JP2020117930A - 防護柵 - Google Patents

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Abstract

【課題】防護柵の構成資材に対する荷重分散性を高めて、動的荷重および静的荷重に対して効果的に機能する兼用型の防護柵を提供すること。【解決手段】複数の支柱10と防護ネット20とを有し、防護ネット20が、隣り合う支柱の間にスパン単位で横架した複数の端部横ロープ21と、複数の支柱10の間に多段的に横架した複数の中間横ロープ23と、各中間横ロープの端部と端末支柱の間に介装した緩衝装置30と、複数のロープネット23とからなり、中間横ロープ23とロープネット24の間を固定すると共に、ロープネット24の上下辺を端部横ロープ21,22に接続して、中間横ロープ23とロープネット24と端部横ロープ21,22の相互間での荷重伝達を可能にした。【選択図】図1

Description

本発明は山腹の斜面や斜面裾部等に立設する防護柵に関し、特に落石等の動的荷重および積雪荷重等の静的荷重の両種の荷重に対して効果的で、かつ経済的に機能する複合型の防護柵に関する。
支柱と防護ネットを具備した防護柵は周知であり、特に防護ネットは受撃性能等に応じて種々提案されている。
一般に、従来の防護ネットはその変形形態からつぎの二つに大別される。
タイプ1)緩衝装置を具備した塑性変形可能なロープ製ネット(特許文献1〜3)。
タイプ2)緩衝装置を具備せずに弾性変形可能なロープ製ネット(特許文献4,5)。
従来は、動的荷重だけでなく静的荷重にも対抗できる兼用型の防護柵が製品化されているものの、防護ネットの実際の設計にあたっては、主に動的荷重に対して効果的に機能するタイプ1と、主に静的荷重に対して効果的に機能するタイプ2の何れか一方を優先した設計となっている。
特開2002−54109号公報 特開2003−34912号公報 特開2014−1584号公報 特開2003−314092号公報 特開2005−213747号公報
従来の兼用型の防護柵にはつぎのような解決すべき課題がある。
<1>動的荷重を優先した防護柵では静的荷重に対する性能が低く、静的荷重を優先した防護柵は動的荷重に対する性能が低いといったように、兼用型と言っても荷重種別による性能差が大きく表れるものであった。
そのため、動的荷重だけでなく静的荷重に対しても同等に機能する防護柵の提案が待たれている。
<2>従来の防護柵は荷重の伝達ルートが不特定であるため、防護柵を構成する支柱やロープ材等の各種資材が最大荷重に耐え得るように設計している。
そのため、防護柵全体として過剰設計となる傾向にあり、コスト高の問題だけでなく、重量の増加に伴う取扱性の悪化の問題を内包している。
<3>従来の防護柵は、荷重種別に関係なく、最終的に防護ネットに作用した荷重を支柱の強度で負担する考え方であった。
そのため、防護柵の構成資材のなかでも、強度確保の観点から中間支柱や端末支柱が過剰設計になり易い。
本発明は以上の問題点を解決するために成されたもので、その目的とするところはつぎの防護柵を提供することにある。
<1>動的荷重だけでなく静的荷重に対しても効果的に機能して、荷重種別による性能差が小さいこと。
<2>防護柵の全ての構成資材に対して荷重を分散して効果的に減衰すること。
<3>各構成資材の過剰設計を回避して防護柵を経済的に製作できること。
本発明は、複数の支柱と支柱間に張り巡らした防護ネットとを有する防護柵であって、前記防護ネットが、隣り合う支柱の上部間および下部間にスパン単位で横架された複数の端部横ロープと、複数の支柱の間に多段的に横架された複数の中間横ロープと、各中間横ロープの端部と端末支柱の間に介装され、中間横ロープをスリップ可能に保持する緩衝装置と、複数の中間横ロープを覆うように配設されたロープネットとからなり、中間横ロープとロープネットと端部横ロープの相互間での荷重伝達が可能なように、前記複数の中間横ロープとロープネットの間が固定されていると共に、ロープネットの上下辺が端部横ロープに接続されている。
本発明はこれにより、防護柵の各構成資材に分散させた荷重を効果的に減衰できて、動的荷重だけでなく静的荷重に対しても効果的に機能させることが可能となる。
本発明の他の形態において、前記緩衝装置のスリップ開始力がロープネット、中間横ロープ、および端部横ロープの引張強度より小さく設定してある。
本発明の他の形態において、緩衝装置のスリップ開始力、ロープネットの引張強度、中間横ロープの引張強度、端部横ロープの引張強度、支柱の曲げ強度がつぎの関係式(1)を満たすように設定されている。
< σ ≦ σ ≒ σ < σ4・・・・・(1)
:緩衝装置のスリップ開始力
σ:ロープネットの引張強度
σ:中間横ロープの引張強度
σ:端部横ロープの引張強度
σ:支柱の曲げ強度
本発明の他の形態において、緩衝装置のスリップ開始力、端部横ロープの引張強度、支柱の曲げ強度がつぎの関係式(2)を満たすように設定されている。
Σσ4 < Σ(σ3 + f1)・・・・・(2)
本発明の他の形態において、前記ロープネットが支柱のスパン単位で独立している。
本発明の他の形態において、前記ロープネットの上下辺が端部横ロープに対して横スライド可能に係留されている。
本発明の他の形態において、前記ロープネットはメッシュ状のネット、またはリング状ネットの何れでもよい。
本発明の他の形態において、前記ロープネットの表面に網材が重合して配置されていてもよい。
本発明はつぎの効果を奏する。
<1>防護柵を構成するすべての構成資材(ロープネット、中間横ロープ、端部横ロープ、支柱)の相互間での荷重伝達を可能に構成してあるので、防護ネットの一部に作用した荷重を防護柵の広範に分散して効果的に減衰できる。
<2>荷重が動的荷重と静的荷重の何れでも、防護柵の荷重伝達ルートが同一となるため、動的荷重および静的荷重に対して効果的に機能し、荷重種別による性能差が小さくなる。
<3>緩衝装置は緩衝機能だけでなく、防護ネットを構成するロープ材の破断を防止するヒューズ機能を発揮する。
そのため、防護柵の各構成資材の過剰設計を回避して防護柵を経済的に製作できる。
一部を省略した本発明に係る防護柵の正面図 端部横ロープの斜視図 隣り合うロープネットと中間支柱の取付け構造の説明図 一部を省略した端末支柱と中間横ロープの取付け構造の説明図 一部を省略したロープネットと端部横ロープの係留構造の説明図 動的荷重および静的荷重の伝達ルートを説明するための防護柵のモデル図
以下に図面を参照しながら本発明について説明する。
<1>防護柵の概要
図1を参照して説明すると、本発明は、所定の間隔を隔てて立設した複数の支柱10と、支柱10間に張り巡らした防護ネット20を具備した防護柵を前提としていて、防護柵を構成する各構成資材の荷重分散を促進して、動的荷重だけでなく静的荷重に対しても効果的に機能するように構成したものである。以降に本発明に係る防護柵の各構成資材について詳述する。
<2>支柱(中間支柱・端末支柱)
支柱10は中間支柱10aと端末支柱10bからなり、公知の形鋼や鋼管等の鋼材、コンクリート柱、鋼管とコンクリートを複合した充填鋼管を適用できる。
支柱10の立設形態は支柱10の下部をコンクリート基礎等の支持構造物11に傾倒不能に立設してもよいし、現地地盤に建て込んで立設してもよい。
また図示を省略するが、各支柱10の頭部を山側アンカーに連結した控えロープに支持させてもよい。この場合、控えロープの一部に緩衝装置を介装してもよい。
図1において、符号28は隣り合う支柱10の頭部間に連結した支柱間隔保持ロープであり、支柱10を立設する際に支柱10の立設間隔を一定に保つために機能する。
支柱間隔保持ロープ28は必須の構成資材ではなく、上位の端部横ロープ21で代用することも可能である。
<3>防護ネット
防護ネット20は、隣り合う支柱10の上部間および下部間にスパン単位で横架した端部横ロープ21,22と、隣り合う支柱10の上下部間に横架した複数の中間横ロープ23と、各中間横ロープ23の端部と端末支柱10bの間に介装した緩衝装置30と、複数の中間横ロープ23を覆うように配設されたロープネット24と、ロープネット24に重合して配置した網材25とからなる。
<3.1>端部横ロープ
端部横ロープ21,22は隣り合う支柱10の間に張設する単数又は複数の独立したロープ材からなり、隣り合う支柱10間に横架可能な全長(1スパン長)を有する。
端部横ロープ21,22は隣り合う支柱10間の荷重伝達部材としての機能と、ロープネット24の上下辺の支持部材としての機能を有している。
各端部横ロープ21,22の両端は支柱10に直接連結してあり、緩衝装置は介装していない。
図2に例示した端部横ロープ21,22について説明すると、端部横ロープ21,22はその一端(左方)に予めループ21cが形成してあり、他端(右方)のループ21dはワイヤクリップを用いて現場でループ状に形成するようになっている。
<3.2>中間横ロープ
複数の中間横ロープ23は複数の支柱10に跨って横架可能な全長を有するロープ材であり、支柱10の山側に所定の間隔を隔てて多段的に取り付けてある。
図3を参照して説明すると、中間横ロープ23が自重で脱落しないように、中間横ロープ23が中間支柱10aの周面に設けたフック12等に係留してある。
各中間横ロープ23はその一部に緩衝装置30を有している。
図4を参照して説明すると、各中間横ロープ23の端部近くには緩衝装置30が取り付けてあって、緩衝装置30を介して端末支柱10bに連結してある。
中間横ロープ23のスリップを許容するため、各中間横ロープ23には緩衝装置30から外部へ延出した範囲に適宜の長さの余長部23aを形成している。
<3.3>緩衝装置
図4に例示した摩擦摺動式の緩衝装置30について説明すると、緩衝装置30は中間横ロープ23を把持可能なワイヤクリップ等の把持手段31と、把持手段31を支持する支圧板32と、支圧板32を端末支柱10bの側面に連結するU字形の連結ボルト33とを具備している。
支圧板32の板面には複数の孔が開設してあり、これらの孔を通じて支圧板32に中間横ロープ23と連結ボルト33が挿通可能である。
緩衝装置30は摩擦摺動式に限定されず、中間横ロープ23に一定以上の張力が作用したときに緩衝機能を発揮できる構造であれば公知の緩衝装置を適用できる。
<3.4>ロープネット
図1を参照して説明すると、ロープネット24は、複数の中間横ロープ23と協働した崩落物の捕捉機能、中間横ロープ23の上下間隔を保持する機能、ロープネット24と中間横ロープ23との間の荷重伝達機能、および中間横ロープ23と端部横ロープ21,22との間の荷重伝達機能を有するロープ製のネットである。
本例ではロープネット24が複数のロープを交差し、各交差部を摺動不能に固定したメッシュ状ネットの形態について説明するが、ロープネット24は複数のロープ製リングを連鎖したリング状ネットでもよい。
本例では取扱性と交換性に配慮してロープネット24をスパン単位で形成した形態について説明するが、ロープネット24は複数スパンに亘る長さのネットでもよい。
<3.4.1>ロープネットの上下辺の取付け構造
図1,5を参照して説明すると、各ロープネット24の上下辺はシャックル等の係留具26を介して各端部横ロープ21,22に横スライド可能に支持させている。
ロープネット24の上下辺を各端部横ロープ21,22に接続したのは、ロープネット24と端部横ロープ21,22との間での荷重伝達を可能にするためと、端部横ロープ21,22の弾性復元力を利用して受撃後における防護ネット20の上下辺の変形量を小さく抑えるためである。
ロープネット24の上下辺を各端部横ロープ21,22に対して横スライド可能に係留したのは、受撃時におけるロープネット24の引き摺りに起因した破損を回避するためである。
<3.4.2>ロープネットの左右側辺の取付け構造
図1,3を参照して説明すると、ロープネット24の左右側辺は各支柱10の上下間に架け渡した縦ロープ13に支持させている。
各ロープネット24の左右側辺の連結手段は、図示した縦ロープ13を用いる形態以外にシャックル等の連結具を介して直接連結するようにしてもよい。
<3.4.3>ロープネットと中間横ロープの取付け構造
中間横ロープ23とロープネット24との交差部は、ワイヤクリップ等の固定具27により摺動不能に固定してある。
各中間横ロープ23とロープネット24間の複数箇所を固定したのは、ロープネット24により中間横ロープ23の上下間隔を一定に保持するためと、中間横ロープ23とロープネット24間での荷重伝達を可能にするためである。
<3.5>網材
網材25は、複数のロープネット24に跨って被覆するロープネット24と比べて網目が小さいネット材であり、端部横ロープ21,22、ロープネット24等に連結コイル等で取り付けられている。
網材25は必須の構成資材ではなく、省略する場合もある。
<4>防護柵の各構成資材の荷重伝達構造
既述した防護柵における各構成資材の相互間の荷重伝達構造はつぎのとおりである。
<4.1>隣り合う支柱間
隣り合う支柱10間は、端部横ロープ21,22を通じてスパン単位で荷重伝達が可能である。
<4.2>支柱と中間横ロープとの間
中間横ロープ23は中間支柱10aと交差するだけであり、両資材23,10a間での直接的な荷重伝達は行われないが、ロープネット24および端部横ロープ21,22を経由した荷重伝達が可能である。
端末支柱10と中間横ロープ23の端部との間は、複数スパンに亘る荷重伝達が可能である。
<4.3>端部横ロープとロープネットとの間
端部横ロープ21,22とロープネット24の上下辺との間は、係留具26を介したスパン単位の荷重伝達が可能である。
<4.4>端部横ロープと中間横ロープとの間
端部横ロープ21,22と中間横ロープ23との間は、直接的な荷重伝達は行われないが、ロープネット24を経由したスパン単位の荷重伝達が可能である。
<4.5>中間横ロープとロープネットとの間
各中間横ロープ23とロープネット24との間は、固定具27を通じたスパン単位の荷重伝達が可能である。
<4.6>中間横ロープとロープネットと端部横ロープとの間
ロープネット24は塑性変形をする複数の中間横ロープ23だけでなく、弾性変形をする端部横ロープ21,22に対しても荷重伝達が可能である。
すなわち、中間横ロープ23、ロープネット24および端部横ロープ21,22の相互間での荷重伝達が可能である。
<5>防護柵の各構成資材の相互関係
本発明では防護柵を構成する各構成資材の荷重分散を促進して、動的荷重だけでなく静的荷重に対しても効果的に機能させるため、緩衝装置30のスリップ開始力と各構成資材の強度との関係は、つぎの関係式(1)を満たすように設定してある。
< σ ≦ σ ≒ σ < σ4・・・・・(1)
:緩衝装置30のスリップ開始力
σ:ロープネット24の引張強度
σ:中間横ロープ23の引張強度
σ:端部横ロープ21,22の引張強度
σ:支柱10の曲げ強度
換言すれば、受撃時(受圧時)において、ロープネット24、中間横ロープ23、および端部横ロープ21,22が破断する前に中間横ロープ23がスリップを開始して、阻止面に作用する荷重を各支柱10へ伝達できるようになっている。
さらに、防護ネット20の脆性的な破壊(ロープ材の破断等)を抑制しつつ、支柱10の変形による効率的なエネルギー吸収を行うために、緩衝装置30のスリップ開始力と端部横ロープ21,22の引張強度と、支柱10の曲げ強度の関係は、つぎの関係式(2)を満たすように設定してある。
Σσ4 < Σ(σ3 + f1)・・・・・(2)
換言すれば、受撃時(受圧時)において、端部横ロープ21,22の破断前に支柱10が先行して変形することで、端部横ロープ21,22の破断を回避できるようになっている。
[防護柵の作用]
図6を参照して、荷重の種別毎の防護柵の作用について説明する。
<1>動的荷重について
図6に示した防護ネット20の中央スパンに動的荷重(落石、崩落土砂、雪崩等)が衝突した場合について説明する。
なお、図6では、防護柵全体の荷重伝達を理解し易くするために、ロープネット24を中央スパンのみに表記し、その左右両側スパンにおけるロープネット24の表記を省略している。
<1.1>伝達ルート(1)
防護ネット20を構成する中間横ロープ23およびロープネット24は動的荷重を受けると谷側へ向けて塑性変形し、これらの構成資材23,24の塑性変形によりエネルギーの一部が減衰される。
受撃スパンに位置する特定のロープネット24が谷側へ向けて塑性変形すると、ロープネット24を通じて他の複数の中間横ロープ23に荷重が伝達される。各中間横ロープ23とロープネット24の変形量に応じて張力が増大する。
各中間横ロープ23の張力が緩衝装置30のスリップ開始力を越えると、中間横ロープ23の端部がスリップして減衰され、中間横ロープ23から端末支柱10bへ向けた伝達荷重が軽減される。
このように、一部の中間横ロープ23に作用した動的荷重は、複数の中間横ロープ23へ分散し、各中間横ロープ23の端部近くに設けた緩衝装置30で減衰されるので、端末支柱10bの荷重負担が大幅に軽減される。
<1.2>伝達ルート(2)
受撃スパンに位置する各中間横ロープ23の塑性変形に追従してロープネット24が谷側へ塑性変形すると、ロープネット24を経由して端部横ロープ21a,22aへ荷重が伝わるために端部横ロープ21a,22aが弾性変形する。
このとき、中間横ロープ23と緩衝装置30によって減衰された後の荷重がロープネット24から端部横ロープ21a,22aへ伝達される。
受撃スパンに位置する端部横ロープ21a,22aの張力が増すと、この張力が隣り合う他の端部横ロープ21b,22bに順次伝達され、最終的に端末支柱10bへ伝達される。
各スパンの端部横ロープ21a,21b(22a,22b)を通じて荷重が順次伝達される過程において、各支柱10の強度によりエネルギーが減衰される。
中間横ロープ23に伝わる荷重は、緩衝装置30による減衰後の荷重であるから、中間支柱10aおよび端末支柱10bの荷重負担が軽減される。
さらに各端部横ロープ21a,21b(22a,22b)を通じた各支柱10の曲げ力が、各支柱10の強度を超えると、支柱10が変形してエネルギーが減衰される。
スパン単位で防護ネットを配設した従来の防護柵では、受撃スパンに位置する2本の支柱の強度で以てエネルギーを減衰する構造であった。
これに対し本発明では、各端部横ロープ21a,21b(22a,22b)を通じて受撃スパンに位置する2本の中間支柱10aだけでなく、受撃スパンの外方に位置する他の支柱10a,10bへ順次荷重を伝達できるので、衝撃エネルギーを効果的に減衰することが可能となる。
したがって、中間支柱10aだけでなく端末支柱10bについても荷重負担が小さくなるだけでなく、中間支柱10aと端末支柱10bを必要以上の高強度に設計しなくて済む。
<1.3>緩衝装置の緩衝作用の影響範囲について
緩衝装置30による緩衝作用の影響範囲は単に中間横ロープ23に限定されるものではない。
複数の中間横ロープ23はロープネット24だけでなく端部横ロープ21a,21b(22a,22b)へも荷重伝達が可能な構造になっているので、緩衝装置30の緩衝作用の影響はロープネット24と端部横ロープ21a,21b(22a,22b)にも及ぶ。
したがって、緩衝装置30のスリップ開始力を変更することで、中間横ロープ23、ロープネット24、および端部横ロープ21a,21b(22a,22b)に作用する荷重(張力)を制御することができる。
<1.4>動的荷重の減衰性能について
既述したように、ロープネット24が複数の中間横ロープ23だけでなく、端部横ロープ21a,21b(22a,22b)に対しても荷重伝達が可能であるので、防護ネット20の中央スパンに作用した動的荷重は、伝達ルート(1)と(2)の両ルートを通じて効率よく減衰することができる。
特に、受撃時に複数の中間横ロープ23とロープネット24を塑性変形させるように構成したことで、これらの構成資材23,24を弾性変形させた場合と比べて減衰エネルギーを大きくできる。
<1.5>防護ネットの柵高について
仮に各端部横ロープ21a,21b(22a,22b)に緩衝装置を介装すると、端部横ロープ21a,21b(22a,22b)が塑性変形して受撃時における柵高の減少が大きくなってしまう。
これに対し本発明では、各端部横ロープ21a,21b(22a,22b)に緩衝装置を介装していないので、受撃時における端部横ロープ21a,22aが弾性変形してその弾性変形量を小さく抑制することができる。
したがって、本発明の防護柵は、柵高の減少を小さく抑制できて、繰り返しの動的荷重に対して有効である。
<2>静的荷重について
図6に示した防護ネット20に静的荷重(積雪、堆積土砂等の堆積荷重)が作用した場合について説明する。
<2.1>静的荷重の伝達ルートについて
防護ネット20の阻止面に静的荷重が作用した場合も、動的荷重の場合と同様に既述した伝達ルート(1),(2)を通じて静的荷重が分散される。
伝達ルート(1),(2)を通じた荷重の減衰作用は、動的荷重と同様であるので説明を省略する。
<2.2>緩衝装置のヒューズ機能について
緩衝装置30のヒューズ機能について説明する。
伝達ルート(1),(2)を通じて静的荷重がロープネット24、中間横ロープ23、端部横ロープ21a,21(22a,22b)、および支柱10へ分散して伝達される。
本発明の防護柵では、ロープネット24、中間横ロープ23、および端部横ロープ21a,21(22a,22b)に作用する張力がこれらの各ロープ材の破断強度に達する前に、緩衝装置30が中間横ロープ23をスリップさせるように構成してあるので、静的荷重によって防護ネット20を構成するロープ材の破断を未然に防止できる。
衝装置30は防護ネット20を構成するロープ材の破断を防止するヒューズ機能(リミッター機能)を発揮する。
したがって、想定以上の静的荷重を受けても防護ネット20としての機能を保持できる。
<3>防護柵の兼用性について
従来の兼用型の防護柵は、動的荷重または静的荷重の何れか一方に適した構造になっていたために、荷重種別による性能差が大きいといった問題を内包していた。
これに対して本発明では、防護柵を構成するすべての構成資材(ロープネット24、中間横ロープ23、端部横ロープ21,22、中間支柱10a、端末支柱10b)の相互間での荷重伝達を可能に構成したことで、防護ネット20の一部に作用した荷重を広範に分散して効果的に減衰することができる。
しかも、本発明の防護柵は、荷重が動的荷重と静的荷重の何れでも防護柵の荷重伝達ルートが同一となるため、荷重種別による性能差が小さな兼用型の防護柵を実現できる。
10・・・・支柱
10a・・・中間支柱
10b・・・端末支柱
11・・・・支持構造物
12・・・・フック
13・・・・縦ロープ
20・・・・防護ネット
21・・・・端部横ロープ(上位)
22・・・・端部横ロープ(下位)
23・・・・中間横ロープ
24・・・・ロープネット
25・・・・網材
26・・・・係留具
27・・・・固定具
30・・・・緩衝装置
31・・・・緩衝装置の把持手段
32・・・・緩衝装置の支圧板
33・・・・緩衝装置の連結ボルト

Claims (9)

  1. 複数の支柱と支柱間に張り巡らした防護ネットとを有する防護柵であって、
    前記防護ネットが、隣り合う支柱の上部間および下部間にスパン単位で横架された複数の端部横ロープと、
    複数の支柱の間に多段的に横架された複数の中間横ロープと、
    各中間横ロープの端部と端末支柱の間に介装され、中間横ロープをスリップ可能に保持する緩衝装置と、
    複数の中間横ロープを覆うように配設されたロープネットとからなり、
    中間横ロープとロープネットと端部横ロープの相互間での荷重伝達が可能なように、前記複数の中間横ロープとロープネットの間が固定されていると共に、ロープネットの上下辺が端部横ロープに接続されていることを特徴とする、
    防護柵。
  2. 前記緩衝装置のスリップ開始力がロープネット、中間横ロープ、および端部横ロープの引張強度より小さいことを特徴とする、請求項1に記載の防護柵。
  3. 緩衝装置のスリップ開始力、ロープネットの引張強度、中間横ロープの引張強度、端部横ロープの引張強度、支柱の曲げ強度がつぎの関係式(1)を満たすように設定されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の防護柵。
    < σ ≦ σ ≒ σ < σ4・・・・・(1)
    :緩衝装置のスリップ開始力
    σ:ロープネットの引張強度
    σ:中間横ロープの引張強度
    σ:端部横ロープの引張強度
    σ:支柱の曲げ強度
  4. 緩衝装置のスリップ開始力、端部横ロープの引張強度、支柱の曲げ強度がつぎの関係式(2)を満たすように設定されていることを特徴とする、請求項1乃至3の何れか一項に記載の防護柵。
    Σσ4 < Σ(σ3 + f1)・・・・・(2)
    :緩衝装置のスリップ開始力
    σ:端部横ロープの引張強度
    σ:支柱の曲げ強度
  5. 前記ロープネットが支柱のスパン単位で独立していることを特徴とする、請求項1乃至3の何れか一項に記載の防護柵。
  6. 前記ロープネットの上下辺が端部横ロープに対して横スライド可能に係留されていることを特徴とする、請求項1乃至3,5の何れか一項に記載の防護柵。
  7. 前記ロープネットが複数のロープを交差し、各交差部を摺動不能に固定したメッシュ状のネットであることを特徴とする、請求項1乃至3,5,6の何れか一項に記載の防護柵。
  8. 前記ロープネットが複数のロープ製リングを連鎖したリング状ネットであることを特徴とする、請求項1乃至3,5,6の何れか一項に記載の防護柵。
  9. 前記ロープネットの表面に網材が重合して配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の防護柵。
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