JP2020164176A - プリフォーム組立体、二重容器及び二重容器の製造方法 - Google Patents

Abstract

【課題】口部に設けた外気導入口から胴部と収容部との間に向けて気道を確実に確保できるようにするプリフォーム組立体、二重容器及び二重容器の製造方法を提供する。【解決手段】外口部５１と外口部５１に連なる延伸部５３とを備えるとともに上下方向に延在する凹条７１が延伸部５３の内面に設けられた外プリフォーム５０と、内口部６１と内口部６１に連なる延伸部６３とを備えた内プリフォーム６０とを有し、外プリフォーム５０と内プリフォーム６０との間に連通する外気導入口５２が、外口部５１と外口部５１の内側に配置された内口部６１とで構成される口部７２に設けられたことを特徴とするプリフォーム組立体４０。【選択図】図５

Description

本発明は、プリフォーム組立体、二重容器及び二重容器の製造方法に関する。

醤油等の食品調味料、飲料、化粧水などの化粧料、シャンプーやリンス、液体石鹸などのトイレタリーを内容液として収納する容器として、外プリフォームの内側に内プリフォームを組み込んだプリフォーム組立体をブロー成形して、筒状の外口部と外口部に肩部を介して連なる有底筒状の胴部とを備えた外層体と、外口部の内側に配置された内口部と内口部に連なるとともに肩部及び胴部の内面に剥離可能に積層された減容変形自在な収容部とを備えた内層体とを有する二重構造に形成された二重容器が知られている（例えば特許文献１参照）。

上記二重容器は、例えば、逆止弁を備えた注出キャップと組み合わされたスクイズ式の注出容器やポンプと組み合わされたポンプ付容器として使用される。この場合、外層体の胴部をスクイズ（圧搾）したりポンプを操作したりすることで内容液を外部に注出することができる一方、内容液の注出後には、外層体に設けた外気導入口から外層体と内層体との間に外気が導入されることで内層体の収容部を減容変形させたまま外層体のみを元の形状に復元させることができる。したがって、上記二重容器によれば、内層体の収容部に収容されている内容液を外気と置換することなく外部に注出することができるので、内層体の内部に収容されている内容液への外気の接触を減らし、当該内容液の劣化や変質等を抑制することができる。

特開２０１７−１７８４３４号公報

しかし、上記従来の二重容器のように、外プリフォームの内側に内プリフォームを組み込んだプリフォーム組立体をブロー成形して形成される二重容器では、外層体と内層体との間に外気を導入する外気導入口を外口部と内口部とで構成される口部に設けた構成とすると、外気導入口から肩部と収容部との間に向けた気道確保が上手くいかず、内容液を注出した後に肩部と収容部との間を通して胴部と収容部の間にまで外気が導入されず収容部の減容変形が維持されない、又は、外層体の復元が阻害されてしまう虞があるという問題点があった。

本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、口部に設けた外気導入口から胴部と収容部との間に向けて気道を確実に確保できるようにするプリフォーム組立体、二重容器及び二重容器の製造方法を提供することにある。

本発明のプリフォーム組立体は、筒状の外口部と該外口部に連なる延伸部とを備えるとともに上下方向に延在する凹条又は凸条が前記延伸部の内面に設けられた外プリフォームと、筒状の内口部と該内口部に連なる延伸部とを備えた内プリフォームとを有し、前記外プリフォームと前記内プリフォームとの間に連通する外気導入口が、前記外口部と該外口部の内側に配置された前記内口部とで構成される口部に設けられたことを特徴とする。

本発明のプリフォーム組立体は、上記構成において、前記外プリフォームの前記延伸部が、内径が前記外口部から下方に向けて徐々に縮径する縮径部を有し、前記凹条又は凸条が、前記縮径部に設けられているのが好ましい。

本発明のプリフォーム組立体は、上記構成において、前記外気導入口が、前記外口部を貫通する貫通孔で構成され、上下方向に延在する凸条が、前記内プリフォームの外面に設けられているのが好ましい。

本発明の二重容器は、筒状の外口部と該外口部に肩部を介して連なる有底筒状の胴部とを備えるとともに上下方向に延在する薄肉部又は厚肉部が前記肩部に設けられた外層体と、筒状の内口部と該内口部に連なるとともに前記肩部及び前記胴部の内面に剥離可能に積層された減容変形自在な収容部とを備えた内層体とを有し、前記外層体と前記内層体との間に連通する外気導入口が、前記外口部と該外口部の内側に配置された前記内口部とで構成される口部に設けられたことを特徴とする。

本発明の二重容器は、上記構成において、上下方向に延在するリブが、前記外層体の前記肩部に設けられているのが好ましい。

本発明の二重容器は、上記構成において、前記外気導入口が、前記外口部を貫通する貫通孔で構成され、上下方向に延在する凸条が、前記内口部の外面に設けられているのが好ましい。

本発明の二重容器の製造方法は、筒状の外口部と該外口部に連なる延伸部とを備えるとともに上下方向に延在する凹条又は凸条が前記延伸部の内面に設けられた外プリフォームと、筒状の内口部と該内口部に連なる延伸部とを備えた内プリフォームとをそれぞれ形成し、前記外プリフォームの内側に前記内プリフォームを組み込んで、前記外プリフォームと前記内プリフォームとの間に連通する外気導入口が、前記外口部と該外口部の内側に配置された前記内口部とで構成される口部に設けられたプリフォーム組立体を形成するプリフォーム形成工程と、
前記プリフォーム組立体を延伸可能な温度に加熱してブロー成形し、前記外口部と該外口部に肩部を介して連なる有底筒状の胴部とを備えるとともに上下方向に延在する薄肉部又は厚肉部が前記肩部に設けられた外層体と、前記内口部と該内口部に連なるとともに前記肩部及び前記胴部の内面に剥離可能に積層された減容変形自在な収容部とを備えた内層体とを有し、前記外層体と前記内層体との間に連通する外気導入口が、前記外口部と該外口部の内側に配置された前記内口部とで構成される口部に設けられた二重容器とするブロー成形工程とを有することを特徴とする。

本発明の二重容器の製造方法は、上記構成において、前記プリフォーム形成工程において、上下方向に延在する凸条が外面に設けられた前記内プリフォームと、前記外気導入口を構成するための貫通孔が前記外口部に設けられた前記外プリフォームとにより、前記プリフォーム組立体を形成するのが好ましい。

本発明の二重容器の製造方法は、上記構成において、前記ブロー成形工程において、上下方向に延在する凸条又は凹条がキャビティ形成面に設けられた金型により、前記キャビティ形成面の前記凸条又は凹条に対応するリブが前記外層体の前記肩部に形成された前記二重容器を形成するのが好ましい。

本発明によれば、口部に設けた外気導入口から胴部と収容部との間に向けて気道を確実に確保できるようにするプリフォーム組立体、二重容器及び二重容器の製造方法を提供することができる。

本発明の一実施の形態である二重容器の半断面図である。 図１に示す二重容器の要部を示す半断面図である。 図２におけるＡ−Ａ線に沿う断面図である。 図１に示す二重容器の上面図である。 図１に示す二重容器にブロー成形されるプリフォーム組立体の半断面図である。 図５におけるＢ−Ｂ線に沿う断面図である。 図５に示すプリフォーム組立体をブロー成形用の金型に配置した状態を示す断面図である。 図７に示す状態からプリフォーム組立体を二軸延伸ブロー成形により二重容器に成形した状態を示す断面図である。

以下、図面を参照して、本発明の一実施の形態を例示説明する。

図１に示す本発明の一実施の形態である二重容器１は、積層剥離容器やデラミネーション容器（デラミ容器）とも呼ばれる合成樹脂製のものであり、外層体１０と内層体２０とを有する二重構造となっている。二重容器１は、図５に示すプリフォーム組立体４０（本発明の一実施の形態であるプリフォーム組立体）を二軸延伸ブロー成形して形成することができる。以下では、二重容器１を、化粧料や食品調味料等の液体を内容物として収容するスクイズ式の注出容器として用いる場合について説明する。

外層体１０は二重容器１の外殻を構成する部分であり、外口部１１、肩部１２及び胴部１３を備えたボトル形状となっている。

図４に示すように、外口部１１は、中心軸線Ｏを中心とする円筒状となっている。図２に示すように、外口部１１の外周面には雄ねじ１１ａが一体に設けられており、注出口を備えた注出キャップ（不図示）を雄ねじ１１ａにねじ結合させて外口部１１に装着することができるようになっている。

なお、上下方向とは、中心軸線Ｏに沿う方向を意味し、上方とは胴部１３から外口部１１に向かう方向を意味し、下方とはその反対方向を意味している。径方向とは中心軸線Ｏに直交する方向、周方向とは中心軸線Ｏを周回する方向を意味している。縦断面とは、中心軸線Ｏを含む断面を意味し、横断面とは、中心軸線Ｏと垂直な断面を意味している。

外口部１１は、雄ねじ１１ａに替えて円環状の突起を備えて、注出キャップが打栓によってアンダーカット状に係合することにより装着される構成とすることもできる。

外口部１１には一対の外気導入口１４が設けられている。一対の外気導入口１４は、外口部１１の軸心を挟んだ両側に互いに対称に配置され、それぞれ周方向に延びる長孔形状に形成されて外口部１１を径方向に貫通している。つまり、外気導入口１４は、外口部１１を貫通する貫通孔で構成されている。外気導入口１４は、外層体１０と内層体２０との間に連通しており、外気導入口１４を通して外層体１０と内層体２０との間に外気を導入することができる。なお、外気導入口１４は長孔形状に限らず、真円形状など適宜設計可能である。

外口部１１の外気導入口１４よりも肩部１２の側における外周面にはネックリング１１ｂが一体に設けられている。ネックリング１１ｂは外口部１１の全周に亘って延びるフランジ状となっており、外口部１１の外周面から径方向外側に向けて突出している。ネックリング１１ｂは、外口部１１の下端よりやや上方に設けられている。すなわち、本実施の形態においては、ネックリング１１ｂの直下には二軸延伸ブロー成形時に実質的に延伸されない円筒状の非延伸部が設けられており、この非延伸部で外口部１１の下端を構成している。このようにネックリング１１ｂの直下に非延伸部を設けることで、ネックリング５１ｂが延伸の影響を受けないようにすることができる。なお、このような非延伸部を設けずに、ネックリング１１ｂで外口部１１の下端を構成してもよい。

肩部１２は外口部１１の下端に一体に連なり、外口部１１に対して径方向外側に向けて張り出している。肩部１２の縦断面形状は、本実施の形態では上部が容器内側に凸、下部が容器外側に凸の湾曲形状となっているが、全体が容器外側に凸の湾曲形状であってもよい。

図１に示すように、胴部１３は有底筒状に形成され、その上端において肩部１２の下端に一体に連なっている。すなわち、胴部１３は肩部１２を介して外口部１１に連なっている。なお、胴部１３の横断面形状は円形であってもよく、楕円形ないし略矩形であってもよい。

胴部１３は可撓性を有しており、スクイズ（圧搾）されることで弾性変形して凹むことができるとともに、弾性力によって凹んだ状態から元の形状に自力で復元することができる。胴部１３をスクイズにより弾性変形可能な構成としたことにより、二重容器１をスクイズ式の注出容器として用いる場合に、内容液の注出操作を容易に行い得るようにすることができるとともに、内容液の注出後に外層体１０が元の形状に容易に復元することで外層体１０と内層体２０との間に外気導入口１４を通して外気が確実に導入されるようにして二重容器１としての機能を確実に発揮させることができる。

胴部１３の下端の底部分１３ａは円環状の外周縁の内側が凹んだ形状となっており、底部分１３ａを接地させることで二重容器１を正立姿勢で配置することができる。

本実施の形態においては、外層体１０はポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）製となっている。外層体１０をポリエチレンテレフタレート製とすることで、二重容器１を軽量で透明性の高い容器とすることができる。

なお、外層体１０の材質としては、ポリエチレンテレフタレートに限らず、例えばポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ナイロン樹脂、ポリカーボネート樹脂（ＰＣ樹脂）、シクロオレフィンコポリマー樹脂（ＣＯＣ樹脂）、シクロオレフィンポリマー樹脂（ＣＯＰ樹脂）などの他の合成樹脂材料を採用することもできる。

内層体２０は内口部２１と内口部２１の下端に一体に連なる収容部２２とを有している。

図２に示すように、内口部２１は段付き円筒状をなしており、外口部１１の内側に当該外口部１１と同軸に配置されている。内口部２１は、外口部１１の上端に載置される円環状のフランジ２１ａと、フランジ２１ａの内周縁から垂下するとともに外口部１１の内面に接する円筒状の上筒２１ｂと、上筒２１ｂの下端から下方に向けて縮径する円錐状の傾斜筒２１ｃと、傾斜筒２１ｃの下端から垂下する円筒状の下筒２１ｄとを有している。傾斜筒２１ｃの上端は、一対の外気導入口１４の上端よりも上方に位置している。外口部１１の内周面と下筒２１ｄの外周面との間には所定の間隔の隙間２３が設けられている。

上筒２１ｂの外周面が外口部１１の内周面に全周に亘って当接することで、外口部１１と下筒２１ｄとの間の隙間２３は、外口部１１ないし内口部２１の上端部分において外部に対して閉塞されている。フランジ２１ａが外口部１１の上端に当接することで内口部２１は外口部１１に対して上下方向に位置決めされている。

図１に示すように、収容部２２は、胴部１３よりも薄肉の袋状に形成され、内口部２１の下筒２１ｄの下端に連なるとともに肩部１２及び胴部１３の内面に沿って延在している。収容部２２の内部は内容液の収容空間となっており、内口部２１を通して収容部２２に内容液を充填することができるとともに内口部２１を通して収容部２２に収容されている内容液を外部に注出することができる。収容部２２は、内容液の注出に伴い、胴部１３の内面から剥離しつつ減容変形（内容積を減少させるように変形）することができる。このとき、外気導入口１４から外層体１０と内層体２０との間に外気が導入されることで、胴部１３のみが元の形状に復元し、収容部２２は胴部１３の内面から剥離し、減容変形することができる。なお、本願における「剥離」とは、接着状態又は接着力が殆ど介在しない擬似接着状態から外層体１０と内層体２０とが離れる場合だけでなく、接着力が介在しない密着状態から外層体１０と内層体２０とが離れる場合も含んでいる。

本実施の形態においては、内層体２０はポリエチレンテレフタレート製となっている。内層体２０をポリエチレンテレフタレート製とすることで、二重容器１を軽量で透明性の高い容器とすることができる。

なお、内層体２０の材質としては、ポリエチレンテレフタレートに限らず、例えばポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ナイロン樹脂、ポリカーボネート樹脂（ＰＣ樹脂）、シクロオレフィンコポリマー樹脂（ＣＯＣ樹脂）、シクロオレフィンポリマー樹脂（ＣＯＰ樹脂）、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂（ＥＶＯＨ樹脂）などの他の合成樹脂材料を採用することもできる。内層体２０の材質としてエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂を用いる場合には、バリア性及び柔軟性を考慮して、適切なエチレン含有率のものを採用することができる。また、内層体２０は、バリア性を確保するために、例えば一対のポリエチレンテレフタレート層の間にＭＸナイロン樹脂層などのバリア層を設けた多層構造とすることもできる。

外気導入口１４から胴部１３と収容部２２との間に向けた外気の気道を確保し易くするために、内口部２１の外面には上下方向に延在する複数の凸条２４が一体に設けられている。

図３に示すように、本実施の形態においては、下筒２１ｄの外面に、６本の板状の凸条２４が周方向に等しい間隔を空けて並べて設けられている。６本の凸条２４は、一対の外気導入口１４を避けるように配置されているが、これに限らず、一対の外気導入口１４と重なるように配置されてもよい。また、凸条２４の数は６本に限らず、適宜変更が可能である。図３において、便宜上、１つの凸条２４のみに符号を付している。

それぞれの凸条２４は、内層体２０の外面から径方向外側に向けて突出するとともに内口部２１から収容部２２に跨って上下方向に沿って延びている。すなわち、それぞれの凸条２４は、外気導入口１４に対応する高さの位置からネックリング１１ｂを超え、肩部１２に達する位置にまで延びている。肩部１２においては、凸条２４の内層体２０の外面からの突出高さは徐々に低下している。また、それぞれの凸条２４の径方向外側を向く突出端は若干丸みを帯びた形状とされている。

図２及び図４に示すように、外気導入口１４から胴部１３と収容部２２との間に向けた外気の気道を確保し易くするために、外層体１０の肩部１２には上下方向に延在する複数のリブ２５が設けられている。図２及び図４等において、便宜上、１つのリブ２５のみに符号を付している。

本実施の形態においては、外層体１０の肩部１２に、１８本のリブ２５が周方向に等しい間隔を空けて並べて設けられている。各リブ２５は、肩部１２の上端から肩部１２の上下方向中間部まで延在するとともに、上面視で径方向に沿って延在している。なお、リブ２５の数及び配置はこれに限らず、適宜変更が可能である。各リブ２５は、容器外側から視て凹状をなすように、肩部１２が容器内側に局所的に張り出すように湾曲することで形成された凹リブとされている。なお、各リブ２５は、容器外側から視て凸状をなすように、肩部１２が容器外側に局所的に張り出すように湾曲することで形成された凸リブとされてもよい。リブ２５とは、このように、肩部１２が容器内側又は容器外側に局所的に張り出すように湾曲することで形成された部分を意味する。各リブ２５は、横断面において径方向内側に向けて幅が漸次狭まるＵ字状の横断面形状を実質的に全長に亘って有している。なお、内層体２０も、リブ２５の形状に沿うように二軸延伸ブロー成形によって延伸されている。

図４に示すように、外気導入口１４から胴部１３と収容部２２との間に向けた外気の気道を確実に確保するために、外層体１０の肩部１２には上下方向に延在する複数の薄肉部３０が設けられている。図４において、便宜上、１つの薄肉部３０のみに符号を付している。

本実施の形態においては、外層体１０の肩部１２に６本の薄肉部３０が周方向に等しい間隔を空けて並べて設けられている。各薄肉部３０は、肩部１２の上端付近から肩部１２の上下方向中間部まで延在している。なお、薄肉部３０の数及び配置は適宜変更が可能である。各薄肉部３０は、肩部１２の厚みを低減するように僅かに凹むとともに上面視において径方向外側に向けて周方向の幅が拡大する略三角形状をなすように肩部１２の内面に設けられた凹部３１によって形成されている。なお、各薄肉部３０がこのような略三角形状となっているのは、薄肉部３０を含む肩部１２が上方から下方に向けて拡径する形状となっているために、薄肉部３０においても下方（径方向外側）に位置する方が周方向の延伸量が大きくなるからである。６本の薄肉部３０は、一対の外気導入口１４の直下を避けるように配置されているが、これに限らず、一対の外気導入口１４の直下と重なるように配置されてもよい。

このような構成を有する二重容器１は、外口部１１に注出キャップが装着されることでスクイズ容器に構成することができる。この場合、注出キャップとしては、例えば、外気導入口１４への外気の導入を許容するとともに外気導入口１４から外部に向けた外気の流出を阻止する外気用逆止弁と、内容液の注出を許容するとともに収容部２２の内部への外気の逆流を阻止する内容液用逆止弁とを備えた構成のものを用いることができる。

スクイズ容器に構成された二重容器１では、外層体１０の胴部１３がスクイズ（圧搾）されると、収容部２２が減容変形し、内容液が注出キャップから押し出されて外部に注出される。内容液が注出された後、スクイズを解除すると、胴部１３が元の形状に復元し、それに伴い内層体２０の収容部２２が外層体１０の内面から剥離するとともに外気導入口１４から外層体１０と内層体２０との間に外気が導入され、収容部２２が減容変形したまま胴部１３のみが元の形状に復元する。これにより、収容部２２に収容された内容液を外気と置換させることなく注出させることができるので、収容部２２に収容された内容液への外気の接触を減らして、その劣化や変質を抑制することができる。

ここで、本実施の形態の二重容器１では、肩部１２に、それぞれ上下方向に延在する複数の薄肉部３０が周方向に間隔を空けて並べて設けられているので、周方向に薄肉部３０と厚肉部とが交互に並ぶ周方向の偏肉により、剥離強度に差を生じさせることができるため、スクイズされた胴部１３が元の形状に復元する際に、肩部１２の部分において収容部２２を外層体１０の内面から確実に剥離させることができる。したがって、当該剥離の進行により、外気導入口１４から胴部１３と収容部２２との間にまで達するように外気の気道を確実に確保することができる。また、スクイズされた胴部１３が元の形状に復元する際に、外口部１１に設けた外気導入口１４から胴部１３と収容部２２との間に向けて確実に外気を導入させることができるので、内容液の注出に伴い確実に収容部２２を外層体１０の内面から剥離させつつ減容変形させることができる。さらに、内容液の注出に伴って収容部２２を確実に減容変形させることができるので、収容部２２の内部に外気が導入されることを確実に防止することができる。

また、本実施の形態では、内口部２１の外面に、それぞれ上下方向に延在する複数の凸条２４が周方向に間隔を空けて並べて設けられているので、外層体１０と内層体２０との間に外気導入口１４から外口部１１と肩部１２との間の屈曲部分（内口部２１と収容部２２との間の屈曲部分）を超え、肩部１２と収容部２２との間の部分にまで達する通気路３２を形成することができる。これにより、スクイズされた胴部１３が元の形状に復元する際に外気導入口１４から外口部１１と内口部２１との間の部分に導入された外気を、通気路３２を通して外口部１１と肩部１２との間の屈曲部分を超え、肩部１２と収容部２２との間の部分にまでより確実に導くことができる。

また、本実施の形態では、肩部１２に、それぞれ上下方向に延在する複数のリブ２５が周方向に間隔を空けて並べて設けられているので、肩部１２における各リブ２５の部分において、収容部２２を外層体１０の内面から剥離した後に外層体１０の内面に再密着し難くすることができるため、肩部１２における気道をより確実に確保することができる。

図５に示すように、プリフォーム組立体４０は、外層体１０を形成するための合成樹脂製の外プリフォーム５０の内側に、内層体２０を形成するための合成樹脂製の内プリフォーム６０を組み込んだ二重構造となっている。

外プリフォーム５０は、外層体１０と同一の合成樹脂材料を、金型を用いて射出成形することにより外層体１０に対応した所定形状に形成されている。本実施の形態では、外プリフォーム５０は、外層体１０と同様にポリエチレンテレフタレート製である。

外プリフォーム５０は外層体１０の外口部１１と同一形状の外口部５１を有している。すなわち、外口部５１は円筒状に形成され、その外周面には雄ねじ５１ａが一体に設けられ、それぞれ周方向に延びる長孔形状に形成されて外口部５１を径方向に貫通する一対の外気導入口５２が外口部５１の軸心を挟んだ両側に互いに対称に設けられている。また、外口部５１の下端には、底部が半球状となった略試験管状の延伸部５３が一体に設けられている。延伸部５３の厚みは外口部５１の厚みよりも厚くなっている。外口部５１には、フランジ状のネックリング５１ｂが一体に設けられている。

内プリフォーム６０は、内層体２０と同一の合成樹脂材料を、金型を用いて射出成形することにより内層体２０に対応した所定形状に形成されている。本実施の形態では、内プリフォーム６０は、内層体２０と同様にポリエチレンテレフタレート製である。

内プリフォーム６０は内層体２０の内口部２１と同一形状の内口部６１を有している。すなわち、内口部６１は段付き円筒状をなしており、外口部５１の内側に当該外口部５１と同軸に配置されている。内口部６１は、外口部５１の上端に載置される円環状のフランジ６１ａと、フランジ６１ａの内周縁から垂下するとともに外口部５１の内面に接する円筒状の上筒６１ｂと、上筒６１ｂの下端から下方に向けて縮径する円錐状の傾斜筒６１ｃと、傾斜筒６１ｃの下端から垂下する円筒状の下筒６１ｄとを有している。上筒６１ｂの外周面が外口部５１の内周面に全周に亘って当接することで、外口部５１と下筒６１ｄとの間の隙間６２の上端部分が外部に対して閉塞されている。フランジ６１ａが外口部５１の上端に当接することで内口部６１は外口部５１に対して上下方向に位置決めされている。内口部６１の下端には、底部が半球状となった略試験管状の延伸部６３が一体に設けられている。延伸部６３の外径は内口部６１の外径よりも小径となっている。延伸部６３の外周面と延伸部５３の内周面との間には隙間が設けられ、内プリフォーム６０を外プリフォーム５０の内部に組み込む際に、延伸部６３の外周面と延伸部５３の内周面とに傷が付かないようになっている。

内プリフォーム６０の外面には、複数の凸条２４に対応する複数の凸条６４が設けられている。すなわち、内プリフォーム６０の下筒２１ｄの外面には、上下方向に延在する６本の板状の凸条６４が周方向に等しい間隔を空けて並べて設けられている。それぞれの凸条６４は、内プリフォーム６０の外面から径方向外側に向けて突出するとともに内口部６１から延伸部６３に跨って上下方向に沿って延びている。すなわち、それぞれの凸条６４は、外気導入口５２に対応する高さの位置からネックリング５１ｂを超え、延伸部６３に達する位置にまで延びている。延伸部６３においては、凸条６４の内プリフォーム６０の外面からの突出高さは徐々に低下している。それぞれの凸条６４の上端側は、傾斜筒６１ｃにまで達して当該傾斜筒６１ｃに連なっている。複数の凸条６４は、それぞれ内層体２０の凸条２４と基本的に同一の形状であるが、延伸部６３にまで延びた部分が径方向外側に延伸されずに延伸部６３に沿って下方に延びている点で相違する。

外プリフォーム５０には、複数の薄肉部３０を形成するための複数の薄肉部７０が設けられている。各薄肉部７０は、上端及び下端を除いた中間部の幅（周方向長さ）が一定となっている。なお、各薄肉部７０の幅はこれに限らず、中間部において上下方向に変化してもよい。したがって、薄肉部７０の延伸によって形成される各薄肉部３０の形状も、上述したような略三角形状に限らない。複数の薄肉部７０は、外プリフォーム５０の内面に設けられた複数の凹条（溝）７１によって形成されている。つまり、複数の凹条７１は、複数の凹部３１を形成するためのものである。外プリフォーム５０の延伸部５３は、内径が外口部５１から下方に向けて徐々に縮径する縮径部５３ａを有しており、当該縮径部５３ａに、複数の薄肉部７０及び複数の凹条７１が設けられている。縮径部５３ａは、外口部５１の下端に接続しており、延伸部５３の上端を構成しているが、これに限らず、延伸部５３における上端以外の部分に設けてもよい。各凹条７１は、上下方向に延在する薄肉部７０を形成するように上下方向に延在している。また、各凹条７１は、縮径部５３ａの上端付近から深さを徐々に増加しつつ下方に延在し、縮径部５３ａの下端を越えてから深さを徐々に減少して終端している。縮径部５３ａの下端には有底円筒状の延伸部本体５３ｂが一体に連なっており、各凹条７１の下端は、当該延伸部本体５３ｂの上部に設けられている。しかし、各凹条７１の下端は、延伸部本体５３ｂの上部より下方に設けられてもよいし、延伸部本体５３ｂの上部より上方に設けられてもよい。また、各凹条７１の上端は、縮径部５３ａの上端より上方に設けられてもよいし、縮径部５３ａの上端より下方に設けられてもよい。

図６に示すように、外プリフォーム５０の内面には、６本の凹条７１が周方向に等しい間隔を空けて並べて設けられている。したがって、外プリフォーム５０には、６本の薄肉部７０が周方向に等しい間隔を空けて並べて設けられている。なお、図６において、１つの凹条７１及び薄肉部７０のみに符号を付している。また、各凹条７１は、横断面において略逆等脚台形状をなしている。なお、各凹条７１の横断面形状はこれに限らず、例えば、略逆二等辺三角形状、略正方形状、略長方形状、略半円形状、略半楕円形状等であってもよい。

外口部５１と外口部５１の内側に配置された内口部６１とで構成される口部７２には、外プリフォーム５０と内プリフォーム６０との間に連通する外気導入口５２が設けられている。

図１に示す二重容器１は、例えば次の要領（本発明の一実施の形態である二重容器の製造方法）で製造することができる。

本実施の形態である二重容器の製造方法は、プリフォーム形成工程と、ブロー成形工程とを有している。なお、本実施の形態である二重容器の製造方法は、図１に示す二重容器１以外の二重容器を製造する場合にも適用可能である。

プリフォーム形成工程においては、まず、外プリフォーム５０と内プリフォーム６０とをそれぞれ形成する。外プリフォーム５０は、上述したように、円筒状の外口部５１と外口部５１に連なる延伸部５３とを備えるとともに、薄肉部７０を形成する上下方向に延在する凹条７１が延伸部５３の内面に設けられ、また、外気導入口５２を構成するための貫通孔が外口部５１に設けられたものである。また、内プリフォーム６０は、上述したように、円筒状の内口部６１と内口部６１に連なる延伸部６３とを備えるとともに、上下方向に延在する凸条６４が外面に設けられたものである。そして、外プリフォーム５０の内側に内プリフォーム６０を組み込んで、外プリフォーム５０と内プリフォーム６０との間に連通する外気導入口５２が、外口部５１と外口部５１の内側に配置された内口部６１とで構成される口部７２に設けられたプリフォーム組立体４０を形成する。

プリフォーム形成工程が完了すると、ブロー成形工程が行われる。ブロー成形工程においては、まず、延伸可能な温度に加熱したプリフォーム組立体４０を、ブロー成形用の金型８０に、外口部５１及び内口部６１がキャビティ８０ａから突出するとともにネックリング５１ｂが金型８０の上面に支持されて延伸部５３、６３がキャビティ８０ａの内部に位置するようにプリフォーム組立体４０をセットする。ここで、金型８０のキャビティ形成面８０ｂには、リブ２５の外面形状に対応する形状の、上下方向に延在する複数の凸条８１が設けられている。なお、図７において、１つの凸条８１のみに符号を付している。そして、このようにプリフォーム組立体４０をセットした状態で、図示しない供給装置からプリフォーム組立体４０の内部に加圧空気や加圧液体等の加圧媒体を供給する。これにより、図８に示すように、プリフォーム組立体４０の延伸部５３、６３をキャビティ形成面８０ｂの内面に沿った形状に二軸延伸ブロー成形して、二重容器１を形成することができる。

このように、プリフォーム組立体４０を二軸延伸ブロー成形することにより、プリフォーム組立体４０に設けられた複数の薄肉部７０が延伸されて形成された複数の薄肉部３０を有する二重容器１とすることができる。ここで、本実施の形態では、複数の薄肉部３０を外プリフォーム５０の外面ではなく内面に設けた凹条７１によって形成するようにしているので、二重容器１の肩部１２の外面の成形性を良好に維持することができる。

また、本実施の形態では、当該二軸延伸ブロー成形に上述した凸条８１を有する金型８０を用いているので、複数のリブ２５を有する二重容器１を成形することができる。なお、リブ２５を凹リブ状ではなく凸リブ状に設ける場合には、金型８０のキャビティ形成面８０ｂに凸条８１ではなく、リブ２５の外面形状に対応する形状の凹条を設ければよい。

本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。

前記実施の形態では、外口部１１に一対の外気導入口１４を設けるようにしているが、外気導入口１４は少なくとも１つ設けられていればよい。

前記実施の形態では、外気導入口１４は、外口部１１に設けられて外口部１１を貫通する貫通孔とされているが、これに限らず、例えば、外口部１１の上端と内口部２１の上端との間に設けられて通気路３２を外部に開放する隙間として構成することもできる。

外口部１１はネックリング１１ｂを備えない構成としてもよい。

肩部１２や胴部１３の形状も種々変更可能である。

前記実施の形態では、二重容器１を、注出口を備えた注出キャップが外口部１１に装着され、胴部１３がスクイズされることで内容液を注出するスクイズ式の注出容器に用いられるものとした場合を示したが、胴部１３が容易にスクイズ変形しない所定の剛性を有し、ポンプ式注出具が外口部１１に装着されるポンプ付き容器に用いられるものとすることもできる。

前記実施の形態では、外プリフォーム５０に薄肉部７０を形成する凹条７１を設けているが、これに限らず、外プリフォーム５０に厚肉部を形成する凸条を設け、上下方向に延在する厚肉部が肩部１２に設けられた二重容器１にブロー成形するように構成してもよい。また、このような凹条７１又は凸条を外プリフォーム５０の内面ではなく外面に設けてもよい。

１ 二重容器
１０ 外層体
１１ 外口部
１１ａ 雄ねじ
１１ｂ ネックリング
１２ 肩部
１３ 胴部
１３ａ 底部分
１４ 外気導入口
２０ 内層体
２１ 内口部
２１ａ フランジ
２１ｂ 上筒
２１ｃ 傾斜筒
２１ｄ 下筒
２２ 収容部
２３ 隙間
２４ 凸条
２５ リブ
３０ 薄肉部
３１ 凹部
３２ 通気路
４０ プリフォーム組立体
５０ 外プリフォーム
５１ 外口部
５１ａ 雄ねじ
５１ｂ ネックリング
５２ 外気導入口
５３ 延伸部
５３ａ 縮径部
５３ｂ 延伸部本体
６０ 内プリフォーム
６１ 内口部
６１ａ フランジ
６１ｂ 上筒
６１ｃ 傾斜筒
６１ｄ 下筒
６２ 隙間
６３ 延伸部
６４ 凸条
７０ 薄肉部
７１ 凹条
７２ 口部
８０ 金型
８０ａ キャビティ
８０ｂ キャビティ形成面
Ｏ 中心軸線

Claims (9)

1. 筒状の外口部と該外口部に連なる延伸部とを備えるとともに上下方向に延在する凹条又は凸条が前記延伸部の内面に設けられた外プリフォームと、
   筒状の内口部と該内口部に連なる延伸部とを備えた内プリフォームとを有し、
   前記外プリフォームと前記内プリフォームとの間に連通する外気導入口が、前記外口部と該外口部の内側に配置された前記内口部とで構成される口部に設けられたことを特徴とするプリフォーム組立体。
2. 前記外プリフォームの前記延伸部が、内径が前記外口部から下方に向けて徐々に縮径する縮径部を有し、
   前記凹条又は凸条が、前記縮径部に設けられた、請求項１に記載のプリフォーム組立体。
3. 前記外気導入口が、前記外口部を貫通する貫通孔で構成され、
   上下方向に延在する凸条が、前記内プリフォームの外面に設けられた、請求項１又は２に記載のプリフォーム組立体。
4. 筒状の外口部と該外口部に肩部を介して連なる有底筒状の胴部とを備えるとともに上下方向に延在する薄肉部又は厚肉部が前記肩部に設けられた外層体と、
   筒状の内口部と該内口部に連なるとともに前記肩部及び前記胴部の内面に剥離可能に積層された減容変形自在な収容部とを備えた内層体とを有し、
   前記外層体と前記内層体との間に連通する外気導入口が、前記外口部と該外口部の内側に配置された前記内口部とで構成される口部に設けられたことを特徴とする二重容器。
5. 上下方向に延在するリブが、前記外層体の前記肩部に設けられた、請求項４に記載の二重容器。
6. 前記外気導入口が、前記外口部を貫通する貫通孔で構成され、
   上下方向に延在する凸条が、前記内口部の外面に設けられた、請求項４又は５に記載の二重容器。
7. 筒状の外口部と該外口部に連なる延伸部とを備えるとともに上下方向に延在する凹条又は凸条が前記延伸部の内面に設けられた外プリフォームと、筒状の内口部と該内口部に連なる延伸部とを備えた内プリフォームとをそれぞれ形成し、前記外プリフォームの内側に前記内プリフォームを組み込んで、前記外プリフォームと前記内プリフォームとの間に連通する外気導入口が、前記外口部と該外口部の内側に配置された前記内口部とで構成される口部に設けられたプリフォーム組立体を形成するプリフォーム形成工程と、
   前記プリフォーム組立体を延伸可能な温度に加熱してブロー成形し、前記外口部と該外口部に肩部を介して連なる有底筒状の胴部とを備えるとともに上下方向に延在する薄肉部又は厚肉部が前記肩部に設けられた外層体と、前記内口部と該内口部に連なるとともに前記肩部及び前記胴部の内面に剥離可能に積層された減容変形自在な収容部とを備えた内層体とを有し、前記外層体と前記内層体との間に連通する外気導入口が、前記外口部と該外口部の内側に配置された前記内口部とで構成される口部に設けられた二重容器とするブロー成形工程とを有することを特徴とする二重容器の製造方法。
8. 前記プリフォーム形成工程において、上下方向に延在する凸条が外面に設けられた前記内プリフォームと、前記外気導入口を構成するための貫通孔が前記外口部に設けられた前記外プリフォームとにより、前記プリフォーム組立体を形成する、請求項６に記載の二重容器の製造方法。
9. 前記ブロー成形工程において、上下方向に延在する凸条又は凹条がキャビティ形成面に設けられた金型により、前記キャビティ形成面の前記凸条又は凹条に対応するリブが前記外層体の前記肩部に形成された前記二重容器を形成する、請求項６又は７に記載の二重容器の製造方法。

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