JP2020105022A - コーティング膜付きガラス板およびそれを形成するための組成物 - Google Patents

コーティング膜付きガラス板およびそれを形成するための組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】黄色系への着色を抑制しながら波長400nm近傍の光の透過率を低下させることができるコーティング膜を形成したガラス板を提供する。【解決手段】ガラス板1の主表面に形成したコーティング膜2が、主成分である酸化ケイ素と、紫外線吸収能を付与する添加剤として有機化合物Aとを含むコーティング膜付きガラス板とする。有機化合物Aは、2−フェニルベンゾトリアゾール骨格と、この骨格に接続している少なくとも1つのチオ有機基とを含む分子構造を有する。チオ有機基は、有機基をRとしたときに、−S−Rにより示される基である。チオ有機基は、例えば、水素原子の置換基を有していてもよいチオアルキル基、または水素原子の置換基を有していてもよいチオアリール環基である。【選択図】図1

Description

本発明は、コーティング膜付きガラス板、特にガラス質コーティング膜付き輸送機材用ガラス板に関する。また、本発明は、このガラス板を形成するためのコーティング膜形成用組成物に関する。
ガラス板には可視光線を透過させながら紫外線を遮蔽することが求められている。特に輸送機材の窓ガラス用途では、日焼け防止などの要望を背景として、紫外線遮蔽特性を付与したガラス板への需要が高い。ガラス板を構成するガラス組成中の酸化鉄の比率を高めることにより、ガラス板の紫外線遮蔽特性は向上する。しかし、酸化鉄のような無機系紫外線遮蔽成分の添加による紫外線遮蔽特性の向上には限界があり、長波長域の紫外線であるUVAを十分に遮蔽することもできない。このため、有機物により構成された有機系紫外線遮蔽成分を添加したコーティング膜をガラス板上に形成することによって紫外線遮蔽特性を向上させたガラス板が提案されている。
例えば、国際公開第2006/137454号パンフレット(特許文献1)には、ガラス板上に、酸化ケイ素を主成分とすると共に有機系紫外線遮蔽成分および親水性有機ポリマーを含むコーティング膜を形成したガラス板が開示されている。特許文献1ではゾルゲル法により膜が形成され、膜を形成するための溶液の溶媒として極性溶媒である低級アルコールが用いられる。特許文献1では、低級アルコールに溶解する有機系紫外線遮蔽成分が使用されている。
特開2009−184882号公報(特許文献2)には、非極性溶媒を含む溶液から形成した、紫外線遮蔽成分を含むコーティング膜を備えたガラス板が開示されている。この膜は低温硬化型のポリシラザンを含む膜形成用溶液から形成され、この溶液の溶媒にはキシレンなどの非極性溶媒が用いられている。特許文献2においても、膜に添加する有機系紫外線遮蔽成分は溶媒に溶解させて使用されている。
紫外線遮蔽成分を膜に均一に添加するためには、紫外線遮蔽成分を溶質として添加することが有利である。このため、特許文献1および2に開示されているように、有機系紫外線遮蔽剤は、膜形成用溶液に溶解させることが困難である無機系紫外線遮蔽剤とは異なり、膜形成用溶液に溶解させて膜に添加されていた。これに対し、国際公開第2012/107968号パンフレット(特許文献3)には、有機系紫外線遮蔽成分を微粒子として添加したコーティング膜を形成したガラス板が開示されている。微粒子として添加することにより、有機系紫外線遮蔽成分による紫外線遮蔽効果の持続性は大幅に向上する。
国際公開第2006/137454号パンフレット 特開2009−184882号公報 国際公開第2012/107968号パンフレット
長波長域の紫外線A波(UVA)は、皮膚の深部にまで到達して皮膚にダメージを与えるため、その効果的な遮蔽が望まれている。特に近年では、長波長側の端部を380nmとする紫外域の透過率TUV380と共に、長波長側の端部を400nmとした波長域300nm〜400nmの透過率であるTUV400を十分に低下させうるガラス板が求められている。この要望に応えることができる紫外線遮蔽成分として、特許文献3にはベンゼンチオール銅錯体が開示されている(実施例Bシリーズ参照)。しかし、TUV400が十分に低下する程度にベンゼンチオール銅錯体を添加すると、紫外線遮蔽成分を含むコーティング膜は、可視短波長域の光の補色である黄色系に強く着色するとともに可視光透過率YAが低下する。
一般に、また特に窓ガラス用途では、ガラス板の黄色系への強い着色は望まれない傾向にある。そこで本発明は、黄色系への顕著な着色を抑制しながら波長400nm近傍の光の透過率を低下させることができる、紫外線遮蔽成分を含むコーティング膜付きのガラス板を提供することを目的とする。本発明の別の目的は、上記コーティング膜の形成に適したコーティング膜形成用組成物を提供することにある。
本発明は、その一側面から、
紫外線吸収能を付与する添加剤を含有するガラス質コーティング膜付き輸送機材用ガラス板であって、
ガラス板と、前記ガラス板の主表面に接したコーティング膜と、を有し、
前記コーティング膜が、主成分である酸化ケイ素と、前記添加剤と、を含み、
前記添加剤が有機化合物Aを含み、
前記有機化合物Aが、2−フェニルベンゾトリアゾール骨格と、前記2−フェニルベンゾトリアゾール骨格に接続された少なくとも1つのチオ有機基と、を含む分子構造を有する、ガラス板、を提供する。
ただし、前記チオ有機基は、有機基をRとしたときに、−S−Rにより示される基である。
本発明は、その別の一側面から、
紫外線吸収能を付与する添加剤を含有するガラス質コーティング膜付き輸送機材用ガラス板用のコーティング膜形成用組成物であって、
酸化ケイ素前駆体と、紫外線吸収能を付与する添加剤である有機化合物Aとを含み、
前記有機化合物Aが、微粒子の形態を有し、
前記有機化合物Aが、2−フェニルベンゾトリアゾール骨格と、前記2−フェニルベンゾトリアゾール骨格に接続された少なくとも1つのチオ有機基と、を含む分子構造を有する、コーティング膜形成用組成物、を提供する。
ただし、前記チオ有機基は、有機基をRとしたときに、−S−Rにより示される基である。
本発明は、その別の一側面から、
紫外線吸収能を付与する添加剤を含有するガラス質コーティング膜付き輸送機材用ガラス板の前記ガラス質コーティング膜の形成に用いる微粒子分散組成物であって、
紫外線吸収能を付与する添加剤である有機化合物Aを含み、
前記有機化合物Aが、平均粒径が150nm以下の微粒子の形態を有し、
前記有機化合物Aが、2−フェニルベンゾトリアゾール骨格と、前記2−フェニルベンゾトリアゾール骨格に接続された少なくとも1つのチオ有機基と、を含む分子構造を有する、微粒子分散組成物。
ただし、前記チオ有機基は、有機基をRとしたときに、−S−Rにより示される基である。
本発明によれば、黄色系への顕著な着色を抑制しながら波長400nm近傍の光の透過率を低下させることに適したコーティング膜付きのガラス板と、このコーティング膜の形成に適した組成物、を提供することが可能になる。
本発明によるガラス板の一形態を示す断面図である。 本発明によるガラス板をドアガラスとして用いるときの形態を示す平面図である。 本発明によるガラス板をドアガラスとして用いるときの別の形態を示す平面図である。 本発明によるガラス板をドアガラスとして用いるときの形態を示す部分断面平面図である。
以下に本発明の好ましい実施形態を説明するが、以下の説明は本発明を特定の実施形態に制限する趣旨ではない。
本発明の一側面は、以下のとおりである。
紫外線吸収能を付与する添加剤を含有するコーティング膜付きガラス板であって、
ガラス板と、前記ガラス板の主表面に接したコーティング膜と、を有し、
前記コーティング膜が、主成分である酸化ケイ素と、前記添加剤と、を含み、
前記添加剤が有機化合物Aを含み、
前記有機化合物Aが、2−フェニルベンゾトリアゾール骨格と、前記2−フェニルベンゾトリアゾール骨格に接続された少なくとも1つのチオ有機基と、を含む分子構造を有する、ガラス板。
ただし、前記チオ有機基は、有機基をRとしたときに、−S−Rにより示される基である。
本発明によるガラス板の一形態では、前記有機化合物Aが、以下の式(1)により示される単位を含む。ただし、式(1)において、A1〜A9は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、芳香族基、不飽和基、酸素原子含有基、リン原子含有基、および硫黄原子含有基から選ばれる少なくとも1つに該当する原子または基であり、A1〜A9の少なくとも1つはチオ有機基である。チオ有機基以外の硫黄原子含有基は、硫黄原子を含有し、かつスルフィド結合(−S−)により2−フェニル−ベンゾトリアゾール骨格に接続していない基である。
Figure 2020105022
本発明によるガラス板の一形態では、A6〜A9の少なくとも1つがチオ有機基である。本発明によるガラス板の別の一形態では、A1〜A5の少なくとも1つがチオ有機基である。
本発明によるガラス板の一形態では、チオ有機基が、水素原子の置換基を有していてもよいチオアルキル基、または水素原子の置換基を有していてもよいチオアリール環基である。ここで、チオアルキル基は、水素原子の置換基を有していてもよいアルキル基をAlkと表示したときに−S−Alkにより示される基であり、チオアリール環基は、水素原子の置換基を有していてもよいアリール環基をAryと表示したときに−S−Aryにより示される基である。ただし、チオ有機基は、チオアルキル基およびチオアリール環基以外であっても構わない。
本発明によるガラス板の一形態では、チオアルキル基に含まれる水素原子の置換基を有していてもよいアルキル基が、炭素数1〜18のアルキル基、または水素原子の置換基としてフェニル基を有する炭素数1〜6のアルキル基である。アルキル基は、非環式でも環式でもよく、非環式、すなわち鎖状であるときは直鎖アルキル基であっても分岐を有するアルキル基であってもよい。
本発明によるガラス板の一形態では、有機化合物Aが、2つの2−フェニルベンゾトリアゾール骨格を含み、2つの2−フェニルベンゾトリアゾール骨格が、チオ有機基を介して接続され、チオ有機基が、2つの2−フェニルベンゾトリアゾール骨格のそれぞれとスルフィド結合を介して接続している。
2つの2−フェニルベンゾトリアゾール骨格の間に介在するチオ有機基は、水素原子の置換基を有していてもよいアルキレン基を(Alk)、水素原子の置換基を有していてもよいアリーレン環基を(Ary)と表示したときに、以下のいずれかにより示される基であってもよい。
・−S−(Alk)−S−
・−S−(Ary)−S−
・−S−(Ary)−(Ary)−S−
・−S−(Ary)−S−(Ary)−S−
・−S−(Ary)−(Alk)−(Ary)−S−
・−S−(Ary)−S−(Ary)−S−(Ary)−S−
本発明によるガラス板の一形態では、チオ有機基が、チオアリール環基である。
本発明によるガラス板の一形態では、チオアリール環基が、水素原子の置換基として炭素数4〜9のアルキル基を有する。アルキル基は、直鎖アルキル基であってもよく、分岐を有する鎖状アルキル基であってもよい。本発明によるガラス板の一形態では、チオアリール環基が、置換基として、四級炭素原子を含み、かつ炭素数4〜9の分岐を有する鎖状アルキル基を有する。
本発明によるガラス板の一形態では、チオアリール環基に含まれるアリール環が、ベンゼン環および/またはナフタレン環である。
本発明によるガラス板の一形態では、チオアルキル基に含まれるアルキル基が、水素原子の置換基を有していてもよいシクロヘキシル基である。この場合、チオアルキル基は、チオヘキシル環基であり、水素原子の置換基を有していてもよいシクロヘキシル基をCyと表示したときに、−S−Cyにより示される基である。
本発明によるガラス板の一形態では、チオアルキル基に含まれるアルキル基およびチオアリール環基に含まれるアリール環基の炭素数が1〜18の範囲にある。
本発明によるガラス板の一形態では、チオアルキル基またはチオアリール環基に含まれていてもよい水素原子の置換基が、ハロゲン原子、炭化水素基、芳香族基、不飽和基、酸素原子含有基、リン原子含有基、および硫黄原子含有基から選ばれる少なくとも1つに該当する原子または基である。チオアルキレン基またはチオアリーレン環基に含まれていてもよい水素原子の置換基、および後述する水素原子の置換基についても同様である。
環状のチオ有機基、特にチオアリール環基またはチオヘキシル環基に含まれていてもよい水素原子の置換基は、炭素数1〜18の炭化水素基、炭素数1〜18のアルコキシ基、またはヒドロキシ基であってもよい。炭化水素基およびヒドロキシ基の炭素数は、2以上、3以上、特に4以上が好適であり、12以下、9以下、特に8以下が好適である。炭化水素基は、非環式であっても環式であってもよく、例えば炭素数4〜9、3〜8または4〜8の直鎖のまたは分岐を有する鎖状アルキル基、特に分岐を有する鎖状アルキル基である。環状のチオ有機基に含まれていてもよい水素原子の置換基の数は、0〜5、さらには1〜5、特に1〜2が好ましい。
2つの2−フェニルベンゾトリアゾール骨格の間に介在するチオ有機基が−S−(Ary)−(Alk)−(Ary)−S−により示される場合、(Alk)により示されるアルキレン基は、炭素数3〜12の直鎖のまたは分岐を有する鎖状アルキレン基、さらには分岐を有するアルキレン基であることが好ましく、四級炭素原子を含むアルキレン基であってもよい。
本発明によるガラス板の一形態では、有機化合物Aが、次式(2−1)〜(2−3)のいずれかで表わされる、水素原子の置換基を有していてもよいチオアリール環基またはチオヘキシル環基を有する2−フェニルベンゾトリアゾール誘導体である。
PhBzT1a−S−X1a−(R1al (2−1)
(式中、PhBzT1aは、水素原子の前記置換基を有していてもよい、チオアリール環基(−S−X1a−…)が結合した2−フェニルベンゾトリアゾール骨格を示し、X1aはフェニル環またはナフチル環の残基を示し、l個のR1aはそれぞれ独立に炭素数1〜18の炭化水素基、炭素数1〜18のアルコキシ基、またはヒドロキシ基を示し、lは0〜5の整数を示す。)
PhBzT1b−S−Cy−(R1bm (2−2)
(式中、PhBzT1bは、水素原子の前記置換基を有していてもよい、チオシクロヘキシル環基(−S−Cy−…)が結合した2−フェニルベンゾトリアゾール骨格を示し、Cyはシクロヘキシル環残基を示し、m個のR1bはそれぞれ独立に炭素数1〜18の炭化水素基、炭素数1〜18のアルコキシ基、またはヒドロキシ基を示し、mは0〜5の整数を示す。)
PhBzT1c−S−A1c−S−PhBzT2c (2−3)
(式中、PhBzT1cおよびPhBzT2cは、それぞれ独立に前記置換基を有していてもよい、チオアリール環基(−S−A1c−S−)が結合した2−フェニルベンゾトリアゾール骨格を示し、A1cは次式:
−[X1c−(R1cn]−(A2cq−[X2c−(R2cp]−
(式中、X1cとX2cはそれぞれ独立にフェニル環またはナフチル環の残基を示し、n個のR1cとp個のR2cはそれぞれ独立に炭素数1〜18の炭化水素基、炭素数1〜18のアルコキシ基、またはヒドロキシ基を示し、nとpは0〜4の整数を示し、A2cは、芳香族基、不飽和基、窒素原子含有基、硫黄原子含有基、酸素原子含有基、リン原子含有基、脂環式基、およびハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基により、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、または炭素−炭素結合が中断されていてもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基、2価の芳香族基、またはスルフィド結合を示し、qは0または1の整数を示す。)で表される基であるか、あるいはフェニル環またはナフチル環残基を示す。)
式(2−1)〜(2−3)のいずれかで表わされる2−フェニルベンゾトリアゾール誘導体においても、水素原子の置換基は、例えば、ハロゲン原子、炭化水素基、芳香族基、不飽和基、酸素原子含有基、リン原子含有基、および硫黄原子含有基から選ばれる少なくとも1つに該当する原子または基である。
本発明によるガラス板の一形態では、有機化合物Aが、式(2−1)または式(2−3)により表わされるものであり、X1a、X1cおよびX2cはフェニル環の残基を示し、l、nおよびpは0を示す。
本発明によるガラス板の一形態では、2−フェニルベンゾトリアゾール骨格のベンゾトリアゾール骨格に接続しているフェニル基が、2位にヒドロキシ基を5位に炭素数1〜6のアルキル基をそれぞれ有する。言い換えると、式(1)において、A1がヒドロキシ基であってA4が炭素数1〜6のアルキル基である。このアルキル基は、例えばメチル基または1,1−ジメチルエチル基(tert−ブチル基)、特にメチル基である。フェニル基は、4位および6位に水素原子を、3位に炭素数1〜6のアルキル基、例えばメチル基またはtert−ブチル基、特にtert−ブチル基を有するものであってもよい。言い換えると、式(1)のフェニル基は、例えば、A1がヒドロキシ基、A2が炭素数1〜6のアルキル基、特にtert−ブチル基、A3が水素原子、A4が炭素数1〜6のアルキル基、特にメチル基、A5が水素原子である。
本発明によるガラス板の一形態では、有機化合物Aが、式(2−1)または式(2−3)により表わされるものであり、X1a、X1cおよびX2cはフェニル環の残基を示し、R1a、R1cおよびR2cは、それぞれ独立に炭素数1〜18の直鎖のまたは分岐を有する鎖状アルキル基を示し、l、nおよびpは1〜5の整数を示す。
本発明によるガラス板の一形態では、有機化合物Aが、式(2−1)または式(2−3)により表わされるものであり、X1a、X1cおよびX2cはフェニル環の残基を示し、R1a、R1cおよびR2cは、それぞれ独立に炭素数3〜8の分岐を有する鎖状アルキル基を示し、l、nおよびpは1〜3の整数を示す。
本発明によるガラス板の一形態では、有機化合物Aが、式(2−1)または式(2−3)により表わされるものであり、X1a、X1cおよびX2cはフェニル環の残基を示し、R1a、R1cおよびR2cは、それぞれ独立に炭素数1〜18の直鎖のまたは分岐を有する鎖状アルキル基を示し、l、nおよびpは1を示す。
本発明によるガラス板の一形態では、有機化合物Aが、式(2−1)により表わされるものであり、X1aはフェニル環の残基を示し、R1aは炭素数4〜9の直鎖のまたは分岐を有する鎖状アルキル基を示す。
本発明によるガラス板の一形態では、有機化合物Aが、式(2−1)または式(2−3)により表わされるものであり、X1a、X1cおよびX2cはフェニル環の残基を示し、R1a、R1cおよびR2cは、それぞれ独立に炭素数1〜18の直鎖のまたは分岐を有する鎖状アルキル基を示し、l、nおよびpは2を示す。
本発明によるガラス板の一形態では、有機化合物Aが、式(2−1)または式(2−3)により表わされるものであり、X1a、X1cおよびX2cはフェニル環の残基を示し、R1a、R1cおよびR2cは、それぞれ独立に三級炭素および/または四級炭素を含む炭素数1〜18の直鎖のまたは分岐を有する鎖状アルキル基を示し、l、nおよびpは1〜5の整数を示す。
本発明によるガラス板の一形態では、有機化合物Aが、式(2−1)により表わされるものであり、X1aはフェニル環の残基を示し、R1aは、四級炭素を含む炭素数4〜9の分岐を有する鎖状アルキル基を示し、l、nおよびpは1〜5の整数を示す。
本発明によるガラス板の一形態では、有機化合物Aが、式(2−1)または式(2−3)により表わされるものであり、X1a、X1cおよびX2cはフェニル環の残基を示し、R1a、R1cおよびR2cは、それぞれ独立に炭素数1〜18の直鎖のまたは分岐を有する鎖状アルキル基を含むアルコキシ基を示す。
本発明によるガラス板の一形態では、有機化合物Aが、式(2−1)または式(2−3)により表わされるものであり、X1a、X1cおよびX2cはフェニル環の残基を示し、R1a、R1cおよびR2cはヒドロキシ基を示す。
本発明によるガラス板の一形態では、有機化合物Aが、式(2−1)または式(2−3)により表わされるものであり、X1a、X1cおよびX2cはナフチル環の残基を示す。
本発明によるガラス板の一形態では、有機化合物Aが、式(2−2)により表わされるものであり、mは0を示す。
本発明によるガラス板の一形態では、有機化合物Aが、式(2−2)により表わされるものであり、R1bは炭素数1〜18の炭化水素基を示し、mは1〜5の整数を示す。
本発明によるガラス板の一形態では、有機化合物Aが、式(2−3)により表わされるものであり、X1cおよびX2cはフェニル基の残基を示し、A2cはスルフィド結合を示し、qは1を示す。
本発明によるガラス板の一形態では、有機化合物Aが、式(2−3)により表わされるものであり、X1cおよびX2cはフェニル基の残基を示し、A2cは炭素数1〜8の炭化水素基を示し、qは1を示す。
本発明によるガラス板の一形態では、有機化合物Aが、式(2−3)により表わされるものであり、X1cおよびX2cはフェニル基の残基を示し、qは0を示す。
本発明によるガラス板の一形態では、有機化合物Aが、式(2−1)により表わされるものであり、X1aはフェニル基の残基を示し、R1aは炭素数1〜18の直鎖のまたは分岐を有する鎖状アルキル基を示し、lは0〜5の整数を示す。この場合、X1aは2−フェニルベンゾトリアゾール骨格のベンゾトリアゾール骨格に接続しているフェニル基に接続していてもよく、同骨格に直接接続していてもよい。また、R1aは炭素数4〜9の直鎖のまたは分岐を有する鎖状アルキル基を示し、lは1または2を示すものであってもよい。また、R1aは炭素数4〜9の分岐を有する鎖状アルキル基を示し、R1aの少なくとも1つは四級炭素を含む鎖状アルキル基であってもよい。
本発明によるガラス板の一形態では、有機化合物Aが、式(2−1)により表わされるものであり、X1aは2−フェニルベンゾトリアゾール骨格のベンゾトリアゾール骨格に接続しているフェニル基に接続し、R1aは、炭素数1〜18の直鎖のもしくは分岐を有する鎖状アルキル基を含むアルコキシ基、またはヒドロキシ基であり、lは1または2を示す。
本発明によるガラス板の一形態では、有機化合物Aが、式(2−1)により表わされるものであり、2−フェニルベンゾトリアゾール骨格のベンゾトリアゾール骨格に接続しているフェニル基に、ヒドロキシ基およびメチル基がそれぞれ接続している。このフェニル基は、2位にヒドロキシ基を、5位にメチル基をそれぞれ有していてもよい。また、このフェニル基に、ヒドロキシ基、1,1−ジメチルエチル基およびメチル基がそれぞれ接続していてもよい。さらに、このフェニル基は、2位にヒドロキシ基を、3位に1,1−ジメチルエチル基(tert−ブチル基)を、5位にメチル基をそれぞれ有していてもよい。
本発明によるガラス板の一形態では、コーティング膜が、有機化合物Bをさらに含み、有機化合物Bが、2−フェニルベンゾトリアゾール骨格を含み、2−フェニルベンゾトリアゾール骨格にチオ有機基が接続されていない分子構造を有する。
本発明によるガラス板の一形態では、有機化合物Bが、平均粒径が150nm以下の微粒子の形態を有する。また、本発明によるガラス板の一形態では、有機化合物Aが、平均粒径が150nm以下の微粒子の形態を有する。
本発明によるガラス板の一形態では、ISO13837(convention A)に従って算出したTUV400が2%以下であり、CIE標準のA光源を用いて測定する可視光透過率YAが70%以上である。本発明によるガラス板の一形態では、CIE標準のC光源からの透過光がL***表色系により表示して、−15以上0以下のa*と12以下のb*とを有する。本発明によるガラス板の一形態では、CIE標準のC光源からの透過光のJIS K7373:2006に規定された黄色度YIが14以下である。本発明によるガラス板の一形態では、波長295〜450nm、照度76mW/cm2の紫外線を100時間照射した後の紫外線透過率TUV400から前記紫外線を照射する前の紫外線透過率TUV400を差し引いた差分ΔTUV400が2%以下である。
本発明の別の一側面は、以下のとおりである。
紫外線吸収能を付与する添加剤を含有するコーティング膜付きガラス板用のコーティング膜形成用組成物であって、
酸化ケイ素前駆体と、紫外線吸収能を付与する添加剤である有機化合物Aとを含み、
前記有機化合物Aが、微粒子の形態を有し、
前記有機化合物Aが、2−フェニルベンゾトリアゾール骨格と、前記2−フェニルベンゾトリアゾール骨格にスルフィド結合を介して接続しているチオ有機基と、を含む分子構造を有する、コーティング膜形成用組成物。
本発明によるコーティング膜形成用組成物の一形態では、微粒子の平均粒径が150nm以下である。
本発明のまた別の一側面は、以下のとおりである。
紫外線吸収能を付与する添加剤を含有するコーティング膜付きガラス板の前記コーティング膜の形成に用いる微粒子分散組成物であって、
紫外線吸収能を付与する添加剤である有機化合物Aを含み、
前記有機化合物Aが、平均粒径が150nm以下の微粒子の形態を有し、
前記有機化合物Aが、2−フェニルベンゾトリアゾール骨格と、前記2−フェニルベンゾトリアゾール骨格に接続された少なくとも1つのチオ有機基と、を含む分子構造を有する、微粒子分散組成物。
ただし、前記チオ有機基は、有機基をRとしたときに、−S−Rにより示される基である。
以下、図面を参照しながら本発明によるガラス板の一形態をより具体的に説明する。
図1に示す本形態のガラス板は、ガラス板1と、その表面に直接形成された紫外線遮蔽成分を含むコーティング膜2とを備えている。コーティング膜2は酸化ケイ素と有機化合物Aとを含む。コーティング膜2は酸化ケイ素を主成分とすることが好ましい。本明細書において「主成分」は質量基準で50%以上、好ましくは60%以上、を占める成分を意味する用語である。酸化ケイ素は膜2に耐久性と実用上必要な硬さとを付与する成分である。有機化合物Aは紫外線遮蔽成分として機能する。有機化合物Aは、2−フェニルベンゾトリアゾール骨格を含み、この骨格に少なくとも1つのチオ有機基が接続された分子構造を有する。なお、2−フェニルベンゾトリアゾール骨格は式(1)の官能基A1〜A9を除く部分である。
コーティング膜の膜質は任意であるが、ガラス質であることが好ましい。本明細書において膜が「ガラス質」であるとは、膜の主成分がガラス状、すなわちアモルファスであることを意味し、膜が結晶を含まないことは意味しない。したがって、「ガラス質」の膜であっても、有機化合物A、後述する有機化合物BおよびITO微粒子などに由来する結晶質成分を含みうる。
コーティング膜2は、酸化ケイ素および有機化合物A以外の成分を含んでいてもよい。膜2の任意成分としては、有機化合物Aに該当しない紫外線遮蔽成分である有機化合物B、および親水性有機化合物である有機化合物Cが挙げられる。有機化合物Cはポリマーであってもよい。コーティング膜2は、シランカップリング剤に由来する構造単位などのその他成分をさらに含んでいてもよい。シランカップリング剤に由来する構造単位は、シランカップリング剤が他の有機物および/または無機物と反応して生成したシランカップリング剤誘導体である。
有機化合物Aは微粒子として添加されることが好ましい。微粒子としての添加は、溶質として添加した場合と比較して紫外線遮蔽効果の持続性を向上させる。膜のヘイズ率を抑制するために、微粒子の平均粒径は150μm以下に調整されることが好ましい。有機化合物Aとしては、常温で固体である有機化合物が適している。本明細書において「常温」は25℃を意味する用語である。
なお、常温で固体である紫外線遮蔽成分としては、重合可能な紫外線吸収剤を重合させて得たポリマーも知られている。しかし、このような紫外線遮蔽成分は、(メタ)アクリル基などの重合性官能基を導入した紫外線吸収剤を重合して製造されるため、単位質量あたりで比較すると紫外線遮蔽効果が低分子量の紫外線吸収剤に劣る。
有機化合物Aの分子量は、5000以下が好ましく、3000以下がより好ましく、2000以下がさらに好ましく、1500以下が特に好ましく、場合によっては1300以下、さらに1200以下、特に900以下、とりわけ800以下であってもよい。有機化合物Aの分子量は、200以上が好ましく、300以上がより好ましい。有機化合物Aは、分子中に、重合可能な炭素−炭素二重結合を含まないことが好ましい。重合可能な炭素−炭素二重結合としては、ビニル基、ビニレン基、ビニリデン基などの重合性官能基に含まれる二重結合が挙げられる。
有機化合物Aは、例えば以下の式(1)により示される。
Figure 2020105022
1〜A9は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、芳香族基、不飽和基、酸素原子含有基、リン原子含有基および硫黄原子含有基から選ばれる少なくとも1つに該当する原子または基である。ただし、A1〜A9の少なくとも1つはチオ有機基である。A1〜A9は、チオ有機基に該当しない硫黄原子含有基を含んでいてもよい。チオ有機基に該当しない硫黄原子含有基は、硫黄原子を含有するとともに、2−フェニルベンゾトリアゾール骨格にスルフィド結合(−S−)を介して接続していない基である。
より正確に述べると、A1〜A9は、それぞれ独立に、水素原子若しくはハロゲン原子、または炭化水素基、芳香族基、不飽和基、酸素原子含有基、リン原子含有基および硫黄原子含有基から選ばれる少なくとも1つに該当する基である。A1〜A9は、上記の基の2以上に該当していてもよい。例えば、フェニル基は炭化水素基であるとともに芳香族基であり、式:−S−(CH22−OHにより示される基は酸素原子含有基であるとともに硫黄原子含有基であり、チオ有機基にも該当する。A6〜A9の少なくとも1つはチオ有機基であることが好ましい。ただし、A6〜A9にはチオ有機基が含まれず、A1〜A5の少なくとも1つがチオ有機基であってもよい。
なお、有機化合物Aは、1種類の化合物からなっていても、複数種の化合物を含んでいても構わない。
以下、水素原子以外の上記原子および基について説明する。
(ハロゲン原子)
ハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられる。
(炭化水素基)
炭化水素基は、炭素原子および水素原子から構成される基である。炭化水素基は、脂肪族基であっても芳香族基であってもよく、炭素−炭素二重結合のような不飽和基を有していてもよい。炭化水素基である芳香族基については後述するため、ここでは脂肪族基について説明する。脂肪族基は、非環式であっても環式であってもよく、例えば直鎖のもしくは分岐を有するアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基であり、また例えば水素原子がアルキル基で置換されていてもよいシクロアルキル基またはシクロアルケニル基である。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基およびシクロオクチル基が含まれる。炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜18、さらに好ましくは1〜10、特に好ましくは4〜9である。炭化水素基の好ましい例には、炭素数1〜20、1〜9、さらには4〜9または1〜3である直鎖のまたは分岐を有するアルキル基、特に炭素数4〜9の分岐を有するアルキル基と、炭素数3〜10、さらには3〜8の環式のアルキル基とが含まれる。
直鎖のまたは分岐を有するアルキル基は、特に限定されないが、例えば、メチル基、ベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基、エタン−1−イル基、プロパン−1−イル基、1−メチルエタン−1−イル基、ブタン−1−イル基、ブタン−2−イル基、2−メチルプロパン−1−イル基、2−メチルプロパン−2−イル基、ペンタン−1−イル基、ペンタン−2−イル基、ヘキサン−1−イル基、ヘプタン−1−イル基、オクタン−1−イル基、1,1,3,3−テトラメチルブタン−1−イル基、ノナン−1−イル基、デカン−1−イル基、ウンデカン−1−イル基、ドデカン−1−イル基、トリデカン−1−イル基、テトラデカン−1−イル基、ペンタデカン−1−イル基、ヘキサデカン−1−イル基、ヘプタデカン−1−イル基、オクタデカン−1−イル基である。直鎖または分岐のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロパ−1−エン−1−イル基、アリル基、イソプロペニル基、ブタ−1−エン−1−イル基、ブタ−2−エン−1−イル基、ブタ−3−エン−1−イル基、2−メチルプロパ−2−エン−1−イル基、1−メチルプロパ−2−エン−1−イル基、ペンタ−1−エン−1−イル基、ペンタ−2−エン−1−イル基、ペンタ−3−エン−1−イル基、ペンタ−4−エン−1−イル基、3−メチルブタ−2−エン−1−イル基、3−メチルブタ−3−エン−1−イル基、ヘキサ−1−エン−1−イル基、ヘキサ−2−エン−1−イル基、ヘキサ−3−エン−1−イル基、ヘキサ−4−エン−1−イル基、ヘキサ−5−エン−1−イル基、4−メチルペンタ−3−エン−1−イル基、4−メチルペンタ−3−エン−1−イル基、ヘプタ−1−エン−1−イル基、ヘプタ−6−エン−1−イル基、オクタ−1−エン−1−イル基、オクタ−7−エン−1−イル基、ノナ−1−エン−1−イル基、ノナ−8−エン−1−イル基、デカ−1−エン−1−イル基、デカ−9−エン−1−イル基、ウンデカ−1−エン−1−イル基、ウンデカ−10−エン−1−イル基、ドデカ−1−エン−1−イル基、ドデカ−11−エン−1−イル基、トリデカ−1−エン−1−イル基、トリデカ−12−エン−1−イル基、テトラデカ−1−エン−1−イル基、テトラデカ−13−エン−1−イル基、ペンタデカ−1−エン−1−イル基、ペンタデカ−14−エン−1−イル基、ヘキサデカ−1−エン−1−イル基、ヘキサデカ−15−エン−1−イル基、ヘプタデカ−1−エン−1−イル基、ヘプタデカ−16−エン−1−イル基、オクタデカ−1−エン−1−イル基、オクタデカ−9−エン−1−イル基、オクタデカ−17−エン−1−イル基が挙げられる。直鎖または分岐のアルキニル基としては、例えば、エチニル、プロパ−1−イン−1−イル基、プロパ−2−イン−1−イル基、ブタ−1−イン−1−イル基、ブタ−3−イン−1−イル基、1−メチルプロパ−2−イン−1−イル基、ペンタ−1−イン−1−イル基、ペンタ−4−イン−1−イル基、ヘキサ−1−イン−1−イル基、ヘキサ−5−イン−1−イル基、ヘプタ−1−イン−1−イル基、ヘプタ−6−イン−1−イル基、オクタ−1−イン−1−イル基、オクタ−7−イン−1−イル基、ノナ−1−イン−1−イル基、ノナ−8−イン−1−イル基、デカ−1−イン−1−イル基、デカ−9−イン−1−イル基、ウンデカ−1−イン−1−イル基、ウンデカ−10−イン−1−イル基、ドデカ−1−イン−1−イル基、ドデカ−11−イン−1−イル基、トリデカ−1−イン−1−イル基、トリデカ−12−イン−1−イル基、テトラデカ−1−イン−1−イル基、テトラデカ−13−イン−1−イル基、ペンタデカ−1−イン−1−イル基、ペンタデカ−14−イン−1−イル基、ヘキサデカ−1−イン−1−イル基、ヘキサデカ−15−イン−1−イル基、ヘプタデカ−1−イン−1−イル基、ヘプタデカ−16−イン−1−イル基、オクタデカ−1−イン−1−イル基、オクタデカ−17−イン−1−イル基が挙げられる。
好ましい環式のアルキル基の例には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基が含まれる。
(芳香族基)
芳香族基は、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環などの芳香環を含む基である。芳香族基の炭素数は、好ましくは6〜18、より好ましくは6〜14である。芳香族基の例には、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,4,5−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、4−ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−エトキシフェニル基、3−エトキシフェニル基、4−エトキシフェニル基、2−クロロフェニル基、2−フルオロフェニル基および4−フルオロフェニル基が含まれる。
(不飽和基)
不飽和基は、不飽和結合を含む基である。不飽和結合は、炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合、炭素−酸素二重結合、炭素−窒素二重結合、炭素−窒素三重結合などの炭素−炭素不飽和結合または炭素−ヘテロ原子不飽和結合である。炭素−酸素二重結合は、カルボニル基、アルデヒド基、カルボキシル基などに含まれるものであってよく、炭素−窒素二重結合はイソシアネート基などに含まれるものであってよく、炭素−窒素三重結合はシアノ基、シアナト基などに含まれるものであってもよい。不飽和基に含まれる炭素原子とヘテロ原子との合計数は、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8である。不飽和基の例には、アクリロイル基、メタクロイル基、マレイン酸モノエステル基、スチリル基、アリル基、ビニル基、アミド基、カルバモイル基、シアノ基およびイソシアネート基が含まれる。
(酸素原子含有基)
酸素原子含有基は、酸素原子を含む基である。酸素原子含有基は、通常、酸素原子とともに、炭素原子および/または水素原子を含む。酸素原子含有基に含まれる炭素原子数は、芳香環基および/または脂環式基を含む場合には6〜20、特に6〜12、芳香環基および脂環式基を含まない場合には0〜20、さらには0〜12、特に0〜6が好ましい。酸素原子含有基の例には、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アセトキシ基、アセチル基、アルデヒド基、カルボキシ基、カルバモイル基、ウレタン基、アミド基、イミド基、尿素基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、オキサゾール基およびモルホリン基が含まれる。アルコキシ基の例には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、ナフトキシ基、フェニルメトキシ基およびフェニルエトキシ基が含まれる。好ましい酸素原子含有基の例には、ヒドロキシ基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数1〜18のエーテル基、炭素数1〜18のエステル基、炭素数1〜20のポリオキシエチレン基が含まれる。
(リン原子含有基)
リン原子含有基は、リン原子を含む基である。リン原子含有基は、通常、リン原子とともに、炭素原子および/または水素原子を含む。リン原子含有基に含まれる炭素原子数は、芳香環基および/または脂環式基を含む場合には6〜20、特に6〜12、芳香環基および脂環式基を含まない場合には0〜20、さらには0〜12、特に0〜6が好ましい。リン原子含有基の例には、ホスフィン基、ホスファイト基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、トリメチルホスフィン基、トリブチルホスフィン基、トリシクロヘキシルホスフィン基、トリフェニルホスフィン基、トリトリルホスフィン基、メチルホスファイト基、エチルホスファイト基、フェニルホスファイト基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、リン酸基およびリン酸エステル基が含まれる。
(硫黄原子含有基)
硫黄原子含有基は、硫黄原子を含む基である。硫黄原子含有基は、通常、硫黄原子とともに、炭素原子および/または水素原子を含む。硫黄原子含有基に含まれる炭素原子数は、芳香環基および/または脂環式基を含む場合には6〜20、さらに6〜12、特に6〜10、芳香環基および/または脂環式基を含まない場合には0〜20、さらに0〜12、特に0〜10、とりわけ0〜6が好ましい、硫黄原子含有基の例には、チオール基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルホ基、チオカルボニル基、チオカルバモイル基、チオ尿素基、チオアルコキシ基、チオカルボキシ基、チオフェン基およびチアゾール基が含まれる。
2−フェニルベンゾトリアゾール骨格にスルフィド結合(−S−)を介して接続している硫黄原子含有基は、チオ有機基である。チオ有機基は、例えば、水素原子の置換基を有していてもよいチオアルキル基(−S−Alk)、または水素原子の置換基を有していてもよいチオアリール環基(−S−Ary)である。アルキル基(Alk)は、非環式であっても環式であってもよい。アルキル基が環式アルキル基である場合、チオ有機基は、水素原子の置換基を有していてもよいチオヘキシル環基(−S−Cy)であってもよい。
チオ有機基における水素原子の置換基は、ハロゲン原子、炭化水素基、芳香族基、不飽和基、酸素原子含有基、リン原子含有基および硫黄原子含有基から選ばれる少なくとも1つに該当する原子または基であってもよい。これらの置換基の例は上述したとおりである。
波長400nm近傍の光の透過率を長期に亘って低下させることに適したチオ有機基は、水素原子の置換基を有していてもよいチオアリール環基である。このチオアリール環基を含む有機化合物Aは耐光性において優れている。分岐を有する鎖状アルキル基、特に炭素数4〜9の鎖状アルキル基をチオアリール環基の水素原子を置換する置換基とすると、耐光性は顕著に向上する。
2つの2−フェニルベンゾトリアゾール骨格の間に介在するチオ有機基についても、耐光性の観点からは、−S−(Ary)−(Alk)−で示される単位を含む基が有利である。上述のとおり、(Ary)は水素原子の置換基を有していてもよいアリーレン環基であり、(Alk)は水素原子の置換基を有していてもよいアルキレン基である。この場合も、(Alk)は分岐を有する鎖状アルキル基、特に炭素数4〜9の分岐を有する鎖状アルキル基であることが好ましい。
別の側面から説明すると、有機化合物Aは、式(2−1)〜(2−3)のいずれかで表わされる、水素原子の置換基を有していてもよいチオアリール環基またはチオヘキシル環基を有する、2−フェニルベンゾトリアゾール誘導体であってもよい。この誘導体が有する2−フェニルベンゾトリアゾール骨格(式(2−1)参照)の好ましい置換基を説明する。
式(2−1)において、R1〜R9は、それぞれ独立に、その少なくとも1つはチオアリール環基またはチオシクロヘキシル環基であり、それ以外は水素原子またはその置換基である。チオアリール環基またはチオシクロヘキシル環基の置換位置は特に限定されず、R1〜R9のうちいずれであってもよいが、R6〜R9が好ましく、R7、R8がより好ましい。チオアリール環基またはチオシクロヘキシル環基の置換数も特に限定されないが、1〜2個、特に1個が好ましい。
なお、有機化合物AのA1〜A5の少なくとも1つは酸素原子含有基であることが好ましい。特に少なくともA1またはA5は酸素原子含有基であることが好ましい。好ましい酸素原子含有基はヒドロキシ基である。有機化合物AのA1〜A5の少なくとも2つは炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。特に少なくともA2およびA4は炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。A2およびA4はメチル基とtert−ブチル基との組み合わせであってもよい。
耐光性を高める観点からは下記の置換基の組み合わせが好ましい。式(2−1)におけるR6、R7、R8、R9の組み合わせのうち好ましい例を挙げると次のとおりである。
ア−1 式(2−1)、(2−3)のR6、R7、R8、R9のうち少なくともいずれかは、チオアリール環基である。また、式(2−2)のR6、R7、R8、R9のうち少なくともいずれかは、チオシクロヘキシル環基(−S−Cy−…)である。
ア−2 ア−1において、チオアリール環基のX1a、X1c、X2cは、フェニル環もしくはナフチル環の残基である。
ア−3 ア−1、2において、PhBzT1a、PhBzT1b、PhBzT1c、PhBzT2cに、1個のチオアリール環基またはチオシクロヘキシル環基が結合する。
ア−4 ア−1からア−3のいずれかにおいて、1個のチオアリール環基またはチオシクロヘキシル環基はR7またはR8に結合する。
ア−5 ア−1からア−4のいずれかにおいて、チオアリール環基またはチオシクロヘキシル環基以外のR6〜R9は全て水素原子である。
ア−6 ア−1からア−5のいずれかにおいて、チオアリール環基のX1a、X1c、X2cはフェニル環の残基である。
ア−7 ア−1からア−5のいずれかにおいて、チオアリール環基のX1a、X1c、X2cはナフチル環の残基である。
式(2−1)〜(2−3)におけるR1、R2、R3、R4、R5の組み合わせのうち好ましい例を挙げると次のとおりである。なお、式(2−3)におけるPhBzT1cおよびPhBzT2cのR1、R2、R3、R4、R5は、それぞれ独立に異なっても同一でもよい。
イ−1 炭素数1〜18の炭化水素基(アルケニル基、アルキニル基を含む炭素数2〜18の炭化水素基を含む。)、ヒドロキシ基、炭素数6〜18の芳香族基、炭素数1〜18のエーテル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数1〜18のエステル基、(メタ)アクリロイルオキシ基および/または炭素数1〜20のポリオキシエチレン基、またはそれらの置換基で水素原子が置換されるか基端が中断されるか炭素−炭素結合が中断されてもよい炭素数1〜18の炭化水素基から選ばれる置換基を1つ以上含む。
イ−2 イ−1において、置換基が炭素数1〜10の炭化水素基、およびヒドロキシ基から選ばれる少なくとも1種である。
イ−3 イ−2において、置換基が炭素数1〜8の炭化水素基、およびヒドロキシ基から選ばれる少なくとも1種である。
イ−4 イ−1からイ−3のいずれかにおいて、置換基の炭化水素基が直鎖または分岐のアルキル基である。
イ−5 イ−4において、置換基がメチル基、t−ブチル基、およびヒドロキシ基から選ばれる少なくとも1種である。
イ−6 イ−5において、置換基がメチル基、t−ブチル基、およびヒドロキシ基から選ばれる少なくとも1種であり、かつヒドロキシ基は1つ以下である。
イ−7 イ−1からイ−6のいずれかにおいて、置換基の数が1〜4個である。
イ−8 イ−1からイ−7のいずれかにおいて、R1〜R4のいずれかの位置に置換基を有し、それ以外のR1〜R5は水素原子である。
イ−9 イ−1からイ−8のいずれかにおいて、R1、R2、R4のいずれかの位置に置換基を有し、それ以外のR1〜R5は水素原子である。
イ−10 イ−9において、R1はヒドロキシ基、R2はt−ブチル基、R4はメチル基であり、R3、R5は水素原子である。
イ−11 イ−1からイ−9のいずれかにおいて、R1、R4のいずれかの位置に置換基を有し、それ以外のR1〜R5は水素原子である。
イ−12 イ−11においてR1はヒドロキシ基、R4はメチル基であり、R2、R3、R5は水素原子である。
式(2−1)における、それぞれl個のR1aおよびX1aの組み合わせのうち好ましい例を挙げると次のとおりである。
ウ−1 X1aはフェニル環の残基である。
ウ−2 ウ−1において、l=0で、X1aに置換基R1aはなく、X1aにおけるR1aに置換し得る部分はすべて水素原子である。
ウ−3 ウ−1において、l個のR1aは、それぞれ独立に炭素数1〜18の炭化水素基であり、炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜18の直鎖または分岐のアルキル基であり、l=1〜5である。
ウ−4 ウ−3において、l=1〜3である。
ウ−5 ウ−4において、R1aは、それぞれ独立に少なくとも一つは炭素数3〜8の分岐アルキル基である。
ウ−6 ウ−4において、l=1で、R1aは、それぞれ独立に炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜10)の直鎖または分岐のアルキル基である。
ウ−7 ウ−6において、l=1で、R1aは、それぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基であり、当該アルキル基は、好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数2〜8、さらに好ましくは炭素数3〜8、一層好ましくは炭素数3〜5、特に好ましくは炭素数4〜5、ことさら好ましくは炭素数4である。
ウ−8 ウ−3〜7のいずれかにおいて、PhBzT1a−S−に対して、それぞれR1aの少なくとも一つはパラ位に有する。
ウ−9 ウ−4において、l=2で、R1aは、それぞれ独立に炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜10)の直鎖または分岐のアルキル基である。
ウ−10 ウ−9において、l=2で、R1aは、それぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基であり、当該アルキル基の各炭素数は、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4、さらに好ましくは炭素数1であり、および/またはアルキル基の総炭素数は、好ましくは2〜12、より好ましくは2〜10、さらに好ましくは2〜5、特に好ましくは2である。
ウ−11 ウ−9、10のいずれかにおいて、PhBzT1a−S−に対してl=2のそれぞれのR1aはオルト、パラ位もしくはオルト、メタ位に有する。
ウ−12 ウ−3からウ−11のいずれかにおいて、R1aは、それぞれ独立に三級炭素および/または四級炭素を有する炭化水素基であり、好ましくはアルキル基である。
ウ−13 ウ−1において、l個のR1aは、それぞれ独立に炭素数1〜18の直鎖または分岐のアルキル基を持つアルコキシ基であり、好ましくは炭素数1〜8の直鎖のアルキル基を持つアルコキシ基、より好ましくは炭素数1〜4の直鎖のアルキル基を持つアルコキシ基である。また、好ましくはl=1〜3、より好ましくはl=1〜2、特に好ましくはl=1である。
ウ−14 ウ−13において、l=1であり、アルコキシ基はPhBzT1a−S−に対してメタ位に有する。
ウ−15 ウ−1において、l個のR1aはヒドロキシ基であり、好ましくはl=1〜3、より好ましくはl=1〜2、特に好ましくはl=1である。
ウ−16 ウ−15において、l=1であり、ヒドロキシ基はPhBzT1a−S−に対してパラ位に有する。
ウ−17 X1aはナフチル環の残基であり、好ましくはl=0である。
式(2−1)で表される2−フェニルベンゾトリアゾール誘導体としては、特に限定されないが、例えば、5−フェニルチオ−2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−(4−tert−ブチル−フェニルチオ)−2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−(2,4−ジメチル−フェニルチオ)−2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−(3−メトキシ−フェニルチオ)−2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−(4−(1,1−ジメチル−プロピル)−フェニルチオ)−2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−(4−イソプロピル−フェニルチオ)−2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−(4−(1,1,3,3−テトラメチル−ブチル)−フェニルチオ)−2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−(2−メチル−5−tert−ブチル−フェニルチオ)−2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−(4−メチル−フェニルチオ)−2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−(2,4−ジ(1,1−ジメチルプロピル)−フェニルチオ)−2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール 、5−(4−ヒドロキシ−フェニルチオ)−2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−ナフチルチオ−2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−フェニルチオ−2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
式(2−2)におけるm個のR1bの組み合わせのうち好ましい例を挙げると次のとおりである。
エ−1 m=0で、Cyに置換基R1bはなく、CyにおけるR1bに置換し得る部分はすべて水素原子である。
エ−2 m個のR1bは、それぞれ独立に炭素数1〜18の炭化水素基であり、炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜18の直鎖または分岐のアルキル基であり、m=1〜5である。
エ−3 エ−2において、m=1〜3である。
エ−4 エ−3において、R1bは、それぞれ独立に少なくとも一つは炭素数3〜8の分岐アルキル基である。
エ−5 エ−3において、m=1で、R1bは、炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜10)の直鎖または分岐のアルキル基である。
エ−6 エ−5において、m=1で、R1bは、炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基であり、当該アルキル基は、好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数2〜8、さらに好ましくは炭素数3〜8、一層好ましくは炭素数3〜5、特に好ましくは炭素数4〜5、ことさら好ましくは炭素数4である。
エ−7 エ−2〜6のいずれかにおいて、PhBzT1b−S−に対してR1bの少なくとも一つはパラ位に有する。
エ−8 エ−3において、m=2で、R1bは、それぞれ独立に炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜10)の直鎖または分岐のアルキル基である。
エ−9 エ−8において、m=2で、R1bは、それぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基であり、当該アルキル基の各炭素数は、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4、さらに好ましくは炭素数1であり、および/またはアルキル基の総炭素数は、好ましくは2〜12、より好ましくは2〜10、さらに好ましくは2〜5、特に好ましくは2である。
エ−10 エ−8、9のいずれかにおいて、PhBzT1b−S−に対してm=2のR1bはオルト、パラ位もしくはオルト、メタ位に有する。
エ−11 エ−2からエ−10のいずれかにおいて、R1bは、三級炭素および/または四級炭素を有する炭化水素基であり、好ましくは分岐のアルキル基である。
エ−12 エ−1において、m個のR1bは、それぞれ独立に炭素数1〜18の直鎖または分岐のアルキル基を持つアルコキシ基であり、好ましくは炭素数1〜8の直鎖のアルキル基を持つアルコキシ基、より好ましくは炭素数1〜4の直鎖のアルキル基を持つアルコキシ基である。また、好ましくはm=1〜3、より好ましくはm=1〜2、特に好ましくはm=1である。
エ−13 ウ−12において、m=1であり、アルコキシ基はPhBzT1b−S−に対してメタ位に有する
エ−14 エ−1において、m個のR1bはヒドロキシ基であり、好ましくはm=1〜3、より好ましくはm=1〜2、特に好ましくはm=1である。
エ−15 エ−14において、m=1で、ヒドロキシ基はPhBzT1b−S−に対してパラ位に有する。
式(2−2)で表される2−フェニルベンゾトリアゾール誘導体としては、特に限定されないが、例えば、5−シクロヘキシルチオ−2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−(4−メチル−シクロヘキシル)−チオ−2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−(4−メトキシ−シクロヘキシル)−チオ−2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−(4−イソプロピル−シクロヘキシル)−チオ−2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、などが挙げられる。
式(2−3)において、A2cは芳香族基、不飽和基、窒素含有基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、およびハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、または炭素−炭素結合が中断されていてもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基、2価の芳香族基、またはスルフィド基−S−を示す。
2cにおける炭素数1〜20の2価の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基などが挙げられる。その中でも脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖または分岐のアルキレン基、直鎖または分岐のアルケニレン基、直鎖または分岐のアルキニレン基などが挙げられる。具体的には、特に限定されないが、例えば、メチレン基、1,1-ジメチル−メチレン基、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、1−メチルエタン−1,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基、ドデカン−1,12−ジイル基、トリデカン−1,13−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基、ペンタデカン−1,15−ジイル基、ヘキサデカン−1,16−ジイル基、ヘプタデカン−1,17−ジイル基、オクタデカン−1,18−ジイル基、ノナデカン−1,19−ジイル基、エイコサン−1,20−ジイル基などが挙げられる。これらの中でも、直鎖または分岐のアルキレン基が好ましく、分岐のアルキレン基がより好ましい。
2価の炭化水素基が、前記1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、または炭素−炭素結合が中断される場合、前記1価もしくは2価の基の数は、特に限定されないが、その例としては、2個以下、あるいは1個以下が挙げられる。前記1価もしくは2価の基の芳香族基、不飽和基、窒素含有基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、ハロゲン原子の具体例としては、前記において2−フェニルベンゾトリアゾール骨格のR1〜R9の置換基として記載した1価もしくは2価の基と同様のものが挙げられ、その記載が参照される。
2cにおける2価の芳香族基は、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環などの芳香環を含み、炭素数が好ましくは6〜18、より好ましくは6〜14である。2価の芳香族基としては、特に限定されないが、例えば、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,2−フェニレン基、1,8−ナフチレン基、2,7−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、1,4−ナフチレン基、1,3−ナフチレン基、9,10−アントラセニレン基、1,8−アントラセニレン基、2,7−アントラセニレン基、2,6−アントラセニレン基、1,4−アントラセニレン基、1,3−アントラセニレン基などが挙げられる。
式(2−3)における、それぞれn個のR1c及びX1c、p個のR2c及びX2c、q個のA2cの組み合わせのうち好ましい例を挙げると次のとおりである。
オ−1 X1c、X2cはフェニル環の残基である。
オ−2 オ−1において、n、p=0で、X1c、X2cに置換基R1c、R2cはなく、X1c、X2cにおけるR1c、R2cに置換し得る部分はすべて水素原子である。
オ−3 オ−1において、n、p個のR1c、R2cは、それぞれ独立に炭素数1〜18の炭化水素基であり、炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜18の直鎖または分岐のアルキル基であり、n、p=1〜5である。
オ−4 オ−3において、n、p=1〜3である。
オ−5 オ−4において、R1c、R2cは、それぞれ独立に少なくとも一つは炭素数3〜8の分岐アルキル基である。
オ−6 オ−4において、n、p=1で、R1c、R2cは、それぞれ独立に炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜10)の直鎖または分岐のアルキル基である。
オ−7 オ−6において、n、p=1で、R1c、R2cは、それぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基であり、当該アルキル基は、好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数2〜8、さらに好ましくは炭素数3〜8、一層好ましくは炭素数3〜5、特に好ましくは炭素数4〜5、ことさら好ましくは炭素数4である。
オ−8 オ−4において、n、p=2で、R1c、R2cは、それぞれ独立に炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜10)の直鎖または分岐のアルキル基である。
オ−9 オ−8において、n、p=2で、R1c、R2cは、それぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基であり、当該アルキル基の各炭素数は、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4、さらに好ましくは炭素数1であり、および/またはアルキル基の総炭素数は、好ましくは2〜12、より好ましくは2〜10、さらに好ましくは2〜5、特に好ましくは2である。
オ−10 オ−3からオ−9のいずれかにおいて、R1c、R2cは、それぞれ独立に三級炭素および/または四級炭素を有する炭化水素基であり、好ましくはアルキル基である。
オ−11 オ−1において、n、p個のR1c、R2cは、それぞれ独立に炭素数1〜18の直鎖または分岐のアルキル基を持つアルコキシ基であり、好ましくは炭素数1〜8の直鎖のアルキル基を持つアルコキシ基、より好ましくは炭素数1〜4の直鎖のアルキル基を持つアルコキシ基である。また、好ましくはn、p=1〜3、より好ましくはn、p=1〜2、特に好ましくはn、p=1である。
オ−12 オ−1において、n、p個のR1c、R2cはヒドロキシ基であり、好ましくはn、p=1〜3、より好ましくはn、p=1〜2、特に好ましくはn、p=1である。
オ−13 X1c、X2cはナフチル環の残基であり、好ましくはn、p=0である。
オ−14 オ−1からオ−13のいずれかにおいて、q=1、A2cがスルフィド基である。好ましくは、n、p=0、X1c、X2cに置換基R1c、R2cはなく、X1c、X2cにおけるR1c、R2cに置換し得る部分はすべて水素原子である。
オ−15 オ−1からオ−13のいずれかにおいて、q=1、A2cが炭素数1〜8(好ましくは炭素数1〜4)の炭化水素基(好ましくは、直鎖または分岐のアルキレン基)である。好ましくは、n、p=0、X1c、X2cに置換基R1c、R2cはなく、X1c、X2cにおけるR1c、R2cに置換し得る部分はすべて水素原子である。
オ−16 オ−1からオ−13のいずれかにおいて、q=0である。好ましくは、n、p=0、X1c、X2cに置換基R1c、R2cはなく、X1c、X2cにおけるR1c、R2cに置換し得る部分はすべて水素原子である。
オ−17 オ−1からオ−16のいずれかにおいて、−(A1cq−は、PhBzT1c−S−、PhBzT2c−S−に対してパラ位に有る。
式(2−3)で表される2−フェニルベンゾトリアゾール誘導体としては、特に限定されないが、例えば、4,4’−チオビス[(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イル−チオベンゼン]、4,4’−プロパン−2,2−ジイル−ビス[(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イル−チオベンゼン]、4,4’−ビフェニル−ビス[(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イル−チオ]などが挙げられる。
有機化合物Aの好ましい態様をさらに示すと次のとおりである。
・2−フェニルベンゾトリアゾール誘導体は、式(2−1)または(2−3)で表わされるものであり、式(2−1)または(2−3)においてX1a、X1c、X2cはフェニル環の残基を示し、l、n、pは0である。
特に、2−フェニルベンゾトリアゾール誘導体は、式(2−1)、(2−3)のいずれかで表わされるものであり、式(2−1)、(2−3)においてX1a、X1c、X2cはフェニル環の残基を示し、l、n、pは0であり、2−フェニルベンゾトリアゾール骨格のR1にヒドロキシ基、R4にメチル基を有する。
・2−フェニルベンゾトリアゾール誘導体は、式(2−1)または(2−3)で表わされるものであり、式(2−1)または(2−3)においてX1a、X1c、X2cはフェニル環の残基を示し、l、n、p個のR1a、R1c、R2cはそれぞれ独立に炭素数1〜18の直鎖または分岐の炭化水素基を示し、l、n、pは1〜5の整数を示す。
特に、式(2−1)または(2−3)においてX1a、X1c、X2cはフェニル環の残基を示し、l、n、p個のR1a、R1c、R2cはそれぞれ独立に少なくとも一つは炭素数3〜8の分岐アルキル基を示し、l、n、pは1〜3の整数を示す。
あるいは、式(2−1)または(2−3)においてX1a、X1c、X2cはフェニル環の残基を示し、l、n、p個のR1a、R1c、R2cはそれぞれ独立に炭素数1〜18の直鎖または分岐のアルキル基を示し、l、n、pは1の整数を示す。
あるいは、式(2−1)または(2−3)においてX1a、X1c、X2cはフェニル環の残基を示し、l、n、p個のR1a、R1c、R2cはそれぞれ独立に炭素数1〜18の直鎖または分岐のアルキル基を示し、l、n、pは2の整数を示す。
あるいは、式(2−1)または(2−3)においてX1a、X1c、X2cはフェニル環の残基を示し、l、n、p個のR1a、R1c、R2cはそれぞれ独立に炭素数1〜18の三級炭素および/または四級炭素を有する炭化水素基を示し、l、n、pは1〜5の整数を示す。
・2−フェニルベンゾトリアゾール誘導体は、式(2−1)または(2−3)のいずれかで表わされるものであり、式(2−1)または(2−3)においてX1a、X1c、X2cはフェニル環の残基を示し、l、n、p個のR1a、R1c、R2cはそれぞれ独立に炭素数1〜18の直鎖または分岐のアルキル基を持つアルコキシ基を示す。
・2−フェニルベンゾトリアゾール誘導体は、式(2−1)または(2−3)で表わされるものであり、式(2−1)または(2−3)においてX1a、X1c、X2cはフェニル環の残基を示し、l、n、p個のR1a、R1c、R2cはヒドロキシル基を示す。
・2−フェニルベンゾトリアゾール誘導体は、式(2−1)または(2−3)で表わされるものであり、式(2−1)または(2−3)においてX1a、X1c、X2cはナフチル環の残基を示す。
・2−フェニルベンゾトリアゾール誘導体は、式(2−2)で表わされるものであり、式(2−2)において、mは0である。
・2−フェニルベンゾトリアゾール誘導体は、式(2−2)で表わされるものであり、式(2−2)において、R1bはそれぞれ独立に炭素数1〜18の炭化水素基を示す。
・2−フェニルベンゾトリアゾール誘導体は、式(2−3)で表わされるものであり、式(2−3)においてX1cとX2cはフェニル環の残基を示し、qは1であり、A2cはスルフィド基−S−を示す。
・2−フェニルベンゾトリアゾール誘導体は、式(2−3)で表わされるものであり、式(2−3)においてX1cとX2cはフェニル環の残基を示し、qは1であり、A2cは炭素数1〜8の炭化水素基を示す。
・2−フェニルベンゾトリアゾール誘導体は、式(2−3)で表わされるものであり、式(2−3)においてX1cとX2cはフェニル環の残基を示し、qは0である。
有機化合物Aは、コーティング膜形成用組成物およびコーティング膜中において、結晶状態を保持していることが好ましい。有機化合物が結晶状態を保持していることはX線回折により確認できる。
有機化合物Aは、所定の平均粒径となるように公知の乾式または湿式の粉砕装置を用いて砕いてからコーティング膜形成用組成物に配合するとよい。有機化合物Aが粉砕されて所定の平均粒径に到達する時間は、粉砕装置の種類、投入量、さらには回転数などの粉砕条件に依存する。このため、量産に際しては、予め、粉砕装置による粉砕を適宜中断してサンプリングした粉砕物の平均粒径を確認することを繰り返しながら、所定の平均粒径が得られるまでの時間を定めておくとよい。なお、粉砕に際しては、粉砕するべき有機化合物Aに、界面活性剤、水溶性樹脂などを適宜添加してもよい。
有機化合物Aは、平均粒径が150nm以下、好ましくは10〜150nm、より好ましくは50〜140nm、特に好ましくは70〜140nm、の微粒子として膜に分散させるとよい。微粒子の平均粒径は、大きすぎると膜の透明性を低下させるが、小さすぎると紫外線吸収能が劣化したり、その持続性が低下したりおそれがある。なお、上記「平均粒径」は、後述する実施例の欄における測定値も含め、光子相関法の一種である動的光散乱法による測定値に基づく数値であり、具体的には、球相当径の体積基準による分布において累積頻度が50%となる粒子径である。「平均粒径」は、例えば、日機装社製「マイクロトラック超微粒子粒度分布計9340−UPA150」を用いて測定することができる。
膜中に分散した有機化合物Aの微粒子は、走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察すれば、その存在を確認できる。SEMまたはTEMを用いて観察した膜断面に存在する各微粒子の最大長さの上位10%の平均値Aは、上述の定義による「平均粒径」の値を下回ることはない。したがって、上記平均値Aが150nm以下であれば「平均粒径」を150nm以下とみなすことができる。また、上記膜断面に存在する各微粒子の最大長さを規定する方向と直交する方向についての長さの下位10%の平均値Bは、上述の定義による「平均粒径」の値を上回ることはない。したがって、例えば上記平均値Bが50nm以上であれば「平均粒径」を50nm以上とみなしてもよい。
有機化合物Aは、これを溶かしうる有機溶媒に溶解させた溶質として膜に導入することもできる。溶質としての導入は、より容易に実施できる方法であり、コーティング膜における有機化合物Aのより均一な分布を実現するためには望ましい方法でもある。しかし、有機化合物Aを微粒子として膜に導入することにより、膜の紫外線遮蔽能の持続性は向上する。さらに、有機化合物Aを微粒子として添加することにより、溶質としての添加よりも好ましい分光吸収特性が得られる。
微粒子として添加することにより、分光吸光度曲線における有機化合物Aによる吸収ピークが溶質として添加したときよりも長波長側にシフトすることがある。このシフトにより、波長400nm近傍の光をより効果的に遮蔽することが可能になる。しかし一方で、吸収ピークの長波長側へのシフトによって、コーティング膜の黄色系への着色はより強くなる。有機化合物Aは、コーティング膜の黄色系への強い着色を抑制しながら波長400nm近傍の光の透過率を十分に低下させることに適している。
コーティング膜形成用組成物は、酸化ケイ素前駆体と有機化合物Aとを含む膜形成溶液でありうる。膜形成溶液を構成する溶媒としては、水および低級アルコールが適しているが、水が最も適している。低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノールなど炭素数1〜3のアルコールが好適である。コーティング膜形成用組成物は、有機化合物B、シランカップリング剤などのコーティング膜に配合してもよい成分を含んでいてもよい。コーティング膜形成用組成物は、必要に応じ、湿潤剤、防腐剤、防カビ剤、消泡剤、安定化剤などの添加剤を含んでいてもよい。
酸化ケイ素前駆体は、コーティング膜に酸化ケイ素を供給できる限り、その種類に制限はない。後述するゾルゲル法によりコーティング膜を成膜する場合、好ましい酸化ケイ素前駆体は、加水分解性官能基を有するケイ素化合物であり、典型的にはシリコンテトラアルコキシドである。なお、シランカップリング剤に含まれるケイ素原子からも酸化ケイ素が供給される。したがって、シランカップリング剤も酸化ケイ素前駆体として機能する。
コーティング膜中の酸化ケイ素は、膜全体の40質量%以上、50質量%以上(この場合は酸化ケイ素が膜の主成分となる)、場合によっては70質量%以上、を占めていてもよい。コーティング膜は、好ましくは、酸化ケイ素を主成分とし、Si−O結合のネットワーク中に有機化合物Aの微粒子やその他の成分が分散している形態を有する。このような形態を有する膜は、窓ガラスなどとしての屋外での使用に適している。コーティング膜形成用組成物は、その組成物から形成されるコーティング膜の酸化ケイ素の含有率が上記程度になるように酸化ケイ素前駆体を含んでいることが好ましい。
有機化合物Aは、コーティング膜中の酸化ケイ素に対し、質量%により表示して、1〜80%、さらには5〜60%、特に5〜50%、とりわけ7〜30%の範囲で含まれていることが好ましい。これを考慮すると、有機化合物Aは、膜形成溶液の液量に対しては、同じく質量%により表示して、0.5〜25%、より好ましくは0.5〜15%となるように添加することが好ましい。
有機化合物Bは、有機化合物Aに該当しない紫外線遮蔽成分である。有機化合物Bは、2−フェニルベンゾトリアゾール骨格を含み、2−フェニルベンゾトリアゾール骨格に硫黄原子含有基が接続されていない分子構造を有することが好ましい。有機化合物Bも、平均粒径が150nm以下の微粒子の形態を有するようにコーティング膜またはコーティング膜形成用組成物に配合するとよい。
有機化合物Bは、例えば以下の式(3)により示される。
Figure 2020105022
1〜B9は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、芳香族基、不飽和基、酸素原子含有基、リン原子含有基、およびチオ有機基以外の硫黄原子含有基から選ばれる少なくとも1つに該当する原子または基である。より正確に述べると、B1〜B9は、それぞれ独立に、水素原子若しくはハロゲン原子、または炭化水素基、芳香族基、不飽和基、酸素原子含有基、リン原子含有基、およびチオ有機基以外の硫黄原子含有基から選ばれる少なくとも1つに該当する基である。B1〜B9は上記の基の2以上に該当していてもよい。ハロゲン原子および各官能基の具体例は、有機化合物Aについて上述したとおりである。
有機化合物Aと同様、有機化合物BのB1〜B5の少なくとも1つは、酸素原子含有基であることが好ましい。特に少なくともB1またはB5は酸素原子含有基であることが好ましい。好ましい酸素原子含有基はヒドロキシ基である。有機化合物BのB1〜B5の少なくとも2つは炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。B2およびB4はメチル基とtert−ブチル基との組み合わせであってもよい。
有機化合物Aと同様、有機化合物Bは、コーティング膜形成用組成物およびコーティング膜中において、結晶状態を保持していることが好ましい。有機化合物Bは、所定の平均粒径となるように公知の乾式または湿式の粉砕装置を用いて砕いてからコーティング膜形成用組成物に配合するとよい。有機化合物Bの好ましい平均粒径は、有機化合物Aについて上述したとおりである。有機化合物Bは、有機化合物Aとの合計量が、コーティング膜中の酸化ケイ素に対して有機化合物Aについて上述した比率となるように配合することが好ましい。有機化合物Bは、質量基準で有機化合物A未満、好ましくは有機化合物Aの50%未満となるように添加するとよい。
有機化合物Bは、2以上の2−フェニルベンゾトリアゾール骨格を有していてもよい。2以上の2−フェニルベンゾトリアゾール骨格は、上述した基により接続されていることが好ましい。
2つの2−フェニルベンゾトリアゾール骨格を有する有機化合物Bの好ましい一例は、それぞれの骨格のB2に結合したメチレン基により互いに結合した形態を有する。この形態では、それぞれの骨格のB1がヒドロキシ基であり、B4がtert−ブチル基であり、B3およびB5が水素原子であってもよい。
有機化合物Bの別の例は、ベンゾフェノン化合物である。ベンゾフェノン化合物は以下の式(4)を基本骨格とする。ただし、ベンゼン環の水素原子は置換基により置換されていてもよい。置換基はB1〜B9を対象として挙げた基であってもよい。ベンゾフェノン化合物である有機化合物Bとしては、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)を例示できる。
Figure 2020105022
有機化合物Cは、親水性有機化合物であり、ポリマーであってもよい。有機化合物Cは、有機化合物Aまたは有機化合物AおよびBであるベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽成分のコーティング膜中における分散性の向上に寄与し、ベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽成分による光線遮蔽能を高め、さらにはこの成分の劣化を抑制する成分である。コーティング膜をゾルゲル法などの液相成膜により比較的厚く(例えば300nmを超える厚さ、さらには500nm以上の厚さ)形成する際には、膜形成溶液に含まれる液体成分の蒸発に伴ってクラックが発生することがある。有機化合物Cは、クラックの発生を抑制しながら厚膜の形成を可能にする成分でもある。
有機化合物Cは、好ましくはポリエーテル化合物、ポリオール化合物、ポリビニルピロリドン類およびポリビニルカプロラクタム類から選ばれる少なくとも1つに該当する。ポリエーテル化合物は2以上のエーテル結合を含む化合物である。ポリオール化合物は2以上のヒドロキシ基を含む化合物である。ポリビニルピロリドン類は、ビニルピロリドンおよびその誘導体を単量体として含む重合体である。ポリビニルカプロラクタム類は、ビニルカプロラクタムおよびその誘導体を単量体として含む重合体である。有機化合物Cの例には、ポリエーテル型の界面活性剤、ポリエポキシ化合物のエポキシ基が反応して生成するポリオール化合物が含まれる。有機化合物Cはポリマーであってもよい。有機化合物Cの例には、ポリカプロラクトンポリオール、ビスフェノールAポリオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールも含まれる。
有機化合物Cは、膜中の酸化ケイ素に対し、質量%で表示して、0〜75%、さらには0.05〜50%、特に0.1〜40%、とりわけ1〜30%、場合によっては10%以下、必要に応じて7%以下となるように、膜に添加することが好ましい。
シランカップリング剤は、その種類が特に制限されるものではないが、LSiM3で示される有機化合物が好ましい。ここで、Lは、ビニル基、グリシドキシ基、メタクリル基、アミノ基およびメルカプト基から選ばれる少なくとも1つであり、Mは、ハロゲン元素またはアルコキシ基である。シランカップリング剤は、L基がコーティング膜中の有機物と反応し、M基が加水分解して膜中の無機物とそれぞれ反応する。この反応を通じて、シランカップリング剤は、有機化合物Aまたは有機化合物AおよびBである紫外線遮蔽成分の膜中における分散性の向上に寄与し、クラックの発生を抑制しながら厚膜の形成を可能にする効果を奏する。シランカップリング剤は、シランカップリング剤から供給される酸化ケイ素がコーティング膜中の全酸化ケイ素に対し、モル%で表示して、0〜30%、好ましくは0.1〜20%、より好ましくは1〜10%となるように、膜に添加することが好ましい。
なお、シランカップリング剤から供給される酸化ケイ素は、コーティング膜中のシランカップリング剤に由来する構造単位のケイ素原子に結合する酸素原子の数に応じて算出する。例えば、上述のLSiM3で示されるシランカップリング剤から供給される酸化ケイ素は、ケイ素原子が3つの酸素原子に結合しているため、SiO1.5と表示される。
コーティング膜が含んでいてもよいその他の成分としては、インジウム錫酸化物(ITO)微粒子が挙げられる。ITO微粒子は近赤外線の吸収に好ましい成分である。ITO微粒子は、平均粒径が200nm以下、好ましくは5〜150nm、の微粒子として膜に分散させるとよい。有機化合物Aの微粒子と同様、粒径が大きすぎると膜の透明性を低下させ、小さすぎると添加による効果が十分得られない。ITO微粒子も予め分散液を調製しておいて、これを膜の形成溶液に添加するとよい。コーティング膜は、酸化ケイ素、ITO微粒子以外の無機成分を含んでいてもよい。このような無機成分としては、ゾルゲル法で用いた酸触媒に由来する成分が挙げられる。
コーティング膜2は酸化ケイ素を主成分とする。コーティング膜2は、好ましくは、酸化ケイ素を主成分とし、Si−O結合により構成されたネットワーク中に有機化合物Aの微粒子やその他の成分が分散している形態を有する。このような形態を有する膜は、窓ガラスなどとしての屋外での使用に特に適している。
以下、コーティング膜をゾルゲル法により成膜する場合の好ましい方法について説明する。ゾルゲル法に用いる有機溶媒は、シリコンアルコキシドや水との相溶性が高い溶媒が好ましく、炭素数が1〜3の低級アルコールが適している。酸化ケイ素前駆体であるシリコンアルコキシドの例には、シリコンテトラメトキシド、シリコンテトラエトキシド(TEOS)およびシリコンテトライソプロポキシドなどのシリコンテトラアルコキシドが含まれる。シリコンアルコキシドの加水分解物を酸化ケイ素前駆体として用いてもよい。ゾルゲル法による形成溶液におけるシリコンアルコキシドの濃度は、シリコンアルコキシドを酸化ケイ素換算したときの酸化ケイ素濃度により表示して、3〜15質量%、特に3〜13質量%が好ましい。この濃度が高すぎると、膜にクラックが発生することがある。
水は、シリコンアルコキシドに対し、モル比により表示して、4倍以上、具体的には4〜40倍、好ましくは4〜35倍が好適である。加水分解触媒としては、酸触媒、特に塩酸、硝酸、硫酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸などの強酸を用いることが好ましい。酸触媒に由来する有機物は膜硬度を低下させることがあるため、酸触媒としては無機酸が好ましい。塩酸は、揮発性が高く、膜に残存しにくいため、最も好ましい酸触媒である。酸触媒の濃度は、酸からプロトンが完全に解離したと仮定したときのプロトンの質量モル濃度により表示して0.001〜2mol/kgの範囲とすることが好ましい。
上記程度に水を過剰に加え、上記程度の濃度となるように酸触媒を加えると、ゾルゲル法により、有機物の分解を防ぐことができる温度域で比較的厚い膜を容易に形成できる。
上記に挙げた成分を含むゾルゲル法を適用できる溶液を、有機化合物Aなどの微粒子を分散させた分散液と混合し、さらに必要に応じて有機化合物Cなどを添加すれば、コーティング膜の膜形成溶液を準備できる。ただし、膜形成溶液の調製方法がこれに限られるわけではなく、微粒子の分散液にゾルゲル法による成膜に必要な成分を順次添加してもよい。膜形成溶液は、有機化合物Aなどの微粒子と共に、ゾルゲル法以外の方法により膜を形成するために必要な成分、例えばポリシラザン、を含むように調製しても構わない。
膜形成溶液の塗布工程では、雰囲気の相対湿度を40%未満、さらには30%以下に保持することが好ましい。相対湿度を低く保持すると、膜が雰囲気から水分を過剰に吸収することを防止できる。雰囲気から水分が多量に吸収されると、膜のマトリックス内に入り込んで残存した水が膜の強度を低下させるおそれがある。
膜形成溶液の乾燥工程は、塗布環境下における風乾工程と、加熱を伴う加熱乾燥工程とを含むように実施することが好ましい。風乾工程は、相対湿度を40%未満、さらには30%以下に保持した雰囲気に形成溶液の塗布膜を曝すことにより、実施するとよい。加熱乾燥工程では、加水分解により生成したシラノール基の縮重合反応が進行するとともに、膜に残存する液体成分の除去、特に水の除去、が進行し、酸化ケイ素のマトリックス(Si−O結合のネットワーク)が発達する。加熱乾燥工程では、300℃以下、例えば100〜200℃の雰囲気に、塗布膜を曝すことにより、実施するとよい。加熱乾燥工程では特に300℃以下、例えば100〜200℃、場合によっては50〜100℃の雰囲気に塗布膜を曝して加熱することにより、実施するとよい。加熱乾燥工程における加熱温度は、微粒子として添加する有機化合物AおよびB、特に微粒子として添加する有機化合物Aの融点以下とすることが好ましい。
加熱乾燥工程で膜を加熱する加熱温度は、微粒子として添加する有機化合物Aの融点よりも低い範囲から選択することが好ましい。微粒子として有機化合物Bを添加する場合、加熱温度は、有機化合物Aの融点および有機化合物Bの融点よりも低い範囲から選択することが好ましい。有機化合物Aの融点および有機化合物Bの融点は、65℃以上、特に100℃以上、例えば120〜240℃であることが好ましく、140〜240℃であってもよい。
以上説明した一連の工程、すなわち、a)有機化合物Aの微粒子その他を含むコーティング膜の膜形成溶液の調製工程、b)膜形成溶液のガラス板上への塗布工程、c)膜形成溶液の乾燥工程を順次実施することにより、液相成膜法により、本形態のガラス板を得ることができる。この製造方法は、シリコンアルコキシドなどのシリコン含有化合物を溶質として含み、常温で固体であると共に平均分子量が5000以下である有機化合物Aを平均粒径150nm以下の微粒子として含むコーティング膜の膜形成溶液を調製する工程と、この膜形成溶液をガラス板上に塗布する工程と、このガラス板上において上記膜形成溶液を乾燥させてコーティング膜を形成する工程と、を含む、コーティング膜を有するガラス板の製造方法である。この製造方法は本発明の別の一側面を構成する。
コーティング膜の膜厚は、300nmを超え15μm以下、さらには500nm以上10μm以下、特に1000nm以上5000nm以下、が好ましい。膜が薄すぎると十分な紫外線遮蔽能が得られないことがあり、膜が厚すぎると膜の透過率が低下してガラス板の透明性を損なうことがある。
ガラス板は、特に制限されず、ソーダ石灰ケイ酸塩ガラス板を用いることができる。このガラス板の典型的な組成例を示す。以下において、ガラス板が含む各成分の含有率を示す「%」はすべて質量%である。アルカリ金属酸化物(R2O)は、具体的にはNa2OとK2Oとの合計量である。T−Fe23は、Fe23に換算した全酸化鉄である。また、各組成例は、表示されていない微量成分を含有するものであってもよい。
(クリアガラス)
SiO2:70〜73%
Al23:0.6〜2.4%
CaO:7〜12%
MgO:1.0〜4.5%
2O:13〜15%
T−Fe23:0.08〜0.2%
ソーダ石灰ケイ酸塩ガラス板としては、0.2%を超え、好ましくは0.4%以上、より好ましくは0.5%以上、例えば0.5〜1.3%の酸化鉄を含むガラス組成を有し、波長380nmにおける光線透過率が70%以下、好ましくは50%以下、波長550nmにおける光線透過率が75%以上であるガラス板を用いてもよい。このようなガラス板のいくつかの組成例を以下に例示する。
(グリーンガラス)
SiO2:70〜73%
Al23:0.6〜2.4%
CaO:7〜12%
MgO:1.0〜4.5%
2O:13〜15%
T−Fe23:0.4〜0.6%
(熱線吸収ガラス)
SiO2:70〜73%
Al23:0.6〜2.4%
CaO:7〜12%
MgO:1.0〜4.5%
2O:13〜15%
T−Fe23:0.5〜1.1%
(UVカットグリーンガラス)
SiO2:70〜73%
Al23:0.6〜2.4%
CaO:7〜12%
MgO:1.0〜4.5%
2O:13〜15%
T−Fe23:0.7〜1.3%
CeO2:0〜2%
TiO2:0〜0.5%
酸化鉄の含有量が0.1%以下、好ましくは0.01%〜0.06%である高透過率ガラス板を用いることもできる。その一例を以下に示す。
(高透過率ガラス)
SiO2:70〜73%
Al23:0.6〜2.4%
CaO:7〜12%
MgO:1.0〜4.5%
2O:13〜15%
T−Fe23:0.01〜0.06%。
ガラス板は、上記に限らず、可視域における光線透過率が低いものであってもよい。このようなガラス板としては、車両の窓ガラス用として製造されている波長550nmにおける光線透過率が20〜60%のガラス板が挙げられる。ガラス板を構成する成分のみでは、特に長波長域の紫外域を十分に遮蔽することが困難であるから、可視光透過率が低いガラス板についても、上記で説明したコーティング膜2の適用は有用である。
本形態のガラス板は、ISO9050(1990年度版)に基づく紫外線透過率TUV380が2%以下、好ましくは1%以下、より好ましくは0.5%以下でありうる。また、本形態のガラス板は、ISO13837(convention A)に従って算出した紫外線透過率TUV400が2%以下、好ましくは1.5%以下、特に好ましくは1%以下でありうる。本形態のガラス板は、CIE標準のA光源を用いて測定する可視光透過率YAが70%以上でありうる。本形態のガラス板は、TUV400が2%以下であり、かつYAが70%以上でありうる。
本形態のガラス板は、CIE標準のC光源からの透過光がL***表色系により表示して、−15以上0以下のa*と12以下のb*とを有しうる。a*は−12以上−7以下、例えば−9以上−8以下であってもよく、b*は10以下、例えば5〜10であってもよい。また、本形態のガラス板は、CIE標準のC光源についての透過光の日本工業規格(JIS)K7373:2006に規定された黄色度YIが14以下でありうる。黄色度YIは10以下、さらには8以下であってもよい。また、本形態のガラス板は、CIE標準のC光源についての透過光の主波長は、560nm以下でありうる。主波長は、555nm以下、例えば550〜555nmの範囲にあってもよい。本形態のガラス板は、JIS T7330の青色光障害関数に基づくブルーライトのカット率は、41%以下、好ましくは37%以下、特に好ましくは36%以下でありうる。
ブルーライトカット率は、太陽光の青色光による網膜損傷に関する実効放射強度(以下、太陽光の実効放射強度)に対する、ガラス板を透過させることにより減少した当該実効放射強度の比、を百分率で表示した値として定義され、具体的には、以下の方法で求めることができる。JIS T7330:2000の付属書Aに記載の青色光障害関数に関する重み関数の重み関数について波長380〜550nmを和分し、太陽光の実効放射強度を求める。つぎに上記波長域の各波長におけるガラス板の分光透過率と重み関数の積の総和をとり、当該ガラス板を透過した光の当該実効放射強度(以下、透過光の実効放射強度)を求める。透過光の実効放射強度の、太陽光の実効放射強度に対する比をとり、その値を1から減算して百分率に換算することができる。
本形態のガラス板は、波長295〜450nm、照度76mW/cm2の紫外線を100時間照射した後の紫外線透過率TUV400から上記紫外線を照射する前の紫外線透過率TUV400を差し引いた差分ΔTUV400が2%以下、さらには1%以下、特に0.5%以下でありうる。本形態のガラス板は、波長295〜450nm、照度76mW/cm2の紫外線を100時間照射した後の可視光透過率YAから上記紫外線を照射する前の可視光透過率YAを差し引いた差分ΔYAが−0.5%以上、特に−0.2%以上でありうる。ΔYAは、−0.5%以上1%以下、さらには−0.2%以上0.5%以下であってもよい。
本形態のガラス板は、建築物および輸送機材、具体的には自動車、鉄道車両、船舶、航空機など輸送機材の窓ガラスとしての使用に適しており、特に自動車の窓ガラスとしての使用に適している。しかし、自動車のドアガラスに代表されるように、昇降または開閉可能な窓ガラスとして使用される場合には、ガラス板の周縁部の表面が、ランチャネルなどと呼ばれる端部保持部材に繰り返し当接することになる。このため、長期にわたる使用期間中に膜が剥離し、窓ガラスの外観が損なわれるおそれがある。したがって、このような用途では、図2および図3に示すように、端部保持部材に当接する周縁領域12においては、窓ガラス10,20を構成するガラス板にコーティング膜11を形成しないことが好ましい。また、コーティング膜11の存在により昇降部材を用いたドアガラスの安定的な保持が困難になる場合には、図2に示すように、昇降部材に接続するための底部領域13,14においても、コーティング膜11を形成しないことが好ましい。ただし、昇降部材とドアガラスとの接続の方法または膜の種類によっては、底部領域13,14における膜の形成が接続に支障を来さないこともある。一般に、水との接触角が50度以下である膜は接続に対する影響が小さい。このような場合は、底部領域13,14からコーティング膜11を除外する必要はない(図3)。以上のように、コーティング膜11は、ガラス板の表面の一部、特に他の部材と接触する周縁部においては形成しないこととしてもよい。ただし、この場合も、窓を閉じたときに室内外を隔てることになるガラス板の主要領域の全面には、紫外線の遮蔽のため、コーティング膜11を形成するべきである。
ガラス板の表面の一部に膜を形成しない領域を確保する場合には、膜を形成する主要領域から膜を形成しない周縁領域にかけて膜厚が漸減するように、コーティング膜を形成することが好ましい。このように形成すれば、膜を形成する領域と膜を形成しない領域との境界が目立たず、外観の低下を防止できる。膜厚を漸減させた領域を有する窓ガラス(ドアガラス)の一例を図4に示す。図4に示した形態では、ドアガラスとして用いられている窓ガラス10,20が閉じられており、窓ガラス10,20の主要領域(図示左側の室外から図示右側の室内へと紫外線を含む外光が透過する領域)を構成するガラス板15の室内側表面には、コーティング膜11が紫外線遮蔽に望ましい所定膜厚となるように形成されている。他方、ガラス板15とランチャネル30とが接触するガラス板先端Aから周縁Bにかけての周縁領域においては、ガラス板15の表面にコーティング膜11が形成されていない。そして、周縁Cから周縁Bに向かうにつれて、コーティング膜11はその膜厚が徐々に薄くなるように形成されている。図4には、ランチャネル30の先端と周縁Cとが一致している形態(ランチャネルに覆われず露出しているガラス板の表面全域にコーティング膜が一定の膜厚で形成されている形態)を示したが、窓ガラス10,20の主要領域において所望の紫外線遮蔽能が得られる限り、ランチャネル30の先端と周縁Cとが一致している必要はない。また、図示したように、周縁Bからやや周縁C側に後退した位置において漸減した膜厚がゼロになる形態としてもよいが、周縁Bと膜厚がゼロになる位置とが一致しても構わない。なお、図2〜図4には、ガラス板の周縁部に膜を形成しないドアガラスを示したが、本発明によるガラス板がこのような形態に限られないことは言うまでもない。ドアガラスとして用いる場合であっても、ガラス板の全面にコーティング膜を形成してもよいし、あるいは端部保持部材に当接する周縁領域12においては膜を形成する一方、底部領域13,14において膜を形成しないこととしても構わない。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。まず、有機化合物Aとして使用する紫外線遮蔽成分を合成した。
<合成例1> 化合物1の合成
Figure 2020105022
2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(25.0g,79.2mmol)、ベンゼンチオール(17.4g,158.3mmol)、炭酸カリウム(24.1g,174.2mmol)およびヨウ化カリウム(0.9g,5.5mmol)を、DMF(N,N−ジメチルホルムアミドを意味する。以下同じ。)62.5g中で、125℃、12時間反応した。反応終了後、pHを調整した後、濾過、MeOH(メタノールを意味する。以下同じ。)洗浄、水洗を行い、再結晶、カラム精製をすることにより、化合物1を得た。
FT−IR(KBr):3000cm-1:O−H伸縮振動 1445, 1390cm-1:トリアゾール環伸縮振動 665cm-1:C-S伸縮振動
1H−NMR (CDCl3 400MHz): δ1.48 (s, 9H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3), 2.37 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3), 7.16 (s, 1H), 7.38 (d, 4H), 7.48 (s, 2H), 7.68 (s, 1H), 7.83 (d, 1H), 8.03 (d, 1H), (insg.10arom. CH), 11.55 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C−NMR (CDCl3 400MHz): δ20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 35.4 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 116.8, 118.0, 119.3, 128.3, 128.8, 129.6, 132.7 (CHarom), 125.5, 141.2, 143.2 (Carom), 129.8 (C arom-CH3), 139.2 (C arom-S) , 139.2 (S-C arom), 139.2 (C arom-C(CH3)3), 146.7 (C arom-OH)
上記において、FT−IR(KBr)とは、KBr錠剤法により調製した試料によるフーリエ変換赤外分光スペクトルにおける吸収波数とその吸収の帰属をしめす。
また、1H−NMR(CDCl3 400MHz)、13C−NMR(CDCl3 400MHz)は、それぞれ1H,13Cの核磁気共鳴スペクトル 核磁気共鳴において、1Hの核磁気共鳴周波数が400MHzである条件で、溶媒を重水素化トリクロロホルムとして調整した試料に対する化学シフトδとその帰属を示す。なお、それらNMRの化学シフトδに続く括弧内において一部の原子に下線を付したのは、その原子の原子核が当該NMRシグナルの由来であることを示している。さらに、1H−NMRにおける化学シフトδに続く括弧内のs,d,t,q,mは、そのNMRシグナルがシングレット,ダブレット,トリプレット,カルテット,マルチプレットであること、s,d,t,q,mに続くnH(nは自然数)は、そのシグナルの積分値がn個の1Hに対応すること、“insg. X arom. C” (Xは自然数)は、芳香族性を有する炭素に結合した1Hに基づくNMRシグナルの積分値がX個の1Hに対応することをしめしている。また、13C−NMRにおける化学シフトδに続く括弧内のCaromは、芳香族性を有する炭素を意味する。
<合成例2> 化合物2の合成
Figure 2020105022
2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(25.0g,79.2mmol)、4−tert−ブチルベンゼンチオール(26.3g,158.3mmol)、炭酸カリウム(24.1g,174.2mmol)およびヨウ化カリウム(0.9g,5.5mmol)を、DMF62.5g中で、125℃、12時間反応した。反応終了後、pHを調整した後、濾過、MeOH洗浄、水洗を行い、再結晶、カラム精製をすることにより、化合物2を得た。
FT−IR(KBr):3000cm-1:O−H伸縮振動 1444, 1390cm-1:トリアゾール環伸縮振動 668cm-1:C-S伸縮振動
1H−NMR (CDCl3 400MHz): δ1.36 (s, 9H, -S-Ph-C(CH 3)3), 1.48 (s, 9H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3), 2.37 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3), 7.16 (s, 1H), 7.35 (d, 1H), 7.44 (s, 4H), 7.59 (s, 1H), 7.81 (d, 1H), 8.02 (d, 1H), (insg.9arom. CH), 11.58 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C−NMR (CDCl3 400MHz): δ20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 31.3 (-S-Ph-C(CH3)3), 34.8 (-S-Ph-C(CH3)3), 35.4 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 115.4, 117.8, 119.3, 126.8, 128.8, 129.2, 133.2 (CHarom), 125.4, 141.5, 143.3 (Carom), 128.3 (C arom-CH3), 138.5 (C arom-S), 138.5 (S -C arom), 139.1, 152.0 (C arom-C(CH3)3), 146.7 (C arom-OH)
<合成例3> 化合物3の合成
Figure 2020105022
2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(25.0g,79.2mmol)、2,4−ジメチルベンゼンチオール(21.9g,158.3mmol)、炭酸カリウム(24.1g,174.2mmol)およびヨウ化カリウム(0.9g,5.5mmol)を、DMF62.5g中で、125℃、12時間反応した。反応終了後、pHを調整した後、濾過、MeOH洗浄、水洗を行い、再結晶、カラム精製をすることにより、化合物3を得た。
FT−IR(KBr):3000cm-1:O−H伸縮振動 1447, 1385cm-1:トリアゾール環伸縮振動 665cm-1:C-S伸縮振動
1H−NMR (CDCl3 400MHz): δ1.47 (s, 9H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3), 2.38 (s, 9H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3, -Ph-CH 3-CH 3), 7.08 (d, 1H), 7.15 (d, 2H), 7.30 (m, 2H), 7.43 (d, 1H), 7.77 (d, 1H), 8.01 (d, 1H), (insg.8arom. CH), 11.57 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C−NMR (CDCl3 400MHz): δ20.6 (-Ph-CH3-CH3), 20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 20.6 (-Ph-CH3-CH3), 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 35.4 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 113.3, 117.7, 119.2, 128.0, 128.3, 128.6, 135.8 (CHarom), 125.4, 141.3, 143.4, 152.0 (Carom), 128.2, 132.0, 141.9 (C arom-CH3), 138.8 (C arom-C(CH3)3), 139.1 (C arom-S), 139.9 (S -C arom), 146.6 (C arom-OH)
<合成例4> 化合物4の合成
Figure 2020105022
2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(25.0g,79.2mmol)、3−メトキシベンゼンチオール(22.2g,158.3mmol)、炭酸カリウム(24.1g,174.2mmol)およびヨウ化カリウム(0.9g,5.5mmol)を、DMF62.5g中で、125℃、12時間反応した。反応終了後、pHを調整した後、濾過、MeOH洗浄、水洗を行い、再結晶、カラム精製をすることにより、化合物4を得た。
FT−IR(KBr):3000cm-1:O−H伸縮振動 1450, 1380cm-1:トリアゾール環伸縮振動 660cm-1:C-S伸縮振動
1H−NMR (CDCl3 400MHz): δ1.48 (s, 9H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3), 2.38 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3), 3.79 (s, 3H, CH 3O-Ph-S-), 6.90 (d, 1H), 7.00 (s, 1H), 7.06 (d, 1H), 7.17 (s, 1H), 7.30 (s, 1H), 7.40 (d, 1H), 7.74 (s, 1H), 7.84 (s, 1H), 8.04 (s, 1H), (insg.9arom. CH), 11.56 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C−NMR (CDCl3 400MHz): δ20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 35.4 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 55.4 (-S-Ph-O-CH3), 114.1, 117.3, 117.5, 118.0, 119.3, 124.6, 128.9, 130.0, 130.4 (CHarom), 125.4, 141.5, 143.3 (Carom), 128.3 (C arom-CH3), 138.5 (C arom-S), 138.5 (S -C arom), 139.1, (C arom-C(CH3)3), 146.7 (C arom-OH), 159.9 (C arom-OCH3)
<合成例5> 化合物5の合成
Figure 2020105022
4−tert−アミルフェノール(25.0g,152.2mmol)、ジメチルカルバモイルクロリド(28.2g,228.3mmol)、水素化ナトリウム(7.3g,167.4mmol)を、THF(テトラヒドロフランを意味する。以下同じ)50g中で60℃、4時間反応した。反応終了後、トルエンと水を加えた後、塩酸を加えて酸処理を行い、水洗した有機層を減圧留去した。得られた液体をカラム精製することで、固体の中間体5−1を得た。得られた中間体5−1をスルホラン50g中で240℃、4時間反応した。反応終了後、トルエンと水を加えて水洗を行い、減圧留去後を行って液体の中間体5−2を得た。得られた中間体5−2と水酸化カリウムをエタノール中で60℃、3時間攪拌し、冷却後、塩酸を加えて攪拌し、水洗、再結晶、カラム精製を行うことで、4−tert−アミルチオフェノールを得た。
2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(3.8g, 12.0mmol)、4−tert−アミルチオフェノール(2.8g, 15.5mmol)、炭酸カリウム(3.6g,26.4mmol)およびヨウ化カリウム(0.1g,0.8mmol)を、DMF62.5g中で、125℃、12時間反応した。反応終了後、pHを調整した後、濾過、MeOH洗浄、水洗を行い、再結晶、カラム精製をすることにより、化合物5を得た。
FT−IR(KBr):3000cm-1:O−H伸縮振動 1450, 1380cm-1:トリアゾール環伸縮振動 660cm-1:C-S伸縮振動
1H−NMR (CDCl3 400MHz): δ0.72 (t, 3H, -S-Ph-CCH2CH 3), 1.31 (s, 6H, -S-Ph-C(CH 3)2), 1.48 (s, 9H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3), 1.66 (q, 2H, -S-Ph-CCH 2CH3), 2.37 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3), 7.16 (d, 1H), 7.36 (m, 3H), 7.44 (d, 2H), 7.60 (s, 1H), 7.81 (d, 1H), 8.02 (s, 1H), (insg.9arom. CH), 11.58 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C−NMR (CDCl3 400MHz): δ9.18 (-S-Ph-CCH2 CH3), 20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 28.3 (-S-Ph-C(CH3)2), 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 35.4 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 36.8 (-S-Ph-C(CH3)2), 38.1 (-S-Ph-CCH2CH3), 115.5, 117.8, 119.3, 127.4, 128.8, 129.3, 133.0 (CHarom), 125.4, 141.5, 143.3 (Carom), 128.3 (C arom-CH3), 138.4 (C arom-S), 138.4 (S -C arom), 139.1 (C arom-C(CH3)3), 146.7 (C arom-OH), 150.4 (C arom-C(CH3)2)
<合成例6> 化合物6の合成
Figure 2020105022
2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(25.0g, 79.2mmol)、4-イソプロピルベンゼンチオール(24.1g, 158.3mmol)、炭酸カリウム(24.1g, 174.2mmol)およびヨウ化カリウム(0.92g, 5.54mmol)を、DMF62.5g中で、125℃、12時間反応した。反応終了後、pHを調整した後、濾過、MeOH洗浄、水洗を行い、再結晶、カラム精製をすることにより、化合物6を得た。
FT−IR(KBr):3000cm-1:O−H伸縮振動 1446, 1389cm-1:トリアゾール環伸縮振動 666cm-1:C-S伸縮振動
1H−NMR (CDCl3 400MHz): δ1.30 (d, 6H, (CH 3)2CH-Ph-S-), 1.48 (s, 9H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3), 2.37 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3), 2.95 (m, 1H, (CH3)2CH-Ph-S-), 7.16 (s, 1H), 7.28 (s, 2H), 7.36 (d, 1H), 7.45 (s, 2H), 7.57 (s, 1H), 7.81 (d, 1H), 8.02 (d, 1H), (insg.9arom. CH), 11.58 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C−NMR (CDCl3 400MHz): δ20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 23.9 ((CH3)2CH-Ph-S-), 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 33.9 ((CH3)2 CH-Ph-S-), 35.4 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 115.3, 117.8, 119.3, 127.9, 128.7, 129.2, 129.6, 133.6 (CHarom), 125.4, 141.4, 143.3 (Carom), 128.3 (C arom-CH3), 138.5 (C arom-S), 138.5 (S -C arom), 139.1 (C arom-C(CH3)3), 146.7 (C arom-OH), 149.7 (Carom-CH)
<合成例7> 化合物7の合成
Figure 2020105022
4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(25.0g,121.2mmol)、ジメチルカルバモイルクロリド(22.5g,181.7mmol)、水素化ナトリウム(5.8g,133.3mmol)を、THF50g中で60℃、4時間反応した。反応終了後、トルエンと水を加えた後、塩酸を加えて酸処理を行い、水洗した有機層を減圧留去した。得られた液体をカラム精製することで、固体の中間体7−1を得た。得られた中間体7−1をスルホラン50g中で240℃、4時間反応した。反応終了後、トルエンと水を加えて水洗を行い、減圧留去後を行って液体の中間体7−2を得た。得られた中間体7−2と水酸化カリウムをエタノール中で60℃、3時間攪拌し、冷却後、塩酸を加えて攪拌し、水洗、再結晶、カラム精製を行うことで、4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)チオフェノールを得た。
2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(5.5g, 17.3mmol)、4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)チオフェノール(5.0g, 22.5mmol)、炭酸カリウム(5.3g,38.1mmol)およびヨウ化カリウム(0.2g,1.2mmol)を、DMF60g中で、125℃、12時間反応した。反応終了後、pHを調整した後、濾過、MeOH洗浄、水洗を行い、再結晶、カラム精製をすることにより、化合物7を得た。
FT−IR(KBr):3000cm-1:O−H伸縮振動 1450, 1380cm-1:トリアゾール環伸縮振動 660cm-1:C-S伸縮振動
1H−NMR (CDCl3 400MHz): δ0.76 (s, 9H, -S-Ph-CCH2C(CH 3)3), 1.40 (s, 6H, -S-Ph-C(CH 3)2), 1.48 (s, 9H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3), 1.77 (s, 2H, -S-Ph-CCH 2), 2.37 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3), 7.16 (d, 1H), 7.34 (m, 1H), 7.42 (s, 4H), 7.59 (s, 1H), 7.80 (d, 1H), 8.02 (s, 1H), (insg.9arom. CH), 11.58 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C−NMR (CDCl3 400MHz): δ20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 31.8 (-S-Ph-CCH2C(CH3)3), 31.4 (-S-Ph-C(CH3)2), 32.5 (-S-Ph-C), 35.4 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 38.6 (-S-Ph-CCH2 C(CH3)3), 57.0 (-S-Ph-CCH2), 115.4, 117.8, 119.3, 127.6, 128.7, 129.2, 133.0 (CHarom), 125.4, 141.5, 143.3 (Carom), 128.3 (C arom-CH3), 138.5 (C arom-S), 138.5 (S -C arom), 139.1 (C arom-C(CH3)3), 146.7 (C arom-OH), 151.2 (C arom-C(CH2)2)
<合成例8> 化合物8の合成
Figure 2020105022
2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(25.0g, 79.2mmol)、5−tert−ブチル−2−メチルベンゼンチオール(28.5g, 158.3mmol)、炭酸カリウム(24.1g, 174.2mmol)およびヨウ化カリウム(0.92g, 5.54mmol)を、DMF62.5g中で、125℃、12時間反応した。反応終了後、pHを調整した後、濾過、MeOH洗浄、水洗を行い、再結晶、カラム精製をすることにより、化合物8を得た。
FT−IR(KBr):3000cm-1:O−H伸縮振動 1450, 1385cm-1:トリアゾール環伸縮振動 665cm-1:C-S伸縮振動
1H−NMR (CDCl3 400MHz): δ1.31 (s, 9H, -S-Ph-C(CH 3)3), 1.48 (s, 9H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3), 2.36 (s, 6H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3, -S-Ph-CH 3), 7.15 (d, 1H), 7.34 (m, 4H), 7.56 (d, 1H), 7.80 (d, 1H), 8.01 (d, 1H), (insg.8arom. CH), 11.57 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C−NMR (CDCl3 400MHz): δ20.1 (-Ph-CH3), 20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 31.3 (-Ph-CH3-C(CH3)3), 34.5 (-Ph-CH3-C(CH3)3), 35.4 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 113.6, 117.7, 119.2, 126.7, 128.7, 130.4, 130.8, 132.5 (CHarom), 125.4, 141.3, 143.4, 152.0 (Carom), 128.3, 128.4 (C arom-CH3), 138.5 (C arom-S), 139.1 (S -C arom), 138.8, 150.4 (C arom-C(CH3)3), 146.6 (C arom-OH)
<合成例9> 化合物9の合成
Figure 2020105022
2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(25.0g, 79.2mmol)、p−トルエンチオール(19.7g, 158.3mmol)、炭酸カリウム(24.1g, 174.2mmol)およびヨウ化カリウム(0.92g, 5.54mmol)、DMF62.5g中で、125℃、12時間反応した。反応終了後、pHを調整した後、濾過、MeOH洗浄、水洗を行い、再結晶、カラム精製をすることにより、化合物9を得た。
FT−IR(KBr):3000cm-1:O−H伸縮振動 1444, 1389cm-1:トリアゾール環伸縮振動 667cm-1:C-S伸縮振動
1H−NMR (CDCl3 400MHz): δ1.48 (s, 9H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3), 2.37 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3) , 2.40 (s, 3H, CH 3-Ph-S-) , 7.16 (s, 1H), 7.23 (s, 2H), 7.32 (d, 1H), 7.43 (s, 2H), 7.56 (s, 1H), 7.81 (d, 1H), 8.02 (d, 1H), (insg.9arom. CH), 11.56 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C−NMR (CDCl3 400MHz): δ20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 21.2 (CH3-Ph-S-), 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 35.4 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3) , 115.3, 117.8, 119.3, 128.7, 129.3 130.5, 133.7(CHarom), 125.4, 141.2, 143.4 (Carom), 128.3 (C arom-CH3), 138.9(C arom-S) , 138.7(S -C arom), 139.1(C arom-C(CH3)3), 146.7(C arom-OH)
<合成例10> 化合物10の合成
Figure 2020105022
2,4−ジ−tert−アミルフェノール(25.0g,106.7mmol)、ジメチルカルバモイルクロリド(19.8g,160.0mmol)、水素化ナトリウム(5.1g,117.4mmol)を、THF50g中で60℃、4時間反応した。反応終了後、トルエンと水を加えた後、塩酸を加えて酸処理を行い、水洗した有機層を減圧留去した。得られた液体をカラム精製することで、固体の中間体10−1を得た。得られた中間体10−1をスルホラン50g中で240℃、4時間反応した。反応終了後、トルエンと水を加えて水洗を行い、減圧留去後を行って液体の中間体10−2を得た。得られた中間体10−2と水酸化カリウムをエタノール中で60℃、3時間攪拌し、冷却後、塩酸を加えて攪拌し、水洗、再結晶、カラム精製を行うことで、2,4−ジ−tert−アミルチオフェノールを得た。
2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(2.9g,9.2mmol)、2,4−ジ−tert−アミルチオフェノール(3.0g, 12.0mmol)、炭酸カリウム(2.8g,20.3mmol)およびヨウ化カリウム(0.1g,0.6mmol)を、DMF60g中で、125℃、12時間反応した。反応終了後、pHを調整した後、濾過、MeOH洗浄、水洗を行い、再結晶、カラム精製をすることにより、化合物10を得た。
FT−IR(KBr):3000cm-1:O−H伸縮振動 1450, 1380cm-1:トリアゾール環伸縮振動 660cm-1:C-S伸縮振動
1H−NMR (CDCl3 400MHz): δ0.60 (m, 6H, -S-Ph-(CCH2CH 3)2), 1.23 (s, 6H, -S-Ph-C(CH 3)2), 1.39 (m, 15H, -S-Ph-C(CH 3)2,-Ph-OH-CH3-C(CH 3)3), 1.58 (q, 2H, -S-Ph-CCH 2CH3), 1.96 (q, 2H, -S-Ph-CCH 2CH3), 2.26 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3), 7.05 (m, 2H), 7.20 (d, 1H), 7.27 (s, 1H), 7.30 (s, 1H), 7.35 (s, 1H), 7.68 (d, 1H), 7.92 (d, 1H), (insg.8arom. CH), 11.50 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C−NMR (CDCl3 400MHz): δ9.22 (-S-Ph-CCH2 CH3), 9.54 (-S-Ph-CCH2 CH3), 20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 28.3 (-S-Ph-C(CH3)2), 28.8 (-S-Ph-C(CH3)2), 29.6 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 34.4 (-S-Ph-C), 35.4 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 37.0 (-S-Ph-C), 36.8 (-S-Ph-CCH2), 40.5 (-S-Ph-CCH2), 114.0, 117.6, 119.3, 125.0, 126.6, 127.3, 128.6, 128.7, 140.9 (CHarom), 125.4, 141.2, 143.4 (Carom), 128.3 (C arom-CH3), 138.3 (C arom-S), 138.3 (S -C arom), 139.1 (C arom-C(CH3)3), 146.6 (C arom-OH), 150.1 (C arom-C), 150.2 (C arom-C)
<合成例11> 化合物11の合成
Figure 2020105022
2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(25.0g, 79.2mmol)、4-ヒドロキシベンゼンチオール(20.0g, 158.3mmol)、炭酸カリウム(24.1g, 174.2mmol)およびヨウ化カリウム(0.92g, 5.54mmol)を、DMF62.5g中で、125℃、12時間反応した。反応終了後、pHを調整した後、濾過、MeOH洗浄、水洗を行い、再結晶、カラム精製をすることにより、化合物11を得た。
FT−IR(KBr):3000cm-1:O−H伸縮振動 1445, 1390cm-1:トリアゾール環伸縮振動 667cm-1:C-S伸縮振動
1H−NMR (CDCl3 400MHz): δ1.48 (s, 9H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3), 2.36 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3), 5.02 (s, 1H, -Ph-OH), 6.90 (d, 2H), 7.15 (s, 1H), 7.29 (d, 1H), 7.46 (m, 3H), 7.80 (d, 1H), 8.01 (d, 1H), (insg.9arom. CH), 11.57 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C−NMR (CDCl3 400MHz): δ20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 35.4 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 114.0, 116.9, 117.7, 119.3, 128.3, 136.5 (CHarom), 125.4, 141.3, 143.3 (Carom), 128.7 (C arom-CH3), 139.1 (C arom-C(CH3)3), 139.8 (C arom-S), 139.8 (S -C arom), 146.7, 156.6 (C arom-OH)
<合成例12> 化合物12の合成
Figure 2020105022
2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(25.0g, 79.2mmol)、2-ナフタレンチオール(25.4g, 158.3mmol)、炭酸カリウム(24.1g, 174.2mmol)およびヨウ化カリウム(0.92g, 5.54mmol)を、DMF62.5g中で、125℃、12時間反応した。反応終了後、pHを調整した後、濾過、MeOH洗浄、水洗を行い、再結晶、カラム精製をすることにより、化合物12を得た。
FT−IR(KBr):3000cm-1:O−H伸縮振動 1444, 1389cm-1:トリアゾール環伸縮振動 667cm-1:C-S伸縮振動
1H−NMR (CDCl3 400MHz): δ1.48 (s, 9H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3), 2.36 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3), 7.16 (s, 1H), 7.39 (d, 1H), 7.51 (m, 3H), 7.72-7.86 (m, 5H), 8.02 (d, 1H), (insg.12arom.CH), 11.56 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C−NMR (CDCl3 400MHz): δ20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 35.4 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 117.0, 118.0, 119.3, 126.8, 127.6, 127.8, 128.9, 129.4, 131.0, 131.9, 132.8, 133.9 (CHarom), 125.4, 131.0, 133.9, 141.7, 143.2 (Carom), 128.3 (C arom-CH3), 137.2 (C arom-S), 137.2 (S -C arom), 139.2 (C arom-C(CH3)3), 146.7 (C arom-OH)
<合成例13> 化合物13の合成
Figure 2020105022
2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(25.0g, 79.2mmol)、4,4'-チオビスベンゼンチオール(9.0g, 36.0mmol)、炭酸カリウム(10.9g, 79.2mmol)およびヨウ化カリウム(0.4g, 2.5mmol)を、DMF62.5g中で、125℃、12時間反応した。反応終了後、pHを調整した後、濾過、MeOH洗浄、水洗を行い、再結晶、カラム精製をすることにより、化合物13を得た。
FT−IR(KBr):3000cm-1:O−H伸縮振動 1444, 1389cm-1:トリアゾール環伸縮振動 667cm-1:C-S伸縮振動
1H−NMR (CDCl3 400MHz): δ1.48 (s, 18H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3), 2.37 (s, 6H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3), 7.17 (s, 2H), 7.32-7.39 (m, 10H), 7.77 (s, 2H), 7.83 (d, 2H), 8.03 (d, 2H), (insg.18arom.CH), 11.53 (s, 2H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C−NMR (CDCl3 400MHz): δ20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 35.4 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 118.0, 118.2, 119.4, 129.0, 130.2, 131.9, 132.6, 133.6 (CHarom), 125.3, 141.8, 143.2 (Carom), 128.4 (C arom-CH3), 135.3 (C arom-S), 136.0 (S -C arom), 139.2 (C arom-C(CH3)3), 146.8 (C arom-OH)
<合成例14> 化合物14の合成
Figure 2020105022
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(24.6g,107.8mmol)、ジメチルカルバモイルクロリド(40.0g,323.6mmol)、水素化ナトリウム(10.4g,238.4mmol)を、THF100g中で60℃、4時間反応した。反応終了後、トルエンと水を加えた後、塩酸を加えて酸処理を行い、水洗した有機層を減圧留去した。得られた液体をカラム精製することで、固体の中間体14−1を得た。得られた中間体14−1をスルホラン50g中で240℃、4時間反応した。反応終了後、トルエンと水を加えて水洗を行い、減圧留去後を行って固体の中間体14−2を得た。得られた中間体14−2と水酸化カリウムをエタノール中で60℃、3時間攪拌し、冷却後、塩酸を加えて攪拌し、水洗、再結晶、カラム精製を行うことで、2,2−ビス(4−メルカプトフェニル)プロパンを得た。
2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(8.0g, 25.3mmol)、2,2−ビス(4−メルカプトフェニル)プロパン(3.0g, 11.5mmol)、炭酸カリウム(7.0g,50.6mmol)およびヨウ化カリウム(0.3g,1.8mmol)を、DMF60g中で、125℃、12時間反応した。反応終了後、pHを調整した後、濾過、MeOH洗浄、水洗を行い、再結晶、カラム精製をすることにより、化合物14を得た。
FT−IR(KBr):3000cm-1:O−H伸縮振動 1450, 1380cm-1:トリアゾール環伸縮振動 660cm-1:C-S伸縮振動
1H−NMR (CDCl3 400MHz): δ1.49 (s, 18H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3), 1.73 (s, 6H, -S-Ph-C(CH 3)2), 2.37 (s, 6H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3), 7.16 (d, 2H), 7.29 (m, 4H), 7.37 (m, 2H), 7.41 (m, 4H), 7.67 (s, 2H), 7.81 (d, 2H), 8.02 (s, 2H), (insg.18arom. CH), 11.58 (s, 2H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C−NMR (CDCl3 400MHz): δ20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 30.6 (-S-Ph-C(CH3)2-Ph-S), 5.4 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 43.0 (-S-Ph-C(CH3)2-Ph-S), 116.3, 117.9, 119.3, 128.1, 128.8, 129.6, 132.7 (CHarom), 125.4, 141.5, 143.3 (Carom), 128.3 (C arom-CH3), 137.6 (C arom-S), 137.6 (S -C arom), 139.2 (C arom-C(CH3)2), 146.7 (C arom-OH)
<合成例15> 化合物15の合成
Figure 2020105022
ビフェニル-4,4’−ジオール(20.0g,107.4mmol)、ジメチルカルバモイルクロリド(39.8g,322.0mmol)、水素化ナトリウム(10.3g,236.1mmol)を、THF100g中で60℃、4時間反応した。反応終了後、トルエンと水を加えた後、塩酸を加えて酸処理を行い、水洗した有機層を減圧留去した。得られた液体をカラム精製することで、固体の中間体15−1を得た。得られた中間体15−1をスルホラン50g中で240℃、4時間反応した。反応終了後、トルエンと水を加えて水洗を行い、減圧留去後を行って固体の中間体15−2を得た。得られた中間体15−2と水酸化カリウムをエタノール中で60℃、3時間攪拌し、冷却後、塩酸を加えて攪拌し、水洗、再結晶、カラム精製を行うことで、ビフェニル-4,4’−ジチオールを得た。
2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(4.6g, 14.6mmol)、ビフェニル-4,4’−ジチオール(1.5g, 6.9mmol)、炭酸カリウム(4.0g,28.9mmol)およびヨウ化カリウム(0.2g,1.2mmol)を、DMF60g中で、125℃、12時間反応した。反応終了後、pHを調整した後、濾過、MeOH洗浄、水洗を行い、再結晶、カラム精製をすることにより、化合物15を得た。
FT−IR(KBr):3000cm-1:O−H伸縮振動 1450, 1380cm-1:トリアゾール環伸縮振動 660cm-1:C-S伸縮振動
1H−NMR (CDCl3 400MHz): δ1.48 (s, 18H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3), 2.38 (s, 6H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3), 7.17 (d, 2H), 7.41 (d, 2H), 7.55 (d, 4H), 7.41 (d, 4H), 7.77 (s, 2H), 7.85 (d, 2H), 8.04 (d, 2H), (insg.18arom. CH), 11.56 (s, 2H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C−NMR (CDCl3 400MHz): δ20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 35.4 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 118.1, 119.3, 128.1, 128.4, 128.9, 130.0, 132.8 (CHarom), 125.4, 141.7 143.2 (Carom), 128.4 (C arom-CH3), 136.9 (C arom-S), 136.9 (S -C arom), 139.2 (C arom-C(CH3)3), 146.8 (C arom-OH)
<合成例16> 化合物16の合成
Figure 2020105022
2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(32.3g, 0.102mol)、シクロヘキサンチオール(23.8g, 0.205mol)、炭酸カリウム(31.1g, 0.225mol)およびヨウ化カリウム(1.2g, 0.007mol)を、DMF100g中で、125℃、12時間反応した。反応終了後、pHを調整した後、濾過、MeOH洗浄、水洗を行い、再結晶、カラム精製をすることによって、化合物16を得た。
FT−IR(KBr):2930cm-1:O−H伸縮振動 1450, 1391cm-1:トリアゾール環伸縮振動 667cm-1:C-S伸縮振動
1H−NMR (CDCl3 400MHz): δ 1.40 (m, 4H, CH2(CH 2)2(CH2)2CH-S), 1.49 (S, 9H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3), 1.54 (m, 2H, CH 2(CH2)2(CH2)2CH-S), 1.83 (m, 2H, CH2(CH2)2CH2CH 2CH-S), 2.06 (m, 2H, CH2(CH2)2CH 2CH2CH-S), 2.38 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3), 3.29 (m, 1H, CH2CH2CH2CH-S), 7.17 (s, 1H), 7.43 (d, 1H), 7.80 (s, 1H), 7.84 (d, 1H), 8.06 (d, 1H), (insg.5arom. CH), 11.62 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C−NMR (CDCl3 400MHz): δ 20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 25.7 (CH2(CH2)2 (CH2)2CH-S), 26.0 (CH2(CH2)2(CH2)2CH-S), 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 33.1 (CH2(CH2)2(CH2)2CH-S), 35.4 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 46.3 (CH2(CH2)2(CH2)2 CH-S), 117.2, 117.5, 119.3, 128.3, 128.8 (CHarom), 141.5, 143.2 (C arom), 125.4 (C arom-N), 131.2 (C arom-CH3), 136.1 (C arom-S), 139.1 (C arom-C(CH3)3), 146.7 (C arom-OH)
<合成例17> 化合物17の合成
Figure 2020105022
トルエン500mL中に2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(59.2g,0.187mol)を加え80℃に加熱した。次に、三塩化アルミニウム(50.0g,0.375mol)を加え、30分攪拌した後、室温まで冷却し、氷冷したイオン交換水500mLをゆっくりと加えた。その後、水層を除去して有機層を水洗し、減圧留去した後、再結晶を行うことで、中間体17−1を得た。得られた中間体17−1(20.0g,0.077mol)、ベンゼンチオール(11.0g, 0.100mol)、炭酸カリウム(23.4g,0.169mol)およびヨウ化カリウム(0.9g,0.005mol)を、DMF80g中で、125℃、12時間反応した。反応終了後、pHを調整した後、濾過、MeOH洗浄、水洗を行い、再結晶、カラム精製をすることによって、化合物17を得た。
FT−IR(KBr):2950cm-1:O−H伸縮振動 1459, 1388cm-1:トリアゾール環伸縮振動 670cm-1:C-S伸縮振動
1H−NMR (CDCl3 400MHz): δ2.38 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3), 7.09 (d, 1H), 7.14 (d, 1H), 7.38 (d, 4H), 7.48 (d, 2H), 7.69 (s, 1H), 7.83 (d, 1H), 8.14 (d, 1H), (insg.11arom. CH), 10.94 (s, 1H, -Ph-OH-CH3)
13C−NMR (CDCl3 400MHz): δ20.5 (-Ph-OH-CH3), 116.8, 118.1, 118.8, 121.0, 128.3, 129.6, 131.3, 132.8 (CHarom), 124.8, 141.8, 143.4 (Carom), 129.9 (C arom-CH3), 137.6 (C arom-S) , 139.2 (S-C arom), 147.5 (C arom-OH)
<合成例18> 化合物18の合成
Figure 2020105022
5−クロロ−2−ニトロアニリン(150.0g,0.869mol)を42%テトラフルオロホウ酸(381.6g,1.825mol)に加えて5〜10℃に冷却し、50%亜硝酸ナトリウム水溶液(119.7g,0.869mol)を5〜10℃で2時間かけて滴下した。滴下後、1時間攪拌し、ジエチルエーテルを加えて結晶をろ過した後、洗浄を行うことで、中間体18−1を得た。
4-tert-オクチルフェノール(130.0g,0.630mol)、水酸化ナトリウム(26.5g,0.663mol)、炭酸ナトリウム(35.4g,0.334mol)をメタノール850mLとイオン交換水450mL中に加えて混合し、イオン交換水3240mLに溶解した中間体18−1(171.0g,0.630mol)を4時間かけて5〜10℃で滴下した。滴下後、1時間攪拌し、酸処理を行って析出した結晶をろ過後、洗浄を行うことで、中間体18−2を得た。
トルエン400mL中に中間体18−2(75.0g,0.192mol)、2MNaOH水溶液(288.5g)、亜鉛粉末(150.99g)を加えて85℃で2時間攪拌した。反応終了後、ろ過、洗浄を行い、再結晶をすることによって、中間体18−3を得た。
中間体18−3(5.0g,0.014mol)、4−tert−ブチルベンゼンチオール(3.5g,0.021mol)、炭酸カリウム(4.3g,0.031mol)およびヨウ化カリウム(0.2g,0.001mol)を、DMF50g中で、125℃、12時間反応した。反応終了後、pHを調整した後、濾過、MeOH洗浄、水洗を行い、再結晶、カラム精製をすることにより、中間体18−4を得た。
中間体18−4(0.20g,0.410mmol)、ホルマリン水溶液(0.05g,0.615mmol)、ジエチルアミン(0.05g,0.697mmol)を1−ブタノール25mLに加え、150℃、17時間反応した。反応終了後、カラム精製をすることにより、中間体18−5を得た。
中間体18−4(1.00g,2.052mmol)、中間体18−5(1.34g,2.341mmol)、28%ナトリウムメチラートMeOH溶液(1.33g)をキシレン25mLに加え、オートクレーブで175℃、15時間反応した。反応終了後、カラム精製をすることにより、化合物18を得た。
FT−IR(KBr):2953cm-1:O−H伸縮振動 1460, 1389cm-1:トリアゾール環伸縮振動 670cm-1:C-S伸縮振動
1H−NMR (CDCl3 400MHz): δ0.68 (s, 18H, -Ph-OH-CCH2C(CH 3)3), 1.35 (s, 18H, -S-Ph-C(CH 3)3), 1.36 (s, 12H, -Ph-OH-C(CH 3)2CH2C(CH3)3), 1.70 (s, 4H, -Ph-CCH 2C), 4.26 (s, 2H, -Ph-OH-CH 2-OH-Ph-), 7.34 (m, 2H), 7.37 (m, 2H), 7.43 (d, 8H), 7.63 (s, 2H), 7.80 (d, 2H), 8.02 (d, 2H), (insg.18arom. CH), 11.36 (s, 2H, -Ph-OH)
13C−NMR (CDCl3 400MHz): δ30.9 (-Ph-OH-CH2-OH-Ph-), 31.3 (-S-Ph-C(CH3)3), 31.7 (-Ph-OH-C(CH3)2CH2C(CH3)3), 31.8 (-Ph-OH-C(CH3)2CH2C(CH3)3), 32.3 (-Ph-OH-C(CH3)2CH2 C(CH3)3), 34.7 (-S-Ph-C(CH3)3), 38.2 (-Ph-OH-C(CH3)2CH2C(CH3)3), 56.6 (-Ph-OH-C(CH3)2 CH2C(CH3)3), 115.9, 116.5, 117.9, 126.7, 129.4, 129.6, 133.0 (CHarom), 124.4, 141.6, 143.4 (Carom), 129.3 (C arom-CH2), 129.9 (C arom-S), 138.1 (S -C arom), 141.4 (C arom-C(CH3)3), 145.6 (C arom-OH), 151.8 (C arom-C(CH3)2)
<合成例19> 化合物19の合成
Figure 2020105022
2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(50.0g,0.158mol)、オクタンチオール(46.3g,0.316mol)、炭酸カリウム(48.1g,0.348mol)およびヨウ化カリウム(1.8g,0.011mol)を、DMF125g中で、125℃、12時間反応した。反応終了後、pHを調整した後、濾過、MeOH洗浄、水洗を行い、再結晶をすることにより、化合物19を得た。
FT−IR(KBr):2956cm-1:O−H伸縮振動 1445, 1392cm-1:トリアゾール環伸縮振動 662cm-1:C-S伸縮振動
1H−NMR (CDCl3 400MHz): δ 0.89 (t, 3H, CH 3(CH2)7-S) , 1.33 (m, 8H, CH3(CH 2)4(CH2)3-S), 1.49 (m, 11H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3, CH3(CH2)4CH 2(CH2)2-S), 1.73 (quin, 2H, CH3(CH2)5CH 2CH2-S), 2.38 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3) , 3.02 (t, 2H, CH3(CH2)5CH2CH 2-S), 7.16 (s, 1H), 7.36 (d, 1H), 7.69 (s, 1H), 7.78 (d, 1H), 8.04 (s, 1H), (insg.5arom. CH), 11.62 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C−NMR (CDCl3 400MHz): δ 14.0 (CH3(CH2)7-S), 20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 22.6 (CH3 CH2(CH2)5CH2-S), 28.7 (CH3CH2(CH2)4CH2CH2-S), 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 31.8 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3) , 33.8 (CH3(CH2)5 CH2CH2-S), 35.4 (CH3(CH2)5CH2 CH2-S), 113.6, 117.5, 119.3, 128.7, 129.2 (CHarom), 125.4, 141.2, 143.4 (C arom), 128.3 (C arom-CH3), 138.0(C arom-S), 139.1(C arom-C(CH3)3), 146.7(C arom-OH)
<合成例20> 化合物20の合成
Figure 2020105022
2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(20.0g, 63.3mmol)、ベンジルメルカプタン(15.7g,126.6mmol)、炭酸カリウム(19.3g, 139.4mmol)およびヨウ化カリウム(0.74g, 4.5mmol)を、DMF50.0g中で、125℃、12時間反応した。反応終了後、pHを調整した後、濾過、MeOH洗浄、水洗を行い、再結晶をすることにより、化合物20を得た。
FT−IR(KBr):2960cm-1:O−H伸縮振動 1441, 1392cm-1:トリアゾール環伸縮振動 664cm-1:C-S伸縮振動
1H−NMR (CDCl3 400MHz): δ1.49 (s, 9H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3), 2.38 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3) , 4.24 (s, 2H, Ph-CH 2-S-) , 7.16 (s, 1H), 7.26〜7.38 (m, 6H), 7.72 (s, 1H), 7.80 (d, 1H), 8.04 (d, 1H), (insg.10arom. CH), 11.58 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C−NMR (CDCl3 400MHz): δ20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 35.4 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 38.6 (Ph-CH2-S-), 115.4, 117.6, 119.3, 128.7, 128.8, 128.8, 129.7, 137.0(CHarom), 125.4, 141.4, 143.4 (C arom), 128.3 (C arom-CH3), 136.5(C arom CH2-S-) , 138.7(S -C arom), 139.1(C arom-C(CH3)3), 146.7(C arom-OH)
<合成例21> 化合物21の合成
Figure 2020105022
2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(10.0g, 31.7mmol)、ヘキサンジチオール(4.76g, 31.7mmol)、炭酸カリウム(8.75g, 63.3mmol)およびヨウ化カリウム(0.37g, 2.2mmol)を、DMF50g中で、130℃、12時間反応した。反応終了後、pHを調整した後、濾過、MeOH洗浄、水洗を行い、再結晶、カラム精製をすることにより、化合物21を得た。
FT−IR(KBr):3009cm-1:O−H伸縮振動 1431, 1391cm-1:トリアゾール環伸縮振動 656cm-1:C-S伸縮振動
1H−NMR (CDCl3 400MHz): δ1.49 (s, 18H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3), 1.55 (m, 4H, -S-CH2CH2CH 2CH 2CH2CH2-S-), 1.77 (m, 4H, -S-CH2CH 2CH2CH2CH 2CH2-S-), 2.38(s, 6H, (-Ph-OH-CH 3-C(CH3)3) , 3.04 (t, 4H, -S-CH 2CH2CH2CH2CH2CH 2-S-), 7.16 (s, 2H), 7.37 (d, 2H), 7.70 (s, 2H), 7.81 (d, 2H), 8.05 (s, 2H) (insg.10arom. CH), 11.60 (s, 2H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C−NMR (CDCl3 400MHz): δ20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 28.4 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 28.6 -S-CH2CH2 CH2 CH2CH2CH2-S-, 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 33.1 -S-CH2 CH2CH2CH2 CH2CH2-S-, 35.4 -S-CH2CH2CH2CH2CH2 CH2-S-, 113.7, 117.6, 119.3, 128.3, 129.3 (CHarom), 141.2, 143.4 (C arom), 125.4(C arom-N), 128.3 (C arom-CH3), 137.7(C arom-S), 139.1(C arom-C(CH3)3, 146.7(C arom-OH)
次に、有機化合物Aとして合成した各化合物の特性を評価した。
1.耐光性評価
20wt%アクリル樹脂(パラロイドB72)トルエン溶液に、化合物の溶解度を勘案しながら下記の質量比で化合物1〜16,19〜21を溶解した後、ソーダガラス板に塗工し、80℃、10分乾燥し評価サンプルを得た。
・化合物1〜6,8〜11,16,19,20
配合比率(質量比)
20wt%アクリル樹脂トルエン溶液:化合物=3.0:0.1
(アクリル樹脂:化合物=0.6:0.1)
ドライ膜厚:2〜3μm
・化合物7,12
配合比率
20wt%アクリル樹脂トルエン溶液:化合物=6.0:0.1
(アクリル樹脂:化合物=1.2:0.1)
ドライ膜厚:4〜6μm
・化合物13
配合比率(質量比)
20wt%アクリル樹脂トルエン溶液:化合物=12.0:0.1
(アクリル樹脂:化合物=2.4:0.1)
ドライ膜厚:7〜9μm
・化合物14,15,21
配合比率(質量比)
20wt%アクリル樹脂トルエン溶液:化合物=17.0:0.1
(アクリル樹脂:化合物=3.4:0.1)
ドライ膜厚:50μm
得られた評価サンプルについて、紫外可視分光光度計(日立製作所製 分光光度計U−3310)で紫外−可視透過スペクトルを測定し、波長400nmの初期(照射前)の紫外線透過率(%T(1)400:%)を読み取った後、紫外線照射装置(スガ試験機製 キセノンウェザーメーターX25FL−Z)を用い、波長300〜400nm、照度42W/m2、ブラックパネル温度63℃の条件で紫外線を照射し、照射時間140時間後に、紫外−可視透過スペクトルを測定し、波長400nmの透過率(%T(2)400:%)を読み取り、下記式で透過率の差Δ%T400(%)を算出した(表1A、1B)。
透過率の差(Δ%T400) = %T(2)400 −%T(1)400(%)
2.融点の評価
化合物1〜21の融点は、示差走査熱量計(SII社製 DSC6220)を用いて測定し、DSCピークトップ温度を融点とした(表1A、1B)。また、化合物17の融点は114℃、化合物18の融点は176℃であった。
化合物1〜18は、いずれも融点100℃以上であり、化合物1〜3,5〜12,14〜16,18は融点130℃以上、化合物2,5〜9,11,12,14〜16,18は融点140℃以上、化合物2,6〜8,11,12,14,15,18は融点145℃以上であった。特に、化合物2,11,12,14,15,18は融点150℃以上であり、ブリードアウト、ブロッキングの抑制、分散、加熱加工性に優れることを確認した。
式(2−1)においてl=1で、チオアルコキシ基の−S−結合に対してパラ位にR1aとして炭化水素基(アルキル基)を有する化合物2,5,6,7,9(融点140〜155℃)は、R1aが全て水素原子の化合物1(融点136℃)、およびR1aがアルコキシ基の化合物4(融点115℃)より融点が高く、その中でも、アルキル基の炭素数3〜8の化合物2,5,6,7(融点141〜155℃)は、炭素数1の化合物9(融点140℃)より高く、さらに、アルキル基の炭素数3〜4の化合物2,6(融点148〜155℃)は、炭素数1,5,8の化合物5,7,9(融点141,146,140℃)より高く、特に炭素数4の化合物2は融点が高い傾向を確認した。
式(2−1)のチオアリール環基を導入した化合物1〜12は、チオアルキル基を持つ化合物19と比較して、式(2−3)のA1cを導入し、q=0およびq=1のA2cが炭化水素基の化合物14,15は、A1cがアルキレン基の化合物21と比較して融点が高い傾向を示した。
また、l=1または2でR1aが炭化水素基の化合物2,3,5〜10(融点131〜155℃)、R1aの全てが水素原子の化合物1(融点136℃)およびR1aがアルコキシ基の化合物4(融点115℃)と比較して、R1aがヒドロキシ基の化合物11(融点208℃)、化合物14(融点196℃)、化合物15(融点236℃)およびX1aがナフチル基の化合物12(融点161℃)、化合物18(融点176℃)の融点は高く、特に、ブリードアウト、加工性の面で有用性が高い。
Figure 2020105022
Figure 2020105022
次に、上記で得た化合物を有機化合物Aとしてコーティング膜付きガラス板を作製し、評価した。評価項目は以下のとおりとした。
<光学特性>
光学特性は分光光度計(島津製作所製、UV−3100PC)を用いて測定した。測定した特性は、CIE標準のA光源を用いて測定するJIS R3212による可視光透過率YA、ISO9050(1990年度版)に従って算出した紫外線透過率TUV380、ISO13837(convention A)に従って算出した紫外線透過率TUV400、前述のJIS T7330の青色光障害関数に基づき算出したブルーライトカット率BLcut、CIE標準のC光源を用いて測定する透過光のJIS Z8729によるL***表色系、CIE標準のC光源を用いて測定する透過光のJIS K7373(2006)による黄色度YI、CIE標準のC光源を用いて測定する透過光のJIS Z8701(1999)による主波長および刺激純度、波長1500nmにおける光線透過率T1500である。なお、TUV380は波長280〜380nmにおける光線の透過率に基づいて、TUV400は波長300〜400nmにおける光線の透過率に基づいて、ブルーライトカット率は波長380〜500nmにおける光線の透過率に基づいて、それぞれ算出される値である。
<耐光性(耐紫外線特性)>
耐光性(耐紫外線特性)は、岩崎電気社製の紫外線照射装置(EYE SUPER UV TESTER SUV−W13)を用い、波長295〜450nm、照度76mW/cm2、ブラックパネル温度83℃、湿度50%RHの条件を適用し、所定時間(100時間)、紫外線を、ガラス板の膜が形成されていない面からコーティング膜付きガラス板に照射することにより実施した。同試験前後の光学特性(YA、TUV400)を測定し、その変化(ΔYA、ΔTUV400)を算出した。
(実施例1)
実施例1では有機化合物Aとして化合物16を用いた。具体的には、有機化合物Aである紫外線遮蔽成分を分散質として含み、水を分散媒とする分散液(紫外線遮蔽成分含有率10重量%、平均粒径100nm)を準備した。なお、有機化合物Aは、予め、上記平均粒径となるように、ペイントコンディショナーを用い、ジルコニアビーズと共に混合して粉砕したものを用いた。この分散液と共に、純水、エチルアルコール、テトラエトキシシラン(TEOS)、シランカップリング剤であるグリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS;3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン)、ポリオール化合物であるトリエチレングリコール(TEG)、ポリエーテル化合物であるポリエーテルリン酸エステル系ポリマー(日本ルーブリゾール製ソルスパース41000)、ITO微粒子分散液(ITO微粒子を40質量%含むエチルアルコール溶液;三菱マテリアル製;平均粒径(公称)100nm以下)、濃塩酸(35質量%)を混合、攪拌し、コーティング膜の膜形成溶液を得た。TEGおよびソルスパースは有機化合物Cに相当する。膜形成溶液は、各成分の濃度(含有率)が表2の値となるように調製した。表2には、後述する実施例および比較例で調製した膜形成溶液における各成分の濃度も併せて示す。
次いで、洗浄したソーダ石灰ケイ酸塩ガラス基板(市販のUVカットグリーンガラス100×100mm、厚さ3.1mm)上に、湿度30%、室温下でこの形成溶液をフローコート法にて塗布した。そのまま室温で約5分程度乾燥した後、予め65℃に昇温したオーブンに投入して15分加熱し、その後冷却して、コーティング膜を形成した。この加熱において、膜付きガラス板の温度は有機化合物の融点を上回ることはなかった。
なお、用いたUVカットグリーンガラスは、波長380nmにおける光線透過率(T380)が40%、波長550nmにおける光線透過率(T550)が77%である。このUVカットグリーンガラス板は、Fe23に換算した全酸化鉄を0.9質量%程度含有している。
こうして得たコーティング膜付きガラス板について、上記測定を実施した。結果を表2に示す。表2には、後述する実施例および比較例で作製したコーティング膜付きガラス板についての測定結果も示す。
(実施例2〜16)
紫外線遮蔽成分の種類および添加量を表2に示したように調整したことを除いては、実施例1と同様にしてコーティング膜付きガラス板を得た。
ただし、実施例5では、紫外線遮蔽成分として、有機化合物A(化合物19)と共に有機化合物Bを用いた。有機化合物BとしてはTINUVIN360(チバスペシャリティケミカルズ株式会社製;融点195℃)を用いた。TINUVIN360も、予め上記平均粒径となるように、ペイントコンディショナーを用い、ジルコニアビーズと共に混合して粉砕したものを用いた。TINUVIN360は、上記式(3)において、2つの2−フェニルベンゾトリアゾール骨格がB2に結合したメチレン基により互いに結合した形態を有し、2つの2−フェニルベンゾトリアゾール骨格には、B1としてヒドロキシ基、B4として1,1,3,3−テトラメチルブチル基、B3、B5、B6〜B9として水素原子が接続している。
実施例によっては、有機化合物Cとして、TEGに代えてソルビトールポリグリシジルエーテル(DEN;ナガセケムテックス株式会社製デナコールEX−614)を用いた。ソルビトールポリグリシジルエーテルは、ポリエポキシ化合物であり、膜中ではグリシジル基の反応によって生成したヒドロキシ基を有するポリオール化合物となる。
また、実施例12〜14では、加熱乾燥工程におけるオーブンの温度を180℃として有機化合物Aの融点よりも高くした。このため、実施例12〜14では有機化合物Aが溶解して膜に添加された。
(比較例1)
紫外線遮蔽成分の種類および添加量を表2に示したように調整したことを除いては、実施例1と同様にしてコーティング膜付きガラス板を得た。比較例1では、紫外線遮蔽成分として有機化合物Bのみを添加している。
(比較例2)
紫外線遮蔽成分の種類および添加量を表2に示したように調整したことを除いては、実施例1と同様にしてコーティング膜付きガラス板を得た。比較例2では、有機化合物Aに代えて、ベンゾフェノン骨格を有する紫外線遮蔽成分であるUvinul3050(BASFジャパン株式会社製)を用いた。Uvinul3050は予めエチルアルコールに溶かして膜形成溶液に添加した。また、有機化合物Cとして、ソルスパースに代えて(ポリエーテル変性シリコーン、東レ・ダウコーニング株式会社製)を用いた。
Figure 2020105022
Figure 2020105022
比較例1からは低いTUV400が得られず、比較例2からは低いTUV400が得られたが黄色度YIが高くなった。一方、各実施例では、黄色系への顕著な着色を抑制しながらTUV400を低下させることができた。また、実施例1〜2と実施例12〜13との対比から、有機化合物Aを微粒子として添加すると膜の耐光性が向上することが確認できた。また、化合物2、6、7(実施例3〜11、16)のように、チオ有機基が、水素原子の置換基として分岐を有する鎖状アルキル基が接続したチオアリール環基を有する有機化合物Aを用いると、これらの化合物単体での長波長紫外線の遮蔽特性や耐光性が必ずしも優れているわけではないのに、膜のΔTUV400を十分に抑制できた(表3:0.1〜1.4)。これらの化合物は、ガラス板上のコーティング膜への添加に特に適している。
紫外線の照射強度を比較すると、化合物単体(42J/m2)よりも膜(760J/m2)への照射が桁違いに強い(ガラス板のTUV400が24.6%であることを考慮すると膜には紫外線の1/4程度が到達することになるが、これを考慮しても、膜にはより強い紫外線が照射されている)。紫外線照射の際の温度を比較しても、化合物単体(63℃)よりも膜(83℃)が高い(一般に有機材料の劣化は10℃ごとに約2倍促進されることから、膜には約4倍の劣化が進行する条件が適用されている)。以上を考慮すると、特にコーティング膜中で有機化合物Aを微粒子の状態で保持すると、有機化合物Aの劣化が十分に抑制されることが理解できる。とりわけ、化合物2、6、7(実施例3〜11、16)については、ΔTUV400が化合物単体の特性からは想定できない程度に極めて低いレベルに抑制されている。
なお、各実施例から得たコーティング膜付きガラス板について、理学電機社製RAD−RC装置によりX線回折パターンを観測したところ、ITOと、有機化合物の微粒子が含まれる実施例からはその微粒子と、に帰属される鋭い回折ピーク、および広い範囲にわたるハローパターンが観測された。この結果から、各コーティング膜はガラス質であることが確認された。
1 ガラス板
2 コーティング膜

Claims (51)

  1. 紫外線吸収能を付与する添加剤を含有するガラス質コーティング膜付き輸送機材用ガラス板であって、
    ガラス板と、前記ガラス板の主表面に接したコーティング膜と、を有し、
    前記コーティング膜が、主成分である酸化ケイ素と、前記添加剤と、を含み、
    前記添加剤が有機化合物Aを含み、
    前記有機化合物Aが、2−フェニルベンゾトリアゾール骨格と、前記2−フェニルベンゾトリアゾール骨格に接続された少なくとも1つのチオ有機基と、を含む分子構造を有する、ガラス板。
    ただし、前記チオ有機基は、有機基をRとしたときに、−S−Rにより示される基である。
  2. 請求項1に記載のガラス板であって、前記有機化合物Aが、以下の式(1)により示される単位を含む、ガラス板。
    Figure 2020105022
    ただし、式(1)において、A1〜A9は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、芳香族基、不飽和基、酸素原子含有基、リン原子含有基、および硫黄原子含有基から選ばれる少なくとも1つに該当する原子または基であり、A1〜A9の少なくとも1つは前記チオ有機基である。
  3. 請求項2に記載のガラス板であって、
    6〜A9の少なくとも1つが前記チオ有機基である、ガラス板。
  4. 請求項2または3に記載のガラス板であって、
    前記チオ有機基が、水素原子の置換基を有していてもよいチオアルキル基、または水素原子の置換基を有していてもよいチオアリール環基である、ガラス板。
    ここで、前記チオアルキル基は、水素原子の置換基を有していてもよいアルキル基をAlkと表示したときに−S−Alkにより示される基であり、前記チオアリール環基は、水素原子の置換基を有していてもよいアリール環基をAryと表示したときに−S−Aryにより示される基である。
  5. 請求項4に記載のガラス板であって、
    前記チオアルキル基に含まれる前記水素原子の置換基を有していてもよいアルキル基が、
    炭素数1〜18のアルキル基、または
    水素原子の置換基としてフェニル基を有する炭素数1〜6のアルキル基である、ガラス板。
  6. 請求項2または3に記載のガラス板であって、
    前記有機化合物Aが、2つの前記2−フェニルベンゾトリアゾール骨格を含み、
    前記2つの2−フェニルベンゾトリアゾール骨格が、前記チオ有機基を介して接続され、
    前記チオ有機基が、前記2つの2−フェニルベンゾトリアゾール骨格のそれぞれとスルフィド結合を介して接続している、ガラス板。
  7. 請求項4に記載のガラス板であって、
    前記チオ有機基が、前記チオアリール環基である、ガラス板。
  8. 請求項7に記載のガラス板であって、
    前記チオアリール環基が、前記置換基として炭素数4〜9のアルキル基を有する、ガラス板。
  9. 請求項8に記載のガラス板であって、
    前記チオアリール環基が、前記置換基として、四級炭素原子を含み、かつ炭素数4〜9の分岐を有する鎖状アルキル基を有する、ガラス板。
  10. 請求項4に記載のガラス板であって、
    前記チオアリール環基に含まれる前記アリール環が、ベンゼン環および/またはナフタレン環である、ガラス板。
  11. 請求項4に記載のガラス板であって、
    前記チオアルキル基に含まれるアルキル基がシクロヘキシル基である、ガラス板。
  12. 請求項4に記載のガラス板であって、
    前記チオアルキル基に含まれる前記アルキル基および前記チオアリール環基に含まれる前記アリール環基の炭素数が1〜18の範囲にある、ガラス板。
  13. 請求項4に記載のガラス板であって、
    前記置換基が、ハロゲン原子、炭化水素基、芳香族基、不飽和基、酸素原子含有基、リン原子含有基、および硫黄原子含有基から選ばれる少なくとも1つに該当する原子または基である、ガラス板。
  14. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス板であって、
    前記有機化合物Aが、
    次式(2−1)〜(2−3)のいずれかで表わされる、水素原子の置換基を有していてもよいチオアリール環基またはチオヘキシル環基を有する2−フェニルベンゾトリアゾール誘導体である、ガラス板。
    PhBzT1a−S−X1a−(R1al (2−1)
    (式中、PhBzT1aは、前記置換基を有していてもよい、チオアリール環基(−S−X1a−…)が結合した2−フェニルベンゾトリアゾール骨格を示し、X1aはフェニル環またはナフチル環の残基を示し、l個のR1aはそれぞれ独立に炭素数1〜18の炭化水素基、炭素数1〜18のアルコキシ基、またはヒドロキシ基を示し、lは0〜5の整数を示す。)
    PhBzT1b−S−Cy−(R1bm (2−2)
    (式中、PhBzT1bは、前記置換基を有していてもよい、チオシクロヘキシル環基(−S−Cy−…)が結合した2−フェニルベンゾトリアゾール骨格を示し、Cyはシクロヘキシル環残基を示し、m個のR1bはそれぞれ独立に炭素数1〜18の炭化水素基、炭素数1〜18のアルコキシ基、またはヒドロキシ基を示し、mは0〜5の整数を示す。)
    PhBzT1c−S−A1c−S−PhBzT2c (2−3)
    (式中、PhBzT1cおよびPhBzT2cは、それぞれ独立に前記置換基を有していてもよい、チオアリール環基(−S−A1c−S−)が結合した2−フェニルベンゾトリアゾール骨格を示し、A1cは次式:
    −[X1c−(R1cn]−(A2cq−[X2c−(R2cp]−
    (式中、X1cとX2cはそれぞれ独立にフェニル環またはナフチル環の残基を示し、n個のR1cとp個のR2cはそれぞれ独立に炭素数1〜18の炭化水素基、炭素数1〜18のアルコキシ基、またはヒドロキシ基を示し、nとpは0〜4の整数を示し、A2cは、芳香族基、不飽和基、窒素原子含有基、硫黄原子含有基、酸素原子含有基、リン原子含有基、脂環式基、およびハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基により、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、または炭素−炭素結合が中断されていてもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基、2価の芳香族基、またはスルフィド結合を示し、qは0または1の整数を示す。)で表される基であるか、あるいはフェニル環またはナフチル環残基を示す。)
  15. 請求項14に記載のガラス板であって、
    前記有機化合物Aが、前記式(2−1)または前記式(2−3)により表わされるものであり、
    1a、X1cおよびX2cはフェニル環の残基を示し、l、nおよびpは0を示す、ガラス板。
  16. 請求項14に記載のガラス板であって、
    前記2−フェニルベンゾトリアゾール骨格のベンゾトリアゾール骨格に接続しているフェニル基が、2位にヒドロキシ基を5位に炭素数1〜6のアルキル基をそれぞれ有する、ガラス板。
  17. 請求項16に記載のガラス板であって、
    前記2−フェニルベンゾトリアゾール骨格の前記フェニル基が、2位にヒドロキシ基を5位にメチル基をそれぞれ有する、ガラス板。
  18. 請求項14に記載のガラス板であって、
    前記有機化合物Aが、前記式(2−1)または前記式(2−3)により表わされるものであり、
    1a、X1cおよびX2cはフェニル環の残基を示し、R1a、R1cおよびR2cは、それぞれ独立に炭素数1〜18の直鎖のまたは分岐を有する鎖状アルキル基を示し、l、nおよびpは1〜5の整数を示す、ガラス板。
  19. 請求項18に記載のガラス板であって、
    前記有機化合物Aが、前記式(2−1)または前記式(2−3)により表わされるものであり、
    1a、X1cおよびX2cはフェニル環の残基を示し、R1a、R1cおよびR2cは、それぞれ独立に炭素数3〜8の分岐を有する鎖状アルキル基を示し、l、nおよびpは1〜3の整数を示す、ガラス板。
  20. 請求項18に記載のガラス板であって、
    前記有機化合物Aが、前記式(2−1)または前記式(2−3)により表わされるものであり、
    1a、X1cおよびX2cはフェニル環の残基を示し、R1a、R1cおよびR2cは、それぞれ独立に炭素数1〜18の直鎖のまたは分岐を有する鎖状アルキル基を示し、l、nおよびpは1を示す、ガラス板。
  21. 請求項20に記載のガラス板であって、
    前記有機化合物Aが、前記式(2−1)により表わされるものであり、
    1aは、炭素数4〜9の直鎖のまたは分岐を有する鎖状アルキル基を示す、ガラス板。
  22. 請求項18に記載のガラス板であって、
    前記有機化合物Aが、前記式(2−1)または前記式(2−3)により表わされるものであり、
    1a、X1cおよびX2cはフェニル環の残基を示し、R1a、R1cおよびR2cは、それぞれ独立に炭素数1〜18の直鎖のまたは分岐を有する鎖状アルキル基を示し、l、nおよびpは2を示す、ガラス板。
  23. 請求項18に記載のガラス板であって、
    前記有機化合物Aが、前記式(2−1)または前記式(2−3)により表わされるものであり、
    1a、X1cおよびX2cはフェニル環の残基を示し、R1a、R1cおよびR2cは、それぞれ独立に三級炭素および/または四級炭素を含む炭素数1〜18の直鎖のまたは分岐を有する鎖状アルキル基を示し、l、nおよびpは1〜5の整数を示す、ガラス板。
  24. 請求項23に記載のガラス板であって、
    前記有機化合物Aが、前記式(2−1)により表わされるものであり、
    1aはフェニル環の残基を示し、R1aは、四級炭素を含む炭素数4〜9の分岐を有する鎖状アルキル基を示し、l、nおよびpは1〜5の整数を示す、ガラス板。
  25. 請求項14に記載のガラス板であって、
    前記有機化合物Aが、前記式(2−1)または前記式(2−3)により表わされるものであり、
    1a、X1cおよびX2cはフェニル環の残基を示し、R1a、R1cおよびR2cは、それぞれ独立に炭素数1〜18の直鎖のまたは分岐を有する鎖状アルキル基を含むアルコキシ基を示す、ガラス板。
  26. 請求項14に記載のガラス板であって、
    前記有機化合物Aが、前記式(2−1)または前記式(2−3)により表わされるものであり、
    1a、X1cおよびX2cはフェニル環の残基を示し、R1a、R1cおよびR2cはヒドロキシ基を示す、ガラス板。
  27. 請求項14に記載のガラス板であって、
    前記有機化合物Aが、前記式(2−1)または前記式(2−3)により表わされるものであり、
    1a、X1cおよびX2cはナフチル環の残基を示す、ガラス板。
  28. 請求項14に記載のガラス板であって、
    前記有機化合物Aが、前記式(2−2)により表わされるものであり、
    mは0を示す、ガラス板。
  29. 請求項14に記載のガラス板であって、
    前記有機化合物Aが、前記式(2−2)により表わされるものであり、
    1bは炭素数1〜18の炭化水素基を示し、mは1〜5の整数を示す、ガラス板。
  30. 請求項14に記載のガラス板であって、
    前記有機化合物Aが、前記式(2−3)により表わされるものであり、
    1cおよびX2cはフェニル基の残基を示し、A2cはスルフィド結合を示し、qは1を示す、ガラス板。
  31. 請求項14に記載のガラス板であって、
    前記有機化合物Aが、前記式(2−3)により表わされるものであり、
    1cおよびX2cはフェニル基の残基を示し、A2cは炭素数1〜8の炭化水素基を示し、qは1を示す、ガラス板。
  32. 請求項14に記載のガラス板であって、
    前記有機化合物Aが、前記式(2−3)により表わされるものであり、
    1cおよびX2cはフェニル基の残基を示し、qは0を示す、ガラス板。
  33. 請求項14に記載のガラス板であって、
    前記有機化合物Aが、前記式(2−1)により表わされるものであり、
    1aはフェニル基の残基を示し、R1aは炭素数1〜18の直鎖のまたは分岐を有する鎖状アルキル基を示し、lは0〜5の整数を示す、ガラス板。
  34. 請求項33に記載のガラス板であって、
    前記有機化合物Aが、前記式(2−1)により表わされるものであり、
    1aは前記2−フェニルベンゾトリアゾール骨格のベンゾトリアゾール骨格に接続しているフェニル基に接続している、ガラス板。
  35. 請求項33に記載のガラス板であって、
    1aは炭素数4〜9の直鎖のまたは分岐を有する鎖状アルキル基を示し、lは1または2を示す、ガラス板。
  36. 請求項35に記載のガラス板であって、
    1aは炭素数4〜9の分岐を有する鎖状アルキル基を示し、R1aの少なくとも1つは四級炭素を含む鎖状アルキル基である、ガラス板。
  37. 請求項14に記載のガラス板であって、
    前記有機化合物Aが、前記式(2−1)により表わされるものであり、
    1aは前記2−フェニルベンゾトリアゾール骨格のベンゾトリアゾール骨格に接続しているフェニル基に接続し、R1aは、炭素数1〜18の直鎖のもしくは分岐を有する鎖状アルキル基を含むアルコキシ基、またはヒドロキシ基であり、lは1または2を示す、ガラス板。
  38. 請求項14に記載のガラス板であって、
    前記有機化合物Aが、前記式(2−1)により表わされるものであり、
    前記2−フェニルベンゾトリアゾール骨格のベンゾトリアゾール骨格に接続しているフェニル基に、ヒドロキシ基およびメチル基がそれぞれ接続している、ガラス板。
  39. 請求項38に記載のガラス板であって、
    前記2−フェニルベンゾトリアゾール骨格の前記フェニル基が、2位にヒドロキシ基を、5位にメチル基をそれぞれ有する、ガラス板。
  40. 請求項38に記載のガラス板であって、
    前記2−フェニルベンゾトリアゾール骨格の前記フェニル基に、ヒドロキシ基、1,1−ジメチルエチル基およびメチル基がそれぞれ接続している、ガラス板。
  41. 請求項40に記載のガラス板であって、
    前記2−フェニルベンゾトリアゾール骨格の前記フェニル基が、2位にヒドロキシ基を、3位に1,1−ジメチルエチル基を、5位にメチル基をそれぞれ有する、ガラス板。
  42. 前記コーティング膜が、有機化合物Bをさらに含み、
    前記有機化合物Bが、2−フェニルベンゾトリアゾール骨格を含み、2−フェニルベンゾトリアゾール骨格にチオ有機基が接続されていない分子構造を有する、請求項1〜41のいずれか1項に記載のガラス板。
  43. 前記有機化合物Bが、平均粒径が150nm以下の微粒子の形態を有する、請求項42に記載のガラス板。
  44. 前記有機化合物Aが、平均粒径が150nm以下の微粒子の形態を有する、請求項1〜43のいずれか1項に記載のガラス板。
  45. ISO13837(convention A)に従って算出したTUV400が2%以下であり、CIE標準のA光源を用いて測定する可視光透過率YAが70%以上である、請求項1〜44のいずれか1項に記載のガラス板。
  46. CIE標準のC光源からの透過光がL***表色系により表示して、−15以上0以下のa*と12以下のb*とを有する、請求項1〜45のいずれか1項に記載のガラス板。
  47. CIE標準のC光源からの透過光のJIS K7373:2006に規定された黄色度YIが14以下である、請求項1〜46のいずれか1項に記載のガラス板。
  48. 波長295〜450nm、照度76mW/cm2の紫外線を100時間照射した後の紫外線透過率TUV400から前記紫外線を照射する前の紫外線透過率TUV400を差し引いた差分ΔTUV400が2%以下である、請求項1〜47のいずれか1項に記載のガラス板。
  49. 紫外線吸収能を付与する添加剤を含有するガラス質コーティング膜付き輸送機材用ガラス板用のコーティング膜形成用組成物であって、
    酸化ケイ素前駆体と、紫外線吸収能を付与する添加剤である有機化合物Aとを含み、
    前記有機化合物Aが、微粒子の形態を有し、
    前記有機化合物Aが、2−フェニルベンゾトリアゾール骨格と、前記2−フェニルベンゾトリアゾール骨格に接続された少なくとも1つのチオ有機基と、を含む分子構造を有する、コーティング膜形成用組成物。
    ただし、前記チオ有機基は、有機基をRとしたときに、−S−Rにより示される基である。
  50. 前記微粒子の平均粒径が150nm以下である、請求項49に記載のコーティング膜形成用組成物。
  51. 紫外線吸収能を付与する添加剤を含有するガラス質コーティング膜付き輸送機材用ガラス板に用いる微粒子分散組成物であって、
    紫外線吸収能を付与する添加剤である有機化合物Aを含み、
    前記有機化合物Aが、平均粒径が150nm以下の微粒子の形態を有し、
    前記有機化合物Aが、2−フェニルベンゾトリアゾール骨格と、前記2−フェニルベンゾトリアゾール骨格に接続された少なくとも1つのチオ有機基と、を含む分子構造を有する、微粒子分散組成物。
    ただし、前記チオ有機基は、有機基をRとしたときに、−S−Rにより示される基である。
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