JP2020107642A - 熱電変換材料及びそれを用いた熱電変換素子 - Google Patents

熱電変換材料及びそれを用いた熱電変換素子 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、ゼーベック係数と導電性との両立を達成し、高いパワーファクターを示す熱電変換材料を提供することにある。また本発明の課題は、当該材料を用いて、優れた熱電性能を発揮する熱電変換素子を提供することにある。【解決手段】上記課題は、炭素材料(A)、ペリレン骨格又はピロロピロール骨格を有する化合物(B)及び分散剤(C)を含有する、熱電変換材料、及び該熱電変換材料を用いて形成された熱電変換膜を具備する熱電変換素子によって解決される。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、熱電変換材料及び該材料を用いた熱電変換素子に関する。
熱エネルギーと電気エネルギーを相互に変換できる熱電変換材料は、熱電発電素子やペルチェ素子のような熱電変換素子に用いられている。熱電変換素子は、熱を電力に変換する素子であり、半導体や金属の組合せによって構成される。代表的な熱電変換素子としては、p型半導体単独、n型半導体単独、又はp型半導体とn型半導体との組合せ、に分類される。熱電変換素子では、半導体の両端に温度差が生じるように熱を加えると起電力が生じるゼーベック効果を利用する。より大きな電位差を得るために、熱電変換素子では、一般的に、材料としてp型半導体とn型半導体とを組合せて使用する。
また、熱電変換素子は、多数の素子を板状、又は円筒状に組合せてなる熱電モジュールとして使用される。熱エネルギーを直接電力に変換することが出来、例えば、体温で作動する腕時計、地上用発電及び人工衛星用発電における電源として利用できる。熱電変換素子の性能は、熱電変換材料の性能、及びモジュールの耐久性等に依存する。
非特許文献1に記載されているとおり、熱電変換材料の性能を表す指標として、無次元熱電性能指数(ZT)が用いられる。また、熱電変換材料の性能を表す指標として、パワーファクターPF(=S・σ)を用いる場合もある。
上記無次元熱電性能指数「ZT」は、下式(1)により表される。
ZT=(S・σ・T)/κ 式(1)
ここで、Sはゼーベック係数(V/K)、σは導電率(S・m)、Tは絶対温度(K)、及びκは熱伝導率(W/(m・K))である。熱伝導率κは下式(2)で表される。
κ=α・ρ・C 式(2)
ここで、αは熱拡散率(m/s)、ρは密度(kg/m)、及びCは比熱容量(J/(kg・K))である。
つまり、熱電変換の性能(以下、熱電特性とも称す)を向上させるには、ゼーベック係数又は導電率を向上させ、その一方で熱伝導率を低下させることが重要である。
代表的な熱電変換材料として、例えば、常温から500Kまではビスマス・テルル系(Bi−Te系)、常温から800Kまでは鉛・テルル系(Pb−Te系)、及び常温から1000Kまではシリコン・ゲルマニウム系(Si−Ge系)などの無機材料が使用されている。
しかし、これらの無機材料を含む熱電変換材料は、しばしば希少元素を含み高コストであるか、又は有害物質を含む場合がある。また、無機材料は加工性に乏しいため、製造工程が複雑となる。そのため、無機材料を含む熱電変換材料については、製造エネルギー及び製造コストが高くなり、汎用化が困難である。さらに、無機材料は剛直であるため、平面ではない形状にも設置可能な、フルキシブル性を有する熱電変換素子を形成することは困難である。
これに対し、従来の無機材料に代えて、有機材料を用いた熱電変換素子に関する検討が進められている。有機材料は、優れた成形性を有し、かつ無機材料よりも優れた可撓性を有するため、それ自身が分解しない温度範囲での汎用性が高い。また、印刷技術等を容易に活用できるため、製造エネルギーや製造コストの面でも無機材料より有利である。
例えば、特許文献1では、有機色素骨格を高分子分散剤に結合させ、カーボンナノチューブ(CNT)と共に含有させることで、CNT分散性が良く塗布方法に適し、且つ優れた熱起電力を示す熱電材料が記載されている。
また、特許文献2には、ポルフィリン骨格とアルキル基を含む置換基とが結合した、高いゼーベック係数を示す熱電変換材料が記載されている。
国際公開第2015/050113号 国際公開第2015/129877号
梶川武信著「熱電変換技術ハンドブック(初版)」エヌ・ティー・エス出版、p.19
しかしながら、特許文献1の発明では、高分子分散剤のポリマー鎖がCNTとの相互作用を阻害し十分な性能が得られてはいなかった。また、特許文献2の発明では、導電率が10−8〜10−7S/cmと低く、熱電素子として実用的な値を得ることはできていない。
本発明は、ゼーベック係数と導電性との両立を達成し、高いパワーファクターを示す熱電変換材料を提供することを課題とする。また、当該材料を用いて、優れた熱電性能を発揮する熱電変換素子を提供することを課題とする。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであって、下記〔1〕〜〔7〕の発明に関する。
〔1〕 炭素材料(A)、ペリレン骨格又はピロロピロール骨格を有する化合物(B)、及び分散剤(C)を含有する、熱電変換材料。
〔2〕 前記分散剤(C)の分子量が、100以上1,000以下である、〔1〕に記載の熱電変換材料。
〔3〕 前記化合物(B)の含有量が、前記炭素材料(A)の全量に対して5〜200質量%である、〔1〕又は〔2〕に記載の熱電変換材料。
〔4〕 前記分散剤(C)の含有量が、前記炭素材料(A)の全量に対して5〜200質量%である、〔1〕〜〔3〕いずれか1項に記載の熱電変換材料。
〔5〕 前記炭素材料(A)が、カーボンナノチューブ、ケッチェンブラック、グラフェンナノプレート及びグラフェンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、〔1〕〜〔4〕いずれか1項に記載の熱電変換材料。
〔6〕 炭素材料(A)が、カーボンナノチューブを含む、〔1〕〜〔5〕いずれか1項に記載の熱電変換材料。
〔7〕 〔1〕〜〔6〕いずれか1項に記載の熱電変換材料からなる熱電変換膜と、電極とを有し、該熱電変換膜及び該電極が互いに電気的に接続されている熱電変換素子。
本発明により、ゼーベック係数と導電性との両立を達成し、高いパワーファクターを示す熱電変換材料を提供することができる。また、当該材料を用いて、優れた熱電性能を発揮する熱電変換素子を提供することができる。
本発明の実施形態である熱電変換素子の一例の構造を示す模式図である。 本発明の実施形態である熱電変換素子の起電力の測定方法を説明する模式図である。
本発明の熱電変換材料は、炭素材料(A)、ペリレン骨格又はピロロピロール骨格を有する化合物(B)、及び分散剤(C)を含むことを特徴とする。上記を組み合わせることで、ゼーベック係数と導電性とを両立し高いパワーファクターを示す、優れた熱電性能を発揮することができる。これは、分散剤の効果により炭素材料(A)及び、ペリレン骨格又はピロロピロール骨格を有する化合物(B)の分散性が向上することで、炭素材料(A)が有する導電性が効率的に発揮されたこと、及び、ペリレン骨格又はピロロピロール骨格を有する化合物(B)が炭素材料(A)表面に均一化することで、化合物(B)が有する高いゼーベック係数が効率的に発揮されたこと、の両方によるものであると考えられる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<炭素材料(A)>
炭素材料(A)は、導電性向上に寄与するものである。炭素材料(A)の含有量を増やすことで導電性を向上させることが出来る。
炭素材料(A)は、導電性を持つ炭素材料であれば特に制限はなく、例えば、黒鉛、カーボンナノチューブ、ケッチェンブラック、グラフェンナノプレート及びグラフェン等を用いることができる。ゼーベック係数と導電率との両立の観点で、カーボンナノチューブ、ケッチェンブラック、グラフェンナノプレート及びグラフェンからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、より好ましくはカーボンナノチューブであり、特に好ましくは単層カーボンナノチューブである。
炭素材料(A)としては、例えば、薄片状黒鉛として、日本黒鉛工業社製のCMX、UP−5、UP−10、UP−20、UP−35N、CSSP、CSPE、CSP、CP、CB−150、CB−100、ACP、ACP−1000、ACB−50、ACB−100、ACB−150、SP−10、SP−20、J−SP、SP−270、HOP、GR−60、LEP、F#1、F#2、F#3、中越黒鉛社製のCX−3000、FBF、BF、CBR、SSC−3000、SSC−600、SSC−3、SSC、CX−600、CPF−8、CPF−3、CPB−6S、CPB、96E、96L、96L−3、90L−3、CPC、S−87、K−3、CF−80、CF−48、CF−32、CP−150、CP−100、CP、HF−80、HF−48、HF−32、SC−120、SC−80、SC−60、SC−32、伊藤黒鉛工業社製のEC1500、EC1000、EC500、EC300、EC100、EC50、西村黒鉛社製の10099M、PB−99等が挙げられる。球状天然黒鉛としては、日本黒鉛工業社製のCGC−20、CGC−50、CGB−20、CGB−50が挙げられる。土状黒鉛としては、日本黒鉛工業社製の青P、AP、AOP、P#1、中越黒鉛社製のAPR、S−3、AP−6、300Fが挙げられる。人造黒鉛としては、日本黒鉛工業社製のPAG−60、PAG−80、PAG−120、PAG−5、HAG−10W、HAG−150、中越黒鉛社製のRA−3000、RA−15、RA−44、GX−600、G−6S、G−3、G−150、G−100、G−48、G−30、G−50、SECカーボン社製のSGP−100、SGP−50、SGP−25、SGP−15、SGP−5、SGP−1、SGO−100、SGO−50、SGO−25、SGO−15、SGO−5、SGO−1、SGX−100、SGX−50、SGX−25、SGX−15、SGX−5、SGX−1が挙げられる。市販のカーボンブラックとしては、例えば、東海カーボン社製のトーカブラック#4300、#4400、#4500、#5500、デグサ社製のプリンテックスL、コロンビヤン社製のRaven7000、5750、5250、5000ULTRAIII、5000ULTRA、Conductex SC ULTRA、Conductex 975 ULTRA、PUERBLACK100、115、205、三菱化学社製の#2350、#2400B、#2600B、#3050B、#3030B、#3230B、#3350B、#3400B、#5400B、キャボット社製のMONARCH1400、1300、900、VulcanXC−72R、BlackPearls2000、TIMCAL社製のEnsaco250G、Ensaco260G、Ensaco350G、SuperP−Li等のファーネスブラック)、ライオン社製のEC−300J、EC−600JD等のケッチェンブラック、電気化学工業社製のデンカブラック、デンカブラックHS−100、FX−35等のアセチレンブラックが挙げられる。市販の導電性炭素繊維やカーボンナノチューブとしては、昭和電工社製のVGCF等の気相法炭素繊維、名城ナノカーボン社製のEC1.0,EC1.5,EC2.0,EC1.5−P、楠本化成社製のTUBALL、ゼオンナノテクノロジー社製のZEONANO等の単層カーボンナノチューブ、CNano社製のFloTube9000、FloTube9100、FloTube9110、FloTube9200、Nanocyl社製のNC7000、Knano社製の100T、100P等が挙げられる。これらは特に限定されることなく、単独、又は2種以上を混合して使用することが出来る。
<ペリレン骨格又はピロロピロール骨格を有する化合物(B)>
ペリレン骨格又はピロロピロール骨格を有する化合物(B)は、熱電変換材料中でゼーベック係数の向上に寄与する。化合物(B)単体のゼーベック係数が高いこと、また、炭素材料(A)への親和性が高いほど、熱励起により発生した電子、または、正孔が炭素材料へ移動しやすく、結果、系全体のゼーベック係数が高くなる。
化合物(B)は、熱電変換材料中の含有量を高くすると、ゼーベック係数は向上するが、絶縁性が高まり導電性が低下するため、ゼーベック係数と導電率との両立の観点から、化合物(B)の含有量は、前記炭素材料(A)の全量に対して3〜400質量%が好ましく、より好ましくは5〜200質量%であり、更に好ましくは5〜120質量%であり、特に好ましくは5〜100%質量%である。
また、炭素材料(A)に対する表面吸着及び均一化を促進し、さらに分子割合を増加させるために、化合物(B)の分子量は小さい方が好ましく、質量平均分子量(Mw)は、好ましくは2,000以下であり、より好ましくは1,000以下である。
このような化合物(B)として好ましくは、ペリレン骨格を有する下記一般式(1)又はピロロピロール骨格を有する下記一般式(2)で表される化合物である。
一般式(1)
[一般式(1)中、R〜R12 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルコキシ基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換のアルキルチオ基、置換もしくは未置換のアリールチオ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換の複素環基、又は、置換もしくは未置換のアミノ基であり、R〜R12は、隣り合う2つの置換基同士で結合して環を形成していても良い。]
一般式(2)
[一般式(2)中、X〜Xは、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、又は置換もしくは未置換の複素環基を表し、Y及びYは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、又はジシアノメチレン基を表す。]
まず、一般式(1)中の置換基R〜R12について説明する。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子等が挙げられる。
置換もしくは未置換のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ステアリル基といった炭素数1〜30の未置換のアルキル基、
2−フェニルイソプロピル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、ベンジル基、α−フェノキシベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基、α,α−メチルフェニルベンジル基、α,α−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル基、トリフェニルメチル基、α−ベンジルオキシベンジル基等の炭素数1〜30の置換アルキル基、
又は、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の未置換のシクロアルキル基が挙げられる。
置換もしくは未置換のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基といった炭素数1〜20の未置換のアルコキシ基、又は、
3,3,3−トリフルオロエトキシ基、ベンジルオキシ基といった炭素数1〜20の置換アルコキシ基が挙げられる。
置換もしくは未置換のアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、9−アンスリルオキシ基といった炭素数6〜20の未置換のアリールオキシ基、又は、
4−tert−ブチルフェノキシ基、4−ニトロフェノキシ基、3−フルオロフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、3−トリフルオロメチルフェノキシ基等の炭素数6〜20の置換アリールオキシ基が挙げられる。
置換もしくは未置換のアルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基といった炭素数1〜20の未置換のアルキルチオ基、又は、
1,1,1−テトラフルオロエチルチオ基、べンジルチオ基、トリフルオロメチルチオ基といった炭素数1〜20の置換アルキルチオ基等が挙げられる。
置換もしくは未置換のアリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ基、といった炭素数6〜20の未置換のアリールチオ基、又は、2−メチルフェニルチオ基、4−tert−ブチルフェニルチオ基、3−フルオロフェニルチオ基、ペンタフルオロフェニルチオ基、3−トリフルオロメチルフェニルチオ基等の炭素数6〜20の置換アリールチオ基が挙げられる。
置換もしくは未置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,4−キシリル基、p−クメニル基、メシチル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−アセナフチル基、2−アズレニル基、1−ピレニル基、2−トリフェニレル基等の炭素数6〜30の未置換のアリール基、又は、
p−シアノフェニル基、p−ジフェニルアミノフェニル基、p−スチリルフェニル基、4−[(2−トリル)エテニル]フェニル基、4−[(2,2−ジトリル)エテニル]フェニル基等の炭素数6〜30の置換アリール基が挙げられる。
置換もしくは未置換の複素環基としては、例えば、2−フリル基、3−フリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、1−ピローリル基、2−ピローリル基、3−ピローリル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−ピラジル基、2−オキサゾリル基、3−イソオキサゾリル基、2−チアゾリル基、3−イソチアゾリル基、2−イミダゾリル基、3−ピラゾリル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、2−キノキサリニル基、2−ベンゾフリル基、2−ベンゾチエニル基、N−インドリル基、N−カルバゾリル基、N−アクリジニル基といった炭素数3〜20の未置換の芳香族複素環基、又は、2−(5−フェニル)フリル基、2−(5−フェニル)チエニル基、2−(3−シアノ)ピリジル基といった炭素数3〜20の置換芳香族複素環基が挙げられる。
置換もしくは未置換のアミノ基としては、例えば、未置換のアミノ基(NH)、又は、
N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジイソプロピルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、N−ベンジルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基、N−フェニルアミノ基、N−フェニル−N−メチルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ビス(m−トリル)アミノ基、N,N−ビス(p−トリル)アミノ基、N,N−ビス(p−ビフェニリル)アミノ基、ビス[4−(4−メチル)ビフェニリル]アミノ基、N−p−ビフェニリル−N−フェニルアミノ基、N−α−ナフチル−N−フェニルアミノ基、N−β−ナフチル−N−フェニルアミノ基、N−フェナントリル−N−フェニルアミノ基、N,N−ビス(m−フルオロフェニル)アミノ基、N,N−ビス(3−(9−フェニル)カルバゾール)アミノ基、N,N−ビス(p−シアノフェニル)アミノ基、ビス[4−(α,α’−ジメチルベンジル)フェニル]アミノ基等の炭素数1〜30の置換アミノ基が挙げられる。
材料の性能、実用性の観点で、化合物(B)は、バンドギャップが小さく、かつ後述する溶剤等への親和性に優れているものが好ましい。上記観点から、一般式(1)中の置換基R〜R12は、水素原子、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換の芳香族複素環基、置換もしくは未置換のアミノ基が好ましく、より好ましくは、水素原子、シアノ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換の芳香族複素環基、又は置換もしくは未置換のアミノ基であり、特に好ましくは、水素原子、又は置換アミノ基である。
中でも、R11が置換もしくは未置換のアミノ基であることが好ましく、より好ましくは、アリール基、又は複素環基、特にカルバゾリル基等の芳香族複素環基等で置換されたアミノ基である。
次に、一般式(2)中の置換基X〜X、Y及びYについて説明する。
置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、又は置換もしくは未置換の複素環基は、前記一般式(1)で説明したものと同義である。
置換基X及びXは、各々独立に、バンドギャップの低減、炭素材料(A)への親和性の観点で、π共役拡張が期待される、置換もしくは未置換のアリール基、又は置換もしくは未置換の複素環基が好ましい。
置換基X及びXは、各々独立に、溶剤などへの親和性の観点から、水素原子、または置換もしくは未置換のアルキル基が好ましい。
及びYは、化合物(B)の環境毒性の観点から、酸素原子、又は硫黄原子が好ましく、特に好ましくは酸素原子である。
一般式(1)又は(2)で表される化合物の具体例を下記表1〜表28に示すが、これらに限定されるものではない。
<分散剤(C)>
分散剤(C)は、無機材料や有機材料を媒体中に均一に分散させ安定な分散体を調整するために用いるものであり、特に制限されず、カーボンやフタロシアニンの分散に用いられる従来公知のものを使用することができる。分散剤(C)は、単独又は2種以上を併用して使用してもよい。
分散剤(C)としては、酸性分散剤、塩基性分散剤、両性分散剤、非イオン型分散剤等が挙げられる。また、酸性分散剤の酸性官能基としては、カルボン酸基、スルホン酸基及びリン酸基等が挙げられ、塩基性分散剤の極性官能基としては、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基及び4級アンモニウム塩基等が挙げられ、非イオン型分散剤の非イオン性官能基としては、水酸基、アミド基、ケトン基、エポキシ基、及びエステル基等が挙げられる。
塩基性分散剤は、市販品として例えば、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE−9000、11200、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、22000、24000SC、24000GR、26000、28000、32000、32500、32550、32600、33000、34750、35100、35200、37500、38500、39000、53095、56000、71000、76500、X300等、ビックケミー・ジャパン社製のDISPERBYK−108、109、112、116、130、161、162、163、164、166、167、168、182、183、184、185、2000、2008、2009、2022、2050、2150、2155、2163、2164、9077、101、106、140、142、145、180、2001、2020、2025、2070、9076等、味の素ファインテクノ社製のアジスパーPB821、PB822、PB824、PB881等、BASF社製のEFKA−4015、4020、4046、4047、4050、4055、4080、4300、4330、4400、4401、4402等が挙げられる。
酸性分散剤は、市販品としては例えば、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE−3000、5000、21000、36000、36600、41000、41090、43000、44000、46000、47000、55000等、ビックケミー・ジャパン社製のDISPERBYK−102、110、111、170、171、174、P104、P104S、P105、220S等、味の素ファインテクノ社製のアジスパーPA111等が挙げられる。
非イオン型分散剤は、市販品としては例えば、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE−27000、54000等が挙げられる。
分散剤(C)は、低分子系又は高分子系のいずれでもよいが、炭素材料(A)の分散性、並びに炭素材料(A)とペリレン骨格又はピロロピロール骨格を有する化合物(B)とを近接させΠ−Π相互作用を発現させやすくすることから、低分子系が好ましく、より好ましくは分子量が100以上1,000以下であり、特に好ましくは200以上600以下である。分散剤(C)の分子量が 100以上1,000以下 であると、炭素材料(A)表面への化合物(B)の吸着が均一化され、化合物(B)が有する高いゼーベック係数が効率的に発揮されるため、好ましい。
なお、分散剤(C)が高分子系である場合、質量平均分子量(Mw)の値を分子量とする。
また、分散剤として、有機色素誘導体又はトリアジン誘導体を使用してもよく、より好ましくは 酸性官能基を有するトリアジン誘導体(b2)である。
[酸性官能基を有するトリアジン誘導体(b2)]
酸性官能基を有するトリアジン誘導体(b2)の酸性官能基としては、後述に示すとおり、SOM、COM、又はP(O)(OM)であることが好ましく、より好ましくは、SOM、又はCOMであり、特に好ましくはCOMである。Mは、1〜3価のカチオンの一当量を表し、中でも金属カチオン又は4級アンモニウムカチオンであることが好ましい。
酸性官能基を有するトリアジン誘導体(b2)として、好ましくは、下記一般式(3)で示されるトリアジン誘導体、又は下記一般式(4)で示されるトリアジン誘導体である。
(一般式(3)で示されるトリアジン誘導体)
一般式(3)
[一般式(3)中、
は、NH、O、CONH、SONH、CHNH、CHNHCOCHNH又はXYXを表し、
及びXは、各々独立して、NH又はOを表し、
は、CONH、SONH、CHNH、NHCO又はNHSOを表し、
Yは、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキレン基、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルケニレン基又は置換基を有してもよい炭素数1〜20のアリーレン基を表し、
Zは、SOM、COM又はP(O)(OM)を表し、
Mは、1〜3価のカチオンの一当量を表し、
は、有機色素残基、置換基を有していてもよい複素環残基、置換基を有していてもよい芳香族環残基又は下記一般式(5)で表される基を表し、
Qは、OR、NHR、ハロゲン原子、X又はXYZを表し、
は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいアルケニル基を表す。]
一般式(5)
[一般式(5)中、
は、NH又はOを表し、
及びXは、各々独立して、NH、O、CONH、SONH、CHNH又はCHNHCOCHNHを表し、
及びRは、各々独立して、有機色素残基、置換基を有していてもよい複素環残基、置換基を有していてもよい芳香族環残基又はYZを表し、
Yは、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキレン基、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルケニレン基又は置換基を有してもよい炭素数1〜20のアリーレン基を表し、
Zは、SOM、COM又はP(O)(OM)を表す。]
一般式(3)のR及び一般式(5)のR、Rで表される有機色素残基としては、例えば、ジケトピロロピロール系色素、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系色素、フタロシアニン系色素、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、ぺリノン系色素、ぺリーレン系色素、チオインジゴ系色素、イソインドリン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、スレン系色素、金属錯体系色素等が挙げられる。
とりわけ、金属錯体系色素ではない有機色素残基の使用が好ましく、中でもアゾ系色素、ジケトピロロピロール系色素、無金属フタロシアニン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素の使用が分散性や光吸収性に優れるため好ましい。
一般式(3)のR及び一般式(5)のR、Rで表される複素環残基及び芳香族環残基としては、例えば、チオフェン、フラン、ピリジン、ピラゾ−ル、ピロール、イミダゾ−ル、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、ベンズチアゾ−ル、ベンズトリアゾ−ル、インド−ル、キノリン、カルバゾ−ル、アクリジン、ベンゼン、ナフタリン、アントラセン、フルオレン、フェナントレン、アントラキノン等が挙げられる。とりわけ、少なくともS、N、Oのヘテロ原子のいずれかを含む複素環残基の使用が分散性に優れるため好ましい。
一般式(3)及び一般式(5)のYとしては、好ましくは、置換されていてもよいフェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基又は置換基を有していてもよい炭素数が10以下のアルキレン基が挙げられる。
一般式(3)のRにおけるアルキル基及びアルケニル基は、好ましくは炭素数20以下であり、更に好ましくは置換基を有していてもよい炭素数が10以下のアルキル基が挙げられる。
有してもよい置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、水酸基、メルカプト基等が挙げられる。
一般式(3)中のMで表される1〜3価のカチオンとしては、水素原子(プロトン)、金属カチオン、4級アンモニウムカチオンが挙げられる。また、構造中にMを2つ以上有する場合、Mは、水素原子(プロトン)、金属カチオン、4級アンモニウムカチオンのいずれかひとつのみでも良いし、これらの組み合わせでも良い。
金属カチオンの金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、ニッケル、コバルト等が挙げられる。また、4級アンモニウムカチオンとしては、下記一般式(20)で表される構造を有する単一化合物又は、混合物が挙げられる。
一般式(20)
[一般式(20)中、
〜Rは、各々独立して、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、又は置換基を有してもよいアリ−ル基を表す。]
一般式(20)のR〜Rは、各々同一でもよいし、異なっていてもよい。また、R〜Rにおける炭素数は、1〜40、好ましくは1〜30、更に好ましくは1〜20である。
4級アンモニウムの具体例としては、例えば、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ヒドロキシエチルアンモニウム、ジヒドロキシエチルアンモニウム、2−エチルヘキシルアンモニウム、ジメチルアミノプロピルアンモニウム、ラウリルアンモニウム、ステアリルアンモニウム、オクチルアンモニウム等が挙げられるが、これらに限定されない。
また、1〜3価のカチオンが金属カチオン又は4級アンモニウムカチオンである場合、塩交換でカチオンを導入することができる。塩交換は分散剤の製造時に行ってもよいし、熱電変換材料の製造時に行ってもよい。
上記分散剤の合成方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、特公昭39−28884号公報、特公昭45−11026号公報、特公昭45−29755号公報、特公昭64−5070号公報、特開2004−217842号公報等に記載されている方法で合成することができる。
一般式(3)中のMで表される1〜3価のカチオンは、より好ましくは、金属カチオン又は4級アンモニウムカチオンであり、特に好ましくは4級アンモニウムカチオンである。
一般式(3)で表される誘導体の一例を以下に示す。なお、例示化合物における酸性官能基(SOH、COH又はP(O)(OH))は、金属カチオン又は4級アンモニウムカチオンと造塩物を形成していてもよい。
一般式(3)で表されるトリアジン誘導体は、より好ましくは、X1がNH、且つRがベンズイミダゾロン残基であるX構造を含み、且つMが金属カチオン又は4級アンモニウムカチオンであるものであり、上述の例示誘導体(b2−5)、(b2−7)、(b2−9)、(b2−12)〜(b2−15)、(b2−18〜b2−26)が該当する。
(一般式(4)で示されるトリアジン誘導体)
一般式(4)
[一般式(4)中、
は、Xで表される基を表し、
は、置換基を有してもよいアリーレン基を表し、
は、SOM、COM又はP(O)(OM)を表し、
Mは、1〜3価のカチオンの一当量を表す。]
一般式(4)のXにおけるアリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられ、より好ましくはフェニレン基である。
上記アリーレン基が有してもよい置換基は、同一でも異なっても良く、その具体例としては、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、ニトロ基、アルキル基、アルコキシル基等を挙げることができる。また、これらの置換基は、複数であっても良い。
一般式(4)のYとしては、SOM又はCOMがより好ましく、特に好ましくはCOMである。また、一般式(4)中のMで表される1〜3価のカチオンとしては、前述の一般式(3)中のMで表される1〜3価のカチオンと同義であり、より好ましくは、金属カチオン又は4級アンモニウムカチオンである。
金属カチオンを導入する方法としては、一般式(4)で表され、且つMが水素原子であるトリアジン誘導体に対し、無機塩基を添加することで導入することができ、無機塩基としては、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属のリン酸塩、アルカリ土類金属のリン酸塩等を用いることができる。
アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等;アルカリ土類金属の水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム等;アルカリ金属の炭酸塩としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等;アルカリ土類金属の炭酸塩としては、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等;アルカリ金属のリン酸塩としては、リン酸リチウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム等;アルカリ土類金属のリン酸塩としては、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸ストロンチウム、リン酸バリウム等;が挙げられ、適宜最適なものを選択すればよい。無機塩基の添加量は、特に限定されるものではないが、トリアジン誘導体1モルに対して、0.1モル以上5モル以下が好ましく、0.3モル以上2モル以下がより好ましい。
一般式(4)で表される誘導体の一例を以下に示す。下記例示化合物における酸性官能基におけるMはいずれも水素原子で表されているが、水素原子に限定されるものではなく、金属カチオンや4級アンモニウム塩であってもよい。
分散剤(C)としては、前述のとおり、酸性官能基を有するトリアジン誘導体(b2)が好ましく、より好ましくは、上述の一般式(3)及び一般式(4)で表されるトリアジン誘導体である。中でも、水酸基が2個、直接結合したトリアジン構造、又は、NH結合を介してベンズイミダゾロン基が結合したトリアジン構造、のいずれかを有することが好ましい。
分散剤(C)の含有量は、分散性の観点から、好ましくは炭素材料(A)の全量に対して5〜200質量%であり、より好ましくは30〜150質量%であり、特に好ましくは80〜120質量%である。
<その他の成分>
本発明の熱電変換材料は、その特性を向上させる観点から、必要に応じて、追加の成分を含んでもよい。例えば、以下に例示する助剤を添加することによって、塗工性、導電性及び熱電特性のさらなる向上が可能となる。
(溶剤)
本発明において使用する溶剤は、炭素材料(A)、化合物(B)及び分散剤(C)の溶解又は分散媒として使用され、インキ化による塗工性向上が可能とする。使用できる溶剤としては、炭素材料(A)、化合物(B)及び分散剤(C)が溶解又は良分散できれば、特に限定されず、有機溶剤や水を挙げることができ、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の芳香族類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ターピネオール、ジヒドロターピネオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1、3−ブチレングリコール、イソボルニルシクロヘキサノール、N−メチルピロリドン等から、必要に応じて適宜選択することができる。
炭素材料(A)と化合物(B)、及び分散剤(C)を分散する溶剤としては、N−メチルピロリドンが特に好ましい。
(助剤)
使用可能な助剤の一例として、ラクタム類、アルコール類、アミノアルコール類、カルボン酸類、酸無水物類、及びイオン性液体が挙げられる。特に限定するものではないが、具体例は以下のとおりである。
ラクタム類:N−メチルピロリドン、ピロリドン、カプロラクタム、N−メチルカプロラクタム、及びN−オクチルピロリドン等。
アルコール類:ショ糖、グルコース、フルクトース、ラクトース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリフルオロエタノール、m−クレゾール、及びチオジグリコール等。
アミノアルコール類:ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミン等。
カルボン酸類:2−フランカルボン酸、3−フランカルボン酸、ジクロロ酢酸、及びトリフルオロ酢酸等。
酸無水物類:無水酢酸、無水プロピオン酸、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、無水安息香酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタル酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸(別名:シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物)、無水トリメリット酸、ヘキサヒドロ無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ハイミック酸、ビフェニルテトラカルボン酸無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、及び9,9−フルオレニリデンビス無水フタル酸等。スチレン−無水マレイン酸コポリマー、エチレン−無水マレイン酸コポリマー、イソブチレン−無水マレイン酸コポリマー、アルキルビニルエーテル−無水マレイン酸コポリマーなどの、無水マレイン酸と他のビニルモノマーとを共重合したコポリマー等。
導電性及び熱電特性の観点から、助剤として、ラクタム類及びアルコール類の少なくとも一方を使用することが好ましい。助剤の含有量は、熱電変換材料の全質量を基準として、0.1〜30質量%の範囲が好ましく、1〜10質量%の範囲がより好ましく、1〜5質量%の範囲がさらに好ましい。助剤の含有量を0.1質量%以上にすることで、導電性及び熱電特性の向上効果を容易に得ることができる。また、助剤の含有量を50質量%以下にした場合、膜物性の低下を抑制することができる。
熱電変換材料は、成膜性や膜強度の調整等を目的として、導電性及び熱電特性に影響しない範囲で、樹脂を含んでもよい。
樹脂は、熱電変換材料の各成分に相溶又は混合分散するものであればよい。熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂のいずれを用いても良い。使用可能な樹脂の具体例として、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、ビニル樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、アラミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、アクリルアミド樹脂、及びこれらの共重合樹脂等が挙げられる。特に限定するものではないが、一実施形態において、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、及びアクリルアミド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を使用することが好ましい。
熱電変換材料は、熱電変換性能を高めるために、必要に応じて、無機熱電材料から成る微粒子を含んでもよい。 無機熱電材料の一例として、Bi−(Te、Se)系、Si−Ge系、Mg−Si系、Pb−Te系、GeTe−AgSbTe系、(Co、Ir、Ru)−Sb系、(Ca、Sr、Bi)Co系等を挙げることができる。より具体的には、BiTe、PbTe、AgSbTe、GeTe、SbTe、NaCo、CaCoO、SrTiO、ZnO、SiGe、MgSi、FeSi、BaSi46、MnSi1.73、ZnSb、ZnSb、GeFeCoSb12、及びLaFeCoSb12からなる群から選択される少なくとも1種を使用することができる。このとき、上記無機熱電材料に不純物を加えて極性(p型、n型)や導電率を制御して利用してもよい。無機熱電材料を使用する場合、その使用量は、成膜性や膜強度に影響しない範囲で調整する。
<熱電変換素子>
本発明の実施形態である熱電変換素子は、上記熱電変換材料を用いて構成されることを特徴とする。一実施形態において、熱電変換素子は、上記熱電変換材料を用いて形成された熱電変換膜と、電極とを有し、上記熱電変換膜及び上記電極は互いに電気的に接続されている。熱電変換膜は、導電性及び熱電特性に加えて、耐熱性及び可撓性の点でも優れる。そのため、本実施形態によれば、高品質な熱電変換素子を容易に実現することができる。
熱電変換膜は、基材上に熱電変換材料を塗布して得られる膜であってよい。熱電変換材料は優れた成形性を有するため、塗布法によって良好な膜を得ることが容易である。熱電変換膜の形成には、主に湿式製膜法が用いられる。具体的には、スピンコート法、スプレー法、ローラーコート法、グラビアコート法、ダイコート法、コンマコート法、ロールコート法、カーテンコート法、バーコート法、インクジェット法、ディスペンサー法、シルクスクリーン印刷、フレキソ印刷等の各種手段を用いた方法が挙げられる。塗布する厚み、及び材料の粘度等に応じて、上記方法から適宜選択することができる。
熱電変換膜の膜厚は、特に限定されるものではないが、後述するように、熱電変換膜の厚さ方向又は面方向に温度差を生じ、かつ伝達できるように、一定以上の厚みを有するように形成されることが好ましい。一実施形態において、熱電特性の点から、熱電変換膜の膜厚は、0.1〜200μmの範囲が好ましく、1〜100μmの範囲が好ましく、1〜50μmの範囲がさらに好ましい。
また、熱電変換材料を塗布する基材として、ポリエチレン、ポリエチレンテレフテレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリプロピレン、ポリイミド、ボリカーボネート、及びセルローストリアセテートなどの材料からなるプラスチックフィルム、又はガラス等を用いることができる。
基材と熱電変換膜との密着性を向上させる目的で、基材表面に様々な処理を行うことができる。具体的には、熱電変換材料の塗布に先立ち、UVオゾン処理、コロナ処理、プラズマ処理、又は易接着処理を行ってもよい。
本発明の実施形態である熱電変換素子は、上記熱電変換材料を用いて構成されることを除き、当技術分野で周知の技術を適用して構成することができる。代表的に、熱電変換素子のより具体的な構成、及びその製造方法について説明する。
一実施形態において、熱電変換素子は、熱電変換材料を用いて得た熱電変換膜と、この熱電変換膜と電極的に接続する一対の電極とを有する。ここで、「電気的に接続する」とは、互いに接合しているか、又はワイヤ等の他の構成部材を介して通電できる状態であることを意味する。
電極の材料は、金属、合金、及び半導体から選択することができる。一実施形態において、導電率が高いこと、熱電変換膜を構成する本発明による熱電変換材料との接触抵抗が低いことから、金属及び合金が好ましい。具体例として、電極は、金、銀、銅、及びアルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。電極は、銀を含むことがさらに好ましい。
電極は、真空蒸着法、電極材料箔や電極材料膜を有するフィルムの熱圧着、電極材料の微粒子を分散したペーストの塗布、などの方法によって形成することができる。プロセスが簡便な観点で、電極材料箔や電極材料膜を有するフィルムの熱圧着、電極材料を分散したペーストの塗布による方法が好ましい。
熱電変換素子の構造の具体例は、熱電変換膜と一対の電極との位置関係から、(1)本発明による熱電変換膜の両端に電極が形成されている構造、(2)本発明の熱電変換膜が2つの電極で挟持されている構造に大別される。
例えば、上記(1)の構造を有する熱電変換素子は、基材上に熱電変換膜を形成した後に、その両端にそれぞれ銀ペーストを塗布して第1及び第2の電極を形成することによって得ることができる。このように熱電変換膜の両端に電極が形成された熱電変換素子は、2つの電極間の距離を広くすることが容易である。そのため、2つの電極間で大きな温度差を発生させて、効率良く熱電変換を行うことが容易である。
上記(2)の構造を有する熱電変換素子は、例えば、基材上に銀ペーストを塗布して第1の電極を形成し、その上に本発明の熱電変換膜を形成し、さらにその上に銀ペーストを塗工して第2の電極を形成することによって得ることができる。このように2つの電極で本発明の熱電変換膜を挟持する熱電変換素子では、二つの電極間の距離を広くすることは難しい。そのため、2つの電極間に大きな温度差を発生させることは難しいが、熱電変換膜の膜厚を大きくすることによって、温度差を大きくすることが可能である。また、このような構造を有する熱電変換素子は、基材に対して垂直な方向の温度差を利用できることから、発熱体に貼り付ける形態での利用が可能である。そのため、熱源の広い面積の活用が容易となる点で好ましい。
熱電変換素子は、直列に接続することで高い電圧を発生させることが可能であり、並列に接続することで大きな電流を発生させることが可能である。また、熱電変換素子は、2つ以上の熱電変換素子を接続したものであってもよい。本発明によれば、熱電変換素子が優れた可撓性を有するため、平面ではない形状を有する熱源に対しても追随して良好に設置することが可能である。
一実施形態において、本発明の熱電変換素子を他の熱電材料から成る熱電変換素子と組み合わせることも有効である。例えば、無機熱電材料として、Bi−(Te、Se)系、Si−Ge系、Mg−Si系、Pb−Te系、GeTe−AgSbTe系、(Co、Ir、Ru)−Sb系、(Ca、Sr、Bi)Co系等を挙げることができ、具体的には、BiTe、PbTe、AgSbTe、GeTe、SbTe、NaCo、CaCoO、SrTiO、ZnO、SiGe、MgSi、FeSi、BaSi46、MnSi1.73、ZnSb、ZnSb、GeFeCoSb12、及びLaFeCoSb12などからなる群から選択される少なくとも1種を使用することができる。このとき、上記無機熱電材料に、不純物を加えて、極性(p型、n型)や導電率を制御して利用しても良い。その他、有機熱電材料として、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリアセチレン、フラーレン、及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なく1種を使用することができる。これら材料から構成される他の熱電変化素子を組合せる場合、素子のフレキシブル性を損なわない範囲内で、他の熱電変換素子を作製することが好ましい。
複数の熱電変換素子を接続する場合、1つの基材に集積した状態で接続して利用することもできる。このような実施形態において、本発明による熱電変換素子と、n型としての極性を示す熱電材料から成る熱電変換素子との組合せが好ましく、これらを直列に接続することがより好ましい。本実施形態によれば、熱電変換素子を緻密に集積することが容易となる。
以下、実験例により、本発明をより具体的に説明する。なお、例中、「部」とあるのは「質量部」を、「%」とあるのは「質量%」をそれぞれ意味するものとする。また、NMPはN−メチルピロリドンを示す。
<質量平均分子量(Mw)の測定方法>
Mwの測定は東ソー株式会社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)「HPC−8020」を用いた。GPCは溶剤(THF;テトラヒドロフラン)に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィーである。本発明における測定は、カラムに「LF−604」(昭和電工株式会社製:迅速分析用GPCカラム:6mmID×150mmサイズ)を直列に2本接続して用い、流量0.6ml/min、カラム温度40℃の条件で行い、質量平均分子量(Mw)の決定はポリスチレン換算で行った。
<化合物(B)の合成>
(合成例1:化合物(B4))
ニトロベンゼン20ml中に、3−アミノペリレン5.0g、3−ブロモ−9−フェニルカルバゾール15.2g、水酸化ナトリウム1.5g、及び酸化銅1.0gを加え、窒素雰囲気下、200℃にて50時間加熱撹拌した。放冷後、上記混合物を500mlの水で希釈し、トルエンで抽出した。抽出液を濃縮した後、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、化合物(B4)7.3gを得た。
化合物(B4)
(合成例2:化合物(B30))
ニトロベンゼン20ml中に、3−アミノペリレン5.0g、4−ブロモビフェニル12.3g、水酸化ナトリウム1.5g、及び酸化銅1.0gを加え、窒素雰囲気下、200℃にて50時間加熱撹拌した。放冷後、上記混合物を500mlの水で希釈し、トルエンで抽出した。抽出液を濃縮した後、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、化合物(B30)5.6gを得た。
化合物(B30)
(合成例3:化合物(B40))
ニトロベンゼン20ml中に、3,9−ジアミノペリレン5.0g、4−ブロモトルエン15.3g、水酸化ナトリウム3.0g、および酸化銅2.0gを加え、窒素雰囲気下、200℃にて50時間加熱撹拌した。放冷後、上記混合物を500mlの水で希釈し、トルエンで抽出した。抽出液を濃縮した後、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、化合物(B40)6.1gを得た。
化合物(B40)
(合成例4:化合物(B54))
ニトロベンゼン20ml中に、3−アミノペリレン5.0g、4−ブロモイソキノリン13.7g、水酸化ナトリウム1.5g、および酸化銅1.0gを加え、窒素雰囲気下、200℃にて50時間加熱撹拌した。放冷後、上記混合物を500mlの水で希釈し、トルエンで抽出した。抽出液を濃縮した後、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、化合物(B54)4.3gを得た。
化合物(B54)
(合成例5:化合物(B128))
コハク酸ジメチル18.5g、2−シアノチオフェン30g、水素化ナトリウム13.5gをアミルアルコール300gに溶解し、8時間還流させた 。冷却した後、沈殿物をろ過し、酢酸、メタノールで洗浄することにより、赤褐色固体17.67g得た。その後、得られた固体10g、1−ヨード−2−メチルプロパン26.1g、tert−ブトキシナトリウム10.3gをジメチルアセトアミド300gに溶解し、8時間還流させた。放冷後、上記混合物をメタノール1000mlに入れ、固体を析出させ、ろ集後、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、化合物(B128)9.58gを得た。
化合物(B128)
(合成例6:化合物(B166))
コハク酸ジメチル18.5g、2−シアノフラン28.5g、水素化ナトリウム13.5gをアミルアルコール300gに溶解し、8時間還流させた 。冷却した後、沈殿物をろ過し、酢酸、メタノールで洗浄して、化合物(B166)15.67g得た。
化合物(B166)
(合成例7:化合物(B187))
コハク酸ジイソプロピル20.2g、ジ(p−トリル)アミノベンゾニトリル59.6g、tert−ブトキシカリウム22.4gをtert−ペンチルアルコール150gに溶解し、8時間還流させた 。冷却した後、沈殿物をろ過し、酢酸、メタノールで洗浄することにより、赤色固体36.8g得た。この赤色固体34gをニトロベンゼン340gに懸濁させた後、p−トルエンスルホン酸エチル75g及び炭酸カリウム41.4gを添加した。200℃まで加熱昇温し、この温度において窒素雰囲気下に3時間攪拌を行った。その後室温まで冷却し、析出物をろ過した後メタノールで洗浄した。次に1700gの水中に懸濁させ、80〜90℃で30分間攪拌した後、ろ過、水洗、乾燥して化合物(B187)27.6gを得た。
化合物(B187)
(合成例8:化合物(B192))
コハク酸ジメチル18.4g、4−トリフルオロメチルベンゾニトリル53.1g、ナ トリウムブトキシド25.3gをアミルアルコール200gに溶解し、8時間還流させた 。冷却した後、沈殿物をろ過し、酢酸、メタノールで洗浄して、化合物(B192)21.2g得た。
化合物(B192)
<側鎖に有機色素を導入したポリマーの合成>
(合成例9:色素導入ポリマー1)
特開2016−180095号公報の段落0219〜0229を参考にして、質量平均分子量(Mw)が約22,000の、下記構造で表される側鎖にフタロシアニン骨格導入したアクリルポリマーである色素導入ポリマー1を得た。
色素導入ポリマー1
<樹脂成分の合成>
(合成例10:バインダー樹脂1)
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に、テレフタル酸とアジピン酸と3−メチル−1,5−ペンタンジオールとから得られるポリエステルポリオール((株)クラレ製「クラレポリオールP−2011」、Mn=2,011)455.5部、ジメチロールブタン酸16.5部、イソホロンジイソシアネート105.2部、トルエン140部を仕込み、窒素雰囲気下90℃3時間反応させ、これにトルエン360部を加えてイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー溶液を得た。次に、イソホロンジアミン19.9部、ジ−n−ブチルアミン0.63部、2−プロパノール294.5部、トルエン335.5部を混合したものに、得られたイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー溶液969.5部を添加し、50℃で3時間続いて70℃2時間反応後、100℃の真空乾燥を行い、質量平均分子量(Mw)=61,000の、ウレタンウレア樹脂であるバインダー樹脂1を得た。
<分散剤(C)の合成>
(合成例11:分散剤9(酸性官能基を有する有機色素誘導体))
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に、キナクリドン色素(C.Iピグメントバイオレット19)10部、98%硫酸50部を仕込み、80℃で8時間撹拌することで、下記構造で表される、酸性官能基を有するキナクリドン誘導体である分散剤9を得た。

(合成例12:分散剤10(塩基性官能基を有する有機色素誘導体))
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に、C.I.ソルベントイエロー33を10部、98%硫酸50部及び塩化チオニル15部を仕込み、70℃で6時間撹拌したのちに、N,N−ジメチルエチルジアミンを15部加えて、60℃で2時間撹拌することで、下記構造で表される、塩基性官能基を有するキノフタロン誘導体である分散剤10を得た。

<熱電変換材料の製造>
[実施例1]
(分散液1)
楠本化成社製単層カーボンナノチューブ「TUBALL」(SWCNT)0.4部、化合物(B4)0.4部、分散剤1(b2−12)0.4部、NMP78.8部をそれぞれ秤量して混合した。更にジルコニアビーズ(φ1.25mm)を140部加え、スキャンデックスで2時間振とう後、ろ過してジルコニアビーズを取り除き、熱電変換材料の分散液1を得た。
[実施例2〜45]
(分散液2〜45)
構成成分及びその含有量を表29に示す内容に変更した以外は分散液1と同様にして、熱電変換材料の分散液2〜45を得た。
なお、表29に記載の分散剤としては、分散剤2はb2−8、分散剤3はb2−18、分散剤4はb2−26、分散剤5はb2−109、分散剤6はb2−118、分散剤7は日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE−41000、分散剤8は日油社製のマリアリムAKM−0531、分散剤9は合成例11記載の酸性官能基を有するキナクリドン誘導体、分散剤10は合成例12記載の塩基性官能基を有するキノフタロン誘導体を用いた。また「その他」記載のバインダー樹脂1は合成例10記載の合成化合物を用いた。
[比較例1]
(分散液101)
分散液1の化合物(B4)を、色素導入ポリマー1に変更した以外は分散液1と同様にして、色素導入ポリマーを含む分散液101をそれぞれ得た。
<熱電変換材料の評価>
得られた分散液1〜45、101を、シート状基材である厚さ75μmのPETフィルム上にアプリケータを用いて塗布した後、120℃で30分加熱乾燥して、PET基材上に、膜厚5μmの熱電変換膜を有する積層体を得た。
得られた熱電変換膜(以下、塗膜ともいう)を有する積層体について、以下のとおり導電性(導電率)、ゼーベック係数、パワーファクター(PF)及び塗工適性を評価した。結果を表29に示す。
(導電率)
得られた積層体を2.5cm×5cmに切り取り、JIS−K7194に準じて、ロレスタGX MCP−T700(三菱化学アナリテック社製)を用いて4端子法で導電率を測定した。
(ゼーベック係数)
得られた積層体を3mm×10mmに切り取り、アドバンス理工株式会社製のZEM−3LWを用いて、80℃におけるゼーベック係数(μW/K)を測定した。
(パワーファクター(PF))
得られた導電率及びゼーベック係数を用いて、80℃におけるPF(=S・σ)を算出し、以下の基準に従って評価した。PFが2.5μW/(mK)以上であれば、実用可能なレベルである。
◎:PFが20μW/(mK)以上である(非常に良好)
○:PFが10μW/(mK)以上、20μW/(mK)未満である(良好)
△:PFが2.5μW/(mK)以上、10μW/(mK)未満である(実用可能)
×:PFが2.5μW/(mK)未満である(実用不可)
(塗工適性)
分散液の塗工適性は、グラインドゲージ(溝の深さ50μm)を用いて評価した。
◎:10μm以上の粗大粒子による筋引きや粗大粒子がない(非常に良好)
〇:10μm以上の粗大粒子による筋引きや粗大粒子はあるが、20μm以上の粗大粒子による筋引きや粗大粒子がない(良好)
△:20μm以上の粗大粒子による筋引きや粗大粒子はあるが、30μm以上の粗大粒子による筋引きや粗大粒子がない(使用可能)
×:30μm以上の粗大粒子による筋引きや粗大粒子がある(使用不可)
表29中の略語は以下のとおりである。
≪炭素材料(A)≫
SWCNT:楠本化成社製 単層カーボンナノチューブ「TUBALL」
MWCNT:Knano社製 多層カーボンナノチューブ「100P」
GNP:東京化成社製 グラフェンナノプレート レット
KB:ライオン社製 ケッチェンブラック EC−300J
CB:日本黒鉛工業社製 カーボンブラック CGC−50
≪化合物(B)≫
B4:合成例1で得た化合物
B30:合成例2で得た化合物
B40:合成例3で得た化合物
B54:合成例4で得た化合物
B128:合成例5で得た化合物
B166:合成例6で得た化合物
B187:合成例7で得た化合物
B192:合成例8で得た化合物
≪分散剤(C)≫
分散剤1:前述の化合物(b2−12)
分散剤2:前述の化合物(b2−8)
分散剤3:前述の化合物(b2−18)
分散剤4:前述の化合物(b2−26)
分散剤5:前述の化合物(b2−109)
分散剤6:前述の化合物(b2−118)
分散剤7:酸性樹脂型分散剤(日本ルーブリゾール社製 SOLSPERSE−41000)
分散剤8:塩基性樹脂型分散剤(日油社製 マリアリムAKM−0531)
分散剤9:合成例11で得た酸性官能基を有するキナクリドン誘導体
分散剤10:合成例12で得た塩基性官能基を有するキノフタロン誘導体
表29の結果から、本発明の熱電変換材料は、導電率とゼーベック係数を両立し、高いパワーファクターを示した。さらに、本発明の熱電変換材料はいずれも、良好な塗工適性(塗膜状態)を示した。特に、実施例18においては、ゼーベック係数の高い化合物(B)の使用と分散性の高い分散剤(C)を少量使用することで、高いパワーファクターを示した。
これに対して、色素導入ポリマーを用いた比較例1は、ゼーベック係数を向上させるための色素ユニットの密度が低いため、ゼーベック係数の低下を招き、低いパワーファクターを示した。
<熱電変換素子の製造>
[実施例46]
(熱電変換素子1)
50μmのPETフィルム上に、実施例1で調製した熱電変換材料の分散液1を塗布し、5mm×30mmの形状を有する熱電変換膜を、それぞれ10mm間隔に5つ作製した(図1の符号2を参照)。次いで、各熱電変換膜がそれぞれ直列に接続されるように、銀ペーストを用いて、5mm×33mmの形状を有する銀回路を4つ作製し(図1の符号3を参照)、熱電変換素子1を得た。上記銀ペーストとしては、トーヨーケム株式会社製のREXALPHA RA FS 074を使用した。
[実施例47〜90]
(熱電変換素子2〜45)
熱電変換素子1で使用した熱電変換材料の分散液を表30に示す分散液に変更した以外は、熱電変換素子1と同様にして、熱電変換素子2〜45を得た。
<熱電変換素子の評価>
得られた熱電変換素子について、以下のようにして起電力を評価した。結果を表30に示す。
(起電力の測定)
各熱電変換素子について、熱電変換膜及び銀回路が内側になるように(図2に示すA−A’線に沿うように)折り曲げ、その状態のまま、100℃に加熱したホットプレート上に設置した。なお、折り曲げの程度は、図2のB−B’間の距離が10mmになるようにそれぞれ調整した。上記のように折り曲げたサンプルをホットプレート上に設置して10分後の塗膜間の起電力について電圧計を用いて測定した。測定は、室温下(20℃)で実施した。以下の基準に従い、測定値から熱電特性について評価した。
◎:起電力が1mV以上である(良好)
〇:起電力が500μV以上、1mV未満である(実用可能)
×:起電力が500μV未満である(不良)
表3の結果から、本発明の熱電変換素子は優れた熱電特性を有していた。以上のことから、本願発明の実施形態によれば、ゼーベック係数及び導電性に優れ、高いパワーファクターを示す、優れた熱電特性有する熱電変換材料を実現することができ、効率のよい熱電変換素子を実現できることが分かる。
本発明の実施形態である熱電変換材料は、導電性及びゼーベック係数を両立し熱電特性に優れ、さらに塗工適性が良好で均一な塗膜を形成可能であるため、上記材料を使用して、高性能の熱電変換素子を提供することができる。
1:基材(ペットフィルム)、
2:熱電変換膜、
3:回路、
10:熱電変換素子の試験サンプル、
20:ホットプレート

Claims (7)

  1. 炭素材料(A)、ペリレン骨格又はピロロピロール骨格を有する化合物(B)、及び分散剤(C)を含有する、熱電変換材料。
  2. 前記分散剤(C)の分子量が、100以上1,000以下である、請求項1に記載の熱電変換材料。
  3. 前記化合物(B)の含有量が、前記炭素材料(A)の全量に対して5〜200質量%である、請求項1又は2に記載の熱電変換材料。
  4. 前記分散剤(C)の含有量が、前記炭素材料(A)の全量に対して5〜200質量%である、請求項1〜3いずれか1項に記載の熱電変換材料。
  5. 前記炭素材料(A)が、カーボンナノチューブ、ケッチェンブラック、グラフェンナノプレート及びグラフェンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1〜4いずれか1項に記載の熱電変換材料。
  6. 前記炭素材料(A)が、カーボンナノチューブを含む、請求項1〜5いずれか1項に記載の熱電変換材料。
  7. 請求項1〜6いずれか1項に記載の熱電変換材料からなる熱電変換膜と、電極とを有し、該熱電変換膜及び該電極が互いに電気的に接続されている熱電変換素子。

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