JP2020159780A - 時計用部品とその製造方法、ムーブメントおよび時計 - Google Patents

時計用部品とその製造方法、ムーブメントおよび時計 Download PDF

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Abstract

【課題】ひげぜんまいの固着ずれが低減され、ひげぜんまいの内端部がひげ玉に強固に固着された時計用部品とその製造方法、ムーブメントおよび時計を提供する。【解決手段】ひげぜんまい43と、前記ひげぜんまい43が固定されるひげ玉46と、前記ひげぜんまい43と前記ひげ玉46とを接合させる溶加材71と、を備え、前記ひげぜんまい43の内端部43aが、前記溶加材71により前記ひげ玉46に固着され、前記溶加材71の熱伝導率が、前記ひげ玉46の熱伝導率よりも高く、かつ、前記溶加材71の融点が、前記ひげぜんまい43の融点よりも低い、時計用部品。【選択図】図3

Description

本発明は、時計用部品とその製造方法、ムーブメントおよび時計に関する。
機械式時計において、時計用部品の1つであるてんぷは、振動周期が予め決められた規定値内に設定されていることが重要とされている。
てんぷは、ひげぜんまいと、ひげぜんまいの内端部が固着されるひげ玉と、ひげぜんまいの外端部が固着されるひげ持と、ひげ玉の軸心となるてん真と、てん真に接続され、てん真を回転軸として往復回転振動を行うてん輪とで主に構成される。
ひげぜんまいの内端部をひげ玉に固着させる方法としては、レーザースポット溶接によりひげぜんまいとひげ玉の一点を溶接する方法が知られている。
しかし、溶融部分の熱収縮やひげぜんまいの応力解放により固着ずれが生じ、ひげぜんまいが傾いた状態でひげ玉に固着することがある。ひげぜんまいが傾いた状態でひげ玉に固着されたてんぷは、縦振れが発生してしまうため、振れ取り作業による修正が必要となる。
そこで、ひげぜんまいとひげ玉の2か所において、それぞれ一点溶接してひげぜんまいの固着を向上させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2018−36249号公報
しかし、特許文献1に記載の方法であっても、固着時にひげぜんまいが傾くことがあった。
本発明は、ひげぜんまいの固着ずれが低減され、ひげぜんまいの内端部がひげ玉に強固に固着された時計用部品とその製造方法、ムーブメントおよび時計を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る時計用部品は、ひげぜんまいと、前記ひげぜんまいが固定されるひげ玉と、前記ひげぜんまいと前記ひげ玉とを接合させる溶加材と、を備え、前記ひげぜんまいの内端部が、前記溶加材により前記ひげ玉に固着され、前記溶加材の熱伝導率が、前記ひげ玉の熱伝導率よりも高く、かつ、前記溶加材の融点が、前記ひげぜんまいの融点よりも低いことを特徴とする。
本態様によれば、ひげぜんまいの内端部をひげ玉へ固着する際のひげぜんまいやひげ玉への熱ダメージが軽減され、熱収縮や応力解放によるひげぜんまいの固着ずれが低減される。加えて、毛細管現象によりひげぜんまいとひげ玉との接触面全体に溶加材が広がり、接触面全体で固着するため、ひげぜんまいの内端部がひげ玉に強固に固着される。
上記の時計用部品において、前記ひげ玉の側面にコーティング層が設けられ、前記コーティング層を介して前記ひげぜんまいの内端部が前記溶加材により固着され、前記ひげ玉の熱伝導率よりも前記コーティング層の熱伝導率が低いことが好ましい。
本態様によれば、ひげぜんまいの内端部をひげ玉へ固着する際の熱がひげ玉に逃げにくくなる。その結果、効率よく溶加材に熱が伝わるため、溶加材が溶融しやすくなり、ひげぜんまいの内端部がひげ玉に、より強固に固着される。
上記の時計用部品において、前記ひげ玉には、前記ひげ玉の中央に設けられたてん真受孔と、前記ひげ玉の周縁部との間に、貫通孔が設けられていることが好ましい。
本態様によれば、ひげぜんまいの内端部をひげ玉へ固着する際のひげ玉の熱容量を局所的に小さくできる。よって、固着時にひげ玉に熱が逃げても、その熱を素早く開放できる。その結果、効率よく溶加材に熱が伝わるため、溶加材が溶融しやすくなり、ひげぜんまいの内端部がひげ玉に、より強固に固着される。
上記の時計用部品において、前記ひげ玉の側面に溝部が設けられ、前記溝部に前記ひげぜんまいの内端部が前記溶加材により固着されていることが好ましい。
本態様によれば、溝部の形状に沿ってひげぜんまいをひげ玉の側面に対して平行に固着でき、ひげぜんまいの固着ずれをより低減できる。加えて、溶加材が毛細管現象によりひげぜんまいの両短辺にも広がりやすくなり、ひげぜんまいの内端部がひげ玉に、より強固に固着される。
本発明の一態様に係る時計用部品の製造方法は、前記時計用部品の製造方法であって、前記ひげぜんまいの内端部と前記ひげ玉との間に前記溶加材を配置し、該溶加材にレーザーを照射して前記溶加材を溶融させ、前記ひげぜんまいの内端部を前記ひげ玉に固着させることを特徴とする。
本発明の一態様に係る時計用部品の製造方法は、前記時計用部品の製造方法であって、前記ひげぜんまいの内端部と前記ひげ玉との間に前記溶加材を配置し、加熱炉で前記溶加材を溶融させ、前記ひげぜんまいの内端部を前記ひげ玉に固着させることを特徴とする。
本態様によれば、ひげぜんまいの固着ずれが低減され、ひげぜんまいの内端部がひげ玉に強固に固着された時計用部品を容易に製造できる。
本発明の一態様に係るムーブメントは、前記時計用部品を備えることを特徴とする。
本発明の一態様に係る時計は、前記ムーブメントを備えることを特徴とする。
本態様によれば、ひげぜんまいの固着ずれが低減され、ひげぜんまいの内端部がひげ玉に強固に固着された時計用部品を備えているので、縦振れが発生しにくく、高品質な時計用ムーブメントおよび時計を提供できる。
本発明によれば、ひげぜんまいの固着ずれが低減され、ひげぜんまいの内端部がひげ玉に強固に固着された時計用部品とその製造方法、ムーブメントおよび時計を提供できる。
第1実施形態に係るムーブメントを表側から見た平面図である。 第1実施形態に係るてんぷの平面図である。 第1実施形態に係るひげぜんまいとひげ玉の固着の状態を模式的に示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は(a)のA−A線における断面図である。 第2実施形態に係るひげぜんまいとひげ玉の固着の状態を模式的に示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は(a)のB−B線における断面図である。 第2実施形態に係るひげぜんまいとひげ玉の固着の状態を模式的に示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は(a)のC−C線における断面図である。 第2実施形態に係るひげぜんまいとひげ玉の固着の状態を模式的に示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は(a)のD−D線における断面図である。
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
また、以下に示す各図では、図面を見やすくするため、時計用部品およびムーブメントのうち一部の図示を省略しているとともに、時計用部品およびムーブメントを簡略化して図示している場合がある。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る時計用部品を備えたムーブメントおよび時計について、図1を参照して説明する。
一般に、時計の駆動部分を含む機械体を「ムーブメント」と称する。ムーブメントに文字板、針を取り付けて、時計ケースの中に入れて完成品にした状態を時計の「コンプリート」と称する。
図1は、第1実施形態に係るムーブメント10を表側から見た平面図である。
図1に示すように、ムーブメント10は、基板を構成する地板11を有している。地板11には、巻真案内穴11aが形成されている。巻真案内穴11aには、図示しないりゅうずに連結された巻真12が回転自在に組み込まれている。巻真12は、おしどり13、かんぬき14、かんぬきばね15および裏押さえ16を有する切換装置により、軸方向の位置が決められている。なお、巻真12の案内軸部には、きち車17が回転自在に設けられている。
図1に示すように、本実施形態の時計1は、ムーブメント10と、このムーブメント10を収納する図示しないケーシングと、により構成されている。
このような構成のもと、巻真12を回転させると、図示しないつづみ車の回転を介してきち車17が回転する。きち車17が回転すると、丸穴車20および角穴車21が順に回転し、香箱車22に収容された図示しないぜんまいが巻き上げられる。なお、香箱車22は、地板11と香箱受23との間で軸支されている。
地板11と輪列受24との間には、二番車25、三番車26、四番車27およびがんぎ車35が軸支されている。ぜんまいの復元力により香箱車22が回転すると、二番車25、三番車26および四番車27が順に回転するように構成されている。これら香箱車22、二番車25、三番車26および四番車27は、表輪列を構成している。
なお、二番車25が回転すると、その回転に基づいて図示しない筒かなが回転し、筒かなに取り付けられた図示しない分針が「分」を表示する。また、筒かなが回転すると、図示しない日の裏車を介して図示しない筒車が回転し、筒車に取り付けられた図示しない時針が「時」を表示する。また、四番車27が回転することで、四番車27に取り付けられた図示しない秒針が「秒」を表示する。
ムーブメント10の表側には、表輪列の回転を制御するための脱進・調速機構30が配置されている。脱進・調速機構30は、四番車27と噛み合うがんぎ車35と、がんぎ車35を脱進させて規則正しく回転させるアンクル36と、てんぷ40と、を備えている。てんぷ40は、本発明の第1実施形態に係る時計用部品である。
以下に、てんぷ40の構造について詳細に説明する。
図2は、第1実施形態のてんぷの平面図である。
図2に示すように、てんぷ40は、てん真41と、てん輪42と、ひげぜんまい43と、を備える。てんぷ40は、ひげぜんまい43の動力を利用して、てん真41の中心軸線O回りに一定の振動周期(振り角)で往復回転(正逆回転)する。なお、本実施形態では、てん真41の中心軸線Oに沿う方向を軸方向といい、中心軸線Oに直交して中心軸線Oから放射状に延びる方向を径方向といい、軸方向から見た平面視で中心軸線Oを周回する方向を周方向という。
てん真41は、例えば真鍮等の金属材料によって形成され、中心軸線Oに沿って延在した棒状部材とされている。てん真41における軸方向の両端には、先細りした第1ほぞ41aおよび図示しない第2ほぞが形成されている。てん真41は、第1ほぞ41aおよび第2ほぞを介して、地板11および図示しないてんぷ受の間に軸支されている。てん真41は、軸方向の略中央部分がてん輪42の図示しない嵌合孔内に例えば圧入によって固定されている。これにより、てん真41およびてん輪42は、一体的に固定されている。
てん真41には、てん輪42よりも第2ほぞ寄りに位置する部分に、図示しない円環状の振り座が中心軸線Oと同軸に外嵌されている。さらに、てん真41には、てん輪42よりも第1ほぞ41a寄りに位置する部分に、ひげぜんまい43を固定するための環状のひげ玉46が外嵌されている。
てん輪42は、てん真41を径方向の外側から囲む円環状のリム部47と、リム部47とてん真41とを径方向に連結するアーム部48と、を備えている。リム部47は、中心軸線Oと同軸に配置されている。リム部47は、例えば真鍮等の金属材料により形成されている。アーム部48は、径方向に延在すると共に周方向に間隔をあけて複数配置されている。図示の例では、アーム部48は、中心軸線Oを中心として90度の間隔をあけて4つ配置されている。但し、アーム部48の数や配置、形状はこの場合に限定されるものではない。
各アーム部48の径方向の外端部は、リム部47の内周部に対して一体に連結されている。各アーム部48の径方向の内端部は、互いに接続されて一体となっている。
ひげぜんまい43は、金属材料により形成された薄板ばねである。ひげぜんまい43は、例えば鉄やニッケル等により形成されている。ひげぜんまい43は、中心軸線Oの垂直面内で中心軸線Oを原点とした極座標系においてアルキメデス曲線に沿う渦巻き状に形成されている。ひげぜんまい43の内端部はひげ玉46に固着され、ひげ玉46を介して、てん真41に固定されている。ひげぜんまい43のうち、最外周部分の一部は、図示しない癖付け部を介して径方向外側に離間すると共に、曲率半径が癖付け部よりも内周に位置する部分よりも大きく形成されている。ひげぜんまい43の外端部は、図示しないひげ持受を介して取り付けられたひげ持67に固定されている。
ひげ玉46は、金属材料により形成されており、金属材料としては、例えば黄銅などが挙げられる。
図3は、第1実施形態に係るひげぜんまい43とひげ玉46の固着の状態を模式的に示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は(a)のA−A線における断面図である。
図3に示すように、ひげぜんまい43の内端部43aは、溶加材71によりひげ玉46の側面(周面)に固着されている。ひげ玉46の中央に設けられたてん真受孔46aには、図示しないてん真が挿入される。これにより、ひげぜんまい43の内端部43aがひげ玉46を介して、てん真に固定される。
溶加材71は、レーザー照射や加熱により溶融し、対象物同士(ひげぜんまい43とひげ玉46)を溶融させることなく接合させる溶接材料である。
溶加材71の熱伝導率は、ひげ玉46の熱伝導率よりも高い。これにより、ひげぜんまい43の内端部43aをひげ玉46へ固着する際の熱が効率よく溶加材71に伝わり、ひげぜんまい43やひげ玉46への熱ダメージが軽減される。
溶加材71の熱伝導率は、ひげ玉46の熱伝導率よりも高ければ特に制限されないが、例えば80W/m/K以上が好ましく、100W/m・K以上がより好ましく、150W/m・K以上がさらに好ましく、200W/m・K以上が特に好ましい。溶加材71の熱伝導率の上限値については特に制限されない。
なお、ひげ玉46が例えば黄銅から形成されている場合、ひげ玉46の熱伝導率は70W/m・Kである。
熱伝導率は、JIS R 1611に準拠し、レーザーフラッシュ法により測定される値である。
溶加材71の融点は、ひげぜんまい43の融点よりも低い。これにより、ひげぜんまい43の内端部43aをひげ玉46へ固着する際に、ひげぜんまい43の融点よりも低い温度で溶加材71を溶融でき、ひげぜんまい43やひげ玉46への熱ダメージが軽減される。
溶加材71の融点は、ひげぜんまい43の融点よりも低ければ特に制限されないが、例えば1500℃以下が好ましく、1300℃以下がより好ましく、1100℃以下がさらに好ましく、1000℃以下が特に好ましい。溶加材71の融点の下限値については特に制限されない。
なお、ひげぜんまい43が例えば鉄から形成されている場合、ひげぜんまい43の融点は1538℃である。また、ひげぜんまい43が例えばニッケルから形成されている場合、ひげぜんまい43の融点は1455℃である。
融点は、熱重量・示差熱分析(TG−DTA)により測定される値である。
このような溶加材71としては、ろう付けに用いられるろう材や、はんだ付けに用いられるはんだ材などが挙げられ、具体的には銅(熱伝導率:400W/m・K、融点:1084℃)、金(熱伝導率:320W/m・K、融点:1064℃)、銀(熱伝導率:430W/m・K、融点:962℃)、ニッケル(熱伝導率:91W/m・K、融点:1455℃)などが挙げられる。
本実施形態のてんぷ40は、ひげぜんまい43の内端部43aをひげ玉46に固着させる工程以外は、従来のてんぷと同様の製法により得られる。よって、以下で説明する工程以外は、従来と同様であるため、説明を省略する。
ひげぜんまい43とひげ玉46との固着は、まず、ひげぜんまい43の内端部43aとひげ玉46の側面との間に溶加材71を配置する。次いで、溶加材71を溶融させ、ひげぜんまい43の内端部43aをひげ玉46に固着させる。
溶加材71を溶融させる方法としては、溶加材71にレーザーを照射する方法、加熱炉で加熱する方法などが挙げられる。生産性に優れる観点では、加熱炉で加熱する方法が好ましい。ただし、加熱炉で加熱する方法の場合は、ひげぜんまい43やひげ玉46も加熱されることになるが、これらが高温に曝されると変形することがあるため、低温で加熱することが好ましい。そのため、低温で加熱しても溶融しやすいように、溶加材71としては融点が低いもの、具体的には融点が1100℃以下の溶加材71を用いることが好ましい。
本実施形態の時計用部品であるてんぷ40は、ひげぜんまい43の内端部43aが、上述した特定の溶加材71によりひげ玉46に固着されているので、ひげぜんまい43の内端部43aをひげ玉46へ固着する際のひげぜんまい43やひげ玉46への熱ダメージが軽減され、熱収縮や応力解放によるひげぜんまい43の固着ずれが低減される。加えて、毛細管現象によりひげぜんまい43とひげ玉46との接触面全体に溶加材71が広がり、接触面全体で固着するため、ひげぜんまい43の内端部43aがひげ玉46に強固に固着される。
さらに、本実施形態のムーブメント10および時計1によれば、上述したてんぷ40を備えるので、縦振れが発生しにくく、高品質なムーブメント10および時計1とすることができる。
なお、ひげぜんまい43の形状は、上述したアルキメデス曲線に沿う渦巻き状に限定されるものでなく、例えば対数螺旋等、ピッチの変化する形状に変更しても構わない。
また、ひげ玉46の平面視形状は、図2、3に示す形状に限定されず、例えば平面視でC字型でもよい。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る時計用部品について、図4を参照して説明する。第2実施形態は、ひげ玉の側面にコーティング層が設けられている点で、第1実施形態とは異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第1実施形態と同様である。
図4は、第2実施形態に係るひげぜんまい43とひげ玉46の固着の状態を模式的に示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は(a)のB−B線における断面図である。
図4に示すように、ひげぜんまい43の内端部43aは、ひげ玉46の側面に設けられたコーティング層46bを介して、溶加材71によりひげ玉46の側面に固着されている。
コーティング層46bの熱伝導率は、ひげ玉46の熱伝導率よりも低い。これにより、ひげぜんまい43の内端部43aをひげ玉46へ固着する際の熱がひげ玉46に逃げにくくなる。その結果、効率よく溶加材71に熱が伝わるため、溶加材71が溶融しやすくなり、ひげぜんまい43の内端部43aがひげ玉46に、より強固に固着される。
コーティング層46bの熱伝導率は、ひげ玉46の熱伝導率よりも低ければ特に制限されないが、例えば50W/m/K以下が好ましく、30W/m・K以下がより好ましく、10W/m・K以下がさらに好ましい。コーティング層46bの熱伝導率の下限値については特に制限されない。
コーティング層46bは、例えばコーティング材でひげ玉46の側面を被覆することで形成される。
コーティング層46bは、ひげ玉46の側面のうち、少なくともひげぜんまい43が固着する箇所に設けられていればよいが、ひげ玉46の側面全体、すなわち全周面に設けられていることが好ましい。
コーティング材の被覆方法としては特に制限されないが、例えば無電解メッキ法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などが挙げられる。
コーティング層46bとしては、特に、無電解メッキ法で形成された合金皮膜が好ましい。このような合金皮膜としては、例えば無電解ニッケル−リン(Ni−P)メッキ、無電解ニッケル−ホウ素(Ni−B)メッキが挙げられ、その中でも無電解Ni−Pメッキ(熱伝導率:5W/m・K)が好ましい。
本実施形態のてんぷ40は、ひげぜんまい43の内端部43aをひげ玉46に固着させる前に、ひげ玉46の側面にコーティング層46bを設けておく以外は、第1実施形態と同様の方法で製造できる。
本実施形態の時計用部品であるてんぷは、ひげぜんまい43の内端部43aが、上述した特定の溶加材71によりひげ玉46に固着されているので、第1実施形態のてんぷと同様の作用効果を奏する。加えて、本実施形態のてんぷは、ひげ玉46の側面に上述した特定のコーティング層46bが設けられているので、固着時の熱がひげ玉46に逃げにくく、効率よく溶加材71に熱が伝わるため、溶加材71が溶融しやすくなり、ひげぜんまい43の内端部43aがひげ玉46に、より強固に固着される。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態に係る時計用部品について、図5を参照して説明する。第3実施形態は、ひげ玉の中央に設けられたてん真受孔と、ひげ玉の周縁部との間に、貫通孔が設けられている点で、第1実施形態とは異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第1実施形態と同様である。
図5は、第3実施形態に係るひげぜんまい43とひげ玉46の固着の状態を模式的に示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は(a)のC−C線における断面図である。
図5に示すように、ひげぜんまい43の内端部43aは、溶加材71によりひげ玉46の側面に固着されている。
本実施形態のひげ玉46には、中央に設けられたてん真受孔46aと、ひげ玉46の周縁部46cとの間に、4つの貫通孔46dが等間隔で設けられている。これにより、ひげぜんまい43の内端部43aをひげ玉46へ固着する際のひげ玉46の熱容量を局所的に小さくできる。よって、固着時にひげ玉46に熱が逃げても、その熱を素早く開放できる。その結果、効率よく溶加材71に熱が伝わるため、溶加材71が溶融しやすくなり、ひげぜんまい43の内端部43aがひげ玉46に、より強固に固着される。
貫通孔46dが設けられる位置は、てん真受孔46aと、ひげ玉46の周縁部46cとの間であれば特に制限されないが、少なくともてん真受孔46aと、ひげぜんまい43が固着された部分との間が特に好ましい。この位置であれば、解放された熱がより効率よく溶加材71に伝わりやすくなる。
また、貫通孔46dの数は特に制限されず、1つでもよいが、ひげ玉46の重量バランスを考慮すると、2つ以上の貫通孔46dが等間隔に設けられていることが好ましい。
本実施形態のてんぷ40は、ひげぜんまい43の内端部43aをひげ玉46に固着させる前に、ひげ玉46の所定の箇所に貫通孔46dを設けておく以外は、第1実施形態と同様の方法で製造できる。
本実施形態の時計用部品であるてんぷは、ひげぜんまい43の内端部43aが、上述した特定の溶加材71によりひげ玉46に固着されているので、第1実施形態のてんぷと同様の作用効果を奏する。加えて、本実施形態のてんぷは、ひげ玉46に上述した貫通孔46dが設けられているので、固着時にひげ玉46に熱が逃げても、その熱を素早く開放でき、効率よく溶加材71に熱が伝わるため、溶加材71が溶融しやすくなり、ひげぜんまい43の内端部43aがひげ玉46に、より強固に固着される。
なお、本実施形態においては、ひげ玉46の側面に、第2実施形態で説明したコーティング層が形成されていてもよい。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態に係る時計用部品について、図6を参照して説明する。第4実施形態は、ひげ玉の側面に溝部が設けられている点で、第1実施形態とは異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第1実施形態と同様である。
図6は、第4実施形態に係るひげぜんまい43とひげ玉46の固着の状態を模式的に示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は(a)のD−D線における断面図である。
図6に示すように、ひげ玉46の側面には溝部46eが設けられ、この溝部46eにひげぜんまい43の内端部43aが溶加材71により固着されている。
溝部46eは、ひげ玉46の側面のうち、ひげぜんまい43が固着する箇所に設けられていればよい。
本実施形態のてんぷ40は、ひげぜんまい43の内端部43aをひげ玉46に固着させる前に、ひげ玉46の側面に溝部46eを設けておく以外は、第1実施形態と同様の方法で製造できる。
本実施形態の時計用部品であるてんぷは、ひげぜんまい43の内端部43aが、上述した特定の溶加材71によりひげ玉46に固着されているので、第1実施形態のてんぷと同様の作用効果を奏する。加えて、本実施形態のてんぷは、ひげ玉46の側面に溝部46eが設けられ、この溝部46eにひげぜんまい43の内端部43aがひげ玉46に固着しているので、溝部46eの形状に沿ってひげぜんまい43をひげ玉46の側面に対して平行に固着でき、ひげぜんまい43の固着ずれをより低減できる。加えて、溶加材71が毛細管現象によりひげぜんまい43の両短辺にも広がりやすくなり、ひげぜんまい43の内端部43aがひげ玉46に、より強固に固着される。
なお、本実施形態においては、ひげ玉46の側面に、第2実施形態で説明したコーティング層が設けられていてもよい。また、てん真受孔46aと、ひげ玉46の周縁部との間に、第3実施形態で説明した貫通孔が設けられていてもよい。ひげ玉46には、コーティング層と貫通孔の両方が設けられていてもよい。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
1…時計 10…ムーブメント(時計用ムーブメント) 40…てんぷ 41…てん真 42…てん輪 43…ひげぜんまい 43a…内端部 46…ひげ玉 46a…てん真受孔 46b…コーティング層 46c…周縁部 46d…貫通孔 46e…溝部 71…溶加材。

Claims (8)

  1. ひげぜんまいと、
    前記ひげぜんまいが固定されるひげ玉と、
    前記ひげぜんまいと前記ひげ玉とを接合させる溶加材と、
    を備え、
    前記ひげぜんまいの内端部が、前記溶加材により前記ひげ玉に固着され、
    前記溶加材の熱伝導率が、前記ひげ玉の熱伝導率よりも高く、
    かつ、前記溶加材の融点が、前記ひげぜんまいの融点よりも低い、時計用部品。
  2. 前記ひげ玉の側面にコーティング層が設けられ、前記コーティング層を介して前記ひげぜんまいの内端部が前記溶加材により固着され、前記ひげ玉の熱伝導率よりも前記コーティング層の熱伝導率が低い、請求項1に記載の時計用部品。
  3. 前記ひげ玉には、前記ひげ玉の中央に設けられたてん真受孔と、前記ひげ玉の周縁部との間に、貫通孔が設けられている、請求項1または2に記載の時計用部品。
  4. 前記ひげ玉の側面に溝部が設けられ、前記溝部に前記ひげぜんまいの内端部が前記溶加材により固着されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の時計用部品。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の時計用部品の製造方法であって、
    前記ひげぜんまいの内端部と前記ひげ玉との間に前記溶加材を配置し、該溶加材にレーザーを照射して前記溶加材を溶融させ、前記ひげぜんまいの内端部を前記ひげ玉に固着させる、時計用部品の製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の時計用部品の製造方法であって、
    前記ひげぜんまいの内端部と前記ひげ玉との間に前記溶加材を配置し、加熱炉で前記溶加材を溶融させ、前記ひげぜんまいの内端部を前記ひげ玉に固着させる、時計用部品の製造方法。
  7. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の時計用部品を備えた、ムーブメント。
  8. 請求項7に記載のムーブメントを備えた、時計。
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