JP2020167039A - 超電導コイルおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】超電導特性の低下を抑制できる超電導コイルおよびその製造方法を提供する。【解決手段】超電導コイル100は、テープ状の酸化物超電導線材10と、第1絶縁テープ20と、導電性テープ30と、第2絶縁テープ40とがこの順に共巻きされた積層体60と、積層体60に含浸した樹脂で形成された含浸樹脂層50とを備える。第1絶縁テープ20の導電性テープ30側とは反対の面20bと、第2絶縁テープ40の導電性テープ30側とは反対の面40bと少なくとも一方に離形処理が施されている。【選択図】図1

Description

本発明は、超電導コイルおよびその製造方法に関する。
超電導コイルでは、超電導線材が常電導転移すると、局所的な発熱によって特性が劣化する可能性がある。このような事態を抑止するには、常電導転移を早めに検知して電流を遮断するのが好ましい。超電導線材と絶縁導線(例えば、銅メッキ付ポリイミドテープの両面をポリイミドテープで挟んだもの)とを共巻きした超電導コイルは、コイルに生じる抵抗電圧を高感度に検出できるため、常電導転移を検知する性能に優れており、特性劣化を抑止しやすい(例えば、非特許文献1を参照)。
高木、外3名「共巻きコイルを用いたHTSコイルクエンチ検出の高感度化」、低温工学、公益社団法人低温工学・超電導学会、2017年、第52巻、第1号、p.44〜51
しかしながら、前述の超電導コイルでは、エポキシ樹脂などの樹脂を含浸させる構造を採用した場合、含浸樹脂や絶縁電線を構成する絶縁樹脂が冷却時に収縮することで超電導線材に応力が加わり、その応力によって超電導層がダメージを受けて超電導特性が低下する可能性がある。
本発明の一態様は、上記事情に鑑みてなされたものであり、超電導特性の低下を抑制できる超電導コイルおよびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明の一態様は、テープ状の酸化物超電導線材と、第1絶縁テープと、導電性テープと、第2絶縁テープとがこの順に共巻きされた積層体と、前記積層体に含浸した樹脂で形成された含浸樹脂層と、を備え、前記第1絶縁テープの前記導電性テープ側とは反対の面と、前記第2絶縁テープの前記導電性テープ側とは反対の面との少なくとも一方に離形処理が施されている超電導コイルを提供する。
前記超電導コイルによれば、離形処理が施された処理面と含浸樹脂層との接着力を小さくできる。そのため、超電導コイルを冷却して超電導状態で使用する場合、前記処理面と含浸樹脂層との界面で層間剥離が生じやすくなることで、含浸樹脂層の収縮に起因する応力を緩和できる。従って、酸化物超電導線材に対して厚さ方向に作用する剥離力を抑制できる。よって、前記超電導コイルでは、冷却の際の超電導特性の劣化を抑制できる。
前記離形処理は、前記第1絶縁テープの前記導電性テープ側とは反対の面と、前記第2絶縁テープの前記導電性テープ側とは反対の面とのうち、いずれか一方のみに施されていることが好ましい。
前記超電導コイルによれば、第1絶縁テープの導電性テープ側とは反対の面と、第2絶縁テープの導電性テープ側とは反対の面とのうち、離形処理が施されなかった非処理面は、対面する酸化物超電導線材に対して位置ずれしにくい。そのため、前記超電導コイルでは、前記2つの面の両方に離形処理を施す場合に比べて、第1絶縁テープまたは第2絶縁テープが酸化物超電導線材に対して位置ずれするのを抑制できる。従って、離形処理が施されなかった非処理面に対面する酸化物超電導線材は露出しにくい。よって、超電導コイルにおいて隣り合う超電導線材同士が電気短絡する事態の発生を抑制することができる。
前記離形処理は、フッ素樹脂を含むコーティング層を形成することによってなされることが好ましい。
前記導電性テープは、前記第1絶縁テープおよび第2絶縁テープより幅が狭いことが好ましい。
前記導電性テープは、絶縁材と金属材と複合体であってもよい。
前記酸化物超電導線材と前記導電性テープとは、長さ方向の1箇所で電気的に接続されていることが好ましい。
本発明の他の形態は、テープ状の酸化物超電導線材と、第1絶縁テープと、導電性テープと、第2絶縁テープとを、この順に共巻きして積層体とする第1工程と、前記積層体に樹脂を含浸させて含浸樹脂層を形成する第2工程と、を有し、前記積層体の形成の前に、前記第1絶縁テープの前記導電性テープ側とは反対の面と、前記第2絶縁テープの前記導電性テープ側とは反対の面とのうち、いずれか一方に離形処理を施す超電導コイルの製造方法を提供する。
本発明の一態様によれば、超電導特性の低下を抑制できる。
第1実施形態の超電導コイルを模式的に示す断面図である。 図1の超電導コイルの全体図である。 図1の超電導コイルを構成する酸化物超電導線材を模式的に示す断面図である。 超電導コイルの製造装置の一例を模式的に示す概略図である。 第2実施形態の超電導コイルを模式的に示す断面図である。 第3実施形態の超電導コイルを模式的に示す断面図である。 超電導コイルの変形例を模式的に示す概略図である。
以下、好適な実施形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
[超電導コイル](第1実施形態)
図1は、第1実施形態の超電導コイル100を模式的に示す断面図である。図1は、図2のI−I断面を示す図である。図2は、超電導コイル100の全体図である。図3は、超電導コイル100を構成する酸化物超電導線材10を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、超電導コイル100は、酸化物超電導線材10と、第1絶縁テープ20と、導電性テープ30と、第2絶縁テープ40と、含浸樹脂層50とを備える。酸化物超電導線材10と、第1絶縁テープ20と、導電性テープ30と、第2絶縁テープ40とは、この順に共巻きされている。
酸化物超電導線材10と、第1絶縁テープ20と、導電性テープ30と、第2絶縁テープ40とは、積層体60を構成する。積層体60は、酸化物超電導線材10と第1絶縁テープ20と導電性テープ30と第2絶縁テープ40とが厚さ方向に積層されて複数回、巻回された多層巻きコイルである。
含浸樹脂層50は、積層体60に含浸されるとともに、積層体60の外表面を覆っている。含浸樹脂層50を構成する樹脂の一部は、超電導コイル100を構成する線材およびテープの隙間に入り込んで硬化している。例えば、前記樹脂の一部は、酸化物超電導線材10と第1絶縁テープ20との隙間、および、酸化物超電導線材10と第2絶縁テープ40との隙間に入り込んだ状態で硬化している。含浸樹脂層50を構成する樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
図2に示すように、超電導コイル100は、例えば、円環状のパンケーキコイルである。
図3に示すように、酸化物超電導線材10は、超電導積層体5と、安定化層8とを備えている。
超電導積層体5は、基材1上に中間層2を介して酸化物超電導層3および保護層4が形成された構造を有する。詳しくは、超電導積層体5は、テープ状の基材1の一方の面に、中間層2と酸化物超電導層3と保護層4がこの順に積層された構成を有する。
Y方向は、酸化物超電導線材10の厚さ方向であり、基材1、中間層2、酸化物超電導層3、保護層4等の各層が積層される方向である。X方向は、酸化物超電導線材10の幅方向であり、酸化物超電導線材10の長手方向および厚さ方向に直交する方向である。
基材1は、テープ状であり、例えば金属で形成されている。基材1を構成する金属の具体例として、ハステロイ(登録商標)に代表されるニッケル合金;ステンレス鋼;ニッケル合金に集合組織を導入した配向Ni−W合金などが挙げられる。基材1の厚さは、目的に応じて適宜調整すればよく、例えば10〜500μmの範囲である。基材1の一方の面(中間層2が形成された面)を第1主面1aといい、第1主面1aと反対の面を第2主面1bという。
中間層2は、基材1と酸化物超電導層3との間に設けられる。中間層2は、基材1の第1主面1aに形成される。中間層2は、多層構成でもよく、例えば基材1側から酸化物超電導層3側に向かう順で、拡散防止層、ベッド層、配向層、キャップ層等を有してもよい。これらの層は必ずしも1層ずつ設けられるとは限らず、一部の層を省略する場合や、同種の層を2以上繰り返し積層する場合もある。尚、中間層2は、酸化物超電導線材10において必須な構成ではなく、基材1自体が配向性を備えている場合は中間層2が形成されていなくてもよい。
拡散防止層は、基材1の成分の一部が拡散し、不純物として酸化物超電導層3側に混入することを抑制する機能を有する。拡散防止層は、例えば、Si、Al、GZO(GdZr)等から構成される。拡散防止層の厚さは、例えば10〜400nmである。
拡散防止層の上には、基材1と酸化物超電導層3との界面における反応を低減し、その上に形成される層の配向性を向上するためにベッド層を形成してもよい。ベッド層の材質としては、例えばY、Er、CeO、Dy、Eu、Ho、La等が挙げられる。ベッド層の厚さは、例えば10〜100nmである。
配向層は、その上のキャップ層の結晶配向性を制御するために2軸配向する物質から形成される。配向層の材質としては、例えば、GdZr、MgO、ZrO−Y(YSZ)、SrTiO、CeO、Y、Al、Gd、Zr、Ho、Nd等の金属酸化物を例示することができる。配向層はIBAD(Ion-Beam-Assisted Deposition)法で形成することが好ましい。
キャップ層は、上述の配向層の表面に成膜されて、結晶粒が面内方向に自己配向し得る材料からなる。キャップ層の材質としては、例えば、CeO、Y、Al、Gd、ZrO、YSZ、Ho、Nd、LaMnO等が挙げられる。キャップ層の厚さは、50〜5000nmの範囲が挙げられる。
酸化物超電導層3は、酸化物超電導体から構成される。酸化物超電導体としては、特に限定されないが、例えば一般式REBaCu(RE123)で表されるRE−Ba−Cu−O系酸化物超電導体が挙げられる。希土類元素REとしては、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのうちの1種又は2種以上が挙げられる。中でも、Y、Gd、Eu、Smの1種か、又はこれら元素の2種以上の組み合わせが好ましい。一般に、Xは、7−x(酸素欠損量x:約0〜1程度)である。酸化物超電導層3の厚さは、例えば0.5〜5μm程度である。この厚さは、長手方向に均一であることが好ましい。酸化物超電導層3は、中間層2の主面2a(基材1側とは反対の面)に形成されている。
保護層4は、事故時に発生する過電流をバイパスしたり、酸化物超電導層3と保護層4の上に設けられる層との間で起こる化学反応を抑制する等の機能を有する。保護層4の材質としては、例えば銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、金と銀との合金、その他の銀合金、銅合金、金合金などが挙げられる。保護層4は、少なくとも酸化物超電導層3の主面3a(中間層2側とは反対の面)を覆っている。保護層4の厚さは、特に限定されないが、例えば1〜30μm程度が挙げられる。
5aは超電導積層体5の第1主面(保護層4の主面4a)である。第1主面5aは超電導積層体5の酸化物超電導層3側の面である。5bは超電導積層体5の側面(基材1の側面、中間層2の側面、酸化物超電導層3の側面、および保護層4の側面)である。5cは、第1主面5aとは反対の面であって、超電導積層体5の第2主面(基材1の第2主面1b)である。
安定化層8は、超電導積層体5の第1主面5a、側面5b,5bおよび第2主面5cを覆う。安定化層8の厚さは、例えば10〜300μm程度である。
安定化層8は、酸化物超電導層3が常電導状態に転移した時に発生する過電流を転流させるバイパス部としての機能を有する。安定化層8の構成材料としては、銅、銅合金(例えばCu−Zn合金、Cu−Ni合金等)、アルミニウム、アルミニウム合金、銀等の金属が挙げられる。安定化層8は、めっき(例えば電解めっき)によって形成することができる。
図1に示すように、導電性テープ30は、銅、銅合金、ステンレス鋼、ニッケル、ニッケル合金などの金属で構成される金属テープであってよい。導電性テープ30の厚さは、例えば5〜100μmである。
導電性テープ30の幅W3は、第1絶縁テープ20および第2絶縁テープ40の幅W2,W4より狭いことが好ましい。例えば、幅W3は、幅W2,W4より0.5mm以上狭いことが好ましい。導電性テープ30の側縁30a,30aは、第1絶縁テープ20の側縁20c,20cおよび第2絶縁テープ40の側縁40c,40cより、幅方向の中央寄りに位置する。
導電性テープ30の幅W3が、第1絶縁テープ20および第2絶縁テープ40の幅W2,W4より狭いことにより、導電性テープ30に幅方向の位置ずれが生じた場合でも導電性テープ30と酸化物超電導線材10との短絡が起こりにくくなる。
導電性テープ30は、絶縁材(図示略)と金属材(図示略)との複合体であってもよい。前記複合体は、例えば、次の構成A,Bのいずれかであってよい。
(構成A)絶縁材は、ポリイミドなどの絶縁材料で構成されたテープ状の基材である。金属材は、前記基材の表面に被覆された金属層である。金属層は、銅などの金属で構成され、例えば蒸着によって形成される。
(構成B)金属材は、銅などの金属で構成されたテープ状の基材である。絶縁材は、ポリイミドなどの絶縁材料で構成され、基材の表面に蒸着などにより付着して形成される。
導電性テープ30として複合体を使用することによって、超電導コイル100の軽量化および低コスト化を図ることができる。
第1絶縁テープ20および第2絶縁テープ40は、絶縁性材料、例えば、ポリイミド、フッ素樹脂、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリビニルブチラール、およびポリビニルホルマールなどの絶縁性の樹脂で構成される。なかでも、ポリイミドおよびフッ素樹脂は、電気絶縁性等の特性に優れるため好ましい。
第1絶縁テープ20および第2絶縁テープ40の厚さは、例えば、それぞれ5〜100μmである。
第1絶縁テープ20と第2絶縁テープ40とは、導電性テープ30を介して向かい合って配置される。第1絶縁テープ20および第2絶縁テープ40の幅W2,W4は互いに同じであってよい。第1絶縁テープ20および第2絶縁テープ4の幅W2,W4は、酸化物超電導線材10の幅W1とほぼ等しいことが好ましい。
第1絶縁テープ20の導電性テープ30側の面を第1面20aという。第1面20aとは反対の面を第2面20bという。第2絶縁テープ40の導電性テープ30側の面を第1面40aという。第1面40aとは反対の面を第2面40bという。
超電導コイル100では、第1絶縁テープ20の第2面20bと、第2絶縁テープ40の第2面40bとのうちいずれか一方のみに、離形処理が施されている。この実施形態では、第2面20bと第2面40bのうち第2面20bにのみ離形処理が施されている。第2面40bには離形処理が施されていない。
離形処理は、例えば、対象面(第2面20bと第2面40bのうち少なくとも一方)に、フッ素樹脂を含むコーティング層70を形成する処理である。コーティング層70は、対象面の全域に形成するのが好ましいが、対象面の少なくとも一部の領域に形成されていればよい。この実施形態では、第2面20bと第2面40bのうち第2面20bにのみコーティング層70が形成されている。第2面40bにはコーティング層は形成されていない。フッ素樹脂を含むコーティング層70は、対向面に対する接着力を低くする効果の点で優れている。
コーティング層70は、フッ素樹脂を含む塗料を塗布し、乾燥することにより得られる。コーティング層70を構成するフッ素樹脂としては、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体)、PFA(ペルフロオロアルコキシフッ素樹脂)、ETFE(エチレン・四フッ化エチレン共重合体)などが挙げられる。塗料は、フッ素樹脂に必要に応じて有機バインダーなどを添加することで得られる。塗料を塗布する方法は、ディッピング法、スプレーコーティング法、ロールコーティング法、またはスピンフローコーティング法など、公知の塗布法を適用することができる。コーティング層70の厚さは、例えば、0.5〜10μmである。
第1絶縁テープ20の第2面20bに離形処理が施されている場合には、含浸樹脂層50に対する第2面20bの剥離しやすさは、含浸樹脂層50に対する第1面20aの剥離しやすさより大となる。第2絶縁テープ40の第2面40bに離形処理が施されている場合には、含浸樹脂層50に対する第2面40bの剥離しやすさは、含浸樹脂層50に対する第1面40aの剥離しやすさより大となる。
第2面20bと第2面40bのうち第2面20bにのみ離形処理が施されている場合には、第2面20bは、第2面40bに比べて、含浸樹脂層50に対して剥離しやすくなる。離形処理されていない第2面40bは、第2面20bに比べて、対面する酸化物超電導線材10に対して位置ずれしにくくなる。
第2面20bと第2面40bのうち第2面40bにのみ離形処理が施されている場合には、第2面40bは、第2面20bに比べて、含浸樹脂層50に対して剥離しやすくなる。離形処理されていない第2面20bは、第2面40bに比べて、対面する酸化物超電導線材10に対して位置ずれしにくくなる。
酸化物超電導線材10と導電性テープ30とは、長さ方向の1箇所で電気的に接続されている。そのため、超電導コイル100に生じる抵抗電圧を高感度で検出できる(前述の非特許文献1を参照)。
[超電導コイルの製造方法]
図1および図2に示す超電導コイル100は、例えば次のようにして製造することができる。
(第1工程:積層体形成工程)
酸化物超電導線材10と、第1絶縁テープ20と、導電性テープ30と、第2絶縁テープ40とを用意する。第1絶縁テープ20の第2面20bと、第2絶縁テープ40の第2面40bとのうちいずれか一方のみに、予め離形処理を施しておく。離形処理は、例えば、対象面に、フッ素樹脂を含むコーティング層70(図1参照)を形成する処理である。この実施形態では第2面20bにのみ離形処理を施す。
コーティング層70は、積層体60を形成する前に形成されていればよい。そのため、積層体60を形成する直前に第1絶縁テープ20または第2絶縁テープ40にコーティング層70を形成してもよい。
図3に示すように、酸化物超電導線材10と、第1絶縁テープ20と、導電性テープ30と、第2絶縁テープ40とを、それぞれ、供給ローラ110,120,130,140から巻き枠150に供給する。これにより、酸化物超電導線材10と、第1絶縁テープ20と、導電性テープ30と、第2絶縁テープ40とが共巻きされた積層体60(図1参照)を得る。
(第2工程:樹脂含浸工程)
次いで、積層体60にエポキシ樹脂等の樹脂を含浸させ、この樹脂を硬化させて含浸樹脂層50を形成する。これにより、図1および図2に示す超電導コイル100を得る。
[実施形態の超電導コイルおよびその製造方法が奏する効果]
超電導コイル100では、第1絶縁テープ20の第2面20bと第2絶縁テープ40の第2面40bのうち一方に離形処理が施されているため、当該処理面と含浸樹脂層50との接着力を小さくできる。そのため、超電導コイル100を冷却して超電導状態で使用する場合、前記処理面と含浸樹脂層50との界面で層間剥離が生じやすくなることで、含浸樹脂層50の収縮に起因する応力を緩和できる。従って、酸化物超電導線材10に対して厚さ方向に作用する剥離力を抑制できる。よって、超電導コイル100では、冷却の際の超電導特性の劣化を抑制できる。
第1絶縁テープ20の第2面20bと第2絶縁テープ40の第2面40bのうち離形処理が施されなかった面(非処理面)は、対面する酸化物超電導線材10に対して位置ずれしにくい。そのため、超電導コイル100では、第2面20bと第2面40bの両方に離形処理を施す場合に比べて、第2絶縁テープ40が酸化物超電導線材10に対して位置ずれするのを抑制できる。従って、前記非処理面に対面する酸化物超電導線材10は露出しにくい。よって、超電導コイル100において隣り合う酸化物超電導線材10同士が電気短絡する事態の発生を抑制することができる。
[超電導コイル](第2実施形態)
図5は、第2実施形態の超電導コイル200を模式的に示す断面図である。以下、既出の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
超電導コイル200は、第2面20bと第2面40bのうち第2面40bにのみ離形処理が施されている点で、図1に示す超電導コイル100と異なる。超電導コイル200では、第2面40bにコーティング層70が形成されている。第2面20bにはコーティング層が形成されていない。
超電導コイル200は、第2面20bと第2面40bのうち第2面40bにのみ離形処理を施すこと以外は前述のとおりにして作製することができる。
超電導コイル200では、第2面40bに離形処理が施されているため、図1に示す超電導コイル100と同様に、酸化物超電導線材10に対して厚さ方向に作用する剥離力を抑え、冷却の際の超電導特性の劣化を抑制できる。
さらに、超電導コイル200では、第2面20bに離形処理が施されていないため、第1絶縁テープ20が酸化物超電導線材10に対して位置ずれするのを抑制できる。よって、隣り合う酸化物超電導線材10同士が電気短絡する事態の発生を抑制することができる。
[超電導コイル](第3実施形態)
図6は、第2実施形態の超電導コイル300を模式的に示す断面図である。以下、既出の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
超電導コイル300は、第2面20bと第2面40bの両方に離形処理が施されている点で、図1に示す超電導コイル100と異なる。超電導コイル300では、第2面20bおよび第2面40bにそれぞれコーティング層70が形成されている。
超電導コイル300では、第2面20bおよび第2面40bに離形処理が施されているため、図1に示す超電導コイル100と同様に、酸化物超電導線材10に対して厚さ方向に作用する剥離力を抑え、冷却の際の超電導特性の劣化を抑制できる。
[超電導コイル](変形例)
図7は、超電導コイル100の変形例である超電導コイル400を模式的に示す概略図である。以下、既出の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
超電導コイル400は、複数のコイル401が積層されて構成されている。コイル401は、図1および図2に示す超電導コイル100と同じ構成であってよい。複数のコイル401は、互いに電気的に接続されていてよい。
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
離形処理は、フッ素樹脂を含むコーティング層を対象面に形成する処理に限定されない。例えば、パラフィン、グリース、シリコンオイル等を含むコーティング層を対象面に形成する処理を採用してもよい。超電導コイルの形状は特に限定されない。超電導コイルは、図2に示す円環状に限らず、レーストラック状、略矩形状などであってもよい。
前述の超電導コイル100の製造方法は、前記積層体を形成した後、前記積層体に樹脂を含浸させるが、超電導コイルの製造方法はこれに限定されない。例えば、超電導コイルは、酸化物超電導線材を半硬化樹脂テープと共巻きすることで積層体を形成した後、半硬化樹脂テープを硬化する方法によって作製してもよい。
図1および図5に示す超電導コイル100,200では、第1絶縁テープ20の第2面20bと、第2絶縁テープ40の第2面40bとのうちいずれか一方に離形処理が施されている。図6に示す超電導コイル300では、第1絶縁テープ20の第2面20bと、第2絶縁テープ40の第2面40bとの両方に離形処理が施されている。すなわち、超電導コイルは、第1絶縁テープの第2面と、第2絶縁テープの第2面との少なくとも一方に離形処理が施されていればよい。
10…酸化物超電導線材、20…第1絶縁テープ、20b…第2面(第1絶縁テープの導電性テープ側とは反対の面)、30…導電性テープ、40…第2絶縁テープ、40b…第2面(第2絶縁テープの導電性テープ側とは反対の面)、50…含浸樹脂層、60…積層体、70…コーティング層、100,200,300,400…超電導コイル、W2…第1絶縁テープの幅、W3…導電性テープの幅、W4…第2絶縁テープの幅。

Claims (7)

  1. テープ状の酸化物超電導線材と、第1絶縁テープと、導電性テープと、第2絶縁テープとがこの順に共巻きされた積層体と、
    前記積層体に含浸した樹脂で形成された含浸樹脂層と、を備え、
    前記第1絶縁テープの前記導電性テープ側とは反対の面と、前記第2絶縁テープの前記導電性テープ側とは反対の面との少なくとも一方に離形処理が施されている、超電導コイル。
  2. 前記離形処理は、前記第1絶縁テープの前記導電性テープ側とは反対の面と、前記第2絶縁テープの前記導電性テープ側とは反対の面とのうち、いずれか一方のみに施されている、請求項1記載の超電導コイル。
  3. 前記離形処理は、フッ素樹脂を含むコーティング層を形成することによってなされる、請求項1または2記載の超電導コイル。
  4. 前記導電性テープは、前記第1絶縁テープおよび第2絶縁テープより幅が狭い、請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の超電導コイル。
  5. 前記導電性テープは、絶縁材と金属材と複合体である、請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の超電導コイル。
  6. 前記酸化物超電導線材と前記導電性テープとは、長さ方向の1箇所で電気的に接続されている、請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の超電導コイル。
  7. テープ状の酸化物超電導線材と、第1絶縁テープと、導電性テープと、第2絶縁テープとを、この順に共巻きして積層体とする第1工程と、
    前記積層体に樹脂を含浸させて含浸樹脂層を形成する第2工程と、を有し、
    前記積層体の形成の前に、前記第1絶縁テープの前記導電性テープ側とは反対の面と、前記第2絶縁テープの前記導電性テープ側とは反対の面との少なくとも一方に離形処理を施す、超電導コイルの製造方法。
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