JP2020194924A - 半導体発光素子およびその製造方法 - Google Patents

半導体発光素子およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、大電流を印加した場合でも、発光出力の維持率の高い半導体発光素子およびその製造方法を提供することにある。【解決手段】半導体発光素子であって、前記第2導電型半導体層の主面にパッド部および配線部からなる上面電極を有し、該主面は、前記上面電極が形成された上面電極形成領域以外の領域において、前記配線部により複数の光取り出し領域に区画され、前記中間電極はそれぞれ複数の島状に形成された第1中間電極および第2中間電極を含み、前記主面に対して前記中間電極を垂直投影した投影面において、特定の配置条件を満たす半導体発光素子。【選択図】図1A

Description

本発明は、半導体発光素子およびその製造方法に関する。
AlGaAs系による赤色発光ダイオードに始まった半導体発光素子は、可視光、赤外などあらゆる波長に対応できるようになってきた。このような半導体発光素子のうち、発光波長を600〜900nmの緑〜近赤外領域とする場合、発光層にAlGaAs系またはAlGaInP系のIII−V族半導体を用いることが一般的である。また、発光波長を1000nm〜2200nmの近赤外領域とする場合、発光層にIn及びPを含むInGaAsP系III−V族半導体を用いることが一般的である。従来、InP層などのInGaAsP系III−V族半導体層をエピタキシャル成長させる場合、成長用基板と、In及びPを含むInGaAsP系III−V族半導体層とを格子整合させるため、InP基板が成長用基板として用いられてきた。特に、波長750nm以上の発光波長とする赤外発光の半導体発光素子は、センサー、ガス分析、監視カメラ、または生体の健康管理などの用途で、幅広く用いられている。また、発光波長を2000〜6000nmの遠赤外領域とする半導体発光層として、Sbを含むInGaAsSb系III−V族半導体を用いた半導体発光素子は、ガスセンサーなどの用途において幅広く用いられている。
赤外光に限らず、紫外光又は可視光を発する光源に利用される半導体発光素子において、低コスト化または実装の高密度化を図るために、高出力化が要求されている。
ところで、上記のようなIII−V族半導体材料からなる発光素子は、電極からの電流が水平方向に広がりにくいという問題が小さいため、n電極またはp電極の形または電極配線パターンは、III族窒化物半導体材料を用いた発光素子と比較すると非常に簡単な形状をしている。半導体発光素子の高出力化のための方法の一つとしては、特許文献1のような、光取り出し技術の改善による外部量子効率の向上が挙げられる。当該特許文献1の技術は、コンタクト部である中間電極部を、上側電極部に合わせて配置させるのではなく、第2導電型層に対して均等に分散させ、さらに中間電極部の第2導電型半導体層に対する面積率を3〜9%にするものである。
また、特許文献2には、半導体積層構造の結晶性を実質的に維持できる範囲の基板オフ角を有する成長基板上に成長した半導体積層構造を有するとこと、およびコンタクト部である中間電極部を第2導電型層に対して均等に分散させた半導体発光素子および半導体発光素子の製造方法が開示されている。また、特許文献2には、上面電極の真下にドット状の中間電極が配置されない例が開示されている。
特開2011−129724号公報 特開2009−206265号公報
上記特許文献1、2の技術のように、中間電極または上面電極の電極面積を小さくすると、光取り出しに貢献する面積が大きくなるため、発光出力は一般に大きくなる。しかし、当該電極面積を小さくすると、電流を流すための電気抵抗(順方向電圧)は大きくなるために、大電流を流した際の発熱の影響も無視できないほど大きくなる。そのため、低電流時において保たれる電流と出力との直線性の関係が、大電流を流した際において当該関係を維持する要因に対して、大きな影響を及ぼすという問題が生じる。例えば、パルス大電流印加条件下での使用を想定する場合、半導体発光素子は、大電流印加時に十分な低電圧であり、かつ電流−光出力特性の直線性が維持されることが要求される。
そこで、本発明の目的は、大電流を印加した場合においても、電流−光出力特性の直線性を維持したまま発光出力の低下を抑制する半導体発光素子およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、中間電極と上面電極との配置関係に着目してさらなる検討を行うことにより、上記課題を解決する方途について鋭意検討した。その結果、支持基板上に、中間電極を含む接合層を介して、第1導電型半導体層と、半導体発光層と、第2導電型半導体層と、上面電極と、をこの順に有する半導体発光素子において、当該上面電極に接する第2導電型半導体層の面方向における電流が比較的スムーズに流れる態様の一例として、例えば、p型半導体層より抵抗率が低いn型半導体層を第2導電型半導体層に用いる場合、上面電極が有する配線部の下部周辺よりも中間電極の上部周辺での発光(電流密度)が大きくなることを見出した。また、大電流が印加される場合、中間電極を均一に配置にすることが、第2導電型半導体層の面方向における比較的スムーズな電流の広がりにとって有効であることも見出した。そして、特定の短軸長を備えた配線部の直下に中間電極を置くことにより電流と出力との直線性が維持される(発光出力の維持率の高い)ことの知見も見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨構成は以下の通りである。
(1)本発明に係る半導体発光素子は、支持基板、中間電極を含む接合層、並びに、III−V族化合物半導体からなる第1導電型半導体層、半導体発光層および第2導電型半導体層をこの順に有する半導体発光素子であって、
パッド部および配線部からなる上面電極を前記第2導電型半導体層の主面に有し、
前記配線部は、5〜12μmの短軸長を備えた長尺体を有し、
前記上面電極が形成された上面電極形成領域以外の前記主面における領域が、前記配線部により複数の光取り出し領域に区画され、
前記中間電極は、それぞれ複数の島状に形成された第1中間電極および第2中間電極を有し、前記中間電極を前記主面に対して垂直投影した投影面において、
(a)前記中間電極は、前記光取り出し領域の区画内において最も近接する前記第1中間電極の投影体同士が等距離の間隔Xになるよう配置された前記第1中間電極を含み、
(b)前記中間電極は、前記第2中間電極の投影体と前記配線部とが重なるよう配置された前記第2中間電極を含み、
(c)前記第1中間電極のうち最も前記第2中間電極に近接する第1中間電極と、前記第2中間電極との近接距離Y1はX/2以上3X/2未満である、
ことを特徴とする。
これにより、大電流を印加した場合においても、電流−光出力特性の直線性を維持したまま発光出力の低下を抑制する半導体発光素子を提供することができる。
(2)本発明に係る半導体発光素子において、前記中間電極は、前記第1中間電極および前記第2中間電極のそれぞれの投影体が前記パッド部から外れるよう配置された前記第1中間電極および前記第2中間電極をさらに含むことが好ましい。
これにより、発光出力の低下をより抑制する半導体発光素子を提供することができる。
(3)本発明に係る半導体発光素子において、前記主面の中央部に前記パッド部が設けられることが好ましい。
これにより、発光出力の低下をより抑制する半導体発光素子を提供することができる。
(4)本発明に係る半導体発光素子において、少なくとも1つの前記光取り出し領域の前記第1中間電極と前記第2中間電極との関係において、前記第1中間電極のうち2番目に前記第2中間電極に近接する第1中間電極と前記第2中間電極との近接距離Y2と、前記近接距離Y1とが同一になるよう前記第1中間電極および前記第2中間電極を配置することが好ましい。
これにより、発光出力の低下をより抑制する半導体発光素子を提供することができる。
(5)本発明に係る半導体発光素子において、全ての前記光取り出し領域と前記配線部との境界での前記第1中間電極と前記第2中間電極との関係において、前記第1中間電極のうち2番目に前記第2中間電極に近接する第1中間電極と前記第2中間電極との近接距離Y2と、前記近接距離Y1とが同一になるよう前記第1中間電極および前記第2中間電極を配置することが好ましい。
これにより、発光出力の低下をより抑制する半導体発光素子を提供することができる。
(6)本発明に係る半導体発光素子において、前記III−V族化合物半導体は、InおよびPを少なくとも含むInGaAsPであり、前記半導体発光層の発光中心波長が1000〜2200nmであることが好ましい。
これにより、発光出力の低下をより抑制する半導体発光素子を提供することができる。
(7)本発明に係る半導体発光素子の製造方法は、支持基板、複数の島状の第1中間電極および第2中間電極を含む接合層、並びに、III−V族化合物半導体からなる第1導電型半導体層、半導体発光層および第2導電型半導体層をこの順に有する半導体発光素子の製造方法であって、
成長用基板上に、前記第2導電型半導体層、前記発光層および前記第1導電型半導体層を含む半導体積層体を形成する半導体層形成工程と、
前記第1中間電極および前記第2中間電極を含む接合層を介して、前記支持基板と前記半導体積層体とを接合する接合層形成工程と、
前記成長用基板を除去する成長用基板除去工程と、
前記成長用基板を除去した前記半導体積層体の主面上に、パッド部および配線部からなる上部電極を形成し、前記上面電極が形成された上面電極形成領域以外の前記主面における領域が、前記配線部により複数の光取り出し領域に区画される上面電極形成工程と、を有し、
前記主面に対して前記第1中間電極および前記第2中間電極を垂直投影した投影面において、
(a)前記光取り出し領域の区画内において最も近接する前記第1中間電極の投影体同士が等距離の間隔Xになるよう、前記第1中間電極が配置され、
(b)前記第2中間電極の投影体と前記配線部とが重なるよう、前記第2中間電極が配置され、
(c)前記第1中間電極のうち最も前記第2中間電極に近接する第1中間電極と、前記第2中間電極との近接距離Y1はX/2以上3X/2未満である、
ことを特徴とする。
これにより、大電流を印加した場合においても、電流−光出力特性の直線性を維持したまま発光出力の低下を抑制する半導体発光素子を製造することができる。
(8)本発明に係る半導体発光素子の製造方法において、前記第1中間電極および前記第2中間電極のそれぞれの投影体が前記パッド部から外れるよう、前記第1中間電極および前記第2中間電極が配置されることが好ましい。
これにより、発光出力の低下をより抑制する半導体発光素子を製造することができる。
(9)本発明に係る半導体発光素子の製造方法において、少なくとも1つの前記光取り出し領域内の前記第1中間電極と前記第2中間電極との関係において、前記第1中間電極のうち2番目に前記第2中間電極に近接する第1中間電極と前記第2中間電極との近接距離Y2と、前記近接距離Y1とが同一になるよう前記第1中間電極および前記第2中間電極を配置することが好ましい。
これにより、発光出力の低下をより抑制する半導体発光素子を製造することができる。
(10)本発明に係る半導体発光素子の製造方法において、全ての前記光取り出し領域と前記配線部との境界での前記第1中間電極と前記第2中間電極との関係において、前記第1中間電極のうち2番目に前記第2中間電極に近接する第1中間電極と前記第2中間電極との近接距離Y2と、前記近接距離Y1とが同一になるよう前記第1中間電極および前記第2中間電極を配置することが好ましい。
これにより、発光出力の低下をより抑制する半導体発光素子を製造することができる。
本発明によれば、大電流を印加した場合においても、電流−光出力特性の直線性を維持したまま発光出力の低下を抑制する半導体発光素子およびその製造方法を提供することができる。
本発明の好適な半導体発光素子の平面図である。 図1Aの半導体発光素子をI−I線で切断した断面模式図である。 図1Aの半導体発光素子をII−II線で切断した断面模式図である。 本発明に適用可能な上面電極の一例を示す平面図である。 本発明の半導体発光素子の製造方法の一例を示す断面模式図である。 図2に続く本発明の半導体発光素子の製造方法の一例を示す断面模式図である。 本発明の中間電極の製造方法の一例を示す断面模式図である。 図3に続く本発明の半導体発光素子の製造方法の一例を示す断面模式図である。 図5に続く本発明の半導体発光素子の製造方法の一例を示す断面模式図である。 実施例1における半導体層上に中間電極を作製した後の平面図である。 実施例1における上面電極を作成した後の平面図である。 実施例1における中間電極をn型クラッド層表面に投影した投影面である。 図7Bに、詳細な寸法記号を付した平面図である。 実施例1で作製した半導体発光素子の発光時の平面写真である。 比較例1で作製した半導体発光素子の平面図である。 比較例2で作製した半導体発光素子の平面図である。 実施例6で作製した半導体発光素子の平面図である。
本発明に従う実施形態の説明に先立ち、以下の点について予め説明する。
(定義)
まず、本明細書において単に「III−V族化合物半導体」と称する場合、その組成は一般式:(InaGabAlc)(PxAsySbz)により表される。ここで、各元素の組成比については以下の関係が成立する。III族元素について、c=1−a−b,0≦a≦1,0≦b≦1,0≦c≦1の関係が成立する。一方、V族元素について、z=1−x−y,0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦1の関係が成立する。そして後述のとおり、半導体発光層におけるIII−V族化合物半導体層は、Al,Ga,Inからなる群より選択されるIII族元素が一種以上、およびAs,Sb,Pからなる群より選択されるV族元素が一種以上選択されることにより、構成される。
また、本明細書において組成比を明示せずに単に「InGaAsP」と表記する場合は、III族元素(In,Gaの合計)と、V族元素(As,P)との化学組成比が1:1であり、かつ、III族元素であるInおよびGaの比率と、V族元素であるAsおよびPの比率とがそれぞれ不定の、任意の化合物を意味するものとする。なお、InGaAsPまたはInGaAsなどの各成分組成比は、フォトルミネッセンス測定およびX線回折測定などによって測定することができる。また、ここで言う「製造上不可避な混入」とは、原料ガスを用いる製造装置上の不可避な混入のほか、結晶成長時、またはその後の熱処理に伴う各層界面での原子の拡散現象などを意味する。
また、本明細書において、電気的にp型として機能する層をp型半導体層(「p型層」と略称する場合がある。)と称し、電気的にn型として機能する層をn型半導体層(「n型層」と略称する場合がある。)と称する。一方、Zn,S,Sn,C,Si等の特定の不純物を意図的には添加しておらず、電気的にp型またはn型として機能しない場合、「i型」または「アンドープ」と言う。アンドープのInGaAsP層には、製造過程における不可避的な不純物の混入はあってよく、具体的には、キャリア密度が小さい(例えば4×1016/cm3未満)場合、「アンドープ」であるとして、本明細書では取り扱うものとする。また、ZnまたはSn等の不純物濃度の値は、SIMS分析によるものとする。
また、形成される各層の膜厚全体は、光干渉式膜厚測定器を用いて測定することができる。さらに、各層の膜厚のそれぞれは、光干渉式膜厚測定器および透過型電子顕微鏡による成長層の断面観察から算出できる。また、超格子構造のように各層の膜厚が小さい場合にはTEM−EDSを用いて膜厚を測定することができる。なお、断面図において、所定の層が傾斜面を有する場合、その層の膜厚は、当該層の直下層の平坦面からの最大高さを用いるものとする。
(半導体発光素子)
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に例示説明する。なお、同一の構成要素には原則として同一の参照番号を付して、重複する説明を省略する。各図において、説明の便宜上、基板および各層の縦横の比率を実際の比率から誇張して示している。図1A〜図1Cに記載の構成のうち、上面電極93および中間電極(第1中間電極53aおよび第2中間電極53bの総称)の対応関係について予め説明する。上面電極93は、パッド部93d(オーミック金属層パッド部93b及びパッド電極層93cの総称)及び配線部93a(オーミック金属層93eの配線部93aとも称する)からなる。また、説明の便宜上、上面電極93のパッド部93d(単にパッド部と称する)である、オーミック金属層パッド部93bおよびパッド電極層93cについてはハッチング表示している。そして、図1Aは、本発明に係る半導体発光素子の一態様を膜厚方向において上面電極側からみた上面図である。また、当該図1Aは、説明の便宜上、第2導電型半導体層31の主面に対して、第1中間電極53aおよび第2中間電極53bを垂直投影した投影面を示しており、第1中間電極53aの投影体は白抜きの丸、第2中間電極53bの投影体は黒丸で表示している。図1Bは、図1AのI−I線で切断した際の半導体発光素子の断面図である。図1Cは、図1AのII−II線で切断した際の半導体発光素子の断面図である。そのため、図1Bは、中間電極として第1中間電極53aが2つ接合層50内に形成されている状態を一例として示している。一方図1Cでは、中間電極として第2中間電極53bが4つ、接合層50内に形成されている状態を一例として示している。
以下、本発明に係る半導体発光素子の実施形態について説明する。図1Bおよび図1Cに示すように、本発明に係る半導体発光素子100は、支持基板80と、当該支持基板80上の、中間電極(第1中間電極53aおよび第2中間電極53b)を含む接合層50と、当該接合層50上の半導体積層体30と、当該半導体積層体30上の、上面電極93とを少なくとも有する。半導体積層体30は、III−V族化合物半導体からなる、第1導電型半導体層37、半導体発光層35、および第2導電型半導体層31が順次設けられた構成を少なくとも有する。そして、第2導電型半導体層31の主面部31C上に形成された上面電極93は、配線部93aおよびパッド部93dを備えている。さらに、配線部93aは、5〜12μmの短軸長を備えた長尺体を有している。また、図1A〜図1Cに示すように、第2導電型半導体層31の主面部31Cは、上面電極93が形成された上面電極形成領域以外の領域において、配線部93aにより複数の光取り出し領域(図1Aの例では光取り出し領域S1,S2,S3,S4)に区画されている。さらに、中間電極は、それぞれ複数の島状に形成された第1中間電極53aおよび第2中間電極53bを含む。そして、接合層50は、第1中間電極53aおよびコンタクト層部51aを備える第1コンタクト部40aと、第2中間電極53bとコンタクト層部51aとを備える第2コンタクト部40bと、誘電体層55と、金属反射層60と、金属接合層70とを含む。またさらには、図1Aに示すように、第2導電型半導体層31の主面に対して第1中間電極53aおよび第2中間電極53bを垂直投影した投影面において、以下の3つの配置条件(a)〜(c)を満たすように配置された、第1中間電極53a、第2中間電極53b、配線部93aおよびパッド部93dを、半導体発光素子100は備える。
(a)中間電極は、光取り出し領域S1,S2,S3,S4の区画内において、最も近接する第1中間電極53aの投影体同士が等距離の間隔Xになるよう配置された、第1中間電極53aを含む。
(b)中間電極は、第2中間電極53bの投影体と配線部93aとが重なるよう配置された、第2中間電極53bを含む。
(c)第1中間電極53aのうち最も第2中間電極53bに近接する第1中間電極53aと、当該第2中間電極53bとの近接距離Y1はX/2以上3X/2未満である。
ここで、図1Aに示すように、少なくとも同一の光取り出し領域S1〜S4の各領域内において、第1中間電極53aのうち最も第2中間電極53bに近接する、第1中間電極53aと第2中間電極との近接距離を、近接距離Y1と表記する。さらに、第1中間電極53aのうち2番目に第2中間電極53bに近接する、第1中間電極53aと第2中間電極53bとの近接距離を、近接距離Y2と表記する。そして、配線部93aの短軸長をWと表記する。なお、本明細書における「複数の光取り出し領域に区画されている」とは、配線部93aを当該配線部93aの長手方向に沿って第2導電型半導体層31の主面の縁まで延伸した際に生じる領域に区切ることをいう。
本発明に係る半導体発光素子100において、半導体発光層35は、第1導電型半導体層37および第2導電型半導体層31に挟持されることにより、半導体発光層35への通電により半導体発光層35内で電子および正孔で結合して発光する。そして、第2導電型半導体層31の主面部31Cが、半導体発光素子の光取出し側である。
なお、第1導電型半導体層がp型であれば第2導電型半導体層はn型となり、逆に第1導電型半導体層がn型であれば第2導電型半導体層はp型となる。以下では、第1導電型半導体層がp型であり、第2導電型半導体がn型である場合の態様を説明する。
なお、図1Bおよび図1Cに示すように、半導体発光素子100において、支持基板80の裏面に裏面電極91を形成してもよい。さらには、必要によりp型キャップ層39を第1導電型半導体層37と接合層50の間に形成してもよい。
以下、本発明の半導体発光素子の各構成要素について図1A〜図1Cを参照しながら詳細に例示説明する。
<中間電極>
図1A〜図1Cに示す通り、本発明において、中間電極とは半導体発光素子100の内部、より具体的には接合層50内に配置された電極である。中間電極は支持基板80とIII−V族化合物半導体からなる半導体発光層35を含む半導体積層体30との間の接合層50内に配置され、半導体積層体30と支持基板80とを電気的に接続する。また、中間電極は、第1中間電極53aおよび第2中間電極53bから構成されており、本明細書における中間電極は、第1中間電極53aおよび第2中間電極53bの総称をいう。
第1中間電極53aおよび第2中間電極53bは、接合層50内にそれぞれ複数の島状に形成されている、いわゆる海島構造を有している。
本明細書における第1中間電極53aおよび第2中間電極53bを説明する。上面電極93が形成された第2導電型半導体層の主面に対して垂直投影した投影面において、配線部93aと重ならずに、光取り出し領域の区画内(光取り出し領域S1〜S4のそれぞれ)において最も近接する中間電極の投影体同士が等距離の間隔Xになるよう配置された中間電極を第1中間電極53aと称する。そして、この投影面において、中間電極の投影体と配線部93aとが重なるよう配置された中間電極を第2中間電極53bと称する。第2中間電極53bの中心が配線部93aの長手方向の中心線と一致して、配線部93aの直下に配置されることが好ましく、この場合は当然「中間電極の投影体と配線部とが重なる」に該当する。また、第2中間電極53bの中心が、配線部93aの長手方向の中心線から、配線部93aの短軸方向における短軸長の4分の1以内に位置しても、「中間電極の投影体と配線部とが重なる」に該当するものとする。ただし、上記投影面において中間電極の投影体と配線部93aとが近接して一部では重なるよう配置された場合であっても、第2中間電極53bの中心が配線部93aの長手方向の中心線から、配線部93aの短軸方向における短軸長の4分の1を超えて位置するものは、第1中間電極53aおよび第2中間電極53bのいずれにも相当しないものとして扱う。このような中間電極は説明の便宜状、第3中間電極と称する。後述の比較例1の平面図(中間電極の投影体を併記)を示す図9では、こうした第3の中間電極を太線白抜き丸で図示している。
第1中間電極53aおよび第2中間電極53bはそれぞれ、同一の材料、形状および大きさであってもよく、または異なる材料、形状もしくは大きさであってもよい。第1中間電極53aおよび第2中間電極53bは同一の材料、形状および大きさであることが好ましい。第1中間電極53aと第2中間電極53bとは、両者の面内における位置関係だけで相違することが好ましい。
第1中間電極53aおよび第2中間電極53bは、半導体積層体30と支持基板80とを電気的に接続する機能を有する限り、その形状、材料および大きさは特に制限されることはない。例えば、第1中間電極53aおよび第2中間電極53bのそれぞれの形状としては、(略)円柱形、(略)楕円柱形、(略)円錐形、(略)円錐台形、(略)楕円錐台形、(正)三角柱形、(正)四角柱形、(正)多角柱形、不定形などが挙げられ、(略)円柱形または(略)円錐台形が好ましい。
中間電極の断面形状は、図1B、図1Cおよび後述の図3のステップDに示すように断面図において台形状となることがあるが、これは模式的な例示に過ぎない。すなわち、中間電極の形状は、断面図において矩形状に形成されても構わないし、角部に丸みを有していても構わない。なお、本発明における「中間電極」の大きさは、既述のとおり、中間電極を俯瞰したときの最大サイズ(断面図において台形の場合は最大面積の底辺)を示すものとする。そのため、中間電極の最大断面長、すなわち、第1中間電極53aまたは第2中間電極53bを半導体積層体30の面方向に切断した断面における最大長は、配線部93aの大きさ、上面電極93の形状または位置に応じて適宜変更することができるが、例えば、0.2〜8μmであることが好ましい。具体的には、後述の実施例において示す図7Cにおける第1中間電極53aの最大径d1および第2中間電極の最大径d2がそれぞれ、中間電極の最大長に相当する。
さらには、第1中間電極53aおよび第2中間電極53bのそれぞれの面方向断面の形状は特に制限されることはないが、円形または楕円径が好ましい。
また、例えば、半導体発光素子1チップ当たりの第1中間電極53aの個数は、56〜104個であることが好ましい。
また、例えば、半導体発光素子1チップ当たりの第2中間電極53bの個数は、8〜12個であることが好ましい。
<上面電極>
図1A〜図1Cに示す通り、本発明において、上面電極93とは、III−V族化合物半導体からなる半導体発光層35を含む半導体積層体30の上に配置され、外部と電気的に接続可能な電極である。上述した中間電極と上面電極93との極性は異なっており、中間電極と上面電極93との間で電流が流れることにより、半導体発光層35において発光が行われる。上面電極93はパッド部93dおよび配線部93aから構成されている。より詳細には、上面電極93は、パッド部93dおよび当該パッド部93dから外方向に延伸され、かつ当該パッド部と電気的接続された配線部93aから構成されている。パッド部93dとは、円形状または多角形状の電極部であって外部から通電するためのバンプ接合またはワイヤーボンディングを行う部分をいう。一方、配線部93aとは、パッド部93dから(配線)電極の細線が延伸する部分のことをいう。このような上面電極93を形成するためには、オーミック金属層パッド部93bと、該オーミック金属層パッド部93bに連結した配線部93aとからなるオーミック金属層93eを形成し、次いでオーミック金属層93eのオーミック金属層パッド部93b上にパッド電極層93cを形成する。
配線部93aの形状としては、図1Aに示す字の中心をパッド部93dとしたX字状以外に、米字状、王字状(図1D(i))、H字状、田字状(図1D(ii))、Z字状やS字状など、様々の形状が挙げられる(例えば、図1D参照)。また、配線部93aの長尺体の短軸長(配線部93aの線幅とも称する)Wは、5〜12μmであり、5〜9μmであることが好ましい。5μm未満では、光を遮りにくいことによる発光出力(Po)の向上効果はあるものの順方向電圧(コンタクト抵抗)が大きくなり、電流−光出力特性の直線性(Po維持率)が低下するためである。一方、12μmを超えると、光を遮ることによる光取り出し効率の低下の影響が順方向電圧(コンタクト抵抗)を下げる効果を上回って大きくなる。そのため、短軸長Wが12μmを超えると、Po維持率は上昇するが、発光出力(Po)の低下が大きくなり、WPE(Wall-Plug Efficiency:ウォールプラグ効率)が低下するためである。また、長尺体は直線に限らず、湾曲を有していてもよく、また正弦波などの波形状を有していてもよい。
<中間電極、上面電極および光取り出し領域の態様>
本発明の半導体発光素子100において、第2導電型半導体層(例えば、n型半導体層)31の主面に対して第1中間電極53aおよび第2中間電極53bを垂直投影した投影面を想定した図の一例が、図1Aである。そして、第2導電型半導体層31の主面は、図1Aに示すように、上面電極93が形成されている上面電極形成領域(実線部)以外の前記主面における領域が、配線部93aにより複数の光取り出し領域S1,S2,S3,S4に区画されている。また、上述したように、中間電極として、第1中間電極53aの投影体および第2中間電極53bの投影体がそれぞれ複数の島状に形成されている。なお、本実施形態において、第2導電型半導体層31の主面上における第1中間電極の投影体および第2中間電極の投影体は、金属反射層60上に実際に形成されている第1中間電極53aおよび第2中間電極53bとそれぞれ対応している。そのため、投影面上における第1中間電極53aおよび第2中間電極53bの投影体の平面上のそれぞれの位置と、金属反射層60上における第1中間電極53aおよび第2中間電極53bのそれぞれの平面上の位置とは一致している。そして、第1中間電極53aは第1中間電極53aの投影面と一致し、第2中間電極53bは第2中間電極53bの投影面と一致するとみなして本明細書では説明する。図において、第1中間電極53aの投影体は、白抜き丸で示しており、第2中間電極53bの投影体は、黒丸で示している。
本発明の半導体発光素子100において、第2導電型半導体層31の主面に対して第1中間電極53aおよび第2中間電極53bを垂直投影した投影面を想定した場合、上述した配置条件(a)〜(c)を満たすように、第1中間電極53aおよび第2中間電極53b、ならびに上面電極93がそれぞれ接合層50内に配置される。このように上記配置条件(a)〜(c)を満たす位置に配置されていることにより、半導体発光素子100における電流と出力との直線性が維持される。
以下、図1Aを参照しながら、配線部93a、パッド部93d、光取り出し領域、第1中間電極53aおよび第2中間電極53bの形態および位置関係の一例をさらに具体的に説明する。
<<配線部およびパッド部と光取り出し領域との形態および位置関係>>
図1Aでは、第2導電型半導体層31の主面の中央部に円形状のパッド部93dが設けられており、パッド部93dから放射方向外方に向かって、4つの長尺体の配線部93aが延伸されている。そして、長尺体の配線部93aにより、上面電極形成領域以外の主面の領域(二点鎖線部内)が、S1〜S4の4つの光取り出し領域に区画されている。
図1Aでは、説明の便宜上、4つの長尺体を有する配線部93aを例示した。しかし、配線部93aがパッド部93dと電気的に接続し、かつ長尺体を含む細線がパッド部93dとの接続点から延伸していれば、配線部93aの形状および長尺体の数は特に制限されない。
また、図1Aにおいて、上面電極形成領域以外の領域(二点鎖線部内)である光取り出し領域S1〜S4をパッド部93dに対して対称形で描いているが、主面を複数の光取り出し領域に区画できれば、光取り出し領域の数、形状、面積は、特に限定されることはない。但し、製造効率、中間電極配置または電流拡散の観点から、光取り出し領域は、パッド部93dに対して対称性を示すことが好ましい。ここでいう「パッド部に対して対称性」とは、異なる光取り出し領域内に配置された第1中間電極同士が前記パッド部に対して対称であることをいう。そのため、パッド部を基準として、少なくとも一つの光取り出し領域内の第1中間電極に対して対称操作を行った場合、当該対称操作前後の第1中間電極の配置が一致することが好ましい。このような対称操作としては、並進操作、回転操作、反転操作、鏡映操作等が挙げられる。
次に、上記配置条件(a)〜(c)および好ましい配置条件(d)について、図1A〜1Cを用いて説明する。配置条件(a)〜(c)、好ましくは配置条件(a)〜(d)を満たすように、第1中間電極53aの投影体(白抜き丸)および第2中間電極53bの投影体(黒丸)に対応して、第1中間電極53aおよび第2中間電極53bがそれぞれ接合層50内に形成される。
<<配置条件(a)>>
配置条件(a)については、先に述べた通りである。ここで、当該配置条件(a)について換言すると、同一の光取り出し領域内に存在する、最も近接する第1中間電極53aの投影体(白抜き丸)同士は、等距離の間隔Xになるように第1中間電極53aが配置される。しかし、光取り出し領域を2以上またぐ場合、例えば、光取り出し領域S1内に存在する第1中間電極53aの投影体(白抜き丸)と、当該第1中間電極53aの投影体(白抜き丸)に近接する光取り出し領域S2内に存在する第1中間電極53aの投影体(白抜き丸)と、の距離は等距離である必要はない。
また、第2導電型半導体層31の主面において、第1中間電極53aの投影体(白抜き丸)同士が等距離の間隔Xで配置され、パッド部93dを中心として対称となるパターンをとるように、複数の第1中間電極53aが接合層50内に配置されることが好ましい。パッド部93dを中心として対称となるとは、パッド部93dから延伸される配線部93aにより区画された特定の光取り出し領域(例えば、S3)内における第1中間電極53aを一つのグループとして考えた際に、それぞれのグループにおける第1中間電極53a(の投影体)の配置が、パッド部93dを中心として対称(回転対称又は線対称)となることをいう。この際、第1中間電極53a(の投影体)は同じグループ内において等距離の間隔Xで配置されていればよく、異なる領域内の別のグループに所属する第1中間電極53a(の投影体)との間で等距離の間隔Xである必要はない。
<<配置条件(b)>>
配置条件(b)については、先に述べた通りである。ここで、当該配置条件(b)について換言すると、第2中間電極53bの投影体(黒丸)と配線部93aとが重なるよう、第2中間電極53bが接合層50内に配置される。図1Aでは、1本の長尺体の配線部93aにつき、2つの第2中間電極53bが重なって配置される。また、ここでいう「第2中間電極53bの投影体と配線部93aとが重なる」とは、上述した第1中間電極と第2中間電極との相違点と同様に、第2中間電極53bの投影体(黒丸)の中心が、配線部93aの長手方向の中心線から、配線部93aの短軸方向における短軸長(5〜12μm)の4分の1以内に位置することをいい、第2中間電極53bの投影体(黒丸)の中心が当該中心線と一致することがさらに好ましい。なお、図1Aでは、1本の長尺体の配線部93aにつき、2つの第2中間電極53bがある例を示しているが、配線部93aと重なる第2中間電極53bの投影体(黒丸)の数は特に制限されることはない。
<<配置条件(c)>>
配置条件(c)については、先に述べた通りである。ここで、当該配置条件(c)について換言すると、第2中間電極53bの投影体(黒丸)と、当該第2中間電極53bの投影体と最も近接する第1中間電極53aの投影体(白抜き丸)との近接距離Y1は、X/2以上3X/2未満になるよう、第1中間電極53aおよび第2中間電極53bが接合層50内に配置される。また、当該近接距離Y1は、X以上3X/2未満であることが好ましい。さらには、第2中間電極53bが複数存在する場合は、近接する第2中間電極53bの投影体(黒丸)同士の近接距離Zは、最も近接する第1中間電極53aの投影体(白抜き丸)同士の間隔Xと同一であることが好ましい。
第1中間電極53aおよび第2中間電極53bの配置を具体的に設計する際には、以下のように両中間電極の位置関係を検討してもよい。すなわち、第1中間電極53aの投影体(白抜き丸)を配線部93aにより区画された光取り出し領域内の1グループにおいて等距離の間隔Xで配置し、かつ配線部93aに近接する位置に第1中間電極53aの投影体(白抜き丸)が存在する場合において、当該第1中間電極53aの投影体(白抜き丸)に近接する当該配線部93aの直下に新たに第2中間電極53b(黒丸)を配置すると、当該新たに配置する第2中間電極53b(黒丸)と、前記第1中間電極53aとが近接して一部重なることがありうる。この場合、予め配線部93aに近接する位置に配置された第1中間電極53aの投影体(白抜き丸)に対応する第1中間電極53aを間引いてもよい。こうすることにより、第1中間電極53aが第2中間電極53bに集約されて、第1中間電極53aと当該第1中間電極53aと近接する第2中間電極53bとの近接距離Y1がX/2以下となる位置に第2中間電極53bを配置しない、という条件を容易に満たすことができる。このように、第1中間電極と第2中間電極の合計個数(すなわち中間電極の面積)が、少なくなるように配置してもよい。
<<配置条件(d)>>
本発明に係る半導体発光素子100の好適な形態として、上記配置条件(a)〜(c)に加えてさらに、下記の配置条件(d)を満たすよう、第1中間電極53a、第2中間電極53b、配線部93aおよびパッド部93dを配置してもよい。すなわち、本発明に係る半導体発光素子100は、第2導電型半導体層31の主面に対して第1中間電極53aおよび第2中間電極53bを垂直投影した投影面において、4つの配置条件(a)〜(d)を満たすように配置された、第1中間電極53a、第2中間電極53b、配線部93aおよびパッド部93dを備えることが好ましい。
−配置条件(d)−
中間電極は、第1中間電極53aおよび第2中間電極53bのそれぞれの投影体(白抜き丸、黒丸)がパッド部93dから外れるよう配置された第1中間電極53aおよび第2中間電極53bをさらに含むことが好ましい(配置条件(d))。換言すると、図1Aに示すように、第1中間電極53aおよび第2中間電極53bのそれぞれの投影体(白抜き丸、黒丸)が、パッド部93dと重ならないよう、第1中間電極53aおよび第2中間電極53bが接合層50内に配置されることが好ましい。パッド部93dは面積が大きいために、配線部93aとは異なり、パッド部93dの下での発光が遮光されて光取り出しされない影響の度合いが大きいためである。
また、第1中間電極53aおよび第2中間電極53bのそれぞれの投影体(白抜き丸、黒丸)が、パッド部93dと重ならない(又はパッド部93dから外れる)とは、パッド部93d内、例えば図1Aにおけるオーミック金属層パッド部93b内に、第1中間電極53aおよび第2中間電極53bのそれぞれの投影体(白抜き丸、黒丸)の中心が存在しないことをいう。
<<第1中間電極と第2中間電極との位置関係>>
本発明の好ましい形態において、少なくとも同一の光取り出し領域(例えばS1〜S4のいずれか1つ)内で、複数の第1中間電極53aのうち最も第2中間電極53bに近接する第1中間電極53aと、第2中間電極53bとの近接距離Y1が最も大きくなる位置に第1中間電極53aおよび第2中間電極53bを配置することが好ましい。また、本発明のより好ましい形態において、全ての光取り出し領域(S1〜S4)内で、前記近接距離Y1が最も大きくなる位置に第1中間電極53aおよび第2中間電極53bを配置することが好ましい。
すなわち、上記好ましい形態は、複数の第1中間電極53aが少なくとも同一の光取り出し領域(例えばS1〜S4のいずれか1つ)内に配置された状態に対して、近接距離Y1が最も大きくなる位置に第2中間電極53bを配置する形態(例えば、正多角形の角に第1中間電極が配置された場合において、当該正多角形の幾何中心に、第2中間電極を配置する形態)を規定する内容であって、かつ上記配置条件(a)〜(c)を全て満たすことを意図するものである。
そして、上記近接距離Y1が最も大きくなる位置に第1中間電極53aおよび第2中間電極53bを配置する具体的態様の一つとしては、少なくとも1つの光取り出し領域(例えばS1〜S4のいずれか1つ)の第1中間電極53aと第2中間電極53bとの関係において、当該第1中間電極53aのうち2番目に第2中間電極53bに近接する第1中間電極53aと当該第2中間電極53bとの近接距離Y2と、前記近接距離Y1とが同一になるよう第1中間電極53aおよび第2中間電極53bを配置することが挙げられる。
上述のように、近接距離Y1が最も大きくなる位置に第1中間電極53aと第2中間電極53bとを配置することにより、より優れた発光出力を示し、かつ大電流を印加した場合においても、発光出力の低下を抑制する効果がより向上する。
以下、近接距離Y1が最も大きくなる位置に第1中間電極53aおよび第2中間電極53bを配置する好適な形態について、後述の実施例で作製した半導体発光素子100の例である図7Cを参照して説明する。図7Cでは、先に参照した図1Aと同様に、配線部93aおよびパッド部93dが設けられ、第1中間電極53aおよび第2中間電極53bの投影体(白抜き丸、黒丸)が表示されている。そして、光取り出し領域S1内には、配線部93a上に配置された第2中間電極53bと、等間隔に配置された第1中間電極53aとが、上記配置条件(a)〜(d)に従って配置されている。本発明における第1中間電極53aと第2中間電極53bとの好ましい形態として、第1中間電極53aと第2中間電極53bとの位置関係についてまず説明する。
図7Cにおいて、第1中間電極53aのうち最も第2中間電極53bxに近接する第1中間電極は、第1中間電極53aiである。そして、第1中間電極53aのうち2番目に第2中間電極53bxに近接する第1中間電極は、第1中間電極53ajである。また、前記第2中間電極53bx以外の任意の第2中間電極53byに最も近接する第1中間電極は、第1中間電極53amであり、その次に第2中間電極53byと近接する第1中間電極は、第1中間電極53anである。そのため、第1中間電極53aのうち最も第2中間電極53bxに近接する第1中間電極53aiと、第2中間電極53bxとの近接距離が、Y1となる(説明上ここでは、Y1ixと表わす)。また、2番目に第2中間電極53bxに近接する、第1中間電極53ajと第2中間電極53bxとの近接距離が、Y2となる(説明上ここでは、Y2jxと表わす)。この場合、Y1ix≦Y2jxの関係が成立している。同様に、第2中間電極53byと、第1中間電極53amとの近接距離Y1をY1mxと表わし、第2中間電極53byと、第1中間電極53anとの近接距離Y2をY2nxと表わした場合、Y1mx≦Y2nxの関係が成立している。
そして、本発明における好適な形態において、中間電極は、複数存在する第1中間電極53aのうち最も第2中間電極53bxに近接する第1中間電極53aiと前記第2中間電極53bxとの近接距離Y1が、最も大きくなる位置に配置された、前記第1中間電極53aiおよび前記第2中間電極53bxを含む。
ここでいう、「第1中間電極との間の近接距離Y1の値が、最も大きくなる位置に、第1中間電極および第2中間電極を配置する」とは、以下の条件(I)および条件(II)を満たすよう第1中間電極53aiおよび第2中間電極53bxを配置することをいう。
条件(I):同一の光取り出し領域内S1〜S4に存在するn個の第1中間電極(53a1、53a2、53a3・・・53ai、53aj・・・53am、53an・・・)のうちの、第1中間電極53aiと第1中間電極53ajとを結ぶ線分の中心を通り、かつ当該線分に対して垂直な直線と、配線部93aの長手方向に沿った直線との交点に第2中間電極53bxが配置されている。
条件(II):第1中間電極53ai及び第1中間電極53ajの組み合わせ以外の2つの第1中間電極を、第1中間電極53amと第1中間電極53anとし、当該第1中間電極53amと当該第1中間電極53anとを結ぶ線分の中心を通り、かつ当該線分に対して垂直な直線と、配線部93aの長手方向に沿った直線との交点に第2中間電極53byが配置されている場合であって、
以下の3つの式:
(上記式中、Y1ixは、第1中間電極53aiと前記交点に配置された第2中間電極53bxとの近接距離を表わし、Y2jxは、第1中間電極53ajと前記交点に配置された第2中間電極53bxとの近接距離を表わす。
また、Y1myは、第1中間電極53amと前記交点に配置された第2中間電極53byとの近接距離を表わし、Y2nyは、第1中間電極53anと前記交点に配置された第2中間電極53byとの近接距離を表わす。)を満たすように、第2中間電極53bx、第1中間電極53ai及び第1中間電極53ajを配置する。
上記条件(I)は、近接距離Y1が最大になるよう第2中間電極53bxを配置する場合の必要条件である。すなわち図7Cに示すように、Y1ixとY2jyとが同一になる条件が、近接距離Y1が最大になる必要条件である。また、上記条件(II)は、第2中間電極53bxと、第1中間電極53aiと、第1中間電極53ajと組み合わせ以外全ての第1中間電極と第2中間電極との関係を、第2中間電極53byと、第1中間電極53amと、第1中間電極53anとで示している。そのため、第2中間電極53bxと、第1中間電極53aiと、第1中間電極53ajと組み合わせによる近接距離Y1ixが、他の組み合わせの近接距離Y1my以下になることを規定する。
また、上記条件(I)および上記条件(II)は、上面における同一の光取り出し領域S1〜S4の少なくとも1つの領域おいて適用する条件であるが、上面における全ての光取り出し領域において適用してもよい。
以上のことから、上記条件(I)および条件(II)を満たすよう、第2中間電極と第1中間電極を配置する好適な一態様としては、少なくとも1つの光取り出し領域S1〜S4の第1中間電極53aと第2中間電極53bとの関係において、第1中間電極53aのうち2番目に第2中間電極53bに近接する第1中間電極53aと当該第2中間電極53bとの近接距離Y2(図7CではY2jx)と、前記近接距離Y1(図7CではY1ix)とが同一になるよう第1中間電極および第2中間電極を配置することが挙げられる。
また、第2中間電極と第1中間電極を配置する他の好適な一態様としては、全ての光取り出し領域S1〜S4と配線部93aとの境界での第1中間電極53aと第2中間電極53bとの関係において、第1中間電極53aのうち2番目に第2中間電極53bに近接する第1中間電極53aと当該第2中間電極53bとの近接距離Y2(図7CではY2jx)と、前記近接距離Y1(図7CではY1ix)とが同一になるよう第1中間電極および第2中間電極を配置することが挙げられる。
また、少なくとも1つの光取り出し領域内S1〜S4において、第1中間電極53aのうち2番目に第2中間電極53bxに近接する第1中間電極53ajと前記第2中間電極53bxとの近接距離Y2(図7CではY2jx)と、前記近接距離Y1(図7CではY1ix)とが同一になるよう第1中間電極および第2中間電極を配置した形態は、1つの第2中間電極53bに対して、近接距離Y1を有する、前記第2中間電極53bと最も近接する第1中間電極53aが複数存在する形態になる。したがって換言すると、本発明における好適な形態では、1つの第2中間電極53bに対して同一の近接距離Y1を有する、第2中間電極53bと最も近接する第1中間電極53aが、2つ以上同一の光取り出し領域S1〜S4内に存在する。
なお、最も近接する第1中間電極53aの投影体同士の間隔Xは適宜変更することができるが、20〜40μmであることが好ましく、25〜35μmであることがより好ましい。
<接合層>
接合層50は、上述した第1中間電極53aおよび第2中間電極53bを含み、かつ必要により金属接合層70と、金属反射層60と、誘電体層55とを含む。具体例を図1B、図1Cに示す。これらの図では、同様の構成として接合層50を示している。より具体的には、接合層50は、電気的に接続可能なコンタクト部(第1コンタクト部40aおよび第2コンタクト部40bの総称)の両端部が表面から露出するよう複数内部に設けられた誘電体層55に対して、当該コンタクト部40a,40bにおける中間電極(第1中間電極53a、第2中間電極53b)と接触するように、金属反射層60および金属接合層70が積層された構成であることが好ましい。以下、接合層50の好ましい構成要素である、誘電体層55、金属反射層60および金属接合層70について説明する。
<<誘電体層>>
誘電体層55は、図1B、図1Cに示す通り、複数のコンタクト部40a,40bにより一方の面から他方の面へと内部が貫通された、誘電体材料から構成される層である。そのため、複数のコンタクト部40a,40b、40の両端部は、誘電体層55の両表面から露出されている。そして、複数のコンタクト部40a,40bおよび40はそれぞれ、半導体積層体30(例えばp型層)と接触したコンタクト層部51aと、当該コンタクト層部51aと接触する、第1中間電極53a、第2中間電極53bおよび中間電極と、から構成されている。例えば、図1Bに示す通り、第1中間電極53aは、コンタクト層部51aと金属反射層60とにより挟持されている。同様に、図1Cに示す通り、第2中間電極53bは、コンタクト層部51aと金属反射層60とにより挟持されている。中間電極(第1中間電極53aおよび第2中間電極53b)は、コンタクト層部51aを介して半導体積層体30(例えばp型層)と接触している。したがって、中間電極(第1中間電極53aおよび第2中間電極53b)は、第1導電型半導体層37と金属反射層60とを電気的に接続することができる。
<<金属反射層>>
金属反射層60は、光を反射する反射面を形成し、中間電極(第1中間電極53aおよび第2中間電極53b)を介して半導体積層体30と電気的に接続でき、かつ後述の金属接合層70と接合可能な層である。
<<金属接合層>>
金属接合層70は、金属反射層60と接合する層であり、金属接合層70と金属反射層60とが接合により一体化されてもよい。金属反射層60と金属接合層70との接合を容易にするため、金属接合層70側の最表層の金属と、金属反射層60の、金属接合層70側の最表層の金属が同一であることが好ましい。
<支持基板>
支持基板80は、後述する接合法(特開2018−006495号公報を参照する)を用いるため、その上に形成する半導体積層体30の格子定数との関係での特段の制限はない。支持基板80を構成する好適な材料としては、例えばSi材料などの半導体材料、Mo、Wまたはコバール等の金属材料、焼成AlNなどの放熱性絶縁基板を用いた公知のサブマウント基板に使用される材料が挙げられる。また、支持基板80は、導電性を示すことが好ましい。
<半導体積層体層の好ましい実施形態>
第1導電型半導体層37、および第2導電型半導体層31は、InおよびPを少なくとも含むInGaAsPであることが好ましく、最も好ましくはInPである。半導体発光層35は発光中心波長が1000〜2200nmの光を放出する半導体発光層であることが好ましく、InおよびPを少なくとも含むInGaAsPからなる層であることがさらに好ましい。さらに、半導体発光素子100において、第2導電型半導体層31の主面を光取り出し面にする場合は、凹凸パターンがランダムな粗面であることが好ましい。
半導体発光素子100において、半導体発光層35から放射される光は、第2導電型半導体層31に向かう光L1と、第1導電型半導体層37に向かう光L2とに大別される。本実施形態では、L1とL2が外部(主に大気または樹脂。屈折率差を緩衝する保護膜を間に介していてもよい)に放出される第2導電型半導体層31の表面における上面電極93を除く領域を「光取り出し面」と呼ぶ。なお、第1導電型半導体層37の導電型をn型とする場合、第2導電型半導体層31はp型とする。逆に、第1導電型半導体層37の導電型をp型とする場合、第2導電型半導体層31はn型とする
また、エッチングストップ層20を、第2導電型半導体層31と、パッド部93dおよび配線部93aを含む上面電極93との間に残すことも好ましい形態である。
また、上面電極93(パッド部93dおよび配線部93a)の上を除く光取り出し面上に、半導体発光素子100がさらに保護膜を有することも好ましい。保護膜はSiO2、SiN、ITOおよびAlNなどを用いることができ、特に、SiO2からなることが好ましい。保護膜は、第2導電型半導体層31と、空気間の屈折率差を抑制して、光取出しを高める効果を有する。なお、第1導電型半導体層37、半導体発光層35、および第2導電型半導体層31の側面を含む半導体発光素子100の側面を保護する保護膜を設けてもよい。
以下、本発明の好適な実施形態における接合型の半導体発光素子100を製造するための各工程を、図2〜図6を参照して順次説明する。なお、本実施形態では、説明便宜上、半導体発光素子100の上面図である図1AのII−II線の断面からみた場合の半導体発光素子100の製造方法を説明する。そのため、図2〜図6では中間電極のうち、第2中間電極53bを図示している。第1中間電極53aについても同様の考えが当てはまるため、説明を簡潔にする目的で重複する説明は原則として割愛する。また、説明の便宜上、InGaAsP系材料を半導体発光層35に用いた製造方法を一例として説明する。しかし、本発明の半導体発光層35はInGaAsP系材料に限定されることはなく、例えばAlGaAs系材料、AlGaAsInP系材料、InP系、AlGaN系材料等からなる単層、あるいは多重量子井戸のような積層構造等、公知の発光層を備えた半導体積層体にも適用することができる。
<半導体発光素子の製造方法>
本発明に係る半導体発光素子の製造方法は、成長用基板10上に、第2導電型半導体層31、半導体発光層35および第1導電型半導体層37を含む半導体積層体30を形成する半導体層形成工程と、第1中間電極53aおよび第2中間電極53bを含む接合層50を介して、支持基板80と半導体積層体30とを接合する接合層形成工程と、成長用基板10を除去する成長用基板除去工程と、成長用基板10を除去した半導体積層体30の主面上に、パッド部93dおよび配線部93aからなる上面電極93を形成し、上面電極93が形成された上面電極形成領域以外の前記主面における領域が、配線部93aにより複数の光取り出し領域(S1〜S4)に区画される上面電極形成工程と、を有し、前記主面に対して中間電極(第1中間電極および第2中間電極)を垂直投影した投影面において、以下の配置条件(a)〜(c)を満たすように、中間電極(第1中間電極53aおよび第2中間電極53b)および上面電極93が配置される。
(a)光取り出し領域(S1〜S4)の区画内において最も近接する第1中間電極53aの投影体(黒丸)同士が等距離の間隔Xになるよう、第1中間電極53aが配置される。
(b)第2中間電極53bの投影体と配線部93aとが重なるよう、第2中間電極53bが配置される。
(c)第1中間電極53aのうち最も第2中間電極53bに近接する第1中間電極53aと、第2中間電極53bとの近接距離Y1はX/2以上3X/2未満である。
換言すると、本発明に係る製造方法は、以下に詳細を後述する、半導体層形成工程、接合層形成工程、成長用基板除去工程および上面電極形成工程を有し、上記配置条件(a)〜(c)を満たすように、中間電極(第1中間電極53aおよび第2中間電極53b)および上面電極93が配置される。また、半導体発光素子100の製造方法は、必要により、以下に詳細を後述する粗面化処理工程をさらに含むことが好ましい。さらに、前記接合層形成工程は、以下に詳説するコンタクト部形成工程、誘電体層形成工程、金属反射層形成工程接合工程および支持基板形成工程を含むことが好ましい。
半導体発光素子100の製造方法は、上記配置条件(a)〜(c)に加えて、以下の配置条件(d)をさらに満たすように、中間電極(第1中間電極53aおよび第2中間電極53b)および上面電極93が配置されることが好ましい。
配置条件(d)は、上記した通り、第1中間電極53aおよび第2中間電極53bのそれぞれの投影体(白抜き丸、黒丸)がパッド部93dから外れるよう、配置された第1中間電極53aおよび第2中間電極53bを中間電極が含むことである。
なお、以下の製造方法において、第1導電型半導体層37の導電型をp型とし、第2導電型半導体層31をn型とする場合を例に説明する。
まず、本発明に係る半導体発光素子の製造方法の概略を、図2〜図6を用いて説明する。上記半導体層工程では、図2のステップA〜ステップCにおいて示すように、成長用基板10上に、III−V族化合物半導体のエッチングストップ層20を形成し、次いで、n型クラッド層として第2導電型半導体層31(以下、説明便宜上、n型クラッド層31と称する)、半導体発光層35、およびp型クラッド層としてとして第1導電型半導体層37(以下、説明便宜上、p型クラッド層37と称する)を順次形成した半導体積層体30を形成する。必要によりp型キャップ層39をp型クラッド層37上に形成してもよい。
次いで、上記接合層形成工程において、図3のステップD〜ステップFに示すように、半導体積層体30上に、中間電極(オーミック金属部又はオーミック電極部とも称する)を含むp型のコンタクト部(例えば第2コンタクト部40b)を形成するコンタクト部形成工程を行う。この際、p型のコンタクト部(例えば第2コンタクト部40b)の形成工程では、まず、半導体積層体30上にIII−V族化合物半導体からなるコンタクト層51を形成する。そして、コンタクト層51上の一部に、第2中間電極53b(中間電極に含まれる)としてのオーミック金属部を形成すると共に、コンタクト層51の表面に露出領域E1を残す。さらに、図3のステップDおよびステップEにおいて示すように、露出領域E1におけるコンタクト層51を、半導体積層体30の表面が露出するまで除去して、第2中間電極53bおよびコンタクト層部51aからなる第2コンタクト部40bを形成すると共に、半導体積層体30の露出面E2を形成する。
上記接合層形成工程における誘電体層形成工程では、図3のステップFにおいて示すように、半導体積層体30の露出面E2上の少なくとも一部に誘電体層55を形成する。そして、上記接合層形成工程における金属反射層形成工程では、図5のステップGに示すように、誘電体層55および第2コンタクト部40b上に、半導体発光層35から放射される光を反射する金属反射層60を形成する。次に、上記接合層形成工程における支持基板形成工程では、図5のステップHに示すように、支持基板80の一方の面に金属接合層70を設けた後、上記接合層形成工程における接合工程により、当該支持基板80を、金属接合層70を介して金属反射層60に接合して接合層50を形成する。そして、上記基板除去工程では、図6のステップIに示すように、成長用基板10を除去する。
その後、図6のステップJに示すように、上面電極93を形成する上面電極形成工程の後、半導体発光素子100を個片化するための切断予定ラインにメサ構造を形成する。さらに、裏面電極91を形成した後、必要により、各電極91,93を保護して光取り出し面に複数の凹凸を形成する粗面化処理工程を行う。こうして、本発明の好適実施形態に従う半導体発光素子100を製造することができる。なお、上面電極93と裏面電極91の形成は粗面化処理工程の後に行ってもよい。こうして、本発明の好適実施形態による半導体発光素子100を製造することができる。以下、上記工程毎に詳細を順次説明する。
<半導体層形成工程>
図2のステップAに示すように、半導体層形成工程では、まず成長用基板10を用意する。本実施形態ではp型クラッド層37およびn型クラッド層31を形成するため、成長用基板10として各半導体層と格子整合可能な基板(InGaAsP系であればInP基板)を用いることが好ましい。なお、InP基板としては、一般的に入手可能なn型InP基板、高抵抗(半絶縁性とも呼ばれる)のInP基板(例えばFeドープ、比抵抗1×106Ω・cm以上)、p型InP基板のいずれを用いることもできる。以下、説明の便宜のため、成長用基板10としてn型InP基板を用いる好適な実施形態を説明する。
次に、図2のステップBに示すように、成長用基板10上に、III−V族化合物半導体のエッチングストップ層20を形成する。既述のとおり、III−V族化合物半導体のエッチングストップ層20は、成長用基板10に対してエッチング選択性があればよく、InP基板に対しては、例えばInGaAsをエッチングストップ層に用いることができ、他にも、InGaAsPをエッチングストップ層に用いることもできる。このIII−V族化合物半導体のエッチングストップ層20は、基板除去工程において成長用基板10をエッチングにより除去する際に用いることができる。成長用基板10としてn型InP基板を用いる場合、導電型を成長用基板と合わせてIII−V族化合物半導体のエッチングストップ層20をn型とすることが好ましい。InGaAsをIII−V族化合物半導体のエッチングストップ層20に用いる場合、n型InP基板とInGaAsとを格子整合させるため、III族元素におけるIn組成比を0.3〜0.7とすることが好ましく、より好ましくはIn組成比を0.5〜0.6としたInGaAsを用いることが好ましい。
続いて、III−V族化合物半導体のエッチングストップ層20上にn型クラッド層31、半導体発光層35、およびp型クラッド層37を順次形成した半導体積層体30を形成する。半導体発光層35はn型クラッド層31およびp型クラッド層37に挟持されるため、InおよびPを少なくとも含むInGaAsP系III−V族化合物半導体からなる層であることが好ましい。半導体積層体30は、半導体発光層35を、n型クラッド層31およびp型クラッド層37で挟持したダブルヘテロ(DH)構造または多重量子井戸(MQW)構造とすることができる。結晶欠陥抑制による光出力向上のため、半導体発光層35が多重量子井戸構造を有することがより好ましい。多重量子井戸構造は、井戸層35Wおよび障壁層35Bを交互に繰り返した構造により形成することができる。そして井戸層35WをInGaAsPとしてもよく、障壁層35Bを、井戸層35Wよりもバンドギャップの大きなInGaAsPまたはInPとすることが好ましい。このような半導体積層体30を設けることにより、半導体発光素子100の発光波長を、所望の近赤外領域の波長とすることができる。例えば、InGaAsP系III−V族化合物の組成変更により発光ピーク波長を1000〜1650nmとすることができ、MQW構造の場合であればInGaAsP系III−V族化合物の組成変更に加えて井戸層と障壁層の組成差を調整し井戸層にひずみを加えることにより発光ピーク波長を1000〜2200nmとすることもできる。また、井戸層35Wの成分組成をInxwGa1-xwAsyw1-ywと表す場合、0.5≦xw≦1、かつ、0.5≦yw≦1とすることができ、0.6≦xw≦0.8、かつ、0.3≦yw≦1とすることが好ましい。
半導体積層体30の全体の厚みは制限されないが、例えば2μm〜15μmとすることができる。また、p型クラッド層37の厚みも制限されないが、例えば1μm〜5μmとすることができる。さらに、半導体発光層35の厚みも制限されないが、例えば100nm〜1000nmとすることができる。また、n型クラッド層31の厚みも制限されないが、例えば0.8μm〜10μmとすることができる。半導体発光層35が量子井戸構造を有する場合、井戸層35Wの膜厚を3nm〜15nmとすることができ、障壁層35Bの膜厚を5〜15nmとすることができ、両者の組数を3〜50とすることができる。
また、半導体積層体30は、InおよびPを少なくとも含むInGaAsPからなるp型キャップ層39をp型クラッド層37上に有することも好ましい。p型キャップ層39を設けることで、格子不整合を緩和することができる。p型キャップ層39の膜厚は制限されないが、例えば50〜200nmとすることができる。以下の実施形態では、説明の便宜上、半導体積層体30の最表層がp型キャップ層39であるとして説明するが、p型キャップ層39は任意の構成であるため、例えば半導体積層体30の最表層をn型クラッド層31としてもよい。
なお、図示しないが、半導体積層体30は、n型クラッド層31および半導体発光層35の間と、半導体発光層35およびp型クラッド層37の間とに、それぞれi型InPスペーサ層を有することも好ましい。i型InPスペーサ層を設けることで、ドーパントの拡散を防止することができる。なお、i型InPスペーサ層の膜厚は制限されないが、例えば50〜400nmとすることができる。また、半導体積層体30は、n型クラッド層31と、III−V族化合物半導体のエッチングストップ層20との間に、III−V族化合物半導体のエッチングストップ層20と組成比の異なるn型InGaAsP層をさらに有してもよい。
半導体積層体30の半導体発光層35から放出される光の中心発光波長を1000〜2200nmとした例について以下説明する。なお、使用する半導体発光層35の発光中心波長によって、公知の製造方法を適宜採用することができる。半導体積層体30の各層は、エピタキシャル成長により形成することができ、例えば、有機金属気相成長(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法または分子線エピタキシ(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法、スパッタ法などの公知の薄膜成長方法により形成することができる。例えば、In源としてトリメチルインジウム(TMIn)、Ga源としてトリメチルガリウム(TMGa)、As源としてアルシン(AsH3)、P源としてホスフィン(PH3)を所定の混合比で用い、これらの原料ガスを、キャリアガスを用いつつ気相成長させることにより、成長時間に応じてInGaAsP層を所望の膜厚で形成することができる。なお、III−V族化合物半導体のエッチングストップ層20などの、エピタキシャル成長させる他のInGaAsP層についても、同様の方法により形成することができる。各層をp型またはn型にドーパントする場合は、所望に応じてドーパント源のガスをさらに用いればよい。また、半導体積層体を構成する各層については、上記のn型ドーパントまたはp型ドーパント(Zn、C等)を適宜ドープすることができる。
<接合層形成工程>
接合層形成工程は、コンタクト部形成工程、誘電体層形成工程、金属反射層形成工程接合工程および支持基板形成工程を含む。以下、接合層形成工程に含まれる各工程について、図2〜図4を参照しながら説明する。
<<コンタクト部形成工程>>
上記コンタクト部形成工程では、図2のステップCに示す通り、まず、半導体積層体30上にIII−V族化合物半導体からなるコンタクト層51を形成する。p型キャップ層39上にp型のコンタクト層51を形成することができる。p型のコンタクト層51は、中間電極(第1中間電極53aおよび第2中間電極53b)に接し、当該中間電極と半導体積層体30との間に介在する中間電極と接触する層であって、半導体積層体30に比べて中間電極との間のコンタクト抵抗が小さくなる組成であればよく、例えばp型のInGaAs層を用いることができる。コンタクト層部51aの膜厚は制限されないが、例えば50nm〜200nmとすることができる。
次いで、図3のステップDに示す通り、コンタクト層51上の一部に第2中間電極53bを形成すると共に、コンタクト層51の表面に露出領域E1を残す。第2中間電極53bは最終的には中間電極になり、当該第2中間電極53bおよび第1中間電極(図示せず)を含む中間電極は、上記配置条件(a)〜(c)、好ましくは上記配置条件(a)〜(d)に従って、島状に分散して形成される。p型のコンタクト層51としてp型のInGaAs層を用いる場合、第2中間電極53bとして例えばAu、AuZn、AuBe、AuTiなどを用いることができ、これらの積層構造を用いることも好ましい。例えば、Au/AuZn/Auを中間電極(第1中間電極および第2中間電極のそれぞれ)とすることができる。中間電極(第1中間電極および第2中間電極のそれぞれ)の膜厚(または合計膜厚)は制限されないが、例えば300〜1300nm、より好ましくは350nm〜800nmとすることができる。
ここで、例えば、コンタクト層51の表面に、上記配置条件(a)〜(c)、好ましくは上記配置条件(a)〜(d)に従うように、レジストパターンを形成し、第2中間電極53bを蒸着させ、レジストパターンをリフトオフして形成することにより、コンタクト層51の表面に露出領域E1を残すことができる。また、コンタクト層51の表面全面に所定の金属層を形成し、当該金属層上にマスクを形成し、エッチングするなどして、第2中間電極53bを形成してもよい。いずれの場合も、図3のステップDに示すように、コンタクト層51上の一部に第2中間電極53bが形成され、コンタクト層51の表面には、第2中間電極53bが接触しない表面、すなわち、露出領域E1を形成することができる。
さらに、コンタクト部形成工程において、露出領域E1におけるコンタクト層51を、半導体積層体30の表面が露出するまで除去して、第2中間電極53bおよびコンタクト層部51aからなる第2コンタクト部40bを形成すると共に、半導体積層体30の露出面E2を形成する(図3のステップE)。すなわち、先に形成した第2中間電極53b以外の場所におけるコンタクト層51を、半導体積層体30の最表層であるp型キャップ層39の表面が露出するまでエッチングし、コンタクト層部51aとする。例えば、第2中間電極53bおよびその近傍(2〜5μm程度)にレジストマスクを形成し、酒石酸−過酸化水素系などによりコンタクト層51の露出領域E1をウェットエッチングすればよい。他にも、無機酸−過酸化水素系および有機酸−過酸化水素系のエッチング液などによってもウェットエッチングは可能である。また、露出領域E1を形成する際に、上記所定の金属層上にマスクを形成し、エッチングにより第2中間電極53bを形成した場合は、エッチングを連続して行ってもよい。
また、図3のステップEの第2コンタクト部40bは、第2中間電極(オーミック電極部)53bとコンタクト層部51aとから構成されている。そのため、図3のステップEの第2コンタクト部40bにおける第2中間電極53bが、図1Bの第2中間電極53bに対応する。また、上述したように、半導体発光素子100の製造方法の各工程を示す図2〜6は、本発明に係る半導体発光素子100の上面図である図1AのII−II線の断面からみた場合の当該半導体発光素子100の製造方法の各工程を示す図である。したがって、図1AのI−I線の断面にあたる断面図を用いて半導体発光素子100の製造方法を説明する場合は、図3〜6中の第2中間電極53bの代わりに、図1Bに記載の第1中間電極53aが上記と同様の方法で形成され、かつ図3〜6中の第2コンタクト部40bの代わりに、図1Bに記載の第1コンタクト部40aが上記と同様の方法で形成されると理解されうる。
なお、コンタクト部40の膜厚は、コンタクト層部51aおよび中間電極の合計膜厚に相当し、350nm〜1500nm、より好ましくは400〜1000nmとすることができる。
<<誘電体層形成工程>>
上記誘電体層形成工程では、半導体積層体30の露出面E2上の少なくとも一部に誘電体層55を形成する(図3のステップF)。このような誘電体層55は、例えば以下のようにして形成することができる。
まず、半導体積層体30および第2コンタクト部40bを被覆するように、半導体積層体30上の全面に誘電体層55を成膜する。成膜法としては、プラズマCVD法およびスパッタ法などの、公知の手法が適用可能である。そして、成膜した誘電体層55表面の、第2コンタクト部40bの上方において、誘電体層55に第2コンタクト部40b上の誘電体が形成される場合には、所望に応じてマスクを形成し、エッチング等により当該コンタクト部上の誘電体を除去すればよい。例えば、バッファードフッ酸(BHF)などを用いてコンタクト部上の誘電体をウェットエッチングすることができる。
なお、図3のステップFを参照しつつ、図4に示すように、半導体積層体30の露出面E2上の一部に誘電体層55を形成すると共に、第2コンタクト部40bの周囲を露出部E3とし、誘電体層55と第2コンタクト部40bとの間に間隙を設けることも好ましい。このような誘電体層55および露出部E3は、例えば以下のようにして形成することができる。まず、半導体積層体30上の全面に誘電体層55を成膜し、成膜した誘電体層55表面の、第2コンタクト部40bの上方において、第2コンタクト部40bを完全に取囲む窓パターンをレジストで形成する。この場合、窓パターンは、第2コンタクト部40bの幅方向および長手方向の長さに対してそれぞれ1〜5μm程度拡がりを持たせることが好ましい。こうして形成したレジストパターンを用いて、第2コンタクト部40b周辺の誘電体をエッチングにより除去することで、誘電体層55が形成されると共に、第2コンタクト部40bの周囲が露出部E3となる。
この形状を確実に得るためには、露出部E3の幅V1を0.5μm以上5μm以下とすることが好ましく、1μm以上3.5μm以下とすることがより好ましい(図4参照)。なお、誘電体層形成工程により形成される誘電体層55の膜厚H1と、コンタクト部40との膜厚H2との関係は特に制限されないが、図4に示すように、H1≧H2とすることが好ましい。こうすることで、金属反射層60と金属接合層70との接合をより確実に行うことができる。特に、露出部E3を設け、かつH1>H2とした場合において、その間隙を充填するように金属反射層60を形成すると、金属反射層60と金属接合層70との間の一部に空隙が生じ得る。
ここで、誘電体層55が半導体積層体30と接触する接触面積率を、80%以上97%以下とすることも好ましい。コンタクト部40の面積を減らして、誘電体層55の面積を増やすことにより、コンタクト部による光吸収を抑制することができるからである。なお、接触面積率は、ウエハの状態で測定することができるし、個片化後の半導体発光素子の状態から接触面積率を逆算する場合は、個片化の際に除去された半導体層(誘電体層が存在していた領域)の幅を片幅20〜30μm(両幅40〜60μm)と仮定して算出してもよい。
また、誘電体層55としては、SiO2、SiN、ITOおよびAlNなどを用いることができ、特に、誘電体層55がSiO2からなることが好ましい。SiO2は、BHF等によるエッチング加工が容易だからである。
<<金属反射層形成工程>>
上記金属反射層形成工程では、誘電体層55および第2コンタクト部40b上に、半導体発光層35から放射される光を反射する金属反射層60を形成する(図5のステップG)。なお、誘電体層形成工程において露出部E3を形成している場合は、金属反射層60は露出部E3上にも形成される。金属反射層60には、DBR、金属反射層、フォトニック結晶、部分的な空隙等による屈折率差などがいずれも利用可能であるものの、製造が容易であり放射光に対して適切な反射率とするため、金属反射層60を用いることが好ましい。金属反射層60には、Au,Al,Pt,Ti、Agなどを用いることができるが、Auを主成分とすることが特に好ましい。この場合、金属反射層60の組成においてAuが50質量%超を占めることが好ましく、より好ましくはAuが80質量%以上である。金属反射層60は、複数層の金属層を含むことができるが、Auからなる金属層(以下、「Au金属層」)を含む場合には、金属反射層60の合計厚みのうち、Au金属層の厚みを50%超とすることが好ましい。例えば、金属反射層60はAuのみからなる単一層であってもよいし、金属反射層60にAu金属層が2層以上含まれていてもよい。後続の接合工程における接合を確実に行うため、金属反射層60の最表層(半導体積層体30と反対側の面)を、Au金属層とすることが好ましい。例えば、誘電体層55、露出部E3及びコンタクト部40上に、Al、Au、Pt、Auの順に金属層を成膜し、金属反射層60とすることができる。金属反射層60におけるAu金属層の1層の厚みを、例えば400nm〜2000nmとすることができ、Au以外の金属からなる金属層の厚みを、例えば5nm〜200nmとすることができる。金属反射層60は、蒸着法などの一般的な手法により、誘電体層55、露出部E3およびコンタクト部40上に成膜して形成することができる。
<接合工程>>
上記接合工程では、金属接合層70が表面に設けられた支持基板80を、金属接合層70を介して金属反射層60に接合する(図5のステップH)。支持基板80の表面には、予め金属接合層70を、スパッタ法または蒸着法などにより形成しておけばよい。この金属接合層70と、金属反射層60を対向配置して貼り合せ、250℃〜500℃程度の温度で加熱圧縮接合を行うことで、両者の接合を行うことができる。
金属反射層60と接合する金属接合層70には、Ti、Pt、Auなどの金属、または金と共晶合金を形成する金属(Snなど)を用いることができ、これらを積層したものとすることが好ましい。例えば、支持基板80の表面から順に、厚み400nm〜800nmのTi、厚み5nm〜20nmのPt、厚み700〜1200nmのAuを積層したものを金属接合層70とすることができる。なお、金属反射層60と金属接合層70との接合を容易にするため、金属接合層70側の最表層をAu金属層とし、金属反射層60の、金属接合層70側の金属層もAuとして、Au−Au拡散によるAu同士での接合を行うことが好ましい。
なお、支持基板80には、例えば導電性のSi基板を用いることができ、他にも、導電性のGaAs基板、またはGe基板を用いてもよい。また、上述の半導体基板以外に、金属基板を用いることもできるし、焼成AlNなどの放熱性絶縁基板を用いたサブマウント基板であっても良い。支持基板80の厚みは、用いる材料によっても異なるが、100μm以上500μm以下とすることができ、Si基板またはGaAs基板であれば、180μm未満の厚みとしてもハンドリング可能である。放熱性または脆性、コストを考慮すると、Si基板が特に好ましい。
<基板除去工程>>
上記基板除去工程では、図6のステップIに示すように、成長用基板10を除去する。成長用基板10は、例えば塩酸希釈液を用いてウェットエッチングにより除去することができ、III−V族化合物半導体のエッチングストップ層20を当該ウェットエッチングの終点とすることができる。なお、III−V族化合物半導体のエッチングストップ層20を除去する際には、例えば硫酸−過酸化水素系のエッチング液でウェットエッチングすればよい。
<上面電極形成工程>
本発明における上面電極形成工程は、図6のステップJのように、オーミック金属層93e(93a,93b)を第2導電型半導体層31の主面部31C上に形成した後、当該オーミック金属層93e上にパッド電極層93cを形成する。そして、当該オーミック金属層93eの一部である配線部93aによって、第2導電型半導体層31の主面が、複数の光取り出し領域に区画される。
また、前記光取り出し領域に区画された第2導電型半導体層(例えば、n型半導体層)31の主面に対して中間電極(第1中間電極53aおよび第2中間電極53b)を垂直投影した投影面を想定した場合、上記配置条件(a)〜(c)、好ましくは上記配置条件(a)〜(d)を満たすように、上面電極93と中間電極(第1中間電極53aおよび第2中間電極53b)および前記上面電極93がそれぞれ配置される。
上面電極93は、配線部93aおよびパッド部93dを含む。配線部93aは、パッド部93dより供給される電流が半導体発光素子の発光領域に可能なかぎり広げることを目的として形成され、上面電極93が接する第2導電型半導体層31との間のオーミックコンタクトを形成するオーミック金属層により形成される。
上面電極形成工程では、成長用基板10を除去して露出した半導体のエッチングストップ層20をコンタクト層として利用してその上に上面電極を形成する方法と、半導体のエッチングストップ層20を全て除去して第2導電型半導体層31上に直接上面電極を形成する方法とがある。例えばエッチングストップ層20としてInGaAsを用いるならば、InGaAsはn型のコンタクト層として利用することが好ましい。そして、エッチングストップ層20としてInGaAsを用いる場合、後者の方法を採用して、上面電極を形成する領域以外のエッチングストップ層20のInGaAsはエッチングにより除去することが好ましい。n型のコンタクト層としてn型のInGaAs層を用いる場合、オーミック金属層として例えばTi、Pt、Au、Geなどの金属またはこれらの金属を含む合金(AuGe系、TiPtAu系)などを用いることができる。さらには、前記金属以外としては、Auと共晶合金を形成する金属(Snなど)などを用いることができ、これらの積層構造を用いることも好ましい。そして、パッド金属層としては、例えばTi、Pt、Ag、Auなどの金属、または金と共晶合金を形成する金属(Sn等)などの一般的なものなどを用いることができ、これらの積層構造を用いることも好ましい。
また、支持基板80が導電性の場合、支持基板80の裏面に裏面電極91を形成する工程をさらに有してもよい。裏面電極91および上面電極93の形成は公知の手法を用いることができ、例えばスパッタ法、電子ビーム蒸着法、または抵抗加熱法などを用いることができる。
必要により施される後工程の粗面化に先立ち、個片化のための分割予定ラインに沿って、エピタキシャル形成した半導体積層体30をメサエッチングしてもよい。なお、上述したように、図2〜6は、図1AのII−II線の断面からみた場合の半導体発光素子100の製造方法であるため、図6のステップJに記載の半導体発光素子100と、図1Cに記載の半導体発光素子100は同一である。
<粗面化処理工程>
本発明に係る製造方法において、粗面化処理工程は必要により行われる工程であり、機械加工による粗面化、ウェットエッチング、ドライエッチング、を単独または組み合わせて行うことができる。n型クラッド層31の凹凸パターンの表面粗さRaが0.03μm以上であり、かつ、ランダムな粗面となるよう粗化とすることが好ましい。
<保護膜形成工程>
本発明に係る製造方法において、保護膜形成工程は必要により行われる工程であり、上面電極93の中央部をレジストによりマスクした後に、保護膜をp型クラッド層37の凹凸面上を含む全面に成膜する。その後、レジストをリフトオフして上面電極を露出させる。
保護膜の成膜法としては、プラズマCVD法およびスパッタ法などの、公知の手法が適用可能である。そして、上面電極にあらかじめレジストを形成しない場合は、保護膜の成膜後にマスクを形成し、バッファードフッ酸(BHF)などを用いたエッチング等により当該上面電極上の保護膜を除去すればよい。
なお、図示しないが、本実施形態に従う製造方法は、支持基板80の厚みを80μm以上200μm未満の範囲内に研削する研削工程を更に有することも好ましい。本実施形態では、支持基板80としてSi基板を用いることができ、この場合、支持基板80を厚み200μm未満に研削しても破損が生じることがない。さらに、支持基板80の厚みを150μm以下にまで研削することもできるし、100μm以下にまで研削することもできる。ただし、支持基板80の厚みを80μm未満にまで研削すると、Si基板であっても破損が生じ得るため、厚みの下限を80μmとすることが好ましい。また、支持基板80の厚みが80μm以上であれば、半導体発光素子100を十分にハンドリング可能である。
以上の工程の後、メサエッチングされた個片化のための分割予定ラインに沿って、ダイシング法またはスクライブ法により素子分割する工程を経て、半導体発光素子100が得られる。分割予定ラインは四角形でも平行四辺形でも長方形でもよく、チップサイズは小型(1辺が200〜400μm)、中型(1辺が400〜800μm)、大型(1辺が800〜2000μm)のいずれでもよい。
本実施形態は、第1導電型半導体層37の導電型をp型とし、第2導電型半導体層31をn型とする場合を例に説明したが、各層の導電型のn型/p型が逆転可能であるのは当然に理解される。
また、中間電極と上面電極に関して上記の形態を有するならば、III−V族化合物半導体層をInGaAsPから例えば、AlGaAs、AlInGaP、InGaAsSbに変えてもよい。
また、p型キャップ層39の一部をコンタクト層部51aとすることにより、中間電極(オーミック電極部)53a,53bとコンタクト層部51aとから構成されているコンタクト部40a,40bの形態を、中間電極(オーミック電極部)53a,53bのみから構成されるコンタクト部40a,40bの形態に変えてもよい。
(実施例1)
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
<半導体層形成工程>
まず、成長用基板としてn型InP基板の(100)面上に、第2導電型半導体層としてn型In0.57Ga0.43Asエッチングストップ層(膜厚:20nm)およびn型InPクラッド層(膜厚:2000nm)と、i型InPスペーサ層(膜厚:100nm)と、半導体発光層として発光波長1300nmの量子井戸構造の半導体発光層(合計膜厚:138nm)と、i型InPスペーサ層(膜厚:320nm)と、第1導電型半導体層としてp型InPクラッド層(膜厚:4.8μm)およびp型In0.8Ga0.20As0.50.5キャップ層(膜厚:50nm)と、接合層の一部としてp型In0.57Ga0.43Asコンタクト層(膜厚:101nm)と、をMOCVD法により順次形成した。なお、上記量子井戸構造の半導体発光層の形成にあたり、まず膜厚8nmのInP障壁層を形成し、次いで、In0.74Ga0.26As0.50.5井戸層(膜厚:5nm)およびInP障壁層(膜厚:8nm)を交互に10組積層し、合計10.5組とした。なお、「10.5組」とは、InP障壁層から積層を開始し最後にInP障壁層を設けることを指し、i型InPスペーサ層に隣接する層はInP障壁層である。
<接合層形成工程>
上記作製した半導体積層体におけるp型In0.57Ga0.43Asコンタクト層上に、図7Aに示す、島状に分散した円錐台状の中間電極(第1中間電極および第2中間電極)パターンとして、p型オーミック電極部(Au/AuZn/Au、合計膜厚:530nm、中間電極)を形成した。このパターン形成にあたっては、レジストパターンを形成し、次いでp型オーミック電極を蒸着し、レジストパターンのリフトオフにより形成した。なお、図7Aの外形サイズは、380μm角であった。また、図7Aでは、後工程により形成される上部電極のパッド部93d、配線部93a、当該配線部93aにより区画される光取り出し領域S1〜S4を、形成予定箇所に2点鎖線で示している。さらに、図7Aでは、第1中間電極53aを白抜きの丸で示し、第2中間電極53bを黒丸で示している。
上記積層体に中間電極を形成した状態について、光学顕微鏡を用いて半導体積層体層を上面視から観察した。その結果、本実施例で形成した各々のp型オーミック電極部は直径5μmの円形であり、配線部により区切られる光取り出し領域に相当する範囲内において、最近接する第1中間電極同士の電極間の間隔Xは35μmであり、最近接する第1中間電極同士の中心間距離は40μmであった。なお、中間電極(p型オーミック電極部)の直径は、上記半導体積層体層の面方向の最大断面における最大長さを言う。
また、第1中間電極と当該第1中間電極と最近接する第2中間電極との電極間の間隔(Y1)は28μmであった。さらに、配線部の下方に配置される、最近接する第2中間電極同士の電極間の間隔(Z)は35μmであり、最も近接する第2中間電極同士の中心間距離は40μmであり、380μm角に対する中間電極(p型オーミック電極部)の面積率は0.87%であった。そして、第1中間電極とチップ外周との間の離隔距離は49μmであった。
なお、本実施例1の中間電極を積層した半導体積層体の寸法は、図7Aに示す寸法記号を参照すると、L1=L2=380μm、X=35μm、Y1=28μm、Y2=28μm、Z=35μm、第1中間電極の直径d1=5μm、第2中間電極の直径d2=5μm、d3=13.5μm、チップ外周と第1中間電極との距離dee=49μmであった。したがって、図7Aに示すように、直径5μmの中間電極が7個と、当該中間電極の35μm間隔Xが6つと、角部の長さ(d3)13.5μmが2つと、第1中間電極とチップ外周との間の離隔距離(dee)49μmおよび電極幅5μmのそれぞれ2つと、を合計すると、外形サイズ380μm(L1=L2)になる。
次に、上記中間電極(p型オーミック電極部)をマスクとして用い、当該オーミック電極部を形成した場所以外のp型In0.57Ga0.43Asコンタクト層を、酒石酸−過酸化水素系のウェットエッチングにより除去した。その後、プラズマCVD法によりp型In0.80Ga0.20As0.500.50キャップ層上の全面にSiO2からなる誘電体層(膜厚:700nm)を形成した。そして、中間電極(p型オーミック電極部)の上方領域に、幅方向および長手方向に幅3μmを付加した形状の窓パターンをレジストで形成し、中間電極(p型オーミック電極部)およびその周辺の誘電体層を、BHFによるウェットエッチングにより除去し、p型In0.80Ga0.20As0.500.50キャップ層を露出させた。このとき、p型In0.80Ga0.20As0.500.50キャップ層上の誘電体層の膜厚H1(700nm)は、p型コンタクト層(膜厚:100nm)および中間電極(p型オーミック電極部)(膜厚:530nm)からなるコンタクト部の高さH2(630nm)より、70nm高かった。なお、この状態で光学顕微鏡を用いてウエハの半導体層を上面視で観察したところ、誘電体層(SiO2)の接触面積率は95.8%であった。
次に、金属反射層(Al/Au/Pt/Au)を、p型In0.80Ga0.20As0.500.50キャップ層上の全面に蒸着により形成した。こうして、上記半導体積層体上に中間電極を有する接合層を形成した。金属反射層の各金属層の膜厚は、順に10nm、650nm、100nm、900nmであった。一方、支持基板となる導電性Si基板(膜厚:300μm)上に、金属接合層(Ti/Pt/Au)を形成した。金属接合層の各金属層の膜厚は、順に650nm、10nm、900nmであった
これら金属反射層および金属接合層を対向配置して、300℃で加熱圧縮接合を行い、金属反射層を有する支持基板と上記金属接合層とを接合して接合層を形成した。
<成長基板除去工程>
そして、成長基板であるInP基板を塩酸希釈液によりウェットエッチングして除去した。
<上面電極形成工程>
n型InPクラッド層上に、上面電極のオーミック金属層として、Au(膜厚:10nm)/Ge(膜厚:33nm)/Au(膜厚:57nm)/Ni(膜厚:34nm)/Au(膜厚:800nm)/Ti(膜厚:100nm)/Au(膜厚:1000nm)を、レジストパターン形成、n型電極の蒸着、およびレジストパターンのリフトオフにより形成した。さらに、オーミック金属層パッド部の上にパッド電極層として(Ti(膜厚:150nm)/Pt(膜厚:100nm)/Au(膜厚:2500nm))を形成し、上面電極のパターンを図7Bに示すとおりとした。この際、パッド電極層の直径は、105μmであった。形成された中間電極は図7B(平面図)および図7C(投影面)に示すとおりである。この際、上面電極の一部であるオーミック金属層は、オーミック金属層パッド部と、当該オーミック金属層パッド部から外方向に延伸され、かつ当該オーミック金属層パッド部と電気的に接続された長尺状の配線部とから構成されている。そして、オーミック金属層パッド部の直径dpは115μmであり、配線部の短軸長Wは8μmであった。なお、実施例の配線部の短軸長Wおよび本体部の直径dpの測定は、デジタルマイクロスコープ(VHX-2000,キーエンス社製)を用いて測定した。
なお、図7Bでは、既に形成した中間電極(第1中間電極および第2中間電極)は隠れ線(点線)で示している。そして、図7Aと同様、図7Bの外形サイズは380μm角である。また、図7Aに記載の中間電極(p型オーミック電極部)の平面図と、図7Bに記載の上面電極の平面図とを、重ね合わせた図を図7Cとして示している。すなわち、図7Cは、半導体発光素子を積層方向からみた同一平面において観察した状態(すなわち中間電極をn型InPクラッド層の主面に投影した状態)を示す図である。また、説明の便宜上、図7Cでは、第1中間電極53aの投影体を白抜きの丸で示し、第2中間電極53bの投影体を黒丸で示している。
本実施例において、中間電極と上面電極とが、以下の(a)〜(d)の配置条件を満たように配置した。
(a)光取り出し領域の区画内において最も近接する第1中間電極の投影体同士が等距離の間隔Xになるよう、第1中間電極が配置された。
(b)第2中間電極の投影体と配線部とが重なるよう、第2中間電極が配置された。
(c)第1中間電極のうち最も第2中間電極に近接する第1中間電極と、第2中間電極との近接距離Y1はX/2以上3X/2未満であった。
(d)第1中間電極および第2中間電極のそれぞれの投影体がパッド部から外れるよう、第1中間電極および第2中間電極が配置された。
なお、本実施例1で作製した半導体発光素子の寸法は、図7Dに示す通り、外形サイズ(L1=L2)=380μm、X=35μm、Y1=28μm、Y2=28μm、Z=35μm、第1中間電極の直径d1=5μm、第2中間電極の直径d2=5μm、d3=13.5μm、チップ外周と第1中間電極との距離dee=49μmであった。また、本実施例1〜6で作製した半導体発光素子の寸法である、X、Y1、Y2、およびWについての一覧を表1に示す。
<ダイシング工程>
次に、メサエッチングにより各素子間(幅:60μm)の半導体層を除去してダイシングラインを形成した。その後、Si基板の裏面側への裏面電極(Ti(膜厚:10nm)/Pt(膜厚:50nm)/Au(膜厚:200nm))を形成した。その後、上面電極の上部に保護膜を形成し、第2導電型半導体層の上面に相当するn型InPクラッド層の光取出し面の表面に対して粗面化処理(1300nm微細パターン粗化)を行った。最後に、ダイシングによるチップ個片化を行って、実施例1に係る半導体発光素子を作製した。当該実施例1で作製した半導体発光素子の発光時の金属顕微鏡写真を図8に示す。なお、ダイシング後のチップサイズは350μm×350μmであった。
(実施例2)
実施例1において、第1中間電極同士の間隔Xを維持したまま、光取り出し領域における第1中間電極を全体に平行移動して、チップ外周と第1中間電極との距離deeを49μmから40μmに短くして、Y1およびY2を表2に示す値に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2に係る半導体発光素子を作製した。
実施例2で作製した半導体発光素子において、第1中間電極と第2中間電極の間の近接距離(Y1)は33μmであり、第2中間電極に2番目に近接する第1中間電極と第2中間電極との間の近接距離(Y2)は34μmであり、第2中間電極同士の間隔(Z)は35μmであった。
(比較例1)
中間電極を、配線部との重なりとは無関係にパッド部を除く全面に1辺の間隔Xの正三角形の頂点の位置に配置し、かつパッド部を中心として対称となるパターンとしなかった以外は、実施例1と同様にして、図9に示すような第1中間電極、配線部及びパッド部の配置にして比較例1に係る半導体発光素子を作製した。図9では、配線部と一部重なるも、前述した「中間電極の投影体と配線部とが重なる」を満足しない第3中間電極が形成されており、これを太線白抜き丸で図示している。比較例1の半導体発光素子には配置条件(b)および(c)を満たす第2中間電極は形成されていない。
(比較例2)
配線部と中間電極の投影体とが重複しないようにするため、図9における第3中間電極を間引いて、図10に示す第1中間電極、配線部及びパッド部の配置になるよう、比較例1と同様の方法により比較例2に係る半導体発光素子を作製した。比較例2の半導体発光素子も、配置条件(b)および(c)を満たしていない。
<出力とVfの評価>
実施例1〜2および比較例1〜2で作製したそれぞれの半導体発光素子を、トランジスタアウトラインヘッダー(TO−18)上に銀ペーストを用いてマウントし、金ワイヤを用いて上面電極をボンディングした。そして、実施例1〜2および比較例1〜2の発光出力(Po)および順方向電圧(Vf)を、それぞれ電流20mAおよび100mAを流すことで測定した。なお、発光出力(Po)の測定には積分球を用いた。また、順方向電圧(Vf)は、20mAを流すときの定電流電圧装置(エーディーシー社製:型番6243))の電圧値とした。上記測定はいずれも10サンプル行い、その平均値を表2に示す。
表2〜4における「Po維持率」とは、光出力の直線性を示すものであり、電流が0mAから20mAまでの出力が電流に比例する場合において、20mAから100mAまでの出力と電流との関係が、20mAまでの比例関係を維持すると仮定したときの100mAでの出力に対する実際の100mAでの出力の割合であり、100mAでの出力値を20mAでの出力値の5倍で割った値により示される。具体的には下記計算式のとおりである。
(Po維持率)=(Po[100mA通電における発光出力])/(Po[20mA通電における発光出力])×5
以下の表1に、後述する実施例3〜6を含め、本実施例1〜6で作製した半導体発光素子の寸法である、X、Y1、Y2、およびWについての一覧を示す。
上記実験結果から、実施例1および2の半導体発光素子は、比較例と比べて発光出力の直線性が維持される傾向(Po維持率の増加)が確認された。
次に、配線部の短軸長(線幅)の影響を確認する検討を行った。以下、実施例3〜5および比較例3を説明する。
(実施例3〜5)
実施例3〜5において、配線部の短軸長Wを表3に記載の値に変更する以外は、実施例1と同様にし、図7Dに示すような第1中間電極および第2中間電極、配線部並びにパッド部の配置にして、実施例3〜5に係る半導体発光素子を作製した。その後、実施例1と同様の評価を行い、配線部の短軸長Wの影響を確認した。その結果を以下の表3に示す。また、実施例3〜5の半導体発光素子の寸法は、図7Dに示す通り、外形サイズ(L1=L2)=380μm、X=35μm、Y1=28μm、Y2=28μm、Z=35μm、第1中間電極の直径d1=5μm、第2中間電極の直径d2=5μm、d3=13.5μm、チップ外周と第1中間電極との距離dee=49μmであった。(図7D参照)。
(比較例3)
比較例3において、配線部の短軸長Wを表3に記載の値に変更する以外は、実施例1と同様にし、図7Dに示すような第1中間電極および第2中間電極、配線部並びにパッド部の配置にして、比較例3に係る半導体発光素子を作製した。したがって、比較例3の半導体発光素子は、短軸長Wが5〜12μmの条件を満たしていなかった。その後、実施例1と同様の評価を行い、配線部の短軸長Wの影響を確認した。その結果を以下の表3に示す。比較例3は短軸長の条件を満たさないため、Po維持率が十分でないことが確認された。
(実施例6)
第1中間電極同士の間隔(電極間距離)Xを、35μmから25μmに変えることにより、各光取り出し領域における第1中間電極の個数が変動することに伴い、Y1、およびY2等が以下に示す寸法になったこと以外は、実施例2と同様にして実施例6に係る半導体発光素子を作製した。その後、実施例2と同様の評価を行い、間隔(電極間距離)Xの影響を確認した。その結果を以下の表4に示す。
また、本実施例の半導体発光素子の寸法は、図11に示すように、L1=L2=380μm、X=25μm、Y1=20μm、Y2=23μm、Y3=23μm、Y4=31μm、Z=32μm、dx=22.5μm、ds=18μm、W=8μm、第1中間電極の直径d1=5μm、チップ外周と第1中間電極との距離dee=40μmであった。
なお、実施例6の半導体発光素子において、第1中間電極と第2中間電極との間の近接距離Y1は20μmであり、2番目に第2中間電極に近接する第1中間電極と第2中間電極との間の近接距離(Y2)は23μmであり、第2中間電極同士の間隔は32μmであった。実施例2と比較して中間電極の数が増えることより、反射面の割合が減少するため、発光出力は減少するものの、発光出力の直線性が維持される傾向が顕著に確認された。
本発明によれば、上面電極と中間電極との位置関係、および中間電極を適切に配列させることにより、発光出力の維持率(電流−光出力特性の直線性)の高く、優れた発光出力を示す半導体発光素子を提供することができる。本発明の半導体発光素子の製造方法によれば、上面電極と中間電極との位置関係、および中間電極を適切に配列させることにより、発光出力の維持率の高い半導体発光素子を製造することができる。
100 半導体発光素子
10 成長用基板
20 エッチングストップ層
30 半導体積層体
31 第1導電型半導体層
35 半導体発光層
35W 井戸層
35B 障壁層
37 第2導電型半導体層
39 キャップ層
40a 第1コンタクト部
40b 第2コンタクト部
53a 第1中間電極
53b 第2中間電極
50 接合層
51 コンタクト層
51a コンタクト層部
55 誘電体層
60 金属反射層
70 金属接合層
80 支持基板
91 裏面電極
93 上面電極
93a 配線部
93d パッド部
E1 露出領域
E2 露出面
E3 露出部

Claims (10)

  1. 支持基板、中間電極を含む接合層、並びに、III−V族化合物半導体からなる第1導電型半導体層、半導体発光層および第2導電型半導体層をこの順に有する半導体発光素子であって、
    パッド部および配線部からなる上面電極を前記第2導電型半導体層の主面に有し、
    前記配線部は、5〜12μmの短軸長を備えた長尺体を有し、
    前記上面電極が形成された上面電極形成領域以外の前記主面における領域が、前記配線部により複数の光取り出し領域に区画され、
    前記中間電極は、それぞれ複数の島状に形成された第1中間電極および第2中間電極を有し、前記中間電極を前記主面に対して垂直投影した投影面において、
    (a)前記中間電極は、前記光取り出し領域の区画内において最も近接する前記第1中間電極の投影体同士が等距離の間隔Xになるよう配置された前記第1中間電極を含み、
    (b)前記中間電極は、前記第2中間電極の投影体と前記配線部とが重なるよう配置された前記第2中間電極を含み、
    (c)前記第1中間電極のうち最も前記第2中間電極に近接する第1中間電極と、前記第2中間電極との近接距離Y1はX/2以上3X/2未満である、
    ことを特徴とする半導体発光素子。
  2. 前記中間電極は、前記第1中間電極および前記第2中間電極のそれぞれの投影体が前記パッド部から外れるよう配置された前記第1中間電極および前記第2中間電極をさらに含む、請求項1に記載の半導体発光素子。
  3. 前記主面の中央部に前記パッド部が設けられる、請求項1または2に記載の半導体発光素子。
  4. 少なくとも1つの前記光取り出し領域の前記第1中間電極と前記第2中間電極との関係において、前記第1中間電極のうち2番目に前記第2中間電極に近接する第1中間電極と前記第2中間電極との近接距離Y2と、前記近接距離Y1とが同一になるよう前記第1中間電極および前記第2中間電極を配置する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  5. 全ての前記光取り出し領域と前記配線部との境界での前記第1中間電極と前記第2中間電極との関係において、前記第1中間電極のうち2番目に前記第2中間電極に近接する第1中間電極と前記第2中間電極との近接距離Y2と、前記近接距離Y1とが同一になるよう前記第1中間電極および前記第2中間電極を配置する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  6. 前記III−V族化合物半導体は、InおよびPを少なくとも含むInGaAsPであり、前記半導体発光層の発光中心波長が1000〜2200nmである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  7. 支持基板、複数の島状の第1中間電極および第2中間電極を含む接合層、並びに、III−V族化合物半導体からなる第1導電型半導体層、半導体発光層および第2導電型半導体層をこの順に有する半導体発光素子の製造方法であって、
    成長用基板上に、前記第2導電型半導体層、前記発光層および前記第1導電型半導体層を含む半導体積層体を形成する半導体層形成工程と、
    前記第1中間電極および前記第2中間電極を含む接合層を介して、前記支持基板と前記半導体積層体とを接合する接合層形成工程と、
    前記成長用基板を除去する成長用基板除去工程と、
    前記成長用基板を除去した前記半導体積層体の主面上に、パッド部および配線部からなる上部電極を形成し、前記上面電極が形成された上面電極形成領域以外の前記主面における領域が、前記配線部により複数の光取り出し領域に区画される上面電極形成工程と、を有し、
    前記主面に対して前記第1中間電極および前記第2中間電極を垂直投影した投影面において、
    (a)前記光取り出し領域の区画内において最も近接する前記第1中間電極の投影体同士が等距離の間隔Xになるよう、前記第1中間電極が配置され、
    (b)前記第2中間電極の投影体と前記配線部とが重なるよう、前記第2中間電極が配置され、
    (c)前記第1中間電極のうち最も前記第2中間電極に近接する第1中間電極と、前記第2中間電極との近接距離Y1はX/2以上3X/2未満である、
    ことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
  8. 前記第1中間電極および前記第2中間電極のそれぞれの投影体が、前記パッド部から外れるよう、前記第1中間電極および前記第2中間電極が配置される、請求項7に記載の半導体発光素子の製造方法。
  9. 少なくとも1つの前記光取り出し領域内の前記第1中間電極と前記第2中間電極との関係において、前記第1中間電極のうち2番目に前記第2中間電極に近接する第1中間電極と前記第2中間電極との近接距離Y2と、前記近接距離Y1とが同一になるよう前記第1中間電極および前記第2中間電極を配置する、請求項7または8に記載の半導体発光素子の製造方法。
  10. 全ての前記光取り出し領域と前記配線部との境界での前記第1中間電極と前記第2中間電極との関係において、前記第1中間電極のうち2番目に前記第2中間電極に近接する第1中間電極と前記第2中間電極との近接距離Y2と、前記近接距離Y1とが同一になるよう前記第1中間電極および前記第2中間電極を配置する、請求項7〜9のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法。
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