JP2020133604A - 遠心圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【課題】増速機構を好適に潤滑可能とし、増速機構やモータの特性低下を生じない遠心圧縮機を提供する。【解決手段】本発明の遠心圧縮機では、増速機室4aの底部には、オイル供給路31を経て供給されるオイルが貯留される貯留空間31iが形成されている。増速機室4aの底部から鉛直方向上方に離れた位置には、オイルが少なくとも停止時に一時貯留されるオイルポケット49が増速機構102の外周の一部を囲むように設けられている。【選択図】図1
Description
本発明は遠心圧縮機に関する。
特許文献1に従来の遠心圧縮機が開示されている。この遠心圧縮機は、ハウジング、圧縮機構、モータ、増速機構及びポンプを備えている。ハウジングには、圧縮室、モータ室、増速機室、オイルパン及びポンプ室が形成されている。圧縮機構は、圧縮室内に収容され、流体を圧縮する。モータは、モータ室内に収容され、圧縮機構を駆動する。増速機構は、増速機室内に収容され、モータの駆動力を圧縮機構に増速して伝達する。ポンプは、ポンプ室内に設けられ、モータの駆動力によりオイルパンに貯留されたオイルを増速機構に移送する。
また、この遠心圧縮機では、ハウジングにオイル供給路が形成されている。オイル供給路は、ポンプによって移送されるオイルを増速機室に供給する。こうして、増速機構の潤滑状態が好適に維持される。
しかし、上記従来の遠心圧縮機では、圧縮室内の圧力が増速機室内の圧力がよりも低い場合、増速機室内のオイルが圧縮室に漏れるおそれがある。そのため、増速機構が貧潤滑となってその特性低下が懸念される。
このため、オイルパンに大気開放通路を設け、増速機室内の圧力をその大気開放通路によって大気に開放することが考えられる。こうすれば、増速機室内の圧力が圧縮室内の圧力よりも高くなることはなく、増速機室内のオイルが圧縮室に漏れることを防止できると考えられる。
しかしながら、その場合、停止時にオイルが増速機室に開口する通路を塞ぐことによって増速機室内に残留した空気が閉じ込められ、膨張してオイルを増速機室から排出してしまうおそれがある。そのため、増速機構がやはり起動時に貧潤滑となり、その特性低下が懸念される。
そのため、増速機室内に空気を閉じ込めないよう、オイルパンに大気開放通路を設けるとともに、増速機室とオイルパンとをバイパス通路によって連通し、増速機室内の空気をバイパス通路を介してオイルパンに逃がし、大気に開放することも考えられる。しかしながら、その場合には、オイルの冷却のためにオイル供給路にオイルクーラを設けたとしても、運転中にオイルクーラを通らない高温のオイルがバイパス通路によってオイルパンに流入してしまうこととなる。そのため、高温のオイルが循環して揮発し易くなり、モ−タが高温となって特性低下が懸念される。
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、増速機構を好適に潤滑可能とし、増速機構やモータの特性低下を生じない遠心圧縮機を提供することを解決すべき課題としている。
本発明の遠心圧縮機は、圧縮室、モータ室、増速機室、オイルパン及びポンプ室が形成されたハウジングと、
前記圧縮室内に収容され、流体を圧縮する圧縮機構と、
前記モータ室内に収容され、前記圧縮機構を駆動するモータと、
前記増速機室内に収容され、前記モータの駆動力を前記圧縮機構に増速して伝達する増速機構と、
前記ポンプ室内に設けられ、前記モータの駆動力により前記オイルパンに貯留されたオイルを前記増速機構に移送するポンプとを備え、
前記ハウジングには、前記ポンプによって移送される前記オイルを前記増速機室に供給するオイル供給路が形成された遠心圧縮機であって、
前記増速機室の底部には、前記オイル供給路を経て供給される前記オイルが貯留される貯留空間が形成され、
前記増速機室の前記底部から鉛直方向上方に離れた位置には、前記オイルが少なくとも停止時に一時貯留されるオイルポケットが前記増速機構の外周の一部を囲むように設けられていることを特徴とする。
前記圧縮室内に収容され、流体を圧縮する圧縮機構と、
前記モータ室内に収容され、前記圧縮機構を駆動するモータと、
前記増速機室内に収容され、前記モータの駆動力を前記圧縮機構に増速して伝達する増速機構と、
前記ポンプ室内に設けられ、前記モータの駆動力により前記オイルパンに貯留されたオイルを前記増速機構に移送するポンプとを備え、
前記ハウジングには、前記ポンプによって移送される前記オイルを前記増速機室に供給するオイル供給路が形成された遠心圧縮機であって、
前記増速機室の底部には、前記オイル供給路を経て供給される前記オイルが貯留される貯留空間が形成され、
前記増速機室の前記底部から鉛直方向上方に離れた位置には、前記オイルが少なくとも停止時に一時貯留されるオイルポケットが前記増速機構の外周の一部を囲むように設けられていることを特徴とする。
本発明の遠心圧縮機では、増速機室内に設けられたオイルポケットがポンプからオイル供給路を経て供給されるオイルを少なくとも停止時に一時貯留する。このため、停止時に増速機室内に閉じ込められた空気によって増速機室内の底に貯留されたオイルを排出しても、オイルポケットにはオイルが貯留され、そのオイルが増速機構を好適に潤滑する。また、増速機室とオイルパンとをバイパス通路によって連通する必要がないため、循環するオイルが過剰に高温になり難く、揮発も生じ難いため、モ−タの高温化も抑制できる。
したがって、この遠心圧縮機では、増速機構を好適に潤滑可能とし、増速機構やモータの特性低下を生じ難い。
本発明の遠心圧縮機は、ハウジングに保持される底壁と、底壁から立ち上がる側壁とを有する貯留部材を備え得る。底壁、側壁及びハウジングによってオイルポケットが構成され得る。ハウジングと底壁との間にはシール材が設けられていることが好ましい。この場合、貯留部材を簡易な構造としつつ、オイルポケットからハウジングと底壁との間を経たオイルの漏れを防止することができる。
貯留部材の底壁及び側壁によって、オイルを貯留する貯留領域が形成されることが好ましい。貯留領域には、増速機構の一部が位置していることが好ましい。この場合、増速機構の一部が貯留領域に位置することによって、増速機構に確実にオイルを供給し易い。
増速機構は、モータに連結される回転軸と、回転軸の回転に伴って回転するリングと、リングの内側に配置される出力軸と、リングと出力軸との間に設けられるとともにリング及び出力軸に当接するローラとを有し得る。貯留部材の底壁は、両縁を有して円弧状に形成され得る。両縁の位置は、ローラの鉛直方向における最下部よりも高くされていることが好ましい。この場合、オイルが増速機構を潤滑し易い。
オイル供給路は、ポンプからオイルポケットまで位置する上流流路と、オイルポケットからオイルパンまで位置する下流流路とを有し得る。貯留部材は、側壁を超えたオイルを下流流路に供給可能に形成されていることが好ましい。この場合、貯留部材から溢れたオイルを迅速にオイルパンに回収できることから、オイルの充填量を減らすことができる。
貯留部材には、増速機構の作動によるオイルのかき上げを抑制する邪魔部材が設けられていることが好ましい。この場合、邪魔部材が増速機構の作動によるオイルのかき上げを抑制するため、オイルポケット内により確実にオイルを貯留することができ、本発明の作用効果を生じ易い。
本発明の遠心圧縮機は、増速機構を好適に潤滑可能とし、増速機構やモータの特性低下を生じ難い。このため、この遠心圧縮機は高い耐久性を発揮することができる。
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。図1に示すように、実施例の遠心圧縮機は、本発明の遠心圧縮機の具体的態様の一例である。本実施例では、遠心圧縮機は、車両等に搭載される燃料電池システムに適用され、燃料電池のスタックに空気を供給する。
以下の説明では、図1の紙面左側に位置するフロントハウジング1側を遠心圧縮機の前側と規定し、図1の紙面右側に位置するリヤハウジング7側を遠心圧縮機の後側と規定する。また、図1の紙面上側を遠心圧縮機の上側と規定し、図1の紙面下側を遠心圧縮機の下側と規定する。そして、図2以降の各図に示す前後方向及び上下方向は全て、図1に対応させて表示する。なお、実施例における前後方向は一例である。遠心圧縮機は、搭載される車両等に対応して、その前後方向が適宜変更される。
この遠心圧縮機は、図1に示すように、フロントハウジング1、第1センターハウジング3、第2センターハウジング5及びリヤハウジング7を備えている。これらは図示しないボルトによって締結され、ハウジング9を構成している。フロントハウジング1内には、モータ室1a、オイルパン1b、大気開放室1c、ポンプ室1d及びウォータジャケット1eが形成されている。
モータ室1aの内周面にはステータ11が固定され、ステータ11内にはロータ13が設けられている。ロータ13には前後に延びる回転軸15が固定されている。フロントハウジング1には、モータ室1aの前方に位置して前後に延びる軸孔17aが形成されている。また、第1センターハウジング3には、モータ室1aの後方に位置して前後に延びる軸孔17bが形成されている。軸孔17aと軸孔17bとは同軸である。回転軸15は前方に小径部15aを有し、軸孔17aと小径部15aとの間には軸受装置19が設けられている。また、回転軸15は後方に大径部15bを有し、軸孔17bと大径部15bとの間には軸封装置21及び軸受装置23が設けられている。軸封装置21は軸受装置23よりも前方に位置している。こうして、回転軸15は、軸受装置19、23により、ロータ13と一体に回転軸心O周りで回転可能に支持されている。軸封装置21は増速機室4aからモータ室1aへのオイルの漏出を防止している。ステータ11、ロータ13及び回転軸15がモータ100を構成している。
オイルパン1b及び大気開放室1cはモータ室1aよりも前方に配置されている。オイルパン1bは遠心圧縮機の下部に位置し、大気開放室1cはオイルパン1bの上部に位置している。大気開放室1cは圧抜き孔1fによって外部に連通しており、圧抜き孔1fには外部からの異物の混入を防ぐためのフィルタ25が設けられている。オイルパン1bと大気開放室1cとは連通路1mによって接続されている。連通路1m、大気開放室1c及び圧抜き孔1fが大気開放通路28に相当する。
ポンプ室1dはモータ室1aと連通路1mとの間に配置されている。ポンプ室1d内には軸孔17aによって回転軸15の小径部15aが延びており、ポンプ室1d内にトロコイド式のポンプ27が構成されている。ポンプ27の吸入側にはオイルパン1bに向かって延びるオイル吸入路31aが形成されており、オイル吸入路31aはオイルパン1bの底面に向かって延びる吸入管29と接続されている。また、ポンプ27の吐出側にはオイル吐出路31bが形成されている。吸入管29、オイル吸入路31a及びオイル吐出路31bはオイル供給路31の一部を構成している。より詳細には、吸入管29、オイル吸入路31a及びオイル吐出路31bは上流流路32の一部を構成している。
ウォータジャケット1eは、モータ室1aの下部に形成されており、インレットポート1g及びアウトレットポート1hによって外部に連通している。ウォータジャケット1e内にはオイルを流通させる図示しないオイル管が設けられている。フロントハウジング1には、オイル管の下流をオイルパン1bに接続するオイル流路31cと、オイル管の上流に接続するオイル流路31dとが形成されている。オイル流路31c、31dもオイル供給路31の一部を構成している。より詳細には、オイル流路31c、31dは下流流路34の一部を構成している。
ウォータジャケット1eは、インレットポート1gから供給される冷却水によってオイル管を流れるオイルを冷却し、アウトレットポート1hから冷却水を排出する。これらウォータジャケット1e、オイル管、インレットポート1g及びアウトレットポート1hはオイルクーラ101を構成している。
第1センターハウジング3及び第2センターハウジング5内には増速機室4aが形成されている。回転軸15は大径部15bより後方に延びる入力部15cを有し、入力部15cは軸孔17bから増速機室4a内に突出している。入力部15cには、ベース部材33のボス部33aが圧入されている。ベース部材33は、回転軸心Oに延びる円筒状のボス部33aと、ボス部33aの後端から回転軸心Oと直交する方向に延びる円環状の本体部33bとからなる。本体部33bの外縁には、回転軸心Oと平行に延びる円筒状をなすリング35が固定されている。リング35の後部には径内方向に突出する凸部35aが形成されている。
第1センターハウジング3におけるフロントハウジング1側の側壁3aには後方に突出する2個のボルト台3bが形成されており、各ボルト台3bに固定されたボルト37によって貯留部材39が固定されている。貯留部材39は、図3及び図4に示すように、略円板状の側壁41と、側壁41の略下半分の外縁に設けられた底壁43とからなる。
側壁41は回転軸心Oと直交する方向に延びており、側壁41の中心には挿通孔41aが形成されている。挿通孔41aは回転軸15の入力部15c及びベース部材33のボス部33aを回転可能に挿通している。側壁41の略上半分には、挿通孔41aからの距離が短くなるように周縁が抉られた切欠41bが形成されている。また、側壁41にはボルト台3bに近づくように形成された2個の凸部41cが形成され、各凸部41cにはボルト37を挿通する貫通穴41dが形成されている。
底壁43は、側壁41の略下半分の外縁で円弧状をなしている。図1に示すように、第2センターハウジング5には底壁43の後端を嵌合させる円弧状の嵌合溝5aが凹設されており、嵌合溝5a内には底壁43と当接するシール材45が設けられている。底壁43及び側壁41が貯留領域40を構成している。貯留領域40には、増速機構102の一部が位置している。貯留領域40及び第2センターハウジング5によってオイルを貯留するオイルポケット49が構成されている。
オイルポケット49は、増速機室4aの底部に形成される貯留空間31iとは別に、増速機室4aの底面4bから鉛直方向の上方に離間した位置において、増速機構102の外周の一部を囲むように設けられている。オイルポケット49に貯留されるオイルの量は、円弧形状を有する底壁43の両縁43b、43cによって規定される。
また、図2〜4に示すように、底壁43の右縁43bには水平に延びる樹脂製の平板状の邪魔部材47が固定されている。邪魔部材47は、図2に示すように、リング35とは干渉しない長さとされている。図1及び図4に示すように、側壁41よりも前方に位置する底壁43には、矩形状に抉られた2個の切欠43aが形成されている。
底壁43の円弧方向における両縁43b、43cの位置は、ローラ55の鉛直方向の最下部55Lよりも上側にあり、ロータ55の少なくとも一部がオイルポケット49と重なり、オイルに接触可能となっている。また、底壁43の円弧方向における両縁43b、43cの位置は、ローラ55の軸部55b、55cより鉛直方向下方の位置となっており、作動中のローラ55によるオイルの攪拌が抑制可能となっている。図2では、最下部55Lを通る仮想線L1と、軸部55b、55cを通る仮想線L2を図示している。両縁43b、43cの高さは、仮想線L1以上かつ仮想線L2以下であり、貯留領域40の上限を規定している。
図1及び図2に示すように、第2センターハウジング5には3本のボルト51a〜51cによって保持部材53が固定されている。保持部材53には、第2センターハウジング5と固定される部分以外で第2センターハウジング5と離間し、ローラ室53aが形成されている。ローラ室53a内には3個のローラ55が収納されている。
各ローラ55は、回転軸心Oと平行な回転軸心P1〜P3方向に延びる円柱状のローラ本体55aと、ローラ本体55aの前後でローラ本体55aと一体をなし、各回転軸心P1〜P3方向に延びる円柱状の軸部55b、55cとからなる。保持部材53と第2センターハウジング5とには軸受装置57、59が3組設けられている。各ローラ55は、軸部55bが軸受装置57によって回転軸心P1〜P3周りで回転可能に保持され、軸部55cが軸受装置59によって回転軸心P1〜P3周りで回転可能に保持されている。各ローラ55はリング35の凸部35aと当接している。
図1に示すように、第2センターハウジング5には前後に延びる軸孔5bが形成されている。軸孔5bには軸封装置61が設けられている。各ローラ55のそれぞれのローラ本体55aには出力軸63が当接している。出力軸63は、回転軸心P1〜P3と平行な回転軸心O周りで回転可能とされながら、軸封装置61によって封止されている。回転軸15、ベース部材33、保持部材53、リング35、3個のローラ55、軸受装置57、59及び出力軸63が増速機構102を構成している。
リヤハウジング7にはインペラ65を収容する圧縮室7aが形成されている。圧縮室7aは、増速機室4aとは軸孔5bを間に挟んで並んでいる。出力軸63は圧縮室7a内まで延びており、この出力軸63にはインペラ65が回転軸心O周りで回転可能に固定されている。圧縮室7aはリヤハウジング7に形成された吸入ポート7bによって外部に開口している。また、リヤハウジング7には、圧縮室7aと連通するディフューザ7cが形成されているとともに、ディフューザ7cと連通する吐出室7dが形成されている。吐出室7dはリヤハウジング7に形成された図示しない吐出ポートによって外部に開口している。出力軸63及びインペラ65が圧縮機構103を構成している。
第1センターハウジング3には、フロントハウジング1のオイル吐出路31bと連通するオイル流路31eが形成されている。また、第1センターハウジング3には、オイル流路31eと連通するオイル流路31fが形成されている。オイル流路31fは軸封装置21と軸受装置23との間で軸孔17b内に連通している。
第2センターハウジング5には、第1センターハウジング3のオイル流路31eと連通するオイル流路31gが形成されている。また、保持部材53には、第2センターハウジング5のオイル流路31gと連通する2本のオイル流路31hが形成されている。両オイル流路31hは、図2に示すように、2個のローラ55のローラ本体55aの上部でローラ室53aに連通している。
図1に示すように、増速機室4aの鉛直方向下方である底部には、オイルが貯留される貯留空間31iが形成されている。貯留空間31iは、ウォータジャケット1eの後部に位置している。第2センターハウジング5の下壁には貯留空間31iと連通するオイル流路31jが形成されている。
また、第1センターハウジング3には、第2センターハウジング5のオイル流路31jとフロントハウジング1のオイル流路31dとを連通するオイル流路31kが形成されている。
吸入管29、オイル吸入路31a、オイル吐出路31b、オイル流路31e、31f、31g、31h、貯留空間31i、オイル流路31j、31k、31d、オイルクーラ101、オイル流路31cがオイル供給路31を構成している。より詳細には、吸入管29、オイル吸入路31a、オイル吐出路31b、オイル流路31e、31g、31hは上流流路32を構成し、貯留空間31i、オイル流路31j、31k、31d、オイルクーラ101及びオイル流路31cは下流流路34を構成している。
上記のように構成された遠心圧縮機では、モータ100のステータ11に通電することにより、ロータ13が回転し、回転軸15が回転軸心O周りで回転する。このため、ベース部材33及びリング35が回転軸心O周りで回転する。リング35の回転により、3個のローラ55がそれぞれ回転軸心P1〜P3周りで回転する。この際、リング35の凸部35aの内径よりも各ローラ55の外径が小さいため、各ローラ55は回転軸15の回転速度よりも増速される。また、各ローラ55の回転により、出力軸63が回転軸心O周りで回転する。この際、各ローラ55の外径よりも出力軸63の外径が小さいため、出力軸63は回転軸15の回転速度よりもさらに増速される。こうして、モータ100の回転軸15の回転が増速機構102によって増速されて出力軸63に伝達される。このため、インペラ65が圧縮室7a内で高速で回転し、空気が吸入ポート7bから吸入されてディフューザ7cによって高圧化され、吐出室7dを経て外部に吐出される。
この間、回転軸15の回転によりポンプ27が作動している。このため、オイルパン1b内のオイルが吸入管29及びオイル吸入路31aを経てポンプ27に吸入され、オイル吐出路31bからオイル流路31e、31f、31g、31hへと流通する。オイル流路31fから吐出されたオイルは軸受装置23の潤滑に供される。軸受装置23を潤滑したオイルは、増速機室4a内で側壁41の前方を下り、切欠43aから貯留空間31iに移動する。
オイル流路31hから吐出されたオイルは、各ローラ55と出力軸63との潤滑に供された後、オイルポケット49に貯留される。オイルポケット49から溢れたオイルは、貯留空間31iに移動する。邪魔部材47は、増速機構102の作動によるオイルのかき上げを抑制し、オイルポケット49内に確実にオイルを貯留する。また、オイルポケット49から側壁41を乗り越えたオイルは切欠43aから貯留空間31iに移動する。側壁41を乗り越えるオイルの量は切欠41bによって調整される。
貯留空間31iに貯留されたオイルは、オイル流路31j、31k、31dを経てオイルクーラ101に至り、ウォータジャケット1eによって冷却される。オイルクーラ101で冷却されたオイルはオイル流路31cを経てオイルパン1bに還流される。
こうして、この遠心圧縮機では、オイルポケット49内のオイルが増速機構102に確実に接触し、増速機構102を好適に潤滑する。
また、この遠心圧縮機では、オイルパン1bに大気開放通路28を設けて、増速機室4a内の圧力を大気に開放している。この場合、停止時に、増速機室4aに開口するオイル流路31h、31iをオイルが塞ぎ、増速機室4a内の空気が閉じ込められ、膨張して貯留空間31iのオイルを排出したとしても、オイルポケット49にはオイルが確実に貯留され、遠心圧縮機の起動時に、オイルポケット49内のオイルが増速機構102を好適に潤滑する。また、起動時のオイルが確保され、起動時のオイルの液面が高い位置で確保されるため、遠心圧縮機内に余分にオイルを封入しておく必要がなくなり、オイル充填量を減らすことができる。
さらに、この遠心圧縮機では、増速機室4aとオイルパン1bとをバイパス通路によって連通する必要がないため、循環するオイルが過剰に高温になり難く、揮発も生じ難いため、モ−タ100の高温化も抑制できる。
特に、この遠心圧縮機では、貯留部材39の底壁43及び側壁41と、リヤハウジング7とによってオイルポケット49が構成され、リヤハウジング7と底壁43との間にシール材45が設けられているため、貯留部材39を簡易な構造としつつ、オイルポケット49からリヤハウジング7と底壁43との間を経たオイルの漏れを防止している。
また、この遠心圧縮機では、貯留部材39に切欠43aが形成されているため、側壁41を超えたオイルを下流流路34に供給可能である。このため、貯留部材39から溢れたオイルを迅速にオイルパン1bに回収できることから、オイルの充填量を減らすことができる。
したがって、この遠心圧縮機では、増速機構102を好適に潤滑可能とし、増速機構102やモータ100の特性低下を生じ難い。
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
本発明は例えば、車両等に搭載される燃料電池装置又は空調装置に利用可能である。
7a…圧縮室
1a…モータ室
4a…増速機室
1b…オイルパン
1d…ポンプ室
9…ハウジング(1…フロントハウジング、3…第1センターハウジング、5…第2センターハウジング、7…リヤハウジング)
103…圧縮機構
100…モータ
102…増速機構
27…ポンプ
31…オイル供給路(32…上流流路、34…下流流路)
31i…貯留空間
49…オイルポケット
43…底壁
41…側壁
39…貯留部材
45…シール材
40…貯留領域
15…回転軸
35…リング
63…出力軸
55…ローラ
43b、43c…縁
32…上流流路(29…吸入管、31a…オイル吸入路、31b…オイル吐出路、31e、31g、31h…オイル流路)
34…下流流路(31i…貯留空間、31j、31k、31d、31c…オイル流路、101…オイルクーラ)
47…邪魔部材
1a…モータ室
4a…増速機室
1b…オイルパン
1d…ポンプ室
9…ハウジング(1…フロントハウジング、3…第1センターハウジング、5…第2センターハウジング、7…リヤハウジング)
103…圧縮機構
100…モータ
102…増速機構
27…ポンプ
31…オイル供給路(32…上流流路、34…下流流路)
31i…貯留空間
49…オイルポケット
43…底壁
41…側壁
39…貯留部材
45…シール材
40…貯留領域
15…回転軸
35…リング
63…出力軸
55…ローラ
43b、43c…縁
32…上流流路(29…吸入管、31a…オイル吸入路、31b…オイル吐出路、31e、31g、31h…オイル流路)
34…下流流路(31i…貯留空間、31j、31k、31d、31c…オイル流路、101…オイルクーラ)
47…邪魔部材
Claims (6)
- 圧縮室、モータ室、増速機室、オイルパン及びポンプ室が形成されたハウジングと、
前記圧縮室内に収容され、流体を圧縮する圧縮機構と、
前記モータ室内に収容され、前記圧縮機構を駆動するモータと、
前記増速機室内に収容され、前記モータの駆動力を前記圧縮機構に増速して伝達する増速機構と、
前記ポンプ室内に設けられ、前記モータの駆動力により前記オイルパンに貯留されたオイルを前記増速機構に移送するポンプとを備え、
前記ハウジングには、前記ポンプによって移送される前記オイルを前記増速機室に供給するオイル供給路が形成された遠心圧縮機であって、
前記増速機室の底部には、前記オイル供給路を経て供給される前記オイルが貯留される貯留空間が形成され、
前記増速機室の前記底部から鉛直方向上方に離れた位置には、前記オイルが少なくとも停止時に一時貯留されるオイルポケットが前記増速機構の外周の一部を囲むように設けられていることを特徴とする遠心圧縮機。 - 前記ハウジングに保持される底壁と、前記底壁から立ち上がる側壁とを有する貯留部材を備え、
前記底壁、前記側壁及び前記ハウジングによって前記オイルポケットが構成され、
前記ハウジングと前記底壁との間にはシール材が設けられている請求項1記載の遠心圧縮機。 - 前記貯留部材の前記底壁及び前記側壁によって、前記オイルを貯留する貯留領域が形成され、
前記貯留領域には、前記増速機構の一部が位置している請求項2記載の遠心圧縮機。 - 前記増速機構は、前記モータに連結される回転軸と、
前記回転軸の回転に伴って回転するリングと、
前記リングの内側に配置される出力軸と、
前記リングと前記出力軸との間に設けられるとともに前記リング及び前記出力軸に当接するローラとを有し、
前記貯留部材の前記底壁は、両縁を有して円弧状に形成されており、
前記両縁の位置は、前記ローラの鉛直方向における最下部よりも高くされている請求項2記載の遠心圧縮機。 - 前記オイル供給路は、前記ポンプから前記オイルポケットまで位置する上流流路と、前記オイルポケットから前記オイルパンまで位置する下流流路とを有し、
前記貯留部材は、前記側壁を超えた前記オイルを前記下流流路に供給可能に形成されている請求項2乃至4のいずれか1項記載の遠心圧縮機。 - 前記貯留部材には、前記増速機構の作動による前記オイルのかき上げを抑制する邪魔部材が設けられている請求項2乃至5のいずれか1項記載の遠心圧縮機。
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JPH05196328A (ja) * | 1991-08-05 | 1993-08-06 | Carrier Corp | トランスミッションオイル閉込システム |
JPH08270745A (ja) * | 1995-03-31 | 1996-10-15 | Ntn Corp | 摩擦式無段変速機 |
JP2018168828A (ja) * | 2017-03-30 | 2018-11-01 | 株式会社豊田自動織機 | 遠心圧縮機 |
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