JP2020182676A - 消臭性組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】ホルムアルデヒドに対する消臭性に優れた消臭性組成物を提供する。【解決手段】少なくともホルムアルデヒドの臭気を低減させる消臭性組成物は、次の条件(1)を満たす疎水性成分を含む。条件(1):疎水性成分とシトラールと10質量%ホルマリン水溶液とを1:1:1の質量比で混合した混合液を室温下にて24時間静置した後、分離した疎水層について13C−NMR測定を実施して得られた13C−NMRスペクトルにおいて、ホルマリン水溶液によるホルムアルデヒドに由来するシグナルの積分強度の合計が、シトラールに由来する40ppmにおけるシグナルの積分強度の10%以上である。【選択図】図5
Description
本発明は、消臭性組成物に関する。
従来、ホルムアルデヒドの臭気を低減させる消臭性組成物が各種提案されている。例えば、特許文献1には、アルカロイド含有植物の水またはアルコール類による抽出物を含む消臭剤が開示されている。また、特許文献2には、金および/または銀コロイドを用いた消臭剤が開示されている。また、特許文献3には、スルファニル酸もしくはその誘導体の水溶液またはアルコール溶液を用いた消臭剤が開示されている。
しかしながら、従来の消臭剤は、ホルムアルデヒドに対する消臭性が十分ではない。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、ホルムアルデヒドに対する消臭性に優れた消臭性組成物を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、少なくともホルムアルデヒドの臭気を低減させる消臭性組成物であって、
以下の条件(1)を満たす疎水性成分を含む、消臭性組成物にある。
条件(1)
上記疎水性成分とシトラールと10質量%ホルマリン水溶液とを1:1:1の質量比で混合した混合液を室温下にて24時間静置した後、分離した疎水層について13C−NMR測定を実施して得られた13C−NMRスペクトルにおいて、上記ホルマリン水溶液によるホルムアルデヒドに由来するシグナルの積分強度の合計が、上記シトラールに由来する40ppmにおけるシグナルの積分強度の10%以上である。
以下の条件(1)を満たす疎水性成分を含む、消臭性組成物にある。
条件(1)
上記疎水性成分とシトラールと10質量%ホルマリン水溶液とを1:1:1の質量比で混合した混合液を室温下にて24時間静置した後、分離した疎水層について13C−NMR測定を実施して得られた13C−NMRスペクトルにおいて、上記ホルマリン水溶液によるホルムアルデヒドに由来するシグナルの積分強度の合計が、上記シトラールに由来する40ppmにおけるシグナルの積分強度の10%以上である。
上記消臭性組成物は、上記条件(1)を満たす疎水性成分を含んでいる。そのため、上記消臭性組成物は、ホルムアルデヒドに対する消臭性に優れる。
実施形態に係る消臭性組成物について説明する。
実施形態に係る消臭性組成物は、少なくともホルムアルデヒドの臭気を低減させる消臭性組成物である。上記消臭性組成物は、少なくともホルムアルデヒドの臭気を低減させることができれば、ホルムアルデヒド以外の悪臭原因物質の臭気を低減させることができてもよい。ホルムアルデヒド以外の悪臭原因物質としては、例えば、酢酸、イソ吉草酸、アンモニア等を例示することができる。これら悪臭原因物質は、1種または2種以上であってもよい。
上記消臭性組成物は、以下の条件(1)を満たす疎水性成分を含んでいる。
条件(1):疎水性成分とシトラールと10質量%ホルマリン水溶液とを1:1:1の質量比で混合した混合液を室温下にて24時間静置した後、分離した疎水層について13C−NMR測定を実施して得られた13C−NMRスペクトルにおいて、ホルマリン水溶液によるホルムアルデヒドに由来するシグナルの積分強度の合計が、シトラールに由来する40ppmにおけるシグナルの積分強度の10%以上である。
条件(1):疎水性成分とシトラールと10質量%ホルマリン水溶液とを1:1:1の質量比で混合した混合液を室温下にて24時間静置した後、分離した疎水層について13C−NMR測定を実施して得られた13C−NMRスペクトルにおいて、ホルマリン水溶液によるホルムアルデヒドに由来するシグナルの積分強度の合計が、シトラールに由来する40ppmにおけるシグナルの積分強度の10%以上である。
本発明者らは、分子量が300以下の疎水性の各種有機化合物とホルムアルデヒドとの相互作用の影響を13C−NMRスペクトルを用いて検討する中で、疎水性成分のホルムアルデヒドの取り込み能力が消臭機能と相関があることを突き止め、ホルムアルデヒドに対する消臭効果の高い疎水性成分の特徴を把握するに至ったものである。上記条件(1)を満たす疎水性成分を用いることにより、少なくともホルムアルデヒドに対する高い消臭効果を有する消臭性組成物が得られる。
上記条件(1)について説明する。条件(1)においては、疎水性成分とシトラールと10質量%ホルマリン水溶液とが1:1:1の質量比で混合された混合液が調製される。シトラールは、ホルムアルデヒドをほぼ取り込むことがないとみなすことができる疎水性の有機化合物であり、13C−NMR測定時に、疎水性成分に取り込まれたホルムアルデヒドの定量評価の基準となるものである。次いで、混合液は、室温下にて24時間静置される。これにより混合液が疎水層と水層とに分離する。疎水層には、疎水性成分とシトラールとが含まれる。さらに、疎水性成分の種類によっては、ホルムアルデヒドが疎水性成分との混合によって水層から疎水層に移行する。これは、ホルムアルデヒドと親和性が高い疎水性成分は、ホルムアルデヒド分子が近づくと、ホルムアルデヒド分子の再拡散を抑制するためであると推測される。もっとも、疎水性成分の種類によっては、ホルムアルデヒドの移行がほとんど起こらないものもある。次いで、分離した疎水層について13C−NMR測定を実施し、13C−NMRスペクトルを得る。なお、13C−NMR測定時のロック用重溶媒には、DMSO−d6が用いられる。得られた13C−NMRスペクトルにおいて、シトラールに由来する40ppmにおけるシグナルの積分強度と、ホルマリン水溶液によるホルムアルデヒドに由来するシグナルの積分強度とを求める。この際、13C−NMRスペクトルに現われるホルムアルデヒドに由来するシグナルは、1本でも複数本でも構わない。全てのホルムアルデヒドに由来するシグナルの積分強度の合計(積分強度総計)を求める。また、13C−NMRスペクトルにはシトラールに由来するシグナルが複数現われうる。ここでは、40ppmにおけるシトラールに由来するシグナルの積分強度を求める。なお、疎水性成分にシトラールが含有される場合には、混合液の調製時に疎水性成分と基準用シトラールとが1:1の質量比で混合されるため、基準用シトラールの定量値を除外することにより、疎水性成分に含有されるシトラールの定量値を求めることができる。次いで、ホルマリン水溶液によるホルムアルデヒドに由来するシグナルの積分強度の合計がシトラールに由来する40ppmにおけるシグナルの積分強度の10%以上であるか否かを確認する。ホルムアルデヒドに由来するシグナルの積分強度の合計がシトラールに由来する40ppmにおけるシグナルの積分強度の10%以上である場合、その疎水性成分は、上記消臭性組成物にいう疎水性成分に該当する。ホルムアルデヒドに由来するシグナルの積分強度の合計がシトラールに由来する40ppmにおけるシグナルの積分強度の10%未満である場合、その疎水性成分は、上記消臭性組成物にいう疎水性成分には該当しない。
上記消臭性組成物は、ホルムアルデヒドに由来するシグナルの積分強度の合計がシトラールに由来する40ppmにおけるシグナルの積分強度の10%以上である疎水性成分を含むことにより、ホルムアルデヒドに対する高い消臭性を発揮することができる。
疎水性成分は、ホルムアルデヒドに由来するシグナルの積分強度の合計がシトラールに由来する40ppmにおけるシグナルの積分強度の、好ましくは、15%以上、より好ましくは、20%以上、さらに好ましくは、25%以上、さらにより好ましくは、30%以上とすることができる。この構成によれば、ホルムアルデヒドに対する高い消臭効果を得られることがより確実なものとなる。なお、混合したホルムアルデヒドのすべてが疎水性成分に取り込まれるとしたときの理論値等を考慮すると、疎水性成分は、例えば、ホルムアルデヒドに由来するシグナルの積分強度の合計がシトラールに由来する40ppmにおけるシグナルの積分強度の70%以下とすることができる。
上記消臭性組成物では、条件(1)を満たす疎水性成分が主成分とされることができる。なお、主成分とは、上記消臭性組成物を構成する疎水性を示す成分を含有量(質量%)の多いもの順に並べた場合に、上位3分の1以上に順位付けされるものとして定義される。この構成によれば、ホルムアルデヒドに対する高い消臭性を得やすくなる。この場合において、上記消臭性組成物を構成する疎水性を示す成分のうち、条件(1)を満たす疎水性成分が最大含有量である場合には、ホルムアルデヒドに対する高い消臭性をより得やすくなり好ましい。
また、上記消臭性組成物は、条件(1)を満たす疎水性成分単独より構成されることもできる。つまり、上記消臭性組成物は、「組成物」と表記されるが、本開示にいう「組成物」には、条件(1)を満たす疎水性成分単独からなる場合も含まれる。この構成によれば、少量の使用でもホルムアルデヒドに対する消臭効果のより高い消臭性組成物とすることができる。
条件(1)を満たす疎水性成分は、分子量300以下の疎水性の有機化合物であることができる。また、疎水性成分は、常温大気中において、オイル状または固体状であることができ、他の成分と合わさって容易にオイル状化することができる。また、疎水性成分は、芳香性を有することができる。
疎水性成分の由来は、特に制限されない。疎水性成分は、上述の条件(1)を満たしておれば、例えば、植物性精油成分(植物からの精油成分)より構成されていてもよいし、人工合成成分より構成されていてもよいし、植物性精油成分および人工合成成分の両方より構成されていてもよい。疎水性成分が植物性精油成分を含む場合には、使用者における安全性や健康への影響面での安心度を高めることができる。この場合、上記消臭性組成物は、全疎水性成分のうち植物性精油成分が、好ましくは40質量%以上、より好ましくは、60質量%以上であるとよい。
植物性精油成分を採取する部位は特に制限されず、例えば、果実、果皮、花、種子、葉、根等が挙げられる。また、精油の採取方法も、例えば、低温真空抽出法、水蒸気蒸留法、超臨界真空抽出法等、特に制限されることはない。
果樹としては特に制限はないが、レモン、ライム、マンダリン、オレンジ、ゆず、リンゴ、ブドウ、ミカン、モモ、キウイフルーツ、グレープフルーツ等が挙げられ、その果実、果皮のほか、葉、根、茎等の部位も使用することもでき、搾汁後の果実や果皮等を含む残渣(搾りかす)を用いることもできる。
草花としては特に制限はないが、ミント類、イグサ、ジャスミン、クチナシ、バラ、きんもくせい、すみれ、ミカンの花、ラベンダー等が挙げられる。
野菜としては特に制限はないが、キャベツ、小松菜、レタス、青梗菜、白菜、シソ、イチゴ等が挙げられる。
樹木としては特に制限はないが、例えば、ヒノキ、タイワンヒノキ、ベイヒバ、サワラ、ローソンヒノキ、チャボヒバ、クジャクヒバ、オウゴンチャボヒバ、スイリュウヒバ、イトヒバ、オウゴンヒヨクヒバ、シノブヒバ、オウゴンシノブヒバ、ヒムロスギ等のヒノキ科ヒノキ属の樹木;ニオイヒバ、ネズコ等のヒノキ科クロベ属の樹木;ヒバ、アスナロ、ヒノキアスナロ、ホソバアスナロ等のヒノキ科アスナロ属の樹木;ハイビャクシン、ネズミサシ、エンピツビャクシン、オキナワハイネズ等のヒノキ科ビャクシン属の樹木;スギ、アシウスギ、エンコウスギ、ヨレスギ、オウゴンスギ、セッカスギ、ミドリスギ等のヒノキ科スギ属の樹木;トドマツ、モミ、ウラジロモミ、シラビソ、オオシラビソ、シラベ、バルサムファー、ミツミネモミ、ホワイトファー、アマビリスファー、アオトドマツ、カリフォルニアレッドファー、グランドファー、ノーブルファー等のマツ科モミ属の樹木;ヒマラヤスギ等のマツ科ヒマラヤスギ属の樹木、アカエゾマツ、トウヒ等のマツ科トウヒ属の樹木;アカマツ、ダイオウショウ、ストローブマツ、ハイマツ等のマツ科マツ属の樹木;カラマツ等のマツ科カラマツ属の樹木;ツガ等のマツ科ツガ属の樹木;コウヤマキ等のコウヤマキ科コウヤマキ属の樹木;カヤ等のイチイ科カヤ属の樹木等の針葉樹、その他キリ、ケヤキ、カエデ、カツラ、ブナ、ナラ、ユーカリ、ビャクダン、クロモジ、ニオイコブシ、ヒメコマツ、ミズメザクラ、ユズ、レモン、サンショウ等が挙げられる。
植物性精油成分は、上記の植物等から採取されることができる。植物性精油成分は、具体的には、例えば、酢酸リナリル、リナロール、エレモール、ヌートカトン、p-メンタ-8-チオール、メチルヘプテノン、ミルセン、テルピノ-レン、テルピネン、デシルアルデヒド、メチルアンスラニル酸メチル、ツヨン、1,3,5-ウンデカトリエン、2-メトキシ-3-イソブチルピラジン、酢酸リナリル、ノナジエナール、ノナジエノール、ヨノン、ベンズアルデヒド、メントール、メントン、カルボン、プレゴン、酢酸ボルニル、カンファー、セスキテルペン類、カプサイシン、サビネン、シトロネラ-ル、シトロネロール、ゲラニオール、ボルネオ-ル、フェランドレン、酢酸ゲラニル、ピペリトン、ミリスチシン、アピオール、スクラレオール、サリチル酸名チル、アネトール、カルベオール、メチルチャビコール、フムレン、ピペラアルデヒド、チモール、カルバクロール、シンナミックアルデヒド、セリネン、オシメン、バニリン、ジンギベレン、ジンゲロール、ミリスチシン、サフロール、フェランドレン、ピペリン、ネロリドール、アサロン、セドレン、セドロール、ガヤコール、ブルネソール、ツヤプリシン、ヒノキオール、イロン、サンタレン、サンタロール、アニスアルコール、ラブデノール等が挙げられる。なお、上記に例示された一般的な植物性精油成分のうち、上述の条件(1)を満たすものが、上記消臭性組成物における疎水性成分とされる。また、各種異性体が存在する植物性精油成分についてはそれら全てが対象となる。また、上記に例示された植物性精油成分以外にも、上述の条件(1)を満たす精油成分であれば、上記消臭性組成物における疎水性成分として用いることができる。
上述の条件(1)を満たす植物性精油成分の中では、ホルムアルデヒドに対する消臭能力等の観点から、メントール(各種異性体含む)が特に好ましい。なお、メントールは、各種異性体が混合されていてもよい。
一方、人工合成成分は、具体的には、例えば、シクロヘキサノール、1−ヘキサノール1−ヘプタノール、1−オクタノール、1−ノナノール、1−デカノール等が挙げられる。なお、これらの例示以外にも、上述の条件(1)を満たす人工合成成分であれば、上記消臭性組成物における疎水性成分として用いることができる。また、各種異性体が存在する人工合成成分についてはそれら全てが対象となる。
上述の条件(1)を満たす人工合成成分の中では、ホルムアルデヒドに対する消臭能力等の観点から、シクロヘキサノール、1−ヘキサノールが特に好ましい。
上記消臭性組成物の使用方法は、特に制限されない。上記消臭性組成物は、例えば、直接塗布、スプレーや超音波振動子等による噴霧、吸い上げによる揮散等により使用することができる。また、上記消臭性組成物は、水、アルコール類等の希釈溶媒と混合して使用することもできる。これにより簡便に使用できるスプレー剤としても利用しやすいものとなる。水と混合して使用する場合には、水以外の水溶性成分や界面活性剤を調整剤として別途含ませることができる。
上記消臭性組成物の使用される環境は、特に制限されない。上記消臭性組成物は、ホルムアルデヒド臭の消臭機能が高いことから、例えば、ホルムアルデヒド臭が特に問題となる、病院、医療機関、研究機関等や、一般家庭を含めたホルムアルデヒドを含有する建材を用いた建物内等において使用することができる。
(実験例)
実験例を用いて上記消臭性組成物を具体的に説明する。
実験例を用いて上記消臭性組成物を具体的に説明する。
<条件(1)の充足性>
本実験例において、疎水性成分の条件(1)の充足性は、以下のようにして確認した。
測定対象の疎水性成分とシトラールと10質量%ホルマリン水溶液とを1:1:1の質量比にて混合し、十分に振り混ぜた後、室温下にて24時間放置した。次いで、混合液から分離した疎水層を取り出し、13C−NMRスペクトル測定時のロック用の重溶媒としてDMSO−d6を疎水層に少量加え、バルクに近い状態にて13C−NMR測定に供した。13C−NMR測定には、Agilent社製、「UNITY INOVA500」を用いた。13C−NMR測定時の温度は、室温とした。得られた13C−NMRスペクトルにおいて、40ppmに現れるシトラール由来のシグナルの積分強度と、疎水性成分とシトラールのみからなる混合物から分離した疎水層の13C−NMRスペクトルでは現れないホルムアルデヒド由来の各シグナルの積分強度の合計値とを求め、これらを比較した。なお、以下に示す図1〜図4において、横軸はケミカルシフト(単位:ppm)、縦軸は、シグナル強度(単位は任意)(但し、図3のみ、縦軸は、シグナル強度および積分強度)である。
本実験例において、疎水性成分の条件(1)の充足性は、以下のようにして確認した。
測定対象の疎水性成分とシトラールと10質量%ホルマリン水溶液とを1:1:1の質量比にて混合し、十分に振り混ぜた後、室温下にて24時間放置した。次いで、混合液から分離した疎水層を取り出し、13C−NMRスペクトル測定時のロック用の重溶媒としてDMSO−d6を疎水層に少量加え、バルクに近い状態にて13C−NMR測定に供した。13C−NMR測定には、Agilent社製、「UNITY INOVA500」を用いた。13C−NMR測定時の温度は、室温とした。得られた13C−NMRスペクトルにおいて、40ppmに現れるシトラール由来のシグナルの積分強度と、疎水性成分とシトラールのみからなる混合物から分離した疎水層の13C−NMRスペクトルでは現れないホルムアルデヒド由来の各シグナルの積分強度の合計値とを求め、これらを比較した。なお、以下に示す図1〜図4において、横軸はケミカルシフト(単位:ppm)、縦軸は、シグナル強度(単位は任意)(但し、図3のみ、縦軸は、シグナル強度および積分強度)である。
(試料1)
測定対象の疎水性成分としてl−メントールを準備した。l−メントール1gとシトラール1gと10質量%ホルマリン水溶液1gとを混合し、上述した13C−NMR測定を実施した。得られた13C−NMRスペクトルを図1に示す。また、l−メントール1gおよびシトラール1gのみを混合し、上述した13C−NMR測定を実施した。得られた13C−NMRスペクトルを図2に示す。図1に示した13C−NMRスペクトルと図2に示した13C−NMRスペクトルとを比べてわかるように、図1に示した13C−NMRスペクトルでは、図1中に示した4本のホルムアルデヒドに由来するシグナル(図1中、黒丸印をつけたもの)が検出された。図3に、図1に示した13C−NMRスペクトルを拡大した拡大スペクトルを示す。なお、図3の横軸の下方に各シグナルの積分強度も併せて示す。図3に示した拡大スペクトルから、ホルムアルデヒドに由来するシグナル4本の総積分強度は1.15(=0.29+0.29+0.30+0.27)、40ppmに現れるシトラール由来のシグナルAの積分強度は3.37であることが分かる。この結果から、ホルムアルデヒド由来のシグナルの総積分強度は、40ppmに現れるシトラール由来のシグナルの積分強度の34%(=100×1.15/3.37)であることが確認された。つまり、試料1にて使用した有機性の疎水性成分であるl−メントールは、上述した条件(1)を満たすことが確認された。また、この結果は、ホルムアルデヒドがl−メントールとの混合により水層から疎水層に移行していることを示している。
測定対象の疎水性成分としてl−メントールを準備した。l−メントール1gとシトラール1gと10質量%ホルマリン水溶液1gとを混合し、上述した13C−NMR測定を実施した。得られた13C−NMRスペクトルを図1に示す。また、l−メントール1gおよびシトラール1gのみを混合し、上述した13C−NMR測定を実施した。得られた13C−NMRスペクトルを図2に示す。図1に示した13C−NMRスペクトルと図2に示した13C−NMRスペクトルとを比べてわかるように、図1に示した13C−NMRスペクトルでは、図1中に示した4本のホルムアルデヒドに由来するシグナル(図1中、黒丸印をつけたもの)が検出された。図3に、図1に示した13C−NMRスペクトルを拡大した拡大スペクトルを示す。なお、図3の横軸の下方に各シグナルの積分強度も併せて示す。図3に示した拡大スペクトルから、ホルムアルデヒドに由来するシグナル4本の総積分強度は1.15(=0.29+0.29+0.30+0.27)、40ppmに現れるシトラール由来のシグナルAの積分強度は3.37であることが分かる。この結果から、ホルムアルデヒド由来のシグナルの総積分強度は、40ppmに現れるシトラール由来のシグナルの積分強度の34%(=100×1.15/3.37)であることが確認された。つまり、試料1にて使用した有機性の疎水性成分であるl−メントールは、上述した条件(1)を満たすことが確認された。また、この結果は、ホルムアルデヒドがl−メントールとの混合により水層から疎水層に移行していることを示している。
(試料1C)
シトラール2gと10質量%ホルマリン水溶液1gとを混合し、試料1と同様にして13C−NMR測定を実施した。得られた13C−NMRスペクトルを図4に示す。図4に示した13C−NMRスペクトルはシトラールのみのものと同じであり、ホルムアルデヒド由来のシグナルは認められなかった。この結果から、シトラールは、ホルムアルデヒドを水層から疎水層へ移行させない成分であることがわかる。また、この結果と試料1の結果とをあわせると、ホルムアルデヒドを水層から疎水層へ移行させる成分は、l−メントールであることがわかる。
シトラール2gと10質量%ホルマリン水溶液1gとを混合し、試料1と同様にして13C−NMR測定を実施した。得られた13C−NMRスペクトルを図4に示す。図4に示した13C−NMRスペクトルはシトラールのみのものと同じであり、ホルムアルデヒド由来のシグナルは認められなかった。この結果から、シトラールは、ホルムアルデヒドを水層から疎水層へ移行させない成分であることがわかる。また、この結果と試料1の結果とをあわせると、ホルムアルデヒドを水層から疎水層へ移行させる成分は、l−メントールであることがわかる。
(試料2−4、試料2C−7C)
後述の表1に示すように疎水性成分を変更し、試料1と同様の13C−NMR測定を実施した。表1に、各種疎水性成分を用いて得られた13C−NMRスペクトルにおける40ppmに現れるシトラール由来のシグナルの積分強度に対する、ホルムアルデヒド由来のシグナルの総積分強度の割合(表1では、単に、ホルムアルデヒド積分強度割合という。)を示す。なお、表1中、l−メントール/シトラール(1/1)は、l−メントールとシトラールとが1:1の質量比で混合されたものであることを意味する。また、上述の試料1Cの結果も併せて示す。
後述の表1に示すように疎水性成分を変更し、試料1と同様の13C−NMR測定を実施した。表1に、各種疎水性成分を用いて得られた13C−NMRスペクトルにおける40ppmに現れるシトラール由来のシグナルの積分強度に対する、ホルムアルデヒド由来のシグナルの総積分強度の割合(表1では、単に、ホルムアルデヒド積分強度割合という。)を示す。なお、表1中、l−メントール/シトラール(1/1)は、l−メントールとシトラールとが1:1の質量比で混合されたものであることを意味する。また、上述の試料1Cの結果も併せて示す。
表1に示されるように、本実験例では、疎水性成分として1−ヘキサノール(試料2)、シクロヘキサノール(試料3)、l−メントール/シトラール(1/1)(試料4)を用いた際にホルムアルデヒド積分強度割合が10%以上となり、上述した条件(1)を満たすことが確認された。
上述した条件(1)を満たす疎水性成分である、l−メントール(試料1)、1−ヘキサノール(試料2)、シクロヘキサノール(試料3)、l−メントール/シトラール(1/1)(試料4)と、上述した条件(1)を満たさない疎水性成分である、シトラール(試料1C)、シネオール(試料2C)、α−テルピネオール(試料3C)とについて、以下の消臭実験を行った。
<消臭実験>
測定対象の疎水性成分によるホルムアルデヒド臭の消臭実験は、匂い袋とガス検知管を用いて次のようにして実施した。アズワン社製、F2(PVDF)バッグ1つ口キャップ付き5Lに、空気4Lを満たし、この中に10質量%ホルマリン水溶液5μLを注入した1時間後に、疎水性成分とシトラールとの1:1(質量比)混合物1mLを追加注入し、その後のホルムアルデヒドガス濃度の経時変化をガス検知管(GASTE社製、ガス検知管91ホルムアルデヒド用)にて測定した。
測定対象の疎水性成分によるホルムアルデヒド臭の消臭実験は、匂い袋とガス検知管を用いて次のようにして実施した。アズワン社製、F2(PVDF)バッグ1つ口キャップ付き5Lに、空気4Lを満たし、この中に10質量%ホルマリン水溶液5μLを注入した1時間後に、疎水性成分とシトラールとの1:1(質量比)混合物1mLを追加注入し、その後のホルムアルデヒドガス濃度の経時変化をガス検知管(GASTE社製、ガス検知管91ホルムアルデヒド用)にて測定した。
消臭実験の結果を図5に示す。初期ホルムアルデヒドガス濃度が実験ごとに多少変動するため、比較しやすいように、図5では、初期値を100%とする相対濃度にて表してある。図5に示されるように、上述した条件(1)を満たす疎水性成分は、ガス検知管による消臭実験によりホルムアルデヒドに対する消臭力の高い疎水性成分とよく一致していることがわかる。つまり、上述した条件(1)を満たさなかった疎水性成分は、ホルムアルデヒドに対する消臭性に劣るのに対し、上述した条件(1)を満たす疎水性成分は、ホルムアルデヒドに対する消臭性に優れることが確認された。この結果から、上述した条件(1)を満たす疎水性成分を含む消臭性組成物によれば、少なくともホルムアルデヒドに対する消臭性に優れた消臭性組成物を得ることができることが確認された。
なお、ホルムアルデヒドの消臭能力を持つ疎水性成分について、酢酸、イソ吉草酸、アンモニアなどの消臭性を、上記の消臭実験においてそれぞれの成分に対応するガス検知管を使用して評価したところ、同様の消臭効果を確認することができた。消臭能力についての科学的類似性は現時点で明確ではないが、ホルムアルデヒドの消臭能力を持つ疎水性成分を用いることにより、酢酸、イソ吉草酸、アンモニアなどの悪臭原因物質に対しても同様の消臭効果を発揮できるものと考えられる。
本発明は、上記実施形態、実験例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、上記実施形態、実験例に示される各構成は、それぞれ任意に組み合わせることができる。
Claims (5)
- 少なくともホルムアルデヒドの臭気を低減させる消臭性組成物であって、
以下の条件(1)を満たす疎水性成分を含む、消臭性組成物。
条件(1)
上記疎水性成分とシトラールと10質量%ホルマリン水溶液とを1:1:1の質量比で混合した混合液を室温下にて24時間静置した後、分離した疎水層について13C−NMR測定を実施して得られた13C−NMRスペクトルにおいて、上記ホルマリン水溶液によるホルムアルデヒドに由来するシグナルの積分強度の合計が、上記シトラールに由来する40ppmにおけるシグナルの積分強度の10%以上である。 - 上記疎水性成分は、メントール、シクロヘキサノール、および、1−ヘキサノールからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の消臭性組成物。
- 上記疎水性成分は、植物性精油成分を含む、請求項1または請求項2に記載の消臭性組成物。
- 上記疎水性成分が主成分とされる、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の消臭性組成物。
- 上記疎水性成分は、l−メントールを含む、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の消臭性組成物。
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