JP2020147478A - アンモニア分解設備、これを備えるガスタービンプラント、アンモニア分解方法 - Google Patents

アンモニア分解設備、これを備えるガスタービンプラント、アンモニア分解方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アンモニアの分解で得られるガスを燃料とするタービンプラントの設備コストを抑える。【解決手段】アンモニア分解設備Xは、抽気空気ライン85と、アンモニアが流れるアンモニア供給ライン81と、アンモニア分解装置50と、処理済みガス供給ライン82と、を備える。抽気空気ライン85には、ガスタービン11の空気圧縮機11aで生成された圧縮空気の一部が抽気空気BAとして流れる。アンモニア分解装置50は、抽気空気ライン85からの抽気空気BAを酸化剤として、アンモニア供給ライン81からのアンモニアの一部を燃焼させて、アンモニアを自己熱分解させて、水素と窒素とを含む処理済みガスPGを生成する。処理済みガス供給ライン82は、処理済みガスPGを燃料としてガスタービン11の燃焼器11bに導く。【選択図】図1

Description

本発明は、アンモニアを分解するアンモニア分解設備、これを備えるガスタービンプラント、アンモニア分解方法に関する。
地球環境保全のためCO排出量を削減するため、燃焼してもCOを排出しない水素を燃料として利用することが有力な選択肢となっている。しかし、例えば、ガスタービンの燃料として広く使われている液化天然ガスなどの燃料と比較して、水素は、その輸送や溜蔵は容易ではない。このため、水素に変換可能なアンモニアを燃料として利用することが検討されている。
以下の特許文献1には、アンモニアを加熱して、このアンモニアを水素と窒素に分解する分解装置を備えたガスタービンプラントが記載されている。このガスタービンプラントは、ガスタービン及び排熱回収ボイラを備える。排熱回収ボイラは、ガスタービンからの排気ガスで水を加熱して蒸気にする第一熱交換部の他、液体アンモニアを排気ガスで加熱する第二熱交換部と、を有する。第二熱交換部では、ポンプで昇圧された液体アンモニアとガスタービンから排気された排気ガスとを熱交換させて、アンモニアを加熱して、このアンモニアを熱分解させ、水素と窒素とを含む分解ガスにする。前述の分解装置は、この第二熱交換部を有する。分解ガスは、そのままガスタービンの燃焼器に導かれる。
また、以下の特許文献2にも、アンモニアを加熱して、このアンモニアを水素と窒素に分解する加熱装置を備えたガスタービンプラントが記載されている。このガスタービンプラントは、ガスタービン、加熱装置の他、排熱回収ボイラを備える。排熱回収ボイラは、ガスタービンから排気された排気ガスの一部と水とを熱交換させて、水を加熱して蒸気にする。加熱装置は、ガスタービンから排気された排気ガスの残りと液体アンモニアとを熱交換させて、アンモニアを加熱して、このアンモニアを熱分解させ、水素と窒素とを含む分解ガスにする。この分解ガスは、ガスタービンの燃焼器に導入される。
特開平04−342829号公報 特開2018−076794号公報
上記特許文献1に記載の技術では、ガスタービンからの排気ガスで水を加熱して蒸気にする第一熱交換部と、液体アンモニアを排気ガスで加熱する第二熱交換部と、を有する排熱回収ボイラを新たに設計して、製造する必要がある。また、特許文献2に記載の技術では、ガスタービンからの排気ガスの一部でアンモニアを加熱する加熱装置と、排気ガスの残りで水を加熱する排熱回収ボイラとを新たに設計して、これらを製造する必要がある。
すなわち、上記特許文献1に記載の技術及び上記特許文献2に記載の技術では、ガスタービンからの排気ガスでアンモニアを加熱する機器を設計製造し、しかもこの機器と関連する部分も新たに設計製造する必要がある。
このため、上記特許文献1に記載の技術及び上記特許文献2に記載の技術では、ガスタービンプラント機器の新規設計及び製造のコストがかかるという問題点がある。
そこで、本発明は、アンモニアの分解で得られるガスを燃料とするガスタービンプラントの設備コストを抑えることができる技術を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための発明に係る一態様としてのアンモニア分解設備は、
空気を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機で圧縮された空気である圧縮空気中で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器と、前記燃焼ガスにより駆動するタービンと、を有するガスタービンに接続されているアンモニア分解設備において、前記ガスタービンに接続され、前記圧縮空気の一部が抽気空気として流れる抽気空気ラインと、アンモニアが流れるアンモニア供給ラインと、前記抽気空気ライン及び前記アンモニア供給ラインに接続され、前記抽気空気ラインからの前記抽気空気を酸化剤として、前記アンモニア供給ラインからの前記アンモニアの一部を燃焼させて、アンモニアを自己熱分解させて、水素と窒素とを含む処理済みガスを生成するアンモニア分解装置と、前記アンモニア分解装置で生成された前記処理済みガスを前記燃料として前記燃焼器に導く処理済みガス供給ラインと、を備える。
本態様では、アンモニアの分解で得られた水素を含む処理済みガスを燃焼器の燃料にしている。このため、天然ガスのみを燃焼器の燃料にするプラントよりも、二酸化炭素の排出量を少なくすることができる。アンモニアを熱分解するためには、分解反応に必要な反応熱を供給する必要があるが、熱の供給方法として、分解させるアンモニア以外の熱源からの伝熱によりアンモニアを加熱する外部加熱方式と、分解させるアンモニアの一部を燃焼させて熱を発生させて残りのアンモニアを加熱する自己熱分解方式がある。外部加熱方式において、アンモニアの熱分解に必要な熱として、ガスタービンからの排気ガス、叉はこの排気ガスの熱で加熱された熱媒体を利用する場合、排気ガスや熱媒体をアンモニア分解器に導く設備や、この熱媒体を別途生成する排熱回収ボイラ等を新たに設計して、これを製造する必要がある。一方、本態様では、アンモニアの熱分解に必要な熱を、アンモニアの一部を燃焼させる自己熱分解方式により得ている。このため、本態様では、排気ガスや熱媒体をアンモニア分解器に導く設備や、この熱媒体を別途生成する排熱回収ボイラ等が不要になり、ガスタービンプラントの設備コストを抑えることができる。また、本態様では、既存のガスタービンコンバインドサイクルプラントにアンモニア分解設備を追加する改造工事を行う場合でも、このプラントに含まれる排熱回収ボイラをほとんど改造せずに利用できるため、設備コストを抑えることができる。
自己熱分解方式によりアンモニアを熱分解させる場合、アンモニアの一部を燃焼させるための酸化剤として、本態様では、ガスタービンの空気圧縮機で生成された圧縮空気の一部である抽気空気を利用する。アンモニア分解装置に酸化剤を供給するには、酸素を含む流体をアンモニア分解装置の圧力以上に加圧して供給する動力が必要になる。このため、本態様では、ガスタービンの空気圧縮機で生成された圧縮空気を利用しない場合と比較して、ガスタービンプラントの設備コストを抑えることができる。
アンモニアを分解して得られた水素を主成分とするガスは、天然ガス燃料と比べて体積当たりの発熱量が少ないため、ガスタービン燃料として利用した場合に燃料の体積流量が大きくなる。その結果、ガスタービンのタービンを流れるガス流量が多くなり、ガスタービンの空気圧縮機でのサージ等の異常事象のリスクが増加する。
本態様では、ガスタービンの空気圧縮機で生成された圧縮空気の一部である抽気空気を利用しているため、燃焼器へ供給される燃焼用空気の流量が削減されている。このため、本態様では、ガスタービンの空気圧縮機で生成された圧縮空気を利用しない自己熱分解方式、及び外部加熱方式に比べて、ガスタービンのタービンを流れるガス流量の増加量が少ない。よって、本態様では、ガスタービンの空気圧縮機で生成された圧縮空気を利用しない自己熱分解方式や外部加熱方式に比べて、ガスタービンの空気圧縮機でのサージ等の異常事象のリスクを軽減することができる。また、本態様では、他の方式と比較して、ガスタービンの空気圧縮機を流れる気体流量とガスタービンのタービンを流れる気体流量とのマッチングがよくなり、熱性能が向上する。
ここで、前記一態様のアンモニア分解設備において、前記アンモニア供給ラインに設けられ、前記アンモニア供給ラインを流れる前記アンモニアを前記燃焼器内の圧力より高い圧力に昇圧するアンモニア昇圧機と、前記抽気空気ラインに設けられ、前記抽気空気ラインを流れる前記抽気空気を前記燃焼器内の圧力より高い圧力に昇圧する抽気空気昇圧機と、を備えてもよい。
アンモニアの熱分解は、低圧環境下の方が促進される。このため、低圧環境下でアンモニアを熱分解してから、分解後のガスをガス利用対象に送るために昇圧機で昇圧する方法が考えられる。アンモニアの分解反応後のガスの体積は、反応前のアンモニアガスの体積の二倍になる。このため、分解反応後のガスを昇圧する昇圧機の大きさは、反応前のアンモニアガスを昇圧する昇圧機の大きさよりも大きい。また、分解反応後のガスを昇圧する昇圧機の昇圧動力は、反応前のアンモニアガスを昇圧する昇圧機の昇圧動力よりも大きい。すなわち、この方法では、設備コスト及びランニングコストがかさむ。一方、本態様では、アンモニア分解装置に供給する前のアンモニアを、アンモニア昇圧機で、燃焼器内の圧力より高い圧力にまで昇圧する上に、アンモニア分解装置に供給する前の抽気空気を、抽気空気昇圧機で、燃焼器内の圧力より高い圧力にまで昇圧する。このため、本態様では、アンモニアを分解した後のガスを昇圧してなくても、このガスを燃焼器内に導くことができる。しかも、本態様では、大気よりも高圧な抽気空気を抽気空気昇圧機で昇圧しているので、抽気空気昇圧機の負担が小さい。よって、本態様では、設備コスト及びランニングコストを抑えることができる。
また、以上のいずれかの前記態様のアンモニア分解設備において、前記アンモニア分解装置は、前記抽気空気ラインからの前記抽気空気を酸化剤として、前記アンモニア供給ラインからの前記アンモニアの一部を燃焼させて、前記アンモニアを自己熱分解させて、水素と窒素と残留アンモニアを含む分解ガスを生成するアンモニア自己熱分解装置と、前記アンモニア自己熱分解装置からの前記分解ガス中に含まれる前記残留アンモニアを除去し、前記分解ガスから前記残留アンモニアが除去されたガスを前記処理済みガスとして排出するアンモニア除去装置と、を有してもよい。
本態様のアンモニア分解装置は、アンモニア自己熱分解装置の他に、アンモニア自己熱分解装置からの分解ガス中に含まれる残留アンモニアを除去するアンモニア除去装置を有する。よって、本態様では、燃焼器に供給する燃料中の残留アンモニアを少なくすることができるため、燃料の燃焼で生成される排気ガス中に含まれるNOx濃度を抑えることができる。
前記アンモニア自己熱分解装置を有する前記態様のアンモニア分解設備において、前記アンモニア自己熱分解装置は、アンモニア加熱器と、アンモニア自己熱分解器と、を有してもよい。この場合、前記アンモニア加熱器は、前記アンモニア供給ラインに設けられ、前記アンモニア供給ラインを流れる前記アンモニアと前記分解ガスとを熱交換させて、前記アンモニアを加熱する一方で、前記分解ガスを冷却する熱交換器である。また、この場合、前記アンモニア自己熱分解器は、前記抽気空気ラインからの前記抽気空気を酸化剤として、前記アンモニア加熱器で加熱された後のアンモニアの一部を燃焼させて、前記アンモニアを自己熱分解させて、前記分解ガスを生成する。
本態様では、アンモニアを加熱するための熱として、アンモニア分解設備内で発生した分解ガスの熱を利用する。よって、本態様では、アンモニアを加熱するための熱として、アンモニア分解設備外の熱を利用する場合よりも、設備コスト及びランニングコストを抑えることができる。
前記アンモニア除去装置を有する、以上のいずれかの前記態様のアンモニア分解設備において、前記アンモニア除去装置は、アンモニア吸収器と、アンモニア分離器と、を有してもよい。この場合、前記アンモニア吸収器は、前記アンモニア自己熱分解装置からの前記分解ガスと水とを接触させて、前記分解ガス中の前記残留アンモニアを前記水中に溶解させる一方で、前記処理済み分解ガスを排出する。前記アンモニア分離器は、分離塔と、水加熱器と、を有する。前記分離塔は、前記残留アンモニアが溶解した前記水であるアンモニア水と水蒸気と接触させ、前記アンモニア水を加熱して、前記アンモニア水からアンモニアを分離する。前記水加熱器は、前記アンモニア水からアンモニアが分離した水を加熱して水蒸気にした後、水蒸気を前記分離塔に戻す。
前記水加熱器を有する前記態様のアンモニア分解設備において、前記水加熱器は、前記アンモニア水からアンモニアが分離した水と前記分解ガスとを熱交換させて、前記水を加熱して水蒸気にする熱交換器であってもよい。
本態様では、水加熱器において、水を加熱するための熱として、アンモニア分解設備内で発生した分解ガスの熱を利用する。よって、本態様では、水加熱器において、水を加熱するための熱として、アンモニア分解設備外の熱を利用する場合よりも、設備コスト及びランニングコストを抑えることができる。
上記目的を達成するための発明に係る一態様としてのガスタービンプラントは、
以上のいずれかの前記態様のアンモニア分解設備と、前記ガスタービンと、を備える。
上記目的を達成するための発明に係る一態様としてのアンモニア分解方法は、
アンモニア分解装置で、ガスタービンの圧縮機で圧縮された空気である圧縮空気の一部である抽気空気を酸化剤として、アンモニアの一部を燃焼させて、アンモニアを自己熱分解させて、水素と窒素とを含む処理済みガスを生成するアンモニア分解工程と、前記アンモニア分解工程で生成された前記処理済みガスを燃料として前記ガスタービンの燃焼器に導く処理済みガス供給工程と、を実行する。
ここで、前記態様のアンモニア分解方法において、前記アンモニア分解工程で自己熱分解される前のアンモニアを前記燃焼器内の圧力より高い圧力に昇圧してから、昇圧後のアンモニアを前記アンモニア分解装置に供給するアンモニア供給工程と、前記アンモニア分解工程で前記酸化剤として利用される前の前記抽気空気を前記燃焼器内の圧力より高い圧力に昇圧してから、昇圧後の抽気空気を前記アンモニア分解装置に供給する抽気空気供給工程と、を実行してもよい。
また、以上のいずれかの前記態様のアンモニア分解方法において、前記アンモニア分解工程は、前記酸化剤として利用される前の前記抽気空気を酸化剤として、前記アンモニアの一部を燃焼させて、前記アンモニアを自己熱分解させて、水素と窒素と残留アンモニアとを含む分解ガスを生成するアンモニア自己熱分解工程と、前記分解ガスから前記残留アンモニアを除去し、前記分解ガスから前記残留アンモニアが除去されたガスを前記処理済みガスとして排出するアンモニア除去工程と、を含んでもよい。
前記アンモニア自己熱分解工程を実行する前記態様のアンモニア分解方法において、前記アンモニア自己熱分解工程は、アンモニア予熱工程と、アンモニア自己熱分解実行工程と、を含んでもよい。この場合、前記アンモニア予熱工程では、前記アンモニアと前記分解ガスとを熱交換させて、前記アンモニアを加熱する一方で、前記分解ガスを冷却する。また、前記アンモニア自己熱分解実行工程では、前記酸化剤として利用される前の前記抽気空気を酸化剤として、前記アンモニア予熱工程で加熱された後のアンモニアの一部を燃焼させて、前記アンモニアを自己熱分解させて、前記分解ガスを生成する。
前記アンモニア除去工程を実行する、以上のいずれかの前記態様のアンモニア分解方法において、前記アンモニア除去工程は、アンモニア吸収工程と、アンモニア分離工程と、を含んでもよい。この場合、前記アンモニア吸収工程では、前記アンモニア自己熱分解工程の実行で得られた前記分解ガスと水とを接触させて、前記分解ガス中の前記残留アンモニアを水中に溶解させる一方で、前記処理済みガスを排出する。前記アンモニア分離工程では、分離実行工程と、水加熱工程と、を含む。前記分離実行工程では、前記残留アンモニアが溶解した水であるアンモニア水と水蒸気と接触させ、前記アンモニア水からアンモニアを蒸発分離する。前記水加熱工程では、前記アンモニア水からアンモニアが分離した水を加熱して、前記分離実行工程で用いる水蒸気にする。
前記水加熱工程を実行する前記態様のアンモニア分解方法において、前記水加熱工程では、前記アンモニア水からアンモニアが分離した水と前記分解ガスとを熱交換させて、前記水を加熱して水蒸気にしてもよい。
以上のいずれかの前記態様のアンモニア分解方法において、前記処理済みガス中の残留アンモニア濃度を、所望の値になるようにしてもよい。この所望の値とは、排気ガス中の窒素酸化物濃度が本プラントの設置地点での窒素酸化物濃度の環境規制に適合する値、もしくは排ガスの経路に脱硝装置を設ける場合は脱硝後の窒素酸化物濃度が環境規制に適合する値となるように決定することができる。
本発明の一態様によれば、アンモニアの分解で得られるガスを燃料とするタービンプラントの設備コストを抑えることができる。
本発明に係る一実施形態におけるガスタービンプラントの系統図である。 本発明に係る一実施形態におけるアンモニア分解設備の系統図である。 本発明に係る第一実施形態におけるアンモニア分解装置でのアンモニア分解手順を示すフローチャートである。 アンモニアの熱分解環境での各種温度及び各種圧力と残留アンモニア濃度との関係を示すグラフである。 残留アンモニア濃度と排気ガス中のNOx濃度の予測値との関係を示すグラフである。
以下、ガスタービンプラントの一実施形態及び各種変形例について、図面を用いて説明する。
「実施形態」
ガスタービンプラントの一実施形態について、図1〜図5を参照して説明する。
本実施形態のガスタービンプラントは、図1に示すように、ガスタービン設備10と、排熱回収ボイラ20と、蒸気タービン設備30と、アンモニア分解設備Xと、を備える。
ガスタービン設備10は、ガスタービン11と、ガスタービン11へ燃料を導く燃料ライン12と、燃料ライン12を流れる燃料の流量を検知する流量計13と、燃料ライン12を流れる燃料を予熱する予熱器14と、ガスタービン11に供給する燃料の流量を調節する燃料調節弁15と、を備える。
ガスタービン11は、空気を圧縮して圧縮空気を生成する空気圧縮機11aと、圧縮空気中で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器11bと、燃焼ガスで駆動するタービン11cと、を有する。燃焼器11bは、水素を主成分とするガス燃料を安定して燃焼可能な構造となっている。空気圧縮機11aは、圧縮機ロータと、この圧縮機ロータを覆う圧縮機ケーシングと、を有する。タービン11cは、タービンロータと、このタービンロータを覆うタービンケーシングと、を有する。圧縮機ロータとタービンロータとは、互いに連結されてガスタービンロータ11dを成す。燃料ライン12は、燃焼器11bに接続されている。この燃料ライン12に、前述した、流量計13、予熱器14、及び燃料調節弁15が設けられている。
排熱回収ボイラ20は、ガスタービン11からの排気ガスEGが流れるボイラ枠21と、低圧蒸気発生系22と、中圧蒸気発生系23と、再熱蒸気系25と、高圧蒸気発生系26と、中圧ポンプ24と、高圧ポンプ27と、を有する。ここで、ボイラ枠21内の排気ガスEGの流れに関する上流側を単に上流側とし、その反対側を下流側とする。ボイラ枠21で最も下流側の端には、排気ガスEGを大気に排気するスタック29が接続されている。
低圧蒸気発生系22は、節炭器22aと、蒸発器22bと、過熱器22cと、を有する。節炭器22aは、水と排気ガスEGとを熱交換させて、水を加熱して熱水にする。蒸発器22bは、節炭器22aからの熱水の一部と排気ガスEGとを熱交換させて、水を加熱して水蒸気にする。過熱器22cは、蒸発器22bからの水蒸気と排気ガスEGとを熱交換させて水蒸気を過熱する。節炭器22a、蒸発器22bの少なくとも一部、過熱器22cは、いずれも、ボイラ枠21内に配置されている。節炭器22a、蒸発器22bの少なくとも一部、過熱器22cは、この順序で、下流側から上流側に向かって並んでいる。
中圧蒸気発生系23、高圧蒸気発生系26は、図示されていないが、いずれも、低圧蒸気発生系22と同様、節炭器と、蒸発器と、過熱器と、を有する。中圧ポンプ24は、低圧蒸気発生系22の節炭器22aからの熱水の一部を昇圧してから、中圧蒸気発生系23の節炭器に送る。低圧蒸気発生系22の節炭器22aと高圧蒸気発生系26の節炭器とは、熱水ライン49で接続さている。高圧ポンプ27は、この熱水ライン49に設けられている。高圧ポンプ27は、低圧蒸気発生系22の節炭器22aからの熱水の一部を昇圧してから、高圧蒸気発生系26の節炭器に送る。
各蒸気発生系22,23,26の過熱器のうち、高圧蒸気発生系26の過熱器は、ボイラ枠21内で、他の過熱器より上流側に配置されている。中圧蒸気発生系23の過熱器は、ボイラ枠21内で、高圧蒸気発生系26の過熱器より下流側に配置されている。低圧蒸気発生系22の過熱器22cは、ボイラ枠21内で、中圧蒸気発生系23の過熱器より下流側に配置されている。
再熱蒸気系25は、蒸気を排気ガスEGで過熱する再熱器のみを有する。この再熱蒸気系25は、高圧蒸気発生系26の過熱器より下流側で且つ中圧蒸気発生系23の過熱器より上流側に配置されている。
蒸気タービン設備30は、低圧蒸気タービン31と、中圧蒸気タービン32と、高圧蒸気タービン33と、復水器35と、復水ポンプ36と、を有する。低圧蒸気タービン31は、低圧蒸気タービンロータと、低圧蒸気タービンロータを覆うケーシングとを有する。中圧蒸気タービン32は、中圧蒸気タービンロータと、中圧蒸気タービンロータを覆うケーシングとを有する。高圧蒸気タービン33は、高圧蒸気タービンロータと、高圧蒸気タービンロータを覆うケーシングとを有する。低圧蒸気タービンロータ、中圧蒸気タービンロータ、及び高圧蒸気タービンロータは、互いに連結されて一つの蒸気タービンロータ34を成す。この蒸気タービンロータ34の一端には、前述のガスタービンロータ11dが連結されている。また、この蒸気タービンロータ34の他端には、発電機39が接続されている。
高圧蒸気発生系26の過熱器と高圧蒸気タービン33の蒸気入口とは、高圧蒸気ライン44で接続されている。高圧蒸気タービン33の蒸気出口と再熱蒸気系25の蒸気入口とは、高圧排気蒸気ライン46で接続されている。再熱蒸気系25の蒸気入口は、さらに、中圧蒸気発生系23の過熱器と中圧蒸気ライン42で接続されている。再熱蒸気系25の蒸気出口と中圧蒸気タービン32の蒸気入口とは、再熱蒸気ライン43で接続されている。低圧蒸気発生系22の過熱器22cと低圧蒸気タービン31の蒸気入口とは、低圧蒸気ライン41で接続されている。低圧蒸気タービン31の蒸気入口は、さらに、中圧排気蒸気ライン45で、中圧蒸気タービン32の蒸気出口と接続されている。低圧蒸気タービン31の蒸気出口には、前述の復水器35が接続されている。この復水器35は、低圧蒸気タービン31から排気された蒸気を液相の水に戻す。復水器35と低圧蒸気発生系22の節炭器22aとは、給水ライン47で接続されている。この給水ライン47中に前述の復水ポンプ36が設けられている。
アンモニア分解設備Xは、アンモニア分解装置50と、アンモニア供給ライン81と、アンモニア昇圧機80と、処理済みガス供給ライン82と、抽気空気ライン85と、抽気空気冷却器86と、抽気空気昇圧機87と、冷却媒体ライン88iと、冷却媒体回収ライン88oと、燃料バッファ89と、を備える。
アンモニア供給ライン81は、液体アンモニアが蓄えられるアンモニアタンクTと、アンモニア分解装置50とを接続する。アンモニアタンクTに蓄えられている液体アンモニアは、例えば、水素を原料として製造されたものである。この水素は、例えば、風力や太陽光などの再生可能エネルギーで発電した電力を使って、水を電気分解することにより得られた水素、あるいは天然ガスを水蒸気改質することで得られた水素である。水素は、液化天然ガスと比較して、その輸送や溜蔵は容易ではない。このため、以上のように得られた水素を用いて、その輸送や溜蔵が容易な液体アンモニアを製造し、この液体アンモニアをアンモニアタンクTに蓄える。アンモニア昇圧機80は、アンモニア供給ライン81に設けられている。このアンモニア昇圧機80は、ポンプである。アンモニア昇圧機80は、アンモニア供給ライン81を流れる液体アンモニアを昇圧する。
抽気空気ライン85は、ガスタービン11の空気圧縮機11aにおける吐出口から燃焼器11bの圧縮空気入口までの間の圧縮空気通路11eと、アンモニア分解装置50とを接続する。よって、この抽気空気ライン85には、空気圧縮機11aで生成された圧縮空気の一部である抽気空気BAが流れる。なお、空気圧縮機11aで生成された圧縮空気の残りは、圧縮空気通路11eを介して燃焼器11bに送られる。抽気空気冷却器86は、この抽気空気ライン85に設けられ、この抽気空気ライン85を流れる抽気空気BAを冷却する。抽気空気昇圧機87は、抽気空気ライン85中で抽気空気冷却器86よりもアンモニア分解装置50側に位置に設けられている。この抽気空気昇圧機87は、抽気空気冷却器86により冷却された抽気空気BAを昇圧する。
抽気空気冷却器86は、抽気空気BAと冷却媒体とを熱交換させ、抽気空気BAを冷却する一方で、冷却媒体を加熱する熱交換器である。この抽気空気冷却器86の冷却媒体入口には、冷却媒体ライン88iの一端が接続されている。この冷却媒体ライン88iの他端は、排熱回収ボイラ20の熱水ライン49中で、高圧ポンプ27よりも高圧蒸気発生系26側の位置に接続されている。よって、抽気空気冷却器86には、低圧蒸気発生系22の節炭器22aからの熱水の一部が、冷却媒体として供給される。抽気空気冷却器86の冷却媒体出口には、冷却媒体回収ライン88oの一端が接続されている。この冷却媒体回収ライン88oの他端は、高圧蒸気発生系26の節炭器に接続されている。よって、高圧蒸気発生系26の節炭器には、抽気空気BAとの熱交換で加熱された冷却媒体である熱水が流入する。なお、この高圧蒸気発生系26の節炭器には、熱水ライン49を介して、低圧蒸気発生系22の節炭器22aからの熱水も流入する。
アンモニア分解装置50は、抽気空気ライン85からの抽気空気BAを酸化剤として、アンモニア供給ライン81からのアンモニアの一部を燃焼させて、このときの熱でアンモニアを自己熱分解させて、水素と窒素とを含む処理済みガスPGを生成する。
処理済みガス供給ライン82の一端は、アンモニア分解装置50に接続されている。この処理済みガス供給ライン82には、アンモニア分解装置50で生成された処理済みガスPGが流れる。この処理済みガス供給ライン82の他端には、前述の燃料バッファ89が設けられている。この燃料バッファ89には、さらに、起動時燃料ライン16が接続されている。起動時燃料ライン16には、起動時燃料SFが流れる。起動時燃料SFとしては、例えば、水素や天然ガス等である。燃料バッファ89には、さらに、前述の燃料ライン12が接続されている。燃料バッファ89は、起動時燃料ライン16からの起動時燃料SFと、処理済みガス供給ライン82からの処理済みガスPGとを一時的に滞留させるためのバッファである。この燃料バッファ89は、起動時燃料SFから処理済みガスPGへの燃料切替時における燃焼器11bへの燃料供給の安定性を確保するために、起動時燃料ライン16と処理済みガス供給ライン82との合流部に設けられている。
アンモニア分解装置50は、アンモニア自己熱分解装置51と、アンモニア除去装置61とを有する。アンモニア自己熱分解装置51は、抽気空気昇圧機87で昇圧された抽気空気BAを酸化剤として、アンモニア昇圧機80で昇圧されたアンモニアの一部を燃焼させて、このときの熱でアンモニアを自己熱分解させて、水素と窒素と残留アンモニアとを含む分解ガスDGを生成する。アンモニア除去装置61は、アンモニア自己熱分解装置51からの分解ガスDG中に含まれる残留アンモニアを除去する。前述の処理済みガスPGは、分解ガスDGから残留アンモニアが除去されたガスである。
アンモニア自己熱分解装置51は、図2に示すように、第一アンモニア加熱器52aと、第二アンモニア加熱器52bと、アンモニア自己熱分解器53と、分解ガスライン54と、を有する。前述のアンモニア供給ライン81は、このアンモニア自己熱分解器53に接続されている。
第一アンモニア加熱器52aは、アンモニア供給ライン81中でアンモニア昇圧機80よりもアンモニア自己熱分解器53側の位置に設けられている。この第一アンモニア加熱器52aは、アンモニア昇圧機80で昇圧された液体アンモニアと、分解ガスDGとを熱交換させる熱交換器である。第一アンモニア加熱器52aは、液体アンモニアと分解ガスDGとの熱交換により、液体アンモニアを加熱して、この液体アンモニアを気相のアンモニアにする。第二アンモニア加熱器52bは、アンモニア供給ライン81中で第一アンモニア加熱器52aよりもアンモニア自己熱分解器53側の位置に設けられている。この第二アンモニア加熱器52bは、第一アンモニア加熱器52aからの気相のアンモニアと分解ガスDGとの熱交換により、気相のアンモニアをさらに加熱する。
アンモニア自己熱分解器53は、抽気空気ライン85からの抽気空気BAを酸化剤として、アンモニア供給ライン81からの気相のアンモニアの一部を燃焼させて、このときの熱でアンモニアを自己熱分解させて、水素と窒素と残留アンモニアとを含む分解ガスDGを生成する。このアンモニア自己熱分解器53内には、アンモニアの酸化(燃焼)及びアンモニアの熱分解を促進するための触媒が充填されている。触媒は、酸化(燃焼)反応や分解反応を活性化させる触媒成分と、触媒成分を担持する担体と、を有する。酸化(燃焼)反応を活性化する触媒成分としては、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属の粒子がある。また、分解反応を活性化する触媒成分としては、例えば、Ru等の貴金属の粒子、Ni、Co、Fe等の遷移金属を含む金属粒子がある。担体としては、Al、ZrO、Pr、La、MgO等の酸化金属がある。なお、触媒は、アンモニアの酸化(燃焼)反応や分解反応を活性化させるものであれば、以上で例示した触媒に限定されない。
アンモニア自己熱分解器53には、アンモニア自己熱分解器53内で発生した分解ガスDGをアンモニア除去装置61に導く分解ガスライン54が接続されている。この分解ガスライン54は、第一ライン54a、第二ライン54b、第三ライン54c、第四ライン54dを有する。第一ライン54aの一端は、アンモニア自己熱分解器53の分解ガス出口に接続され、この第一ライン54aの他端は、第二アンモニア加熱器52bの熱媒体入口に接続されている。第二ライン54bの一端は、第二アンモニア加熱器52bの熱媒体出口に接続され、この第二ライン54bの他端は、後述のアンモニア除去装置61における水加熱器77の熱媒体入口に接続されている。第三ライン54cの一端は、アンモニア除去装置61における水加熱器77の熱媒体出口に接続され、この第三ライン54cの他端は、第一アンモニア加熱器52aの熱媒体入口に接続されている。第四ライン54dの一端は、第一アンモニア加熱器52aの熱媒体出口に接続され、この第四ライン54dの他端は、アンモニア除去装置61に接続されている。よって、アンモニア自己熱分解器53内で発生した分解ガスDGは、第一ライン54a、第二アンモニア加熱器52b、第二ライン54b、アンモニア除去装置61における水加熱器77、第三ライン54c、第一アンモニア加熱器52a、第四ライン54dを介して、アンモニア除去装置61に導かれる。前述した第二アンモニア加熱器52bにおいて、アンモニアと熱交換する分解ガスDGは、アンモニア自己熱分解器53から第一ライン54aを介して、第二アンモニア加熱器52bに流入した分解ガスDGである。また、前述した第一アンモニア加熱器52aにおいて、アンモニアと熱交換する分解ガスDGは、アンモニア除去装置61における水加熱器77から第三ライン54cを介して、第一アンモニア加熱器52aに流入した分解ガスDGである。
アンモニア除去装置61は、図2に示すように、アンモニア吸収器62と、アンモニア分離器72と、を有する。
アンモニア吸収器62は、分解ガス冷却器63と、吸収塔64と、水ライン65と、水供給ポンプ66と、水冷却器67と、を有する。前述の分解ガスライン54における第四ライン54dの他端は、吸収塔64に接続されている。分解ガス冷却器63は、分解ガスライン54の第四ライン54dに設けられている。この分解ガス冷却器63は、第二アンモニア加熱器52b及び第一アンモニア加熱器52a内でのアンモニアとの熱交換で冷却された分解ガスDGをさらに冷却する。吸収塔64は、吸収塔容器64vと、充填物64pと、を有する。充填物64pは、吸収塔容器64v内の上下方向における中間流域に配置されている。分解ガスライン54の第四ライン54dは、この吸収塔容器64v中で中間領域よりも下側に接続されている。水ライン65は、吸収塔容器64v中で中間領域よりも上側に接続されている。この水ライン65には、この水ライン65中を流れる水を昇圧する水供給ポンプ66と、この水ライン65中を流れる水を冷却する水冷却器67とが設けられている。吸収塔容器64vの頂部には、前述の処理済みガス供給ライン82の一端が接続されている。よって、処理済みガス供給ライン82は、吸収塔64と燃料バッファ89とを接続する。
吸収塔容器64v内には、この吸収塔容器64vの中間領域よりも下側から、分解ガス冷却器63で冷却された分解ガスDGが流入する。さらに、この吸収塔容器64v内には、この吸収塔容器64vの中間領域よりも上側から、水冷却器67で冷却された水が散布される。吸収塔容器64v内に流入した分解ガスDGは、吸収塔容器64v内を上昇する。一方、吸収塔容器64v内に散布された水は、この吸収塔容器64v内を下降する。水は、吸収塔容器64v内を下降する過程で、充填物64pに接する。充填物64pに接した水は、充填物64pの表面を覆う水膜を形成する。分解ガスDGは、吸収塔容器64v内を上昇する過程で、充填物64pの表面を覆う水膜に接する。この過程で、分解ガスDG中に含まれている残留アンモニアは、水に溶解する。残留アンモニアが溶解した水であるアンモニア水は、吸収塔容器64vの下部に溜まる。残留アンモニアが除去された分解ガスDGである処理済みガスPGは、吸収塔容器64v内を上昇して、処理済みガス供給ライン82に流入する。
アンモニア分離器72は、アンモニア水ライン73と、アンモニア水加熱器74と、分離塔75と、水循環ライン76と、水加熱器77と、凝縮器78と、を有する。アンモニア水ライン73の一端は、吸収塔容器64vの底部に接続されている。分離塔75は、分離塔容器75vと、多孔板タイプの棚段75pと、を有する。棚段75pを構成する複数の段は、分離塔容器75v内の上下方向における中間流域に、上下方向に並んで配置されている。前述のアンモニア水ライン73の他端は、棚段75pを構成する複数の段のうち、中間の段に接続されている。水循環ライン76の一端は、分離塔容器75vの底部に接続され、水循環ライン76の他端は、分離塔容器75v中で底部より上側で中間領域よりも下側に接続されている。水加熱器77は、この水循環ライン76に設けられている。この水加熱器77は、水循環ライン76を流れる水と、分解ガスライン54の第二ライン54bから流入した分解ガスDGとを熱交換させる熱交換器である。水加熱器77は、水と分解ガスDGとを熱交換させ、水を加熱して水蒸気にする一方で、分解ガスDGを冷却する。この水蒸気は、水循環ライン76を経て、分離塔容器75v内に流入する。一方、分解ガスDGは、前述したように、水加熱器77から、分解ガスライン54の第三ライン54cを介して第一アンモニア加熱器52aに流入する。
分離塔容器75v内には、この分離塔容器75vの中間領域よりも下側から、水蒸気が流入する。さらに、この分離塔容器75v内には、棚段75pにおける中間の段から、アンモニア水ライン73からのアンモニア水が散布される。分離塔容器75v内に流入した水蒸気は、分離塔容器75v内を上昇する。棚段75pにおける中間の段に散布されたアンモニア水は、棚段75pのそれぞれの段に液層を形成しつつ、徐々に下の段に流下する。水蒸気は、棚段75pのそれぞれの段に設けられた多数の孔を経由して、アンモニア水と気液接触しながら上昇し、アンモニア水を加熱する。水よりも蒸発し易いアンモニアは、気相の水である水蒸気により加熱されて液相から気相に移行し、水は気相から液相に移行する。気相のアンモニアは、分離塔75内を上昇する。また、液相の水、より正確には、アンモニア濃度の低い水は、分離塔容器75vの下部に溜まる。この水の一部は、水循環ライン76及び水加熱器77を経て、水蒸気として、再び、分離塔容器75v内に流入する。
水循環ライン76には、アンモニア吸収器62の水ライン65が接続されている。よって、分離塔容器75vの下部に溜まった水の一部は、水循環ライン76を経て、再び、分離塔容器75v内に戻り、分離塔容器75vの下部に溜まった水の他の一部は、水循環ライン76及び水ライン65を経て、吸収塔64内に流入する。
アンモニア水加熱器74は、アンモニア水ライン73に設けられている。このアンモニア水加熱器74は、アンモニア水ライン73を流れるアンモニア水と水ライン65を流れる水とを熱交換させる熱交換器である。アンモニア水加熱器74は、アンモニア水と水との熱交換でアンモニア水を加熱する。加熱されたアンモニア水は、前述したように分離塔容器75v内に散布される。一方、アンモニア水との熱交換で冷却された水は、水ライン65、水供給ポンプ66、及び水冷却器67を経て、吸収塔容器64v内に散布される。
アンモニア分解設備Xは、図2に示すように、さらに、アンモニア回収ライン83と、アンモニア圧縮機84と、を備える。
アンモニア回収ライン83の一端は、分離塔容器75vの頂部に接続され、アンモニア回収ライン83の他端は、アンモニア供給ライン81中で第一アンモニア加熱器52aと第二アンモニア加熱器52bとの間の位置に接続されている。アンモニア圧縮機84は、アンモニア回収ライン83を流れる気相のアンモニアを昇圧する。アンモニア圧縮機84で昇圧された気相のアンモニアは、アンモニア供給ライン81を流れる気相のアンモニアと合流した後、第二アンモニア加熱器52bを経てから、アンモニア自己熱分解器53に流入する。凝縮器78は、アンモニア回収ライン83に設けられている。この凝縮器78は、アンモニア回収ライン83を流れる気相のアンモニアを含むガスを冷却して、このガス中の水分及びアンモニアを凝縮させる。凝縮器78で凝縮した水は、水回収ライン79を経て、分離塔容器75v内の棚段75pより上の空間に戻る。棚段75pの段数は、この高濃度のアンモニア水が、所望の濃度の微量のアンモニア水になるために必要な段数で計画する。なお、アンモニア水ライン73から供給されるアンモニア水の濃度は、凝縮器78から排出される高濃度のアンモニア水よりも濃度が低い。そのため、アンモニア水ライン73から供給されるアンモニア水の分離に必要な棚段の段数は、凝縮器78からの高濃度のアンモニア水から計画した段数よりも少なくなる。そこで、アンモニア水ライン73から供給されるアンモニア水の接続先は、棚段75pを構成する複数の段のうち、中間の段とした。
次に、以上で説明したガスタービンプラントの動作及び作用について説明する。
ガスタービン11の起動時には、起動時燃料ライン16及び燃料ライン12を経て、燃焼器11bに起動時燃料SFが供給される。ガスタービン11の空気圧縮機11aは、前述したように、空気を圧縮して圧縮空気を生成する。燃焼器11bは、この圧縮空気中で起動時燃料SFを燃焼させて燃焼ガスを生成する。この燃焼ガスはタービン11cに供給されて、このタービン11cを駆動する。タービン11cを駆動した燃焼ガスである排気ガスEGは、排熱回収ボイラ20のボイラ枠21内に流入する。
排熱回収ボイラ20の各蒸気発生系22,23,26では、ボイラ枠21内を流れる排気ガスEGと水とを熱交換させて、液相の水を水蒸気にする。低圧蒸気発生系22の節炭器22aからの熱水の一部は、高圧ポンプ27で昇圧された後、高圧蒸気発生系26に送られる。この熱水の温度は、例えば、150℃である。高圧蒸気発生系26に送られた熱水は、排気ガスEGとの熱交換で高圧蒸気HSになる。この高圧蒸気HSは、例えば、約620℃の過熱蒸気である。この高圧蒸気HSは、高圧蒸気ライン44を介して、高圧蒸気タービン33に供給される。高圧蒸気タービン33は、この高圧蒸気HSにより駆動する。
低圧蒸気発生系22の節炭器22aからの熱水の一部は、中圧ポンプ24で昇圧された後、中圧蒸気発生系23に送られる。中圧蒸気発生系23に送られた熱水は、排気ガスEGとの熱交換で中圧蒸気ISになる。この中圧蒸気ISは、例えば、300℃の過熱蒸気である。この中圧蒸気ISは、中圧蒸気ライン42を介して再熱蒸気系25に流入する。また、高圧蒸気タービン33から排気された蒸気は、高圧排気蒸気ライン46を介して再熱蒸気系25に流入する。すなわち、再熱蒸気系25には、中圧蒸気発生系23からの中圧蒸気ISと、高圧蒸気タービン33から排気された蒸気とが流入する。再熱蒸気系25では、この再熱蒸気系25に流入した蒸気を排気ガスEGとの熱交換で過熱して再熱蒸気RSにする。この再熱蒸気RSは、再熱蒸気ライン43を介して、中圧蒸気タービン32に供給される。中圧蒸気タービン32は、この中圧蒸気タービン32に供給された再熱蒸気RSにより駆動する。
低圧蒸気発生系22の節炭器22aからの熱水の一部は、この低圧蒸気発生系22の蒸発器22bで、排気ガスEGにより加熱されて蒸気になる。この蒸気は、この低圧蒸気発生系22の過熱器22cで、排気ガスEGにより過熱された低圧蒸気LSになる。この低圧蒸気LSは、例えば、250℃の過熱蒸気である。この低圧蒸気LSは、低圧蒸気ライン41を介して低圧蒸気タービン31に供給される。また、中圧蒸気タービン32から排気された蒸気は、中圧排気蒸気ライン45を介して低圧蒸気タービン31に供給される。すなわち、低圧蒸気タービン31には、低圧蒸気発生系22からの低圧蒸気LSと、中圧蒸気タービン32から排気された蒸気とが供給される。低圧蒸気タービン31は、この低圧蒸気タービン31に供給された蒸気により駆動する。
低圧蒸気タービン31から排気された蒸気は、復水器35で水に戻される。復水器35内の水は、給水ライン47を介して、低圧蒸気発生系22の節炭器22aに送られる。
ガスタービン11が例えば定常運転になると、アンモニアタンクT内の液体アンモニア及びガスタービン11からの抽気空気BAがアンモニア自己熱分解装置51に供給されるようになる。以下、図3に示すフローチャートに従って、アンモニア分解設備Xによるアンモニア分解の手順について説明する。
液体アンモニアは、沸点である−33.4℃以下の温度に冷却された状態で、且つほぼ大気圧の状態でアンモニアタンクT内に溜蔵されている。このアンモニアタンクT内の液体アンモニアは、アンモニア昇圧機80により、例えば、5.2MPa(絶対圧)程度まで昇圧されてから、アンモニア分解装置50に供給される(S1:アンモニア供給工程)。アンモニアの昇圧後の圧力は、液体アンモニアが処理済みガスPGになり、この処理済みガスPGが燃焼器11bに流入するまでの経路中の配管や各種機器での圧力損失を考慮して決定した圧力であり、処理済みガスPGをブーストアップしなくても、圧縮空気が流入している燃焼器11b内に処理済みガスPGを供給できる圧力である。このため、この圧力(約5.2MPa)は、燃焼器11b内の圧力より高い圧力である。なお、燃焼器11bに供給される圧縮空気の圧力は、例えば、約2.5MPaであり、この圧縮空気の温度は、例えば、約500℃である。
以上のアンモニア供給工程(S1)と並行して、抽気空気供給工程(S2)が実行される。この抽気空気供給工程(S2)では、ガスタービン11の空気圧縮機11aで生成された圧縮空気の一部が抽気空気BAとして、抽気空気ライン85を介して、アンモニア分解装置50のアンモニア自己熱分解器53に供給される。空気圧縮機11aからの抽気空気BAは、例えば、500℃である。この抽気空気BAは、抽気空気ライン85を経て、抽気空気冷却器86に流入する。この抽気空気冷却器86には、抽気空気BAの他に、排熱回収ボイラにおける低圧蒸気発生器22の節炭器22aからの熱水が冷却媒体ライン88iを介して流入する。この熱水の温度は、約150℃である。この抽気空気冷却器86では、抽気空気BAと冷却媒体である熱水とが熱交換され、抽気空気BAが例えば約160℃にまで冷却される。その後、抽気空気BAは図示しない冷却器により例えば約35℃まで冷却される。この、約35℃まで冷却された抽気空気BAは、抽気空気昇圧機87で、例えば、約5.2MPaにまで昇圧されてから、アンモニア分解装置50のアンモニア自己熱分解器53に供給される。このように、抽気空気BAは、抽気空気冷却器86及び図示しない冷却器により約500℃から約35℃にまで冷却されてから、抽気空気昇圧機87に流入する。このため、抽気空気昇圧機87に流入する抽気空気BAの体積が小さくなり、抽気空気昇圧機87に必要な駆動力を小さくすることができる。抽気空気BAの昇圧後の圧力は、このガスの一部を含む処理済みガスPGが燃焼器11bに流入するまでの経路中の配管や各種機器での圧力損失を考慮して決定した圧力であり、処理済みガスPGをブーストアップしなくても、圧縮空気が流入している燃焼器11b内に処理済みガスPGを供給できる圧力である。このため、この圧力(約5.2MPa)は、燃焼器11b内の圧力(例えば、約2.5MPa)より高い圧力である。
また、抽気空気冷却器86では、抽気空気BAとの熱交換で約150℃の熱水が例えば約330℃にまで加熱される。抽気空気冷却器86で加熱された熱水は、冷却媒体回収ライン88oを経て、排熱回収ボイラ20における高圧蒸気発生系26の節炭器に流入する。高圧蒸気発生系26の節炭器には、抽気空気冷却器86からの例えば約330℃の熱水の他に、低圧蒸気発生系22の節炭器22aからの例えば約150℃の熱水も流入する。これらの熱水は、高圧蒸気発生系26の蒸発器で加熱されて蒸気になった後、高圧蒸気発生系26の過熱器でさらに過熱されて高圧蒸気HSになる。このように、高圧蒸気発生系26の節炭器には、低圧蒸気発生系22の節炭器22aからの熱水の他に、この熱水より温度が高い熱水も流入する。このため、高圧蒸気発生系26で熱水を排気ガスにより加熱し、この熱水を高圧蒸気HSにするための熱量を抑えることができる。すなわち、高圧蒸気発生系26で消費する排気ガスの熱量を少なくすることができる。よって、排熱回収ボイラ20における高圧蒸気発生系26よりも下流で、排気ガスEGの熱を有効利用することができる。
アンモニア分解装置50では、抽気空気ライン85からの抽気空気BAを酸化剤として、アンモニア供給ラインからのアンモニアの一部を燃焼させて、この熱でアンモニアを自己熱分解させて、水素と窒素とを含む処理済みガスPGを生成する(S3:アンモニア分解工程)。
アンモニア分解工程(S3)では、アンモニア自己熱分解工程(S4)及びアンモニア除去工程(S7)が実行される。アンモニア自己熱分解工程(S4)では、抽気空気ライン85からの抽気空気BAを酸化剤として、アンモニア供給ライン81からのアンモニアの一部を燃焼させて、この熱でアンモニアを自己熱分解させて、水素と窒素と残留アンモニアとを含む分解ガスDGを生成する。このアンモニア自己熱分解工程(S4)では、アンモニア予熱工程(S5)及びアンモニア自己熱分解実行工程(S6)が実行される。
アンモニア予熱工程(S3)では、第一アンモニア加熱器52a及び第二アンモニア加熱器52bで、アンモニアと分解ガスDGとが熱交換され、アンモニアが加熱される一方で、分解ガスDGが冷却される。アンモニア昇圧機80により約5.2MPsに昇圧された液体アンモニアは、アンモニア自己熱分解装置51の第一アンモニア加熱器52aに流入する。第一アンモニア加熱器52aでは、液体アンモニアと分解ガスDGとが熱交換され、液体アンモニアが約170℃にまで加熱される。液体アンモニアは、アンモニア昇圧機80により昇圧された圧力環境下で、90℃以上になると、蒸発して気体アンモニアになる。このため、第一アンモニア加熱器52aからは、約170℃の気体アンモニアが流出する。第一アンモニア加熱器52aからの気体アンモニアは、第二アンモニア加熱器52bに流入する。この第二アンモニア加熱器52bでは、気体アンモニアと分解ガスDGとが熱交換され、気体アンモニアが約400℃まで加熱される。この気体アンモニアは、アンモニア自己熱分解器53に流入する。
アンモニア自己熱分解実行工程(S6)は、アンモニア自己熱分解器53内で実行される。アンモニア自己熱分解器53には、前述したように、約5.2MPaの気体アンモニアと約5.2MPaの抽気空気BAとが流入する。このアンモニア自己熱分解器53内では、以下の式(1)及び式(2)に示すように、触媒の作用により、まず、気体アンモニア等の一部が酸化(燃焼)反応し、反応熱を放出する。残っている一部の気体アンモニアは、この反応熱より約600℃にまで加熱されて、式(3)に示すように、熱分解して、約600℃の水素と約600℃の窒素に分解される。これら水素と窒素とは、熱分解しなかった気体アンモニア(残留アンモニア)と共にアンモニア自己熱分解器53から、約600℃の分解ガスDGとして流出する。
NH+3/4O→1/2N+3/2HO+317kJ/mol (1)
+1/2O→HO+242kJ/mol (2)
NH→1/2N+3/2H−46kJ/mol (3)
気体アンモニアは、式(3)に示すように、反応後のモル数が増加する反応であるため、圧力が低い方が促進される。言い換えると、この熱分解反応は、圧力が高いと抑制される。また、この熱分解反応は、吸熱反応であることから、高温の方が促進される。また、式(3)の左辺のNHの発熱量は、317kJであり、同式の右辺の3/2Hの発熱量は363kJである。よって、式(3)の熱分解反応により、燃料の発熱量が46kJ増加することになる。しかし、この反応を起こすにはアンモニア1mol当たり46kJの反応熱が必要であり、その反応熱は、式(1)及び式(2)に示す酸化反応で生じる反応熱で補われる。よって、アンモニアの自己熱分解反応においては、システム全体の熱効率は基本的に変化しない。
ここで、各種条件下での気体アンモニアの熱分解反応後に残る残留アンモニア濃度について、図4に示すグラフを参照して説明する。なお、このグラフ中で横軸は熱分解反応環境の温度(Temperature[deg-C])であり、縦軸は残留アンモニア濃度(Concentration of Ammonia[%])である。このグラフは、熱分解反応環境の温度と圧力を変化させて、熱分解反応の平衡係数を用いて各温度及び各圧力に応じた濃度を試算した結果である。本実施形態における熱分解反応環境の温度は600℃であり、この熱分解反応環境の圧力は5.2MPaである。よって、本実施形態では、熱分解反応後の残留アンモニア濃度は約4%になる。ただし、図4に示すグラフは、原料ガスとしてアンモニアだけが存在する場合に、アンモニアの熱分解反応後に残る残留アンモニア濃度を示すグラフである。一方、本実施形態では、アンモニアの一部を酸化させるために、アンモニア自己熱分解器53に抽気空気BAを流入させている上に、式(1)及び式(2)での酸化反応により窒素と水蒸気が生成するため、アンモニア自己熱分解器53出口でのガス組成は、つまり、アンモニア自己熱分解器53から流出する分解ガスDGのガス組成は、水素が約48mol%、窒素が約39mol%、水が約10mol%、残留アンモニアが約3mol%になる。以上でアンモニア自己熱分解工程(S3)が終了する。
なお、アンモニア自己熱分解器53から流出した約600℃の分解ガスDGは、前述したように、分解ガスライン54の第一ライン54aを介して、第二アンモニア加熱器52bに流入し、ここで約170℃の気体アンモニアとの熱交換により約350℃にまで冷却される。この分解ガスDGは、分解ガスライン54の第二ライン54bを介して、水加熱器77に流入し、ここで水との熱交換によりさらに約200℃にまで冷却される。この分解ガスDGは、分解ガスライン54の第三ライン54cを介して、第一アンモニア加熱器52aに流入し、ここで液体アンモニアとの熱交換により50℃にまで冷却される。
アンモニア自己熱分解工程(S4)が終了すると、このアンモニア自己熱分解工程(S4)で得られた分解ガスDGから残留アンモニアを除去するアンモニア除去工程(S7)が実行される。アンモニア除去工程(S7)では、アンモニア吸収工程(S8)とアンモニア分離工程(S12)とが実行される。
アンモニア吸収工程(S8)では、まず、分解ガスライン54の第四ライン54dを流れる約50℃の分解ガスDGが、アンモニア吸収器62の分解ガス冷却器63により冷却されて、約30℃になる(S7:分解ガスDG冷却工程)。この分解ガスDGは、アンモニア吸収器62の吸収塔64に流入する。この吸収塔64内には、水冷却器67で冷却された約30℃の水が散布される。吸収塔64内では、前述したように、分解ガスDGと水とが接触し、分解ガスDG中の残留アンモニアが水に溶解する。残留アンモニアが溶解した水であるアンモニア水は、吸収塔容器64vの下部に溜まる(S10:アンモニア吸収実行工程)。このアンモニア水中のアンモニア濃度は、約7mol%である。気相のアンモニアが水に溶解する濃度は、気液平衡定数により定まる。この気相のアンモニアが水に溶解する濃度は、低温の方が高くなる。このため、吸収塔64内に流入する分解ガスDGの温度及び水の温度を約30℃にしている。
以上で、アンモニア吸収工程(S8)が終了する。
残留アンモニアが除去された分解ガスDGである処理済みガスPGは、吸収塔容器64v内を上昇して、処理済みガス供給ライン82に流入する。本実施形態では、吸収塔64内に散布する水の質量流量を、吸収塔64内に流入する分解ガスDGの質量流量の1/3程度にすることで、処理済みガスPG中に含まれる残留アンモニアの濃度を約0.02mol%以下にしている。よって、本実施形態における処理済みガスPGのガス組成は、水素が約55mol%、窒素が約45mol%、残留アンモニアが約0.02mol%以下になる。
ガスタービン11の起動時には、アンモニア自己熱分解器53および内部の流体の温度が低く、アンモニアの分解反応が起こりにくい条件であり、アンモニア自己熱分解器53から発生する分解ガスDGの組成の大部分は残留アンモニア成分となる。残留アンモニア成分は吸収塔64で除去されるため、処理済みガス供給ライン82からガスタービン11に供給される処理済みガスPGの流量は計画値よりも少ない状態となる。ガスタービン11の起動開始後に時間が経過して、排熱回収ボイラ20から所定の量の第一熱媒体M1がアンモニア自己熱分解器53に供給されると、アンモニア自己熱分解器53および内部の流体の温度が計画値に到達し、アンモニアの分解反応が促進される。その結果として、分解ガスDGの組成の大部分は水素及び窒素となり、吸収塔64から十分な流量の処理済みガスPGが生成される。この過程に伴い、燃焼器11bに供給される燃料は、起動時燃料SFから処理済みガスPGに徐々に切り替えられる。すなわち、この処理済みガスPGが十分に生成されるようになると、起動時燃料SFの燃焼器11bへの供給が停止し、処理済みガスPGが処理済みガス供給ライン82及び燃料ライン12を経て、燃焼器11bへ供給されるようになる(S11:処理済みガス供給工程)。燃焼器11bに供給された処理済みガスPGは、燃焼器11b内で燃焼する。この燃焼の結果生成された燃焼ガスの温度は、1650℃級である。この燃焼ガスは、タービン11cに流入して、タービン11cを駆動させる。
タービン11cから排気された排気ガスEGは、排熱回収ボイラ20に流入する。排熱回収ボイラ20の低圧蒸気発生系22では、前述と同様、排気ガスEGにより水を加熱して低圧蒸気LSを生成する。この低圧蒸気LSは、約250℃の過熱蒸気である。排熱回収ボイラ20の中圧蒸気発生系23では、前述と同様、排気ガスEGにより水を加熱して中圧蒸気ISを生成する。この中圧蒸気ISは、約300℃の過熱蒸気である。排熱回収ボイラ20の高圧蒸気発生系26では、前述と同様、排気ガスEGにより水を加熱して高圧蒸気HSを生成する。この高圧蒸気HSは、約620℃の過熱蒸気である。
ここで、燃料中に含まれる残留アンモニア濃度と、ガスタービン11から排気される排気ガスEG中のNOx濃度との関係について、図5に示すグラフを参照して説明する。なお、このグラフ中で横軸は残留アンモニア濃度(Concentration of Ammonia[%])で、縦軸は、排気ガスEG中のNOx濃度の予測値(NOx Prediction [ppm@15%O2])ある。このNOx濃度の予測値は、発明者が、CHEMKINのPREMIXコードにより1次元層流予混合火炎をモデル化して計算して得た値である。なお、CHEMKINは、計算プログラムである。このCHEMKINに関しては、以下の資料に詳細に解説されている。
資料: R. J. Kee, F. M. Rupley, and J. A. Miller, Chemkin-II: A Fortran Chemical Kinetics Package for the Analysis of Gas-Phase Chemical Kinetics, Sandia Report, SAND89-8009B (1995)
本実施形態では、燃料中の残留アンモニア濃度が0.02mol%以下であることから、図5に示すグラフから、ガスタービン11出口でのNOx濃度は約60ppm以下と予測できる。よって、本実施形態のガスタービンプラントにおいて、排熱回収ボイラ20の内部又は外部に脱硝装置を設置することにより、スタック29の出口でのNOx濃度をさらに低い所望の濃度に抑制することができ、世界中の多くの地域の窒素酸化物濃度規制に適合させることが可能となる。
アンモニア吸収工程(S8)が終了すると、アンモニア吸収工程(S8)で生成されたアンモニア水からアンモニアを分離する前述のアンモニア分離工程(S12)が実行される。
アンモニア分離工程(S12)では、まず、吸収塔容器64vの下部に溜まっていた約30℃のアンモニア水がアンモニア水加熱器74に流入する。このアンモニア水加熱器74では、約30℃のアンモニア水が、約190℃の水との熱交換により、約170℃にまで加熱される(S13:アンモニア水加熱工程)。
約170℃にまで加熱されたアンモニア水は、分離塔75内に流入する。この分離塔75は、水蒸気を用いて、アンモニア水からアンモニアを分離蒸留するために設けられた機器である。このため、水の飽和温度を下げるために、分離塔容器75v内の運転圧力を約1.4MPaにしている。吸収塔容器64v内の運転圧力は前述したように約5.2MPaである。吸収塔容器64v内の圧力と分離塔容器75v内の圧力との圧力差を駆動力として、吸収塔容器64v内のアンモニア水は、アンモニア水ライン73を経て、分離塔容器75v内に流入する。分離塔容器75v内には、さらに、約250℃の水蒸気が分離塔容器75vの下部から流入する。前述したように、吸収塔64内に散布する水の質量流量は、吸収塔64内に流入する分解ガスDGの質量流量の1/3程度であるため、分離塔75内に流入するアンモニア水の質量流量も、吸収塔64内に流入する分解ガスDGの質量流量の1/3程度になる。この質量流量のアンモニア水からアンモニアを蒸留分離するために必要な水蒸気の質量流量は、アンモニア水の質量流量の30%程度となる。
アンモニア水は、分離塔容器75v内で、前述したように、水蒸気により加熱されて、アンモニア水中のアンモニアが液相から気相に移行し、分離塔容器75v内を上昇する(S14:アンモニア分離実行工程)。一方、水蒸気は、液相の水に移行し、分離塔容器75vの下部に溜まる。この水の温度は、約190℃である。また、この水中のアンモニア濃度は、0.05mol%である。この水の一部は、水循環ライン76を経て水加熱器77に流入する。水加熱器77では、この水が、前述したように、分解ガスライン54の第二ライン54bから流入した約350℃の分解ガスDGと熱交換される。この水は、約350℃の分解ガスDGとの熱交換により、約250℃まで加熱されて、水蒸気になる(S15:水加熱工程)。この水蒸気は、水循環ライン76を経て、分離塔75に送られる。
分離塔容器75vの下部に溜まった約190℃の水の他の一部は、水ライン65を経てアンモニア水加熱器74に流入する。このアンモニア水加熱器74では、前述したように、この約190℃の水と、アンモニア水ライン73を流れてきた約30℃のアンモニア水とが熱交換される。この熱交換により、水は、約50℃にまで冷却される一方で、アンモニア水は、前述したように、170℃にまで加熱される。以上で、アンモニア分解工程(S12)が終了する。なお、アンモニア水加熱器74で冷却された約50℃の水は、水供給ポンプ66で昇圧されてから、水冷却器67に流入し、この水冷却器67で冷却されて約30℃になる。この30℃の水は、前述したように、吸収塔64内に散布される。
分離塔容器75v内の気相のアンモニアを含むガスは、分離塔容器75vの頂部に接続されているアンモニア回収ライン83を経て凝縮器78に流入する。凝縮器78では、このガスが冷却されて、このガスに含まれている水分及びアンモニアが凝縮して、高濃度のアンモニア水になる。この高濃度のアンモニア水は、水回収ライン79を経て、分離塔容器75v内の棚段75pより上の空間に戻る。この高濃度のアンモニア水は、棚段75pのそれぞれの段を流下し、下方の段から供給される水蒸気と気液接触して、アンモニアが優先的に蒸発する。その結果、水中のアンモニア濃度が次第に低下し、最下部の棚段を通過する時にはアンモニア濃度が0.05mol%以下の熱水となる。一方、凝縮器78により水分等が除かれたガス、つまり気相のアンモニア濃度の高いガスは、アンモニア回収ライン83中に設けられているアンモニア圧縮機84で昇圧されてから、アンモニア供給ライン81及び第二アンモニア加熱器52bを経て、アンモニア自己熱分解器53に流入する(S16:アンモニア回収工程)。以上のように、本実施形態では、アンモニア除去装置61で除去された残留アンモニアがアンモニア供給ライン81に戻るので、原料としてのアンモニア中で無駄になる量を最小限に抑えることができる。
以上で、アンモニア分解設備Xによるアンモニア分解の一連の処理が終了する。
アンモニアの熱分解に必要な熱として、ガスタービン11からの排気ガスEG、叉はこの排気ガスEGの熱で加熱された熱媒体を利用する場合、排気ガスEGや熱媒体をアンモニア分解器に導く設備や、この熱媒体を別途生成する排熱回収ボイラ等を新たに設計して、これを製造する必要がある。一方、本実施形態では、アンモニアの熱分解に必要な熱を、アンモニアの一部を燃焼させて得ている。すなわち、本実施形態では、アンモニアを自己熱分解させている。このため、本実施形態では、排気ガスEGや熱媒体をアンモニア分解器に導く設備や、この熱媒体を別途生成する排熱回収ボイラ等が不要になり、ガスタービンプラントの設備コストを抑えることができる。また、本実施形態では、既存のガスタービンコンバインドサイクルプラントにアンモニア分解設備Xを追加する改造工事を行う場合でも、このプラントに含まれる排熱回収ボイラ20をほとんど改造せずに利用できるため、改造コストを抑えることができる。
本実施形態では、アンモニアの分解で得られた水素を含む処理済みガスPGを燃焼器11bの主要な燃料にしている。このため、天然ガスのみを燃焼器11bの燃料にするプラントよりも、二酸化炭素の排出量を少なくすることができる。
本実施形態のアンモニア分解装置50は、アンモニアを自己熱分解させて、水素と窒素と残留アンモニアを含む分解ガスDGを生成するアンモニア自己熱分解装置51の他に、アンモニア自己熱分解装置51からの分解ガスDG中に含まれる残留アンモニアを除去するアンモニア除去装置61を備える。よって、本実施形態では、燃焼器11bに供給する燃料中の残留アンモニアを少なくすることができるため、燃料の燃焼で生成される排気ガスEG中に含まれるNOx濃度を抑えることができる。
アンモニアを自己熱分解させるための酸化剤として、酸素製造設備で製造した酸素を利用する方法が考えられる。一方、本実施形態では、アンモニアを自己熱分解させるための酸化剤として、ガスタービン11の空気圧縮機11aで生成された圧縮空気の一部である抽気空気BAを利用する。このため、本実施形態では、酸素製造設備が不要になり、この観点からも、ガスタービンプラントの設備コストを抑えることができる。
さらに、アンモニアを自己熱分解させるための酸化剤として、ガスタービン11の空気圧縮機11aで生成された圧縮空気の一部である抽気空気BAを利用することで、以下のようなメリットがある。このメリットについて、表1及び表2を用いて説明する。なお、表1は、本実施形態と同様、アンモニアを自己熱分解させるための酸化剤として、ガスタービン11の空気圧縮機11aで生成された圧縮空気の一部である抽気空気BAを利用した場合(自己熱分解方式)の各処理過程でのガス質量流量、ガス組成、ガス発熱量等を示す。また、表2は、アンモニアを外部からの熱で熱分解させる場合(外部加熱方式)の各処理過程でのガス質量流量、ガス組成、ガス発熱量等を示す。
Figure 2020147478
Figure 2020147478
表1に示すように、ガスタービン11の空気圧縮機11aから抽気した抽気空気BA(C)には、約21vol%の酸素と約79vol%の窒素が含まれている。ここでは、空気圧縮機11aで生成された圧縮空気のうち、質量流量で8.9%の圧縮空気を抽気空気BAにする。この抽気空気BAをアンモニアの酸化剤として利用した場合、式(1)及び式(2)を用いて前述したように、酸化反応により窒素と水蒸気が生成される。このため、アンモニア自己熱分解器53出口での分解ガスDG(D)の組成は、水素が約48mol%、窒素が約39mol%、水が約10mol%、残留アンモニア約3 mol%となり、その単位発熱量は124kJ/molになる。この分解ガスDGは、アンモニア吸収塔64で、湿分及び残留アンモニアの大部分が除去され、処理済みガスPG(F)となる。この処理済みガスPGの単位発熱量は、分解ガスDGの単位発熱量より若干増加して、133kJ/molになる。
表2に示すように、アンモニアを外部からの熱で熱分解させる場合、アンモニア自己熱分解器53出口での分解ガスDG(D)の組成は、水素が約72mol%、窒素が約24mol%、残留アンモニアが約4mol%となり、その単位発熱量は186kJ/molとなる。この分解ガスDGは、アンモニア吸収塔64で、湿分及び残留アンモニアの大部分が除去され、処理済みガスPG(F)となる。この処理済みガスPGの単位発熱量は、分解ガスDGの単位発熱量より増加して、181kJ/molになる。
よって、自己熱分解方式での処理済みガスPG(F)の単位発熱量は、外部加熱方式での処理済みガスPG(F)の単位発熱量の約0.73倍になる。
以上のように、自己熱分解方式では、ガスタービン11に投入する燃料の体積流量が増加する。ガスタービン11に投入する燃料の体積流量が増加すると、タービン11cのガスパスへ流入する作動流体の体積流量が多くなり、タービン11c側のガスパスの圧力損失が増大する。このため、タービン11cの圧力比が高くなり、ガスタービン11の空気圧縮機11aでサージ等の異常事象が発生するリスクが高くなる。このような空気圧縮機11aでのサージ等の異常事象を避けるためには、燃焼器11bにおける燃焼ガス温度を下げる必要がある。しかしながら、燃焼ガス温度を下げると、ガスタービン11およびガスタービンコンバインドサイクルとしての熱性能の低下に繋がる。
ところで、外部加熱方式の場合、表2に示すように、タービン11cに流入する作動流体の増加量は6.8%(吸気質量流量基準)になる。一方、本実施形態では、ガスタービン11の空気圧縮機11aで生成された圧縮空気の一部である抽気空気BAを酸化剤として用いることにより、表1に示すように、タービン11cに流入する作動流体の正味の増加量は5.9%(吸気質量流量基準)になる。また、自己熱分解方式において、ガスタービン11の圧縮空気以外の空気を酸化剤として用いた場合、タービン11cに流入する作動流体の増加量は、本実施形態よりも多くなることは自明である。よって、本実施形態では、タービン11cに流入する作動流体の増加量が外部加熱方式やガスタービン11の圧縮空気を用いない自己熱分解方式よりも少なくなる。このため、本実施形態では、外部加熱方式やガスタービン11の圧縮空気を用いない自己熱分解方式より、ガスタービン11の空気圧縮機11aでのサージ等の異常事象のリスクが軽減する。この結果、本実施形態では、ガスタービン11本来の燃焼ガス温度を維持することができ、ガスタービン11及びガスタービンコンバインドサイクルとしての熱性能を維持することができる。すなわち、本実施形態では、外部加熱方式やガスタービン11の圧縮空気を用いない自己熱分解方式よりも、ガスタービン11の空気圧縮機11aを流れる気体流量とガスタービン11のタービン11cを流れる気体流量とのマッチングがよくなり、熱性能が向上する。
本実施形態では、タービン11cに流入する作動流体の正味の増加量は5.9%(吸気質量流量基準)であることから、表3に示すように、燃焼器11bには一般的な天然ガスの場合の108%の発熱量に相当する燃料の投入が必要となる。一方、アンモニア分解装置50において、一旦600℃程度の高温にしたアンモニア分解ガスを、吸収塔64の動作のために約30℃まで冷却する熱損失、アンモニア分離器72の水加熱器77において蒸発させた水蒸気を分離塔75の内部で凝縮させる熱損失などがあり、分解前のアンモニアの発熱量に換算すると一般的な天然ガスの場合の115%の発熱量に相当するアンモニア燃料の投入が必要となる。アンモニア分解設備Xの作動に必要な動力を考慮した発電端出力は110%であることから、本実施形態におけるプラントの発電効率は、天然ガス焚きのガスタービンコンバインドサイクルプラントの発電効率の96%程度になる。1650℃級の天然ガス焚きの場合におけるガスタービンコンバインドサイクルプラントの発電端効率は、63%(LHV基準)以上であることから、本実施形態におけるプラントの発電端効率は60%(LHV基準)以上が可能となる。このように、水素のエネルギーキャリアの一つであるアンモニアを利用することにより、高効率かつ二酸化炭素の排出量を大幅に削減したプラントが提供可能となる。
Figure 2020147478
前述したように、アンモニアの熱分解は、低圧環境下の方が促進される。このため、低圧環境下でアンモニアを熱分解してから、分解後のガスを燃焼器11bに送るために昇圧機で昇圧する方法が考えられる。アンモニアの分解反応は、反応後のモル数が反応前のモル数の2倍になる反応である。燃料ガスを昇圧する昇圧機の流路断面積はガスの体積流量に略比例するため、分解後の分解ガスを昇圧するためには、分解前に昇圧する場合と比較して約2倍の流路断面積を持った大型の昇圧機(圧縮機)が必要となる。また、アンモニアガスの分解で得られた燃料ガスを昇圧する昇圧機の動力は、ガスの体積流量に略比例することから、分解前のアンモニアガスを昇圧する際の動力の約2倍となる。すなわち、この方法では、設備コスト及びランニングコストがかさむ。一方、本実施形態では、アンモニア自己熱分解装置51に供給する前の液体アンモニアを、アンモニア昇圧機(ポンプ)80で、燃焼器11b内の圧力より高い圧力にまで昇圧している上に、アンモニア分解装置50に供給する前の抽気空気BAを、抽気空気昇圧機87で、燃焼器11b内の圧力より高い圧力にまで昇圧している。このため、本実施形態では、アンモニアを分解した後のガスを昇圧してなくても、このガスを燃焼器11bに導くことができる。しかも、本実施形態では、大気よりも高圧な抽気空気BAを抽気空気昇圧機87で昇圧しているので、抽気空気昇圧機87の負担が小さい。よって、本実施形態では、以上の観点からも、設備コスト及びランニングコストを抑えることができる。
本実施形態では、アンモニアを加熱するための熱源、及び、アンモニア分離塔75からの水を加熱して水蒸気にするための熱源として、アンモニア分解設備X内で発生した分解ガスDGの熱を利用する。よって、本実施形態では、これらの熱源として、アンモニア分解設備X外の熱を利用する場合よりも、設備コスト及びランニングコストを抑えることができる。
「変形例」
本実施形態では、ガスタービンロータ11dと蒸気タービンロータ34とが連結されている。しかしながら、ガスタービンロータ11dと蒸気タービンロータ34とは連結されていなくてもよい。この場合、ガスタービンロータ11dと蒸気タービンロータ34とのそれぞれに発電機が連結されることになる。
本実施形態における蒸気タービン設備30は、流入蒸気の圧力が互いに異なる三種類の蒸気タービン31,32,33を有する。しかしながら、蒸気タービン設備は、蒸気タービンとして、一種類の蒸気タービンのみを有してもよい。この場合、排熱回収ボイラの蒸気発生系は、蒸気タービンを駆動させるための蒸気を発生する蒸気発生系として、一種類の蒸気発生系のみを有していればよい。
本実施形態では、分解ガスDG中からアンモニアを除く方法として、吸収塔64において、分解ガスDGと水とを接触させる方法を採用している。しかしながら、分解ガスDG中からアンモニアを除く方法として、圧力変動吸着法(PSA)を採用してもよい。圧力変動吸着法は、乾式であることが特徴である。但し、この方法は、吸脱着切り替え時の圧力変動に注意する必要がある。
本実施形態では、アンモニア分離器72における分離塔75の下部に溜まった水を、水加熱器77で、分解ガスDGとの熱交換で加熱する。しかしながら、この水と熱交換する熱媒体として、排熱回収ボイラ20で発生した蒸気を用いてもよい。この場合、例えば、中圧蒸気ISが流れる中圧蒸気ライン42、叉は、再熱蒸気RSが流れる再熱蒸気ライン43と、水加熱器77の熱媒体入口とを媒体ラインで接続し、中圧蒸気IS又は再熱蒸気RSを水と熱交換する熱媒体としてもよい。この場合、水蒸気の蒸発潜熱を利用すれば、比較的少ない流量の水蒸気で足りるため、水加熱器77の伝熱面積を小さくすることができる。但し、この場合、排熱回収ボイラ20からの蒸気の一部を利用するため、排熱回収ボイラ20からの蒸気で駆動する蒸気タービンの出力が低下して、プラント効率が低下する可能性がある。
本実施形態では、アンモニア分離器72における分離塔75の外部に水加熱器77が配置されている。すなわち、本実施形態では、分離塔75の下部に溜まった水を外部に引き出し、この水を水加熱器77で加熱する。しかしながら、アンモニア分離器72における分離塔75の下部空間内に水加熱器を配置してもよい。
本実施形態では、アンモニア分離器72における分離塔75の外部に凝縮器78が配置されている。すなわち、本実施形態では、分離塔75内のガスを外部に引き出し、このガスの一部を凝縮器78で凝縮させる。しかしながら、アンモニア分離器72における分離塔75内の上部空間内に凝縮器を配置してもよい。
本実施形態では、アンモニア吸収器62における吸収塔64での気液接触方法として、充填物式を採用している。また、本実施形態では、アンモニア分離器72における分離塔75での気液接触方法として、棚段式を採用している。しかしながら、気液接触方法には、他の方式もあるので、吸収塔64及び分離塔75での気液接触方法として、他の方式を採用してもよい。気液接触方法を実現する複数の方式には、方式毎に、機器の大きさ、機器の資本費、機器の保守費、機器の圧力損失、機器の必要動力、機器の耐久性などに長所短所がある。このため、液接触方法を実現する複数の方式のうち、プラントの仕様や立地条件などに応じて最適な方式を選定すればよい。
本実施形態では、起動時燃料SFとして、水素や天然ガスを想定している。しかしながら、起動時燃料SFとして、例えば、軽油等の液体燃料を用いていてもよい。この場合、気体燃料である処理済みガスPGと液体燃料とを共通の配管で燃焼器11bに送ることができない。このため、この場合には、液体燃料を燃焼器11bに供給するための配管を別途設ける必要がある。
本実施形態では、ガスタービン11が定常運転になった後、処理済みガスPGを燃焼器11bの燃料として専ら利用する。しかしながら、ガスタービン11が定常運転になった後、処理済みガスPGと天然ガス等の他の燃料ガスとを混合した混合燃料ガスを燃料として利用してもよい。この場合、ガスタービン11の起動時には、天然ガス等の他の燃料ガスのみを燃料として利用する。この場合、定常運転時において、液体アンモニアの消費量が本実施形態よりも少なくなるため、アンモニア分解設備Xを構成する各機器の容量や処理能力が、本実施形態のアンモニア分解設備Xを構成する各機器の容量や処理能力よりも小さくなる。具体的に、例えば、アンモニアタンクT、アンモニア自己熱分解器53、アンモニア分離器72などの容量は、本実施形態に比べて、すべて小さくなる。しかしながら、この場合、排気ガスEG中の二酸化炭素量が本実施形態に比べて多くなる。但し、この場合でも、定常運転時の燃料の一部として、処理済みガスPGを利用するので、定常運転時に天然ガスを燃料として専ら利用する場合よりも、排気ガスEG中の二酸化炭素量を低減することができる。
10:ガスタービン設備
11:ガスタービン
11a:空気圧縮機
11b:燃焼器
11c:タービン
11d:ガスタービンロータ
11e:圧縮空気通路
12:燃料ライン
13:流量計
14:予熱器
15:燃料調節弁
16:起動時燃料ライン
20:排熱回収ボイラ
21:ボイラ枠
22:低圧蒸気発生系
22a:節炭器
22b:蒸発器
22c:過熱器
23:中圧蒸気発生系
24:中圧ポンプ
25:再熱蒸気系
26:高圧蒸気発生系
27:高圧ポンプ
29:スタック
30:蒸気タービン設備
31:低圧蒸気タービン
32:中圧蒸気タービン
33:高圧蒸気タービン
34:蒸気タービンロータ
35:復水器
36:復水ポンプ
39:発電機
41:低圧蒸気ライン
42:中圧蒸気ライン
43:再熱蒸気ライン
44:高圧蒸気ライン
45:中圧排気蒸気ライン
46:高圧排気蒸気ライン
47:給水ライン
49:熱水ライン
T:アンモニアタンク
X:アンモニア分解設備
50:アンモニア分解装置
51:アンモニア自己熱分解装置
52a:第一アンモニア加熱器
52b:第二アンモニア加熱器
53:アンモニア自己熱分解器
54:分解ガスライン
54a:第一ライン
54b:第二ライン
54c:第三ライン
54d:第四ライン
61:アンモニア除去装置
62:アンモニア吸収器
63:分解ガス冷却器
64:吸収塔
64p:充填物
64v:吸収塔容器
65:水ライン
66:水供給ポンプ
67:水冷却器
72:アンモニア分離器
73:アンモニア水ライン
74:アンモニア水加熱器
75:分離塔
75v:分離塔容器
75p:棚段
76:水循環ライン
77:水加熱器
78:凝縮器
79:水回収ライン
80:アンモニア昇圧機
81:アンモニア供給ライン
82:処理済みガス供給ライン
83:アンモニア回収ライン
84:アンモニア圧縮機
85:抽気空気ライン
86:抽気空気冷却器
87:抽気空気昇圧機
88i:冷却媒体ライン
88o:冷却媒体回収ライン
89:燃料バッファ
BA:抽気空気
EG:排気ガス
LS:低圧蒸気
IS:中圧蒸気
RS:再熱蒸気
HS:高圧蒸気
DG:分解ガス
SF:起動時燃料
PG:処理済みガス

Claims (14)

  1. 空気を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機で圧縮された空気である圧縮空気中で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器と、前記燃焼ガスにより駆動するタービンと、を有するガスタービンに接続されているアンモニア分解設備において、
    前記ガスタービンに接続され、前記圧縮空気の一部が抽気空気として流れる抽気空気ラインと、
    アンモニアが流れるアンモニア供給ラインと、
    前記抽気空気ライン及び前記アンモニア供給ラインに接続され、前記抽気空気ラインからの前記抽気空気を酸化剤として、前記アンモニア供給ラインからの前記アンモニアの一部を燃焼させて、アンモニアを自己熱分解させて、水素と窒素とを含む処理済みガスを生成するアンモニア分解装置と、
    前記アンモニア分解装置で生成された前記処理済みガスを前記燃料として前記燃焼器に導く処理済みガス供給ラインと、
    を備えるアンモニア分解設備。
  2. 請求項1に記載のアンモニア分解設備において、
    前記アンモニア供給ラインに設けられ、前記アンモニア供給ラインを流れる前記アンモニアを前記燃焼器内の圧力より高い圧力に昇圧するアンモニア昇圧機と、
    前記抽気空気ラインに設けられ、前記抽気空気ラインを流れる前記抽気空気を前記燃焼器内の圧力より高い圧力に昇圧する抽気空気昇圧機と、
    を備えるアンモニア分解設備。
  3. 請求項1又は2に記載のアンモニア分解設備において、
    前記アンモニア分解装置は、
    前記抽気空気ラインからの前記抽気空気を酸化剤として、前記アンモニア供給ラインからの前記アンモニアの一部を燃焼させて、前記アンモニアを自己熱分解させて、水素と窒素と残留アンモニアを含む分解ガスを生成するアンモニア自己熱分解装置と、
    前記アンモニア自己熱分解装置からの前記分解ガス中に含まれる前記残留アンモニアを除去し、前記分解ガスから前記残留アンモニアが除去されたガスを前記処理済みガスとして排出するアンモニア除去装置と、
    を有する、
    アンモニア分解設備。
  4. 請求項3に記載のアンモニア分解設備において、
    前記アンモニア自己熱分解装置は、アンモニア加熱器と、アンモニア自己熱分解器と、を有し、
    前記アンモニア加熱器は、前記アンモニア供給ラインに設けられ、前記アンモニア供給ラインを流れる前記アンモニアと前記分解ガスとを熱交換させて、前記アンモニアを加熱する一方で、前記分解ガスを冷却する熱交換器であり、
    前記アンモニア自己熱分解器は、前記抽気空気ラインからの前記抽気空気を酸化剤として、前記アンモニア加熱器で加熱された後のアンモニアの一部を燃焼させて、前記アンモニアを自己熱分解させて、前記分解ガスを生成する
    アンモニア分解設備。
  5. 請求項3又は4に記載のアンモニア分解設備において、
    前記アンモニア除去装置は、アンモニア吸収器と、アンモニア分離器と、を有し、
    前記アンモニア吸収器は、前記アンモニア自己熱分解装置からの前記分解ガスと水とを接触させて、前記分解ガス中の前記残留アンモニアを前記水中に溶解させる一方で、前記処理済み分解ガスを排出し、
    前記アンモニア分離器は、分離塔と、水加熱器と、を有し、
    前記分離塔は、前記残留アンモニアが溶解した前記水であるアンモニア水と水蒸気と接触させ、前記アンモニア水を加熱して、前記アンモニア水からアンモニアを分離し、
    前記水加熱器は、前記アンモニア水からアンモニアが分離した水を加熱して水蒸気にした後、水蒸気を前記分離塔に戻す、
    アンモニア分解設備。
  6. 請求項5に記載のアンモニア分解設備において、
    前記水加熱器は、前記アンモニア水からアンモニアが分離した水と前記分解ガスとを熱交換させて、前記水を加熱して水蒸気にする熱交換器である、
    アンモニア分解設備。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載のアンモニア分解設備と、
    前記ガスタービンと、
    を備えるガスタービンプラント。
  8. アンモニア分解装置で、ガスタービンの圧縮機で圧縮された空気である圧縮空気の一部である抽気空気を酸化剤として、アンモニアの一部を燃焼させて、アンモニアを自己熱分解させて、水素と窒素とを含む処理済みガスを生成するアンモニア分解工程と、
    前記アンモニア分解工程で生成された前記処理済みガスを燃料として前記ガスタービンの燃焼器に導く処理済みガス供給工程と、
    を実行するアンモニア分解方法。
  9. 請求項8に記載のアンモニア分解方法において、
    前記アンモニア分解工程で自己熱分解される前のアンモニアを前記燃焼器内の圧力より高い圧力に昇圧してから、昇圧後のアンモニアを前記アンモニア分解装置に供給するアンモニア供給工程と、
    前記アンモニア分解工程で前記酸化剤として利用される前の前記抽気空気を前記燃焼器内の圧力より高い圧力に昇圧してから、昇圧後の抽気空気を前記アンモニア分解装置に供給する抽気空気供給工程と、
    を実行するアンモニア分解方法。
  10. 請求項8又は9に記載のアンモニア分解方法において、
    前記アンモニア分解工程は、
    前記酸化剤として利用される前の前記抽気空気を酸化剤として、前記アンモニアの一部を燃焼させて、前記アンモニアを自己熱分解させて、水素と窒素と残留アンモニアとを含む分解ガスを生成するアンモニア自己熱分解工程と、
    前記分解ガスから前記残留アンモニアを除去し、前記分解ガスから前記残留アンモニアが除去されたガスを前記処理済みガスとして排出するアンモニア除去工程と、
    を含む、
    アンモニア分解方法。
  11. 請求項10に記載のアンモニア分解方法において、
    前記アンモニア自己熱分解工程は、アンモニア予熱工程と、アンモニア自己熱分解実行工程と、を含み、
    前記アンモニア予熱工程では、前記アンモニアと前記分解ガスとを熱交換させて、前記アンモニアを加熱する一方で、前記分解ガスを冷却し、
    前記アンモニア自己熱分解実行工程では、前記酸化剤として利用される前の前記抽気空気を酸化剤として、前記アンモニア予熱工程で加熱された後のアンモニアの一部を燃焼させて、前記アンモニアを自己熱分解させて、前記分解ガスを生成する、
    アンモニア分解方法。
  12. 請求項10又は11に記載のアンモニア分解方法において、
    前記アンモニア除去工程は、アンモニア吸収工程と、アンモニア分離工程と、を含み、
    前記アンモニア吸収工程では、前記アンモニア自己熱分解工程の実行で得られた前記分解ガスと水とを接触させて、前記分解ガス中の前記残留アンモニアを水中に溶解させる一方で、前記処理済みガスを排出し、
    前記アンモニア分離工程では、分離実行工程と、水加熱工程と、を含み、
    前記分離実行工程では、前記残留アンモニアが溶解した水であるアンモニア水と水蒸気と接触させ、前記アンモニア水からアンモニアを蒸発分離し、
    前記水加熱工程では、前記アンモニア水からアンモニアが分離した水を加熱して、前記分離実行工程で用いる水蒸気にする、
    アンモニア分解方法。
  13. 請求項12に記載のアンモニア分解方法において、
    前記水加熱工程では、前記アンモニア水からアンモニアが分離した水と前記分解ガスとを熱交換させて、前記水を加熱して水蒸気にする、
    アンモニア分解方法。
  14. 請求項8から13のいずれか一項に記載のアンモニア分解方法において、
    前記処理済みガス中の残留アンモニア濃度を、前記ガスタービンから排気される排気ガス中の窒素酸化物濃度が所望の濃度未満になる濃度にする、
    アンモニア分解方法。
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