[本願発明の実施形態の説明]
(1)本発明の一態様に係るパラメータ推定装置は、パターン周期の電流パターンに基づいて二次電池の充電又は放電の少なくとも一方を行った場合の前記二次電池の電流及び電圧を収集する収集部と、前記収集部が収集した電流及び電圧に基づいて前記二次電池の等価回路のパラメータを推定する推定部と、該推定部の推定結果に基づいて前記二次電池の劣化度を算出する算出部と、該算出部の算出結果に基づく情報を通知する通知部とを備える。
(10)本発明の一態様に係るパラメータ推定方法は、二次電池の等価回路のパラメータを推定するパラメータ推定方法であって、パターン周期の電流パターンに基づいて前記二次電池の充電又は放電の少なくとも一方を行った場合の前記二次電池の電流及び電圧を収集し、収集した電流及び電圧に基づいて前記二次電池の等価回路のパラメータを推定し、推定結果に基づいて前記二次電池の劣化度を算出し、算出結果に基づく情報を通知する。
(13)本発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、二次電池の等価回路のパラメータを推定させるためのコンピュータプログラムであって、コンピュータに、パターン周期の電流パターンに基づいて前記二次電池の充電又は放電の少なくとも一方を行った場合の前記二次電池の電流及び電圧を収集する処理と、収集した電流及び電圧に基づいて前記二次電池の等価回路のパラメータを推定する処理と、推定結果に基づいて前記二次電池の劣化度を算出する処理と、算出結果に基づく情報を通知する処理とを実行させる。
本態様にあっては、二次電池(二次電池ユニットとも言う)は、単一の又は複数並列に接続された単位電池(電池セルとも言う)が複数直列に接続された構成を有する。パターン周期は、二次電池の種類等に応じて適宜決定することができ、例えば、200ms、500ms、1s程度とすることができる。収集部は、外部で取得された二次電池の電流及び電圧を収集する。例えば、収集部は、二次電池の電流及び電圧を複数回(例えば、20回など)のパターン周期に亘って収集する。推定部は、収集した電流及び電圧に基づいて二次電池の等価回路のパラメータを一括的に推定する。この推定では、複数回(例えば、20回など)のパターン周期のデータをすべて用いて一括で推定するので、推定精度を高めることができる。
算出部は、推定結果に基づいて二次電池の劣化度を算出し、通知部は、算出部の算出結果及び該算出結果に基づく評価結果を示す情報を外部に通知する。従って、精度良く推定した二次電池のパラメータに基づく各種の情報を二次電池に関わる人に通知できる。例えば、二次電池の劣化度を数値として通知したり、二次電池の交換の必要性を通知したりすることができる。
(2)本発明の一態様に係るパラメータ推定装置は、前記算出部が前記劣化度を算出する都度、算出結果を記憶する記憶部を更に備え、前記通知部は、前記記憶部が記憶した記憶内容に基づく情報を通知する。
本態様にあっては、二次電池の劣化度を算出の都度記憶し、記憶内容に基づく情報を通知する。例えば、二次電池の充電の履歴及び劣化度の推移に基づいて二次電池の使用状況、電池寿命及び次回の充電時期を通知することができる。
(3)本発明の一態様に係るパラメータ推定装置は、前記推定部が前記パラメータを推定する場合、前記二次電池を搭載した車両に関する車両情報を収集する第2の収集部を更に備え、前記記憶部は、前記第2の収集部が収集した車両情報を更に記憶するようにしてある。
本態様にあっては、二次電池のパラメータを推定する場合、二次電池を搭載した車両に関する車両情報を更に収集して劣化度と共に記憶し、記憶内容に基づく情報を通知する。例えば、車両の型式、年式などの情報及び二次電池の劣化度に基づいて、車両の買取価格や二次電池の買取価格を通知することができる。
(4)本発明の一態様に係るパラメータ推定装置は、前記記憶内容に基づく情報は、前記二次電池の交換に要するコスト、交換前の前記車両の航続距離及び交換後の航続距離のうちの少なくとも1つを示す情報を含む。
本態様にあっては、例えば、車両の型式、年式などの情報に基づいて、車両の二次電池を新品に交換する場合のコスト、現在の二次電池による航続距離及び新品に交換した場合の航続距離を通知することができる。
(5)本発明の一態様に係るパラメータ推定装置は、前記推定部が前記パラメータを推定する場合、前記車両の二次電池を充電する充電器に関する充電器情報を収集する第3の収集部を更に備え、前記記憶部は、前記第3の収集部が収集した充電器情報を更に記憶するようにしてある。
本態様にあっては、二次電池のパラメータを推定する場合、使用中の充電器に関する充電器情報を更に収集して劣化度と共に記憶し、記憶内容に基づく情報を通知する。例えば、充電器が計算している充電料金を取得して通知することができる。
(6)本発明の一態様に係るパラメータ推定装置は、前記記憶内容に基づく情報は、前記二次電池の充電が可能な場所に関する情報を含む。
本態様にあっては、充電器に関する充電器情報を収集することにより、充電を希望する車両の使用者に複数の充電器の設置場所や使用状況を通知することができる。例えば、充電器の管理番号を取得して複数の充電器の稼働状況を把握することにより、どの充電器にいつ頃空きが生じるかを通知することができる。
(7)本発明の一態様に係るパラメータ推定装置は、前記記憶内容に基づく情報は、前記二次電池の充電に関するインセンティブ情報を含む。
本態様にあっては、例えば、二次電池の充電料金の支払いに対してポイントが付与される場合、インセンティブ情報としてのポイント数を通知して、次回の充電を促進することができる。
(8)本発明の一態様に係るパラメータ推定装置は、前記通知部は、前記二次電池を搭載した車両の使用者、中古車の取扱業者、二次電池の取扱業者及び車検業者のうちの少なくとも1つに対して前記情報を通知する。
本態様にあっては、車両の使用者に上述の様々な情報を通知することができる他に、例えば、中古車の取扱業者及び二次電池の取扱業者は、通知された情報に基づいて独自の買取価格を提示することができる。また、車検業者に通知した場合は、業者側で予め二次電池の劣化度を含む使用状況を把握してスムーズな対応を行うことができる。
(9)本発明の一態様に係るパラメータ推定装置は、前記通知部は、前記二次電池の充電開始前の第1時間以内、充電中及び充電終了後の第2時間以内のうちの少なくとも1つの時点で前記情報を通知する。
本態様にあっては、二次電池の充電開始前及び充電終了後の所定時間内又は充電中に上述の情報の通知を行うため、通知される側が情報を必要とするタイミングで情報を通知することができる。
(11)本発明の一態様に係るパラメータ推定方法は、前記二次電池を搭載する車両に搭載された通信装置又は携帯端末からのアクセス要求を受け付け、アクセス要求を受け付けた通信装置又は携帯端末に前記情報を通知する。
本態様にあっては、二次電池を搭載する車両に据え付けられた専用の通信装置又は利用者の携帯端末からのアクセス要求を受け付けた場合、上述の情報を通信装置又は携帯端末に通知する。このため、利用者は、車載の通信装置又は携帯端末を用いて上述の様々な情報を参照することができる。
(12)本発明の一態様に係るパラメータ推定方法は、前記携帯端末からのアクセスに関する認証要求を受け付けて認証し、認証に成功した場合、前記充電に関する料金を前記携帯端末の使用料に合算して課金させるか、又は該携帯端末の使用者のクレジットカードの決済に含めさせる。
本態様にあっては、携帯電話機からのアクセスを認証した上で、充電料金を携帯端末の使用料に合算したり、クレジットカードの決済に含めたりすることができるため、利用者は充電専用のカード等を用いる必要がなく、利便性が向上する。
[本願発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の実施形態に係るパラメータ推定装置、パラメータ推定方法及びコンピュータプログラムの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、各実施形態で記載されている技術的特徴は、お互いに組み合わせることが可能である。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るパラメータ推定装置を含む通信システムの構成の一例を示す模式図である。通信システムは、パラメータ推定装置としてのサーバ100、第2のパラメータ推定装置としての電池監視装置50及び通信装置80を含む。電池監視装置50及び通信装置80は、車両20に搭載されている。車両20は、例えば、HEV、EVなどの電動車両を含む。車両20が充電器10に接続されることによって、車両20に搭載された後述の二次電池ユニット30(二次電池ともいう)を充電することができる。充電器10は、例えば、充電スタンドである。
通信システムには、スマートフォンなどの携帯端末である携帯電話機200と、携帯電話機200の使用者が契約している携帯電話事業者300と、中古車の取扱業者、二次電池の取扱業者、車検業者などの提携業者400と、例えば地域での買い物で貯まる地域ポイントのポイント管理者500とが更に含まれる。なお、本実施形態1では、サーバ100とポイント管理者500との間で情報の授受を行わない。
サーバ100は、インターネットなどの通信ネットワーク1を介して、電池監視装置50、通信装置80、充電器10、携帯電話事業者300、提携業者400及びポイント管理者500との間で所要の情報を送受信することができる。また、サーバ100は、通信ネットワーク1及び携帯電話事業者300を介して、携帯電話機200との間で所要の情報を送受信することができる。
図2は電池監視装置50及び通信装置80を搭載した車両20の要部の構成の一例を示すブロック図である。二次電池ユニット(二次電池)30は、例えば、リチウムイオン電池であり、複数のセル(単位電池)31が直列又は直並列に接続されている。二次電池ユニット30には、電圧センサ32、電流センサ33、温度センサ34が設けられている。電圧センサ32は、各セル31の電圧、二次電池ユニット30の両端の電圧を検出し、検出した電圧を電池監視装置50へ出力する。電流センサ33は、例えば、シャント抵抗又はホールセンサ等で構成され、二次電池ユニット30の充電電流及び放電電流を検出する。電流センサ33は、検出した電流を電池監視装置50へ出力する。温度センサ34は、例えば、サーミスタで構成され、セル31の温度を検出する。温度センサ34は、検出した温度を電池監視装置50へ出力する。
電池監視装置50は、装置全体を制御する制御部51、電圧取得部52、電流取得部53、温度取得部54、記憶部55、インタフェース部56、無線通信部57、パラメータ推定部58、更新部59、SOC特定部60及びCAN通信部61を備える。
制御部51は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などによって構成することができる。
電圧取得部52は、複数のセル31それぞれの電圧、及び二次電池ユニット30の電圧を取得する。また、電流取得部53は、二次電池ユニット30の電流(充電電流及び放電電流)を取得する。温度取得部54は、セル31の温度を取得する。
記憶部55は、電圧取得部52、電流取得部53、温度取得部54で取得した電圧、電流、温度(これらを纏めてセンサデータとも称する)を記憶することができる。また、記憶部55は、サーバ100から受信した情報を記憶することができる。
インタフェース部56は、充電スタンドとの間で情報の送受信を行うためのインタフェース機能を備える。
無線通信部57は、通信ネットワーク1を介してサーバ100との間で通信する機能を備える。また、無線通信部57は、制御部51の制御の下、二次電池ユニット30のセンサデータをサーバ100へ送信することができる。
パラメータ推定部58は、逐次推定部としての機能を有し、二次電池ユニット30の等価回路のパラメータを逐次推定周期毎に逐次推定する。逐次推定の詳細は後述する。本明細書では、電流パターンの周期をパターン周期と称し、二次電池ユニット30の電流及び電圧の取得周期をサンプリング周期と称し、逐次推定の周期を逐次推定周期と称する。これらの周期の関係は後述する。
更新部59は、サーバ100から一括推定された二次電池ユニット30の等価回路のパラメータを取得した場合、パラメータ推定部58で推定した(逐次推定した)等価回路のパラメータを、一括推定された等価回路のパラメータで更新する。一括推定の詳細は後述する。
SOC特定部60は、特定部としての機能を備え、二次電池ユニット30のSOC(State of Charge)を特定する。二次電池ユニット30のSOCは、例えば、以下のようにして特定することができる。すなわち、予め二次電池ユニット30の開放電圧(OCV)とSOCとの相関関係を示す情報を記憶し、二次電池ユニット30のOCVを求めて、SOCを特定することができる。あるいは、二次電池ユニット30の当初のSOCが分かっている場合には、その後の二次電池ユニット30の電流を積算してSOCを特定することができる。
CAN通信部61は、車載LAN70に接続されており、CAN(Controller Area Network)の通信規格によるCAN通信によって通信装置80などの他の車載装置との間で情報交換を行う。
通信装置80は、装置全体を制御する制御部81、操作表示部82、無線通信部83及びCAN通信部84を備える。
制御部81は、CPU、ROM及びRAMなどによって構成することができる。操作表示部82は、例えばタッチパネルを有する液晶表示装置であり、利用者の操作に係る画面を表示したり、サーバ100から提供された情報を含む画面を表示したりする。
無線通信部83は、通信ネットワーク1を介してサーバ100との間で通信する機能を備える。CAN通信部84は、車載LAN70に接続されており、CAN通信によって電池監視装置50などの他の車載装置との間で情報交換を行う。通信装置80は、CAN通信部84、車載LAN70、電池監視装置50及び通信ネットワーク1を介してサーバ100との間で所要の情報を送受信するようにしてもよい。
図3はサーバ100の構成の一例を示すブロック図である。サーバ100は、サーバ100全体を制御する制御部101、通信部102、履歴DB103、情報DB104、パラメータ推定部105、算出部106及び判定部107を備える。
制御部101は、CPU、ROM及びRAMなどによって構成することができる。
通信部102は、通信ネットワーク1を介して電池監視装置50、通信装置80及び携帯電話機200との間で通信する機能を備える。また、通信部102は、通信ネットワーク1を介して充電器10との間の通信機能を備える。
通信部102は、電池監視装置50が送信した二次電池ユニット30のセンサデータを受信することができる。すなわち、通信部102は、収集部としての機能を有し、サンプリング周期で取得した二次電池ユニット30の電流及び電圧を複数回(例えば、20回)のパターン周期に亘って収集することができる。また、通信部102は、充電器10が二次電池ユニット30のセンサデータを送信する場合には、充電器10からセンサデータを受信することができる。例えば、パターン周期を1秒とし、サンプリング周期を50msとすると、パターン周期が20回(20周期)の間に収集できる電流及び電圧は、サンプリング回数が400回分の電流及び電圧に相当する。更に、通信部102は、第2の収集部及び第3の収集部としての機能を有し、電池監視装置50から車両情報及び充電器情報を収集することができる。
通信部102は、通知部としての機能を有し、パラメータ推定部105の推定結果に基づいて算出した劣化度に基づく情報を、通信装置80、携帯電話機200及び提携業者400へ通知(送信)する。また、通信部102は、出力部としての機能を有し、パラメータ推定部105で一括推定した二次電池ユニット30の等価回路のパラメータを電池監視装置50へ出力(送信)する。
パラメータ推定部105は、推定部としての機能を有し、収集した二次電池ユニット30の電流及び電圧に基づいて、二次電池ユニット30の等価回路のパラメータを一括推定する。一括推定の詳細は後述する。
算出部106は、パラメータ推定部105が推定したパラメータに基づいて二次電池ユニット30の劣化度を算出する。劣化度の算出については後述する。
履歴DB103は、記憶部としての機能を有し、算出部が算出した劣化度の履歴を記憶(以下保存という)する。また、履歴DB103は、後述する車両情報及び充電器情報を保存する。なお、劣化度及び車両情報は、複数の異なる二次電池ユニット30毎(すなわち、異なる車両20毎)に区分して保存することができる。同様に、充電器情報は、複数の異なる充電器10毎に区分して保存することができる。
情報DB104は、例えば、HEV、EVなどの車両20について、型式及び年式と、航続距離並びに搭載される二次電池ユニット30の価格及び等価回路のパラメータの初期値とを対応付けたテーブルや、型式及び年式毎にパラメータと劣化度とを対応付けたテーブルを記憶する。また、情報DB104には、複数の充電器10の管理番号と充電器10の設置場所及び名称とを対応付けたテーブルなどが記憶され、更に、登録された利用者に関する名前、年齢、利用契約の登録日、保有する地域ポイント数などの情報や、利用者と車両20の管理番号(又は車台番号)との対応付けが記憶される。
判定部107は、第1時点でパラメータ推定部105が推定した二次電池ユニット30の等価回路のパラメータと第1時点よりも前の第2時点でパラメータ推定部105が推定したパラメータとに基づいて、通知部からの通知の可否及び出力部からの出力の可否を判定する。
図4は、実施形態1に係るパラメータ推定装置を含む通信システムの処理の一例を示す模式図である。以下、P1からP33までのプロセスについて説明する。
P1では、通信装置80又は携帯電話機200は、通信ネットワーク1を介して、サーバ100にアクセス要求を行い、サーバ100がアクセス要求を受け付ける。アクセス要求には、この通信システムの利用者を特定する情報が含まれている。これと並行して、通信装置80又は携帯電話機200の使用者は、通信装置80の操作表示部82又は不図示の車載の操作パネルを用いて二次電池ユニット30の充電を開始させる操作を行う。この操作による信号は、車載LAN70を介して電池監視装置50に与えられる。
P11では、電池監視装置50は、充電器10に対して、接続・充電依頼を行う。
P12では、電池監視装置50は、自身が搭載された車両20に関する管理番号(又は車台番号)、型式、年式などの車両情報をサーバ100に送信する。車台番号は、車両20に固有の番号である。サーバ100は、通知された車両情報を収集する。この時点で、サーバ100は、アクセスを要求した利用者と車両20の管理番号(又は車台番号)との対応付けを情報DB104に記憶する。
P13では、充電器10は、二次電池ユニット30の充電を開始し、その旨を電池監視装置50に送信する。この通知には、充電器10に関する管理番号、充電器10の使用状態などの充電器情報が含まれている。
P14では、電池監視装置50は、充電器10から通知された充電器情報をサーバ100に通知する。サーバ100は、通知された充電器情報を収集する。
P15では、サーバ100は、取得した車両情報及び充電器情報を日時情報と共に履歴DB103に保存する。この場合、サーバ100は、P12で取得した車両情報に含まれる管理番号(又は車台番号)に対応付けて型式、年式などの情報を保存し、P14で取得した充電器情報については、充電器10の管理番号に対応付けて使用状態などを保存する。
P16では、電池監視装置50は、二次電池ユニット30の状態を充電器10に通知する。二次電池ユニット30の状態は、例えば、SOC、SOH(State of Health)、温度などを含む。
P17では、電池監視装置50は、充電器10に充電許容電流を通知する。充電許容電流は、二次電池ユニット30の種類などに応じて固有の許容電流である。
P18では、充電器10は、パターン周期のテストパターン(電流パターンとも称する)を二次電池ユニット30に印加する。
P19では、電池監視装置50は、テストパターンが印加された二次電池ユニット30の電流、電圧、温度(センサデータ)をサンプリング周期で取得する。
図5はテストパターンの一例を示す模式図である。図5の上段の図は、テストパターン(電流パターン)を示し、下段の図は、テストパターンが印加された二次電池ユニット30の電圧の様子を示す。テストパターンは、充電電流と放電電流とが交互にパターン周期で繰り返される。パターン周期は、二次電池ユニット30の種類等に応じて適宜決定することができ、例えば、200ms、500ms、1s程度とすることができる。
図5に示すように、テストパターンが充電時のときは、二次電池ユニット30の電圧は高くなり、テストパターンが放電時のときは、二次電池ユニット30の電圧は低くなる。なお、図5の例は、テストパターンに充電と放電の両方を含むが、これに限定されるものではなく、充電のみのパターンでもよく、放電のみのパターンでもよい。
図6はパターン周期及びサンプリング周期の関係の一例を示す模式図である。図6に示すように、電流パターンの周期をパターン周期とすると、二次電池ユニット30の電流及び電圧を取得するサンプリング周期は、パターン周期よりも小さい。また、逐次推定周期は、サンプリング周期と同じでもよく、あるいはサンプリング周期より大きくてもよい(例えば、サンプリング周期×2など)。
P20では、電池監視装置50は、二次電池ユニット30のセンサデータをサーバ100へ送信する。なお、センサデータの送信は、テストパターンの印加開始からテストパターンの印加終了までに亘って行うことができる。すなわち、電池監視装置50は、パターン周期のテストパターンに基づいて二次電池ユニット30の充電又は放電の少なくとも一方を行った場合のサンプリング周期で取得した二次電池ユニット30の電流及び電圧を複数回のパターン周期に亘って収集し、収集した電流及び電圧を送信する。これにより、サーバ100は、パターン周期のテストパターンに基づいて二次電池ユニット30の充電又は放電の少なくとも一方を行った場合のサンプリング周期で取得した二次電池ユニット30の電流及び電圧(センサデータ)を複数回(例えば、20回)のパターン周期に亘って収集することができる。例えば、パターン周期を1秒とし、サンプリング周期を50msとすると、パターン周期が20回(20周期)の間に収集できる電流及び電圧は、サンプリング回数が400回分の電流及び電圧に相当する。
P21では、電池監視装置50は、二次電池ユニット30の等価回路のパラメータを推定(逐次推定)する。以下、逐次推定について説明する。
図7は二次電池ユニット30の等価回路の一例を示す説明図である。図7に示すように、二次電池ユニット30の等価回路(等価回路モデルともいう)は、OCVを起電力とする電圧源に、抵抗Raと、抵抗Rb及びキャパシタCbの並列回路とを直列に接続した回路によって表すことができる。この場合、二次電池ユニット30の等価回路のパラメータは、Ra、Rb、Cbであり、抵抗Raは電解液バルクの抵抗を表し、抵抗Rbは界面電荷移動抵抗を表し、キャパシタCbは電気二重層キャパシタンスを表す。なお、二次電池ユニット30の等価回路は、図7の例に限定されない。
パラメータ推定部58は、二次電池ユニット30にテストパターンが印加されたときのサンプリング周期毎に取得した電流及び電圧に基づいて、二次電池ユニット30の等価回路のパラメータを逐次推定する。すなわち、等価回路のパラメータの推定処理は、逐次推定周期毎に行われる。以下、推定処理について説明する。
図7に例示した等価回路のパラメータについては、以下の近似式が成立することが知られている。
V(k)=b0・I(k)+b1・I(k−1)−a1・V(k−1)
+(1+a1)・OCV ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
b0=Ra ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
b1=Ts・Ra/(Rb・Cb)+Ts/Cb−Ra ・・・・・・・・・・(3)
a1=Ts/(Rb・Cb)−1 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(4)
ここで、V(k)はサンプリング周期kにおける二次電池ユニット30の電圧であり、I(k)はサンプリング周期kにおける二次電池ユニット30の電流であり、Tsは逐次推定周期であり、本例では、電圧及び電流のサンプリング周期に等しい。
上述の式(2)〜(4)から、等価回路のパラメータRa、Rb及びCbを逆算すると、以下の式(5)〜(7)が成立する。
Ra=b0 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(5)
Rb=(b1−a1・b0)/(1+a1) ・・・・・・・・・・・・・・・(6)
Cb=Ts/(b1−a1・b0) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(7)
本実施形態1では、逐次最小二乗法を式(1)に適用して係数b0、b1及びa1を決定し、決定した係数を式(5)〜(7)に代入してパラメータRa、Rb及びCbを推定する。なお、各パラメータを一通り推定する間は、OCVが一定であるものとしている。温度取得部54で取得した温度に応じて、推定したパラメータを補正してもよい。
P22では、サーバ100は、二次電池ユニット30の等価回路のパラメータを推定(一括推定)する。以下、一括推定について説明する。
パラメータ推定部105は、収集した二次電池ユニット30の電流及び電圧に基づいて、二次電池ユニット30の等価回路のパラメータを一括推定する。
二次電池ユニット30の等価回路のパラメータを図7のとおりとすると、一括推定は、式(8)で、複数回のサンプリング周期全ての電流値I(k)を入力したときの電圧V(k)の演算値と、電圧V(k)の実測値(サンプリング周期で取得した電圧値)との残差の二乗和が最小となるように、Ra、Rb、Cbのフィッティングを行う。
式(8)において、Tsはサンプリング周期である。zはz変換の伝達関数を用いた表記である。
同じデータで繰り返しフィッティングすることにより、評価関数である残差の二乗和が小さくなり、解が収束する。すなわち、繰り返し最適解を求める処理を行うことにより、逐次推定より精度の高い推定値を得ることができる。
パラメータ推定部58による逐次推定が逐次周期毎の演算であるのに対し、パラメータ推定部105による一括推定では、複数のパターン周期全てのデータを用いて一括で推定するので、情報量が多くなり、推定精度を高めることができる。
P23では、充電器10は充電を継続している。
P24では、サーバ100は、パラメータ推定部105による一括推定が終了し、等価回路のパラメータの推定結果を電池監視装置50へ送信する。
P25では、サーバ100は、一括推定した等価回路のパラメータに基づいて二次電池ユニット30の劣化度を算出する。例えば、P12で取得した車両情報に含まれる型式及び年式に対応付けて情報DB104に記憶されているパラメータの初期値と、一括推定したパラメータとの差分に基づいて劣化度を算出することができる。特に、抵抗Raの増加量に基づいて、二次電池ユニット30の劣化度を算出することが好ましい。また、型式及び年式毎にパラメータに対応付けて情報DB104に記憶されている劣化度のテーブルを参照して、一括推定したパラメータに対応する劣化度を読み出すことができる。
P26では、電池監視装置50は、等価回路のパラメータを更新する。すなわち、更新部59は、サーバ100から一括推定された等価回路のパラメータを取得した場合、パラメータ推定部58が逐次推定した等価回路のパラメータを、一括推定された等価回路のパラメータで更新する。これにより、逐次推定によって推定された等価回路のパラメータは、より高精度の一括推定されたパラメータで更新されるので、等価回路のパラメータをより精度良く推定することができる。
P27では、電池監視装置50は、二次電池ユニット30の状態を充電器10に通知する。P27での通知には、例えば、二次電池ユニット30のSOCが上限値(充電完了)に達したことを含めることができる。
P28では、充電器10は、充電を終了し、その旨を電池監視装置50に通知する。
P29では、充電器10は、充電料金を含む充電器情報を電池監視装置50に通知する。この通知では、充電器10の使用状態が更新されている。
P30では、電池監視装置50は、通知された充電料金を含む充電器情報を中継すべくサーバ100に通知する。サーバ100は、通知された充電器情報を収集する。
P31では、サーバ100は、P26で算出した劣化度と、P30で収集した充電器情報とを日時情報と共に履歴DB103に保存する。この場合、サーバ100は、劣化度と、充電器情報に含まれる充電料金とを、P15で保存した車両20の管理番号(又は車台番号)に対応付けて保存し、充電器情報に含まれる使用状態については、充電器10の管理番号に対応付けて保存している使用状態の後に追加して保存する。履歴DB103には、等価回路のパラメータの推定の都度、劣化度及び各種情報が累積的に保存される。
その後、サーバ100は、車両20の管理番号(又は車台番号)に対応付けて履歴DB103に保存した情報及び該情報に基づいて車両20に関する事項を評価した結果を示す情報(以下評価情報という)を、P32にて通信装置80又は携帯電話機200に通知すると共に、P33にて提携業者400に通知する。提携業者400には、車両20の使用者の情報も通知されるようにすればよい。
図4に示す通信システムの処理によれば、二次電池ユニット30の充電が終了してから評価情報が通知されるが、これに限定されるものではない。例えば、評価情報を通知してから第1時間以内に充電を開始(即ち、充電開始前の第1時間以内に評価情報を通知)してもよいし、充電中に評価情報を通知してもよいし、充電終了後の第2時間以内に評価情報を通知するようにしてもよい。
通信装置80及び携帯電話機200の使用者は、二次電池ユニット30の充電を行わない場合であっても、随時サーバ100にアクセスして評価情報の通知を受けることができる。また、サーバ100から充電器10の空き状況の通知を受けることもできる。この場合、利用者と車両20の管理番号(又は車台番号)との対応付けは、情報DB104にデフォルトで記憶されている対応付けの内容が反映される。
図8は、実施形態1に係るパラメータ推定装置によって利用者に提示される画面の一例を示す説明図であり、図9は、実施形態1に係るパラメータ推定装置によって利用者に提示される画面の他の一例を示す説明図である。図8に示す画面では、利用者情報と、充電料金と、二次電池ユニット30のバッテリ情報と、バッテリ交換の必要性と、新品電池に交換した場合の航続距離とが評価情報として表示される。
利用者情報は、当該利用者について情報DB104に記憶されている内容を読み出して表示したものである。履歴DB103には、充電の都度、車両20の管理番号(又は車台番号)に対応付けられた各種情報が日時情報と共に保存されるため、現在の利用者の前回の利用日時が特定される。本日の充電料金及び今月の充電料金は、車両20の管理番号(又は車台番号)に対応付けて履歴DB103に保存されている充電料金を1日分及び1ヶ月分だけ合算したものである。
バッテリ情報は、車両20の管理番号(又は車台番号)に対応付けて履歴DB103に保存されている劣化度の最新の値を、%値などの数値と、該数値に対応する絵文字で表したものである。バッテリ交換の必要性は、劣化度に応じて判定される「有、無、要検討」の3通りで表したものである。要検討の場合は、型式及び年式に対応付けて情報DB104に記憶されているテーブルから航続距離が読み出されて、電池交換後の航続距離として表示される。
図9に示す画面では、これから充電しようとする利用者に対して、登録されている充電器10の名称及び使用状況と、前回の使用日時と、最近のバッテリ状況とが評価情報として表示される。充電器10の名称及び使用状況は、充電器10の管理番号に対応付けて履歴DB103に保存されている名称及び使用状態の履歴に基づいて、「今すぐ充電可能」であるか、「(例えば最大でも)あと10分後から充電可能」であるかが表示される。名称と共に充電器10の設置場所を表示することもできる。前回の利用日時の表示は、図8に示す場合と同様に表示される。利用した充電ステーションの名称は、充電器10の管理番号に対応付けて情報DB104に記憶されたテーブルから検索される。
最近のバッテリ情報としては、劣化度、電池寿命、交換コスト、電池交換時期、現在の航続距離及び電池交換後の航続距離が表示される。劣化度及び電池交換後の航続距離は、図8に示す場合と同様に表示される。電池寿命は、車両20の管理番号(又は車台番号)に対応付けて履歴DB103に保存されている劣化度の推移に基づいて推定されるものである。現在の日時に電池寿命が加算されて電池の交換時期が算出される。交換コストは、型式及び年式に対応付けて情報DB104に記憶されている二次電池ユニット30の価格が読み出されて表示される。現在の航続距離は、型式及び年式に対応付けて情報DB104に記憶されている航続距離に劣化度を乗算して算出されるものである。
図8及び図9には例示していないが、例えば型式及び年式毎に劣化度と中古車価格及び中古電池価格とを対応付けたテーブルを情報DB104に記憶しておくことにより、二次電池ユニット30の現在の劣化度に基づいて中古車価格及び中古電池価格を利用者に提示することができる。また、充電器10の車台番号に対応付けて履歴DB103に保存されている充電の履歴に基づいて、次回の充電時期を提示することもできる。更に、車両20の管理番号(又は車台番号)に対応付けて履歴DB103に保存されている充電の履歴及び劣化度の推移に基づいて、二次電池ユニット30の使用状況を提示することもできる。
一方、中古車の取扱業者、二次電池の取扱業者、車検業者などの提携業者400は、通知された評価情報に基づいて独自の査定価格を使用者に提案したり、次回の車検に備えた準備を予め行ったりすることができる。
サーバ100は、パラメータ推定部105が推定した等価回路のパラメータを履歴DB103に更に保存してもよい。サーバ100及び電池監視装置50は、上述の基本的な処理に加えて以下に述べる付加的な処理を行ってもよい。
判定部107は、第1時点(例えば、今回)においてパラメータ推定部105が推定した等価回路のパラメータと第1時点よりも前の第2時点(例えば、前回)においてパラメータ推定部105が推定した等価回路のパラメータとに基づいて、第1時点での推定結果を電池監視装置50へ送信するか否かを判定したり、第1時点での評価情報を使用者に通知するか否かを判定したりすることができる。
このように、過去に一括推定した推定結果の履歴に基づいて、パラメータの推定結果の送信(出力)の可否を判定したり、評価結果の通知の可否を判定したりするので、例えば、誤った推定結果を電池監視装置50へ送信したり、誤った評価結果を使用者に通知したりすることを防止できる。
また、判定部107は、第1時点で推定した二次電池ユニット30の等価回路のパラメータと、第2時点で推定した当該二次電池ユニット30の等価回路のパラメータとの差が所定の閾値以上である場合、第1時点での推定結果を電池監視装置50へ送信したり、第1時点での評価情報を使用者に通知したりすることは不可である判定することができる。
パラメータの差は、差分でもよく、パラメータの比率でもよい。例えば、今回のパラメータの値が前回の値と比べて閾値以上の差がある場合、今回の一括推定の信頼性が低いと考えられるので、一括推定結果を出力せず、評価結果を通知しない。これにより、電池監視装置50において、等価回路のパラメータが誤った値で更新されたり、使用者に誤った評価結果が通知されたりするのを防止できる。
また、判定部107は、第1時点で推定した二次電池ユニット30の等価回路のパラメータと、第2時点で推定した当該二次電池ユニット30と異なる他の複数の二次電池ユニットの等価回路のパラメータの統計値との差が所定の閾値以上である場合、第1時点での推定結果を電池監視装置50へ送信したり、第1時点での評価情報を使用者に通知したりすることは不可である判定することができる。ここで、他の複数の二次電池ユニットは、例えば、同種(型番が同じ)、あるいは同条件下(例えば、SOCや温度等)の二次電池ユニットとすることができる。
統計値は、平均値でもよく、中央値でもよい。例えば、今回のパラメータの値が他の二次電池ユニットの統計値と比べて閾値以上の差がある場合、今回の一括推定の信頼性が低いと考えられるので、一括推定結果を出力せず、評価結果を通知しない。これにより、電池監視装置50において、等価回路のパラメータが誤った値で更新されり、使用者に誤った評価結果が通知されたりするのを防止できる。
電池監視装置50は、サーバ100の判定部107が推定結果を電池監視装置50へ送信することは不可である判定した場合、更新部59による更新を行わずに逐次推定したパラメータを等価回路のパラメータとする。これにより、等価回路のパラメータが誤った値で更新されるのを防止できる。
電池監視装置50は、充電器10による二次電池ユニット30の充電の途中でパターン周期のテストパターンに基づく二次電池ユニット30の電流及び電圧を取得する。これにより、二次電池ユニット30の充電中に等価回路のパラメータを推定することができる。
充電器10は、サーバ100に対して二次電池ユニット30の充電が完了するまでの残余時間を送信することができる。なお、電池監視装置50が残余時間をサーバ100へ送信してもよい。サーバ100の通信部102は、残余時間を取得する残余時間取得部としての機能を有する。パラメータ推定部105は、残余時間内に二次電池ユニット30の等価回路のパラメータを一括推定する。これにより、二次電池ユニット30の充電が完了するまでに等価回路のパラメータの一括推定が終了するように演算条件を決定することができ、充電完了するまでの時間内において精度の高い推定を行うことができる。
SOC特定部60は、充電途中の二次電池ユニット30のSOCを特定することができる。制御部51は、SOC特定部60で特定したSOCが所定値のときに、充電器10に対してテストパターンの印加を開始する指示を充電器10へ出力することができる。これにより、パターン周期のテストパターンに基づく二次電池ユニット30の充電又は放電の少なくとも一方を開始することができる。
例えば、二次電池ユニット30の充電中に、二次電池ユニット30のSOCが所定値(例えば、50%など)になったときに等価回路のパラメータの推定を行う。これにより、二次電池ユニット30の等価回路のパラメータを推定するときの二次電池ユニット30の条件を揃えることができ、精度よくパラメータを推定できる。また、例えば、過去に推定したパラメータ(例えば、前回値)と今回推定したパラメータとを比較する場合でも、推定条件を共通にできるので、精度良く比較できる。
なお、SOC特定部60で特定したSOCが所定値になる前に、テストパターンの印加を開始しておき、二次電池ユニット30のSOCが所定値になったときにパラメータ推定部58による逐次推定を開始するようにしてもよい。
パターン周期のテストパターンは、充電電流パターンのみでもよく、放電電流パターンでもよい。また、前述のように、パターン周期のテストパターンは、充電電流パターン及び放電電流パターンの両方を含めてもよい。これにより、二次電池ユニット30に対して充電と放電の両方のパターンが印加されるので、二次電池ユニット30のSOCの変化を抑制することができ、精度よく等価回路のパラメータを推定することができる。
インタフェース部56は、充電器10に対して、二次電池ユニット30の電流許容値を通知する通知部としての機能を有する。充電器10は、テストパターンのピーク値を電流許容値以下とすることができる。より具体的には、テストパターンのピーク値を電流許容値に設定することができる。これにより、電流のピーク値を許容範囲内で大きな値とすることができ、計測の誤差を無視することができ、等価回路のパラメータの推定精度を高めることができる。また、二次電池ユニット30の種類などに応じて電流許容値が異なる場合でも、二次電池ユニット30に最適な電流パターンを印加することができる。
以下では、上述した電池監視装置50及びサーバ100の動作を、フローチャートを用いて説明する。図10は、電池監視装置50における制御部51の処理手順の一例を示すフローチャートである。図10の処理は、例えば、充電を開始させる信号が車載LAN70を介して電池監視装置50に与えられた時に起動される。図11の処理は、サーバ100へのアクセス要求があった時に起動される。
図10の処理が起動された場合、制御部51は、充電器10に対して充電依頼を行い(S11)、これと相前後して車両20の車両情報をサーバ100に送信する(S12)。充電が開始されると(あるいは充電開始前に)、制御部51は、充電器10から充電開始通知を取得する(S13)。これにより、二次電池ユニット30は充電される。また、制御部51は、充電開始通知に含まれる充電器情報をサーバ100に送信する(S14)。
制御部51は、二次電池ユニット30のSOCが所定値(例えば、50%など)になったことを通知し(S15)、更に、許容電流を通知する(S16)。制御部51は、充電器10から二次電池ユニット30に対して、テストパターンの印加が開始されたか否かを判定し(S17)、印加が開始されていない場合(S17:NO)、ステップS17の処理を続ける。
テストパターンの印加が開始された場合(S17:YES)、制御部51は、二次電池ユニット30の電流、電圧、温度をサンプリング周期毎に取得し(S18)、取得した電流、電圧、温度のセンサデータをサーバ100へ送信する(S19)。
制御部51は、逐次推定周期毎に、二次電池ユニット30の等価回路のパラメータを逐次推定する(S20)。逐次推定の処理は、逐次推定周期毎に繰り返して行われる。制御部51は、サーバ100から二次電池ユニット30の等価回路のパラメータの一括推定結果を受信したか否かを判定する(S21)。一括推定の処理は、サンプリング周期当たりのセンサデータを1サンプリングデータとすると、複数(例えば、20、30など)のパターン周期でのサンプリングデータを一括して用いる推定処理である。
一括推定結果を受信した場合(S21:YES)、制御部51は、逐次推定結果を一括推定結果で更新し(S22)、後述のステップS24の処理を行う。一括推定結果を受信していない場合(S21:NO)、あるいは、サーバ100から推定結果の更新を禁止する指示を受信した場合、制御部51は、逐次推定結果を等価回路のパラメータとする(S23)。
制御部51は、二次電池ユニット30のSOC等の状態を充電器10に通知する(S24)。ここでの通知には、例えば、二次電池ユニット30のSOCが上限値に達したこと(満充電になったこと)を含めることができる。制御部51は、充電終了の通知を受けて、充電料金を含む充電器情報を取得し(S25)、取得した充電器情報を中継すべくサーバ100へ送信して(S26)、処理を終了する。
次に、図11の処理が起動された場合、制御部101は、外部からのアクセス要求を受け付ける(S30)。これと相前後して、制御部101は、電池監視装置50から送信された車両情報を収集し(S33)、更に充電器情報を収集する(S34)。制御部101は、収集した車両情報及び充電器情報を履歴DB103に保存する(S35)。
制御部101は、二次電池ユニット30のセンサデータを取得し(S36)、二次電池ユニット30の等価回路のパラメータを一括推定する(S37)。制御部101は、ステップS37で一括推定した二次電池ユニット30の等価回路のパラメータと、当該二次電池ユニット30の過去に一括推定した等価回路のパラメータとの差が閾値以上であるか否かを判定する(S38)。ここで、過去に一括推定した等価回路とは、例えば、同種(型番が同じ)の二次電池ユニットの等価回路、あるいは同条件下(例えば、SOCや温度等)で推定した等価回路とすることができる。
差が閾値以上でない場合(S38:NO)、制御部101は、ステップS37で一括推定した二次電池ユニット30の等価回路のパラメータを電池監視装置50へ送信し(S39)、後述するステップS41に処理を移す。なお、ステップS37で一括推定した二次電池ユニット30の等価回路のパラメータは、履歴DB103に保存することができる。
差が閾値以上である場合(S38:YES)、制御部101は、ステップS37で一括推定した二次電池ユニット30の等価回路のパラメータを電池監視装置50へ送信しない(S40)。あるいは、制御部101は、推定結果を更新しない旨の通知を電池監視装置50へ送信してもよい。
制御部101は、一括推定した等価回路のパラメータに基づいて二次電池ユニット30の劣化度を算出する(S41)。その後、制御部101は、電池監視装置50から送信された充電料金を含む充電器情報を収集し(S42)、収集した充電器情報と、ステップS41で算出した劣化度とを履歴DB103に保存する(S43)。
制御部101は、履歴DB103に保存した情報に基づいて評価情報を生成し(S44)、生成した評価情報を、サーバ100にアクセスした通信装置80又は携帯電話機200と、提携業者400とに通知して(S45)処理を終了する。
本実施形態1のサーバ100は、CPU(プロセッサ)、RAM(メモリ)などを備えた汎用コンピュータを用いて実現することもできる。すなわち、図11に示すような、各処理の手順を定めたコンピュータプログラムをコンピュータに備えられたRAM(メモリ)にロードし、コンピュータプログラムをCPU(プロセッサ)で実行することにより、コンピュータ上でサーバ100を実現することができる。
以上のように本実施形態1によれば、複数回のパターン周期のデータを用いて二次電池ユニット30の等価回路のパラメータを一括で推定し、推定結果に基づいて二次電池ユニット30の劣化度を算出し、算出結果及び該算出結果に基づく評価の結果を示す評価情報を外部に通知する。従って、精度良く推定した二次電池ユニット30の等価回路のパラメータに基づく各種の情報を二次電池に関わる人に通知することができる。
また、実施形態1によれば、二次電池ユニット30の劣化度を算出の都度履歴DB103に保存し、保存内容に基づく評価情報を通知する。従って、二次電池ユニット30の充電の履歴及び劣化度の推移に基づいて二次電池ユニット30の使用状況、電池寿命及び次回の充電時期を通知することができる。
更に、実施形態1によれば、二次電池ユニット30の等価回路のパラメータを推定する場合、二次電池ユニット30を搭載した車両20に関する車両情報を更に収集して算出した劣化度と共に履歴DB103保存し、保存内容に基づく評価情報を通知する。従って、車両20の型式、年式などの車両情報及び二次電池ユニット30の劣化度と、情報DB104に記憶された内容とに基づいて、車両20の中古車価格や二次電池ユニット30の中古電池価格を通知することができる。
更に、実施形態1によれば、車両20の型式、年式などの車両情報と、情報DB104に記憶された内容とに基づいて、車両20の二次電池ユニット30を新品に交換する場合のコスト、現在の二次電池ユニット30による航続距離及び新品に交換した場合の航続距離を通知することができる。
更に、実施形態1によれば、二次電池ユニット30の等価回路のパラメータを推定する場合、使用中の充電器10に関する充電器情報を更に収集して算出した劣化度と共に履歴DB103に保存し、保存内容に基づく評価情報を通知する。従って、充電器10が計算している充電料金を取得して通知することができる。
更に、実施形態1によれば、充電器10から収集した管理番号や使用状態を含む充電器情報と、情報DB104に記憶された内容とに基づいて、充電を希望する車両20の使用者に複数の充電器10の設置場所、名称及び使用状況を通知したり、どの充電器10にいつ頃空きが生じるかを通知することができる。
更に、実施形態1によれば、中古車の取扱業者及び二次電池の取扱業者は、通知された劣化度に基づいて、通知された利用者に独自の買取価格を提示することができる。また、車検業者に通知した場合は、業者側で予め二次電池ユニット30の劣化度を含む使用状況を把握してスムーズな対応を行うことができる。
更に、実施形態1によれば、二次電池ユニット30の充電開始前及び充電終了後の所定時間内又は充電中に評価情報の通知を行うことにより、通知される利用者が情報を必要とするタイミングで評価情報を通知することができる。
更に、実施形態1によれば、二次電池ユニット30を搭載する車両20に据え付けられた専用の通信装置80又は使用者の携帯電話機200からのアクセス要求をサーバ100が受け付けた場合、サーバ100は、評価情報を通信装置80又は携帯電話機200に通知する。従って、使用者は、通信装置80又は携帯電話機200を用いて上述の様々な評価情報を参照することができる。
なお、本実施形態1では、電池監視装置50がセンサデータをサーバ100へ送信する構成であったが、これに限定されるものではなく、充電器10がセンサデータをサーバ100へ送信してもよい。
本実施形態1では、充電器10による二次電池ユニット30の充電中にテストパターンを印加して、等価回路のパラメータを推定する構成であったが、これに限定されるものではなく、例えば、車両20の走行中に、車両20内の充電器による二次電池ユニット30の充電中にテストパターンを印加して、等価回路のパラメータを推定してもよい。
本実施形態1では、電池監視装置50とサーバ100との間で直接通信を行う構成であったが、これに限定されるものではなく、電池監視装置50とサーバ100との間の通信を、充電器10を経由して行う構成でもよい。
本実施形態1では、テストパターンのピーク値(振幅)は一定値であったが、これに限定されるものではなく、テストパターンの振幅を時間の経過とともに変更してもよい。振幅の異なるテストパターンによる電流及び電圧を用いて推定した等価回路のパラメータが同じ値(あるいは近い値)になれば、パラメータ値が収束していると考えられる。
本実施形態1では、電池監視装置50が逐次推定した等価回路のパラメータをサーバ100に送信し、サーバ100が、受信した等価回路のパラメータと、他の二次電池ユニットの統計値、あるいは過去の履歴データと比較し、逐次推定した等価回路のパラメータを更新するか否かを判定するようにしてもよい。
(実施形態2)
実施形態1は、サーバ100へのアクセスに際して特段の認証を行わない形態であるのに対し、実施形態2は、携帯電話機200からのサーバ100へのアクセスに際して利用者の認証を行う形態である。また、実施形態2は、充電料金を携帯電話機200の使用料に含めたり、充電料金の決済をクレジットカードで行ったりする形態である。実施形態2に係るパラメータ推定装置を含む通信システム、電池監視装置50及びサーバ100それぞれの構成は、実施形態1の図1、図2及び図3に示すものと同様であるため、実施形態1に対応する箇所には同様の符号を付して説明を省略する。
図12は、実施形態2に係るパラメータ推定装置を含む通信システムの処理の一例を示す模式図である。P11からP32までのプロセスは、実施形態1の図4に示すものと同様であるため、説明を省略して、ここではP2からP5までのプロセスと、P34及びP35のプロセスとについて説明する。
P2では、携帯電話機200は、アプリからサーバ100にアクセスして提示された画面上で、利用者ID及びパスワードを投入して認証要求を行う。なお、携帯電話事業者300、クレジットカード会社及びポイント管理者500が携帯電話機200の利用者を特定するための情報は、携帯電話機200のアプリにより、サーバ100に受け渡されるものとする。
P3では、サーバ100は、認証要求を受け付けて利用者を認証し、認証結果を携帯電話機200に返す。
認証に成功した場合のP4では、携帯電話機200のアプリにてQRコード(登録商標)が表示されるので、利用者は、QRコードを充電器10の読取部にかざす。
P5では、充電器10がQRコードを正常に読み取った段階で、利用者による充電器10の利用が可能となる。これにより、利用者は、充電専用カード等を所持する必要がなくなる。
その後、利用者は、通信装置80の操作表示部82又は不図示の車載の操作パネルを用いて二次電池ユニット30の充電を開始させる操作を行う。この操作による信号は、車載LAN70を介して電池監視装置50に与えられ、P11以降のプロセスが進行することとなる。
P11からP32までのプロセスが終了した後のP34では、サーバ100は、充電料金を携帯電話機200の使用料に合算させるために、携帯電話事業者300に課金依頼を行う。サーバ100は、不図示のクレジット会社に対して、充電料金の決済依頼を行ってもよい。
P35では、サーバ100は、携帯電話機200の利用者が充電器10を利用したことに対して、例えば特定の地域内で利用可能なポイントを付与させるために、ポイント管理者500に対してポイント付与依頼を行う。
図13は、実施形態2に係るパラメータ推定装置によって利用者に提示される画面の一例を示す説明図である。画面には、今回の充電によって獲得したポイント数と、次回の充電時期をメールで通知する旨とが表示される。
以下では、上述したサーバ100の動作を、フローチャートを用いて説明する。図14は、実施形態2に係るパラメータ推定装置における制御部101の処理手順の一例を示すフローチャートである。ステップS33からS45までの処理は、実施形態1の図11に示すものと同様であるため、説明を省略して、ここではステップS31及びS32の処理と、ステップS46及びS47の処理とについて説明する。
図14の処理が起動された場合、制御部101は、携帯電話機200からの認証要求を受け付けて(S31)認証し、認証結果を携帯電話機200に送信する(S32)。認証に成功した場合、制御部101は、ステップS33以降の処理を実行する。
ステップS33からS45までの処理が終了した場合、制御部101は、携帯電話事業者300に課金依頼を行う(S46)と共に、ポイント管理者500に対してポイント付与依頼を行い(S47)、処理を終了する。
以上のように本実施形態2によれば、二次電池ユニット30の充電料金の支払いに対してポイントが付与されており、インセンティブ情報としてのポイント数を利用者に通知して、次回の充電を促進することができる。
また、実施形態2によれば、携帯電話機200からのアクセスを認証した上で、充電料金を携帯電話機200の使用料に合算したり、クレジットカードの決済に含めたりすることができるため、利用者は充電専用のカード等を用いる必要がなく、利便性を向上させることができる。
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
本発明の一態様に係るパラメータ推定装置は、前記推定部が推定したパラメータを外部へ出力する出力部を備え、前記推定部が推定した推定結果の履歴を前記記憶部に記憶するようにしてあり、第1時点で前記推定部が推定したパラメータ及び前記第1時点よりも前の第2時点で前記推定部が推定したパラメータに基づいて前記通知部の通知の可否及び前記出力部の出力の可否を判定する判定部を更に備える。
本態様にあっては、パラメータ推定装置は、第1時点で一括的に推定したパラメータと、第1時点よりも前の第2時点で一括的に推定したパラメータとに基づいて、通知部からの通知の可否及び出力部からの出力の可否を判定する。これにより、過去に一括推定した推定結果の履歴に基づいて、通知部から各種の情報を通知することの可否及び出力部から一括推定の推定結果を出力することの可否を判定するので、例えば、誤った情報及び推定結果を通知及び出力することを防止できる。
本発明の一態様に係るパラメータ推定装置は、前記判定部は、前記第1時点で前記推定部が推定した一の二次電池の等価回路のパラメータと、前記第2時点で前記推定部が推定した前記一の二次電池の等価回路のパラメータとの差が所定の閾値以上である場合、前記通知部の通知及び前記出力部の出力が不可と判定する。
本態様にあっては、パラメータ推定装置は、第1時点で一括的に推定した二次電池の等価回路のパラメータと、第2時点で一括的に推定した当該二次電池の等価回路のパラメータとの差が所定の閾値以上である場合、通知部からの通知及び出力部からの出力が不可と判定する。パラメータの差は、差分でもよく、パラメータの比率でもよい。例えば、今回のパラメータの値が前回の値と比べて閾値以上の差がある場合、今回の一括推定の信頼性が低いと考えられるので、各種情報の通知及び一括推定結果の出力を行わない。これにより、誤った情報が通知されたり、等価回路のパラメータが誤った値で更新されたりするのを防止できる。
本発明の一態様に係るパラメータ推定装置は、前記判定部は、前記第1時点で前記推定部が推定した一の二次電池の等価回路のパラメータと、前記第2時点で前記推定部が推定した前記一の二次電池と異なる他の複数の二次電池の等価回路のパラメータの統計値との差が所定の閾値以上である場合、前記通知部の通知及び前記出力部の出力が不可と判定する。
本態様にあっては、パラメータ推定装置は、第1時点で一括的に推定した二次電池の等価回路のパラメータと、第2時点で一括的に推定した当該二次電池と異なる他の複数の二次電池の等価回路のパラメータの統計値との差が所定の閾値以上である場合、通知部からの通知及び出力部からの出力が不可と判定する。ここで、他の複数の二次電池は、例えば、同種(型番)が同じ、あるいは同条件下(例えば、SOCや温度等)にある二次電池とすることができる。統計値は、平均値でもよく、中央値でもよい。例えば、今回のパラメータの値が他の二次電池の統計値と比べて閾値以上の差がある場合、今回の一括推定の信頼性が低いと考えられるので、各種情報の通知及び一括推定結果の出力を行わない。これにより、誤った情報が通知されたり、等価回路のパラメータが誤った値で更新されたりするのを防止できる。
本発明の一態様に係るパラメータ推定装置は、充電器による前記二次電池の充電が完了するまでの残余時間を取得する残余時間取得部を備え、前記推定部は、前記残余時間内に前記二次電池の等価回路のパラメータを推定する。
本態様にあっては、パラメータ推定装置は、充電器による二次電池の充電が完了するまでの残余時間を取得し、取得した残余時間内に二次電池の等価回路のパラメータを一括的に推定する。これにより、二次電池の充電が完了するまでに等価回路のパラメータの一括推定が終了するように演算条件を決定することができ、充電完了するまでの時間内で精度の高い推定を行うことができる。
本発明の一態様に係るパラメータ推定装置は、前記パターン周期の電流パターンは、充電電流パターン及び放電電流パターンを含む。
本態様にあっては、パターン周期の電流パターンは、充電電流パターン及び放電電流パターンを含む。これにより、二次電池に対して充電と放電の両方のパターンが印加されるので、二次電池のSOCの変化を抑制することができ、精度よく等価回路のパラメータを推定することができる。
本発明の一態様に係るパラメータ推定システムは、上述のパラメータ推定装置と、前記等価回路のパラメータを推定する第2のパラメータ推定装置とを備えるパラメータ推定システムであって、前記第2のパラメータ推定装置は、パターン周期の電流パターンに基づいて前記二次電池の充電又は放電の少なくとも一方を行った場合の前記二次電池の電流及び電圧を取得する取得部と、前記取得部が取得した電流及び電圧に基づいて、前記二次電池の等価回路のパラメータを逐次推定する逐次推定部と、前記パラメータ推定装置から出力されたパラメータを取得した場合、前記逐次推定部が推定したパラメータを、取得したパラメータで更新する更新部とを備える。
本態様にあっては、二次電池の等価回路パラメータは、例えば、二次電池の等価回路モデルにより、OCVを起電力とする電圧源に、抵抗Raと、抵抗Rb及びキャパシタCbの並列回路とを直列に接続した回路によって表すことができる。この場合、抵抗Raは電解液バルクの抵抗を表し、抵抗Rbは界面電荷移動抵抗を表し、キャパシタCbは電気二重層キャパシタンスを表す。取得部は、サンプリング周期で二次電池の充電電流又は放電電流を取得するとともに、充電時又は放電時の二次電池の電圧を取得する。逐次推定部は、二次電池の等価回路のパラメータを逐次推定周期毎に逐次推定する。等価回路のパラメータは、二次電池の電流、電圧、電流及び電圧を取得するサンプリング周期の関係を示す関係式に最小二乗法を適用して関係式の係数を求め、求めた係数を用いて算出することができる。逐次推定は、このような演算を逐次推定周期の都度行う。なお、逐次推定周期は、サンプリング周期と同じでもよく、あるいはサンプリング周期より大きくてもよい(例えば、サンプリング周期×2など)。逐次推定された等価回路のパラメータは、更新部により、より高精度の一括推定されたパラメータで更新されるので、等価回路のパラメータをより精度良く推定することができる。
本発明の一態様に係るパラメータ推定システムは、前記第2のパラメータ推定装置は、前記パラメータ推定装置の判定部で前記出力部の出力が不可と判定された場合、前記更新部による更新を行わずに前記逐次推定部が推定したパラメータを前記等価回路のパラメータとする。
本態様にあっては、パラメータ推定装置にて出力部からの出力が不可と判定した場合、第2のパラメータ推定装置は、更新部による更新を行わずに逐次推定したパラメータを前記等価回路のパラメータとする。これにより、等価回路のパラメータが誤った値で更新されるのを防止できる。
本発明の一態様に係るパラメータ推定システムは、前記取得部は、充電器による前記二次電池の充電の途中で前記パターン周期の電流パターンに基づく前記二次電池の電流及び電圧を取得する。
本態様にあっては、第2のパラメータ推定装置は、充電器による二次電池の充電の途中でパターン周期の電流パターンに基づく二次電池の電流及び電圧を取得する。これにより、二次電池の充電中に等価回路のパラメータを推定することができる。
本発明の一態様に係るパラメータ推定システムは、前記第2のパラメータ推定装置は、前記二次電池のSOCを特定する特定部を備え、前記特定部が特定したSOCが所定値のときに前記パターン周期の電流パターンに基づく前記二次電池の充電又は放電の少なくとも一方を開始する。
本態様にあっては、第2のパラメータ推定装置は、二次電池のSOCを特定し、特定したSOCが所定値のときにパターン周期の電流パターンに基づく二次電池の充電又は放電の少なくとも一方を開始する。例えば、二次電池の充電中に、二次電池のSOCが所定値(例えば、50%など)になったときに等価回路のパラメータの推定を行う。これにより、二次電池の等価回路のパラメータを推定するときの二次電池の条件を揃えることができ、精度よくパラメータを推定できる。また、例えば、過去に推定したパラメータ(例えば、前回値)と今回推定したパラメータとを比較する場合でも、推定条件を共通にできるので、精度良く比較できる。
本発明の一態様に係るパラメータ推定システムは、前記第2のパラメータ推定装置は、前記二次電池の電流許容値を充電器に通知する第2の通知部を備え、前記パターン周期の電流パターンのピーク値は、前記電流許容値以下である。
本態様にあっては、第2のパラメータ推定装置は、二次電池の電流許容値を充電器に通知し、パターン周期の電流パターンのピーク値は、電流許容値以下とする。これにより、二次電池の種類などに応じて電流許容値が異なる場合でも、二次電池に最適な電流パターンを印加することができる。