JP2020165878A - グリース劣化診断装置及びその方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 グリースを採取することなく、グリースの劣化程度を診断できるグリース劣化診断装置を提供する。【解決手段】 対象機器1の摺動部に塗布されたグリースの劣化程度を診断するグリース劣化診断装置10Aであって、演算機能を有する解析部4を備え、前記解析部4は、前記グリースの温度Tと、前記摺動部の摺動回数Nと、前記対象機器1の経年数tと、を少なくとも含む数値要因を取得し、取得した前記数値要因を用いて前記グリースの油分率yを推定し、推定した前記油分率yに基づいて前記グリースの劣化程度を診断する。【選択図】 図1

Description

本発明は、グリース劣化診断装置及びその方法に関する。
変電所に設置されている高電圧設備は高い信頼性が求められる。特に遮断器は事故電流を遮断して負荷側の危機を保護する重要な役割があるが、摺動部を有しているため静止機器に比べて故障率は高い。そのため、摺動部を確実に動かすために、定期的に注油などの保守が不可欠である。これまでに、グリースの劣化にともなう遮断器の操作機構の異常を防止するため、グリースの劣化状態を適切に評価することが保守項目に含まれていた。
特許文献1に記載のグリース劣化診断装置では、グリースを採取して、超音波を当て、透過波の伝搬損失に基づいてグリースの劣化度を評価する手法について開示されている。特許文献2に記載のグリースの異常診断方法及び超音波診断システムでは、グリースを塗布した部位の近傍に超音波センサを配置し、超音波を当てて、透過した超音波信号からグリースの異常状態を評価する手法について開示されている。
特開2018-48858号公報 特開2005-164306号公報
しかしながら、特許文献1のグリース劣化診断装置では、塗布されたグリースを評価するために、塗布部のグリースを採取する手間が必要である。すなわち、グリース塗布の対象となる遮断機等を有する高電圧設備に対し、グリースを採取する人手を要するのみならず、当該保守要員を感電事故の被害から守るため、停電させることが不可欠である。その結果、グリースの劣化状態を知るため、グリースを採取する都度に高電圧停電させることを余儀なくされた。停電には商業的な損失が少なからず生じるといった課題もあった。
また、特許文献2の異常診断方法及び超音波診断システムでは、操作機構部内のグリースを塗布した部位の近傍に超音波センサを配置する必要があり、構造が複雑になるという課題もあった。本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、グリースを採取することなく、グリースの劣化程度を診断できるグリース劣化診断装置を提供することにある。
本発明は、対象機器の摺動部に塗布されたグリースの劣化程度を診断するグリース劣化診断装置であって、演算機能を有する解析部を備え、前記解析部は、前記グリースの温度と、前記摺動部の摺動回数と、前記対象機器の経年数と、を少なくとも含む数値要因を取得し、取得した前記数値要因を用いて前記グリースの油分率を推定し、推定した前記油分率に基づいて前記グリースの劣化程度を診断するものである。
本発明によれば、グリースを採取することなく、グリースの劣化程度を診断できるグリース劣化診断装置を提供できる。
本発明の実施例1に係るグリース劣化診断装置(以下、「本装置」ともいう)の構成図である。 摺動回数をパラメータとしたときの油分率yの時間変化を表す図である。 本発明の実施形態に係るグリース劣化診断装置(以下、「本方法」ともいう)の処理手順を示すフローチャートである。 解析部における油分率の計算方法を示した図である。 図1の本装置で表示画面に表示可能なグラフである。 本発明の実施例2に係るグリース劣化診断装置(これも「本装置」という)の構成図である。 変電所の温度と最寄り気象観測点で公開されている温度データを比較した図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施例1に係るグリース劣化診断装置(以下、「本装置10A」とする)の構成図である。図1に示す本装置10Aは、グリースの劣化指標である油分率yを、グリースを採取することなく推定することで適切な注油時期を知らせるための、コンピュータ装置である。なお、図では省略しているが、各部はインターネット等により、遠隔接続されていても良い。
図1に示すように、本装置10Aは、開閉装置(高圧電流の遮断機その他の対象機器、以下、単に「遮断機」又は「対象機器」ともいう)1と、温度センサ2と、記録部(メモリ)3と、解析部(演算処理部、CPU:Central Processing Unit)4と、表示部5と、保守情報データベース(メモリ)6と、を備えて構成される。表示部5は、ユーザが情報を入出力するための、例えば、キーボードやディスプレイである。ここでは、情報出力装置としてのディスプレイのみを表示部5として例示しているが、キーボード等の情報入力装置をさらに備えてもよい。
なお、上記各部において、それぞれカッコ書きした本質的な機能を有するものであれば、各部の呼称に多少の相違があるものを用いても構わない。本装置10Aは、変電所に設置された高圧電流の遮断機(開閉装置)1を対象装置とし、その摺動部に塗布されたグリースの劣化程度を完全自動、又は半自動的に診断して、適切な注油時期を表示部5によりユーザに報知する。
温度センサ2は、開閉装置1の摺動部に塗布されたグリースの温度Tを測定し、測定値を示す温度情報を記録部3へ入力する。摺動回数Nは、開閉装置1が動作することに応じた、前回の診断時からの摺動部の摺動回数である。摺動回数Nも記録部3へ入力される。記録部3は、温度T、摺動回数N及び後述する経年数tを記録するとともに、それらの情報を解析部4へ入力する。解析部4は、これらの情報から、保守情報データベース6の情報を参照して、求める情報を演算出力し、表示部5を用いてユーザに報知する。
すなわち、本装置10Aは、診断対象である開閉装置1に対して、その摺動部に塗布されているグリースの温度を近似するために開閉装置1の周辺に設置されている温度センサ2と、その温度センサ2で測定された温度Tおよび開閉装置1の動作回数のカウンタ値Nを記録する記憶部3と、開閉装置1の経年数や前回注油時期等の記録を保存している保守情報データベース6と、温度T・カウンタ値N・保守情報データベース6の情報から現時点におけるグリースの油分率yを推定し、今後のトレンドの予測から適正な注油時期を計算する解析部4と、油分率yのトレンドグラフや注油時期を視覚化し、適切な注意時期を把握可能とする表示部5から構成される。
グリースは、基油、増稠剤、添加剤を含んで構成される。グリースの潤滑性能の低下は、基油が蒸発して基油割合(以下、油分率yと呼ぶ)が低下することにより引き起こされる。したがって、油分率yを把握することができれば、適切な時期に注油等が可能となり、過不足のない合理的な保守が可能となる。しかしながら、油分率yはグリースの使用温度や開閉装置1の動作回数などの使用環境によって、変化する。
図2は、開閉装置1の動作回数、すなわち摺動部の摺動回数Nをパラメータとしたときの油分率yの時間変化を表す図である。図2において、温度一定時に摺動回数Nをパラメータとしたときの、時間と油分率yとの関係を示している。摺動回数Nが多い程、油分率yが低下する速度が速いことが分かる。これは、グリースの基油は増稠剤によって保持されるが、摺動による圧力によって増稠剤が細かくばらばらになると、基油の保持力が失われるためであると考えられる。そこで、基油の蒸発量を考慮して油分率yを推定するためには、温度以外にも、開閉装置1の動作回数(摺動回数N)を考慮する必要がある。
グリースの油分率yは、経年数t(年)、温度T(K)、摺動回数N(回)に関係している。また、摺動回数Nは増稠剤の劣化度Dtに関係している。これらの事実を踏まえて、簡易の油分率yの推定式を構築する。摺動回数Nが増えるとグリースの増稠剤が劣化する事実から、以下の式(1)で表すように、摺動回数Nと増稠剤の劣化度Dtとの間に比例関係があると仮定する。
Dt = K1・N ・・・・・・式(1)
ここで、K1は正の定数である。
摺動回数Nが増えると基油の保持力が弱まるため、基油の蒸発量が増える。そこで、基油の蒸発のしやすさに関する係数(以下、蒸発係数)をSと置き、Dtとの間に比例関係が成立すると仮定すると、以下の式(2)が成り立つ。
S = So + K2・Dt ・・・・・・式(2)
ここで、SoとK2は正の定数である。
蒸発係数Sが大きいほどグリースの基油が蒸発しやすい状態である。Soはゼロよりも大きく、摺動回数Nがゼロで増稠剤が劣化しない(Dt=0)の場合においても、一定の油分の蒸発がある。式(1)と式(2)より、Dtを消去すると、蒸発係数Sは摺動回数Nを用いて次式(3)で表せる。
S = So + K1・K2・N = So + S1・N ・・・・・・式(3)
ここで、S1 = K1・K2と置いた。式(3)は摺動回数Nが多くなると、油分が保持され難くなり、基油が蒸発し易くなることを示している。
ここで、ある短い期間△tでの基油の蒸発による油分率yの変動量−△yが、蒸発係数をSとして、温度Tと油分率y、期間△tに比例すると仮定すると次式(4)で表せる。
△y=−S・T・y・△t ・・・・・・式(4)
式(4)を解き、式(3)を代入すると、次式(5)に示す油分率yの推定式の基本的な形を得る。
y =A・exp( −(So + S1・N)・T・t) ・・・・・・式(5)
ここで、yは油分率(%)、Aは新品時の油分率(%)、S0とS1はグリースの種類に依存する定数、Nは摺動回数(回)、Tは平均使用温度(K)、tは年数(年)である。
予め特定の種類のグリースについて、フィールドデータからのグリース採取又は実験によって、式(5)を回帰式と考えて、最小2乗法により、蒸発係数S,S1を定めることができる。
図3は、本発明の実施形態に係るグリース劣化診断装置の処理手順(以下、「本方法」ともいう)を示すフローチャートである。まず、解析部4の制御により、開閉装置1近傍の温度センサ2によりグリースの温度Tとして計測された温度と、開閉装置1の累計動作回数N’と、を所定の周期で(例えば、1時間に1回)取得する(ステップS1)。
次に解析部4では、ステップS1で取得した累計動作回数N’と温度Tとをアナログデジタル変換器(A/D変換器)でデジタルデータに変換して、取得時刻t’とともに記憶部3に保存する(ステップS2)。
次に解析部4は、ステップS2で記憶部3に記録された現時点の累計動作回数N’および取得時刻t’の記録と、保守情報データベース6に記録されている前回の注油時における時刻toと累計動作回数Noから、前回注油時からの経年数t及び、前回注油時からの開閉装置1の動作回数、すなわち摺動部の動作回数Nを下式(6)及び下式(7)により計算する(ステップS3)。
N=N’−No ・・・・・・式(6)
t=t’−to ・・・・・・式(7)
次に解析部4は、ステップS3で計算された、前回注油時からの経年数(経過時間)tおよび前回注油時からの動作回数(摺動回数)Nと、ステップS1で取得したグリースの温度Tとを用いて、これらの数値要因による油分率yの1時間分の変動量△y(i)を式(4)より計算して推定する(ステップS4)。図4は、解析部における油分率yの計算方法を示した図である。図4に示すように、変動量△y(i)を1時間前の油分率yの推定値y(i−1)から差し引くことで、現時点の油分率y(i)を計算する。
ここではグリースの注油時期を時間の起点として、そこからの温度Tや動作回数Nの変化を用いて、油分率yを計算している。また、注油後しばらく経過してから診断が開始され、それまでのTやNの情報が無い場合には、それまでの油分率yは式(5)により概算する。なお、温度Tについては、1時間前の測定値と現時点の測定値の平均値を算出し、これを温度Tとして変動量△y(i)を計算してもよい。
次に解析部4は、表示部5を用いて、次回の注油時期を報知する(ステップS5)。図5は、表示部5における油分率yの表示画面の例を示す。横軸が時間tで、縦軸が油分率yのグラフである。横軸の時間tは前回の注油時期(時間=0)を起点として、その経過時間tを表している。白い点は、油分率yの計算結果をプロットし、関数で表される推定曲線を最小2乗法によりフィッティングしている。この推定曲線と、グリース性能の下限である閾値ytとの交わりをグリース補充又は交換、すなわち注油時期として報知する。
以上のように本発明を用いることで、グリースを採取することなく、グリースの油分率yをグリースの温度Tと、開閉装置1の摺動部の摺動回数Nと、経年数tから推定できるため、環境に応じてグリースの注油時期を適正に決定できるようになり、合理的な保守が可能となる。
なお、上記の説明ではグリースの温度Tとして、開閉装置1の周辺に設置されている温度センサ2の測定値を用いる例を説明したが、他の測定値をグリースの温度Tとして用いてもよい。例えば、開閉装置1の摺動部の付近に温度センサ2を接して配置し、この温度センサ2の測定値をグリースの温度Tとして用いてもよいし、グリースに温度センサを接触させてグリースの温度Tを直接測定してもよい。これ以外にも、グリースの温度Tを適切に取得できれば、任意の方法を採用可能である。
図6は、本発明の実施例2に係るグリース劣化診断装置(これは「本装置10B」とする)の構成図である。本装置10Bは、外部の情報機器である気象データベース7とweb(インターネット等)経由で通信可能に接続されている。図1に示した実施例1に係る本装置10Aとの違いは、開閉装置1近傍の温度を温度センサからのデータではなく、気象データベース7に記録されて公開されている最寄りの気象観測点における各時点の温度データを、開閉装置1の設置地点に対応する地域の温度データとしてweb経由で取得し、利用する点である。温度センサが不要となる分、センサ数を少なくできるため、監視対象が多い場合には有効である。
図7は、変電所の温度と最寄り気象観測点で公開されている温度データを比較した図である。図7に示すように、最寄り気象観測点から発表されている外気温と、変電所の特高(特別高圧)操作盤内や変電所の外気温とを比較したグラフを一例に示す。それぞれの温度は、ほぼ一致しており、変電所で実測する温度Tを気象観測点の公開データによって置き換えても誤差は小さい。
以上のように、実施例2に係る本装置10Bでは、気象観測点からの公開データで開閉装置1に塗布されているグリースの温度を近似して、温度センサを省略することを特徴としている。
実施例1に係る本装置10A及び実施例2に係る本装置10Bをまとめて本装置10と称する。本装置10は、以下のように総括できる。
[1]本装置10は、対象機器1の摺動部に塗布されたグリースの劣化程度を診断するコンピュータ装置である。このコンピュータ装置は、表示部5と、メモリ6と、演算処理部(以下、「CPU」ともいう)4と、を備えて構成される。表示部5は、ユーザが情報を入出力する。
メモリ6は、所定のプログラム及び情報を記憶再生可能である。CPU4は、メモリ6から読み出したプログラムを実行することにより、少なくとも表示部5又はメモリ6の何れかより得られた情報を用いて演算処理した結果を表示部5から出力可能である。
このプログラムは、グリースの成分である基油の蒸発量で定められる油分率yを閾値と比較した結果に基づいて劣化程度を診断する診断基準を有している。この診断基準において、油分率yに影響を及ぼす数値要因は、温度T、摺動回数N、及び経年数tの3つが指定されている。
温度Tは、摺動部それ自体、摺動部の直近、摺動部に塗布されたグリースそれ自体、又は対象機器1の雰囲気を測定したことに相当する温度Tの情報が用いられる。これらに該当する温度情報であれば、外部から取得しても構わない。摺動回数Nは、対象機器1が動作することに応じた摺動部の摺動回数Nである。経年数tは、対象機器1が据え付けられてから、本装置10を用いて診断する現在までの経過時間tである。
メモリ6には、数値要因を用いて油分率yが演算出力可能な数式モデル、テーブル、又はグラフの少なくとも何れかが、利用可能な状態で予め格納されている。CPU4は、少なくとも表示部5又はメモリ6の何れかより得られた数値要因を用いて油分率yを算出する。なお、油分率yが演算出力可能な数式モデル、テーブル、又はグラフの何れであっても、同一条件の情報を入力すれば、高い再現性によって同一情報が出力される。
温度T、摺動回数N、及び経年数t、による3つの数値要因が、油分率yに及ぼす影響について、相当数の実績データが分析され一般化された状態でメモリ6に蓄積されている。すなわち、数値要因それぞれと、油分率yとの因果関係が、明確に解明されて、数式モデル、テーブル、又はグラフに形成されている。その結果、温度T、摺動回数N、及び経年数t、による3つの数値要因が入力されたならば、瞬時に油分率yが算出される。
上述のように、このコンピュータで実行されるプログラムは、グリースの成分である基油の蒸発量で定められる油分率yを閾値と比較した結果に基づいて劣化程度を診断する診断基準を有している。これにより、劣化程度が診断され、その結果が表示部5より出力される。これら一連の処理において、保守要員等がグリースを採取することなく、グリースの劣化程度を診断できる。なお、本装置10のようなコンピュータ装置の長所として、ネットワーク接続することにより、遠隔監視のほか、多数の対象を集中監視するシステムも容易に実現する。
[2]劣化程度の診断結果に応じて適切な注油時期を報知する。これにより、注油時期について、単に到来した、徒過した、又は、あとどのくらい後に到来するといった情報加工して報知することも可能である。すなわち、本装置10の診断基準において、数値要因それぞれと、油分率yとの因果関係が、明確に解明されているため、温度T、摺動回数N、及び経年数t、による3つの数値要因に基づいて、現在とは限らない注油時期についても、ある程度報知できる。
[3]また、対象機器1に接して、又は対象機器1から所定距離以内に設置された温度センサの測定値が、グリースの温度Tとして取得される記録部3を、さらに備えることが好ましい。
[4]本装置10Bは、外部の情報機器と通信可能に接続されており、記録部3は、情報機器から得られた対象機器1の設置地点に対応する地域の温度データを、グリースの温度Tとして取得する。すなわち、温度Tとして、最寄りの気象台7から得られた温度データTを用いる。最寄りの気象台7は、インターネットを介して各地の気象情報を概ねリアルタイムで公表している。これにより、自ら温度測定することなしに、温度データTを手軽に入手できる。つまり、対象機器1の雰囲気を測定したことに相当する温度Tの情報が得られるのいで、保守要員等の負担がより一層軽減できる。さらに、監視対象が多い場合には、それぞれに最寄りの気象情報を容易に利用可能であるため、特に有効である。
[5]本装置10の対象機器1が高圧電流用の遮断機1であるならば、保守要員等がグリースを採取することなく、グリースの劣化程度を診断できるので、感電の危険もない。その結果、従来ならグリースを採取する都度に停電させることで発生した商業的な損失も、本装置10によって解消された。
また、本方法は、以下のように総括できる。
[6]本方法は、対象機器1の摺動部に塗布されたグリースの劣化程度をコンピュータで診断する方法である。図3に示すように、そのコンピュータにおいて、演算処理部(CPU)4が、メモリ6から読み出した所定のプログラムにより、診断基準に基づく情報処理を実行する(S1〜S50)。その情報処理は、グリースの成分である基油の蒸発量で定められる油分率yを閾値と比較した結果に応じて劣化程度を診断するための処理である。
コンピュータは、以下の手順で処理を実行する。まず、グリースの温度Tと、摺動部の摺動回数N’と、対象機器の経年数t’と、を少なくとも含む数値要因を取得し(S1)、これらを記憶保存する(S2)。これらより、経過時間/動作階数Nを算出する(S3)。つぎに、これら取得した数値要因を用いてグリースの油分率を推定する(S4)。このように推定された油分率に基づいて、グリースの劣化程度を診断する。この診断結果に基づいて、注油時期を報知する(S5)。より詳細には、以下のとおりである。
CPU4が、メモリ6に診断基準として予め形成されている油分率yを演算出力可能な数式モデル、テーブル、又はグラフの少なくとも何れかと、閾値と、を読み出す。また、CPU4は、少なくとも表示部5又はメモリ6の何れかより、油分率yに影響を及ぼす数値要因の情報を取得する。CPU4が取得した数値要因は、以下のとおりである。すなわち、油分率yに影響を及ぼす数値要因は、温度T、摺動回数N、及び経年数tの3つが指定されている。
温度Tは、摺動部それ自体、摺動部の直近、摺動部に塗布されたグリースそれ自体、又は対象機器1の雰囲気を測定したことに相当する温度Tの情報が用いられる。摺動回数Nは、対象機器1が動作することに応じた摺動部の摺動回数Nである。経年数tは、対象機器1が据え付けられてから、本方法によって診断する現在までの経過時間tである。
CPU4は、診断基準に基づいて演算処理した結果を表示部5から出力する。本方法による作用効果は、上記[1]と同等である。
重複もあるが、以下に補足する。
[補足]
本装置10は、グリースを採取することなく、周囲温度Tと動作回数Nとから開閉装置1のグリースの油分率yを計算し、適切な注油時期を見極めるとともに、報知することもできる。すなわち、油分率yの経時変化を表す関数と閾値との関係から適切な注油時期を知らせるものである。
より詳しくは、開閉装置1又はその周辺の外気温Tと、開閉装置1の開閉回数Nと、経年数tから予め計測したグリースの基油の蒸発量を考慮した蒸発係数Sを用いることにより、逐次グリースの油分率yを推定する。なお、動作回数N及び経年数tは、開閉装置1を据え付けた当初のみを起算点とするものでなく、前回保守した日でいったんリセットしてからの開閉装置1の動作回数N及び経過時間tを用いることは、いうまでもない。
[付記]
本装置は、対象機器の摺動部に塗布されたグリースの劣化程度を診断するグリース劣化診断装置であって、ユーザが情報を入出力するための表示部と、所定のプログラム及び情報を記憶再生可能なメモリと、該メモリから読み出したプログラムを実行し、少なくとも前記表示部又は前記メモリの何れかより得られた情報を用いて演算処理した結果を前記表示部から出力可能な演算処理部と、を備えてコンピュータを構成し、前記プログラムは、前記グリースの成分である基油の蒸発量で定められる油分率を閾値と比較した結果に基づいて前記劣化程度を診断する診断基準を有し、該診断基準において、前記摺動部それ自体、該摺動部の直近、前記グリースそれ自体、又は前記対象機器の雰囲気を測定したことに相当する温度と、前記摺動部の摺動回数と、前記対象機器の経年数と、を前記油分率に影響を及ぼす数値要因として、前記メモリには、前記数値要因を用いて前記油分率が演算出力可能な数式モデル、テーブル、又はグラフの少なくとも何れかを有し、前記演算処理部は、少なくとも前記表示部又は前記メモリの何れかより得られた前記数値要因を用いて前記油分率を算出するものである。
1…開閉装置(遮断機、対象機器)、2…温度センサ、3…記憶部、4…解析部、5…表示部、6…保守情報データベース、10,10A,10B…グリース劣化診断装置(本装置)、N…動作回数、T…温度、t…経過時間、y…油分率

Claims (6)

  1. 対象機器の摺動部に塗布されたグリースの劣化程度を診断するグリース劣化診断装置であって、
    演算機能を有する解析部を備え、
    前記解析部は、
    前記グリースの温度と、前記摺動部の摺動回数と、前記対象機器の経年数と、を少なくとも含む数値要因を取得し、
    取得した前記数値要因を用いて前記グリースの油分率を推定し、
    推定した前記油分率に基づいて前記グリースの劣化程度を診断する、
    グリース劣化診断装置。
  2. 前記劣化程度の診断結果に基づいて前記グリースへの注油時期を報知する報知部をさらに備える、
    請求項1に記載のグリース劣化診断装置。
  3. 前記対象機器に接して、又は前記対象機器から所定距離以内に設置された温度センサの測定値が前記グリースの温度として取得される記録部を、さらに備えた、
    請求項1に記載のグリース劣化診断装置。
  4. 前記グリース劣化診断装置は、外部の情報機器と通信可能に接続されており、
    前記記録部は、前記情報機器から得られた前記対象機器の設置地点に対応する地域の温度データを、前記グリースの温度として取得する、
    請求項3に記載のグリース劣化診断装置。
  5. 前記対象機器は高圧電流用の遮断機である請求項1に記載のグリース劣化診断装置。
  6. 対象機器の摺動部に塗布されたグリースの劣化程度を診断するグリース劣化診断方法であって、
    コンピュータにより、
    前記グリースの温度と、前記摺動部の摺動回数と、前記対象機器の経年数と、を少なくとも含む数値要因を取得し、
    取得した前記数値要因を用いて前記グリースの油分率を推定し、
    推定した前記油分率に基づいて前記グリースの劣化程度を診断する、
    劣化診断方法。
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