JP2020093482A - 潜像要素形成層、潜像画像形成体及び潜像画像形成体を備えた潜像画像形成媒体 - Google Patents

潜像要素形成層、潜像画像形成体及び潜像画像形成体を備えた潜像画像形成媒体 Download PDF

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Tadashi Morinaga
匡 森永
木村 健一
Kenichi Kimura
健一 木村
岩崎 健
Takeshi Iwasaki
健 岩崎
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Abstract

【課題】反射層を有した偽造防止技術において、拡散反射光下では潜像画像が完全に不可視であり、正反射光下において出現する基画像は高い視認性を有し、従来よりも簡潔な工程で製造可能である潜像画像形成体を提供する。【解決手段】明暗フリップフロップ性又はカラーフリップフロップ性の少なくとも一方を備えた反射層に、基画像が分割及び/又は圧縮された潜像要素が一定のピッチで複数形成された潜像要素群を備えた潜像要素形成層において、反射層は、明度及び/又は彩度が400以上であって半値幅が15°以下の光学特性を備え、反射層に潜像要素が形成された領域又は潜像要素が形成されない領域の一方のみが、上記光学特性を満たす構成とし、潜像要素形成層の上に、複数の潜像要素に対応した光透過性を有する蒲鉾状要素が形成された潜像画像形成体とする。【選択図】 図1

Description

本発明は、偽造防止効果を必要とするセキュリティ印刷物である銀行券、パスポ−ト、有価証券、身分証明書、カ−ド、通行券等の貴重印刷物の分野において、正反射光下で画像が変化する潜像印刷物に関するものである。
複数の画像が切り替わる画像のチェンジ効果、画像が動いて見える動画効果、色彩が連続的に変化する色彩変化等は、人目をひきやすく、偽造することが困難であることから、近年、セキュリティ印刷物の真偽判別要素として多く用いられる傾向にある。これらの効果を備えた代表的な技術は、ホログラムであり、銀行券やパスポート等の最高のセキュリティが要求されるセキュリティ印刷物にも貼付されて広く用いられている。
しかし、ホログラムは優れた偽造防止技術であるものの、現在、世界中に技術が拡散しているために相対的な偽造防止効果が低下しつつある。そこで本出願人は、一般的で、かつ、比較的安価な材料及び簡単な印刷手段を使用していながら、正反射光下の特定の観察角度において、印刷物中の特定部位における人の目に認識される情報が、正反射光下で観察角度を変化させることによって、全く別の情報にチェンジしたり、出現した画像が動いて見える光学的変化技術に係る発明を既に出願している(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)。
特許文献1から特許文献4までの従来の技術は、いずれも特定の光学特性を有する反射層の上に、蒲鉾状の盛り上がりを有する蒲鉾状要素を複数配置して形成した画像を重ね、さらに潜像要素を複数配置して形成した潜像画像を蒲鉾状要素の上層又は下層に積層して形成する技術であって、正反射光下で潜像画像に含まれる基画像が出現し、観察角度を変化させることで別の基画像へとチェンジしたり、出現した基画像が動く等の優れた効果を実現した技術である。
また、本出願人は、特許文献1から特許文献4の技術に対して、蒲鉾状要素と潜像要素の印刷による位置合せを要することなく、一度の工程で加工することを課題として、光沢性のある基材に、エンボス加工によって潜像画像を形成した立体表示形成体を提案している(例えば、特許文献5参照)。特許文献5の技術は、エンボス加工により、蒲鉾形状の曲面を有する凹凸形状で構成された潜像要素を、基材に直接形成したもので、画像がチェンジしたり、画像が動く効果を実現している。
特開2016−203458号公報 特開2016−55480号公報 特開2016−107467号公報 特開2017−144558号公報 特許第6351014号公報
しかしながら、特許文献1から特許文献4までの技術において、正反射光下で出現する潜像画像を拡散反射光下で隠蔽する場合には、透明なインキを用いて形成する必要があるが、これらの技術において、反射層と蒲鉾状要素から生じる反射光は極めて強いため、この反射光を透明なインキで抑え込むためには、一定以上の厚いインキ膜厚が必要であり、大量にインキを転移させる必要があった。このため、商業印刷の印刷方式としてポピュラーなオフセット印刷方式により透明インキを用いて潜像画像を形成した場合には、充分なインキ膜厚を付与することが困難であり、反射層と蒲鉾状要素から生じる反射光を完全に抑制することはできず、結果として正反射光下で出現する潜像のコントラストが低くなり、本来得られるべき高い視認性を得られない場合があった。
また、特許文献1から特許文献4までの技術において、透明インキを用いて潜像画像を形成した場合の問題に対応するために、透明なインキではなく、物体色を有した着色インキを用いて潜像画像を形成した場合、薄いインキ膜厚であっても着色顔料による光の吸収によって反射層と蒲鉾状要素から生じる反射光を遮断することができ、結果として正反射光下で出現する潜像に充分な視認性を与えることができる。しかし、着色インキによって形成された潜像画像は、正反射光下に限らず、拡散反射光下でも視認されることとなる。潜像画像の一部のみが蒲鉾状要素によって周期的にサンプリングされて基画像として再生される正反射光下の潜像とは異なり、拡散反射光下では潜像画像(潜像要素群そのもの)がそのまま出現してしまうため、観察者には不明瞭な画像が視認されてしまうという問題があった。
また、特許文献5の技術は、蒲鉾状要素の有無により潜像要素を構成することで、潜像の高いコントラストが得られるが、潜像要素を加工するために必要なエンボス版の作製に手間が掛かるという問題があった。具体的には、複数の潜像要素の一つ一つは異なるパターンであり、そのパターンを一つ一つの蒲鉾状の曲面に対応して形成する必要がある。すなわち、パターンに対応する2次元データと、蒲鉾状の曲面に対応する3次元データを、合成する必要があり、熟練の技術者でしかエンボス版を作製できないとともに、多くの労力を要するものであった。また、特許文献5の技術は、光沢性のある基材をエンボス加工した際に生じる熱や圧力によって、蒲鉾状要素の表面の光沢が低下する場合があった。
特許文献1から特許文献4までの技術を製造するためには、反射層の貼付作業に加えて、潜像要素を形成するためのオフセット印刷作業と蒲鉾状要素を形成するためのスクリーン印刷作業を行う必要があり、全く異なる三つの工程を経る必要があった。このため、工程が煩雑となり、生産性が低く、コスト高であった。
本発明は、上記課題の解決を目的とするものであり、反射層を有した偽造防止技術において、拡散反射光下では潜像画像が完全に不可視であり、正反射光下において出現する基画像は高い視認性を有し、従来よりも簡潔な工程で製造可能である潜像要素形成層、潜像画像形成体及び潜像画像形成体を備えた潜像画像形成媒体を提供する。
本発明は、明暗フリップフロップ性又はカラーフリップフロップ性の少なくとも一方を備えた反射層と、反射層に形成された基画像が分割及び/又は圧縮された潜像要素が一定のピッチで複数形成された潜像要素群から成り、光透過性を有する複数の蒲鉾状要素が重なった状態の正反射光下で観察角度を変化させて観察すると潜像要素による潜像が変化して視認できる潜像要素形成層であって、反射層は、明度及び/又は彩度が400以上であって半値幅が15°以下の光学特性を備え、反射層に潜像要素が形成された領域又は潜像要素が形成されない領域の一方のみが、光学特性を満たしていることを特徴とする潜像要素形成層である。
また、本発明は、潜像要素形成層において、複数の潜像要素の上に、複数の潜像要素に対応した光透過性を有する蒲鉾状要素が形成されたことを特徴とする潜像画像形成体である。
また、本発明は、潜像画像形成体を、基材の上に備えたことを特徴とする潜像画像形成媒体である。
また、本発明は、潜像要素形成層を、基材の上に備えたことを特徴とする潜像画像形成媒体である。
さらに、本発明の潜像画像形成媒体は、反射層が拡散反射光下で透明又は半透明であって、反射層と基材の間に、基材と異なる色の可視画像が形成され、可視画像は、拡散反射光下の観察のみ視認されることを特徴とする。
本発明は、潜像要素群を反射層に直接形成する。このため、拡散反射光下で潜像要素群は完全に不可視である。また、反射層に潜像要素が形成された領域又は潜像要素が形成されない領域の一方は、反射層の光学特性が低下した領域として形成し、他方は、反射層の光学特性を維持させることにより、正反射光下において出現する基画像は、極めて視認性が高く、優れたチェンジ効果や動画効果を有する。
潜像要素群は、あらかじめ反射層に加工しておくか、又は反射層を貼付する工程で反射層にエンボス加工によって貼付と同時に付与することができる。特許文献1から特許文献4の技術は、潜像画像を拡散反射光下で隠蔽する場合に、反射層の上又は蒲鉾状要素の上に、透明なインキを印刷する工程が必要であったが、本発明の潜像画像形成媒体は、反射層の貼付作業とスクリーン印刷作業の二つの工程で製造できる。このため、製造のための工程が従来技術ほど複雑にならず、コストパフォーマンスに優れている。
また、本発明の反射層に形成する潜像要素は、特許文献5のような蒲鉾形状として形成する必要がないことから、加工が容易である。
本発明における潜像画像形成体の概要を示す。 本発明における潜像要素形成層の構成を示す。 本発明における反射層の光学特性の一例を示す。 本発明における潜像要素群の構成を示す。 本発明における潜像要素の構成の一例を示す。 本発明における蒲鉾状要素群の構成を示す。 本発明における潜像画像形成体の効果を示す。 本発明における潜像画像形成媒体の層構造を示す。 本発明における有意情報が視認できる潜像画像形成媒体の層構造を示す。 本発明における有意情報が視認できる潜像画像形成媒体の構成を示す。 本発明における有意情報が視認できる潜像画像形成媒体の効果を示す。
本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他の様々な実施の形態が含まれる。
本発明の概要について図1を用いて説明する。図1は、本発明の潜像画像形成体(20)の構成を示す図であり、潜像画像形成体(20)は、潜像要素群(6)を備えた潜像要素形成層(5)と潜像要素形成層(5)の上に形成された蒲鉾状要素群(4)から成る。潜像画像形成体(20)の効果の詳細については後述するが、正反射光下で観察すると、潜像要素群(6)による潜像が視認でき、さらに観察角度を変化させることで、潜像が変化して視認できる。
(第一の実施の形態)
第一の実施の形態では、前述した潜像画像形成体(20)を構成する潜像要素形成層(5)について説明する。潜像要素形成層(5)の構成について、図2を用いて説明する。
(潜像要素形成層)
図2に示すように、潜像要素形成層(5)は、反射層(5A)に潜像要素群(6)が形成されて成る。反射層(5A)の平面的な形状は、図2に示す構成に限定されるものではなく、長方形、円形、ひし形及び星型等、任意の形状を取り得る。また、反射層(5A)は、正反射時に強く光を反射して明度が上がる、いわゆる明暗フリップフロップ性又は正反射時に色相が変化する、いわゆるカラーフリップフロップ性の少なくともいずれか一方の光学特性を備える必要がある。また、反射層(5A)は、後述する特殊な二つの光学特性(所定の光学特性)を備える。
明暗フリップフロップ性を備えた材料としては、金属箔、透明フィルム、金属フィルム、金属テープ、樹脂、プラスティック等が存在する。一方のカラーフリップフロップ性を備えた材料としては、干渉フィルム、ホログラムフィルム等が存在する。例えば、干渉フィルムは、拡散反射光下では無色透明だが、正反射光下では特定の干渉色を発する。このように、カラーフリップフロップ性を備えた反射層(5A)は、正反射光下で色相自体が変化する。
反射層(5A)には、潜像要素群(6)が形成されて成る。すなわち、反射層(5A)には、潜像要素群(6)が付与された領域と、付与されていない領域(7)の二つの領域が存在する。まず、この二つの領域を含め、反射層(5A)に必要とされる光学特性について説明する。
潜像要素群(6)は反射層(5A)に形成されるが、潜像要素群(6)が付与された領域と、付与されていない領域(7)では、反射層(5A)の光学特性が大きく異なる必要がある。図3に具体的な光学特性の一例を示す。
潜像をポジで表現するか、ネガで表現するかでそれぞれの光学特性を反転させる必要があるが、仮に、第一の実施の形態のように、潜像をポジで表現する場合、潜像要素群(6)が付与されていない領域(7)の光学特性は、特殊な二つの光学特性(所定の光学特性)を満たす必要があり、もう一方の潜像要素群(6)が付与されている領域は、その光学特性を満たさない必要がある。
特殊な二つの光学特性(所定の光学特性)とは、一つは正反射時の最大明度L*、あるいは最大彩度C*abが400を超えること。もう一つは、光の入射角を固定して、受光角度を変化させた場合の明度又は彩度の半値幅FWHM(full Width at half maximum)が15°を超えないことである。より望ましくは10°未満である。すなわち、反射光量が一定以上大きく、かつ、入射した光を反対側に角度を拡げ過ぎずに反射する特性が必要である。反射層(5A)の中の潜像要素群(6)の付与されている領域又は付与されていない領域(7)のいずれか一方のみが、この所定の光学特性を満たしている必要がある。
図3に示す二つのグラフのうち、潜像要素群(6)が付与されていない領域(7)の明度L*は850であり、その半値幅は約8度である。また、潜像要素群(6)が付与されている領域の明度L*は250であり、半値幅は約20度である。すなわち、潜像要素群(6)が付与されていない領域(7)は、所定の光学特性を満たし、潜像要素群(6)が付与された領域は、所定の光学特性を満たしていない。このため、第一の実施の形態では、反射層(5A)における潜像要素群(6)の有無によって分けられる二つの領域が、それぞれ本発明を構成するための条件を満たしている。以上が、反射層(5A)に必要とされる光学特性についての説明である。
続いて、反射層(5A)上に形成される潜像要素群(6)の画線構成について説明する。図4(a)に反射層(5A)上に形成される潜像要素群(6)の画線構成を示す。まず、正反射光下で潜像として出現させたいと意図する画像をデザインする。この画像を基画像(10)と呼ぶ。第一の実施の形態における基画像(10)は、図4(b)に示す円である。次に、基画像(10)を特定の幅で切り出して一定の圧縮率で第一の方向(S1)に圧縮して特定の画線幅(W2)を有する潜像要素(9)を作成する。続いて、基画像(10)の切り出し位置を第一の方向(S1)に特定のピッチ(P1)分だけずらして、再度切り出し圧縮を行う。切り出し位置を変えて切り出しと圧縮を繰り返して、潜像要素(9)を連続して作成する。最後に作成したそれぞれの潜像要素(9)を第一の方向(S1)に特定のピッチ(P1)分だけずらして連続して反射層(5A)に配置し、潜像要素群(6)とする。具体的な作製方法については、特許第5200284号公報に記載の方法を用いればよい。
図4(a)に示すように、以上の方法で作製した潜像要素群(6)は、基画像(10)の各部を第一の方向(S1)に圧縮した一定の画線幅(W2)の潜像要素(9)が第一の方向(S1)に一定のピッチ(P1)で連続して配置された構成を有する。図4に示す構成では、二つの円状の潜像要素群(6)を含んで成るが、一方の潜像要素群(6)は、各潜像要素(9)を第一の方向(S1)と直交する方向を軸にミラー反転させた構成を有しており、潜像要素(9)をミラー反転させることで正反射光下において潜像として出現する基画像(10)の移動方向が逆転する効果を有する。このように異なる方向に移動する構成の潜像要素群(6)をセットにすることで正反射光下において出現する動きが強調されるため望ましい構成であるが、単に一つの潜像要素群(6)で構成してもよく、三つ以上で構成してもよい。
潜像要素群(6)は、反射層(5A)に対して、エンボス加工や切削加工、レーザー加工等の物理的な加工方法や、薬品と反応させるエッチング等の化学的な加工方法を用いて形成することができる。
仮に、第一の実施の形態のように、潜像をポジで表現する場合、このような加工方法により、反射層(5A)の表面の潜像要素群(6)に対応した領域に凹凸を形成することで、反射層(5A)の一部に光学特性を低下させた潜像要素群(6)を形成すればよい。図5(a)は、潜像要素群(6)を構成する潜像要素(9)に対応した領域において、反射層(5A)の光学特性を低下させるために、上記の加工方法によって凹凸を形成した状態を示している。この場合、凹凸が形成された部分に入射する光が拡散することで、反射層(5A)が備える正反射時の明度L*又は最大彩度C*abが下がるとともに、半値幅は大きくなる。これにより、潜像要素群(6)が形成されていない領域(7)のみが所定の光学特性を満たす構成とすることができる。一方、潜像をネガで表現する場合、図5(b)に示すように、潜像要素(9)の周りに、前述の加工方法によって凹凸を形成することで、所定の光学特性を備えた潜像要素(9)を形成することができる。
反射層(5A)に形成する凹凸の深さや、凹凸の数、凹凸の形状等については、所定の光学特性を満たさない構成(所定の光学特性を満たす領域に対して、明度又は彩度が低いか、半値幅が大きい)であれば、特に限定されるものではなく、前述した加工方法、例えば、エンボス版の形状、レーザの照射強度及びレーザの照射密度を変更することにより、適宜、調整することができる。
また、ホログラムのように電子線で画像を描画したり、干渉縞を焼き付ける光学的な加工方法を用いて、反射層(5A)の内部に潜像要素群(6)を形成してもよい。また、それぞれの方法を組み合わせて形成してもよく、結果として、潜像要素群(6)が付与された領域と、潜像要素群(6)が付与されてない領域(7)の二つが存在し、いずれか一方の領域が所定の光学特性を満たし、もう一方の領域は、所定の光学特性を満たしていない条件を満たせばよい。
本発明の潜像要素群(6)は、このような加工方法により、反射層(5A)が備える光学特性を低下させればよく、特許文献5のような蒲鉾形状の曲面を加工する程の加工精度を要することがないことから、容易に製造することができる。また、潜像要素群(6)が付与されていない領域(7)は、熱や圧力等の力が加わらないため、反射層(5A)自体が備える光学特性が低下することがない。なお、潜像要素群(6)が付与された領域と、潜像要素群(6)が付与されてない領域(7)は、拡散反射光下の見え方に差異があってはならない。二つの領域の見え方に差異がある場合には、拡散反射光下で可視化されてしまうためである。
反射層(5A)として、ホログラムを用いる場合には、ホログラムが表す模様として潜像要素群(6)が形成されていればよく、ホログラムの形態に制約はない。振幅ホログラムであっても、位相ホログラムであってもよい。また、エンボスホログラムの形態及び体積ホログラムの形態であってもよく、二つの領域が前述の光学特性を満たすことを条件として、その形態自体は問わない。以上が潜像要素形成層(5)の説明である。
第一の実施の形態の潜像要素群(6)を備えた潜像要素形成層(5)は、後述する蒲鉾状要素群(4)が積層されることで、正反射光下で潜像を視認することができる。続いて、蒲鉾状要素群(4)が積層される構成について第二の実施の形態として説明する。
(第二の実施の形態)
第二の実施の形態は、第一の実施の形態で説明した潜像要素形成層(5)の上に蒲鉾状要素群(4)が積層された潜像画像形成体(20)である。潜像要素群(6)を備えた潜像要素形成層(5)の構成は、第一の実施の形態と同じであるため、ここでは説明を省略する。
(蒲鉾状要素群)
蒲鉾状要素群(4)は、盛り上がりを有する要素の集合によって成り、樹脂を含んだ材料によって構成される。ここでいう樹脂とは、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂等の一般的な印刷インキのワニス成分のことである。蒲鉾状要素群(4)は、これらの樹脂を含む材料を用い、主として印刷で形成され、図1に示すように、潜像要素形成層(5)の上に形成される。本発明において、蒲鉾状要素群(4)は、少なくとも潜像要素群(6)が形成された領域に重なる必要があり、図1では、潜像要素群(6)が形成された領域を含む潜像要素形成層(5)全体に重なった状態を示している。
蒲鉾状要素群(4)は光透過性を有する必要がある。これは、入射光が蒲鉾状要素群(4)を透過して反射層(5A)に達しなければならないからである。光透過性を有していれば特定の色彩で着色されていてもよい。ただし、潜像の視認性が最も高くなるのは、蒲鉾状要素群(4)の光透過性が最も高い、透明な構成の場合であるため、色彩デザインと効果のバランスを考えて設計する必要がある。
図6に蒲鉾状要素群(4)の構成の一例を示す。蒲鉾状要素群(4)は、図6(a)の拡大図及び図6(b)の断面図に示すように、特定の画線幅(W1)の画線であり、断面が蒲鉾形状で盛り上がりを有した蒲鉾状要素(8)が、前述の潜像要素が配置されている一定のピッチ(P1)と同じピッチ(P1)で第一の方向(S1)に規則的に配置されて成る。なお、本実施の形態においては、蒲鉾状要素(8)を配置する一定のピッチ(P1)と潜像要素(9)を配置するピッチ(P1)が同じであるとともに、蒲鉾状要素(8)を配置する方向(S1)が潜像要素(9)を配置する方向(S1)と同じであって、複数の潜像要素(9)の一つ一つに、複数の蒲鉾状要素(8)の一つ一つが重なるように配置することを「蒲鉾状要素(8)が潜像要素(9)に対応して配置」という。なお、図6の拡大図では、蒲鉾状要素(8)と蒲鉾状要素(8)の間に、反射層(5A)が露出した非画線部がある状態を示しているが、蒲鉾状要素(8)を隙間なく配置して非画線部のない蒲鉾状要素群(4)を構成してもよい。
また、第二の実施の形態における蒲鉾状要素(8)は、断面が蒲鉾形状を有している例について説明したが、この形状に限定されるわけではない。具体的には、立体的な曲面形状、すなわち盛り上がりを有する構造であって、かつ、少なくとも第一の方向(S1)に対して左右対称な形状であれば、半円、半楕円形状等の一定の曲率を持った左右対称の形状や、三角柱、五角柱、六角柱等の多角柱などの立体的な曲面形状等、如何なる形状であってもよい。また、蒲鉾状要素(8)の形状は、画線に限定されるものではなく、特許第4682283号公報又は特許第4660775号公報に記載されている蒲鉾状の画素であってもよい。蒲鉾状要素(8)が画素で形成される場合の平面形状は、円形状や楕円状等の曲線を有する形状、三角形、五角形及び六角形等の多角形等であってもよい。
以上のような構成の蒲鉾状要素群(4)を、盛り上がりを形成できる印刷方式によって形成する。正反射光下で出現する潜像に一定の視認性を確保するためには、蒲鉾状要素(8)の盛り上がり高さは、少なくとも3μm以上が必要であるため、スクリーン印刷や凹版印刷等で形成することが望ましいが、グラビア印刷やフレキソ印刷、凸版印刷、IJP等であっても、この程度の画線の盛り上がり高さを形成することは可能である。また、盛り上がりの高さの上限に関しては、特に制限はないが、大量に積載した場合の安定性や耐摩擦性、流通適性等を考慮して1mm以下とする。以上が、蒲鉾状要素群(4)の説明である。
続いて、図7に本発明の潜像画像形成体(20)の効果について示す。図7(a)に示すように、本発明の潜像画像形成体(20)を拡散反射光下で観察した場合、反射層(5A)と蒲鉾状要素群(4)がそのまま視認されるだけであって潜像要素群(6)は観察できない。また、色彩は、反射層(5A)の拡散反射光下の色彩と蒲鉾状要素群(4)の拡散反射光下の色彩を合成した色彩となる。
図7(b)に示すように、本発明の潜像画像形成体(20)を正反射光下で観察した場合、ある特定の観察角度(第二の実施の形態においては、やや浅い観察角度)において、反射層(5A)の強い反射光の中に、基画像(10)とほぼ同じ形状の潜像(13)が出現する。また、図7(c)に示すように、正反射光下の、図7(b)の場合とは異なる、特定の観察角度(第二の実施の形態においてはやや深い観察角度)において、図7(b)で出現した位置とは別の位置へと潜像(13)が移動する。図7(b)から図7(c)への潜像(13)の移動は連続的な変化であり、傾ける角度に応じて潜像(13)の位置が変化する。このような動画効果が生じる原理については、特開2016−55480号公報に記載のとおりである。以上が本発明の効果の説明である。
なお、本発明における「色彩」とは、色相、彩度及び明度の概念を含んで色を表したものであり、「異なる色彩」とは、色相、明度又は彩度の中のどれかが異なるか、又はそれらの組合せが異なることをいう。また、本発明における色差とは、CIE1976L*a*b*表色系のΔEで定義するものとする。CIE1976L*a*b*表色系とは、CIE(国際照明委員会)が1976年に推奨した色空間のことであり、日本工業規格では、JIS Z 8729に規定されている。色差は、ある二色の色空間中における距離のことであり、CIE1976L*a*b*表色系での色差は、二色のL*の差、a*の差、及びb*の差をそれぞれ二乗して加え、その平方根をとることで求めることができる。
なお、本明細書中でいう正反射とは、物質にある入射角度で光が入射した場合に、入射した光の角度と略等しい角度に強い反射光が生じる現象を指し、拡散反射とは、物質にある入射角度で光が入射した場合に、入射した光の角度と異なる角度に弱い反射光が生じる現象を指す。正反射光下で観察するとは、印刷物に入射した光の角度と略等しい反射角度に視点をおいて観察する状態を指し、拡散反射光下で観察するとは、印刷物に入射した光の角度と大きく異なる角度で観察する状態を指す。
また、蒲鉾状要素(8)や潜像要素(9)を直線ではなく、曲線で形成する場合には特許第6032423号公報又は特許第6112357号公報の構成を用いればよい。より特殊な効果を実現するのであれば、特開2016-203459号公報、特開2016-210149号公報、特開2016-221889号公報又は特開2017-56577号公報等に記載の画線構成を用いればよい。以上のように、蒲鉾状要素群(4)や潜像要素群(6)の構成については、限定されるものではなく、従来の蒲鉾状要素群(4)の上に潜像要素群(6)を重ねて潜像(13)を発現させる技術で用いられていた構成をそのまま用いることができる。
(第三の実施の形態)
第三の実施の形態では、基材(2)の上の少なくとも一部に、第一の実施の形態で説明した潜像要素形成層(5)と第二の実施の形態で説明した蒲鉾状要素群(4)を備えた潜像画像形成媒体(30)について説明する。図8に、第三の実施の形態における潜像画像形成媒体(30)を示す。図8(a)に示すのは、潜像画像形成媒体(30)の正面図であり、図8(b)に示すのは、潜像画像形成媒体(30)のA−A’ラインにおける断面図である。潜像画像形成媒体(30)は、図8(b)に示すように、基材(2)の上に潜像要素形成層(5)が積層され、その上に蒲鉾状要素群(4)が形成されて成る。
(基材)
基材(2)は、潜像要素形成層(5)が積層できるものであれば材質は特に限定されるものではなく、紙、プラスティック、金属、ガラス等であってよい。また、紙であれば上質紙、コート紙又はアート紙であってもよい。また、基材(2)の大きさについても、特に制限はない。
(潜像要素形成層)
基材(2)の上に積層する潜像要素形成層(5)は、反射層(5A)として前述した金属箔、透明フィルム、金属フィルム、金属テープ、樹脂、プラスティック、干渉フィルム、ホログラムフィルム等を用い、接着剤(図示せず)により基材(2)の上に接着させて積層することができる。なお、反射層(5A)は、正反射時の最大明度L*又は最大彩度C*abが400を超えることと、光の入射角を固定して、受光角度を変化させた場合の明度又は彩度の半値幅FWHM(full Width at half maximum)が15°を超えない特性を満たす材料を用いる。また、第三の実施の形態において反射層(5A)は、この特性を満たすものであれば、着色インキ、透明インキ、パールインキ又はOVI(Optical Variable Ink)等を用いて印刷によって形成してもよい。
潜像要素形成層(5)が備える潜像要素群(6)の構成は、第一の実施の形態で説明したとおりであり、あらかじめ潜像要素群(6)を形成した反射層(5A)を基材(2)に積層してもよいし、反射層(5A)を基材(2)に積層してから、前述したエンボス加工、レーザー加工等により、潜像要素群(6)を形成してもよい。また、金属箔、金属フィルム、干渉フィルム等による反射層(5A)をプレス加工して基材(2)に積層する場合、潜像要素群(6)を形成するための凸部を設けたエンボス版を用いてプレスすることで、反射層(5A)の積層と潜像要素群(6)の加工を一度に行うこともできる。
(蒲鉾状要素群)
潜像要素形成層(5)の上に形成する蒲鉾状要素群(4)の構成は、第二の実施の形態で説明したとおりであり、断面が蒲鉾形状で盛り上がりを有した蒲鉾状要素(8)が、一定のピッチ(P1)で規則的に配置されて成り、図8(b)に示すように、一つの潜像要素(9)に一つの蒲鉾状要素(8)が対応して重なり、形成される。なお、蒲鉾状要素群(4)は、少なくとも潜像要素群(6)が形成された領域に重なる必要がある。図8は、潜像要素形成層(5)の全体に蒲鉾状要素群(4)が重なるように形成された状態を示しているが、この条件を満たせば、潜像要素形成層(5)の一部に蒲鉾状要素(8)が形成されない領域があってもよいし、潜像要素形成層(5)から基材(2)にまたがって蒲鉾状要素(8)を形成してもよい。
以上が第三の実施の形態の潜像画像形成媒体(30)の説明であり、正反射光下で観察角度を異ならせて観察すると、第二の実施の形態と同様に、潜像(13)が連続的に移動して視認できる効果がある。
続いて、第三の実施の形態の潜像画像形成媒体(30)をより効果的に見せる例について説明する。具体的には、動画効果を有する潜像(13)が出現する効果に加えて、拡散反射光下でも別の有意情報が視認できる形態について説明する。
図9は、拡散反射光下でも有意情報が視認できる潜像画像形成媒体(30)の構成を示す図であり、図9(a)は、潜像画像形成媒体(30)の正面図であり、図9(b)に示すのは、図9(a)に示す潜像画像形成媒体(30)のA−A’ラインにおける断面図である。潜像画像形成媒体(30)の潜像要素形成層(5)と蒲鉾状要素群(4)の構成については、第三の実施の形態で説明した構成と同じであるため説明を省略する。拡散反射光下でも有意情報が視認できる潜像画像形成媒体(30)は、図10(a)に示す潜像要素形成層(5)と図10(b)に示す蒲鉾状要素群(4)に加えて、図10(c)に示す可視画像(14)を備える。
可視画像(14)は、オフセット印刷で形成することができる。なお、可視画像(14)と同様に生産者の設備的シーズに合わせて、フレキソ印刷やグラビア印刷、凸版印刷、凹版印刷、スクリーン印刷等で形成してもよく、インクジェット、レーザー等のプリンターで形成しても問題ない。プリンターで形成する場合には、一枚一枚の情報が異なる可変印刷が可能であり、より高い効果を得ることができる。
拡散反射光下でも有意情報が視認できる潜像画像形成媒体(30)は、蒲鉾状要素群(4)と反射層(5A)は光透過性を有する必要がある。蒲鉾状要素群(4)と反射層(5A)が下地を完全に隠蔽してしまう完全な光遮断性を有する場合には、可視画像(14)が隠蔽されてしまい、意図した効果が発現しないため、避けなければならない。光透過性を有する反射層(5A)としては、前述した金属箔、透明フィルム、金属フィルム、金属テープ、樹脂、プラスティック、干渉フィルム、ホログラムフィルム等のうち、光透過性を有するものを用いることができる。また、光透過性を有する蒲鉾状要素群(4)は、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂等の一般的な印刷インキのワニスを印刷して形成することができる。正反射光下における画像の消失効果を得るために、可視画像(14)は、図9(b)に示すように、反射層(5A)の下層に配置する必要がある。
図11に潜像画像形成媒体(30)の効果を示す。図11(a)に示すように、本発明の潜像画像形成媒体(30)を拡散反射光下で観察した場合、可視画像(14)によって表された有意情報が視認できる。また、図11(b)に示すように、本発明の潜像画像形成媒体(30)を正反射光下で観察した場合、ある特定の観察角度において、可視画像(14)が消失して、潜像(13)が出現する。図11(c)に示すように、正反射光下の、図11(b)の場合とは異なる、特定の観察角度(第三の実施の形態においてはやや深い観察角度)において、図11(b)で出現した位置とは別の位置へと潜像(13)が移動する。図11(b)から図11(c)への潜像(13)の移動は連続的な変化であり、傾ける角度に応じて潜像(13)の位置が変化する。
以上のように、可視画像(14)による有意情報が視認でき、また、正反射光下において、拡散反射光下で視認されていた有意情報が消失して、動画効果を有する潜像(13)が出現することで、よりインパクトの強い効果を与えることができる。以上が第三の実施の形態の説明である。
なお、第一の実施の形態、第二の実施の形態及び第三の形態において、潜像(13)は単に第一の方向に移動する効果が生じる潜像要素群(6)の構成についてのみ説明したが、ある画像から全く別の画像へと潜像(13)がチェンジする構成を用いてもよい。その場合には、特許第4682283号公報に記載の画線構成を潜像要素群(6)に適用すれば良い。特許第4682283号公報に記載の潜像要素群は、観察角度の変化により視認できる複数の基画像を分割した潜像画線が、蒲鉾状画線の上に交互に配置される構成である。
また、一つの蒲鉾状画線の上には、基画像(10)を分割した潜像画線のうちの一つと、別の基画像(10)を分割した潜像画線のうちの一つが重なり、かつ、それらのピッチは同じ関係となっている。本発明の反射層(5A)に、特許第4682283号公報に記載の潜像要素群を形成する場合、蒲鉾状要素と潜像要素が重なる上下関係は異なるが、重なる配置は、同様である。このように、特許第4682283号公報に記載の潜像要素を、本発明の反射層(5A)に形成する場合において、「蒲鉾状要素(8)が潜像要素(9)に対応して配置される」とは、基画像(10)を分割した潜像画線のうちの一つと、別の基画像(10)を分割した潜像画線のうちの一つに対して、一つの蒲鉾状要素(8)が重なり、かつ、それらが同じピッチ(P1)で配置されることである。
また、モアレ拡大現象と呼ばれる現象を利用して動画効果を生じさせる潜像要素群(6)の画線構成については、特許第4844894号公報や特許第5131789号公報に記載の画線構成を用いればよい。この場合、特許第4844894号公報や特許第5131789号公報に記載の潜像要素は、潜像として視認される基画像が圧縮された構成であり、潜像要素は、蒲鉾状要素のピッチと異なるピッチで配置される。このため、蒲鉾状要素に潜像要素が重なる配置が徐々にずれて配置されることとなる。本発明の反射層(5A)に、特許第4844894号公報や特許第5131789号公報に記載の潜像要素群を形成する場合、蒲鉾状要素と潜像要素が重なる上下関係は異なるが、重なる配置は、同様である。このように、特許4844894号公報や特許第5131789号公報に記載の潜像要素を、本発明の反射層(5A)に形成する場合において、「蒲鉾状要素(8)が潜像要素(9)に対応して配置される」とは、潜像要素と蒲鉾状要素のピッチが異なり、潜像要素に蒲鉾状要素が重なる配置が徐々にずれて配置されることである。
また、蒲鉾状要素(8)や潜像要素(9)を画線ではなく画素とした場合の構成については、特許第4660775号公報、特許第4682283号公報、特許第5200284号公報、特許第6075244号公報及び特許第6120082号公報に記載の画線構成を用いればよい。蒲鉾状要素(8)や潜像要素(9)を直線ではなく、曲線で形成する場合には、特許第6032423号公報、特許第6112357号公報の構成を用いればよい。さらに、より特殊な効果を実現するのであれば、特開2016-203459号公報、特開2016-210149号公報、特開2016-221889号公報及び特開2017-56577号公報等に記載の画線構成を用いてもよい。以上のように、蒲鉾状要素群(4)や潜像要素群(6)の構成については、限定されるものではなく、従来の蒲鉾状要素群(4)の上に潜像要素群(6)を重ねて潜像(13)を発現させる技術で用いられていた構成をそのまま用いることができる。
以下、前述の発明を実施するための形態にしたがって、具体的に作製した潜像画像形成媒体(30)の実施例について、詳細に説明するが、本発明は、この実施例に限定されるものではない。
図8に潜像画像形成媒体(30)を示す。基材(2)は、一般的な白色コート紙(エスプリコートFM 日本製紙株式会社製)を用いた。反射層(5A)として、薄膜干渉フィルム(MLF テイジン製)を用いた。反射層(5A)を基材(2)に貼付すると同時に、エンボス加工によって潜像要素群(6)を反射層(5A)の表面の凹凸構造として形成した。反射層(5A)の貼付及びエンボス加工には、平板プレス加工機(カードプレス機:株式会社ダンベル製)を用いた。潜像要素群(6)を付与したステンレス製エンボス型1枚と平らなステンレス板で基材(2)を挟み込み、15MPaの圧力と100℃の温度を掛けてプレスした。エンボス版は、ステンレス板にYVOレーザーを用いてレーザー加工することで作製した。潜像要素群(6)の画線構成は、図4に示す構成として、画線幅(W2)が0.39mm、ピッチ(P1)が0.4mmの潜像要素(9)を第一の方向(S1)に連続して配置した。
反射層(5A)の明度は、変角分光光度計(GCMS―4、(株)村上色彩技術研究所)を使用して測定した。測定条件は、D65光源、10度視野、入射光の入射角45°で固定して、受光角を0°〜80°の範囲として可視光領域の分光反射率を測定し、測定した分光反射率からL*a*b*表色系に基づき、正反射の明度(L*)をプロットした。結果は、図3のグラフに示したとおりである。潜像要素群(6)が与されていない領域(7)の明度L*は850であり、その半値幅は約8度であった。潜像要素群(6)が付与されている領域の明度L*は250であり、半値幅は約20度であった。
図6に示す蒲鉾状要素群(4)は、画線高さ15μm、画線幅(W1)0.3mmの蒲鉾状要素(8)をピッチ(P1)0.4mmで垂直方向に連続して配置した。この蒲鉾状要素(8)は、UVスクリーン印刷方式により、透明UVスクリーンインキ(UVA9117、(株)セイコーアドバンス)を用いて、基材(2)上に貼付した潜像要素形成層(5)上に形成することで、実施例1の潜像画像形成媒体(30)を得た。
本発明の潜像画像形成媒体(30)の効果について、図7を用いて説明する。本発明の潜像画像形成媒体(30)を拡散反射光下で観察した場合、図7(a)に示すように、潜像(13)は完全に不可視であり、反射層(5A)と蒲鉾状要素群(4)がそのまま視認された。図7(b)に示すように、本発明の潜像画像形成媒体(30)を正反射光下の特定の角度で観察した場合、二つの円が潜像(13)として出現した。続いて、図7(c)に示すように、正反射光下において本発明の潜像画像形成媒体(30)を異なる角度で観察した場合、潜像(13)の位置が連続的に変化する動画的効果が確認できた。
2 基材
4 蒲鉾状要素群
5 潜像要素形成層
5A 反射層
6 潜像要素群
7 潜像要素群が付与されていない領域
8 蒲鉾状要素
9 潜像要素
10 基画像
11 光源
12 観察者の視点
13 潜像
14 可視画像
20 潜像画像形成体
30 潜像画像形成媒体
P1 ピッチ
S1 第一の方向
W1 画線幅

Claims (5)

  1. 明暗フリップフロップ性又はカラーフリップフロップ性の少なくとも一方を備えた反射層と、前記反射層に形成された基画像が分割及び/又は圧縮された潜像要素が一定のピッチで複数形成された潜像要素群から成り、光透過性を有する複数の蒲鉾状要素が重なった状態の正反射光下で観察角度を変化させて観察すると前記潜像要素による潜像が変化して視認できる潜像要素形成層であって、前記反射層は、明度及び/又は彩度が400以上であって半値幅が15°以下の光学特性を備え、
    前記反射層に前記潜像要素が形成された領域又は前記潜像要素が形成されない領域の一方のみが、前記光学特性を満たしていることを特徴とする潜像要素形成層。
  2. 請求項1記載の潜像要素形成層において、前記複数の潜像要素の上に、前記複数の潜像要素に対応した光透過性を有する蒲鉾状要素が形成されたことを特徴とする潜像画像形成体。
  3. 請求項2記載の潜像画像形成体を、基材の上に備えたことを特徴とする潜像画像形成媒体。
  4. 請求項1記載の潜像要素形成層を、基材の上に備えたことを特徴とする潜像画像形成媒体。
  5. 前記反射層は、拡散反射光下で透明又は半透明であって、前記反射層と前記基材の間に、前記基材と異なる色の可視画像が形成され、前記可視画像は、拡散反射光下の観察のみ視認されることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の潜像画像形成媒体。
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