JP2020119650A - 水系リチウム空気電池及び水系リチウム空気電池装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】放電容量を増大できる水系リチウム空気電池及び水系リチウム空気電池装置を提供する。【解決手段】水系リチウム空気電池は、負極活物質としてリチウムを含む負極11と、湿り空気が供給される多孔性の空気極15と、リチウム塩及び水を含む水系電解液を有する水系電解質層14と、負極と水系電解質層との間に介在された負極保護層13と、を含む。水系リチウム空気電池は放電により放電生成物である水酸化リチウム一水和物が空気極より水系電解質層側に析出するように構成される。水酸化リチウム一水和物が析出する場合の析出開始部は、負極保護層の水系電解質層側の界面である。【選択図】図6

Description

本発明は、負極活物質としてリチウム(Li)を使用し、正極活物質として空気中の酸素(O)を使用する水系リチウム空気電池及び水系リチウム空気電池装置に関する。
近年、負極活物質としてリチウム(Li)を使用し、正極活物質として空気中の酸素(O)を利用し、水溶液電解液(以下、「水系電解液」と称呼される。)を使用する水系リチウム空気二次電池(「水系リチウム−空気二次電池」とも表記される。)が注目されている。
水系リチウム空気二次電池では、(1)式及び(2)式の放電反応が進行する。

負極:Li→Li+e・・・(1)
正極(空気極):Li+1/4O+1/2HO+e→Li+OH・・・(2)
水系リチウム空気二次電池では、金属リチウムと水系電解液との接触を避けるため、金属リチウムと水系電解液との間に「LATP」と称呼される水不透過性のリチウムイオン伝導体からなる「負極保護層」を介在させることによって、金属リチウムを保護することが行われている(特許文献1を参照。)。
水系リチウム空気二次電池では、(2)式の放電反応の進行に伴い生成する水酸化リチウムが水系電解液に溶解することよって、水系電解液の強アルカリ性化が進行する。
しかしながら、「負極保護層」として使用されるLATPは、強アルカリ性水溶液に対する耐久性が弱く、強アルカリ性水溶液に接すると腐食する性質を有する。従って、水系電解液の強アルカリ性化が進行した場合、LTAPは、水系電解液に接する表面から腐食が進行することにより、経時的に劣化してしまう虞がある(非特許文献1を参照。)。
そこで、水系電解液に塩化リチウム(LiCl)を添加することによって、放電生成物である水酸化リチウム(LiOH)の電離を防止し、水系電解液のアルカリ性を弱くすることにより、LATPのアルカリ腐食を防止する技術が提案されている(特許文献2を参照。)。
特許文献2の技術では、正極(多孔性のガス拡散電極)に多孔性を有する炭素系材料が使用され、正極で下記(3)式の放電反応が進行する。この放電反応では、放電生成物の水酸化リチウム(LiOH)の電離が抑制され、放電生成物は「水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)」の形で析出する。

正極:Li+1/4O+3/2HO+e→LiOH・HO↓・・・(3)
しかしながら、特許文献2の技術では、水系電解液が含浸された正極内部で(3)式の反応が起こることにより、水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)が正極内部の細孔内で析出することがあり得る。この場合、正極内部の細孔が水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)により閉塞され、正極に対する酸素の供給性が低下することによって放電反応が阻害されることにより、長時間放電反応を継続することができない問題が生じる可能性がある。
そこで、特許文献3の技術が提案されている。特許文献3の技術では、正極がガス拡散層と正極反応層とで構成されている。正極反応層が撥水性放電反応層(酸素還元触媒と撥水材とが陰イオン導電性を有する樹脂バインダで結着されてなる多孔質層)と親水性充電反応層とで構成されている。
特許文献3の技術では、正極反応層内で生じた水酸化物イオン(OH)が正極反応層内を拡散して正極反応層の水系電解液側の界面まで移動し、正極反応層の水系電解液側の界面で水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)が析出する。その結果、正極反応層の孔内で水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)が析出しないで、水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)が水系電解液中に沈殿して貯蔵されるので、放電反応を長時間継続することが可能になる。
特表2007−513464号公報 特開2012−33490号公報 特許第6074394号公報
Satoshi Hasegawa et al., "Study on lithium/air secondary batteries Stability of NASICON-type lithium ion conducting glass ceramics with water", Journal of Power Sources, vol.189(1), p371-377 (2009)
しかしながら、特許文献3の技術では、電池を軽量化及び小型化することを目的として水系電解液を少量化した場合、水系電解液のLiCl濃度(塩化リチウム濃度)が飽和濃度以上になってしまうことがあり得る。即ち、水系電解液を少量化した場合、正極での放電反応((3)式)が進行することにより水が消費されると、水の消費に伴う水系電解液中のLiCl濃度の増加量は、水系電解液を少量化する前に比べて大きくなる。その結果、正極での放電反応が進行することにより、水系電解液のLiCl濃度が飽和濃度以上になってしまうことがあり得る。
この場合、正極反応層の水系電解液側の界面で固体の塩化リチウム(LiCl)が析出し、析出した塩化リチウム(LiCl)が正極反応層の細孔を塞ぐことで放電反応を阻害することにより、放電容量が低下してしまう可能性がある。加えて、この場合、正極反応層の水系電解液側の界面で、析出した水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)が堆積することによって、放電反応が阻害されることにより、放電容量が低下してしまう可能性もある。
本発明は上述した課題に対処するためになされた。即ち、本発明の目的の一つは、放電容量を増大できる水系リチウム空気電池(以下、「本発明水系リチウム空気電池」と称呼される場合がある。)及び水系リチウム空気電池装置(以下、「本発明水系リチウム空気電池装置」と称呼される場合がある。)を提供することにある。
上述の課題を解決するために、
本発明水系リチウム空気電池は、負極活物質としてリチウムを含む負極と、湿り空気が供給される多孔性の空気極と、リチウム塩及び水を含む水系電解液を有する水系電解質層と、前記負極と前記水系電解質層との間に介在された負極保護層と、を含み、前記負極と前記負極保護層と前記水系電解質層と前記空気極とが、前記負極、前記負極保護層、前記水系電解質層及び前記空気極の順で積層され、放電により放電生成物である水酸化リチウム一水和物が前記空気極より水系電解質層側に析出するように構成される。
本発明水系リチウム空気電池の前記水酸化リチウム一水和物が析出する場合の析出開始部は、前記負極保護層の前記水系電解質層側の界面である。
本発明水系リチウム空気電池の一態様において、
前記界面に沿って堆積した前記水酸化リチウム一水和物を含む析出物層を更に含む。
本発明水系リチウム空気電池の一態様において、
前記析出物層の厚さは、放電が進行するに従って増加する。
本発明水系リチウム空気電池の一態様において、
前記水系電解質層は、前記水系電解液が含侵されたセパレータで構成され、
前記析出物層の厚さの変化に追従して、前記セパレータと前記空気極とが接触した状態で移動するように構成される。
本発明水系リチウム空気電池の一態様において、
前記水系電解質層は、前記水系電解液で構成され、
前記析出物層の厚さの変化に追従して、前記水系電解液と前記空気極とが接触した状態で移動するように構成される。
本発明水系リチウム空気電池の一態様において、
前記空気極の外側の面を覆い、前記空気極との間に前記湿り空気が通り且つ前記空気極の多孔と連通する気体流通空間を形成する蓋部であって、外部から前記気体流通空間に前記湿り空気を導入するための空気導入口と、前記気体流通空間から前記湿り空気を排出するための空気排出口とが形成された前記蓋部を更に備える。
本発明水系リチウム空気電池の一態様において、
前記湿り空気として加湿処理後の湿り空気が前記空気導入口から前記気体流通空間に導入される。
本発明水系リチウム空気電池の一態様において、
前記リチウム塩は、特定リチウム塩を含み、
前記特定リチウム塩は、水酸化リチウムの溶解度より大きい溶解度を有し、且つ、リチウムイオンのカウンターイオンが充電及び放電によって分解されないリチウム塩である。
本発明水系リチウム空気電池装置は、
負極活物質としてリチウムを含む負極と、湿り空気が供給される多孔性の空気極と、リチウム塩及び水を含む水系電解液を有する水系電解質層と、前記負極と前記水系電解質層との間に介在された負極保護層と、を含み、前記負極と前記負極保護層と前記水系電解質層と前記空気極とが、前記負極、前記負極保護層、前記水系電解質層及び前記空気極の順で積層され、放電により放電生成物である水酸化リチウム一水和物が前記空気極より水系電解質層側に析出するように構成され、前記水酸化リチウム一水和物が析出する場合の析出開始部が、前記負極保護層の前記水系電解質層側界面である、水系リチウム空気電池と、
外部空気を加湿する加湿部と、を備え、前記外部空気が加湿部によって加湿された後の加湿処理後の外部空気を前記湿り空気として前記空気極に供給するように構成される。
本発明水系リチウム空気電池装置は、
負極活物質としてリチウムを含む負極と、湿り空気が供給される多孔性の空気極と、リチウム塩及び水を含む水系電解液を有する水系電解質層と、前記負極と前記水系電解質層との間に介在された負極保護層と、を含み、前記負極と前記負極保護層と前記水系電解質層と前記空気極とが、前記負極、前記負極保護層、前記水系電解質層及び前記空気極の順で積層され、放電により放電生成物である水酸化リチウム一水和物が前記空気極より水系電解質層側に析出するように構成され、前記水酸化リチウム一水和物が析出する場合の析出開始部が、前記負極保護層の前記水系電解質層側界面である、水系リチウム空気電池と、
外部空気を加湿する加湿部と、
前記外部空気を、前記加湿部を通さないで前記空気極まで流通し、前記外部空気を前記湿り空気として前記空気極に供給する非加湿処理用気体流路と、
前記外部空気を、前記加湿部を通して前記空気極まで流通し、加湿処理後の前記外部空気を前記湿り空気として前記空気極に供給する加湿処理用気体流路と、
前記加湿部を通す前の前記外部空気の相対湿度を測定する湿度測定部と、
前記非加湿処理用気体流路に配設され、前記空気極までの前記外部空気の流れを許容する開状態と、前記空気極までの前記外部空気の流れを遮断する閉状態の何れかに設定される第1バルブと、
前記加湿処理用気体流路に配設され、前記空気極までの前記外部空気の流れを許容する開状態と、前記空気極までの前記外部空気の流れを遮断する閉状態の何れかに設定される第2バルブと、
前記第1バルブ及び前記第2バルブの開閉状態を制御する制御部と、
を更に備え、
前記制御部は、
前記湿度測定部が測定した前記相対湿度を取得し、
前記相対湿度が所定閾値より高いとき、前記第1バルブを開状態に設定し、前記第2バルブを閉状態に設定し、
前記測定された前記相対湿度が所定閾値以下であるとき、前記第1バルブを閉状態に設定し、前記第2バルブを開状態に設定するように構成される。
本発明によれば、放電容量を増大できる。
図1は第1参考例の水系リチウム空気電池の構成例を示す概略断面図である。 図2は第2参考例の水系リチウム空気電池の構成例を示す概略断面図である。 図3は第2参考例の水系リチウム空気電池の構成例の一部を示す概略断面図である。 図4は第3参考例の水系リチウム空気電池装置の構成例を示す概略断面図である。 図5は本願発明者が検討した水系電解液に対する水の供給方法を説明するための図である。 図6は第1実施形態に係る水系リチウム空気電池の構成例を示す概略断面図である。 図7は第2実施形態に係る水系リチウム空気電池の構成例を示す概略断面図である。 図8は第3実施形態に係る水系リチウム空気電池装置の構成例を示す概略構成図である。 図9は第4実施形態に係る水系リチウム空気電池装置の構成例を示した概略構成図である。 図10は評価試験に使用した電気化学セル及び正極側積層体等を示す図である。 図11は正極電位と放電容量との関係を示すグラフである。 図12は放電容量評価後の正極側積層体の内部の様子を示した写真である。 図13は放電容量評価後のLATPの表面に析出した水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)の写真である。
<<背景技術の詳細及び本発明の概要>>
まず、本発明の理解を容易にするため、背景技術の詳細及び本発明の概要について説明する。
図1は、第1参考例としての水系リチウム空気電池の構成例を示す。図1に示すように、水系リチウム空気電池は、リチウム金属負極111と、正極115(「空気極」とも称呼される。)との間に、反応防止層112と、負極保護層113と、水系電解液114とが介在された構造を有する。反応防止層112、負極保護層113及び水系電解液114は、リチウム金属負極111から正極115に向かって、反応防止層112、負極保護層113及び水系電解液114の順に配設されている。
正極115は、ガス拡散層115a及び正極反応層115bから構成される。ガス拡散層115aは、例えば、撥水処理を施したカーボンペーパーで構成される。正極反応層115bは、例えば、放電用触媒としての触媒担持カーボン粒子(白金担持カーボン)と、充電用触媒としての酸化イリジウム(IrO)粒子(粉末)と、バインダ(フッ素系樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))と、で構成される。正極反応層115bは、多数の細孔(粒子間の隙間)を有し、水系電解液114が含浸されている。
上述した通り、水系リチウム空気電池のリチウム金属負極111(負極)及び正極115の放電は、(1)式及び(2)式の反応で進行する。

負極:Li→Li+e・・・(1)
正極:Li+1/4O+1/2HO+e→Li+OH・・・(2)
水系リチウム空気電池では、リチウム金属負極111を、負極保護層113を用いて保護することによって、リチウム金属負極111(リチウム金属)と水とが反応することを防止できる。負極保護層113としては、LATPを用いる。これにより、水系電解液114が使用できている。水系電解液114中では、酸素(O)の酸化/還元反応が非常にスムーズに進行するので、水系リチウム空気電池では、高い電池性能が得られる傾向にある。
しかしながら、水系リチウム空気電池では、LATPのアルカリ腐食が発生することが問題になる。即ち、(2)式で示したように、正極115では、放電反応により水酸化リチウム(LiOH)が生じる。このため、放電反応が進行するに従って、水系電解液114がアルカリ側にシフトしてゆく。水系電解液114がアルカリ側にシフトして、水系電解液114のPHが10以上の強アルカリ性になると、その水系電解液114中では、LATPの腐食(アルカリ腐食)が発生してしまう(非特許文献1を参照。)。
そこで、LATPのアルカリ腐食発生の問題を解決する技術として、水系電解液114にハロゲン化リチウム(例えば、塩化リチウム(LiCl))を添加する技術が提案されている(特許文献2を参照。)。この技術では、上述した通り、正極115(正極反応層115b)の放電反応が(3)式で進行する。

正極:Li+1/4O+3/2HO+e→LiOH・HO↓・・・(3)
このとき正極115で生成する放電生成物の水酸化リチウム(LiOH)は、水酸化リチウム(LiOH)より電離溶解し易い高濃度の塩化リチウム(LiCl)と共存することによって、「解離反応:LiOH⇔Li+OH」の平衡が左に移動するので、電離が抑制される。その結果、放電生成物の水酸化リチウム(LiOH)は、水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)の形で、正極反応層115b内で析出する。従って、この技術では、水系電解液114が強アルカリ性になることを防止できる。
しかしながら、正極反応層115b内の細孔内で水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)が析出するので、正極反応層115bの細孔が析出した水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)で閉塞されてしまうことがあり得る。その結果、正極反応層115bへの酸素(O)の供給性が低下することにより、放電反応が阻害されるので、放電反応を長時間継続することができない問題が発生する。
そこで、図2に示すように、正極反応層115bに代えて、正極反応層215bを用いた第2参考例の水系リチウム空気電池が提案されている(特許文献3を参照。)。第2参考例の正極反応層215bは、親水性充電反応層215b1と撥水性放電反応層215b2とから構成される。親水性充電反応層215b1は、酸素発生触媒層215b11及び親水層215b12とから構成される。
第2参考例の水系リチウム空気電池では、放電時、正極反応層215b内で生成した水酸化物イオン(OH)が正極反応層215b内を拡散して正極反応層215bの水系電解液114側の界面まで移動し、正極反応層215bの水系電解液114側の界面で水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)が析出する。そのため、正極反応層215bの孔内で水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)が析出しないで、水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)は、水系電解液114中に沈殿して貯蔵される。その結果、放電反応を長時間継続することが可能になる。
ところで、塩化リチウム(LiCl)は、分子量が比較的小さく、水に対して溶解度が高く、水酸化リチウム(LiOH)の電離を防止するための添加塩として、最も適しているリチウム塩である。塩化リチウム(LiCl)の飽和濃度は、室温で、12.5mol/L程度である。水酸化リチウム(LiOH)の電離を防止するためには、少なくとも、水酸化リチウム(LiOH)の飽和濃度(5.3mol/L程度)以上に電解液中のLiCl濃度を保つのが好ましい。更に、LATPのアルカリ腐食をより確実に抑制するためには、8mol/L以上に電解液中のLiCl濃度を保つのがより好ましい。従って、通常、水系電解液114中のLiCl濃度としては、10mol/L程度のLiCl濃度が選択される。
ところが、塩化リチウム(LiCl)は、水とは違って電池反応に無関係な(電池反応に寄与しない)化合物である。従って、第2参考例の水系リチウム空気電池では、塩化リチウム(LiCl)の含有量分、電池の重量エネルギー密度が小さくなってしまう問題がある。
加えて、第2参考例の水系リチウム空気電池では、特に電池を軽量化及び小型化することを目的として、図3に示したように、水系電解液114の収容スペースを小さくすることにより水系電解液114を少量化した場合、塩化リチウム(LiCl)が析出することによって、放電反応が継続できなくなってしまう問題がある。加えて、この場合、正極反応層215bの水系電解液114側の界面で、析出した水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)が堆積することによって、放電反応が阻害されることにより、放電容量が低下してしまう可能性もある。
塩化リチウム(LiCl)の析出の問題について、具体的に述べると、水系電解液114が高濃度の塩化リチウム(LiCl)を含む場合、放電反応の進行により水が消費される((3)式を参照。)。このとき、水系電解液114の量が多いと、放電反応に伴う水の濃度変化は小さい。この場合、放電反応により水が消費されたとしても、水系電解液114中のLiCl濃度が大きく変化する可能性は低い(即ち、放電に伴うLiCl濃度の増加量は小さい。)。従って、水系リチウム空気電池が放電しているときにLiCl濃度が飽和濃度以上になり難いので、塩化リチウム(LiCl)が析出する可能性が低い。
これに対して、水系電解液114を少量化した場合、放電反応に伴う水の濃度変化は大きくなる。この場合、放電反応により水が消費されると、LiCl濃度が大きく変化する
(即ち、放電に伴うLiCl濃度の増加量は大きい。)。従って、水系リチウム空気電池が放電しているときに塩化リチウム(LiCl)が飽和濃度以上になることによって、塩化リチウム(LiCl)が析出する可能性が高くなってしまう。
塩化リチウム(LiCl)の析出は、水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)を生成して水が消費される領域で起こる。この領域は、正極反応層215bの水系電解液114側の界面及び界面の近傍領域である。従って、塩化リチウム(LiCl)の析出が起こる場合、塩化リチウム(LiCl)は正極反応層215bの水系電解液114側の界面及び界面の近傍領域に析出する。析出した固体の塩化リチウム(LiCl)は、正極反応層215bの細孔を塞ぎ、電池の反応を阻害する要因になる。そのため、塩化リチウム(LiCl)の析出が起こると、放電反応が継続できなくなる。
これに対して、過剰な水を予め水系電解液114に添加することによって、塩化リチウム(LiCl)の濃度を下げることにより、塩化リチウム(LiCl)の析出を抑制できる。
しかしながら、過剰な水を予め水系電解液114に添加した場合、電池反応に関係ない電池部材の大きさ(重量)が増大してしまうので、電池の重量エネルギー密度が小さくなってしまう問題がある。即ち、過剰な水を予め水系電解液114に添加すると、水系電解液114の量も増える。水系電解液114の量を増やすためには、水系電解液114を収容するための収容空間も大きくする必要がある。収容空間を大きくするためには、収容空間を形成するための電池部材(例えば、外装材)の大きさ(重量)も増やす必要がある。この電池部材は電池反応に寄与できないので、電池部材の大きさ(重量)を増やすと、その分、電池の重量エネルギー密度が小さくなってしまう。
そこで、本願発明者は、図4に示したように、水タンクと水導入口とを水通路及び流量コントローラを介して連通させて、水系リチウム空気電池の水系電解液114中に水を添加する技術が有効であると考え、検討した。
この技術を適用した水系リチウム空気電池では、放電前に、この電池が求められる放電容量(例えば、仕様の放電容量)に必要な量の水を水系電解液114に添加しておかなくてもよいので、水系電解液114の収容空間の大きさも増大する必要がない。更にこの水系リチウム空気電池では、放電反応によって水系電解液114の水が消費されても、水タンクから逐次水を水系電解液114に供給することによって、放電反応に必要な水が水系電解液114に補給されるので、放電反応を継続できる。また、水系電解液114が過飽和しない状態で、水系電解液114の塩化リチウム(LiCl)濃度を高濃度に維持することができるので、塩化リチウム(LiCl)の析出も防止できる。
更に、この水系リチウム空気電池では、水系電解液114の塩化リチウム(LiCl)濃度を高濃度に維持するために、外部から添加する水(水タンク中の水)に対して、予め高濃度の塩化リチウム(LiCl)を添加しなくてもよい利点もある。
しかしながら、この水系リチウム空気電池では、水導入口が、上下方向(負極保護層113の水系電解液114側の界面に沿う方向)の上部に設けられている。従って、電池外部の水タンクから水系電解液114に水を供給するとき、水系電解液114の上部から水が導入される。その結果、次の現象が生じてしまうことがわかった。
即ち、放電初期では、水系電解液114中への水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)の生成・堆積量は少ないため、外部から水系電解液114に添加(供給)された水は、水系電解液114の全体に拡散し、水系電解液114の濃度の分布は、均一性を保つ傾向にある。
一方、放電反応が進行するに従って、水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)の沈殿・堆積量が増え、外部(水タンク)から添加(供給)された水は、水系電解液114の全体に拡散し難くなる。そのため、水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)が水系電解液114の下方から堆積していく。これにより、水系電解液114中に存在する水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)の量が、上下方向に均一ではなくなる。その結果、電池内部で、電池反応が不均一に進行する可能性があると共に、LiCl濃度が高い部分が、水系電解液114に部分的に生じることによって、その部分で塩化リチウム(LiCl)の析出が発生する可能性がある。
そこで、本願発明者は、図5に示したように、水を気体(水蒸気)の状態で、ガス拡散層115aを通して正極反応層115b(正極115)の水系電解質層14側の界面に向かって供給することにより、正極反応層115b側から水系電解液114に水を供給する方法を検討したところ、以下に述べることを見出した。
即ち、この方法では、水が水系電解液114に補給されることにより、放電時に水系電解液114の水が消費されても、水系電解液114全体の水の濃度が小さくなり難くなる。このため、塩化リチウム(LiCl)の濃度が飽和濃度より大きくなり難くなるので(水系電解液が過飽和し難くなるので)、塩化リチウム(LiCl)の析出を抑制できる。
加えて、この方法では、ガス拡散層115aを通して水(水蒸気)が水系電解液114に正極反応層115b側から供給される。これにより、水系電解液114の上下方向に水の供給量のばらつきが生じないように、水が水系電解液114に供給される。このように水が水系電解液114に供給されることによって、正極反応層215bの水系電解液114側の界面近傍の方が、電解液バルク(水系電解液114全体)と比べて、LiOH濃度及びLiCl濃度が低くなる。
一方、LATPの水系電解液側の界面近傍の方が、電解液バルク(水系電解液114全体)と比べて、LiOH濃度及びLiCl濃度が高くなる。従って、放電反応により生成する水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)は、正極反応層215bの水系電解液114側の界面から遠い場所、即ち、負極保護層113であるLATPの水系電解液114側の界面から析出を開始し、その界面に沿って堆積するようになる。
このため、正極反応層215bの水系電解液114側の界面では、固体物(LiOH・HO)の析出が起こりにくくなるので、放電反応を阻害する可能性が低下する。従って、水系電解液114の水が不足しないように水蒸気(水)の補給が継続されている限り、放電を長時間継続できるので、電池を高容量化することができる。
以下、上述した知見に基づき創作された技術的思想の創作(発明)に係る各実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施形態の全図において、同一又は対応する部分には同一の符号を付す。
<<第1実施形態>>
<電池構成>
図6は、本発明の第1実施形態に係る水系リチウム空気電池(二次電池)の構成例を示す。なお、水系リチウム空気電池は、「水系リチウム−空気電池」とも表記される。
本発明の第1実施形態に係る水系リチウム空気二次電池は、負極活物質としてリチウム(Li)を使用し、正極活物質として空気中の酸素(O)を使用し、電解液として水系電解液を使用する水系リチウム空気二次電池である。
図1に示されたように、水系リチウム空気二次電池は、負極11と、反応防止層12と、負極保護層13と、水系電解質層14と、正極15(空気極)と、これらが収容される外装材20とを備える。
水系リチウム空気二次電池は、負極11と、正極15との間に、反応防止層12と、負極保護層13と、水系電解質層14とが介在された構造を有する。反応防止層12、負極保護層13及び水系電解質層14は、負極11から正極15に向かって、反応防止層12、負極保護層13及び水系電解質層14の順に積層(配設)されている。
(負極)
負極11としては、箔状の金属リチウムを用いることができる。
(反応防止層)
反応防止層12は、負極保護層13と、負極11(金属リチウム)との反応を防止するために設けられている。反応防止層12を設けることにより、負極保護層13と、金属リチウムとが接触して、負極保護層13の構成成分(例えばチタン(Ti))が還元されることによって、負極保護層13が劣化することを防止することができる。
反応防止層12としては、リチウムイオン伝導性を有し、且つ、金属リチウムに対して安定な材料を用いることができる。反応防止層12としては、例えば、ポリマー電解質、有機電解液(非水電解液)、又は、リチウムリン酸窒化物(LiPON(Li3−xPO4−yy))を用いることができる。
ポリマー電解質としては、真性ポリマー電解質(電解液を含まないポリマー電解質)又はゲル電解質(非水電解液を含むゲル状のポリマー電解質)を用いることができる。
真性ポリマー電解質としては、例えば、リチウム塩をホストポリマーに分散させた電解質を用いることができる。ホストポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、及び、ポリプロピレンオキシド(PPO)等から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。リチウム塩としては、例えば、LiPF、LiClO、LiBF、LiTFSI(Li(CFSON)、及び、LiBOB(リチウムビスオキサレートボレート)等から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
非水電解液としては、非水溶媒にリチウム塩を溶解させた非水電解液を用いることができる。非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,2−ジメトキシエタン、2−メチルテトラヒドロフラン、スルホラン、ジエチルカーボネート、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、及び、ジメチルカーボネート等から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。リチウム塩としては、上述したリチウム塩を用いることができる。
ゲル電解質は、上述の非水電解液と、非水電解液により膨潤したホストポリマー(マトリックスポリマー(高分子化合物))とを有する。ホストポリマーとしては、非水電解液により膨潤可能な高分子化合物を用いることができる。このようなホストポリマーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、及び、ポリエチレンオキシド等から選ばれた1種又は2種以上を挙げることができる。
(負極保護層)
負極保護層13は、水不透過性であり、且つ、リチウムイオン伝導性を有する水不透過性のリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスを用いることができる。これにより、負極11である金属リチウムが、水系電解質層14に含まれる水系電解液と接触して反応してしまうことを防止することができる。このような水不透過性のリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスとしては、例えば、「LATP」と称呼されるリチウム置換型NASICON型のリチウムイオン伝導性ガラスセラックスを用いることができる。
LATPは、例えば、(化1)及び/又は(化2)で表される結晶質相を含むリチウムイオン伝導性ガラスセラミックである。
(化1)
Li1+x1(M,Al,Ga)x1(Ge1−y1Tiy12−x1(PO
(化1中、x1はx1≦0.8を満たす。y1は0≦y1≦1.0満たす。MはNd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm及びYbからなる群から選択される1つ以上の元素である。)
(化2)
Li1+x2+y2x2Ti2−x2SiP3−y212
(化2中、xは0<x2≦0.4を満たす。yは0<y2≦0.6を満たす。QはAl又はGaである。)
LATPは、比較的高いリチウムイオン導電率を有し、水に対して化学的に安定である。更に、LATPは、熱処理条件を調整することよって、粒界にガラス相が形成されことにより粒界の隙間を封止できるので、外部から負極21に水が進入することを防止できる。
(水系電解質層)
水系電解質層14は、「水系電解液が含浸されたセパレータ(即ち、セパレータ及びセパレータに含浸された水系電解液)」で構成されている。セパレータとしては、例えば、不織布又は親水性の多孔質膜を用いることができる。不織布としては、例えば、ポリオレフィン製の不織布を用いることができる。親水性の多孔質膜としては、例えば、親水性化処理が施されたポリオレフィンフィルム(例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンフィルム)を用いることができる。なお、水系電解質層14は、セパレータを省略した構成としてもよい。セパレータを省略した場合、水系電解質層14は、水系電解液で構成される。
水系電解液としては、リチウム塩が水に溶解した水溶液を用いることができる。リチウム塩は、水系電解液中のリチウム濃度(リチウムイオン(Li)濃度)を高めるために使用される。リチウム塩としては、水に溶解して陽イオン(カチオン)と陰イオン(アニオン)に電離する電解質塩として使用可能な種々のリチウム塩の1種又は2種以上を用いることができる。
リチウム塩は、放電により生成される水酸化リチウム(LiOH)の電離を抑制することで、水系電解液がアルカリ側にシフトすることを抑制する観点から、「水酸化リチウム(LiOH)の溶解度より大きい溶解度を有し、且つ、リチウムイオンのカウンターイオン(アニオン)が充電及び放電によって分解されないリチウム塩(便宜上、「特定リチウム塩」とも称呼される。)」を含むことが好ましい。なお、溶解度は、水に対する溶解度である。
特定リチウム塩は、電池反応に影響を与える可能性が低く、過剰に(例えば、水酸化リチウム(LiOH)の飽和濃度以上)に水系電解液中に含有(溶解)させることができる。そして、過剰に特定リチウム塩を水系電解液中に含有(溶解)させることにより、「解離反応(電離反応):LiOH⇔Li+OH」の平衡を左に移動させることで、水酸化リチウム(LiOH)の電離を抑制できる。よって、水系電解液がアルカリ側にシフトしていくことをより確実に抑制できる。その結果、LATPのアルカリ腐食をより確実に抑制することができる。
特定リチウム塩としては、リチウムイオンのカウンターイオン(アニオン)が電池反応に影響を与える可能性がより低い観点から、塩化リチウム(LiCl)又は硝酸リチウム(LiNO)が好ましい。
更に、特定リチウム塩としては、分子量が比較的小さく、水に対する溶解度が比較的大きいことから、塩化リチウム(LiCl)がより好ましい。塩化リチウム(LiCl)の濃度は、水酸化リチウム(LiOH)の電離をより抑制する観点及び水系電解液の吸水性を高める観点から、5.3mol/L以上12.5mol/L未満であることが好ましく、LATPのアルカリ腐食をより確実に抑制できる観点から、8mol/L以上12.5mol/L未満であることがより好ましい。
(正極)
正極15は、ガス拡散層15a及び正極反応層15bで構成されている。正極15には、活物質である酸素(空気)が供給される。
ガス拡散層15aは、正極反応層15bに反応ガス(空気(湿り空気)を供給すると共に正極反応層15bに発生する電荷を集電する導電性多孔質層(導電性材料を主成分とする多孔質層)である。ガス拡散層15aの外側の一主面が電池の外部の空気と接し、ガス拡散層15aの内側の他主面に、正極反応層15bが形成されている。ガス拡散層15aとしては、例えば、撥水処理を施したカーボンペーパーを用いることができる。
正極反応層15bは、親水性充電反応層15b1及び撥水性放電反応層15b2で構成されている。親水性充電反応層15b1は水系電解質層14側に配設され、撥水性放電反応層15b2はガス拡散層15a側に配設されている。
親水性充電反応層15b1は、酸素発生触媒層15b11及び親水層15b12で構成されている。酸素発生触媒層15b11は撥水性放電反応層15b2側に配設され、親水層15b12は水系電解質層14側に配設されている。
酸素発生触媒層15b11の構成材料としては、例えば、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、それらの酸化物、La1−xStMO(M=Co、Fe、Mn等)等が挙げられる。これらの構成材料は、単独で用いてもよく、或いは、カーボンブラック(CB)又はゼオライト等の担体上に担持して用いてもよい。更に、これらの構成材料は、充電時に正極15の充電反応が起こる反応領域で発生した酸素(O)を排出し易くするため、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の粉末を混合して用いることが好ましい。
酸素発生触媒層15b11の厚さは、例えば、充電電流の大きさと発生酸素の拡散距離とを考慮して決められる。酸素発生触媒層15b11が厚い場合、充電反応が起こりやすくなるが、反面、酸素(O)が排出され難くなる。従って、酸素発生触媒層15b11の厚さは、例えば、10μm以上500μm以下が好ましく、20μm以上100μm以下がより好ましい。
親水層(親水性多孔質層)15b12の構成材料としては、例えば、カーボンファイバーペーパ(CP)、チタン(Ti)等の金属メッシュ、金属発泡体、ナイロン等の不織布が挙げられる。親水層15b12の構成材料として、カーボンファイバーペーパ(CP)又は金属メッシュを選択した場合、電子伝導性も有しているので、集電体としても利用することができる。親水層15b12の厚さは、例えば、20μm以上2000μm以下が好ましく、50μm以上1000μm以下がより好ましい。
撥水性放電反応層15b2は、酸素還元触媒、撥水材及び陰イオン導電性材を含む。酸素還元触媒としては、例えば、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、バナジウム(V)、銀(Ag)等の貴金属及びそれらの合金等から選ばれた1種又は2種以上、金属酸化物、環状金属錯体等、又は、これらをカーボンブラック若しくはゼオライト等の担体上に担持したものを用いることができる。
撥水材としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、溶融性フッ素樹脂であるクロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、エチレン、プロピレン等の撥水性樹脂を用いることができる。
なお、撥水性樹脂としては、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテルビニルエーテル共重合体(PFA)及びこれらに官能基(水酸基、カルボン酸基等)を持った単量体の少量を共重合させたもの、コモノマーとして環状の構造を有する単量体の少量を共重合させたものも包含される。
陰イオン導電性材としては、例えば、陰イオンアイオノマーを挙げることができる。陰イオンアイオノマーとしては、例えば、イオン結合する対イオンをもつ陰イオン伝導性を有する樹脂、芳香族ポリエーテルスルホンと芳香族ポリチオエーテルスルホンの共重合体のクロロメチル化物をアミノ化して得られるもの、又はクロロメチル化スチレンを有するブロックコポリマーをアミンで四級化した高分子樹脂等が挙げられる。なお、「アイオノマー」はカルボキシル基などイオンとして解離する基を含むエチレンなどの共重合物の総称である。陰イオンアイオノマーとしては、例えば、株式会社トクヤマ製のAS−4を例示することができる。
外装材20としては、例えば、アルミニウムとポリプロピレンとが積層されたアルミラミネートフィルム等のラミネートフィルム等を用いることができる。
(電池の動作)
水系リチウム空気二次電池では、充電及び放電に伴い、負極11及び正極15にて、次の反応が生じる。
(放電時)
負極反応:Li→Li+e
正極反応:Li+1/4O+3/2HO→LiOH・HO↓
(充電時)
負極反応:Li+e→Li
正極反応:LiOH・HO→Li+1/4O+3/2H
即ち、放電時、水系リチウム空気二次電池では、負極11にて、金属リチウムがリチウムイオン(Li)として、反応防止層12及び負極保護層13を通り水系電解質層14(水系電解液)に移動する。このとき、電子は負極11に接続された外部回路(図示省略)に供給される。正極15にて、正極15に接続された外部回路から電子が供給されて正極反応層15bで空気中の酸素(O)と水(HO)とが反応して水酸化物イオン(OH)が生じる。水系電解質層14(水系電解液)にて、リチウムイオン(Li)と水酸化物イオン(OH)とが反応して水溶性の水酸化リチウム(LiOH)が生じる。なお、水酸化リチウム(LiOH)は、ハロゲン化リチウム(例えば、塩化リチウム(LiCl))の共存により電離が抑制され水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)の形で析出する。
一方、充電時、水系リチウム空気二次電池では、負極11に外部回路から電子が供給され、水系電解質層14(水系電解液)に存在するリチウムイオン(Li)が、負極保護層13及び反応防止層12を通って負極11表面に移動して、負極11表面にて、リチウムイオン(Li)が電子を受け取り、金属リチウムが生じる。正極15の正極反応層15bにて、水酸化物イオン(OH)が反応して酸素(O)が生じると共に電子が発生し、発生した電子が外部回路に供給される。
水系リチウム空気二次電池では、湿り空気がガス拡散層15aを通り正極反応層15bの水系電解質層14側の界面に向かって供給され、正極反応層15b側から水系電解質層14に湿り空気に含まれる水が供給される。なお、空気の構成成分である酸素(O)、窒素(N)、二酸化炭素(CO)等と水蒸気とが混合した混合ガスは、「湿り空気」と称呼される。水蒸気を全く含まない空気は、「乾き空気」と称呼される。元々地球上に存在する空気(大気)は、通常水蒸気を含むので、湿り空気である。湿り空気は、水の供給効率の観点から、相対湿度が高い湿り空気であることが好ましい。相対湿度が高い湿り空気としては、例えば、相対湿度が60%以上の湿り空気が好ましく、大気に対して加湿処理を施した後の相対湿度100%の加湿処理後の湿り空気がより好ましい。
湿り空気に含まれる水が水系電解液に供給(補給)されることにより、放電時に水系電解液の水が消費されても、水系電解液全体の水の濃度が小さくなり難くなる。このため、塩化リチウム(LiCl)の濃度が飽和濃度より大きくなり難くなるので(水系電解液が過飽和し難くなるので)、塩化リチウム(LiCl)の析出を抑制できる。
更に、湿り空気に含まれる水が、正極反応層15b側から水系電解質層14に補給される。これにより、正極反応層15bの水系電解質層14側の界面の近傍領域の水の濃度は、負極保護層13の水系電解質層14側の界面の近傍領域の水の濃度に比べて高くなる。
従って、放電時に水系電解液中の水が消費されると、水系電解質層14の厚さ方向(積層方向)において、負極保護層13の水系電解質層14側の界面の近傍領域の水酸化リチウム(LiOH)及びハロゲン化リチウム(例えば、LiCl)の濃度が、正極反応層15bの水系電解質層14側の界面の近傍領域の水酸化リチウム(LiOH)及びハロゲン化リチウム(例えば、LiCl)の濃度に比べて高くなるように濃度分布が生じる。
ここで、負極保護層13の水系電解質層14側の界面とは、水系電解質層14が、「水系電解液が含浸されたセパレータ」で構成される場合には、負極保護層13と水系電解質層14(即ち、水系電解液が含浸されたセパレータ)との間の界面である。水系電解質層14が、水系電解液で構成される場合には、負極保護層13と水系電解液との間の界面である。正極反応層15bの水系電解質層14側の界面とは、水系電解質層14が、「水系電解液が含浸されたセパレータ」で構成される場合には、正極反応層15bと水系電解質層14(即ち、水系電解液が含浸されたセパレータ)との間の界面である。水系電解質層14が、水系電解液で構成される場合には、正極反応層15bと水系電解液との間の界面である。
上記の濃度分布が生じることにより、正極反応層15bの水系電解質層14側の界面の近傍領域に比べて、負極保護層13の水系電解質層14側の界面の近傍領域の方が、放電反応時に放電生成物である水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)の析出が促進されるようになる。その結果、放電時に、負極保護層13の水系電解質層14側の界面が析出開始部となり、当該界面から水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)の析出を開始する。
そして、放電が進行するに従って、水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)は負極保護層13の水系電解質層14側の界面に沿って層状に堆積して、水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)を含む析出物層16を形成する。放電が進行するに従って水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)の堆積量が増えるので、析出物層16の厚さ(積層方向の厚さ)は、放電が進行するに従って増加する。換言すると、放電している間、
水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)は負極保護層13の水系電解質層14側の界面に析出し貯蔵される(貯留される。)。一方、充電時には、充電反応の進行によって析出した水酸化リチウム一水和物(以下、「LiOH・HO析出物」とも称呼される場合がある。)が分解することにより、水を水系電解質層14(水系電解液)に放出する(供給する。)。よって、充電反応が進行するに従って、析出物層16の厚さは減少していく。
この析出物層16は、リチウムイオン伝導性を有するので、負極保護層13の水系電解質層14側の界面に生じても、電池反応を阻害しない。なお、水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)が正極反応層15bの水系電解質層14側の界面の近傍領域に析出した場合には、LiOH・HO析出物が正極15中の細孔を塞ぐ等により、電池反応を阻害する可能性がある。
このように、この水系リチウム空気二次電池では、放電している間、まず正極15に遠い負極保護層13の水系電解質層14側の界面が放電生成物である水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)の析出開始部となって、当該界面から水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)の析出を開始する。そして、水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)が界面に沿って層状に堆積して析出物層16を形成し、放電反応が進行するに従って、その析出物層16の厚さが積層方向(界面に直交する方向)に増加していく。これにより、正極反応層15bの水系電解質層14側の界面の近傍で固体析出物が生じ難くなる。従って、正極反応層15bの細孔が固体析出物により目詰まりすることによって、放電反応を阻害する可能性を低下できる。その結果、放電反応をより長く継続できるので、放電容量を増大できる。
<効果>
以上説明したように、本発明の第1実施形態に係る水系リチウム空気二次電池によれば、固体析出物により放電反応が阻害されることを抑制できるので、放電容量を増大できる。
<<第2実施形態>>
次に、本発明の第2実施形態に係る水系リチウム空気二次電池について説明する。
<発明の概要>
上述した通り、放電している間、放電生成物であるLiOH・HO析出物は、負極保護層13の水系電解質層14側の界面に析出し貯蔵(貯留)される。
LiOH・HO析出物は、水系電解質層14が「水系電解液が含浸されたセパレータ」で構成される場合、セパレータ(水系電解質層14)と負極保護層13との間に貯蔵され、水系電解質層14が水系電解液で構成される場合、LiOH・HO析出物は水系電解液中(水系電解質層14中)に貯蔵される。
第1実施形態に係る水系リチウム空気二次電池では、LiOH・HO析出物が貯蔵される水系電解質層14と負極保護層13との間に形成可能な空間(水系電解質層14が変形することにより形成される空間(水系電解質層14の体積とほぼ等しい空間))又は水系電解質層14が占める空間には、限界がある。このため、LiOH・HO析出物の貯蔵量には限界がある。
LiOH・HO析出物の貯蔵量が限界に達すると、電池構成部材の破損等が生じるので、それ以上は放電(放電反応((3)式))が実質的に行われないといえる。従って、水系リチウム空気二次電池の放電容量は、LiOH・HO析出物を貯蔵できる最大量に応じた大きさまでしか大きくすることができないという制約を受ける。
水系電解質層14を薄化(小型化)した場合、LiOH・HO析出物の貯蔵空間が小さくなることによってLiOH・HO析出物を貯蔵できる最大量が低減する。このため、電池に求められる放電容量(例えば、仕様の放電容量)に応じたLiOH・HO析出物の貯蔵量を電池が確保できないことがあり得る。この場合、電池は、仕様の放電容量を得られなくなってしまうことがあり得るので好ましくない。
そこで、第2実施形態に係る水系リチウム空気二次電池は、正極15及び水系電解質層14が正極15と水系電解質層14とが接触した状態で可動する構成を採用することによって、LiOH・HO析出物を貯蔵できる最大量を増大できるようにした。
即ち、この第2実施形態に係る水系リチウム空気二次電池は、水系電解質層14が「水系電解液が含浸されたセパレータ」で構成される場合、正極15及び水系電解質層14が積層方向に可動する構成にし、水系電解質層14が水系電解液で構成される場合、正極15が積層方向に可動する構成にした点のみにおいて、第1実施形態に係る水系リチウム空気二次電池と相違する。
以下、この相違点を中心として説明する。
<電池構成>
図7に示すように、第2実施形態に係る水系リチウム空気二次電池は、外装材20に代えて、矢印M1及びM2に示した積層方向に伸縮可能で且つ弾性を有する弾性蛇腹構造(弾性蛇腹部30a)を備えた弾性蛇腹構造付きの外装材30を備える。この点以外は、第1実施形態に係る水リチウム空気二次電池の構成と同様である。
この水系リチウム空気二次電池は、外装材30の端部30bがガス拡散層15aの外側の面の周縁部に固定されている。水系電解質層14が「水系電解液が含浸されたセパレータ」で構成される場合、水系リチウム空気二次電池では、析出物層16の形成及び析出物層16の厚さの増加によって、正極15及び水系電解質層14が矢印M1の方向に移動すると共に、矢印M1の方向に弾性蛇腹部30aが伸びる。そして、弾性蛇腹部30aが伸びることによって、矢印M1と反対の向きの矢印M2の方向に弾性力が生じるようになる。
なお、水系電解質層14が水系電解液で構成される場合、水系リチウム空気二次電池では、析出物層16の形成、析出物層16の厚さの増加及び水の補給による水系電解質層14(水系電解液)の体積の増大によって、正極15が矢印M1の方向に移動すると共に、矢印M1の方向に弾性蛇腹部30aが伸びる。そして、弾性蛇腹部30aが伸びることによって、矢印M1と反対の向きの矢印M2の方向に弾性力が生じるようになっている。
これにより、水系リチウム空気二次電池が放電している間、LiOH・HO析出物が発生して析出物層16を形成し、そして析出物層16の厚さが増加した場合、析出物層16の厚さの増加に追従して、水系電解質層14と正極15とが接触した状態で、水系電解質層14及び正極15(又は正極15のみ)が矢印M1に示した積層方向に移動することができる。
従って、放電時に負極保護層13の水系電解質層14側の界面にて析出されるLiOH・HO析出物を貯蔵できる最大量が増大されるので、その増大分、放電反応を継続できる。これにより、第1実施形態に比べて、水系リチウム空気二次電池の放電容量を更に増大できる。
一方、水系リチウム空気二次電池が充電しているときに、負極保護層13と水系電解質層14との間の析出物層16の厚さが減少した場合、析出物層16の厚さの減少に追従して、水系電解質層14と正極15とが接触した状態で、水系電解質層14及び正極15(又は正極15のみ)が矢印M2に示した積層方向に移動することができる。
<効果>
本発明の第2実施形態に係る水系リチウム空気二次電池によれば、外装材30に弾性蛇腹部30aを設け、析出物層16の厚みの変化に追従して、水系電解質層14及び正極15(又は正極15のみ)が移動できるようになっている。これにより、LiOH・HO析出物を貯蔵できる限界量をより増大することができる。その結果、本発明の第2実施形態に係る水系リチウム空気二次電池は、放電容量をより増大することができる。
<<第3実施形態>>
次に、本発明の第3実施形態に係る水系リチウム空気電池装置について説明する。
<構成>
図8に示すように、第3実施形態に係る水系リチウム空気電池装置は、コンプレッサ60と、脱CO処理器70と、加湿器80と、水系リチウム空気電池90と、気体流路100と、を備える。気体流路100には、矢印a1にて示す空気の流れの上流から下流に向けて、コンプレッサ60、脱CO処理器70、加湿器80及び水系リチウム空気電池90がこの順で配設されている。
水系リチウム空気電池90は、以下の点のみにおいて、第2実施形態に係る水系リチウム空気電池と相違する構成を有する。
・水系リチウム空気電池90は蓋部17を有する。蓋部17は、ガス拡散層15aの外側の面の少なくとも一部(本例においては全部)を覆うように設けられ、蓋部17の内面とガス拡散層15aとの間に気体流通空間S1を形成し、気体流通空間S1と外部とを連通する気体導入口17a及び気体排出口17bを備える。
・外装材30の端部30bは、蓋部17の外側の面の周縁部に固定されている。
矢印a1にて示したように、外部の空気(外部空気)は気体流路100を介してコンプレッサ60に導入される。コンプレッサ60に導入された空気は、コンプレッサ60によって圧縮された後、脱CO処理器70及び加湿器80を通り、その後、気体導入口17aから気体流通空間S1に供給され、気体流通空間S1を通った後、気体排出口17bから外部に排出される。
脱CO処理器70は、CO除去機能を有する。脱CO処理器70では、脱CO2処理器に導入された空気の二酸化炭素(CO)を除去する。二酸化炭素(CO)を除去する理由は次の通りである。即ち、仮に二酸化炭素(CO)が含まれる湿り空気を気体流通空間S1に供給した場合、その湿り空気が正極15に供給され、二酸化炭素(CO)が放電反応により生成した水酸化物イオン(OH)等と反応して、電池反応を阻害する炭酸塩を生成する場合がある。従って、これを回避した方が好ましいからである。
加湿器80は、バブラータンク80a及びバブラータンク80aに収容された水80bで構成される。加湿器80では、加湿器80に導入された空気をバブリングする(水80bに空気の泡を吹き込む)ことによって加湿する。なお、水80bに代えて、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ性水溶液を用いてもよい。アルカリ性水溶液を用いる場合、加湿と同時に空気中の二酸化炭素(CO)を除去することも可能になるので、脱CO処理器70を省略してもよい。
気体流通空間S1には、脱CO処理器70にて二酸化炭素(CO)が除去され、加湿器80によって加湿された後の、相対湿度の高い湿り空気(以下、「脱CO加湿空気」と称呼される。)が、常に供給される。
気体流通空間S1は、ガス拡散層15aの細孔にも連通している。従って、脱CO加湿空気は、気体流通空間S1を通るときに、ガス拡散層15aの細孔にも供給される。そして、脱CO加湿空気が、ガス拡散層15a及び正極反応層15bの細孔を通り正極反応層15の水系電解質層側の界面に向かって供給され、脱CO加湿空気に含まれる水が正極反応層15b側から水系電解質層14に供給(補給)される。
このように、脱CO加湿空気に含まれる水が正極反応層15b側から水系電解質層14に供給(補給)されることによって、正極反応層15bの水系電解質層14側の界面近傍では、LiOH・HO析出物の析出が生じ難くなる。その結果、LiOH・HO析出物によって放電反応が阻害される可能性を低くすることができる。
<効果>
第3実施形態に係る水系リチウム空気電池装置は、第2実施形態に係る水系リチウム空気電池を備えるので、第2実施形態と同様、水系リチウム空気電池の放電容量をより増大することができる。更に、第3実施形態に係る水系リチウム空気電池装置は、常に相対湿度の高い湿り空気を水系リチウム空気電池に供給することができるので、水を水系電解液に効率よく供給(補給)できる。
<<第4実施形態>>
次に、本発明の第4実施形態に係る水系リチウム空気電池装置について説明する。
<構成>
図9に示すように、第4実施形態に係る水系リチウム空気電池装置は、コンプレッサ60と、脱CO処理器70と、湿度センサ71と、第1バルブ72a及び第2バルブ72bと、加湿器80と、水系リチウム空気電池90と、気体流路100と、制御部200と、を備える。
気体流路100は、第1気体流路100a、第2気体流路100b、第3気体流路100c及び第4気体流路100dを備える。なお、第1気体流路100a、第2気体流路100b及び第4気体流路100dは、便宜上、「非加湿処理用気体流路」とも称呼される。第1気体流路100a、第3気体流路100c及び第4気体流路100dは、便宜上、「加湿処理用気体流路」とも称呼される。
第1気体流路100aは、コンプレッサ60から「第2気体流路100b及び第3気体流路100cに分岐する分岐部b1」までの気体の流路である。第2気体流路100bは、分岐部b1から「第2気体流路100b及び第3気体流路100cが合流する合流部g1」までの気体の流路である。第3気体流路100cは、分岐部b1から加湿器80及び加湿器80から合流部g1までの気体の流路である。第4気体流路100dは、合流部g1から水系リチウム空気電池90までの気体の流路である。
第1気体流路100aには、矢印a11にて示す空気の流れの上流から下流に向けて、コンプレッサ60、脱CO処理器70及び湿度センサ71がこの順で配設されている。湿度センサ71は、脱CO処理器70の出口の近傍に設けられている。湿度センサ71は、脱CO処理器70を通過した後の空気の相対湿度を検出する。湿度センサ71が検出した検出湿度は、制御部200に送信される。
第2気体流路100bには、第1バルブ72aが配設されている。第1バルブ72aは、開弁することにより、第2気体流路100bの気体(空気)の流れを許容し、閉弁することにより、第2気体流路100bの気体の流れを遮断する。
第3気体流路100cには、矢印a11にて示す空気の流れの上流から下流に向けて、第2バルブ72b及び加湿器80がこの順で配設されている。第2バルブ72bは、開弁することにより、第3気体流路100cの気体(空気)の流れを許容し、閉弁することにより、第3気体流路100cの気体(空気)の流れを遮断する。
制御部200は、検出湿度(検出相対湿度)に基づいて、第1バルブ72a及び第2バルブ72bの開閉状態を制御する。検出相対湿度が所定閾値より高い場合、制御部200は、第1バルブ72aを開状態に設定し、第2バルブ72bを閉状態に設定する。これにより、外部の空気(外部空気)は第1気体流路100a、第2気体流路100b及び第4気体流路100dの順に通って、水系リチウム空気電池90に供給される。従って、外部の空気の相対湿度が所定閾値より高い場合には、加湿器80を通すこととなく、相対湿度が高い湿り空気を気体流通空間S1に供給できる。
検出相対湿度が所定閾値以下である場合、制御部200は、第1バルブ72aを閉状態に設定し、第2バルブ72bを開状態に設定する。これにより、外部の空気は第1気体流路100a、第3気体流路100c及び第4気体流路100dの順に通って、水系リチウム空気電池90に供給される。従って、外部の空気の相対湿度が所定閾値以下である場合には、加湿器80を通すことにより、加湿器80によって加湿された後の相対湿度の高い湿り空気を水系リチウム空気電池に供給できる。所定閾値は、比較的高い相対湿度に対応した値(例えば、60%程度等)に設定される。
従って、第4実施形態に係る水系リチウム空気電池装置では、相対湿度の高い湿り空気を気体流通空間S1に常時供給できると共に、必要なときだけ加湿器80を使用するので、加湿器80のバブラータンク80aの水80bの消耗量を低減することができる。
なお、所定閾値は、水系電解質層14の水系電解液の吸水性の高低に応じて適切な値に設定されてもよい。例えば、水系電解液中のLiCl濃度が10mol/L程度の高濃度である場合、水系電解液の吸水性が高いことから、湿り空気の相対湿度が低い場合でも、大気の通常の相対湿度程度の湿り空気から十分に水系電解液に水を供給(補給)できる。従って、この場合、所定閾値は、大気中の通常の相対湿度(例えば、30%程度等)に設定されてもよい。
<効果>
第4実施形態に係る水系リチウム空気電池装置は、第3実施形態に係る水系リチウム空気電池装置と同様の効果を得ることができる。加えて、第4実施形態に係る水系リチウム空気電池装置は、必要なときだけバブラータンク80aの水80bを使用するので、バブラータンク80aの水80bの消耗量を低減することができる。
本発明の実施形態に係る水系リチウム空気電池を評価するために、以下の評価試験を行った。
<評価試験>
(正極及び水系電解質層の積層体(正極側積層体)の作製)
図10のブロックB11に示したように、正極15の正極反応層15bとしては、親水性充電反応層15b1及び撥水性放電反応層15b2を形成した。
(撥水性放電反応層15b2の形成)
厚さ350μmの親水性のカーボンファイバーペーパ(CP)(TGP-H-120:東レ株式会社製)を40mmのサイズに切り抜き、撥水性放電反応層15b2にするためのペーストを含浸保持させる保持体(「CP含浸保持体」と呼ぶ。)として用いた。
撥水性放電反応層15b2を形成するために、以下の手順でペーストを作製した。酸素還元触媒としての白金担持カーボン(TEC10EA50E:田中貴金属工業株式会社製)と撥水材としてのPTFEデイスパージョン(D−210C:ダイキン工業株式会社製)と導電助剤及び造孔剤としての気相成長法カーボンファイバー(VGCF:昭和電工株式会社製)と純水とエタノールを1.9:1.3:1.0:13:13の割合(重量比)で混合し、超音波ホモジナイザーで均一に分散し、ペースト化した溶液(以下、この組成のペーストを「放電反応用ペースト」と呼ぶ。)を作製した。この「放電反応用ペースト」中に、結着バインダとして、乾燥後の陰イオンアイオノマー(AS−4:株式会社トクヤマ製)成分が、撥水性放電反応層15b2の重量に対して、52wt%になる様に添加した「放電反応用ペースト」を作製した。
「放電反応用ペースト」をマイクロピペットで8mL取り、上記のCP含浸保持体に滴下展開し、均一に含浸保持させた。室温で、一昼夜乾燥し、52wt%の陰イオンアイオノマー成分を含有する撥水性放電反応層15b2を作製した。
(ガス拡散層15aと撥水性放電反応層15b2の一体化)
ガス拡散層15aとしてPTFEディスパージョンで撥水処理を行ったカーボンペーパー(TGP−120:東レ株式会社製)をホットプレス(条件:150℃、8MPa、1分)により、撥水性放電反応層15b2とカーボンペーパーとを一体化した、積層体を作製した。
(親水性充電反応層15b1の形成)
更に、この積層体の撥水性放電反応層15b2の上に、親水性充電反応層15b1(酸素発生触媒層15b11及び親水層15b12)を以下の手順で形成した。
酸素発生触媒層15b11を形成するために、酸素還元触媒としての酸化イリジウム触媒(IrOx・(HO)y(SA=50m/g):田中貴金属工業株式会社製)と導電助剤としての導電性カーボンブラック(ケッチェンブラック、ECP600JD、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)と結着バインダとしてのエチレン―ビニルアルコール共重合体(ソアノール、D2908、日本合成化学工業株式会社製)10wt%溶液と純水とエタノールを1:2:21:12:12の割合(重量比)で混合し、超音波ホモジナイザーで均一に分散し、ペースト化した溶液(以下、この組成のペーストを「充電反応用ペースト」と呼ぶ。)を作製した。この「充電反応用ペースト」をマイクロピペットで8mL取り、撥水性放電反応層15b2の上に滴下展開した。その後、室温で、一昼夜乾燥し、酸素発生触媒層15b11を形成した。
次に、酸素発生触媒層15b11の上に、充電時に発生する酸素が水系電解液側に移動することを防止するために、親水層15b12を形成した。導電性カーボンブラック(ケッチェンブラック、ECP600JD、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)と結着バインダとしてのエチレン―ビニルアルコール共重合体(ソアノール、D2908、日本合成化学工業株式会社製)10wt%溶液と純水とエタノールを1:10:12:12の割合(重量比)で混合し、超音波ホモジナイザーで均一に分散し、ペースト化した溶液(以下、この組成のペーストを「親水層ペースト」と呼ぶ。)を作製した。この「親水層ペースト」をマイクロピペットで2mL取り、酸素発生触媒層15b11の上に滴下展開し、室温で、一昼夜乾燥し、親水層15b12を形成した。
以上により、正極15を作製した。
(水系電解質層14の作製)
(水系電解液の調製)
イオン交換水中に10mol/L濃度に相当するLiCl(和光純薬工業(株)製、特級)と5mol/Lに相当するLiOH(和光純薬工業(株)、特級)を添加して、よく攪拌した。この際、添加したLiOHは、わずかに溶解するが、大部分は溶解しない。水に不溶なLiOHが沈殿した後の上澄み液を採取した。この採取した上澄み液を水系電解液として得た。この水系電解液中に存在するLiCl及びLiOHの組成をイオンクロマトグラフィーで測定しところ、LiCl31.1wt%、LiOH:3.9wt%であった。
(水系電解質層14の作製)
上記の水系電解液を面積:25mm×25mm(=625mm)、厚さ:300μmのポリオレフィン製の不織布(日本バイリーン((株))製)に含浸させることにより、水系電解液を保持した不織布(即ち、水系電解質層14)を得た。なお、水系電解液含浸後の不織布の質量から水系電解液含浸前の不織布の質量を引くことにより、水系電解液の含浸量を測定したところ、水系電解液の含浸量は、0.2477gであった。更に、水系電解液中の水の組成比(35wt%)を用いて水系電解質層14中の水分の質量を算出したところ、水系電解質層14中の水分の質量は、0.161005g(=0.2477g×0.35)であった。
正極15の放電反応が(3式)に従って起こり、外部の水とのやり取りが無いと仮定した場合の最大の放電容量(理論放電容量)をこの水分の質量から算出したところ、放電容量は、39.9mAh/cmであった。
(電気化学セル(評価セル)の構成及び評価方法)
水系リチウム空気電池の放電性能(特性)を評価するために、図10に概略構成を示した電気化学セル300を用いて、放電容量評価を行った。
(電解化学セルの構成)
電気化学セル300は、LATP窓301を介して、正極側積層体302Aと、負極側電解液槽302Bとに分離されている。ブロックB11を矢印P1に示す方向から見た平面図であるブロックB12に示したように、LATP窓301として、平面形状が正方形(□25m×25m)の窓を、市販のLATP板(株式会社オハラ製:Φ2インチ×厚さ:250μm)を用いて、チタン箔301aでマスクすることにより形成した。
正極側積層体302Aは、スプリング状のリード線303によって、LATP301に押し付けられた状態で保持されている。従って、スプリング状のリード線303の弾性力によって、正極15は、水系電解質層14と常に接触した状態で、放電時の水系電解液層の厚さ(LATP窓301と正極15bとの間の距離)の変化に追従して、積層方向に可動する。
負極側電解液槽302Bには、調製した水系電解液14A(正極側積層体302Aの水系電解質層14に含浸された水系電解液と同一の電解液)を入れた。
作用極としては、作製した(正極15)を用い、対極304としては、白金メッシュを用い、参照極305としては、Hg/HgO電極を用いた。作用極(正極15)、対極304、参照極305をポテンショ・ガルバノスタット310(Solartron Analytical社製、SI1287)に電気的に接続した。
この電気化学セル300は、ポテンショ・ガルバノスタット310によって通電し、負極側電解液槽302B中の水系電解液14Aで下記(4)式のように、塩素イオン(Cl)を酸化すると、負極側電解液槽302B側でリチウムイオンが生成し、正極側積層体302Aでは、(3)式で示した水系リチウム空気電池と同様の反応が生じる。

Li+Cl→Li+1/2Cl+e・・・(4)
この電気化学セル300では、負極側の水系電解液14Aとして、多量のLiCl水系電解液を用いることによって、負極側から無限に且つ安定的にリチウムイオンを正極側積層体302Aに供給することができる。従って、放電反応に何らかの制約(反応阻害要因)が発生した場合、正極側積層体302A側の要因であると考えることができる。
(放電容量評価)
図10に示したように、隔壁340と気体導入口341a及び気体排出口341bを備えた封止部材341(シリコンゴム)とによって形成された気体流通空間S11に正極側積層体302Aを配置した。そして、矢印a111にて示したように、大気中の空気を加湿器320のバブラータンク320aに通した。
この際、大気中の空気の加湿方法として、バブラー方式を採用した。バブラータンク320a内には、水の代わりに、1mol/LのLiOH水溶液320bを入れておくことで、空気中のCOも同時に除去した。
電気化学セル300とバブラータンク320aは、同じ28℃に設定された恒温槽330内に設置した。大気中の空気(300CCM(cubic Centimetre per Minute))がバブラータンク320a内に導入され、バブリングによって加湿された相対湿度の高い湿り空気(相対湿度100%)を、図示しない気体流路から気体導入口341aを介して気体流通空間S11に供給した。そして、相対湿度の高い湿り空気を気体流通空間S11に通した後、気体排出口341bから排出した。このようにすることで、相対湿度の高い湿り空気が気体流通空間S11を通るときに、相対湿度の高い湿り空気を、気体流通空間S11と流通するガス拡散層15a及び正極反応層15bにも通して正極反応層15bの水系電解質層14側の界面に向かって供給した。
放電評価は、ポテンショ・ガルバノスタット310(Solartron Analytical社製、SI1287)を用いて、1mA/cmの定電流で行い、正極の電位変化をモニターする事で、(3)式の放電反応が、起こっているかどうかを常時モニターした。
(評価結果)
外部との水のやり取りが無い場合、初期に添加した水の量(0.161005g)から、39.9mAh/cmの放電容量(図11の点線mx1を参照。)が限界と見積もられた。しかしながら、図11の線L1に示したように、電気化学セル300を用いて放電容量評価をした場合、正極電位は、多少ばらつくものの、少なくとも200mAh/cm以上の放電容量が得られることを確認した。これは、初期に添加した水の量から達成できる放電容量の5倍以上大きい値に相当する。これは、初期に添加した水以外に、放電反応中に外部(湿り空気)から水を取り込み、その水を利用して放電反応を継続できたことを示している。
更に、堆積する水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)の体積や平均厚さは、その密度から推測(図11のグラフの上側の横軸を参照。)でき、200mAh/cmの放電を行うと、最低でも2,000μm/cmの平均厚さに相当する水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)が生成及び堆積していることが考えられる。この厚さは、不織布の厚さ(即ち、正極側の水系電解質層14の放電前の厚さ)である300μmを大きく超えているレベルである。この事は、正極側の水系電解質層14に、所望の大きい放電容量(例えば、200mAh/cm)に相当する水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)の貯蔵スペースを放電前に特に設けておかなくてもよいことを示している。
即ち、正極15及び水系電解質層14が積層方向に移動できる構造であれば、放電前の正極側の水系電解質層14の体積とほぼ一致する初期の貯蔵スペース(不織布が変形することにより生じるスペース)を超えた量の水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)を貯蔵できることを示している。その結果、所望の大きな放電容量(例えば、200mAh/cm)まで放電が継続できることを示している。
(観察)
図12は、放電容量評価後の正極側積層体302Aの内部の様子を示した写真である。図13は、放電容量評価後のLATP(LATP窓301)に堆積した白色の水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)の状態を示した写真である。
この写真を観察した結果、正極15の内部や表面、不織布の内部には、水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)の析出及び堆積は認められず、全て、LATPと不織布との間で水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)が堆積していることわかった。これらの事から、正極反応層15b及び正極反応層15bの水系電解質層14側の界面では、固体の析出が起こらずに放電反応を継続する事が可能で、LATP上に放電生成物である水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)が堆積するに伴い、正極15の位置が後退して、正極15の放電反応が進行していると考えられた。
<<変形例>>
以上、本発明の各実施形態及び各実施例について具体的に説明したが、本発明は、上述の各実施形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の各実施形態及び実施例において挙げた構成、方法、工程、形状、材料及び数値等はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料及び数値等を用いてもよい。
また、上述の各実施形態及び実施例の構成、方法、工程、形状、材料及び数値等は、本発明の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
例えば、各実施形態に係る水系リチウム空気電池において、負極11は、金属リチウムに代えて周知のリチウムイオン二次電池に使用される負極材料を含む負極(負極活物質としてリチウムを含む負極)で構成してもよい。このような負極材料としては、例えば、リチウム合金等のリチウムを含む金属、黒鉛等のリチウム(リチウムイオン)を吸蔵及び放出可能な炭素材料、リチウムと合金を形成可能な元素(例えば、ケイ素(Si)、スズ(Sn)等)を含む材料又はその他種々の材料が挙げられる。
例えば、各実施形態に係る水系リチウム空気電池は、二次電池に限定されず、一次電池であってもよい。
11…負極、12…反応防止層、13…負極保護層、14…水系電解質層、15…正極、15a…ガス拡散層、15b…正極反応層、16…析出物層、17…蓋部、20…外装材、30…外装材、72a…第1バルブ、72b…第2バルブ、80…加湿器、200…制御部

Claims (10)

  1. 負極活物質としてリチウムを含む負極と、
    湿り空気が供給される多孔性の空気極と、
    リチウム塩及び水を含む水系電解液を有する水系電解質層と、
    前記負極と前記水系電解質層との間に介在された負極保護層と、
    を含み、
    前記負極と前記負極保護層と前記水系電解質層と前記空気極とが、前記負極、前記負極保護層、前記水系電解質層及び前記空気極の順で積層され、
    放電により放電生成物である水酸化リチウム一水和物が前記空気極より水系電解質層側に析出するように構成され、
    前記水酸化リチウム一水和物が析出する場合の析出開始部が、前記負極保護層の前記水系電解質層側の界面である、
    水系リチウム空気電池。
  2. 請求項1に記載の水系リチウム空気電池において、
    前記界面に沿って堆積した前記水酸化リチウム一水和物を含む析出物層を更に含む、
    水系リチウム空気電池。
  3. 請求項2に記載の水系リチウム空気電池において、
    前記析出物層の厚さは、放電が進行するに従って増加する、
    水系リチウム空気電池。
  4. 請求項3に記載の水系リチウム空気電池において、
    前記水系電解質層は、前記水系電解液が含侵されたセパレータで構成され、
    前記析出物層の厚さの変化に追従して、前記セパレータと前記空気極とが接触した状態で移動するように構成された、
    水系リチウム空気電池。
  5. 請求項3に記載の水系リチウム空気電池において、
    前記水系電解質層は、前記水系電解液で構成され、
    前記析出物層の厚さの変化に追従して、前記水系電解液と前記空気極とが接触した状態で移動するように構成された、
    水系リチウム空気電池。
  6. 請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の水系リチウム空気電池において、
    前記空気極の外側の面を覆い、前記空気極との間に前記湿り空気が通り且つ前記空気極の多孔と連通する気体流通空間を形成する蓋部であって、外部から前記気体流通空間に前記湿り空気を導入するための空気導入口と、前記気体流通空間から前記湿り空気を排出するための空気排出口とが形成された前記蓋部を更に備えた、
    水系リチウム空気電池。
  7. 請求項6に記載の水系リチウム空気電池において、
    前記湿り空気として加湿処理後の湿り空気が前記空気導入口から前記気体流通空間に導入される、
    水系リチウム空気電池。
  8. 請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載の水系リチウム空気電池において、
    前記リチウム塩は、特定リチウム塩を含み、
    前記特定リチウム塩は、水酸化リチウムの溶解度より大きい溶解度を有し、且つ、リチウムイオンのカウンターイオンが充電及び放電によって分解されないリチウム塩である、
    水系リチウム空気電池。
  9. 負極活物質としてリチウムを含む負極と、湿り空気が供給される多孔性の空気極と、リチウム塩及び水を含む水系電解液を有する水系電解質層と、前記負極と前記水系電解質層との間に介在された負極保護層と、を含み、前記負極と前記負極保護層と前記水系電解質層と前記空気極とが、前記負極、前記負極保護層、前記水系電解質層及び前記空気極の順で積層され、放電により放電生成物である水酸化リチウム一水和物が前記空気極より水系電解質層側に析出するように構成され、前記水酸化リチウム一水和物が析出する場合の析出開始部が、前記負極保護層の前記水系電解質層側界面である、水系リチウム空気電池と、
    外部空気を加湿する加湿部と、
    を備え、
    前記外部空気が加湿部によって加湿された後の加湿処理後の外部空気を前記湿り空気として前記空気極に供給するように構成された、
    水系リチウム空気電池装置。
  10. 負極活物質としてリチウムを含む負極と、湿り空気が供給される多孔性の空気極と、リチウム塩及び水を含む水系電解液を有する水系電解質層と、前記負極と前記水系電解質層との間に介在された負極保護層と、を含み、前記負極と前記負極保護層と前記水系電解質層と前記空気極とが、前記負極、前記負極保護層、前記水系電解質層及び前記空気極の順で積層され、放電により放電生成物である水酸化リチウム一水和物が前記空気極より水系電解質層側に析出するように構成され、前記水酸化リチウム一水和物が析出する場合の析出開始部が、前記負極保護層の前記水系電解質層側界面である、水系リチウム空気電池と、
    外部空気を加湿する加湿部と、
    前記外部空気を、前記加湿部を通さないで前記空気極まで流通し、前記外部空気を前記湿り空気として前記空気極に供給する非加湿処理用気体流路と、
    前記外部空気を、前記加湿部を通して前記空気極まで流通し、加湿処理後の前記外部空気を前記湿り空気として前記空気極に供給する加湿処理用気体流路と、
    前記加湿部を通す前の前記外部空気の相対湿度を測定する湿度測定部と、
    前記非加湿処理用気体流路に配設され、前記空気極までの前記外部空気の流れを許容する開状態と、前記空気極までの前記外部空気の流れを遮断する閉状態の何れかに設定される第1バルブと、
    前記加湿処理用気体流路に配設され、前記空気極までの前記外部空気の流れを許容する開状態と、前記空気極までの前記外部空気の流れを遮断する閉状態の何れかに設定される第2バルブと、
    前記第1バルブ及び前記第2バルブの開閉状態を制御する制御部と、
    を更に備え、
    前記制御部は、
    前記湿度測定部が測定した前記相対湿度を取得し、
    前記相対湿度が所定閾値より高いとき、前記第1バルブを開状態に設定し、前記第2バルブを閉状態に設定し、
    前記測定された前記相対湿度が所定閾値以下であるとき、前記第1バルブを閉状態に設定し、前記第2バルブを開状態に設定するように構成された、
    水系リチウム空気電池装置。

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