瘍免疫応答を促進することができる。
公知の免疫チェックポイント分子ペアの多くは、Ig-V/Ig-C含有細胞外ドメインによりその構造の一部が定義されるB7-CD28表面タンパク質ファミリーのメンバーである。このような免疫チェックポイント分子ペアとして、ICOS:ICOS-L、CTLA-4:CD80/CD86、PD-1:PD-L1、ならびにVISTAおよびB7-H4が挙げられる(引用文献7)。
V-domain Immunoglobulin suppressor of T-cell activation(「VISTA」、PD-1H、DD1α、SISP1、Dies1、c10Orf54および/またはGi24とも呼ばれる)は、CD11bhigh骨髄系細胞において主に発現されるチェックポイントリガンドであり、推定上の細胞表面受容体(VISTA受容体)と結合してT細胞応答を負に調節する(引用文献8〜9)。また、VISTAはナイーブCD4+T細胞およびナイーブCD8+T細胞でも発現されており、T細胞応答を負に調節すると見られていることから、VISTAは、チェックポイントリガンドと受容体の両方の役割を果たしていることが示唆されている(引用文献10)。VISTAは、PD-1およびPD-L1と構造上有意な相同性を有しており、N末端にIgVドメインを有し、これに1回膜貫通型ドメインと細胞質尾部が続く。PD-1:PD-L1経路と同様に、モノクローナル抗体でVISTAを阻害することによって、マウスモデルの抗腫瘍免疫応答を誘導できることが実証されていることから、VISTA:VISTA受容体のシグナル伝達は腫瘍免疫回避の促進に一定の役割を果たしていることが示唆されている(引用文献11〜12)。さらに、VISTAは、自己免疫疾患の進行の調節に一定の役割を果たしている可能性がある。たとえば、全身性エリテマトーデスに罹患しやすい遺伝背景のVISTA欠損(VISTA-/-)マウスは、進行性の重度の全身性エリテマトーデス(SLE)を発症した(引用文献13)。また、VISTA-/-2D2 T細胞受容体トランスジェニックマウスでは、末梢での脳炎誘発性T細胞数が上昇し、悪化した実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を発症した(引用文献14)。C57BL/6を遺伝背景とするVISTA-/-マウスは、樹状細胞の増加やT細胞活性化マーカーの上昇といった炎症促進性表現型を軽度に示したが、炎症性疾患を発症したという報告はされていない(引用文献14)。これとはやや対照的に、別の研究では、VISTA-/-C57BL/6マウスが10ヶ月齢で糸球体腎炎を発症したという重症度のより高い表現型が報告されている(引用文献15)。これらの研究結果を考え合わせると、VISTAを介した免疫抑制の促進は、自己免疫疾患および/または炎症性疾患の治療に有用であることが示唆される。
作動性の抗VISTA抗体が報告されており(引用文献16)、また、固体表面に固相化したVISTAの二量体形態(VISTA.Fc)が、インビトロにおいてT細胞の活性化を抑制することが報告されている(引用文献8および11)。
programmed death-1(PD-1)として知られている抑制性共刺激分子は、活性化されたT細胞、B細胞、単球およびマクロファージで発現され、(造血細胞および非造血細胞上の)PD-L1ならびに(樹状細胞およびマクロファージ上の)PD-L2に結合する(引用文献6および17〜20)。リンパ球上のPD-1にPD-L1が結合すると、T細胞に抑制性シグナルが伝達され、TCRのシグナル伝達、T細胞およびB細胞の増殖、サイトカインの産生ならびにCD8+T細胞の細胞傷害性が阻害される(引用文献4および17)。PDL-2は、PD-1の第2のリガンドであり、T細胞の活性化を抑制する(引用文献20)。PD-1のアゴニストであるPD-L1.Fcは、2種のコラーゲン誘導性関節炎(CIA)マウスモデルにおいて疾患の転帰を改善することが示されている(引用文献5および21)。
B7-H4は、別のB7ファミリーメンバーであり、IgVドメインを含む抑制性リガンドである。B7-H4の受容体としてBTLA-4が最初に推定されているが、いまだ明らかになっていない(引用文献22)。B7-H4.Fcは、たとえば、マウスにおいてConA誘導性肝損傷を抑制することができることから、インビボで免疫応答を弱めることが示されており(引用文献23)、また、マウスにおいてコラーゲン誘導性関節炎(CIA)の進行を制限することが示されている(引用文献24)。
Inducible T-cell Costimulator((ICOS)、CD278、H4またはAILIMとも呼ばれる)は、B7結合タンパク質のCD28ファミリーに属する受容体であり(引用文献25〜27)、活性化T細胞において発現を誘導することができる(引用文献25、28および29)。ICOSが、抗原提示細胞(APC)に発現されるリガンドであるICOS-L(B7-H2)に結合すると(引用文献30および31)、ICOSによりT細胞が共刺激されて、エフェクターサイトカイン(IL-4、IL-5、IL-10、IL-21、IFNγ、TNFα)が産生され、Th1およびTh2の機能が向上する(引用文献32〜34)。
前臨床腫瘍試験では、(ICOSのシグナル伝達を作動させるために)ICOS-Lを発現する腫瘍細胞を移植したマウスにおいて抗CTLA-4療法を行ったところ、腫瘍の増殖が低下し、生存率が改善したことが示されている(引用文献35)。同様に、抗CTLA-4剤で治療を行った患者の臨床試験では、ICOS-hi T細胞の存在が、この免疫チェックポイント抑制剤に対する治療反応性の向上と相関することが示されている(引用文献36および37)。これらの結果から、抗腫瘍免疫応答を向上させる戦略としてICOSアゴニストを使用できる可能性が示唆されている。また、PCT出願WO2016US23524では、ICOSを標的とした作動性モノクローナル抗体が記載されている。この抗体は、免疫細胞を刺激して腫瘍細胞を殺傷するとともに、抗腫瘍免疫を抑制するTregの数を制限するとされている。
T細胞の活性を制御または調節し、免疫抑制を誘導し、かつ/または抗腫瘍免疫応答を向上させるための改良された化合物および方法が現在必要とされている。
本明細書において、ヒトおよびマウスの遺伝子組換え核酸、遺伝子組換えmRNA、遺伝子組換えポリペプチドおよび遺伝子組換え五量体化ポリペプチドを提供する。これらの遺伝子組換え核酸、遺伝子組換えmRNA、遺伝子組換えポリペプチドおよび遺伝子組換え五量体化ポリペプチドは、いずれもVISTA、B7-H4、PD-L1またはICOS-Lの細胞外ドメインの配列を含み、これらの各細胞外ドメイン配列は、COMPの五量体形成ドメインに作動可能に連結されている。本発明の五量体化ポリペプチドの可溶性形態は、インビトロおよびインビボにおいてT細胞調節活性を有する。T細胞調節活性を必要とする対象を治療するために、これらを使用する方法も提供する。
一態様において、組換え核酸を提供する。該組換え核酸は、配列番号1または2の配列を有しV-domain Ig Suppressor of T cell Activation(VISTA)のIgV含有細胞外ドメインをコードする核酸と実質的な類似性を有する核酸と;配列番号3または4の配列を有し軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)の五量体形成ドメインをコードする核酸と実質的な類似性を有する核酸とを含み、細胞外IgVドメイン含有VISTAポリペプチドをコードする前記核酸が、COMPの五量体形成ドメインをコードする前記核酸に作動可能に連結されている。
一実施形態において、前記組換え核酸は、配列番号3に作動可能に連結された配列番号1を含む。一実施形態において、前記組換え核酸は、配列番号4に作動可能に連結された配列番号2を含む。
別の一態様において、別の組換え核酸を提供する。該組換え核酸は、配列番号26の配列を有しB7-H4の細胞外ドメインをコードする核酸と実質的な類似性を有する核酸と;配列番号3の配列を有し軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)の五量体形成ドメインをコードする核酸と実質的な類似性を有する核酸とを含み、B7-H4ポリペプチドの細胞外ドメインをコードする前記核酸が、COMPの五量体形成ドメインをコードする前記核酸に作動可能に連結されている。
別の一態様において、別の組換え核酸を提供する。該組換え核酸は、配列番号37の配列を有しPD-L1の細胞外ドメインをコードする核酸と実質的な類似性を有する核酸と;配列番号3の配列を有し軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)の五量体形成ドメインをコードする核酸と実質的な類似性を有する核酸とを含み、PD-L1ポリペプチドの細胞外ドメインをコードする前記核酸が、COMPの五量体形成ドメインをコードする前記核酸に作動可能に連結されている。
別の一態様において、別の組換え核酸を提供する。該組換え核酸は、配列番号48の配列を有しICOS-Lの細胞外ドメインをコードする核酸と実質的な類似性を有する核酸と;配列番号3の配列を有し軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)の五量体形成ドメインをコードする核酸と実質的な類似性を有する核酸とを含み、ICOS-Lポリペプチドの細胞外ドメインをコードする前記核酸が、COMPの五量体形成ドメインをコードする前記核酸に作動可能に連結されている。
一実施形態において、本開示の組換え核酸を含む発現ベクターを提供する。一実施形態において、前記発現ベクターは少なくとも1つの制御配列をさらに含む。一実施形態において、前記発現ベクターを含む宿主細胞を提供する。
一態様において、組換えメッセンジャーリボ核酸(mRNA)を提供する。該mRNAは、配列番号5または6の配列を有しV-domain Ig Suppressor of T cell Activation(VISTA)の細胞外ドメインをコードするmRNAと実質的な類似性を有するmRNAと;配列番号7または8の配列を有し軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)の五量体形成ドメインをコードするmRNAと実質的な類似性を有するmRNAとを含み、VISTA mRNAの細胞外ドメインをコードする前記mRNAが、COMPの五量体形成ドメインをコードする前記mRNAに作動可能に連結されている。
一実施形態において、前記組換えmRNAは、配列番号7に作動可能に連結された配列番号5を含む。一実施形態において、前記組換えmRNAは、配列番号8に作動可能に連結された配列番号6を含む。
一態様において、別の組換えメッセンジャーリボ核酸(mRNA)を提供する。該mRNAは、配列番号27の配列を有しB7-H4の細胞外ドメインをコードするmRNAと実質的な類似性を有するmRNAと;配列番号7の配列を有し軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)の五量体形成ドメインをコードするmRNAと実質的な類似性を有するmRNAとを含み、B7-H4 mRNAの細胞外ドメインをコードする前記mRNAが、COMPの五量体形成ドメインをコードする前記mRNAに作動可能に連結されている。
一態様において、別の組換えメッセンジャーリボ核酸(mRNA)を提供する。該mRNAは、配列番号62の配列を有しPD-L1の細胞外ドメインをコードするmRNAと実質的な類似性を有するmRNAと;配列番号7の配列を有し軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)の五量体形成ドメインをコードするmRNAと実質的な類似性を有するmRNAとを含み、PD-L1 mRNAの細胞外ドメインをコードする前記mRNAが、COMPの五量体形成ドメインをコードする前記mRNAに作動可能に連結されている。
一態様において、別の組換えメッセンジャーリボ核酸(mRNA)を提供する。該mRNAは、配列番号61の配列を有しICOS-Lの細胞外ドメインをコードするmRNAと実質的な類似性を有するmRNAと;配列番号7の配列を有し軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)の五量体形成ドメインをコードするmRNAと実質的な類似性を有するmRNAとを含み、ICOS-L mRNAの細胞外ドメインをコードする前記mRNAが、COMPの五量体形成ドメインをコードする前記mRNAに作動可能に連結されている。
一態様において、組換えポリペプチドを提供する。該組換えポリペプチドは、V-domain Ig Suppressor of T cell Activation(VISTA)の細胞外ドメイン(配列番号9または10)と実質的な類似性を有するポリペプチドを含み、該ポリペプチドは、軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)の五量体形成ドメイン(配列番号11または12)と実質的な類似性を有するポリペプチドに連結されている。
一実施形態において、前記組換えポリペプチドは、配列番号11に作動可能に連結された配列番号9を含む。一実施形態において、前記組換えポリペプチドは、配列番号12に作動可能に連結された配列番号10を含む。
別の一態様において、別の組換えポリペプチドを提供する。該組換えポリペプチドは、B7-H4の細胞外ドメイン(配列番号25)と実質的な類似性を有するポリペプチドを含み、該ポリペプチドは、軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)の五量体形成ドメイン(配列番号11)と実質的な類似性を有するポリペプチドに連結されている。
別の一態様において、別の組換えポリペプチドを提供する。該組換えポリペプチドは、PD-L1の細胞外ドメイン(配列番号36)と実質的な類似性を有するポリペプチドを含み、該ポリペプチドは、軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)の五量体形成ドメイン(配列番号11)と実質的な類似性を有するポリペプチドに連結されている。
別の一態様において、別の組換えポリペプチドを提供する。該組換えポリペプチドは、ICOS-Lの細胞外ドメイン(配列番号49)と実質的な類似性を有するポリペプチドを含み、該ポリペプチドは、軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)の五量体形成ドメイン(配列番号11)と実質的な類似性を有するポリペプチドに連結されている。
一実施形態において、本明細書で提供される組換えポリペプチドは可溶性形態である。
一態様において、T細胞抑制活性を有する五量体化ポリペプチドを提供する。T細胞抑制活性を有する該五量体化ポリペプチドは、5つのモノマーを含み、各モノマーは、V-domain Ig Suppressor of T cell Activation(VISTA)の細胞外ドメイン(配列番号9または10)と実質的な類似性を有するポリペプチドを含み、該ポリペプチドは、軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)の五量体形成ドメイン(配列番号11または12)と実質的な類似性を有するポリペプチドに連結されている。
一実施形態において、前記組換えポリペプチドは、配列番号11に作動可能に連結された配列番号9を含む。一実施形態において、前記五量体化ポリペプチドは、配列番号12に作動可能に連結された配列番号10を含む。一実施形態において、前記五量体化ポリペプチドは可溶性形態である。一実施形態において、前記可溶性形態の五量体化ポリペプチドは、VISTAの細胞外ドメイン(配列番号9または10)を含む可溶性の二量体化ポリペプチドよりも増強されたT細胞抑制活性を有する。一実施形態において、前記増強されたT細胞抑制活性は、T細胞活性化抑制の増強およびT細胞増殖抑制の増強のうちの1つ以上を含む。一実施形態において、前記可溶性形態の五量体化ポリペプチドは、インビボにおいて、VISTAの細胞外ドメイン(配列番号9または10)を含む可溶性の二量体化ポリペプチドよりも増強された免疫抑制活性を有する。一実施形態において、前記増強された免疫抑制活性は、サイトカインの分泌抑制の増強および細胞障害性リンパ球(CTL)の産生抑制の増強のうちの1つ以上を含む。
別の一態様において、T細胞抑制活性を有する別の五量体化ポリペプチドを提供する。T細胞抑制活性を有する該五量体化ポリペプチドは、5つのモノマーを含み、各モノマーは、B7-H4の細胞外ドメイン(配列番号25)と実質的な類似性を有するポリペプチドを含み、該ポリペプチドは、軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)の五量体形成ドメイン(配列番号11)と実質的な類似性を有するポリペプチドに連結されている。
一実施形態において、前記五量体化ポリペプチドは可溶性形態である。一実施形態において、前記可溶性形態の五量体化ポリペプチドは、B7-H4の細胞外ドメイン(配列番号25)を含む可溶性の二量体化ポリペプチドよりも増強されたT細胞抑制活性を有する。一実施形態において、前記増強されたT細胞抑制活性は、T細胞活性化抑制の増強およびT細胞増殖抑制の増強のうちの1つ以上を含む。一実施形態において、前記可溶性形態の五量体化ポリペプチドは、インビボにおいて、B7-H4の細胞外ドメイン(配列番号25)を含む可溶性の二量体化ポリペプチドよりも増強された免疫抑制活性を有する。一実施形態において、前記増強された免疫抑制活性は、サイトカインの分泌抑制の増強および細胞障害性リンパ球(CTL)の産生抑制の増強のうちの1つ以上を含む。
別の一態様において、T細胞抑制活性を有する別の五量体化ポリペプチドを提供する。T細胞抑制活性を有する該五量体化ポリペプチドは、5つのモノマーを含み、各モノマーは、PD-L1の細胞外ドメイン(配列番号36)と実質的な類似性を有するポリペプチドを含み、該ポリペプチドは、軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)の五量体形成ドメイン(配列番号11)と実質的な類似性を有するポリペプチドに連結されている。
一実施形態において、前記五量体化ポリペプチドは、可溶性形態である。一実施形態において、前記可溶性形態の五量体化ポリペプチドは、PD-L1の細胞外ドメイン(配列番号36)を含む可溶性の二量体化ポリペプチドよりも増強されたT細胞抑制活性を有する。一実施形態において、前記増強されたT細胞抑制活性は、T細胞活性化抑制の増強およびT細胞増殖抑制の増強のうちの1つ以上を含む。一実施形態において、前記可溶性形態の五量体化ポリペプチドは、インビボにおいて、PD-L1の細胞外ドメイン(配列番号36)を含む可溶性の二量体化ポリペプチドよりも増強された免疫抑制活性を有する。一実施形態において、前記増強された免疫抑制活性は、サイトカインの分泌抑制の増強および細胞障害性リンパ球(CTL)の産生抑制の増強のうちの1つ以上を含む。
別の一態様において、T細胞刺激活性を有する五量体化ポリペプチドを提供する。T細胞刺激活性を有する該五量体化ポリペプチドは、5つのモノマーを含み、各モノマーは、ICOS-Lの細胞外ドメイン(配列番号49)と実質的な類似性を有するポリペプチドを含み、該ポリペプチドは、軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)の五量体形成ドメイン(配列番号11)と実質的な類似性を有するポリペプチドに連結されている。
一実施形態において、前記五量体化ポリペプチドは可溶性形態である。一実施形態において、前記可溶性形態の五量体化ポリペプチドは、ICOS-Lの細胞外ドメイン(配列番号49)を含む可溶性の二量体化ポリペプチドよりも増強されたT細胞刺激活性を有する。一実施形態において、前記増強されたT細胞刺激活性は、T細胞活性化刺激の増強およびT細胞増殖刺激の増強のうちの1つ以上を含む。一実施形態において、前記可溶性形態の五量体化ポリペプチドは、インビボにおいて、ICOS-Lの細胞外ドメイン(配列番号49)を含む可溶性の二量体化ポリペプチドよりも増強された免疫刺激活性を有する。一実施形態において、前記増強された免疫刺激活性は、サイトカインの分泌刺激の増強および細胞障害性リンパ球(CTL)の産生刺激の増強のうちの1つ以上を含む。一実施形態において、前記可溶性形態の五量体化ポリペプチドは、制御性T細胞に対するエフェクターT細胞の割合を増加させる。
一態様において、医薬組成物を提供する。該医薬組成物は、本明細書で提供されるポリペプチド、本明細書で提供される宿主細胞および本明細書で提供される五量体化ポリペプチドのうちの1種以上と;薬学的に許容される担体、希釈剤または添加剤とを含む。
一態様において、生物学的応答の誘導を必要とする個体において生物学的応答を誘導する方法を提供する。該方法は、V-domain Ig Suppressor of T cell Activation(VISTA)と軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)の融合ポリペプチド(VISTA.COMP)の治療有効量を前記個体に投与することを含み、前記VISTA.COMPポリペプチドが配列番号9を有し、配列番号11に連結されているか、または配列番号10を有し、配列番号12に連結されていること、ならびに前記生物学的応答が、T細胞活性化の抑制、T細胞増殖の抑制、T細胞による1種以上の炎症性サイトカインの分泌の減少、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の誘導の抑制、および制御性表現型を有するT細胞の増加のうちの1つ以上であることを特徴とする。一実施形態において、前記炎症性サイトカインは、IL-2およびIFNγのうちの1種以上を含む。
一態様において、生物学的応答の誘導を必要とする個体において生物学的応答を誘導する方法を提供する。該方法は、B7-H4と軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)の融合ポリペプチド(B7-H4.COMP)の治療有効量を前記個体に投与することを含み、前記B7-H4.COMPポリペプチドが配列番号25を有し、配列番号11に連結されていること、ならびに前記生物学的応答が、T細胞活性化の抑制、T細胞増殖の抑制、T細胞による1種以上の炎症性サイトカインの分泌の減少、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の誘導の抑制、および制御性表現型を有するT細胞の増加のうちの1つ以上であることを特徴とする。
一態様において、生物学的応答の誘導を必要とする個体において生物学的応答を誘導する方法を提供する。該方法は、PD-L1と軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)の融合ポリペプチド(PD-L1.COMP)の治療有効量を前記個体に投与することを含み、前記PD-L1.COMPポリペプチドが配列番号36を有し、配列番号11に連結されていること、ならびに前記生物学的応答が、T細胞活性化の抑制、T細胞増殖の抑制、T細胞による1種以上の炎症性サイトカインの分泌の減少、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の誘導の抑制、および制御性表現型を有するT細胞の増加のうちの1つ以上であることを特徴とする。
一態様において、生物学的応答の誘導を必要とする個体において生物学的応答を誘導する方法を提供する。該方法は、ICOS-Lと軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)の融合ポリペプチド(ICOS-L.COMP)の治療有効量を前記個体に投与することを含み、前記ICOS-L.COMPポリペプチドが配列番号49を有し、配列番号11に連結されていること、ならびに前記生物学的応答が、T細胞活性化の刺激、T細胞増殖の刺激、T細胞による1種以上の炎症性サイトカインの分泌の増加、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の誘導の増加、および腫瘍微小環境における制御性T細胞に対するエフェクターT細胞の割合の増加のうちの1つ以上であることを特徴とする。一実施形態において、前記ICOS-L.COMPポリペプチドは、チェックポイント阻害分子と組み合わせて投与される。一実施形態において、前記ICOS-L.COMPポリペプチドは、前記チェックポイント阻害分子の投与と同時、投与前または投与後に投与される。一実施形態において、前記チェックポイント阻害分子は、抗PD-1抗体または抗CTLA-4抗体である。
本発明の前記特徴を、添付の図面を参照しながら、以下の詳細な説明においてさらに詳しく述べる。
五量体VISTA.COMPはインビトロで可溶性リガンドとしてT細胞の活性化および増殖を抑制するが、二量体VISTA.Fcではこのような効果は認められないことを示す。
固相化(左パネル)もしくは可溶性(右パネル)のVISTA.Fc(10μg/mL)の存在下(濃灰色)またはこれらの非存在下(薄灰色)において、プレートに結合させた抗CD3抗体(2.5μg/mL)で48時間活性化を行ったCFSE標識精製マウスCD4+T細胞を示す。VISTA.Fcは、固相化した場合にCD4+T細胞の増殖を抑制したが、可溶性リガンドとして培地に加えた場合にはCD4+T細胞の増殖を抑制できなかった。
「方法」の節の記載に従って組換えVISTA.COMPを発現させ、還元剤(DTT)の存在下または非存在下においてSDS-PAGEおよびウエスタンブロットを実施し、純度と五量体化を確認したことを示す。還元条件下のVISTA.COMPは、約50kDaの単一バンドとして泳動され、ジスルフィド結合で安定化された五量体の見かけ上の質量は250kDaであった。
コーティングした(9μg/mL、左パネル)または可溶性(12μg/mL、右パネル)のVISTA.COMP(濃灰色)またはCOMP(薄灰色)の存在下において活性化させたCD4+T細胞の増殖アッセイの結果を示す。可溶性VISTA.COMPによって、T細胞の増加(上パネル、FSC&SSCスキャッタプロファイル)および増殖(下パネル、CFSEの希釈)が抑制された。
COMPまたはVISTA.COMP(10μg/mL)の存在下において抗CD3で48時間または72時間活性後にCD4+T細胞から回収した培地の分析結果を示す。IL-2(図1D)およびIFNγ(図1E)の分泌をELISAで定量した。VISTA.COMPは、T細胞の増殖を抑制するだけでなく、インビトロにおけるT細胞からのIL-2およびIFNγの分泌を有意に抑制することが見出された(COMPコントロールに対して***p<0.005、n=3)。
COMP(薄灰色)またはVISTA.COMP(濃灰色)の存在下において、図に示した濃度の固相化抗CD3抗体でCFSE標識CD4+T細胞が活性化されたことを示す。VISTA.COMPによるT細胞増殖の抑制は、強いTCR刺激により打ち消された。
同種混合白血球培養(MLC)アッセイの結果を示す。野生型マウス由来の応答細胞またはCD200R1-/-マウス由来の応答細胞における細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の誘導は、VISTA.COMPの添加によって有意に抑制された(n=3、CD200Fcに対して*p<0.05)。
ヒトVISTA(hVISTA-COMP)の五量体形態およびmVISTA-COMPの五量体形態を発現させ、SDS-PAGEで分析した結果を示す。
インビトロにおいて、可溶性のCOMPまたはhVISTA.COMPの存在下において、コンカナバリンンAで刺激したヒトT細胞の増加(上パネル)およびCFSE増殖アッセイ(下パネル)を示す。これらのT細胞において誘導された増殖はVISTA-COMPによって抑制される。
VISTA.COMPの存在下においてConAを添加してCD3+T細胞、CD4+T細胞およびCD8+T細胞を培養したところ、COMPまたはVISTA-Fcの存在下での培養と比較してT細胞活性化マーカーCD25のアップレギュレーションが低下したことを示す。
VISTA.COMP(図2C、濃灰色)がT細胞株クローン(染色なしのコントロール、白色)に結合し、その活性化を抑制することを示す(図2A〜図2B)。
固相化または可溶性のVISTA.FcまたはVISTA.COMP(10μg/mL)の存在下において、固相化抗CD3抗体(3μg/mL)で活性化することにより2.10 T細胞クローンを24時間培養し、培養終了の6時間前にH−チミジンで細胞をパルスすることによって増殖を測定した結果を示す。初代CD4+T細胞を使用した観察結果と同様に、五量体VISTA.COMPは、固相化した場合でも培地中に加えて溶解した場合でも増殖を抑制したが、VISTA.Fcは、固相化した場合にのみ抑制活性を示した(n=3、抗CD3刺激コントロールに対して**p<0.01)。
パネルAと同様にして活性化した2.10細胞における可溶性VISTA.COMP(濃灰色)または可溶性VISTA.Fc(薄灰色)の滴定を示す。データは、高濃度の可溶性VISTA.Fcで処理した細胞では抗増殖機能が見られないことを示す(n=3、**p<0.01)。
2.10 T細胞クローンに対するビオチン標識COMP、ビオチン標識VISTA.COMPおよびビオチン標識VISTA.Fcの結合を(色つきヒストグラム)、染色なしのコントロール(無色のヒストグラム)と比較したFACS分析を示す。
可溶性VISTA.FcまたはVISTA.COMPで4時間処理した抗CD3活性化2.10 T細胞、および細胞内フローサイトメトリー(ICFC)により測定したIL-2の産生を示す。VISTA.COMPのみによって、IL-2分泌細胞の数が有意に抑制された(n=3、VISTA.Fcまたは非処理細胞に対して*p<0.05)。
抗CD3抗体を固相化した6ウェルプレートにおいて、VISTA.COMPの存在下または非存在下で10分間培養した1×106個の2.10 T細胞クローンを示す。各ウェルの細胞を溶解し、次いで各ウェルに結合したタンパク質を回収することによって、T細胞受容体(TCR)と複合体化したタンパク質を回収した(「方法」の節に記載の固相免疫沈降法(SPIP)を参照されたい)。次に、回収したタンパク質を、抗ホスホチロシン抗体を用いた免疫ブロット法で分析した(pY:クローン4G10)。VISTA.COMPは、TCRのシグナル伝達により誘導されたTCR複合タンパク質のリン酸化を実質的に低下させた。
T細胞クローンに対するVISTA-FcまたはVISTA.COMPの結合の安定性を示す。
FACS染色バッファーで洗浄を1段階で実施後の、2.10 T細胞に対するVISTA-FcまたはコントロールFc(アイソタイプコントロール)の結合を示す。
FACS分析の前に洗浄を2段階で行った後のVISTA-Fcの結合を示す。Aと比較して結合シグナルが欠如していることから、細胞株とVISTA-Fcの相互作用が一時的な弱いものであることが分かる。
洗浄を2段階で行った後でも、2.10細胞およびJurkat細胞に対するビオチン標識VISTA.COMPの結合が維持されていることから、これらの細胞に対するVISTA.COMPの相互作用がより安定していることが分かる。
VISTA.COMPがインビボで免疫応答を抑制することを示す。
皮膚同種移植片拒絶モデルの概略図を示す。0日目に、C57BL/6マウスから採取した皮膚をBALB/Cマウスに移植し、VISTA.COMP(15μg、静脈注射)またはPBSによる処置を15日間行った(矢印)。盲検化した評価者によって移植片の生着を毎日観察した。
VISTA.COMPによる処置により皮膚同種移植片の生着が有意に延長されたことを示す(n=6、マン・ホイットニーのU検定により*p<0.05)。
Con-A注射の1時間前にVISTA.COMPで処置したところ、24時間後において致死性の肝損傷からC57BL/6マウスがレスキューされたことを示す(n=4)。
Con-A注射の3時間後におけるTNFα(n=5、*p<0.05)(図3D)およびIL-6(n=5、*p<0.05)(図3E)の血清中濃度の有意な低下が、生着率と相関していたことを示す。
VISTA.COMPの活性に対する2種のタグの影響を示す。
B7-H4.COMP五量体およびPD-L1.COMP五量体の概略図である。
Expi293F細胞に発現されたB7-H4.COMPコンストラクト、PD-L1.COMPコンストラクト、VISTA.COMPコンストラクト(+コントロール)およびCOMPコンストラクトをNi-NTAで精製し、還元条件または酸化条件で泳動したSDS-PAGEゲルを示す。
グラフに示した各可溶性リガンドの存在下において、CFSE標識精製マウスCD4+T細胞をプレート結合抗CD3抗体(2C11)で72時間活性化した結果を示す。CFSEの希釈をFACSで分析したところ、PD-L1.COMP、B7-H4.COMPおよびVISTA.COMPはいずれも、COMP単独やリガンドなし(−)の場合と比べて、T細胞の増加(上パネル)および増殖(下パネル)を抑制したことが示された。
可溶性のVISTA.COMPは、CD3-TCR複合体によるシグナル伝達に応答したT細胞の増殖を抑制できるが、可溶性のVISTA.Fc二量体ではこのような効果は見られないことを示す。
VISTA.COMPの静脈注射[3日ごと]は、処置を中止するまで(アスタリスク)マウスの皮膚同種移植片拒絶を阻止するが、VISTA.Fcではこのような効果は見られないことを示す。
Con-Aの投与の1時間前にVISTA.COMPの腹腔内注射でC57BL/6マウスを処置したところ、24時間後において致死性の肝損傷からマウスの50%がレスキューされたことを示す(n=13、p<0.05)。VISTA.Fcではこのような効果は認められなかった。瀕死マウスは無反応個体として分類した。3つの独立した実験のデータを合わせた。VISTA.COMP処置マウスは、Con-A注射の3時間後の血清中TNFα(n=5、*p<0.05)およびIL-6(n=5、*p<0.05)が有意に低下した。
ヒトICOS-L.COMP五量体の概略図である。
ICOS-L.COMP五量体の純度および分子量を示すウエスタンブロットおよびSDS-PAGEである。
Biacore T200を使用した表面プラズモン共鳴実験により測定したところ、hICOS-L.COMPはヒトICOSにもマウスICOSにも結合したが、CD28には結合しなかったことを示す。
表面プラズモン共鳴法により評価した、ヒトICOS-L.COMP、hICOSL-FcおよびCOMPに対するICOS.Fcの結合の特性を示す。ヒトICOS-L.COMPでは解離速度(kd)が遅く、解離定数(0.9nM)がICOSL-Fc(2.9nM)よりも小さいことから、ICOSに対するヒトICOS-L.COMPのアビディティが強いことが示されている。
ヒトCD3+CD4+T細胞およびヒトCD3+CD4-T細胞に対するFITC標識ICOS-L.COMPの結合を実証したFACS分析を示す。
活性化ヒトCD3+T細胞に対するhICOS-L.Fcの結合が、ヒトICOS-L.COMPによって競合置換されることを実証したFACS分析を示す。
活性化マウスCD4+T細胞に対するmICOSL-Fcの結合が、hICOS-L.COMPによって競合置換されることを実証したFACS分析を示す。
可溶性のICOS-L.COMPによるヒトCD4+T細胞およびヒトCD8+T細胞の強力な共刺激を実証したCFSE希釈によるT細胞増殖アッセイを示す。
ヒトICOS-L.COMPでT細胞を活性化することによって、T細胞上のCD25の発現が増加することを実証したFACS分析を示す(灰色のヒストグラム)。
可溶性のhICOS-L.COMPが、臍帯血から単離されたCD3+CD4+ヒトT細胞を共刺激するが、ICOSL-Fcではこのような効果は認められないことを実証したCFSE希釈によるT細胞増殖アッセイを示す。
抗CD3で誘導したT細胞受容体シグナル伝達の非存在下では、ICOSL-COMPは、臍帯血から単離されたヒトT細胞の増殖を誘導しないことを実証したFACS分析を示す。
可溶性のhICOSL-COMPが、抗CD3または抗CD3/抗CD28で誘導されたシグナル伝達と組み合わせた場合にCD3+CD4+T細胞およびCD3+CD4-T細胞の増殖を共刺激するが、ICOSL-Fcではこのような効果は認められないことを実証したCFSE希釈によるT細胞増殖アッセイを示す。T細胞は成人ドナーのPBMCから単離した。
可溶性のCOMP、ICOSL-COMPまたはICOSL-Fcの存在下において、抗CD3でCD3+T細胞(成人PBMC由来)を72時間刺激した後のサイトカインの分泌(IL-2、IL-6、IFNγ、TNFα、IL-10)を示す。
インビボMC38腫瘍モデル実験における各化合物の投与の詳細を示す概略図である。
ICOS-L.COMPが抗PD-1モノクローナル抗体と相乗的に作用して、定着した皮下マウス結腸直腸MC38腫瘍を有するC57BL/6マウス(治療モデル)において予防的な抗腫瘍免疫を誘導することを示す。
各マウスの腫瘍体積の概要を時間の関数として示す。
ICOS-L.COMP単独療法では、MC38腫瘍モデルにおける腫瘍の増殖を低減できなかったことを示す。
MC38腫瘍を有するマウスを抗PD-1で処置すると、腫瘍内CD45+CD4+T細胞およびCD45+CD8+T細胞においてICOSの発現が増加することを示す。
MC38腫瘍を有するマウスを処置した後の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)のプロファイルを示す。抗PD-1とICOS-L.COMPを併用することによって、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)集団中のCD45+CD4+FoxP3-細胞の存在量が有意に増加する。
MC38腫瘍を有するマウスを処置した後の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)のプロファイルを示す。抗PD-1とICOS-L.COMPを併用しても、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)集団中のCD45+CD4+FoxP3+T制御性細胞の存在量に変化は認められなかった。
ナイーブ2.10 T細胞または抗CD3で24時間活性化した2.10 T細胞を、ビオチンで標識したPD-L1.COMP、B7-H4.COMPまたはCOMPで染色した結果を示す。このT細胞株に対するCOMPの結合は、PD-L1.COMPやB7-H4.COMPと比べて、無視できる程度の非特異的結合しか示さない。
固相化抗CD3抗体で活性化された2.10 T細胞の増殖が、固相化したB7-H4.COMPおよび可溶性のB7-H4.COMPによって抑制されることを示す。
可溶性のB7-H4.COMP(10μg/mL)が、インビトロにおいて抗CD3の誘導により72時間活性化された初代マウスCD4+T細胞の増加(上パネル)と細胞***(下パネル)を実質的に抑制することを示す。
可溶性のB7-H4.COMP(10μg/mL)が、インビトロにおいて抗CD3の誘導により48時間活性化された初代マウスCD4+T細胞からのサイトカインIL-2の分泌を抑制することを示す。
別段の記載がない限り、本明細書で使用されている技術用語および科学用語は、通常、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解される意味を有する。
V-domain Immunoglobulin suppressor of T-cell activation(VISTA)は、近年発見された免疫チェックポイントリガンドであり、T細胞の活性を抑制する機能を有する。その他の免疫チェックポイントリガンドとして、B7-H4やPD-L1が挙げられる。このような免疫チェックポイントの経路を対象において活性化することによって治療を行える可能性があり、この理由として少なくとも、これらの免疫チェックポイント経路の活性化によりT細胞の活性を抑制することができ、これによって該対象における炎症反応が低減されうることが挙げられる。これとは逆に、ICOS-LなどのT細胞活性を刺激するリガンドは、免疫増強を介した治療が可能であると考えられ、たとえば、がん免疫療法などに利用できると考えられる。
VISTAのIgVドメインの二量体コンストラクト(VISTA-Fc)は、インビトロにおいてT細胞の活性化を抑制することが示されている。しかしながら、この効果を得るには、固体基質にVISTA-Fcを固相化する必要があった。活性が固相化に依存することから、インビボでのVISTA受容体アゴニストとしてのVISTA-Fcの有効性は限定的である可能性が示唆される。
本明細書において、五量体ポリペプチドおよびこれを構成するモノマーを提供する。各モノマーは、軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)の五量体形成ドメインに遺伝子融合または連結されたVISTA、B7-H4、PD-L1またはICOS-Lの細胞外ドメインを含む。
COMPは、5つのサブユニットからなる524kDaのホモ五量体である。各サブユニットは、N末端の7残基反復領域(cc)、4つの上皮成長因子(EGF)様ドメイン(EF)、7つのカルシウム結合ドメイン(T3)およびC末端球状ドメイン(TC)をこの順で含む。本明細書で使用されるCOMP五量体形成ドメインは、45アミノ酸長の配列であり、5本のαヘリックスが平行に配置され、ジスルフィド架橋により安定化された束状構造を自然にとる。過去の研究によれば、COMPの五量体形成ドメインに融合した血管新生促進因子アンジオポエチン1(COMP-Ang1)は、天然のAng1よりも高い安定性を示し、インビボにおいて血管新生の誘導を増強する21
本発明者らは、ヒトおよびマウスの遺伝子組換え核酸、遺伝子組換えポリペプチドおよび遺伝子組換え五量体化ポリペプチドであって、いずれもVISTA、B7-H4、PD-L1またはICOS-Lの細胞外ドメインの配列を含み、これらの各細胞外ドメイン配列が、COMPの五量体形成ドメインに作動可能に連結された、遺伝子組換え核酸、遺伝子組換えポリペプチドおよび遺伝子組換え五量体化ポリペプチドを作製した。「細胞外ドメイン」(または「ECD」)は、ポリペプチドの細胞外領域またはそれをコードする核酸を意味し、1つ以上の免疫グロブリン様ドメインが含まれ、この免疫グロブリン様ドメインは、リガンドと受容体の間の効率的な結合に一定の役割を果たしている。VISTA、B7-H4、PD-L1およびICOS-LのECDは、IgVドメインを含む。B7-H4、PD-L1およびICOS-LのECDは、さらにIgCドメインを含む。本明細書で提供される前記遺伝子組換え核酸および/またはポリペプチドに対応する遺伝子組換えmRNAも本明細書中に包含される。
COMPの五量体形成ドメインに作動可能に連結されたVISTA、B7-H4、PD-L1またはICOS-L細胞外ドメインの調製において使用した核酸配列およびポリペプチド配列を補遺1に示す。
一実施形態において、COMPの五量体形成ドメインに連結されたVISTA、B7-H4、PD-L1またはICOS-Lの細胞外ドメインをコードする核酸配列を有する組換え核酸を提供する。いくつかの実施形態において、VISTAのIgV含有細胞外ドメインをコードする核酸は、配列番号1(ヒトVISTAのIgV含有ドメイン)または配列番号2(マウスVISTAのIgV含有ドメイン)と実質的な類似性を有する。いくつかの実施形態において、B7-H4の細胞外ドメインをコードする核酸は、配列番号26と実質的な類似性を有する。いくつかの実施形態において、PD-L1の細胞外ドメインをコードする核酸は、配列番号37と実質的な類似性を有する。いくつかの実施形態において、ICOS-Lの細胞外ドメインをコードする核酸は、配列番号48と実質的な類似性を有する。いくつかの実施形態において、COMPの五量体形成ドメインをコードする核酸は、配列番号3(ヒトCOMPの五量体形成ドメイン)または配列番号4(マウスCOMPの五量体形成ドメイン)と実質的な類似性を有する。
配列における「実質的な類似性」とは、本明細書で提供される配列と同一である配列または本明細書で提供される配列のバリアントであって、本明細書に記載の生物学的活性を含む配列もしくはそのバリアント、または本明細書に記載の生物学的活性を含むポリペプチドをコードする配列もしくはそのバリアントを意味する。
たとえば、核酸配列の場合、実質的に類似する配列は、遺伝子コードの縮重によって、本明細書で提供されるポリペプチドのいずれか1つのアミノ酸配列をコードする保存的バリアントを含む。バリアントのヌクレオチド配列は、合成的に誘導されたヌクレオチド配列を含む。通常、本発明の特定のヌクレオチド配列のバリアントは、当技術分野で公知の配列アライメントプログラムをデフォルトパラメータで使用して測定した場合、本明細書で提供されるヌクレオチド配列のいずれか一つと少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の配列同一性を有する。いくつかの好ましい実施形態において、実質的に類似する配列は参照配列と同一の配列である。いくつかの好ましい実施形態において、核酸配列は、遺伝子コンストラクトにおいて使用するために(たとえば、プラスミドにおいて使用するために)コドン最適化されている。
本発明に含まれるポリペプチドのバリアントは、生物学的に活性であり、すなわち、本明細書に記載の五量体化ポリペプチドの生物学的活性を保持している。このようなバリアントは、たとえば、遺伝子多型または人為操作により得られるものであってもよい。本発明のポリペプチドの生物学的活性バリアントは、当技術分野で公知の配列アライメントプログラムをデフォルトパラメータで使用して測定した場合、本明細書で提供されるアミノ酸配列のいずれか1つと少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の配列同一性を有する。
一実施形態において、前記組換え核酸は、配列番号3に作動可能に連結された配列番号1(すなわち、ヒトCOMPの五量体形成ドメインに連結されたヒトVISTAのIgV含有ドメイン)を含む。一実施形態において、前記組換え核酸は、配列番号4に作動可能に連結された配列番号2(すなわち、マウスCOMPの五量体形成ドメインに連結されたマウスVISTAのIgV含有ドメイン)を含む。
特定の核酸分子と別の核酸分子が機能的に関連して配置されている場合、これらの核酸分子は作動可能に連結されていると言える。たとえば、2つの核酸分子が連結されており、これらの核酸分子によってコードされるアミノ酸配列が適切に翻訳される場合、これら2つの核酸分子は作動可能に連結されていると言える。このような核酸は、リンカー配列を介して作動可能に連結されていてもよい。本明細書で開示された組換え核酸との使用に適したリンカー配列は、当業者によって決定されてもよい。いくつかの好ましい実施形態において、前記リンカー配列はある程度柔軟なペプチドまたはポリペプチド(たとえば、グリシンリッチなペプチドまたはポリペプチド)をコードするように遺伝子組換えされる。
一態様において、COMPの五量体形成ドメインに連結されたVISTAの細胞外ドメインをコードするmRNA配列を有する組換えメッセンジャーリボ核酸(mRNA)を提供する。いくつかの実施形態において、VISTAの細胞外ドメインをコードするmRNAは、配列番号5(ヒトVISTAのIgV含有ドメイン)または配列番号6(マウスVISTAのIgV含有ドメイン)と実質的な類似性を有する。いくつかの実施形態において、COMPの五量体形成ドメインをコードするmRNAは、配列番号7(ヒトCOMPの五量体形成ドメイン)または配列番号8(マウスCOMPの五量体形成ドメイン)と実質的な類似性を有する。
一実施形態において、前記組換えmRNAは、配列番号7に作動可能に連結された配列番号5(すなわち、ヒトCOMPの五量体形成ドメインに連結されたヒトVISTAのIgV含有ドメイン)を含む。一実施形態において、前記組換え核酸は、配列番号8に作動可能に連結された配列番号6(すなわち、マウスCOMPの五量体形成ドメインに連結されたマウスVISTAのIgV含有ドメイン)を含む。本明細書で開示された組換え核酸との使用に適したリンカー配列は、当業者によって決定されてもよい。いくつかの好ましい実施形態において、前記リンカー配列はある程度柔軟なペプチドまたはポリペプチド(たとえば、グリシンリッチなペプチドまたはポリペプチド)をコードするように遺伝子組換えされる。
一態様において、COMPの五量体形成ドメインに連結されたB7-H4の細胞外ドメインをコードするmRNA配列を有する組換えメッセンジャーリボ核酸(mRNA)を提供する。いくつかの実施形態において、B7-H4の細胞外ドメインをコードするmRNAは、配列番号27(ヒトB7-H4のECD)と実質的な類似性を有する。いくつかの実施形態において、COMPの五量体形成ドメインをコードするmRNAは、配列番号7(ヒトCOMPの五量体形成ドメイン)と実質的な類似性を有する。
一態様において、COMPの五量体形成ドメインに連結されたPD-L1の細胞外ドメインをコードするmRNA配列を有する組換えメッセンジャーリボ核酸(mRNA)を提供する。いくつかの実施形態において、VISTAの細胞外ドメインをコードするmRNAは、配列番号62(ヒトPD-L1のECD)と実質的な類似性を有する。いくつかの実施形態において、COMPの五量体形成ドメインをコードするmRNAは、配列番号7(ヒトCOMPの五量体形成ドメイン)と実質的な類似性を有する。
一態様において、COMPの五量体形成ドメインに連結されたICOS-Lの細胞外ドメインをコードするmRNA配列を有する組換えメッセンジャーリボ核酸(mRNA)を提供する。いくつかの実施形態において、VISTAの細胞外ドメインをコードするmRNAは、配列番号61(ヒトICOS-LのECD)と実質的な類似性を有する。いくつかの実施形態において、COMPの五量体形成ドメインをコードするmRNAは、配列番号7(ヒトCOMPの五量体形成ドメイン)と実質的な類似性を有する。
一態様において、COMPの五量体形成ドメインに連結されたVISTA、B7-H4、PD-L1またはICOS-Lの細胞外ドメインをコードするアミノ酸配列を有する組換えポリペプチドを提供する。いくつかの実施形態において、VISTAのIgV含有細胞外ドメインをコードするアミノ酸配列は、配列番号9(ヒトVISTAのIgV含有ドメイン)または配列番号10(マウスVISTAのIgV含有ドメイン)と実質的な類似性を有する。いくつかの実施形態において、B7-H4の細胞外ドメインをコードするアミノ酸配列は、配列番号25と実質的な類似性を有する。いくつかの実施形態において、PD-L1の細胞外ドメインをコードするアミノ酸配列は、配列番号36と実質的な類似性を有する。いくつかの実施形態において、ICOS-Lの細胞外ドメインをコードするアミノ酸配列は、配列番号49と実質的な類似性を有する。いくつかの実施形態において、COMPの五量体形成ドメインをコードするアミノ酸は、配列番号11(ヒトCOMPの五量体形成ドメイン)または配列番号12(マウスCOMPの五量体形成ドメイン)と実質的な類似性を有する。
本明細書において、「連結」は、なんらかの結合方法で、共有結合または非共有結合を介して、特定のポリペプチドを別のポリペプチドと結合することを意味する。一実施形態において、前記結合は共有結合(ペプチド結合など)である。たとえば、本発明のVISTA、B7-H4、PD-L1またはICOS-Lの細胞外ドメインをコードするアミノ酸配列を有するペプチドは、本発明のCOMPの五量体形成ドメインに連結することができる。このようなリンカーの例は、当技術分野で公知であり、たとえばChenら(引用文献38)に記載されている。一実施形態において、本発明のVISTA、B7-H4、PD-L1またはICOS-Lの細胞外ドメインは、VISTA、B7-H4、PD-L1またはICOS-Lの細胞外ドメインとCOMPの五量体形成ドメインの融合タンパク質を形成させることによって、COMPの五量体形成ドメインに連結することができる。このような融合タンパク質は、当技術分野で公知の標準的な方法および本明細書の記載に従って、VISTA、B7-H4、PD-L1またはICOS-LのECDとCOMPの五量体形成ドメインとをコードする発現ベクターを使用して宿主細胞において産生させることができる。
一実施形態において、前記組換えポリペプチドは、配列番号11に作動可能に連結された配列番号9(すなわち、ヒトCOMPの五量体形成ドメインに連結されたヒトVISTAのIgV含有細胞外ドメイン)を含む。一実施形態において、前記組換え核酸は、配列番号12に作動可能に連結された配列番号10(すなわち、マウスCOMPの五量体形成ドメインに連結されたマウスVISTAのIgV含有細胞外ドメイン)を含む。本明細書で開示された組換え核酸との使用に適したリンカー配列は、当業者によって決定されてもよい。いくつかの好ましい実施形態において、前記リンカー配列はある程度柔軟なペプチドまたはポリペプチド(たとえば、グリシンリッチなペプチドまたはポリペプチド)をコードするように遺伝子組換えされる。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、前記組換えポリペプチドは、組換えタンパク質、遺伝子組換えタンパク質または融合タンパク質と呼んでもよい。「融合タンパク質」とは、元来は別々のポリペプチドをコードする2つ以上の遺伝子を連結することによって作製されたタンパク質を意味する。このような融合遺伝子を翻訳することによって、元の各ポリペプチドに由来する機能特性を持つ単一のポリペプチドが得られる。
いくつかの実施形態において、本発明の核酸またはポリペプチドは、組換えタンパク質の分泌を可能とするN末端リーダー配列、および/または精製を目的としたヒスチジンタグもしくはその他のアフィニティータグを含んでいてもよい。N末端リーダー配列および/またはヒスチジンタグもしくはその他のアフィニティータグを導入する方法は、当技術分野で公知である。
一実施形態において、前記組換えポリペプチドを可溶性形態で提供する。本明細書において「可溶性」は、固体基質や固体表面に固相化されていないことを意味する。一実施形態において、前記組換えポリペプチドの活性は、基質への固相化とは無関係である(すなわち、前記組換えポリペプチドの活性は、固体基質または固体表面への固相化に左右されない)。
一実施形態において、本明細書で開示された組換えポリペプチドを含む発現ベクターを提供する。いくつかの実施形態において、前記発現ベクターは、少なくとも1つの制御配列をさらに含む。「制御配列」とは、作動可能に連結されたコード配列を特定の宿主生物において発現させるために必要な1つ以上の配列を意味する。好適な制御配列としては、たとえば、プロモーター、ポリアデニル化シグナルおよび/またはエンハンサーが挙げられる。組換えポリペプチドが組み込まれた発現ベクターを作製する方法およびそのツールは当技術分野で知られており、本明細書で提供される発現ベクターの作製に好適であってもよい。
一態様において、本明細書で開示された発現ベクターを含む宿主細胞を提供する。前記宿主細胞は、たとえば、HEK-293細胞もしくはHEK-293由来細胞、CHO細胞もしくはCHO由来細胞、またはNS01細胞もしくはNS01由来細胞であってもよい。発現ベクターが組み込まれた宿主細胞を作製する方法およびそのツールは当技術分野で知られており、本明細書で提供される宿主細胞の作製に好適であってもよい。一実施形態において、遺伝物質として(本明細書で提供される)VISTAとCOMP、B7-H4とCOMP、PD-L1とCOMP、またはICOS-LとCOMPがゲノムに組み込まれた遺伝子組換え細胞株を提供する。
一態様において、T細胞調節活性を有する五量体化ポリペプチドを提供する。該五量体化ポリペプチドは、5つのモノマーを含み、各モノマーは、V-domain Ig Suppressor of T cell Activation(VISTA)の細胞外ドメイン(配列番号9または10)と実質的な類似性を有するポリペプチド;B7-H4の細胞外ドメイン(配列番号25)と実質的な類似性を有するポリペプチド;PD-L1の細胞外ドメイン(配列番号36)と実質的な類似性を有するポリペプチド;またはICOS-Lの細胞外ドメイン(配列番号49)と実質的な類似性を有するポリペプチドを含み、これらの各細胞外ドメインは、軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)の五量体形成ドメイン(配列番号11または12)と実質的な類似性を有するポリペプチドに連結されている。
一実施形態において、前記五量体化ポリペプチドは、配列番号11に作動可能に連結された配列番号9を含む。
一実施形態において、前記五量体化ポリペプチドは、配列番号12に作動可能に連結された配列番号10を含む。
いくつかの実施形態において、前記五量体化ポリペプチドは可溶性形態である。本明細書で提供される五量体化VISTA.COMP、B7-H4.COMPおよびPD-L1.COMPは、二量体化VISTA-Fcとは異なり、可溶性形態で生物学的活性を発揮する。当業者であれば、可溶性形態で生物学的活性を呈する薬剤が、固相化形態でのみ生物学的活性を発揮する薬剤よりも優れている利点を認識することができる。たとえば、可溶性VISTA受容体アゴニスト、可溶性B7-H4受容体アゴニストまたは可溶性PD-1受容体アゴニストは、アクセサリー細胞との結合およびアクセサリー細胞上でのクラスター化が免疫抑制の誘導に必要とされることがある二量体形態(VISTA-Fc、B7-H4-FcまたはPD-L1-Fc)よりも、インビボにおいて増強された活性を発揮する場合がある。
いくつかの実施形態において、前記可溶性形態の五量体化ポリペプチドのT細胞抑制活性は、VISTAのIgV含有ドメイン(配列番号9または10)を含む可溶性の二量体化ポリペプチドよりも(たとえばVISTA-Fcよりも)増強しているか、B7-H4のECDを含む可溶性の二量体化ポリペプチドよりも(たとえばB7-H4-Fcよりも)増強しているか、またはPD-L1のECDを含む可溶性の二量体化ポリペプチドよりも(たとえばPD-L1-Fcよりも)増強している。前記可溶性形態の五量体化ポリペプチドのT細胞抑制活性は、VISTAのIgV含有ドメイン(配列番号9または10)を含む可溶性の二量体化ポリペプチド(たとえばVISTA-Fc)、またはB7-H4のECDを含む可溶性の二量体化ポリペプチド(たとえばB7-H4-Fc)、またはPD-L1のECDを含む可溶性の二量体化ポリペプチド(たとえばPD-L1-Fc)のT細胞抑制活性よりも、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%増強していてもよい。いくつかの実施形態において、前記T細胞抑制活性の増強は、T細胞活性化抑制の増強およびT細胞増殖抑制の増強のうちの1つ以上を含む。T細胞抑制活性の測定方法、T細胞活性化の測定方法およびT細胞増殖の測定方法は当技術分野で公知であり、たとえば本明細書に記載されている。
いくつかの実施形態において、前記可溶性形態のVISTA.COMP五量体化ポリペプチド、B7-H4.COMP五量体化ポリペプチドまたはPD-L1.COMP五量体化ポリペプチドのインビボにおける免疫抑制活性は、VISTAの細胞外ドメイン(ECD)(配列番号9または10)を含む可溶性の二量体化ポリペプチドよりも(たとえばVISTA-Fcよりも)増強しているか、B7-H4のECDを含む可溶性の二量体化ポリペプチドよりも(たとえばB7-H4-Fcよりも)増強しているか、またはPD-L1のECDを含む可溶性の二量体化ポリペプチドよりも(たとえばPD-L1-Fcよりも)増強している。前記可溶性形態の五量体化ポリペプチドの免疫抑制活性は、VISTAのIgV含有ドメイン(配列番号9または10)を含む可溶性の二量体化ポリペプチド(たとえばVISTA-Fc)、またはB7-H4のECDを含む可溶性の二量体化ポリペプチド(たとえばB7-H4-Fc)、またはPD-L1のECDを含む可溶性の二量体化ポリペプチド(たとえばPD-L1-Fc)の免疫抑制活性よりも、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%増強していてもよい。たとえば、前記免疫抑制活性の増強は、サイトカイン(たとえばIL-2および/またはIFNγ)の分泌抑制の増強および細胞障害性リンパ球(CTL)の産生抑制の増強のうちの1つ以上を含んでいてもよい。免疫抑制活性の測定方法、サイトカイン分泌の測定方法および細胞障害性リンパ球(CTL)の産生抑制の測定方法は、当技術分野で公知であり、たとえば本明細書に記載されている。免疫抑制活性の増強は、たとえば、インビボでの炎症反応の抑制を含んでいてもよく、実施例のデータでは、マウス皮膚同種移植片の生着期間が延長すること、および致死性の急性肝炎からマウスが保護されることが実証されている。
いくつかの実施形態において、前記可溶性形態のICOS-L.COMP五量体化ポリペプチドのT細胞刺激活性は、ICOS-Lの細胞外ドメイン(ECD)(配列番号49)を含む可溶性の二量体化ポリペプチド(たとえばICOS-L-Fc)よりも増強している。前記可溶性形態の五量体化ポリペプチドのT細胞刺激活性は、ICOS-LのECD(配列番号49)を含む可溶性の二量体化ポリペプチド(たとえばICOS-L-Fc)のT細胞刺激活性と比べて、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%増強していてもよく、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、55倍、60倍、65倍、70倍、75倍、80倍、85倍、90倍、95倍もしくは100倍またはそれ以上増強していてもよい。いくつかの実施形態において、前記T細胞刺激活性の増強は、T細胞活性化刺激の増強およびT細胞増殖刺激の増強のうちの1つ以上を含む。T細胞刺激活性の測定方法、T細胞活性化の測定方法およびT細胞増殖の測定方法は当技術分野で公知であり、たとえば本明細書に記載されている。
いくつかの実施形態において、前記可溶性形態のICOS-L.COMP五量体化ポリペプチドのインビボにおける免疫刺激活性は、ICOS-Lの細胞外ドメイン(ECD)(配列番号49)を含む可溶性の二量体化ポリペプチド(たとえばICOS-L-Fc)よりも増強している。前記可溶性形態の五量体化ポリペプチドの免疫刺激活性は、ICOS-LのECD(配列番号49)を含む可溶性の二量体化ポリペプチド(たとえばICOS-L-Fc)の免疫刺激活性と比べて、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%増強していてもよく、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、55倍、60倍、65倍、70倍、75倍、80倍、85倍、90倍、95倍もしくは100倍またはそれ以上増強していてもよい。たとえば、前記免疫刺激活性の増強は、サイトカイン分泌の増強および細胞障害性リンパ球(CTL)の産生の増強のうちの1つ以上を含んでいてもよい。免疫刺激活性の測定方法、サイトカイン分泌の測定方法および細胞障害性リンパ球(CTL)の産生の測定方法は、当技術分野で公知であり、たとえば本明細書に記載されている。
いくつかの実施形態において、前記可溶性形態のICOS-L.COMP五量体化ポリペプチドは、ICOS-Lの細胞外ドメイン(配列番号49)を含む可溶性の二量体化ポリペプチド(たとえばICOS-L-Fc)よりも、制御性T細胞に対するエフェクターT細胞の割合を増加させる。前記可溶性形態の五量体化ポリペプチドによって、制御性T細胞に対するエフェクターT細胞の割合が、適切なコントロールと比べて、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%増加してもよく、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍または10倍増加してもよい。制御性T細胞に対するエフェクターT細胞の割合の測定方法は当技術分野で公知であり、たとえば本明細書に記載されている。
いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるVISTA.COMP五量体化ポリペプチド、B7-H4.COMP五量体化ポリペプチドまたはPD-L1.COMP五量体化ポリペプチドの可溶性形態は、インビトロおよび/またはインビボにおいて、推定上のVISTA受容体、推定上のB7-H4受容体またはPD-1受容体のアゴニストとしての活性を発揮する。「アゴニスト」とは、受容体に結合して該受容体を活性化することにより、生物学的応答を惹起する薬剤を意味する。
一実施形態において、本明細書に記載のポリペプチド、宿主細胞および五量体化ポリペプチドのうちの1種以上と、薬学的に許容される担体、希釈剤または添加剤とを含む医薬組成物を提供する。
本発明のポリペプチド、またはVISTA.COMP五量体化ポリペプチド、B7-H4.COMP五量体化ポリペプチドもしくはPD-L1.COMP五量体化ポリペプチドは、当技術分野において公知の技術を用いた様々な方法で製剤化することができる。いくつかの実施形態において、本発明の治療用組成物は、単独で投与することができ、または最低限の追加成分を添加して投与することができ、任意で好適な薬学的に許容される担体を添加して製剤化してもよい。本明細書において「薬学的に許容される担体」は、当技術分野で公知の添加剤、溶媒、アジュバントおよび希釈剤を含み、医薬製剤用の市販品を利用することができる(たとえば、Gennaro (2003) Remington: The Science and Practice of Pharmacy with Facts and Comparisons: Drugfacts Plus, 20th ed., Mack Publishing;Ansel et al. (2004) Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, 7th ed., Lippencott Williams and Wilkins;Kibbe et al.(2000) Handbook of Pharmaceutical Excipients, 3rd ed., Pharmaceutical Press.を参照されたい)。
適切な薬学的に許容される担体は、比較的不活性であり、ポリペプチド、宿主細胞または五量体化ポリペプチドの投与を容易とすることが可能な物質、またはポリペプチド、宿主細胞または五量体化ポリペプチドのプロセシングを補助して、作用部位への送達が薬学的に最適化された製剤へと変換することが可能な物質を含む。
このような薬学的に許容される担体としては、製剤の形態、一貫性、粘度、pH、等張性、安定性、オスモル濃度、薬物動態、タンパク質凝集または溶解度を変化させることができる薬剤が挙げられ、緩衝剤、湿潤剤、乳化剤、希釈剤、カプセル化剤および皮膚透過促進剤が挙げられる。担体として、具体的には、生理食塩水、緩衝生理食塩水、デキストロース、アルギニン、スクロース、水、グリセリン、エタノール、ソルビトール、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。全身投与用のポリペプチド、宿主細胞または五量体化ポリペプチドは、経腸投与用、非経口投与用または局所投与用に製剤化してもよい。特定の実施形態において、本明細書で開示された組成物は、静脈内投与用に製剤化され、好ましくは静注用容器(たとえば静注用点滴バッグ)を使用して注入される。さらに、有効成分を全身投与するために、前記3種の製剤すべてを同時に使用してもよい。非経口経路を介した薬物送達および経口経路を介した薬物送達のための添加剤および製剤は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy (2000) 20th Ed. Mack Publishingに記載されている。
一態様において、生物学的応答の誘導を必要とする個体において生物学的応答を誘導する方法を提供する。該方法は、a)配列番号11に作動可能に連結された配列番号9もしくはb)配列番号12に作動可能に連結された配列番号10を含むVISTA-COMP融合ポリペプチド(VISTA.COMP);配列番号11に作動可能に連結された配列番号25を含むB7-H4-COMP融合ポリペプチド(B7-H4.COMP);または配列番号11に作動可能に連結された配列番号36を含むPD-L1-COMP融合ポリペプチド(PD-L1.COMP)の治療有効量を前記個体に投与することを含む。前記方法において、前記生物学的応答は、T細胞活性化の抑制、T細胞増殖の抑制、T細胞による1種以上の炎症性サイトカインの分泌の減少、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の誘導の抑制、および制御性表現型を有するT細胞の増加のうちの1つ以上である。
可溶性形態のVISTA.COMP五量体化ポリペプチド、B7-H4.COMP五量体化ポリペプチドまたはPD-L1.COMP五量体化ポリペプチドを投与した前記個体におけるT細胞の活性化は、適切なコントロール(たとえば、ポリペプチドを投与していない個体または可溶性の二量体化ポリペプチドを投与した個体)と比べて、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%抑制されていてもよい。前記可溶性形態の五量体化ポリペプチドを投与した前記個体におけるT細胞の増殖は、適切なコントロール(たとえば、ポリペプチドを投与していない個体または可溶性の二量体化ポリペプチドを投与した個体)と比べて、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%抑制されていてもよい。前記可溶性形態の五量体化ポリペプチドを投与した前記個体におけるT細胞による1種以上の炎症性サイトカインの分泌は、適切なコントロール(たとえば、ポリペプチドを投与していない個体または可溶性の二量体化ポリペプチドを投与した個体)と比べて、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%減少していてもよい。前記可溶性形態の五量体化ポリペプチドを投与した前記個体における細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の誘導は、適切なコントロール(たとえば、ポリペプチドを投与していない個体または可溶性の二量体化ポリペプチドを投与した個体)と比べて、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%抑制されていてもよい。前記可溶性形態の五量体化ポリペプチドを投与した前記個体における制御性表現型のT細胞の増加は、適切なコントロール(たとえば、ポリペプチドを投与していない個体または可溶性の二量体化ポリペプチドを投与した個体)と比べて、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%増強されていてもよく、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍または10倍増強されていてもよい。
T細胞活性化の抑制を測定する方法、T細胞増殖の抑制を測定する方法、T細胞による1種以上の炎症性サイトカインの分泌の減少を測定する方法、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の誘導の抑制を測定する方法、および制御性表現型のT細胞の増加を測定する方法は当技術分野で公知であり、たとえば本明細書に記載されている。
一実施形態において、生物学的応答の誘導を必要とする個体において生物学的応答を誘導する方法を提供する。該方法は、配列番号11に作動可能に連結された配列番号49を含むICOS-L-COMP融合ポリペプチド(ICOS-L.COMP)の治療有効量を前記個体に投与することを含む。前記方法において、前記生物学的応答は、T細胞活性化の増強、T細胞増殖の増強、T細胞による1種以上の炎症性サイトカインの分泌の増加、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の誘導の増強、および制御性T細胞に対するエフェクターT細胞の割合の増加のうちの1つ以上である。
前記可溶性形態のICOS-L.COMP五量体化ポリペプチドを投与した前記個体におけるT細胞の活性化は、適切なコントロール(たとえば、ポリペプチドを投与していない個体または可溶性の二量体化ポリペプチド(たとえばICOS-L-Fc)を投与した個体)と比べて、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%増加または増強されていてもよく、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、55倍、60倍、65倍、70倍、75倍、80倍、85倍、90倍、95倍もしくは100倍またはそれ以上増加または増強されていてもよい。前記可溶性形態の五量体化ポリペプチドを投与した前記個体におけるT細胞の増殖は、適切なコントロール(たとえば、ポリペプチドを投与していない個体または可溶性の二量体化ポリペプチドを投与した個体)と比べて、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%増加または増強されていてもよく、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、55倍、60倍、65倍、70倍、75倍、80倍、85倍、90倍、95倍もしくは100倍またはそれ以上増加または増強されていてもよい。前記可溶性形態の五量体化ポリペプチドを投与した前記個体におけるT細胞による1種以上の炎症性サイトカインの分泌は、適切なコントロール(たとえば、ポリペプチドを投与していない個体または可溶性の二量体化ポリペプチドを投与した個体)と比べて、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%増加していてもよく、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、55倍、60倍、65倍、70倍、75倍、80倍、85倍、90倍、95倍もしくは100倍またはそれ以上増加していてもよい。前記可溶性形態の五量体化ポリペプチドを投与した前記個体における細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の誘導は、適切なコントロール(たとえば、ポリペプチドを投与していない個体または可溶性の二量体化ポリペプチドを投与した個体)と比べて、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%増加または増強されていてもよく、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍または10倍増加または増強されていてもよい。前記可溶性形態の五量体化ポリペプチドを投与した前記個体における制御性T細胞に対するエフェクターT細胞の割合の増加は、適切なコントロール(たとえば、ポリペプチドを投与していない個体または可溶性の二量体化ポリペプチドを投与した個体)と比べて、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%増強されていてもよく、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍または10倍増強されていてもよい。
T細胞活性化の増強を測定する方法、T細胞増殖の増強を測定する方法、T細胞による1種以上の炎症性サイトカインの分泌の増加を測定する方法、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の誘導の増強を測定する方法、および制御性T細胞に対するエフェクターT細胞の割合の増加を測定する方法は当技術分野で公知であり、たとえば本明細書に記載されている。
「治療有効量」とは、意図とした目的の達成に有効な量(すなわち、特定の生物学的応答の誘導を必要とする個体において、該生物学的応答を誘導するのに十分な量)を意味する。治療有効量は当業者により容易に決定される。
前記ICOS-L.COMPポリペプチドは、チェックポイント阻害分子と組み合わせて投与してもよい。本明細書において「チェックポイント阻害分子」は、免疫抑制シグナルを遮断して抗腫瘍免疫応答を向上することができる薬剤である。また、前記ICOS-L.COMPポリペプチドは、チェックポイント阻害分子の投与と同時、投与前または投与後に投与することができる。一実施形態において、前記チェックポイント阻害分子は阻害剤であり、たとえば、PD-1、PD-L1、CTLA-4、LAG3、VISTAまたはTIM3に対するアンタゴニスト抗体である。
本明細書で開示された組み合わせによる所望の帰結は、コントロールまたはベースライン測定との比較によって定量される。本明細書において「改善」、「増加」または「低下」などの相対的な用語は、コントロールと比較した値を示し、コントロールとしては、たとえば、本明細書に記載の処置を開始する前の同一個体における測定値や、本明細書に記載の可溶性形態の五量体化ポリペプチドの非存在下かつ標準的な治療薬などのその他の治療成分の存在下におけるコントロール個体(または複数のコントロール個体)における測定値などが挙げられる。代表的なコントロール個体は、処置を受けている個体と同じ病態に罹患している個体である。
治療に反応した変化または改善は、(相加効果によるものでも相乗効果によるものでも)統計的に有意であると判断される場合がある。本明細書において「有意性」または「有意である」という用語は、測定された2つ以上の応答の間に無作為ではない関連性があるかどうかの確率の統計分析に関する。特定の関係性が「有意である」または「有意性」を有するかどうかを決定するため、「p値」を算出してもよい。p値が、分析者によって定義されたカットオフ値を下回る場合に有意であると見なされる。本発明の目的を達成するにあたり、p値が、0.1以下、0.05未満、0.01未満、0.005未満、または0.001未満であれば、有意であると見なすことができる。
相乗的な治療効果は、単一の治療成分により誘導された治療効果または単一の治療成分の所定の組み合わせにより誘導された治療効果の総和の少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍または少なくとも約100倍の効果であってもよい。また、相乗的な治療効果は、単一の治療成分により誘導された治療効果または単一の治療成分の所定の組み合わせにより誘導された治療効果の総和と比較して、少なくとも10%の治療効果の増加、少なくとも20%の治療効果の増加、少なくとも30%の治療効果の増加、少なくとも40%の治療効果の増加、少なくとも50%の治療効果の増加、少なくとも60%の治療効果の増加、少なくとも70%の治療効果の増加、少なくとも80%の治療効果の増加、少なくとも90%の治療効果の増加、少なくとも100%の治療効果の増加、またはそれ以上の治療効果の増加として観察されてもよい。さらに、相乗効果は、治療剤を組み合わせて使用した場合に各治療剤の用量を低下させるという効果でもある。
特定の投与計画、すなわち用量、投与のタイミングおよび頻度は、個々の対象に左右され、さらに薬物動態(たとえば、半減期、クリアランス率など)などの実験に基づく検討に応じて決まる。投与頻度は、処置を受ける病態の状態および重症度、処置を受ける対象の年齢および全体的な健康状態などを考慮に入れて、主治医などの当業者によって決定されてもよい。また、投与頻度は、選択された組成物の有効性および投与計画を評価することにより、治療期間を通して調節してもよい。このような評価は、特定の疾患、障害もしくは状態のマーカー、または個体の健康状態の評価(生活の質(QOL)の評価や日常生活動作などを用いて測定される)に基づいて行うこともできる。
実施例1:VISTA.COMP法
組換えタンパク質の発現および精製
ヒトIgG-1 Fc領域の上流にマウスVISTA細胞外ドメイン(ECD)(配列番号10の16〜194番目の残基)をコードする合成dsDNA(GeneArt;サーモフィッシャーサイエンティフィック)をpcDNA-3.4発現プラスミド(サーモフィッシャーサイエンティフィック)にクローニングすることによってVISTA.Fcを作製した。同様に、C末端にヘキサヒスチジンタグが付加された軟骨オリゴマー基質タンパク質の五量体形成ドメイン(COMP)(配列番号12の28〜72番目の残基)の上流に、5’側および3’側にEcoRI制限消化部位を持つVISTA細胞外ドメイン(ECD)をコードする合成dsDNAを挿入することによって、マウスVISTA.COMP(配列番号14)遺伝子をコードするプラスミドを作製した。また、EcoRIを用いた制限消化によってVISTA.COMPプラスミドからVISTAのECD領域を切り取って、COMPドメインのみをコードする発現プラスミド(コントロール)を構築した。いずれのプラスミドも、哺乳動物細胞におけるタンパク質の分泌を増加させるための5’末端Igκリーダー配列をコードしていた。Expi-293TM transient expression system(サーモフィッシャーサイエンティフィック)を用いて組換えタンパク質を発現させた。さらに、マウスVISTA ECDの代わりにhVISTA ECD(配列番号9)をコードし、マウスCOMPドメインの代わりにヒトCOMP配列(配列番号11)をコードするDNAを使用したこと以外は前記と同様にして、ヒトVISTA.COMP(hVISTA.COMP、配列番号24)を作製した。分泌されたVISTA.Fcは、HiTrap Protein A HPカラム(GEヘルスケア)を使用して培地から精製し、ヒスチジンタグ付加VISTA.COMPおよびCOMPは、Ni-NTA樹脂(キアゲン)を使用して精製後、PD-10カラム(GEヘルスケア)を使用してPBS(pH7.4)で脱塩した。SDS-PAGEを用いてタンパク質の純度を確認し、BCAアッセイ(Pierce)または280nmにおける吸光度の測定によってタンパク質の濃度を定量した。
動物
本願の研究において使用されたC57BL/6マウスは、Sunnybrook Research Institute Comparative Research(SRICR)の施設内の無菌環境で飼育し、CD200R1-/-マウスは、Toronto Research Institute Animalの施設内で飼育した。プロトコルはいずれも、Canadian Council of Animal Careの信任を受けたSunnybrook Research Institute Comparative Researchの動物実験委員会により承認された。
細胞培養
EasySep Mouse CD4+ T-cell isolation kit(STEMCELL)を使用してC57BL/6マウスの脾臓からCD4+T細胞を単離し、10%FBS、ペニシリン(100U/mL)、ストレプトマイシン(100μg/mL)および0.05mM 2−メルカプトエタノールを添加したRPMI-1640培地中で培養した。マウス2.10 T細胞クローンは、IL-2(3.5μg/mL)、レシチン(20μg/mL)およびBSA(0.5mg/mL)を添加した完全IMDM中で培養した。
2.10 T細胞クローンの活性化
抗CD3抗体(PBS中3μg/mL、クローン145-2C11、BioXcell)を96ウェルマイクロタイタープレートに加えて4℃で一晩コーティングした。2.10細胞の活性化に対する固相化チェックポイントリガンドの効果を観察するため、抗CD3抗体でコーティングしたウェルを洗浄し、PBSに溶解したVISTA.COMPまたは別の組換えタンパク質を加えて37℃で1時間コーティングした。各ウェルをPBSで洗浄(3回)し、残っていた未結合タンパク質を除去した。培養したマウス2.10 T細胞を回収し、IMDMで洗浄(3回)後、前記タンパク質でコーティングしたウェル中に分注した(1×104個/ウェル)。また、増殖を測定するため、18時間培養した後、1μCiの[H]−チミジンで細胞を6時間パルスし、TopCount NXTシンチレーションカウンター(パーキンエルマー)で取り込み量を定量した。さらに、可溶性チェックポイントリガンドに対する2.10 T細胞の感受性を分析するため、グラフに示した各組換えタンパク質を培地で希釈し、抗CD3抗体でコーティングしたウェルに2.10細胞とともに加えた。
CD4+T細胞の増殖およびサイトカインの分泌(マウス)
単離したマウスCD4+T細胞を、メーカー(サーモフィッシャーサイエンティフィック)のプロトコルに従ってCFSEで標識し、抗CD3抗体であらかじめコーティングした96ウェルマイクロタイタープレートに加え、(固相化または可溶性)マウスVISTA.Fc、マウスVISTA.COMPまたはマウスCOMP単独の存在下で刺激した。48時間後または72時間後に細胞を回収し、CFSEの希釈をフローサイトメトリー(FACSCalibur、ベクトン・ディッキンソン)で定量した。また、刺激したCD4+T細胞を48時間後または72時間後に培地から回収し、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA、R&Dシステム)で分析して、VISTA.COMPによるIL-2の分泌抑制およびIFNγの分泌抑制を定量した。
ヒトT細胞の活性化アッセイおよび増殖アッセイ
健康なドナーから単離した末梢血単核細胞(PBMC)(STEMCELL Technologies)を、VISTA.Fc、VISTA.COMPまたはCOMPの存在下で、5μg/mLのConAとともに48時間もしくは72時間培養するか、または固相化抗CD3抗体(OKT3、1μg/mL)とともに培養した。いくつかの実験では、培養前に細胞をCFSEで標識し、増殖を追跡した。培養終了後、細胞を回収し、グラフに示した抗体(抗CD3、抗CD4、抗CD8および/または抗CD25)で染色し、フローサイトメトリーで分析した。
フローサイトメトリー結合アッセイ
フローサイトメトリーを使用して、T細胞に対するVISTA.COMP、VISTA.Fcまたはコントロールタンパク質の結合を評価した。まず、メーカーの指示に従ってEZ-Link Sulfo-NHS-LC-Biotin試薬(サーモサイエンティフィック)を使用して、各タンパク質をビオチン標識した。反応終了後、PD-10脱塩カラム(GEヘルスケア)を用いて過剰なビオチンを除去した。各タンパク質のビオチン標識量が等量であることを確認するため、HABA/アビジン試薬(シグマ)を用いて各リガンドに結合したビオチンの量を測定した。FACS染色バッファー(1%FBSおよび0.09%NaN3を添加したPBS)中で、グラフに示した各ビオチン標識タンパク質(10μg/100μL)またはVISTA.Fcとともに2.10 T細胞を4℃で0.5時間インキュベートした。結合しなかったタンパク質を除去した後、FACS染色バッファー中でストレプトアビジン−PE(1:300、BioLegend)またはPE標識抗ヒトIgG(1:100、BioLegend)とともに細胞を15分間インキュベートし、FACSCaliburセルアナライザーを用いてPEの蛍光シグナルを分析した。
マウス同種混合白血球培養アッセイ(allo-MLC)
過去の報告に従って(引用文献39)、VISTA.COMPまたはCD200Fc(ポジティブコントロール)をマウス同種混合白血球培養に加えて5日間培養し、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の誘導を分析した。簡潔に述べると、グラフに示した濃度の各組換えタンパク質の存在下において、C57BL/6脾臓由来の応答細胞を、放射線照射した同数のBALB/c由来刺激細胞とインキュベートした。5時間にわたって傷害を受けたP815肥満細胞腫由来標的細胞からの51Crの放出を観察することによって、誘導された細胞傷害性Tリンパ球(CTL)を分析した(エフェクター細胞:標的細胞=25:1)。
同種皮膚移植片移植
過去の報告に従って(引用文献39)、マウス皮膚同種移植片モデルを用いて、VISTA.COMPの免疫抑制効果をインビボで試験した。BALB/CマウスにC57BL/6由来の皮膚移植片を移植し(0日目)、低用量ラパマイシン(0.5mg/kg、48時間ごとに腹腔内注射)を併用して、VISTA.COMP(15μgを静脈注射)で3日に1回、計5回処置した。盲検化した評価者によって移植片の生着を毎日観察した。
コンカナバリンA誘導性急性肝炎
急性肝炎のCon-Aモデルを用いて、致死的な急性炎症からマウスをレスキューするVISTA.COMPの能力を評価した。致死量(15mg/kg)のCon-A(シグマ アルドリッチ)を静脈注射する2時間前に、雄性C57BL/6マウスにVISTA.COMP(200μg)またはPBSを腹腔内注射した。3時間後に一部のマウスを屠殺し、ELISA(R&Dシステムズ)によりIL-6およびTNFαの血清中濃度を定量し、残りのマウスは24時間にわたり生存を観察した。
固相免疫沈降アッセイ
TCRのリン酸化によるシグナル伝達カスケードに対するVISTA.COMPの抑制効果を評価するため、固相免疫沈降アッセイを実施した。抗CD3抗体でコーティングしたプレートに(VISTA.COMPの存在下または非存在下において)2.10 T細胞を15分間曝露させた。ウェル中の培地を除去した後、溶解バッファー(50mM Tris pH7.4、150mM NaCl、1% NP40、5mM Na4O7P2、5mM NaF、2mM Na3VO4およびシグマ社製1×プロテアーゼインヒビターカクテル)中において4℃で30分間のインキュベートすることによって、インサイチューで細胞を溶解した。ウェルを溶解バッファーで激しく3回洗浄後、ウェルに結合したタンパク質を3.5%NH4OHで溶出した。溶出したタンパク質を凍結乾燥し、SDSサンプルバッファーに再懸濁し、抗ホスホチロシン抗体(クローン4G10;Sunnybrook Antibody Core Facility)を用いたウエスタンブロットにより、総リン酸化タンパク質を可視化した。
統計分析
スチューデントのt検定、または特記されている場合はマン・ホイットニーのU検定を使用して、GraphPad Prismソフトウェア(v6.0.2)により統計分析を行った。グラフおよび図表もGraphPad Prismソフトウェアを使用して作成した。
実施例2:VISTA.COMPの結果
二量体VISTAは固相化した場合のみT細胞の増殖を抑制する
T細胞上の免疫チェックポイント受容体の活性化は、抗原提示細胞(APC)および腫瘍細胞上に発現されるPD-L1などのタンパク質リガンドにより提示されるIgVドメインが、該タンパク質リガンドによって認識されるT細胞上の免疫チェックポイント受容体PD-1の相補的なIgVドメインに結合することにより開始される場合がある。過去の研究では、PD1:PD-L1およびCD28:CD80/CD86に関与するIgVドメインの単量体形態は、通常、低マイクロモル(μM)範囲のKd値が観察されることから、中程度の親和力で互いに相互作用することが実証されている(引用文献40および41)。インビトロにおいてT細胞上のチェックポイント受容体を活性化させるため、免疫チェックポイントリガンドをFc融合タンパク質などのオリゴマーの形態で発現させ、表面に固相化することがなされている。このような免疫チェックポイントドメインがAPCとT細胞の表面で提示されれば、固相化によってドメイン間の相互作用(アビディティ)を模倣することができる。
過去の報告(引用文献8および9)と一致して、VISTAのIgVドメインをIgG1のFc領域と融合することによって構築したVISTAの二量体形態(VISTA-Fc)は、培養皿に固相化した場合にのみ、抗CD3刺激CD4+T細胞の増殖を抑制した(図1A)。CD4+T細胞を刺激した際に可溶性のVISTA-Fcを培地に加えたが、細胞増殖に対するその効果は無視できる程度であったことから、推定上のVISTA受容体を十分に作動させる能力が不足しているため、インビボでVISTA-Fcを使用しても限定的にしかT細胞活性を抑制できないことが示唆された。
特定の理論に拘束されるものではないが、インビトロにおける可溶性VISTA-Fcの活性の欠如は、受容体に対するアビディティが不十分であること、および/または細胞表面においてVISTA受容体をクラスター化させる能力が欠如していることが要因であると考えられる。
インビトロでもインビボでもT細胞刺激を効果的に抑制することができるアゴニストを作製するため、高次構造のVISTAオリゴマーを作製した。VISTAのIgVドメインをCOMPの五量体形成ドメインに遺伝子融合させることによって、組換えVISTA五量体(VISTA.COMP;配列は補遺1の配列番号14を参照されたい)を構築した。組換えVISTA.COMPを哺乳動物発現系において産生させることによって、COMPの五量体形成ドメインの分子内ジスルフィド結合により安定化された約250kDaの五量体タンパク質を得た(図1B)。
VISTA.COMPはインビトロで可溶性リガンドとしてT細胞の活性化および増殖を抑制する
VISTA-Fcとは対照的に、可溶性VISTA.COMPは、単離後に抗CD3で刺激したCD4+T細胞の増加および増殖を実質的に抑制した(図1C)。組換えCOMPドメイン単独では、T細胞の増加および増殖に対する効果は無視できる程度であったことから、VISTA.COMPの活性は、COMPドメインに関連したオフターゲット効果によるものではなく、VISTAのシグナル伝達によるものであることが示唆された。さらに、可溶性のVISTA.COMPは、刺激されたCD4+T細胞からの炎症性サイトカインIL-2(図1D)およびIFNγ(図1E)の分泌を有意に減少させた(p<0.01)。抗CD3による刺激を増加したところ、VISTA.COMPの存在下においてT細胞の***が増加したことから、VISTA.COMPによる抑制効果は、T細胞受容体(TCR)に対する刺激の強度と逆相関することが分かった(図1F)。VISTA.COMPは、ポリクローナルな刺激に応答したT細胞増殖を抑制する能力に加えて、同種混合白血球培養において用量依存的に細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の誘導を容易に抑制した(図1G)。これらの結果から、VISTA.COMPが、T細胞上のVISTA受容体を活性化してT細胞の活性を制御することができる効果的なアゴニストであることが実証された。VISTA-Fcとは異なり、VISTA.COMPは、アゴニスト活性を奏するのに固体表面への固相化を必要としない。
hVISTA.COMPはヒトT細胞の活性化および増殖を抑制する
マウスVISTAのECDをhVISTA.COMPのECDに置き換え、マウスCOMPの五量体形成ドメインをヒトCOMPの五量体形成ドメインに置き換えたこと以外はmVISTA.COMPの作製方法と同様にしてヒトVISTA.COMP(配列番号24)を構築した。このタンパク質、すなわちhVISTA.COMP(配列番号24)は、Expi293F細胞において容易に発現させることができ、均質に精製することができた(図1H)。マウスT細胞を使用した先の実験で観察されたのと同様に、hVISTA.COMPは、ConAにより誘導された成人PBMC由来ヒトT細胞の増殖を容易に抑制するが、COMP単独ではこのような効果は認められないことが見出された(図1I)。さらに、hVISTA.COMPは、抗CD3の誘導により活性化されたヒトCD4+T細胞およびヒトCD8+T細胞におけるT細胞活性化マーカーCD25のアップレギュレーションを抑制した(図1J)。これらの結果を考え合わせると、mVISTA.COMPを使用した先の観察結果と同様に、ヒトVISTA.COMPは、VISTAを介して免疫抑制シグナル伝達を誘導し、ヒトT細胞の活性化を抑制できることが示された。
VISTA.COMPはT細胞株クローンに結合し、その活性化を抑制する
初代CD4+T細胞に加えて、CD4陰性マウスIL-2依存性T細胞クローン(2.10)(引用文献42)もVISTAの抑制性シグナル伝達に感受性を示すことから、VISTA受容体アゴニストの効果を分析するための制御系を提供できることが見出された。初代CD4+T細胞での観察結果と一致して、VISTA-Fcは固体表面に固相化した場合にのみ抗CD3誘導性増殖を抑制したが、VISTA.COMPは、固相化した場合でも培地中に溶解した場合でも抗CD3誘導性増殖活性を抑制した(p<0.01)(図2A)。可溶性のVISTA.COMPおよび可溶性のVISTA-Fcを滴定したところ、VISTA.COMPは、1μg/mLという低濃度でも抗CD3誘導性の2.10細胞の増殖を抑制したが(p<0.01)、VISTA-Fcは30μg/mLという高濃度でも検出可能な活性を示さなかった(図2B)。また、増殖の抑制に加え、細胞内フローサイトメトリーを実施したところ、可溶性のVISTA.COMPに曝露してから4時間以内に、刺激した2.10細胞からのIL-2の分泌が抑制されたが(p<0.05)、VISTA-Fcではこのような抑制は見られず、このことから、VISTA.COMPが即時かつ迅速な効果を発揮することが示唆された(図2D)。また、VISTA.COMPは、抗CD3による2.10細胞の刺激により誘導されたTCR複合体のシグナル伝達タンパク質におけるチロシン残基の急速なリン酸化を抑制した(図2E)。これらの結果は、固相化VISTA-FcにナイーブCD4+T細胞を曝露した後、(さらなるVISTA-Fcの非存在下において)抗CD3でコーティングしたウェルに移すとT細胞が長期間にわたって抑制されるという先の知見と機構的には一致しており、VISTAのシグナル伝達がT細胞の活性化の早期調節因子として一定の役割を果たしていることが示唆された。次に、VISTA-Fc、COMPまたはVISTA.COMPを用いて、2.10細胞株のフローサイトメトリーを実施し、可溶性VISTA-FcがT細胞上のVISTA受容体に対して結合能を有していないことが抑制活性の欠如の原因であるのかどうかを判定した。VISTA.COMPおよびCOMPを同数のビオチン基で標識し、細胞に結合したビオチン標識タンパク質をPE−ストレプトアビジンで検出するとともに、細胞に結合したVISTA-FcをPE標識抗IgGで検出した。VISTA-FcおよびVISTA.COMPはいずれも、ナイーブ2.10 T細胞に結合することが見出されたが、COMPにおいて観察されたベースラインシグナルから、COMPの五量体形成ドメイン単独では非特異的結合が見られないことが確認された(図2C)。また、VISTA-Fcのシグナルは、VISTA.COMPとは異なり、さらに洗浄工程を実施することによって容易に取り除くことができたことから、推定上のVISTA受容体との相互作用の親和力は低いことが示唆された(図2F〜H)。これらの試験結果から、VISTA-Fcなどの低いアビディティを示す可溶性VISTAリガンドは、この経路を介した免疫抑制シグナル伝達をインビトロで活性化するには不十分であることが実証された。高いアビディティを示すVISTA.COMPリガンドによってのみ、VISTA受容体を刺激することができた。
VISTA.COMPはインビボで免疫応答を抑制する
可溶性リガンドとしてのVISTA.COMPがインビトロでT細胞の活性を抑制することが示されたデータを考慮すると、可溶性のVISTA.COMPは、インビボにおいて炎症促進反応を抑制するのに有用なアゴニストであると考えられる。これを踏まえ、まず、マウス皮膚同種移植片モデルにおいてVISTA.COMPを試験した。BALB/Cマウスに、非組織適合性の皮膚同種移植片(C57BL/6ドナー由来)を移植した後、VISTA.COMPまたは生理食塩水コントロールと低用量のラパマイシンとを組み合わせて処置を行った(図3A)。この用量のラパマイシンを単独療法として使用した場合、移植片の生着になんら効果を発揮しないことは過去に実証されている(引用文献39)。VISTA.COMPは、皮膚同種移植片の生着を有意に延長した。処置の最終日(15日目)に、VISTA.COMP処置群では6匹中1匹においてのみ同種移植片の拒絶が認められたが、これに対して、生理食塩水コントロール群では6匹すべてにおいて同種移植片の拒絶が認められた(p<0.05、マン・ホイットニーのU検定)(図3B)。また、コンカナバリンA(ConA)誘導性肝炎と呼ばれる急性肝炎モデルにおいてVISTA.COMPの免疫抑制効果を評価した。このモデルでは、ConAを投与することによって、CD4+T細胞およびNKT細胞がポリクローナルに活性化されて急性肝炎が誘導される(引用文献43)。このモデルを使用して、インビボのT細胞に対するVISTA.COMPの抑制活性を評価した。このモデルを使用した過去の研究では、T細胞上のVISTAに対する作動性の抗VISTA抗体により致死性の肝損傷からマウスをレスキューできることが示唆されている(引用文献10)。しかしながら、VISTA受容体アゴニストによる処置の効果は不明であった。VISTA.COMPによる予防処置をマウスに行ったところ、致死量のConAによる死亡から雄性C57BL/6マウス4匹中3匹をレスキューできることが見出された(図3C)。また、この結果と一致して、ConA注射の3時間後におけるTNFαおよびIL-6の血清中濃度は、VISTA.COMPによる処置により有意に低下することが見出された(p<0.05)(図3D)。これら2種の急性炎症疾患モデルから得られた結果から、VISTA.COMPが強力なアゴニストとして、インビボにおける炎症反応を抑制できる可能性が示唆された。
VISTA.COMPの活性に対するタグの影響
コーティングしたVISTAコンストラクトまたは可溶性のVISTAコンストラクトの存在下における抗CD3刺激CFSE標識脾臓CD4+T細胞の増殖を示す(図4A)。可溶性のVISTA.FcはCD4+T細胞に対して抑制効果を示さなかったが、VISTA.COMPは、固相化を必要とすることなくCD4+T細胞に対して免疫抑制活性を示した。さらに、ヒスチジンタグ付加VISTA.COMP(VISTA.COMP.his;補遺1に記載の配列番号14)は、strepIIタグ付加VISTA.COMP(VISTA.COMP.SS;配列番号60)よりも活性が高かったことから、タンパク質の安定性にタグが影響を及ぼす可能性が示唆された。また、表面プラズモン共鳴(SPR)結合アッセイ行ったところ、市販の抗VISTA抗体(クローン730802、R&Dシステムズ)はVISTA.COMP.hisを認識したが、VISTA.COMP.SSは認識せず(図4B)、このことから、エピトープの露出が本質的に変化したことが示唆された(「+」はSPRによって検出可能な結合を示し、「−」は結合が全く存在しないことを示す)。
VISTA.COMPは高いアビディティを示すチェックポイント受容体アゴニストである
本研究で得られたデータから、VISTA.COMPは、高いアビディティを示すチェックポイント受容体アゴニストであり、インビトロにおいてT細胞の活性を抑制することができ、かつインビボにおいて炎症反応を抑制することができることが示唆された。固相化または可溶性のVISTA-FcとVISTA.COMPを比較したところ、VISTA受容体アゴニストとしての活性はオリゴマー化の程度に依存し、溶液中で(すなわち基質に固相化せずに)活性を発揮するには、COMP五量体形成ドメインを用いて作製したアビディティの高い多量体が必要であることが示された。本発明者らは、COMPドメインが、安定したVISTA五量体の発現用足場として有用であることを見出した。本研究で得られたデータと、マウスのVISTA遺伝子を欠失させた際に観察された自己免疫疾患の増悪の所見を考え合わせると、VISTAを介した免疫抑制経路のターゲッティングは、臨床における望ましくない免疫応答の抑制に有用である可能性が示唆される。
実施例3:ICOS-L.COMP法
組換えICOS-L.COMPの発現および精製
ヒトCOMP五量体形成ドメイン(配列番号11)をコードするdsDNAの上流にヒトICOS-L細胞外ドメイン(ECD)(配列番号49)をコードするdsDNAを含み、C末端にヒスチジンタグが付加されたdsDNAコンストラクトを合成し(GeneArt;サーモフィッシャーサイエンティフィック)、pcDNA3.4発現プラスミドに挿入した(GeneArt;サーモフィッシャーサイエンティフィック)。このヌクレオチド配列はICOS-L ECDの5’末端にIgκリーダー配列を含み、ヒト由来細胞株からの分泌収量が高くなるようにコドン最適化されていた(ICOS-L.COMP;配列は補遺1の配列番号57を参照されたい)。ICOS-L.COMPをコードするこのプラスミドを、メーカーの推奨に従って(GeneArt;サーモフィッシャーサイエンティフィック)Expi293F細胞にトランスフェクトし、トランスフェクトした細胞をジェネティシン(GeneArt;サーモフィッシャーサイエンティフィック)に2週間曝露することによりICOS-L.COMPを分泌する安定な細胞株を選択した。分泌されたヒスチジンタグ付加ICOS-L.COMPを、HisTrap HPカラム(GEヘルスケア)を用いて細胞培養上清から精製した。精製後、PD10カラム(GEヘルスケア)を使用して、タンパク質試料をPBS(pH7.4)で脱塩した。SDS-PAGEを用いてタンパク質の純度を確認し、BCAアッセイ(Pierce)または280nmにおける吸光度の測定によってタンパク質の濃度を定量した。
動物
本願の研究において使用されたC57BL/6マウスは、Sunnybrook Research Institute Comparative Research(SRICR)の施設内の無菌環境で飼育した。プロトコルはいずれも、Canadian Council of Animal Careの信任を受けたSunnybrook Research Institute Comparative Researchの動物実験委員会により承認された。
ヒトT細胞の増殖および活性化
ICOS-L.COMPまたはICOSL-Fc(R&Dシステムズ)がインビトロで可溶性リガンドとしてヒトT細胞を共刺激する能力を分析した。EasySep Human T-cell Isolation Kit(STEMCELL Technologies)を使用してヒト臍帯血細胞または成人PBMCをFicoll-Paqueで分離し、ヒトT細胞を単離した。単離したT細胞を、メーカーのプロトコル(サーモフィッシャー)に従ってCFSEで標識し、抗CD3抗体(クローンOKT3、BioXcell)でコーティングした96ウェルプレートで刺激した。10%FBS、ペニシリン(100U/mL)、ストレプトマイシン(100μg/mL)および0.05mM 2−メルカプトエタノールを添加したRPMI-1640培地中で各ウェルの細胞を培養した。滴定濃度の可溶性COMPまたはICOS-L.COMPを加えて選択したウェルをインキュベートした。48〜72時間後に細胞を回収し、適切な抗体(抗CD4、抗CD8および/または抗CD25)で染色し、フローサイトメトリー(FACSCalibur、ベクトン・ディッキンソン)により増殖(CFSE)および活性化マーカー(すなわちCD25)のアップレギュレーションを分析した。また、72時間後に各ウェルの細胞培養上清をサイトカイン分析用に回収し、ヒトLEGENDplex Th1炎症パネル(Biolegend)を使用してIFNγ、TNFα、IL-10、IL-2およびIL-6の分泌を定量した。
hICOS、mICOSおよびCD28に対するICOS-L.COMPの結合
Biacore T-200表面プラズモン共鳴(SPR)実験を利用して、hICOS、mICOSおよびhCD28に対するICOS-L.COMPの直接結合を評価した。CM5チップ(GEヘルスケア)にあらかじめアミンカップリングしたプロテインA(シグマ アルドリッチ)でhICOS-Fc、mICOS-FcまたはhCD28-Fc(いずれもR&Dシステムズから入手)をアフィニティー捕捉した(350〜400RU)。HBS-EPランニングバッファー(GEヘルスケア)に25nMの濃度で添加したhICOS-L.COMPを注入して、アフィニティー捕捉した各タンパク質上に流した。
ICOS-L.COMPの結合速度論
Biacore T200を使用したSPR法によるシングルサイクルカイネティクス解析により、固相化hICOS-Fcに対するhICOSL-COMP、hICOSL-FcおよびCOMPの結合の速度論を測定した。簡潔に述べると、CM5センサーチップ(GEヘルスケア)にhICOS-Fc(R&Dシステムズ)をあらかじめ固相化し、滴定濃度のICOS-L.COMP、ICOSL-Fc(R&Dシステムズ)またはCOMP(ネガティブコントロール)を注入して、hICOS-Fc上に流した。得られたセンサーグラムを1:1結合モデルにフィッティングし、結合速度定数(ka)、解離速度定数(kd)および解離定数(KD)を求めた。
ヒトT細胞に対するICOS-L.COMPの結合
フローサイトメトリーによりヒトT細胞に対するICOSL-COMPの結合能を確認した。メーカーの説明書(サーモフィッシャー)に従って、FITCでICOS-L.COMPを誘導体化した。あらかじめヒトドナーPBMCから単離しておいた1×105個のCD3+T細胞(STEMCELL Technologies社製のhuman CD3+ Isolation Kit)を、FACSバッファー(PBS+2%FBS+0.09%NaN3)中において100nM ICOS-L.COMP.FITCとPE-Cy7抗CD4(Biolegend)とともに20分間インキュベートした。その後、細胞を洗浄し、BD社製LSRサイトメーターを用いたフローサイトメトリーにより分析を行った。DAPIを使用して死細胞を除外した。
ICOS-L.COMP競合実験(ヒト)
抗CD3/CD28で刺激した1日目のヒトCD3+T細胞上のICOSへの結合におけるhICOS-L.COMPとhICOS-Fcの競合をフローサイトメトリーにより評価した。簡潔に述べると、200nMのICOS-L.COMP.FITCまたは等量のPBS(ICOS-L.COMPなし)を、刺激したCD3+T細胞とともに氷上で15分間プレインキュベートした後、100nMのhICOS-L.Fcを加えた。細胞を洗浄し、PE標識抗ヒトIgG-Fc二次抗体(Biolegend)を加えてインキュベートし、BD社製LSRサイトメーターを用いたフローサイトメトリーにより分析を行った。
ICOS-L競合実験(マウス)
初代マウスCD4+細胞上のICOSへの結合におけるhICOS-L.COMPとmICOS-Igの競合をフローサイトメトリーにより評価した。EasySep Mouse CD4+ T-cell isolation kit(STEMCELL Technologies)を用いてマウス脾臓CD4+T細胞を単離し、固相化抗CD3抗体(クローン145-2C11、BioXcell)に曝露することにより48時間活性化して、ICOSの発現をアップレギュレートした。mICOS-Ig単独またはICOS-L.COMPと組み合わせたmICOS-Igを活性化T細胞に加えてインキュベートし、PE標識抗ヒトIgG-Fc抗体(BioLegend)を用いてmICOS-Igの結合を検出した。
MC38結腸癌マウスモデル
ICOS-L.COMPが抗PD-1チェックポイント阻害剤との相乗作用によって抗腫瘍免疫応答を回復させ、定着腫瘍の進行を遅延させる能力を有することを、MC38結腸癌モデルを用いて確認した。2×105個のMC38腫瘍細胞を雄性C57BL/6マウスに注射し、処置を行う前に7〜10日間かけて腫瘍を50〜150mm3の大きさまで増殖させた。その後、PBS、抗PD-1(200μg、クローンRMPI-14)、ICOS-L.COMP(100μg)または抗PD-1とICOS-L.COMPの組み合わせを2〜3日ごとに計5回注射した。腫瘍の大きさを1日おきにノギスで測定し、式:長径×短径×π/6を用いて体積を求めた。一部のマウスは、処置開始後10〜12日目に腫瘍を摘出し、酵素で解離して単一細胞懸濁液を調製し、抗CD45、抗CD4、抗CD8、抗FOXP3および抗ICOSで染色して、処置後の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)集団の特性を分析した。
実施例4:ICOS-L.COMPの結果
五量体ICOS-L融合タンパク質の原理および設計
T細胞は、インビトロおよびインビボでの活性化に2種のシグナルを必要とする。第1のシグナルは、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)上に提示された抗原をT細胞受容体(TCR)が認識することによって伝達される。第2のシグナルは共刺激シグナルであり、B7-1/2:CD28などの様々なリガンドと受容体の相互作用により伝達され、T細胞の活性を増強する。ICOSはB7/CD28ファミリーのメンバーであり、T細胞の活性化によりアップレギュレートされる共刺激受容体である。ICOSが、抗原提示細胞(APC)上に発現されるリガンドであるICOS-Lと結合すると、T細胞の増殖およびサイトカインの産生が増強される。過去の研究では、抗CTLA-4(イピリムマブ)で治療したがん患者のT細胞においてICOSの発現が増加していることが示されており、このアップレギュレーションは、臨床転帰の改善と相関する。前臨床実験では、ICOSのシグナル伝達を作動させることによって有益な抗腫瘍免疫応答を促進できるという治療的有用性が確立された。具体的には、全細胞ワクチン(B16悪性黒色腫の腫瘍細胞上に発現されたICOS-L)を抗CTLA-4と併用してICOSを作動させることによって、B16悪性黒色腫モデルにおける腫瘍増殖を遅延させることができることが示された。これらの結果をまとめると、確立されたチェックポイント阻害治療薬(抗PD-1モノクローナル抗体および抗CTLA-4モノクローナル抗体)と相乗効果を発揮する治療薬として、ICOSアゴニストが一定の役割を果たすことが確認された。
これを実証するため、ICOS-L細胞外結合ドメインを五量体化することによって可溶性のICOSアゴニストを誘導可能であるという仮説を立てた。また、ICOSの天然リガンド(ICOS-L)の五量体形態は、アビディティおよびクラスター化が増強されるため、作動性のICOSモノクローナル抗体やICOS-L ECDの二量体形態(すなわちICOS-Fc)よりも強力にICOSのシグナル伝達を作動させることができるという仮説を立てた。
COMPの五量体形成ドメインにICOS-L ECD(IgV+IgCドメイン)を遺伝子融合させることによって、五量体ICOS-Lコンストラクトを作製した(ICOS-L.COMP;配列は補遺1の配列番号57を参照されたい)。ICOS-L.COMPを哺乳動物細胞の発現系で発現させることによって、非還元条件下において分子量約300kDaの安定なホモ五量体が得られた(図8B)。
ICOSL.COMPはヒトおよびマウスのICOSに結合するが、CD28には結合しない
表面プラズモン共鳴法(SPR)により、ICOSおよびこれと密接に関連したファミリーメンバーであるCD28に対するhICOS-L.COMPの結合の特性を評価した。予想されたとおり、hICOSL-COMPは25nMの濃度においてマウスICOSとヒトICOSの両方に容易に結合した(図9A)。hCD28に対しては非常に弱い結合または無視できる程度の結合が観察され、hICOSL-COMPとICOSの相互作用の特異性が実証された。
ICOS-L.COMPはICOSL-Fcよりも優れたアフィニティー/アビディティでICOSに結合する
表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイを使用して、hICOSに対するhICOS-L.COMPおよびICOSL-Fcの結合親和性の特性を評価した。hICOS-L.COMPの結合の見かけ上のKDは0.9nMであり、hICOSL-Fcの結合(2.9nM)の約3倍の親和性であった。COMPはICOSに結合しなかったことから、hICOS-L.COMPとhICOSの相互作用が特異的なICOSL-ICOS結合によるものであることが実証された(図9B)。
hICOS-L.COMPはヒトT細胞に直接結合し、ICOSL-Fcと競合する
ICOS発現ヒトCD3+T細胞に対する結合能の特性についてもhICOSL-COMPを評価した。この評価を行うため、FITCでhICOSL-COMPを誘導体化し、1分子あたり約13〜15個のFITC分子を付加した。hICOSL.COMP.FITCは、ヒトPBMCから単離されたCD3+CD4+T細胞およびCD3+CD4-T細胞に容易に結合することが見出された(図9C)。さらに、刺激したヒトT細胞に対するICOSL-Fcの結合は、ICOS-L.COMPがこのヒトT細胞に結合することによって完全に抑制されたことから、ICOS-L.COMPとICOSL-Fcが、細胞に発現されたICOSへの結合において競合することが確認された(図9D)。
ICOS-L競合実験(マウス)
初代マウスCD4+細胞上に提示されたICOSへの結合に対する競合において、hICOS-L.COMPはmICOS-Igに勝ることをフローサイトメトリーにより評価した。五量体hICOS-L.COMPは、活性化T細胞により発現されたICOSへの結合に対する競合においてmICOS-L-Igに十分に勝る(図9E)。
ICOS-L.COMPはヒトT細胞を共刺激する
ICOSのシグナル伝達を作動させてヒトT細胞を共刺激するICOS-L.COMPの機能を確認した。新鮮なヒト臍帯血から単離し、CFSEで標識したCD3+T細胞をインビトロにおいて抗CD3抗体により刺激し、ICOS-L.COMPまたはCOMP(ネガティブコントロール)を培地に加えて溶解した。細胞の増加および増殖をFACSで72時間にわたり追跡したところ、ICOS-L.COMPはCD4+T細胞およびCD8+T細胞の増殖を顕著に刺激するが、COMPではこのような効果は認められないことが実証された(図10A)。さらに、ICOS-L.COMPは、T細胞活性化マーカーであるCD25のアップレギュレーションを誘導した(図10B)。hICOSL-COMPとは全く対照的に、可溶性リガンドとしてのICOSL-Fcは、CD3+CD4+T細胞の増加および増殖を誘導することができなかった(図10C)。さらに、抗CD3で誘導したT細胞受容体シグナル伝達の非存在下ではICOSL-COMPはT細胞を刺激しなかったことから、ICOSL-COMPが共刺激リガンドとして機能することが確認された(図10D)。成人PBMCから単離されたT細胞の共刺激でも同様の結果が認められた(図10E)。さらに、可溶性のICOSL-COMPによる共刺激は、Th1サイトカインであるIFNγ、TNFαおよびIL-10の分泌を実質的に増加させ、IL-2およびIL-6の分泌は、増加量はそれほど多くはないものの有意に増加したが、ICOSL-Fcではこのような効果は認められなかった(図10F)。これらの実験結果を考え合わせると、可溶性のICOS-L.COMPはICOSのシグナル伝達経路を容易に作動させ、ヒトT細胞の増殖および活性化を刺激することが実証された。
ICOS-L.COMPはチェックポイント阻害剤と相乗してマウスにおいて予防的抗腫瘍免疫を促進する
チェックポイント阻害剤を併用した場合のICOS-L.COMPの抗腫瘍作用を測定するため、MC38結腸癌モデルを使用した。この実験では、免疫適合C57BL/6マウスにMC38細胞を皮下注射し、腫瘍を50〜150mm3の体積まで増殖させ、PBS(コントロール)、抗PD-1単独療法、ICOS-L.COMP単独療法、またはICOS-L.COMPと抗PD-1の併用療法(組み合わせ)で処置した(図11A)。ICOS-L.COMPと抗PD-1の併用処置によって、抗PD-1単独療法よりも腫瘍の増殖が有意に遅延した(**P<0.01)(図11B)。各マウスの腫瘍を個別に追跡したところ、最後の処置の時点で、併用群では12匹中3匹のマウスにおいて完全奏効が観察されたが(図11C)、その他の群では完全退縮した事例は認められなかった。また、ICOS-L.COMP単独療法群のマウスは、PBSコントロールと比べて転帰の改善を示さなかったことから、このモデルではチェックポイント阻害剤の併用が必要であることが示唆された(図12A)。腫瘍浸潤CD4+T細胞およびCD8+T細胞では、ICOSの発現が有意に高く、腫瘍内のICOS+細胞が全体に増加したことから、併用療法が果たす役割が裏付けられた(図12B)。これらを考え合わせると、ICOS発現をアップレギュレートし、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の存在量を増加させるチェックポイント阻害抗体の有効性は、可溶性のICOSアゴニストとの併用療法によって増強できることが示唆される。これを裏付けるものとして、抗PD-1とICOS-L.COMPを使用した併用療法によって、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)コンパートメント内(CD45+)のCD4+FOXP3-(CD4エフェクター)細胞が、抗PD-1単独療法のみの場合と比べて、それほど多くはないものの有意に増加した(*P<0.05)(図12C)。Treg細胞(CD4+FOXP3+)の存在量に変化は認められなかった(図12D)。
以上のデータから、ICOS-L ECD五量体(ICOS-L.COMP)は、高いアビディティでICOSに容易に結合してヒトT細胞を共刺激することができることが示された。重要なことには、インビボにおけるこの共刺激は、チェックポイント阻害剤(抗PD-1抗体)を併用した場合に抗腫瘍活性を増強することができ、その結果、腫瘍組織量を減少させることができる。
実施例5:PD-L1.COMP法
PD-L1五量体(PD-L1.COMP)発現ベクターの設計
EcoRI制限部位(5’側)およびKpnl制限部位(3’側)を有するマウスPD-L1 ECDをコードするコドン最適化dsDNAコンストラクトを合成した(IDT社)。このコンストラクトを消化し、PD-L1 ECD(配列番号42)がIgκリーダー配列の下流かつCOMP五量体形成ドメイン(配列番号12)の上流に位置するように(PD-L1.COMP;配列は補遺1の配列番号46を参照されたい)EcoRI/Kpnlダブル消化プラスミドにライゲートした(COMP.HIS8-pcDNA3.4)。
キメラPD-L1.COMPの発現および精製
PD-L1.COMPをコードするこのプラスミドを、メーカーの推奨に従って(GeneArt;サーモフィッシャーサイエンティフィック)Expi293F細胞にトランスフェクトし、トランスフェクトした細胞をジェネティシン(GeneArt;サーモフィッシャーサイエンティフィック)に2週間曝露することによりPD-L1.COMPを分泌する安定な細胞株を選択した。分泌されたヒスチジンタグ付加PD-L1.COMPを、HisTrap HPカラム(GEヘルスケア)を用いて細胞培養上清から精製した。精製後、PD10カラム(GEヘルスケア)を使用して、タンパク質試料をPBS(pH7.4)で脱塩した。SDS-PAGEを用いてタンパク質の純度を確認し、BCAアッセイ(Pierce)または280nmにおける吸光度の測定によってタンパク質の濃度を定量した。
T細胞株の活性化アッセイおよび増殖アッセイ
IL-2(3.5μg/mL)、レシチン(20μg/mL)およびBSA(0.5mg/mL)を添加した完全IMDM中でマウス2.10 T細胞クローンを培養した。活性化アッセイを行うため、細胞を回収し、3回洗浄し、抗CD3(3μg/mL、BioXcell)でコーティングした96ウェルプレートに2×104個/ウェルの密度で播種した。10μg/mLの濃度となるようにPBS(pH7.4)に溶解したPD-L1.COMPもしくはCOMP(ネガティブコントロール)を抗CD3コーティングウェルに加えて37℃で1時間コーティングするか、または2.10細胞を含むウェルにPD-L1.COMPもしくはCOMP(ネガティブコントロール)を10μg/mLの濃度で加えて溶解した。細胞を18時間培養後、1μCiの[H]−チミジンでパルスし、さらに6時間培養した。TopCount NXTシンチレーションカウンター(パーキンエルマー)で、[H]−チミジンの取り込みと増殖を定量した。
PD-1発現T細胞クローンへの結合
2.10 T細胞株を用いたフローサイトメトリーによって、PD-1発現細胞に対するPD-L1.COMPの結合を調べた。メーカーの説明書(サーモサイエンティフィック)に従ってEX-Link Sulfo-NHS-LC-Biotin試薬を用いてPD-L1.COMPをビオチン標識し、PD10カラムを用いてPBSで脱塩することにより過剰なビオチン試薬を除去した。静止期2.10細胞または抗CD3で活性化した2.10細胞を、ビオチン標識COMPまたはビオチン標識PD-L1.COMPとともに4℃で30分間インキュベートした。その後、細胞をPBSで洗浄し、ストレプトアビジン−PE(1:100、BioLegend)を使用して4℃で30分間染色した。細胞をPBSで洗浄し、DAPI(生細胞/死細胞の除外)を添加したPBS中に再懸濁し、FACSCaliburセルアナライザー(ベクトン・ディッキンソン)で測定した。
初代CD4+T細胞株の活性化および増殖
mouse CD4+ T-cell isolation kit(STEMCELL Technologies)を用いて、マウス脾臓細胞からCD4+T細胞を単離した。メーカーのプロトコル(サーモフィッシャーサイエンティフィック)を用いてCD4+T細胞をCFSEで標識し、抗CD3(3μg/mL)でコーティングした96ウェルプレートに播種し、PD-L1.COMP、hB7-H4.COMP、mVISTA.COMPまたはCOMPを10μg/mLの濃度で培地に加えて溶解した。72時間後に細胞を回収し、FACS(FACSCalibur、ベクトン・ディッキンソン)によりCFSEの希釈を分析した。いくつかの実験では、48時間後および72時間後に培地からCFSE標識細胞を回収し、IL-2およびIFNγの分泌をELISA(R&Dシステムズ)で定量した。
実施例6:PD-L1.COMPの結果
負のチェックポイント受容体の刺激は、抗原提示細胞(APC)および腫瘍細胞上に発現されるタンパク質リガンド(PD-L1など)により提示されるIgVドメインが、該タンパク質リガンドによって認識されるT細胞上の免疫チェックポイント受容体(PD-1など)の相補的なIgVドメインに結合することにより起こる。過去の研究では、PD1:PD-L1およびCD28:CD80/CD86に関与するIgVドメインの単量体形態は、通常、低マイクロモル(μM)範囲のKd値が観察されることから、中程度の親和力で互いに相互作用することが実証されている(引用文献40および41)。インビトロにおいてT細胞上のチェックポイント受容体を活性化させるため、免疫チェックポイントリガンドをFc融合タンパク質などの二量体の形態で発現させ、表面に固相化することがなされている。このような免疫チェックポイントドメインがAPCとT細胞の表面で提示されれば、固相化によってドメイン間の相互作用(アビディティ)を模倣することができる。過去の報告では、PD-1の免疫抑制性シグナル伝達を作動させるには、プレートまたはビーズにPD-L1-Fcを固相化する必要があることが示されている。このことから、PD-L1-Fcは、PD-1を十分に作動させる能力が不足しており、インビボでPD-L1-Fcを使用しても限定的にしかT細胞活性を抑制できないことが示唆された。
特定の理論に拘束されるものではないが、インビトロにおける可溶性PD-L1の活性の欠如は、受容体に対するアビディティが不十分であること、および/またはPD-1をクラスター化させる能力が欠如していることが要因であると考えられる。この仮説は、可溶性のVISTA IgV五量体(VISTA.COMP)が、インビトロにおいてT細胞増殖を容易に抑制できたのに対して、二量体VISTA-Fcではこのような抑制が認められなかったという知見によりさらに裏付けられた。
PD-L1ホモ五量体:PD-L1.COMPの設計、発現および精製
インビトロでもインビボでもT細胞刺激を効果的に抑制することができるPD-1アゴニストを作製するため、高次構造のPD-L1 ECD多量体を作製した。マウスPD-L1のECDドメインをCOMPの五量体形成ドメインに遺伝子融合させることによって、組換えPD-L1五量体(PD-L1.COMP;配列は補遺1の配列番号46を参照されたい)を構築した。組換えPD-L1.COMPを哺乳動物発現系において産生させることによって、COMPの五量体形成ドメインの分子内ジスルフィド結合により安定化された約250〜300kDaの五量体タンパク質を得た(図5A)。
PD-L1.COMPはT細胞株により発現されたPD-1に結合する
ビオチンで標識したPD-L1.COMPまたはCOMPを使用して、2.10 T細胞株のフローサイトメトリーを実施し、細胞上に発現されたPD-1にPD-L1.COMPが結合することを確認した。PD-L1.COMPおよびCOMPを同数のビオチン基で標識し、ナイーブ2.10細胞または抗CD3で活性化した2.10細胞の染色に使用した。PD-L1.COMPは、ナイーブ2.10 T細胞に容易に結合し、T細胞の活性化に伴って結合量が増加したが、COMPではこのような効果は見られなかった。この結果は、T細胞の活性化において確認されたPD-1のアップレギュレーションの速度論と一致していた(図13)。
初代CD4+T細胞株の活性化および増殖
PD-1を作動させてT細胞の活性を抑制するためには固相化が必要とされるPD-L1-Fcとは異なり、可溶性のPD-L1.COMPは、抗CD3抗体により刺激したCFSE標識初代マウスCD4+T細胞の増加および増殖を完全に抑制した。重要なことには、組換えCOMPドメイン単独では、T細胞の増殖を有意に抑制できなかったことから、PD-L1.COMPで認められた免疫抑制効果は、COMP五量体形成ドメインやヒスチジンタグに起因するオフターゲット効果によるものではないことが確認された(図6A)。
実施例7:B7-H4.COMP法
五量体B7-H4コンストラクトの設計
COMPの五量体形成ドメインに融合したヒトB7-H4をコードするコドン最適化遺伝子フラグメントを合成し(GeneArt、サーモフィッシャーサイエンティフィック)、5’末端Igκリーダー配列を付加してpcDNA3.4発現プラスミドにクローニングした。最終的に得られたコンストラクトは、ヒトB7-H4 ECD(配列番号25)の下流に、スペーサー配列、COMP五量体形成ドメイン(配列番号11)、別のスペーサー配列およびHIS8タグをこの順でコードするdsDNAで構成される(B7-H4.COMP;配列は補遺1の配列番号30を参照されたい)。
五量体B7-H4.COMPの発現および精製
メーカーのプロトコル(サーモフィッシャーサイエンティフィック)に従って、Expi293一過性哺乳動物発現系を用いてhB7-H4.COMPを発現させた。分泌されたhB7-H4.COMPをPBSに対して透析し、HisTrap HPカラムを用いたNi-NTA精製により精製した。PD-10カラム(GEヘルスケア)を用いてタンパク質をPBS(pH7.4)で脱塩し、SDS-PAGEで純度を確認し、280nmにおける吸光度の測定によって濃度を測定した。
2.10 T細胞活性化アッセイ
IL-2(3.5μg/mL)、レシチン(20μg/mL)およびBSA(0.5mg/mL)を添加した完全IMDM中でIL-2依存性2.10 T細胞クローンを培養した。細胞を回収し、3回洗浄し、IL-2およびレシチンを含んでいない完全IMDMに再懸濁し、抗CD3(3μg/mL、BioXcell)でコーティングした96ウェルプレートに2×104個/ウェルの密度で播種した。PBSに溶解したhB7-H4.COMP、VISTA.COMP(ポジティブコントロール)もしくはCOMP(ネガティブコントロール)を抗CD3コーティングウェルに加えて37℃で1時間コーティングした後、洗浄を行うか、または2.10細胞を含むウェルにhB7-H4.COMP、VISTA.COMP(ポジティブコントロール)もしくはCOMP(ネガティブコントロール)を直接加えて溶解した。細胞を18時間培養後、1μCiの[H]−チミジンでパルスし、さらに6時間培養した。TopCount NXTシンチレーションカウンター(パーキンエルマー)で、[H]−チミジンの取り込みと増殖を定量した。
初代CD4+T細胞株の活性化および増殖
mouse CD4+ T-cell isolation kit(STEMCELL Technologies)を用いて、マウス脾臓細胞からCD4+T細胞を単離した。メーカーのプロトコル(サーモフィッシャーサイエンティフィック)を用いてCD4+T細胞をCFSEで標識し、抗CD3(3μg/mL)でコーティングした96ウェルプレートに播種し、PD-L1.COMP、hB7-H4.COMP、mVISTA.COMPまたはCOMPを10μg/mLの濃度で培地に加えて溶解した。72時間後に細胞を回収し、FACS(FACSCalibur、ベクトン・ディッキンソン)によりCFSEの希釈を分析した。いくつかの実験では、48時間後および72時間後に培地からCFSE標識細胞を回収し、IL-2およびIFNγの分泌をELISA(R&Dシステムズ)で定量した。
T細胞クローンへの結合
2.10 T細胞株を用いたフローサイトメトリーによって、T細胞上に発現された推定上の受容体(B7-H4R)に対するB7-H4.COMPの結合を調べた。メーカーの説明書(サーモサイエンティフィック)に従ってEX-Link Sulfo-NHS-LC-Biotin試薬を用いてB7-H4.COMPをビオチン標識し、PD10カラムを用いてPBSで脱塩することにより過剰なビオチン試薬を除去した。静止期2.10細胞または抗CD3で活性化した2.10細胞を、ビオチン標識COMPまたはビオチン標識B7-H4.COMPとともに4℃で30分間インキュベートした。その後、細胞をPBSで洗浄し、ストレプトアビジン−PE(1:100、BioLegend)を使用して4℃で30分間染色した。細胞をPBSで洗浄し、DAPI(生細胞/死細胞の除外)を添加したPBS中に再懸濁し、FACSCaliburセルアナライザー(ベクトン・ディッキンソン)で測定した。
実施例8:B7-H4.COMPの結果
過去の報告では、T細胞における免疫抑制性シグナル伝達を作動させるには、プレートまたはビーズにB7-H4-Fcを固相化する必要があることが示されている。このことから、FcRによる架橋の非存在下では推定上の受容体を十分に作動させる能力が不足しているため、インビボでB7-H4-Fcを使用しても限定的にしかT細胞活性を抑制できないことが示唆された。
特定の理論に拘束されるものではないが、インビトロにおける可溶性B7-H4-Fcの活性の欠如は、受容体に対するアビディティが不十分であること、および/または細胞表面において推定上の受容体をクラスター化させる能力が欠如していることが要因であると考えられる。この仮説は、可溶性のVISTA IgV五量体(VISTA.COMP)が、インビトロにおいてT細胞増殖を容易に抑制できたのに対して、二量体VISTA-Fcではこのような抑制が認められなかったという知見によりさらに裏付けられた。
B7-H4五量体の設計および発現
アビディティの不足またはクラスター化の欠如という問題を解決するため、B7-H4 ECDとCOMP五量体形成ドメインとを融合させて、ヒトB7-H4の五量体形態を作製した(B7-H4.COMP;配列は補遺1の配列番号30を参照されたい)。B7-H4.COMPは、哺乳動物細胞において容易に産生され、250〜300kDaの分子量の安定な五量体として均質に精製された(図5A)。
hB7-H4.COMPはT細胞株クローンに結合し、その活性化を抑制する
ビオチンで標識したB7-H4.COMPまたはCOMPを使用して、2.10 T細胞株のフローサイトメトリーを実施し、T細胞上に発現された推定上のB7-H4RにB7-H4.COMPが結合することを確認した。B7-H4.COMPおよびCOMPを同数のビオチン基で標識し、ナイーブ2.10細胞または抗CD3で活性化した2.10細胞の染色に使用した。B7-H4.COMPは、ナイーブ2.10 T細胞および活性化2.10 T細胞に容易に結合したが、COMPではこのような結合は認められなかった(図13)。
IL-2依存性2.10 T細胞株をリポーター系として使用して、B7-H4.COMPがT細胞の活性化を抑制できるかどうかを分析した。五量体VISTA.COMPを使用した先の観察結果と一致して、B7-H4.COMPは、固相化リガンドとして存在する場合でも、培地中に溶解した場合でも、抗CD3の誘導による増殖を抑制した(p<0.01)(図14)。これに対して、COMPの五量体形成ドメインは可溶性リガンドとして添加した場合は、増殖に影響を及ぼさなかったことから、VISTA.COMPおよびB7-H4.COMPのオンターゲット効果が確認された。
B7-H4.COMPは初代CD4+T細胞株の活性化および増殖を抑制する
B7-H4Rを作動させてT細胞の活性を抑制するためには固相化が必要とされるB7-H4-Fcとは異なり、可溶性のB7-H4.COMPは、抗CD3抗体により刺激したCFSE標識初代マウスCD4+T細胞の増加および増殖を完全に抑制した(図15)。重要なことには、組換えCOMPドメイン単独では、T細胞の増殖を有意に抑制できなかったことから、B7-H4.COMPで認められた免疫抑制効果は、COMP五量体形成ドメインやヒスチジンタグに起因するオフターゲット効果によるものではないことが確認された。さらに、可溶性のB7-H4.COMPは、刺激したCD4+T細胞からの炎症性サイトカインIL-2の分泌を有意に減少させた(p<0.01)(図16)。
高いアビディティを示すチェックポイント受容体アゴニストを設計する戦略としての、チェックポイントリガンドの五量体化
本研究で得られたデータから、3種のチェックポイントリガンド、すなわちPD-L1、B7-H4およびVISTAを五量体化することによって、インビトロにおいてT細胞の活性を抑制することができ、かつインビボにおいて炎症反応を抑制することができる高いアビディティのチェックポイント受容体アゴニストを設計できることが示された。固相化または可溶性のVISTA-FcとVISTA.COMPを比較したところ、チェックポイント受容体アゴニストとしての活性はオリゴマー化の程度に依存し、溶液中で(すなわち基質に固相化せずに)活性を発揮するには、COMP五量体形成ドメインを用いて作製したアビディティの高い多量体が必要であることが示された。本発明者らは、COMPドメインが、チェックポイントリガンド由来のECDと融合させて安定した五量体を発現させるための足場として有用であることを見出した。本研究で得られたデータと、マウスにおいてチェックポイントリガンドおよびその受容体を欠失させた際に観察された自己免疫疾患の増悪の所見を考え合わせると、五量体アゴニストによるこれらのチェックポイント受容体の作動は、臨床における望ましくない免疫応答の抑制に有用である可能性が示唆される。
特定の実施形態を参照しながら本発明を説明してきたが、当業者であれば、添付の請求項で概説されるような本発明の目的および範囲から逸脱することなく、これらの実施形態の様々な変更も可能であることを容易に理解するであろう。本明細書において提供された実施例はいずれも、本発明を例示することのみを目的として記載されたものであり、本発明をなんら限定するものではない。また、本明細書において提供された図面はいずれも、本発明の様々な態様を例示することのみを目的として記載されたものであり、本発明を規定または限定するために作製されたものでは一切ない。本明細書において引用により開示された先行技術は、本明細書の一部を構成するものとしてその全体が援用される。

補遺1:配列
VISTA細胞外ドメインのcDNA配列(ヒト)(配列番号1)

VISTA細胞外ドメインのcDNA配列(マウス)(配列番号2)

COMPの五量体形成ドメインのcDNA配列(ヒト)(配列番号3)

COMPの五量体形成ドメインのcDNA配列(マウス)(配列番号4)

VISTA細胞外ドメインのmRNA配列(ヒト)(配列番号5)


VISTA細胞外ドメインのmRNA配列(マウス)(配列番号6)

COMPの五量体形成ドメインのmRNA配列(ヒト)(配列番号7)

COMPの五量体形成ドメインのmRNA配列(マウス)(配列番号8)

VISTA細胞外ドメインのアミノ酸配列(ヒト)(配列番号9)

VISTA細胞外ドメインのアミノ酸配列(マウス)(配列番号10)

COMPの五量体形成ドメインのアミノ酸配列(ヒト)(配列番号11)

COMPの五量体形成ドメインのアミノ酸配列(マウス)(配列番号12)


コドン最適化したmVISTA.COMPのDNA配列(マウス)(配列番号13)
太字なし=非翻訳ヌクレオチド
波下線=Igκ分泌シグナルをコードするDNA配列
下線なしの大文字(黒色)=VISTAの細胞外ドメイン
実線の下線(灰色)=スペーサー配列
イタリック体の小文字=COMPの五量体形成ドメイン
破線の下線=hisタグをコードするDNA配列
二重下線=終止コドン
太字=翻訳ヌクレオチド

mVISTA.COMPのアミノ酸配列(マウス)(配列番号14)
波下線=Igκ分泌シグナル
太字(黒色)=IgVドメインを含むVISTA細胞外ドメイン
イタリック体の小文字=COMPの五量体形成ドメイン
破線の下線=ヒスチジンタグ
下線(灰色)=スペーサー配列

VISTA全長のアミノ酸配列(ヒト)(配列番号15)
ACCESSION Q9H7M9
下線付きの太字=IgVドメインを含むVISTA細胞外ドメイン(31〜193番目のアミノ酸)


VISTA全長のアミノ酸配列(マウス)(配列番号16)
ACCESSION Q9D659
下線付きの太字=IgVドメインを含むVISTA細胞外ドメイン(31〜193番目のアミノ酸)

COMP全長のアミノ酸配列(ヒト)(配列番号17)
ACCESSION NP_000086
下線付きの太字=五量体形成ドメイン(28〜73番目のアミノ酸)

COMP全長のアミノ酸配列(マウス)(配列番号18)
ACCESSION NP_057894
下線付きの太字=五量体形成ドメイン(28〜72番目のアミノ酸)


VISTA cDNAのヌクレオチド配列(ヒト)(配列番号19)
ACCESSION NM_022153
下線付きの太字=IgVドメインを含むVISTA細胞外ドメイン(235〜720番目)

VISTA cDNAのヌクレオチド配列(マウス)(配列番号20)
ACCESSION XR_380449
下線付きの太字=IgVドメインを含むVISTA細胞外ドメイン(101〜574番目)


COMP cDNA全長のヌクレオチド配列(ヒト)(配列番号21)
ACCESSION NM_000095
下線付きの太字=五量体形成ドメイン(121〜255番目)


COMP cDNAのヌクレオチド配列(マウス)(配列番号22)
ACCESSION NM_016685
下線付きの太字=五量体形成ドメイン(105〜240番目)


コドン最適化したVISTA.COMPのDNA配列(ヒト)(配列番号23)
波下線=Igκ分泌シグナルをコードするDNA配列
下線(灰色)=スペーサー配列
下線なしの大文字(黒色)=VISTAの細胞外ドメイン
イタリック体の小文字=COMPの五量体形成ドメイン
二重下線=終止コドン
破線の下線=hisタグをコードするDNA配列

VISTA.COMPのアミノ酸配列(ヒト)(配列番号24)
波下線=Igκ分泌シグナル
太字の小文字(黒色)=IgVドメインを含むVISTA細胞外ドメイン
イタリック体の小文字=COMPの五量体形成ドメイン
破線の下線=ヒスチジンタグ
下線(灰色)=スペーサー配列

B7-H4細胞外ドメインのアミノ酸配列(ヒト)(配列番号25)

B7-H4細胞外ドメインのcDNA配列(ヒト)(配列番号26)


B7-H4細胞外ドメインのmRNA配列(ヒト)(配列番号27)

B7-H4全長のアミノ酸配列(ヒト)(配列番号28)
ACCESSION Q7Z7D3

B7-H4全長のcDNAのヌクレオチド配列(ヒト)(配列番号29)
ACCESSION AY280972

B7-H4.COMPのアミノ酸配列(ヒトB7-H4.COMP)(配列番号30)
波下線=Igκ分泌シグナル
太字(黒色)=含有B7-H4細胞外ドメイン
イタリック体の小文字=COMPの五量体形成ドメイン
破線の下線=ヒスチジンタグ
下線(灰色)=スペーサー配列


コドン最適化したB7-H4.COMPのDNA配列(ヒトB7-H4)(配列番号31)

B7-H4.COMPのアミノ酸配列(マウス)(配列番号32)
波下線=Igκ分泌シグナル
太字(黒色)=含有B7-H4細胞外ドメイン
イタリック体の小文字=COMPの五量体形成ドメイン
破線の下線=ヒスチジンタグ
下線(灰色)=スペーサー配列

コドン最適化したB7-H4.COMPのDNA配列(マウス)(配列番号33)
波下線=Igκ分泌シグナルをコードするDNA配列
下線なしの大文字(黒色)=PD-L1の細胞外ドメイン
下線(灰色)=スペーサー配列
イタリック体の小文字=COMPの五量体形成ドメイン
破線の下線=hisタグをコードするDNA配列
二重下線=終止コドン
B7-H4全長のアミノ酸配列(マウス)(配列番号34)
ACCESSION Q7TSP5

B7-H4全長のcDNAのヌクレオチド配列(マウス)(配列番号35)
ACCESSION AY280973

PD-L1細胞外ドメインのアミノ酸配列(ヒト)(配列番号36)

PD-L1細胞外ドメインのcDNAのヌクレオチド配列(ヒト)(配列番号37)

PD-L1全長のアミノ酸配列(ヒト)(配列番号38)
ACCESSION Q9NZQ7


PD-L1全長のヌクレオチド配列(ヒト)(配列番号39)
ACCESSION AF177937

PD-L1.COMPのアミノ酸配列(ヒト)(配列番号40)
波下線=Igκ分泌シグナル
太字(黒色)=IgVドメインを含むPD-L1細胞外ドメイン
イタリック体の小文字=COMPの五量体形成ドメイン
破線の下線=ヒスチジンタグ
下線(灰色)=スペーサー配列

コドン最適化したPD-L1.COMPをコードするヌクレオチド配列(ヒト)(配列番号41)
波下線=Igκ分泌シグナルをコードするDNA配列
下線なしの大文字(黒色)=PD-L1の細胞外ドメイン
下線(灰色)=スペーサー配列
イタリック体の小文字=COMPの五量体形成ドメイン
破線の下線=hisタグをコードするDNA配列
二重下線=終止コドン

PD-L1細胞外ドメインのアミノ酸配列(マウス)(配列番号42)

PD-L1細胞外ドメインのcDNAのヌクレオチド配列(マウス)(配列番号43)

PD-L1全長のアミノ酸配列(マウス)(配列番号44)
ACCESSION Q9EP73

PD-L1全長のcDNAのヌクレオチド配列(マウス)(配列番号45)
ACCESSION AF317088

PD-L1.COMPのアミノ酸配列(マウス)(配列番号46)
波下線=Igκ分泌シグナル
太字(黒色)=IgVドメインを含むPD-L1細胞外ドメイン
イタリック体の小文字=COMPの五量体形成ドメイン
破線の下線=ヒスチジンタグ
下線(灰色)=スペーサー配列

PD-L1.COMPをコードするヌクレオチド配列(マウス)(配列番号47)
波下線=Igκ分泌シグナルをコードするDNA配列
下線なしの大文字(黒色)=PD-L1の細胞外ドメイン
下線(灰色)=スペーサー配列
イタリック体の小文字=COMPの五量体形成ドメイン
破線の下線=hisタグをコードするDNA配列
二重下線=終止コドン

ICOS-L細胞外ドメインのcDNAのヌクレオチド配列(ヒト)(配列番号48)

ICOS-L細胞外ドメインのアミノ酸配列(ヒト)(配列番号49)


ICOS-L全長のcDNAのヌクレオチド配列(ヒト)(配列番号50)
ACCESSION AF289028

ICOS-L全長のアミノ酸配列(ヒト)(配列番号51)
ACCESSION O75144

ICOS-L細胞外ドメインのcDNAのヌクレオチド配列(マウス)(配列番号52)


ICOS-L細胞外ドメインのアミノ酸配列(マウス)(配列番号53)

ICOS-L全長のアミノ酸配列(マウス)(配列番号54)
ACCESSION Q9JHJ8


ICOS-L全長のcDNAのヌクレオチド配列(マウス)(配列番号55)
ACCESSION AF199027


コドン最適化したICOS-L.COMPをコードするヌクレオチド配列(ヒト)(配列番号56)
波下線=Igκ分泌シグナルをコードするDNA配列
下線なしの大文字(黒色)=ICOS-Lの細胞外ドメイン
下線(灰色)=スペーサー配列
イタリック体の小文字=COMPの五量体形成ドメイン
破線の下線=hisタグをコードするDNA配列
二重下線=終止コドン

ICOS-L.COMPのアミノ酸配列(ヒト)(配列番号57)
波下線=Igκ分泌シグナル
太字(黒色)=IgVドメインを含むICOS-L細胞外ドメイン
イタリック体の小文字=COMPの五量体形成ドメイン
破線の下線=ヒスチジンタグ
下線(灰色)=スペーサー配列


コドン最適化したICOS-L.COMPのヌクレオチド配列(マウス)(配列番号58)
波下線=Igκ分泌シグナルをコードするDNA配列
下線なしの大文字(黒色)=ICOS-Lの細胞外ドメイン
下線(灰色)=スペーサー配列
イタリック体の小文字=COMPの五量体形成ドメイン
破線の下線=hisタグをコードするDNA配列
二重下線=終止コドン

コドン最適化したICOS-L.COMPのアミノ酸配列(マウス)(配列番号59)
波下線=Igκ分泌シグナル
太字(黒色)=IgVドメインを含むICOS-L細胞外ドメイン
イタリック体の小文字=COMPの五量体形成ドメイン
破線の下線=ヒスチジンタグ
下線(灰色)=スペーサー配列

Strep-tag-II VISTA.COMPのアミノ酸配列(マウス)(配列番号60)


ヒトICOS-L細胞外ドメインのmRNA配列(配列番号61)

ヒトPD-L1細胞外ドメインのmRNA配列(配列番号62)

引用文献:
1. Topalian SL, Hodi FS, Brahmer JR, et al. Safety, activity, and immune correlates of anti-PD-1 antibody in cancer. N Engl J Med. 2012;366(26):2443-2454.
2. Hodi FS, O'Day SJ, McDermott DF, et al. Improved survival with ipilimumab in patients with metastatic melanoma. N Engl J Med. 2010;363(8):711-723.
3. Hodi FS, Chesney J, Pavlick AC, et al. Combined nivolumab and ipilimumab versus ipilimumab alone in patients with advanced melanoma: 2-year overall survival outcomes in a multicentre, randomised, controlled, phase 2 trial. Lancet Oncol. 2016;17(11):1558-1568.
4. Francisco LM, Sage PT, Sharpe AH. The PD-1 pathway in tolerance and autoimmunity. Immunol Rev. 2010;236:219-242.
5. Raptopoulou AP, Bertsias G, Makrygiannakis D, et al. The programmed death 1/programmed death ligand 1 inhibitory pathway is up-regulated in rheumatoid synovium and regulates peripheral T cell responses in human and murine arthritis. Arthritis Rheum. 2010;62(7):1870-1880.
6. Riella LV, Paterson AM, Sharpe AH, Chandraker A. Role of the PD-1 pathway in the immune response. Am J Transplant. 2012;12(10):2575-2587.
7. Sharpe AH, Freeman GJ. The B7-CD28 superfamily. Nat Rev Immunol. 2002;2(2):116-126.
8. Lines JL, Pantazi E, Mak J, et al. VISTA is an immune checkpoint molecule for human T cells. Cancer Res. 2014;74(7):1924-1932.
9. Wang L, Rubinstein R, Lines JL, et al. VISTA, a novel mouse Ig superfamily ligand that negatively regulates T cell responses. J Exp Med. 2011;208(3):577-592.
10. Flies DB, Han X, Higuchi T, et al. Coinhibitory receptor PD-1H preferentially suppresses CD4+ T cell-mediated immunity. J Clin Invest. 2014;124(5):1966-1975.
11. Lines JL, Sempere LF, Broughton T, Wang L, Noelle R. VISTA is a novel broad-spectrum negative checkpoint regulator for cancer immunotherapy. Cancer Immunol Res. 2014;2(6):510-517.
12. Le Mercier I, Chen W, Lines JL, et al. VISTA Regulates the Development of Protective Antitumor Immunity. Cancer Res. 2014;74(7):1933-1944.
13. Ceeraz S, Sergent PA, Plummer SF, et al. VISTA deficiency accelerates the development of fatal murine lupus nephritis. Arthritis Rheumatol. 2016.
14. Wang L, Le Mercier I, Putra J, et al. Disruption of the immune-checkpoint VISTA gene imparts a proinflammatory phenotype with predisposition to the development of autoimmunity. Proc Natl Acad Sci U S A. 2014;111(41):14846-14851.
15. Yoon KW, Byun S, Kwon E, et al. Control of signaling-mediated clearance of apoptotic cells by the tumor suppressor p53. Science. 2015;349(6247):1261669.
16. Flies DB, Higuchi T, Chen L. Mechanistic Assessment of PD-1H Coinhibitory Receptor-Induced T Cell Tolerance to Allogeneic Antigens. J Immunol. 2015;194(11):5294-5304.
17. Freeman GJ, Long AJ, Iwai Y, et al. Engagement of the PD-1 immunoinhibitory receptor by a novel B7 family member leads to negative regulation of lymphocyte activation. J Exp Med. 2000;192(7):1027-1034.
18. Terawaki S, Chikuma S, Shibayama S, et al. IFN-α directly promotes programmed cell death-1 transcription and limits the duration of T cell-mediated immunity. J Immunol. 2011;186(5):2772-2779.
19. Sanmamed MF, Chen L. Inducible expression of B7-H1 (PD-L1) and its selective role in tumor site immune modulation. Cancer J. 2014;20(4):256-261.
20. Latchman Y, Wood CR, Chernova T, et al. PD-L2 is a second ligand for PD-1 and inhibits T cell activation. Nat Immunol. 2001;2(3):261-268.
21. Wang G, Hu P, Yang J, Shen G, Wu X. The effects of PDL-Ig on collagen-induced arthritis. Rheumatol Int. 2011;31(4):513-519.
22. Sica GL, Choi IH, Zhu G, et al. B7-H4, a molecule of the B7 family, negatively regulates T cell immunity. Immunity. 2003;18(6):849-861.
23. Xu JF, Xiao H, Hu GY, et al. Ectopic B7-H4-Ig expression attenuates concanavalin A-induced hepatic injury. Clin Immunol. 2010;136(1):30-41.
24. Azuma T, Zhu G, Xu H, et al. Potential role of decoy B7-H4 in the pathogenesis of rheumatoid arthritis: a mouse model informed by clinical data. PLoS Med. 2009;6(10):e1000166.
25. Hutloff A, Dittrich AM, Beier KC, et al. ICOS is an inducible T-cell co-stimulator structurally and functionally related to CD28. Nature. 1999;397(6716):263-266.
26. Zhang X, Schwartz JC, Guo X, et al. Structural and functional analysis of the costimulatory receptor programmed death-1. Immunity. 2004;20(3):337-347.
27. Buonfiglio D, Bragardo M, Redoglia V, et al. The T cell activation molecule H4 and the CD28-like molecule ICOS are identical. Eur J Immunol. 2000;30(12):3463-3467.
28. Beier KC, Hutloff A, Dittrich AM, et al. Induction, binding specificity and function of human ICOS. Eur J Immunol. 2000;30(12):3707-3717.
29. Mages HW, Hutloff A, Heuck C, et al. Molecular cloning and characterization of murine ICOS and identification of B7h as ICOS ligand. Eur J Immunol. 2000;30(4):1040-1047.
30. Yoshinaga SK, Zhang M, Pistillo J, et al. Characterization of a new human B7-related protein: B7RP-1 is the ligand to the co-stimulatory protein ICOS. Int Immunol. 2000;12(10):1439-1447.
31. Yoshinaga SK, Whoriskey JS, Khare SD, et al. T-cell co-stimulation through B7RP-1 and ICOS. Nature. 1999;402(6763):827-832.
32. Wang S, Zhu G, Chapoval AI, et al. Costimulation of T cells by B7-H2, a B7-like molecule that binds ICOS. Blood. 2000;96(8):2808-2813.
33. Arimura Y, Kato H, Dianzani U, et al. A co-stimulatory molecule on activated T cells, H4/ICOS, delivers specific signals in T(h) cells and regulates their responses. Int Immunol. 2002;14(6):555-566.
34. Gigoux M, Shang J, Pak Y, et al. Inducible costimulator promotes helper T-cell differentiation through phosphoinositide 3-kinase. Proc Natl Acad Sci U S A. 2009;106(48):20371-20376.
35. Fan X, Quezada SA, Sepulveda MA, Sharma P, Allison JP. Engagement of the ICOS pathway markedly enhances efficacy of CTLA-4 blockade in cancer immunotherapy. J Exp Med. 2014;211(4):715-725.
36. Chen H, Liakou CI, Kamat A, et al. Anti-CTLA-4 therapy results in higher CD4+ICOShi T cell frequency and IFN-gamma levels in both nonmalignant and malignant prostate tissues. Proc Natl Acad Sci U S A. 2009;106(8):2729-2734.
37. Liakou CI, Kamat A, Tang DN, et al. CTLA-4 blockade increases IFNgamma-producing CD4+ICOShi cells to shift the ratio of effector to regulatory T cells in cancer patients. Proc Natl Acad Sci U S A. 2008;105(39):14987-14992.
38. Chen X, Zaro JL, Shen WC. Fusion protein linkers: property, design and functionality. Adv Drug Deliv Rev. 2013;65(10):1357-1369.
39. Prodeus A, Cydzik M, Abdul-Wahid A, et al. Agonistic CD200R1 DNA Aptamers Are Potent Immunosuppressants That Prolong Allogeneic Skin Graft Survival. Mol Ther Nucleic Acids. 2014;3:e190.
40. Lin DY, Tanaka Y, Iwasaki M, et al. The PD-1/PD-L1 complex resembles the antigen-binding Fv domains of antibodies and T cell receptors. Proc Natl Acad Sci U S A. 2008;105(8):3011-3016.
41. van der Merwe PA, Bodian DL, Daenke S, Linsley P, Davis SJ. CD80 (B7-1) binds both CD28 and CTLA-4 with a low affinity and very fast kinetics. J Exp Med. 1997;185(3):393-403.
42. Haughn L, Gratton S, Caron L, Sekaly RP, Veillette A, Julius M. Association of tyrosine kinase p56lck with CD4 inhibits the induction of growth through the alpha beta T-cell receptor. Nature. 1992;358(6384):328-331.
43. Tiegs G, Hentschel J, Wendel A. A T cell-dependent experimental liver injury in mice inducible by concanavalin A. J Clin Invest. 1992;90(1):196-203.

Claims (51)

  1. T細胞刺激活性を有する五量体化ポリペプチドであって、
    5つのモノマーを含み、各モノマーが、ICOS-Lの細胞外ドメイン(配列番号49)と実質的な類似性を有するポリペプチドを含み、該ポリペプチドが、軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)の五量体形成ドメイン(配列番号11)と実質的な類似性を有するポリペプチドに連結されている、五量体化ポリペプチド。
  2. 可溶性形態である、請求項1に記載の五量体化ポリペプチド。
  3. 増強されたT細胞刺激活性を有する、請求項1に記載の五量体化ポリペプチド。
  4. 組換えポリペプチドであって、
    ICOS-Lの細胞外ドメイン(配列番号49)と実質的な類似性を有するポリペプチドを含み、該ポリペプチドが、軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)の五量体形成ドメイン(配列番号11)と実質的な類似性を有するポリペプチドに連結されている、組換えポリペプチド。
  5. 可溶性形態である、請求項4に記載の組換えポリペプチド。
  6. 組換え核酸であって、
    配列番号48の配列を有しICOS-Lポリペプチドの細胞外ドメインをコードする核酸と実質的な類似性を有する核酸と;
    配列番号3の配列を有し軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)の五量体形成ドメインをコードする核酸と実質的な類似性を有する核酸とを含み、
    ICOS-Lポリペプチドの細胞外ドメインをコードする前記核酸が、COMPの五量体形成ドメインをコードする前記核酸に作動可能に連結されている、組換え核酸。
  7. 請求項6に記載の組換え核酸を含む発現ベクター。
  8. 少なくとも1つの制御配列をさらに含む、請求項7に記載の発現ベクター。
  9. 請求項7または8に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
  10. 請求項4または5に記載のポリペプチド、請求項9に記載の宿主細胞および請求項1〜3のいずれか1項に記載の五量体化ポリペプチドのうちの1種以上と、薬学的に許容される担体、希釈剤または添加剤とを含む医薬組成物。
  11. 生物学的応答の誘導を必要とする個体において生物学的応答を誘導する方法であって、
    ICOS-Lと軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)の融合ポリペプチド(ICOS-L.COMP)の治療有効量を前記個体に投与することを含み、
    前記ICOS-L.COMPポリペプチドが配列番号49を有し、配列番号11に連結されていること、ならびに
    前記生物学的応答が、T細胞活性化の刺激、T細胞増殖の刺激、T細胞による1種以上の炎症性サイトカインの分泌の増加、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の誘導の増加、および腫瘍微小環境における制御性T細胞に対するエフェクターT細胞の割合の増加のうちの1つ以上であること
    を特徴とする方法。
  12. 前記ICOS-L.COMPポリペプチドが、チェックポイント阻害分子と組み合わせて投与される、請求項11に記載の方法。
  13. 前記ICOS-L.COMPポリペプチドが、前記チェックポイント阻害分子の投与と同時、投与前または投与後に投与される、請求項12に記載の方法。
  14. 前記チェックポイント阻害分子が、抗PD-1抗体または抗CTLA-4抗体である、請求項12に記載の方法。
  15. T細胞抑制活性を有する五量体化ポリペプチドであって、
    5つのモノマーを含み、各モノマーが、V-domain Ig Suppressor of T cell Activation(VISTA)の細胞外ドメイン(配列番号9)と実質的な類似性を有するポリペプチドを含み、該ポリペプチドが、軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)の五量体形成ドメイン(配列番号11)と実質的な類似性を有するポリペプチドに連結されている、五量体化ポリペプチド。
  16. 可溶性形態である、請求項15に記載の五量体化ポリペプチド。
  17. 前記可溶性形態の五量体化ポリペプチドが、VISTAの細胞外ドメイン(配列番号9)を含む可溶性の二量体化ポリペプチドよりも増強されたT細胞抑制活性を有する、請求項16に記載の五量体化ポリペプチド。
  18. 前記増強されたT細胞抑制活性が、T細胞活性化抑制の増強およびT細胞増殖抑制の増強のうちの1つ以上を含む、請求項17に記載の五量体化ポリペプチド。
  19. 前記可溶性形態の五量体化ポリペプチドが、インビボにおいて、VISTAの細胞外ドメイン(配列番号9)を含む可溶性の二量体化ポリペプチドよりも増強された免疫抑制活性を有する、請求項16に記載の五量体化ポリペプチド。
  20. 前記増強された免疫抑制活性が、サイトカインの分泌抑制の増強および細胞障害性リンパ球(CTL)の産生抑制の増強のうちの1つ以上を含む、請求項19に記載の五量体化ポリペプチド。
  21. 組換えポリペプチドであって、
    V-domain Ig Suppressor of T cell Activation(VISTA)の細胞外ドメイン(配列番号9)と実質的な類似性を有するポリペプチドを含み、該ポリペプチドが、軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)の五量体形成ドメイン(配列番号11)と実質的な類似性を有するポリペプチドに連結されている、組換えポリペプチド。
  22. 可溶性形態である、請求項21に記載の組換えポリペプチド。
  23. 組換え核酸であって、
    配列番号1の配列を有しV-domain Ig Suppressor of T cell Activation(VISTA)ポリペプチドのIgV含有細胞外ドメインをコードする核酸と実質的な類似性を有する核酸と;
    配列番号3の配列を有し軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)の五量体形成ドメインをコードする核酸と実質的な類似性を有する核酸とを含み、
    VISTAポリペプチドのIgV含有細胞外ドメインをコードする前記核酸が、COMPの五量体形成ドメインをコードする前記核酸に作動可能に連結されている、組換え核酸。
  24. 請求項23に記載の組換え核酸を含む発現ベクター。
  25. 少なくとも1つの制御配列をさらに含む、請求項24に記載の発現ベクター。
  26. 請求項24または25に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
  27. 請求項21または22に記載のポリペプチド、請求項26に記載の宿主細胞および請求項15〜20のいずれか1項に記載の五量体化ポリペプチドのうちの1種以上と、薬学的に許容される担体、希釈剤または添加剤とを含む医薬組成物。
  28. 生物学的応答の誘導を必要とする個体において生物学的応答を誘導する方法であって、
    V-domain Ig Suppressor of T cell Activation(VISTA)と軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)の融合ポリペプチド(VISTA.COMP)の治療有効量を前記個体に投与することを含み、
    前記VISTA.COMPポリペプチドが配列番号9を有し、配列番号11に連結されていること、ならびに
    前記生物学的応答が、T細胞活性化の抑制、T細胞増殖の抑制、T細胞による1種以上の炎症性サイトカインの分泌の減少、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の誘導の抑制、および制御性表現型を有するT細胞の増加のうちの1つ以上であること
    を特徴とする方法。
  29. 前記炎症性サイトカインが、IL-2およびIFNγのうちの1種以上を含む、請求項28に記載の方法。
  30. T細胞抑制活性を有する五量体化ポリペプチドであって、
    5つのモノマーを含み、各モノマーが、B7-H4の細胞外ドメイン(配列番号25)と実質的な類似性を有するポリペプチドを含み、該ポリペプチドが、軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)の五量体形成ドメイン(配列番号11)と実質的な類似性を有するポリペプチドに連結されている、五量体化ポリペプチド。
  31. 可溶性形態である、請求項30に記載の五量体化ポリペプチド。
  32. 増強されたT細胞抑制活性を有する、請求項30に記載の五量体化ポリペプチド。
  33. 組換えポリペプチドであって、
    B7-H4の細胞外ドメイン(配列番号25)と実質的な類似性を有するポリペプチドを含み、該ポリペプチドが、軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)の五量体形成ドメイン(配列番号11)と実質的な類似性を有するポリペプチドに連結されている、組換えポリペプチド。
  34. 可溶性形態である、請求項33に記載の組換えポリペプチド。
  35. 組換え核酸であって、
    配列番号26の配列を有しB7-H4ポリペプチドの細胞外ドメインをコードする核酸と実質的な類似性を有する核酸と;
    配列番号3の配列を有し軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)の五量体形成ドメインをコードする核酸と実質的な類似性を有する核酸とを含み、
    B7-H4ポリペプチドの細胞外ドメインをコードする前記核酸が、COMPの五量体形成ドメインをコードする前記核酸に作動可能に連結されている、組換え核酸。
  36. 請求項35に記載の組換え核酸を含む発現ベクター。
  37. 少なくとも1つの制御配列をさらに含む、請求項36に記載の発現ベクター。
  38. 請求項36または37に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
  39. 請求項33または34に記載のポリペプチド、請求項38に記載の宿主細胞および請求項30〜32のいずれか1項に記載の五量体化ポリペプチドのうちの1種以上と、薬学的に許容される担体、希釈剤または添加剤とを含む医薬組成物。
  40. 生物学的応答の誘導を必要とする個体において生物学的応答を誘導する方法であって、
    B7-H4と軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)の融合ポリペプチド(B7-H4.COMP)の治療有効量を前記個体に投与することを含み、
    前記B7-H4.COMPポリペプチドが配列番号25を有し、配列番号11に連結されていること、ならびに
    前記生物学的応答が、T細胞活性化の抑制、T細胞増殖の抑制、T細胞による1種以上の炎症性サイトカインの分泌の減少、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の誘導の抑制、および制御性表現型を有するT細胞の増加のうちの1つ以上であること
    を特徴とする方法。
  41. T細胞抑制活性を有する五量体化ポリペプチドであって、
    5つのモノマーを含み、各モノマーが、PD-L1の細胞外ドメイン(配列番号36)と実質的な類似性を有するポリペプチドを含み、該ポリペプチドが、軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)の五量体形成ドメイン(配列番号11)と実質的な類似性を有するポリペプチドに連結されている、五量体化ポリペプチド。
  42. 可溶性形態である、請求項41に記載の五量体化ポリペプチド。
  43. 増強されたT細胞抑制活性を有する、請求項41に記載の五量体化ポリペプチド。
  44. 組換えポリペプチドであって、
    PD-L1の細胞外ドメイン(配列番号36)と実質的な類似性を有するポリペプチドを含み、該ポリペプチドが、軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)の五量体形成ドメイン(配列番号11)と実質的な類似性を有するポリペプチドに連結されている、組換えポリペプチド。
  45. 可溶性形態である、請求項44に記載の組換えポリペプチド。
  46. 組換え核酸であって、
    配列番号37の配列を有しPD-L1ポリペプチドの細胞外ドメインをコードする核酸と実質的な類似性を有する核酸と;
    配列番号3の配列を有し軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)の五量体形成ドメインをコードする核酸と実質的な類似性を有する核酸とを含み、
    PD-L1ポリペプチドの細胞外ドメインをコードする前記核酸が、COMPの五量体形成ドメインをコードする前記核酸に作動可能に連結されている、組換え核酸。
  47. 請求項46に記載の組換え核酸を含む発現ベクター。
  48. 少なくとも1つの制御配列をさらに含む、請求項47に記載の発現ベクター。
  49. 請求項47または48に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
  50. 請求項44または45に記載のポリペプチド、請求項49に記載の宿主細胞および請求項41〜43のいずれか1項に記載の五量体化ポリペプチドのうちの1種以上と、薬学的に許容される担体、希釈剤または添加剤とを含む医薬組成物。
  51. 生物学的応答の誘導を必要とする個体において生物学的応答を誘導する方法であって、
    PD-L1と軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)の融合ポリペプチド(PD-L1.COMP)の治療有効量を前記個体に投与することを含み、
    前記PD-L1.COMPポリペプチドが配列番号36を有し、配列番号11に連結されていること、ならびに
    前記生物学的応答が、T細胞活性化の抑制、T細胞増殖の抑制、T細胞による1種以上の炎症性サイトカインの分泌の減少、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の誘導の抑制、および制御性表現型を有するT細胞の増加のうちの1つ以上であること
    を特徴とする方法。
JP2019553368A 2017-03-29 2018-03-28 遺伝子組換えt細胞調節分子およびその使用方法 Pending JP2020511992A (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201762478198P 2017-03-29 2017-03-29
US62/478,198 2017-03-29
US201762590848P 2017-11-27 2017-11-27
US62/590,848 2017-11-27
PCT/CA2018/050382 WO2018176144A1 (en) 2017-03-29 2018-03-28 Engineered t-cell modulating molecules and methods of using same

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2020511992A true JP2020511992A (ja) 2020-04-23

Family

ID=63673931

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019553368A Pending JP2020511992A (ja) 2017-03-29 2018-03-28 遺伝子組換えt細胞調節分子およびその使用方法

Country Status (6)

Country Link
US (2) US20200181225A1 (ja)
EP (1) EP3601573A4 (ja)
JP (1) JP2020511992A (ja)
CN (1) CN110678551A (ja)
CA (1) CA3056942A1 (ja)
WO (1) WO2018176144A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB201911958D0 (en) * 2019-08-20 2019-10-02 Adaptimmune Ltd Methods of t cell production

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
ES2309999T3 (es) * 1996-10-28 2008-12-16 University Of Lausanne Metodo para la oligomerizacion de peptidos.
KR20110074850A (ko) * 2008-08-25 2011-07-04 앰플리뮨, 인크. Pd-1 길항제 및 그의 사용 방법
CN102666581A (zh) * 2009-08-31 2012-09-12 艾普利穆恩公司 用于抑制移植物排斥的方法和组合物
ES2681214T3 (es) * 2009-09-30 2018-09-12 Memorial Sloan-Kettering Cancer Center Inmunoterapia de combinación para el tratamiento del cáncer
WO2011066342A2 (en) * 2009-11-24 2011-06-03 Amplimmune, Inc. Simultaneous inhibition of pd-l1/pd-l2
KR101156085B1 (ko) * 2010-01-29 2012-06-20 국립암센터 4-1bb리간드(4-1bbl)오중합체 및 이의 용도
AU2013312211B2 (en) * 2012-09-07 2018-03-29 King's College London VISTA modulators for diagnosis and treatment of cancer
WO2015175599A2 (en) * 2014-05-13 2015-11-19 Oncomed Pharmaceuticals Inc. Immunotherapy with binding agents
CA2950381C (en) * 2014-07-29 2021-02-23 Cellectis Ror1 (ntrkr1) specific chimeric antigen receptors for cancer immunotherapy
MA41414A (fr) * 2015-01-28 2017-12-05 Centre Nat Rech Scient Protéines de liaison agonistes d' icos
GB201504840D0 (en) * 2015-03-23 2015-05-06 Ucl Business Plc Chimeric antigen receptor

Also Published As

Publication number Publication date
US20200181225A1 (en) 2020-06-11
CN110678551A (zh) 2020-01-10
CA3056942A1 (en) 2018-10-04
EP3601573A1 (en) 2020-02-05
WO2018176144A9 (en) 2018-12-06
EP3601573A4 (en) 2020-12-23
US20220041685A1 (en) 2022-02-10
WO2018176144A1 (en) 2018-10-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7262535B2 (ja) 融合タンパク質を用いたtcrの再プログラミングのための組成物及び方法
AU2017261541B2 (en) Inhibitors of T-cell activation
JP2024056877A (ja) ヒト化抗cd19キメラ抗原受容体を使用するがんの処置
AU2015274504B2 (en) Use of VISTA agonists and antagonists to suppress or enhance humoral immunity
JP5798919B2 (ja) Pd−1アンタゴニストの組成物および使用方法
JP7476298B2 (ja) Mage-aに特異的に結合する抗原結合タンパク質
KR20190141125A (ko) 면역 반응을 조절하는 방법
JP2019531056A (ja) 融合タンパク質を使用したtcrの再プログラム化のための組成物及び方法
AU2016323069A1 (en) Tunable variant immunoglobulin superfamily domains and engineered cell therapy
US20230101432A1 (en) Multi-domain immunomodulatory proteins and methods of use thereof
KR20210010896A (ko) 이기능성 결합 폴리펩타이드
JP7362614B2 (ja) 癌治療のために免疫チェックポイントを調節する単一特異性および二重特異性タンパク質
JP2020536552A (ja) Ctla−4変異型免疫調節タンパク質およびそれらの使用
KR20240035633A (ko) Lair 신호 변환을 조정하기 위한 조성물 및 방법
JP2020536552A5 (ja)
JP2021512151A (ja) B7−h4抗体およびその使用方法
JP2023505067A (ja) Il-2タンパク質およびcd80タンパク質を含む融合タンパク質および免疫チェックポイント抑制剤を含む癌治療用医薬組成物
JP2023524811A (ja) Cd70特異的融合タンパク質を使用したtcrリプログラミングのための組成物及び方法
US20220041685A1 (en) Engineered t-cell modulating molecules and methods of using same
CN110115758B (zh) Pik3ip1蛋白在调节t细胞反应和制备抗肿瘤药物中的应用
JP7483746B2 (ja) Magea1特異的t細胞受容体およびその使用
CA3233084A1 (en) Fusion protein dimer comprising pd-1 and il-21, and use thereof
WO2022219155A1 (en) T-cell receptors specific for both rac1- and rac2-derived mutated epitopes
OA16522A (en) Inhibitors of T-cell activation

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191113