JP2020180275A - 混合組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】撥液層に優れた耐摩耗性を付与することのできる技術を提供することを目的とする。【解決手段】本発明の組成物は、下記式(G1)で表される金属化合物及びその縮合物から選ばれる少なくとも1つの金属化合物(G)、ポリシラザン(F)、並びにシロキサン鎖を含む化合物(H)の混合組成物である。M(Rg10)r(Ag1)m-r(G1)[式(G1)中、Mは、Al、Fe、In、Ge、Hf、Si、Ti、Sn、Zr、またはTaを表し、Rg10は、炭化水素鎖含有基、または水素原子を表し、rは、0または1である。複数のAg1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表し、mは、金属原子Mに応じて3〜5の整数である。]【選択図】なし
Description
本発明は、ポリシラザン、シロキサン鎖を含む化合物、及び金属化合物の混合組成物に関する。
各種の表示装置、光学素子、半導体素子、建築材料、自動車部品、ナノインプリント技術等において、基材の表面に液滴が付着することにより、基材の汚れや腐食、さらにこの汚れや腐食に由来する性能低下等の問題が生じる場合がある。そのため、これらの分野において、基材表面の撥液性が良好であることが求められている。
特許文献1には、少なくとも1つのトリアルキルシリル基含有分子鎖と、少なくとも1つの加水分解性基とがケイ素原子に結合している有機ケイ素化合物、及び加水分解性基が金属原子に結合している金属化合物が混合されたコーティング組成物について記載されており、該コーティング組成物から得られる皮膜は、撥水・撥油性と、耐光性、耐熱性を両立することができると開示されている。また、特許文献2には、トリアルキルシリル基を少なくとも1つと、加水分解性ケイ素基を2つ以上有する有機ケイ素化合物、及び金属原子に加水分解性基が少なくとも1つ結合している金属化合物が混合された組成物について記載されており、該組成物は、撥水性に加え、耐熱性及び耐光性が良好な皮膜を提供することができると開示されている。
しかしながら、特許文献1及び2では、耐摩耗性において検討の余地が残されている。また、コーティング剤を硬化させて皮膜を形成する際、実用的な速度で形成するためには、加熱が必要であるという問題もある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ポリシラザンとシロキサン鎖を含む化合物と金属化合物の混合組成物を、基材と撥液層の間である中間層用のコーティング剤(中間層形成用組成物)として用いることにより、撥液性を損なうことなく、皮膜とした際の耐摩耗性が向上し、好ましくは、常温でも実用的な速度で硬化が可能であることを見出し、本発明を完成した。本発明は以下の通りである。
[1] 下記式(G1)で表される金属化合物及びその縮合物から選ばれる少なくとも1つの金属化合物(G)、ポリシラザン(F)、並びにシロキサン鎖を含む化合物(H)の混合組成物。
M(Rg10)r(Ag1)m-r (G1)
[式(G1)中、Mは、Al、Fe、In、Ge、Hf、Si、Ti、Sn、Zr、またはTaを表し、Rg10は、炭化水素鎖含有基、または水素原子を表し、rは、0または1である。複数のAg1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表し、mは、金属原子Mに応じて3〜5の整数である。]
[2] 前記ポリシラザン(F)と前記シロキサン鎖を含む化合物(H)と前記金属化合物(G)の合計質量に対する前記シロキサン鎖を含む化合物(H)と前記金属化合物(G)の質量比が5〜95%である[1]に記載の組成物。
[3] ポリシラザン(F)が、下記式(f1)で表される構造単位を有する、[1]又は[2]に記載の組成物。
[式(f1)中、Rf11、Rf12及びRf13は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の炭化水素基、又はアルキルシリル基を表す。]
[4] ポリシラザン(F)が、前記式(f1)中のRf11及びRf12の少なくとも一方が炭素数1〜10の炭化水素基である構造単位(f2)を有する、[3]に記載の組成物。[5] ポリシラザン(F)が、前記構造単位(f2)に加えて更に、下記式(f3)で表される構造単位を有する、[4]に記載の組成物。
[式(f3)中、Rf31及びRf32は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表し、Yfは、炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表し、複数のXfは、それぞれ独立に、加水分解性基を表す。]
[6] シロキサン鎖を含む化合物(H)が下記式(H1)で表される化合物である、[1]〜[5]のいずれかに記載の組成物。
[式(H1)中、Rh1はトリアルキルシリル基とシロキサン鎖を有する分子鎖を表し、Ah1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表し、Zh1は、トリアルキルシリル基とシロキサン鎖を有する分子鎖、シロキサン骨格含有基、又は炭化水素鎖含有基を表し、Rh1及びZh1のトリアルキルシリル基に含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよく、xは0〜3の整数を表す。]
[7] 前記式(H1)中、Rh1が下記式(s3)で表される基である、[6]に記載の化合物。
[式(s3)中、複数のRs1は、それぞれ独立に、炭化水素基又はトリアルキルシリルオキシ基を表し、該炭化水素基又はトリアルキルシリルオキシ基に含まれる水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよく、
複数のRs2は、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基を表し、
n1は、1以上の整数を表し、
Zs1は、−O−又は2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−に置き換わっていてもよい。
Ys1は単結合又は−Si(Rs2)2−Ls1−を表し、該Ls1は、2価の炭化水素基を表
し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−に置き換わっていてもよい。]
[8] ポリシラザン(F)、シロキサン鎖を含む化合物(H)および金属化合物(G)の合計量が、0.2質量%以上2.6質量%未満である[1]〜[7]のいずれかに記載の組成物。
[9] シロキサン鎖を含む化合物(H)の量が、0.3質量%未満である[1]〜[8]のいずれかに記載の組成物。
[10] 基材と撥液層との中間層用である、[1]〜[9]のいずれかに記載の組成物。
[11] 前記撥液層が、シラノール基の脱水縮合反応により形成される膜である、[10]に記載の組成物。
なお、前記混合組成物は、混合後、例えば保管中に反応が進んだものも含む。
M(Rg10)r(Ag1)m-r (G1)
[式(G1)中、Mは、Al、Fe、In、Ge、Hf、Si、Ti、Sn、Zr、またはTaを表し、Rg10は、炭化水素鎖含有基、または水素原子を表し、rは、0または1である。複数のAg1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表し、mは、金属原子Mに応じて3〜5の整数である。]
[2] 前記ポリシラザン(F)と前記シロキサン鎖を含む化合物(H)と前記金属化合物(G)の合計質量に対する前記シロキサン鎖を含む化合物(H)と前記金属化合物(G)の質量比が5〜95%である[1]に記載の組成物。
[3] ポリシラザン(F)が、下記式(f1)で表される構造単位を有する、[1]又は[2]に記載の組成物。
[式(f1)中、Rf11、Rf12及びRf13は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の炭化水素基、又はアルキルシリル基を表す。]
[4] ポリシラザン(F)が、前記式(f1)中のRf11及びRf12の少なくとも一方が炭素数1〜10の炭化水素基である構造単位(f2)を有する、[3]に記載の組成物。[5] ポリシラザン(F)が、前記構造単位(f2)に加えて更に、下記式(f3)で表される構造単位を有する、[4]に記載の組成物。
[式(f3)中、Rf31及びRf32は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表し、Yfは、炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表し、複数のXfは、それぞれ独立に、加水分解性基を表す。]
[6] シロキサン鎖を含む化合物(H)が下記式(H1)で表される化合物である、[1]〜[5]のいずれかに記載の組成物。
[式(H1)中、Rh1はトリアルキルシリル基とシロキサン鎖を有する分子鎖を表し、Ah1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表し、Zh1は、トリアルキルシリル基とシロキサン鎖を有する分子鎖、シロキサン骨格含有基、又は炭化水素鎖含有基を表し、Rh1及びZh1のトリアルキルシリル基に含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよく、xは0〜3の整数を表す。]
[7] 前記式(H1)中、Rh1が下記式(s3)で表される基である、[6]に記載の化合物。
[式(s3)中、複数のRs1は、それぞれ独立に、炭化水素基又はトリアルキルシリルオキシ基を表し、該炭化水素基又はトリアルキルシリルオキシ基に含まれる水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよく、
複数のRs2は、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基を表し、
n1は、1以上の整数を表し、
Zs1は、−O−又は2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−に置き換わっていてもよい。
Ys1は単結合又は−Si(Rs2)2−Ls1−を表し、該Ls1は、2価の炭化水素基を表
し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−に置き換わっていてもよい。]
[8] ポリシラザン(F)、シロキサン鎖を含む化合物(H)および金属化合物(G)の合計量が、0.2質量%以上2.6質量%未満である[1]〜[7]のいずれかに記載の組成物。
[9] シロキサン鎖を含む化合物(H)の量が、0.3質量%未満である[1]〜[8]のいずれかに記載の組成物。
[10] 基材と撥液層との中間層用である、[1]〜[9]のいずれかに記載の組成物。
[11] 前記撥液層が、シラノール基の脱水縮合反応により形成される膜である、[10]に記載の組成物。
なお、前記混合組成物は、混合後、例えば保管中に反応が進んだものも含む。
本発明の混合組成物を、中間層形成用組成物として用いることにより、優れた耐摩耗性を有する皮膜を提供することが可能である。また、好ましい態様としては、本発明の混合組成物を中間層形成用組成物として用いることにより、常温でも実用的な速度で皮膜の硬化が可能である。
以下、ポリシラザン(F)、シロキサン鎖を含む化合物(H)、及び金属化合物(G)について順に説明する。
1.ポリシラザン(F)
本発明におけるポリシラザン(F)は、ケイ素−窒素結合を有する化合物であれば特に限定されないが、下記式(f1)で表される構造単位を有することが好ましい。
本発明におけるポリシラザン(F)は、ケイ素−窒素結合を有する化合物であれば特に限定されないが、下記式(f1)で表される構造単位を有することが好ましい。
Rf11〜Rf13で表される炭素数1〜10の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の直鎖状の飽和脂肪族炭化水素基;イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、メチルペンチル基、エチルペンチル基、メチルヘキシル基、エチルヘキシル基、プロピルヘキシル基、tert−オクチル基等の分岐状の飽和脂肪族炭化水素基;シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の環状の飽和脂肪族炭化水素基;ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等の不飽和脂肪族炭化水素基;フェニル基、ナフチル基、p−tert−ブチルフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、2,6−ジエチルフェニル基、2−メチル−6−エチルフェニル基等の芳香族炭化水素基;アルキルシクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アラルキル基等の上記に例示した炭化水素基を組合せた基が挙げられる。
該炭素数1〜10の炭化水素基が有していてもよい置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子;ヒドロキシ基;ニトロ基;アミノ基;シアノ基;チオール基;エポキシ基;グリシドキシ基;(メタ)アクロイルオキシ基;環を形成する原子数が6〜12のヘテロアリール基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜3のアルコキシ基;環を形成する炭素数が6〜12のアリールオキシ基等が挙げられる。
Rf11〜Rf13で表される炭素数1〜10の炭化水素基としては、無置換の炭素数1〜10の飽和脂肪族炭化水素基であることが好ましく、無置換の炭素数1〜6の直鎖状の飽和脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、無置換のメチル基、エチル基、プロピル基、またはブチル基であることが更に好ましく、メチル基であることが最も好ましい。
Rf11〜Rf13で表されるアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリ−t−ブチルシリル基、メチルジエチルシリル基、ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、メチルシリル基、エチルシリル基等が挙げられる。
ポリシラザン(F)は、前記式(f1)において、Rf11及びRf12の少なくとも一方が炭素数1〜10の炭化水素基である構造単位(f2)を有する、つまり有機ポリシラザンであることが好ましい。また、Rf13は水素原子であることが好ましい。
ポリシラザン(F)は、前記構造単位(f2)に加えて更に、下記式(f3)で表される構造単位を有することがより好ましい。
[式(f3)中、Rf31及びRf32は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表し、Yfは、炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表し、複数のXfは、それぞれ独立に、加水分解性基を表す。]
Rf31及びRf32で表される炭素数1〜10の炭化水素基としては、上記Rf11〜Rf13で表される炭素数1〜10の炭化水素基で説明した基と同様のものが挙げられる。中でも、炭素数1〜10の飽和脂肪族炭化水素基であることが好ましく、炭素数1〜6の直鎖状の飽和脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、またはブチル基であることが更に好ましい。
Yfで表される2価の炭化水素基としては、その炭素数が1〜4であることが好ましく、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2である。前記2価の炭化水素基は、鎖状であることが好ましく、鎖状である場合、直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよい。また、前記2価の炭化水素基は、2価の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、アルカンジイル基であることが好ましい。2価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられる。
さらに、前記2価の炭化水素基に含まれる一部の−CH2−は−O−に置き換わっていてもよい。この場合連続する2つの−CH2−が同時に−O−に置き換わることはなく、Si原子に隣接する−CH2−が−O−に置き換わることはない。2つ以上の−CH2−が−O−に置き換わっている場合、−O−と−O−の間の炭素原子数は、2〜4であることが好ましく、2〜3であることがさらに好ましい。2価の炭化水素基の一部が−O−に置き換わった基としては、具体的には、(ポリ)エチレングリコール単位を有する基、(ポリ)プロピレングリコール単位を有する基等を例示することができる。
Xfで表される加水分解性基としては、加水分解によりヒドロキシ基(シラノール基)を与える基であればよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基;ヒドロキシ基;アセトキシ基;塩素原子;イソシアネート基;等を好ましく挙げることができる。中でも、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜2のアルコキシ基がより好ましい。複数のXfは、同一でも異なっていてもよく、同一であることが好ましい。
前記式(f3)のSiXf 3基は、前記ポリシラザン(F)100質量%に対して、2質量%以上含有することが好ましく、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは8質量%以上である。上限は限定されないが、50質量%以下であってもよく、40質量%以下であってもよく、30質量%以下であってもよい。
ポリシラザン(F)が有機ポリシラザンの場合、Si−Hの水素原子、及びSiに結合した炭素数1〜10の炭化水素基の含有比は適宜選択できるが、例えば炭化水素基/水素原子のモル比は0.1〜50であり、好ましくは0.2〜10である。なお、これらのモル比は、NMR測定等から算出できる。
組成物の全体を100質量%としたときのポリシラザン(F)の量は、0.01質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上、より更に好ましくは0.3質量%以上であり、また2.5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1.5質量%以下、より更に好ましくは1質量%以下である。
2.シロキサン鎖を含む化合物(H)
本発明におけるシロキサン鎖を含む化合物(H)は、シロキサン結合を少なくとも1つ
有する化合物であれば特に限定されず、該シロキサン鎖は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよいが、直鎖状であることが好ましい。
本発明におけるシロキサン鎖を含む化合物(H)は、シロキサン結合を少なくとも1つ
有する化合物であれば特に限定されず、該シロキサン鎖は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよいが、直鎖状であることが好ましい。
シロキサン鎖としては、ジアルキルシロキサン鎖を含むことが好ましく、直鎖状ジアルキルシロキサン鎖を含むことがより好ましい。また前記シロキサン鎖は、シロキサン結合以外の2価の基をさらに含んでいてもよく、該2価の基としては、2価の炭化水素基、2価の炭化水素基の一部のメチレン基(−CH2−)が酸素原子に置き換わった基、及び−O−等が挙げられる。
シロキサン鎖の末端には、シリル基が結合していることが好ましい。シリル基はケイ素原子に3つの置換基が結合した基であり、該置換基としては、水素原子、炭化水素鎖含有基、アルキルシリルオキシ基及び加水分解性基等が挙げられる。
上記炭化水素鎖含有基は、少なくとも一部に炭化水素鎖を有する基を意味し、通常、炭化水素基(炭化水素鎖)のみから構成されるが、必要により、この炭化水素鎖の一部のメチレン基(−CH2−)が酸素原子に置き換わった基であってもよい。また、Si原子に隣接するメチレン基(−CH2−)は酸素原子に置き換わることはなく、また連続する2つのメチレン基(−CH2−)が同時に酸素原子に置き換わることもない。
なお、炭化水素鎖含有基の炭素数とは、酸素非置換型の炭化水素鎖含有基では炭化水素基(炭化水素鎖)を構成する炭素原子の数を意味し、酸素置換型の炭化水素鎖含有基では、酸素原子をメチレン基(−CH2−)と仮定して数えた炭素原子の数を意味するものとする。
以下、特に断りがない限り、酸素非置換型の炭化水素鎖含有基(すなわち1価の炭化水素基)を例にとって炭化水素鎖含有基について説明するが、いずれの説明でも、炭化水素鎖含有基を構成するメチレン基(−CH2−)のうち一部を酸素原子に置き換えることが可能である。
なお、炭化水素鎖含有基の炭素数とは、酸素非置換型の炭化水素鎖含有基では炭化水素基(炭化水素鎖)を構成する炭素原子の数を意味し、酸素置換型の炭化水素鎖含有基では、酸素原子をメチレン基(−CH2−)と仮定して数えた炭素原子の数を意味するものとする。
以下、特に断りがない限り、酸素非置換型の炭化水素鎖含有基(すなわち1価の炭化水素基)を例にとって炭化水素鎖含有基について説明するが、いずれの説明でも、炭化水素鎖含有基を構成するメチレン基(−CH2−)のうち一部を酸素原子に置き換えることが可能である。
前記炭化水素鎖含有基は、それが炭化水素基の場合には、炭素数は1以上、3以下であることが好ましく、より好ましくは1である。また、前記炭化水素鎖含有基は、分岐鎖であっても直鎖であってもよい。前記炭化水素鎖含有基は、飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素鎖含有基であることが好ましく、飽和脂肪族炭化水素鎖含有基であることがより好ましい。前記飽和脂肪族炭化水素鎖含有基としては、飽和脂肪族炭化水素基(アルキル基)がより好ましい。飽和脂肪族炭化水素基には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が含まれる。
飽和脂肪族炭化水素基の一部のメチレン基(−CH2−)が酸素原子に置き換わる場合、具体的には、(ポリ)エチレングリコール単位を有する基等を例示することができる。
前記加水分解性基としては、加水分解によりヒドロキシ基(シラノール基)を与える基であればよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ヒドロキシ基;アセトキシ基;塩素原子;イソシアネート基;等を好ましく挙げることができる。中でも、炭素数1〜6のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1〜4のアルコキシ基であることがより好ましく、炭素数1〜2のアルコキシ基がさらに好ましい。
前記アルキルシリルオキシ基としては、モノアルキルシリルオキシ基、ジアルキルシリルオキシ基、及びトリアルキルシリルオキシ基が挙げられ、中でもトリアルキルシリルオキシ基が好ましい。トリアルキルシリルオキシ基としては、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基トリプロピルシリルオキシ基等が例示される。
1つのケイ素原子が複数の置換基を有している場合、複数の置換基は同一であっても異なっていてもよい。
シロキサン鎖の末端には、少なくとも1つの加水分解性基が結合したケイ素原子が結合していることが好ましく、2つ以上の加水分解性基が結合したケイ素原子が結合していることがより好ましく、3つの加水分解性基が結合したケイ素原子が結合していることが更に好ましい。該加水分解性基が結合したケイ素原子は、シロキサン鎖の片末端に結合していてもよいし、シロキサン鎖の両末端に結合していてもよいが、片末端側にのみ結合していることが好ましい。
シロキサン鎖の両末端には、置換基として3つのアルコキシ基を有するシリル基(トリアルコキシシリル基)、置換基として3つのアルキル基を有するシリル基(トリアルキルシリル基)、及び置換基として3つのトリアルキルシリルオキシ基を有するシリル基(トリス(トリアルキルシリルオキシ)シリル基)のいずれかが結合していることがより好ましく、片末端側にトリアルコキシシリル基、もう一方の末端側にトリアルキルシリル基又はトリス(トリアルキルシリルオキシ)シリル基が結合していることが特に好ましい。
本発明のシロキサン鎖を含む化合物(H)のより好ましい態様としては、トリアルキルシリル基とシロキサン鎖を有する分子鎖(以下、この分子鎖を「分子鎖(ts1)」という場合がある)が、少なくとも1つケイ素原子(以下、このケイ素原子を「中心ケイ素原子」という場合がある)に結合している化合物である。
シロキサン鎖を含む化合物(H)において、中心ケイ素原子に結合する分子鎖(ts1)の個数は、1以上であり、3以下であることが好ましく、より好ましくは2以下であり、特に好ましくは1である。
シロキサン鎖を含む化合物(H)の中心ケイ素原子には、分子鎖(ts1)のほか、加水分解性基、前記分子鎖(ts1)を構成する原子数よりも少ない原子数のシロキサン骨格含有基、又は分子鎖(ts1)を構成する原子数よりも少ない炭素数の炭化水素鎖を含有する炭化水素鎖含有基が結合していてもよい。
前記シロキサン鎖を含む化合物(H)は、具体的には、下記式(H1)で表される化合物であることが好ましい。
式(H1)中、Rh1はトリアルキルシリル基とシロキサン鎖を有する分子鎖を表し、Ah1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表し、Zh1は、トリアルキルシリル基とシロキサン鎖を有する分子鎖、シロキサン骨格含有基、又は炭化水素鎖含有基を表し、Rh1及びZh1のトリアルキルシリル基に含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよく、xは0〜3の整数を表す。
Rh1のトリアルキルシリル基とシロキサン鎖を有する分子鎖(分子鎖(ts1))は、トリアルキルシリル含有基が前記シロキサン鎖の末端に結合した構造を有する1価の基である。トリアルキルシリル含有基のアルキル基がフルオロアルキル基に置き換わっていてもよい。
前記トリアルキルシリル含有基は、少なくとも1つのトリアルキルシリル基を含む基であり、好ましくは2つ以上、さらに好ましくは3つのトリアルキルシリル基を含む。トリアルキルシリル含有基は、式(s1)で表される基であることが好ましい。
式(s1)中、複数のRs1は、それぞれ独立に、炭化水素基又はトリアルキルシリルオキシ基を表し、該炭化水素基又はトリアルキルシリルオキシ基に含まれる水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよい。*は結合手を表す。
上記式(s1)において、Rs1の少なくとも1つがトリアルキルシリルオキシ基であるか、Rs1が全てアルキル基であることが好ましい。
Rs1が炭化水素基である場合、その炭素数は、1〜4であることが好ましく、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2である。Rs1が炭化水素基である場合、脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。該アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。複数のRs1は、同一でも異なっていてもよく、同一であることが好ましい。Rs1が全て炭化水素基である場合(特にアルキル基)、3つのRs1の合計の炭素数は、9以下であることが好ましく、より好ましくは6以下、さらに好ましくは4以下である。3つのRs1のうち少なくとも1つがメチル基であることが好ましく、少なくとも2つがメチル基であることがより好ましく、3つのRs1全てがメチル基であることが特に好ましい。
Rs1が全て炭化水素基(アルキル基)である基(トリアルキルシリル基)としては、具体的には、下記式で表される基等が挙げられる。式中、*は結合手を表す。
前記トリアルキルシリルオキシ基としては、Rs1が全て炭化水素基(アルキル基)である基(トリアルキルシリル基)のケイ素原子に酸素原子が結合している基が挙げられる。上記式(s1)において、Rs1の少なくとも1つがトリアルキルシリルオキシ基であることが好ましく、より好ましくは2つ以上、さらに好ましくは3つのRs1がトリアルキルシリルオキシ基である。
Rs1の少なくとも1つがトリアルキルシリルオキシ基である基としては、下記式で表される基が挙げられる。
分子鎖(ts1)において、トリアルキルシリル含有基は、前記シロキサン鎖の末端(自由端側)、特にシロキサン鎖の主鎖(最長直鎖)の末端(自由端側)に結合していることが好ましい。
トリアルキルシリル含有基が結合しているシロキサン鎖は、上記で説明したシロキサン鎖と同様であり、直鎖状ジアルキルシロキサン鎖を含むことが好ましい。また前記シロキサン鎖は、2価の炭化水素基を含んでいてもよい。シロキサン鎖の一部が2価の炭化水素基であっても、残部がジアルキルシロキサン鎖であるため、得られる皮膜の化学的・物理的耐久性が良好である。
前記シロキサン鎖は、式(s2)で表される基であることが好ましい。
式(s2)中、複数のRs2は、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基を表す。Zs1は、−O−又は2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−に置き換わっていてもよい。Ys1は、単結合又は−Si(Rs2)2−Ls1−を表す。Ls1は、2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−に置き換わっていてもよい。左側の*は、中心ケイ素原子との結合手を表し、右側の*はトリアルキルシリル含有基との結合手を表す。n1は1以上の整数を表す。
Rs2の炭素数は、1〜4であることが好ましく、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2である。
n1は、1〜100であることが好ましく、より好ましくは1〜80、さらに好ましくは1〜60、よりさらに好ましくは1〜50、特に好ましくは1〜30である。
Zs1又はLs1で表される2価の炭化水素基の炭素数は、1〜10であることが好ましく、より好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4である。前記2価の炭化水素基は、鎖状であることが好ましく、鎖状である場合、直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよい。また、前記2価の炭化水素基は、2価の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、アルカンジイル基であることが好ましい。2価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられる。
さらに、前記2価の炭化水素基に含まれる一部の−CH2−は−O−に置き換わっていてもよい。この場合連続する2つの−CH2−が同時に−O−に置き換わることはなく、Si原子に隣接する−CH2−が−O−に置き換わることはない。2つ以上の−CH2−が−O−に置き換わっている場合、−O−と−O−の間の炭素原子数は、2〜4であることが好ましく、2〜3であることがさらに好ましい。2価の炭化水素基の一部が−O−に置き換わった基としては、具体的には、(ポリ)エチレングリコール単位を有する基、(ポリ)プロピレングリコール単位を有する基等を例示することができる。
前記式(s2)において、Zs1が−O−であり、Ys1が単結合であること、すなわち前記シロキサン鎖は、ジアルキルシリルオキシ基の繰り返しのみからなることが好ましい。ジアルキルシロキサン鎖がジアルキルシリルオキシ基の繰り返しのみからなる場合、得られる皮膜の化学的・物理的耐久性が良好である。
分子鎖(ts1)に含まれるシロキサン鎖としては、下記式で表されるシロキサン鎖を挙げることができる。式中、q1は1〜60の整数を表し、*は、中心ケイ素原子又はトリアルキルシリル含有基に結合する結合手を表すものとする。
また、分子鎖(ts1)を構成する原子の合計数は、24以上であることが好ましく、より好ましくは40以上、さらに好ましくは50以上であり、また、好ましくは5000以下、より好ましくは4000以下、さらに好ましくは2000以下、さらにより好ましくは1200以下、特に好ましくは700以下、最も好ましく250以下である。
分子鎖(ts1)は、下記式(s3)で表される基であることが好ましい。
式(s3)中、Rs1、Rs2、Zs1、Ys1、n1は、上記と同義である。*は、中心ケイ素原子との結合手を表す。
分子鎖(ts1)は、下記式(s3−1)で表される基であることが好ましく、下記式(s3−1−1)で表される基であることがより好ましい。
式(s3−1)及び式(s3−1−1)中、Rs2、Ys1、Zs1、n1は上記と同義である。Rs3は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。*は、中心ケイ素原子との結合手を表す。
Rs3で表されるアルキル基の炭素数は1〜3であることが好ましく、より好ましくは1〜2である。また、式(s3−1)及び式(s3−1−1)中、−Si(Rs3)3に含まれるRs3の合計の炭素数は、9以下であることが好ましく、より好ましくは6以下、さらに好ましくは4以下である。さらに、−Si(Rs3)3に含まれるRs3のうち、Rs3は少
なくとも1つがメチル基であることが好ましく、2つ以上のRs3がメチル基であることが好ましく、3つのRs3全てがメチル基であることが特に好ましい。
なくとも1つがメチル基であることが好ましく、2つ以上のRs3がメチル基であることが好ましく、3つのRs3全てがメチル基であることが特に好ましい。
また、分子鎖(ts1)は、下記式(s3−2)で表される基であることがさらに好ましく、下記式(s3−2−1)で表される基であることが特に好ましい。
式(s3−2)及び(s3−2−1)中、Rs2、Ys1、Zs1、n1は上記と同義である。Rs4は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。*は中心ケイ素原子との結合手を表す。
Rs4で表される炭素数1〜4のアルキル基としては、上記Rs3で説明した基が挙げられ、その好ましい範囲も同様である。
分子鎖(ts1)としては式(s3−I)で表される基が挙げられる。式(s3−I)中、*は中心ケイ素原子との結合手を表す。
上記表1、表2に示したn30は、1〜30であることが好ましい。
次に、式(H1)におけるAh1について説明する。Ah1は、それぞれ独立に、加水分解性基であり、加水分解によりヒドロキシ基(シラノール基)を与える基であればよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ヒドロキシ基;アセトキシ基;塩素原子;イソシアネート基;等を好ましく挙げることができる。中でも、炭素数1〜6のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1〜4のアルコキシ基であることがより好ましく、炭素数1〜2のアルコキシ基がさらに好ましい。
式(H1)におけるZh1は、トリアルキルシリル基とシロキサン鎖を有する分子鎖、シロキサン骨格含有基、又は炭化水素鎖含有基を表す。Zh1がトリアルキルシリル基とシロキサン鎖を有する分子鎖である場合は、上記Rh1と同様のものが挙げられる。
Zh1がシロキサン骨格含有基である場合、該シロキサン骨格含有基は、シロキサン単位(Si−O−)を含有する1価の基であり、Rh1の分子鎖(ts1)を構成する原子数よりも少ない数の原子で構成されるものであることが好ましい。これにより、シロキサン骨格含有基は、分子鎖(ts1)よりも長さが短いか、立体的な広がり(かさ高さ)が小さな基となる。シロキサン骨格含有基には、2価の炭化水素基が含まれていてもよい。
シロキサン骨格含有基は、下記式(s4)で表される基であることが好ましい。
式(s4)中、Rs2、Zs1、及びYs1は上記と同義である。Rs5は、炭化水素基又はヒドロキシ基を表し、該炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−に置き換わっていてもよく、該炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよい。n3は、0〜5の整数を表す。*は、中心ケイ素原子との結合手を表す。
Rs5で表される炭化水素基としては、Rs1で表される炭化水素基と同様の基が挙げられ、脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。炭素数は1〜4であることが好ましく、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2である。
n3は、1〜5であることが好ましく、より好ましくは1〜3である。
シロキサン骨格含有基の原子数の合計は、600以下が好ましく、より好ましくは500以下、さらに好ましくは350以下、さらにより好ましくは100以下、特に好ましくは50以下、最も好ましくは30以下であり、また10以上が好ましい。また、Rh1の分子鎖(ts1)とZh1のシロキサン骨格含有基の原子数の差は、10以上であることが好ましく、より好ましくは20以上であり、1000以下であることが好ましく、より好ましくは500以下、さらに好ましくは200以下である。
シロキサン骨格含有基としては、具体的には、下記式で表される基が挙げられる。
Zh1が炭化水素鎖含有基である場合、Rh1における分子鎖(ts1)を構成する原子数よりも炭化水素鎖部分の炭素数が少ないものであればよい。また、分子鎖(ts1)の最長直鎖を構成する原子数よりも、炭化水素鎖の最長直鎖の炭素数が少ないものであることが好ましい。炭化水素鎖含有基としては、上記で例示された炭化水素鎖含有基と同様の基を例示することができる。
式(H1)におけるxは、2以下であることが好ましく、より好ましくは0または1であり、更に好ましくは0である。
式(H1)で表されるシロキサン鎖を含む化合物(H)は、下記式(H2)で表される化合物であることが好ましい。
式(H2)中、Rs1、Rs2、Zs1、Ys1、n1、Ah1、Zh1、xは、それぞれ上記と同義である。
式(H2)で表されるシロキサン鎖を含む化合物(H)は、下記式(H2−1)で表される化合物であることが好ましく、式(H2−1−1)で表される化合物であることがより好ましい。
式(H2−1)及び式(H2−1−1)中、Rs2、Rs3、Ys1、Zs1、n1、Ah1は上記と同義である。
式(H2)で表されるシロキサン鎖を含む化合物(H)は、下記式(H2−2)で表される化合物であることがさらに好ましく、特に好ましくは式(H2−2−1)で表される化合物である。
式(H2−2)及び式(H2−2−1)中、Rs2、Rs4、Ys1、Zs1、n1、Ah1は上記と同義である。
式(H2)で表されるシロキサン鎖を含む化合物(H)としては、具体的には、式(H−I)で表される化合物が挙げられる。
上記シロキサン鎖を含む化合物(H)としては、下記式(H3)及び下記式(H4)で表される化合物がより好ましい。
[式(H3)中、n2は、1〜60の整数である。]
[式(H4)中、n4は、1〜60の整数である。]
上記n2及びn4は、より好ましくは2以上の整数、更に好ましくは3以上の整数であり、より好ましくは50以下の整数、更に好ましくは45以下の整数、より更に好ましくは30以下の整数、特に好ましくは25以下の整数である。
シロキサン鎖を含む化合物(H)の数平均分子量(Mn)は、300以上であることが好ましく、より好ましくは350以上、さらに好ましくは400以上であり、また、5200以下であることが好ましく、より好ましくは4000以下、さらに好ましくは3500以下、よりさらに好ましくは3200以下、特に好ましくは3000以下、最も好ましくは2500以下である。
上記数平均分子量(Mn)は、例えばゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて、以下の条件で測定することができる。なお、前処理として、溶離液にて溶解後、0.45μmメンブランフィルタによってろ過したものを測定溶液とすることが好ましい。
[測定条件]
装置: 島津LC−10
カラム:OligoPore、PLgel MIXED-D
溶離液:トルエン
流量:1.0-mL/min
検出器:RI検出器
カラム温度:35℃
注入量:50μL
分子量標準:標準ポリスチレン 110000、100000、43000、3800
0、6000、2600、600
[測定条件]
装置: 島津LC−10
カラム:OligoPore、PLgel MIXED-D
溶離液:トルエン
流量:1.0-mL/min
検出器:RI検出器
カラム温度:35℃
注入量:50μL
分子量標準:標準ポリスチレン 110000、100000、43000、3800
0、6000、2600、600
組成物の全体を100質量%としたときの、シロキサン鎖を含む化合物(H)の量は、0.005質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.03質量%以上であり、また、1.0質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.3質量%未満、より更に好ましくは0.2質量%以下、特に好ましくは0.15質量%以下である。
上記シロキサン鎖を含む化合物(H)の量は、組成物の調製時に調整できる。前記シロキサン鎖を含む化合物(H)の量は、組成物の分析結果から算出してもよい。なお、本明細書において、各成分の量や質量比の範囲を記載している場合、上記と同様に、該範囲は、組成物の調製時に調整できる。
本発明の組成物において、所定量のシロキサン鎖を含む化合物(H)を用いることにより、組成物を基材に接触させる際の塗工性が向上する。
シロキサン鎖を含む化合物(H)の合成方法の例としては、特開2017−201009号公報に記載の方法が挙げられる。
3.金属化合物(G)
本発明の金属化合物(G)は、下記式(G1)で表される金属化合物及びその縮合物から選ばれる少なくとも1つである。
本発明の金属化合物(G)は、下記式(G1)で表される金属化合物及びその縮合物から選ばれる少なくとも1つである。
M(Rg10)r(Ag1)m-r (G1)
[式(G1)中、Mは、Al、Fe、In、Ge、Hf、Si、Ti、Sn、Zr、またはTaを表し、Rg10は、炭化水素鎖含有基、または水素原子を表し、rは、0または1である。複数のAg1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表し、mは、金属原子Mに応じて3〜5の整数である。]
[式(G1)中、Mは、Al、Fe、In、Ge、Hf、Si、Ti、Sn、Zr、またはTaを表し、Rg10は、炭化水素鎖含有基、または水素原子を表し、rは、0または1である。複数のAg1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表し、mは、金属原子Mに応じて3〜5の整数である。]
上記式(G1)で表される金属化合物は、金属原子Mに、少なくとも加水分解性基Ag1が結合した化合物である。なお、本明細書において「金属」とは、SiやGeなどの半金属も含む意味で用いる。
金属原子Mとしては、Al、Si、Ti、Sn又はZrであることが好ましく、Al、Si、Ti又はZrであることがより好ましく、Siであることが更に好ましい。
Ag1で表される加水分解性基としては、加水分解によりヒドロキシ基(シラノール基等)を与える基であればよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ヒドロキシ基;アセトキシ基;塩素原子;イソシアネート基;等を好ましく挙げることができる。中でも、炭素数1〜6のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1〜4のアルコキシ基であることがより好ましく、炭素数1〜2のアルコキシ基がさらに好ましい。
Rg10で表される炭化水素鎖含有基は、少なくとも一部に炭化水素基を有する基を意味
し、通常、炭化水素基(炭化水素鎖)のみから構成されるが、必要により、この炭化水素鎖の一部のメチレン基(−CH2−)が酸素原子に置き換わった基であってもよい。また、金属原子Mに隣接するメチレン基(−CH2−)は酸素原子に置き換わることはなく、また連続する2つのメチレン基(−CH2−)が同時に酸素原子に置き換わることもない。
なお、炭化水素鎖含有基の炭素数とは、酸素非置換型の炭化水素鎖含有基では炭化水素基(炭化水素鎖)を構成する炭素原子の数を意味し、酸素置換型の炭化水素鎖含有基では、酸素原子をメチレン基(−CH2−)と仮定して数えた炭素原子の数を意味するものとする。
以下、特に断りがない限り、酸素非置換型の炭化水素鎖含有基(すなわち1価の炭化水素基)を例にとって炭化水素鎖含有基について説明するが、いずれの説明でも、炭化水素鎖含有基を構成するメチレン基(−CH2−)のうち一部を酸素原子に置き換えることが可能である。
し、通常、炭化水素基(炭化水素鎖)のみから構成されるが、必要により、この炭化水素鎖の一部のメチレン基(−CH2−)が酸素原子に置き換わった基であってもよい。また、金属原子Mに隣接するメチレン基(−CH2−)は酸素原子に置き換わることはなく、また連続する2つのメチレン基(−CH2−)が同時に酸素原子に置き換わることもない。
なお、炭化水素鎖含有基の炭素数とは、酸素非置換型の炭化水素鎖含有基では炭化水素基(炭化水素鎖)を構成する炭素原子の数を意味し、酸素置換型の炭化水素鎖含有基では、酸素原子をメチレン基(−CH2−)と仮定して数えた炭素原子の数を意味するものとする。
以下、特に断りがない限り、酸素非置換型の炭化水素鎖含有基(すなわち1価の炭化水素基)を例にとって炭化水素鎖含有基について説明するが、いずれの説明でも、炭化水素鎖含有基を構成するメチレン基(−CH2−)のうち一部を酸素原子に置き換えることが可能である。
前記炭化水素鎖含有基は、それが炭化水素基の場合には、炭素数は1以上18以下であることが好ましく、より好ましくは炭素数1以上10以下であり、さらに好ましくは炭素数1以上6以下であり、さらにより好ましくは1である。また、前記炭化水素鎖含有基は、分岐鎖であっても直鎖であってもよい。前記炭化水素鎖含有基は、飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素鎖含有基であることが好ましく、飽和脂肪族炭化水素鎖含有基であることがより好ましい。前記飽和脂肪族炭化水素鎖含有基としては、飽和脂肪族炭化水素基がより好ましい。飽和脂肪族炭化水素基には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が含まれる。
飽和脂肪族炭化水素基の一部のメチレン基(−CH2−)が酸素原子に置き換わる場合、具体的には、(ポリ)エチレングリコール単位を有する基等を例示することができる。
mは金属原子Mの価数であり、金属原子MがAl、Fe、In等の3価金属の場合には3であり、金属原子MがGe、Hf、Si、Ti、Sn、Zr等の4価金属の場合には4であり、金属原子MがTa等の5価金属の場合には5である。
上記式(G1)で表される金属化合物としては、r=0、すなわち金属原子Mに加水分解性基Ag1のみが結合した金属化合物G11;または、r=1、すなわち金属原子Mに、炭化水素鎖含有基、または水素原子が1つと、加水分解性基Ag1が2つ以上結合した金属化合物G12;が挙げられる。
3−1.金属化合物G11
金属原子Mに、加水分解性基Ag1のみが結合した金属化合物G11としては、具体的には、トリエトキシアルミニウム、トリプロポキシアルミニウム、トリブトキシアルミニウム等のトリアルコキシアルミニウム;トリエトキシ鉄等のトリアルコキシ鉄;トリメトキシインジウム、トリエトキシインジウム、トリプロポキシインジウム、トリブトキシインジウム等のトリアルコキシインジウム;テトラメトキシゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム、テトラプロポキシゲルマニウム、テトラブトキシゲルマニウム等のテトラアルコキシゲルマニウム;テトラメトキシハフニウム、テトラエトキシハフニウム、テトラプロポキシハフニウム、テトラブトキシハフニウム等のテトラアルコキシハフニウム;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン;テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン等のテトラアルコキシチタン;テトラメトキシスズ、テトラエトキシスズ、テトラプロポキシスズ、テトラブトキシスズ等のテトラアルコキシスズ;テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム等のテトラアルコキシジルコニウム;ペンタメトキシタンタル、ペンタエトキシタンタル、ペンタプロポキシタンタル、ペンタブトキシタンタル等のペンタアルコキシタンタル;等が挙げられる。
金属原子Mに、加水分解性基Ag1のみが結合した金属化合物G11としては、具体的には、トリエトキシアルミニウム、トリプロポキシアルミニウム、トリブトキシアルミニウム等のトリアルコキシアルミニウム;トリエトキシ鉄等のトリアルコキシ鉄;トリメトキシインジウム、トリエトキシインジウム、トリプロポキシインジウム、トリブトキシインジウム等のトリアルコキシインジウム;テトラメトキシゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム、テトラプロポキシゲルマニウム、テトラブトキシゲルマニウム等のテトラアルコキシゲルマニウム;テトラメトキシハフニウム、テトラエトキシハフニウム、テトラプロポキシハフニウム、テトラブトキシハフニウム等のテトラアルコキシハフニウム;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン;テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン等のテトラアルコキシチタン;テトラメトキシスズ、テトラエトキシスズ、テトラプロポキシスズ、テトラブトキシスズ等のテトラアルコキシスズ;テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム等のテトラアルコキシジルコニウム;ペンタメトキシタンタル、ペンタエトキシタンタル、ペンタプロポキシタンタル、ペンタブトキシタンタル等のペンタアルコキシタンタル;等が挙げられる。
3−2.金属化合物G12
金属原子Mに、炭化水素鎖含有基、または水素原子が1つと、加水分解性基Ag1が2つ以上結合した金属化合物G12は、金属原子Mが4価の金属(Ge、Hf、Si、Ti、Sn、Zr等)であることが好ましく、金属原子MがSiであることがより好ましい。金属原子MがSiの場合の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のアルケニルトリアルコキシシラン;トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン等のトリアルコキシシラン;ジメトキシメチルシラン、ジエトキシメチルシラン等のジアルコキシアルキルシラン等が挙げられる。
金属原子Mに、炭化水素鎖含有基、または水素原子が1つと、加水分解性基Ag1が2つ以上結合した金属化合物G12は、金属原子Mが4価の金属(Ge、Hf、Si、Ti、Sn、Zr等)であることが好ましく、金属原子MがSiであることがより好ましい。金属原子MがSiの場合の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のアルケニルトリアルコキシシラン;トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン等のトリアルコキシシラン;ジメトキシメチルシラン、ジエトキシメチルシラン等のジアルコキシアルキルシラン等が挙げられる。
上記式(G1)で表される金属化合物としては、具体的には、下記式(G2)で表される化合物が好ましい。
Si(ORg21)y(Rg22)4-y (G2)
[式(G2)中、Rg21は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、Rg22は、炭化水素鎖含有基、または水素原子を表し、yは、3または4である。]
Si(ORg21)y(Rg22)4-y (G2)
[式(G2)中、Rg21は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、Rg22は、炭化水素鎖含有基、または水素原子を表し、yは、3または4である。]
Rg21で表されるアルキル基の炭素数は、1〜4が好ましく、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1または2である。
Rg21で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
Rg22で表される炭化水素鎖含有基としては、上記Rg10で表される炭化水素鎖含有基で説明した基と同様のものが挙げられ、好ましい範囲も同様である。
式(G1)で表される金属化合物の縮合物としては、例えば、複数の式(G1)で表される金属化合物間において、加水分解性基が加水分解・縮合反応することにより形成された化合物が挙げられる。複数の式(G1)で表される金属化合物は同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。式(G1)で表される金属化合物が2〜60個縮合した縮合物であることが好ましく、2〜40個縮合した化合物であることがより好ましく、2〜20個縮合した縮合物であることがさらに好ましく、2〜10個縮合した縮合物であることがよりさらに好ましい。式(G1)で表される金属化合物を加水分解縮合させて縮合物を得てもよいし、適宜市販のシロキサンオリゴマーやレジンを用いてもよい。
金属化合物(G)は、上記式(G2)で表される化合物及びその縮合物から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
上記式(G2)で表される化合物の縮合物としては、複数の式(G2)で表される金属化合物間において、(ORg21)基が加水分解・縮合反応することにより形成された化合物であることが好ましく、複数の式(G2)で表される金属化合物は同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。式(G2)で表される化合物の縮合物としては、式(G2)で表される金属化合物が2〜60個縮合した縮合物であることが好ましく、2〜40個縮合した化合物であることがより好ましく、2〜20個縮合した縮合物であることがさらに好ましく、2〜10個縮合した縮合物であることがよりさらに好ましい。また、式(G2)で表される化合物の縮合物としては、テトラアルコキシシランの縮合物であることが好ましく、テトラメトキシシラン又はテトラエトキシシランの縮合物であることがより好ましく、テトラエトキシシランの縮合物であることが特に好ましい。式(G2)で表される化合物の縮合物としては、具体的にコルコート株式会社製のエチルシリケート40、エチルシリケート48、メチルシリケート51、メチルシリケート53A等が例示される。
また、金属化合物(G)を2種以上用いてもよい。
組成物の全体を100質量%としたときの、金属化合物(G)の量は、0.01質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上、より更に好ましくは0.15質量%以上であり、また10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは1質量%以下、より更に好ましくは0.8質量%以下である。
組成物の全体を100質量%としたときの、ポリシラザン(F)、シロキサン鎖を含む化合物(H)、及び金属化合物(G)の合計量は、0.3質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.4質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、また、5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2.6質量%未満、より更に好ましくは1.5質量%以下、特に好ましくは1.2質量%以下である。
ポリシラザン(F)、シロキサン鎖を含む化合物(H)、及び金属化合物(G)の合計量に対する、シロキサン鎖を含む化合物(H)及び金属化合物(G)の質量比((H+G)/(F+H+G))は、1%以上であることが好ましく、より好ましくは5%以上、更に好ましくは8%以上であり、また、95%以下であることが好ましく、より好ましくは85%以下、更に好ましくは80%以下、より更に好ましくは70%以下、特に好ましくは60%以下である。前記質量比が小さすぎると、外観不良が生じることがあり、また、前記質量比が大きすぎると、撥液層に優れた硬化性を付与することができない場合がある。
本発明の混合組成物は、上記ポリシラザン(F)、シロキサン鎖を含む化合物(H)、及び金属化合物(G)が混合された組成物であり、それら(F)〜(H)を混合することにより得られる。
4.溶剤(I)
本発明の組成物には、溶剤(I)が用いられていてもよい。
本発明の組成物には、溶剤(I)が用いられていてもよい。
溶剤(I)としては、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、アミド系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。
前記アルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1−プロポキシ2−プロパノール等が挙げられ、前記エーテル系溶媒としては、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジブチルエーテル等が挙げられ、ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン(2−ブタノン)等が挙げられ、エステル系溶媒としては、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられ、アミド系溶媒としては、ジメチルホルムアミド等が挙げられ、脂肪族炭化水素系溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、ミネラルスピリット等が挙げられ、芳香族炭化水素系溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等が挙げられる。中でも、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒が好ましく、脂肪族炭化水素系溶媒がより好ましい。これらの溶媒は1種類を用いてもよいし、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。コーティング液の安定性が増し、塗工ブレや塗工時の異物が低減できることから、溶剤(I)は、水分を有していないことが好ましい。
組成物の全体を100質量%としたときの、溶剤(I)の量は、50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。上限は、ポリシラザン(F)、シロキサン鎖を含む化合物(H)、金属化合物(G)、及びこれら以外の添加成分(以下、第三成分という)の量に応じて設定され、ポリシラザン(F)、シロキサン鎖を含む化合物(H)、金属化合物(G)、及び第三成分以外が溶剤(I)であってもよい。
本発明の混合組成物は、上記したポリシラザン(F)、シロキサン鎖を含む化合物(H)、及び金属化合物(G)の他に、溶剤(I)も混合して得るのが好ましい。
本発明の混合組成物の調整の際、触媒を共存させてもよい。本発明において、前記触媒は、ポリシラザンを硬化させ得る触媒が好ましく、例えば、1−メチルピペラジン、1−メチルピペリジン、4,4’−トリメチレンジピペリジン、4,4’−トリメチレンビス(1−メチルピペリジン)、ジアザビシクロ−[2.2.2]オクタン、シス−2,6−ジメチルピペラジン、4−(4−メチルピペリジン)ピリジン、ピリジン、ジピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、ピペリジン、ルチジン、ピリミジン、ピリダジン、4,4’−トリメチレンジピリジン、2−(メチルアミノ)ピリジン、ピラジン、キノリン、キノキサリン、トリアジン、ピロール、3−ピロリン、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、1−メチルピロリジンなどのN−ヘテロ環状化合物、例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ペンチルアミン、ジペンチルアミン、トリペンチルアミン、ヘキシルアミン、ジヘキシルアミン、トリヘキシルアミン、ヘプチルアミン、ジヘプチルアミン、オクチルアミン、ジオクチルアミン、トリオクチルアミン、フェニルアミン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミンなどのアミン類、例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]7−ウンデセン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]5−ノネン(DBN)、1,5,9−トリアザシクロドデカン、1,4,7−トリアザシクロノナンなどが挙げられる。
また、触媒としては上記触媒の他、ケイ素原子に結合する加水分解性基の加水分解・縮合触媒として作用する触媒も好ましく、かかる触媒として、例えば、酸性化合物;塩基性化合物;有機金属化合物;等が挙げられる。前記酸性化合物としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、過酸化水素、塩素酸、次亜塩素酸等の無機酸;酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、マレイン酸、ステアリン酸等の有機酸;等が挙げられる。前記塩基性化合物としては、アンモニア等が挙げられる。前記有機金属化合物としては、Al、Fe、Zn、Sn等の金属元素を中心金属とする有機金属化合物が挙げられ、カルボン酸アルミニウム、アルミニウムアセチルアセトン錯体、アルミニウムエチルアセトアセテート錯体等の有機アルミニウム化合物;カルボン酸鉄(オクチル酸鉄など)等の有機鉄化合物;亜鉛アセチルアセトナートモノハイドレート、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸亜鉛等の有機亜鉛化合物;ジブチル錫ジアセテート錯体等の有機錫化合物;その他、有機金属化合物としては、Ni、Ti、Pt、Rh、Co、Ru、Os、Pd、Ir、などを含む金属カルボン酸塩;Ni、Pt、Pd、Rhなどを含むアセチルアセトナ錯体;Au、Ag、Pd、Ni、Zn、Tiなどの金属微粒子;金属過酸化物;メタルクロライド;フェロセン、ジルコノセンなどの金属のシクロペンタジエニル錯体等が挙げられる。
また、触媒としては上記触媒の他、ケイ素原子に結合する加水分解性基の加水分解・縮合触媒として作用する触媒も好ましく、かかる触媒として、例えば、酸性化合物;塩基性化合物;有機金属化合物;等が挙げられる。前記酸性化合物としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、過酸化水素、塩素酸、次亜塩素酸等の無機酸;酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、マレイン酸、ステアリン酸等の有機酸;等が挙げられる。前記塩基性化合物としては、アンモニア等が挙げられる。前記有機金属化合物としては、Al、Fe、Zn、Sn等の金属元素を中心金属とする有機金属化合物が挙げられ、カルボン酸アルミニウム、アルミニウムアセチルアセトン錯体、アルミニウムエチルアセトアセテート錯体等の有機アルミニウム化合物;カルボン酸鉄(オクチル酸鉄など)等の有機鉄化合物;亜鉛アセチルアセトナートモノハイドレート、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸亜鉛等の有機亜鉛化合物;ジブチル錫ジアセテート錯体等の有機錫化合物;その他、有機金属化合物としては、Ni、Ti、Pt、Rh、Co、Ru、Os、Pd、Ir、などを含む金属カルボン酸塩;Ni、Pt、Pd、Rhなどを含むアセチルアセトナ錯体;Au、Ag、Pd、Ni、Zn、Tiなどの金属微粒子;金属過酸化物;メタルクロライド;フェロセン、ジルコノセンなどの金属のシクロペンタジエニル錯体等が挙げられる。
本発明の組成物には、効果を阻害しない範囲で、酸化防止剤、防錆剤、紫外線吸収剤、光安定剤、防カビ剤、抗菌剤、生物付着防止剤、消臭剤、顔料、難燃剤、帯電防止剤等の各種の添加剤を共存させてもよい。
本発明の組成物から得られる皮膜は、通常、基材上に形成されており、基材と接触させる方法としては、例えば組成物を基材にコーティングする方法が挙げられ、スピンコーティング法、ディップコーティング法、スプレーコーティング法、ロールコート法、バーコート法、手塗り(布等に液を染み込ませ、基材に塗りこむ方法)、かけ流し(液をスポイトなどを用いて基材にそのままかけ、塗布する方法)、霧吹き(霧吹きを用いて基材に塗布する方法)などが挙げられる。特に、作業性の観点から、スプレーコーティング法、手塗り、かけ流し、スピンコーティング法が好ましく、より好ましくはかけ流し、スピンコーティング法である。
上記のようにして基材上に接触させた組成物を、空気中、常温で静置することで、空気中の水分と反応し、分解とシロキシ基化が進行し、基材上にSi-O骨格含有皮膜を形成できる。静置時間は特に限定されないが、1分以上であることが好ましく、より好ましくは2分以上である。また、実用性の観点から、12時間以下であることが好ましく、より好ましくは1時間以下、更に好ましくは30分以下、より更に好ましくは10分以下である。
皮膜の膜厚は例えば0.1〜200nm程度とできる。好ましくは0.2〜100nm、より好ましくは、0.3〜50nmである。
本発明の組成物を接触させる基材は特に限定されず、基材の形状は平面、曲面のいずれでもよいし、多数の面が組み合わさった三次元的構造でもよい。
また基材の材質も限定されず、有機系材料、無機系材料のいずれで構成されていてもよい。上記有機系材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、アクリル−スチレン共重合樹脂、セルロース樹脂、ポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂;等が挙げられる。上記無機系材料としては、例えば、セラミックス;ガラス;鉄、シリコン、銅、亜鉛、アルミニウム等の金属;前記金属を含む合金;等が挙げられる。
上記基材には予め易接着処理を施してもよい。上記易接着処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理等の親水化処理が挙げられる。また、樹脂、シランカップリング剤、テトラアルコキシシラン等によるプライマー処理を施してもよいし、ポリシラザンなどのガラス皮膜を基材に予め塗布しておいてもよい。
本発明の組成物から得られる皮膜の表面にさらに撥液層を形成することが好ましい。すなわち、基材上に本発明の組成物(以下、中間層形成用組成物という場合がある)から得られる中間層を形成し、さらに中間層の表面(基材とは反対側の表面)に撥液層を形成することが好ましい。本発明の組成物を撥液層と基材の間の中間層形成用組成物として用いることにより、機構の詳細は不明であるが、中間層形成用組成物の加水分解縮合反応による生成物が影響するなどして、基材上に撥液層のみを形成した場合と比べて、撥液層中のシラノール基の脱水縮合反応が促進される可能性が高い。その場合、本発明の組成物を中間層形成用組成物として用いることにより、撥液層の架橋密度が高くなり、耐摩耗性が著しく向上する。また、従来は撥液層を実用的な速度で形成する際に加熱が必要であったが、本発明の組成物を撥液層と基材の間の中間層形成用組成物として用いることにより、実用的な速度での撥液層の常温硬化も可能となる。
以下、撥液層(撥液膜)について説明する。
撥液膜を得るのに用いられる組成物(以下、撥液層形成用組成物という場合がある)としては、少なくとも1つのトリアルキルシリル基含有分子鎖と、少なくとも1つの加水分解性基とがケイ素原子(以下、中心ケイ素原子という場合がある)に結合している有機ケイ素化合物(A)と、金属化合物(B)を混合することが好ましい。
1.有機ケイ素化合物(A)
有機ケイ素化合物(A)としては、上記シロキサン鎖を含む化合物(H)で説明した式(H1)において、xが0または1である化合物を使用することが好ましい。分子鎖にトリアルキルシリル含有基が結合していることで、撥液層形成用組成物から形成される皮膜の撥水・撥油性、耐硫酸性、及び耐温水性が向上し、また、液滴が移動しやすくなる。トリアルキルシリル含有基のアルキル基がフルオロアルキル基に置き換わっている場合においても、同様に該皮膜界面の撥液性(撥水性及び/又は撥油性、以下「撥水・撥油性」という場合がある)を向上することができる。
有機ケイ素化合物(A)としては、上記シロキサン鎖を含む化合物(H)で説明した式(H1)において、xが0または1である化合物を使用することが好ましい。分子鎖にトリアルキルシリル含有基が結合していることで、撥液層形成用組成物から形成される皮膜の撥水・撥油性、耐硫酸性、及び耐温水性が向上し、また、液滴が移動しやすくなる。トリアルキルシリル含有基のアルキル基がフルオロアルキル基に置き換わっている場合においても、同様に該皮膜界面の撥液性(撥水性及び/又は撥油性、以下「撥水・撥油性」という場合がある)を向上することができる。
有機ケイ素化合物(A)としては、上記シロキサン鎖を含む化合物(H)で説明した態様と同様であり、その好ましい範囲も同様である。なかでも、下記式(H3)で表される化合物が特に好ましい。
[式(H3)中、n2は、1〜60の整数である。]
上記n2は、より好ましくは2以上の整数、更に好ましくは3以上の整数であり、より好ましくは45以下の整数、更に好ましくは30以下の整数、特に好ましくは25以下の整数である。
撥液層形成用組成物の全体を100質量%としたときの上記有機ケイ素化合物(A)の量は、0.005〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜5質量%であり、さらに好ましくは0.01〜1質量%である。
2.金属化合物(B)
金属化合物(B)としては、下記式(b1)で表される金属化合物が好ましい。
M(Rb10)r(Ab1)m-r (b1)
[式(b1)中、Mは、Al、Fe、In、Ge、Hf、Si、Ti、Sn、Zr、またはTaを表し、Rb10は、シロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基、または水素原子を表し、rは、0または1である。複数のAb1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表し、mは、金属原子Mに応じて3〜5の整数である。]
金属化合物(B)としては、下記式(b1)で表される金属化合物が好ましい。
M(Rb10)r(Ab1)m-r (b1)
[式(b1)中、Mは、Al、Fe、In、Ge、Hf、Si、Ti、Sn、Zr、またはTaを表し、Rb10は、シロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基、または水素原子を表し、rは、0または1である。複数のAb1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表し、mは、金属原子Mに応じて3〜5の整数である。]
好ましい上記金属化合物(B)は、上記式(b1)で表される通り、金属原子Mに、少なくとも加水分解性基Ab1が結合した化合物である。なお、本明細書において「金属」とは、SiやGeなどの半金属も含む意味で用いる。
上述の通り、撥液層形成用組成物から得られる撥液膜は、有機ケイ素化合物(A)に由来するトリアルキルシリル基によって撥水・撥油機能が高められ、金属化合物(B)に基づく構造は撥液膜中でスペーサーとして機能すると考えられる。
Mは、Al、Si、Ti、Sn又はZrであることが好ましく、Siがより好ましい。
Ab1で表される加水分解性基、およびRb10で表されるシロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基は、上記シロキサン鎖を含む化合物(H)で説明した加水分解性基、シロキサン骨格含有基、および炭化水素鎖含有基の中から適宜選択でき、好ましい範囲も同様である。
mは金属原子Mの価数であり、金属原子MがAl、Fe、In等の3価金属の場合には3であり、金属原子MがGe、Hf、Si、Ti、Sn、Zr等の4価金属の場合には4であり、金属原子MがTa等の5価金属の場合には5である。
上記撥液層形成用組成物は、金属化合物(B)を2種以上用いてもよい。また、金属化合物(B)の縮合物を用いてもよい。
上記金属化合物(B)としては、具体的には、下記式(b2)で表される化合物が好ましい。
Si(ORb11)zH4-z (b2)
[式(b2)中、Rb11は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、zは、3または4である。]
Si(ORb11)zH4-z (b2)
[式(b2)中、Rb11は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、zは、3または4である。]
Rb11で表されるアルキル基の炭素数は、1〜4が好ましく、より好ましくは1または2である。
Rb11で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、等が挙げられる。
撥液層形成用組成物の全体を100質量%としたときの上記金属化合物(B)の量は、0.01〜50質量%が好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%であり、さらに好ましくは0.05〜1質量%である。
上記撥液層形成用組成物は、上記した有機ケイ素化合物(A)と金属化合物(B)とが混合された組成物であり、それら(A)〜(B)を混合することにより得られる。
3.触媒(C)
撥液層形成用組成物の調整の際、上記有機ケイ素化合物(A)および金属化合物(B)と共に、ケイ素原子に結合する加水分解性基の加水分解・縮合触媒として作用する触媒(C)を共存させてもよく、上記触媒(C)として酸、アルカリ等を用いることができ、中でも酸を用いることが好ましい。酸としては、無機酸でも有機酸でもよく、加水分解・縮合反応の制御のしやすさから特に有機酸を用いることが好ましい。触媒(C)として、酸を用い、後述するように、用いられる水量を抑制することによって、撥液膜形成時の反応を穏やかに進行させることができ、良好な撥液膜を形成できる。
撥液層形成用組成物の調整の際、上記有機ケイ素化合物(A)および金属化合物(B)と共に、ケイ素原子に結合する加水分解性基の加水分解・縮合触媒として作用する触媒(C)を共存させてもよく、上記触媒(C)として酸、アルカリ等を用いることができ、中でも酸を用いることが好ましい。酸としては、無機酸でも有機酸でもよく、加水分解・縮合反応の制御のしやすさから特に有機酸を用いることが好ましい。触媒(C)として、酸を用い、後述するように、用いられる水量を抑制することによって、撥液膜形成時の反応を穏やかに進行させることができ、良好な撥液膜を形成できる。
上記酸としては、具体的には、硝酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、マロン酸、ギ酸、安息香酸、フェニルエタン酸、酢酸、ブタン酸、2−メチルプロパン酸、プロパン酸、2,2−ジメチルプロパン酸などが挙げられ、好ましくは有機酸であり、より好ましくはマレイン酸(pKa=1.92)、ギ酸(pKa=3.75)、酢酸(pKa=4.76)である。
上記触媒(C)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
撥液層形成用組成物の全体を100質量%としたときの上記触媒(C)の量は、0.0001〜30質量%が好ましく、より好ましくは0.00015〜1質量%である。
4.水(D)
撥液層形成用組成物には、水(D)が用いられていることが好ましく、水(D)を用いることによって、加水分解性基の加水分解が促進される。水(D)としては、空気中の水分であってもよく、添加することにより積極的に組成物中に混ぜてもよい。
撥液層形成用組成物には、水(D)が用いられていることが好ましく、水(D)を用いることによって、加水分解性基の加水分解が促進される。水(D)としては、空気中の水分であってもよく、添加することにより積極的に組成物中に混ぜてもよい。
上記撥液層形成用組成物の調整の際に用いられる上記水(D)の量は、0質量%超、2.20質量%未満とすることが好ましい。上記水の量を、2.20質量%未満とすることによって、撥液膜形成時の反応を穏やかに進行させることができ、良好な撥液膜を形成できる。
5.溶剤(E)
上記撥液層形成用組成物には、更に、溶剤(E)が用いられていてもよい。溶剤(E)としては、上記溶剤(I)で例示された溶剤を使用でき、中でも、アルコール系溶媒またはエーテル系溶媒が好ましく、アルコール系溶媒がより好ましい。
上記撥液層形成用組成物には、更に、溶剤(E)が用いられていてもよい。溶剤(E)としては、上記溶剤(I)で例示された溶剤を使用でき、中でも、アルコール系溶媒またはエーテル系溶媒が好ましく、アルコール系溶媒がより好ましい。
撥液層形成用組成物の全体を100質量%としたときの上記溶剤(E)の量は、10〜99.9質量%であることが好ましい。
上記撥液層形成用組成物は、上記した有機ケイ素化合物(A)および金属化合物(B)の他に、触媒(C)や水(D)や溶剤(E)等を混合して得るのが好ましい。
上記撥液層形成用組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、例えば、酸化防止剤、防錆剤、紫外線吸収剤、光安定剤、防カビ剤、抗菌剤、生物付着防止剤、消臭剤、顔料、難燃剤、帯電防止剤等の各種の添加剤を共存させてもよい。
上記撥液層形成用組成物を硬化することによって、撥液膜が得られる。
上記撥液層形成用組成物を本発明の組成物から得られる皮膜(中間層)と接触させる方法としては、上記中間層と基材とを接触させる方法で説明した方法と同様である。
上記撥液層形成用組成物を中間層と接触させた状態で、1〜10時間程度加熱(例えば、80〜300℃)することで、撥液層の加水分解性基の加水分解、およびシラノール基の脱水縮合反応が促進され、中間層上に撥液層を形成できるが、本発明の組成物を中間層形成用組成物として用いることにより、中間層形成用組成物の加水分解縮合反応による生成物が影響するなどして、加熱を行わずとも、撥液層のシラノール基の脱水縮合反応が促進される可能性がある。すなわち、本発明の組成物を中間層形成用組成物として用いることにより、空気中、常温常湿で静置することによって、実用的な速度で撥液膜を形成することも可能である。静置時間は特に限定されないが、1時間以上であることが好ましく、より好ましくは3時間以上、更に好ましくは12時間以上である。また、実用性の観点から、48時間以下であることが好ましく、より好ましくは24時間以下である。
撥液膜の膜厚は、例えば、0.5〜100nm程度とできる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
[製造例1]
(撥水層形成用組成物の作製)
上記式(H3)で表される化合物においてn2の平均が24である化合物(以下、化合物1と表記する。)0.014質量部、トリエトキシシラン0.036質量部を、2−プロパノール0.1027質量部に溶解させ、室温で10分撹拌した。得られた溶液に0.1M酢酸水溶液(酢酸:7.73×10-5質量部、水:0.013質量部)を滴下した後、65℃で2時間撹拌し、試料溶液1を得た。
得られた試料溶液1を2−プロパノール46.7質量部で希釈し、組成物Aを作製した。
(撥水層形成用組成物の作製)
上記式(H3)で表される化合物においてn2の平均が24である化合物(以下、化合物1と表記する。)0.014質量部、トリエトキシシラン0.036質量部を、2−プロパノール0.1027質量部に溶解させ、室温で10分撹拌した。得られた溶液に0.1M酢酸水溶液(酢酸:7.73×10-5質量部、水:0.013質量部)を滴下した後、65℃で2時間撹拌し、試料溶液1を得た。
得られた試料溶液1を2−プロパノール46.7質量部で希釈し、組成物Aを作製した。
有機ケイ素化合物(A)、金属化合物(B)、触媒(C)、水(D)、及び溶剤(E)の種類及び/又は量を、表5の様に変更した以外は組成物Aと同様にして、組成物B及びCを得た。
(中間層形成用組成物の作製)
Durazane(登録商標) 1500 rapid cure(MERCK社製)0.15質量部、化合物(1)0.015質量部、テトラエトキシシラン0.09質量部をイソオクタン29.75質量部に溶解させ、中間層形成用組成物(組成物1)を得た。なお、Durazane(登録商標) 1500 rapid cureは、以下の下記式(f4)で表される構造単位を有する。
Durazane(登録商標) 1500 rapid cure(MERCK社製)0.15質量部、化合物(1)0.015質量部、テトラエトキシシラン0.09質量部をイソオクタン29.75質量部に溶解させ、中間層形成用組成物(組成物1)を得た。なお、Durazane(登録商標) 1500 rapid cureは、以下の下記式(f4)で表される構造単位を有する。
式(f4)中、Rは水素原子又はメチル基を表す。
Durazane(登録商標) 1500 rapid cureは、9〜27質量%のSi(OC2H5)3基を有しており、また、上記(f4)中の構造における、SiH基の水素原子とSi−CH3基のメチル基のモル比(メチル基/水素原子)は、2.39であった。
前記Si(OC2H5)3基の質量比、及び水素原子とメチル基のモル比は、1H−NMR(400MHz,基準:CDCl3(=7.24ppm))の積分値に基づいて定めた。すなわち、積分値からポリシラザン中のSiH、SiCH3、及びSi(OCH2CH3)3のモル比を求め、水素原子とメチル基のモル比を算出した。また、それぞれを質量比に換算して、ポリシラザン中に含まれるSi(OC2H5)3基の質量%を算出した。
前記Si(OC2H5)3基の質量比、及び水素原子とメチル基のモル比は、1H−NMR(400MHz,基準:CDCl3(=7.24ppm))の積分値に基づいて定めた。すなわち、積分値からポリシラザン中のSiH、SiCH3、及びSi(OCH2CH3)3のモル比を求め、水素原子とメチル基のモル比を算出した。また、それぞれを質量比に換算して、ポリシラザン中に含まれるSi(OC2H5)3基の質量%を算出した。
ポリシラザン(F)、シロキサン鎖を含む化合物(H)、金属化合物(G)、及び溶剤(I)の種類及び/又は量を、表6の様に変更した以外は組成物1と同様にして、組成物2〜13を得た。
表6中、化合物1〜4は以下の通りである。
化合物1:上記式(H3)で表される化合物においてn2の平均が24である化合物(構造式から算出される分子量;2212.52)
化合物2:上記式(H4)で表される化合物においてn4の平均が24である化合物(構造式から算出される分子量;1990.66)
化合物3:上記式(H4)で表される化合物においてn4の平均が3である化合物(構造式から算出される分子量;432.84)
化合物4:上記式(H3)で表される化合物においてn2の平均が3である化合物(構造式から算出される分子量;655.3)
化合物1:上記式(H3)で表される化合物においてn2の平均が24である化合物(構造式から算出される分子量;2212.52)
化合物2:上記式(H4)で表される化合物においてn4の平均が24である化合物(構造式から算出される分子量;1990.66)
化合物3:上記式(H4)で表される化合物においてn4の平均が3である化合物(構造式から算出される分子量;432.84)
化合物4:上記式(H3)で表される化合物においてn2の平均が3である化合物(構造式から算出される分子量;655.3)
[実施例1〜15]
(皮膜の作製)
大気圧プラズマ処理によって表面を活性化させたガラス基板5×5cm2(EAGLE XG、Corning社)を仰角45°となるように設置した。中間層形成用組成物500μLをガラス基板上面からかけ流し、常温常湿にて5分間乾燥させた。さらにその上から、撥液層形成用組成物500μLをかけ流し、常温常湿にて1日風乾させることによって、ガラス基板上に皮膜を形成した。
(皮膜の作製)
大気圧プラズマ処理によって表面を活性化させたガラス基板5×5cm2(EAGLE XG、Corning社)を仰角45°となるように設置した。中間層形成用組成物500μLをガラス基板上面からかけ流し、常温常湿にて5分間乾燥させた。さらにその上から、撥液層形成用組成物500μLをかけ流し、常温常湿にて1日風乾させることによって、ガラス基板上に皮膜を形成した。
[比較例1]
大気圧プラズマ処理によって表面を活性化させたガラス基板5×5cm2(EAGLE XG、Corning社)を仰角45°となるように設置した。ガラス基板上面から撥液層形成用組成物500μLをかけ流し、常温常湿にて1日風乾させることによって、ガラス基板上に皮膜を形成した。
大気圧プラズマ処理によって表面を活性化させたガラス基板5×5cm2(EAGLE XG、Corning社)を仰角45°となるように設置した。ガラス基板上面から撥液層形成用組成物500μLをかけ流し、常温常湿にて1日風乾させることによって、ガラス基板上に皮膜を形成した。
上記実施例および比較例で得られた皮膜について、以下の要領で評価した。
(接触角)
協和界面科学株式会社製の接触角測定装置「DM700」を用い、水滴量を3.0μLとして、解析方法:θ/2法にて皮膜表面の水に対する接触角を測定した。接触角が95°以上の場合を撥水性に優れると評価した。
協和界面科学株式会社製の接触角測定装置「DM700」を用い、水滴量を3.0μLとして、解析方法:θ/2法にて皮膜表面の水に対する接触角を測定した。接触角が95°以上の場合を撥水性に優れると評価した。
(滑落速度)
皮膜表面に水を滴下し、皮膜表面における水滴の滑落速度によって撥水性を評価した。具体的には、協和界面科学株式会社製の接触角測定装置「DM700」を用い、20°に傾けたガラス基板上の皮膜表面に50μLの水を滴下し、水滴が、初期滴下位置から15mm滑落するまでの時間を測定し、皮膜表面における水滴の滑落速度(mm/秒)を算出した。水滴の滑落速度が20mm/秒以上の場合を撥水性に優れると評価した。
皮膜表面に水を滴下し、皮膜表面における水滴の滑落速度によって撥水性を評価した。具体的には、協和界面科学株式会社製の接触角測定装置「DM700」を用い、20°に傾けたガラス基板上の皮膜表面に50μLの水を滴下し、水滴が、初期滴下位置から15mm滑落するまでの時間を測定し、皮膜表面における水滴の滑落速度(mm/秒)を算出した。水滴の滑落速度が20mm/秒以上の場合を撥水性に優れると評価した。
(耐摩耗性)
皮膜の上に水2.5mLを滴下し、その上にシリコンシート(SR−400、タイガースポリマー社製)を接触させた。そして、シリコンシートの上から荷重500gfをかけた状態で、往復速度が毎分400mmの条件にて、20mmの距離を400回刻みで、シリコンシートと皮膜を擦り、摩耗した部位の中央部分3点における接触角をそれぞれ測定し、3点中2点が85°以下に低下するまでの回数を測定した。回数が400回以上の場合を耐摩耗性に優れると評価した。
皮膜の上に水2.5mLを滴下し、その上にシリコンシート(SR−400、タイガースポリマー社製)を接触させた。そして、シリコンシートの上から荷重500gfをかけた状態で、往復速度が毎分400mmの条件にて、20mmの距離を400回刻みで、シリコンシートと皮膜を擦り、摩耗した部位の中央部分3点における接触角をそれぞれ測定し、3点中2点が85°以下に低下するまでの回数を測定した。回数が400回以上の場合を耐摩耗性に優れると評価した。
使用した中間層形成用組成物及び撥液層形成用組成物の種類、及び得られた皮膜の評価結果を表7に示す。
中間層形成用組成物として、式(G1)で表される金属化合物及びその縮合物から選ばれる少なくとも1つの金属化合物(G)、ポリシラザン(F)、並びにシロキサン鎖を含む化合物(H)の混合組成物を用い、さらに中間層の上に撥液層を形成した実施例1〜15では、撥液性を損なうことなく、優れた耐摩耗性と常温硬化性を有する皮膜を作製できた。
本発明の組成物を中間層形成用組成物として用い、中間層の上に撥液膜を形成することにより得られる皮膜は、撥液性(特に撥水性)を損なうことなく、耐摩耗性に優れ、好ましくは常温硬化性にも優れている。そのため、タッチパネルディスプレイ等の表示装置、光学素子、半導体素子、建築材料、自動車部品、ナノインプリント技術等における基材として有用である。さらに、電車、自動車、船舶、航空機等の輸送機器におけるボディー、窓ガラス(フロントガラス、サイドガラス、リアガラス)、ミラー、バンパー等の物品として好適に用いられる。また、建築物外壁、テント、太陽光発電モジュール、遮音板、コンクリート、などの屋外用途にも用いることができる。漁網、虫取り網、水槽などにも用いることができる。更に、台所、風呂場、洗面台、鏡、トイレ周りの各部材の物品、シャンデリア、タイルなどの陶磁器、人工大理石、エアコン等の各種屋内設備にも利用可能である。また、工場内の治具や内壁、配管等の防汚処理としても用いることができる。ゴーグル、眼鏡、ヘルメット、パチンコ、繊維、傘、遊具、サッカーボールなどにも好適である。更に、食品用包材、化粧品用包材、ポットの内部、など、各種包材の付着防止剤としても用いることができる。
Claims (11)
- 下記式(G1)で表される金属化合物及びその縮合物から選ばれる少なくとも1つの金属化合物(G)、ポリシラザン(F)、並びにシロキサン鎖を含む化合物(H)の混合組成物。
M(Rg10)r(Ag1)m-r (G1)
[式(G1)中、Mは、Al、Fe、In、Ge、Hf、Si、Ti、Sn、Zr、またはTaを表し、Rg10は、炭化水素鎖含有基、または水素原子を表し、rは、0または
1である。複数のAg1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表し、mは、金属原子Mに応じて3〜5の整数である。] - 前記ポリシラザン(F)と前記シロキサン鎖を含む化合物(H)と前記金属化合物(G)の合計質量に対する前記シロキサン鎖を含む化合物(H)と前記金属化合物(G)の質量比が5〜95%である請求項1に記載の組成物。
- ポリシラザン(F)が、前記式(f1)中のRf11及びRf12の少なくとも一方が炭素数1〜10の炭化水素基である構造単位(f2)を有する、請求項3に記載の組成物。
- 前記式(H1)中、Rh1が下記式(s3)で表される基である、請求項6に記載の化合物。
[式(s3)中、複数のRs1は、それぞれ独立に、炭化水素基又はトリアルキルシリルオキシ基を表し、該炭化水素基又はトリアルキルシリルオキシ基に含まれる水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよく、
複数のRs2は、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基を表し、
n1は、1以上の整数を表し、
Zs1は、−O−又は2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−に置き換わっていてもよい。
Ys1は単結合又は−Si(Rs2)2−Ls1−を表し、該Ls1は、2価の炭化水素基を表
し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−に置き換わっていてもよい。] - ポリシラザン(F)、シロキサン鎖を含む化合物(H)および金属化合物(G)の合計量が、0.2質量%以上2.6質量%未満である請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
- シロキサン鎖を含む化合物(H)の量が、0.3質量%未満である請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
- 基材と撥液層との中間層用である、請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
- 前記撥液層が、シラノール基の脱水縮合反応により形成される膜である、請求項10に記載の組成物。
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