JP2020168880A - 車両用音響部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 省スペースで遮音することができる車両用音響部材を提供する。【解決手段】 デカップリング層と質量層とが重ねられた車両用音響部材であって、質量層は、樹脂よりも比重が大きい高比重材が樹脂により接着されてなり、デカップリング層に面する側の厚さ二分の一の第1領域の重量に対して、デカップリング層から離れた側の厚さ二分の一の第2領域の重量比が0.1以上1未満であることを特徴とする。【選択図】図1
Description
本発明は、車両用音響部材に関する。
自動車等の車両においては、車両用音響部材を使用して車両内の遮音をするなどの音響を調整する技術が知られている。車両用音響部材を形成する場合には、単純な動解析モデルとして、ばねと質量によりモデル化されたばねマス(質量)モデルを用いられることが多い。例えば、質量層を作製するためにフェルトや不織布を用い、ばね層(デカップリング層)をポリウレタンフォームによって形成した自動車用遮音トリム部品は公知である(例えば特許文献1参照)。
図10は、従来のダッシュインシュレータの構成を模式的に示す図である。図10(a)は、従来の車両用音響部材の断面を模式的に示す図である。図10(b)は、成形後の従来の車両用音響部材を模式的に示す図である。
図10(a)に示したように、従来の車両用音響部材としてのダッシュインシュレータ1は、吸音層となる第1フェルト2、質量層3、及び厚み層となる第2フェルト4が重ねられて構成されている。第1フェルト2及び第2フェルト4は、衣類などのリサイクル反毛、PET(ポリエチレンテレフタレート)繊維、及びバインダー繊維などが配合されたものである。
質量層3は、加重するための部材としての炭酸カルシウムと、PE(ポリエチレン)、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂)、又はEPDM(エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体)などが配合された樹脂とによって構成され、溶融した樹脂と炭酸カルシウムが混ぜられてシート状に加工されたものである。
ダッシュインシュレータ1は、第1フェルト2、質量層3及び第2フェルト4それぞれが加熱された後に重ねられ、製品の形状が施された型によって、図10(b)に示したように成形される。しかし、ダッシュインシュレータ1は、加熱による第1フェルト2と質量層3との接着強度を上げにくく、質量層3の厚さも所定値以上の厚さにする必要がある。
従来は、車両内で必要な遮音効果を得ようとすると、デカップリング層に重ねる質量層を小型化することができず、小さなスペースに用いる車両用音響部材を効果的に作成することが困難であるという問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、省スペースで遮音することができる車両用音響部材を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様にかかる車両用音響部材は、デカップリング層と質量層とが重ねられた車両用音響部材であって、前記質量層は、樹脂よりも比重が大きい高比重材が前記樹脂により接着されてなり、前記デカップリング層に面する側の厚さ二分の一の第1領域の重量に対して、前記デカップリング層から離れた側の厚さ二分の一の第2領域の重量比が0.1以上1未満であることを特徴とする。
また、本発明の一態様にかかる車両用音響部材は、前記樹脂は、透過性のある材料であり、前記高比重材は、前記樹脂とは色が異なることを特徴とする。
本発明によれば、省スペースで遮音することができる車両用音響部材を提供することができるという効果を奏する。
以下に、車両用音響部材の一実施形態を、図面を用いて説明する。
図1は、一実施形態にかかる車両用音響部材10の断面を模式的に例示する図である。図1(a)は、車両用音響部材10の断面を模式的に示す図である。図1(b)は、成形後の車両用音響部材10を模式的に示す図である。
図1(a)に示すように、車両用音響部材10は、例えばデカップリング層20、質量層30及び厚み層40を有する。車両用音響部材10は、例えば、ダッシュインシュレータ、又は車両内用のカーペットなどとして用いられる。
デカップリング層20は、例えば衣類などのリサイクル反毛、PET繊維及びバインダー繊維などが配合されたリサイクル不織布などの繊維層であり、例えば一方の面が第1不織布200で覆われ、他方の面が第2不織布202で覆われている。そして、デカップリング層20は、車両内において吸音層としても機能する。デカップリング層20は、例えば単位面積の重量が200〜3000g/m2にされることが好ましい。
なお、デカップリング層20は、第1不織布200及び第2不織布202が設けられない構成であってもよい。また、デカップリング層20は、ウレタンなどの樹脂によって構成されていてもよい。
質量層30は、例えば加重するための部材(高比重材)としての炭酸カルシウムと、PE、PP、EVA、又はEPDMなどの樹脂とが、樹脂の溶融により接着されて構成される。質量層30は、単位面積の重量が100〜5000g/m2にされることが好ましい。
高比重材は、比重が1.5以上であればよく、炭酸カルシウムでなくてもよい。質量層30に用いられる樹脂は、主に比重が0.9〜1.0程度であり、リサイクル樹脂材であってもよく、複数の樹脂が混合されたものであってもよい。また、質量層30に用いられる樹脂は、例えば色が透明又は半透明であり、高比重材とは異なる色である。炭酸カルシウムは、ほぼ白色であるが、他の色に着色されてもよい。樹脂が透明又は半透明のように透過性のある材料であれば、質量層30を形成後に高比重材の位置を目視することが可能となる。なお、質量層30に用いられる樹脂は無色が好ましいが、本発明はそれに限定せず、透過性があれば緑や赤等のリサイクルされた樹脂でも同様の効果はある。
また、質量層30は、例えば図2等を用いて後述する生産方法によって形成され、デカップリング層20に面する側の厚さ二分の一の第1領域300と、デカップリング層20から離れた側の厚さ二分の一の第2領域320とを有する。
第1領域300は、主に炭酸カルシウムが含まれるため、炭酸カルシウム層とも記す。また、第2領域320は、主に樹脂が含まれるため、樹脂層とも記す。ただし、炭酸カルシウム層にも樹脂が含まれていてもよく、樹脂層に炭酸カルシウムが含まれていてもよい。
具体例として、炭酸カルシウムは、比重が2.71(六方晶系)、又は2.93(斜方晶系)程度である。また、沈降性炭酸カルシウムは、比重が2.55〜2.61程度になることがある。一方、質量層30に用いられる樹脂は、例えばPEであれば比重が0.95程度である。この場合、高比重材は、樹脂の比重の2〜3倍程度の比重となる。
厚み層40は、例えばフェルトなどによって構成され、所定の厚みを与えるためなどに用いられる。ただし、車両用音響部材10は、厚み層40が設けられていなくてもよい。
また、図1(b)に示すように、車両用音響部材10は、デカップリング層20、質量層30及び厚み層40それぞれが加熱された後に重ねられ、製品の形状が施された型によって成形される。
次に、車両用音響部材10の生産方法について説明する。
図2は、車両用音響部材10の生産方法の概要を例示する図である。ここで、車両用音響部材10は、図2において左側から右側へ搬送されながら形成される。
まず、第1不織布200が敷かれた上に、例えば細断された繊維リサイクル材210などを積層させ、その上に第2不織布202を敷いていく。なお、第2不織布202は、用いられなくてもよい。
重ねられた第1不織布200、繊維リサイクル材210及び第2不織布202は、加熱加圧装置50により、熱風加熱されながら加圧圧縮されつつ、層となって搬送される。
加熱と加圧圧縮をされた層は、例えば炭酸カルシウムペレットなどの高比重材302と、PEペレット又はEVAペレットなどの樹脂材322とが順に塗布されて積層される。
積層されたこれらの部材は、例えばIR(赤外線)ヒータなどの加熱装置54によって加熱され、樹脂材322が溶融されることによって層状に接着された後に、冷却装置56による例えばミスト冷却によって冷却・圧縮されることによって車両用音響部材10となる。
車両用音響部材10は、樹脂材322が20〜95%となり、高比重材302が5〜80%となる比率で質量層30(図2参照)が形成されることが好ましい。
次に、車両用音響部材10の構成について、さらに詳述する。
図3は、車両用音響部材10におけるデカップリング層20及び質量層30の断面の詳細を模式的に例示した図である。上述したように、質量層30は、第1領域300及び第2領域320を有する。ここでは、第1領域300の厚さAと、第2領域320の厚さBとが同じであるとして説明するが、これに限定されない。
質量層30は、第1領域300の重量に対して、第2領域320の重量比が0.1以上1未満となるように形成されている。具体的には、第1領域300は、例えば炭酸カルシウムなどの高比重材302が大半を占めており、比重が高比重材302自体の比重に近い値となっている。第2領域320は、例えば樹脂材322が大半を占めており、比重が樹脂材322自体の比重に近い値となっている。
このように、質量層30は、第1領域300及び第2領域320が形成されることにより、厚さ方向で高比重材302の単位面積の重量が異なり、所定の重量を備えた非通気の薄い遮音層として容易に形成される。
次に、車両用音響部材10の特性について説明する。
図4は、車両用音響部材10の特性を比較例の特性とともに示す図である。図5は、車両用音響部材10の遮音特性を比較例の遮音特性とともに示したグラフである。図6は、車両用音響部材10の吸音特性を比較例の吸音特性とともに示したグラフである。
車両用音響部材10は、比較例と同じ単位面積の重量の吸音層と遮音層が形成された場合に、比較例と同等の遮音特性、吸音特性及び成形伸びを示し、かつ、比較例の2倍以上の接着強度と、約半分の材料コストとを実現している。
このように、一実施形態にかかる車両用音響部材10及び変形例は、質量層30の第1領域300の重量に対して、第2領域320の重量比が0.1以上1未満であるため、容易に形成され、省スペースで遮音することができる。
次に、車両用音響部材10の変形例について、図7〜9を用いて説明する。
図7は、車両用音響部材10の第1変形例を示す図である。デカップリング層20aは、ニードルパンチの不織布であり、単位面積の重量が150〜1000g/m2にされている。デカップリング層20aは、単層として形成されてもよいし、複数層によって形成されてもよい。
質量層30aは、溶融した樹脂材322aと、高比重材302aとによって形成されており、単位面積の重量が200〜5000g/m2にされている。
車両用音響部材10の第1変形例は、例えばフロアーカーペットなどとして用いられる。
図8は、車両用音響部材10の第2変形例を示す図である。デカップリング層20bは、繊維層であり、単位面積の重量が200〜2000g/m2にされている。質量層30bは、溶融した樹脂材322bと、高比重材302bとによって形成されており、単位面積の重量が100〜1000g/m2にされている。また、質量層30bの上面には、例えば単位面積の重量が150〜600g/m2のプレーンニードル層40bが形成されている。
車両用音響部材10の第2変形例は、例えばラゲッジトリムの基材などとして用いられる。
図9は、車両用音響部材10の第3変形例を示す図である。車両用音響部材10の第3変形例は、単位面積の重量が10〜400g/m2である不織布200cの上に、溶融された樹脂材322c、高比重材302c、及び細断された繊維材210cが積層されている。樹脂材322c、高比重材302c、及び細断された繊維材210cの単位面積の重量は500〜4000g/m2にされている。
車両用音響部材10の第3変形例は、例えばアンダーカバー、フェンダーライナーとして用いられる。
そして、図7〜9に示した車両用音響部材10の変形例においても、厚さ方向で高比重材の単位面積の重量が異なり、所定の重量を備えた非通気の薄い遮音層が容易に形成されている。
10・・・車両用音響部材、20,20a,20b・・・デカップリング層、30,30a,30b・・・質量層、40,40b・・・厚み層、200,200c・・・第1不織布、202・・・第2不織布、210・・・繊維リサイクル材、210c・・・細断された繊維材、300・・・第1領域、302,302a,302b,302c・・・高比重材、320・・・第2領域、322,322a,322b,322c・・・樹脂材
Claims (2)
- デカップリング層と質量層とが重ねられた車両用音響部材であって、
前記質量層は、
樹脂よりも比重が大きい高比重材が前記樹脂により接着されてなり、前記デカップリング層に面する側の厚さ二分の一の第1領域の重量に対して、前記デカップリング層から離れた側の厚さ二分の一の第2領域の重量比が0.1以上1未満であること
を特徴とする車両用音響部材。 - 前記樹脂は、透過性のある材料であり、
前記高比重材は、
前記樹脂とは色が異なること
を特徴とする請求項1に記載の車両用音響部材。
Priority Applications (1)
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JP2019069720A JP2020168880A (ja) | 2019-04-01 | 2019-04-01 | 車両用音響部材 |
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