JP2020148281A - 等速自在継手の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 溶接部の溶接状態の悪化を回避し、溶接中にスパッタがカップ部内に侵入することを防止する。【解決手段】 トラック溝30を内周に形成したカップ部12と、このカップ部12の底部12a2に形成された軸部13とを別部材で構成する。カップ部12を形成するカップ部材12の接合用端面50と軸部13を形成する軸部材13aの接合用端面51とを対面させてカップ部材12aと軸部材13aを溶接により一体化する。溶接は、環状の溶接部49の内径側に設けた空洞部Mとつながる通気路56をカップ部材12aの接合用端面50と軸部材13aの接合用端面51との間に設けて行う。【選択図】図4

Description

この発明は、等速自在継手の外側継手部材の製造方法に関し、より詳しくは、カップ部材と軸部材を溶接して一体化した接合タイプの外側継手部材の製造方法に関する。
自動車や各種産業機械の動力伝達系を構成する等速自在継手は、駆動側と従動側の二軸をトルク伝達可能に連結するとともに、前記二軸が作動角をとっても等速で回転トルクを伝達することができる。等速自在継手は、角度変位のみを許容する固定式等速自在継手と、角度変位及び軸方向変位の両方を許容する摺動式等速自在継手とに大別される。たとえば、自動車のエンジンから駆動車輪に動力を伝達するドライブシャフトにおいては、デフ側(インボード側)に摺動式等速自在継手が使用され、駆動車輪側(アウトボード側)に固定式等速自在継手が使用される。
等速自在継手は、固定式、摺動式を問わず、その主要な構成要素として、内側継手部材と外側継手部材とトルク伝達部材を備えている。そして、外側継手部材はカップ部と軸部とを有し、カップ部の内周面にはトルク伝達部材が転動するトラック溝が形成してあり、軸部はカップ部の底から軸方向に延びている。この外側継手部材は、中実の棒状素材すなわち丸棒から、鍛造加工やしごき加工等の塑性加工、切削加工、熱処理、研削加工等を施すことにより、カップ部と軸部とを一体成形する場合が多い。
ところで、軸部の長さを標準よりも長くした外側継手部材(ロングステムタイプ)を用いる場合がある。たとえば、左右のドライブシャフトの長さを等しくするために、片側のドライブシャフトのインボード側等速自在継手にロングステムタイプを採用する。この場合、軸部をサポートベアリングにより回転自在に支持する。ロングステムタイプの軸部の長さは、車種により異なるが、おおむね300〜400mm程度である。ロングステムタイプの外側継手部材は、軸部が長尺であるために、カップ部と軸部を精度良く一体成形することが困難である。そのため、カップ部と軸部を各別に製作して両部材を電子ビーム溶接により接合するものがある(特許文献1)。また、両部材の接合部に形成される空洞部の内圧変化を抑えるために空洞部に通じる通気孔を設けたものも知られている(特許文献2)。
特開2015−64101号公報 特開2013−2586号公報
特許文献1に記載された外側継手部材の製造方法は、カップ部材の接合用端面と軸部材の接合用端面を突合せて、この突合せ部に外側から半径方向に電子ビームを照射して溶接するものである。接合用端面の外径寸法は、ジョイントサイズ毎に同一寸法とされる。この構成により、カップ部材の品種統合によるコスト低減、および生産管理の軽減が可能となる。
特許文献1の製造方法では、溶接部の内径側に密閉された空洞部が形成される。電子ビーム溶接は真空環境で行う必要があるため、溶接中は空洞部も真空状態となる。
しかしながら、溶接部の内径側の空洞部を、工業生産を成立させるレベルの真空(中真空)とした場合でも、空洞部には僅かに空気が残存する。そのため、溶接中の加工熱により空洞部内の気体圧力が上昇し、溶接終了後は圧力の減少が生じる。この空洞部の内圧の変化により、溶融物の吹き上がりや内径側への引き込みが発生し、溶接部の内外径の表面に凹凸、溶接深さ不良や溶接内部に気泡が生じて溶接状態が悪化する場合がある。その結果、溶接部の強度が安定せず、品質に悪影響を及ぼす可能性がある。
特許文献2に記載された外側継手部材では、空洞部に通じる通気孔をカップ部に設けているため、溶接時に生じるスパッタが通気孔を通じてカップ部内に侵入するおそれがある。外側継手部材のカップ部内には、トラック溝、保持器との接触面等のトルク伝達面が形成されており、溶接時にスパッタがカップ部内に侵入してトルク伝達面に付着すると、トルク伝達時の異物となる。そのため、等速自在継手の耐久性やNVH特性(Noise, Vibration, Harshness)に悪影響を及ぼすおそれがある。
そこで、本発明は、溶接部の溶接状態の悪化を回避でき、しかも溶接中にスパッタがカップ部内に侵入することを防止できる外側継手部材の製造方法を提供することを目的とする。
以上の知見に基づいてなされた本発明は、トルク伝達要素が転動するトラック溝を内周に形成したカップ部と、このカップ部の底部に形成された軸部とを別部材で構成し、前記カップ部を形成するカップ部材の接合用端面と前記軸部を形成する軸部材の接合用端面とを対面させて前記カップ部材と前記軸部材が溶接により一体化され、環状の溶接部の内径側に空洞部が形成された等速自在継手の外側継手部材の製造方法において、前記カップ部材の接合用端面と前記軸部材の接合用端面との間に前記空洞部とつながった通気路を設けて前記溶接を行うことを特徴とする。
かかる構成であれば、溶接完了の直前までは、空洞部が外部と通気可能な状態にある。そのため、溶接中の加工熱により空洞部に残る空気が膨張しても、当該空気は通気路を介して外部に逃げる。溶接終了後は通気路の全周がビードで封止され、そのために空洞部が密閉された状態となるが、残存した空気の多くが溶接中に空洞部から排出されているため、溶接終了後、温度が低下した時にも、空洞部の内圧は殆ど変化しない。このように空洞部の内圧の変化を抑えられるので、溶融物の吹き上がりや内径側への引き込みや溶接不良を防止することができ、良好な溶接状態を得ることができる。
また、空洞部とカップ部材の内側とがカップ部材の底部で遮断されているため、溶接に伴うスパッタは空洞部内に留まり、カップ部材の内側へのスパッタの侵入を防止することができる。従って、強度、耐久性、NVH特性等を確保した等速自在継手の提供が可能となる。
通気路は、例えば、カップ部材の接合用端面と軸部材の接合用端面とを軸方向に離間させることで形成することができる。
また、通気路は、カップ部材の接合用端面および軸部材の接合用端面のうち、何れか一方または双方に設けた溝部で構成することもできる。この場合、溝部が存在する領域を最後に溶接するのが好ましい。
溶接として電子ビーム溶接を行うのが好ましい。電子ビーム溶接では、ビード幅が狭く、短時間で深い溶け込みが得られるため、溶接部の強度が向上し、かつ熱ひずみが少ない、という利点が得られる。
本発明によれば、溶接部の溶接状態の悪化を回避でき、しかも溶接中にスパッタがカップ部内に侵入することを防止できる。
ロングステムタイプの摺動式等速自在継手を備えるドライブシャフトの正面図(一部断面図)である。 外側継手部材の正面図(一部断面図)である。 溶接前のカップ部材と軸部材を示す正面図(一部断面図)である。 (a)図は溶接工程を示す正面図(一部断面図)であり、(b)図は(a)図中の一点鎖線で示す領域を拡大した断面図である。 溶接装置の概略構成を示す正面図(一部断面図)である。 (a)図は(b)図中のX−X線断面図であり、(b)図は溶接中の軸部材の溶接側端面をカップ部材側から見た側面図である。
以下、本発明にかかる等速自在継手の外側継手部材の製造方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1にドライブシャフト1の全体構造を示す。ドライブシャフト1は、摺動式等速自在継手10と、固定式等速自在継手20と、両継手10、20を連結する中間シャフト2を主要な構成要素としている。摺動式等速自在継手10はディファレンシャルギヤ側(図中右側:インボード側ともいう)に配置され、固定式等速自在継手20は駆動車輪側(図中左側:アウトボード側ともいう)に配置される。
摺動式等速自在継手10は、いわゆるダブルオフセット型等速自在継手(DOJ)で、主要な構成要素として、外側継手部材11と、内側継手部材16と、トルク伝達要素としての複数のボール41と、ボール41を保持するケージ44とを備えている。
外側継手部材11は、カップ部12と、カップ部12の底から軸方向に延びた長尺の軸部(以下、ロングステム部ともいう)13とを有する。内側継手部材16は、外側継手部材11のカップ部12内に収容される。外側継手部材11のカップ部12の内周に形成したトラック溝30と、内側継手部材16の外周に形成したトラック溝40は対をなし、各対のトラック溝30、40間にボール41が配置される。ケージ44は、外側継手部材11と内側継手部材16との間に介在し、球状外周面45にて外側継手部材11の部分円筒形の内周面42と接触し、球状内周面46にて内側継手部材16の球状外周面43と接触する。ケージ44の球状外周面45の曲率中心O1と球状内周面46の曲率中心O2は、継手中心Oをはさんで軸方向の反対側に等距離オフセットしている。
ロングステム部13の外周面にはサポートベアリング6の内輪が固定され、このサポートベアリング6の外輪は、図示しないブラケットを介してトランスミッションケースに固定される。このように、外側継手部材11をサポートベアリング6によって回転自在に支持することにより、運転時等における外側継手部材11の振れが可及的に防止される。
固定式等速自在継手20はいわゆるツェッパ型等速自在継手であり、主要な構成要素として、外側継手部材21と、内側継手部材22と、トルク伝達要素としての複数のボール23と、ボール23を保持するケージ24とを備えている。外側継手部材21は、有底筒状のカップ部21aと、カップ部21aの底から軸方向に延びた軸部21bとを有する。内側継手部材22は、外側継手部材21のカップ部21a内に収容される。ボール23は、外側継手部材21のカップ部21aと内側継手部材22との間に配置される。ケージは、外側継手部材21のカップ部21aの内周面と内側継手部材22の外周面との間に介在する。
なお、固定式等速自在継手としてアンダーカットフリー型等速自在継手を用いる場合もある。
中間シャフト2は、その両端部にスプライン軸3(セレーション軸を含む。以下、同じ。)を有する。そして、インボード側のスプライン軸3を摺動式等速自在継手10の内側継手部材16のスプライン孔に挿入することにより、中間シャフト2と摺動式等速自在継手10の内側継手部材16とがトルク伝達可能に連結される。また、アウトボード側のスプライン軸3を固定式等速自在継手20の内側継手部材22のスプライン孔に挿入することにより、中間シャフト2と固定式等速自在継手20の内側継手部材22とがトルク伝達可能に連結される。中実の中間シャフト2の例を図示したが、中空タイプの中間シャフト2を用いることもできる。
両等速自在継手10、20の内部には潤滑剤としてのグリースが封入される。摺動式等速自在継手10の外側継手部材11と中間シャフト2との間、及び、固定式等速自在継手20の外側継手部材21と中間シャフト2との間に、それぞれ、蛇腹状のブーツ4、5を装着して、グリースの漏れや異物の侵入を防止する。
次に、図2を参照して外側継手部材11の詳細について述べる。
摺動式等速自在継手10の外側継手部材11は、カップ部12と、ロングステム部13とからなる。この外側継手部材11は、カップ部12を形成するカップ部材12aとロングステム部13を形成する軸部材13aとを突合せ溶接により接合して製造されるが、製造工程については後に詳しく述べる。
カップ部12は一端が開口した有底筒状で、内周面42は、複数のトラック溝30が円周方向に等間隔に形成される結果、部分円筒形状となっている。トラック溝30上をボール41(図1参照)が転動する。
図3に示すように、カップ部材12aは、S53C等の0.40〜0.60重量%の炭素を含む中炭素鋼で形成され、筒状部12a1と底部12a2とからなる一体成形品である。筒状部12a1に上述のトラック溝30と内周面42が形成される。カップ部材12aの開口側の外周にはブーツ取付溝32が形成してあり、内周には止め輪溝33が形成してある。底部12a2は軸部材13a側に突き出た中実軸状の短軸部12a3を有し、その短軸部12a3に接合用端面50(図3参照)が形成してある。底部12a2のうち、カップ部材12aの開口側となる端面にはセンタ孔35が設けられている。
カップ部材12aの接合用端面50は、旋削により仕上げられた切削仕上げ面である。接合用端面50の内径側には凸部50bが形成され、結果として凸部50bの外径側に環状の接合用端面50が形成されている。カップ部材12aは、鍛造による概略形状の成形後、外周面、ブーツ取付溝32、止め輪溝33、接合用端面50等を旋削することで製作される。凸部50bは鍛造の過程で成形される。凸部50bの端面は旋削等を行うことなく鍛造肌の状態で放置される。これにより当該端面を旋削により仕上げる場合と比べて工数を削減することができる。センタ孔35も鍛造によって成形することができる。
図2に示すように、ロングステム部13はカップ部12の底部12a2から軸方向に延びる中実の軸である。ロングステム部13は、カップ部12寄りの外周に軸受装着面14と止め輪溝15が形成してあり、カップ部12とは反対側の端部にトルク伝達用連結部としてのスプライン軸Spが形成してある。軸受装着面14にサポートベアリング6(図1参照)が取り付けられる。
軸部材13aは、S40C等の0.30〜0.55重量%の炭素を含む中炭素鋼で形成され、図3に示すように、カップ部材12a側の端部に接合用端面51(図3参照)が形成されている。接合用端面51の内径側には凹部52が設けられ、その結果として接合用端面51は環状の面となっている。凹部52は、接合用端面50,51同士を突合せた際に凸部50bと干渉しない深さおよび径寸法を有する。軸部材13aは、鍛造により概略形状を成形した後、軸受装着面14、止め輪溝15、接合用端面51、凹部52等を旋削し、さらにスプライン軸Spを転造等により形成することで製作される。接合用端面51、さらには凹部52を形成する内周面53および端面54(図4(b)参照)は何れも旋削により仕上げられた切削仕上げ面である。軸部材13aの両端面にはセンタ孔18が形成されている。センタ孔18は鍛造によって成形することができる。
カップ部材12aの接合用端面50の外径寸法Bは、ジョイントサイズごとに同一寸法に設定されている。同様に軸部材13aの接合用端面51の外径寸法Cもジョイントサイズごとに同一寸法に設定されている。カップ部材12aの接合用端面50の外径寸法Bと軸部材13aの接合用端面51の外径寸法Cは、必ずしも同一寸法にする必要はない。たとえば、ビードの状態などを考慮して、接合用端面50の外径寸法Bに対して接合用端面51の外径寸法Cを若干小径にするなど適宜の寸法差をつけてもよい。
このようにカップ部材12aの接合用端面50の外径寸法Bおよび軸部材13aの接合用端面51の外径寸法Cをジョイントサイズごとに同一寸法に設定することにより、カップ部材12aを共用化する一方で、軸部材13aのみを車種に応じた種々の軸径、長さ、あるいは外周形状に製作することができる。そのため、カップ部材12aの品種統合を行うことができ、コストの低減や生産管理の負荷の軽減を図ることが可能となる。
図4(a)(b)にカップ部材12aと軸部材13aの溶接を行う溶接工程を示す。図4(a)に示すように、カップ部材12aの接合用端面50と軸部材13aの接合用端面51とを対面させ、カップ部材12aの外側から半径方向に電子銃101から電子ビームを照射することにより溶接が行われる。この溶接によって、図2に示すように、カップ部材12aと軸部材13aとが接合され、一体化される。溶接後は、溶接部49の内径側に、凸部50bおよび凹部52の形状に対応した密閉状態の空洞部Mが形成される。なお、溶接部49は、周知のとおり、溶接中に溶融凝固した金属すなわち溶融金属とその周囲の熱影響部とで構成されている。
以下、溶接工程の具体的手順を図5に基づいて説明する。図5に示す溶接装置100は、主要な構成要素として、電子銃101、回転装置102、チャック103、センタ104、テールストック105、ワーク受け台106、センタ107、ケース108、真空ポンプ109を有する。
ワークであるカップ部材12a及び軸部材13aは溶接装置100内のワーク受け台106上に載置される。溶接装置100の一端にあるチャック103及びセンタ107は回転装置102に連結されている。センタ107によりカップ部材12aをセンタリングした状態で、チャック103によりカップ部材12aをつかみ、回転装置102によってワークに回転運動を与えるようになっている。溶接装置100の他端にあるテールストック105にセンタ104が一体に取り付けてある。センタ104,107は、軸方向(図5の左右方向)に進退可能に構成されている。センタ104を軸部材13aのインボード側のセンタ孔18(図2参照)にセットし、センタ107をカップ部材12aのセンタ孔35にセットすることによりワークがセンタリングされる。
溶接装置100のケース108には真空ポンプ109が接続されている。ここで、密閉空間とは、ケース108により形成される空間111を意味し、カップ部材12a及び軸部材13aの全体が密閉空間111に収容されている。カップ部材12a及び軸部材13aの接合用端面50、51に対応する位置に電子銃101が設けてある。電子銃101はワークに対して接近、離反可能になっている。
ワークであるカップ部材12a及び軸部材13aは、溶接装置100とは別の場所にストックされている。各ワークをたとえばロボットにより取り出し、大気に開放された溶接装置100のケース108内に搬送し、ワーク受け台106の所定位置にセットする。この時点では、センタ104及びテールストック105は、図の右側に後退しており、カップ部材12a及び軸部材13aの接合用端面50、51の間には隙間が存在する。
その後、ケース108の扉(図示省略)が閉まり、真空ポンプ109を起動してケース108内に形成される密閉空間111を減圧する。密閉空間111が中真空(JIS Z8126−1で規定された100Pa〜0.1Paの真空)まで減圧されると、センタ104及びテールストック105が左側に前進し、カップ部材12aの接合用端面50と軸部材13aの接合用端面51とが突合されて両者間の隙間がなくなる。これにより、カップ部材12aはセンタ107によりセンタリングされてチャック103で固定され、軸部材13aはセンタ104によりセンタリングされて支持される。この後、ワーク受け台106がワーク(12a、13a)から離れる。
その後、電子銃101を所定位置まで移動させてワーク(12a、13a)に接近させ、ワーク(12a、13a)を回転させて予熱を開始する。予熱条件は溶接条件とは異なり、電子銃101をワーク(12a、13a)に接近させてスポット径が大きな状態で電子ビームを照射するなどにより、溶接温度よりも低い温度とする。予熱により入熱量が増え、後述する後熱とあいまって、溶接後の溶接部の冷却速度が遅くなり、その結果、焼割れを防止することができる。
所定の予熱時間に達したら、電子銃101が所定の位置に後退し、ワーク(12a、13a)の外側から半径方向に電子ビームを照射し、ワークを回転させて溶接が開始される。ワーク(12a、13a)が1回転する間に、ワークの全周にわたって溶接が行われ、環状の溶接部49が形成される。
その後、溶接部49の冷却速度を遅くして焼きが入るのを防止するため後熱を実施する。
溶接が終了すると、電子銃101が退避し、ワーク(12a、13a)の回転が停止する。
その後、密閉空間111を大気に開放する。そして、ワーク受け台106が上昇し、ワークを支持した状態で、センタ104及びテールストック105が図5の右側に後退し、チャック103を開放する。その後、たとえばロボットがワーク(12a、13a)をつかみ、溶接装置100から取り外して冷却ストッカに整列させる。この実施の形態は、カップ部材12a及び軸部材13aの全体が密閉空間111に収容されているため、ケース108内の密閉空間111の構成を簡素化することができる。
この実施形態では、溶接部49は軸部材13aの軸受装着面14よりもカップ部材12a側に形成されている。そのため、軸受装着面14は溶接の前にあらかじめ加工しておくことができ、そうすることによって溶接後の軸受装着面14に対する後加工を廃止することができる。また、電子ビーム溶接では溶接部にバリが出ないため、この点でも溶接部の後加工が省略できて製造コストが削減できる。さらに、電子ビーム溶接を行うことで、溶接部の超音波探傷による全数検査が可能となる。
次に、図4(b)に基づいて本実施形態にかかる外側継手部材の製造方法の特徴を説明する。
図4(b)に示すように、本実施形態では、図5に示す溶接装置100による溶接を行う際に、カップ部材12aの接合用端面50と軸部材13aの接合用端面51との間に空洞部Mとつながった通気路56が設けられる。通気路56は、例えばカップ部材12aの接合用端面50と軸部材13aの接合用端面51との間に形成した環状の隙間57で形成することができる。
このようにカップ部材12aと軸部材13aの間に軸方向の隙間57を設けた状態で溶接を行えば、溶接完了の直前までは、空洞部Mがケース108内の密閉空間111と通気可能な状態にある。そのため、溶接中の入熱により空洞部Mに残る空気が膨張しても、当該空気は通気路56を介して密閉空間111に逃げる。溶接終了後は隙間57の全周がビードで封止され、そのために空洞部Mが密閉された状態となるが、残存した空気の多くが溶接中に空洞部Mから排出されているため、溶接終了後、温度が低下した時にも、空洞部Mの内圧は殆ど変化しない。このように空洞部Mの内圧の変化を抑えられるので、溶融物の吹き上がりや内径側への引き込みや溶接不良を防止することができ、良好な溶接状態を得ることができる。
また、空洞部Mとカップ部材12aの筒状部12a1の内径側空間とが底部12a2で遮断されているため、溶接に伴うスパッタは空洞部M内に留まり、筒状部12a1の内側へのスパッタの侵入を防止することができる。従って、強度、耐久性、NVH特性等を確保した等速自在継手の提供が可能となる。
通気路56を形成する隙間57の幅δは、0<δ≦0.5mmが好ましい。隙間の幅δが0.5mmを超えると、溶接によって溶融した金属が空洞部Mへ流出し、溶接部49の表面に凹みが発生するおそれがあるためである。
図6(a)(b)に通気部56の他の実施形態を示す。図6(b)は、通気路56を、軸部材13aの接合用端面51に形成された半径方向の溝部58で形成するものである。なお、この実施形態とは逆に、カップ部材12aの接合用端面50に溝部58を設けてもよい。また、双方の接合用端面50,51に溝部58を設け、溝部58を対面させて通気路56を形成してもよい。
図5に示す溶接装置100内でカップ部材12aの接合用端面50と軸部材13aの接合用端面51とを突合せると、溝部58によって形成された通気路56を介して空洞部Mと密閉空間111との間が通気可能となる。そのため、既に述べた実施形態と同様に、溶接に伴う空洞部Mの内圧変化が抑えられるため、外径方向への溶融金属の吹き上がり等による溶接不良を防止することができ、かつ筒状部12a1の内径側空間へのスパッタの侵入を防止することができる。
この実施形態でも、溶接時にはワーク(12a,13a)の全周が溶接され、円周方向の一部領域に存在する通気路56がビードによって封止されるため、溶接後の空洞部Mは密閉された状態となる。この際、溶接の最終段階まで空洞部Mと密閉空間111の間の通気が可能となるように、通気路56は最後に溶接するのが望ましい。これを実現するためには、溶接装置100へのワーク(12a,13a)の搬入時に、電子銃101に対して図6(b)の位置関係となるように溝部58の周方向の位相を調整しておく必要がある。
溶接後のワーク(12a,13a)は、超音波探傷工程、熱処理工程、および研削工程に順次送られ、これらの工程を経ることにより、図2に示す外側継手部材11が完成する。超音波探傷工程では、超音波探傷装置により溶接部49の溶接不良の有無が検査される。熱処理工程では、溶接後のカップ部12の少なくともトラック溝30、内周面42、およびロングステム部13の外周の必要箇所のそれぞれに、高周波焼入れ焼戻しにより硬化層が形成される。研削工程では、軸部材13の軸受装着面14等が研削加工により仕上げられる。
なお、熱処理工程および軸部の研削工程を溶接工程の前に行うこともできる。つまりカップ部材12aの製作工程で、トラック溝30や内周面42の高周波焼入れ焼戻しを行い、軸部材13aの製作工程で、外周面の必要個所の高周波焼入れ焼戻し、および軸受装着面14等の研削加工を行ってもよい。このようにして完成したカップ部材12aおよび軸部材13aを溶接した後、超音波探傷による溶接部49の検査が行われる。
以上、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、ここに述べ、かつ、添付図面に例示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で、種々の改変を加えて実施をすることができる。
また、電子ビーム溶接を採用した場合を例にとったが、本発明は、電子ビーム溶接に限らず、レーザ溶接その他の高エネルギー密度ビームによる溶接を採用する場合にも同様に適用することができる。
さらに、摺動式等速自在継手としてダブルオフセット型等速自在継手を例示したが、本発明は、トリポード型等速自在継手、クロスグルーブ型等速自在継手等の他の摺動式等速自在継手の外側継手部材、さらには固定式等速自在継手の外側継手部材にも適用することができる。また、ドライブシャフトを構成する等速自在継手の外側継手部材に本発明を適用した場合を例にとって述べたが、本発明は、プロペラシャフトを構成する等速自在継手の外側継手部材にも適用することができる。
10 摺動式等速自在継手
11 外側継手部材
12 カップ部
12a カップ部材
12a2 底部
12a3 短軸部
13 軸部(ロングステム部)
13a 軸部材
14 軸受装着面
16 内側継手部材
41 トルク伝達要素(ボール)
49 溶接部
50 接合用端面
51 接合用端面
56 通気路
57 隙間
58 溝部
M 空洞部

Claims (5)

  1. トルク伝達要素が転動するトラック溝を内周に形成したカップ部と、このカップ部の底部に形成された軸部とを別部材で構成し、前記カップ部を形成するカップ部材の接合用端面と前記軸部を形成する軸部材の接合用端面とを対面させて前記カップ部材と前記軸部材が溶接により一体化され、環状の溶接部の内径側に空洞部が形成された等速自在継手の外側継手部材の製造方法において、
    前記カップ部材の接合用端面と前記軸部材の接合用端面との間に前記空洞部とつながった通気路を設けて前記溶接を行うことを特徴とする等速自在継手の外側継手部材の製造方法。
  2. 前記通気路を、前記カップ部材の接合用端面と前記軸部材の接合用端面とを軸方向に離間させることで形成した請求項1に記載の等速自在継手の外側継手部材の製造方法。
  3. 前記通気路を、前記カップ部材の接合用端面および前記軸部材の接合用端面のうち、何れか一方または双方に設けた溝部で構成した請求項1に記載の等速自在継手の外側継手部材の製造方法。
  4. 前記溝部が存在する領域を最後に溶接する請求項3に記載の等速自在継手の外側継手部材の製造方法。
  5. 前記溶接として電子ビーム溶接を行う請求項1〜4の何れか1項に記載の等速自在継手の外側継手部材の製造方法。
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