JP2020195330A - 細胞分離フィルター装置、及び細胞濃縮液の製造方法 - Google Patents

細胞分離フィルター装置、及び細胞濃縮液の製造方法 Download PDF

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真弘 小嶋
敬太 山下
Keita Yamashita
敬太 山下
岩木 和男
Kazuo Iwaki
和男 岩木
里衣子 八木
Rieko Yagi
里衣子 八木
保 嶋田
Tamotsu Shimada
保 嶋田
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幸晋 牛崎
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Abstract

【課題】内部に分離材を収容する細胞分離フィルター装置であって良好な細胞回収率を達成可能な細胞分離フィルター装置と、当該細胞分離フィルター装置を用いる工程を含む細胞濃縮液の製造方法とを提供すること。【解決手段】周壁部と、第1壁部と、第2壁部と、分離材とを備える細胞分離フィルター装置において、第1壁部と第2壁部とにそれぞれ第1押え部と第2押え部とを設け、第1押え部と、第2押え部とで、細胞分離フィルター装置内に充填された分離材の、周壁部の内面に沿って位置する環状領域を挟み込んで圧縮し、周壁部の内面と環状領域の外周との最短距離をL1とし、周壁部の内部空間の径方向の断面積から算出される、周壁部の内部空間の断面の円相当径をL2とする場合に、L1をL2の1.00%以上7.75%以下とする。【選択図】図1

Description

本発明は、細胞分離フィルター装置と、当該細胞分離フィルター装置を用いる工程を含む細胞濃縮液の製造方法とに関する。
近年、血液学や科学テクノロジーの急速な進歩に伴い、全血・骨髄・臍帯血・組織抽出物をはじめとする体液から必要な血液分画のみを分離して患者に投与することで治療効果を高め、さらに、治療に必要のない分画は投与しないことで副作用を抑制する、という治療スタイルが広く普及している。
例えば、血液輸血もその1つである。赤血球製剤は、出血や赤血球が不足する場合、又は赤血球の機能低下により酸素が欠乏している場合に使用される血液製剤である。赤血球製剤には、異常な免疫反応や移植片対宿主病(GVHD)等の副作用を誘導する白血球は不要であり、フィルターで白血球を除去する必要がある。場合によっては白血球に加えて血小板も除去することもある。
一方、血小板製剤は、血液凝固因子の欠乏による出血ないし出血傾向にある患者に使用される血液製剤である。血小板製剤の製造のためには、遠心分離により、血小板以外の不要な細胞や成分は除去され、必要とされる血小板成分のみが採取されている。
加えて近年、白血病や固形癌治療に向けた造血幹細胞移植が盛んに行われるようになり、治療に必要な、造血幹細胞を含む白血球群を分離し投与する方法がとられている。この造血幹細胞のソースとして、ドナーの負担が少ない、増殖能力が優れている、等の利点から、骨髄や末梢血に加えて臍帯血も注目を浴びている。また近年、月経血中にも幹細胞が豊富に存在することが示唆され、これまで廃棄されていた月経血も貴重な幹細胞ソースとして利用される可能性がある。
骨髄や末梢血に関して、不要な細胞を除き白血球を分離・純化して投与することが望まれている一方で、臍帯血についても血縁者のためのバンキングが盛んになり、使用時まで凍結保存する必要性から、凍結保存による赤血球溶血を防ぐことを目的に白血球は分離・純化されている。
細胞分離方法として、最近では、赤血球と血小板は捕捉されず白血球のみを捕捉するフィルター材料を用いて白血球を回収する方法も報告されている(特許文献1、特許文献2、及び特許文献3を参照)。
特表2001−518792号公報 国際公開第98/32840号 特開平10−313855号公報
特許文献1、特許文献2、及び特許文献3に記載されるようなフィルター材料を分離材として用いて血液等の細胞含有液から細胞を回収する方法において、多くの血液(例えば100mL超)を一度に処理する場合に、血液中の血球細胞やタンパク、夾雑物等による分離材の目詰まりの影響が大きい。分離材に目詰まりが生じると、回収液による細胞の逆洗回収時に、細胞分離フィルター装置の内部の圧力が急激に上昇する。その際に、フィルター容器が大きく変形することで、フィルター容器と分離材とのシール性が低下する。そうすると、フィルター容器と分離材との間に隙間ができ、回収液が偏流したりショートパスしたりすることで細胞回収率が低下する問題があった。
以上のように、細胞の回収率には未だ改良の余地があり、より優れた細胞回収率の達成が可能な細胞分離フィルター装置が求められている。
上記のような事情に鑑み、本発明の目的は、内部に分離材を収容する細胞分離フィルター装置であって良好な細胞回収率を達成可能な細胞分離フィルター装置と、当該細胞分離フィルター装置を用いる工程を含む細胞濃縮液の製造方法とを提供することを目的とする。
本発明者は、かかる課題を解決すべく、鋭意検討を進めた。その結果、周壁部と、第1壁部と、第2壁部と、分離材とを備える細胞分離フィルター装置において、第1壁部と第2壁部とにそれぞれ第1押え部と第2押え部とを設け、第1押え部と、第2押え部とで、細胞分離フィルター装置内に充填された分離材の、周壁部の内面に沿って位置する環状領域を挟み込んで圧縮し、周壁部の内面と環状領域の外周との最短距離をL1とし、周壁部の内部空間の径方向の断面積から算出される、周壁部の内部空間の断面の円相当径をL2とする場合に、L1をL2の1.00%以上7.75%以下とすることによって上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
〔1〕フィルター容器と、フィルター容器内に充填された分離材とを備える細胞分離フィルター装置であって、
フィルター容器が、筒状の周壁部と、周壁部の一端側の開口を閉鎖する第1壁部と、周壁部の他端側の開口を閉鎖する第2壁部と、を備え、
分離材は、周壁部の内面との間に隙間が形成されないように、フィルター容器内に充填されており、
第1壁部には、第1通液口が形成されており、
第2壁部には、第2通液口が形成されており、
第1壁部の内面に、第1突起部と、第1押え部とが形成されており、
第2壁部の内面に、第2押え部が形成されており、
第1突起部は、フィルター容器内に分離材が充填されたときに、第2壁部と協働して分離材を挟み込んで圧縮し、
第1押え部と、第2押え部とは、フィルター容器内に充填された前記分離材の、前記周壁部の内面に沿って位置する環状領域を挟み込んで圧縮し、
周壁部の内面と環状領域の外周との最短距離をL1とし、周壁部の内部空間の径方向の断面積から算出される、周壁部の内部空間の断面の円相当径をL2とする場合に、L1がL2の1.00%以上7.75%以下である、細胞分離フィルター装置。
〔2〕L1がL2の1.00%以上3.50%以下である、〔1〕に記載の細胞分離フィルター装置。
〔3〕第1押え部の分離材を押圧する面の幅W1と、第2押え部の分離材を押圧する面の幅W2とが、それぞれL2の0.75%以上6.00%以下である、〔1〕又は〔2〕に記載の細胞分離フィルター装置。
〔4〕第1押え部の分離材を押圧する面の幅W1と、第2押え部の分離材を押圧する面の幅W2とが、それぞれL2の3.00%以上6.00%以下である、〔1〕又は〔2〕に記載の細胞分離フィルター装置。
〔5〕第1押え部の分離材を押圧する面の幅が、第2押え部の分離材を押圧する面の幅よりも狭い、〔1〕〜〔4〕のいずれか1つに記載の細胞分離フィルター装置。
〔6〕周壁部の内部空間についての、第1壁部の主面及び第2壁部の主面に沿った断面の面積が16.05cm以上であり、
第1突起部が、複数の第1突起からなり、
第1突起部と第1壁部の中心との距離は、10.00mm以下であり、
複数の第1突起のうちの隣接する第1突起の最大距離が36.74mm以下である、請求項〔1〕〜〔5〕のいずれか1つに記載の細胞分離フィルター装置。
〔7〕第2壁部の内面に、第1突起部と協働して分離材を挟み込んで圧縮する第2突起部が形成されている、〔1〕〜〔6〕のいずれか1つに記載の細胞分離フィルター装置。
〔8〕周壁部の内部空間についての、第1壁部の主面及び前記第2壁部の主面に沿った断面の面積が16.05cm以上であり、
第2突起部が、複数の第2突起からなり、
第2突起部と第2壁部の中心との距離は、10.00mm以下であり、
複数の第2突起部のうちの隣接する第2突起部の最大距離が36.74mm以下である、〔7〕に記載の細胞分離フィルター装置。
〔9〕第1突起部が、複数の第1突起からなり、
第2突起部が、複数の第2突起からなり、
複数の第1突起の各々は、第1壁部の中央部に対して放射状に延在し、
複数の第1突起は、第1押え部に沿って配列されており、
複数の第2突起の各々は、第2壁部の中央部に対して放射状に延在し、
複数の第2突起は、第2押え部に沿って配列されている、〔7〕又は〔8〕に記載の細胞分離フィルター装置。
〔10〕第1突起部の数、及び、第2突起部の数は、それぞれ独立に、3本以上10本以下である、〔9〕に記載の細胞分離フィルター装置。
〔11〕周壁部と第1壁部とが一体的に形成されている、〔1〕〜〔10〕のいずれか1つに記載の細胞分離フィルター装置。
〔12〕分離材が不織布又は多孔質セルロース粒子を含む多孔質体である、〔1〕〜〔11〕のいずれか1つに記載の細胞分離フィルター装置。
〔13〕細胞を含む細胞含有液を、〔1〕〜〔12〕のいずれか1つに記載の細胞分離フィルター装置内に、第1通液口及び第2通液口のうちの一方の通液口から導入して分離材を通過させることで、細胞を分離材に捕捉させることと、
細胞分離フィルター装置内に回収液を導入し、分離材に捕捉された細胞を回収液中に遊離させて細胞濃縮液を生じさせることと、
細胞濃縮液を細胞分離フィルター装置内から回収することと、を含む細胞濃縮液の製造方法。
〔14〕回収液を第1通液口及び第2通液口の他方の通液口から導入し、細胞濃縮液を一方の通液口から回収する、〔13〕に記載の細胞濃縮液の製造方法。
本発明によれば、内部に分離材を収容する細胞分離フィルター装置であって良好な細胞回収率を達成可能な細胞分離フィルター装置と、当該細胞分離フィルター装置を用いる工程を含む細胞濃縮液の製造方法とを提供することができる。
周壁部近傍において、第1押え部と第2押え部とにより分離材の環状領域が圧縮された状態を模式的に示す、細胞分離フィルター装置の断面図である。 本発明の実施形態に係る細胞分離フィルター装置を示す斜視図である。 図1の細胞分離フィルター装置の分解斜視図である。 図1のIII−III線断面図である。 図4Aの分解断面図である。 図3の分離材収容部(特に、底部(第1壁部))を内面側からみた平面図である。 図3の蓋部(第2壁部)を内面側からみた平面図である。 実施例及び比較例で用いた細胞分離用デバイスの回路の概略を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、必要に応じて図面を参照しつつ説明する。
≪細胞分離フィルター装置≫
細胞分離フィルター装置1は、フィルター容器2と、フィルター容器2内に充填された分離材5とを備える。以下、「細胞分離フィルター装置」を、「フィルター装置」とも記す。以下、「フィルター容器」を、「容器」とも記す。
フィルター装置1では、フィルター装置1内に、分離対象の細胞を含有する細胞含有液を通液させることにより、分離材5に分離対象の細胞が捕捉される。分離材5に補足された細胞は、フィルター装置1内に細胞回収液を導入することにより、分離材5から遊離され、回収される。
フィルター装置1では、フィルター容器2が後述する構成を備えることによって、高い回収率で細胞含有液から目的の細胞を回収することができる。
<フィルター容器>
フィルター容器2は、筒状の周壁部30と、第1壁部10と、第2壁部20とを備える。第1壁部10は、筒状の周壁部30の一端側の開口を閉鎖する。第2壁部20は、筒状の周壁部30の、第1壁部10により閉鎖される開口に対して、他端側の開口を閉鎖する。
第1壁部10と、第2壁部20とは、周壁部30と一体化して形成されていてもよく、周壁部30と別体であってもよい。ただし、フィルター容器2内に分離材5を充填するために、通常、第1壁部10と、第2壁部20との少なくとも一方は、周壁部から着脱可能であるように、周壁部30と別体として設けられる。
かかる容器2内に、後述する細胞を分離するための分離材5が、周壁部30の内面との間に隙間が形成されないように、容器2内に充填される。細胞回収液が、分離材5を通過せず、周壁部30の内面と分離材5との隙間を細胞含有液がショートパスすることによる細胞回収率の低下を防ぐためである。
第1壁部10には、第1通液口11が形成されている。第2壁部20には、第2通液口21が形成されている。第1通液口11、及び第2通液口21の数は特に限定されない。第1通液口11は、第1壁部10に、1つ形成されても、2以上形成されてもよい。容器2の製造が容易であったり、フィルター装置1に細胞含有液を供給するためのチューブ(図1において不図示)を接続する操作が容易であったりすることから、第1通液口11は、第1壁部10に1つ形成されるのが好ましい。第2壁部20における第2通液口21の数は、第1壁部10における第1通液口11の数と同様である。
容器2の製造が容易であったり、分離材5に対して細胞含有液を均等に供給しやすかったりすることから、第1通液口11と、第2通液口21とは、それぞれ、第1壁部10及び第2壁部20の主面の中心又は略中心に開口を有するように1つ形成されるのが好ましい。
ここで、第1壁部10の主面及び第2壁部20の主面とは、容器2における空間に分離材5が充填されたときに、第1壁部10及び第2壁部20の分離材5に対向するか接する面を表す。
また、主面の中心とは、主面の形状が円である場合、当該円の中心である。主面の形状が凸多角形である場合、当該凸多角形に内接する円の中心を、主面の中心とする。
第1通液口11、及び第2通液口21の形状は、フィルター装置1内へ液体を導入入可能であり、フィルター装置1内の液体をフィルター装置1外に排出可能であれば特に限定されない。フィルター装置1内外に液体を流通させるためのチューブの接続が容易であることから、第1通液口11、及び第2通液口21は、それぞれノズルで構成されるのが好ましい。ノズルの形状や大きさについては特に限定はない。
第1壁部10の内面には、第1突起部12と、第1押え部13とが形成されている。第2壁部20の内面には、第2押え部23が形成されている。
第1突起部12は、第2壁部20と協働して分離材5を挟み込んで圧縮する。これにより、分離材5は全体的に圧縮される。
さらに、分離材5において、第1突起部12に当接する領域やその近傍の領域では分離材5の密に圧縮される。他方、第1突起部12と当接しない領域では、分離材5が緩む。
このように、分離材5の全体、すなわち内層が圧縮されつつ、分離材5に密な部分と弛んだ部分とが形成されることにより、分離材5の弛んだ部分に細胞を捕捉しやすい。そのため、細胞の捕捉後に、フィルター装置1内に回収液を導入した際に、分離材5から細胞を回収液内に容易に遊離させることができる。
第1突起部12は、周壁部30の内面に沿って環状に形成された第1押え部13により支持されるのが好ましい。
第1突起部12の数は、所望する程度に分離材5を圧縮できる限り特に限定されない。第1突起部12が複数形成される場合、第1突起部12は、等間隔で配置されてもよいし、不規則に配置されてもよい。分離材5にむらなく細胞を含む液体を浸透させやすい点からは、第1突起部12が、等間隔で配置されるのが好ましい。
第1突起部12の形状は、直線であってもよく、曲線であってもよい。例えば、第1突起部12の形状は、円弧状でもよく、S字状でもよく、ジグザグ状でもよい。また、第1突起部の形状は、放射状のみならず、分離材5に細胞含有液を浸透させる隙間を有する格子状、ドット状であってもよい。
第2壁部20の内面にも、第1壁部10と同様に、第2突起部22が形成されているのが好ましい。第2突起部22は、第1突起部12と協働して分離材5を挟み込んで圧縮する。この場合、分離材5の第2突起部22と当接する面にも、上記の粗密が形成される。
分離材5に捕捉された細胞は、容器2内に細胞回収液を供給することによって、分離材5から細胞回収液内に遊離されることで回収される。
分離材5の第2突起部22と当接する面にも、粗密が形成されると、細胞回収液が分離材5の粗の部分から分離材5の中心部に向けて流入しやすく、分離材5に捕捉された細胞を良好に遊離させやすい。
第2突起部22の数や形状については、第1突起部12と同様である。
第1押え部13と、第2押え部23とは、容器内に充填された分離材5の、周壁部30の内面に沿って位置する環状領域を挟み込んで圧縮する。
環状領域50は、周壁部30の内面と環状領域50の外周との最短距離をL1とし、周壁部30の内部空間の径方向の断面積から算出される、周壁部30の内部空間の断面の円相当径をL2とする場合に、L1がL2の1.00%以上7.75%以下であるように圧縮される。所望する細胞の回収率を高めやすい点から、L1はL2の1.00%以上3.50%以下であるのが好ましい。
L1の具体的な長さとしては、例えば、0.50mm以上6.00mm以下が好ましく、0.80mm以上5.00mm以下がより好ましく、1.00mm以上4.00mm以下がさらに好ましい。
L1について、L2に対する比率が上記の範囲内であり、且つ、L1の具体的な長さが上記の範囲内であるのが特に好ましい。
L2の具体的な長さとしては、例えば、40.00mm以上80.00mm以下が好ましく、45.00mm以上70.00mm以下がより好ましい。
分離材5は細孔を有するため、圧縮により分離材5の寸法がある程度変化する。
ここで、L1がL2に対して小さすぎると、分離材5の端部が圧縮されることで、分離材5の端部が分離材5の主面の中央側に向かって引き込まれる。そうすると、周壁部30と、分離材5の端部との間に隙間が生じ、分離材5によるシール性が低下する。この場合、細胞含有液や回収液が、周壁部30と分離材5との間をショートパスすることにより、所望する細胞の回収率が低下しやすい。
他方、L1及びL2が上記の要件を満たすように、第1押え部13と第2押え部23とに挟み込まれて分離材5の外周部付近の環状領域50が圧縮されると、図1に示されるように、分離材5の面方向に対して垂直な断面を観察した場合に、分離材5の環状領域50よりも周壁部30側の端部が扇形に広がる。
このような理由から、分離材5の環状領域50が圧縮された場合に、分離材5の厚さ方向の中央部付近では、分離材5の端部が周壁部30に押し付けられるように分離材5が変形する。
このように、フィルター装置1を用いて細胞含有液内の細胞を分離材5に捕捉させる際に、分離材5が環状領域50の外側に適度にはみ出した状態で環状領域50が圧縮されることで、分離材5が周壁部30に押し付けられることにより、分離材5の主面の中心側から周壁部30の近傍へ向かって流れる細胞含有液や回収液が、周壁部30と分離材5との間の極狭い隙間を通過してショートパスしたり、編流が生じることによる細胞回収率の低下を抑制できる。
結果として、上記の所定の構成を備えるフィルター装置1を用いることにより、細胞含有液から、高い回収率で目的の細胞を回収することができる。
ここで、L1のL2に対する比率が小さすぎると、L1が短すぎるため、分離材5の変形量が小さく、周壁部30と分離材5との間の極狭い隙間を通過することによる、細胞含有液のショートパスを抑制しにくい。
他方、L1のL2に対する比率が大きすぎると、分離材5の主面において、第1押え部13及び第2押え部23よりも内側の面積が減少するため、分離材5の利用効率が低下する。
第1押え部13の分離材5を押圧する面の幅W1と、第2押え部23の分離材5を押圧する面の幅W2とは、それぞれ前述のL2の0.75%以上6.00%以下であるのが好ましく、3.00%以上6.00%以下であるのがより好ましい。
第1押え部13の分離材5を押圧する面の幅W1と、第2押え部23の分離材5を押圧する面の幅W2とは、それぞれ、0.50mm以上3.50mm以下であるのが好ましく、2.00mm以上3.50mm以下であるのがより好ましい。
W1及びW2について、L2に対する比率が上記の範囲内であり、且つ、W1及びW2の幅の値が上記の範囲内であるのが特に好ましい。
上記の幅は広いほど、細胞含有液の周壁部30付近へのショートパスを抑制しやすいが、上記の幅が広すぎると分離材5の利用効率が低下する。この点、上記の範囲内の幅であると、過度に分離材5の利用効率を低くすることなく、細胞含有液のショートパスの抑制について十分な効果を得やすい。
第1押え部13の分離材5を押圧する面の幅は、第2押え部23の分離材5を押圧する面の幅よりも狭いのが好ましい。
ここで、容器2内について、細胞回収液通液時に第2通液口21から導入する細胞回収液の圧力により、周壁部30の内面と第1押え部13との間の溝に応力が集中して、容器2の溝近傍が変形してしまうおそれがある。
しかし、第1押え部13の分離材5を押圧する面の幅が、第2押え部23の分離材5を押圧する面の幅よりも狭いと、このような応力の集中を緩和させやすい。
容器2を構成する各部材は、任意の構造材料を使用して作製することができる。構造材料としては、具体的には非反応性ポリマー、生体親和性金属、合金、ガラス等が挙げられる。非反応性ポリマーとしては、アクリロニトリルブタジエンスチレンターポリマー(ABS)等のアクリルニトリルポリマー;ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマー、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化ポリマー;ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルクロリドアクリルコポリマー、ポリカーボネートアクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリスチレン、ポリメチルペンテン等が上げられる。容器2の材料として有用な金属材料(生体親和性金属、合金)としては、ステンレス鋼、チタン、白金、タンタル、金、及びそれらの合金、並びに金メッキ合金鉄、白金メッキ合金鉄、コバルトクロミウム合金、窒化チタン被覆ステンレス鋼等が挙げられる。特に好ましくは、耐滅菌製を有する素材である。具体的には、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリメチルペンテン等が挙げられる。
<分離材>
分離材5の形態は、特に限定されず、連通孔構造の多孔質体、繊維の集合体、織物等が挙げられる。好ましくは多孔質セルロース粒子を含む多孔質体である。また、好ましくは繊維で構成される織布又は不織布であり、より好ましくは不織布である。
分離材5の材質としては、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、及び低密度ポリエチレン等)、ポリエステル、塩化ビニル、ポリビニルアルコール、塩化ビニリデン、レーヨン、ビニロン、ポリスチレン、アクリル系樹脂(例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクロニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリレート等)、ナイロン(例えば、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド(アラミド))、ポリウレタン、ポリイミド、キュプラ、ケブラー、カーボン、フェノール樹脂、テトロン、パルプ、麻、セルロース、ケナフ、キチン、キトサン、ガラス、綿等を挙げることができる。中でも、ポリエステル、ポリプロピレン、アクリル、レーヨン、ナイロン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等の高分子を好適に用いることができる。分離材5は、これらの材質のうち、単一の材質からなってもよいし、複数の材質を組み合わせた複合材からなってもよい。
分離材5の平均繊維径としては、目的の細胞の種類に合わせて適宜選択すればよく特に限定はない。
分離材5の性能をより向上させるために、分離材5に親水化処理を行ってもよい。
親水化処理により、目的とする必要細胞以外の細胞における非特異的な捕捉の抑制、細胞含有液を偏り無く分離材5中に通過させる性能の向上、必要細胞の回収効率向上等の効果が付与され得る。
親水化処理方法としては、
水溶性多価アルコール、又は水酸基やカチオン基、アニオン基を有するポリマー、あるいはその共重合体(例えば、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、あるいはその共重合体等)を吸着させる方法;
水溶性高分子(ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等)を吸着させる方法;
疎水性膜に親水性高分子を固定する方法(例えば、表面に親水性モノマーを化学的に結合させる方法等);
電子線照射する方法;
含水状態で細胞分離フィルターに放射線を照射することで親水性高分子を架橋不溶化する方法;
乾燥状態で熱処理することにより親水性高分子を不溶化し固定する方法;
疎水性膜の表面をスルホン化する方法;
親水性高分子と疎水性ポリマードープとの混合物から膜をつくる方法;
アルカリ(NaOH、KOH等)の水溶液による処理により膜表面に親水基を付与する方法;
疎水性多孔質膜をアルコールに浸漬した後、水溶性ポリマー水溶液で処理乾燥後、熱処理や放射線等で不溶化処理する方法;又は、
界面活性作用を有する物質を吸着させる方法等が挙げられる。
親水性高分子としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、多糖類(セルロース、キチン、キトサン等)、水溶性多価アルコール等が挙げられる。
疎水性ポリマーとしては、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、アクリル、ウレタン、ビニロン、ナイロン、ポリエステル等が挙げられる。
さらに回収目的とする細胞の分離材5への付着性を向上させるために、細胞付着性のタンパク質や、目的とする幹細胞上の発現されている特異的抗原に対する抗体を、分離材5上に固定化してもよい。細胞付着性のタンパク質としては、フィブロネクチン、ラミニン、ビトロネクチン、コラーゲン等が挙げられる。抗体としては、CD73、CD90、CD105、CD166、CD140a、CD271等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、固定化方法としては、例えば、一般的なタンパク質の固定化方法である、臭化シアン活性化法、酸アジド誘導体法、縮合試薬法、ジアゾ法、アルキル化法、架橋法等の方法を任意に用いることができる。
分離材5の厚さは特に限定されない。分離材5の厚さは、前述の第1突起部12と第2壁部20との間隔、又は前述の第1突起部12と第2突起部22との間隔を考慮して適宜決定される。前述の第1突起部12と第2壁部20との間隔、又は第1突起部12と第2突起部22との間隔が4.00mm〜12.00mmである場合、分離材5の厚さは7.20mm〜21.60mmが好ましい。
以上説明した分離材5を、容器2に充填することにより、細胞分離フィルター装置1が構成される。
以下、図2〜図5により、細胞分離フィルター装置1の好ましい一態様について説明する。なお、以下、図2〜図5に示される細胞分離フィルター装置1について説明する種々の構成要件は、形状の制約等により適用不可能な場合を除き、前述の必須の構成要件を備える細胞分離用フィルター装置に、単独で、又は2つ以上の要件を組み合わせて適用可能である。
図2に示されるように、容器2は、分離材収容部3と、分離材収容部3に蓋をする蓋部(第2壁部)20と、分離材収容部3と蓋部20とを固定するためのキャップ40とを備える。
図3に示されるように、かかる容器2内に、不織布等からなる分離材5を収容することにより、フィルター装置1が構成される。
分離材収容部3は、分離材5を充填するための空間を形成する筒状の周壁部30と、周壁部30の一端側において空間を閉鎖する底部(第1壁部)10とが一体的に形成されてなる。以下、分離材収容部について単に「収容部」とも記す。
収容部3の底部10の主面に沿った断面の形状は円形であっても、多角形のような円形以外の形状であってもよい。
収容部3の形状の好ましい具体例としては、例えば、容量約1〜400mL程度、内径45〜60mm程度、厚さ1〜50mm程度の円筒状や、容器内側の一片の長さ1〜100mm程度の正方形又は長方形で、厚さが1〜50mm程度の四角柱状等が挙げられる。
収容部3の周壁部30の他端側には、空間を閉鎖するために蓋部20が設けられる。
図3Aに示されるように、収容部3の底部10の中央部には、容器2内部に液体を導入するための液体導入口(第1通液口)11が形成されている。また、蓋部20の中央部には、容器2から液体を排出するための液体導出口(第2通液口)21が形成されている。
液体導入口11及び液体導出口21は液体を送液するためのチューブを接続しやすくするために、ノズルで構成されている。前記ノズルの形状や大きさについては特に限定はない。
なお、便宜上、液体導入口11、液体導出口21と称するが、フィルター装置1の使用時には、液体導入口11から液体が排出されてもよく、液体導出口21から液体が導入されてもよい。
蓋部20は栓型になっており、収容部3の内腔に押し込むことで、収容部3の周壁部30の内面と接して固定される。
蓋部20と収容部3の周壁部30との接触面にはシール8が設けられるのが好ましい。このシール8により、蓋部20と収容部3との気密性を確実にして、容器2内部からの細胞含有液や細胞回収液の漏れと、外部からの微生物等の侵入を防ぐことができる。シール8としては、例えば、蓋部20の側面に設けた溝の周囲に樹脂製のパッキン(Oリング)を設けることが挙げられるが、シール8の配置や構成については特に限定はない。
蓋部20は、収容部3に直接固定できるようにしてもよい(図示せず)。蓋部と収容部とが接触する面に、例えば、ネジを設けることで蓋部と収容部とを固定することができる。この場合、図2〜図4Bに示すキャップ40は不要となる。
容器2内では、分離材5が積層されて充填される。例えば、繊維径の異なる分離材5を2層以上積層したフィルターとすることにより、細胞を捕捉する箇所が分散され、目詰まりの発生が抑制されるとともに、フィルターからの細胞の分離・回収も効率的に行うことができる。なお、繊維径が同じ分離材5が連続して積層された部分は、積層された分離材5の枚数によらず1層として扱う。
また、容器2には、液体導入口11側に独立して分離材5内に留まっている非付着細胞を洗浄するための洗浄液導入口を設けたり(図示せず)、液体導出口21側に独立して分離材5に捕捉された細胞を回収するための細胞回収液導入口(細胞含有液及び洗浄液の流れとは逆方向から細胞回収液を流すため)を備えていてもよい(図示せず)。
<容器内の断面の面積>
容器2内の空間における収容部3の底部(第1壁部)10の主面、及び、蓋部(第2壁部)20の主面に沿った断面の面積は、16.05cm(容器2の径方向の内径Φ45.20mm)以上であるのが好ましい。
より好ましくは、容器2内の空間の断面の面積は、24.07cm(容器2の内径Φ55.00mm)以上33.18cm(容器2の内径Φ65.00mm)以下である。
また、容器2内の空間の断面の面積を、第1突起部12と第2突起部22との最小距離(例えば、5mm〜12mm)で除した値が、20以上67以下であるのが好ましい。
このように、容器2内の面積、すなわちフィルター装置1内の面積を16.05cm(内径Φ45.20mm)以上と大きくすることにより、分離材5の目詰まりを低減することができ、分離材5に細胞を効率的に捕捉させやすい。これにより、血液処理量を増加することができるとともに、細胞回収率を向上することができる。
さらに、容器2内の面積、すなわちフィルター装置1内の面積を24.07cm以上33.18cm以下(内径Φ55.00mm以上Φ65.00mm以下)と大きくすることにより、上述した通り、血液処理量を増加することができるとともに、細胞回収率を向上することができる。
なお、容器2内の面積、すなわちフィルター装置1内の面積を50.27cm(容器2の内径Φ80.00mm)とさらに大きくすると細胞回収率が低下する場合がある。これは、分離材5における細胞の捕捉量は増加するが、回収時に所定の圧力で導入される回収液が分離材5の中央部に集中することにより、分離材5の外周部に捕捉された細胞を回収することができないことによるものと考えられる。しかし、この場合でも、分離材5の外周部にも回収液が供給されるように、回収液の供給方法を調整することにより、細胞の回収率を高めることができる。
<第1突起部>
図3及び図5に示されるように、収容部3の底部10の内面には、容器2内の空間に分離材5が充填されたときに、蓋部20と協働して分離材5を挟み込んで圧縮するように、内面から容器2内の空間に向けて突出する複数の第1突起部12が形成されている。
第1突起部12の各々は、収容部3の底部10の中央部に対して放射状に延在し、第1突起部12は、収容部3の周壁部30に沿って配列されている。
第1突起部12は、周壁部30に沿って環状に形成された第1押え部13により支持される。
第1突起部12は、等間隔で配置されてもよいし、不規則に配置されてもよい。分離材5にむらなく細胞を含む液体を浸透させやすい点からは、第1突起部12が、等間隔で配置されるのが好ましい。
次に、第1突起部12のうちの隣接する第1突起部12間の距離について説明する。隣接する第1突起部12において、収容部3の底部10の中央部側の先端間の距離が最小となり、周壁部30側の端部間の距離が最大となる。これより、以下では、隣接する第1突起部12の中央側の先端間の距離を「最小距離」と表し、隣接する第1突起部12の周壁部30側の端部間の距離を「最大距離」と表す。
図5に示されるように、隣接する第1突起部12間の最小距離Aは、液体導入口(第1通液口)11の内直径(例えば、約2.5mm)以上であることが好ましい。
より好ましくは、隣接する第1突起部12の最小距離Aは、3.79mm(後述する中心半径R8.75mm、第1突起部12の数10本)以上13.74mm(中心半径R8.75mm、第1突起部12の数3本)以下である。
また、液体導入口11の内直径(例えば、約2.5mm)に対する第1突起部12の最小距離Aの比は、1.5(中心半径R8.75mm、第1突起部12の数10本)以上5.5(中心半径R8.75mm、第1突起部12の数3本)以下であるのが好ましい。
このように、隣接する第1突起部12間の最小距離Aを液体導入口11の内直径(例えば、約2.5mm)以上とすることにより、分離材5を適切に圧縮することができ、分離材5に細胞を効率的に捕捉することができる。また、第1突起部12の間に血液及び回収液を効率的に通過させることができ、分離材5の中心部から外周部にわたって均一に細胞を捕捉することができる。これらにより、細胞回収率を向上することができる。
さらに、隣接する第1突起部12の最小距離Aを3.79mm以上13.74mm以下とすることにより、上述した通り、細胞回収率を向上することができる。
また、第1突起部12と収容部3の底部10の中心との中心距離、換言すれば第1突起部12で囲まれる領域の中心半径Rは、10.00mm以下であるのが好ましい。
この場合、第1突起部12で分離材5を圧縮する際に、分離材5における第1突起部12の先端で囲まれる領域の内層を適切に圧縮できる一方で、この領域の不織布を緩めることができる。そのため、この領域において細胞を効率的に捕捉することができ、その結果、細胞回収率を向上することができる。
一方、中心半径が10.00mmよりも大きくなると、分離材5における第1突起部12の先端で囲まれる領域の内層を適切に圧縮することができなくなる。そのため、この領域において、細胞が内層まで入り込んでしまい、回収液導入時に回収率が低下することが推測される(後述の実施例を参照)。
また、第1突起部12の数は、3本(容器2の内径Φ55.00mm、後述する第1突起部12の円周距離C40.00mm)以上10本(容器2の内径Φ65.00mm、第1突起部12の円周距離C20.00mm)以下であるのが好ましい。
このように、第1突起部12の数を多くすることにより、分離材5を適切に圧縮することができ、分離材5に細胞を効率的に捕捉することができる。そのため、細胞回収率を向上することができる。
また、第1突起部12のうちの隣接する第1突起部12の最大距離Bは、36.74mm(容器2の内径Φ65.00mm、第1突起部12の数5本)以下であるのが好ましい。
より好ましくは、隣接する第1突起部12の最大距離Bは、19.31mm(容器2の内径Φ55.00mm、第1突起部12の数10本)以上36.74mm(容器2の内径Φ65.00mm、第1突起部12の数5本)以下である。
換言すれば、隣接する第1突起部12の周壁部30の内面と外面の中間面に沿った円周距離Cは、20.00mm以上40.00mm以下である。
これにより、第1突起部12の数を多く設けることができ、分離材5を適切に圧縮することができ、分離材5に細胞を効率的に捕捉することができる。そのため、細胞回収率を向上することができる。
以上を踏まえ、より好ましくは、容器2内の空間の断面の面積が28.27cm(容器2の内径Φ60.00mm)において、第1突起部12の中心半径Rが8.75mmであり、第1突起部12の数が9本である。すなわち、隣接する第1突起部12の最小距離Aは4.47mmであり、最大距離Bは19.50mmであるのがより好ましい。
なお、第1突起部12の、第1突起部12が突出する方向に対して垂直な断面の形状は、特に限定されない。第1突起部12と、分離材5とを広い面で接触させやすいことから、典型的には、一辺が分離材5と当接する矩形であるのが好ましい。
第1突起部12の幅Wは、1.50mm以上3.50mm以下であるのが好ましい。
第1突起部12の幅が1.50mmよりも薄くなると、第1突起部12が分離材5に局所的に食い込んでしまい、全体を適切に圧縮しにくい。
一方、第1突起部12の幅が3.50mmよりも厚くなると、細胞回収率が低下しやすい。これは以下の理由による。フィルター装置1を薄くする際、第1突起部12による分離材5への圧縮応力が小さくなり、分離材5における第1突起部12が当接する領域が粗くなる。すると、この領域にも細胞が入り込んでしまい、細胞回収の為の回収液通液時にこれらを回収し難くなる。
ここで、容器2内の断面積を大きくすると、細胞回収の為の回収液通液時に液体導出口21から導入する回収液の圧力により、収容部3の周壁部30の内面と第1押え部13との間の溝に応力が集中して、収容部3の溝近傍が変形してしまう可能性がある。収容部3の溝近傍が変形すると、収容部3の第1押え部13と分離材5の間のシール性が低下して隙間が生じ、この隙間から回収液が偏流する。より具体的には、分離材5における第1押え部13で圧縮された領域の圧縮度合いが低下し、この領域において回収液が偏流しやすい。そのため、分離材5に捕捉された細胞を回収液によって十分に遊離しにくく、所望する細胞回収率を達成しにくいが低下する可能性がある。
この点に関し、本実施形態によれば、収容部3に適度に多くの第1突起部12を形成することができ、細胞回収時の回収液の圧力による収容部3の溝近傍の変形を低減することができる。そのため、収容部3の第1押え部13と分離材5の間におけるシール性の低下を防ぎつつ、カラム強度の維持が可能となる。
<第2突起部>
図3及び図6に示すように、蓋部20の内面には、容器2内の空間に分離材5が充填されたときに、収容部3の底部10の第1突起部12と協働して分離材5を挟み込んで圧縮するように、内面から容器2内の空間に向けて突出する複数の第2突起部22が形成されている。第2突起部22の形状は、上述した第1突起部12と同様であればよい。
すなわち、第2突起部22の各々は、蓋部20の中央部に対して放射状に延在し、第2突起部22は、蓋部20で収容部3に蓋をする際に、収容部3の周壁部30に沿って配列されるように設けられている。
第2突起部22は、周壁部30に沿って環状に形成された第2押え部23により支持される。
また、図6に示すように、隣接する第2突起部22間の最小距離Aは、液体導出口(第2通液口)21の内直径(例えば、約2.5mm)以上であるのが好ましい。
好ましくは、隣接する第2突起部22の最小距離Aは、3.79mm(後述する中心半径R8.75mm、第2突起部22の数10本)以上13.74mm(中心半径R8.75mm、第2突起部22の数3本)以下である。
また、液体導出口21の内直径(例えば、約2.5mm)に対する第2突起部22の最小距離Aの比は、1.5(中心半径R8.75mm、第2突起部22の数10本)以上5.5(中心半径R8.75mm、第2突起部22の数3本)以下であるのが好ましい。
また、第2突起部22と蓋部20の中心との中心距離、換言すれば第2突起部22で囲まれる領域の中心半径Rは、10.00mm以下であるのが好ましい。
また、第2突起部22の数は、3本(容器2の内径Φ55.00mm、後述する第2突起部22の円周距離C40.00mm)以上10本(容器2の内径Φ65.00mm、第2突起部22の円周距離C20.00mm)以下であるのが好ましい。
また、第2突起部22のうちの隣接する第2突起部22の最大距離Bは、36.74mm(容器2の内径Φ65.00mm、第2突起部22の数5本)以下であるのが好ましい。
より好ましくは、隣接する第2突起部22の最大距離Bは、19.31mm(容器2の内径Φ55.00mm、第2突起部22の数10本)以上36.74mm(容器2の内径Φ65.00mm、第2突起部22の数5本)以下である。
また、隣接する第2突起部22の周壁部30の内面と外面の中間面に沿った円周距離Cは、20.00mm以上40.00mm以下であるのが好ましい。
ここで、容器2内の断面積を大きくすると、細胞回収の為の回収液通液時に液体導出口21から導入する回収液の圧力により、蓋部20が変形してしまう可能性がある。蓋部20が変形すると、蓋部20の第2突起部22と分離材5の間におけるシール性の低下によって隙間が生じ、この隙間から回収液が偏流する(換言すれば、分離材5における第2突起部22で圧縮された領域の圧縮度合いが低下し、この領域において回収液が偏流する)。そのため、回収液によって分離材5に捕捉された細胞を十分に遊離することができず、細胞回収率が低下する可能性がある。
この点に関し、本実施形態によれば、蓋部20に適度に多くの第2突起部22を形成することができ、細胞回収時の回収液の圧力による蓋部20の変形を低減することができる。そのため、蓋部20の第2突起部22と分離材5の間におけるシール性の低下を防ぎつつ、カラム強度の維持が可能となる。
以上を踏まえ、より好ましくは、容器2内の空間の断面の面積が28.27cm(容器2の内径Φ60.00mm)において、第2突起部22の中心半径Rが8.75mmであり、第2突起部22の数が9本である。すなわち、隣接する第1突起部12の最小距離Aは4.47mmであり、最大距離Bは19.50mmである。
また、第2突起部22の幅Wは、1.50mm以上3.50mm以下であるのが好ましい。
なお、本実施形態では、蓋部20の内面に第2突起部22を形成したが、蓋部20は第2突起部22を備えなくともよい。この場合、蓋部20の内面側に、容器2内の空間に分離材5が充填されたときに、分離材5の片面から他方の面に向けて通液可能な状態で分離材5を支持する支持部材が設けられてもよい。支持部材としては、メッシュや目皿等が挙げられる。
以上説明したように、本実施形態の容器2に、後述する分離材5を収容してフィルター装置1を構成することにより、血液処理量を増加することができるとともに、細胞回収率を向上することができる。また、細胞回収時の回収液の圧力による蓋部20の変形を低減することができ、収容部3の第1押え部13と分離材5との間、及び、蓋部20の第2突起部22と分離材5との間におけるシール性の低下を防ぎつつ、カラム強度の維持が可能となる。
上述した本実施形態では、周壁部30と底部(第1壁部)10とが一体的に形成された収容部3、蓋部(第2壁部)20、及び、キャップ40とから構成される容器2を例示した。しかし、容器2の構成はこれに限定されない。例えば、収容部3における周壁部30と底部(第1壁部)10とが別体であってもよい。具体的には、収容部3は、底部側も開口された筒状の周壁部と、上述した蓋部(第2壁部)20と同様な底部用蓋部(第1壁部)とから構成されてもよい。この場合、底部用蓋部(第1壁部)に、上述した液体導入口11と、第1突起部12と、第1押え部13とが形成されればよい。
図2〜図4Bに示すように、フィルター装置1は、上記の通り、前述の容器2内の空間に、分離材5を充填して構成されている。
≪細胞濃縮液の製造方法≫
以上説明した細胞分離フィルター装置を用いる処理により、所望する細胞を含む細胞濃縮液を好適に製造することができる。
<細胞>
対象の細胞は、特に限定されない。例えば、人工多能性幹細胞(iPS細胞)、胚性幹細胞(ES細胞)、間葉系幹細胞、脂肪由来間葉系細胞、脂肪由来間質幹細胞、多能性成体幹細胞、骨髄ストローマ細胞、造血幹細胞等の多分化能を有する生体幹細胞、T細胞、B細胞、キラーT細胞(細胞障害性T細胞)、NK細胞、NKT細胞、制御性T細胞等のリンパ球系の細胞、マクロファージ、単球、樹状細胞、顆粒球、赤血球、血小板等、神経細胞、筋細胞、線維芽細胞、肝細胞、心筋細胞等の体細胞又は、遺伝子の導入や分化等の処理を行った細胞が挙げられる。
このような細胞の中では、回収率を高める効果が顕著に表れやすいことから白血球、造血幹細胞及び/又は単核球が好ましい。
なお、白血球としては、末梢血中の好中球、好酸球、好塩基球等の顆粒球及び単球、リンパ球等の単核球が挙げられる。
以下、これらの細胞のうちの少なくとも1種類を含む細胞濃縮液を製造する方法を説明する。
<細胞濃縮液の製造方法>
細胞を含む細胞濃縮液を製造する好適な方法は、
細胞を含む細胞含有液を、前述のフィルター装置1内に液体導入口11から導入して分離材5を通過させることで、細胞を分離材5に捕捉させることと、
フィルター装置1内に回収液を導入し、分離材5に捕捉された細胞を回収液中に遊離させて細胞濃縮液を生じさせることと、
細胞含有液をフィルター装置1内から回収することと、
を含む方法である。
細胞含有液としては、白血球及び/又は単核球を含む細胞を含む懸濁液であれば特に限定されず用いることができる。例えば、臍帯等の生体組織を酵素処理や破砕処理や抽出処理や分解処理や超音波処理等をした後の懸濁液、血液や骨髄液、臍帯血等の体液、血液や骨髄液を密度勾配遠心処理やろ過処理や酵素処理や分解処理や超音波処理等の前処理をして調製された細胞懸濁液等が細胞含有液として例示される。
また、細胞含有液は、上記した白血球等の細胞を生体外で培養液や刺激因子等を用いて培養や増殖等をした後の懸濁液であってもよい。
フィルター装置1の液体導入口11から細胞含有液を導入する際には、液体導入口11と液体導出口21との間に差圧を生じさればよい。差圧を生じさせる方法は、特に限定されず、細胞含有液を加圧することでフィルター装置1内へ細胞含有液を導入させる方法や、液体導出口21側を減圧して、フィルター装置1内へ細胞含有液を吸入する方法等が挙げられる。
このようにして、フィルター装置1内に細胞含有液を供給し、細胞含有液を分離材5と接触させて、細胞を分離材5に捕捉させる。
差圧の程度としては、容器2や、分離材5に破損が生じたり、細胞含有液に含まれる細胞に過度の破砕が生じたりしない程度であれば、特に限定されない。
分離材5は、細胞を捕捉できるものを使用すればよい。
次いで、細胞を捕捉した分離材5に回収液を供給することで、分離材5から細胞を回収液中に遊離させ、細胞を含む細胞濃縮液を生成させる。この白血球等を含む回収液を液体導入口から回収専用のバッグ等に導入することで白血球等を回収することができる。
回収液は、液体導出口21又は液体導入口11からフィルター装置1内に導入される。また、細胞を含む細胞濃縮液を、フィルター装置1内から回収する方法は特に限定されないが、典型的には、液体導入口11から単球を含む細胞含有液が回収される。
回収液の流れによって、分離材5に捕捉された単球を回収液中に遊離させやすいことから、回収液を、液体導出口21から分離材5を通過するようにフィルター装置1内に導入するのが好ましい。この場合、液体導出口21から回収液を導入しつつ、細胞を含む細胞濃縮液をそのまま液体導入口11から回収する、所謂逆洗操作を行うのが好ましい。
回収液は、細胞と等張である溶液であれば特に限定はないが、生理食塩液やリンゲル液等の注射溶剤として使用実績のあるものや、緩衝液、細胞培養用の培地等が挙げられる。特に、培養工程を経る際はそのまま培養が行える培地が好ましく、培養工程を経ずそのまま治療に用いる際は、生理食塩液等の点滴等に使用実績のある等張液等、安全性が保証されている回収液を使用することが好ましい。
以上説明した操作は、室温下で行ってもよいし、冷蔵温度下で行ってもよい。冷蔵温度下で行う場合、冷蔵された細胞含有液を処理することが挙げられる。細胞含有液の保管としては、冷蔵温度に設定した冷蔵庫による保管、ウォーターバスによる保管、及びドライアイスによる保管等が挙げられる。汎用性から冷蔵庫で保存することが好ましい。冷蔵温度としては、1℃以上6℃以下が好ましく、より好ましくは3℃以上5℃以下が好ましい。冷蔵温度が1℃未満では細胞は死滅し、6℃を超えて保存すると細菌が繁殖しコンタミネーションを起こす可能性がある。
また、分離材5の状態を整えて、細胞を捕捉しやすくする観点から、フィルター装置1内に細胞含有液を供給する前に、液体導入口11又は液体導出口21から生理食塩水又は緩衝液をフィルター装置1内に導入し、分離材5と生理食塩水又は緩衝液とを接触させてもよい。
回収液を用いて単球を含む細胞濃縮液を生じさせる前に、生理食塩水又は緩衝液を液体導入口11から導入して液体導出口21から導出させることにより、フィルター内の夾雑成分を除去でき、これにより回収される細胞内の不要成分を低減することができる。
以下、実施例において本発明に関して詳細に述べるが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1〜9)
図3に示されるように、表1に示す高さ(内寸)と直径(内径)の円筒状の収容部3に、収容部3の直径に合わせて丸型にカットしたポリエステル不織布(目付35g/m、分離材5)を45枚充填し、収容部3の開口部に蓋部20を差し込み、その上からキャップ40でネジ止めし、図2及び図4Aに示すような構造を有するフィルター装置1を作製した。
次に、フィルター装置1の液体導入口11と液体導出口21に、図7で示した回路を接続して細胞分離用デバイス100を作製した。
図7に示される回路において、液体導入口11にはチューブ111が接続された。このチューブ111には、細胞懸濁液を収容する手段120及びプライミング用生理食塩水を収容する手段125に接続されたチューブ112と、フィルター装置1を通過した回収液を収容する手段(回収バッグ)130及び回収バッグ等に回収された回収液を回収する手段135に接続したチューブ113とを、流路切り替え手段116を介して接続した。
チューブ112には流路切り替え手段117を介して、細胞懸濁液を収容する手段120とプライミング用生理食塩水を収容する手段125とを接続した。
チューブ113には流路切り替え手段118を介して、フィルター装置1を通過した回収液を収容する手段130と回収バッグ等に回収された回収液を回収する手段135とを接続した。
また、液体導出口21にはチューブ114を接続し、流路切り替え手段119を介して、フィルター装置1を通過した細胞懸濁液を収容する手段(廃液バッグ)145及び回収液を回収する手段140と接続した。
細胞分離用デバイス100を用いて細胞分離操作を実施した。なお、各流路切り替え手段の操作は、フィルター装置1に通液する液体の種類、送液する目的の手段に応じて、適宜行った。
まず、生理食塩水を収容する手段125の生理食塩水50mL〜150mLを用いてフィルター装置1のプライミング操作を行い、廃液バッグ145に細胞分離フィルター装置1を通過した生理食塩液を回収した。
次に、細胞懸濁液を収容する手段120から白血球濃厚液(CPDで抗凝固したウシ末梢血)130mLを、フィルター装置1に重力を利用して通液し、通過液は廃液バッグ145に回収した。
上記操作で使用した白血球濃厚液は、CPDで抗凝固したウシ血液を3000rpm、30分遠心分離して得たバッフィーコートより、処理する白血球数が1.0×10cells〜4.0×10cellsになるように調製した。
その後、流路切り替え手段117を用いて、生理食塩水を収容する手段125の生理食塩水100mLをフィルター装置1に重力を利用して通液し、通過液は廃液バッグ145に回収した。
最後に、生理食塩水50mLを10〜50mL/秒の流量で、回収液を回収する手段140としてシリンジを用いて手動でフィルター装置1の液体導出口21より導入し、液体導入口11に接続した回収バッグ130に回収した。
回収液(細胞濃縮液)、及び、処理前の細胞懸濁液(細胞含有液)の白血球濃度を、血球カウンター(K−4500、シスメックス社)により測定した。その後、処理前の細胞懸濁液と回収液の体積より白血球数を算出して、細胞回収率(白血球回収率)を求めた。
Figure 2020195330
表1によれば、周壁部30と環状領域50との最短距離である前述のL1が、L2の1.00%以上7.75%以下であることにより、良好な細胞回収率を実現できることが分かる。
押え部の幅であるW1とW2とが同一である、実施例1と実施例4との比較によれば、L1がL2に対して長くなるほど、細胞回収率が低下する傾向があることが分かる。
L1が同一である、実施例3と実施例4との比較によれば、押え部の幅であるW1及びW2が広いほうが、細胞回収率が良好である傾向が分かる。
1 細胞分離フィルター装置
2 フィルター容器
3 分離材収容部
5 分離材
8 シール
10 底部(第1壁部)
11 液体導入口(第1通液口)
12 第1突起部
13 第1押え部
20 蓋部(第2壁部)
21 液体導出口(第2通液口)
22 第2突起部
23 第2押え部
30 周壁部
100 細胞分離用デバイス
111 チューブ
112 チューブ
113 チューブ
114 チューブ
116 流路切り替え手段
117 流路切り替え手段
118 流路切り替え手段
119 流路切り替え手段
120 細胞懸濁液を収容する手段
125 プライミング用生理食塩水を収容する手段
130 回収液を収容する手段(回収バッグ)
135 回収液を回収する手段
140 回収液を回収する手段
145 細胞懸濁液を収容する手段(廃液バッグ)

Claims (14)

  1. フィルター容器と、前記フィルター容器内に充填された分離材とを備える細胞分離フィルター装置であって、
    前記フィルター容器が、筒状の周壁部と、前記周壁部の一端側の開口を閉鎖する第1壁部と、前記周壁部の他端側の開口を閉鎖する第2壁部と、を備え、
    前記分離材は、前記周壁部の内面との間に隙間が形成されないように、前記フィルター容器内に充填されており、
    前記第1壁部には、第1通液口が形成されており、
    前記第2壁部には、第2通液口が形成されており、
    前記第1壁部の内面に、第1突起部と、第1押え部とが形成されており、
    前記第2壁部の内面に、第2押え部が形成されており、
    前記第1突起部は、前記フィルター容器内に前記分離材が充填されたときに、前記第2壁部と協働して前記分離材を挟み込んで圧縮し、
    前記第1押え部と、前記第2押え部とは、前記フィルター容器内に充填された前記分離材の、前記周壁部の内面に沿って位置する環状領域を挟み込んで圧縮し、
    前記周壁部の内面と前記環状領域の外周との最短距離をL1とし、前記周壁部の内部空間の径方向の断面積から算出される、前記周壁部の内部空間の断面の円相当径をL2とする場合に、前記L1が前記L2の1.00%以上7.75%以下である、細胞分離フィルター装置。
  2. 前記L1が前記L2の1.00%以上3.50%以下である、請求項1に記載の細胞分離フィルター装置。
  3. 前記第1押え部の前記分離材を押圧する面の幅W1と、前記第2押え部の前記分離材を押圧する面の幅W2とが、それぞれL2の0.75%以上6.00%以下である、請求項1又は2に記載の細胞分離フィルター装置。
  4. 前記第1押え部の前記分離材を押圧する面の幅W1と、前記第2押え部の前記分離材を押圧する面の幅W2とが、それぞれL2の3.00%以上6.00%以下である、請求項1又は2に記載の細胞分離フィルター装置。
  5. 前記第1押え部の前記分離材を押圧する面の幅が、前記第2押え部の前記分離材を押圧する面の幅よりも狭い、請求項1〜4のいずれか1項に記載の細胞分離フィルター装置。
  6. 前記周壁部の内部空間についての、前記第1壁部の主面及び前記第2壁部の主面に沿った断面の面積が16.05cm以上であり、
    前記第1突起部が、複数の第1突起からなり、
    前記第1突起部と前記第1壁部の中心との距離は、10.00mm以下であり、
    前記複数の第1突起のうちの隣接する前記第1突起の最大距離が36.74mm以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の細胞分離フィルター装置。
  7. 前記第2壁部の内面に、前記第1突起部と協働して前記分離材を挟み込んで圧縮する第2突起部が形成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の細胞分離フィルター装置。
  8. 前記周壁部の内部空間についての、前記第1壁部の主面及び前記第2壁部の主面に沿った断面の面積が16.05cm以上であり、
    前記第2突起部が、複数の第2突起からなり、
    前記第2突起部と前記第2壁部の中心との距離は、10.00mm以下であり、
    前記複数の第2突起部のうちの隣接する第2突起部の最大距離が36.74mm以下である、請求項7に記載の細胞分離フィルター装置。
  9. 前記第1突起部が、複数の第1突起からなり、
    前記第2突起部が、複数の第2突起からなり、
    前記複数の第1突起の各々は、前記第1壁部の中央部に対して放射状に延在し、
    前記複数の第1突起は、前記第1押え部に沿って配列されており、
    前記複数の第2突起の各々は、前記第2壁部の中央部に対して放射状に延在し、
    前記複数の第2突起は、前記第2押え部に沿って配列されている、請求項7又は8に記載の細胞分離フィルター装置。
  10. 前記第1突起の数、及び、前記第2突起の数が、それぞれ独立に、3本以上10本以下である、請求項9に記載の細胞分離フィルター装置。
  11. 前記周壁部と前記第1壁部とが一体的に形成されている、請求項1〜10のいずれか1項に記載の細胞分離フィルター装置。
  12. 前記分離材が不織布又は多孔質セルロース粒子を含む多孔質体である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の細胞分離フィルター装置。
  13. 細胞を含む細胞含有液を、請求項1〜12のいずれか1項に記載の細胞分離フィルター装置内に、前記第1通液口及び前記第2通液口のうちの一方の通液口から導入して前記分離材を通過させることで、前記細胞を前記分離材に捕捉させることと、
    前記細胞分離フィルター装置内に回収液を導入し、前記分離材に捕捉された前記細胞を前記回収液中に遊離させて細胞濃縮液を生じさせることと、
    前記細胞濃縮液を前記細胞分離フィルター装置内から回収することと、を含む細胞濃縮液の製造方法。
  14. 前記回収液を、前記第1通液口及び前記第2通液口のうちの他方の通液口から導入し、前記細胞濃縮液を前記一方の通液口から回収する、請求項13に記載の細胞濃縮液の製造方法。
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