JP2020132829A - インクジェットインク組成物及びインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェットインク組成物及びインクジェット記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】記録時の吐出安定性および間欠吐出特性の向上と、摩擦堅牢性を有する画像が得られるインクジェットインク組成物及びインクジェット記録方法を提供する。
【解決手段】本発明のインクジェットインク組成物は、顔料と、樹脂粒子と、滑剤と、水と、有機溶剤とを含有する、インクジェットインク組成物であって、前記樹脂粒子は、架橋性基を有するウレタン樹脂粒子であり、前記滑剤は、平均粒子径D50が200nm以下である。
【選択図】図2

Description

本発明は、インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法に関する。
画像の発色性が良好であることにより、インクジェット記録方法において色材として顔料を含むインクジェットインク組成物が用いられている。そして、インクジェットインク組成物において、特定の樹脂粒子を含有することで、画像の堅牢性と発色性を良好とする技術が知られている(例えば、特許文献1)。
特開2018−53171号公報
顔料と樹脂粒子を含むインクジェットインク組成物を用いたインクジェット記録方法において、記録時の吐出安定性および間欠吐出特性の向上と、良好な摩擦堅牢性が求められている。
〔1〕
顔料と、樹脂粒子と、滑剤と、水と、有機溶剤とを含有する、インクジェットインク組成物であって、
前記樹脂粒子は、架橋性基を有するウレタン樹脂粒子であり、
前記滑剤は、平均粒子径D50が200nm以下である、インクジェットインク組成物。
〔2〕
前記樹脂粒子の含有量が、インクジェットインク組成物の総質量に対して5.0質量%以上である、〔1〕に記載のインクジェットインク組成物。
〔3〕
前記樹脂粒子のガラス転移温度が、0℃以下である、〔1〕または〔2〕に記載のインクジェットインク組成物。
〔4〕
前記滑剤の平均粒子径D50に対する前記樹脂粒子の平均粒子径D50の比が、0.5以上1.5以下である、〔1〕ないし〔3〕のいずれか一つに記載のインクジェットインク組成物。
〔5〕
グリセリンの含有量が、インクジェットインク組成物の総質量に対して15.0質量%以下である、〔1〕ないし〔4〕のいずれか一つに記載のインクジェットインク組成物。
〔6〕
前記滑剤の融点が、120℃以上である、〔1〕ないし〔5〕のいずれか一つに記載のインクジェットインク組成物。
〔7〕
前記ウレタン樹脂粒子の平均粒子径D50が、100nm以下である、〔1〕ないし〔6〕のいずれか一つに記載のインクジェットインク組成物。
〔8〕
ノズル径が20μm以上30μm以下のノズルより吐出させる、〔1〕ないし〔7〕のいずれか一つに記載のインクジェットインク組成物。
〔9〕
前記ノズルと、圧力室と、前記圧力室内のインクジェットインク組成物を循環させる循環路と、を有するインクジェットヘッドを備えるインクジェット記録装置に用いられる、〔8〕に記載のインクジェットインク組成物。
〔10〕
記録媒体が布帛である、〔1〕ないし〔9〕のいずれか一つに記載のインクジェットインク組成物。
〔11〕
インクジェットインク組成物を、インクジェットヘッドのノズルから吐出して記録媒体に付着させるインク付着工程を備え、
前記インクジェットインク組成物は、顔料と、樹脂粒子と、滑剤と、水と、有機溶剤とを含有し、
前記樹脂粒子は、架橋性基を有するウレタン樹脂粒子であり、
前記滑剤は、平均粒子径D50が200nm以下である、
インクジェット記録方法。
〔12〕
前記インクジェットヘッドは、圧力室と、前記圧力室内のインクジェットインク組成物を循環させる循環路とを有する、〔11〕に記載のインクジェット記録方法。
本実施形態に係るインクジェット記録方法を行うインクジェット記録装置の概略斜視図。 インクジェット記録装置のインクジェットヘッドの断面図。 インクジェットヘッドのうち循環液室の近傍の断面図。
以下に、本発明の幾つかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお、以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
本実施形態に係るインクジェットインク組成物の一態様は、顔料と、樹脂粒子と、滑剤と、水と、有機溶剤とを含有する、インクジェットインク組成物であって、前記樹脂粒子は、架橋性基を有するウレタン樹脂粒子であり、前記滑剤は、平均粒子径D50が200nm以下であることを特徴とする。
本実施形態に係るインクジェット記録方法の一態様は、インクジェットインク組成物を、インクジェットヘッドのノズルから吐出して記録媒体に付着させるインク付着工程を備
え、前記インクジェットインク組成物は、顔料と、樹脂粒子と、滑剤と、水と、有機溶剤とを含有し、前記樹脂粒子は、架橋性基を有するウレタン樹脂粒子であり、前記滑剤は、平均粒子径D50が200nm以下であることを特徴とする。
以下、本実施形態に係るインクジェットインク組成物及びインクジェット記録方法について、本実施形態において使用可能なインクジェット記録装置、インクジェットインク組成物(以下、「インク組成物」、「インク」ともいう。)、記録媒体、インクジェット記録方法の順に説明する。
1.インクジェット記録装置
本実施形態において使用可能なインクジェット記録装置として、記録ヘッドがインクジェット記録法を利用したインクジェットヘッドであるインクジェット記録装置の例を挙げて説明する。
また、本実施形態で使用されるインクジェット記録装置について、インクカートリッジがキャリッジに搭載されたオンキャリッジタイプのプリンターを例に挙げて説明する。本実施形態において、インクジェット記録装置はオンキャリッジタイプのプリンターに限定されるものではなく、インクカートリッジが外部に固定されたオフキャリッジタイプのプリンターであってもよい。
なお、以下の説明に用いるプリンターは、所定の方向に移動するキャリッジに記録用のインクジェットヘッドが搭載され、キャリッジの移動に伴ってインクジェットヘッドが移動することにより記録媒体上に液滴を吐出するシリアルプリンターである。本発明で使用されるインクジェット記録装置は、シリアルプリンターに限定されるものではなく、ラインプリンターであってもよい。ラインプリンターは、インクジェットヘッドが記録媒体の幅よりも広く形成され、インクジェットヘッドが移動せずに記録媒体上に液滴を吐出する方式のプリンターである。
以下、本実施形態で使用されるインクジェット記録装置の一例について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態で使用されるインクジェット記録装置は、以下の態様に限定されるものではない。また、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
インクジェット記録装置は、インク組成物の微小な液滴を吐出するインク吐出部としてのインクジェットヘッドによって、記録媒体に液滴を着弾させて記録を行う装置である。図1は、実施形態で使用されるインクジェット記録装置を示す概略斜視図である。
図1に示すように、本実施形態においてプリンター1は、インクジェットヘッド3、キャリッジ4、主走査機構5、プラテンローラー6、プリンター1全体の動作を制御する制御部(図示せず)を有する。キャリッジ4は、インクジェットヘッド3を搭載すると共に、インクジェットヘッド3に供給されるインク組成物を収納するインクカートリッジ7a,7b,7c,7d,7e,7fが着脱可能である。
主走査機構5は、キャリッジ4に接続されたタイミングベルト8、タイミングベルト8を駆動するモーター9、ガイド軸10を有する。ガイド軸10は、キャリッジ4の支持部材として、キャリッジ4の走査方向、すなわち主走査方向に架設されている。キャリッジ4は、タイミングベルト8を介してモーター9によって駆動され、ガイド軸10に沿って往復移動が可能である。これにより、主走査機構5は、キャリッジ4を主走査方向に往復移動させる機能を有する。
プラテンローラー6は、記録媒体2を、上記主走査方向と直交する副走査方向、すなわち、記録媒体2の長さ方向に搬送する機能を有する。これにより、記録媒体2は副走査方向に搬送される。インクジェットヘッド3が搭載されるキャリッジ4は、記録媒体2の幅方向と略一致する主走査方向に往復移動が可能であり、インクジェットヘッド3は記録媒体2に対して主走査方向及び副走査方向へ相対的に走査が可能に構成される。
インクカートリッジ7a,7b,7c,7d,7e,7fは、独立した6つのインクカートリッジである。インクカートリッジ7a,7b,7c,7d,7e,7fには、本実施形態に係るインクセットを構成するインク組成物を収納することができる。これらのインクカートリッジには、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、ホワイト、オレンジ等の色を呈するインク組成物が個別に収納され、任意に組み合わせて用いることが可能である。図1では、インクカートリッジの数を6個としているが、これに限定されるものではない。インクカートリッジ7a,7b,7c,7d,7e,7fの底部には、各インクカートリッジに収納されたインク組成物をインクジェットヘッド3へ供給するための供給口(図示せず)が設けられている。
インクジェットヘッド3は、インクカートリッジ7a,7b,7c,7d,7e,7fから供給されるインクを制御部(図示せず)による制御のもとで複数のノズルNから記録媒体2に噴射して付着させる手段である。インクジェットヘッド3は、インクを付着させる記録媒体2と対向する面に、インクを吐出して記録媒体2へ付着させる複数のノズル(図2参照)を備える。これらの複数のノズルは列状に配列されてノズル列が形成され、ノズル列は各色インク組成物に対応して個別に配置される。各色インク組成物は、各インクカートリッジからインクジェットヘッド3に供給され、インクジェットヘッド3内のアクチュエーター(図示せず)によって、ノズルから液滴として吐出される。吐出されたインク組成物の液滴は記録媒体2に着弾し、インクによる画像、テキスト、模様、色彩等が記録媒体2の記録領域に形成される。
ここで、インクジェットヘッド3では、駆動手段であるアクチュエーターとして圧電素子を用いているが、この方式に限定されない。例えば、アクチュエーターとしての振動板を静電吸着により変位させる電気機械変換素子や、加熱によって生じる気泡によってインク組成物を液滴として吐出させる電気熱変換素子を用いてもよい。
本実施形態において、インクジェットヘッド3は、圧力室C(図2参照)と、圧力室C内のインク組成物を循環させる循環路を有するヘッドである。インクジェットヘッド3が循環路を有することで、圧力室CやノズルN(図2参照)中のインクがリフレッシュされる。これにより、後述するインクの水や有機溶剤が揮発してインク中のウレタン樹脂粒子がある程度高濃度化した場合であっても、ノズルNの目詰まりが抑制され、吐出安定性や間欠吐出特性を良好なものとすることができる。
本実施形態において、ノズル径は20μm以上30μm以下であることが好ましく、22μm以上28μm以であることがより好ましい。ノズル径が20μm以上であることで、流路におけるインクの乱れが悪化せずに吐出が可能となり、間欠吐出特性が良好となる。また、さらに上記の循環路を有するヘッドを用いることで間欠吐出特性がより良好となる。また、ノズル径が30μm以下であることにより、インクの液面の表面積が適当であり、インクの乾燥が進行しにくいため、吐出が安定する。なお、本明細書において、ノズル径とは、ノズルプレート表面に形成されたノズルの内径(すなわち、内径d1)を指す。
図2は、Y方向に垂直な断面におけるインクジェットヘッド3の断面図であり、図3は、インクジェットヘッド3の部分的な分解斜視図である。図2において、例えば、記録媒
体2の表面に平行な平面をX−Y平面とし、X−Y平面に垂直な方向を以下ではZ方向と表記する。インクジェットヘッド3によるインクの噴射方向がZ方向に相当する。また、主走査方向がX方向に相当し、主走査方向と直交する方向(副走査方向)がY方向に相当する。
インクジェットヘッド3の複数のノズルNはY方向に配列されて、ノズル列を構成する。インクジェットヘッド3においてY方向に平行な中心軸を通過するとともにZ方向に平行な平面、すなわち、Y−Z平面Oを以下の説明では「中心面」と表記する。
図2に示すように、インクジェットヘッド3は、第1列L1の各ノズルNに関連する要素と第2列L2の各ノズルNに関連する要素とが中心面Oを挟んで面対称に配置された構造である。すなわち、インクジェットヘッド3のうち中心面Oを挟んでX方向の正側の部分(以下、「第1部分」ともいう。)P1とX方向の負側の部分(以下、「第2部分」ともいう。)P2とで構造は実質的に共通する。第1列L1の複数のノズルNは第1部分P1に形成され、第2列L2の複数のノズルNは第2部分P2に形成される。中心面Oは、第1部分P1と第2部分P2との境界面に相当する。
図2に示すように、インクジェットヘッド3は流路形成部30を備える。流路形成部30は、複数のノズルNにインクを供給するための流路を形成する構造体である。本実施形態において、流路形成部30は、第1流路基板32と第2流路基板34との積層で構成される。第1流路基板32および第2流路基板34の各々は、Y方向に長尺な板状部材である。第1流路基板32のうちZ方向の負側の表面Faに、例えば接着剤を利用して第2流路基板34が設置される。
図2に示すように、第1流路基板32の表面Faの面上には、第2流路基板34のほか、振動部42と複数の圧電素子44と保護部材46と筐体部48とが設置される。他方、第1流路基板32のうちZ方向の正側、すなわち表面Faとは反対側の表面Fbには、ノズルプレート52と吸振体54とが設置される。インクジェットヘッド3の各要素は、概略的には第1流路基板32や第2流路基板34と同様にY方向に長尺な板状部材であり、例えば接着剤を利用して相互に接合される。第1流路基板32と第2流路基板34とが積層される方向や第1流路基板32とノズルプレート52とが積層される方向、あるいは板状の各要素の表面に垂直な方向を、Z方向として把握することも可能である。
ノズルプレート52は、複数のノズルNが形成された板状部材であり、例えば接着剤を利用して第1流路基板32の表面Fbに設置される。複数のノズルNの各々は、インクを通過させる円形状の貫通孔である。第1実施形態のノズルプレート52には、第1列L1を構成する複数のノズルNと第2列L2を構成する複数のノズルNとが形成される。具体的には、ノズルプレート52のうち中心面OからみてX方向の正側の領域に、第1列L1の複数のノズルNがY方向に沿って形成され、X方向の負側の領域に、第2列L2の複数のノズルNがY方向に沿って形成される。ノズルプレート52は、第1列L1の複数のノズルNが形成された部分と第2列L2の複数のノズルNが形成された部分とにわたり連続する単体の板状部材である。ノズルプレート52は、半導体製造技術、例えばドライエッチングやウェットエッチング等の加工技術を利用してシリコンの単結晶基板を加工することで製造される。ただし、ノズルプレート52の製造には公知の材料や製法が任意に採用され得る。
図2に示すように、第1流路基板32には、第1部分P1及び第2部分P2の各々について、空間Raと複数の供給路61と複数の連通路63とが形成される。空間Raは、平面視で、すなわちZ方向からみてY方向に沿う長尺状に形成された開口であり、供給路61および連通路63はノズルN毎に形成された貫通孔である。複数の連通路63は平面視
でY方向に配列し、複数の供給路61は、複数の連通路63の配列と空間Raとの間でY方向に配列する。複数の供給路61は、空間Raに共通に連通する。また、任意の1個の連通路63は、当該連通路63に対応するノズルNに平面視で重なる。具体的には、第1部分P1の任意の1個の連通路63は、第1列L1のうち当該連通路63に対応する1個のノズルNに連通する。同様に、第2部分P2の任意の1個の連通路63は、第2列L2のうち当該連通路63に対応する1個のノズルNに連通する。
図2に示すように、第2流路基板34は、第1部分P1及び第2部分P2の各々について複数の圧力室Cが形成された板状部材である。複数の圧力室CはY方向に配列する。各圧力室Cは、ノズルN毎に形成されて平面視でX方向に沿う長尺状の空間である。第1流路基板32および第2流路基板34は、前述のノズルプレート52と同様に、例えば半導体製造技術を利用してシリコンの単結晶基板を加工することで製造される。ただし、第1流路基板32および第2流路基板34の製造には公知の材料や製法が任意に採用され得る。以上の例示の通り、第1実施形態における流路形成部30とノズルプレート52とはシリコンで形成された基板を包含する。したがって、例えば前述の例示のように半導体製造技術を利用することで、流路形成部30およびノズルプレート52に微細な流路を高精度に形成できるという利点がある。
図2に示すように、第2流路基板34のうち第1流路基板32とは反対側の表面には振動部42が設置される。第1実施形態の振動部42は、弾性的に振動可能な板状部材である。なお、所定の板厚の板状部材のうち圧力室Cに対応する領域について板厚方向の一部を選択的に除去することで、第2流路基板34と振動部42とを一体に形成することも可能である。
図2に示すように、第1流路基板32の表面Faと振動部42とは、各圧力室Cの内側で相互に間隔をあけて対向する。圧力室Cは、第1流路基板32の表面Faと振動部42との間に位置する空間であり、当該空間に充填されたインクに圧力変化を発生させる。各圧力室Cは、例えばX方向を長手方向とする空間であり、ノズルN毎に個別に形成される。第1列L1および第2列L2の各々について、複数の圧力室CがY方向に配列する。図2に示すように、任意の1個の圧力室Cのうち中心面O側の端部は平面視で連通路63に重なり、中心面Oとは反対側の端部は平面視で供給路61に重なる。したがって、第1部分P1及び第2部分P2の各々において、圧力室Cは、連通路63を介してノズルNに連通するとともに、供給路61を介して空間Raに連通する。なお、流路幅が狭窄された絞り流路を圧力室Cに形成することで所定の流路抵抗を付加することも可能である。
図2に示すように、振動部42のうち圧力室Cとは反対側の面上には、第1部分P1及び第2部分P2の各々について、相異なるノズルNに対応する複数の圧電素子44が設置される。圧電素子44は、駆動信号の供給により変形する受動素子である。複数の圧電素子44は、各圧力室Cに対応するようにY方向に配列する。任意の1個の圧電素子44は、例えば相互に対向する2つの電極との間に圧電体層を介在させた積層体である。なお、駆動信号の供給により変形する部分、すなわち振動部42を振動させる能動部を圧電素子44として画定することも可能である。本実施形態において、圧電素子44の変形に連動して振動部42が振動すると、圧力室C内の圧力が変動することで、圧力室Cに充填されたインクが連通路63とノズルNとを通過してインクが噴射される。
図2の保護部材46は、複数の圧電素子44を保護するための板状部材であり、振動部42の表面、または第2流路基板34の表面に設置される。保護部材46の材料や製法は任意であるが、第1流路基板32や第2流路基板34と同様に、例えばシリコンの単結晶基板を半導体製造技術で加工して保護部材46を形成することができる。複数の圧電素子44は、保護部材46の振動部42側の表面に形成された凹部に収容される。
振動部42のうち流路形成部30とは反対側の表面、または流路形成部30の表面には配線基板28の端部が接合される。配線基板28は、制御ユニット20とインクジェットヘッド3とを電気的に接続する複数の配線(図示せず)が形成された可撓性の実装部品である。配線基板28のうち、保護部材46に形成された開口部と筐体部48に形成された開口部とを通過して外部に延出した端部が制御ユニット20に接続される。例えばFPC(Flexible Printed Circuit)やFFC(Flexible Flat Cable)等の可撓性の配線基板28が好適に採用される。
筐体部48は、複数の圧力室C、さらには複数のノズルNに供給されるインクを貯留するためのケースである。筐体部48のうちZ方向の正側の表面が例えば接着剤で第1流路基板32の表面Faに接合される。筐体部48の製造には公知の技術や製法が任意に採用され得る。例えば樹脂材料の射出成形で筐体部48を形成することが可能である。
図2に示すように、筐体部48には、第1部分P1および第2部分P2の各々について空間Rbが形成される。筐体部48の区間Rbと第1流路基板32の空間Raとは相互に連通する。空間Raと空間Rbとで構成される空間は、複数の圧力室Cに供給されるインクを貯留する液体貯留室Rとして機能する。液体貯留室Rは、複数のノズルNについて共用される共通液室である。第1部分P1及び第2部分P2の各々に液体貯留室Rが形成される。第1部分P1の液体貯留室Rは、中心面OからみてX方向の正側に位置し、第2部分P2の液体貯留室Rは、中心面OからみてX方向の負側に位置する。筐体部48のうち第1流路基板32とは反対側の表面には、液体容器14から供給されるインクを液体貯留室Rに導入するための導入口482が形成される。
第1流路基板32の表面Fbには、第1部分P1及び第2部分P2の各々について吸振体54が設置される。吸振体54は、液体貯留室R内のインクの圧力変動を吸収する可撓性のフィルム、すなわちコンプライアンス基板である。例えば、吸振体54は、第1流路基板32の空間Raと複数の供給路61とを閉塞するように第1流路基板32の表面Fbに設置されて液体貯留室Rの壁面、具体的には底面を構成する。
第1流路基板32のうちノズルプレート52に対向する表面Fbには空間(以下、「循環液室」という。)65が形成される。第1実施形態の循環液室65は、平面視でY方向に延在する長尺状の有底孔である。第1流路基板32の表面Fbに接合されたノズルプレート52により循環液室65の開口は閉塞される。循環液室65は、例えば、第1列L1及び第2列L2に沿って複数のノズルNにわたり連続する。具体的には、第1列L1の複数のノズルNの配列と第2列L2の複数のノズルNの配列との間に循環液室65が形成される。したがって、循環液室65は、第1部分P1の連通路63と第2部分P2の連通路63との間に位置する。このように、流路形成部30は、第1部分P1における圧力室C及び連通路63と、第2部分P2における圧力室C及び連通路63と、第1部分P1の連通路63と第2部分P2の連通路63との間に位置する循環液室65とが形成された構造体である。図2に示すように、流路形成部30は、循環液室65と各連通路63との間を仕切る壁状の部分(以下、「隔壁部69」という。)を含む。
なお、前述の通り、第1部分P1及び第2部分P2の各々において複数の圧力室C及び複数の圧電素子44がY方向に配列する。したがって、第1部分P1及び第2部分P2の各々における複数の圧力室Cまたは複数の圧電素子44にわたり連続するように、循環液室65がY方向に延在すると換言することも可能である。また、図2に示すように、循環液室65と液体貯留室Rとが相互に間隔をあけてY方向に延在し、当該間隔内に圧力室Cと連通路63とノズルNとが位置するということも可能である。
図3は、インクジェットヘッド3のうち循環液室65の近傍の部分を拡大した断面図である。図3に示すように、本実施形態における1個のノズルNは、第1区間n1と第2区間n2とを含む。第1区間n1と第2区間n2とは同軸に形成されて相互に連通する円形状の空間である。第2区間n2は、第1区間n1からみて流路形成部30側に位置する。本実施形態において、各ノズルNの中心軸Qaは、連通路63の中心軸Qbからみて循環液室65とは反対側に位置する。第2区間n2の内径d2は第1区間n1の内径d1よりも大きい。以上のように各ノズルNを階段状に形成した構成によれば、各ノズルNの流路抵抗を所望の特性に設定し易いという利点がある。本実施形態において、各ノズルNの中心軸Qaは、連通路63の中心軸Qbからみて循環液室65とは反対側に位置する。
図3に示すように、ノズルプレート52のうち流路形成部30に対向する表面には、第1部分P1及び第2部分P2の各々について複数の排出路72が形成される。第1部分P1の複数の排出路72は、第1列L1の複数のノズルN、または第1列L1に対応する複数の連通路63に1対1に対応する。また、第2部分P2の複数の排出路72は、第2列L2の複数のノズルN、または第2列L2に対応する複数の連通路63に1対1に対応する。
各排出路72は、X方向に延在する溝部、すなわち長尺状の有底孔であり、インクを流通させる流路として機能する。第1実施形態の排出路72は、ノズルNから離間した位置、具体的には、当該排出路72に対応するノズルNからみて循環液室65側に形成される。例えば、半導体製造技術、例えばドライエッチングやウェットエッチング等の加工技術により複数のノズルN、特に第2区間n2と複数の排出路72とが共通の工程で一括的に形成される。
各排出路72は、ノズルNのうち第2区間n2の内径d2と同等の流路幅Waで直線状に形成される。また、第1実施形態における排出路72の流路幅Waは、圧力室Cの流路幅Wbよりも小さい。したがって、排出路72の流路幅Waが圧力室Cの流路幅Wbよりも大きい構成と比較して排出路72の流路抵抗を大きくすることが可能である。他方、ノズルプレート52の表面に対する排出路72の深さDaは全長にわたり一定である。具体的には、各排出路72はノズルNの第2区間n2と同等の深さに形成される。以上の構成によれば、排出路72と第2区間n2とを相異なる深さに形成する構成と比較して、排出路72及び第2区間n2を形成し易いという利点がある。なお、流路の「深さ」とは、Z方向における流路の深さ、例えば流路の形成面と流路の底面との高低差を意味する。
第1部分P1における任意の1個の排出路72は、第1列L1のうち当該排出路72に対応するノズルNからみて循環液室65側に位置する。また、第2部分P2における任意の1個の排出路72は、第2列L2のうち当該排出路72に対応するノズルNからみて循環液室65側に位置する。そして、各排出路72のうち中心面Oとは反対側は、当該排出路72に対応する1個の連通路63に平面視で重なる。すなわち、排出路72は連通路63に連通する。他方、各排出路72のうち中心面O側の端部は循環液室65に平面視で重なる。すなわち、排出路72は循環液室65に連通する。このように、複数の連通路63の各々が排出路72を介して循環液室65に連通する。したがって、図3に破線の矢印で図示される通り、各連通路63内のインクは排出路72を介して循環液室65に供給される。すなわち、本実施形態では、第1列L1に対応する複数の連通路63と第2列L2に対応する複数の連通路63とが1個の循環液室65に対して共通に連通する。
図3には、任意の1個の排出路72のうち循環液室65に重なる部分の流路長Laと、排出路72のうち連通路63に重なる部分の流路長、すなわちX方向の寸法Lbと、排出路72のうち流路形成部30の隔壁部69に重なる部分の流路長すなわちX方向の寸法Lcとが図示されている。流路長Lcは、隔壁部69の厚さに相当する。隔壁部69は、排
出路72の絞り部分として機能する。したがって、隔壁部69の厚さに相当する流路長Lcが長いほど、排出路72の流路抵抗が増大する。本実施形態では、流路長Laが流路長Lbよりも長く、流路長Laが流路長Lcよりも長い、という関係が成立する。さらに、本実施形態では、流路長Lbが流路長Lcよりも長いという関係が成立する。以上の構成によれば、流路長Laや流路長Lbが流路長Lcよりも短い構成と比較して、連通路63から排出路72を介して循環液室65にインクが流入し易いという利点がある。
このように、インクジェットヘッド3では、圧力室Cが連通路63と排出路72とを介して間接的に循環液室65に連通する。すなわち、圧力室Cと循環液室65とは直接的には連通しない。以上の構成において、圧電素子44の動作により圧力室C内の圧力が変動すると、連通路63内を流動するインクのうちの一部がノズルNから外部に噴射され、残りの一部が連通路63から排出路72を経由して循環液室65に流入する。そして、圧電素子44の1回の駆動により連通路63を流通するインクのうち、ノズルNを介して噴射されるインクの噴射が、連通路63を流通するインクのうち排出路72を介して循環液室65に流入するインクの循環量を上回るように、連通路63とノズルと排出路72とのイナータンスが選定される。全部の圧電素子44を一斉に駆動した場合を想定すると、複数のノズルNによる噴射量の合計よりも、複数の連通路63から循環液室65に流入する循環量の合計、例えば循環液室65内の単位時間内の流量の方が多い、と換言することも可能である。
具体的には、連通路63を流通するインクのうち循環量の比率が70%以上となる、すなわち、インクの噴射量の比率が30%以下となるように、連通路63とノズルと排出路72との各々の流路抵抗が決定される。以上の構成によれば、インクの噴射量を確保しながら、ノズルの近傍のインクを効果的に循環液室65に循環させることが可能である。概略的には、排出路72の流路抵抗が大きいほど、循環量が減少する一方で噴射量が増加し、排出路72の流路抵抗が小さいほど、循環量が増加する一方で噴射量が減少する、という傾向がある。
例えば、プリンター1は循環機構(図示せず)を備える構成とする。循環機構は、循環液室65内のインクを液体貯留室Rに供給、すなわち循環するための機構である。循環機構は、例えば、循環液室65からインクを吸引する吸引機構、例えばポンプと、インクに混在する気泡や異物を捕集するフィルター機構(図示せず)と、インクの加熱により増粘を低減する加温機構とを備える構成とする。循環機構により気泡や異物が除去されるとともに増粘が低減されたインクが、循環機構から導入口482を介して液体貯留室Rに供給される。これにより、液体貯留室R→供給路61→圧力室C→連通路63→排出路72→循環液室65→循環機構→液体貯留室Rという経路でインクが循環する。供給路61と排出路72とをあわせて、循環路という。
このように、連通路63と循環液室65とを連通させる排出路72がノズルプレート52に形成される場合には、ノズルNの近傍のインクを効率的に循環液室65に循環させることが可能である。また、第1列L1に対応する連通路63と第2列L2に対応する連通路63とが両者間の循環液室65に共通に連通するため、第1列L1に対応する各排出路72が連通する循環液室と第2列L2に対応する各排出路72が連通する循環液室とを別個に設けた構成と比較して、液体噴射ヘッド26の構成が簡素化される、ひいては小型化が実現されるという利点もある。
なお、排出路72とノズルNとが相互に離間した構成ではなく、排出路72とノズルNとが相互に連続する構成としてもよい。また、循環液室65のほか、第1部分P1及び第2部分P2の各々に対応する循環液室を形成する構成としてもよい。
本実施形態において、プリンター1には乾燥手段や加熱手段(いずれも図示せず)を設けることが好ましい。乾燥手段及び加熱手段は、後述するインクジェット記録方法において、記録媒体2に付着したインクを効率的に乾燥させるための手段である。乾燥手段及び加熱手段は、記録媒体2を乾燥・加熱できる位置に設けられていれば、その設置位置は特に限定されない。記録媒体2に付着したインクを効率的に乾燥するために、例えば、図1であれば、乾燥手段及び加熱手段は、インクジェットヘッド3と対向する位置に設置することができる。
乾燥手段及び加熱手段としては、例えば、記録媒体2を熱源に接触させて加熱するプリントヒーター機構や、赤外線や2,450MHz程度に極大波長をもつ電磁波であるマイクロウェーブ等を照射する機構や、温風を吹き付けたりするドライヤー機構等が挙げられる。記録媒体2の加熱は、インクジェットヘッド3のノズルから吐出された液滴が記録媒体2に付着する前又は付着する時に行われる。加熱の諸条件の制御、例えば、加熱実施のタイミング、加熱温度、加熱時間等は、制御部によって行われる。
また、乾燥手段及び加熱手段を、記録媒体2の搬送方向の下流側に設置しても良い。この場合には、ノズルから吐出されたインクが記録媒体2に付着して画像が形成された後に、当該記録媒体2の加熱を行う。これにより、記録媒体2に付着したインクの乾燥性が向上する。
さらに、本実施形態において、プリンター1には、例えば、記録媒体を処理する処理液付着手段を備える構成としても良いし、プリンター1とは別に処理液付着手段を設けるインクジェット記録システムとしても良い。また、本実施形態において、処理液付着手段は必須の構成ではない。
本実施形態において、処理液付着手段がプリンター1に設けられ、インクを吐出するインクヘッドのノズルから吐出するインクジェット塗布の場合、記録媒体に均一に処理液組成物を付着させることができる。処理液付着手段がインクジェット塗布の場合、図1に示すインクカートリッジ7a,7b,7c,7d,7e,7fのうちのいずれか1つに処理液を収納することができる。その他の処理液付着手段としては、処理液組成物中に記録媒体を浸漬させる浸漬手段、処理液組成物をロールコーター等で塗布するローラー、処理液組成物をスプレー装置等によって噴射するスプレー等が挙げられる。
2.インクジェットインク組成物
本実施形態に係るインクジェットインク組成物は、顔料と、樹脂粒子と、滑剤と、水と、有機溶剤とを含有する、インクジェットインク組成物であって、前記樹脂粒子は、架橋性基を有するウレタン樹脂粒子であり、前記滑剤は、平均粒子径D50が200nm以下であることを特徴とする。
本明細書において、インクジェットインク組成物は、水を含有する水系のインク組成物である。ここで、「水系のインク組成物」とは、インク組成物の総質量に対する水の含有量が、30質量%以上のインク組成物を指すものとする。
本実施形態において、顔料と樹脂粒子を含む水系のインクジェットインク組成物としては、例えば、織物、編物及び不織布等の布帛に対して、画像を記録するインクジェット捺染に用いられる捺染用インクジェットインク組成物や、インク低吸収性またはインク非吸収性の難吸収性記録媒体に対する記録に用いられる水系インクジェットインク組成物が挙げられる。
以下、本実施形態に係るインクジェットインク組成物(以下、単に「インク組成物」、
「インク」ともいう。)について、捺染用インクジェットインク組成物を挙げて説明する。
2.1.顔料
顔料は発色性や耐擦性に優れていることから、色材として好適に用いられる。
顔料としては、公知の有機顔料、無機顔料のいずれも用いることができる。有機顔料としては、例えば、アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロール顔料等の多環式顔料、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキ顔料、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等が挙げられる。無機顔料としては、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化クロム等の金属酸化物顔料、カーボンブラック等が挙げられる。また、パール顔料やメタリック顔料等の光輝顔料を用いてもよい。
例えば、黒色インク組成物用の黒色顔料としては、C.I.ピグメントブラック1、7、11が挙げられる。C.I.は、「Color Index Generic Name」を意味する。インクジェット捺染用の黒色顔料としては、この中でも、比重が比較的に小さく、水系の媒体中で沈降しにくいカーボンブラック系であるC.I.ピグメントブラック7を用いることが好ましい。
黒色インク組成物以外の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、153、155、180、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ba))、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101、104、105、106、108、112、114、122、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、C.I.ピグメントバイオレット19、23、C.I.ピグメントブルー1、2、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36等が挙げられる。
以上述べた顔料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記顔料の平均粒子径D50は5μm以下が好ましく、0.3μm以下がより好ましく、0.01μm以上0.15μm以下であることがさらに好ましい。顔料の平均粒子径をこれらの範囲とすることにより、インクジェットヘッドからの吐出安定性を確保すると共に、記録物における顔料の発色性を向上させることができる。
また、本実施形態において、白色インク組成物用の白色顔料としては、例えば、塩基性炭酸鉛であるC.I.ピグメントホワイト1、酸化亜鉛からなるC.I.ピグメントホワイト4、硫化亜鉛と硫酸バリウムとの混合物からなるC.I.ピグメントホワイト5、二酸化チタンからなるC.I.ピグメントホワイト6、他の金属酸化物を含有する二酸化チタンからなるC.I.ピグメントホワイト6:1、硫化亜鉛からなるC.I.ピグメントホワイト7、炭酸カルシウムからなるC.I.ピグメントホワイト18、クレーからなるC.I.ピグメントホワイト19、雲母チタンからなるC.I.ピグメントホワイト20、硫酸バリウムからなるC.I.ピグメントホワイト21、石膏からなるC.I.ピグメ
ントホワイト22、酸化マグネシウム・二酸化ケイ素からなるC.I.ピグメントホワイト26、二酸化ケイ素からなるC.I.ピグメントホワイト27、無水ケイ酸カルシウムからなるC.I.ピグメントホワイト28等が挙げられる。これらの中でも、発色性、隠性などに優れるC.I.ピグメントホワイト6を用いることが好ましい。
白色顔料の平均粒子径D50は、100μm以上500μm以下であることが好ましく、50μm以上450μm以下であることがより好ましく、200μm以上400μm以下であることがさらに好ましい。白色顔料の平均粒子径をこの範囲とすることにより、インクジェットヘッドからの吐出安定性を確保できる。また、記録媒体として布帛を用いる場合、布帛生地に予め染色された着色に対する隠蔽性が向上する。
なお、本明細書において、「平均粒子径D50」とは、特にことわりのない限り、累積分布50vol%の時の粒子径である体積基準粒度分布を指すものとする。平均粒子径の測定は、JIS Z8825に記載の動的光散乱法やレーザー回折光法で測定される。具体的には、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布計、例えば、日機装株式会社製、商品名「マイクロトラックUPA」が使用可能である。
本実施形態において、インクジェットインク組成物に含まれる顔料の含有量の下限は、使用する顔料種により異なるものの、良好な発色性を確保する点等から、インクの総質量に対して1.0質量%以上であることが好ましく、3.0質量%以上であることがより好ましく、4.0質量%以上であることがさらに好ましい。また、顔料の含有量の上限は、インクジェットヘッドからの吐出安定性を確保するために、30.0質量%以下であることが好ましく、15.0質量%以下であることがより好ましく、12.0質量%以下であることがさらに好ましい。
上述した顔料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。インク組成物中での分散性を高めるために、顔料には表面処理を施すか、インク組成物に分散剤等を配合することが好ましい。顔料の表面処理とは、物理的処理又は化学的処理によって、顔料の粒子表面にカルボキシ基やスルホ基等の親水性基を導入する方法である。顔料の表面処理によって、顔料を水等の水性媒体中に分散することが可能となる。
水性媒体に用いる分散剤は、分子構造における疎水部である疎水性基が顔料の粒子表面に吸着し、親水部である親水性基が媒体側に配向する作用を有している。この作用により、顔料を水性媒体中で分散させることが可能となる。分散剤としては、公知の界面活性剤や高分子化合物を用いることができる。また、高分子化合物などで顔料粒子を被覆し、分散性を付与する方法を用いてもよい。顔料粒子を被覆する方法としては、酸析法、転相乳化法、ミニエマルジョン重合法等が使用可能である。
2.2.架橋性基を有するウレタン樹脂粒子
本実施形態に係るインクジェットインク組成物は、樹脂粒子として架橋性基を有するウレタン樹脂粒子を含有する。
架橋性基を有するウレタン樹脂粒子は、エマルジョン状態及び溶液状態としたものをいずれも用いることができるが、インクの粘度上昇を抑えるという点から、エマルジョン状態としたものを使用することが好ましい。架橋性基としては、イソシアネート基やシラノール基が挙げられ、イソシアネート基が、化学的に保護、つまり、キャッピングあるいはブロッキングされているブロックドイソシアネート基を用いることが好ましい。ブロックドイソシアネート基は、熱が加えられることにより脱保護されて活性化し、例えば、ウレタン結合、尿素結合、アロファネート結合等の結合を形成することになる。
また、架橋性基を有するウレタン樹脂粒子の架橋性基は、1分子に3つ以上設けられていることが好ましく、そのような場合、架橋性基の反応により、架橋構造が形成される。なお、本明細書においてウレタン樹脂とは、イソシアネート基が他の反応性の基、例えば、水酸基、アミノ基、ウレタン結合基、カルボキシ基等と反応して形成される、ウレタン結合、尿素結合、アロファネート結合等を含む樹脂のことを指す。したがって、本明細書では、例えば、尿素樹脂は、ウレタン樹脂に包含されることとする。ウレタン樹脂としては、イソシアネート基を有する化合物と水酸基を有する化合物とを反応して得られるウレタン結合を有する化合物であることが好ましい。
ブロックドイソシアネートは、イソシアネート基がブロック剤によってブロックされた潜在イソシアネート基を含有し、例えば、ポリイソシアネート化合物と、ブロック剤とを反応させることにより得ることができる。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ポリイソシアネート単量体、ポリイソシアネート誘導体等が挙げられる。ポリイソシアネート単量体としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等のポリイソシアネート等が挙げられる。これらポリイソシアネート単量体は、単独使用または2種類以上併用することができる。
ポリイソシアネート誘導体としては、上記したポリイソシアネート単量体の多量体、2量体、イソシアヌレート変性体、イミノオキサジアジンジオン変性体等の3量体、5量体、7量体等、上記したポリイソシアネート単量体と後述する低分子量ポリオールとの反応より生成するアロファネート変性体等のアロファネート変性体、ポリイソシアネート単量体と後述する低分子量ポリオールとの反応より生成するポリオール変性体(アルコール付加体)等のポリオール変性体、上記したポリイソシアネート単量体と、水やアミン類との反応により生成するビウレット変性体等のビウレット変性体、上記したポリイソシアネート単量体とジアミンとの反応により生成するウレア変性体等のウレア変性体、上記したポリイソシアネート単量体と炭酸ガスとの反応により生成するオキサジアジントリオン等のオキサジアジントリオン変性体、上記したポリイソシアネート単量体の脱炭酸縮合反応により生成するカルボジイミド変性体等のカルボジイミド変性体、ウレトジオン変性体、ウレトンイミン変性体等が挙げられる。
なお、ポリイソシアネート化合物を2種類以上併用する場合には、例えば、ブロックドイソシアネートの製造時において、2種類以上のポリイソシアネート化合物を同時に反応させてもよく、また、各ポリイソシアネート化合物を個別に用いて得られたブロックドイソシアネートを混合してもよい。
ブロック剤は、イソシアネート基をブロックして不活性化する一方、脱ブロック後にはイソシアネート基を再生又は活性化し、また、イソシアネート基をブロックした状態及び脱ブロックされた状態において、イソシアネート基を活性化させる触媒作用も有する。
ブロック剤としては、イミダゾール系化合物、イミダゾリン系化合物、ピリミジン系化合物、グアニジン系化合物、アルコール系化合物、フェノール系化合物、活性メチレン系化合物、アミン系化合物、イミン系化合物、オキシム系化合物、カルバミン酸系化合物、尿素系化合物、酸アミド系(ラクタム系)化合物、酸イミド系化合物、トリアゾール系化合物、ピラゾール系化合物、メルカプタン系化合物、重亜硫酸塩等が挙げられる。
ブロック剤の詳細を以下に例示する。なお、例示する幾つかの化合物については、イソシアネート基を再生させる温度として、解離温度を併記する。
イミダゾール系化合物としては、例えば、イミダゾール(解離温度100℃)、ベンズイミダゾール(解離温度120℃)、2−メチルイミダゾール(解離温度70℃)、4−メチルイミダゾール(解離温度100℃)、2−エチルイミダゾール(解離温度70℃)、2−イソプロピルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等が挙げられる。
イミダゾリン系化合物としては、例えば、2−メチルイミダゾリン(解離温度110℃)、2−フェニルイミダゾリン等が挙げられる。
ピリミジン系化合物としては、例えば、2−メチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン等が挙げられる。
グアニジン系化合物としては、例えば、3,3−ジメチルグアニジン等の3,3−ジアルキルグアニジン、例えば、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン(解離温度120℃)等の1,1,3,3−テトラアルキルグアニジン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン等が挙げられる。
アルコール系化合物としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、1−または2−オクタノール、シクロへキシルアルコール、エチレングリコール、ベンジルアルコール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,2−トリクロロエタノール、2−(ヒドロキシメチル)フラン、2−メトキシエタノール、メトキシプロパノール、2−エトキシエタノール、n−プロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−エトキシエトキシエタノール、2−エトキシブトキシエタノール、ブトキシエトキシエタノール、2−ブトキシエチルエタノール、2−ブトキシエトキシエタノール、N,N−ジブチル−2−ヒドロキシアセトアミド、N−ヒドロキシスクシンイミド、N−モルホリンエタノール、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール、3−オキサゾリジンエタノール、2−ヒドロキシメチルピリジン(解離温度140℃)、フルフリルアルコール、12−ヒドロキシステアリン酸、トリフェニルシラノール、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等が挙げられる。
フェノール系化合物としては、例えば、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、n−プロピルフェノール、イソプロピルフェノール、n−ブチルフェノール、s−ブチルフェノール、t−ブチルフェノール、n−ヘキシルフェノール、2−エチルヘキシルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ノニルフェノール、ジ−n−プロピルフェノール、ジイソプロピルフェノール、イソプロピルクレゾール、ジ−n−ブチルフェノール、ジ−s−ブチルフェノール、ジ−t−ブチルフェノール、ジ−n−オクチルフェノール、ジ−2−エチルヘキシルフェノール、ジ−n−ノニルフェノール、ニトロフェノール、ブロモフェノール、クロロフェノール、フルオロフェノール、ジメチルフェノール、スチレン化フェノール、メチルサリチラート、4−ヒドロキシ安息香酸メチル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシル、4−[(ジメチルアミノ)メチル]フェノール、4−[(ジメチルアミノ)メチル]ノニルフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、2−ヒドロキシピリジン(解離温度80℃)、2−または8−ヒドロキシキノリン、2−クロロ−3−ピリジノール、ピリジン−2−チオール(解離温度70℃)等が挙げられる。
活性メチレン系化合物としては、例えば、メルドラム酸、例えば、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジn−ブチル、マロン酸ジ−t−ブチル、マロン酸ジ2−エチルヘキシル、マロン酸メチルn−ブチル、マロン酸エチルn−ブチル、マロン酸メチルs−ブチル、マロン酸エチルs−ブチル、マロン酸メチルt−ブチル、マロン酸エチルt
−ブチル、メチルマロン酸ジエチル、マロン酸ジベンジル、マロン酸ジフェニル、マロン酸ベンジルメチル、マロン酸エチルフェニル、マロン酸t−ブチルフェニル、イソプロピリデンマロネート等のマロン酸ジアルキル、例えば、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸n−プロピル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸n−ブチル、アセト酢酸t−ブチル、アセト酢酸ベンジル、アセト酢酸フェニル等のアセト酢酸アルキル、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート、アセチルアセトン、シアノ酢酸エチル等が挙げられる。
アミン系化合物としては、例えば、ジブチルアミン、ジフェニルアミン、アニリン、N−メチルアニリン、カルバゾール、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル)アミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン(解離温度130℃)、イソプロピルエチルアミン、2,2,4−、または、2,2,5−トリメチルヘキサメチレンアミン、N−イソプロピルシクロヘキシルアミン(解離温度140℃)、ジシクロヘキシルアミン(解離温度130℃)、ビス(3,5,5−トリメチルシクロヘキシル)アミン、ピペリジン、2,6−ジメチルピペリジン(解離温度130℃)、t−ブチルメチルアミン、t−ブチルエチルアミン(解離温度120℃)、t−ブチルプロピルアミン、t−ブチルブチルアミン、t−ブチルベンジルアミン(解離温度120℃)、t−ブチルフェニルアミン、2,2,6−トリメチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(解離温度80℃)、(ジメチルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン、6−メチル−2−ピペリジン、6−アミノカプロン酸等が挙げられる。
イミン系化合物としては、例えば、エチレンイミン、ポリエチレンイミン、1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、グアニジン等が挙げられる。
オキシム系化合物としては、例えば、ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム(解離温度130℃)、シクロヘキサノンオキシム、ジアセチルモノオキシム、ペンゾフェノオキシム、2,2,6,6−テトラメチルシクロヘキサノンオキシム、ジイソプロピルケトンオキシム、メチルt−ブチルケトンオキシム、ジイソブチルケトンオキシム、メチルイソブチルケトンオキシム、メチルイソプロピルケトンオキシム、メチル2,4−ジメチルペンチルケトンオキシム、メチル3−エチルへプチルケトンオキシム、メチルイソアミルケトンオキシム、n−アミルケトンオキシム、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオンモノオキシム、4,4’−ジメトキシベンゾフェノンオキシム、2−ヘプタノンオキシム等が挙げられる。
カルバミン酸系化合物としては、例えば、N−フェニルカルバミン酸フェニル等が挙げられる。
尿素系化合物としては、例えば、尿素、チオ尿素、エチレン尿素等が挙げられる。
酸アミド系(ラクタム系)化合物としては、例えば、アセトアニリド、N−メチルアセトアミド、酢酸アミド、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、ピロリドン、2,5−ピペラジンジオン、ラウロラクタム等が挙げられる。
酸イミド系化合物としては、例えば、コハク酸イミド、マレイン酸イミド、フタルイミド等が挙げられる。
トリアゾール系化合物としては、例えば、1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
ピラゾール系化合物としては、例えば、ピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール(解離温度120℃)、3,5−ジイソプロピルピラゾール、3,5−ジフェニルピラゾール、3,5−ジ−t−ブチルピラゾール、3−メチルピラゾール、4−ベンジル−3,5−ジメチルピラゾール、4−ニトロ−3,5−ジメチルピラゾール、4−ブロモ−3,5−ジメチルピラゾール、3−メチル−5−フェニルピラゾール等が挙げられる。
メルカプタン系化合物としては、例えば、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン等が挙げられる。
重亜硫酸塩としては、例えば、重亜硫酸ソーダ等が挙げられる。
さらに、ブロック剤としては、上記に限定されず、例えば、ベンゾオキサゾロン、無水イサト酸、テトラブチルホスホニウム・アセタート等のその他のブロック剤も挙げられる。
このようなブロック剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。ブロック剤の解離温度は、適宜選択することができる。解離温度としては、例えば、60℃以上230℃以下、好ましくは80℃以上200℃以下、より好ましくは100℃以上180℃以下、さらに好ましくは110℃以上160℃以下である。係る温度範囲であれば、インクジェットインク組成物のポットライフを十分長くすることができると共に、加熱工程での温度を高くしすぎない効果がある。
なお、後述する本実施形態に係るインクジェット記録方法における加熱工程の温度は、これらの架橋性基を有するウレタン樹脂粒子のイソシアネート基の脱保護温度、つまり解離温度を考慮して、架橋性基の少なくとも一部が活性化するように設定される。
また、架橋性基を有するウレタン樹脂粒子の主鎖は、エーテル結合を含むポリエーテル型、エステル結合を含むポリエステル型、カーボネート結合を含むポリカーボネート型、等いずれであってもよい。架橋性基を有するウレタン樹脂粒子が架橋して架橋体が形成された場合の破断点伸度や100%モジュラスは、架橋点の密度と、このような主鎖の種類を変更することによって調節することができる。これらのうち、ポリカーボネート系骨格、又は、ポリエーテル系骨格を有するウレタン樹脂粒子は、破断点伸度と100%モジュラスのバランスが良好であり、画像の摩擦堅牢性、捺染物の風合いを向上しやすい点でより好ましく、ポリカーボネート系骨格を有するポリカーボネート系ウレタン樹脂は、摩擦堅牢性を良好とできる傾向があり好ましい。また、顔料が布帛表面に固着されやすくなり、発色性と摩擦堅牢性に優れた捺染物が得られる。
架橋性基を有するウレタン樹脂粒子は、エマルジョンの形態で配合されることが好ましい。このような樹脂エマルジョンは、いわゆる自己反応型のウレタン系樹脂エマルジョンであり、親水性基を有するブロック剤でブロック化したイソシアネート基を有するウレタン系樹脂エマルジョンとして市販されているものを用いることができる。
架橋性基を有するウレタン樹脂粒子の市販品としては、タケラックWS−6021(商品名、三井化学SKCポリウレタン株式会社製、ウレタン系樹脂エマルジョン、ポリエーテル由来骨格を有する、ポリエーテル系ポリウレタン)、WS−5100(商品名、三井化学SKCポリウレタン株式会社製、ウレタン系樹脂エマルジョン、ポリカーボネート由来骨格を有する、ポリカーボネート系ポリウレタン)、エラストロンE−37、H−3(以上は主鎖がポリエステル由来骨格を有するポリエステル系ポリウレタン)、エラストロンH−38、BAP、C−52、F−29、W−11P(以上は主鎖がポリエーテル由来骨格を有するポリエーテル系ポリウレタン)(商品名、第一工業製薬株式会社製、ウレタ
ン系樹脂エマルジョン)、スーパーフレックス870、800、150、420、460、470、610、700(商品名、第一工業製薬株式会社製、ウレタン系樹脂エマルジョン)、パーマリンUA−150(商品名、三洋化成工業株式会社製、ウレタン系樹脂エマルジョン)、サンキュアー2710(商品名、日本ルーブリゾール株式会社製、ウレタン系樹脂エマルジョン)、NeoRez R−9660、R−9637、R−940(商品名、楠本化成株式会社製、ウレタン系樹脂エマルジョン)、アデカボンタイター HUX−380,290K(商品名、株式会社ADEKA製、ウレタン系樹脂エマルジョン)、ETERNACALL UW−1501F(商品名、宇部興産株式会社製、ウレタン系樹脂エマルジョン)等を例示することができる。
本実施形態において、架橋性基を有するウレタン樹脂粒子は、記録後の加熱により樹脂被膜を形成することで、インク組成物により形成される画像の定着性を向上させる。これにより、得られた画像の摩擦堅牢性が向上する。
一方で、架橋性基を有するウレタン樹脂粒子は、間欠時にノズル近傍でインクが乾燥すると、インクの固形分濃度の上昇により、インクの粘度が局所的に増加したり、ウレタン樹脂粒子同士の近接や衝突により大粒径化して、凝集したり、被膜化が発生する。これにより、記録時の吐出が不安定になり、間欠吐出特性が低下する場合がある。
本実施形態に係るインクジェットインク組成物は、このような特性を有する架橋性基を有するウレタン樹脂粒子を含有する場合であっても、後述する平均粒子径が200nm以下の滑剤を含有することで、滑剤が樹脂粒子間にスペーサーとして存在して凝集を抑制するため、吐出安定性と間欠吐出特性を良好なものとすることができる。また、記録時に上記のインク組成物を循環させる循環路を有するインクジェットヘッドを用いることで、さらに吐出安定性と間欠吐出特性が向上する。
本実施形態において、架橋性基を有するウレタン樹脂粒子の平均粒子径D50は100nm以下であることが好ましく、90nm以下あることがより好ましく、80nm以下あることがさらに好ましい。また、架橋性基を有するウレタン樹脂粒子の平均粒子径D50は20nm以上であることが好ましく、30nm以上あることがより好ましく、40nm以上あることがさらに好ましい。樹脂粒子の平均粒子径を前記範囲とすることで、樹脂粒子同士が凝集しにくくなる。
本実施形態において、架橋性基を有するウレタン樹脂粒子の含有量は、固形分換算で、インクの総質量に対して1.0質量%以上であることが好ましく、3.0質量%以上であることがより好ましく、5.0質量%以上であることがさらに好ましく、7.0質量%以上であることが殊更に好ましい。また、樹脂粒子の含有量の上限値は、20.0質量%以下であることが好ましく、15.0質量%以下であることがより好ましく、10.0質量%以下であることがさらに好ましい。樹脂粒子の含有量を前記範囲とすることで、得られた画像の摩擦堅牢性が向上し、耐擦性が向上する。
一方、樹脂粒子の含有量が前記範囲である場合、インク中で凝集物が発生しやすくなり、記録の際に、ノズルで目詰まりが起こって吐出安定性と間欠吐出特性が低下しやすくなる。しかし、本実施形態によれば、後述する平均粒子径が200nm以下の滑剤を含有することで、滑剤が樹脂粒子間にスペーサーとして存在して凝集を抑制するため、吐出安定性と間欠吐出特性を良好なものとすることができる。また、本実施形態に係るインクジェットインク組成物を用いた記録において、上記の圧力室と、圧力室内のインク組成物を循環させる循環路と、を有するインクジェット記録装置に用いることにより、圧力室やノズル中のインクがリフレッシュされる。これにより、樹脂粒子の凝集物による目詰まりが抑制され、吐出安定性と間欠吐出特性を良好なものとすることができる。
本実施形態において、インクジェットインク組成物が捺染用インクジェットインク組成物である場合、記録媒体は布帛である。布帛は、伸縮しやすい性質を備えるため、記録される画像、すなわちインクにより形成されるインク膜も伸縮しやすい、又は伸張しやすいものであることが好ましい。すなわち、インク膜が布帛の伸縮に追随して伸縮できる伸度を有することにより、インク膜の破断、ひび割れを防ぎ、摩擦堅牢性を確保し、耐擦性に優れた画像とすることができる。
したがって、本実施形態に係るインクジェットインク組成物が捺染用インクジェットインク組成物である場合には、架橋性基を有するウレタン樹脂粒子は、ガラス転移温度(Tg)が5℃以下であることが好ましく、0℃以下であることがより好ましく、−10°以下であることがさらに好ましい。また、ガラス転移温度の下限は、−25℃以上であることが好ましい。特に、ガラス転移温度が5℃以下であることにより、最低造膜温度が下がるため樹脂が造膜しやすくなり、捺染物の風合いを良好とすることができる。また、ガラス転移温度が−25℃以上であることにより、得られる膜強度を維持しやすくする。本実施形態においては、このような樹脂粒子を用いることで、捺染物の風合いを良好とし、インク膜の破断、ひび割れを防ぎ、摩擦堅牢性を確保することができる。
なお、ガラス転移温度が5℃以下であることにより、インク中で凝集物が発生しやすくなり、記録の際に、ノズルで目詰まりが起こって吐出安定性と間欠吐出特性が低下しやすくなる。しかし、本実施形態によれば、後述する平均粒子径が200nm以下の滑剤を含有することで、滑剤が樹脂粒子間にスペーサーとして存在して凝集を抑制するため、吐出安定性と間欠吐出特性を良好なものとすることができる。また、本実施形態に係るインクジェットインク組成物を用いた記録において、上記の圧力室と、圧力室内のインク組成物を循環させる循環路と、を有するインクジェット記録装置に用いることにより、圧力室やノズル中のインクがリフレッシュされる。これにより、樹脂粒子の凝集物による目詰まりが抑制され、吐出安定性と間欠吐出特性良好なものとすることができる。
2.3.滑剤
本実施形態において、インクジェットインク組成物は、平均粒子径D50が200nm以下である滑剤を含有する。インクジェットインク組成物がこのような滑剤を含有することにより、吐出安定性が向上する。上記の架橋性基を有するウレタン樹脂粒子は摩擦堅牢性が良好である一方で反応性が高く、樹脂粒子同士が近接、衝突により大粒径化し、凝集、被膜化して吐出を不安定にすることがある。本実施形態では、インク組成物に含まれる滑剤が凝集しやすいウレタン樹脂の粒子間でスペーサーとして存在し、ウレタン樹脂粒子の凝集を抑制する。その結果、吐出安定性が向上する。
本実施形態において、滑剤としては、例えば、カルナバワックス、キャンデリワックス、みつろう、ライスワックス、ラノリン等の植物・動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト等の鉱物系ワックス;パラフィンワックスはいわゆる石油系ワックス;カーボンワックス、ヘキストワックス、ポリオレフィンワックス、シリコーンワックス、ステアリン酸アミド等の合成ワックス類、α−オレフィン・無水マレイン酸共重合体等の天然・合成ワックスエマルジョンや配合ワックス等のワックスが挙げられる。これらのワックスは、形成された記録物の表面にスリップ性を付与し耐擦性を向上させる機能を有し、これにより、記録物の摩擦堅牢性が向上する効果も有する。これらのワックスは、1種あるいは複数種を混合して用いることができる。これらの中でも、シリコーンワックス、ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス等が好ましく用いられる。これらの滑剤は極性基が少なく、上記の架橋性基を有するウレタン樹脂粒子の架橋性基と反応しにくいため、凝集物が発生しにくくなる。
シリコーンワックスの市販品としては、例えば、SM8706EX、SM7036EX、SM7060EX、SM7025EX、SM490EX、SM8701EX、SM8709SR、SM8716SR、IE−7045、IE−7046T、SH7024、BY22−744EX、BY22−818EX、FZ−4658、FZ−4634EX、FZ−4602(以上商品名、東レ・ダウコーニング株式会社製)、POLON−MF−14、POLON−MF−14EC、POLON−MF−23POLON−MF−63、POLON−MF−18T、POLON−MF−56、POLON−MF−49、POLON−MF−33A、POLON−MF−55T、POLON−MF−28T、POLON−MF−50、POLON−MK−206、POLON−SR−CONC、KM−9771、KM−9774、KM−2002−T、KM−2002−L−1、KM−9772、KS−7002、KS−701、X−51−1264(以上商品名、信越化学工業株式会社製)等が挙げられる。
ポリオレフィンワックスとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等のオレフィンまたはその誘導体から製造されたワックスおよびそのコポリマー、具体的には、ポリエチレン系ワックス、ポリプロピレン系ワックス、ポリブチレン系ワックス等が挙げられる。ポリオレフィンワックスは、1種単独または2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、上記の架橋性基を有するウレタン樹脂粒子の架橋性基と反応しにくく、吐出安定性に優れるものとできる観点から、ポリエチレン系ワックスが好ましい。
ポリオレフィンワックスの市販品としては、例えば、AQUACER513(ポリエチレン系ワックス、平均粒子径100nm以上200nm以下、融点130℃、固形分30%)、AQUACER507、AQUACER515、AQUACER840、AQUACER1547(以上商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)等のAQUACERシリーズや、ハイテックE−7025P、ハイテックE−2213、ハイテックE−6500、ハイテックE−6314、ハイテックE−9460、ハイテックE−9015、ハイテックE−4A、ハイテックE−5403P、ハイテックE−8237(以上商品名、東邦化学株式会社製、ポリエチレン系ワックス)等のハイテックシリーズ、ノプコートPEM−17(商品名、サンノプコ社製、ポリエチレンエマルジョン、平均粒子径40nm)等が挙げられる。
パラフィンワックスはいわゆる石油系ワックスである。ここで、パラフィンとは、炭素原子の数が20以上のアルカンを意味し、本実施形態において、パラフィンワックスとは、炭素数20以上30以下の直鎖状のパラフィン系炭化水素を主成分とし、少量のイソ・パラフィンを含む分子量300〜500程度の炭化水素の混合物をいう。インクがパラフィンワックスを含むことにより、記録物にスリップ性が付与され、それにより耐擦性が向上する。また、パラフィンワックスは撥水性を持つため、適量であれば記録物の耐水性が向上する。これらの機能により、得られる記録物の摩擦堅牢性が向上する。
パラフィンワックスの市販品としては、例えば、AQUACER537、AQUACER539(以上商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)等が挙げられる。
本実施形態において、滑剤はインク中に微粒子状態、すなわち、エマルジョン状態またはサスペンジョン状態で含有されていることが好ましい。これにより、インクの粘度をインクジェットヘッドを用いた吐出で適正な範囲となるように調整しやすくなり、また記録時の吐出安定性、間欠吐出特性を確保しやすくなる。
本実施形態において、滑剤の平均粒子径は200nm以下であり、150nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。また、滑剤の平均粒子径D50は10nm以上であることが好ましく、40nm以上であることがより好ましく、
60nm以上であることがさらに好ましい。滑剤の平均粒子径が前記範囲にあることにより、吐出安定性や間欠吐出特性と、形成される画像の摩擦堅牢性が向上する。
また、滑剤の平均粒子径に対する樹脂粒子の平均粒子径D50の比が、0.5以上1.5以下であることが好ましく、0.7以上1.2以下であることがより好ましく、0.8以上1.0以下であることがさらに好ましい。滑剤とウレタン樹脂の粒子径が同程度であることにより、滑剤がスペーサーとして作用しやすくなり、吐出安定性や間欠吐出特性を良好なものとできる。
本実施形態において、滑剤の融点は100℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましく、140℃以上であることがさらに好ましい。また、限られるものではないが、滑剤の融点は200℃以下であることが好ましい。滑剤の融点が一定以上であることで、滑剤自体が凝集しにくくなり、吐出安定性や間欠吐出特性が良好となる。
滑剤の含有量は、インクの総質量に対して、固形分換算で0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上5.0質量%以下であるのがより好ましく、1.0質量%以上4.0質量%以下であるのがさらに好ましい。滑剤の含有量が上記範囲にあることにより、吐出安定性や間欠吐出特性と、形成される画像の摩擦堅牢性が向上する。
2.4.水
本実施形態において、インク組成物は水を含有する水系の顔料インク組成物である。インク組成物が記録媒体に塗布されると、水は記録媒体から乾燥によって蒸発飛散する。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌処理した水は、長期間に亘ってカビやバクテリアの発生が防止される点で好ましい。
インク組成物中における水の含有量は、特に限定されないが、40.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましく、50.0質量%以上80.0質量%以下であることがより好ましく、55.0質量%以上70.0質量%以下であることがさらに好ましい。
2.5.有機溶剤
本実施形態において、インクジェットインク組成物は有機溶剤を含有する。インク組成物が有機溶剤を含むことにより、インク組成物のインクジェット法による吐出安定性を優れたものとしつつ、長期放置時によるインクジェットヘッドからの水分蒸発を効果的に抑制することができる。
有機溶剤としては、例えば、ポリオール化合物、グリコールエーテル、ベタイン化合物等が挙げられる。
ポリオール化合物としては、例えば、分子内の炭素数が2以上6以下であり、かつ、分子内にエーテル結合を1つ有してもよいポリオール化合物、好ましくはジオール化合物等が挙げられる。具体例としては、1,2−ペンタンジオール、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、
2−メチル−3−フェノキシ−1,2−プロパンジオール、3−(3−メチルフェノキシ)−1,2−プロパンジオール、3−ヘキシルオキシ−1,2−プロパンジオール、2−ヒドロキシメチル−2−フェノキシメチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール等のグリコール類が挙げられる。
グリコールエーテルとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールから選択されるグリコールのモノアルキルエーテルが挙げられる。モノアルキルエーテルの中でも、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等が挙げられる。
ベタイン化合物とは、正電荷と負電荷を同一分子内の隣り合わない位置に持ち、正電荷をもつ原子には解離しうる水素原子が結合しておらず、分子全体としては電荷を持たない化合物(分子内塩)である。好ましいベタイン化合物としては、アミノ酸のN−アルキル置換体であり、より好ましくはアミノ酸のN−トリアルキル置換体である。ベタイン化合物としては、例えば、トリメチルグリシン、γ−ブチロベタイン、ホマリン、トリゴネリン、カルニチン、ホモセリンベタイン、バリンベタイン、リジンベタイン、オルニチンベタイン、アラニンベタイン、スタキドリン及びグルタミン酸ベタイン等が挙げられ、好ましくは、トリメチルグリシン等が挙げられる。
また、有機溶剤として、ピロリドン誘導体を用いてもよい。ピロリドン誘導体としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N−ブチル−2−ピロリドン、5−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
有機溶剤は、複数種を混合して用いてもよい。また、有機溶剤の含有量は、インク組成物の粘度調整、保湿効果による目詰まり防止の観点から、インク組成物の総質量に対して、0.2質量%以上30.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上25.0質量%以下であることがより好ましい。
また、本実施形態において、インク組成物は、グリセリンの含有量が15.0質量%以下であることが好ましく、10.0質量%以下であることがより好ましく、6.0質量%以下であることがより好ましく、5.5質量%以下であることがさらに好ましい。また、グリセリンの含有量は、1.0質量%以上であることが好ましく、3.0質量%以上であることがより好ましく、5.0質量%以上であることがさらに好ましい。グリセリン含有量が15.0質量%超になると、吐出安定性や間欠吐出特性が向上するが、画像の摩擦堅牢性が低下しやすくなる。これに対し、本実施形態に係るインク組成物では、グリセリンの含有量が前記範囲であっても、吐出安定性や間欠吐出特性が得られるだけでなく、インクの乾燥性が良好となり、画像の摩擦堅牢性が向上する。
なお、上述の通り、樹脂粒子を多く含有し、ガラス転移温度が低い場合には、凝集物が発生しやすくなり、記録の際に、ノズルで目詰まりが起こって吐出安定性が低下しやすくなるものであるため、一般的には、グリセリン等の高沸点多価アルコールを多量に添加するのが通常である。本実施形態においては、上記の圧力室と、圧力室内のインク組成物を循環させる循環路と、を有するインクジェット記録装置に用いることにより、ノズル近傍
でのインク組成物の乾燥や凝集物の発生を抑制することができる。このため、保湿成分である義理セリンの含有量を多量に添加する必要がなく、上記含有量に低減させることができる。上記のような少ない含有量で、十分にノズル近傍でのインク組成物の乾燥や凝集物の発生を抑制することができるため、沸点の高い保湿成分の含有量を低減させることができ、結果として、記録物の乾燥性が良好となり、画像の摩擦堅牢性が向上する。また、乾燥温度の低温化が可能となる。
2.6.界面活性剤
本実施形態において、インク組成物には界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤は、インク組成物の表面張力を低下させて、記録媒体への濡れ性、つまり浸透性を調整するための濡れ剤として使用することができる。また、インク組成物が界面活性剤を含有することにより、インクジェットヘッドからの吐出安定性を確保する。
界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤のいずれも使用することができ、さらにこれらは併用してもよい。また、界面活性剤の中でも、アセチレングリコール系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤を好ましく用いることができる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、サーフィノール(登録商標)104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、104S、420、440、465、485、SE、SE−F、504、61、DF37、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA、DF110D(以上商品名、日信化学工業株式会社製)、オルフィン(登録商標)B、Y、P、A、STG、SPC、E1004、E1010、PD−001、PD−002W、PD−003、PD−004、PD−005、EXP.4001、EXP.4300、EXP.4036、EXP.4051、AF−103、AF−104、AK−02、SK−14、AE−3(以上商品名、日信化学工業株式会社製)、アセチレノール(登録商標)E00、E00P、E40、E100(以上商品名、川研ファインケミカル株式会社製)が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、特に限定されないが、ポリシロキサン系化合物が好ましく挙げられる。当該ポリシロキサン系化合物としては、特に限定されないが、例えば、ポリエーテル変性オルガノシロキサンが挙げられる。当該ポリエーテル変性オルガノシロキサンの市販品としては、例えば、BYK(登録商標)−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−348(以上商品名、BYK社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学工業株式会社製)等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、フッ素変性ポリマーを用いることが好ましく、特に限定されないが、例えば、BYK(登録商標)−340(商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)が挙げられる。
インク組成物が界面活性剤を含有する場合には、上記界面活性剤を複数種使用することができ、その含有量の合計は、インク総質量に対して0.01質量%以上3.0質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上2.0質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上1.5質量%以下であることがさらに好ましく、0.2質量%以上1.0質量%以下であることが特に好ましい。
2.7.その他の添加剤
2.7.1.キレート剤
本実施形態において、インク組成物にはインク中の不要なイオンを除去する目的で適量のキレート剤を含有することが好ましい。キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム塩、又は、エチレンジアミンのニトリロトリ酢酸塩、ヘキサメタリン酸塩、ピロリン酸塩、若しくはメタリン酸塩等のエチレンジアミン四酢酸及びそれらの塩類等が挙げられる。キレート剤を含有する場合には、インクの総質量に対して0.01質量%以上1.0質量%以下とすることができる。
2.7.2.pH調整剤
本実施形態において、インク組成物は、pHを調整する目的でpH調整剤を含有することが好ましい。pH調整剤としては、特に限定されないが、酸、塩基、弱酸、弱塩基、それらの適宜の組み合わせが挙げられ、例えば、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の3級アルカノールアミン等が挙げられる。pH調整剤を添加する場合には、例えば、インク組成物の総質量に対して合計で0.01質量%以上2.0質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上1.0質量%以下であることがより好ましく、0.2質量%以上0.5質量%以下であることがさらに好ましい。
2.7.3.防腐剤、防かび剤
本実施形態において、インク組成物には防腐剤、防かび剤を適宜添加してもよい。防腐剤、防かび剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ロンザジャパン株式会社から販売されるプロキセルCRL、BDN、GXL、XL−2、TN、LV等の1,2−ジベンゾイソチアゾリン−3−オン、バイエルホールディング株式会社から販売されるプリベントール(登録商標)CMK等の4−クロロ−3−メチルフェノール等が挙げられる。
2.7.4.その他
インク組成物は、さらに上記以外の成分として、例えば、ベンゾトリアゾール等の防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、溶解助剤等、インクジェット用のインクにおいて通常用いることができる添加剤を含有してもよい。
2.8.インクジェットインク組成物の調製方法
本実施形態に係るインクジェットインク組成物は、上記した各成分を任意の順序で混合し、必要に応じてろ過等を行って不純物を除去することにより得られる。各成分の混合方法としては、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次材料を添加して撹拌混合する方法が好適に用いられる。ろ過方法としては、遠心ろ過、フィルターろ過等を必要に応じて行なうことができる。
2.9.インクジェットインク組成物の物性
2.9.1.表面張力
本実施形態において、インク組成物は、捺染品質とインクジェット用インクとしての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が20mN/m以上40mN/m以下であることが好ましく、30mN/m以上36mN/m以下であることがより好ましい。前記範囲にあることにより、インクジェット記録において吐出安定性に優れると共に、布帛への付着時にインクが記録媒体へ均一に濡れ広がりやすく、浸透しやすくなる。これにより、インクが記録媒体に定着しやすくなる。
なお、表面張力の測定は、例えば、自動表面張力計CBVP−Z(商品名、協和界面科
学株式会社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。表面張力を前記範囲内とする1つの手法としては、上述した有機溶剤や界面活性剤の種類、及びこれらと水の添加量等を適宜調整することが挙げられる。
2.9.2.粘度
また、インクの20℃における粘度は、1.5mPa・s以上122.0mPa・s以下であることが好ましく、2.0mPa・s以上102.0mPa・s以下であることがより好ましい。インクの20℃における粘度が上記範囲にある場合には、よりインクが布帛に付着した際に定着しやすくなり、発色性が向上する。
粘度の測定は、例えば、粘弾性試験機MCR−300(商品名、Pysica社製)を用いて測定することができる。なお、粘度を前記範囲内とする1つの手法としては、上述した有機溶剤や界面活性剤の種類、及びこれらと水の添加量等を適宜調整することが挙げられる。
インク組成物の粘度が高い場合には、微量溶剤の揮発等による小さな組成変化でも大きく増粘するため吐出安定性を確保し難くなる。しかし、本実施形態において、上記の圧力室と、圧力室内のインク組成物を循環させる循環路と、を有するインクジェット記録装置を用いて記録することにより、ノズル中のインクがリフレッシュされ、ノズル近傍での組成変化が抑制される。これにより、高粘度であっても、吐出安定性が確保しやすいインクとなる。また、上記のように保湿成分の含有量を低減したり、高粘度であっても吐出安定性を確保できるため、上記の樹脂粒子や顔料の添加量を増やすことができ、より発色性と摩擦堅牢性に優れたインクとすることができる。
なお、本実施形態において、顔料と樹脂粒子を含む水系のインクジェットインク組成物として、インク低吸収性またはインク非吸収性の難吸収性記録媒体に対する記録に用いられる水系インクジェットインク組成物とする場合においても、上記と同程度の表面張力と粘度を有することが好ましい。
以上のように、本実施形態に係るインクジェットインク組成物によれば、架橋性基を有するウレタン樹脂粒子を含有することにより、得られた画像の摩擦堅牢性が向上する。また、平均粒子径D50が200nm以下である滑剤を含有することにより、吐出安定性と間欠吐出特性を良好なものとすることができる。また、記録時に上記のインク組成物を循環させる循環路を有するインクジェットヘッドを用いることで、さらに吐出安定性と間欠吐出特性が向上する。このように、本実施形態に係るインクジェットインク組成物によれば、摩擦堅牢性と、吐出安定性や間欠吐出特性との両立が可能となる。
3.記録媒体
本実施形態に係るインクジェットインク組成物が捺染用インクジェットインク組成物の場合には、記録媒体として布帛が使用される。布帛を構成する素材としては、特に限定されず、例えば、綿、麻、羊毛、絹等の天然繊維、ポリプロピレン、ポリエステル、アセテート、トリアセテート、ポリアミド、ポリウレタン等の合成繊維、ポリ乳酸等の生分解性繊維等が挙げられ、これらの混紡繊維であってもよい。
布帛は、上記の繊維を、織物、編物、不織布等いずれの形態にしたものでもよい。また、本実施形態で使用する布帛の目付についても、特に限定されず、1.0oz以上10.0oz以下であっても良く、2.0oz以上9.0oz以下であることが好ましく、3.0oz以上8.0oz以下であることがより好ましく、4.0oz以上7.0oz以下であることがさらに好ましい。布帛の目付がこのような範囲であれば、良好な記録を行うこ
とができる。さらに、本実施形態に係るインクジェット記録方法では、目付けの異なる複数種の布帛に適用することができ、良好な印捺を行うことができる。
本実施形態において、布帛の形態としては、例えば、布地、衣類やその他の服飾品等が挙げられる。布地には、織物、編物、不織布等が含まれる。衣類やその他の服飾品には、縫製後のTシャツ、ハンカチ、スカーフ、タオル、手提げ袋、布製のバッグ、カーテン、シーツ、ベッドカバー、壁紙等のファーニチャー類の他、縫製前の部品としての裁断前後の布地なども含まれる。これらの形態としては、ロール状に巻かれた長尺のもの、所定の大きさに切断されたもの、製品形状のもの等が挙げられる。なお、布帛は、予め処理液を付与したものを用いてもよい。
布帛の目付は、1.0oz以上10.0oz以下であることが好ましく、2.0oz以上9.0oz以下であることが好ましく、3.0oz以上8.0oz以下であることがより好ましく、4.0oz以上、7.0oz以下であることがさらに好ましい。
布帛としては、染料によって予め着色された綿布帛を用いても良い。布帛が予め着色される染料としては、例えば、酸性染料、塩基性染料等の水溶性染料、分散剤を併用する分散染料、反応性染料等が挙げられる。布帛の綿布帛を用いる場合には、綿の染色に適した反応性染料を用いることが好ましい。
また、本実施形態において、布帛は処理液組成物(以下、単に「処理液」ともいう。)によって処理されていることが好ましい。処理液組成物は、インクジェット捺染の際に、捺染物の基材となる布帛に対して予め付着して用いるものであり、例えば、カチオン性化合物と、上記の水や有機溶剤を含有する。
カチオン性化合物は、インク組成物中の成分を凝集させる機能を有する。このため、処理液を付着させた布帛へインク組成物を付着させると、カチオン性化合物がインク粒子の凝集を促進したり、インクの粘度を高めて、布帛を構成する繊維の間隙あるいは内部への吸収を抑制する。このように、カチオン性化合物はインクを布帛の表面に保持するため、捺染物におけるインクの発色性が向上する。また、にじみやブリードを抑制する。
カチオン性化合物としては、カルシウム塩及びマグネシウム塩等の多価金属塩、カチオン性のウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂、アリルアミン系樹脂等のカチオン性樹脂、カチオン系界面活性剤、無機酸又は有機酸等が挙げられる。これらの中でも、顔料の発色性の向上及び綿布帛に好適である点により、多価金属塩を用いることが好ましい。これらのカチオン性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
処理液に含まれるカチオン性化合物の含有量は、特に限定されないが、処理液の総質量に対して、0.1質量%以上であることが好ましく、2.0質量%以上であることがより好ましく、5.0質量%以上であることがさらに好ましい。また、処理液に含まれるカチオン性化合物の含有量は、処理液の総質量に対して、40.0質量%以下であることが好ましく、25.0質量%以下であることがより好ましく、10.0質量%以下であることがさらに好ましい。カチオン性化合物の含有量を上記の範囲とすることにより、処理液におけるカチオン性化合物の析出や分離等を抑えて、インク中の顔料や樹脂粒子の凝集を促進し、布帛を構成する繊維の間隙あるいは内部に吸収されることを抑制する。これにより、印捺面の裏面方向に色材が裏抜ける現象が低減し、捺染物の発色性が向上する。
本実施形態に係るインクジェットインク組成物が、インク低吸収性またはインク非吸収性の難吸収性記録媒体に対する記録に用いられる場合には、上述と同様の処理液と共に用いることが好ましい。
ここで、本明細書において「インク非吸収性または低吸収性の記録媒体」とは、「ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下である記録媒体」を示す。このブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として最も普及している方法であり、日本紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法2000年版」の規格No.51「紙及び板紙−液体吸収性試験方法−ブリストー法」に述べられている。
インク非吸収性の記録媒体として、例えば、インクジェット印刷用に表面処理をしていない、すなわち、インク吸収層を形成していないプラスチックフィルム、紙等の基材上にプラスチックがコーティングされているものやプラスチックフィルムが接着されているもの等が挙げられる。ここでいうプラスチックとしては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。インク低吸収性の記録媒体として、アート紙、コート紙、マット紙等の印刷本紙が挙げられる。
本実施形態に係るインクジェットインク組成物は、捺染において要求される乾燥摩擦堅牢性や湿潤摩擦堅牢性が良好であるため、記録媒体として布帛を使用する、捺染用インクジェットインク組成物であることが好ましい。
4.インクジェット記録方法
次に、本実施形態に係るインクジェット記録方法について説明する。本実施形態に係るインクジェット記録方法は、上述したプリンター1(図1参照)を用いて、インクジェット法によりインク組成物の液滴を吐出し、記録媒体2に塗布することで画像等を形成して捺染を行う。
詳細には、本実施形態に係るインクジェット記録方法が布帛に対して行われる場合には、上記のインクジェットインク組成物を、インクジェットヘッドのノズルから吐出して布帛に付着させるインク付着工程を備える。インク付着工程では、布帛の少なくとも一部へ、上述したインクジェットヘッド3(図1参照)から吐出されたインク組成物の液滴を着弾させる。本実施形態において、インク付着工程でインクジェット法を用いることにより、スクリーン捺染等のアナログ捺染で必要な版が不要となるなど、多品種少量生産への対応が容易になると共に、高精細な画像、テキスト、模様、色彩等を形成することができる。
なお、布帛は処理液により処理されていることが好ましい。布帛が処理液により処理されている場合には、インク組成物に含まれる顔料等の成分と、処理液中のカチオン性化合物とが反応して、顔料等のインク成分が記録媒体2の表面付近で凝集する。このため、顔料が記録媒体2の内部方向に潜り込みにくくなり、インクの発色性が向上する。
処理液の付着方法は、布帛の少なくとも一部の領域に処理液を付着させることができれば特に限定されない。処理液の付着方法としては、例えば、処理液中に布帛を浸漬させる浸漬塗布、処理液を刷毛、ローラー、ヘラ、ロールコーター等を用いて付着させるローラー塗布、処理液をスプレー装置などにて噴射するスプレー塗布、処理液をインクジェット法にて付着させるインクジェット塗布等が挙げられる。中でも、装置の構成が簡便で、処理液の付着が迅速に行える、浸漬塗布、ローラー塗布、スプレー塗布等を用いることが好ましい。
インク付着工程では、記録媒体2に対するインクの付着量が、記録媒体2の単位面積当
たりで、1.5mg/cm以上6.0mg/cm以下であることが好ましく、2.0mg/cm以上5.0mg/cm以下であることがより好ましい。インクの付着量が前記範囲にあることにより、捺染によって形成される画像等の発色性が向上する。また、記録媒体2に付着したインクの乾燥性が確保されて、画像等のにじみの発生が低減する。なお、予め着色された布帛に対して、まず白色インク組成物などで下地を形成する場合には、上記の付着量を超えて白色インク組成物を付着させることが好ましい。
なお、インク付着工程の後に、記録媒体2に付着されたインクを加熱する工程を備えていてもよい。加熱方法としては、特に限定されないが、例えば、ヒートプレス法、常圧スチーム法、高圧スチーム法、サーモフィックス法などが挙げられる。加熱の熱源は、特に限定されないが、例えば、赤外線ランプなどを用いることができる。加熱温度は、インクの樹脂粒子が融着され、かつ水分等の媒体が揮発する温度であればよい。例えば、約100℃以上約200℃以下であることが好ましく、170℃以下であることがより好ましく、150℃以下であることがさらに好ましい。ここで、加熱する工程における加熱温度とは、記録媒体2に形成された画像等の表面温度を指す。加熱温度は、上述した乾燥工程と同様の方法にて測定が可能である。加熱を施す時間は、特に限定されないが、例えば、30秒以上20分以下である。
なお、本実施形態では記録を、上記の圧力室と、圧力室内のインク組成物を循環させる循環路と、を有するプリンター1で行うことにより、樹脂粒子の凝集物による目詰まりが抑制され、吐出安定性を良好なものとすることができる。このように、沸点が270℃以上のグリセリン等の保湿成分の含有量を減らしても吐出安定性や間欠吐出特性が確保できるため、加熱温度を低くすることが可能となる。
加熱する工程の後に、捺染を行った記録媒体2を水洗、乾燥する工程を備えていてもよい。水洗においては、必要に応じ、ソーピング処理として、記録媒体2に定着されなかったインク等の成分を、熱石けん液等を用いて洗い流してもよい。以上の工程により、捺染物が製造される。
なお、本実施形態に係るインクジェット記録方法が、インク非吸収性または低吸収性の難吸収性記録媒体に対して行われる場合には、インク付着工程と同時に、またはインク付着工程の前又は後に処理液付着工程があることが好ましい。記録媒体が処理液により処理されることにより、インク組成物に含まれる樹脂や顔料と、処理液中のカチオン性化合物とが反応して、インク成分が記録媒体の表面付近で凝集してインクの発色性が向上する。また、摩擦堅牢性が向上し、耐擦性が向上する。
以上のように、本実施形態に係るインクジェット記録方法によれば、インクジェットインク組成物が、架橋性基を有するウレタン樹脂粒子を含有することにより、得られた画像の摩擦堅牢性が向上する。また、平均粒子径D50が200nm以下である滑剤を含有することにより、吐出安定性と間欠吐出特性を良好なものとすることができる。また、記録時に上記のインク組成物を循環させる循環路を有するインクジェットヘッドを用いることで、さらに吐出安定性と間欠吐出特性が向上する。このように、本実施形態に係るインクジェット記録方法によれば、摩擦堅牢性と、吐出安定性や間欠吐出特性との両立が可能となる。
5.実施例
以下、本発明を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
5.1.インク組成物の調製
表1、2の組成になるように各成分を容器に入れて、マグネチックスターラーで2時間混合及び攪拌した後、さらに、直径0.3mmのジルコニアビーズを充填したビーズミルにて分散処理を行うことにより十分に混合した。1時間攪拌してから、5μmのPTFE製メンブランフィルターを用いて濾過することで各インクを得た。表1、2中の数値は特に記載の無いかぎり質量%を示し、イオン交換水は各インクの総質量がそれぞれ100質量%となるように添加した。なお、表1、2中の顔料分散体、架橋剤、滑剤の数値は、有効成分である固形分換算の質量%を示した。
Figure 2020132829
Figure 2020132829
表1、2に示す成分のうち、化合物名以外で記載された成分の詳細は以下の通りである。
顔料;Carbon Black(オリエント化学工業株式会社製、商品名「BONJET BLACKCW−1」、顔料固形分20%)
樹脂粒子
・UW−1501F;宇部興産株式会社製、架橋性基を有するウレタン樹脂粒子、商品名「ETERNACOLL UW−1501F」、Tg −30℃、平均粒子径D50 40nm
・タケラック(登録商標)W−6061;三井化学SKCポリウレタン株式会社製、架橋性基を有さないウレタン樹脂、平均粒子径D50 100nm
滑剤
・E−6500;東邦化学工業株式会社製、ポリエチレンワックスエマルジョン、商品名「ハイテックE−6500」、融点140℃、平均粒子径D50 60nm
・E−6314;東邦化学工業株式会社製、ポリエチレンワックスエマルジョン、商品名「ハイテックE−6314」、融点137℃、平均粒子径D50 100nm
・E−8237;東邦化学工業株式会社製、ポリエチレンワックスエマルジョン、商品名「ハイテックE−8237」、融点106℃、平均粒子径D50 80nm
・ME85250;Michelman社製、商品名「Michem Emulsion ME85250」、ポリエチレンワックスエマルジョン、平均粒子径D50 400nm
界面活性剤
・E1010;日信化学工業株式会社製、アセチレングリコール系界面活性剤、商品名「オルフィンE1010」
5.2.捺染物の作成
プリンターとして、セイコーエプソン株式会社製、商品名「SC−F2000」の改造機のヘッドの1ノズル列にインクを充填し、表1、2に記載の条件で、解像度1440dpi×1440dpiとし、塗布量200mg/inchで記録した。記録後に、コンベアオーブン(熱風乾燥法)にて、165℃・5分間の熱処理を行い、捺染物の定着を行った。布帛として、綿100%の白色綿ブロードを用いた。表1、2において、「循環」の例では、インクジェットヘッドは、図2、図3に記載の、圧力室と、圧力室内のインク組成物を循環させる循環路とを有する、インク循環構造を備えている。また、表1、2に記載のノズル径のインクジェットヘッドを用いている。
5.3.評価試験
5.3.1.乾燥摩擦堅牢性の評価
各例で得られた捺染物の乾燥摩擦堅牢性を、JIS L 0849「摩擦に対する染色堅ろう度試験方法」に規定される乾燥試験に準拠し、以下の基準で評価した。なお、試験はクロックメータ法により行った。評価はJIS L 0849で引用される、JIS L 0801の箇条10(染色堅ろう度の判定)により視感法で汚染等級を判定することにより行った。C評価以上である場合、本願発明において良好な乾燥摩擦堅牢性が得られているということができる。
評価基準
A:摩擦堅牢性が4−5級(中間等級)〜5級である
B:摩擦堅牢性が3−4級(中間等級)〜4級である
C:摩擦堅牢性が2−3級(中間等級)〜3級である
D:摩擦堅牢性が2級以下である
5.3.2.移染湿潤摩擦堅牢性試験
各例の捺染物に対して、JIS L 0849「摩擦に対する染色堅ろう度試験方法」に規定される湿潤試験に準拠し、以下の基準で評価した。なお、試験はクロックメータ法により行った。評価はJIS L 0849 で引用される、JIS L 0801の箇条10(染色堅ろう度の判定)により視感法で汚染等級を判定することにより行った。C評価以上である場合、本願発明において良好な湿潤摩擦堅牢性が得られているということができる。
評価基準
A:摩擦堅牢性が4−5級(中間等級)〜5級である
B:摩擦堅牢性が3−4級(中間等級)〜4級である
C:摩擦堅牢性が2−3級(中間等級)〜3級である
D:摩擦堅牢性が2級以下である
5.3.3.吐出安定性の評価
上記インクジェット装置を用いて、表1、2に記載のノズル径のインクジェットヘッドを用い、20℃、30%RHの環境で、1滴あたり10plを吐出する条件で14kHzにて連続吐出した。3分後の出射状態をストロボ照明とCCDカメラを用いた液滴観察装置により観察し、以下の基準で評価した。C評価以上である場合、本願発明において良好な吐出安定性が得られているということができる。
評価基準
A:3分後のノズル抜け本数0本
B:3分後のノズル抜け本数1本
C:3分後のノズル抜け本数2本
D:3分後のノズル抜け本数2本以上で液滴形状乱れあり
5.3.4.間欠吐出特性の評価
上記インクジェット装置を用いて、表1、2に記載のノズル径のインクジェットヘッドを用い、20℃、30%RHの環境で、1滴あたり10plを吐出する条件で14kHzにて10秒間連続吐出した。吐出と吐出の間隔を40秒開けた場合の液滴の出射状態をストロボ照明とCCDカメラを用いた液滴観察装置により観察し、以下の基準で評価した。C評価以上である場合、本願発明において良好な間欠吐出特性が得られているということができる。
評価基準
A:40秒放置後の液滴の速度差が5%未満
B:40秒放置後の液滴の速度差が15%未満
C:40秒放置後の液滴の速度差が15%以上
D:40秒放置後に液滴が吐出せず
5.4.評価結果
比較例では、吐出安定性および間欠吐出特性と、摩擦堅牢性が両立できなかったが、実施例ではいずれも吐出安定性および間欠吐出特性と、摩擦堅牢性の両立できていた。具体的に説明する。
表1の実施例1〜3より、ノズル径が小さい方が吐出安定性が良く、ノズル径が大きい方が間欠吐出特性が優れていた。実施例1、4、5より、滑剤の粒子径が大きくなると、吐出安定性が低下した。
これらに対し、比較例1ではウレタン樹脂粒子が架橋性基を有さないため、吐出安定性および間欠吐出特性は良好だったが摩擦堅牢性が悪化した。また、比較例2は、さらに滑剤を含まないため、比較例1よりも吐出安定性および間欠吐出特性が低下し、摩擦堅牢性がさらに悪化した。比較例3では、滑剤の平均粒子径が大きいため、実施例1と比べて吐
出安定性および間欠吐出特性が低下した。比較例4、5では滑剤を含まないため、実施例1に比べて全体的に評価が低下した。特に比較例4ではグリセリンの含有量が高いため、実施例1に比べて、特に摩擦堅牢性と吐出安定性が低下した。比較例5では、特に乾燥摩擦堅牢性と間欠吐出特性が低下した。一方で、湿潤摩擦堅牢性は架橋性基含有ウレタン樹脂を含むため良好に維持された。
表2の実施例6〜9より、樹脂量が多くなると摩擦堅牢性が向上し、樹脂の含有量が少なくなると吐出安定性および間欠吐出特性が向上した。実施例10、11より、顔料の含有量が低い方が、湿潤摩擦堅牢性、吐出安定性および間欠吐出特性の評価が高かった。実施例12、13より、滑剤の含有量が多い方が摩擦堅牢性の評価が高く、少ない方が吐出安定性および間欠吐出特性の評価が高かった。実施例14より、循環ヘッドを用いると、実施例1よりも間欠吐出特性の評価が高かくなった。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成、例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1…プリンター、2…記録媒体、3…インクジェットヘッド、4…キャリッジ、5…主走査機構、6…プラテンローラー、7a,7b,7c,7d,7e,7f…インクカートリッジ、8…タイミングベルト、9…モーター、10…ガイド軸、28…配線基板、30…流路形成部、32…第1流路基板、34…第2流路基板、42…振動部、44…圧電素子、46…保護部材、48…筐体部、482…導入口、52…ノズルプレート、54…吸振体、61…供給路、63…連通路、65…循環液室、69…隔壁部、C…圧力室、n1…第1区間、n2…第2区間、72…排出路

Claims (12)

  1. 顔料と、樹脂粒子と、滑剤と、水と、有機溶剤とを含有する、インクジェットインク組成物であって、
    前記樹脂粒子は、架橋性基を有するウレタン樹脂粒子であり、
    前記滑剤は、平均粒子径D50が200nm以下である、インクジェットインク組成物。
  2. 前記樹脂粒子の含有量が、インクジェットインク組成物の総質量に対して5.0質量%以上である、請求項1に記載のインクジェットインク組成物。
  3. 前記樹脂粒子のガラス転移温度が、0℃以下である、請求項1または請求項2に記載のインクジェットインク組成物。
  4. 前記滑剤の平均粒子径D50に対する前記樹脂粒子の平均粒子径D50の比が、0.5以上1.5以下である、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のインクジェットインク組成物。
  5. グリセリンの含有量が、インクジェットインク組成物の総質量に対して15.0質量%以下である、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のインクジェットインク組成物。
  6. 前記滑剤の融点が、120℃以上である、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のインクジェットインク組成物。
  7. 前記ウレタン樹脂粒子の平均粒子径D50が、100nm以下である、請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のインクジェットインク組成物。
  8. ノズル径が20μm以上30μm以下のノズルより吐出させる、請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載のインクジェットインク組成物。
  9. 前記ノズルと、圧力室と、前記圧力室内のインクジェットインク組成物を循環させる循環路と、を有するインクジェットヘッドを備えるインクジェット記録装置に用いられる、請求項8に記載のインクジェットインク組成物。
  10. 記録媒体が布帛である、請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載のインクジェットインク組成物。
  11. インクジェットインク組成物を、インクジェットヘッドのノズルから吐出して記録媒体に付着させるインク付着工程を備え、
    前記インクジェットインク組成物は、顔料と、樹脂粒子と、滑剤と、水と、有機溶剤とを含有し、
    前記樹脂粒子は、架橋性基を有するウレタン樹脂粒子であり、
    前記滑剤は、平均粒子径D50が200nm以下である、
    インクジェット記録方法。
  12. 前記インクジェットヘッドは、圧力室と、前記圧力室内のインクジェットインク組成物を循環させる循環路とを有する、請求項11に記載のインクジェット記録方法。
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