JP2020132857A - 硬化性組成物、硬化物及び積層体 - Google Patents

硬化性組成物、硬化物及び積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】硬化性に優れ、かつ、耐熱性に優れ、無機基材や無機化合物層との密着性に優れ、高温高湿環境下に長期間晒されても剥がれが生じにくい硬化物が得られる硬化性組成物、前記硬化性組成物を用いた硬化物、及び積層体を提供する。【解決手段】特定の金属酸化物微粒子Aと、特定の(メタ)アクリレートBと、特定の酸化防止剤と、オルガノポリシロキサンと、ラジカル重合開始剤とを含み、特定のエポキシ(メタ)アクリレートCをさらに含んでいてもよく、特定のウレタン(メタ)アクリレートDをさらに含んでいてもよい硬化性組成物。前記硬化性組成物を硬化した硬化物、及び前記硬化物を有する積層体。【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性組成物、硬化物及び積層体に関する。
硬化性組成物を硬化した硬化物は、(i)インプリント法、注型成形法等によって硬化性組成物から様々な形状の硬化物を短時間で形成できる、(ii)ガラスに比べて割れにくい、(iii)ガラスに比べて軽量である、等の利点を有する。そのため、前記硬化物はガラスに代わる光学部材用の材料として注目されている。
特許文献1には、脂環式エポキシ化合物、カチオン重合開始剤、及びオルガノポリシロキサンを含む硬化性組成物が開示されている。
特開2018−008518号公報
しかし、特許文献1のように、カチオン重合によって硬化する硬化性組成物は、ラジカル重合によって硬化する硬化性組成物に比べて硬化性が劣っており、また得られる硬化物の耐熱性が不充分である。硬化物をガラス基板等の無機基材や、金属酸化物膜等の無機化合物層と積層した積層体を、高温高湿環境下で長期にわたって使用すると、層間の密着性が低下して剥がれが生じることがある。
本発明は、硬化性に優れ、かつ、耐熱性に優れ、無機基材や無機化合物層との密着性に優れ、高温高湿環境下に長期間晒されても剥がれが生じにくい硬化物が得られる硬化性組成物、前記硬化性組成物を用いた硬化物、及び積層体を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、芳香族環を有さず、メディアン径が5〜20nmである金属酸化物微粒子Aと、オルガノポリシロキサンを除く、脂環式縮合環を有し、単独重合体のガラス転移温度が90〜350℃である(メタ)アクリレートBと、酸化防止剤と、オルガノポリシロキサンと、ラジカル重合開始剤と、を含み、オルガノポリシロキサン及び前記(メタ)アクリレートBを除く、芳香族環を有さず、エチレン性不飽和基の物質量が0.1〜3.0mmol/gであるエポキシ(メタ)アクリレートCをさらに含んでいてもよく、オルガノポリシロキサン、前記(メタ)アクリレートB及び前記エポキシ(メタ)アクリレートCを除く、芳香族環を有さないウレタン(メタ)アクリレートDをさらに含んでいてもよく、前記酸化防止剤は、フェノール部位を有する酸化防止剤と、前記のフェノール部位を有する酸化防止剤を除く、スルフィド部位を有する酸化防止剤とを含む、硬化性組成物である。
本発明によれば、硬化性に優れ、かつ、耐熱性に優れ、無機基材や無機化合物層との密着性に優れ、高温高湿環境下に長期間晒されても剥がれが生じにくい硬化物が得られる硬化性組成物、前記硬化性組成物を用いた硬化物、及び積層体を提供できる。
[用語の意味]
「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基及びメタクリロイル基の総称である。
「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの総称である。
「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸の総称である。
「光」とは、紫外線、可視光線、赤外線、電子線及び放射線の総称である。
金属酸化物微粒子Aの有機分は、熱重量測定装置を用いて、窒素雰囲気下で金属酸化物微粒子Aを10℃から500℃まで25℃/分の速度で昇温したときの熱重量減少量である。
硬化性組成物中の金属酸化物微粒子のメディアン径は、動的光散乱法による粒度分布測定器を用いて求めた値である。
硬化物中の金属酸化物微粒子のメディアン径は、薄片について透過型電子顕微鏡で観察し、この薄片で確認できる充分な数(例えば100個以上、好ましくは200個以上)の金属酸化物微粒子について直径を計測し、それらを平均した値である。
(メタ)アクリレートの単独重合体のガラス転移温度は、実施例に記載の方法で得られた評価用単独重合体についてJIS K 7121−1987(対応国際規格ISO 3146)に準じ、示差走査熱量測定(DSC)法で測定した中間点ガラス転移温度である。単独重合体のガラス転移温度が90〜350℃であるとは、350℃以下にガラス転移温度が観測されるものの他に、DSC法によって350℃以下にガラス転移温度が観測されないものも含まれるとする。
硬化物の波長400nmの光の透過率は、実施例に記載の方法で得られた評価サンプルの硬化物について、JIS K 7361:1997(ISO 13468−1:1996)に記載された方法によって波長400nmの光を用いて25℃で測定された値である。
「重量平均分子量」(以下、「Mw」と記す。)とは、テトラヒドロフランを溶離液とするゲル浸透クロマトグラフィーを使用し、分子量既知のポリスチレンを用いて検量線を作成して測定したポリスチレン換算分子量のことである。
数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
[硬化性組成物]
本発明の硬化性組成物は、金属酸化物微粒子Aと、(メタ)アクリレートBと、オルガノポリシロキサンと、酸化防止剤と、ラジカル重合開始剤とを必須として含む。本発明の硬化性組成物は、エポキシ(メタ)アクリレートCをさらに含んでいてもよい。本発明の硬化性組成物は、ウレタン(メタ)アクリレートDをさらに含んでいてもよい。また、本発明の硬化性組成物は、必要に応じて他の(メタ)アクリレート、添加剤、溶媒等を含んでいてもよい。
金属酸化物微粒子Aは、芳香族環を有さず、メディアン径が5〜20nmである金属酸化物微粒子である。金属酸化物微粒子Aによって硬化物のアッベ数が向上する。また、金属酸化物微粒子Aは、高温高湿環境下でも酸化劣化、形状変化等の変質が起こりにくい。
金属酸化物微粒子Aは、有機物で表面修飾されていている金属酸化物微粒子であってもよい。「金属酸化物微粒子Aが芳香族環を有さない」とは、有機物で表面修飾されていない金属酸化物微粒子Aであるか、有機物で表面修飾されていたとしても、当該有機物が芳香族環を有さない金属酸化物微粒子Aであることを意味する。
金属酸化物微粒子Aの金属種としては、Si、Zr、Ti、Al、Ce、Fe、W、Zn、Yを例示できる。他の成分との相溶性、及び入手性の点から、金属酸化物微粒子Aの金属種としては、Si、Zr、Ti、Al、Ce、Fe、W、Zn及びYからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、Si、Zr及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、Si及びZrのいずれか一方又は両方がさらに好ましい。
金属酸化物微粒子Aとしては、SiO微粒子、ZrO微粒子、TiO微粒子、Al微粒子、CeO微粒子、Fe微粒子、WO微粒子、ZnO微粒子、Y微粒子を例示できる。他の成分との相溶性、及び入手性の点から、金属酸化物微粒子Aとしては、SiO微粒子、ZrO微粒子、TiO微粒子、Al微粒子、CeO微粒子、Fe微粒子、WO微粒子、ZnO微粒子、及びY微粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、SiO微粒子、ZrO微粒子及びTiO微粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、SiO微粒子及びZrO微粒子のいずれか一方又は両方がさらに好ましい。
金属酸化物微粒子Aが有機物で表面修飾されている場合、有機物の表面修飾としては、表面処理による微粒子表面への有機物の被覆、静電相互作用、水素結合等の分子間力による微粒子表面への有機物の付着を例示できる。
金属酸化物微粒子Aの表面修飾に用いる有機物としては、有機ケイ素化合物、有機リン化合物、有機硫黄化合物を例示できる。
金属酸化物微粒子Aの有機分は、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましく、3質量%以下が特に好ましく、1質量%以下が最も好ましい。金属酸化物微粒子Aの有機分が前記上限値以下であれば、高温高湿下における有機分の酸化による黄変が抑えられ、硬化物の透明性の低下が抑えられる。金属酸化物微粒子Aの有機分は少なければ少ないほどよく、有機分の下限値は0質量%である。
金属酸化物微粒子Aの形状は、球状であってもよく、鎖状であってもよく、その他の形状でもよい。なかでも、金属酸化物微粒子Aが凝集しにくく、硬化物の透明性の低下が抑えられる点から、球状が好ましい。
金属酸化物微粒子Aは、中実の粒子であってもよく、中空の粒子であってもよい。なかでも、屈折率が高くなり、透過率の損失が少なくなる点から、中実の金属酸化物微粒子Aが好ましい。
金属酸化物微粒子Aのメディアン径は、5〜20nmであり、6〜15nmが好ましく、7〜10nmがより好ましい。金属酸化物微粒子Aのメディアン径が前記範囲の下限値以上であれば、ハンドリング性がよい。また、金属酸化物微粒子Aが凝集しにくいため、硬化物の透明性が高くなる。金属酸化物微粒子Aのメディアン径が前記範囲の上限値以下であれば、金属酸化物微粒子Aによる光の散乱が小さく、硬化性組成物及び硬化物の透明性が高くなる。
金属酸化物微粒子Aとしては、市販品を用いてもよい。
金属酸化物微粒子Aの市販品としては、オルガノシリカゾル(日産化学工業社製のMEK−ST−40、TOL−ST、IPA−ST、MEK−ST−UP、EG−ST、NPC−ST−30等)、表面修飾ジルコニア粒子分散液(日本触媒社製のジルコスター ZP−153−A、pixelligent社製のPCPR−50−ETA等)、チタニアゾル(catalyst and chemical社製のOptolake 6320z(11RU−7・MK)等)を例示できる。
硬化性組成物に含まれる金属酸化物微粒子Aは、1種でもよく、2種以上でもよい。
(メタ)アクリレートBは、脂環式縮合環を有し、単独重合体のガラス転移温度が90〜350℃である(メタ)アクリレート(ただし、オルガノポリシロキサンを除く。)である。
(メタ)アクリレートBは、エチレン性不飽和基を有するため、光又は熱によりラジカル重合できる。本発明の硬化性組成物は、(メタ)アクリレートBとラジカル重合開始剤を組み合わせ、ラジカル重合によって硬化させるため、硬化性に優れ、得られる硬化物の耐熱性に優れる。
(メタ)アクリレートBは、芳香族環を含まないことが好ましい。(メタ)アクリレートBがアッベ数の低い芳香族環を含まず、アッベ数の高い脂環式構造を有することで、硬化物のアッベ数が向上する。
脂環式縮合環は、複数の脂環式環が縮合したものである。脂環式縮合環は、炭素原子間の結合力が高く、高温高湿下における酸化や結合切断が起こりにくい。そのため、(メタ)アクリレートBが脂環式縮合環を有することで、硬化物は着色しにくくなり、透明性が低下しにくい。
脂環式縮合環としては、(メタ)アクリレートBの入手しやすさの点から、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロデカニル基、ジシクロペンタニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルアダマンチル基、アダマンチル基及びアマンチル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基に由来する環が好ましい。なかでも、イソボルニル基又はジシクロペンタニル基が好ましい。
(メタ)アクリレートBが有するエチレン性不飽和基の数は、入手の容易さや、分子内に占める脂環式縮合環の割合の大きさの点から、1個又は2個が好ましく、1個が特に好ましい。
(メタ)アクリレートBの単独重合体のガラス転移温度は、90〜350℃であり、150〜350℃が好ましく、200〜350℃がより好ましく、250〜350℃がさらに好ましい。前記単独重合体のガラス転移温度が前記範囲の下限値以上であれば、高温高湿下で硬化物が軟化しにくく、硬化物の各種特性に優れる。前記単独重合体のガラス転移温度が前記範囲の上限値以下であれば、(メタ)アクリレートBを入手しやすい。
(メタ)アクリレートBとしては、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、1−アダマンチルメタクリレート、2−アダマンチルアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレートを例示できる。
硬化性組成物に含まれる(メタ)アクリレートBは、1種でもよく、2種以上でもよい。
エポキシ(メタ)アクリレートCは、芳香族環を有さず、エチレン性不飽和基の物質量が0.1〜3.0mmol/gであるエポキシ(メタ)アクリレート(ただし、オルガノポリシロキサン及び(メタ)アクリレートBを除く。)である。
エポキシ(メタ)アクリレートCは、エポキシ化合物に(メタ)アクリル酸を付加させたものである。エポキシ(メタ)アクリレートCは、エポキシ基の開環によって形成された水酸基を有するため、特に表面にシラノール基を有する金属酸化物微粒子Aとの相溶性がよい。また、(メタ)アクリレートBとも相溶性がよい。そのため、エポキシ(メタ)アクリレートCを含む硬化性組成物中では、金属酸化物微粒子Aと(メタ)アクリレートBとエポキシ(メタ)アクリレートCとが相溶し、その結果、硬化物の透明性が高くなる。
エポキシ(メタ)アクリレートCは、芳香族環を有さない。エポキシ(メタ)アクリレートが芳香族環を有さないことで、硬化物のアッベ数の低下が抑えられる。
エポキシ(メタ)アクリレートCにおけるエチレン性不飽和基の物質量は、エポキシ(メタ)アクリレートCの1gあたり、0.1〜3.0mmol/gであり、0.3〜2.7mmol/gが好ましく、0.5〜2.5mmol/gがより好ましい。前記エチレン性不飽和基の物質量が前記範囲の下限値以上であれば、充分に硬化できる。エチレン性不飽和基の物質量が前記範囲の上限値以下であれば、硬化性組成物を硬化するときに硬化物が収縮しにくく、硬化物にクラックが発生しにくい。そのため、硬化物を光学部材として好適に使用できる。
エポキシ(メタ)アクリレートCの市販品としては、新中村化学工業社製のNKオリゴ(EA−5311、EA−5511等)、ナガセケムテックス社製のデナコールアクリレート(DA−722、DA−314等)、MIWON社製のエポキシアクリレート(Miramer PE230等)を例示できる。
ウレタン(メタ)アクリレートDは、芳香族環を有さないウレタン(メタ)アクリレート(ただし、オルガノポリシロキサン、(メタ)アクリレートB及びエポキシ(メタ)アクリレートCを除く。)である。
ウレタン(メタ)アクリレートDはアッベ数を低下させる芳香族環を有さないため、硬化物のアッベ数の低下が抑えられる。
ウレタン(メタ)アクリレートDは、ウレタン結合を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する。ウレタン(メタ)アクリレートDは、水素結合性を示すウレタン結合を有するため、特に表面にシラノール基を有する金属酸化物微粒子Aとの相溶性がよい。また、(メタ)アクリレートB及びエポキシ(メタ)アクリレートCとも相溶性がよい。そのため、ウレタン(メタ)アクリレートDを含む硬化性組成物中では、金属酸化物微粒子Aと(メタ)アクリレートBとエポキシ(メタ)アクリレートCとウレタン(メタ)アクリレートDが相溶し、その結果、硬化物の透明性が高くなる。さらに、水素結合性を示すウレタン結合を有しており、硬化物の柔軟性が向上するため、耐クラック性が高くなる。特に硬化物の厚みが5mm以上のときや硬化物の体積が1cm以上となるときにその効果が顕著となる。評価サンプルの作製の簡便さの観点から、硬化物の厚みは50mm以下、体積は50cm以下が好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートDにおけるエチレン性不飽和基の物質量は、ウレタン(メタ)アクリレートDの1gあたり、0.1〜3.0mmol/gであり、0.3〜2.7mmol/gが好ましく、0.5〜2.5mmol/gがより好ましい。かかる物質量が前記範囲の下限値以上であれば、充分に硬化できる。かかる物質量が前記範囲の上限値以下であれば、硬化性組成物を硬化するときに硬化物が収縮しにくく、硬化物にクラックが発生しにくい。そのため、硬化物を光学部材として好適に使用できる。
ウレタン(メタ)アクリレートDの市販品としては、新中村化学工業社製のNKオリゴ(UA−160TM、U−412A、UA−4200、UA−4400、UA−122P等)、ダイセル・オルネクス社製のEBECRYL(8402、8807、9260等)、ダイセル・オルネクス社製のKRM(8667、8904等)、共栄社化学社製のUA−306H、UA−306T、UA−306I、UA−510H、日本化薬社製のUX−3204、UX−4101、UX−8101を例示できる。
硬化性組成物に含まれるウレタン(メタ)アクリレートDは、1種でもよく、2種以上でもよい。
酸化防止剤は、フェノール部位を有する酸化防止剤と、スルフィド部位を有する酸化防止剤(ただし、前記のフェノール部位を有する酸化防止剤を除く。)とを含む。
フェノール部位を有する酸化防止剤は、硬化物中に発生した着色の原因となるラジカルを捕捉し、硬化物の透明性の低下を抑える。スルフィド部位を有する酸化防止剤は、ラジカルを捕捉したフェノール部位を有する酸化防止剤を再生できる。よって、フェノール部位を有する酸化防止剤とスルフィド部位を有する酸化防止剤とを併用することによって、長期にわたって硬化物の透明性の低下を抑制できる。
フェノール部位を有する酸化防止剤の市販品としては、BASFジャパン社製のIRGANOX(商品名)(259、1010、1035、1076、1098、1135等)、ADEKA社製のアデカスタブ(商品名)(AO−50、AO−60等)を例示できる。フェノール部位を有する酸化防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
スルフィド部位を有する酸化防止剤の市販品としては、東京化成工業社製の硫黄系酸化防止剤T0205、ADEKA社製のアデカスタブ(商品名)(AO−412S、AO−503等)を例示できる。スルフィド部位を有する酸化防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
酸化防止剤は、フェノール部位を有する酸化防止剤及びスルフィド部位を有する酸化防止剤以外の酸化防止剤を含んでもよい。
全ての酸化防止剤のうちのフェノール部位を有する酸化防止剤及びスルフィド部位を有する酸化防止剤の合計の割合は、50質量%以上が好ましく、100質量%が特に好ましい。
フェノール部位を有する酸化防止剤及びスルフィド部位を有する酸化防止剤の合計のうちのフェノール部位を有する酸化防止剤の割合は、5〜95質量%が好ましく、10〜90質量%がより好ましく、15〜85質量%がさらに好ましい。
硬化性組成物に含まれる酸化防止剤は、1種でもよく、2種以上でもよい。
本発明の硬化性組成物に含まれるオルガノポリシロキサンは、硬化したときに硬化物の表面に偏析しやすい。そのため、本発明の硬化性組成物を硬化した硬化物は、無機基材や無機化合物層への密着性に優れる。
オルガノポリシロキサンは、下式f1で表される構成単位(以下、「単位f1」とも記す。)、下式f2で表される構成単位(以下、「単位f2」とも記す。)、下式f3で表される構成単位(以下、「単位f3」とも記す。)、及び下式f4で表される構成単位(以下、「単位f4」とも記す。)からなる群から選ばれる少なくとも1種を有する。
Figure 2020132857
ただし、前記式f1〜f4中、R〜Rは、それぞれ独立して、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基、アリール基、炭素原子7〜12のアラルキル基、エチレン性不飽和基を有する基、又は水素原子である。−*は、結合手である。
炭素原子数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基を例示できる。
炭素原子数3〜8のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基を例示できる。
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−ビニルフェニル基、3−イソプロピルフェニル基を例示できる。
炭素原子数が7〜12のアラルキル基としては、ベンジル基、ジフェニルメチル基、ナフチルメチル基を例示できる。
エチレン性不飽和基を有する基としては、−Q−CR=CH、−Q−O−CO−CR=CH(ただし、前記式中、Qは、単結合、又は炭素原子数1〜6のアルキレン基である。Rは、水素原子又はメチル基である。)を例示できる。
の炭素原子数1〜6のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、tert−ペンチレン基、1−メチルブチレン基、2−メチルブチレン基、1,2−ジメチルプロピレン基、1−エチルプロピレン基、ヘキシレン基、イソヘシレン基、1−メチルペンチレン基、2−メチルペンチレン基、3−メチルペンチレン基、1,1−ジメチルブチレン基、1,2−ジメチルブチレン基、2,2−ジメチルブチレン基、1−エチルブチレン基、1,1,2−トリメチルプロピレン基、1,2,2−トリメチルプロピレン基、1−エチル−2−メチルプロピレン基、1−エチル−1−メチルプロピレン基を例示できる。
としては、原料の入手の容易さから単結合、又は炭素原子数が2〜4のアルキレン基が好ましい。
〜Rとしては、表面への偏析のしやすさから、炭素原子数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜3のアルキル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
単位f1〜f4のうち、長期的に安定である点、粘度が低く扱いやすい点から、単位f1、単位f2、単位f3が好ましく、単位f1、単位f2がより好ましい。
硬化性の点から、オルガノポリシロキサンは、エチレン性不飽和基を有することが好ましい。
オルガノポリシロキサンは、鎖状であってもよく、環状であってもよい。
鎖状のオルガノポリシロキサンとしては、製造のしやすさから、下式F1で表されるオルガノポリシロキサンF1が好ましい。
Figure 2020132857
ただし、前記式F1中、R11及びR21は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜6のアルキル基、又は水素原子である。i及びjは、それぞれ独立に0〜2である。Q及びQは、それぞれ独立して、i、jが0の場合は炭素原子数1〜6のアルキル基であり、i、jが1の場合は単結合、又は炭素原子数1〜6のアルキレン基であり、i、jが2の場合は炭素原子数1〜6の3価の炭化水素基である。X及びXは、−CR=CH、−O−CO−CR=CH(ただし、Rは、水素原子又はメチル基である。)、又は−Si(R(OR3−b(ただし、R及びRは、それぞれ独立して、炭素原子数1〜3のアルキル基である。bは、0〜3である。)である。aは、0〜300である。
11及びR21の炭素原子数1〜6のアルキル基としては、R〜Rの炭素原子数1〜6のアルキル基として例示したものと同じものを例示できる。複数のR11及びR21は、同じ基であってもよく、異なる基であってもよい。R11及びR21としては、表面偏析のしやすさから、炭素原子数1〜3のアルキル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
aは、0〜100が好ましく、0〜50がより好ましい。
及びRとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基を例示できる。
bとしては、1〜2が好ましい。
及びXとしては、−CR=CH、又は−O−CO−CR=CHが好ましく、−O−CO−CR=CHが特に好ましい。
及びQとしては、原料の入手の容易さから単結合、又は炭素原子数が2〜4のアルキレン基が好ましい。
オルガノポリシロキサンF1のなかでも、下式F11で表されるオルガノポリシロキサンF11がより好ましい。
Figure 2020132857
ただし、前記式F11におけるR11、R21、Q、Q、R、aは、前記式F1のR11、R21、Q、Q、R、aと同じである。i及びjは、それぞれ独立に0〜2である。複数のR11、R21は、同じ基であってもよく、異なる基であってもよい。Q及びQは、同じ基であってもよく、異なる基であってもよい。複数のRは、同じ基であってもよく、異なる基であってもよい。
環状のオルガノポリシロキサンとしては、下式F2で表されるオルガノポリシロキサンF2が好ましい。
Figure 2020132857
ただし、前記式F2中、R11〜R31は、式F1のR11及びR21と同じである。Qは、単結合、又は炭素原子数1〜6のアルキレン基である。Xは、式F1のX及びXと同じである。cは、0〜12である。dは、0〜12である。c+dは、1〜24である。
cは、0〜10が好ましく、2〜8がより好ましい。
dは、0〜10が好ましく、2〜8がより好ましい。
オルガノポリシロキサンF2の具体例としては、下式F21で表される化合物、下式F22で表される化合物、下式F23で表される化合物を例示できる。ただし、下式F21〜F23中のR11〜R31、Q、Xは、式F1のR11及びR21、式F2のQ、Xと同じである。
Figure 2020132857
オルガノポリシロキサンのMwは、100〜100,000が好ましく、120〜75,000がより好ましく、150〜50,000がさらに好ましい。オルガノポリシロキサンのMwが前記範囲の下限値以上であれば、表面偏析できる。オルガノポリシロキサンのMwが前記範囲の上限値以下であれば、他の成分と均一に相溶させられる。
なお、オルガノポリシロキサンは、エポキシ基を有していてもよい。
硬化性組成物に含まれるオルガノポリシロキサンは、1種でもよく、2種以上でもよい。
ラジカル重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤、熱ラジカル重合開始剤を例示できる。硬化物を製造しやすい点から、光ラジカル重合開始剤が好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、アルキルフェノン系、アシルホスフィンオキシド系、チタノセン系、オキシムエステル系、オキシフェニル酢酸エステル系、ベンゾイン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンジル−(o−エトキシカルボニル)−α−モノオキシム、グリオキシエステル、3−ケトクマリン、2−エチルアンスラキノン、カンファーキノン、テトラメチルチウラムスルフィド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシピバレートを例示できる。感度及び相溶性の点から、アルキルフェノン系、アシルホスフィンオキシド系、ベンゾイン系又はベンゾフェノン系が好ましい。
熱ラジカル重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシドを例示できる。分解温度の点から、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシドが好ましい。
硬化性組成物に含まれるラジカル重合開始剤は、1種でもよく、2種以上でもよい。
本発明の硬化性組成物は、界面活性剤、チクソトロピック剤、消泡剤、光安定剤、ゲル化防止剤、光増感剤、樹脂、樹脂オリゴマー、炭素化合物、金属微粒子、金属酸化物粒子(ただし、金属酸化物微粒子Aを除く。)、シランカップリング剤、他の有機化合物等の添加剤を含んでいてもよい。
本発明の硬化性組成物は、溶媒を含んでもよい。ただし、硬化性組成物を硬化する前には、溶媒を除去することが好ましい。
溶媒としては、(メタ)アクリレートB、オルガノポリシロキサン、エポキシ(メタ)アクリレートC、ウレタン(メタ)アクリレートD、酸化防止剤、及びラジカル重合開始剤を溶解可能な溶媒であればいずれも使用できる。なかでも、エステル構造、ケトン構造、水酸基、芳香族炭化水素基、エーテル構造のいずれか1つ以上を有する溶媒が好ましい。溶媒としては、1−メトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−プロパノール、トルエンが好ましく、メチルエチルケトン、2−プロパノール、トルエンが特に好ましい。
本発明において溶媒を使用する場合、硬化性組成物中の溶媒の含有量は、目的の粘度、塗布性、目的とする膜厚等によって適宜調整すればよい。
硬化性組成物中の金属酸化物微粒子Aの割合は、金属酸化物微粒子A、(メタ)アクリレートB、オルガノポリシロキサン、エポキシ(メタ)アクリレートC及びウレタン(メタ)アクリレートDの合計質量のうち、3〜55質量%が好ましく、5〜51質量%がより好ましく、15〜50質量%がさらに好ましく、15〜40質量%が特に好ましく、15〜25質量%が最も好ましい。金属酸化物微粒子Aの割合が前記範囲の下限値以上であれば、硬化物のアッベ数が高くなる。金属酸化物微粒子Aの割合が前記範囲の上限値以下であれば、他の成分との相溶性がよく、硬化性組成物において金属酸化物微粒子Aが均一に分散しやすく、硬化物の透明性に優れる。また、硬化物が脆くなりにくく、硬化物にクラックが発生しにくい。
硬化性組成物中の(メタ)アクリレートBの割合は、金属酸化物微粒子A、(メタ)アクリレートB、オルガノポリシロキサン、エポキシ(メタ)アクリレートC及びウレタン(メタ)アクリレートDの合計質量のうち、3〜70質量%が好ましく、5〜66質量%がより好ましく、20〜65質量%がさらに好ましく、40〜55質量%が特に好ましく、45〜50質量%が最も好ましい。(メタ)アクリレートBの割合が前記範囲の下限値以上であれば、硬化性組成物の硬化性がよい。(メタ)アクリレートBの割合が前記範囲の上限値以下であれば、硬化物のアッベ数が高くなる。
硬化性組成物中のオルガノポリシロキサンの割合は、金属酸化物微粒子A、(メタ)アクリレートB、オルガノポリシロキサン、エポキシ(メタ)アクリレートC及びウレタン(メタ)アクリレートDの合計質量のうち、3〜60質量%が好ましく、5〜55質量%がより好ましく、10〜50質量%がさらに好ましく、15〜45質量%が特に好ましく、20〜40質量%が最も好ましい。オルガノポリシロキサンの割合が前記範囲の下限値以上であれば、無機基材や無機化合物層との密着性に優れる。オルガノポリシロキサンの割合が前記範囲の上限値以下であれば、他の成分の特性を損なうことがない。
エポキシ(メタ)アクリレートCは、本発明の硬化性組成物において必要に応じて含まれる。硬化性組成物中のエポキシ(メタ)アクリレートCの割合は、金属酸化物微粒子A、(メタ)アクリレートB、オルガノポリシロキサン、エポキシ(メタ)アクリレートC及びウレタン(メタ)アクリレートDの合計質量のうち、0〜80質量%が好ましく、10〜65質量%がより好ましく、20〜50質量%がさらに好ましく、22〜46質量%が特に好ましく、24〜42質量%が最も好ましい。エポキシ(メタ)アクリレートCの割合が前記範囲の下限値以上であれば、他の成分との相溶性がよく、硬化物の透明性に優れる。エポキシ(メタ)アクリレートCの割合が前記範囲の上限値以下であれば、硬化物のアッベ数が高くなる。
ウレタン(メタ)アクリレートDは、本発明の硬化性組成物において必要に応じて含まれる。硬化性組成物中のウレタン(メタ)アクリレートDの割合は、金属酸化物微粒子A、(メタ)アクリレートB、オルガノポリシロキサン、エポキシ(メタ)アクリレートC及びウレタン(メタ)アクリレートDの合計質量のうち、0〜40質量%が好ましく、3〜36質量%がより好ましく、5〜32質量%がさらに好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートDの割合が前記範囲の下限値以上であれば、硬化物の柔軟性を向上させることができるため、耐クラック性が高くなる。ウレタン(メタ)アクリレートDの割合が前記範囲の上限値以下であれば、硬化物のアッベ数が高くなる。
硬化性組成物中の酸化防止剤の割合は、金属酸化物微粒子A、(メタ)アクリレートB、オルガノポリシロキサン、エポキシ(メタ)アクリレートC及びウレタン(メタ)アクリレートDの合計質量100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜8質量部がより好ましく、1〜6質量部がさらに好ましい。酸化防止剤の割合が前記範囲の下限値以上であれば、長期にわたって硬化物の透明性の低下を抑制できる。酸化防止剤の割合が前記範囲の上限値以下であれば、硬化物の硬化性の低下を防止できる。
硬化性組成物中のラジカル重合開始剤の割合は、金属酸化物微粒子A、(メタ)アクリレートB、オルガノポリシロキサン、エポキシ(メタ)アクリレートC及びウレタン(メタ)アクリレートDの合計質量100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.2〜7質量部がより好ましく、0.5〜5質量部がさらに好ましい。ラジカル重合開始剤の割合が前記範囲の下限値以上であれば、容易に硬化物を形成できる。ラジカル重合開始剤の割合が前記範囲の上限値以下であれば、均一に混合できることから、硬化物に残存するラジカル重合開始剤が少なくなり、硬化物の物性の低下が抑えられる。
添加剤等の他の成分の合計の量は、金属酸化物微粒子A、(メタ)アクリレートB、オルガノポリシロキサン、エポキシ(メタ)アクリレートC及びウレタン(メタ)アクリレートDの合計質量100質量部に対して、5質量部以下が好ましく、3質量部以下がより好ましい。
なお、本発明の硬化性組成物がエポキシ(メタ)アクリレートCを含み、ウレタン(メタ)アクリレートDを含まない場合、各成分の割合の算定の基準は、ウレタン(メタ)アクリレートDの割合が0質量%のため、実質的には金属酸化物微粒子A、(メタ)アクリレートB、オルガノポリシロキサン及びエポキシ(メタ)アクリレートCの合計となる。
本発明の硬化性組成物がウレタン(メタ)アクリレートDを含み、エポキシ(メタ)アクリレートCを含まない場合、各成分の割合の算定の基準は、エポキシ(メタ)アクリレートCの割合が0質量%のため、実質的には金属酸化物微粒子A、(メタ)アクリレートB、オルガノポリシロキサン及びウレタン(メタ)アクリレートDの合計となる。
本発明の硬化性組成物がエポキシ(メタ)アクリレートCとウレタン(メタ)アクリレートDの両方を含まない場合、各成分の割合の算定の基準は、実質的には金属酸化物微粒子A、(メタ)アクリレートB及びオルガノポリシロキサンの合計となる。
[硬化物]
本発明の硬化物は、本発明の硬化性組成物を硬化した硬化物であり、脂環式縮合環を有するマトリックス樹脂と、マトリックス樹脂中に分散した金属酸化物微粒子とを含む。
マトリックス樹脂は、例えば、本発明の硬化性組成物における(メタ)アクリレートB、エポキシ(メタ)アクリレートC、ウレタン(メタ)アクリレートD、オルガノポリシロキンサン等の、金属酸化物微粒子A以外の成分が硬化したものである。
硬化物中の金属酸化物微粒子の割合は、マトリックス樹脂及び金属酸化物微粒子の合計のうち、3〜55質量%が好ましく、5〜51質量%がより好ましく、15〜50質量%がさらに好ましい。金属酸化物微粒子の割合が前記範囲の下限値以上であれば、高温高湿環境下でも硬化物の酸化劣化、形状変化等の変質が起こりにくい。金属酸化物微粒子の割合が前記範囲の上限値以下であれば、硬化物の透明性に優れる。また、硬化物が脆くなりにくく、硬化物にクラックが発生しにくい。
硬化物中のマトリックス樹脂の割合は、マトリックス樹脂及び金属酸化物微粒子の合計のうち、45〜97質量%が好ましく、49〜95質量%がより好ましく、50〜85質量%がさらに好ましい。
硬化物の厚みは、特に限定されず、例えば、0.05〜10.0mmにできる。
硬化物の形成方法としては、微細パターンの反転パターンを表面に有するモールドと硬化性組成物とを接触させた状態で前記硬化性組成物を硬化させ、微細パターンを表面に有する硬化物を形成する方法(インプリント法)を例示できる。また、モールドのキャビティ内に硬化性組成物を注入し、前記硬化性組成物を硬化させて硬化物を形成する方法(注型成形法)でもよい。
硬化方法は、光硬化又は熱硬化が挙げられ、重合開始剤に応じて適宜選択すればよい。硬化方法としては、硬化物の製造のしやすさの点から、光硬化が好ましい。
本発明の硬化性組成物を硬化した硬化物の厚み1mmあたりの波長400nmの光の透過率は、30%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、88%以上がさらに好ましく、90%以上がさらに好ましい。前記透過率が前記下限値以上であれば、硬化物の透明性がさらに優れる。
硬化物の厚み1mmあたりの波長400nmの光の透過率は下式1から求める。
T=T×(1−r) ・・・式1
ただし、Tは、硬化物の厚み1mmあたりの波長400nmの光の透過率である。r={(n−1)/(n+1)}である。Tは、硬化物の厚み1mmあたりの波長400nmの光の内部透過率であり、下式2から求める。nは、硬化物の25℃における波長400nmの光に対する屈折率である。
=(T/100)1/Y×100 ・・・式2
ただし、Tは、硬化物の厚みYmmあたりの波長400nmの光の内部透過率であり、下式3から求める。
=(硬化物の厚みYmmあたりの波長400nmの光の透過率)/(1−r) ・・・式3
式2及び式3から求めた、硬化物の厚み1mmあたりの波長400nmの光の内部透過率は、50%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、95%以上がさらに好ましく、97%以上がさらに好ましい。前記内部透過率が前記範囲の下限値以上であれば、硬化物の透明性が特に優れる。前記内部透過率は高ければ高いほどよく、上限は100%である。
温度85℃、相対湿度85%の雰囲気で1000時間保持した後における、硬化物の厚み1mmあたりの波長400nmの光の内部透過率は、50%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、95%以上がさらに好ましく、96%以上がさらに好ましい。前記内部透過率が前記範囲の下限値以上であれば、長期にわたって硬化物の透明性の低下を抑制できる。
下式4によって、硬化物の厚み1mmあたりの、耐湿熱試験前後における、波長400nmの光の内部透過率の保持率を算出する。
内部透過率の保持率(%)=(耐熱試験後の硬化物の厚さ1mmあたりの波長400nmの光の内部透過率/耐熱試験前の硬化物の厚さ1mmあたりの波長400nmの光の内部透過率)×100 ・・・式4
式4から求めた、耐湿熱試験前後の内部透過率の保持率は、95%以上が好ましく、97%以上がより好ましく、99%以上がさらに好ましい。前記内部透過率の保持率が前記範囲の下限以上であれば、長期にわたって硬化物の透明性の低下を抑制できる。
以上説明したように、本発明の硬化性組成物は、金属酸化物微粒子A、(メタ)アクリレートB、特定の酸化防止剤、オルガノポリシロキサン、及びラジカル重合開始剤を必須成分として含む。(メタ)アクリレートBとラジカル重合開始剤を含み、ラジカル重合によって硬化するため、本発明の硬化性組成物は硬化性に優れ、硬化物は耐熱性に優れる。また、オルガノポリシロキサンを含むため、本発明の硬化性組成物を硬化した硬化物は無機基材や無機化合物層への密着性に優れる。そのため、高温高湿環境下に長期間晒されても、硬化物と無機基材の間や、硬化物と無機化合物層との間で剥がれが生じにくい。
また、本発明の硬化性組成物では、金属酸化物微粒子A、(メタ)アクリレートB及び特定の酸化防止剤と、必要に応じて用いるエポキシ(メタ)アクリレートC及びウレタン(メタ)アクリレートDを用いるため、形成される硬化物の透明性にも優れる。
[積層体]
本発明の積層体は、本発明の硬化性組成物が硬化した硬化物と、前記硬化物上に設けられている無機化合物層とを有する。本発明の積層体としては、例えば、無機基材と、無機基材の表面に設けられた本発明の硬化性組成物が硬化した硬化物と、前記硬化物の前記無機基材の反対側の表面に設けられた無機化合物層とを有する積層体を例示できる。
無機基材としては、ガラス、石英ガラス、金属等の無機材料製基材を例示できる。無機基材は、平面状の基材であってもよく、曲面状の基材であってもよい。
無機基材の厚みは、特に限定されず、例えば、0.025〜5.0mmにできる。
硬化物のガラス転移温度は、90〜350℃が好ましく、100〜350℃がより好ましく、150〜350℃がさらに好ましく、200〜350℃が特に好ましい。硬化物のガラス転移温度が下限値以上であれば、高温高湿下で硬化物が軟化しにくい。硬化物のガラス転移温度が上限値以下であれば、本発明の硬化性組成物を入手しやすい。
硬化物の波長589nmの光に対する屈折率は、1.45以上が好ましく、1.48〜1.53がより好ましい。屈折率が前記範囲内であれば、ガラス基板等の他部材と組み合せた場合であってもフレネル反射が起こりにくく、透過率の損失が少ない。
硬化物の下式5から求めたアッベ数は、54以上が好ましく、56以上がより好ましく、58以上がさらに好ましい。アッベ数が前記範囲の下限値以上であれば、色収差が発生しにくい。アッベ数は高ければ高いほどよく、上限は特に限定されないが、有機物であることを考慮すると70程度である。
ν=(n−1)/(n−n) ・・・式5
ただし、νは、アッベ数である。nは、波長589nmの光に対する屈折率である。nは、波長486nmの光に対する屈折率である。nは、波長656nmの光に対する屈折率である。
積層体における硬化物の厚みは、特に限定されず、例えば、0.05〜10.0mmにできる。
硬化物の形成方法としては、微細パターンの反転パターンを表面に有するモールドと硬化性組成物とを接触させた状態で前記硬化性組成物を硬化させ、微細パターンを表面に有する硬化物を形成する方法(インプリント法)を例示できる。また、モールドのキャビティ内に硬化性組成物を注入し、前記硬化性組成物を硬化させて硬化物を形成する方法(注型成形法)でもよい。
硬化方法は、光硬化又は熱硬化が挙げられ、重合開始剤に応じて適宜選択すればよい。硬化方法としては、硬化物の製造のしやすさの点から、光硬化が好ましい。
無機化合物層を形成する無機化合物としては、金属化合物を例示できる。金属化合物の金属種としては、Si、Zn、Zr、Ti、Ta、Nb、In、Sn、Y、W、Al、Cr、Gaを例示できる。光学特性制御の点から、金属化合物の金属種としては、Si、Zn、Zr、Ti、Ta、Nb、In、Sn、Y、W、Al、Cr及びGaからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、Si、Ti、Ta又はNbがより好ましい。
無機化合物層を形成する無機化合物としては、SiO、SiC、ZnO、ZrO、TiO、Ta、Nb、In、SnO、Y、WO、Al、TiC、TiN、Cr3、Gaを例示できる。光学特性制御の点から、無機化合物としては、SiO、SiC、ZnO、ZrO、TiO、Ta、Nb、In、SnO、Y、WO、Al、TiC、TiN、Cr及びGaからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、SiO、TiO、Ta又はNbがより好ましい。
無機化合物層としては、金属化合物の蒸着膜層を例示できる。
無機化合物層の厚みは、特に限定されず、例えば、10〜5000nmにできる。
無機化合物層を形成する方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法を例示できる。
以上説明した本発明の積層体は、本発明の硬化性組成物を硬化した硬化物を有するため、耐熱性に優れ、硬化物と無機基材及び無機化合物層との密着性に優れるため、高温高湿環境下に長期間晒されても剥がれが生じにくい。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。例1〜5は実施例であり、例6、7は比較例である。
[評価方法]
(金属酸化物微粒子のメディアン径)
動的光散乱法による粒度分布測定器(大塚電子社製、FPAR1000)を用いて求めた。
(評価サンプルIの作製)
離型処理した石英ガラス基板の表面に(メタ)アクリレート又は硬化性組成物を塗布した。離型処理したスライドガラス基板と石英ガラス基板とを厚み100μmのスペーサーを介して向かい合わせ、それらの間に硬化性組成物を挟み込んだ。その状態で、高圧水銀ランプから紫外線を露光量:3000mJ/cmで硬化性組成物に照射した。離型処理した石英ガラス基板を剥がし、硬化物の表面をエタノールで洗浄し、乾燥させた後、180℃で15分間熱処理した。スライドガラス基板を剥がすことで、厚み100μmの評価サンプルI(硬化物)を得た。
(ガラス転移温度)
示差走査熱量計(TAインスツルメント社製、DSC−Q20)を用い、窒素雰囲気下で評価サンプルIを10℃から350℃まで20℃/分の速度で昇温し、ガラス転移温度を求めた。350℃でガラス転移温度が観測されないものについては、ガラス転移温度は350℃以上とした。
(エチレン性不飽和基の物質量)
FT−NMR装置(日本電子社製、JNM−AL300)を用いて、エポキシアクリレート又は硬化性組成物のH−NMRスペクトルを測定した(300MHz、溶媒:CDCl、基準:テトラメチルシラン)。内部標準を1,4−ビス(トリフルオロベンゼン)とし、6ppm付近のエチレン性不飽和基の物質量を算出した。
(硬化性組成物の屈折率)
アッベ屈折計(アタゴ社製、多波長アッベ屈折計DR−M2)を用い、温度25℃、波長589nmにおいて測定した。
(硬化性組成物のアッベ数)
アッベ屈折計(同上)を用い、温度25℃で、波長589nm、486nm及び656nmのそれぞれの屈折率を測定し、上式5から算出した。
(硬化性)
硬化性組成物について、粘弾性測定装置(商品名「MCR301」、アントンパール・ジャパン(株)製)と紫外線照射装置(商品名「LC8」、浜松ホトニクス(株)製)を使用し、UV照射時における粘弾性挙動を測定することにより反応速度(硬化性)の評価を実施した。具体的には、貯蔵弾性率が1×10Paに達する点をゲル化点の目安とし、UV照射後からの時間(UV照射開始から貯蔵弾性率が1×10Paに達するまでの時間(秒))を計測した。尚、粘弾性測定装置の分析条件は以下の通りである。
測定モード:振動モード
測定プレート形状:パラレル(12mmφ)
測定温度:25℃
測定周波数:1Hz
測定ひずみ:0.1%
(評価サンプルII、IIIの作製)
離型処理した石英ガラス基板の表面に硬化性組成物を塗布した。離型処理していないスライドガラス基板と離形処理した石英ガラス基板とを厚み1mmのスペーサーを介して向かい合わせ、それらの間に硬化性組成物を挟み込んだ。その状態で、高圧水銀ランプから紫外線を露光量:3000mJ/cmで硬化性組成物に照射した。離型処理した石英ガラス基板を剥がし、硬化物の表面をエタノールで洗浄し、乾燥させた後、180℃で15分間熱処理して、スライドガラス基板の表面に厚み1mmの硬化物が形成された評価サンプルIIを得た。
評価サンプルIIIは、離形処理していないスライドガラス基板に代えて、プライマー処理したスライドガラス基板を用いる以外は評価サンプルIIと同様にして作製した。
(評価サンプルIVの作製)
評価サンプルII又はIIIの硬化物上に、スパッタリングガス圧力0.30Pa、ArとOの流量比1:9、成膜室内温度30℃で金属酸化物(SiO、TiO、Nb、Ta、ZrO)をスパッタリング成膜し、膜厚200nmの無機化合物層を成膜した。
(硬化物の屈折率)
屈折率測定装置(米国メトリコン社製プリズムカプラ:2010/M)を用いて、温度:25℃で、評価サンプルIの厚み100μmの硬化物について、波長473nm、594nm及び658nmの光に対する屈折率を測定し、装置付属のMetricon Fitを用いて波長589nmの光に対する屈折率を算出した。
(硬化物のアッベ数)
前記屈折率測定装置付属のMetricon Fitを用いて各波長における評価用硬化物の屈折率を算出し、上式5からアッベ数を算出した。
(耐湿熱試験)
評価サンプルII、III、IVを温度85℃、相対湿度85%の雰囲気下で1000時間保持した。
(透過率の測定)
耐湿熱試験の前後の評価サンプルII、IIIの硬化物について、紫外・可視・近赤外分光光度計(島津製作所社製、Solid Spec−3700)を用い、波長400nmの光に対する透過率を測定した。
(硬化物と無機化合物層との密着性)
JIS Z1522で規定されている粘着テープを、耐湿熱試験後の評価サンプルIVの無機化合物層上に貼り付けた後に剥離した。次いで、無機化合物層側の外観を目視し、無機化合物層の剥がれを確認して、下記の基準で無機化合物層との密着性の評価を行った。
〇:剥がれが一切発生しなかった。
△:一部剥がれが発生した。
×:完全に剥がれた。
[原料]
本実施例で使用した原料を以下に示す。
(金属酸化物微粒子A分散液)
金属酸化物微粒子A−1分散液:オルガノシリカゾル(日産化学工業社製、MEK−ST−40、分散媒:メチルエチルケトン、SiO濃度:40質量%、粒子形状:球状、粒子径(メディアン径):10nm、微粒子の有機分:3質量%)。
金属酸化物微粒子A−2分散液:オルガノシリカゾル(日産化学工業社製、TOL−ST、分散媒:トルエン、SiO濃度:40質量%、粒子形状:球状、粒子径(メディアン径):10nm、微粒子の有機分:5質量%)。
金属酸化物微粒子A−3分散液:表面修飾ジルコニア粒子分散液(pixelligent社製、(製品名)PCPR−50−ETA、分散媒:酢酸エチル、ZrO濃度:50質量%、粒子径(メディアン径):10nm、微粒子の有機分:17質量%)。
金属酸化物微粒子A−4分散液:チタニアゾル(catalyst and chemical社製、(製品名)Optolake 6320z(11RU−7・MK)、分散媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、TiO濃度:20質量%、粒子径(メディアン径):13nm、微粒子の有機分:8質量%)。
((メタ)アクリレートB)
アクリレートB−1:ジシクロペンタニルアクリレート(下式B−1で表される化合物。東京化成工業社製、単独重合体のガラス転移温度:120℃)。
アクリレートB−2:イソボルニルアクリレート(下式B−2で表される化合物。東京化成工業社製、単独重合体のガラス転移温度:90℃)。
メタクリレートB−3:1−アダマンチルメタクリレート(下式B−3で表される化合物。大阪有機化学工業社製、ADMA、単独重合体のガラス転移温度:250℃)。
Figure 2020132857
(エポキシ(メタ)アクリレートC)
エポキシアクリレートC−1:エポキシアクリレート(新中村化学工業社製、NKオリゴEA−5311、トリメチロールプロパンとエピクロロヒドリンとの反応物にアクリル酸を付加した化合物、エチレン性不飽和基の物質量:2.8mmol/g)。
エポキシアクリレートC−2:エポキシアクリレート(新中村化学工業社製、NKオリゴEA−5511、グリシジルエーテルにアクリル酸を付加した化合物、エチレン性不飽和基の物質量:1.5mmol/g)。
(ウレタン(メタ)アクリレートD)
ウレタンアクリレートD−1:ウレタンアクリレート(新中村化学工業社製、UA−4200、質量平均分子量:1300、エチレン性不飽和基の物質量:1.5mmol/g)。
(酸化防止剤)
酸化防止剤E−1:テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(下式E−1で表される化合物。BASFジャパン社製、IRGANOX(商品名)1010)。
酸化防止剤E−2:2、2’−チオジエチルビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート(下式E−2で表される化合物。BASFジャパン社製、IRGANOX(商品名)1035)。
酸化防止剤E−3:3,3’−チオジプロピオン酸ジドデシル(下式E−3で表される化合物、東京化成工業社製)。
酸化防止剤E−4:2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト(下式E−4で表される化合物。ADEKA社製、(商品名)HP−10)。
Figure 2020132857
(オルガノポリシロキサン)
オルガノポリシロキサンF−1:オルガノポリシロキサン(下式F−1で表される化合物。信越化学社製、X−22−164AS)。
オルガノポリシロキサンF−2:環状シロキサン(信越化学工業社製、(商品名)X−40−2670)。
オルガノポリシロキサンF−3:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとポリエーテルの混合物(ビックケミー・ジャパン社製、(商品名)BYK−307)。
Figure 2020132857
(エポキシ化合物)
エポキシ化合物I−1:特開2018−008518号公報の[0138]調製例1に記載の方法にて合成した化合物、(3,4,3’,4’−ジエポキシ)ビシクロヘキシル。
エポキシ化合物I−2:非エステル系水添ビスフェノール型ジグリシジル化合物(三菱化学社製、YX8000)。
(ラジカル重合開始剤)
ラジカル重合開始剤G−1:2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン(BASFジャパン社製、Irgacure(商品名)1173)。
ラジカル重合開始剤G−2:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(BASFジャパン社製、Irgacure(商品名)TPO)。
(カチオン重合開始剤)
カチオン重合開始剤H−1:4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート(サンアプロ社製、(商品名)CPI−101A)。
[例1〜7]
固形分の割合が表1に示す割合となるように、金属酸化物微粒子A分散液、(メタ)アクリレートB、オルガノポリシロキサン、エポキシ(メタ)アクリレートC、及びウレタン(メタ)アクリレートDを、溶媒としてメチルエチルケトン、トルエン、酢酸エチル又はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを単独又は二種以上用いて均一になるように混合し、40℃で溶媒を減圧留去した。次いで、得られた混合物に、酸化防止剤、及びラジカル重合開始剤を表1に示す添加量で添加して硬化性組成物を得た。
各例の評価結果を表2及び表3に示す。
Figure 2020132857
Figure 2020132857
Figure 2020132857
表2及び表3に示すように、金属酸化物微粒子A、(メタ)アクリレートB、酸化防止剤、オルガノポリシロキサン、及びラジカル重合開始剤を含む例1〜5の硬化性組成物は、硬化性に優れていた。また、耐湿熱試験後の硬化物と無機化合物層との密着性に優れ、また耐湿熱試験の前後の硬化物の透過率の変化が小さかった。
一方、オルガノポリシロキサンを含まない例6の硬化性組成物では、硬化物と無機化合物層との密着性が劣っていた。(メタ)アクリレートBを含まない例7の硬化性組成物では、硬化性に劣り、また硬化物の耐湿熱性が劣っていた。

Claims (10)

  1. 芳香族環を有さず、メディアン径が5〜20nmである金属酸化物微粒子Aと、
    オルガノポリシロキサンを除く、脂環式縮合環を有し、単独重合体のガラス転移温度が90〜350℃である(メタ)アクリレートBと、
    酸化防止剤と、
    オルガノポリシロキサンと、
    ラジカル重合開始剤と、を含み、
    オルガノポリシロキサン及び前記(メタ)アクリレートBを除く、芳香族環を有さず、エチレン性不飽和基の物質量が0.1〜3.0mmol/gであるエポキシ(メタ)アクリレートCをさらに含んでいてもよく、
    オルガノポリシロキサン、前記(メタ)アクリレートB及び前記エポキシ(メタ)アクリレートCを除く、芳香族環を有さないウレタン(メタ)アクリレートDをさらに含んでいてもよく、
    前記酸化防止剤は、フェノール部位を有する酸化防止剤と、前記のフェノール部位を有する酸化防止剤を除く、スルフィド部位を有する酸化防止剤とを含む、硬化性組成物。
  2. 前記金属酸化物微粒子A、前記(メタ)アクリレートB、前記オルガノポリシロキサン、前記エポキシ(メタ)アクリレートC、及び前記ウレタン(メタ)アクリレートDの合計質量のうち、前記金属酸化物微粒子Aの割合が3〜55質量%であり、前記(メタ)アクリレートBの割合が3〜70質量%であり、前記オルガノポリシロキサンの割合が3〜60質量%であり、前記エポキシ(メタ)アクリレートCの割合が0〜80質量%であり、前記ウレタン(メタ)アクリレートDの割合が0〜40質量%であり、
    前記金属酸化物微粒子A、前記(メタ)アクリレートB、前記オルガノポリシロキサン、前記エポキシ(メタ)アクリレートC、及び前記ウレタン(メタ)アクリレートDの合計質量100質量部に対して、前記酸化防止剤の割合が0.1〜10質量部であり、前記ラジカル重合開始剤の割合が0.1〜10質量部である、請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 前記金属酸化物微粒子Aの金属種が、Si、Zr、Ti、Al、Ce、Fe、W、Zn及びYからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
  4. 前記金属酸化物微粒子Aが、SiO微粒子、ZrO微粒子及びTiO微粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  5. 前記金属酸化物微粒子Aが、SiO微粒子及びZrO微粒子のいずれか一方又は両方である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  6. 前記硬化性組成物を硬化した硬化物の厚み1mmあたりの波長400nmの光の透過率が、30%以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の硬化性組成物が硬化した硬化物。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の硬化性組成物が硬化した硬化物と、前記硬化物上に設けられている無機化合物層とを有する、積層体。
  9. 前記無機化合物層を形成する無機化合物が、Si、Zn、Zr、Ti、Ta、Nb、In、Sn、Y、W、Al、Cr及びGaからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属種を含む、請求項8に記載の積層体。
  10. 前記無機化合物層を形成する無機化合物が、SiO、SiC、ZnO、ZrO、TiO、Ta、Nb、In、SnO、Y、WO、Al、TiC、TiN、Cr及びGaからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項8に記載の積層体。
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