JP2020203804A - 光学ガラスおよび光学素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 所望の光学恒数を有し、さらに再加熱時の安定性に優れる光学ガラス、ならびに前記光学ガラスからなる光学素子を提供すること。【解決手段】 アッベ数νdが36.40以上であり、SiO2の含有量が25〜55質量%であり、B2O3の含有量が13質量%以下であり、Li2Oの含有量が20質量%以下であり、Na2Oの含有量が17質量%以下であり、ZrO2の含有量が2〜22質量%以下であり、Nb2O5の含有量が12〜42質量%以下であり、Nb2O5、TiO2、Bi2O3、WO3およびTa2O5の合計含有量に対するSiO2、B2O3およびP2O5の合計含有量の質量比[(SiO2+B2O3+P2O5)/(Nb2O5+TiO2+Bi2O3+WO3+Ta2O5)]が2.00以下であり、Li2O、Na2OおよびK2Oの合計含有量R2OとMgO、CaO、SrO、BaOおよびZnOの合計含有量ROとの合計に対する合計含有量R2Oの質量比[R2O/(R2O+RO)]が0.60以上であり、SiO2、B2O3、P2O5、Li2O、Na2O、K2O、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、TiO2、Nb2O5、WO3、ZrO2、La2O3、Gd2O3、およびY2O3の合計含有量が93質量%以上であり、ZrO2の含有量に対するSiO2、B2O3およびP2O5の合計含有量の質量比[(SiO2+B2O3+P2O5)/ZrO2]が5.00以下である、光学ガラス。【選択図】 なし

Description

本発明は、所望の光学恒数を有する光学ガラスおよび光学素子に関する。
ガラスは、ガラス転移温度Tgよりも高い温度に加熱すると軟化する。この性質を利用して、光学素子の成形方法としては、ガラス原料を加熱熔融し成形して得られるガラス素材を、再加熱して軟化させ、プレスして所望の形状に成形するプレス成形法が知られている。このとき、ガラスの再加熱によって、ガラスに結晶が生じたり、ガラスが失透したりする場合がある。再加熱時の安定に優れるガラスでは、再加熱によって結晶が生じにくく、失透も抑制される。近年では、再加熱時においてより高度な安定性が求められている。
特許文献1には、所定の屈折率ndおよびアッベ数νdを有する光学ガラスが開示されている。しかしながら、特許文献1のガラスでは、必ずしも要求される安定性を満足しないことがわかった。
特開2017−154963号公報
そこで、本発明は、所望の光学恒数を有し、さらに再加熱時の安定性に優れる光学ガラス、ならびに前記光学ガラスからなる光学素子を提供することを目的とする。
本発明の要旨は以下のとおりである。
(1) アッベ数νdが36.40以上であり、
SiOの含有量が25〜55質量%であり、
の含有量が13質量%以下であり、
LiOの含有量が20質量%以下であり、
NaOの含有量が17質量%以下であり、
ZrOの含有量が2〜22質量%以下であり、
Nbの含有量が12〜42質量%以下であり、
Nb、TiO、Bi、WOおよびTaの合計含有量に対するSiO、BおよびPの合計含有量の質量比[(SiO+B+P)/(Nb+TiO+Bi+WO+Ta)]が2.00以下であり、
LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROとMgO、CaO、SrO、BaOおよびZnOの合計含有量ROとの合計に対する合計含有量ROの質量比[RO/(RO+RO)]が0.60以上であり、
SiO、B、P、LiO、NaO、KO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、TiO、Nb、WO、ZrO、La、Gd、およびYの合計含有量が93質量%以上であり、
ZrOの含有量に対するSiO、BおよびPの合計含有量の質量比[(SiO+B+P)/ZrO]が5.00以下である、光学ガラス。
(2)アッベ数νdが36.40以上であり、
SiOの含有量が25〜55質量%であり、
の含有量が13質量%以下であり、
LiOの含有量が20質量%以下であり、
NaOの含有量が17質量%以下であり、
ZrOの含有量が2〜22質量%以下であり、
Nbの含有量が12〜42質量%以下であり、
Nb、TiO、Bi、WOおよびTaの合計含有量に対するSiO、BおよびPの合計含有量の質量比[(SiO+B+P)/(Nb+TiO+Bi+WO+Ta)]が2.00以下であり、
LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROとMgO、CaO、SrO、BaOおよびZnOの合計含有量ROとの合計に対する合計含有量ROの質量比[RO/(RO+RO)]が0.60以上であり、
SiO、B、P、LiO、NaO、KO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、TiO、Nb、WO、ZrO、La、Gd、およびYの合計含有量が93質量%以上であり、
ZrOの含有量に対するSiO、BおよびPの合計含有量の質量比[(SiO+B+P)/ZrO]が5.45以下であり、
SiOの含有量に対するBの含有量の質量比[B/SiO]が0.240以下である、光学ガラス。
(3)アッベ数νdが36.40以上であり、
SiOの含有量が25〜55質量%であり、
の含有量が13質量%以下であり、
LiOの含有量が20質量%以下であり、
NaOの含有量が17質量%以下であり、
ZrOの含有量が2〜22質量%以下であり、
Nbの含有量が12〜42質量%以下であり、
Nb、TiO、Bi、WOおよびTaの合計含有量に対するSiO、BおよびPの合計含有量の質量比[(SiO+B+P)/(Nb+TiO+Bi+WO+Ta)]が2.00以下であり、
LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROとMgO、CaO、SrO、BaOおよびZnOの合計含有量ROとの合計に対する合計含有量ROの質量比[RO/(RO+RO)]が0.60以上であり、
SiO、B、P、LiO、NaO、KO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、TiO、Nb、WO、ZrO、La、Gd、およびYの合計含有量が93質量%以上であり、
ZrOの含有量に対するSiO、BおよびPの合計含有量の質量比[(SiO+B+P)/ZrO]が5.45以下であり、
ZrOの含有量に対するBの含有量の質量比[B/ZrO]が1.05以下である、光学ガラス。
(4)LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROに対するNaOの含有量の質量比[NaO/RO]が0.80以下である、(1)〜(3)のいずれかに記載の光学ガラス。
(5)SiO、BおよびPの合計含有量に対するLiO、NaOおよびKOの合計含有量ROの質量比と、LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROに対するNaOの含有量の質量比との合計[{RO/(SiO+B+P)}+(NaO/RO)]が1.30以下である、(1)〜(4)のいずれかに記載の光学ガラス。
(6)ZrOの含有量に対するLiO、NaOおよびKOの合計含有量ROの質量比[RO/ZrO]が2.00以下である、(1)〜(5)のいずれかに記載の光学ガラス。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の光学ガラスからなる光学素子。
本発明によれば、所望の光学恒数を有し、さらに再加熱時の安定性に優れる光学ガラス、ならびに前記光学ガラスからなる光学素子を提供できる。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明および本明細書において、光学ガラスのガラス組成は、特記しない限り、酸化物基準で表示する。ここで「酸化物基準のガラス組成」とは、ガラス原料が熔融時にすべて分解されて光学ガラス中で酸化物として存在するものとして換算することにより得られるガラス組成をいい、各ガラス成分の表記は慣習にならい、SiO、TiOなどと記載する。ガラス成分の含有量および合計含有量は、特記しない限り質量基準であり、「%」は「質量%」を意味する。
ガラス成分の含有量は、公知の方法、例えば、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−AES)、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)等の方法で定量することができる。また、本明細書および本発明において、構成成分の含有量が0%とは、この構成成分を実質的に含まないことを意味し、該成分が不可避的不純物レベルで含まれることを許容する。
また、本明細書では、屈折率は、特記しない限り、ヘリウムのd線(波長587.56nm)における屈折率ndをいう。
以下に、本発明の光学ガラスを、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態として説明する。
第1実施形態
第1実施形態に係る光学ガラスは、
アッベ数νdが36.40以上であり、
SiOの含有量が25〜55%であり、
の含有量が13%以下であり、
LiOの含有量が20%以下であり、
NaOの含有量が17%以下であり、
ZrOの含有量が2〜22%以下であり、
Nbの含有量が12〜42%以下であり、
Nb、TiO、Bi、WOおよびTaの合計含有量に対するSiO、BおよびPの合計含有量の質量比[(SiO+B+P)/(Nb+TiO+Bi+WO+Ta)]が2.00以下であり、
LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROとMgO、CaO、SrO、BaOおよびZnOの合計含有量ROとの合計に対する合計含有量ROの質量比[RO/(RO+RO)]が0.60以上であり、
SiO、B、P、LiO、NaO、KO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、TiO、Nb、WO、ZrO、La、Gd、およびYの合計含有量が93%以上であり、
ZrOの含有量に対するSiO、BおよびPの合計含有量の質量比[(SiO+B+P)/ZrO]が5.00以下である。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、アッベ数νdは36.40以上である。アッベ数νdは、36.50〜45.00、36.60〜43.00、36.70〜41.00、36.80〜40.00、または、36.90〜39.50とすることもできる。
アッベ数νdは、各ガラス成分の含有量を適宜調整することにより所望の値にすることができる。相対的にアッベ数νdを低くする成分、すなわち高分散化成分は、Nb、TiO、ZrO、WO、Bi、Ta等である。一方、相対的にアッベ数νdを高くする成分、すなわち低分散化成分は、SiO2、B、LiO、NaO、KO、La、BaO、CaO、SrO等である。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、SiOの含有量は25〜55%である。SiOの含有量の下限は、好ましくは27%であり、さらには29%、30%、31%、32%、33%の順により好ましい。また、SiOの含有量の上限は、好ましくは53%であり、さらには50%、48%、46%、44%、42%、40%、38%の順により好ましい。SiOはガラスのネットワーク形成成分である。SiOの含有量が少なすぎると、再加熱時の安定性が低下するおそれがある。また、SiOの含有量が多すぎると、高分散性が損なわれ所望の光学恒数が得られにくく、また部分分散比Pg,Fが上昇するおそれがある。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Bの含有量は13%以下である。Bの含有量の上限は、好ましくは12%であり、さらには11%、10%、9%、8%の順により好ましい。また、Bの含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには1%、2%、3%の順により好ましい。Bの含有量は0%であってもよい。Bガラスのネットワーク形成成分である。Bの含有量が多すぎると、高分散性が損なわれ所望の光学恒数が得られにくく、また部分分散比Pg,Fが上昇するおそれがある。Bの含有量が少なすぎると、再加熱時の安定性が低下するおそれがある。
第1実施形態に係るガラスにおいて、LiOの含有量は20%以下である。LiOの含有量の上限は、好ましくは18%であり、さらには17%、16%、15%、14%、13%、12%の順により好ましい。また、LiOの含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%の順により好ましい。LiOはガラスの低粘性化および低Pg,F化に寄与する成分である。LiOの含有量が多すぎると、再加熱時の安定性が低下するおそれがある。また、LiOの含有量が少なすぎると、ガラスの粘性が上昇し、またPg,Fが上昇するおそれがある。
第1実施形態に係るガラスにおいて、NaOの含有量は17%以下である。NaOの含有量の上限は、好ましくは16%であり、さらには15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%の順により好ましい。NaOの含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには1%、2%、3%、4%、5%の順により好ましい。NaOの含有量は0%であってもよい。NaOは、LiOと同様にガラスの低粘性化および低Pg,F化に寄与する成分である。NaOの含有量が多すぎると、再加熱時の安定性が低下するおそれがある。また、NaOの含有量が少なすぎると、ガラスの粘性が上昇し、またPg,Fが上昇するおそれがある。
第1実施形態に係るガラスにおいて、ZrOの含有量は2〜22%である。ZrOの含有量の下限は、好ましくは4%であり、さらには5%、6%、7%、8%、9%の順により好ましい。また、ZrOの含有量の上限は、好ましくは20%であり、さらには18%、16%、15%、14%、13%の順により好ましい。ZrOは低Pg,F化に寄与する成分である。ZrOの含有量が多すぎると、液相温度LTが上昇するおそれがある。また、ZrOの含有量が少なすぎると、Pg,Fが上昇するおそれがある。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Nbの含有量は12〜42%である。Nbの含有量の下限は、好ましくは14%であり、さらには16%、18%、20%、21%、22%、23%、24%、25%の順により好ましい。また、Nbの含有量の上限は、好ましくは40%であり、さらには38%、36%、34%、33%、32%、31%、30%の順により好ましい。Nbは、高分散化と低Pg,F化との両立に寄与する成分である。Nbの含有量が多すぎると、再加熱時の安定性が低下するおそれがあり、また熔解性が低下するおそれがある。Nbの含有量が少なすぎると、低分散化するおそれがある。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Nb、TiO、Bi、WOおよびTaの合計含有量に対するSiO、BおよびPの合計含有量の質量比[(SiO+B+P)/(Nb+TiO+Bi+WO+Ta)]は2.00以下である。該質量比の上限は、好ましくは1.95であり、さらには1.90、1.85、1.80、1.75、1.74、1.73、1.72、1.71、1.70の順により好ましい。また、該質量比の下限は、好ましくは1.00であり、さらには1.10、1.20、1.25、1.30、1.32、1.34、1.36、1.38、1.40の順により好ましい。該質量比を上記範囲とすることで、アッベ数νdを所望の範囲に制御できる。該質量比が大きすぎると、アッベ数νdが所望の範囲から外れるおそれがある。また、該質量比が小さすぎると、再加熱時の安定性が低下するおそれがある。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROとMgO、CaO、SrO、BaOおよびZnOの合計含有量ROとの合計に対する合計含有量ROの質量比[RO/(RO+RO)]は0.60以上である。該質量比の下限は、好ましくは0.62であり、さらには0.64、0.66、0.68、0.70、0.72、0.74、0.76、0.78、0.80の順により好ましい。また、該質量比の上限は、好ましくは1であり、また該質量比は1であることがより好ましい。該質量比を上記範囲とすることで、ガラスのPg,Fを低下させることができる。該質量比が小さすぎると、後述する式〔8〕で示されるΔPg,Fが上昇するおそれがある。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、SiO、B、P、LiO、NaO、KO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、TiO、Nb、WO、ZrO、La、Gd、およびYの合計含有量は93%以上である。該合計含有量の下限は、好ましくは94%であり、さらには95%、96%、97%、98%、99%の順により好ましい。また、該合計含有量の上限は、好ましくは100%であり、また該合計含有量は100%であることがより好ましい。該合計含有量が小さすぎると、ガラスの着色が増大するおそれがあり、また、所望の光学恒数が得られず、再加熱時の安定性等が悪化するおそれがある。さらに、ガラスの原料コストが増大するおそれがある。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、ZrOの含有量に対するSiO、BおよびPの合計含有量の質量比[(SiO+B+P)/ZrO]は5.00以下である。該質量比の上限は、好ましくは4.80であり、さらには4.70、4.50、4.40、4.30、4.20、4.10、4.00順により好ましい。また、該質量比の下限は、好ましくは2.00であり、さらには2.20、2.40、2.60、2.80、3.00、3.20、3.30、3.40、3.50の順により好ましい。該質量比を上記範囲とすることで、低Pg,F化と再加熱時の安定性の向上とを両立できる。該質量比が大きすぎると、Pg,Fが上昇するおそれがある。該質量比が小さすぎると、液相温度LTが上昇するおそれがあり、また、再加熱時の安定性が低下するおそれがある。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、SiOの含有量に対するBの含有量の質量比[B/SiO]の上限は、好ましくは0.240であり、さらには0.238、0.236、0.234、0.232、0.230の順により好ましい。該質量比の下限は、好ましくは0.020であり、さらには0.030、0.040、0.050、0.060の順により好ましい。該質量比を上記範囲とすることで、比重を低減し、透過率を向上できる。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、ZrOの含有量に対するBの含有量の質量比[B/ZrO]の上限は、好ましくは1.05であり、さらには1.00、0.95、0.90、0.85、0.80、0.75の順により好ましい。該質量比の下限は、好ましくは0.00であり、さらには0.02、0.04、0.06、0.08、0.10、0.12、0.14、0.16、0.18、0.20の順により好ましい。該質量比を上記範囲とすることで、Pg,Fを低下させることができる。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROに対するNaOの含有量の質量比[NaO/RO]の上限は、好ましくは0.80であり、さらには0.79、0.78、0.77、0.76、0.75、0.70、0.69、0.68、0.67、0.66、0.65の順により好ましい。該質量比の下限は、好ましくは0.00であり、さらには0.05、0.10、0.15、0.20、0.25の順により好ましい。該質量比を上記範囲とすることで、再加熱時の安定性の低下を抑制できる。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、SiO、BおよびPの合計含有量に対するLiO、NaOおよびKOの合計含有量ROの質量比と、LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROに対するNaOの含有量の質量比との合計[{RO/(SiO+B+P)}+(NaO/RO)]の上限は、好ましくは1.30であり、さらには1.28、1.26、1.24、1.22、1.20、1.18、1.16、1.14、1.12、1.10、1.08、1.06、1.04、1.02、1.00の順により好ましい。該合計の下限は、好ましくは0.30であり、さらには0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65の順により好ましい。該合計を上記範囲とすることで、再加熱時の安定性の低下を抑制できる。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、ZrOの含有量に対するLiO、NaOおよびKOの合計含有量ROの質量比[RO/ZrO]の上限は、好ましくは2.00であり、さらには1.95、1.90、1.85、1.80、1.78、1.76、1.74、1.72、1.70、1.68、1.66、1.64、1.62、1.60の順により好ましい。該質量比の下限は、好ましくは1.00であり、さらには1.05、1.10、1.15、1.20、1.25、1.30、1.35、1.40、1.45の順により好ましい。該質量比を上記範囲とすることで、再加熱時の安定性の低下を抑制しつつ、Pg,Fの上昇を抑制できる。
(ガラス成分)
第1実施形態に係る光学ガラスにおける上記以外のガラス成分の含有量および比率について、以下に非制限的な例を示す。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Pの含有量の上限は、好ましくは10.0%であり、さらには9.0%、8.0%、7.0%、6.0%、5.0%、4.0%の順により好ましい。また、Pの含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには0.5%、1.0%、1.5%、2.0%、2.5%、または、3.0%であってもよい。Pの含有量は0%であってもよい。Pの含有量を上記範囲とすることで、部分分散比Pg,Fの上昇を抑制し、ガラスの熱的安定性を保持できる。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、SiO、BおよびPの合計含有量[SiO+B+P]の上限は、好ましくは50.0%であり、さらには49.5%、49.0%、48.5%、48.0%、47.5%、47.0%、46.5%、46.0%、45.5%、45.0%の順により好ましい。また、合計含有量[SiO+B+P]の下限は、好ましくは30.0%であり、さらには31.0%、32.0%、33.0%、34.0%、35.0%、36.0%、37.0%、38.0%、39.0%、40.0%の順により好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Alの含有量の上限は、好ましくは20.0%であり、さらには15.0%、10.0%、5.0%、3.0%、1.0%の順により好ましい。Alの含有量は0%であってもよい。Alの含有量を上記範囲とすることで、ガラスの耐失透性および熱的安定性を保持できる。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、KOの含有量の上限は、好ましくは25.0%であり、さらには20.0%、18.0%、16.0%、14.0%、12.0%、10.0%、5.0%、2.0%、1.0%の順により好ましい。KOの含有量の下限は、好ましくは0%であり、より好ましくは0.5%である。KOの含有量は0%であってもよい。
Oは、部分分散比Pg,Fの低減に寄与する成分であり、液相温度を下げ、ガラスの熱的安定性を改善する働きを有するが、これらの含有量が多くなると、化学的耐久性、耐候性、再加熱時の安定性が低下する。そのため、KOの含有量は、上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、LiO、NaOおよびKOの合計含有量RO[LiO+NaO+KO]の上限は、好ましくは25.0%であり、さらには24.0%、23.0%、22.0%、21.0%、20.0%の順により好ましい。また、合計含有量ROの下限は、好ましくは5.0%であり、さらには6.0%、7.0%、8.0%、9.0%、10.0%の順により好ましい。合計含有量ROを上記範囲とすることで、ガラスの粘性を低下させ、またPg,Fの上昇を抑制できる。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、CsOの含有量の上限は、好ましくは10%であり、さらには5%、3%、1%の順により好ましい。CsOの含有量の下限は、好ましくは0%である。
CsOは、ガラスの熱的安定性を改善する働きを有するが、含有量が多くなると、化学的耐久性、耐候性が低下する。そのため、CsOの含有量は、上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、TiOの含有量の上限は、好ましくは15.0%であり、さらには14.0%、13.0%、12.0%、11.0%、10.0%、9.0%、8.0%、7.0%、6.0%、5.0%の順により好ましい。また、TiOの含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには0.5%、1.0%、1.5%、2.0%、2.5%、または、3.0%であってもよい。TiOの含有量は0%であってもよい。TiOの含有量を上記範囲とすることで、所望の光学恒数を実現し、またPg,Fの上昇を抑制し、比重の増大を抑えることができる。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、WOの含有量の上限は、好ましくは5%であり、さらには4%、3%、2%の順により好ましい。WOの含有量は0%であってもよい。WOの含有量を上記範囲とすることで、透過率を高めることができ、また、部分分散比Pg,Fおよび比重を低減できる。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Biの含有量の上限は、好ましくは5%であり、さらには4%、3%、2%の順により好ましい。また、Biの含有量の下限は、好ましくは0%である。Biの含有量を上記範囲とすることで、透過率を高めることができ、また、部分分散比Pg,Fおよび比重を低減できる。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Nb、TiOおよびZrOの合計含有量とSiOおよびBの合計含有量との質量比[(Nb+TiO+ZrO)/(SiO+B)]の上限は、好ましくは1.50であり、さらには1.45、1.40、1.35、1.30、1.25、1.20、1.15、1.10、1.05、1.00の順により好ましい。該質量比の下限は、好ましくは0.50であり、さらには0.55、0.60、0.62、0.64、0.66、0.68、0.70、0.72、0.74、0.76の順により好ましい。該質量比を上記範囲とすることで、屈折率を所望の範囲とすることができる。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Taの含有量の上限は、好ましくは5.0%であり、さらには4.0%、3.0%、2.0%、1.0%の順により好ましい。また、Taの含有量の下限は、好ましくは0%である。
Taは、ガラスの熱的安定性を改善する働きを有するガラス成分であり、部分分散比Pg,Fを低下させる成分である。一方、Taの含有量が多くなると、原料費コストが高くなる。また、比重が上昇する。そのため、Taの含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Nb、TiO、Bi、WOおよびTaの合計含有量[Nb+TiO+Bi+WO+Ta]の上限は、好ましくは40.0%であり、さらには39.0%、38.0%、37.0%、36.0%、35.0%、34.0%、33.0%、32.0%、31.0%、30.0%の順により好ましい。該合計含有量の下限は、好ましくは15.0%であり、さらには16.0%、17.0%、18.0%、19.0%、20.0%、21.0%、22.0%、23.0%の順により好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、ZrOの含有量に対するTaの含有量の質量比[Ta/ZrO]の上限は、好ましくは0.45であり、さらには0.40、0.35、0.30、0.25、0.20、0.15、0.10、0.05の順により好ましい。該質量比の下限は、好ましくは0であり、また該質量比は0であることがより好ましい。該質量比を上記範囲とすることで、光学恒数を所望の範囲とすることができ、またガラスの原料コストを低減できる。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、LiO、NaO、KOおよびZrOの合計含有量に対するSiO、B、P、Nb、TiOおよびWOの合計含有量の質量比[(SiO+B+P+Nb+TiO+WO)/(LiO+NaO+KO+ZrO)]の上限は、好ましくは3.50であり、さらには3.40、3.30、3.20、3.10、3.00の順により好ましい。該質量比の下限は、好ましくは1.70であり、さらには1.80、1.90、2.00、2.10の順により好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROに対するSiO、BおよびPの合計含有量の質量比[(SiO+B+P)/RO]の上限は、好ましくは4.00であり、さらには3.80、3.60、3.40の順により好ましい。該質量比の下限は、好ましくは1.50であり、さらには1.60、1.70、1.80、1.90、2.00の順により好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、ZrOの含有量に対するNbの含有量の質量比[Nb/ZrO]の上限は、好ましくは3.20であり、さらには2.90、2.70、2.50の順により好ましい。該質量比の下限は、好ましくは1.20であり、さらには1.40、1.60、1.80の順により好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROに対するSiO、BおよびPの合計含有量の質量比と、ZrOの含有量に対するNbの含有量の質量比との合計[{(SiO+B+P)/RO}+(Nb/ZrO)]の上限は、好ましくは6.20であり、さらには5.80、5.60、5.50、5.10、5.00の順により好ましい。該質量比の下限は、好ましくは3.00であり、さらには3.10、3.20、3.30、3.40、3.50、3.60、3.70、3.80、3.90、3.95、4.00、4.05、4.10の順により好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、MgOの含有量の上限は、好ましくは20%であり、さらには10%、5%、3%の順により好ましい。また、MgOの含有量の下限は、好ましくは0%である。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、CaOの含有量の上限は、好ましくは20%であり、さらには18%、16%、14%の順により好ましい。また、CaOの含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには1.0%、1.5%、2.0%の順により好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、SrOの含有量の上限は、好ましくは20%であり、さらには10%、5%、3%の順により好ましい。また、SrOの含有量の下限は、好ましくは0%である。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、BaOの含有量の上限は、好ましくは10%であり、さらには5.0%、3.0%、2.0%の順により好ましい。BaOの含有量の下限は、好ましくは0%である。
MgO、CaO、SrO、BaOは、いずれもガラスの熱的安定性および耐失透性を改善させる働きを有するガラス成分である。しかし、これらガラス成分の含有量が多くなると、比重が増加し、高分散性が損なわれ、また、ガラスの熱的安定性および耐失透性が低下する。そのため、これらガラス成分の各含有量は、それぞれ上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、ZnOの含有量の上限は、好ましくは10%であり、さらには5.0%、3.0%、2.0%の順により好ましい。また、ZnOの含有量の下限は、好ましくは0%である。
ZnOは、ガラスの熱的安定性を改善する働きを有するガラス成分である。しかし、ZnOの含有量が多すぎると比重が上昇する。そのため、ガラスの熱的安定性を改善し、所望の光学恒数を維持する観点から、ZnOの含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、MgO、CaO、SrO、BaOおよびZnOの合計含有量RO[MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO]の上限は、好ましくは20.0%であり、さらには15.0%、10.0%、8.0%、6.0%、4.0%、3.0%の順により好ましい。該合計含有量の下限は、好ましくは0%である。該合計含有量を上記範囲とすることで、屈折率ndを所望の範囲とすることができる。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、ZrOの含有量に対するMgO、CaO、SrO、BaOおよびZnOの合計含有量ROの質量比[RO/ZrO]の上限は、好ましくは0.74であり、さらには0.70、0.60、0.50、0.40、0.30、0.20、0.10の順により好ましい。該質量比の下限は、好ましくは0である。該質量比を上記範囲とすることで、Pg,Fを低減することができ、また、屈折率ndを所望の範囲とすることができる。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Yの含有量の上限は、好ましくは20%であり、さらには10%、5%、3%の順により好ましい。また、Yの含有量の下限は、好ましくは0%である。
の含有量が多くなり過ぎるとガラスの熱的安定性が低下し、製造中にガラスが失透しやすくなる。また、高分散性が損なわれるおそれがある。したがって、ガラスの熱的安定性の低下を抑制する観点から、Yの含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Scの含有量は、好ましくは2%以下である。また、Scの含有量の下限は、好ましくは0%である。
第1実施形態に係るガラスにおいて、HfOの含有量は、好ましくは2%以下である。また、HfOの含有量の下限は、好ましくは0%である。
Sc、HfOは、ガラスの高分散性を高める働きを有するが、高価な成分である。そのため、Sc、HfOの各含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Luの含有量は、好ましくは2%以下である。また、Luの含有量の下限は、好ましくは0%である。
Luは、ガラスの高分散性を高める働きを有するが、分子量が大きいことから、ガラスの比重を増加させるガラス成分でもある。そのため、Luの含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、GeOの含有量は、好ましくは2%以下である。また、GeOの含有量の下限は、好ましくは0%である。
GeOは、ガラスの高分散性を高める働きを有するが、一般的に使用されるガラス成分の中で、突出して高価な成分である。したがって、ガラスの製造コストを低減する観点から、GeOの含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Laの含有量の上限は、好ましくは10.0%であり、さらには9.0%、8.0%、7.0%、6.0%、5.0%、4.0%の順により好ましい。また、Laの含有量の下限は、好ましくは0.1%であり、さらには0.2%、0.3%、0.4%の順により好ましい。Laの含有量は0%であってもよい。Laの含有量の上限を上記範囲とすることで、比重の増大を抑制できる。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Gdの含有量は、好ましくは2%以下である。また、Gdの含有量の下限は、好ましくは0%である。
Gdの含有量が多くなり過ぎるとガラスの熱的安定性が低下する。また、Gdの含有量が多くなり過ぎるとガラスの比重が増大し、好ましくない。また原料コストが増大するおそれがある。したがって、ガラスの熱的安定性を良好に維持しつつ、比重の増大を抑制する観点から、Gdの含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係るガラスにおいて、Ybの含有量は、好ましくは2%以下である。また、Ybの含有量の下限は、好ましくは0%である。
Ybは、La、Gd、Yと比べて分子量が大きいため、ガラスの比重を増大させる。また、Ybの含有量が多すぎるとガラスの熱的安定性が低下する。ガラスの熱的安定性の低下を防ぎ、比重の増大を抑制する観点から、Ybの含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係るガラスは、主として上述のガラス成分、すなわち、必須成分としてSiO、ZrO、およびNb、任意成分としてB、LiO、NaO、P、Al、KO、CsO、TiO、WO、Bi、Ta、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、Y、Sc、HfO、Lu、GeO、La、Gd、およびYbで構成されていることが好ましい。上述のガラス成分の合計含有量は、好ましくは95%以上であり、より好ましくは98%以上である、さらに好ましくは99%以上であり、特に好ましくは99.5%以上である。
なお、第1実施形態に係るガラスは、基本的に上記ガラス成分により構成されることが好ましいが、本発明の作用効果を妨げない範囲において、その他の成分を含有することも可能である。また、本発明において、不可避的不純物の含有を排除するものではない。
上記成分の他に、上記光学ガラスは、清澄剤としてSb等を少量含有することもできる。清澄剤の総量(外割添加量)は0%以上、1%未満とすることが好ましく、0%以上0.5%以下とすることがより好ましい。
外割添加量とは、清澄剤を除く全ガラス成分の合計含有量を100%としたときの清澄剤の添加量を重量百分率で表したものである。
Pb、As、Ce、Th等は、環境負荷が懸念される成分である。そのため、それぞれPb、As、Ce、Thの含有量は、酸化物換算でいずれも0〜0.1%であることが好ましく、0〜0.05%であることがより好ましく、0〜0.01%であることが一層好ましい。Pb、As、Ce、Thは実質的に含まれないことが特に好ましい。
更に、上記光学ガラスは、可視領域の広い範囲にわたり高い透過率が得られる。こうした特長を活かすには、着色性の元素を含まないことが好ましい。着色性の元素としては、Cu、Co、Ni、Fe、Cr、Eu、Nd、Er、V等を例示することができる。いずれの元素とも、100質量ppm未満であることが好ましく、0〜80質量ppmであることがより好ましく、0〜50質量ppmであることが更に好ましく、実質的に含まれないことが特に好ましい。
また、Ga、Te、Tb等は、導入が不要な成分であり、高価な成分でもある。そのため、質量%表示によるGa、TeO、TbOの含有量の範囲は、いずれも、それぞれ0〜0.1%であることが好ましく、0〜0.05%であることがより好ましく、0〜0.01%であることが更に好ましく、0〜0.005%であることが一層好ましく、0〜0.001%であることがより一層好ましく、実質的に含まれないことが特に好ましい。
(ガラス特性)
<屈折率nd>
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、屈折率ndは、好ましくは1.80〜1.50である。屈折率ndは、1.75〜1.55、または1.70〜1.60とすることもできる。
屈折率ndは各ガラス成分の含有量を適宜調整することにより所望の値にすることができる。相対的に屈折率ndを高める働きを有する成分(高屈折率化成分)は、Nb、TiO、ZrO、Ta、La等である。一方、相対的に屈折率ndを低くする働きを有する成分(低屈折率化成分)は、SiO2、B、LiO、NaO、KO等である。また、例えば、高屈折率化成分Nb、TiOおよびZrOの合計含有量と低屈折率成分SiOおよびBの合計含有量との質量比[(Nb+TiO+ZrO)/(SiO+B)]を増加させることにより屈折率ndを高めることができ、該質量比を減少させることにより屈折率ndを低下させることができる。
<部分分散比Pg,F>
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、部分分散比Pg,Fの上限は、好ましくは0.5850であり、さらには0.5845、0.5840、0.5835、0.5830、0.5825、0.5820、0.5815、0.5810、0.5805、0.5800、0.5795、0.5790、0.5785、0.5780、0.5775、0.5770、0.5765、0.5760の順により好ましい。部分分散比Pg,Fを上記範囲とすることで、高次の色収差補正に好適な光学ガラスが得られる。一方、部分分散比Pg,Fの下限は、特に限定されないが、0.5700を目安とする。
また、第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、部分分散比Pg,Fは下記式〔1〕を満たすことが好ましい。
Pg,F≦0.6483−0.001802×νd ・・・〔1〕
部分分散比Pg,Fは、下記式〔2〕を満たすことがより好ましく、さらには、下記式〔3〕、下記式〔4〕、下記式〔5〕、下記式〔6〕、下記式〔7〕の順に満たすことがより好ましい。
Pg,F≦0.6470−0.001802×νd ・・・〔2〕
Pg,F≦0.6460−0.001802×νd ・・・〔3〕
Pg,F≦0.6450−0.001802×νd ・・・〔4〕
Pg,F≦0.6444−0.001802×νd ・・・〔5〕
Pg,F≦0.6439−0.001802×νd ・・・〔6〕
Pg,F≦0.6437−0.001802×νd ・・・〔7〕
部分分散比Pg,Fが上記式を満たすことで、第1実施形態に係る光学ガラスからなる光学素子は、広い波長範囲において色収差を良好に補正できる。
本願発明では、アッベ数νdおよび部分分散比Pg,Fを次のように算出する。すなわち、日本工業規格(JIS規格) JIS B 7071−1 光学ガラスの屈折率測定法―第1部:最小偏角法により、表Aに示す12の波長における屈折率を測定する。次に、日本工業規格(JIS規格) JIS B 7071−1 光学ガラスの屈折率測定法−第1部:最小偏角法の附属書Bで定められているショットの分散式に、測定によって得た各線の屈折率をあてはめ、最小二乗法によりショットの分散式の定数を求める。そして、定数の定まったショットの分散式を使用して得た各線屈折率の値よりアッベ数νdおよび部分分散比Pg,Fを算出する。
Figure 2020203804
ショットの分散式: n=a+aλ+aλ−2+aλ−4+aλ−6+aλ−8
ここで、nは屈折率、λは波長(μm)、a、a、a、a、a、aは定数である。
本願発明では、部分分散比Pg,Fは、上記のように12の異なる波長(スペクトル線)において測定した屈折率の値を用い、ショットの分散式と呼ばれる屈折率と波長とを関係付ける式の波長項の係数をフィッティングにより求め、これら係数を定めた後に当該分散式を用いて算出する。12の異なる波長において測定した屈折率の値を使用することにより、高い精度で部分分散比Pg,Fを算出することができる。一方、屈折率を測定する波長の数を減らし、簡略化した方法によって部分分散比Pg,Fを算出することもできるが、精度が十分でなく、12の異なる波長において測定した屈折率を使用して算出される値と比較して簡略な方法で算出した部分分散比Pg,Fのほうが小さい値になる傾向がある。すなわち、部分分散比Pg,Fの値が同じであっても、その算出方法によって実際の色収差の補正に関する性能に優劣が生じる場合がある。具体的には、上述のとおり簡略な方法で算出した部分分散比Pg,Fは小さく見積もられるから、そのPg,Fの値が12の異なる波長において測定した屈折率を使用して算出される部分分散比Pg,Fと同じ値であっても、実際の色収差の補正に関する性能は劣ることがある。
また、ΔPg,Fはノーマルラインに対するPg,Fの偏差として、式〔8〕のようにして求められる。
ΔPg,F=Pg,F―(0.6483−0.001802×νd) ・・・〔8〕
一般的に光学ガラスではPg,Fはアッベ数νdが減少するほど増大する傾向があるため、ΔPg,Fを異常分散性の指標とすることが一般的である。
<ガラスの比重>
第1実施形態に係る光学ガラスの比重は、好ましくは3.30以下であり、より好ましくは3.20以下であり、さらに好ましくは3.10以下である。
相対的に比重を高くする成分は、BaO、La、ZrO、Nb、Ta等である。一方、相対的に比重を低くする成分は、SiO2、B、LiO、NaO、KO等である。これら成分の含有量を適宜調整することで比重を制御することができる。
<再加熱時の安定性>
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、ガラス転移温度Tgで10分間加熱し、さらにそのTgよりも220℃高い温度で10分間加熱したときの、1gあたりに観察される結晶数は、好ましくは25個以下、より好ましくは20個以下、さらに好ましくは10個以下である。
なお、再加熱時の安定性は以下のように評価する。1cm×1cm×1cmの大きさのガラス試料を、そのガラス試料のガラス転移温度Tgに設定した第1の試験炉で10分間加熱し、さらにそのガラス転移温度Tgよりも220℃高い温度に設定した第2の試験炉で10分間加熱した後、結晶の有無を光学顕微鏡(観察倍率:40〜100倍)で確認する。そして、1gあたりの結晶数を測定する。結晶数が少なければ安定性が高く、結晶数が多い場合は安定性が低いと評価できる。
<ガラス転移温度Tg>
第1実施形態に係る光学ガラスのガラス転移温度Tgの上限は、好ましくは650℃であり、さらには640℃、630℃、620℃、610℃、600℃、590℃、580℃、570℃、560℃、の順により好ましい。また、ガラス転移温度Tgの下限は、好ましくは430℃であり、さらには440℃、450℃、460℃、470℃の順により好ましい。ガラス転移温度Tgは、各を調整することにより制御できる。
相対的にガラス転移温度Tgを下げる成分は、LiO、NaO、KOなどである。相対的にガラス転移温度Tgを上げる成分は、La、ZrO、Nbなどである。これらの成分の含有量を適宜調整することでガラス転移温度Tgを制御できる。
<ガラスの光線透過性>
第1実施形態に係る光学ガラスの光線透過性は、着色度λ80およびλ5により評価できる。
厚さ10.0mm±0.1mmのガラス試料について波長200〜700nmの範囲で分光透過率を測定し、外部透過率が80%となる波長をλ80、外部透過率が5%となる波長をλ5とする。
第1実施形態に係る光学ガラスのλ80は、好ましくは500nm以下であり、より好ましくは470nm以下であり、さらに好ましくは450nm以下である。λ5は、好ましくは370nm以下であり、より好ましくは360nm以下であり、さらに好ましくは350nm以下である。
(光学ガラスの製造)
第1実施形態に係るガラスは、上記所定の組成となるようにガラス原料を調合し、調合したガラス原料により公知のガラス製造方法に従って作製すればよい。例えば、複数種の化合物を調合し、十分混合してバッチ原料とし、バッチ原料を石英坩堝や白金坩堝中に入れて粗熔解(ラフメルト)する。粗熔解によって得られた熔融物を急冷、粉砕してカレットを作製する。さらにカレットを白金坩堝中に入れて加熱、再熔融(リメルト)して熔融ガラスとし、さらに清澄、均質化した後に熔融ガラスを成形し、徐冷して光学ガラスを得る。熔融ガラスの成形、徐冷には、公知の方法を適用すればよい。
なお、ガラス中に所望のガラス成分を所望の含有量となるように導入することができれば、バッチ原料を調合するときに使用する化合物は特に限定されないが、このような化合物として、酸化物、炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、フッ化物等が挙げられる。
(光学素子等の製造)
第1実施形態に係る光学ガラスを使用して光学素子を作製するには、公知の方法を適用すればよい。例えば、上記光学ガラスの製造において、熔融ガラスを鋳型に流し込んで板状に成形し、本発明に係る光学ガラスからなるガラス素材を作製する。得られたガラス素材を適宜、切断、研削、研磨し、プレス成形に適した大きさ、形状のカットピースを作製する。カットピースを加熱、軟化して、公知の方法でプレス成形(リヒートプレス)し、光学素子の形状に近似する光学素子ブランクを作製する。光学素子ブランクをアニールし、公知の方法で研削、研磨して光学素子を作製する。
作製した光学素子の光学機能面には使用目的に応じて、反射防止膜、全反射膜などをコーティングしてもよい。
本発明の一態様によれば、上記光学ガラスからなる光学素子を提供することができる。光学素子の種類としては、球面レンズ、非球面レンズ等のレンズ、プリズム、回折格子等を例示することができる。レンズの形状としては、両凸レンズ、平凸レンズ、両凹レンズ、平凹レンズ、凸メニスカスレンズ、凹メニスカスレンズ等の諸形状を例示することができる。光学素子は、上記光学ガラスからなるガラス成形体を加工する工程を含む方法により製造することができる。加工としては、切断、切削、粗研削、精研削、研磨等を例示することができる。こうした加工を行う際、上記ガラスを使用することにより、破損を軽減することができ、高品質の光学素子を安定して供給することができる。
第2実施形態
第2実施形態に係る光学ガラスは、
アッベ数νdが36.40以上であり、
SiOの含有量が25〜55%であり、
の含有量が13%以下であり、
LiOの含有量が20%以下であり、
NaOの含有量が17%以下であり、
ZrOの含有量が2〜22%以下であり、
Nbの含有量が12〜42%以下であり、
Nb、TiO、Bi、WOおよびTaの合計含有量に対するSiO、BおよびPの合計含有量の質量比[(SiO+B+P)/(Nb+TiO+Bi+WO+Ta)]が2.00以下であり、
LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROとMgO、CaO、SrO、BaOおよびZnOの合計含有量ROとの合計に対する合計含有量ROの質量比[RO/(RO+RO)]が0.60以上であり、
SiO、B、P、LiO、NaO、KO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、TiO、Nb、WO、ZrO、La、Gd、およびYの合計含有量が93質量%以上であり、
ZrOの含有量に対するSiO、BおよびPの合計含有量の質量比[(SiO+B+P)/ZrO]が5.45以下であり、
SiOの含有量に対するBの含有量の質量比[B/SiO]が0.240以下である。
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、アッベ数νdは36.40以上である。アッベ数νdは、36.50〜45.00、36.60〜43.00、36.70〜41.00、36.80〜40.00、または、36.90〜39.50とすることもできる。
アッベ数νdは、各ガラス成分の含有量を適宜調整することにより所望の値にすることができる。相対的にアッベ数νdを低くする成分、すなわち高分散化成分は、Nb、TiO、ZrO、WO、Bi、Ta等である。一方、相対的にアッベ数νdを高くする成分、すなわち低分散化成分は、SiO2、B、LiO、NaO、KO、La、BaO、CaO、SrO等である。
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、SiOの含有量は25〜55%である。SiOの含有量の下限は、好ましくは27%であり、さらには29%、30%、31%、32%、33%の順により好ましい。また、SiOの含有量の上限は、好ましくは53%であり、さらには50%、48%、46%、44%、42%、40%、38%の順により好ましい。SiOはガラスのネットワーク形成成分である。SiOの含有量が少なすぎると、再加熱時の安定性が低下するおそれがある。また、SiOの含有量が多すぎると、高分散性が損なわれ所望の光学恒数が得られにくく、また部分分散比Pg,Fが上昇するおそれがある。
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、Bの含有量は13%以下である。Bの含有量の上限は、好ましくは12%であり、さらには11%、10%、9%、8%の順により好ましい。また、Bの含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには1%、2%、3%の順により好ましい。Bの含有量は0%であってもよい。Bガラスのネットワーク形成成分である。Bの含有量が多すぎると、高分散性が損なわれ所望の光学恒数が得られにくく、また部分分散比Pg,Fが上昇するおそれがある。Bの含有量が少なすぎると、再加熱時の安定性が低下するおそれがある。
第2実施形態に係るガラスにおいて、LiOの含有量は20%以下である。LiOの含有量の上限は、好ましくは18%であり、さらには17%、16%、15%、14%、13%、12%の順により好ましい。また、LiOの含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%の順により好ましい。LiOはガラスの低粘性化および低Pg,F化に寄与する成分である。LiOの含有量が多すぎると、再加熱時の安定性が低下するおそれがある。また、LiOの含有量が少なすぎると、ガラスの粘性が上昇し、またPg,Fが上昇するおそれがある。
第2実施形態に係るガラスにおいて、NaOの含有量は17%以下である。NaOの含有量の上限は、好ましくは16%であり、さらには15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%の順により好ましい。NaOの含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには1%、2%、3%、4%、5%の順により好ましい。NaOの含有量は0%であってもよい。NaOは、LiOと同様にガラスの低粘性化および低Pg,F化に寄与する成分である。NaOの含有量が多すぎると、再加熱時の安定性が低下するおそれがある。また、NaOの含有量が少なすぎると、ガラスの粘性が上昇し、またPg,Fが上昇するおそれがある。
第2実施形態に係るガラスにおいて、ZrOの含有量は2〜22%である。ZrOの含有量の下限は、好ましくは4%であり、さらには5%、6%、7%、8%、9%の順により好ましい。また、ZrOの含有量の上限は、好ましくは20%であり、さらには18%、16%、15%、14%、13%の順により好ましい。ZrOは低Pg,F化に寄与する成分である。ZrOの含有量が多すぎると、液相温度LTが上昇するおそれがある。また、ZrOの含有量が少なすぎると、Pg,Fが上昇するおそれがある。
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、Nbの含有量は12〜42%である。Nbの含有量の下限は、好ましくは14%であり、さらには16%、18%、20%、21%、22%、23%、24%、25%の順により好ましい。また、Nbの含有量の上限は、好ましくは40%であり、さらには38%、36%、34%、33%、32%、31%、30%の順により好ましい。Nbは、高分散化と低Pg,F化との両立に寄与する成分である。Nbの含有量が多すぎると、再加熱時の安定性が低下するおそれがあり、また熔解性が低下するおそれがある。Nbの含有量が少なすぎると、低分散化するおそれがある。
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、Nb、TiO、Bi、WOおよびTaの合計含有量に対するSiO、BおよびPの合計含有量の質量比[(SiO+B+P)/(Nb+TiO+Bi+WO+Ta)]は2.00以下である。該質量比の上限は、好ましくは1.95であり、さらには1.90、1.85、1.80、1.75、1.74、1.73、1.72、1.71、1.70の順により好ましい。また、該質量比の下限は、好ましくは1.00であり、さらには1.10、1.20、1.25、1.30、1.32、1.34、1.36、1.38、1.40の順により好ましい。該質量比を上記範囲とすることで、アッベ数νdを所望の範囲に制御できる。該質量比が大きすぎると、アッベ数νdを所望の範囲から外れるおそれがある。また、該質量比が小さすぎると、再加熱時の安定性が低下するおそれがある。
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROとMgO、CaO、SrO、BaOおよびZnOの合計含有量ROとの合計に対する合計含有量ROの質量比[RO/(RO+RO)]は0.60以上である。該質量比の下限は、好ましくは0.62であり、さらには0.64、0.66、0.68、0.70、0.72、0.74、0.76、0.78、0.80の順により好ましい。また、該質量比の上限は、好ましくは1であり、また該質量比は1であることがより好ましい。該質量比を上記範囲とすることで、ガラスのPg,Fを低下させることができる。該質量比が小さすぎると、式〔8〕で示されるΔPg,Fが上昇するおそれがある。
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、SiO、B、P、LiO、NaO、KO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、TiO、Nb、WO、ZrO、La、Gd、およびYの合計含有量は93%以上である。該合計含有量の下限は、好ましくは94%であり、さらには95%、96%、97%、98%、99%の順により好ましい。また、該合計含有量の上限は、好ましくは100%であり、また該合計含有量は100%であることがより好ましい。該合計含有量が小さすぎると、ガラスの着色が増大するおそれがあり、また、所望の光学恒数が得られず、再加熱時の安定性等が悪化するおそれがある。さらに、ガラスの原料コストが増大するおそれがある。
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、ZrOの含有量に対するSiO、BおよびPの合計含有量の質量比[(SiO+B+P)/ZrO]は5.45以下である。該質量比の上限は、好ましくは5.30であり、さらには5.20、5.10、5.00、4.90、4.80、4.70、4.50、4.40、4.30、4.20、4.10、4.00の順により好ましい。また、該質量比の下限は、好ましくは2.00であり、さらには2.20、2.40、2.60、2.80、3.00、3.20、3.30、3.40、3.50の順により好ましい。該質量比を上記範囲とすることで、低Pg,F化と再加熱時の安定性の向上とを両立できる。該質量比が大きすぎると、Pg,Fが上昇するおそれがある。該質量比が小さすぎると、再加熱時の安定性が低下するおそれがある。
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、SiOの含有量に対するBの含有量の質量比[B/SiO]は0.240以下である。該質量比の上限は、好ましくは0.238であり、さらには0.236、0.234、0.232、0.230の順により好ましい。該質量比の下限は、好ましくは0.020であり、さらには0.030、0.040、0.050、0.060の順により好ましい。該質量比を上記範囲とすることで、比重を低減し、透過率を向上できる。該質量比が大きすぎると、透過率が悪化するおそれがある。
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、ZrOの含有量に対するBの含有量の質量比[B/ZrO]の上限は、好ましくは1.05であり、さらには1.00、0.95、0.90、0.85、0.80、0.75の順により好ましい。該質量比の下限は、好ましくは0.00であり、さらには0.02、0.04、0.06、0.08、0.10、0.12、0.14、0.16、0.18、0.20の順により好ましい。該質量比を上記範囲とすることで、Pg,Fを低下させることができる。
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROに対するNaOの含有量の質量比[NaO/RO]の上限は、好ましくは0.80であり、さらには0.79、0.78、0.77、0.76、0.75、0.70、0.69、0.68、0.67、0.66、0.65の順により好ましい。該質量比の下限は、好ましくは0.00であり、さらには0.05、0.10、0.15、0.20、0.25の順により好ましい。該質量比を上記範囲とすることで、再加熱時の安定性の低下を抑制できる。
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、SiO、BおよびPの合計含有量に対するLiO、NaOおよびKOの合計含有量ROの質量比と、LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROに対するNaOの含有量の質量比との合計[{RO/(SiO+B+P)}+(NaO/RO)]の上限は、好ましくは1.30であり、さらには1.28、1.26、1.24、1.22、1.20、1.18、1.16、1.14、1.12、1.10、1.08、1.06、1.04、1.02、1.00の順により好ましい。該合計の下限は、好ましくは0.30であり、さらには0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65の順により好ましい。該合計を上記範囲とすることで、再加熱時の安定性の低下を抑制できる。
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、ZrOの含有量に対するLiO、NaOおよびKOの合計含有量ROの質量比[RO/ZrO]の上限は、好ましくは2.00であり、さらには1.95、1.90、1.85、1.80、1.78、1.76、1.74、1.72、1.70、1.68、1.66、1.64、1.62、1.60の順により好ましい。該質量比の下限は、好ましくは1.00であり、さらには1.05、1.10、1.15、1.20、1.25、1.30、1.35、1.40、1.45の順により好ましい。該質量比を上記範囲とすることで、再加熱時の安定性の低下を抑制しつつ、Pg,Fの上昇を抑制できる。
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、上記以外のガラス成分の含有量および比率は、第1実施形態と同様とすることができる。
また、第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、上記以外のガラス特性は、第1実施形態と同様とすることができる。
さらに、第2実施形態に係る光学ガラスの製造および光学素子等の製造も、第1実施形態と同様とすることができる。
第3実施形態
第3実施形態に係る光学ガラスは、
アッベ数νdが36.40以上であり、
SiOの含有量が25〜55%であり、
の含有量が13%以下であり、
LiOの含有量が20%以下であり、
NaOの含有量が17%以下であり、
ZrOの含有量が2〜22%以下であり、
Nbの含有量が12〜42%以下であり、
Nb、TiO、Bi、WOおよびTaの合計含有量に対するSiO、BおよびPの合計含有量の質量比[(SiO+B+P)/(Nb+TiO+Bi+WO+Ta)]が2.00以下であり、
LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROとMgO、CaO、SrO、BaOおよびZnOの合計含有量ROとの合計に対するLiO、NaOおよびKOの合計含有量ROの質量比[RO/(RO+RO)]が0.60以上であり、
SiO、B、P、LiO、NaO、KO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、TiO、Nb、WO、ZrO、La、Gd、およびYの合計含有量が93質量%以上であり、
ZrOの含有量に対するSiO、BおよびPの合計含有量の質量比[(SiO+B+P)/ZrO]が5.45以下であり、
ZrOの含有量に対するBの含有量の質量比[B/ZrO]が1.05以下である。
第3実施形態に係る光学ガラスにおいて、アッベ数νdは36.40以上である。アッベ数νdは、36.50〜45.00、36.60〜43.00、36.70〜41.00、36.80〜40.00、または、36.90〜39.50とすることもできる。
アッベ数νdは、各ガラス成分の含有量を適宜調整することにより所望の値にすることができる。相対的にアッベ数νdを低くする成分、すなわち高分散化成分は、Nb、TiO、ZrO、WO、Bi、Ta等である。一方、相対的にアッベ数νdを高くする成分、すなわち低分散化成分は、SiO2、B、LiO、NaO、KO、La、BaO、CaO、SrO等である。
第3実施形態に係る光学ガラスにおいて、SiOの含有量は25〜55%である。SiOの含有量の下限は、好ましくは27%であり、さらには29%、30%、31%、32%、33%の順により好ましい。また、SiOの含有量の上限は、好ましくは53%であり、さらには50%、48%、46%、44%、42%、40%、38%の順により好ましい。SiOはガラスのネットワーク形成成分である。SiOの含有量が少なすぎると、再加熱時の安定性が低下するおそれがある。また、SiOの含有量が多すぎると、高分散性が損なわれ所望の光学恒数が得られにくく、また部分分散比Pg,Fが上昇するおそれがある。
第3実施形態に係る光学ガラスにおいて、Bの含有量は13%以下である。Bの含有量の上限は、好ましくは12%であり、さらには11%、10%、9%、8%の順により好ましい。また、Bの含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには1%、2%、3%の順により好ましい。Bの含有量は0%であってもよい。Bガラスのネットワーク形成成分である。Bの含有量が多すぎると、高分散性が損なわれ所望の光学恒数が得られにくく、また部分分散比Pg,Fが上昇するおそれがある。Bの含有量が少なすぎると、再加熱時の安定性が低下するおそれがある。
第3実施形態に係るガラスにおいて、LiOの含有量は20%以下である。LiOの含有量の上限は、好ましくは18%であり、さらには17%、16%、15%、14%、13%、12%の順により好ましい。また、LiOの含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%の順により好ましい。LiOはガラスの低粘性化および低Pg,F化に寄与する成分である。LiOの含有量が多すぎると、再加熱時の安定性が低下するおそれがある。また、LiOの含有量が少なすぎると、ガラスの粘性が上昇し、またPg,Fが上昇するおそれがある。
第3実施形態に係るガラスにおいて、NaOの含有量は17%以下である。NaOの含有量の上限は、好ましくは16%であり、さらには15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%の順により好ましい。NaOの含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには1%、2%、3%、4%、5%の順により好ましい。NaOの含有量は0%であってもよい。NaOは、LiOと同様にガラスの低粘性化および低Pg,F化に寄与する成分である。NaOの含有量が多すぎると、再加熱時の安定性が低下するおそれがある。また、NaOの含有量が少なすぎると、ガラスの粘性が上昇し、またPg,Fが上昇するおそれがある。
第3実施形態に係るガラスにおいて、ZrOの含有量は2〜22%である。ZrOの含有量の下限は、好ましくは4%であり、さらには5%、6%、7%、8%、9%の順により好ましい。また、ZrOの含有量の上限は、好ましくは20%であり、さらには18%、16%、15%、14%、13%の順により好ましい。ZrOは低Pg,F化に寄与する成分である。ZrOの含有量が多すぎると、液相温度LTが上昇するおそれがある。また、ZrOの含有量が少なすぎると、Pg,Fが上昇するおそれがある。
第3実施形態に係る光学ガラスにおいて、Nbの含有量は12〜42%である。Nbの含有量の下限は、好ましくは14%であり、さらには16%、18%、20%、21%、22%、23%、24%、25%の順により好ましい。また、Nbの含有量の上限は、好ましくは40%であり、さらには38%、36%、34%、33%、32%、31%、30%の順により好ましい。Nbは、高分散化と低Pg,F化との両立に寄与する成分である。Nbの含有量が多すぎると、再加熱時の安定性が低下するおそれがあり、また熔解性が低下するおそれがある。Nbの含有量が少なすぎると、低分散化するおそれがある。
第3実施形態に係る光学ガラスにおいて、Nb、TiO、Bi、WOおよびTaの合計含有量に対するSiO、BおよびPの合計含有量の質量比[(SiO+B+P)/(Nb+TiO+Bi+WO+Ta)]は2.00以下である。該質量比の上限は、好ましくは1.95であり、さらには1.90、1.85、1.80、1.75、1.74、1.73、1.72、1.71、1.70の順により好ましい。また、該質量比の下限は、好ましくは1.00であり、さらには1.10、1.20、1.25、1.30、1.32、1.34、1.36、1.38、1.40の順により好ましい。該質量比を上記範囲とすることで、アッベ数νdを所望の範囲に制御できる。該質量比が大きすぎると、アッベ数νdを所望の範囲から外れるおそれがある。また、該質量比が小さすぎると、再加熱時の安定性が低下するおそれがある。
第3実施形態に係る光学ガラスにおいて、LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROとMgO、CaO、SrO、BaOおよびZnOの合計含有量ROとの合計に対する合計含有量ROの質量比[RO/(RO+RO)]は0.60以上である。該質量比の下限は、好ましくは0.62であり、さらには0.64、0.66、0.68、0.70、0.72、0.74、0.76、0.78、0.80の順により好ましい。また、該質量比の上限は、好ましくは1であり、また該質量比は1であることがより好ましい。該質量比を上記範囲とすることで、ガラスのPg,Fを低下させることができる。該質量比が小さすぎると、式〔8〕で示されるΔPg,Fが上昇するおそれがある。
第3実施形態に係る光学ガラスにおいて、SiO、B、P、LiO、NaO、KO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、TiO、Nb、WO、ZrO、La、Gd、およびYの合計含有量は93%以上である。該合計含有量の下限は、好ましくは94%であり、さらには95%、96%、97%、98%、99%の順により好ましい。また、該合計含有量の上限は、好ましくは100%であり、また該合計含有量は100%であることがより好ましい。該合計含有量が小さすぎると、ガラスの着色が増大するおそれがあり、また、所望の光学恒数が得られず、再加熱時の安定性等が悪化するおそれがある。さらに、ガラスの原料コストが増大するおそれがある。
第3実施形態に係る光学ガラスにおいて、ZrOの含有量に対するSiO、BおよびPの合計含有量の質量比[(SiO+B+P)/ZrO]は5.45以下である。該質量比の上限は、好ましくは5.30であり、さらには5.20、5.10、5.00、4.90、4.80、4.70、4.50、4.40、4.30、4.20、4.10、4.00の順により好ましい。また、該質量比の下限は、好ましくは2.00であり、さらには2.20、2.40、2.60、2.80、3.00、3.20、3.30、3.40、3.50の順により好ましい。該質量比を上記範囲とすることで、低Pg,F化と再加熱時の安定性の向上とを両立できる。該質量比が大きすぎると、Pg,Fが上昇するおそれがある。該質量比が小さすぎると、再加熱時の安定性が低下するおそれがある。
第3実施形態に係る光学ガラスにおいて、ZrOの含有量に対するBの含有量の質量比[B/ZrO]は、1.05以下である。該質量比の上限は、さらには1.00、0.95、0.90、0.85、0.80、0.75の順により好ましい。該質量比の下限は、好ましくは0.00であり、さらには0.02、0.04、0.06、0.08、0.10、0.12、0.14、0.16、0.18、0.20の順により好ましい。該質量比を上記範囲とすることで、Pg,Fを低下させることができる。該質量比が大きすぎると、Pg,Fが増大するおそれがある。また、該質量比が小さすぎると、再加熱時の安定性が低下するおそれがある。
第3実施形態に係る光学ガラスにおいて、SiOの含有量に対するBの含有量の質量比[B/SiO]の上限は、好ましくは0.240であり、さらには0.238、0.236、0.234、0.232、0.230の順により好ましい。該質量比の下限は、好ましくは0.020であり、さらには0.030、0.040、0.050、0.060の順により好ましい。該質量比を上記範囲とすることで、比重を低減し、透過率を向上できる。
第3実施形態に係る光学ガラスにおいて、LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROに対するNaOの含有量の質量比[NaO/RO]の上限は、好ましくは0.80であり、さらには0.79、0.78、0.77、0.76、0.75、0.70、0.69、0.68、0.67、0.66、0.65の順により好ましい。該質量比の下限は、好ましくは0.00であり、さらには0.05、0.10、0.15、0.20、0.25の順により好ましい。該質量比を上記範囲とすることで、再加熱時の安定性の低下を抑制できる。
第3実施形態に係る光学ガラスにおいて、SiO、BおよびPの合計含有量に対するLiO、NaOおよびKOの合計含有量ROの質量比と、LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROに対するNaOの含有量の質量比との合計[{RO/(SiO+B+P)}+(NaO/RO)]の上限は、好ましくは1.30であり、さらには1.28、1.26、1.24、1.22、1.20、1.18、1.16、1.14、1.12、1.10、1.08、1.06、1.04、1.02、1.00の順により好ましい。該合計の下限は、好ましくは0.30であり、さらには0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65の順により好ましい。該合計を上記範囲とすることで、再加熱時の安定性の低下を抑制できる。
第3実施形態に係る光学ガラスにおいて、ZrOの含有量に対するLiO、NaOおよびKOの合計含有量ROの質量比[RO/ZrO]の上限は、好ましくは2.00であり、さらには1.95、1.90、1.85、1.80、1.78、1.76、1.74、1.72、1.70、1.68、1.66、1.64、1.62、1.60の順により好ましい。該質量比の下限は、好ましくは1.00であり、さらには1.05、1.10、1.15、1.20、1.25、1.30、1.35、1.40、1.45の順により好ましい。該質量比を上記範囲とすることで、再加熱時の安定性の低下を抑制しつつ、Pg,Fの上昇を抑制できる。
第3実施形態に係る光学ガラスにおいて、上記以外のガラス成分の含有量および比率は、第1実施形態と同様とすることができる。
また、第3実施形態に係る光学ガラスにおいて、上記以外のガラス特性は、第1実施形態と同様とすることができる。
さらに、第3実施形態に係る光学ガラスの製造および光学素子等の製造も、第1実施形態と同様とすることができる。
以下に、本発明を実施例により更に詳細に説明する。ただし、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。
(実施例1)
表1に示すガラス組成を有するガラスサンプルを以下の手順で作製し、各種評価を行った。
[光学ガラスの製造]
まず、ガラスの構成成分に対応する酸化物、水酸化物、炭酸塩、および硝酸塩を原材料として準備し、得られる光学ガラスのガラス組成が、表1に示す各組成となるように上記原材料を秤量、調合して、原材料を十分に混合した。こうして得られた調合原料(バッチ原料)を、白金坩堝に投入し、1350℃〜1400℃で2〜4時間加熱して熔融ガラスとし、攪拌して均質化を図り、清澄してから、熔融ガラスを適当な温度に予熱した金型に鋳込んだ。鋳込んだガラスを、ガラス転移温度Tg〜Tgより100℃低い温度の間の任意の温度で30分間熱処理し、炉内で室温まで放冷することにより、ガラスサンプルを得た。
[ガラス成分組成の確認]
得られたガラスサンプルについて、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−AES)で各ガラス成分の含有量を測定し、表1に示す各組成のとおりであることを確認した。
[再加熱試験(再加熱時の安定性)]
得られたガラスサンプルを1cm×1cm×1cmの大きさに切断し、そのガラスサンプルのガラス転移温度Tgに設定した第1の試験炉で10分間加熱し、さらにそのガラス転移温度Tgよりも220℃高い温度に設定した第2の試験炉で10分間加熱した。その後、結晶の有無を光学顕微鏡(観察倍率:40〜100倍)で確認した。そして、1gあたりの結晶数(異物数)を測定した。
[光学特性の測定]
得られたガラスサンプルを、さらにガラス転移温度Tg付近で約30分から約2時間アニール処理した後、炉内で降温速度−30℃/時間で室温まで冷却してアニールサンプルを得た。得られたアニールサンプルについて、屈折率、アッベ数νd、部分分散比Pg,F、比重、ガラス転移温度Tg、λ80およびλ5を測定した。結果を表1に示す。
(i)屈折率およびアッベ数νdならびに部分分散比Pg,F
上記アニールサンプルについて、日本工業規格(JIS規格) JIS B 7071−1 光学ガラスの屈折率測定法―第1部:最小偏角法により、表Aに示す12の波長における屈折率を測定した。
次に日本工業規格(JIS規格) JIS B 7071−1 光学ガラスの屈折率測定法−第1部:最小偏角法の附属書Bで定められているショットの分散式に、測定によって得た各線の屈折率をあてはめ、最小二乗法によりショットの分散式の定数を求めた。そして、定数の定まったショットの分散式を使用してアッベ数νdおよび部分分散比Pg,Fを算出した。
Figure 2020203804
ショットの分散式: n=a+aλ+aλ−2+aλ−4+aλ−6+aλ−8
ここで、nは屈折率、λは波長(μm)、a、a、a、a、a、aは定数である。
なお、屈折ndとは、波長587.56nmにおける屈折率である。
(ii)比重
比重は、アルキメデス法により測定した。
(iii)ガラス転移温度Tg
ガラス転移温度Tgは、NETZSCH JAPAN社製の示差走査熱量分析装置(DSC3300SA)を使用し、昇温速度10℃/分にて測定した。
(iv)λ80、λ5
上記アニールサンプルを、厚さ10mmで、互いに平行かつ光学研磨された平面を有するように加工し、波長280nmから700nmまでの波長域における分光透過率を測定した。光学研磨された一方の平面に垂直に入射する光線の強度を強度Aとし、他方の平面から出射する光線の強度を強度Bとして、分光透過率B/Aを算出した。分光透過率が80%になる波長をλ80とし、分光透過率が5%になる波長をλ5とした。なお、分光透過率には試料表面における光線の反射損失も含まれる。
Figure 2020203804
(実施例2)
実施例1において作製した各光学ガラスを用いて、公知の方法により、レンズブランクを作製し、レンズブランクを研磨等の公知方法により加工して各種レンズを作製した。
作製した光学レンズは、両凸レンズ、両凹レンズ、平凸レンズ、平凹レンズ、凹メニスカスレンズ、凸メニスカスレンズ等の各種レンズである。
各種レンズは、他種の光学ガラスからなるレンズと組合せることにより、二次の色収差を良好に補正することができた。
また、ガラスは比較的低比重であるため、各レンズとも同等の光学特性、大きさを有するレンズよりも重量が小さく、各種撮像機器、特に省エネ可能という理由等によりオートフォーカス式の撮像機器用として好適である。同様にして、実施例1で作製した各種光学ガラスを用いてプリズムを作製した。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、上記に例示されたガラス組成に対し、明細書に記載の組成を調整することにより、本発明の一態様にかかる光学ガラスを作製することができる。
また、明細書に例示または好ましい範囲として記載した事項の2つ以上を任意に組み合わせることは、もちろん可能である。

Claims (7)

  1. アッベ数νdが36.40以上であり、
    SiOの含有量が25〜55質量%であり、
    の含有量が13質量%以下であり、
    LiOの含有量が20質量%以下であり、
    NaOの含有量が17質量%以下であり、
    ZrOの含有量が2〜22質量%以下であり、
    Nbの含有量が12〜42質量%以下であり、
    Nb、TiO、Bi、WOおよびTaの合計含有量に対するSiO、BおよびPの合計含有量の質量比[(SiO+B+P)/(Nb+TiO+Bi+WO+Ta)]が2.00以下であり、
    LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROとMgO、CaO、SrO、BaOおよびZnOの合計含有量ROとの合計に対する合計含有量ROの質量比[RO/(RO+RO)]が0.60以上であり、
    SiO、B、P、LiO、NaO、KO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、TiO、Nb、WO、ZrO、La、Gd、およびYの合計含有量が93質量%以上であり、
    ZrOの含有量に対するSiO、BおよびPの合計含有量の質量比[(SiO+B+P)/ZrO]が5.00以下である、光学ガラス。
  2. アッベ数νdが36.40以上であり、
    SiOの含有量が25〜55質量%であり、
    の含有量が13質量%以下であり、
    LiOの含有量が20質量%以下であり、
    NaOの含有量が17質量%以下であり、
    ZrOの含有量が2〜22質量%以下であり、
    Nbの含有量が12〜42質量%以下であり、
    Nb、TiO、Bi、WOおよびTaの合計含有量に対するSiO、BおよびPの合計含有量の質量比[(SiO+B+P)/(Nb+TiO+Bi+WO+Ta)]が2.00以下であり、
    LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROとMgO、CaO、SrO、BaOおよびZnOの合計含有量ROとの合計に対する合計含有量ROの質量比[RO/(RO+RO)]が0.60以上であり、
    SiO、B、P、LiO、NaO、KO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、TiO、Nb、WO、ZrO、La、Gd、およびYの合計含有量が93質量%以上であり、
    ZrOの含有量に対するSiO、BおよびPの合計含有量の質量比[(SiO+B+P)/ZrO]が5.45以下であり、
    SiOの含有量に対するBの含有量の質量比[B/SiO]が0.240以下である、光学ガラス。
  3. アッベ数νdが36.40以上であり、
    SiOの含有量が25〜55質量%であり、
    の含有量が13質量%以下であり、
    LiOの含有量が20質量%以下であり、
    NaOの含有量が17質量%以下であり、
    ZrOの含有量が2〜22質量%以下であり、
    Nbの含有量が12〜42質量%以下であり、
    Nb、TiO、Bi、WOおよびTaの合計含有量に対するSiO、BおよびPの合計含有量の質量比[(SiO+B+P)/(Nb+TiO+Bi+WO+Ta)]が2.00以下であり、
    LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROとMgO、CaO、SrO、BaOおよびZnOの合計含有量ROとの合計に対する合計含有量ROの質量比[RO/(RO+RO)]が0.60以上であり、
    SiO、B、P、LiO、NaO、KO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、TiO、Nb、WO、ZrO、La、Gd、およびYの合計含有量が93質量%以上であり、
    ZrOの含有量に対するSiO、BおよびPの合計含有量の質量比[(SiO+B+P)/ZrO]が5.45以下であり、
    ZrOの含有量に対するBの含有量の質量比[B/ZrO]が1.05以下である、光学ガラス。
  4. LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROに対するNaOの含有量の質量比[NaO/RO]が0.80以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の光学ガラス。
  5. SiO、BおよびPの合計含有量に対するLiO、NaOおよびKOの合計含有量ROの質量比と、LiO、NaOおよびKOの合計含有量ROに対するNaOの含有量の質量比との合計[{RO/(SiO+B+P)}+(NaO/RO)]が1.30以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の光学ガラス。
  6. ZrOの含有量に対するLiO、NaOおよびKOの合計含有量ROの質量比[RO/ZrO]が2.00以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の光学ガラス。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の光学ガラスからなる光学素子。
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